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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024160957
(43)【公開日】2024-11-15
(54)【発明の名称】領域選択的薄膜形成方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/316 20060101AFI20241108BHJP
   C23C 16/18 20060101ALI20241108BHJP
   C23C 16/455 20060101ALI20241108BHJP
【FI】
H01L21/316 X
C23C16/18
C23C16/455
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024069838
(22)【出願日】2024-04-23
(31)【優先権主張番号】10-2023-0058754
(32)【優先日】2023-05-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】521283889
【氏名又は名称】イージーティーエム カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジェオン、ジュ フワン
(72)【発明者】
【氏名】チョ、ヒョン シク
(72)【発明者】
【氏名】リー、ハン ビン
(72)【発明者】
【氏名】バイク、スン ヨウン
(72)【発明者】
【氏名】チョイ、ウーン ジン
(72)【発明者】
【氏名】キム、ハ ナ
(72)【発明者】
【氏名】キム、ミェオン イル
(72)【発明者】
【氏名】チョ、キュ ホ
【テーマコード(参考)】
4K030
5F058
【Fターム(参考)】
4K030AA11
4K030AA14
4K030AA18
4K030BA13
4K030BA17
4K030BA19
4K030EA01
4K030EA03
5F058BC03
5F058BF02
5F058BF24
5F058BF27
5F058BF29
5F058BF37
5F058BJ04
(57)【要約】      (修正有)
【課題】基板上に領域選択的に高品質な薄膜を形成することで後続工程を省略して工程を簡素化し、コストを節減する領域選択的薄膜形成方法を提供する。
【解決手段】領域選択的薄膜形成方法は、成長領域及び非成長領域を含む基板をチャンバーに供給し、安定化する基板準備ステップ、チャンバーの内部に金属前駆体化合物を供給して基板に吸着させる前駆体供給ステップ、チャンバーの内部をパージするパージステップ、及びチャンバーの内部に反応物質を供給して金属前駆体化合物と反応し、薄膜を形成する薄膜形成ステップを含み、金属前駆体化合物は、下記化1で表される5族金属前駆体化合物である。
[化1]

【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
成長領域及び非成長領域を含む基板をチャンバーに供給し、安定化する基板準備ステップ;
前記チャンバーの内部に金属前駆体化合物を供給して前記基板に吸着させる前駆体供給ステップ;
前記チャンバーの内部をパージするパージステップ;及び
前記チャンバーの内部に反応物質を供給して前記金属前駆体化合物と反応し、薄膜を形成する薄膜形成ステップを含み、
前記金属前駆体化合物は、下記化1で表される5族金属前駆体化合物である、領域選択的薄膜形成方法。
[化1]
【化11】
(前記化1において、Mは、5族金属元素のニオブ(Nb)、タンタル(Ta)、バナジウム(V)の中から選択されたいずれか一つであり、R、R及びRは、それぞれ独立して、炭素数1~6の線状アルキル基及び炭素数3~6の分枝状アルキル基の中から選択され、Xは、それぞれ独立して、ハロゲン元素である。)
【請求項2】
前記薄膜形成ステップ以後に前記チャンバーの内部をパージするパージステップをさらに含む、請求項1に記載の領域選択的薄膜形成方法。
【請求項3】
前記化1において、Rは、炭素数3~4の分枝状アルキル基であり、R及びRは、それぞれ炭素数1~6の線状アルキル基である、請求項1に記載の領域選択的薄膜形成方法。
【請求項4】
前記化1において、RとRは互いに異なり、
前記Rの炭素数と前記Rの炭素数の和は、3以下である、請求項1に記載の領域選択的薄膜形成方法。
【請求項5】
前記成長領域は、TiN及びNbNのうち1種以上を含む、請求項1に記載の領域選択的薄膜形成方法。
【請求項6】
前記非成長領域は、Si、SiN、SiO、SiCO、SiOCN及びSiCNのうち1種以上を含む、請求項1に記載の領域選択的薄膜形成方法。
【請求項7】
前記薄膜形成ステップで、前記反応物質は、水蒸気(HO)及び酸素(O)、オゾン(O)の中から選択された1種以上の反応ガスである、請求項1に記載の領域選択的薄膜形成方法。
【請求項8】
前記基板準備ステップは、前記基板の温度が50~700℃である範囲内で遂行される、請求項1に記載の領域選択的薄膜形成方法。
【請求項9】
前記基板準備ステップと前記前駆体供給ステップとの間に、前記チャンバーに選択性付与剤を供給して前記基板に吸着させる選択性付与剤供給ステップをさらに含む、請求項1に記載の領域選択的薄膜形成方法。
【請求項10】
前記選択性付与剤は、下記化2で表される化合物である、請求項9に記載の領域選択的薄膜形成方法。
[化2]
【化12】
(前記化2において、a、b、c、dは、それぞれ独立して、0~8の整数であり、R11~R13は、それぞれ独立して、炭素数1~8のアルキル基であり、R14は、水素、炭素数1~8のアルキル基及び炭素数1~8のアルコキシ基の中から選択される。)
【請求項11】
前記薄膜は、金属有機物化学気相蒸着(Metal Organic Chemical Vapor Deposition、MOCVD)方式または原子層蒸着(Atomic layer Deposition、ALD)方式で形成される、請求項1に記載の領域選択的薄膜形成方法。
【請求項12】
前記前駆体供給ステップは、バブリング方式、気体相(vapor phase)質量流量制御器(Mass Flow Controller、MFC)方式、直接気体注入(Direct Gas Injection、DGI)方式、直接液体注入(Direct Liquid injection、DLI)方式及び前記金属前駆体化合物を有機溶媒に溶解させて移動させる有機溶液供給方式の中から選択された一つの方式を通して前記金属前駆体化合物を前記基板へ移動させるステップを含む、請求項1に記載の領域選択的薄膜形成方法。
【請求項13】
前記前駆体供給ステップで、前記金属前駆体化合物は、運搬ガスと共に前記バブリング方式、直接気体注入方式または直接液体注入方式により前記基板上へ移動し、
前記運搬ガスは、アルゴン(Ar)、窒素(N)、ヘリウム(He)及び水素(H)の中から選択された一つ以上を含む、請求項12に記載の領域選択的薄膜形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、領域選択的薄膜形成方法に関し、より詳細には、熱安定性に優れ、蒸着工程時、薄膜の成長速度(Growth Per Cycle、GPC)が低く、残余物の含量が高い5族金属含有薄膜を形成できる5族金属化合物及びそれを用いた5族金属含有薄膜の形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子技術が発展するにつれ、各種の電子装置に活用される電子素子の微細化、軽量化への要求が急増している。微細な電子素子を形成するために、多様な物理的、化学的蒸着方法が提案されており、このような蒸着方法によって、金属薄膜、金属酸化物薄膜または金属窒化物薄膜等、各種の電子素子を製造するための多様な研究が進行中である。
【0003】
半導体素子の製造において、金属薄膜は、一般に、金属有機物化学気相蒸着(Metal Organic Chemical Vapor Deposition、MOCVD)または原子層蒸着(Atomic Layer Deposition、ALD)工程を利用して形成される。
【0004】
この中でALD蒸着工程は、薄膜の原料となる金属前駆体化合物と反応物質を真空状態の基板表面に露出させて極超薄膜を形成する技術であり、微細な厚さのコントロールが可能であり、高品質な薄膜形成が可能である利点がある。また、ALD蒸着工程は、自己制限反応(Selflimiting Reaction)をするため段差被覆性(Step coverage)に優れ、相対的に低温工程であるため熱拡散による素子の特性低下を避けることができるという長所がある。
【0005】
ALD蒸着工程は、表面化学反応で薄膜が形成されるため基板表面の材料によって異なる表面特性を有し、そこで薄膜の初期成長挙動の差を示す。このような特性を利用して特定の領域に選択的に薄膜を蒸着すればエッチング等の後続工程を省略できて工程ステップが簡素化され、それによる製造時間及び生産価格の節減が可能である利点がある。そこで、特定の領域に選択的に薄膜を蒸着する方法に関する研究が盛んになされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、基板上に領域選択的に高品質な薄膜を形成することで後続工程を省略して工程を簡素化し、コストを節減することを目的とする。
【0007】
本発明の課題は、以上において言及した課題に制限されず、言及されていないまた他の課題は、下記の記載から当業者に明確に理解され得るだろう。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施例に係る領域選択的薄膜形成方法は、成長領域及び非成長領域を含む基板をチャンバーに供給し、安定化する基板準備ステップ、チャンバーの内部に金属前駆体化合物を供給して基板に吸着させる前駆体供給ステップ、チャンバーの内部をパージするパージステップ、及びチャンバーの内部に反応物質を供給して金属前駆体化合物と反応し、薄膜を形成する薄膜形成ステップを含み、金属前駆体化合物は、下記化1で表される5族金属前駆体化合物であることを特徴とする。
【0009】
[化1]
【化1】
(前記化1において、Mは、5族金属元素のニオブ(Nb)、タンタル(Ta)、バナジウム(V)の中から選択されたいずれか一つであり、R、R及びRは、それぞれ独立して、炭素数1~6の線状アルキル基及び炭素数3~6の分枝状アルキル基の中から選択され、Xは、それぞれ独立して、ハロゲン元素である。)
【0010】
本発明の他の実施例によれば、基板準備ステップと前駆体供給ステップとの間に、チャンバーに選択性付与剤を供給して基板に吸着させる選択性付与剤供給ステップをさらに含む。
【0011】
その他の実施例の具体的な事項は、詳細な説明及び図面に含まれている。
【発明の効果】
【0012】
本発明の一実施例に係る領域選択的薄膜形成方法で形成された薄膜は、非成長領域と成長領域間の選択比に優れ、薄膜蒸着後、エッチング工程等の後続工程を省略できて工程ステップが簡素化され、それによる製造時間及び生産価格の節減が可能である工程上の利点を提供する。
【0013】
また、本発明の一実施例に係る領域選択的薄膜形成方法は、不要な領域に薄膜が蒸着されることを防止することで漏れ電流を最小化することができる。
【0014】
本発明に係る効果は、以上において例示された内容により制限されず、さらに多様な効果が本発明内に含まれている。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施例に係る領域選択的薄膜形成方法を説明するための工程のフローチャートである。
図2】本発明の他の実施例に係る領域選択的薄膜形成方法を説明するための工程のフローチャートである。
図3】実施例1、実施例2、比較例1及び比較例2それぞれのサイクル別の厚さ変化を示すグラフである。
図4a】比較例2に係るニオブ含有薄膜のSiN領域に対するXPS分析結果を示すグラフである。
図4b】比較例2に係るニオブ含有薄膜のTiN領域に対するXPS分析結果を示すグラフである。
図5a】実施例2に係るニオブ含有薄膜のSiN領域に対するXPS分析結果を示すグラフである。
図5b】実施例2に係るニオブ含有薄膜のTiN領域に対するXPS分析結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の利点及び特徴、そして、それらを達成する方法は、添付の図面と共に詳細に後述されている実施例を参照すると、明確になるだろう。しかし、本発明は、以下において開示される実施例に制限されるものではなく、互いに異なる多様な形状に具現され、単に、本実施例は、本発明の開示が完全なものとなるようにし、本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者に発明の範疇を完全に知らせるために提供されるものであり、本発明は、請求項の範疇により定義されるだけである。
【0017】
本発明を説明するにあたって、関連した公知技術についての具体的な説明が本発明の要旨を不要に濁す恐れがあると判断される場合、その詳細な説明は省略する。本発明上において言及された「含む」、「有する」、「なされる」等が使用される場合、「~だけ」が使用されない以上、他の部分が加えられ得る。構成要素を単数で表現した場合、特に明示的な記載事項がない限り、複数を含む場合を含む。
【0018】
構成要素を解釈するにあたって、別途の明示的な記載がなくても誤差範囲を含むものと解釈する。
【0019】
図1は、本発明の一実施例に係る領域選択的薄膜形成方法を説明するための工程のフローチャートである。
【0020】
図1を参照すると、領域選択的薄膜形成方法は、成長領域及び非成長領域を含む基板をチャンバーに供給し、安定化する基板準備ステップ(S110)、チャンバーの内部に金属前駆体化合物を供給して基板に吸着させる前駆体供給ステップ(S120)、チャンバーの内部をパージする第1パージステップ(S130)、チャンバーの内部に反応物質を供給して金属前駆体化合物と反応し、薄膜を形成する薄膜形成ステップ(S140)、及び薄膜形成ステップ以後にチャンバーの内部をパージする第2パージステップ(S150)を含む。
【0021】
以下、各ステップ別に詳細に説明する。説明の便宜のために、薄膜が原子層蒸着(Atomic layer Deposition、ALD)方式で形成されるものを例に挙げて説明するが、これに制限されない。他の例として、薄膜は、金属有機物化学気相蒸着(Metal Organic Chemical Vapor Deposition、MOCVD)方式で形成されてもよい。
【0022】
まず、基板準備ステップ(S110)は、成長領域及び非成長領域を含む基板をチャンバーに供給し、安定化するステップである。領域選択的に薄膜が形成され得るように成長領域及び非成長領域を含む基板を準備する。成長領域は、薄膜の成長がなされる領域であり、非成長領域は、薄膜の成長が抑制される領域である。
【0023】
例えば、成長領域は、TiN及びNbNのうち1種以上を含む。このような物質は、前駆体の反応性を抑制せず、そこで薄膜が形成されるようにする。
【0024】
例えば、非成長領域は、Si、SiN、SiO、SiCO、SiOCN及びSiCNのうち1種以上を含む。このような物質は、前駆体の反応性を抑制して薄膜の形成を抑制する。
【0025】
このように、成長領域と非成長領域を含む基板を使用することで、成長領域では薄膜が蒸着され得、非成長領域では薄膜の成長が抑制され、領域選択的薄膜形成を可能とすることができる。
【0026】
基板をチャンバーに供給した後には、アルゴン、窒素、ヘリウムのような不活性気体をチャンバーの内部にパージしてチャンバー内の不純物を除去するステップを含む。この場合、副反応による副産物の発生を抑制して高品質な薄膜が形成され得る。
【0027】
チャンバーに不活性気体をパージした後には、基板の温度が目的とする水準に達するように安定化するステップを含むことができる。
【0028】
例えば、基板の温度は、50℃~700℃または100℃~600℃の温度に維持され得る。この範囲内で金属前駆体化合物が気体相で存在して後述する蒸着工程が円滑に進行し得る。
【0029】
次に、前駆体供給ステップ(S120)は、チャンバーの内部に金属前駆体化合物を供給して基板に吸着させるステップである。
【0030】
例えば、金属前駆体化合物は、バブリング方式、ガス相(vapor phase)質量流量制御器(mass flow controller)方式、直接気体注入(Direct Gas Injection、DGI)方式、直接液体注入(Direct Liquid Injection、DLI)方式、有機溶媒に溶解して移送する液体移送方式等の中から選択されるいずれか一つの方式により基板に供給され得る。
【0031】
このように供給された金属前駆体化合物は、基板の成長領域に吸着する。このとき、金属前駆体化合物は、基板の非成長領域にも一部が吸着し得るが、成長領域に高い密度で吸着し、非成長領域には一部だけが吸着し得る。
【0032】
必要に応じて、金属前駆体化合物は、運搬ガス(carrier gas)または希釈ガスと共に供給され得る。運搬ガスは、金属前駆体化合物との反応性がなく、金属前駆体化合物より軽くて気化された金属前駆体化合物を反応チャンバーまで容易に移送させることができる。希釈ガスは、金属前駆体化合物との反応性がなくて副反応を誘発せず、その流量を制御することで薄膜の成長速度等の反応を容易に制御できるようにする。例えば、運搬ガス及び希釈ガスそれぞれは、アルゴン(Ar)、窒素(N)、ヘリウム(He)及び水素(H)の中から選択された一つ以上であってよい。
【0033】
例えば、金属前駆体化合物は、アルゴン(Ar)、窒素(N)、ヘリウム(He)及び水素(H)の中から選択された一つ以上を含む運搬ガス(carrier gas)または希釈ガスと混合され、バブリング方式、直接気体注入方式または直接液体注入方式で基板上へ移送され得る。
【0034】
金属前駆体化合物は、化1で表される5族金属前駆体化合物である。
【0035】
[化1]
【化2】
【0036】
化1において、Mは、5族金属元素の中から選択されたいずれか一つであってよい。例えば、Mは、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)、バナジウム(V)の中から選択されたいずれか一つであってよい。
【0037】
化1において、R、R及びRは、それぞれ独立して、炭素数1~6の線状アルキル基及び炭素数3~6の分枝状アルキル基の中から選択され得る。このようにシクロペンタジエン(cyclopentadiene)リガンドが置換基R及びRで置換される場合、非置換シクロペンタジエン(cyclopentadiene)リガンドを含む5族金属化合物に対比して5族金属とリガンド化合物間の結合力が減少し得る。これによって蒸着工程で形成された薄膜内の不要な残余物の含量が減少し得る。
【0038】
好ましく、例えば、化1において、Rは、炭素数3~4の分枝状アルキル基であり、R及びRは、それぞれ炭素数1~6の線状アルキル基であってよい。この場合、蒸着工程時、薄膜内の不要な残余物の含量がさらに減少して良質な金属薄膜を提供することができる。
【0039】
化1において、RとRは、互いに異なり得る。このようにシクロペンタジエンリガンドに結合された置換基RとRが互いに異なる非対称構造である場合、前駆体化合物の融点が低くなって常温で液体状態で存在でき、そこで、再現性が高く、物性が均一な金属薄膜を形成することができる。
【0040】
本発明の一実施例によってRとRが互いに異なるアルキル基で置換された5族金属化合物の場合、RとRのうち一つが水素である非対称構造の5族金属化合物は、蒸気圧が高くて蒸着工程が容易である利点がある。
【0041】
また、Rの炭素数とRの炭素数の和が互いに同一である条件で、RとRが互いに異なる非対称構造の5族金属化合物の場合、RとRが同一である対称構造の5族金属化合物の場合よりさらに高い蒸気圧を有する。そこで、蒸着工程を通して容易に高品質な金属薄膜を形成することができる。
【0042】
化1において、Rの炭素数とRの炭素数の和は、3以下であってよい。この場合、熱安定性に優れながらも蒸気圧が高くて常温で液体状態で存在でき、そこで蒸着工程が容易である利点がある。化1において、Rの炭素数とRの炭素数の和が3超である場合、5族金属化合物が常温で液体状態で存在できるものの粘度が高い特性を示し得る。そこで、工程の容易性と良質な5族金属薄膜を形成するための側面で、化1において、Rの炭素数とRの炭素数の和は、3以下であってよい。
【0043】
化1において、Xは、それぞれ独立して、ハロゲン元素であってよい。具体的に、例えば、Xは、それぞれ独立して、フッ素(F)、塩素(Cl)、臭素(Br)及びヨウ素(I)の中から選択されたいずれか一つであってよく、好ましく、例えば、Xは、それぞれ塩素(Cl)であってよい。
【0044】
具体的に、例えば、金属前駆体化合物は、下記化1a、1b及び1cで表される化合物の中から選択され得るが、これに制限されない。
【0045】
[化1a]
【化3】

[化1b]
【化4】
[化1c]
【化5】
【0046】
化1a、1b及び1cにおいて、Mは、それぞれ独立して、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)、バナジウム(V)の中から選択されたいずれか一つであってよい。
【0047】
次に、第1パージステップ(S130)は、チャンバーの内部に不活性気体をパージするステップである。例えば、不活性気体は、アルゴン、窒素、ヘリウム等から選択された1種以上であってよい。チャンバーの内部にアルゴン等の不活性気体をパージすると、未吸着前駆体及び副産物が除去されて高品質な薄膜が形成され得る。
【0048】
次に、薄膜形成ステップ(S140)は、チャンバーの内部に反応物質を供給して金属前駆体化合物と反応し、薄膜を形成するステップである。
【0049】
チャンバーの内部に反応物質を供給すると、基板は、反応物質に露出される。そこで、反応物質は、成長領域に吸着した金属前駆体化合物と反応して薄膜を形成する。
【0050】
例えば、反応物質は、水蒸気(HO)及び酸素(O)、オゾン(O)の中から選択された1種以上の反応ガスであってよい。これらは、前駆体化合物と容易に反応して良質な薄膜を形成することができる。
【0051】
例えば、上述したステップは、50℃~700℃の温度範囲と10Torr以下の圧力条件で遂行され得る。この場合、高品質な薄膜が容易に形成され得る。
【0052】
次に、第2パージステップ(S150)は、薄膜形成ステップ以後にチャンバーの内部をパージするステップである。第2パージステップでは、目的とする厚さの薄膜が形成されると、チャンバーの内部をアルゴン、窒素、ヘリウム等から選択された1種以上の不活性気体でパージして未反応物質と副産物等を除去する。
【0053】
本発明の一実施例によれば、化1で表される前駆体化合物は、Siを含む非成長領域上で核成長が抑制されて選択的な蒸着を可能にする。そこで、薄膜蒸着後、エッチング工程等の後続工程を省略できて工程ステップが簡素化され、それによる製造時間及び生産価格の節減が可能な工程上の利点を提供することができる。また、不要な領域に薄膜が蒸着されることを防止することで漏れ電流を最小化することができる。
【0054】
図2は、本発明の他の実施例に係る領域選択的薄膜形成方法を説明するための工程のフローチャートである。
【0055】
図2を参照すると、領域選択的薄膜形成方法は、成長領域及び非成長領域を含む基板をチャンバーに供給し、安定化する基板準備ステップ(S210)、チャンバーに選択性付与剤を供給して基板に吸着させる選択性付与剤供給ステップ(S220)、チャンバーの内部をパージする第1パージステップ(S230)、チャンバーの内部に金属前駆体化合物を供給して基板に吸着させる前駆体供給ステップ(S240)、チャンバーの内部をパージする第2パージステップ(S250)、チャンバーの内部に反応物質を供給して金属前駆体化合物と反応し、薄膜を形成する薄膜形成ステップ(S260)、及び薄膜形成ステップ以後にチャンバーの内部をパージする第3パージステップ(S270)を含む。
【0056】
図2に示した他の実施例に係る領域選択的薄膜形成方法は、図1に示した実施例に係る薄膜形成方法と比較して基板準備ステップと前駆体供給ステップとの間に選択性付与剤供給ステップ及びパージステップをさらに含むことを除いては実質的に同一である。これによって同じ工程ステップについての重複した説明は省略する。
【0057】
本発明の他の実施例に係る領域選択的薄膜形成方法は、基板準備ステップ(S210)の次に選択性付与剤供給ステップ(S220)を含む。
【0058】
選択性付与剤供給ステップ(S220)は、チャンバーに選択性付与剤を供給して基板に吸着させるステップである。このように供給された選択性付与剤は、基板の非成長領域に吸着する。このとき、選択性付与剤は、基板の非成長領域に高い密度で吸着し、一部は成長領域にも吸着し得るが、極めて一部が吸着する。
【0059】
選択性付与剤は、化2で表される化合物であってよい。
【0060】
[化2]
【化6】
【0061】
化2において、a、b、c、dは、それぞれ独立して、0~8の整数であり、R11~R13は、それぞれ独立して、炭素数1~8のアルキル基であり、R14は、水素、炭素数1~8のアルキル基及び炭素数1~8のアルコキシ基の中から選択され得る。
【0062】
例えば、化2において、a、b、c、dは、それぞれ独立して、0~1の整数であり、R11~R13は、それぞれ独立して、炭素数1~3の線状アルキル基であり、R14は、水素または炭素数1~3の線状アルキル基であってよい。
【0063】
前記のような選択性付与剤は、Si、SiN、SiO、SiCO、SiOCN及びSiCNのうち1種以上を含む物質のような非成長領域材料との相互作用に優れ、非成長領域に高い密度で吸着し得る。
【0064】
選択性付与剤は、金属前駆体化合物とは反応性が低いため、非成長領域で薄膜の成長を効果的に抑制することができる。これによって、選択性付与剤を供給するステップを含む場合、非成長領域対成長領域間の選択比がさらに増加して領域選択的薄膜形成をさらに容易にする。
【0065】
好ましく、例えば、選択性付与剤は、下記化2aで表される化合物であってよい。この場合、選択比にさらに優れた利点がある。
【0066】
[化2a]
【化7】
【0067】
選択性付与剤は、上述した前駆体化合物と同じ方式で供給され得る。例えば、選択性付与剤は、バブリング方式、ガス相(vapor phase)質量流量制御器(mass flow controller)方式、直接気体注入(Direct Gas Injection、DGI)方式、直接液体注入(Direct Liquid Injection、DLI)方式、有機溶媒に溶解して移送する液体移送方式等の中から選択されるいずれか一つの方式により基板に供給され得る。
【0068】
必要に応じて、選択性付与剤は、運搬ガス(carrier gas)または希釈ガスと共に供給され得る。例えば、運搬ガス及び希釈ガスそれぞれは、アルゴン(Ar)、窒素(N)、ヘリウム(He)及び水素(H)の中から選択された一つ以上であってよい。
【0069】
例えば、選択性付与剤は、アルゴン(Ar)、窒素(N)、ヘリウム(He)及び水素(H)の中から選択された一つ以上を含む運搬ガス(carrier gas)または希釈ガスと混合され、バブリング方式、直接気体注入方式または直接液体注入方式で基板上へ移送され得る。
【0070】
選択性付与剤供給ステップ(S220)の次に第1パージステップ(S230)を含む。第1パージステップ(S230)は、チャンバーの内部を不活性気体でパージするステップである。チャンバーを不活性気体でパージすると、未吸着選択性付与剤と不純物が除去されて高品質な薄膜を形成することができる。
【0071】
次に遂行される前駆体供給ステップ(S240)、第2パージステップ(S250)、薄膜形成ステップ(S260)、及び第3パージステップ(S270)は、図1に示した一実施例に係る薄膜形成方法の対応ステップと同一である。そこで重複した説明を省略する。
【0072】
本発明の他の実施例に係る領域選択的薄膜形成方法は、選択性付与剤を供給するステップを含むことで、選択性付与剤により非成長領域で前駆体化合物の成長がさらに抑制され得る。これによって、非成長領域対成長領域間の選択比がさらに大きく増加し、薄膜蒸着後、エッチング工程等の後続工程を省略できて工程ステップが簡素化され、それによる製造時間及び生産価格の節減が可能な工程上の利点を提供することができる。また、不要な領域に薄膜が蒸着されることを防止することで漏れ電流を最小化することができる。
【0073】
以下においては、本発明に係る領域選択的薄膜形成方法について下記実施例を通してさらに詳細に説明する。しかし、これは、本発明の理解を助けるために提示されるものであるだけで、本発明は、下記実施例に制限されるものではない。
【0074】
[実施例1]
チタン窒化膜(TiN)で形成された領域と窒化ケイ素膜(SiN)で形成された領域を含む基板上にニオブ含有前駆体で下記化1aで表されるtBuN=Nb(EtMeCp)Clを使用してニオブ含有薄膜を形成した。具体的な薄膜形成方法は、次のとおりである。
【0075】
[化1a]
【化8】
【0076】
2cm×2cmの大きさのチタン窒化膜で形成された領域と窒化ケイ素膜で形成された領域を含むウエハ片を治具ウエハを利用してロードロックに位置させた後、原子層蒸着チャンバーに移送した。以後、基板の温度が目標の水準に十分に達するようにアルゴンを供給しながら安定化を進行した。LDS(Liquid delivery system)を通して液状の前駆体を気化器で気化して前駆体tBuN=Nb(EtMeCp)Clを供給した。前駆体の流量は、1分当たりに0.02gを供給し、キャリアガスは、600sccmを供給した。反応ガスとしては、オゾンを使用し、流量は、600sccm、オゾン濃度は、170g/cmで供給した。
【0077】
ALD工程を通したニオブ含有薄膜の選択的蒸着方法は、下記のとおりであり、下記過程を1サイクルとして進行した。
【0078】
1)LDS(Liquid delivery system)方式を通して前駆体tBuN=Nb(EtMeCp)Clを反応チャンバーに供給して前駆体を吸着させるステップ
【0079】
2)反応チャンバー内に不活性気体であるアルゴンを供給して未吸着前駆体及び副産物を除去するステップ
【0080】
3)反応ガスであるオゾンを反応チャンバー内に供給して吸着した前駆体と反応してニオブ酸化膜を形成するステップ
【0081】
4)反応チャンバー内に不活性気体を供給して分解された未反応物質または副産物を除去するステップ
【0082】
[実施例2]
選択性付与剤を供給することを除いては、実施例1と同様に進行した。選択性付与剤であるTrimethyl orthoformate(TMOF)を使用した。選択性付与剤TMOFは、tBuN=Nb(EtMeCp)Cl前駆体と同様にLDS(Liquid delivery system)を通して液状のTMOFを気化器で気化して供給した。選択性付与剤TMOFの流量は、1分当たりに0.02gを供給し、キャリアガスは、200sccmを供給した。
【0083】
ALD工程を通したニオブ含有薄膜の選択的蒸着方法は、下記のとおりであり、下記過程を1サイクルとして進行した。
【0084】
1)選択性付与剤TMOFをLDS(Liquid delivery system)方式を通して反応チャンバーに供給して吸着させるステップ
【0085】
2)反応チャンバー内に不活性気体であるアルゴンを供給して未吸着TMOF及び副産物を除去するステップ
【0086】
3)LDS(Liquid delivery system)方式を通して前駆体tBuN=Nb(EtMeCp)Clを反応チャンバーに供給して前駆体を吸着させるステップ
【0087】
4)反応チャンバー内に不活性気体であるアルゴンを供給して未吸着前駆体及び副産物を除去するステップ
【0088】
5)反応ガスであるオゾンを反応チャンバー内に供給して吸着した前駆体と反応してニオブ酸化膜を形成するステップ
【0089】
6)反応チャンバー内に不活性気体を供給して分解された未反応物質または副産物を除去するステップ
【0090】
[比較例1]
前駆体としてTBTDEN(Tert-butylimido tris(diethylamido) niobium)を使用することを除いては、実施例1と同様にニオブ含有薄膜を形成した。
【0091】
[比較例2]
前駆体としてTBTDEN(Tert-butylimido tris(diethylamido) niobium)を使用することを除いては、実施例2と同様にニオブ含有薄膜を形成した。
【0092】
[実験例1]
実施例1、実施例2、比較例1及び比較例2それぞれのSi基板上に蒸着されたニオブ含有薄膜のサイクルによる厚さ変化を検討した。図3は、実施例1、実施例2、比較例1及び比較例2それぞれのサイクル別の厚さ変化を示すグラフである。
【0093】
図3を参照すると、Si基板上でニオブ含有薄膜の潜伏周期を比較すると、比較例1でTBTDEN前駆体で形成されたニオブ薄膜より実施例1でtBuN=Nb(EtMeCp)Cl前駆体で形成されたニオブ薄膜が遥かに長いことを確認することができる。これは、TBTDENのNb-N結合に対比してtBuN=Nb(EtMeCp)ClのNb-Cl結合の強度がさらに強く、反応性が相対的に弱くて、Si基板上でtBuN=Nb(EtMeCp)Clの核成長がTBTDENの核成長より鈍いことを意味する。
【0094】
また、選択性付与剤TMOFを使用する場合、核成長が抑制されて潜伏周期がさらに伸びることを確認することができる。このとき、比較例2でTBTDENに選択的付与剤TMOFを使用する場合より実施例2でtBuN=Nb(EtMeCp)Clに選択性付与剤TMOFを使用する場合に潜伏周期が遥かに多く伸びることを確認することができる。これは、吸着した選択性付与剤が相対的に高い反応性を有するTBTDENと相互作用して脱着する効果を有し得るが、tBuN=Nb(EtMeCp)Clとの反応性は相対的に低いため、相互作用が少なく起こるようになり、選択性付与剤による核成長抑制効果がさらに強く現れるものと解析され得る。
【0095】
これより、Si基板上にニオブ薄膜を形成するとき、前駆体としてtBuN=Nb(EtMeCp)Clを使用する場合、TBTDENを使用する場合より核成長が抑制されて選択的な蒸着を可能とすることができ、選択性付与剤を使用する場合、核成長がさらに抑制されて選択比をさらに向上させ得ることが分かる。
【0096】
[実験例2]
比較例2に係るニオブ含有薄膜の領域選択特性を検討するためにXPS(X-ray photoelectron spectroscopy)分析を実施し、サイクルを3~30Cycleに変化させながら蒸着を進行した。XPSを通してSiNが含まれた領域とTiNが含まれた領域上に存在するニオブの含量を分析した。図4aは、比較例2に係るニオブ含有薄膜のSiN領域に対するXPS Nb 3d peakグラフであり、図4bは、比較例2に係るニオブ含有薄膜のTiN領域に対するXPS Nb 3d peakグラフである。
【0097】
図4a及び図4bを共に参照すると、SiN領域上ではサイクルの増加につれてNb 3d peakの変化が微々たるのに対し、TiN領域上でNb 3d peakはサイクルが増加するにつれて急激に増加することを確認することができる。また、ニオブの濃度(Atomic concentration)を比較しても、SiN領域上では濃度変化がほとんどないのに対し、TiN領域上では濃度が急激に増加することを確認することができる。
【0098】
これより、選択性付与剤TMOFが非成長領域であるSiNが形成された領域に相対的にさらに多く吸着して後続ステップでTBTDEN前駆体の核成長を遅延させるためであるものと解析され得る。しかし、TBTDEN前駆体と選択性付与剤TMOFを用いたニオブ薄膜の場合、非成長領域であるSiNでの成長が完全に抑制されず、サイクルが増加するにつれてNb 3d peakが増加することを確認することができる。
【0099】
下記表1は、選択性付与剤TMOFと前駆体TBTDENを用いたニオブ含有薄膜のサイクルによるニオブの濃度及び選択比を示したものである。
【0100】
【表1】
【0101】
前記表1を参照すると、TBTDENに選択性付与剤を適用した場合にSiN領域とTiN領域との間の選択比は、約1:3~1:4の水準であることを確認することができる。
【0102】
[実験例3]
実施例2に係るニオブ含有薄膜の領域選択特性を検討するためにXPS(X-ray photoelectron spectroscopy)分析を実施し、サイクルを5~30Cycleに変化させながら蒸着を進行した。XPSを通してSiNが含まれた領域とTiNが含まれた領域上に存在するニオブの含量を分析した。図5aは、実施例2に係るニオブ含有薄膜のSiN領域に対するXPS Nb 3d peakグラフであり、図5bは、実施例2に係るニオブ含有薄膜のTiN領域に対するXPS Nb 3d peakグラフである。
【0103】
図5a及び図5bを共に参照すると、選択性付与剤TMOFと前駆体tBuN=Nb(EtMeCp)Clを利用する場合、SiN領域上でのNb 3d peakが非常に低く、サイクルが増加してもNb 3d peakの変化がないことからtBuN=Nb(EtMeCp)Clの成長がほとんど抑制されたことを確認することができる。これに対して、TiN領域上では、サイクルが増加するほどNb 3d peakがさらに増加することを確認することができ、これよりTiN領域上での成長は、正常に進行したということが分かる。これは、選択性付与剤であるTMOFがSiN領域に強く吸着し、tBuN=Nb(EtMeCp)ClとTMOF間の相互作用は相対的に弱いため、SiN領域での成長が完全に抑制されたものと解析できる。
【0104】
下記表2は、選択性付与剤TMOFと前駆体tBuN=Nb(EtMeCp)Clを用いたニオブ含有薄膜のサイクルによるニオブの濃度及び選択比を示したものである。
【0105】
【表2】
【0106】
前記表2を参照すると、tBuN=Nb(EtMeCp)Clに選択性付与剤を適用した場合にSiN領域とTiN領域との間の選択比は約1:11~1:14の水準であり、TBTDENを使用する場合に対比して遥かに高い選択比を示すことを確認することができる。
【0107】
前記実験例をまとめると、ニオブ薄膜形成時、前駆体としてtBuN=Nb(EtMeCp)Clを使用するようになると、選択性付与剤を使用しなくても領域選択的特性を示し、選択性付与剤をさらに含む場合、選択比がさらに大きく増加して、薄膜蒸着後、エッチング工程等の後続工程を省略できて工程ステップが簡素化され、それによる製造時間及び生産価格の節減が可能な工程上の利点を提供することができる。また、不要な領域に薄膜が蒸着されることを防止することで漏れ電流を最小化することができる。
【0108】
本発明の多様な実施例に係る領域選択的薄膜形成方法は、下記のように説明され得る。
【0109】
本発明の一実施例に係る領域選択的薄膜形成方法は、成長領域及び非成長領域を含む基板をチャンバーに供給し、安定化する基板準備ステップ、チャンバーの内部に金属前駆体化合物を供給して基板に吸着させる前駆体供給ステップ、チャンバーの内部をパージするパージステップ、及びチャンバーの内部に反応物質を供給して金属前駆体化合物と反応し、薄膜を形成する薄膜形成ステップを含み、金属前駆体化合物は、下記化1で表される5族金属前駆体化合物であることを特徴する。
【0110】
[化1]
【化9】
(前記化1において、Mは、5族金属元素のニオブ(Nb)、タンタル(Ta)、バナジウム(V)の中から選択されたいずれか一つであり、R、R及びRは、それぞれ独立して、炭素数1~6の線状アルキル基及び炭素数3~6の分枝状アルキル基の中から選択され、Xは、それぞれ独立して、ハロゲン元素である。)
【0111】
本発明の他の特徴によれば、薄膜形成ステップ以後にチャンバーの内部をパージするパージステップをさらに含むことができる。
【0112】
本発明のまた他の特徴によれば、化1において、Rは、炭素数3~4の分枝状アルキル基であり、R及びRは、それぞれ炭素数1~6の線状アルキル基であってよい。
【0113】
本発明のまた他の特徴によれば、化1において、RとRは互いに異なり、Rの炭素数と前記Rの炭素数の和は、3以下であってよい。
【0114】
本発明のまた他の特徴によれば、成長領域は、TiN及びNbNのうち1種以上を含むことができる。
【0115】
本発明のまた他の特徴によれば、非成長領域は、Si、SiN、SiO、SiCO、SiOCN及びSiCNのうち1種以上を含むことができる。
【0116】
本発明のまた他の特徴によれば、薄膜形成ステップで、反応物質は、水蒸気(HO)及び酸素(O)、オゾン(O)の中から選択された1種以上の反応ガスであってよい。
【0117】
本発明のまた他の特徴によれば、前記ステップは、基板の温度が50~700℃である範囲内で遂行され得る。
【0118】
本発明のまた他の特徴によれば、基板準備ステップと前駆体供給ステップとの間に、チャンバーに選択性付与剤を供給して基板に吸着させる選択性付与剤供給ステップをさらに含むことができる。
【0119】
本発明のまた他の特徴によれば、選択性付与剤は、下記化2で表される化合物であってよい。
【0120】
[化2]
【化10】
【0121】
本発明のまた他の特徴によれば、化2において、a、b、c、dは、それぞれ独立して、0~8の整数であり、R11~R13は、それぞれ独立して、炭素数1~8のアルキル基であり、R14は、水素、炭素数1~8のアルキル基及び炭素数1~8のアルコキシ基の中から選択され得る。
【0122】
本発明のまた他の特徴によれば、薄膜は、金属有機物化学気相蒸着(Metal Organic Chemical Vapor Deposition、MOCVD)方式または原子層蒸着(Atomic layer Deposition、ALD)方式で形成され得る。
【0123】
本発明のまた他の特徴によれば、前駆体供給ステップは、バブリング方式、気体相(vapor phase)質量流量制御器(Mass Flow Controller、MFC)方式、直接気体注入(Direct Gas Injection、DGI)方式、直接液体注入(Direct Liquid injection、DLI)方式及び金属前駆体化合物を有機溶媒に溶解させて移動させる有機溶液供給方式の中から選択された一つの方式を通して前記金属前駆体化合物を基板へ移動させるステップを含むことができる。
【0124】
本発明のまた他の特徴によれば、前駆体供給ステップで、金属前駆体化合物は、運搬ガスと共にバブリング方式、直接気体注入方式または直接液体注入方式により基板上へ移動し、運搬ガスは、アルゴン(Ar)、窒素(N)、ヘリウム(He)及び水素(H)の中から選択された一つ以上を含むことができる。
【0125】
以上において、本発明を実施例を通して詳細に説明したが、本発明は、必ずしもこのような実施例に限定されるものではなく、本発明の技術思想を外れない範囲内で多様に変形実施され得る。従って、本発明に開示された実施例は、本発明の技術思想を制限するためのものではなく、説明するためのものであり、このような実施例によって本発明の技術思想の範囲が制限されるものではない。それゆえ、以上において記述した実施例は、全ての面で例示的なものであり、制限的ではないものと理解すべきである。本発明の保護範囲は、下記の特許請求の範囲によって解釈されるべきであり、それと同等な範囲内にある全ての技術思想は、本発明の権利範囲に含まれるものと解釈されるべきである。
図1
図2
図3
図4a
図4b
図5a
図5b