IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ゼネラル エレクトリック テクノロジー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツングの特許一覧

特開2024-160961テンションケーブルを用いてシール係合するためのシールセグメントの層を使用したシールシステム
<>
  • 特開-テンションケーブルを用いてシール係合するためのシールセグメントの層を使用したシールシステム 図1
  • 特開-テンションケーブルを用いてシール係合するためのシールセグメントの層を使用したシールシステム 図2
  • 特開-テンションケーブルを用いてシール係合するためのシールセグメントの層を使用したシールシステム 図3
  • 特開-テンションケーブルを用いてシール係合するためのシールセグメントの層を使用したシールシステム 図4
  • 特開-テンションケーブルを用いてシール係合するためのシールセグメントの層を使用したシールシステム 図5
  • 特開-テンションケーブルを用いてシール係合するためのシールセグメントの層を使用したシールシステム 図6
  • 特開-テンションケーブルを用いてシール係合するためのシールセグメントの層を使用したシールシステム 図7
  • 特開-テンションケーブルを用いてシール係合するためのシールセグメントの層を使用したシールシステム 図8
  • 特開-テンションケーブルを用いてシール係合するためのシールセグメントの層を使用したシールシステム 図9
  • 特開-テンションケーブルを用いてシール係合するためのシールセグメントの層を使用したシールシステム 図10
  • 特開-テンションケーブルを用いてシール係合するためのシールセグメントの層を使用したシールシステム 図11
  • 特開-テンションケーブルを用いてシール係合するためのシールセグメントの層を使用したシールシステム 図12
  • 特開-テンションケーブルを用いてシール係合するためのシールセグメントの層を使用したシールシステム 図13
  • 特開-テンションケーブルを用いてシール係合するためのシールセグメントの層を使用したシールシステム 図14
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024160961
(43)【公開日】2024-11-15
(54)【発明の名称】テンションケーブルを用いてシール係合するためのシールセグメントの層を使用したシールシステム
(51)【国際特許分類】
   F02C 7/28 20060101AFI20241108BHJP
   F01D 25/00 20060101ALI20241108BHJP
   F01D 25/30 20060101ALI20241108BHJP
【FI】
F02C7/28 E
F01D25/00 M
F02C7/28 Z
F01D25/30 B
F01D25/30 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024071995
(22)【出願日】2024-04-26
(31)【優先権主張番号】P.444739
(32)【優先日】2023-05-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】PL
(71)【出願人】
【識別番号】515322297
【氏名又は名称】ゼネラル エレクトリック テクノロジー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】General Electric Technology GmbH
【住所又は居所原語表記】Brown Boveri Strasse 8, 5400 Baden, Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 博
(74)【代理人】
【識別番号】110002848
【氏名又は名称】弁理士法人NIP&SBPJ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】レシチニスキ、カロル フィリップ
(57)【要約】      (修正有)
【課題】テンションケーブルを用いてシール係合するための隣接する平坦なシールセグメントの層を含むシールシステムを提供する。
【解決手段】第1のシール要素は、第1の構成要素130のスロット132に配置され、複数の層の表面に対して摺動可能に封着し、第2のシール要素は、第2の構成要素120の表面に配置され、或る層の第2の端部に係合する。複数の部材が、前記複数の層のうちの1つの層のシールセグメントから延在し、テンションケーブルが複数の部材と係合する。テンショナーは、テンションケーブルの端部に結合され、張力をテンションケーブルに加えて、シールセグメントによって、第2のシール要素を第2の構成要素の表面に対して摺動可能に封着する。隣接する平坦なシールセグメントは、第2の構成要素に対して垂直及び平行に自由に移動し、必要に応じて熱的に接触する/延在することができる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の構成要素(130)に第2の構成要素(120)を封着するためのシールシステム(140)であって、前記シールシステム(140)は、
隣接する平坦なシールセグメント(144)の複数の層(142)であって、隣接する平坦なシールセグメント(144)の複数の層(142)の各層は、第1の端部(150)及び第2の端部(152)を含み、複数の隣接する平坦なシールセグメント(144)の第1の端部(150)は、前記第1の構成要素(130)のスロット(132)に配置されるように構成されている、隣接する平坦なシールセグメント(144)の複数の層(142)、
前記第1の構成要素(130)のスロット(132)に配置される第1のシール要素(160)であって、隣接する平坦なシールセグメント(144)の複数の層(142)のうちのなくとも1つの層の表面(162)に対して摺動可能に封着するように構成された、第1のシール要素(160)、
前記第2の構成要素(120)の表面(122)に配置される第2のシール要素(170)であって、隣接する平坦なシールセグメント(144)の複数の層(142)のうちの少なくとも1つの層の第2の端部(152)と係合することによって、前記表面(122)に対して摺動可能に封着するように構成された第2のシール要素(170)、
隣接する平坦なシールセグメント(144)の複数の層(142)のうち選択された1つの層(142X)の複数のシールセグメント(144X)から延在する第1の部材(180)であって、隣接する平坦なシールセグメント(144)の複数の層(142)のうち選択された1つの層(142X)は、隣接する平坦なシールセグメント(144)の複数の層のうちの、前記第2のシール要素(170)に係合する第2の端部(152)を有する少なくとも1つの層に係合する、第1の部材(180)、
前記第1の部材(180)に係合するテンションケーブル(190)、及び
前記テンションケーブル(190)の少なくとも一方の端部(202、204)に結合されたテンショナー(200)であって、前記テンションケーブル(190)に張力を加えて、第2の端部(152)を有する隣接する平坦なシールセグメント(144)の複数の層(142)のうちの少なくとも1つの層を、前記第2のシール要素(170)に係合させて、前記第2のシール要素(170)を前記第2の構成要素(120)の表面(122)に対して摺動可能に封着するように構成されたテンショナー(200)
を含む、シールシステム。
【請求項2】
前記テンショナー(200)は、前記テンションケーブル(190)の第1の端部(202)に結合された第1のテンショナー(210)と、前記テンションケーブル(190)の第2の端部(204)に結合された第2のテンショナー(212)とを含む、請求項1に記載のシールシステム(140)。
【請求項3】
前記第1のテンショナー(210)及び前記第2のテンショナー(212)のうちの少なくとも一方のテンショナーは、直線アクチュエータ及びばねを含む群から選択される、請求項2に記載のシールシステム(140)。
【請求項4】
各第1の部材(180)は、隣接する平坦なシールセグメント(144)の複数の層(142)のうちの選択された1つの層(142X)の複数のシールセグメント(144X)に結合されたピン(184)であって、前記複数のシールセグメント(144X)の平面に対して直角に延在するピン(184)を含む、請求項1に記載のシールシステム(140)。
【請求項5】
前記第1の部材(180)は、隣接する平坦なシールセグメント(144)の複数の層(142)のうちの選択された1つの層(142X)の複数の平坦なシールセグメント(144X)の各シールセグメントと一体のフランジ(182)であって、前記各シールセグメントの平面に対して直角に延在するフランジ(182)を含む、請求項1に記載のシールシステム(140)。
【請求項6】
隣接する平坦なシールセグメント(144)の複数の層(142)は、隣接する平坦なシールセグメント(144)の少なくとも3つの層(142A~142C)を含む、請求項1に記載のシールシステム(140)。
【請求項7】
複数の隣接する平坦なシールセグメント(144)のうちの選択されたシールセグメント(144X)は、隣接する平坦なシールセグメント(144)の複数の層(142)のうちの、前記第2のシール要素(170)に係合する第2の端部(152)を有する少なくとも1つの層(142X)に係合するが、複数の平坦なシールセグメント(144)のうちの選択されたシールセグメント(144X)は、前記第2のシール要素(170)に係合しない、請求項6に記載のシールシステム(140)。
【請求項8】
隣接する平坦なシールセグメント(144)の複数の層(142)のうちの選択された層(142X)の隣接する平坦なシールセグメント(144X)のうちの少なくとも一部のシールセグメントは、前記第1の端部(150)において第2の部材(240)を含み、前記第2の部材(240)は、複数の隣接する平坦なシールセグメントのうちの少なくとも1つの他のシールセグメント(144B、144C)に係合し、隣接する平坦なシールセグメント(144B、144C)の複数の層(142B、142C)のうちの少なくとも1つの他の層の第2の端部(152)を、前記第2のシール要素(170)に係合させるように構成される、請求項6に記載のシールシステム(140)。
【請求項9】
隣接する平坦なシールセグメントの複数の層(142)の各平坦なシールセグメント(144)を貫通するリニアガイドスロット(260)と、前記第1の構成要素(130)の前記スロット(260)内に存在するガイドピン(262)であって、前記リニアガイドスロット(260)を貫通するガイドピン(262)とをさらに含む、請求項6に記載のシールシステム(140)。
【請求項10】
前記第1の構成要素(130)及び前記第2の構成要素(120)は互いに垂直に配置され、前記第1の構成要素のスロット(132)は円形であり、前記第2の構成要素の表面(122)は円筒形である、請求項1に記載のシールシステム(140)。
【請求項11】
前記テンションケーブル(190)は、前記第2の構成要素(120)を2回以上周回している、請求項10に記載のシールシステム(140)。
【請求項12】
前記第1の構成要素(130)はガスタービン(110)の排気プレナムであり、前記第2の構成要素(120)は、前記排気プレナム(130)に流体結合された前記ガスタービン(110)の排気ダクトであり、前記排気プレナム(130)及び前記排気ダクト(120)は高温ガス経路(124)を画定し、前記テンショナー(200)は前記高温ガス経路(124)の外側に存在している、請求項1に記載のシールシステム(140)。
【請求項13】
ガスタービン(110)の排気プレナム(130)及び排気ダクト(120)を封着するためのシールシステム(140)であって、前記シールシステム(140)は、
隣接する平坦なシールセグメント(144)の複数の層(142)であって、隣接する平坦なシールセグメント(144)の複数の層(142)の各層は、第1の端部(150)及び第2の端部(152)を含み、複数の隣接する平坦なシールセグメント(144)の第1の端部(150)は、前記排気プレナム(130)の円形スロット(132)に配置されるように構成されている、隣接する平坦なシールセグメント(144)の複数の層(142)、
前記排気プレナム(130)の前記円形スロット(132)に配置される第1のシール要素(160)であって、隣接する平坦なシールセグメント(144)の複数の層(142)のうちのなくとも1つの層の表面(162)に対して摺動可能に封着するように構成された、第1のシール要素(160)、
前記排気ダクト(120)の円筒面(122)に配置される第2のシール要素(170)であって、隣接する平坦なシールセグメント(144)の複数の層(142)のうちの少なくとも1つの層の第2の端部(152)と係合することによって、前記円筒面(122)に対して摺動可能に封着するように構成された第2のシール要素(170)、
隣接する平坦なシールセグメント(144)の複数の層(142)のうちの選択された1つの層(142X)の複数のシールセグメント(144X)の各シールセグメントから延在する第1の部材(180)であって、隣接する平坦なシールセグメント(144)の複数の層(142)のうち選択された1つの層は、隣接する平坦なシールセグメント(144)の複数の層のうちの、前記第2のシール要素(170)に係合する第2の端部(204)を有する少なくとも1つの層に係合する、第1の部材(180)、
前記第1の部材(180)に係合するテンションケーブル(190)、及び
前記テンションケーブル(190)の少なくとも一方の端部(202、204)に結合されたテンショナー(200)であって、前記テンションケーブル(190)に張力を加えて、前記第2の端部(152)を有する隣接する平坦なシールセグメント(144)の複数の層(142)のうちの少なくとも1つの層を、前記第2のシール要素(170)に係合させて、前記第2のシール要素(170)を前記排気ダクト(120)の円筒面(122)に対して摺動可能に封着するように構成されたテンショナー(200)
を含む、シールシステム。
【請求項14】
前記テンショナー(200)は、前記テンションケーブル(190)の第1の端部(202)に結合された第1のテンショナー(210)と、前記テンションケーブル(190)の第2の端部(204)に結合された第2のテンショナー(212)とを含む、請求項13に記載のシールシステム(140)。
【請求項15】
前記第1のテンショナー(210)及び前記第2のテンショナー(212)のうちの少なくとも一方のテンショナーは、直線アクチュエータ及びばねを含む群から選択される、請求項14に記載のシールシステム(140)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、シールシステムに関する。より具体的には、本開示は、テンションケーブルを用いてシール係合するための隣接する平坦なシールセグメントの層を含むシールシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
産業機械の幾つかの構成要素は、互いに封着しなければならない。例えば、ガスタービンの排気プレナムと円筒形排気ダクトは、互いに封着しなければならない2つの構成要素である。このような構成要素の封着にはフレックスシールがよく使用される。フレックスシールは、円筒形排気ダクトに固定的に取り付けられる第1の端部と、排気プレナムに固定的に取り付けられる第2の端部とを含んでいる。フレックスシールは、タービンの動き及び/又はダクトとプレナムの熱膨張により生じる軸方向及び半径方向の動きに対応するために、変形する。フレックスシールは大きい曲げ応力を受けたり、高温問題を抱えている(例えば、ガスタービンの排気の温度は、649℃~676℃(1200°F~1250°F)に達することがある)。時間の経過とともにフレックスシールは緩くなり、排気ダクト及び排気プレナムのそれぞれの取付部具との摩擦の相互作用によって割れ及び摩耗の影響を受けやすくなる。
【発明の概要】
【0003】
以下で言及される全ての態様、例、及び特徴は、技術的に可能な任意の方法で組み合わせることができる。
【0004】
本開示の一態様は、第1の構成要素に第2の構成要素を封着するためのシールシステムを提供する。前記シールシステムは、隣接する平坦なシールセグメントの複数の層であって、隣接する平坦なシールセグメントの複数の層の各層は、第1の端部及び第2の端部を含み、複数の隣接する平坦なシールセグメントの第1の端部は、前記第1の構成要素のスロットに配置されるように構成されている、隣接する平坦なシールセグメントの複数の層、前記第1の構成要素のスロットに配置される第1のシール要素であって、隣接する平坦なシールセグメントの複数の層のうちのなくとも1つの層の表面に対して摺動可能に封着するように構成された、第1のシール要素、前記第2の構成要素の表面に配置される第2のシール要素であって、隣接する平坦なシールセグメントの複数の層のうちの少なくとも1つの層の第2の端部と係合することによって、前記表面に対して摺動可能に封着するように構成された第2のシール要素、隣接する平坦なシールセグメントの複数の層のうち選択された1つの層の複数の平坦なシールセグメントから延在する第1の部材であって、隣接する平坦なシールセグメントの複数の層のうち選択された1つの層は、隣接する平坦なシールセグメントの複数の層のうちの、前記第2のシール要素に係合する第2の端部を有する少なくとも1つの層に係合する、第1の部材、前記第1の部材に係合するテンションケーブル、及び前記テンションケーブルの少なくとも一方の端部に結合されたテンショナーであって、前記テンションケーブルに張力を加えて、第2の端部を有する隣接する平坦なシールセグメントの複数の層のうちの少なくとも1つの層を、前記第2のシール要素に係合させて、前記第2のシール要素を前記第2の構成要素の表面に対して摺動可能に封着するように構成されたテンショナーを含む。
【0005】
本開示の別の態様は、先行する態様のうちのいずれかの態様を含み、前記テンショナーは、前記テンションケーブルの第1の端部に結合された第1のテンショナーと、前記テンションケーブルの第2の端部に結合された第2のテンショナーとを含む。
【0006】
本開示の別の態様は、先行する態様のうちのいずれかの態様を含み、前記第1のテンショナー及び前記第2のテンショナーのうちの少なくとも一方のテンショナーは、直線アクチュエータ及びばねを含む群から選択される。
【0007】
本開示の別の態様は、先行する態様のうちのいずれかの態様を含み、各第1の部材は、隣接する平坦なシールセグメントの複数の層のうちの選択された1つの層の複数の平坦なシールセグメントに結合されたピンであって、前記複数の平坦なシールセグメントの平面に対して直角に延在するピンを含む。
【0008】
本開示の別の態様は、先行する態様のうちのいずれかの態様を含み、前記第1の部材は、隣接する平坦なシールセグメントの複数の層のうちの選択された1つの層の複数の平坦なシールセグメントの各シールセグメントと一体のフランジであって、前記各シールセグメントの平面に対して直角に延在するフランジを含む。
【0009】
本開示の別の態様は、先行する態様のうちのいずれかの態様を含み、隣接する平坦なシールセグメントの複数の層は、隣接する平坦なシールセグメントの少なくとも3つの層を含む。
【0010】
本開示の別の態様は、先行する態様のうちのいずれかの態様を含み、複数の隣接する平坦なシールセグメントのうちの選択されたシールセグメントは、隣接する平坦なシールセグメントの複数の層のうちの、前記第2のシール要素に係合する第2の端部を有する少なくとも1つの層に係合するが、複数の平坦なシールセグメントのうちの選択されたシールセグメントは、前記第2のシール要素に係合しない。
【0011】
本開示の別の態様は、先行する態様のうちのいずれかの態様を含み、隣接する平坦なシールセグメントの複数の層のうちの選択された層の隣接する平坦なシールセグメントのうちの少なくとも一部のシールセグメントは、前記第1の端部において第2の部材を含み、前記第2の部材は、複数の隣接する平坦なシールセグメントのうちの少なくとも1つの他のシールセグメントに係合し、隣接する平坦なシールセグメントの複数の層のうちの少なくとも1つの他の層の第2の端部を、前記第2のシール要素に係合させるように構成される。
【0012】
本開示の別の態様は、先行する態様のうちのいずれかの態様を含み、隣接する平坦なシールセグメントの複数の層の各平坦なシールセグメントを貫通するリニアガイドスロットと、前記第1の構成要素の前記スロット内に存在するガイドピンであって、前記リニアガイドスロットを貫通するガイドピンとをさらに含む。
【0013】
本開示の別の態様は、先行する態様のうちのいずれかの態様を含み、前記第1の構成要素及び前記第2の構成要素は互いに垂直に配置され、前記第1の構成要素のスロットは円形であり、前記第2の構成要素の表面は円筒形である。
【0014】
本開示の別の態様は、先行する態様のうちのいずれかの態様を含み、前記テンションケーブルは、前記第2の構成要素を2回以上周回している。
【0015】
本開示の別の態様は、先行する態様のうちのいずれかの態様を含み、前記第1の構成要素はガスタービンの排気プレナムであり、前記第2の構成要素は、前記排気プレナムに流体結合された前記ガスタービンの排気ダクトであり、前記排気プレナム及び前記排気ダクトは高温ガス経路を画定し、前記テンショナーは前記高温ガス経路の外側に存在している。
【0016】
本開示の一態様は、ガスタービンの排気プレナム及び排気ダクトを封着するためのシールシステム含み、前記シールシステムは、隣接する平坦なシールセグメントの複数の層であって、隣接する平坦なシールセグメントの複数の層の各層は、第1の端部及び第2の端部を含み、複数の隣接する平坦なシールセグメントの第1の端部は、前記排気プレナムの円形スロットに配置されるように構成されている、隣接する平坦なシールセグメントの複数の層、前記排気プレナムの前記円形スロットに配置される第1のシール要素であって、隣接する平坦なシールセグメントの複数の層のうちのなくとも1つの層の表面に対して摺動可能に封着するように構成された、第1のシール要素、前記排気ダクトの円筒面に配置される第2のシール要素であって、隣接する平坦なシールセグメントの複数の層のうちの少なくとも1つの層の第2の端部と係合することによって、前記円筒面に対して摺動可能に封着するように構成された第2のシール要素、隣接する平坦なシールセグメントの複数の層のうちの選択された1つの層の複数の平坦なシールセグメントの各シールセグメントから延在する第1の部材であって、隣接する平坦なシールセグメントの複数の層のうち選択された1つの層は、隣接する平坦なシールセグメントの複数の層のうちの、前記第2のシール要素に係合する第2の端部を有する少なくとも1つの層に係合する、第1の部材、前記第1の部材に係合するテンションケーブル、及び前記テンションケーブルの少なくとも一方の端部に結合されたテンショナーであって、前記テンションケーブルに張力を加えて、前記第2の端部を有する隣接する平坦なシールセグメントの複数の層のうちの少なくとも1つの層を、前記第2のシール要素に係合させて、前記第2のシール要素を前記排気ダクトの円筒面に対して摺動可能に封着するように構成されたテンショナーを含む。
【0017】
本開示の別の態様は、先行する態様のうちのいずれかの態様を含み、前記テンショナーは、前記テンションケーブルの第1の端部に結合された第1のテンショナーと、前記テンションケーブルの第2の端部に結合された第2のテンショナーとを含む。
【0018】
本開示の別の態様は、先行する態様のうちのいずれかの態様を含み、前記第1のテンショナー及び前記第2のテンショナーのうちの少なくとも一方のテンショナーは、直線アクチュエータ及びばねを含む群から選択される。
【0019】
本開示の別の態様は、先行する態様のうちのいずれかの態様を含み、各第1の部材は、隣接する平坦なシールセグメントの複数の層のうちの選択された1つの層の複数の平坦なシールセグメントに結合されたピンであって、前記複数の平坦なシールセグメントの平面に対して直角に延在するピンを含む。
【0020】
本開示の別の態様は、先行する態様のうちのいずれかの態様を含み、前記第1の部材は、隣接する平坦なシールセグメントの複数の層のうちの選択された1つの層の複数の平坦なシールセグメントの各シールセグメントと一体のフランジであって、前記各シールセグメントの平面に対して直角に延在するフランジを含む。
【0021】
本開示の別の態様は、先行する態様のうちのいずれかの態様を含み、隣接する平坦なシールセグメントの複数の層は、隣接する平坦なシールセグメントの少なくとも3つの層を含む。
【0022】
本開示の別の態様は、先行する態様のうちのいずれかの態様を含み、複数の隣接する平坦なシールセグメントのうちの選択されたシールセグメントは、隣接する平坦なシールセグメントの複数の層のうちの、前記第2のシール要素に係合する第2の端部を有する少なくとも1つの層に係合するが、複数の平坦なシールセグメントのうちの選択されたシールセグメントは、前記第2のシール要素に係合しない。
【0023】
本開示の別の態様は、先行する態様のうちのいずれかの態様を含み、隣接する平坦なシールセグメントの複数の層のうちの選択された層の隣接する平坦なシールセグメントのうちの少なくとも一部のシールセグメントは、前記第1の端部において第2の部材を含み、前記第2の部材は、複数の平坦なシールセグメントのうちの少なくとも1つの他のシールセグメントに係合し、隣接する平坦なシールセグメントの他の複数の層のうちの少なくとも1つの他の層の第2の端部に力を加えて、第2のシール要素に係合するように構成される。
【0024】
本開示の別の態様は、先行する態様のうちのいずれかの態様を含み、隣接する平坦なシールセグメントの複数の層の各平坦なシールセグメントを貫通するリニアガイドスロットと、前記排気プレナムの前記円形スロット内に存在するガイドピンであって、前記リニアガイドスロットを貫通するガイドピンとをさらに含む。
【0025】
本開示の別の態様は、先行する態様のうちのいずれかの態様を含み、前記テンションケーブルは、前記排気ダクトを2回以上周回している。
【0026】
開示の別の態様は、先行する態様のうちのいずれかの態様を含み、前記排気プレナム及び前記排気ダクトは高温ガス経路を画定し、前記テンショナーは前記高温ガス経路の外側に存在している。
【0027】
本開示の一態様は、ガスタービンの円筒形排気ダクトと排気プレナムを封着するためのシールシステムを含み、前記排気プレナムは、前記円筒形排気ダクトに対して半径方向に存在するように配置された円形スロットを含み、前記シールシステムは、隣接する平坦なシールセグメントの第1の層、第2の層、及び第3の層であって、これらの層は全体として、互いに接触し、前記円筒形排気ダクトに対して半径方向に配置され、前記第1の層、前記第2の層、及び前記第3の層の各層は、外側端部及び内側端部を含む、第1の層、第2の層、及び第3の層;前記排気プレナムの円形スロットの第1のシール要素であって、前記第1の層及び前記第3の層に対して摺動可能に封着された第1のシール要素;前記第2の層及び前記第3の層のうちの少なくとも一方の層の内側端部と前記円筒形排気ダクトとの間に位置する第2のシール要素;前記円筒形排気ダクトの周囲に延在し、前記第1の層の隣接する平坦なシールセグメントの少なくとも一部のシールセグメントの1つ又は複数の部材と係合するテンションケーブルであって、前記第1の層は前記第2の層及び前記第3の層のうちの少なくとも一方の層と係合する、テンションケーブル;及び前記テンションケーブルの少なくとも一方の端部に結合されたテンショナーであって、前記テンションケーブルに張力を加えて、前記第1の層の隣接する平坦なシールセグメントの少なくとも一部のシールセグメントの1つ又は複数の部材に、前記円筒形排気ダクトに対して半径方向内向きの力を加え、前記第2の層及び前記第3の層のうちの少なくとも一方の層の内側端部を前記第2のシール要素に係合し、前記第2のシール要素を前記円筒形排気ダクトに摺動可能に封着するように構成されたテンショナー、を含む、シールシステム。
【0028】
本開示に記載されている2つ以上の態様は、本概要に記載されているものを含め、組み合わせて、本明細書に具体的に記載されていない実施形態を形成することができる。すなわち、本明細書に記載されるすべての実施形態は、互いに組み合わせることができる。
【0029】
1つ又は複数の実施態様の詳細は、図面及び以下の発明を実施するための形態に記載されている。他の特徴、目的及び利点は、発明を実施するための形態及び図面、並びに特許請求の範囲から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
本開示のこれらの特徴及び他の特徴は、本開示の様々な実施形態を示す図面と併せて本開示の以下の発明を実施するための形態の様々な態様から、更に容易に理解される。
図1】本開示の実施形態を使用することができるガスタービンシステムの形態の例示的な産業機械の断面図を示す。
図2】本開示の実施形態による、図1のビューボックス内のシールシステムの側断面の概略図を示す。
図3】本開示の実施形態による、図1のビュー線3-3から見たシールシステムの軸方向断面の概略図である。
図4】本開示の実施形態による、隣接するシールセグメントの各層の一部のみが示されたシールシステムの一部の斜視図である。
図5】本開示の実施形態による、隣接するシールセグメントの各層の内側端部の近くの部分のみが示されたシールシステムの一部の拡大斜視図である。
図6】本開示の実施形態による、隣接するシールセグメントの各層の外側端部の近くの部分のみが示されたシールシステムの一部の拡大斜視図である。
図7】本開示の実施形態による、例示的なシール要素の斜視図である。
図8】本開示の他の実施形態による、シールシステムの軸方向断面の概略図である。
図9】本開示の追加的な実施形態による、シールシステムの軸方向断面の概略図である。
図10】本開示のさらに他の実施形態による、シールシステムの軸方向断面の概略図である。
図11】本開示の他の実施形態による、シールシステムの軸方向断面の概略図である。
図12】本開示の実施形態による、シールシステムの隣接するシールセグメントの内側端部の拡大断面図である。
図13】本開示の他の実施形態による、シールシステムの隣接するシールセグメントの拡大断面図である。
図14】本開示の実施形態による、シールシステムの隣接するシールセグメントの拡大断面図である。
【0031】
本開示の図面は、必ずしも同一の縮尺ではないことに留意されたい。図面は、本開示の典型的な態様のみを図示することを意図しており、したがって、本開示の範囲を限定するものとして考慮されるべきではない。図面において、同様の番号は、図面間で同様の要素を表す。
【発明を実施するための形態】
【0032】
最初に、本開示を明確に説明するために、例示的な用途の産業機械(タービンシステムなど)の構成要素に言及して説明するときに、特定の用語を選択することが必要になる。可能な限り、一般的な業界用語が、その業界で受け入れられている意味と一致する態様で使用され、採用される。特に明記しない限り、上記の用語は、本出願の文脈及び特許請求の範囲と一致する広い解釈が与えられるべきである。当業者は、多くの場合、特定の構成要素は、いくつかの異なる用語又は近い用語(abutting terms)を使用して言及される場合があることを理解する。本明細書において単一の部品として説明されているものは、別の文脈では、複数の構成要素を含むことがあり、複数の構成要素を含むものとして言及されることがある。あるいは、本明細書において複数の構成要素を含むものとして説明されているものは、他の箇所では単一の部品として言及されることがある。
【0033】
更に、本明細書では、いくつかの記述用語が規則的に使用される場合があり、発明を実施するための形態の始めにこれらの用語を定義しておくことが有益である。これらの用語と用語の定義は、特に明記しない限り、以下の通りである。本明細書において、「下流」及び「上流」は、ターボ機械を流れる流体(作動流体など)の流れ、又は、例えば、燃焼器を流れる空気の流れ若しくはターボ機械の複数の構成要素システムのうちの1つを流れる冷却媒体の流れに関する方向を示す用語である。「下流」という用語は流体の流れの方向に対応し、「上流」という用語は、その流体の流れとは反対の方向を表す。「前方」及び「後方」という用語は、他に特別なことがない限り、方向を表し、「前方」はターボ機械の前部側又は圧縮機端側を表し、「後方」はターボ機械の後部又はタービン端側を表す。
【0034】
中心軸に対して異なる半径方向の位置に配置された部品の説明を要求されることがある。「軸の」という用語は、軸(例えば、ターボ機械の軸)に平行な動き又は位置を表す。「半径の」という用語は、軸(例えば、円筒形の排気ダクトを含むガスタービンシステムの軸)に対して垂直の動き又は位置を表す。この場合において、第1の構成要素が第2の構成要素よりも軸の近くに存在している場合、本明細書では、第1の構成要素は、第2の構成要素に対して「半径方向内向きに、半径方向内側に(radially inward)」、「内向きに、内側に(inner)」、又は「内部に(inboard)」あると記載される。一方、第1の構成要素が第2の構成要素よりも軸から遠くに存在する場合、本明細書では、第1の構成要素は第2の構成要素に対して「半径方向外向きに、半径方向外側に(radially outward)」、「外向きに、外側に(outer)」、又は「外部に(outboard)」あると記載することができる。最後に、「円周の」という用語は、軸の周り(例えば、ガスタービンシステムの円筒形排気ダクトの周方向外側)の動き又は位置を表す。上記のように、このような用語は、ターボ機械の軸に対して適用できることが理解される。
【0035】
更に、本明細書では、以下に説明するように、いくつかの記述用語が規則的に使用される場合がある。「第1」、「第2」、及び「第3」という用語は、ある構成要素を別の構成要素と区別するために交換可能に使用することができ、個々の構成要素の位置及び重要度を意味することを意図しているのではない。
【0036】
明細書で使用される用語は、特定の実施形態のみを説明することを目的としており、本開示を限定することを意図するものではない。本明細書において、単数形「1つ(a)」、「1つ(an)」、及び「この(the)」は、文脈が明らかに複数形を含むことを示していない限り、複数形を含むことも意図している。「含む、有する、備える(comprise)」及び/又は「含んでいる、有している、備えている(comprising)」は、本明細書で使用される場合、言及された特徴、整数、工程、動作、要素、及び/又は構成要素が存在していることを特定しているが、1つ又は複数の他の特徴、整数、工程、動作、要素、構成要素、及び/又はそれらのグループの存在及び追加を排除しないことが更に理解される。「任意選択の」又は「任意選択で」は、その後に記述される事象が発生してもよいし発生しなくてもよいこと、又はその後に記述される特徴が存在してもよいし存在しなくてもよいことを意味し、その記述が、事象が発生する又は特徴が存在する例と、事象が発生しない又は特徴が存在しない例とを含むことを意味する。
【0037】
ある要素又は層が、別の要素又は層「に接触する」、「に係合されている」、「に接続されている」、又は「に結合されている」ものとして言及されている場合、当該ある要素又は層は、他の要素又は層に、直接的に接触、係合、接続、又は結合していてもよいし、介在する要素又は層が存在していてもよい。対照的に、ある要素が、別の要素又は層「に直接的に接触」、「に直接的に係合」、「に直接的に接続」、又は「に直接的に結合」しているものとして言及されている場合、介在する要素又は層は存在していない。要素間の関係を説明するために使用される他の言葉は、同じように解釈されるべきである(例えば、「間に」と「直接的に間に」、「隣接する」と「直接的に隣接する」など)。本明細書において、「及び/又は」という用語は、列挙された関連する複数の項目のうちの1つ以上の項目のあらゆる組合せを含む。本明細書において、「結合する」及び「取り付ける」は、交換可能に使用することができる。
【0038】
上述したように、本開示は、ガスタービンシステムの排気ダクト及び排気プレナムなどの第1の構成要素に第2の構成要素を封着するためのシールシステムを提供する。シールシステムは、隣接する平坦なシールセグメントの複数の層を含む。第1のシール要素は、第1の構成要素のスロットに配置され、前記層の表面に対して摺動可能に封着し、第2のシール要素は、前記第2の構成要素(120)の表面(122)に配置され、前記層の第2の端部と係合する。前記複数の層のうちの1つの層のシールセグメントから部材が延在し、この部材にテンションケーブルが係合する。テンションケーブルの端部にはテンショナーが結合され、テンションケーブルに張力を加えて、シールセグメントによって、第2のシール要素を第2の構成要素の表面に摺動可能に封着させる。隣接する平坦なシールセグメントは、前記第2の構成要素に対して垂直及び/又は平行に自由に動くことができ、必要に応じて熱的に収縮/膨張することができる。シールシステムのテンショナーが、高温ガス経路を有する機械(ガスタービンシステムなど)に使用される場合、シールシステムのテンショナーは高温ガス経路から離れているので、クリープ/緩和は発生しない。
【0039】
図1は例示的な産業機械の概略図を示し、産業機械の一部は、本開示の教示によるシールシステムを含むことができる。図示の例では、産業機械は、燃焼システム又はガスタービン(GT)システム100(発電に使用される陸上用ガスタービンなど)を含んでいる。GTシステム100は、圧縮機102と燃焼器104とを含んでいる。燃焼器104は、燃焼領域106と燃料ノズルアセンブリ108とを含んでいる。また、GTシステム100は、タービン110(例えば、膨張タービン)と、圧縮機/タービンの共通シャフト112(ロータ112と呼ばれることもある)とを含んでいる。
【0040】
一実施形態では、GTシステム100は、サウスカロライナ州のグリーンビルのゼネラル・エレクトリック・カンパニーから市販されている7HA.03エンジンである。本開示は、任意の特定のGTシステムに限定されるものではなく、他のエンジン(例えば、ゼネラル・エレクトリック・カンパニーのHA、F、B、LM、GT、TM及びE-classの他のエンジンモデル、並びに他社のエンジンモデル)に適用することもできる。さらに、本開示は、特定のターボ機械に限定されず、例えば、蒸気タービン、ジェットエンジン、圧縮機、ターボファンなどに適用することができる。また、本開示は、シールシステムを必要とする他の産業機械にも適用することができる。
【0041】
動作においては、空気が圧縮機102を流れ、圧縮空気が燃焼器104に供給される。具体的には、圧縮空気は、燃焼器104と一体の燃料ノズルアセンブリ108に供給される。アセンブリ108は燃焼領域106と流体連通している。また、燃料ノズルアセンブリ108は、燃料源(図1には示されていない)と流体連通しており、燃料及び空気を燃焼領域106に流す。燃焼器104は燃料に点火し燃焼させる。燃焼器104はタービン110と流体連通しており、タービン110で、ガス蒸気の熱エネルギーが機械的な回転エネルギーに変換される。タービン110は、ロータ112に回転可能に結合されている。圧縮機102もロータ112に回転可能に結合されている。例示的な実施形態では、複数の燃焼器106及び燃料ノズルアセンブリ108を備えることができる。例示的な実施形態では、発電機(図示せず)がロータ112に結合され、この発電機がロータ112によって駆動され、電気を生成することができる。
【0042】
また、GTシステム100は、タービン110に流体的に結合された排気ダクト又はディフューザ120を含むことができる。高温燃焼ガスの形態の排気は、タービン110から出て、排気ダクト120によってタービンから離れる方向に導かれる。排気ダクト120は、概ね円筒形の外面122を有することができる。より詳細には、排気ダクト120は、円筒形とすることができる、又は、排気ダクト120の軸Aに沿って緩やかに広がり、表面122が円錐台形(例えば、図1を参照)になるようにすることができる。説明の便宜上、ほとんどの場合、表面122は円筒形状に示されている。概ね円錐台形の外面122を有する排気ダクト120は、本開示の実施形態によるシールシステムの動作に影響を与えないであろうということが認識される。排気プレナム130(第1の構成要素)は、排気ダクト120(第2の構成要素)に結合され、排気を排気ダクト120から、例えば、大気、熱回収蒸気発生器などに導く。排気プレナム130は、排気ダクト120の周囲に延在するが、必ずしも円筒形である必要はなく、円筒形でない場合が多い。ダクト120及びプレナム130は、本開示の実施形態によれば、シールシステム140によって封着されるように結合されている。
【0043】
図2は、本開示の実施形態による、図1のビューボックスにおけるシールシステム140の側断面の概略図を示し、図3は、本開示の実施形態による、図1のビューライン3-3から見たシールシステム140の軸方向断面の概略図を示す。図2に示すように、排気プレナム130は、排気プレナム130の壁134に画定されたスロット132を有している。排気プレナム130(又は排気プレナム130の少なくとも壁134)及び排気ダクト120は、互いに垂直に配置される。すなわち、互いに封着されなければならない、排気プレナム130の壁134と排気ダクト120の外面122は、概ね互いに垂直である。図示の例では、スロット132は排気プレナム130に設けられた円形であり、排気ダクト120の表面122は円筒形である。スロット132及び表面122の他の構成も可能である。排気プレナム130及び排気ダクト120は、高温ガス経路124(図1図2)(すなわち、タービン110の排気のための経路)を画定する。
【0044】
シールシステム140は、第1の構成要素(例えば、排気プレナム130)と、第2の構成要素(例えば、排気ダクト120)とを封着する。シールシステム140は、隣接する平坦なシールセグメント144の複数の層142を含むことができる。図4は、隣接するシールセグメント144の各層142の一部のみが示されたシールシステム140の一部の斜視図を示し、図5は、隣接するシールセグメント144の各層142の内側端部152の近くの部分のみが示されたシールシステム140の一部の拡大斜視図を示し、図6は、隣接するシールセグメント144の各層142の外側端部150の近くの部分のみが示されたシールシステム144の一部の拡大斜視図を示す。
【0045】
特定の実施形態では、少なくとも3つの層142が使用される。図示の例では、3つの層142A、142B、142Cが備えられている。しかしながら、2つの層だけ、及び3つ以上の層(これらの層は集合的に符号142で示される)が備えられてもよい。各層142は、少なくとも1つの隣接する層142の隣りで、少なくとも1つの隣接する層142に接触するように配置され、層142は、例えば、円筒形排気ダクト120の軸に対して同一面内に広がる。例えば、層142Aは層142Bの一方の側に位置し、層142Cは層142Bの反対側に位置している。
【0046】
隣接する平坦なシールセグメント144の各層142は、第1の外側端部150及び第2の内側端部152を含んでいる。外側端部150は、排気プレナム130に最も近い半径方向外側端部として図示され、内側端部152は、排気ダクト120に最も近い半径方向内側端部として図示されている、すなわち、「内側」及び「外側」は、排気ダクト120の軸Aに対して定義される。なお、軸A(図1及び図3)は、必ずではないが、タービン110の軸と同じ軸とすることができる。説明の便宜上、シールセグメントは総称では符号144で表され、所定の層142A、142B、142C内のシールセグメントは、層と同じ文字で表すことができる、すなわち、層142Aのシールセグメントはシールセグメント144Aと表され、層142Bのシールセグメントはシールセグメント144Bとして表される、などである。シールセグメント144A、144B、144Cは、継ぎ目146(図3図4)に沿って、それぞれの層142A、142B、142C内のシールセグメントの円周方向端部において隣接するシールセグメントと接するように配置することができる。すなわち、シールセグメント144A、144B、144Cは、それぞれの層142A、142B、142Cの継ぎ目146に沿って互いに接している。所定の層142内のシールセグメント144の間の継ぎ目146は、複数の層142にわたって流体連通することが防止されるように、隣接する層の継ぎ目146と交互に配置されている(すなわち、重ならないように配置されている)。
【0047】
複数の平坦なシールセグメント144の各々は、概ね平坦な金属シートを含んでいる。1つの所定の層142内で任意の数の平坦なシールセグメント144を使用することができる。各シールセグメント144は、使用されるシールセグメント144の数によって規定される範囲まで排気ダクト120の円周方向に延在することができる。より詳細には、各シールセグメント144は、排気ダクト120の円周方向にX度延在することができ、ここで、Xは、360を、所定の層142のシールセグメント144の数で割った値である。複数の層142は、同じ数のシールセグメント144を有する必要はない。シールセグメント144は、必要に応じて半径方向に拡大し、継ぎ目146(図3図4)がシールセグメントの半径方向の範囲にわたって確実に維持されるようにすることができ、例えば、シールセグメントは扇形状又はパイ形状に拡大することができる。金属シートは、使用される応力及び動作環境に耐えることができる任意の金属で製造することができる。GTシステム100に関しては、金属は、タービン110からの排気の高温(すなわち、649℃~676℃(1200°F~1250°F))に耐えることができなければならない。
【0048】
図3に示されるように、シールセグメント144は、任意選択で、排気ダクト120の外面122の輪郭に沿うように凹状に湾曲した内側端部152を有することができ、排気ダクト120の外形は概ね円筒形であるが、例えば、熱応力又はタービン110の振動によって、円形からずれて多少の変形をする。シールセグメント144は、任意選択で、排気プレナム130のスロット132の輪郭に沿うように凸状に湾曲した外側端部150を有することができる。スロット132は概ね円形であるが、例えば、熱応力又はタービン110の振動によって、円形からずれて多少の変形をする。あるいは、外側端部150及び/又は内側端部152は、例えば、所与の層142に、端部150及び/又は端部152を湾曲の形状にする必要がないほど十分な数のセグメント144がある場合には、直線状とすることができる。
【0049】
図4は、各層142A~142Cの一部のみが示されたシールシステム140の一部の斜視図を示し、図5は、各層142A~142Cの内側端部152の近くの部分のみが示されたシールシステム140の一部の拡大斜視図を示し、図6は、各層142A~Cの外側端部150の近くの部分のみが示されたシールシステム140の一部の拡大斜視図を示す。隣接する平坦なシールセグメント144の外側端部150は、排気プレナム130のスロット132に位置するように構成される。スロット132は、層142が半径方向に動く間又は熱膨張する間、層142の外側端部150が排気プレナム130に留まるのに必要な半径方向範囲Rを有することができる。
【0050】
シールシステム140は、排気プレナム130のスロット132に(すなわち、排気プレナム130の壁134に)、スロット132内を延在する第1のシール要素160を含んでいる。第1のシール要素160は、隣接する平坦なシールセグメント144の複数の層142のうちの少なくとも1つの層の表面162に対して摺動可能に封着するように構成されている。第1のシール要素160は、層142の外側端部150に対して確実に封着されるようにするため、スロット132に対して(すなわち、排気プレナム130において)任意の数の半径方向位置に設けることができる。図2に示す例では、第1のシール要素160は、層142Aの軸方向上流面162Uにおいて半径方向に間隔をあけた2つの位置、及び層142Cの軸方向下流面162Dにおいて半径方向に間隔をあけた2つの位置において、スロット132に存在する。図6に示される例では、第1のシール要素160は、層142Aの軸方向上流面162Uの1つの位置において、及び層142Cの軸方向下流面162Dの1つの位置において、スロット132に存在している。上流面162Uにおける第1のシール要素160の位置は、下流面162Dにおける第1のシール要素160の位置と(図示のように)半径方向に位置合わせされていてもよく、第1のシール要素160は、上流面162Uから下流面162Dに対して半径方向にオフセットされていてもよい。第1のシール要素160の他の位置も可能である。
【0051】
また、シールシステム140は、排気ダクト120の外面122に第2のシール要素170も含んでいる。第2のシール要素170は、隣接する平坦なシールセグメント144の複数の層142のうちの少なくとも1つの層の内側端部152と係合することによって、表面122に対して摺動可能に封着されるように構成されている。第2のシール要素170は、1つ又は複数のシール要素部172を含むことができる。図2の例では、2つのシール要素部172が使用され、図4図5の例では、単一のシール要素部172が使用されている。層142の内側端部152及び第2のシール要素170の配置の詳細については、本明細書でさらに説明する。
【0052】
第1のシール要素160及び第2のシール要素170は、高温環境において金属面に対して摺動可能に封着するための既知のシール材料又は将来的に開発されるシール材料を含むことができる。より詳細には、第1のシール要素160は、金属表面に対して封着することができ、層142の外側端部150は、動力学的な動き又は熱膨張力の下で排気プレナム130のスロット132内を(排気ダクト120の軸Aに対して半径方向内向き又は半径方向外向きに)摺動し、封着された状態を保つことができる。同様に、第2のシール要素170は、金属表面に対して封着することができ、複数の層142の少なくとも一部の層の複数のシールセグメント144の少なくとも一部のシールセグメントの内側端部152は、動力学的な動き又は熱膨張力の下で排気ダクト120の表面122に対して(軸方向に)摺動し、封着された状態を保つことができる。1つの非限定的な例では、シール160、170は、任意の工業用で耐高温の編組ガスケット又はワイヤロープを含むことができ、これらは、典型的には、耐熱性又は耐火性材料層(ガラス繊維及び/又はステンレス鋼など)で作られる。
【0053】
また、シールシステム140は、隣接する平坦なシールセグメントの複数の層のうちの選択された層142X(以下、「選択された層142X」と呼ぶ)の複数の平坦なシールセグメント144Xから延在する第1の部材180も含んでいる。さらに説明されるように、第1の部材180は、テンションケーブル190が係合している。第1の部材180を有する選択された層142Xは、隣接する平坦なシールセグメント144の複数の層142のうちの軸方向に最も外側の層を含むことができる。図示の例では、選択された層142Xは、最上流層142Aである。あるいは、選択された層142Xは、最下流層(例えば、3つの層142が使用される層142C)とすることもできる。選択された層142Xと他の層142B~142Cと第2のシール要素170との関係については、本明細書で更に詳細に説明する。
【0054】
また、シールシステム140は、第1の部材180に係合するテンションケーブル190も含んでいる。より詳細には、テンションケーブル190は、第1の部材180の周囲及び排気ダクト120の周囲に延在している。図3では、テンションケーブル190は、排気ダクト120及び第1の部材180を一回周回させるように示されている。しかしながら、テンションケーブル190は、排気ダクト120(第2の構成要素)を2回以上周回させることができる。例えば、図4では、テンションケーブル190は、排気ダクト120の周りを2回延在するように示されており、図5では、テンションケーブル190は、排気ダクト120の周りを3回延在するように示されている。また、テンションケーブル190は、第1の部材180及び排気ダクト120の周りを4回以上延在するようにすることができる。テンションケーブル190は、排気ダクト120の表面122に対して第2のシール要素170が摺動可能に封着されるようにするために、選択された層142Xを通じて、第1の部材180及び層142を引っ張るのに十分な強度を有する任意の長さの材料を含むことができる。例えば、テンションケーブル190は、編組金属ケーブル又は単一ストランド金属ワイヤを含むことができる。
【0055】
図1及び図3に示すように、シールシステム140は、テンションケーブル190の少なくとも一方の端部202、204に結合されたテンショナー200も含んでいる。テンショナー200は、テンションケーブル190に張力Fを加えるように構成されている。張力Fによって、内側端部152を有する隣接する平坦なシールセグメント144B、144Cの層142B、142Cのうちの少なくとも一方の層は、第2のシール要素170に係合し、第2のシール要素170を排気ダクト120(第2の構成要素)の表面122に対して摺動可能に封着する。特定の実施形態では、図3に示すように、テンショナー200は、テンションケーブル190の第1の端部202に結合された第1のテンショナー210と、テンションケーブル190の第2の端部204に結合された第2のテンショナー212とを含む。図3において、両方のテンショナー210、212は、排気ダクト120及び排気プレナム130の垂直の下方に存在している。
【0056】
図8図11は、本開示の他の実施形態による、テンショナー200及びテンションケーブル190の構成を含むシールシステム140の概略的な軸方向断面図を示す。図8において、テンショナー200は、テンションケーブル190の第1の端部202に結合された単一のテンショナー214を含み、テンションケーブル190の第2の端部204は、固定ベース216(例えば、建物の床又は土台)に固定されている。テンショナー200は、排気ダクト120及び排気プレナム130の下方に配置され、テンションケーブル190の端部202、204が排気ダクト120から下方に延在するように図示されているが、テンションケーブル190は、排気ダクト120から、及び選択された層142Xの第1の部材180から、任意の方向に延在できることが認識される。例えば、テンションケーブル190の端部202、204は、図9のように両方とも垂直の上方に延びることができ、図10のように両方とも水平に延びることができ、又は図11のように垂直と水平とを組み合わせた方向に延びることができる。また、例えば、テンショナー200、210、212、214が固定される位置に基づいて、他の構成も可能である。加えて、複数のテンションケーブル190を使用することもでき、複数のテンションケーブルの各々がテンショナー200を有することができる。
【0057】
テンショナー200、210、212、214は、テンションケーブル190に引張力Fを加えるための既知の又は将来的に開発される任意の機構(バネ又は直線アクチュエータ(水圧ラム、空気圧ピストンなど)などであるが、これらに限定されることはない)を含むことができる。例えば、図3において、第1のテンショナー210及び第2のテンショナー214のうちの少なくとも一方は、直線アクチュエータ又はバネを含むことができる。テンショナー200、210、212、214は、バネ又はコンピュータ制御型直線アクチュエータのような動的動作をするものであってもよいし、ラチェットを有する手動ウインチ(カマロン)のような固定動作をするものであってもよい。排気ダクト120と排気プレナム130との間を例えばフレックスシールで封着する従来の方法とは対照的に、テンショナー200、210、212、214は、高温ガス経路124の外側に存在し(図3参照)、これによって、テンショナーが受ける熱応力が低減する。
【0058】
第1の部材180及び選択された層142Xに関して、さらに、各第1の部材180は構造的特徴部分を有しており、この構造的特徴部分には、テンションケーブル190が係合して、選択された層142Xのセグメント144Xが排気ダクト120の表面122に向かって引っ張られ、第2のシール要素170が表面122に対して摺動可能に封着される。図2において、複数の第1の部材180の各々は、選択された層142Xの複数の平坦なシールセグメント144Xの各シールセグメントに一体的に設けられたフランジ182であって、各シールセグメントの平面に対して概ね垂直の角度で広がるフランジ182を含んでいる。フランジ182は、テンションケーブル190を保持することができる任意の形状(例えば、コップ形状)を有することができる。対照的に、図4及び図5では、各第1の部材180はピン184を含んでおり、ピン184は、隣接する平坦なシールセグメント144の選択された層142Xの複数の平坦なシールセグメント144Xに結合されており、複数の平坦なシールセグメント144Xの平面に概ね垂直な角度で延在する。複数のピン184は、張力Fが複数のピン184に概ね均一に分散されるように、選択された層142Xの複数の平坦なシールセグメント144Xに取り付けられてもよいし、複数の平坦なシールセグメント144Xと一体であってもよいが、複数のピン184は、選択された層142Xの全てのシールセグメント144Xに接触する必要はない。ピン184は、任意選択で、テンションケーブル190を保持するように構成された任意の構造を有することができる。一実施例では、ピン184は、丸いピンヘッドを有することができるが、他の形状が使用されてもよい。一実施例では、ピン184は、任意選択で、テンションケーブル190を保持するように構成された表面186(図5)(例えば、凹面)を有することができる。第1の部材180は、選択された層142X、隣接する層142、テンションケーブル190、及び第1の部材180と排気ダクト120の表面122との間の任意の構造を損傷することなく、選択された層142Xにおいて、例えば、テンションケーブル190によって半径方向内向きの力(すなわち、張力F)を均一に加えるのに必要な任意の複数の平坦なシールセグメント144Xから延在することができる。
【0059】
特定の実施形態では、第1の部材180にテンションケーブル190が支持されている選択された層142Xは、第2のシール要素170に係合する内側端部152を有する層142B、142Cのうちの少なくとも1つの他の層と係合する。すなわち、隣接する平坦なシールセグメント144Xを有する選択された層142X(第1の部材180を備えている)は、隣接する平坦なシールセグメント144B、Cにおいて、第2のシール要素170と係合する内側端部152を有する少なくとも1つの他の層142B、142Cと係合する。特定の実施形態では、図3及び図5に示されるように、隣接する平坦なシールセグメント144Xの選択された層142Xは、第2のシール要素170に係合しない、すなわち、選択された層142Xは第2のシール要素170に直接接触しない。
【0060】
図12は、図3の層142A~142Cの内側端部152の拡大図を示す。図3及び図12において、第1の部材180(すなわち、フランジ182)を有する選択された層142Xは、第2のシール要素170と係合した内側端部152を有する第2の層142Bと係合する。より詳細には、選択された層142Xの内側端部152における、例えば第1の部材180(フランジ182)の半径方向内側を向く面220は、第2の層142Bの平坦なセグメント144Bの平面に垂直に延在する、フランジ224の半径方向外側を向く面222と係合する。第2の層142Bの内側端部152のフランジ224の半径方向内側を向く面226は、第2のシール要素170に係合する。従って、選択された層142Xによって加えられる張力Fは、第2の層142Bを第2のシール要素170に係合させて(例えば、第2のシール要素170を圧縮する)、排気ダクト120の表面122に対して摺動可能に封着することができる。
【0061】
図13及び図14は、本開示の他の実施形態による、シールシステムの隣接するシールセグメントの拡大断面図を示す。図3図13及び図14に示される特定の実施形態では、選択された層142Xの隣接する平坦なシールセグメント144Xのうちの少なくとも一部のシールセグメントは、外側端部150において(排気プレナム130のスロット132に)第2の部材240を含むことができ、第2の部材240は、複数の隣接する平坦なシールセグメント144B、144Cのうちの少なくとも1つの他のシールセグメントの外側端部150に係合して、他の層142B、142Cの内側端部152を第2のシール要素170に係合させるように構成されている。第2の部材240は、例えば、選択された層142Xの複数のシールセグメント144Xのうちの少なくとも一部から垂直に延在するフランジ242を含むことができる。第2の部材240のフランジ242は、第1の部材180のフランジ182(又は、ピン184が使用される場合にはピン184)とは反対の軸方向に延在する。
【0062】
第2の部材240は、選択された層142X、隣接する層142、テンションケーブル190、及び第1の部材180と排気ダクト120の表面122との間の任意の構造を損傷することなく、選択された層142Xにおいて、例えば、テンションケーブル190によって張力F(例えば、半径方向内向きの張力)を確実に均一に加えるのに必要な任意の複数の平坦なシールセグメント144Xから延在することができる。第1及び第2の部材180、240は、同じシールセグメント144に設けられてもよいし、異なるシールセグメント144に設けられてもよい。いずれにしても、選択された層142Xが排気ダクト120の表面122に向かって内側に引っ張られると、(フランジ242が設けられている場合は)フランジ242によって、層142B、142Cは、第2のシール要素170に係合し、第2のシール要素170が排気ダクト120の表面122に対して摺動可能に封着する。第2の部材240は、様々な他の形態(例えば、ピン184のようなピン)を有することができ、又は層142B、142Cの外側端部152と係合可能な他の構造を有することができる。
【0063】
図3及び図12に示すように、第3の層142Cは、第3の層142Cのシールセグメント144Cの平面に対して垂直に延在するフランジ250を含むことができる。フランジ250は、第2のシール要素170に係合する半径方向内側を向く表面252を含むことができる。したがって、第2の部材240(フランジ242)を通じて選択された層142Xによって加えられた張力F(図3)は、第3の層142Cを第2のシール要素170に係合させて、第2のシール要素170を排気ダクト120の表面122に対して摺動可能に封着することができる。
【0064】
本明細書で説明するいずれの実施形態においても、第2のシール要素170に係合するシールセグメント(例えば、図3及び図12のシールセグメント144B~144C)の内側端部152は、任意選択で、第2のシール要素170を内側端部152と表面122との間に保持する構造を含むことができる。図3及び図12に示す例では、内側端部152は、第2のシール要素170の軸方向移動を制限する保持要素228(フランジ224、250の屈曲部又は延長部など)を含むことができる。保持要素228は、全ての場合(例えば、第2のシール要素170を張力Fだけで内側端部152と排気ダクト120の表面122との間に保持するのに十分な場合)に必要であるとは限らない。
【0065】
シールセグメント144の層142の内側端部152は、様々な代替形態をとることができる。図13図14は、様々な代替実施形態の概略図を示す。
【0066】
図13では、シールセグメント144A、144Bの2つの層142A、142Bのみが設けられている。選択された層142X(例えば、層142A)は、少なくとも一部のシールセグメント144Xに第1の部材180(フランジ182)及び第2の部材240(フランジ242)を含んでいる。選択された層142Xは、フランジ182を介して、第2のシール要素170に係合し、第2のシール要素170を排気ダクト170の表面122に封着することができる。この実施例では、1つの保持要素228のみがシールセグメント144Bで使用されている。
【0067】
図14では、4つ以上の層142A~142E(例えば、5つの層)が設けられている。選択された層142Xは、選択された層142Xの少なくとも一部のシールセグメント144Xに第1の部材180(ピン184)及び第2の部材240(フランジ242)を含んでいる。選択された層142Xは、ピン184を介して、第2の層142B(第2のシール要素170ではない)に係合して、第2の層142Bの内側端部152が第2のシール要素170に係合し、第2のシール要素170が排気ダクト170の表面122に封着する。最下流(第5)の層142Eは、選択された層142Xのフランジ242からの張力Fによって第2のシール要素170に係合するフランジ250を含んでいる。層142C、142Dはシールセグメント144C、144Dを含んでおり、シールセグメント144C、144Dは、平坦であり、選択された層142Xのフランジ240が係合する外側端部150を有しており、層142C~142Dの内側端部152が第2のシール要素170に係合して、第2のシール要素170を排気ダクト170の表面122に封着させる。任意の数の平坦な層142C~142Dを用意して、排気プレナム130の内側と外側の領域の間を軸方向に封着するためにシールセグメント144の軸方向に重なる多くの層142を備えることができる。
【0068】
再び図2を参照すると、特定の実施形態では、リニアガイドスロット260は、任意選択で、隣接する平坦なシールセグメント144の複数の層142の各平坦なシールセグメント144を貫通することができ、ガイドピン262は、排気プレナム130(第1の構成要素)のリニアガイドスロット260内に配置され、リニアガイドスロット260を貫通することができる。ガイドピン262は、排気プレナム130の壁134に固定されてもよいし、壁134の内側に固定されてもよい。リニアガイドスロット260及びピン262によって、リニアガイドスロット260及びピン262が設けられたシールセグメント144は、リニアガイドスロット260によって決定される所望の経路(例えば、概ね半径方向)に沿って確実に移動することができる。
【0069】
図2に関しては、さらに、本開示の実施形態には、ガスタービン110の円筒形排気ダクト120及び排気プレナム130を封着するためのシールシステム140も含んでいる。排気プレナム130は、円筒形排気ダクト120に対して半径方向に広がるように形成された円形スロット132を含んでいる。シールシステム140は、平坦なシールセグメント144A~144Cの第1の層、第2の層、及び第3の層142A~142Cを含んでいる。複数の層142は、本明細書に記載されるように、互いに接触するように配置されている。複数の層142は、全体として、円筒形排気ダクト120に対して(すなわち、円筒形排気ダクト120の軸Aに対して)半径方向に配置されている。第1の層、第2の層、及び第3の層142A~142Cの各々は、外側端部150及び内側端部152を含んでいる。
【0070】
シールシステム140は、排気プレナム130の円形スロット132に(すなわち、壁134に)、第1の層142A及び第3の層142Cに対して摺動可能に封着するための第1のシール要素160を含んでいる。また、シールシステム140は、第2の層142B及び第3の層142Cのうちの少なくとも一方の層の内側端部152と円筒形排気ダクト120との間に、第2のシール要素170も含んでいる。
【0071】
また、シールシステム140は、円筒形排気ダクト120の周囲に延在するテンションケーブル190であって、第1の層142Aの隣接する平坦なシールセグメント144Aのうちの少なくとも一部のシールセグメントの1つ又は複数の部材180(例えば、フランジ182又はピン184)と係合するテンションケーブル190も含んでいる。第1の層142Aは、例えば、表面220、222(図12)を介して、第2の層142B及び第3の層142Cのうちの少なくとも1つの層と係合する。
【0072】
図3及び図8図11に示すように、テンショナー200、210、212、214は、テンションケーブル190の少なくとも一方の端部202、204に結合されており、テンショナー200、210、212、214は、テンションケーブル190に張力Fを加えて、第1の層142Aの隣接する平坦なシールセグメント144Aのうちの少なくとも一部のシールセグメントの1つ又は複数の第1の部材180に、円筒形排気ダクト120に対して半径方向内側に力を加えて、第2の層142B及び第3の層142Cのうちの少なくとも一方の層の内側端部152を第2のシール要素170に係合させて、第2のシール要素170を円筒形排気ダクト120に対して摺動可能に封着するように構成されている。
【0073】
本開示の実施形態は、様々な技術的及び商業的利点を提供し、その例は本明細書で説明されている。シールシステムは、構成要素を封着し、軸方向及び半径方向の大きな相対運動を補償することができ、それによって良好なシーリング性能を維持することができる。また、シールシステムは、完全な円筒形ではない構成要素(例えば、排気ダクトが熱応力等によって変形したようなもの)に対しても封着することができる。このシールシステムは、円筒径が非常に大きいものにも使用することができる。複数の層に分割することにより、シールシステムは、封着された円筒形状の構成要素(本明細書で説明する排気ダクトなど)を自己調整することができる。高温ガス経路の外側にテンショナーが設けられているため、従来のフレックスシールとは異なり、シールシステムは、クリープ/緩和による調整が困難なプリロードの損失を受けない。また、シールシステムは高い応力を受けず、予想される変形が抑えられ、シールシステムの寿命が延びる。
【0074】
本明細書及び特許請求の範囲を通じて使用される近似を表す文言は、関連する基本的機能に変化をもたらすことなく、差し支えない程度に変動し得る任意の量的表現を修飾するために適用することができる。したがって、1つの又は複数の用語(「およそ」、「約」、及び「実質的に」など)によって修飾された値は、明記された厳密な値に限定されるものではない。少なくとも一部の例では、近似を表す文言は、値を測定するための機器の精度に対応する場合がある。ここに記載されたこと並びに本明細書及び特許請求の範囲を通して、範囲の限定を組み合わせること及び/又は置き換えることが可能である。文脈又は文言が特に指示しない限り、このような範囲は識別され、それに包含される全ての部分範囲を含む。範囲の特定の値に適用される「約」又は「およそ」は、当該範囲の両端の値に適用され、値を測定する機器の精度に特に依存しない限り、言及された値の+/-10%を示すことができる。
【0075】
特許請求の範囲におけるミーンズプラスファンクション又はステッププラスファンクションの要素すべての、対応する構造、材料、動作、及び均等物は、具体的に請求された他の請求要素と組み合わせてその機能を実施するための、一切の構造、材料、又は動作を包含することを意図している。本開示の記載は、例示及び説明の目的で提示されており、可能な全てのものが含まれていることを意図するものではなく、開示された形態で本開示に限定することを意図するものでもない。当業者には、本開示の範囲及び趣旨から逸脱することなく多くの修正及び変形が明らかである。本開示の原理及び実際の用途を最適に説明し、他の当業者が本開示を理解し、特定の使用に適するような様々な実施形態の様々な修正を考えることができるように、本実施形態が選択され、かつ記載された。
【符号の説明】
【0076】
3 ビューライン
100 システム
102 圧縮機
104 燃焼器
106 燃焼領域
108 アセンブリ
110 タービン
112 ロータ
120 排気ダクト
122 表面
124 高温ガス経路
130 排気プレナム
132 スロット
134 壁
140 シールシステム
142 層
142A 層
142B 層
142C 層
144 シールセグメント
144A シールセグメント
144B シールセグメント
144C シールセグメント
144X シールセグメント
146 継ぎ目
150 外側端部
152 内側端部
160 第1のシール要素
162 表面
162D 下流面
162U 上流面
170 第2のシール要素
172 シール要素部
180 第1の部材
182 フランジ
184 ピン
186 表面
190 テンションケーブル
200 テンショナー
202 端部
210 第1のテンショナー
212 第2のテンショナー
216 固定ベース
224 フランジ
228 保持要素
240 フランジ
242 フランジ
250 フランジ
252 表面
260 リニアガイドスロット
262 ガイドピン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
【外国語明細書】