(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024160962
(43)【公開日】2024-11-15
(54)【発明の名称】拡張可能な光回路スイッチ構造
(51)【国際特許分類】
G02B 6/35 20060101AFI20241108BHJP
H04B 10/291 20130101ALI20241108BHJP
【FI】
G02B6/35
H04B10/291
【審査請求】有
【請求項の数】19
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024072031
(22)【出願日】2024-04-26
(31)【優先権主張番号】18/143,566
(32)【優先日】2023-05-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】513311642
【氏名又は名称】ノキア ソリューションズ アンド ネットワークス オサケユキチュア
(74)【代理人】
【識別番号】100094112
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 讓
(74)【代理人】
【識別番号】100106183
【弁理士】
【氏名又は名称】吉澤 弘司
(74)【代理人】
【識別番号】100114915
【弁理士】
【氏名又は名称】三村 治彦
(74)【代理人】
【識別番号】100125139
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100209808
【弁理士】
【氏名又は名称】三宅 高志
(72)【発明者】
【氏名】ミハイル シチェルバン ゴンザレス
(72)【発明者】
【氏名】ローランド リフ
(72)【発明者】
【氏名】ジョン シムサリアン
【テーマコード(参考)】
2H141
5K102
【Fターム(参考)】
2H141MA18
2H141MB61
2H141ME06
2H141MG01
5K102AA36
5K102RB11
(57)【要約】
【課題】ポート数を拡張することを可能にする、非ブロッキングのスケーラブルなOXCスイッチアーキテクチャを提供すること。
【解決手段】ソースOCSモジュールの少なくとも1つの入力光ファイバポートからの少なくとも第1のモジュール間光信号を宛先OCSモジュールの出力光ポートに反射結合するための光クロスコネクトのための方法および装置が提供される。結合は、モジュール間光信号をソースOCSモジュールの中間光反射器にステアリングすることと、中間光反射器を使用して光信号をソースOCSモジュールから宛先OCSモジュールにステアリングすることと、宛先OCSモジュール内で光信号を出力光ファイバポートにステアリングすることとを含む。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のモジュールコネクタをその上に有する電子デバイスと、
それぞれが前記複数のモジュールコネクタの少なくとも1つによって前記電子デバイスに取り外し可能に機械的に固定され、複数の入力光ファイバポートおよび複数の出力光ファイバポートを有する複数の光回路スイッチ(OCS)モジュールとを備え、
前記複数のOCSモジュールのそれぞれは、前記複数のOCSモジュールのうちの同じものの前記複数の入力光ファイバポートのうちの複数を前記複数のOCSモジュールのうちの同じものの前記複数の出力光ファイバポートのうちの複数に選択的に光学的にクロスコネクトし得る光反射器の再構成可能な配置を有し、
前記複数のOCSモジュールのうちの特定のもののそれぞれは、前記複数の入力光ファイバポートのうちの複数から受けた光を、前記複数の光反射器の配置を介して、前記複数のOCSモジュールのうちの1つまたは複数の他のものにルーティングするように選択的に構成可能であることを特徴とする装置。
【請求項2】
前記複数のOCSモジュールのうちの特定のものから他のものへのルーティングは、前記複数のOCSモジュールのうちの特定の複数のものを前記1つまたは複数の他のものに結合する1つまたは複数の自由空間光路を介することを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記複数のOCSモジュールのうちの少なくとも1つは、それ自体の複数の入力光ファイバポートのうちの1つからの光を、前記複数のOCSモジュールのうちの第3のものを横断する自由空間光路を介して、前記複数のOCSモジュールのうちの第2のものにルーティングするように構成可能であることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記電子デバイスは、前記複数のOCSモジュールの前記複数の光反射器の再構成可能な配置を動作させるように通信可能に結合された電子コントローラを備えることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記複数のOCSモジュールのそれぞれにおいて、前記複数の光反射器の再構成可能な配置は、前記複数の入力光ファイバポートから光を受け取るように配置された入力光反射器と、前記複数の出力光ファイバポートに光を送信するように配置された出力光反射器と、前記入力光反射器を前記出力光反射器に反射結合することができる中間反射器を有する中間光反射器アレイとを備えることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記入力光反射器は、前記中間光反射器アレイを介して、前記複数のOCSモジュールのうちの1つ以上の他のものに選択的に光を向けるように構成可能であることを特徴とする請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記中間光反射器アレイは、光を前記複数のOCSモジュールの1つ以上の他のものに選択的に向けるために、前記入力光反射器と共同して作用するように構成された構成可能反射器を備えることを特徴とする請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記電子デバイスは、前記複数のOCSモジュールの前記複数の光反射器の再構成可能な配置を動作させるように通信可能に結合された電子コントローラを備えることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記複数のOCSモジュールの特定のものの各々における前記複数の光反射器の再構成可能な配置は、前記複数のOCSモジュールのうちの異なるものから受けた光を、前記複数のOCSモジュールのうちの特定のものの前記複数の出力光ファイバポートのうちの1つまたは複数に向けるように構成可能であることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記複数のOCSモジュールのそれぞれにおける前記複数の光反射器の再構成可能な配置は、前記複数の入力光ファイバポートから光を受信するように配置された入力光反射器と、前記複数の出力光ファイバポートに光を送信するように配置された出力光反射器と、前記入力光反射器を前記出力光反射器に反射結合することができる中間反射器とを有する中間光反射器アレイとを備え、
前記入力光反射器はMEMSミラーアレイであり、
前記出力光反射器はMEMSミラーアレイであることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項11】
前記複数のOCSモジュールの各々の特定のものにおける前記複数の光反射器の再構成可能な配置は、前記複数の入力光ファイバポートから光を受信するように配置された入力光反射器と、前記複数の出力光ファイバポートに光を送信するように配置された出力光反射器と、中間光反射器アレイとを備え、
前記中間光反射器アレイは、前記複数のOCSモジュールのうちの特定のものの前記複数の入力光反射器を前記複数のOCSモジュールのうちの特定のものの前記複数の出力光反射器に反射結合することができるモジュール内中間反射器とを備え、
前記中間光反射器アレイは、前記複数のOCSモジュールのうちの特定のものの前記複数の入力光反射器を前記複数のOCSモジュールのうちの異なるものの1つまたは複数のものに反射結合することができる少なくとも1つのモジュール間中間反射器をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項12】
各々の前記モジュール間中間反射器は、静的ミラーであることを特徴とする請求項11に記載の装置。
【請求項13】
各々の前記モジュール間中間反射器は、再構成可能なミラーであることを特徴とする請求項11に記載の装置。
【請求項14】
第1の光回路スイッチ(OCS)モジュールの第1の入力光ファイバポートからの光信号を、第2のOCSモジュールで終端する光路上に前記光信号を反射するように前記第1のOCSモジュールの少なくとも1つの光反射器を再構成することによって、前記第2のOCSモジュールによって受信させるステップと、
前記受信した光信号を前記第2のOCSモジュールの出力光ファイバポートに導くように前記第2のOCSモジュールの光反射器を再構成することによって、前記受信した光信号を前記第2のOCSモジュールによって出力させ、それによってモジュール間結合を形成するステップと、
前記第1のOCSモジュールの少なくとも1つの光反射器を再構成することによって、前記第1のOCSモジュールの第2の入力光ファイバポートからの光信号を前記第1のOCSモジュールによって出力させ、前記第2の入力光ファイバポートからの前記光信号を前記第1のOCSモジュールの出力光ファイバポートに導き、それによってモジュール内結合を形成するステップとを有することを特徴とする方法。
【請求項15】
前記第2のOCSモジュールで終端する光路は、自由空間光路であることを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記モジュール内結合を形成するステップは、前記第1のOCSモジュールの入力光反射器を再構成し、出力光反射器を再構成することを含み、
前記モジュール間結合を形成するステップは、前記第1のOCSモジュールの入力光反射器を再構成し、前記第2のOCSモジュールの出力光反射器を再構成することを含み、
それぞれの前記OCSモジュール内には、前記入力光反射器及び前記出力光反射器はそれぞれ、中間光反射器を介して反射結合されることを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記モジュール間結合の形成は、前記第1のOCSモジュールの前記中間光反射器を再構成することをさらに含むことを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記モジュール内結合および前記モジュール間結合は、複数の他のモジュール内結合およびモジュール間結合と同時に行われ、複数の同時結合の形成は、
前記第1のOCSモジュール及び前記第2のOCSモジュールを含む複数のOCSモジュールから、所望の結合のセットから各結合を実施するための入力OCSモジュールおよび出力OCSモジュールを選択するステップと、
それぞれの所望の結合を実施するために、前記選択されたOCSモジュールのそれぞれの入力光ファイバポート及び出力光ファイバポートを選択するステップと、
それぞれの所望の結合を実施するための光反射器構成のセットを取得するステップと、
前記所望の結合を形成するために、前記取得された構成に従って、前記選択された入力OCSモジュール及び出力OCSモジュールの前記入力光反射器及び前記出力光反射器の少なくともいくつかを再構成するステップとを含むことを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記複数の同時結合の形成はさらに、前記取得された構成に従って、前記選択された入力OCSモジュール及び出力OCSモジュールの前記中間光反射器のうちの少なくともいくつかを再構成するステップを含むことを特徴とする請求項18に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、光回路スイッチに関する。
【背景技術】
【0002】
光ファイバネットワークでは、変調された光パルスで符号化されたデータは、光ファイバケーブル上のノード間で伝送される。この技術は、情報を伝達する能力が極めて高いため、様々な種類及び規模の電気通信ネットワークにとって重要になっている。光ファイバネットワークの動作における1つの重要な特徴は、ノード間の結合の高速スイッチングである。全光スイッチングは、ネットワークスイッチングに対するいくつかの可能なアプローチの1つである。全光スイッチングの利点は、ネットワークプロトコルに対する高い帯域幅および透過性を含む。全光スイッチはまた、非ブロッキングであり得る。
【0003】
光クロスコネクト(OXC)は、光ネットワークの異なる光ファイバ間の全光スイッチングを実装することができるデバイスである。OXCは、入射または出射光信号を搬送する個々の光ファイバまたは光ファイバの対のための光インターフェースを含み得る。OXC内では、各結合は、入力用の光ファイバと出力用の光ファイバとの間に光路を制御可能に確立することによって達成される。これらの光路は、例えば、適切なデジタル制御下でMEMSミラー又はLCOSアレイを使用することによって高速で再構成可能である。
【0004】
とりわけ、最近のコア光ネットワークの規模の増大は、既存のインフラストラクチャの容量に挑戦し始めている。結果として、ネットワーク要件が増加するにつれて、OXCなどのスイッチングデバイスのポート数を増やすことに関心が持たれている。
【発明の概要】
【0005】
様々な実施形態は、光回路スイッチ(OCS)モジュールをOXCノードに追加することによってポート数を拡張することを可能にする、非ブロッキングのスケーラブルなOXCスイッチアーキテクチャを提供する。各OCSモジュールは、独自の入力と出力との間の結合を確立するように独立して動作することができる。これらの実施形態のモジュール性は、独立した故障領域を作り出すというさらなる利点を提供し、その結果、単一の故障点をしばしば回避することができる。
【0006】
様々な実装形態では、OCSモジュールは、モジュール式サブマトリクススイッチカードを含む。OCSモジュールが属するOXCスイッチノードのポート数は、OCSモジュールをOXCノードに追加することによって拡張することができる。追加のOCSモジュールは、既存の光路に影響を及ぼすことなくOXCに追加することができる。OCSモジュール内に位置する中間光反射器は、入射光を意図されたモジュールの入力または出力ステアリングマトリクスに向けるために使用され得る。中間光反射器は、能動的であっても受動的であってもよい。実施形態では、光反射器は、例えば、ミラーであってもよい。
【0007】
各OCSモジュールは、入力光ファイバポートのアレイおよび出力光ファイバポートのアレイを有する。各OCSモジュールは、結像光学系と、入力および出力ステアリングマトリクスまたは入力/出力ステアリングマトリクスと、入力および出力マトリクスをインターフェースする中間光反射器とを含み得る。
【0008】
中間光反射器は、ビームが最初に入ったOCSモジュールとは異なる宛先OCSモジュールに入力光ビームを送ることができる。いくつかの場合において、入力光ビームは、宛先モジュールの出力光ファイバポートに直接ルーティングされ得る。他の場合には、ビームは、出力光ファイバポートに到達する前にビームに作用する宛先OCSモジュール内のサブコンポーネントにルーティングされ得る。例えば、ビームは、最初に宛先OCSモジュールの出力ステアリングマトリクスにルーティングすることができ、次いで、宛先OCSモジュールの出力光ファイバポートにビームをルーティングする。ビームが出力光ファイバポートに到達する前にビームに有用に作用することができる宛先OCSモジュールのサブコンポーネントの別の例は、出力ステアリングマトリクスへのビームの入射角を低減する光学素子またはミラーセットであり得る。
【0009】
したがって、本開示は、第1の態様において、装置に関する電子デバイスは、その上に複数のモジュールコネクタと、モジュールコネクタによって電子デバイスに取り外し可能に機械的に取り付けられる複数の光回路スイッチ(OCS)モジュールとを有する。OCSモジュールはそれぞれ、複数の入力光ファイバポート及び複数の出力光ファイバポートを有する。
【0010】
OCSモジュールの各々は、OCSモジュールの同じものの入力光ファイバポートのうちの1つをOCSモジュールの同じものの出力光ファイバポートのうちの1つに選択的に光学的にクロスコネクトすることができる光反射器の再構成可能な配置を有する。さらに、OCSモジュールの各々の特定のものは、その光入力光ファイバポートのうちの1つから受け取られた光を、その光反射器の配置を介して、OCSモジュールのうちの1つまたは複数の他のものにルーティングするように選択的に構成可能である。
【0011】
実施形態において、特定のものからOCSモジュールの他のものへの光のルーティングは、特定のものをOCSモジュールの1つ以上の他のものに結合する1つ以上の自由空間光路を介する。
【0012】
実施形態において、OCSモジュールのうちの少なくとも1つは、OCSモジュールのうちの介在する第3のOCSモジュールを横断する自由空間光路を介して、それ自体の入力光ファイバポートのうちの1つからOCSモジュールのうちの第2のOCSモジュールに光をルーティングするように構成可能である。
【0013】
実施形態において、電子デバイスは、OCSモジュールの光反射器の再構成可能な配置を動作させるように通信可能に結合された電子コントローラを備える。
【0014】
実施形態において、各OCSモジュール内の光反射器の再構成可能な配置は、入力光ファイバポートから光を受け取るように配置された入力光反射器と、出力光ファイバポートに光を送信するように配置された出力光反射器と、入力光反射器を出力光反射器に反射結合することができる中間反射器を備える中間光反射器アレイとを備える。
【0015】
実施形態において、入力光反射器は、中間光反射器アレイを介して、光をOCSモジュールのうちの1つ以上の他のものに選択的に向けるように構成可能である。いくつかの実施形態では、中間光反射器アレイは、光をOCSモジュールのうちの1つ以上の他のものに選択的に向けるために、入力光反射器とともに作用するように構成することができる、構成可能反射器を備える。
【0016】
実施形態において、電子デバイスは、OCSモジュールの光反射器の再構成可能な配置を動作させるように通信可能に結合された電子コントローラを備える。
【0017】
実施形態において、OCSモジュールの各々の特定のOCSモジュール内の光反射器の再構成可能な配置は、OCSモジュールのうちの異なるOCSモジュールから受け取った光を、OCSモジュールのうちの特定のOCSモジュールの出力光ファイバポートのうちの1つまたは複数に向けるように構成可能である。
【0018】
実施形態において、入力光反射器及び出力光反射器はMEMSミラーアレイであり得る。
【0019】
実施形態において、中間光反射器アレイは、OCSモジュールのうちの特定の1つの入力光反射器をOCSモジュールのうちの特定の1つの出力光反射器に反射結合することができるモジュール内中間反射器を備え、中間光反射器アレイは、OCSモジュールのうちの特定の1つの入力光反射器をOCSモジュールのうちの異なる1つまたは複数のOCSモジュールに反射結合することができる少なくとも1つのモジュール間中間反射器をさらに備える。いくつかの実施形態では、モジュール間中間反射器の各々は、静的ミラーであり得る。他の実施形態では、モジュール間中間反射器の各々は、再構成可能ミラーであり得る。
【0020】
第2の態様において、本開示は、光信号を第2のOCSモジュールで終端する光路上に反射するように第1のOCSモジュールの少なくとも1つの光反射器を再構成することによって、第1の光回路スイッチ(OCS)モジュールの第1の入力光ファイバポートからの光信号を第2のOCSモジュールによって受信させるステップを含む方法に関する。
【0021】
本方法は、受信した光信号を第2のOCSモジュールの出力光ファイバポートに導くように第2のOCSモジュールの光反射器を再構成することによって、受信した光信号を第2のOCSモジュールによって出力させ、それによってモジュール間結合を形成することをさらに含む。
【0022】
本方法はさらに、第1のOCSモジュールの少なくとも1つの光反射器を再構成することによって、第1のOCSモジュールの第2の入力光ファイバポートからの光信号を第1のOCSモジュールによって出力させ、第2の入力光ファイバポートからの光信号を第1のOCSモジュールの出力光ファイバポートに方向付け、それによって、モジュール内結合を行うステップを含む。
【0023】
実施形態において、第2のOCSモジュールで終端する光路は、自由空間光路であり得る。
【0024】
実施形態において、モジュール内結合の形成は、第1のOCSモジュールの入力光反射器を再構成し、出力光反射器を再構成することを含み、モジュール間結合の形成は、第1のOCSモジュールの入力光反射器を再構成し、第2のOCSモジュールの出力光反射器を再構成することを含み、各前記OCSモジュール内には、それぞれの入力及び出力光反射器は、中間光反射器を介して反射結合される。実施形態では、モジュール間結合の形成は、第1のOCSモジュールの中間光反射器を再構成することをさらに含む。
【0025】
実施形態において、モジュール内結合およびモジュール間結合は、複数の他のモジュール内結合およびモジュール間結合と同時に行われる。そのような実施形態における複数の同時結合の形成は、所望の結合のセットから各結合を実装するための入力OCSモジュールおよび出力OCSモジュールを選択することを含み、選択は、前記第1および第2のOCSモジュールを含む複数のOCSモジュールから行われる。
【0026】
複数の同時結合の形成は、さらに、各所望の結合を実施するために選択されたOCSモジュールの各入力光ファイバポートおよび各出力光ファイバポートを選択するステップと、各所望の結合を実施するための光反射器構成のセットを取得するステップと、取得された構成に従って選択された入力OCSモジュールおよび出力OCSモジュールの入力光反射器および出力光反射器の少なくともいくつかを再構成して所望の結合を形成するステップとを含む。
【0027】
実施形態において、複数の同時結合の形成はさらに、得られた構成に従って、選択された入力および出力OCSモジュールの中間光反射器のうちの少なくともいくつかを再構成するステップを含む。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図3】本明細書に記載の原理を実施するのに有用であり得るOCSモジュール内の光学配置の概略図である。
【
図4】本明細書に記載の原理を実施するのに有用であり得る種類の単一のOCSモジュールの概略斜視図である。
【
図5】
図4のOCSモジュールと同様のOCSモジュールの概略断面図である。
【
図6】本明細書で説明される原理による、ラック内に搭載され、モジュール間光伝搬経路によって相互結合される、3つのOCSモジュールのアンサンブルの概略断面図である。
【
図7】
図6のOCSモジュールアンサンブルと同様の3つのOCSモジュールのアンサンブルの概略斜視図である。
【
図8】OCSモジュールを有する光スイッチングシステムの機能要素を示す概念的なブロック図である。
【
図9】本明細書で説明する種類の装置を動作させるための例示的な手順におけるステップを示すフローチャートである。
【
図10】光スイッチングのための電子デバイスの概略図であって、複数のスイッチモジュールは、図に象徴的に示される複数のモジュールコネクタによって電子デバイスに取り外し可能に機械的に固定される。
【発明を実施するための形態】
【0029】
MEMSミラーを使用するビームステアリングの例は、R.R yf et al.,″1296-port MEMS transparent Optical crossconnect with 2.07 petabit/s switch capacity”,″OFC 2001 Optical Fiber Communication Conference and Exhibit Technical Digest Postconference Edition,米国カリフォルニア州アナハイム(2001) pages PD28-PD28に提供され、以下では“RYF 2001”として引用され、参照により本明細書に組み込まれる。
【0030】
MEMSベースの光スイッチングは、以下の刊行物でも論じられていることであって、これらのそれぞれは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる:J. Leuthold et al.,“nonblocking全光がテラビット/秒に基づいてクロスコネクト全光波長変換部と低電力MEMSスイッチファブリック」、OFC2001が光ファイバ通信会議Postconference版(技術的ダイジェスト。01CH37171)、IEEE Cat米国カリフォルニア州アナハイム(2001)urata PD16-PD16ページ、R、R、ミッションapollo:ArXiv,abs/2208.10041(2022)、以下「URATA2022」として引用される。
【0031】
図1は、RYF2001に記載されている第1の光学配置の概略図である。
図1の配置では、レンズ付き入力ファイバアレイ001からの光ビームは、MEMSミラーアレイ002および003によって出力レンズ付きファイバアレイ004上に導かれる。
図2は、RYF2001にも記載されている第2の光学配置の概略図である。
図2の配置では、レンズ付きファイバアレイ005は、入力光信号と出力光信号の両方を搬送する。ファイバアレイ005からの光出力は、MEMSミラーアレイ006に入射し、そこから再帰反射折り返しミラー007上に反射される。ミラー007からの再帰反射ビームは、MEMSミラーアレイ006に戻り、そこからファイバアレイ005に反射して戻る。アレイ006のMEMSミラーの第1の部分は入力光ファイバポートに割り当てられ、別の部分は出力光ファイバポートに割り当てられる。したがって、単一のMEMSミラーアレイ006および単一のレンズ付きファイバアレイ005は、光クロスコネクトを実装することができる。RYF2001は、
図2の光学配置を使用する1296ポートMEMS透明光クロスコネクトの動作の成功を報告した。
【0032】
図3は、対照的に、本明細書で説明される新しいアプローチを実践するために有用であり得る例示的OCSモジュール内の光学配置を図式的に示す。
図3の配置では、入力ファイバアレイ011からの光ビームは、MEMSミラーアレイ012によって中間光反射器アレイ013の光反射器上に導かれる。光反射器アレイ013からの反射後、入力光ビームは、MEMSミラーアレイ014に入射し、そこから出力ファイバアレイ015上に反射される。重要なことに、例えばRYF2001によって表される従来技術とは異なり、中間光反射器アレイ013は、入射する光ビームを他のOCSモジュール内の光学要素に中継することができる固定または可変ミラーまたは他の反射器要素を含む。
【0033】
中間光反射器アレイについては、ミラーの1つの可能な代替案が、液晶オンシリコン(LOCOS)アレイによって提供される。LOCOSアレイでは、特殊なホログラムを使用して、屈折力の方向分布を制御することができる。典型的なLOCOSアレイは、比較的小さい角度偏位を有するが、有効角度範囲は、結像光学系を使用して拡張することができる。LOCOSアレイの画素ピッチを縮小すると、角度偏位も増大し得る。
【0034】
図4は、本明細書で説明される手法を実施する際に有用であり得る種類の単一の例示的なOCSモジュール100の概略斜視図である。図に示されるように、モジュールは、ケースまたはシャーシフレーム105上に搭載される種々の構成要素を含む。典型的には、ケース105は、モジュール100と同様の多数のモジュールを受け入れて係合するための複数のスロットのアレイを有するラック(図示せず)のスロットに挿入して係合するように適合される。OCSモジュール100の典型的な長さは、例えば、前壁、すなわち、入力および出力光ファイバポートを支持するものとして図に示される壁から、後壁、すなわち、ステアリングマトリクスを支持するものとして図に示される壁まで測定して、数十センチメートルのオーダーであり得る。当業者が認識するように、モジュールは、機械的要件および加熱要件などの非光学的制約に適応するために、全体サイズで必要とし得る。
【0035】
図をさらに参照すると、OCSモジュール100は、入力光ファイバポート115のアレイ110と、出力光ファイバポート125のアレイ120と、ビームステアリング要素135の入力ステアリングマトリクス130と、ビームステアリング要素145の出力ステアリングマトリクス140とを含むことが分かる。OCSモジュールはさらに、それぞれ、入力および出力ビームを調整するための結像光学系150、155を含む。
【0036】
図4および後続の図の実施形態は、入力ステアリングマトリクス130と出力ステアリングマトリクス140の両方を含むが、これは単なる例であることを理解されたい。他の実施形態では、マトリクス130、140は、本明細書で説明する原理の範囲から逸脱することなく、たとえば、それぞれ入力および出力ステアリング機能に役立つ異なる部分を有する単一のステアリングマトリクスによって置き換えられ得る。したがって、以下の説明において入力および出力ステアリングアレイに言及することは、それぞれ、単一のステアリングアレイの入力サブアレイおよび出力サブアレイを含むものとして理解されるべき。
【0037】
結像光学系は、光信号がステアリング光反射器に、ならびに入力および出力光ファイバポートにおよびそこから適切にルーティングおよび整列されるために必要とされる光学構成要素である。結像光学系の典型的な例としては、コリメータレンズアレイ、ダブルテレセントリックレンズ、偏光ダイバーシティ素子、及びフーリエレンズが挙げられるが、これらに限定されない。
【0038】
OCSモジュールは、図の挿入図に最もよく見られる中間光反射器のアレイ160をさらに含む。
【0039】
図4に示す非限定的な例では、アレイ160は、そのホームOCSモジュール100内の入力ステアリングアレイと出力ステアリングアレイとの間で光を導くのに適した入射角で構成された光反射器161と、光反射器162および163とからなる、これらはそれぞれ、ホームOCSモジュール100のステアリングアレイとそれぞれの他のOCSモジュール(図示せず)のステアリングアレイとの間に光を方向付けるために適切な入射角で構成される。
【0040】
いくつかの例示的な実施形態では、入力135および出力140ステアリングマトリクスは、MEMSミラーのアレイとして実装され得る。他の例示的実施形態では、それらは、LCOSピクセルのアレイとして実装されてもよい。
【0041】
実施形態において、アレイ160の中間光反射器は、ローカル入力ステアリングマトリクス130からホームOCSモジュールまたはそれぞれの宛先OCSモジュールの出力ステアリングマトリクスまたは他の要素に入射する光ビームを結合するための適切な入射角で配向されたミラーなどの固定反射器とすることができる。他の実施形態では、アレイ160の中間光反射器は、例えば、可変入射角を有するMEMSミラーであってもよい。いくつかの実施形態では、同じステアリング中間光反射器は、その入射角がどのように設定されたかに応じて、モジュール内結合またはモジュール間結合のいずれかをサポートすることができる。
【0042】
この点に関して、モジュール間結合を促進するために、ステアリングアレイの光反射器要素が、中間光反射器領域内に完全に到達することができるように、比較的大きい角度範囲を有することが必要であり得ることは注目に値する。しかしながら、固定された中間光反射器ではなく、再構成可能な中間光反射器は、潜在的にこの要件を緩和することができる。すなわち、適切に配向された中間光反射器は、ビームがモジュール間結合を行うために使用される中間光反射器上の同じスポットに入射するときでさえも、入射ビームを宛先OCSモジュールに反射し得る。
【0043】
図4のOCSモジュールは、その任意の光入力がその任意の光出力に結合され得る、完全に機能的な光回路スイッチであり得る。しかしながら、それはまた、拡張可能であるという追加の特徴を有する。すなわち、中間光反射器アレイは、ビームを、ホームOCSモジュール以外のOCSモジュール内に位置するMEMSミラーアレイまたは他の光学素子に導くことができる。
【0044】
この点に関して、入力光ファイバポートおよび出力光ファイバポートは、必ずしもそれぞれ1つのファイバに限定されないことは注目に値する。当技術分野で知られているように、マルチコアファイバの使用を含む様々なタイプの空間多重化を使用することができる。本明細書で説明されるOCSモジュールは、より典型的には、空間分割多重化において使用され、コアに属する全ての波長は、空間切り替えのためのステアリングマトリクスの2次元を使用して、ともに切り替えられるであろう。しかし、実施形態では、OCSモジュールの結像光学系サブコンポーネントを波長多重分離に使用できることも注目に値する。すなわち、コアに存在する異なる波長を分離するために使用することができ、その結果、波長チャネルを独立して切り替えることができる。そのようなアプローチは、空間スイッチングのためにステアリングマトリクスの1つの次元を残し、他方を波長スイッチングのために使用する。あるいは、追加のステアリング層を波長スイッチングに使用することができる。
【0045】
図4の例では、入力アレイ110の入力光ファイバポート115から入射する光ビーム170は、入力ステアリングマトリクス130のステアリング要素135に入射し、そこから光ビーム171として反射される。光ビーム171は、中間光反射器アレイ160の反射器161に入射し、そこから光ビーム172として反射される。光ビーム172は、出力ステアリングマトリクス140のステアリング要素145に入射し、そこから光ビーム173として反射される。光ビーム173は、出力アレイ120の出力光ファイバポート125に入射し、そこから、例えば、光ファイバケーブル(図示せず)の中に抽出されることができる。
図4の例では、光ビーム170~173が自由空間内を伝搬することに注目すべきである。
【0046】
図5は、
図4のOCSモジュール100と同様のOCSモジュール200の別の概略図を提供する。
図5は、OCSモジュール200の断面を示す。教育目的のみを意図する
図5の提示を単に簡略化するために、入力アレイ110は図の上側に位置するように示され、出力アレイ120は図の下側に位置するように示されている。
図4および
図5と共通するいくつかの要素は、同様の参照番号によって指定される。
【0047】
図5に示すように、中間光反射器アレイ160は、ローカル入力ステアリングマトリクス130をローカル出力ステアリングマトリクス140に結合するための光反射器164と、モジュール間結合のためにローカル入力または出力ステアリングマトリクスを異なるOCSモジュールの要素に結合するための光反射器165とを備える。例示として、図は、光反射器165から反射し、モジュール間ゲート205を通ってモジュール200から出る光ビーム175を示す。ゲート205は、モジュール200から他の宛先モジュールへの伝搬経路を可能にするケース105内の自由空間光ポートである。実施形態では、ケース105は、ゲート205が通常は閉鎖されるが、モジュール200が、例えば、それをラック内のスロットに差し込むことによって結合されると開放するように構成されることができる。いくつかの実施形態では、ケース105は、自由空間光アクセスを可能にするように、開放側面または開放上部もしくは底部を提供され得る。この点に関して、モジュール間結合は、ラック上で同じ垂直レベルを共有するモジュール間および/またはラック上で異なる垂直レベルを占有するモジュール間で確立され得ることに留意されたい。
【0048】
実施形態例において、モジュール間伝播は自由空間伝播である。実施形態では、モジュール間自由空間伝搬は、隣接するOCSモジュール間の伝搬に限定され得る。しかしながら、他の実施形態では、ソースモジュールから隣接しない宛先モジュールへの自由空間伝搬が許可され得る。ソースモジュールから宛先モジュールへの直接転送は、そうでなければビームをその宛先に中継するために使用され得る伝搬経路に沿った要素の故障に影響されないため、有益であり得る。しかしながら、特定のシステムサイズでは、中間中継要素を使用することが依然として有利であり得る。場合によっては、モジュール間伝搬は、光ファイバまたは平面導波管等の導波媒体内で全体的または部分的に生じてもよい。
【0049】
結像光学系150、155は、典型的には、コリメーションまたは集束のためのレンズを含み得る。光学系150および155は、別個の要素として図に示されているが、結像光学系の少なくともいくつかのサブコンポーネントが入力光ビームと出力光ビームとの間で共有され得る光学設計が実現可能であることに留意されたい。
【0050】
図5をさらに参照すると、OCSモジュール200は、例えばOCSモジュール200が挿入されるラックの一部として製造され得るOCSモジュール100および200を保持するOXCノードのガイドレール210の間に位置合わせされることが分かる。特に、モジュール間伝播が自由空間にわたる場合、モジュール間の適切な位置合わせを有することが重要である。精密レールシステムは、この目的のために有用であり得る。加えて、モジュール間ルーティングのための位置合わせを強化するために実装され得る既知の自動較正機構がある。自動較正の例では、光はポートごとに挿入され、出力電力は、出力電力を最大にするために反射要素の小角度調整を実行しながら測定される。例えば、MEMSミラーは、それらの向きを制御する電圧を変化させることによって調整することができる。
【0051】
本明細書で説明されるようなOCSモジュール内の光学ステアリングのための光反射器は、反射光ビームを他のOCSモジュール内に位置する光ファイバポートに指向する中間アレイ160のこれらの部分に入射するのに充分な角度範囲を有するべきであることが、上記議論から理解されるであろう。このモジュール間結合は、より多くのOCSモジュールを同じOXCノードに追加することによって光スイッチのポート数を増やすことを可能にし、既存の光経路に影響を与えることなくそうすることを可能にする。例えば、2次元MEMSミラーアレイは、±6°を上回る角度範囲を提供することができ、必要であれば、さらなる拡大光学系を使用して、角度範囲を拡張することができる。同じ中間光反射器スポットをモジュール内リンク及びモジュール間リンクに使用されるように再構成することができるので、能動中間光反射器の利用は、入力/出力ステアリング光反射器から必要とされる角度到達範囲を実質的に低減することができる。
【0052】
本明細書で説明される種類の例示的OCSモジュールに対する設計制約の1つは、典型的には、モジュール間結合のための光反射器を含む中間光反射器アレイのための充分な空間を要することである。別の制約は、ステアリング光反射器が、モジュール間結合をもたらす中間光反射器アレイの部分に到達するのに充分な傾斜角容量を有することである。さらに別の制約は、典型的には、相互結合されたOCSモジュール間に光伝搬経路があることである。上述のように、これらの経路は、自由空間内の経路とすることができ、あるいは、光ファイバ又は平面導波路などの光導波媒体を用いて達成することができる。本発明者らは、光学システム設計における現在の能力を使用して、これらの制約のすべてを実現可能に満たすことができると考える。
【0053】
図6は、ガードレール305を有する同じOXCノードのラックに取り付けられ、モジュール間光伝搬経路によって相互結合された3つのOCSモジュール301、302、303のアンサンブルの概略断面図である。
図5および
図6と共通する要素は、繰り返される要素の参照番号が対応するOCSモジュールを示すために「.1」、「.2」、または「.3」で付加されていることを除いて、同様の参照番号で示されている。各OCSモジュール内では、光ビームのクラスタ311、312、313が、入力光ファイバポートアレイ110.1、110.2、110.3のそれぞれの入力光ファイバポートから、同じモジュール内の出力アレイ120.1、120.2、120.3のそれぞれの選択出力光ファイバポートに向けられて示されている。
【0054】
モジュール間結合の可能性を示すために、2つの光ビーム320、325も示されている。第1の例では、光ビーム320は、入力アレイ110.1の入力光ファイバポートのうちの1つを通ってOCSモジュール301に入り、同じOCSモジュール301の入力ステアリングマトリクス130.1から反射し、同じOCSモジュール301の中間光反射器アレイの光反射器341に入射する。光反射器341の特定の配向に起因して、光ビーム320は、光反射器341から反射した後、モジュール301を出て、それぞれのモジュール間ゲートを通ってモジュール302に入る。OCSモジュール302内で、光ビーム320は、OCSモジュール302の出力ステアリングマトリクス140.2に入射し、そこから出力アレイ120.2の選択された出力光ファイバポートに反射される。
【0055】
第2の例では、光ビーム325は、入力アレイ110.3の入力光ファイバポートのうちの1つを通ってOCSモジュール303に入り、同じOCSモジュール303の入力ステアリングマトリクス130.3に入射する。ステアリングマトリクス130.3の特定の構成に起因して、光ビーム325は、ステアリングマトリクスからの反射時に、OCSモジュール303の中間光反射器アレイを迂回し、OCSモジュール303を出て、そのそれぞれのゲートを通ってOCSモジュール302に入る。光ビーム325は、OCSモジュール302を通過し、OCSモジュール302を出て、これらのOCSモジュール302、301のそれぞれのゲートを通ってOCSモジュール301に入る。モジュール301内で、光ビーム325は、その中の中間光反射器アレイの光反射器342に入射する。光反射器342の特定の配向に起因して、光ビーム325は、光反射器342から反射した後、同じOCSモジュール301の出力ステアリングマトリクス140.1に入射し、そこから出力アレイ120.1の選択された出力光ファイバポートに反射される。光ビーム325の特徴は、伝搬経路内の第1のOCSモジュールであるOCSモジュール303を、伝搬経路内の最後のモジュールであるOCSモジュール301に結合するために、第1のOCSモジュール303の入力ステアリングマトリクス130.3が、入射光ビームを最後のOCSモジュール301の中間光反射器に反射する。
【0056】
光ビーム320および325の例は、中間光反射器の適切な配置によって、いくつかのOCSモジュールの集合体における任意の入力光ファイバポートが、原則として、同じ集合体における任意の出力光ファイバポートに結合することができるというより一般的な点を例示するために提供される。
【0057】
図6を調べると、OXCノードの同じラック上の介在するOCSモジュールの中間光反射器をバイパスするために、光ビーム320および325の伝搬経路は、バイパスされた中間光反射器の前または後ろを通過しなければならないことが理解されよう。この文脈において、「前」および「後」という用語は、図に表されるモジュールの図のみに関する。次に参照される
図7は、例示的な伝搬経路のより完全な図を提供する深さ寸法を有する。
【0058】
図7は、
図6のOCSモジュールアンサンブルと同様の3つのOCSモジュールのアンサンブルの概略斜視図である。
図6および
図7と共通の要素には、同様の参照番号が付されている。提示を簡単にするために、各モジュールの中間光反射器アレイには3つの中間光反射器のみが示されている。
【0059】
図7において、光ビーム400は、OCSモジュール301に入り、入力ステアリングマトリクス130.1から同じOCSモジュール301の中間光反射器アレイ331の光反射器405上に反射するように示される。光ビーム400は、光反射器405から反射すると、反射することなくOCSモジュール302を通過し、OCSモジュール303の出力ステアリングマトリクス140.3に入射する。出力ステアリングマトリクス140.3は、光ビーム400を出力アレイ120.3の出力光ファイバポートに向ける。
【0060】
上記で簡単に述べたように、実施形態は、固定受動モジュール間ルーティングを用いて設計することができ、各OCSモジュールは、それぞれのOCSモジュールの出力ステアリングマトリクスへの相互結合専用の反射素子を有する中間光反射器アレイを有する。代替実施形態は、中間光反射器の傾斜角が所望の宛先OCSモジュールに到達するように調節されることができる、能動的モジュール間ルーティングを伴って設計されることができる。
【0061】
また上述のように、入力および出力ステアリングマトリクスならびに中間光反射器は、MEMSおよびLCOSを含む様々な技術で実装することができる。光スイッチング用のMEMSミラーは、技術文献に報告されている。例えば、J. I. DADAP et al., “Modular MEMS-based optical cross-connect with large port-count”, in IEEE Photonics Technology Letters, vol. 15, no. 12, (Dec. 2003) 1773-1775において報告されているように、以下「DADAP 2003」として引用されているように、MEMSミラーの例は、ねじりばねによって懸架された金メッキ単結晶シリコンの静電作動ダブルギンバリング傾斜ミラーがある。閉ループサーボ制御は、例えば、ADCおよびDACインターフェースを伴うデジタル信号プロセッサ(DSP)によって提供されてもよい。これに関して、R.R yf et al., “1296-port MEMS transparent optical cross-connect with 2.07 petabit/s switch capacity” OFC 2001光ファイバ通信の会議および展示も有用に参照することができる。技術要約会議版(IEEE Cat. 01CH37171)、米国カリフォルニア州アナハイム、(2001) pages PD28-PD28、以下「RYF 2001」と呼ぶ。DADAP2003およびRYF2001は、それぞれの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0062】
適切なコントローラ技術が知られている。この点に関して有用であり得る非線形サーボ制御技術は、例えば、I.Brenerら、「Nonlinear servo control of MEMS mirrors and the performance in a large port-count optical switch」、OFC 2003,ジョージア州アトランタ,Mar.2003,pp.385-386に報告されており、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。これに関して有用であり得るコントローラ技術に関するさらなる情報は、G.F.Franklin,J.D.Powell,およびM.L.Workman,Digital Control of D ynamic S ystemsに見出すことができる。読み取り値、MA:Addison-Wesley,1998,特に323-325頁(参照により本明細書に組み込まれる)。
【0063】
光スイッチングのためのLCOSも技術文献に報告されている。例えば、N.K.Fontaine et al.,″Few-Mode Fiber Wavelength Selective Switch with Spatial-Diversity and Reduced-Steering Angle,″in Optical Fiber Communication Conference,OSA Technical Digest(オンライン)(Optica Publishing Group,2014),paper Th4A.7を有用に参照することができ、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。LCOSステアリングマトリクスまたは他のタイプの再構成可能なステアリングマトリクスに関して、ホログラムまたは格子タイプの反射器のマトリクス伝達関数は、適所にあるOCSモジュールの数に必要な角度範囲に従って損失およびクロストークを低減するように適合され得ることは注目に値する。これは、特に、必要とされる傾斜角が、結合されるOCSモジュールの数とともに増加するため、有意であり得る。
【0064】
図8は、OCSモジュールを有する光スイッチングシステムの機能要素を示す概念的なブロック図である。
図8は、教育目的のみのために提示される。
【0065】
図8に示すように、入力光信号プラグを運ぶ光ファイバケーブル500からのファイバは、OCSモジュールのアンサンブル505の入力光ファイバポートに入る。出力光信号プラグを運ぶ光ファイバケーブル510からのファイバは、OCSモジュールアンサンブル505の出力光ファイバポートに入る。制御機能は、制御ユニット515によって実施される。制御機能は、モジュールアンサンブル505のOCSモジュールのステアリング要素の較正を監視するためのモジュール520と、制御信号を生成し、それらをステアリング要素に送信するためのモジュール530と、ステアリング要素のサーボ制御を実施し、様々なOCSモジュールの入力光ファイバポートと出力光ファイバポートとの間の規定されたモジュール内およびモジュール間結合を設定するためのスイッチングコントローラ535とを含む。ミラースイッチングコントローラ535はまた、モニタモジュール530からのフィードバックを使用し、ミラースイッチングコントローラ535を通してステアリング要素を動作させて、アンサンブル505の様々なOCSモジュールを初期化し、再較正するトレーニングアルゴリズムを実施することができる。制御機能は、デジタル信号プロセッサ等の任意の適切に構成された処理回路または回路の組み合わせによって実装されてもよい。
【0066】
精密な光反射器角度調整を使用して、監視チャネルを通して残留位置偏差を補正することができる。例として、上で引用したURATA2022は、モニタ信号を提供するために帯域外波長で動作するカメラモジュールの使用について記載している。
【0067】
ミラースイッチングコントローラ535はまた、新しい光路が確立されているときにすでに確立された結合に対する影響を最小限に抑えるように動作可能であり得る。
【0068】
少なくともいくつかの実施形態では、追加のモジュールをシステムに結合することは、既に適所にあったOCSモジュールにおいてステアリングマトリクスおよび中間光反射器の相対位置を不変のままにする。そのような場合、追加のトレーニングは、既存のOCSモジュール内の内部結合のために不要であり得る。しかしながら、トレーニングは、概して、アンサンブル505の新たに挿入されたOCSモジュールとのモジュール間結合性のために必要とされるであろう。例えば、トレーニングは、中間光反射器内のスポットを識別するために、又はモジュール間結合の信号品質を最適化する再構成可能な中間光反射器の構成角度を識別するために使用することができる。
【0069】
図9は、本明細書で説明される種類の装置、例えば、
図3~
図8のいずれかの装置を動作させるための例示的な手順におけるステップを示すフローチャートである。
図9は、例示的なものにすぎず、動作手順の任意の態様に関して限定するものではないことを理解されたい。
【0070】
ブロック601において、入力OCSモジュールおよび出力OCSモジュールが、各光ビーム結合に対して選択される。
【0071】
ブロック602において、ブロック601において選択されたOCSモジュールの入力光ファイバポートおよび出力光ファイバポートが、各光ビーム結合のために選択される。
【0072】
ブロック603において、ステアリング光反射器および中間光反射器の位置が、それぞれの結合部に対して決定される。実施形態では、光反射器位置の新しい決定を行う代わりに、所望の光反射器位置のうちのいくつかまたは全てが、ルックアップテーブルを参照することによって得られ得る。
【0073】
ブロック604において、それぞれの光信号が、選択された光ファイバポートにおいて受信される。モジュール間結合が指定されている場合、これは、光の1つ以上のビームが、ソースモジュールの中間光反射器アレイから、宛先モジュールの要素に、最終的には、宛先モジュールの出力光ファイバポートに伝送されることをもたらすであろう。モジュール間伝送は、例示的実施形態では、それぞれのモジュール間の自由空間光ポートまたはゲートを通した自由空間伝送を含んでもよい。
【0074】
図10は、複数のスイッチモジュール705が複数のモジュールコネクタ710によって電子デバイス700に取り外し可能に機械的に固定される光スイッチング用の電子デバイス700の概略図である。モジュールコネクタ710は、剛性の機械的取り付けおよび電気的結合を達成することができる。例えば、スイッチモジュールは、モジュールコネクタに差し込むことができ、モジュールコネクタから差し込むことができない。モジュールコネクタ710は、スイッチモジュールが、1つ以上の行および/または列を有する正方形または長方形アレイ等のアレイに編成され得るように配列されてもよい。
【0075】
各スイッチモジュール705は、複数の入力光ファイバポート715と、複数の出力光ファイバポート720とを有する。各スイッチモジュール705はまた、上述のように、それ自体のスイッチモジュールの入力光ファイバポートのうちの1つとそれ自体のスイッチモジュールの出力光ファイバポートのうちの1つとの間の光クロスコネクトを選択的に行うことができる、再構成可能な光反射器アレイ725を有する。各スイッチモジュール705はまた、それ自体の入力光ファイバポートのうちの1つから受け取った光を、それ自体の光反射器アレイ725を介して、光スイッチモジュールのうちの1つまたは複数の他のものに送るように選択的に再構成可能である。
【0076】
スイッチモジュール705内の自由空間光ポート730は、スイッチモジュール間の光のルーティングを可能にする。
【外国語明細書】