(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024160973
(43)【公開日】2024-11-15
(54)【発明の名称】ハイブリッドコネクタ用ハウジング部品
(51)【国際特許分類】
H01R 13/46 20060101AFI20241108BHJP
H01R 13/52 20060101ALI20241108BHJP
【FI】
H01R13/46 Z
H01R13/52 301B
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024073374
(22)【出願日】2024-04-30
(31)【優先権主張番号】10 2023 111 650.9
(32)【優先日】2023-05-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(31)【優先権主張番号】23216358.4
(32)【優先日】2023-12-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】518345815
【氏名又は名称】ティーイー コネクティビティ ソリューソンズ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110004347
【氏名又は名称】弁理士法人大場国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マルクス ギムベル
(72)【発明者】
【氏名】ローナルト ヴィーンツィアース
(72)【発明者】
【氏名】ヨアヒム シュナイダー
【テーマコード(参考)】
5E087
【Fターム(参考)】
5E087LL04
5E087LL13
5E087MM05
5E087RR12
5E087RR25
(57)【要約】 (修正有)
【課題】電流および少なくとも1種類の流体、特に1種類の流体または複数種類の流体を接続方向に沿って相手側コネクタに伝送するためのハイブリッドコネクタ用のハウジング部品を提供する。
【解決手段】電流および少なくとも1種類の流体を接続方向(V)に沿って相手側コネクタ200に伝送するためのハイブリッドコネクタ100用のハウジング部品20であって、電気接続領域21と、電気接続領域とは別個であり、接続方向Vを横切って少なくとも1つの流体ホース50を接続するための少なくとも1つの流体チャネルを有する遠位端39に配置されている外部接続部49を有する流体接続領域24とを備えるハウジング部品。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電流および少なくとも1種類の流体を接続方向(V)に沿って相手側コネクタ(200)に伝送するためのハイブリッドコネクタ(100)用のハウジング部品(20)であって、
電気接続領域(21)と、前記電気接続領域(21)とは別個であり、前記接続方向(V)を横切って少なくとも1つの流体ホース(50)を接続するための少なくとも1つの流体チャネル(40)を有する遠位端(39)に配置されている外部接続部(49)を有する流体接続領域(24)とを備える、
ハウジング部品(20)。
【請求項2】
接続済み状態において、前記電気接続領域(21)は、流体密に封止されている、請求項1に記載のハウジング部品(20)。
【請求項3】
カラー(25)が、前記ハイブリッドコネクタ(100)のコンタクト領域(23)を取り囲む、請求項1または2に記載のハウジング部品(20)。
【請求項4】
前記少なくとも1つの流体チャネル(40)は、円筒形の内形を有する2つのそれぞれのセグメント(44、46)を備える、請求項1から3のいずれか一項に記載のハウジング部品(20)。
【請求項5】
前記少なくとも1つの流体チャネル(40)は、前記ハイブリッドコネクタ(100)に装着されている別個の部品(56)として構成されている、請求項1から4のいずれか一項に記載のハウジング部品(20)。
【請求項6】
近位端(31)に配置されている前記少なくとも1つの流体チャネル(49)の内部接続部(41)は、前記接続方向(V)に平行に接続するように構成されている、請求項1から5のいずれか一項に記載のハウジング部品(20)。
【請求項7】
前記内部接続部(41)は、別個のシール(63)を有する、請求項6に記載のハウジング部品(20)。
【請求項8】
前記少なくとも1つの流体チャネル(40)の内部透過断面は、終端部分(43)において一端または前記近位端(31)に向かって広がる、請求項1から7のいずれか一項に記載のハウジング部品(20)。
【請求項9】
前記ハウジング部品(20)は、グロメット(90)を取り付けるためのグロメット取付け部(29)を備える、請求項1から8のいずれか一項に記載のハウジング部品(20)。
【請求項10】
前記ハウジング部品(20)は、所期の動作状態において、前記流体接続領域(24)が重力に関して完全に前記電気接続領域(21)の下方にあるように構成されている、請求項1から9のいずれか一項に記載のハウジング部品(20)。
【請求項11】
前記流体接続領域(24)は、平面(E)により画定されている第1の半空間(H1)に完全に位置し、前記電気接続領域(21)は、前記第1の半空間(H1)と相補的な第2の半空間(H2)に完全に位置する、請求項1から10のいずれか一項に記載のハウジング部品(20)。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか一項に記載のハウジング部品(20)を備えるハイブリッドコネクタ(100)。
【請求項13】
前記ハイブリッドコネクタ(100)は、プラグ(101)として構成されている、請求項12に記載のハイブリッドコネクタ(100)。
【請求項14】
前記ハイブリッドコネクタ(100)は、相手側要素への前記内部接続部(41)の接続部が接続済み状態において少なくとも2つの独立したシール(60、63)により前記電気接続領域(21)から遮断されるように構成されている、請求項12または13に記載のハイブリッドコネクタ(100)。
【請求項15】
前記ハイブリッドコネクタ(100)は、面(152)に取り付けられている相手側コネクタ(200)に接続されるように構成されている、請求項12から14のいずれか一項に記載のハイブリッドコネクタ(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電流および少なくとも1種類の流体、特に1種類の流体または複数種類の流体を接続方向に沿って相手側コネクタに伝送するためのハイブリッドコネクタ用のハウジング部品に関する。
【背景技術】
【0002】
そのようなコネクタは既知であり、多くの場合、電気接続領域と、電気接続領域とは別個の流体接続領域とを備える。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、現在知られているバージョンを実装することができない、または不十分にしか実装することができない領域で使用することが可能なハイブリッドコネクタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明によれば、これは、少なくとも1つの流体チャネル、特に1つの流体チャネルまたは複数の流体チャネルの外部接続部(external connection)により実現され、外部接続部は、遠位端に配置され、接続方向を横切って少なくとも1つの流体ホースを接続するように構成される。
【0005】
この解決策は、少なくとも1つの接続された流体ホースが自動的に接続方向から横方向に突出し、それにより少なくとも1つの流体ホースによって形成される円弧が接続方向に沿った別の要素に対するハイブリッドコネクタの可動性を保証するという利点を有する。結果として、そのようなハイブリッドコネクタは、可変的な距離の要素間での少なくとも1種類の流体の伝送、例えば、車体から車両ドアへのカメラまたはミラーのための洗浄水および/または空気の伝送を可能とする。
【0006】
本発明に係る解決策は、以下のさらなる発展例および構成により、さらに改善することができ、これらの発展例および構成の各々はそれぞれ好ましいものであり、要望に応じて互いに組み合わせることが可能である。
【0007】
好ましい構成において、ハウジング部品は、接続されたときに電気接続領域(electrical connection area)が流体密(fluid-tight)に封止されるように構成される。「流体」という用語は、一般に気体または液体を指す。特に、液体に対する密封性は、短絡を防止するために重要である。電気接続領域を、外部に対してかつ/または流体接続領域(fluid connection area)に対して液密に封止することができる。
【0008】
良好な封止性および/または遮断性を実現するために、カラーがハイブリッドコネクタのコンタクト領域(contact field)を取り囲んでよい。この場合、流体接続領域の接続部が、コンタクト領域の外側に配置されてよい。
【0009】
少なくとも1つの流体ホースが接続方向を横切って接続されることを可能とする構成は、接続方向を横切って所期の方向に延びる実質的に管状の外部接続部の軸からなるものであってよい。外部接続部は、所期の方向において開き、他の方向において閉じることが可能である。
【0010】
好ましい構成において、少なくとも1つの流体ホースを接続するための外部接続部は、接続方向に垂直であるように構成される。この場合、特に高い可撓性を実現することができる。
【0011】
射出成形法を用いた簡単な製造を可能とする構成において、少なくとも1つの流体チャネルは、円筒形の内形を有する2つのそれぞれのセグメントを備える。そのような構成は、特に簡単な離型を可能とする。これに関して、それらのセグメントは、互いに横切って延び、角度をなしてよい。特に、ここで「円筒形」とは、一般に、1つの方向に沿って一定のままである断面を有する形状を意味し、当該断面は、必ずしも円形または楕円形でなくてもよく、部分的にまたは完全に多角形または任意の他の形状などの他の形状を有してもよい。
【0012】
少なくとも1つの流体チャネルの経路は、それぞれ2つの直線部分のみが存在するようなものであってよい。それらの部分の各々は、円筒形の内形を有するセグメントのうちの一方を備えてよい。それらの部分の一方は、接続方向に沿って延びてよい。他方の部分は、接続方向を横切って延びてよい。2つの部分の間には、2つの部分が集束するコーナ部が存在してよい。
【0013】
代替的構成において、少なくとも1つの流体チャネル、特に1つまたは複数の流体チャネルは、少なくとも部分的に湾曲した部分を有してもよい。この部分は、一定のまたは変化する曲率半径を有する曲線または円弧として構成されてよい。
【0014】
少なくとも1つの流体チャネルは、一定の断面または少なくとも同じサイズを維持する断面積を有することが好ましい。これにより、圧力差の発生が最小限になる。
【0015】
代替的構成において、断面、特に断面積は、変化してもよい。例えば、断面は、少なくとも1つの流体チャネルが円錐状の内形を有するように外方に広がっていてよい。これは、例えばそれぞれの流体の圧力を変化させるために用いられてよい。例えば、流体をより高い圧力で適用することを可能とするために、流体チャネルのジオメトリに起因して圧力が増大することが望ましい場合がある。2つの円筒形の内形を有する構成において、これらは、異なる断面積を有してよい。
【0016】
少なくとも1つの流体チャネル、好ましくは1つまたは複数の流体チャネルが、ハウジング部品の他の部分と一体である場合、簡単な製造が可能となる。
【0017】
ただし、代替的構成において、少なくとも1つの流体チャネル、特に1つまたは複数の流体チャネルは、ハウジング部品の他の部分に接続される別個の部品であってもよい。特に、好ましい構成において、少なくとも1つまたは複数の流体チャネルは、分離されてよく、別個の部品として構成されてよい。これは、例えば少なくとも1つの流体チャネルが異なる材料から作製されるか、または製造が難しい形状を有する場合に、好ましい場合がある。
【0018】
この構成において、別個の部品は、差込み方向に対してハウジング部品、特にカラーにおける突起とラッチ接続するラッチ要素を近位端に有してよい。
【0019】
相手側コネクタとの簡単な接続のために、近位端に配置される内部接続部(internal connection)は、接続方向に平行に接続するように構成されてよい。
【0020】
内部接続部および外部接続部における方向は、互いに横切る方向であってよく、特に互いに90度をなしてよい。
【0021】
封止効果の信頼性を高めるために、別個のシールが内部接続部を取り囲んでよい。
【0022】
公差の補償のために、少なくとも1つの流体チャネルの内部透過断面(内側透過断面、inner clear cross-section)は、終端部分において近位端に向かって広がっていてよい。代替的に、そのような構成は、円錐状外形の相手側要素との安定した接続のために用いられてよい。外部断面は、同じままであってよい。
【0023】
さらなる構成は、相手側コネクタの相補的な相手側要素との接続を可能とするために、少なくとも1つまたは複数の流体チャネルの内部透過断面を先細りになるように提供してもよい。
【0024】
相手側コネクタは、結合部に接続されるために差込み方向における結合要素を有するように構成されてもよい。これにより、少なくとも1つの流体チャネルの簡単な拡張、およびハイブリッドコネクタのモジュール式の使用が可能となる。
【0025】
ケーブルおよび少なくとも1つの流体ホースを保護するように取り囲むグロメットの取り付けを可能とするために、ハウジング部品は、グロメットを取り付けるためのグロメット取付け部を有してよい。グロメットは、電気ケーブルおよび少なくとも1つの流体ホースを収容してよい。これは、ホースまたは管の形状を有してよいが、ゴムまたはシリコーンなどの可撓性材料から作製されてよい。これは、可撓性を高めるために、少なくとも1つの蛇腹を有してよい。
【0026】
グロメット取付け部は、コネクタに取り付けられるグロメットの端部がコネクタから横切って、特に接続方向に垂直に延出するように構成されてよい。特に、これは、グロメットが、少なくとも1つの流体ホースおよび/または電気ケーブルがコネクタから延出する方向に平行な方向に沿ってコネクタから延出するように構成されてよい。
【0027】
本発明に係るハウジング部品を備える本発明に係るコネクタは、さらなる要素、特に電気コンタクト要素および/または封止要素をさらに備えてよい。
【0028】
安定した接続を可能とするために、コネクタは、コネクタを相手側コネクタに固定するためのスライドを有してよい。
【0029】
代替的にまたは追加的に、コネクタは、接続を固定するおよび/または接続力を増大させるレバー機構を有してよい。レバーは、ハイブリッドコネクタを嵌合位置に固定するために固定要素をハウジング部品に押し込むように構成されてよい。
【0030】
ハウジング部品および/またはコネクタは、所期の動作状態において、流体接続領域が重力に関して完全に電気接続領域の下方にあるように構成されてよい。所期の動作状態は、特に取り付け済み状態として理解されてよい。この場合、ハイブリッドコネクタは、例えば、適切な相手側コネクタに接続され、車体に取り付けられ、車両は、通常の水平位置にある。これにより、コネクタが接続または接続解除されたときに、少なくとも1種類の流体が電気接続領域に入り、短絡または他の損傷を生じさせることを防止することができる。
【0031】
これは、例えば、流体接続領域が平面により画定される第1の半空間(half-space)に完全に位置し、電気接続領域が第1の半空間と相補的な第2の半空間に完全に位置することにより実現することができる。やはり当該平面により画定される第2の半空間は、第1の半空間とは独立であることが好ましく、すなわち、2つの半空間は、共通の空間領域を有しない。このとき、所期の動作状態において、平面は、重力の方向に垂直にかつ地球の球面の接平面に平行に延びる。
【0032】
好ましい構成において、平面は、接続方向に平行である。
【0033】
特に、コネクタは、プラグとして構成されてよい。コネクタは、電流および/または少なくとも1種類の流体のためのプラグ要素またはソケット要素を有してよい。この場合、接続方向は、差込み方向であってよい。
【0034】
好ましい構成によれば、流体接続領域を封止するためのシールは、電気接続領域を封止するためのシールと一体である。これにより、製造の労力を最小化することができる。流体接続領域を封止するためのシールおよび電気接続領域を封止するためのシールは、単一のシールの部品および/または部分であってよい。動作安全性を高めるために、コネクタは、相手側要素への内部接続部の接続部が接続済み状態において少なくとも2つの独立したシールまたは封止システムにより電気接続領域から遮断されるように構成されてよい。シールは、特に、ゴムまたはシリコーンなどの可撓性かつ/または圧縮可能な材料から構成されてよい。シールは、例えばOリングであってもよい。
【0035】
自動車分野での使用のために、特に金属薄板における使用のために、コネクタが、面、好ましくは平坦面に取り付けられる相手側コネクタに接続可能であるように構成される場合が好ましい。面は、例えば金属薄板の面とみなされてよい。少なくとも接続済み状態において、コンタクト要素などのコネクタおよび/または相手側コネクタの部品が、面における孔を通して突出してよい。相手側コネクタは、相手側コネクタが差込み方向において抜けることを防止するために、金属薄板への接続のためのラッチ要素を有してよい。
【0036】
そのような構成において、遠位端に配置される少なくとも1つの流体チャネルの外部接続部は、少なくとも1つの流体ホースを面に平行に接続するように構成されてよい。
【0037】
そのようなコネクタの接続方向は、面に垂直であることが好ましい。
【0038】
以下、図面を参照し、好ましい構成を用いて、本発明をより詳細に説明する。ここに示す好ましいさらなる発展例および構成は各々、互いに独立であり、用途においてどのように必要であるかに応じて、求められるように互いに組み合わされてよい。
【0039】
これは、以下により示される。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【
図1】相手側コネクタを伴うハイブリッドコネクタの一実施形態の模式的な部分断面斜視図である。
【
図2】取り付け済み状態におけるハイブリッドコネクタの模式的な斜視図である。
【
図3】レバーを有するハイブリッドコネクタの一実施形態の模式的な部分断面斜視図である。
【
図4】2つの流体チャネルを有する一実施形態における相手側コネクタの模式的な斜視図である。
【
図5】ハイブリッドコネクタの模式的な断面斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
図面は、ハイブリッドコネクタ100の一実施形態を示す。ハイブリッドコネクタ100は、適合する相手側コネクタ200に対して、本例では互いにプラグ接続で接続される。相手側コネクタ200は、例えば、車両のドア300の金属薄板150に取り付けられてよい。相手側コネクタ200またはハイブリッドコネクタ100の部品が突出する孔が、金属薄板150に空いていてよい。
【0042】
ハイブリッドコネクタ100は、電流および/または電圧による電力または電気信号の伝送のみならず、ワイパシステムに洗浄水および/または空気を供給するためにも用いられる。ミラーまたはカメラのためのそのようなワイパシステムは、例えば自動運転に必要とされる場合がある。
【0043】
特に、ハイブリッドコネクタ100は、典型的にはプラスチックから射出成形されるハウジング部品20を備える。
【0044】
ハウジング部品20は、より詳細には示されないコンタクト要素が、相手側コネクタ200における対応する相手側要素に接触するために設けられる、電気接続領域21を備える。コンタクト要素は、より詳細には示されないケーブルに取り付けられる。この電気接続は、例えばワイパシステムおよび/またはカメラのための電力および/または信号の伝送に用いられてよい。
【0045】
電気接続領域21に加えて、ハウジング部品20は、少なくとも1種類の流体を伝送するように構成される流体接続領域24を有する。図示の例において、少なくとも1種類の流体は、液体、すなわちワイパシステム用の洗浄水である。他の適用例において、少なくとも1種類の流体は、別の液体または気体であってもよい。
【0046】
漏出した流体が、例えば腐食により、コンタクト要素間の短絡を生じさせるまたはコンタクト要素に損傷を与えることを防止するために、流体接続領域24は、電気接続領域21から分離している。
【0047】
コンタクト要素により形成されるコンタクト領域23が、カラー25により取り囲まれる。第1の部分61において電気接続領域21を取り囲み、第2の部分62において流体接続領域24を取り囲むシール60が、カラー25に取り付けられる。シール60の一体構成に起因して、製造の労力が最小化される。
【0048】
ハウジング部品20は、ハイブリッドコネクタ100が接続方向Vに沿って相手側コネクタ200に接続されたときに、電気接続および少なくとも1つの流体接続、特に1つまたは複数の流体接続が同時に確立されるように構成される。
【0049】
ハイブリッドコネクタ100は、差込み方向Sが接続方向Vに対応するプラグ101として構成される。ハイブリッドコネクタ100および相手側コネクタ200は各々、この目的で互いに適合する要素を有する。例えば、ハイブリッドコネクタ100におけるコンタクト要素102は、プラグ要素として構成されてよく、相手側コネクタ200におけるコンタクト要素201は、ソケットとして構成されてよい。
【0050】
したがって、ハイブリッドコネクタ100における少なくとも1つの流体チャネル40の終端部分(end section)43は、相手側コネクタ200における少なくとも1つの流体チャネル240のソケット247に挿入されるプラグ要素47として構成される。正確な位置決めのために、終端部分43は、ソケット247における円周方向の円錐状外形のカラー242と協働する内部ファンネル42を形成する。プラグ要素47とソケット247との間の封止のために、別個のシール63が設けられる。よって、流体接続領域24は、2つの別個のシール60、63により電気接続領域21から遮断される。
【0051】
さらなる好ましい実施形態において、シール63は、Oリング64として構成され、少なくとも1つの流体チャネル40の終端部分43と対向するコンタクト要素201との間に取り付けられる。この場合、コンタクト要素201は、差込み方向Sの反対方向において先細りになる内部ファンネル250を有するプラグ要素248として構成される。この構成において、終端部分43は、プラグ要素248を取り囲み、プラグ要素248よりも大きい直径54を有するソケット52として構成される。カラー25と金属薄板150との間において、ハイブリッドコネクタ100は、少なくとも1つの流体チャネル40の好ましくは1つまたは2つの流体チャネル40のそれぞれの終端部分43を取り囲み、少なくとも1つの流体チャネル40を電気接続領域21に対して封止するシール66を有する。
【0052】
少なくとも1つの流体チャネル40は、相手側コネクタ200における対応する要素201に接続するように機能する内部接続部41を近位端31に有する。さらに、少なくとも1つの流体チャネル40は、外部接続部49を遠位端39に有する。そこにおいて、それぞれ少なくとも1つの流体チャネル40が流体ホース50に接続される。典型的には、少なくとも1つの流体ホース50の一端が外部接続部49の上に摺動され、突起により保持される。
【0053】
好ましい実施形態において、相手側コネクタ200は、相手側コネクタ200の少なくとも1つの流体チャネル240から径方向に突出する、差込み方向Sにおける結合要素252を金属薄板150の下方に有する。結合要素252は、少なくとも1種類の流体の差込み方向Sにおける直線的な流出を可能とするために、かつ/またはさらなる流体チャネルを接続するために、結合部254と係合することができるように構成される。
【0054】
少なくとも1つの流体チャネル40の外部接続部49は、少なくとも1つの流体ホース50が接続方向Vを横切って接続されるように構成される。この結果として、少なくとも1つの流体ホース50がその先の経路において円弧をなし、それにより、プラグ100が接続方向Vに沿って移動することが可能となる(例えば、取り付け済みの、したがって所期の動作状態を示す
図2を参照)。
【0055】
図示の例において、少なくとも1つの流体ホース50の取付け方向Aは、接続方向Vに垂直であり、第1の横方向Q1に平行である。他の構成においては、90°から外れた角度も可能であり得る。さらに、取付け方向Aは、第1の横方向Q1に垂直かつ接続方向Vに垂直な第2の横方向Q2における成分を有してもよい。
【0056】
射出成形中にハウジング部品20を容易に離型することを可能とするために、少なくとも1つの流体チャネル40は、各々が円筒形の内部透過断面を有する2つのセグメント44、46を備える。これに関して、第1のセグメント44は、90°のコーナ部45を介して第2のセグメント46に接続される。ただし、他の構成においては、例えばより容易な離型を可能とするために、内部断面は変化してもよく、特に外側に向かってサイズが増大してもよい。さらに、2つのセグメント44、46は、例えばそれぞれの流体の圧力を増大または低減すべきである場合、異なる断面積を有してよい。
【0057】
図示の実施形態において、少なくとも1つの流体チャネル40は、ハウジング部品20の他の部分と一体である。特に、少なくとも1つの流体チャネル40は、例えば湾曲した形状を有することにより形成するのが難しい場合、または異なる材料から作製すべきである場合、別個の部品として製造され、後にハウジング部品20の他の部分に接続されてもよい。好ましい構成において、例えば、2つの流体チャネル40が別個の部品56として製造され、組み立てられてよい。この場合、別個の部品56の流体チャネル40は、材料ブリッジ57を介して近位端31で互いに一体に接続されてよい。さらに、この構成において、近位端31は、差込み方向Sの反対方向において近位端31から角度を付けて上方にかつそれぞれの流体チャネル40の外周から離れるように径方向に延びる可撓性ラッチ要素58、例えばラッチアーム59を有する。
別個の部品56の近位端31が差込み方向Sに差し込まれると、ラッチ要素58がカラー25の突起26にロックされることで、別個の部品56が差込み方向Sの反対方向において緩むことが防止される。
【0058】
ハウジング部品20は、グロメット90を取り付けることが可能なグロメット取付け部29をさらに備える。グロメット90は、電気ケーブルおよび少なくとも1つの流体ホース50を保護するように機能する、可撓性材料から作製されるホース状または管状の要素として理解されてよい。グロメット取付け部29は、その端部において、少なくとも1つの流体ホース50の取付け方向Aに沿って延びるようにグロメット90を取り付けるように構成される。グロメット90は、わずかな屈曲変形を可能とする少なくとも1つの蛇腹91を有してよい。
【0059】
ハウジング部品20は、取り付けられたときに、流体接続領域24が完全に電気接続領域21の下方に位置するように構成される。これは、流体接続領域24、特に内部接続部41が、完全に第1の半空間H1に位置し、コンタクト要素を有する電気接続領域21が完全に第2の半空間H2に位置することにより、実現される。2つの相補的な半空間H1、H2は、平面Eにより画定され、互いに切り離される。これにより、少なくとも1種類の流体が重力に従い、第1の半空間H1にのみ滴下し得るため、少なくとも1種類の流体が接続中または接続解除中に電気接続領域21に侵入することが防止される。
【0060】
接触力を印加するために、ハイブリッドコネクタ100はまた、ハウジング部品20に対して第1の横方向Q1に沿って変位可能であり、それにより例えばハイブリッドコネクタ100の相手側コネクタ200への固定を実現するかまたは接触力を印加するスライド70を有する。
【0061】
他の構成においては、他の固定機構、例えば、(
図3において見ることができるように)レバー72を有する機構が設けられてもよい。この構成において、レバー72は、ハウジング部品20と相補的に形成され、レバー72が第2の横方向Q2の周りにハウジング部品20に向かって移動することを可能とするヒンジ74を有し、レバー72が固定要素76を第1の横方向Q1の方向へとハウジング部品20に押し込むことにより、ハイブリッドコネクタ100を固定要素76と固定する。
【0062】
ハイブリッドコネクタ100は、金属薄板150に取り付けられる相手側コネクタ200に接続されるように構成される。金属薄板150、特にその面151は、ハイブリッドコネクタ100が取り付けられる平坦面152を提供する。これに関して、金属薄板150の面151は、第1の横方向Q1および第2の横方向Q2に平行に延びる。良好な封止状態でこれに接続されるようにするために、シール60およびシール66の外側領域は、2つの半空間H1、H2を分離する平面Eに垂直な平面に位置する。取付け方向Aは、面151により形成される平面に平行である。
【0063】
好ましい構成において、相手側コネクタ200は、相手側コネクタ200を金属薄板150に固定するためのラッチ要素202を有してよく、ラッチ要素202は、相手側コネクタ200から横方向Q2に突出し、相手側コネクタ200を開口部154に差し込んだ後、金属薄板150とのラッチ接続を可能とするために柔軟に撓むことができる。金属薄板150は、相手側コネクタ200の対応するコンタクト要素201を受け入れるための開口部156をさらに有してよい。
【符号の説明】
【0064】
20 ハウジング部品
21 電気接続領域
23 コンタクト領域
24 流体接続領域
25 カラー
26 突起
29 グロメット取付け部
31 近位端
39 遠位端
40 流体チャネル
41 内部接続部
42 ファンネル
43 終端部分
44 第1のセグメント
45 コーナ部
46 第2のセグメント
47 プラグ要素
49 外部接続部
50 流体ホース
52 ソケット
54 ソケットの直径
56 別個の部品
57 材料ブリッジ
58 ラッチ要素
59 ラッチアーム
60 シール
61 部分シール
62 部分シール
63 シール
64 Oリング
66 シール
70 スライド
72 レバー
74 ヒンジ
76 固定要素
90 グロメット
91 蛇腹
100 ハイブリッドコネクタ
101 プラグ
102 コンタクト要素
150 金属薄板
151 面
152 面
154 開口部
156 開口部
200 相手側コネクタ
201 コンタクト要素
202 ラッチ要素
240 流体チャネル
241 内部接続部
242 カラー
247 ソケット
248 プラグ要素
250 ファンネル
252 結合要素
254 結合部
300 ドア
A 取付け方向
E 平面
H1 第1の半空間
H2 第2の半空間
Q1 第1の横方向
Q2 第2の横方向
S 差込み方向
V 接続方向
【手続補正書】
【提出日】2024-06-27
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電流および少なくとも1種類の流体を接続方向(V)に沿って相手側コネクタ(200)に伝送するためのハイブリッドコネクタ(100)用のハウジング部品(20)であって、
電気接続領域(21)と、前記電気接続領域(21)とは別個であり、前記接続方向(V)を横切って少なくとも1つの流体ホース(50)を接続するための少なくとも1つの流体チャネル(40)の遠位端(39)に配置されている外部接続部(49)を有する流体接続領域(24)とを備える、
ハウジング部品(20)。
【請求項2】
接続済み状態において、前記電気接続領域(21)は、流体密に封止されている、請求項1に記載のハウジング部品(20)。
【請求項3】
カラー(25)が、前記ハイブリッドコネクタ(100)のコンタクト領域(23)を取り囲む、請求項1に記載のハウジング部品(20)。
【請求項4】
前記少なくとも1つの流体チャネル(40)は、円筒形の内形を有する2つのそれぞれのセグメント(44、46)を備える、請求項1に記載のハウジング部品(20)。
【請求項5】
前記少なくとも1つの流体チャネル(40)は、前記ハイブリッドコネクタ(100)に装着されている別個の部品(56)として構成されている、請求項1に記載のハウジング部品(20)。
【請求項6】
近位端(31)に配置されている前記少なくとも1つの流体チャネル(40)の内部接続部(41)は、前記接続方向(V)に平行に接続するように構成されている、請求項1に記載のハウジング部品(20)。
【請求項7】
前記内部接続部(41)は、別個のシール(63)を有する、請求項6に記載のハウジング部品(20)。
【請求項8】
前記少なくとも1つの流体チャネル(40)の内部透過断面は、終端部分(43)において一端または近位端(31)に向かって広がる、請求項1に記載のハウジング部品(20)。
【請求項9】
前記ハウジング部品(20)は、グロメット(90)を取り付けるためのグロメット取付け部(29)を備える、請求項1に記載のハウジング部品(20)。
【請求項10】
前記ハウジング部品(20)は、所期の動作状態において、前記流体接続領域(24)が重力に関して完全に前記電気接続領域(21)の下方にあるように構成されている、請求項1に記載のハウジング部品(20)。
【請求項11】
前記流体接続領域(24)は、平面(E)により画定されている第1の半空間(H1)に完全に位置し、前記電気接続領域(21)は、前記第1の半空間(H1)と相補的な第2の半空間(H2)に完全に位置する、請求項1に記載のハウジング部品(20)。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか一項に記載のハウジング部品(20)を備えるハイブリッドコネクタ(100)。
【請求項13】
前記ハイブリッドコネクタ(100)は、プラグ(101)として構成されている、請求項12に記載のハイブリッドコネクタ(100)。
【請求項14】
前記ハイブリッドコネクタ(100)は、相手側要素への近位端(31)に配置されている前記少なくとも1つの流体チャネル(40)の内部接続部(41)の接続部が接続済み状態において少なくとも2つの独立したシール(60、63)により前記電気接続領域(21)から遮断されるように構成されている、請求項12に記載のハイブリッドコネクタ(100)。
【請求項15】
前記ハイブリッドコネクタ(100)は、面(152)に取り付けられている相手側コネクタ(200)に接続されるように構成されている、請求項12に記載のハイブリッドコネクタ(100)。
【外国語明細書】