(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024160975
(43)【公開日】2024-11-15
(54)【発明の名称】内燃機関の燃料インジェクタ及び内燃機関
(51)【国際特許分類】
F02M 61/16 20060101AFI20241108BHJP
F02M 61/08 20060101ALI20241108BHJP
【ＦＩ】
F02M61/16 F
F02M61/08 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】ＯＬ
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024073605
(22)【出願日】2024-04-30
(31)【優先権主張番号】10 2023 111 353.4
(32)【優先日】2023-05-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】510153962
【氏名又は名称】マン・エナジー・ソリューションズ・エスイー
【氏名又は名称原語表記】ＭＡＮ ＥＮＥＲＧＹ ＳＯＬＵＴＩＯＮＳ ＳＥ
【住所又は居所原語表記】Ｓｔａｄｔｂａｃｈｓｔｒ．１ ８６１５３ Ａｕｇｓｂｕｒｇ，ＧＥＲＭＡＮＹ
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】トーマス・アッツケルン
【テーマコード（参考）】
3G066
【Ｆターム（参考）】
3G066AB02
3G066AB05
3G066AB06
3G066BA19
3G066BA67
3G066CC01
(57)【要約】
【課題】設置空間が小さくても、燃料のための可能な限り大きな流れ断面を提供する燃料インジェクタを提供する。
【解決手段】内燃機関に燃料インジェクタを取り付けることができるケーシング（１１）と、燃料流を開放するバルブボディ（１３）をケーシング（１１）から離間する方向に、またはケーシング（１１）に基づいて外側に向かう方向に移動可能なバルブボディ（１３）と、ガイド部（１５ａ）及びシート部（１５ｂ）を有するガイド及びシート本体（１５）と、を備え、ガイド部（１５ａ）の周りには燃料を流すことが可能であり、シート部（１５ｂ）には燃料を通過させることが可能であり、ガイド部（１５ａ）とシート部（１５ｂ）との間には、少なくとも１つの凹部（１７）を有する中間部（１５ｃ）が形成され、この中間部（１５ｃ）を介してガイド部（１５ａ）からシート部（１５ｂ）の方向に燃料を導くことが可能である。
【選択図】図１
【解決手段】内燃機関に燃料インジェクタを取り付けることができるケーシング（１１）と、燃料流を開放するバルブボディ（１３）をケーシング（１１）から離間する方向に、またはケーシング（１１）に基づいて外側に向かう方向に移動可能なバルブボディ（１３）と、ガイド部（１５ａ）及びシート部（１５ｂ）を有するガイド及びシート本体（１５）と、を備え、ガイド部（１５ａ）の周りには燃料を流すことが可能であり、シート部（１５ｂ）には燃料を通過させることが可能であり、ガイド部（１５ａ）とシート部（１５ｂ）との間には、少なくとも１つの凹部（１７）を有する中間部（１５ｃ）が形成され、この中間部（１５ｃ）を介してガイド部（１５ａ）からシート部（１５ｂ）の方向に燃料を導くことが可能である。
【選択図】図１
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関のシリンダに燃料を供給するための内燃機関の燃料インジェクタ（１０）であって、
ケーシング（１１）であって、該ケーシングを介して前記燃料インジェクタを内燃機関に取り付けることができる、ケーシングと、
バルブシート（１４）と相互作用してバルブステム（１２）に作用するバルブボディ（１３）であって、該バルブボディ（１３）は、燃料流を開放するために、前記ケーシング（１１）から離間する方向に、または前記ケーシング（１１）に基づいて外側に向かう方向に移動可能である、バルブボディと、
ガイド部（１５ａ）と、前記ケーシング（１１）に取り付けられたシート部（１５ｂ）とを有する、ガイド及びシート本体（１５）と、
を備えており、
前記ガイド及びシート本体（１５）の前記ガイド部（１５ａ）は、前記バルブステム（１２）を案内しており、
前記ガイド及びシート本体（１５）の前記シート部（１５ｂ）は、バルブシート（１４）を提供しており、
前記ガイド及びシート本体（１５）の前記ガイド部（１５ａ）の周りには、燃料を流すことが可能であり、
前記ガイド及びシート本体（１５）の前記シート部（１５ｂ）には、燃料を通過させることが可能であり、
前記ガイド部（１５ａ）と前記シート部（１５ｂ）との間には、少なくとも１つの凹部（１７）を有する前記ガイド及びシート本体（１５）の中間部（１５ｃ）が形成されており、該中間部（１５ｃ）を介して前記ガイド部（１５ａ）から前記シート部（１５ｂ）の方向に燃料を導くことを可能としている、
燃料インジェクタ。
ケーシング（１１）であって、該ケーシングを介して前記燃料インジェクタを内燃機関に取り付けることができる、ケーシングと、
バルブシート（１４）と相互作用してバルブステム（１２）に作用するバルブボディ（１３）であって、該バルブボディ（１３）は、燃料流を開放するために、前記ケーシング（１１）から離間する方向に、または前記ケーシング（１１）に基づいて外側に向かう方向に移動可能である、バルブボディと、
ガイド部（１５ａ）と、前記ケーシング（１１）に取り付けられたシート部（１５ｂ）とを有する、ガイド及びシート本体（１５）と、
を備えており、
前記ガイド及びシート本体（１５）の前記ガイド部（１５ａ）は、前記バルブステム（１２）を案内しており、
前記ガイド及びシート本体（１５）の前記シート部（１５ｂ）は、バルブシート（１４）を提供しており、
前記ガイド及びシート本体（１５）の前記ガイド部（１５ａ）の周りには、燃料を流すことが可能であり、
前記ガイド及びシート本体（１５）の前記シート部（１５ｂ）には、燃料を通過させることが可能であり、
前記ガイド部（１５ａ）と前記シート部（１５ｂ）との間には、少なくとも１つの凹部（１７）を有する前記ガイド及びシート本体（１５）の中間部（１５ｃ）が形成されており、該中間部（１５ｃ）を介して前記ガイド部（１５ａ）から前記シート部（１５ｂ）の方向に燃料を導くことを可能としている、
燃料インジェクタ。
【請求項2】
前記ガイド部（１５ａ）を有する前記ガイド及びシート本体（１５）は、前記ケーシング（１１）内に突出している、請求項１に記載の燃料インジェクタ。
【請求項3】
前記中間部（１５ｃ）を有する前記ガイド及びシート本体（１５）は、前記ケーシング（１１）内に突出している、請求項１または２に記載の燃料インジェクタ。
【請求項4】
前記シート部（１５ｂ）を有する前記ガイド及びシート本体（１５）は、前記ケーシング（１１）から突出している、請求項１～３のいずれか一項に記載の燃料インジェクタ。
【請求項5】
前記シート部（１５ｂ）を少なくとも部分的に径方向外側で囲むジェットキャップ（２３）を有している、請求項１～４のいずれか一項に記載の燃料インジェクタ。
【請求項6】
ケーシング（１１）にねじ込まれたユニオンナット（２０）を有し、このユニオンナット（２０）は、ガイド及びシート本体（１５）をケーシング（１１）に保持またはクランプしている、請求項１～５のいずれか一項に記載の燃料インジェクタ。
【請求項7】
前記ガイド及びシート本体（１５）は前記ケーシング（１１）に螺着され、前記ガイド及びシート本体（１５）の前記ケーシング（１１）へのねじ込み深さを介して、前記バルブステム（１５）のストロークが調整可能である、請求項１～６のいずれか一項に記載の燃料インジェクタ。
【請求項8】
前記ガイド及びシート本体（１５）は、前記ケーシング（１１）に対してシールされている、請求項１～７のいずれか一項に記載の燃料インジェクタ。
【請求項9】
前記ガイド及びシート本体（１５）は、一体またはモノリシックに形成されている、請求項１～８のいずれか一項に記載の燃料インジェクタ。
【請求項10】
複数のシリンダを備えた内燃機関であって、
前記複数のシリンダの各々は、請求項１～９のいずれか一項に記載の燃料インジェクタ（１０）を備えている、内燃機関。
前記複数のシリンダの各々は、請求項１～９のいずれか一項に記載の燃料インジェクタ（１０）を備えている、内燃機関。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関の燃料インジェクタに関する。更に、本発明は内燃機関に関する。
【0002】
本発明は、特に、そのシリンダが少なくとも１４０ｍｍ、特に少なくとも１７５ｍｍのピストン直径を有する、いわゆる大型エンジンまたは大型内燃機関の分野に関する。このような大型の内燃機関は、特に船舶用エンジンである。
【背景技術】
【0003】
ガスエンジン、液体燃料燃焼エンジンまたは二元燃料エンジンとして設計された大型内燃機関は、実際に知られている。液体燃料燃焼エンジンでは、例えばディーゼル燃料のような液体燃料が燃焼される。ガス燃焼エンジンでは、例えば天然ガスのような気体燃料が燃焼される。二元燃料エンジンでは、第１の動作モードで液体燃料を燃焼させ、第２の動作モードで気体燃料を燃焼させることができる。
【0004】
内燃機関のシリンダに燃料を供給するために、内燃機関には燃料インジェクタが設けられている。燃料は、燃料インジェクタを介して、シリンダの燃焼空間若しくは燃焼室内に、又は燃焼空間若しくは燃焼室と相互作用するシリンダの予燃焼室（pre-chamber）内に、又はシリンダに通じる吸気管内に直接導入することができる。
【0005】
燃料インジェクタはケーシングを備え、このケーシングを介して各燃料インジェクタを内燃機関に取り付けることができる。更に、燃料インジェクタは、バルブステムに作用するバルブボディを備え、このバルブボディはバルブシートと相互作用している。バルブボディとバルブシートとの間の相対位置に依存して、燃料流は開放または遮断される。
【0006】
燃料インジェクタにおいては、基本的に、外側に開口するバルブボディを有するものと、内側に開口するバルブボディを有するものとが区別される。外側に向かって開口するバルブボディを備えた燃料インジェクタの場合、燃料流を開口するためのバルブボディは、ケーシングから離間する方向に、又はケーシングに基づいて外側に向かう方向に移動することができる。内側に向かって開口するバルブボディを有する燃料インジェクタの場合には、対照的に、燃料流を開口するためのバルブボディは、ケーシングに基づいて、ケーシング内へ内側に向かう方向に移動することができる。本発明は、燃料流を開放するために外側に向かって開口するバルブボディを有する燃料インジェクタに関する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特表２０１８－５０８７０７号公報
【特許文献2】特開２０１３－１９４７３２号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
外部に向かって開口するバルブボディを有する燃料インジェクタであって、開状態において少ない設置空間が要請されつつも、燃料のための可能な限り大きな流れ断面を提供する燃料インジェクタが必要とされている。
【0009】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、新しいタイプの内燃機関の燃料インジェクタ及びこれを備えた内燃機関を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この課題は、請求項１に記載の燃料インジェクタによって解決される。
【0011】
燃料インジェクタは、それを介して燃料インジェクタを内燃機関に取り付けることができるケーシングを含む。また、燃料インジェクタは、バルブステムに作用するバルブシートと相互作用するバルブボディを備え、バルブボディは、燃料流を開放するために、ケーシングから離間する方向に、またはケーシングに基づいて外側に向かう方向に移動可能である。また、燃料インジェクタは、ガイド部とシート部とを有し、ケーシングに取り付けられたガイド及びシート本体を備えている。ガイド及びシート本体のガイド部は、バルブステムを案内している。ガイド及びシート本体のシート部は、バルブシートを提供している。ガイド及びシート本体のガイド部の周りには、燃料を流す（flowed about）ことができる。ガイド及びシート本体のシート部には、燃料を通過させる（flowed through）ことができる。ガイド部とシート部との間には、少なくとも１つの凹部を有するガイド及びシート本体の中間部が形成され、この中間部を介してガイド部からシート部の方向に燃料を導くことができる。
【0012】
設置スペースを最小化したいとの要請と共に、本発明による燃料インジェクタは、燃料のための大きな流れ断面を提供している。特に、ガイド部の下方や、燃料の流れ方向から見てガイド部の下流側の領域では、燃料インジェクタの外径を比較的小さくすることで、大きな流れ断面を得ることができる。バルブステムのためのガイド機能と、バルブステムに作用するバルブボディのためのバルブシート機能とは、両方とも、ガイド及びシート本体によって提供され、ガイド及びシート本体は、好ましくは、一体またはモノリシック（monolithical）である。これは、一方では、燃料インジェクタの簡単な構造を可能にし、他方では、ガイド部及びシート部が同じ部品、すなわち、ガイド及びシート本体上に形成されるので、製造中の互いに対するガイド部及びシート部の正確な形状及び位置公差を達成することができる。ガイド及びシート本体は、ケーシングに取り付けられるケーシングに対して別個のアセンブリとして具体化されている（embodied）ので、ケーシング並びにガイド及びシート本体は、それらによって提供される機能に関して、互いに独立して構成することができる。
【0013】
好ましくは、ガイド部を有するガイド及びシート本体は、ケーシング内に突出している。これは、可能な限り大きな流れ断面を提供しながら、単純でコンパクトな設計を提供するために好ましい。
【0014】
好ましくは、中間部分を有するガイド及びシート本体は、ケーシング内に突出している。これもまた、可能な限り大きな流れ断面を提供しながら、コンパクトで単純な設計を提供するために好ましい。
【0015】
好ましくは、シート部を有するガイド及びシート本体は、ケーシングから突出している。これはまた、単純且つコンパクトな設計及び可能な限り大きな流れ断面を提供するのに役立つ。
【0016】
好ましくは、燃料インジェクタは、少なくとも部分的に外側でシート部を径方向に囲むジェットキャップ（jet-cap）を含む。ジェットキャップを介して、燃料流は目標とする方法で影響を受けることができる。
【0017】
好ましくは、ユニオンナットがケーシングに螺着され、このユニオンナットがガイド及びシート本体をケーシングに保持又はクランプしている。これにより、ガイドとシート本体とをケーシングに簡単に固定することができる。
【0018】
好ましくは、ガイド及びシート本体はケーシングに螺着され、ガイド及びシート本体のケーシングへのねじ込み深さを介して、バルブステムのストロークが調節可能である。従って、バルブステムのストローク、従って、バルブボディがバルブシートからリフトされた（lifted）状態での燃料流を具体的に調整することが可能である。
【0019】
本発明に係る内燃機関は、請求項１０に規定されている。
【0020】
本発明の好ましい更なる発展は、下位クレーム及び以下の説明から得られる。以下、本発明の実施の形態について図面を用いて詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明による内燃機関の第１の燃料インジェクタの概略断面図である。
【図2】本発明による内燃機関の第２の燃料インジェクタの概略断面図である。
【図3】本発明による内燃機関の第３の燃料インジェクタの概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図１は、本発明による内燃機関用燃料インジェクタ１０の第１の例示的な実施形態の断面図を示す。燃料インジェクタ１０は、液体燃料用の燃料インジェクタであっても、気体燃料用の燃料インジェクタであっても良い。
【0023】
燃料インジェクタ１０は、内燃機関のシリンダに燃料を供給するように、すなわち、シリンダの燃焼室内に直接燃料を供給するように、または、燃焼室と相互作用するシリンダの予燃焼室内に燃料を供給するように、または、シリンダの燃焼室内に通じる内燃機関のパイプ内に燃料を供給するように設計され、該パイプはまた、燃焼空気をシリンダに搬送している。
【0024】
燃料インジェクタ１０は、ケーシング１１を備えている。ケーシング１１を介して、燃料インジェクタ１０は、例えば、シリンダヘッドまたはシリンダヘッドカバーの領域において、内燃機関に取り付けることができる。
【0025】
また、燃料インジェクタ１０は、バルブステム１２を備え、バルブステム１２はバルブボディ１３を担持している。バルブステム１２は磁気的に直接作動させることができる。バルブボディ１３は、バルブシート１４と相互作用している。特に、バルブボディ１３がバルブシート１４に当接している場合には、燃料インジェクタ１０はいかなる燃料流も許容しない。逆に、バルブボディ１３がバルブシート１４からリフトされると、燃料インジェクタは燃料流を開放する。
【0026】
更に、燃料インジェクタ１０は、バルブステム１２のためのガイド部１５ａと、バルブシート１４を提供するシート部１５ｂとを有するガイド及びシート本体１５を備えている。ケーシング１１に対して、このガイド及びシート本体１５は、別個の一体またはモノリシックアセンブリとして具体化され、ケーシング１１に取り付けられている。
【0027】
既に説明したように、ガイド及びシート本体１５のガイド部１５ａはバルブステム１２を案内し、そのためにバルブステム１２はガイド部１５ａの凹部１６を貫通している。ガイド及びシート本体１５のシート部１５ｂは、バルブボディ１３のためのバルブシート１４を提供している。
【0028】
ガイド及びシート本体１５のガイド部１５ａの周りには、燃料を流すことができる。これに対して、ガイド及びシート本体１５のシート部１５ｂには燃料を通過させることができる。従って、バルブボディ１３がバルブシート１４からリフトして燃料インジェクタ１０が燃料流を開放すると、燃料はガイド部１５ａの周りを流れ、ガイド及びシート体１５のシート部１５ｂを通過する。
【0029】
ガイド部１５ａとシート部１５ｂとの間には、ガイド及びシート本体の中間部１５ｃが形成されている。この中間部１５ｃには、燃料が通過可能な凹部１７が少なくとも１つ形成されており（introduced）、燃料インジェクタ１０が開いた状態で、ガイド部１５ａから流出した燃料が、シート部１５ｂに流入可能となっている。
【0030】
従って、ガイド及びシート本体１５の中間部１５ｃの凹部１７は、燃料インジェクタ１０を開いた状態で、ガイド部１５ａからシート部１５ｂの方向に燃料を導く役割を果たしている。
【0031】
ガイド及びシート本体１５は、そのガイド部１５ａがケーシング１１内に突出している。ケーシング１１とガイド部１５ａとの間には、燃料インジェクタ１０が開いた状態で燃料が通過する環状空間１８が形成されており、この環状空間１８を通じた燃料流は、ガイド部１５ａの外側を流れている。
【0032】
また、本実施形態では、ガイド及びシート本体１５の中間部１５ｃも、少なくとも部分的にケーシング１１内に突出している。対照的に、シート部１５ｂは、燃料インジェクタ１０のケーシング１１から突出しており、すなわち、図１において、バルブシート１４がケーシング１１の外側に位置するようになっている。
【0033】
バルブステム１２は、ガイド部１５ａだけでなく、ガイド及びシート本体１５のシート部１５ｂも貫通しており、バルブステム１２とシート部１５ｂとの間には、燃料インジェクタ１０が開いた状態で燃料が通過する環状空間１９が形成されている。環状空間１９を通じた燃料流は、同様にシート部１５ｂを流れ、部分的にはバルブステム１２の周り、すなわちガイド及びシート本体１５のシート部１５ｂ内で延在しているバルブステム１２の部分の周りを流れる。
【0034】
環状空間１８，１９は、凹部１７を介して連結されている。
【0035】
特に、燃料の流れ断面は、バルブシート１４の方向に向かって徐々に減少するようになっている。従って、ガイド部１５ａの領域における燃料の流れ断面は、ガイド部１５ａの外径とケーシング１１の内径とによって規定されている。ガイド及びシート本体１５の中間部１５ｃの凹部１７の領域における流れ断面は、凹部１７の直径と数によって規定されている。シート部１５の領域における流れ断面は、シート部１５の内径とバルブステム１２の外径とによって規定されている。特に、燃料の流れ方向の流れ断面を徐々に減少させることにより、圧力損失を低減することができる。
【0036】
図１において、燃料インジェクタ１０は、更に、ユニオンナット２０を備えている。ユニオンナット２０は、ケーシング１１の雄ねじ２２と相互作用する雌ねじ２１を備えている。ユニオンナット２０は、ガイド及びシート本体１５をケーシング１１に固定するために、中間部１５ｃとシート部１５ｂとの間に形成されたガイド及びシート本体１５の径方向外側に向いた突出部１５ｄをケーシング１１とユニオンナット２０との間に挟持している。この挟持により、ガイド及びシート本体１５とケーシング１１との間にシール機能を付与することができる。
【0037】
ケーシング１１並びにガイド及びシート本体１５は、好適には金属材料から製造され、図１において、ガイド及びシート本体１５は、金属的にシールする方法でケーシング１１に対してクランプされている。
【0038】
更に、ガイド及びシート本体１５の周方向の突出部１５ｄは、ガイド及びシート本体１５のケーシング１１内への導入深さを制限している。
【0039】
図２は、図１の燃料インジェクタ１０を更に発展させたものを示しており、図２の燃料インジェクタ１０は更にジェットキャップ２３を備えている。ジェットキャップ２３は、ガイド及びシート本体１５のシート部１５ｂの少なくとも一部を径方向外側に取り囲み、バルブシート１４の上方に突出している。このようなジェットキャップ２３によって、バルブシート１４を介して流れる燃料ジェットが形成され、特に影響を与えることができる。
【0040】
図２によれば、ジェットキャップ２３の周方向カラー２３ａは、ガイド及びシート本体１５と同様に、ユニオンナット２０の支援により、ユニオンナット２０とケーシング１１との間に同様にクランプされる。ジェットキャップ２３の周方向カラー２３ａは、ガイド及びシート本体１５の周方向の突出部１５ｄとユニオンナット２０との間、すなわちバルブステム１２の移動方向に位置している。
【0041】
ここで、バルブボディ１３及びバルブステム１２は、燃料インジェクタ１０の開弁時、すなわち、バルブボディ１３がバルブシート１４からリフトする際に、外側に向かって開く、すなわち、ケーシング１１から離間する方向に移動することが指摘される。従って、燃料インジェクタ１０は、外部に向かって開口するバルブボディ１３を有する燃料インジェクタである。
【0042】
図３は、ガイド及びシート本体１５がケーシング１１に螺着されている燃料インジェクタ１０の更なる発展を示している。従って、ガイド及びシート本体１５は、ケーシング１１の雌ねじ２５と相互作用する雄ねじ２４を含む。ガイド及びシート本体１５のケーシング１１内へのねじ込み深さによって、バルブステム１２のストロークを調節することができる。
【0043】
図３において、ケーシング１１に対するガイド及びシート本体１５のシールは、Ｏリングとして形成されたシール部材２６を介して行われる。ガイド及びシート本体１５の溝にも同様のものが配置されている。
【0044】
本発明に係る燃料インジェクタ１０によれば、設置スペースを殆ど必要とせず、特に、ガイド部１５ａよりも下流側の領域における外径を小さくすることができ、燃料の流通断面を大きくすることができる。燃料インジェクタ１０の中心アセンブリは、燃料が流れるガイド部１５ａと、燃料が流れるシート部１５ｂとを備えるガイド及びシート本体１５である。中間部１５ｃの凹部１７を介して、ガイド部１５ａからシート部１５ｂの領域に燃料をオーバーフローさせることができる。ケーシング１１に対するガイド及びシート本体１５のシールは、Ｏリングとして構成されたクランプ及び／又はシール部材２６によって行うことができる。
【0045】
図３では、バルブステム１２のストロークに対するストローク調整が可能である。図１及び図２では、ガイド及びシート本体１５はケーシング１１にクランプされているが、図３のガイド及びシート本体１５はケーシング１１に螺着されている。また、ガイド及びシート本体１５をケーシング１１に溶接によって接続しても良い。
【0046】
本発明に係る燃料インジェクタ１０は、構造が簡単であり、安価に製造することができる。設置スペースを殆ど必要とせず、燃料のための大きな流れ断面を提供している。好ましくは、燃料インジェクタ１０は気体燃料用の燃料インジェクタである。
【符号の説明】
【0047】
１０ 燃料インジェクタ
１１ ケーシング
１２ バルブステム
１３ バルブボディ
１４ バルブシート
１５ ガイド及びシート本体
１５ａ ガイド部
１５ｂ シート部
１５ｃ 中間部
１５ｄ 突出部
１６ 凹部
１７ 凹部
１８ 環状空間
１９ 環状空間
２０ ユニオンナット
２１ 雌ねじ
２２ 雄ねじ
２３ ジェットキャップ
２３ａ カラー
２４ 雄ねじ
２５ 雌ねじ
２６ シール部材
１１ ケーシング
１２ バルブステム
１３ バルブボディ
１４ バルブシート
１５ ガイド及びシート本体
１５ａ ガイド部
１５ｂ シート部
１５ｃ 中間部
１５ｄ 突出部
１６ 凹部
１７ 凹部
１８ 環状空間
１９ 環状空間
２０ ユニオンナット
２１ 雌ねじ
２２ 雄ねじ
２３ ジェットキャップ
２３ａ カラー
２４ 雄ねじ
２５ 雌ねじ
２６ シール部材
【図1】
【図2】
【図3】
【外国語明細書】