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特開2024-160976工作機械上でワークピースに曲げ加工および機械加工を行うための方法、ならびにワークピースに機械加工および曲げ加工を行うための工作機械
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024160976
(43)【公開日】2024-11-15
(54)【発明の名称】工作機械上でワークピースに曲げ加工および機械加工を行うための方法、ならびにワークピースに機械加工および曲げ加工を行うための工作機械
(51)【国際特許分類】
   B23B 11/00 20060101AFI20241108BHJP
   B23B 3/30 20060101ALI20241108BHJP
   B23P 23/04 20060101ALI20241108BHJP
   B21D 7/024 20060101ALI20241108BHJP
【FI】
B23B11/00
B23B3/30
B23P23/04
B21D7/024 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024073627
(22)【出願日】2024-04-30
(31)【優先権主張番号】23171049
(32)【優先日】2023-05-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】508122046
【氏名又は名称】ディー・エム・ジィ・モリ・ベルガモ・ソシエタ・ア・レスポンサビリタ・リミタータ
【氏名又は名称原語表記】DMG MORI BERGAMO S.R.L.
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ミルコ・パッセリーニ
(72)【発明者】
【氏名】ルカ・ミレージ
(72)【発明者】
【氏名】バレリアーノ・カペッリ
【テーマコード(参考)】
3C045
4E063
【Fターム(参考)】
3C045BA07
3C045BA23
3C045BA37
3C045CA05
4E063AA04
4E063BC04
4E063MA02
(57)【要約】      (修正有)
【課題】機械加工および曲げ加工の作業を必要とするワークピースを製造するときの性能を最適化するための工作機械および方法を提供する。
【解決手段】工作機械は、作業ユニットを担持するように構成された少なくとも1つの線形可動工具キャリアスライドと、ワークピースを受けるように設けられた少なくとも1つのワークスピンドルと、工具キャリアスライド上に装着された作業ユニットとを有する機械フレームを備える。作業ユニットは、B軸を中心として回転するように構成され、作業ユニットは、B軸に垂直な平面内で直線的に移動し、作業ユニットは、ワークスピンドルによって受けられたワークピースを曲げるように構成される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
工作機械、特に数値制御式旋削機械またはフライス盤であって、
作業ユニットを担持するように構成された少なくとも1つの線形可動工具キャリアスライド(152)を有する機械フレーム(110)と、
ワークピース(203)を受けるように設けられた少なくとも第1のワークスピンドル(200)と、
前記少なくとも1つの工具キャリアスライド(152)に装着された第1の作業ユニット(201a)と
を備え、
前記第1の作業ユニット(201a)がB軸を中心として回転可能であるように構成され、前記第1の作業ユニット(201a)が、X-Z平面に沿って直線的に移動可能であるようにさらに構成され、前記X-Z平面が前記B軸に垂直であり、かつ
前記第1の作業ユニット(201a)が曲げ加工用工具を有し、曲げ加工の作業を実行するために、前記第1の作業ユニット(201a)が前記第1のワークスピンドル(200)に受けられた前記ワークピース(203)を、前記B軸を中心として回転させること、および/または前記X-Z平面に沿って直線的に移動させることによって曲げるように構成される、工作機械。
【請求項2】
前記第1のワークスピンドル(200)に固定された少なくとも1つのワークピース(203)の曲げ加工および機械加工を少なくとも連続的に、好ましくは並列に実行するための二重作業用に構成される、請求項1に記載の工作機械。
【請求項3】
前記曲げ加工用工具が、前記第1の作業ユニット(201a)に装着された少なくとも加圧ダイ(301)を含み、かつ
好ましくは、前記加圧ダイ(301)が、前記第1の作業ユニット(201a)の工具受け部に装着される、
請求項1または2に記載の工作機械。
【請求項4】
曲げ加工用ダイ(302)が、前記ワークピース(203)の曲げ加工の間の追加の支持のために前記機械フレーム(110)に接続され、および/または別の可動工具キャリアスライドの第2の作業ユニット(201b)に装着され、
前記別の可動工具キャリアスライドが、その軸に沿って前記曲げ加工用ダイ(302)の位置を調整するように構成される、
先行する請求項の少なくとも1項に記載の工作機械。
【請求項5】
その軸に沿って間隔を置いて配置され、かつ前記軸を中心とする異なる半径の1つまたは複数のワークピース受けプロファイルを含む曲げ加工用ダイ(302)を用いてワークピース(203)を曲げるように構成され、好ましくは、各ワークピース受けプロファイルが、異なる半径または角度の下で同じワークピースを曲げるための、異なる半径を有する異なる案内経路を有する、
先行する請求項の少なくとも1項に記載の工作機械。
【請求項6】
前記曲げ加工の作業のために、前記第1の作業ユニット(201a)が、一方の作業ユニット(201a)を前記B軸を中心として回転させることによって前記第1のワークスピンドル(200)に保持された前記ワークピース(203)を曲げるための曲げ力および/またはトルクを発生させ、好ましくは同時に、前記作業ユニット(201a)を少なくともZ軸に沿って移動させるように構成され、前記Z軸が、好ましくは前記第1のワークスピンドル(200)のスピンドル軸に平行な水平軸である、先行する請求項の少なくとも1項に記載の工作機械。
【請求項7】
前記第1の作業ユニット(201a)が工具タレットであり、前記加圧ダイ(301)が前記工具タレットの複数の工具受け開口部のうちの1つに装着されるか、または
前記第1の作業ユニット(201a)がフライスヘッドであり、前記加圧ダイ(301)が前記ワークピースの曲げ加工中に前記加圧ダイ(301)を支持するために前記フライスヘッドに装着され、
かつ好ましくは、前記加圧ダイ(301)が、前記曲げ加工の作業中に前記ワークピースを把持するように構成される、
先行する請求項の少なくとも1項に記載の工作機械。
【請求項8】
前記工作機械(100)が、
第2のワークスピンドル(200b)であって、前記第1のワークスピンドル(200)が対向スピンドルであり、前記第2のワークスピンドル(200b)が前記工作機械の主スピンドルである、第2のワークスピンドル(200b)と、
第3の作業ユニット(201c)
とをさらに備え、かつ
前記第3の作業ユニット(201c)が、前記主スピンドルによって受けられた前記ワークピース(203)を機械加工するように構成される、
先行する請求項の少なくとも1項に記載の工作機械。
【請求項9】
前記ワークピース(203)が、前記機械加工および/または曲げ加工の作業のために前記ワークピース(203)を固定するために、前記少なくとも1つのワークスピンドル(200)のコレットシステム(303b)によってクランプされる、
先行する請求項の少なくとも1項に記載の工作機械。
【請求項10】
前記曲げられたワークピースの幾何学的パラメータを測定するため、特に傾斜角を測定するためのプローブ(400)が設けられ、好ましくは、前記プローブが前記作業ユニット(201a~201d)のうちの1つに装着され、かつ
前記工作機械が、前記傾斜角または半径などの前記測定されたパラメータに応じて曲げ加工の作業を実行することによって曲げ角度を調整するように構成された制御システムを含む、
先行する請求項の少なくとも1項に記載の工作機械。
【請求項11】
前記曲げ加工用ダイ(302)および/または前記加圧ダイ(301)が、異なる曲率で同じワークピースを曲げるための少なくとも2つの異なるパイプ受けプロファイルを有する、
先行する請求項の少なくとも1項に記載の工作機械。
【請求項12】
同じ工作機械(100)を使用してワークピース(203)に曲げ加工および機械加工を行うための方法であって、
前記工作機械(100)の少なくとも1つのワークスピンドル(200)によって前記ワークピース(203)を受けることと、
前記線形可動工具キャリアスライド上に装着された前記作業ユニット(201)によって、前記ワークスピンドル(200)によって受けられた前記ワークピース(203)を機械加工することであって、穿孔、フライス加工、研削、または旋削加工のうちの少なくとも1つを含む、ことと、
前記第1の作業ユニット(201)から前記ワークピース(203)に曲げ圧力を加えることによって前記ワークピース(203)を曲げることと
のうちの少なくとも1つを含む、曲げ加工および機械加工を行うための方法。
【請求項13】
前記第2または第3の作業ユニット(201c)によって、第2のワークスピンドル(200b)によって受けられた前記ワークピース(203)を機械加工すること、および
前記ワークピースを曲げる前に、前記ワークピースを前記第2のワークスピンドル(200b)から前記第1のワークスピンドル(200)に移送すること、および/または
前記ワークピース(203)を曲げた後に、前記第1の作業ユニット(201a)により前記ワークピース(203)を追加で機械加工すること
を含む、請求項12に記載のワークピースに曲げ加工および機械加工を行うための方法。
【請求項14】
前記ワークピースを曲げた後に前記ワークピースの1つ以上のパラメータ、特に傾斜または半径を測定することと、
前記測定された1つ以上のパラメータに基づいて前記ワークピース(203)に対して追加の曲げ加工の作業を実行することと
を含む、請求項12に記載のワークピースに曲げ加工および機械加工を行うための方法。
【請求項15】
請求項1に記載の工作機械においてワークピースを曲げるための曲げ加工用工具であって、
曲げ加工用ダイ(302)および加圧ダイ(301)
を備え、
前記加圧ダイ(301)および前記曲げ加工用ダイ(302)の両方が、ワークピース(203)、特にパイプ状または管状ワークピースの曲げ加工のための少なくとも1つの案内経路を有し、
前記曲げ加工用ダイ(302)が、異なる半径および角度の下で同じワークピースを曲げるための異なる半径を有する少なくとも2つの案内経路を有し、
および/または、前記加圧ダイ(301)が、前記曲げ加工の作業中に前記ワークピース(203)に沿って移動して曲げ点での前記ワークピース上の抗力を低減するように構成された、追従型加圧ダイとして構成される、曲げ加工用工具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
説明
本出願は、工作機械、特に、ワークピースに機械加工および曲げ加工の両方を行うことが可能な旋削機械またはフライス盤に関する。
【背景技術】
【0002】
背景
例えば、ワークピースを機械加工するための旋削機械もしくはフライス盤または旋盤などの工作機械は、典型的には、ワークピースを受け、それぞれの工具を使用して前記ワークピースを機械加工するための少なくとも1つの回転可能に装着されたワークスピンドルが設けられた機械フレームを備える。ワークピースの機械加工のために、様々な構成の作業ユニットを実施することができる。曲げ加工の作業には、一般に、特定の曲げ加工機が使用される。したがって、曲げ加工機は通常、曲げ加工の作業用に設計され、工作機械は機械加工用に設計され、これらの機械は通常、互いに別々に設けられる。したがって、機械加工および曲げ加工の作業のいくつかの反復を伴う曲げ加工および機械加工ステップの両方を必要とする複雑な製品の場合、ワークピースの製造は非効率的である場合がある。
【0003】
異なる工作機械を記載する従来技術の例は、例えば、特開2020-032528号公報に見出すことができ、これは、上側工具キャリア支持部、下側工具キャリア支持部、および上側工具キャリア支持部と下側工具キャリア支持部との間に配置されたスピンドルキャリア部を有する機械フレームと、機械フレームのスピンドルキャリア部上またはスピンドルキャリア部の高さに配置されたスピンドルキャリアであって、ワークピースを受け、水平に配置された主スピンドルを支持するスピンドルキャリアと、各々が機械フレームの上側工具キャリア支持部および下側工具キャリア支持部のいずれかに配置された工具キャリアアセンブリ上に支持される1つ以上の工具キャリアとを備える工作機械を記載している。下側工具キャリア支持部の下側面は、張り出し傾斜を有する。この出願の内容は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0004】
曲げ加工機は、例えば、曲げ加工機を記載する特開2005-161331号公報に記載されている。曲げ加工機には、曲げ加工用ダイと、曲げ加工用ダイにワークピースを固定するための固定具と、曲げ加工用ダイにワークを押圧するための加圧ダイと、拘束具とが設けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2020-032528号公報
【特許文献2】特開2005-161331号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、従来技術は、それぞれの機械によって実行される機械加工または曲げ加工の作業/プロセスのいずれかに焦点を合わせている。しかしながら、機械加工および曲げ加工の作業を必要とする製造シーケンスでは、それぞれの機械加工または曲げ加工の作業(特に特定の管曲げ加工機を使用する)を実行するために、ワークピースを工作機械から曲げ加工機に再配置することがしばしば必要とされる。これは、ワークピースに対するいくつかの機械加工および曲げ加工の作業のシーケンスが必要な場合、さらに複雑になる。その結果、製造時間および複雑さが増大する。この点に関して、効率および柔軟性を高め、効率的な曲げ加工および機械加工の作業を可能にするために、異なる加工作業を必要とし、特に曲げ加工プロセスを含むワークピースの製造をさらに改善する必要がある。
【0007】
本発明の目的は、異なる製造作業が同じ機械によって実行されることを必要とする、1つ以上のワークピースのより効率的な加工を可能にするように、一般的な種類の工作機械を改善することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
概要
上記の目的は、添付の特許請求の範囲の主題、具体的には独立請求項によって解決される。さらなる好ましい発展形態は、従属請求項に記載されている。
【0009】
工作機械、特に数値制御式旋削、フライス加工、ターンミル機械または作業機械であって、例えば、作業ユニットを担持するように構成された好ましくは少なくとも1つの線形可動工具キャリアスライドと、ワークピースを受けるように設けられた少なくとも1つの第1のワークスピンドルと、工具キャリアスライド上に装着された第1の作業ユニットとを有する機械フレームを備える工作機械が提供され、ここで、第1の作業ユニットは、B軸を中心として回転可能であるように構成されることが好ましく、第1の作業ユニットは、X-Z平面内でまたはX-Z平面に沿って(すなわち、X方向に沿って、および/またはZ方向に沿って)直線的に移動可能であるように構成されることがさらに好ましく、前記X-Z平面はB軸に垂直である。前記B軸は、工作機械の作業ユニット、例えば工具タレットまたはフライスヘッドの回転を可能にするように配置されてもよく、これにより、作業ユニットまたはヘッドは、主スピンドルまたは副スピンドル(または補助スピンドル)に保持された部品の側面または端部で様々な角度から作業を実行することができる。さらに、第1の作業ユニットは、(好ましくは一体化された)曲げ加工用工具を有してもよく、曲げ加工の作業を実行するために、第1の作業ユニットは、B軸を中心として回転すること、および/またはX-Z平面に沿って直線的に移動することによって、第1のワークスピンドルによって受けられたワークピースを曲げるように構成されてもよい。したがって、同じ工作機械を使用して曲げ加工および機械加工の作業を適用することによって、ワークピースを製造するより効率的な方法を達成することができる。したがって、機械加工および曲げ加工の作業を必要とするワークピースを製造するときの性能を最適化するための工作機械および方法が提案される。
【0010】
本明細書で言及されるX-Y-Z座標系は、好ましくは、Z軸が第1のワークスピンドルのスピンドル軸(主スピンドル軸および/または補助スピンドル軸)に平行または実質的に平行な水平軸であり、Y軸がZ軸に垂直な水平軸であり、X軸がY-Z平面に垂直な垂直軸であるように定義される。好ましくは、B軸およびY軸は互いに平行である。
【0011】
加えて、以下の「曲げ加工の作業」または「曲げ手順」という用語は、好ましくは工作機械の1つ以上の作業ユニットによって1つ以上のワークピースを曲げるプロセスを指す。ワークピースの製造は、所望の形状および幾何学的パラメータを有するワークピースである最終製品を生成するためのすべての曲げ加工および/または機械加工の作業のシーケンスを指す。さらに、本明細書で言及される作業ユニットは、工具タレットまたは機械加工ヘッドであってもよい。
【0012】
さらに、第1の作業ユニットをB軸を中心として回転させてX軸方向に移動させるように制御することによって、好ましい曲げ加工の作業が達成される。さらに、第1の作業ユニットに対向して配置された第2の作業ユニットは、それにより、曲げ加工の作業を提供するために必要な前記曲げ運動を達成するためにZ軸方向に移動(例えば、直線的に移動)するように構成される(最も好ましくは、第1のワークスピンドルもZ軸方向に移動するように構成されてもよい)。
【0013】
代替的に、工作機械はまた、第1の作業ユニットをB軸を中心として回転させ、曲げ加工の作業を提供するために必要な前記曲げ運動を達成するために、第2の作業ユニットおよび/または第1のワークスピンドルをZ方向に、好ましくはX方向にも移動(例えば、直線的に移動)させるように構成されてもよい。
【0014】
さらに、工作機械は、二重作業のために構成されてもよく、したがって、第1のワークスピンドルの少なくとも1つのワークピースの曲げ加工および機械加工を少なくとも連続的に、好ましくは並列に実行するように構成されてもよい。並列作業は、同時に同じワークピースに曲げ加工および機械加工を行うことを含んでもよい。さらに、本発明による工作機械では、並列作業を達成するために、すなわち同時に、一方のワークピースを機械加工し、他方のワークピースを曲げることも可能にしてもよい。したがって、曲げ加工の作業後に機械加工のためにワークピースをアンクランプする必要はない。また、ワークピースをアンクランプすることなくマルチ作業可能な構成を、ワークピースのクランプ状態での二重作業と呼ぶ場合もある。この特徴は、ワークピースのより効率的な製造を可能にし、また、最終的なワークピースの製造に必要な時間を短縮する。
【0015】
さらに、工作機械は、少なくとも第1の作業ユニットに装着された(または一体化された)加圧ダイを含む曲げ加工用工具を有してもよく、好ましくは、加圧ダイは第1の作業ユニットの工具受け部に装着される。加圧ダイは、ワークピース(管または管状ワークピースであってもよい)と共に移動するように構成されてもよく、曲げ点を決定してもよい。しかしながら、さらなる発展形態では、ワークピースはまた、内部に中空空間を有さないワークピース、すなわち、例えばシリンダまたはブロックなどの隙間のない本体または中実体であってもよい。
【0016】
さらに、工作機械は、機械フレームに接続される、および/またはワークピースの曲げ加工中に追加の支持のために別の可動工具キャリアスライドの第2の作業ユニットに装着される曲げ加工用ダイを有してもよく、別の可動工具キャリアスライドは、その軸に沿って曲げ加工用ダイの位置を調整するように構成される。したがって、例えば、ワークピースを曲げるために一緒に動作する2つの作業ユニットを使用することによって、ワークピースの曲げ加工の作業の柔軟性がさらに改善される。好ましくは、曲げ加工用ダイは、ワークピースをそれを中心として曲げ、曲げられるワークピースの結果として生じる形状を画定することを可能にする工具である。曲げられたワークピースおよび曲げ加工機のパラメータは、曲げ加工用ダイの種類を決定してもよい。
【0017】
さらに、曲げ加工用工具は、着脱可能な上部曲げロールおよび下部曲げロールを有する管曲げ加工用ダイ、一体型クランプ、および加圧ダイであってもよい。曲げロールは楕円曲線状を有してもよい。一体型クランプは、上部ロールおよび下部ロールの側面に配置されてもよい。押圧ダイは、楕円曲線形状に形成されていてもよい。
【0018】
加えて、各工具キャリアスライドは、それぞれの作業ユニット(すなわち、それぞれの工具キャリアスライドに取り付けられた作業ユニット)を少なくともX-Z平面内の1つ以上の直線方向に独立して移動させるように構成されてもよい。
【0019】
「作業ユニット」という用語は、第1の作業ユニット、第2の作業ユニット、第3の作業ユニットなどの異なる種類の作業ユニットを表すことが理解されよう。各作業ユニットは、機械フレームの一部であるかまたは機械フレームに取り付けられたそれ自体の工具キャリアスライド上に装着/設置されてもよい。加えて、本発明は、1つの作業ユニットのみが1つの工具キャリアスライドに装着される構成に限定されない。工作機械の目的に基づいて様々な修正を実施することができ、例えば、いくつかの作業ユニットを1つの工具キャリアスライドに装着して工作機械のよりコンパクトな構造を達成し、スペースを節約することができ、または1つの作業ユニットをいくつかの工具キャリアスライドに装着して、作業ユニットに対するより高いレベルの制御を可能にすることによってより複雑な製造作業を可能にすることができる。したがって、同じ工作機械を使用して曲げ加工および機械加工の作業を適用することによって、ワークピースを製造するより効率的な方法を達成することができる。
【0020】
好ましくは、工作機械は、パイプ状または管状ワークピースであるワークピースを、その軸に沿って間隔を置いて配置され、この軸を中心とした異なる半径の1つまたは複数のパイプ受けプロファイルを含む曲げ加工用ダイで曲げるように構成される。その結果、同じワークピースを曲げて、異なる部分が異なる半径で曲げられた複雑な形状にするのに要する時間が短縮され、同じ曲げ加工用工具で同じワークピースに対してより複雑な曲げ加工の作業を実現することができる。したがって、同じ工作機械を使用して曲げ加工および機械加工の作業を適用することによって、ワークピースを製造するより効率的な方法を達成することができる。
【0021】
さらに、工作機械は、角管、フィン付き管、平坦材料、中実ロッドなどの異なる形状のワークピースを曲げるように修正することができる。したがって、作業工具の構造上および動作上の制約は、曲げられるワークピースの特性によって設定することができることに留意されたい。したがって、同じ工作機械を使用して曲げ加工および機械加工の作業を適用することによって、ワークピースを製造するより効率的な方法を達成することができる。
【0022】
好ましくは、第1の作業ユニットの曲げ加工の作業は、第1の作業ユニットをB軸を中心として回転させる第1のワークスピンドル内に保持されたワークピースを曲げるための曲げ力および/またはトルクを発生させ、好ましくは同時に、少なくともZ軸に沿って第1の作業ユニットを移動させる(最も好ましくは、回転移動と連続して直線的に移動させる)ように構成され、Z軸は、好ましくは第1のワークスピンドルのスピンドル軸に平行な水平軸である。したがって、曲げ加工の作業の効率および速度が向上する。移動は、ワークピースの所望の(すなわち最終)曲げ形状が達成されるまで実行することができる。さらに好ましい実施形態では、幾何学的測定のため(好ましくはさらなる発展形態において、機械加工または曲げ加工の作業中のワークピースの動的挙動を測定するためでもある)のプローブは、曲げ加工の作業中および/または曲げ加工の作業後にワークピースに接触して、ワークピースの幾何学的パラメータをフィードバックし、それによって曲げ加工の作業の高精度の結果を達成する。したがって、プローブの測定値に応じて出力されるパラメータは、曲げ力および/または曲げ距離を制御するための入力パラメータとして使用することができ、それにより、曲げ加工用工具(および特に加圧ダイ)を有する作業ユニットをそれに応じて制御することができる。前記プローブは、好ましくは、作業ユニットの1つに装着され、工作機械は、傾斜角または半径などの測定されたパラメータに応じて曲げ加工の作業を実行することによって曲げ角度を調整するように構成された制御システムを含む。
【0023】
好ましくは、工作機械は、第1のワークスピンドルのクランプチャックに保持されたパイプであるワークピースを有し、第1の作業ユニットは、パイプ軸を横切る方向に加圧ダイを移動させるように構成され、水平スライドブロックまたは曲げ加工用ダイは、水平方向に移動するために摺動可能に装着される(例えば機械フレーム上で)。その結果、曲げ加工の作業の効率を著しく損なうことなく、工作機械の構成が単純化される。したがって、同じ工作機械を使用して曲げ加工および機械加工の作業を適用することによって、ワークピースを製造するより効率的な方法を達成することができる。
【0024】
さらに、曲げ加工用ダイを第2の作業ユニットに装着し、曲げ加工用ダイの位置を第2の作業ユニットによりX-Z方向に直線的に調整してもよい。第2の作業ユニットは、X-Y-Z方向に直線的に移動可能であるようにさらに最適化することができる。したがって、曲げ手順の柔軟性がさらに向上し、曲げ加工用工具をワークピースの異なる部分に容易に調整することができる。したがって、同じ工作機械を使用して曲げ加工および機械加工の作業を適用することによって、ワークピースを製造するより効率的な方法を達成することができる。
【0025】
さらなる発展形態では、曲げ加工用工具は、ワークピースの曲げ加工の前にワークピースをクランプするように構成されたクランプ部を有し、クランプ部は、機械フレームに固定されるか、または別の工具キャリアスライドに装着された第2の作業ユニットに装着される。例えば、第1の部品が第2の作業ユニットに装着され、第2の部品が機械フレームに装着される2つの隣接する部品を有するクランプ部など、クランプ部の様々な修正を好ましく導入することができる。
【0026】
したがって、工作機械は、曲げ加工用工具のクランプ部がワークピースの曲げ加工前にワークピースをクランプするようにさらに構成されてもよく、そして、クランプ部は、機械フレームに固定されてもよいか、または別の工具キャリアスライドに装着された第2の作業ユニットに装着されてもよい。
【0027】
さらに、好ましくは、第1の作業ユニットは、工具タレット(またはタレットユニット)であり、好ましくは、加圧ダイは、工具タレットの複数の工具受け開口部(または工具ホルダインターフェース)のうちの1つに装着される。さらに、第1の作業ユニットはまた、作業ヘッドであってもよく、加圧ダイは作業ヘッドの工具受け開口部に装着されて、ワークピースの曲げ加工中に加圧ダイに支持を提供してもよい。好ましくは、加圧ダイは、曲げられるワークピースを把持し、前進させ、および/または回転させるように調整されてもよい。したがって、同じ工作機械を使用して曲げ加工および機械加工の作業を適用することによって、ワークピースを製造するより効率的な方法を達成することができる。
【0028】
さらに、工作機械は、好ましくは第2のワークスピンドルを備え、第1のワークスピンドルは工作機械の対向スピンドルであり、第2のワークスピンドルは主スピンドルである。任意選択的に、第3の作業ユニットも設けられ、第3の作業ユニットは、主スピンドルによって受けられたワークピースを機械加工するように構成される。スピンドルは、工作機械に取り付けられた固定位置を有することができ、および/またはスピンドルは、工具キャリアスライドに取り付けることができる。これにより、スピンドルの互いに対する配置のさらなる柔軟性が可能になる。その結果、ワークピースの製造時間をさらに短縮することができ、同じ工作機械を使用して曲げ加工および機械加工を適用することにより、より効率的なワークピースの製造方法を達成することができる。
【0029】
スピンドルの位置は、例えば、第1のワークスピンドルが主スピンドルであることができ、第2のワークスピンドルが対向スピンドルであることができるなど、広く理解され得ることにさらに留意されたい。加えて、ワークピースを曲げるように設計された作業ユニットは、前記スピンドルのいずれかに調整することができる。いくつかの実施形態では、第1または第2のワークスピンドルによって保持されたワークピースを曲げるために、ワークピースを曲げるための1つの作業ユニットのみが使用されてもよい。
【0030】
好ましくは、ワークピースは、少なくとも1つのワークスピンドルのコレットシステムによってクランプされて、曲げ加工の作業のためにワークピースを固定する。曲げ加工用工具を工作機械に一体化することの別の利点は、ワークピースがスピンドルによってクランプされるため、曲げ加工用工具をさらに単純化できることである。したがって、曲げ加工の作業前にワークピースの位置を固定するための追加のユニットが不要となり、曲げ加工用工具の構造を単純化することができる。したがって、同じ工作機械を使用して曲げ加工および機械加工の作業を適用することによって、ワークピースを製造するより効率的な方法を達成することができる。
【0031】
代替的な実施形態では、工作機械は、スイス型構成を有することができる。例えば、一般的なスイス型構成では、工具を静止状態に維持しながらワークピースをz軸に沿って移動させることができ、ワークピース素材は、ガイドブッシュの後ろに引っ込んだコレットによって保持される。
【0032】
好ましくは、工作機械は、曲げられたワークピースの(幾何学的)パラメータを測定するための、特に傾斜角を測定するためのプローブを備える。プローブを設けられてもよく、好ましくは、前記プローブは作業ユニットの1つに装着され、工作機械は、傾斜角または半径などの測定されたパラメータに応じて曲げ加工の作業を実行することによって曲げ角度を調整するように構成された制御システムを含む。したがって、同じ工作機械を使用して曲げ加工および機械加工の作業を適用することによって、ワークピースを製造するより効率的な方法を達成することができる。
【0033】
好ましくは、工作機械は、異なる曲率を有する同じワークピースを曲げるための少なくとも2つの異なるパイプ受けプロファイルを有する曲げ加工用ダイおよび/または加圧ダイを備えてもよい。したがって、同じワークピースに対して、より複雑な曲げ加工の作業を実現することができる。
【0034】
同じ工作機械を使用してワークピースに曲げ加工および機械加工を行うための方法であって、工作機械の少なくとも1つのワークスピンドルによってワークピースを受けることと、線形可動工具キャリアスライド上に装着された作業ユニットによってワークスピンドルによって受けられたワークピースを機械加工することとのうちの少なくとも1つを含み、機械加工が、穿孔、加工、研削、または旋削のうちの少なくとも1つを含む、方法。ワークピースを曲げることは、第1の作業ユニットからワークピースに曲げ圧力を加えることによって達成される。したがって、同じ工作機械を使用して曲げ加工および機械加工の作業を適用することによって、ワークピースを製造するより効率的な方法を達成することができる。
【0035】
好ましくは、ワークピースに曲げ加工および機械加工を行うための方法は、第2または第3の作業ユニットによって第2のワークスピンドルによって受けられたワークピースを機械加工することと、ワークピースを曲げる前に第2のワークスピンドルから第1のワークスピンドルにワークピースを移送することとをさらに含む。したがって、同じ工作機械を使用して曲げ加工および機械加工の作業を適用することによって、ワークピースを製造するより効率的な方法を達成することができる。
【0036】
好ましくは、ワークピースに曲げ加工および機械加工を行うための方法は、ワークピースの曲げ加工後に第1の作業ユニットによってワークピースをさらに機械加工するステップをさらに含む。したがって、同じ工作機械を使用して曲げ加工および機械加工の作業を適用することによって、ワークピースを製造するより効率的な方法を達成することができる。
【0037】
好ましくは、ワークピースに曲げ加工および機械加工を行うための方法は、ワークピースを曲げた後にワークピースの1つ以上のパラメータ、特に傾斜または半径を測定することと、測定された1つ以上のパラメータに基づいてワークピースに対して追加の曲げ加工の作業を実行することとをさらに含む。その結果、より精密な製造を達成することができる。
【0038】
工作機械の工具タレットは、工具タレットに工具ホルダを交換可能に装着するための少なくとも1つの接続スポットを有するタレット本体と、接続スポットに配置された伝達シャフト(すなわち、回転および軸方向移動/摺動シャフト)とを備えてもよい。伝達シャフトは、スピンドルシャフトから装着された工具ホルダに駆動トルクを伝達するように構成されてもよい。さらに、工作機械、特に旋盤の工具タレット用の工具ホルダは、機械加工の作業のために工具タレットに工具を装着するように構成されてもよい。言い換えれば、工作機械の工具タレット、特に旋盤があってもよく、工具ホルダは、機械加工の作業のために工具タレットの工具ホルダインターフェースに工具を装着するように構成される。この工具ホルダインターフェースはまた、曲げ加工用ダイおよび/または加圧ダイなどの記載された曲げ加工用工具を受けるように構成されてもよい。
【0039】
さらなる発展形態では、工具タレットは、工作機械のキャリア支持部(およびまたは工具キャリア支持部もしくはアセンブリ)に装着されるように構成されたタレット本体と、タレット本体に装着され、タレットディスクを含むタレットヘッドとを備えてもよいタレットユニットであってもよい。タレットディスクは、第1の駆動手段によって、タレットディスクの回転軸であるディスク軸を中心として回転することが可能であるように構成されてもよい。前記軸は、好ましくは、好ましくは対称的なタレットディスクの対称軸であってもよい。タレットユニットは、タレットヘッドをタレット軸を中心として旋回させるための第2の駆動手段を含んでもよい。第2の駆動手段は、直接駆動モータなどのモータであり、ステータの半径方向外側に配置されたロータを有し、第2の駆動手段はタレット本体に一体化されてもよい。この特定の構造を提供することにより、剛性を高めたコンパクトで費用効果の高いアセンブリを達成することができる。さらに、タレットユニットを設けることにより、ユニットは、対称的なタレット設計に起因して工作機械の異なるキャリア支持部に載置することができる。
【0040】
第2の駆動手段は、タレット本体の円筒状内側部分(好ましくは最も内側の円筒状部分)が第2の駆動手段のステータを形成し、および/またはタレット本体の円筒状外側部分が第2の駆動手段のロータを形成するように、タレット本体に一体化されてもよい。さらに、タレット本体は、円筒形状を有してもよく、円筒の長さの円筒の外径に対す比は、好ましくは0.5~1.7、より好ましくは約1.2の範囲内であってもよく、これにより、効率的な曲げ加工の作業に関連し得る著しい振動低減を達成することができる。
【0041】
タレット本体は、内側円筒部と外側円筒部とを含んでもよく、外側円筒部は、内側円筒部を少なくとも部分的に囲むように設けられる。内側円筒部は、タレットユニットを工具キャリアアセンブリに装着するための装着面を含んでもよく、外側円筒部の内面には、第2の駆動手段のロータの磁石が取り付けられる。したがって、同じ工作機械を使用して曲げ加工および機械加工の作業を適用することによって、ワークピースを製造するより効率的な方法を達成することができる。
【0042】
第2の駆動手段は、タレット軸を中心として旋回するようにタレットヘッドを直接(ギアレス)駆動するように構成されてもよい。さらに、第2の駆動手段およびタレットヘッドのベースは、同期駆動アセンブリを提供してもよい。
【0043】
タレットヘッドは、第2の駆動手段のロータに直接装着されてもよい。さらに、タレット本体は左右対称構造を有してもよく、その結果、旋盤または工作機械の左右にタレットユニットを使用することができる。言い換えると、タレット本体は、その長手方向軸から見て対称であってもよい。
【0044】
タレットユニットは工具タレットであってもよく、そのような工具タレットの形態は、各工具を作業位置に移動させることを可能にするために、少なくとも工具タレットの開始位置にB軸を有さない旋盤またはB軸を有する旋盤において、ワークピーススピンドル軸に平行に延びるタレット軸を中心として制御された方法で回転させることができるディスクタレットを実施してもよい。タレットヘッドは、タレット軸を中心として少なくとも100度、より好ましくは110度回転させることができる。したがって、同じ工作機械を使用して曲げ加工および機械加工の作業を適用することによって、ワークピースを製造するより効率的な方法を達成することができる。
【0045】
さらに、工作機械の曲げ加工用ダイおよび加圧ダイでワークピースを曲げるための曲げ加工用工具が提案されている。加圧ダイおよび曲げ加工用ダイの両方は、ワークピース、特にパイプ状または管状ワークピースを曲げるための少なくとも1つの案内経路を有してもよい。曲げ加工用ダイは、同じワークピースを異なる角度で曲げるための異なる半径を有する少なくとも2つの案内経路を有してもよい。
【0046】
さらに、曲げ加工用工具は、曲げ加工用ダイが、その長辺にそれぞれ平行または垂直に向けられた矩形断面または楕円断面のパイプを受けるためのプロファイルを備えるように適合させることができる。
【0047】
好ましくは、加圧ダイは、曲げ加工の作業中にワークピースに沿って移動して、曲げ点でのワークピースへの抗力を低減するように構成された追従型加圧ダイとして構成される。
【0048】
要約すると、本発明による工作機械は、工作機械のコンパクトな設計を提供し、これにより、曲げ加工用工具を工作機械に一体化することにより、ワークピースの曲げ加工および機械加工としてのより効率的な作業が可能になる。したがって、同じ工作機械を使用して曲げ加工および機械加工の作業を適用することによって、ワークピースを製造するより効率的な方法を達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
図1】本発明の一実施形態によるワークスピンドルおよび作業ユニットの配置を例示的に示す図である。
図2a】一実施形態によるワークピースの曲げ加工前およびワークピースの曲げ加工後の、図1に示すような工作機械に取り付けられたスピンドルおよび作業ユニットの配置を有する工作機械のX-Z平面における概略斜視図を例示的に示す図である。
図2b】一実施形態によるワークピースの曲げ加工前およびワークピースの曲げ加工後の、図1に示すような工作機械に取り付けられたスピンドルおよび作業ユニットの配置を有する工作機械のX-Z平面における概略斜視図を例示的に示す図である。
図3a】一実施形態によるワークピースの曲げ加工前およびワークピースの曲げ加工後の、図1に示すような工作機械に取り付けられたスピンドルおよび作業ユニットの配置を有する工作機械のX-Z平面における概略斜視図を例示的に示す図である。
図3b】一実施形態によるワークピースの曲げ加工前およびワークピースの曲げ加工後の、図1に示すような工作機械に取り付けられたスピンドルおよび作業ユニットの配置を有する工作機械のX-Z平面における概略斜視図を例示的に示す図である。
図4a】別の実施形態による、ワークピースの曲げ加工前およびワークピースの曲げ加工後のスピンドルおよび作業ユニットの配置を有する、スイス型工作機械のX-Z平面における概略斜視図を例示的に示す図である。
図4b】別の実施形態による、ワークピースの曲げ加工前およびワークピースの曲げ加工後のスピンドルおよび作業ユニットの配置を有する、スイス型工作機械のX-Z平面における概略斜視図を例示的に示す図である。
図5a】さらに別の実施形態によるワークピースの曲げ加工前およびワークピースの曲げ加工後の、図1に示すような工作機械に取り付けられたスピンドルおよび作業ユニットの配置を有する工作機械のX-Z平面における概略斜視図を例示的に示す図である。
図5b】さらに別の実施形態によるワークピースの曲げ加工前およびワークピースの曲げ加工後の、図1に示すような工作機械に取り付けられたスピンドルおよび作業ユニットの配置を有する工作機械のX-Z平面における概略斜視図を例示的に示す図である。
図6a】上記いずれかの実施形態による曲げ加工用工具の相対位置を例示的に示す図である。
図6b】Z軸に垂直なX-Y平面における曲げ加工用工具の構造を例示的に示す図である。
図6c】多形曲げ加工用ダイである曲げ加工用ダイの側面別図である。
図6d】多形曲げ加工用ダイを用いて異なる平面で曲げ加工されたワークピースの構造を例示的に示す図である。
図7】ワークピースに対する相対プローブ位置、およびプローブによって実行される関連する幾何学的パラメータの測定を例示的に示す図である。
図8】異なる製造作業を伴うワークピースの段階的な修正を例示的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0050】
好ましい実施例の詳細な説明
以下、本発明の実施例を、例示的な図面を参照して詳細に説明する。実施例および実施形態の特徴は、全体的または部分的に組み合わせられてもよく、本発明は記載された実施例および実施形態に限定されない。なお、各図において、同一要素には同一符号を付し、重複する説明は適宜省略する。
【0051】
図1は、本発明の例示的な実施形態によるワークスピンドルおよび作業ユニットの配置を例示的に示す図である。具体的には、工作機械100は、互いに対向して配置された第1のワークスピンドル200aおよび第2のワークスピンドル200bと、第1の作業ユニット201a(図2参照)および第2の作業ユニット201b(図2参照)とを含む。図1の右側に示す第1のワークスピンドル200aは対向スピンドルであってもよく、図1の左側に示す第2のワークスピンドル200bは主スピンドルであってもよい。しかしながら、2つのワークスピンドル200a、200bが、作業ユニットのうちの1つによって機械加工または曲げ加工が行われるワークピースを各々が受けるように設けられた、2つの独立したワークスピンドルを表すことも可能である。示されたワークスピンドル200a、200bの近くおよび作業ユニット201a、201bの近くの太い矢印は、前記要素が機械加工領域全体にわたって直線的に移動され得るように、前記要素の移動方向を示す。関連する座標系が図1の上部に示されており、Z軸は、好ましくは第1のワークスピンドルのスピンドル軸に平行な水平軸である。
【0052】
例えば図2aまたは図2bに示すように、第1の作業工具201aは第1のスピンドル200aの上方に配設され、第2の作業工具は第1のスピンドル200aの下方に配設される。作業ユニットは、工具キャリアスライド152上に装着される。
【0053】
さらに、図1に示すスピンドルおよび作業ユニットの配置を有する工作機械100は、4つの工具キャリアアセンブリ150a~150dを支持する機械フレーム110を含む。各工具キャリアアセンブリ150a~150dを直線的に移動させることができるそれぞれの方向は、前記図において二重矢印で示されているX軸、Z軸、および任意選択的にY軸方向である。さらに、少なくとも1つの作業ユニット、ここでは第1の作業ユニット201a(図2a参照)は、B軸(図1には示されていない)を中心とした回転を可能にする工具キャリア150a~または150cのうちの1つに装着される。これは、それぞれ装着された作業ユニットをY軸を中心として回転させることができることを意味する。
【0054】
さらに、第1の作業ユニット201aは、(第1の)工具キャリアアセンブリ150a上に、より具体的には、機械フレーム110の上側工具キャリア支持部113上に配置された工具キャリア支持スライド152上に装着される。したがって、第2の作業ユニット201bは、機械フレーム110の下側工具キャリア支持部114上に配置された工具キャリアアセンブリ150b上に、より具体的には工具キャリア支持スライド152上に装着され、好ましくは、第2のワークスピンドル200bに近接して互いに対向するように下側および上側工具キャリア支持部113、114上に配置された第3および第4の工具キャリアアセンブリ150c、150dが設けられる。
【0055】
工作機械は、少なくとも2つのスピンドルを有する構成を有するが、ワークピースの曲げ加工および機械加工を含む本発明に必要な作業では、図1に示す第1のワークスピンドル200aのみを使用することによっても実現され得るため、第2のワークスピンドル200bの存在は任意選択である。それにもかかわらず、以下の例では、工作機械100は、ワークピースのマルチ作業製造のための生産効率をさらに高めるために、2つのスピンドルおよび4つの作業ユニットを有する。しかしながら、工作機械の構造の様々な修正を実施することができ、複数のスピンドルを工作機械に実施することができ、単一または複数の作業ユニットを設置することができる。
【0056】
図に示す工作機械100の機械フレーム110は、2つの機械台部111a、111b上に位置決めされ、機械フレーム110のキャリア支持部が機械台部111a、111bの間に形成されて保持されている。図示の機械フレーム110は、上側工具キャリア支持部113および下側工具キャリア支持部114を含み、これらは両方とも、2つの機械台部111aおよび111bの間を水平に延びる。機械フレーム110の上側工具キャリア支持部113の上側側面は傾斜した斜面に配置され、機械フレーム110の下側工具キャリア支持部114の下側側面は張り出した傾斜した斜面に配置されている。
【0057】
工作機械100の機械加工領域において機械フレーム110の上側で工具キャリアアセンブリ150a、150bを摺動可能に支持するために、機械フレーム110の上側工具キャリア支持部113は水平に延びるガイド113aを有する。したがって、工作機械100の機械加工領域において機械フレーム110の下側で工具キャリアアセンブリ150c、150dを摺動可能に支持するために、機械フレーム110の下側工具キャリア支持部114は、水平方向に延びるガイド114aを有する。
【0058】
さらに、各工具キャリアアセンブリ150a~150dは、機械フレーム110の上側および下側工具キャリア支持部113または114のガイド113aまたは114aに摺動可能に装着されるように構成されたキャリア支持スライド151を含む。したがって、ガイド113a上の上側工具キャリア支持部113の上に装着されると、キャリア支持スライド151は、ガイド113a上でガイド113aに沿ってZ軸方向に水平に移動するように構成される。一方、キャリア支持スライド151は、ガイド114aの張り出した下側工具キャリア支持部114に吊り下げ状態で装着されたときに、ガイド113aに沿ってZ軸方向に水平移動が可能であるように構成されている。
【0059】
工具キャリアアセンブリ150a~150dのキャリア支持スライド151の、工作機械100の機械加工領域に面する前側には、工具支持スライド152がキャリア支持スライド151に摺動可能に装着されている。工具キャリアスライド152は、キャリア支持スライド151の前面に配置された垂直ガイド上で垂直ガイドに沿ってX軸方向に垂直に移動するように構成されている。
【0060】
さらに、工具キャリアアセンブリ150a~150dの工具キャリアスライド152の、工作機械100の機械加工領域に面する前側に、Y軸方向に工具キャリアスライド152の前側から工作機械100の機械加工領域内に延びる水平に配置された工具キャリアクイル(図示せず)を設けて、工具キャリアクイルの前側端部に作業ユニット(工具/機械加工ユニット201aなど)を装着してもよい。工具キャリアクイルは、工作機械100の前部に向かってY軸において水平に制御可能に移動するように、工具キャリアスライド152に装着することができる。さらに、工具キャリアクイルは、水平に配置された工具キャリアクイルの長手方向軸を中心とした、すなわち、Y軸方向に延びる回転軸を中心とした、工具キャリアアセンブリ150a~150dに装着された作業ユニットの回転運動を制御するように、回転可能に駆動されるB軸をさらに含むように構成されてもよい。
【0061】
さらなる発展形態では、ワークスピンドル200a、200bおよび作業ユニット201a、201bはすべて、工作機械100のそれぞれの工具キャリアアセンブリ150a~150dに装着されてもよい。これにより、ワークスピンドル200a、200bおよび作業ユニット201a、201bの直線運動および回転運動に関する自由度をさらに最適化することができる。したがって、同じ工作機械を使用して曲げ加工および機械加工の作業を適用することによって、ワークピースを製造するより効率的な方法を達成することができる。
【0062】
このような発展形態では、例えば、第1のワークスピンドル200bを主スピンドルとして実施するために、工具キャリアアセンブリ150aの工具キャリアスライド152は、例えば、その最低位置に達するまで、キャリア支持スライド151の垂直ガイド上をX軸方向に垂直下方に移動させることができる。一方、主スピンドルと同軸に配置された対向スピンドルとして第2のワークスピンドル200aを実施するために、第4の工具キャリアアセンブリ150dの工具キャリアスライド152は、例えば、その最高位置に達するまで、キャリア支持スライド151の垂直ガイド上をX軸方向に上方に移動させることができる。これにより、主スピンドルと対向スピンドルとを同軸上に対向して配置することができる。キャリア支持スライド151上の垂直ガイドの長さに応じて、主スピンドルおよび対向スピンドルは、必要な位置を達成するために、第1および第4の工具キャリアアセンブリ150a、150dのそれぞれのB軸を中心としてさらに回転されてもよい。
【0063】
一実施形態によれば、図1に示すように工作機械に装着されたスピンドルおよび作業ユニットの配置を有する工作機械のX-Z平面における概略斜視図が、図2aおよび図2bに示されている。作業ユニットは、図1の可動工具キャリアスライド152に位置決めされる。
【0064】
第1のワークスピンドル200aは、例えば管状ワークピースであるワークピース203を受けるように設計されている。作業ユニットの好ましい位置決めは以下の通りである:図2aに示されるように、第1の作業ユニット201aは、X軸に沿って第1のワークスピンドル200aの垂直上方に位置決めされ、工具キャリアアセンブリによってX-Z平面内で直線的に移動することができ、加えて、第1の作業ユニット201aは、第1の作業ユニットと工具キャリアアセンブリとの間の接続点においてB軸を中心として回転することができる。
【0065】
図2aに示すように、第1の作業ユニット201aは工具タレットである。工具タレットは、工具ホルダ(または工具)を工具タレットに交換可能に装着するための少なくとも1つの接続スポットを有するタレット本体を有する。工具タレットは、各工具を作業位置に移動させることを可能にするために、少なくとも工具タレットの開始位置にB軸を有さない旋盤またはB軸を有する旋盤において、ワークピーススピンドル軸に平行に延びるタレット軸を中心として制御された方法で回転させることができるディスクタレットとして設計される。タレットヘッドは、タレット軸を中心として少なくとも100度、より好ましくは110度回転させることができる。好ましくは、他の作業ユニット201b~201cもまた、図2aおよび図2bに示されるように、交換され得るような種類の工具タレットである。
【0066】
第2の作業ユニット201bは、第1のワークスピンドル200aの垂直方向下方に位置決めされ、第2の作業ユニット201bは、少なくともZ方向に、より好ましくはX-Z平面内で直線的に移動可能である。
【0067】
第1および第2の作業ユニットは、ワークスピンドルに受けられたワークピース203を曲げ加工用工具によって曲げるために使用される。
【0068】
一実施形態によれば、曲げ加工用工具は、加圧ダイ301と、曲げ加工用ダイ302と、図2aに示すようにワークピース203を曲げるために使用されるクランプ部303とを含み、曲げ加工用工具の異なる部分は、工作機械の異なるユニットに配置/装着される。
【0069】
具体的には、加圧ダイ301は、第1の作業ユニット201a、好ましくは第1の作業ユニット201aの工具受け部に装着される。曲げ加工用ダイ302は、第2の作業ユニット201b、好ましくは第2の作業ユニット201bの工具受け部に装着される。図2aに示すこの特定の例では、第1および第2の作業ユニットは、ワークピース203を機械加工するための複数の要素を保持し得る工具タレットである。したがって、曲げ加工の作業は、工作機械、特に旋盤での製造プロセスの一連の機械加工ステップに直接含めることができる。
【0070】
曲げ加工用工具の追加部分は、スピンドルに加えてワークピース203をクランプおよび/または固定するように設計されたクランプ部303である。ワークピースは、曲げ加工の作業中にクランプ部によってクランプおよび/または固定される。クランプ部303を工作機械に取り付けるまたは装着するいくつかの効率的な可能性がある。特に、曲げ加工用工具のクランプ部303は、機械フレーム110に直接固定することができるか、または例えばその工具受け部(または接続スポット)において第2の作業ユニット201bに装着することができる。代替的に、クランプ部303の一部(例えば上側クランプ部)を機械フレーム110に固定することができ、クランプ部303の別の部分(例えば下側クランプ部)を一方の作業ユニットに固定する。これらの変形例のいずれにおいても、クランプ部303は、ワークピース203の位置を固定することができる。クランプ部は、第1のワークスピンドル200aと加圧ダイ301、曲げ加工用ダイ302との間に位置する。
【0071】
第1のワークスピンドル200aによって受けられたワークピース203は、曲げ加工の作業の前および特にその最中にクランプ部303によって固定される。ワークピースが確実に固定された後、第1の作業ユニット201aは、ワークピースと接触する加圧ダイの曲げ加工用ダイ面を介して曲げ力を発生させるか、またはトルクを加えて、第1のワークスピンドル200aに保持された固定ワークピース203を曲げるように構成されている。曲げ作業は、第1の作業ユニット201aをB軸を中心として回転させることにより達成される。好ましくは、第1の作業ユニット201aは、第1の作業ユニットをB軸を中心として回転させる際の曲げ加工の作業を向上させるために、少なくともZ軸に沿ってまたはX-Z平面内で直線的にさらに移動させることができる。
【0072】
加圧ダイ301は、工具タレット201aのディスクの接続スポット(または工具受けインターフェース)内に担持または装着され、工具タレットは、加圧ダイ301をワークピース、特にクランプ部303によって支持され、第1のワークスピンドル200aに受けられる金属管の長さと曲げ係合するように前進させるために移動可能である。クランプ部は、クランプされたワークピースの円周方向に配置された2つの部分を有する。曲げ加工用ダイ302は、作業ユニット201bの接続スポット(または工具受けインターフェース)内に担持される。前記曲げ加工用ダイ302は、好ましくは、凸状に湾曲した、典型的には半円形状の曲げ加工用ダイ面を有し、これは、加圧ダイの相補的なダイ面と協働して、工作機械によって曲げられるワークピース(または管状ワークピース)のサイズに厳密に一致する直径サイズを有する、例えば略円形(または楕円形または長方形)の断面のチャネルを画定する。支持されたワークピースを曲げるための運動は、ワークピースに必要な圧力を加えるために、工具タレット201aによって実行することができる。この点に関して、工具タレット201aは、図2bに示すように、ワークピース203の端部を下方に、すなわち所望の曲げ位置に曲げるために、Z軸方向に沿って移動し、同時にB軸を中心として回転するように制御されてもよい。この作業のために、曲げ加工用ダイ302は静止していてもよく、またはZ軸に平行に延びる線に沿って前進し、支持されたワークピースに押し込むこともできる。曲げ加工用ダイと加圧ダイとのこの組み合わせは、加圧ダイの前進ストローク長および/または曲げ加工用ダイの移動に従って、選択された角度にわたってワークピースを曲げるように協働する。
【0073】
曲げ加工の作業中、ワークピースは、第1の作業ユニット201aの加圧ダイ301によって曲げ加工用ダイ302に押し付けられ、これは、図2bに示すように、ワークピース203を所定の半径に曲げるための対向部品として機能する。
【0074】
最初の曲げ加工の作業の後、ワークピース203に対してさらなる製造作業を実行することができる。例えば、クランプ部303のワークピース203の固定を解除し、第1のワークスピンドル200aによってワークピース203を回転させ、クランプ部303によってワークピース203を固定し、そして、別の曲げ加工の作業を行うことにより、ワークピースを例えば異なる平面でさらに曲げることができる。さらに、曲げられた部品は、作業ユニットの1つに装着された工具によって機械加工することもできる。
【0075】
結果として、ワークピース203は、図2bに示すように所望の形状に曲げられる。
さらに、工作機械100は、ワークピース203と共に図2aおよび図2bの左側に示されている第2のワークスピンドル200b(例えば主スピンドル)をさらに備えてもよく、第3および第4の作業ユニット201cおよび201dは、主スピンドルによって受けられたワークピース203を機械加工するように構成されている。スピンドルは、機械フレームに取り付けられた固定位置を有することができ、または代替の実施形態では、スピンドルを工具キャリアスライドに取り付けることができる。
【0076】
第3および第4の作業ユニット201c、201dは、第1のワークスピンドル200aに対する作業ユニット201a、201bの位置と同様に、第2のワークスピンドル200bの垂直方向上方および垂直方向下方に位置している。これらの追加の作業ユニットは、さらなる曲げ加工の作業のためにワークピースを第1のワークスピンドル200aに移送する前に、第2のワークスピンドル200bによって受けられたワークピースを機械加工するために実施することができる。ワークピースの移送は、例えば、主スピンドルをワークピースと共にz軸方向に沿って補助スピンドル(第1のワークスピンドル200a)に移動させ、補助スピンドルがワークピースをクランプすることができ、主スピンドルがワークピースを解放して初期位置(図2aに示す)に戻ることができるように、ワークピースを補助スピンドルの開口部に挿入することによって達成することができる。
【0077】
さらなる発展形態を図3aおよび図3bに示す。この発展形態は、異なる曲げ加工用工具の点で図2aおよび図2bの実施形態とは異なる。図3aおよび図3bに示す曲げ加工用工具は、補助スピンドル(第1のワークスピンドル200a)のクランプ力が増大されて緊密なクランプ力を達成し、曲げ加工の作業のためにワークピースを固定するので、クランプ部303を必要としない。すなわち、ワークピース203を第1のワークスピンドル200aで受け、クランプ部303の代わりに第1のワークスピンドル200aを用いてワークピースを固定することができる。特に、ワークピース203は、ワークスピンドル、例えば図3aおよび図3bの第1のワークスピンドル200aのコレットシステムによって固定/クランプすることができる。
【0078】
図2aおよび図2bまたは図3aおよび図3bの発展形態の変形例に基づく別の実施形態が、図4aおよび図4bに示唆されている。したがって、工作機械は、ワークピースがz軸に沿って移動し、ワークピース素材がガイドブッシュの後ろに引っ込んだコレットによって保持される、スイス型構成で動作するように最適化される。
【0079】
したがって、製造プロセスにおいて、第1のワークピースは、主スピンドル200cにクランプされながら、作業ユニット201cおよび/または201dによって機械加工することができる。同時に、別のワークピースは、補助スピンドル200aにクランプされながら、第1の作業ユニット201aによって曲げることができる。ワークピースの加工が完了した後、前記ワークピースを解放することができ、別の機械加工されたワークピースを次の曲げ加工プロセスのために補助スピンドルによって受けることができる。したがって、主スピンドルにクランプされたときに機械加工の作業によってワークピースが加工される連続プロセスを達成することができ、補助スピンドルに移動されてクランプされた後に、前記ワークピースの曲げ加工を実行することができ、その結果、ワークピースのクランプを自律的に変更することを含む同じ工作機械で、ワークピースの曲げ加工および機械加工を実行することができる。さらに、1つのワークピースに対して曲げ加工の作業を実行している間に、既に他のワークピースを機械加工することができる。
【0080】
図5aおよび図5bに示すさらなる変形例では、第1の作業ユニット201aはフライスヘッドであり、曲げ加工用工具の加圧ダイ301はフライスヘッドの工具受け部に装着される(または取り付けられる)。これにより、第1のワークスピンドル200aのコレットシステムによってワークピース203が固定される。曲げ加工の作業のために、フライスヘッドはB軸を中心として回転し、XZ平面内で移動する。したがって、特にフライスユニットを備えた旋盤では、タレットを固定支持体で置き換えることができる。
【0081】
さらに、曲げ加工用工具は、工作機械100の構成内に実施することができる。それにより、曲げ加工用工具は、加圧ダイ301および曲げ加工用ダイ302を備え、加圧ダイ301および曲げ加工用ダイ302の両方は、ワークピース、特にパイプ状または管状ワークピースを曲げるための少なくとも1つの案内経路を有し、曲げ加工用ダイ302は、より好ましい発展形態では、図6bに示すように、同じワークピース203を異なる角度で曲げるための異なる半径を有する少なくとも2つの案内経路を有する(この曲げ加工用ダイは、多形曲げ加工用ダイと呼ばれる場合がある)。例えば図6aに示す配置では、加圧ダイ301は、工具タレット201aの工具受け部に受けることができる。同時に、多形曲げ加工用ダイ302は、隣接する工具タレットの工具受け部に装着することができる。曲げ加工の作業のための接触面を変更するために、曲げ加工用ダイ302は、例えば曲げ加工用ダイが装着された工具タレットをそれに応じて移動させることによって、図6bに示すように、Y軸方向に沿って移動される。
【0082】
したがって、工作機械に装着された多形曲げ加工用ダイ302を使用する好ましい曲げ加工プロセスは、2つ以上の異なる曲げ形状または半径を有する曲げ加工を可能にする(各々がそれぞれの曲げ加工用ダイ面を有する、すなわち、曲げ加工用ダイは、第1の曲げ加工用ダイ面および第2の曲げ加工用ダイ面を有し、各面は、異なる半径などの異なる形状を有する)。多形曲げ加工用ダイが工作機械を使用してワークピースを曲げるために使用される場合に、第1の曲げ加工の作業後(第1の曲げ加工用ダイ面を使用する)、および第1の曲げ加工プロセス後のワークピースの形状が所定の基準(所望の形状または半径など)を満たさないと(自動的に、したがって例えば工作機械の可動プローブを使用して)判断された場合に、第2の曲げ加工の作業を、第2の曲げ加工用ダイ面が曲げ加工の作業に使用され、曲げ加工の作業時にワークピースに接触するように切り替えられた同じ曲げ加工用ダイを用いて実行することができるような特定の利点を達成することができる。したがって、同じ曲げ加工用工具が異なる曲げ加工の作業を実行するように構成することができ、第1の曲げ加工の作業の後にワークピースを有するスピンドルを回転させることができるため、異なる半径の異なる平面でも曲げ加工が可能になる。
【0083】
さらに、図6cには、多形ワークピースのさらなる図が示されている。この図から明らかなように、曲げ加工用ダイは、Y方向に離間した2つの別個の異なる曲げ面(半径R1およびR2が異なり、経路角度a1およびa2によって画定される経路長が異なる曲げ加工用ダイ面)を有する。好ましくは、一方の曲げ加工用ダイ面は、他方の曲げ加工用ダイ面によって曲げられた曲げワークピースの形状を修正するために使用することができる。
【0084】
図6dには、工作機械を使用して曲げられたワークピースが示されており、曲げ傾斜は異なる平面で達成される。特に、最初の曲げ加工ステップの後に、ワークスピンドル200aに保持されたワークピースを回転させる(すなわち、スピンドルを回転させる)ことにより、次の曲げ工程において、異なる平面での曲げ傾斜を達成することができる。したがって、柔軟性が高く効率的な製造プロセスを達成することができる。さらに、このようなプロセスにおいて、異なる形状の多形曲げ加工用ダイも使用する場合、柔軟性をさらに高めることができる。
【0085】
さらなる発展形態では、作業ユニットのうちの1つ以上は、図7に示すように、特に傾斜角を測定するための、曲げられたワークピースの幾何学的パラメータを測定するためのプローブ400を装備することができ、好ましくは、前記プローブは作業ユニットのうちの1つに装着され、工作機械は、傾斜角または半径などの測定されたパラメータに応じて曲げ加工の作業を実行することによって曲げ角度を調整するように構成された制御システムを含む。したがって、工作機械は、曲げられた部品またはワークピースの傾斜または半径を自動的に測定し、曲げパラメータ/プログラム/工具で形状を自動的に調整して、追加の曲げ加工の作業でワークピースを分析および/または修正することができる。
【0086】
プローブは、ワークピースなどの被検出物に接触するように構成されたプローブとすることができ、プローブの変位を感知し、被接触物によりプローブが変位したときに検出信号を出力するセンサを設けることができる。特に、曲げワークピースの曲げ傾斜が測定されてもよい。
【0087】
1つの発展形態では、プローブは、被検出物によって接触される接触面(接触部分)を有し、物体が接触面に接触すると物体の接触方向に揺動するように構成された第1のシャフトと、第1のシャフトに接続され、第1のシャフトの揺動によってその軸方向に変位するように構成された第2のシャフトとを有する。センサは、第1および/または第2のシャフトの変位を感知するように構成され、検出信号を出力してもよい。したがって、工作機械を使用して幾何公差を測定し、機械加工領域内の空間誤差を自動的に補償することを達成することができる。同時に、ピッチ誤差、角度誤差、真直度、曲げ誤差などの周期的な補正は、変位または検出された誤差を示すプローブの信号を使用し、工作機械、特に作業ユニットおよびワークスピンドルで追加の製造作業を実行することによって誤差または変位を補正することによって実施することができ、したがって、プローブを使用した前記曲げ加工の作業について、摩耗および干渉によって引き起こされる誤差も補償することができる。
【0088】
図8には、異なる製造ステップによって製造されるワークピースの製造方法が示されている。ステップ(1)では、好ましくは円筒形および/または中空ワークピースであるワークピースの初期形状であり得る原料が示される。前記ワークピースは、ワークスピンドルにクランプされる。
【0089】
第1の機械加工ステップ、すなわち図8のステップ(2)では、ワークスピンドル200aまたは200bの一方にクランプされたワークピースの機械加工を実行することができる。例えば、ワークピースの直径または縁部は、工作機械のフライス加工または旋削加工作業を使用して、特に工具または工具タレットもしくはフライスヘッドを使用して成形される。
【0090】
その後、ステップ(3)において、ワークピースの所望の曲げ形状を達成するためにワークピースを曲げることが可能である。このステップでは、ワークピースは、ワークスピンドル内にクランプされたままにすることが可能なので、曲げ加工ステップを実行するために機械加工ステップの後にワークピースを再クランプする必要はない。代替的に、ワークピースは、対向するワークスピンドルにクランプすることができる。
【0091】
任意選択的に、別のステップでは、曲げ加工ステップの後にワークピースを再び機械加工することができる。曲げ加工ステップは、例えば表面要素とワークピースの形状との幾何学的関係のシフトを引き起こすため、完全に曲げられたワークピースに対してのみ最終的な機械加工ステップを実行することが必要な場合がある。これは、本発明によれば、機械を変更することなく、さらにはワークピースを再クランプすることなく行うことができる。ステップ(2)~(4)は、異なる順序で実行されてもよいことは明らかである。したがって、同じ工作機械を使用して曲げ加工および機械加工の作業を適用することによって、ワークピースを製造するより効率的な方法を達成することができる。
【0092】
上記実施形態の説明は、すべての点で例示であって制限的なものではない。当業者であれば、修正が可能である。本発明の範囲は、上述の実施形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。さらに、本発明の範囲には、特許請求の範囲またはその均等の範囲における実施形態の変形が含まれる。
【符号の説明】
【0093】
参照リスト
100 工作機械
110 機械フレーム
111a-111b 機械台部
112 スピンドル支持部
113 上側工具キャリア支持部
114 下側工具キャリア支持部
150a-150d (第1/第2/第3/第4の)工具キャリアアセンブリ
151 キャリア支持スライド
152 工具キャリアスライド
200a 第1のワークスピンドル(補助スピンドル)
200b 第2のワークスピンドル(主スピンドル)
201 作業ユニット
201a-201d (第1/第2/第3/第4の)作業ユニット
203 ワークピース
301 加圧ダイ
302 曲げ加工用ダイ
303 クランプ部
400 プローブ
図1
図2a
図2b
図3a
図3b
図4a
図4b
図5a
図5b
図6a
図6b
図6c
図6d
図7
図8
【外国語明細書】