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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024160982
(43)【公開日】2024-11-15
(54)【発明の名称】経口組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 36/71 20060101AFI20241108BHJP
   A61K 47/36 20060101ALI20241108BHJP
   A61K 47/38 20060101ALI20241108BHJP
   A61K 47/12 20060101ALI20241108BHJP
   A61K 47/18 20170101ALI20241108BHJP
   A61K 47/46 20060101ALI20241108BHJP
   A23L 33/105 20160101ALI20241108BHJP
   A23L 33/10 20160101ALI20241108BHJP
   A61P 19/08 20060101ALN20241108BHJP
   A61K 131/00 20060101ALN20241108BHJP
【FI】
A61K36/71
A61K47/36
A61K47/38
A61K47/12
A61K47/18
A61K47/46
A23L33/105
A23L33/10
A61P19/08
A61K131:00
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024074173
(22)【出願日】2024-05-01
(31)【優先権主張番号】P 2023076304
(32)【優先日】2023-05-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】398028503
【氏名又は名称】株式会社東洋新薬
(72)【発明者】
【氏名】野村 道康
(72)【発明者】
【氏名】大串 康太
(72)【発明者】
【氏名】尾上 貴俊
【テーマコード(参考)】
4B018
4C076
4C088
【Fターム(参考)】
4B018LE01
4B018LE02
4B018LE03
4B018LE05
4B018MD04
4B018MD05
4B018MD10
4B018MD19
4B018MD27
4B018MD28
4B018MD29
4B018MD30
4B018MD32
4B018MD35
4B018MD53
4B018MD59
4B018MD61
4B018MD66
4B018ME14
4B018MF01
4B018MF07
4C076AA31
4C076AA36
4C076BB01
4C076DD38
4C076DD41
4C076DD51
4C076DD60
4C076DD67
4C076DD68
4C076EE30
4C076EE31
4C076EE32
4C076EE38
4C076EE58
4C076FF52
4C088AB32
4C088AC04
4C088MA35
4C088MA41
4C088MA52
4C088NA09
4C088ZA96
(57)【要約】
【課題】本発明は、ブラッククミンの不快な呈味を改善し、嗜好性に優れた経口組成物を提供することを目的とする。
【解決手段】(A)ブラッククミンと、下記(B)成分とを含有することを特徴とする経口組成物。
(B)糖類、アミノ酸、流動化剤、緑葉素材から選択される少なくとも1種
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)ブラッククミンと、下記(B)成分とを含有することを特徴とする経口組成物。
(B)糖類、アミノ酸、流動化剤、緑葉素材から選択される少なくとも1種
【請求項2】
(A)ブラッククミンと、下記(B)成分とを含有することを特徴とする経口組成物であって、ブラッククミン1質量部に対し、下記(B)成分を合計で0.01~100質量部含有することを特徴とする経口組成物。
(B)糖類、アミノ酸、流動化剤、緑葉素材から選択される少なくとも1種
【請求項3】
下記(B)成分を含有させることを特徴とする、(A)ブラッククミン含有経口組成物の呈味改善方法。
(B)糖類、アミノ酸、流動化剤、緑葉素材から選択される少なくとも1種
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブラッククミンを含有する経口組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ブラッククミンは消臭作用や骨形成促進作用などを有することが知られており、健康食品や化粧品に用いられている(特許文献1、2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011-168554号公報
【特許文献2】特開2013-194031号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ブラッククミンは、不快な呈味を有するものであり、摂取し難いという欠点がある。そのため、ブラッククミンを含む経口組成物の不快な呈味を改善し、嗜好性を向上させることが求められている。
【0005】
上記課題を解決するために、本発明者らは鋭意検討を行った結果、ブラッククミンを含む経口組成物に、特定の他の成分を含有することで、極めて顕著な呈味改善効果が発揮されることを見出した。
【0006】
すなわち、本発明は、以下のとおりである。
[1](A)ブラッククミンと、下記(B)成分とを含有することを特徴とする経口組成物。
(B)糖類、アミノ酸、流動化剤、緑葉素材から選択される少なくとも1種
[2](A)ブラッククミンと、下記(B)成分とを含有することを特徴とする経口組成物であって、ブラッククミン1質量部に対し、下記(B)成分を合計で0.01~100質量部含有することを特徴とする経口組成物。
(B)糖類、アミノ酸、流動化剤、緑葉素材から選択される少なくとも1種
[3]糖類が、グルコース、乳糖、麦芽糖、澱粉、デキストリン、セルロース、プルラン、ポリデキストロース、還元パラチノース、エリスリトール、キシリトール、還元麦芽糖及びカラメルから選択される少なくとも1種であることを特徴とする[1]~[2]のいずれかに記載の経口組成物。
[4]アミノ酸が、ロイシン、イソロイシン、バリン、メチオニン、トレオニン、ヒスチジン、フェニルアラニン、リシン、トリプトファン、アルギニン、オルニチン及びシトルリンから選択される少なくとも1種であることを特徴とする[1]~[2]のいずれかに記載の経口組成物。
[5]流動化剤が、二酸化ケイ素及びステアリン酸カルシウムから選択される少なくとも1種であることを特徴とする[1]~[2]のいずれかに記載の経口組成物。
[6]緑葉素材が、大麦若葉、甘藷若葉、ケール、明日葉、クマザサ、ヨモギ、長命草、桑の葉及び茶葉から選択される少なくとも1種であることを特徴とする[1]~[2]のいずれかに記載の経口組成物。
[7]下記(B)成分を含有させることを特徴とする、(A)ブラッククミン含有経口組成物の呈味改善方法。
(B)糖類、アミノ酸、流動化剤、緑葉素材から選択される少なくとも1種
[8](A)ブラッククミン1質量部に対し下記(B)成分を0.01~100質量部含有させることを特徴とする、(A)ブラッククミン含有経口組成物の呈味改善方法。
(B)糖類、アミノ酸、流動化剤、緑葉素材から選択される少なくとも1種
[9]糖類が、グルコース、乳糖、麦芽糖、澱粉、デキストリン、セルロース、プルラン、ポリデキストロース、還元パラチノース、エリスリトール、キシリトール、還元麦芽糖及びカラメルから選択される少なくとも1種であることを特徴とする[7]~[8]のいずれかに記載の呈味改善方法。
[10]アミノ酸が、ロイシン、イソロイシン、バリン、メチオニン、トレオニン、ヒスチジン、フェニルアラニン、リシン、トリプトファン、アルギニン、オルニチン及びシトルリンから選択される少なくとも1種であることを特徴とする[7]~[8]のいずれかに記載の呈味改善方法。
[11]流動化剤が、二酸化ケイ素及びステアリン酸カルシウムから選択される少なくとも1種であることを特徴とする[7]~[8]のいずれかに記載の呈味改善方法。
[12]緑葉素材が、大麦若葉、甘藷若葉、ケール、明日葉、クマザサ、ヨモギ、長命草、桑の葉及び茶葉から選択される少なくとも1種であることを特徴とする[7]~[8]のいずれかに記載の呈味改善方法。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ブラッククミンと、特定の他の成分とを含有させることで、嗜好性に優れた経口組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明を詳細に説明する。なお、本発明は、下記の実施の形態に限定されるものではない。
【0009】
[(A)ブラッククミン]
ブラッククミンは、キンポウゲ科クロタネソウ属に属する花をつける一年草であり、学名が「Nigella sativa」、和名が「ニオイクロタネソウ」の植物である。ブラッククミンには、チモキノン等の成分が含まれている。
【0010】
本発明において用いる部位としては、チモキノンが多く含まれ、ブラッククミンが有する効果をより享受できる観点から、種子(ブラッククミンシード)が好ましい。ブラッククミンは、通常知られるブラッククミンの加工物であれば特に限定されず、例えば、粉砕物及びその乾燥粉末(粉砕末とも言う)、細片化物、搾汁及びその乾燥粉末(搾汁末とも言う)並びに抽出物及びその乾燥粉末(抽出末とも言う)等を用いることができる。本発明においては、ブラッククミンの有する効果をより享受できる観点から、抽出末が好ましい。
【0011】
抽出方法としては、超臨界抽出、溶媒抽出、水蒸留、水蒸気蒸留、マイクロウエーブ抽出法、圧搾法(コールドプレス法)等が挙げられる。
【0012】
また、溶媒抽出に用いられる溶媒としては、ブラッククミンが有する効果をより享受できる観点から水、エタノール、含水エタノール、1,3-ブチレングリコール(BG)、含水BG等の親水性溶媒が好ましい。また、各溶媒の温度は、常温~沸点以下で適宜設定することができる。
【0013】
本発明においては、ブラッククミンが有する効果をより享受できる観点から、チモキノンを含有することが好ましい。チモキノンの含有量は、例えばHPLCにて分析することができる。
【0014】
本発明の経口組成物におけるブラッククミンの配合量は、その効果の奏する範囲で適宜含有させればよい。ブラッククミンが有する効果を享受しやすい観点から、乾燥質量換算で、0.001質量%以上含有させることが好ましく、0.01質量%以上含有させることがより好ましく、0.1質量%以上含有させることがよりさらに好ましく、1質量%以上含有させることが特に好ましい。また、得られる経口組成物の呈味向上の観点及び日常生活において継続的に経口摂取しやすい観点から、ブラッククミンを95質量%以下含有させることが好ましく、90質量%以下含有させることがより好ましく、85質量%以下含有させることがよりさらに好ましく、80質量%以下含有させることが特に好ましい。
【0015】
本発明におけるブラッククミンの摂取量としては特に制限はないが、ブラッククミンが有する効果を享受しやすい観点から、ブラッククミンの摂取量が、成人の1日当たり10mg以上となるように摂取することが好ましく、50mg以上となるように摂取することがより好ましく、100mg以上となるように摂取することが特に好ましい。また、得られる経口組成物の呈味向上の観点及び日常生活において継続的に経口摂取しやすい観点から、ブラッククミンの摂取量が、1日当たり2000mg以下となるように摂取することが好ましく、1000mg以下となるように摂取することがより好ましく、500mg以下となるように摂取することが特に好ましい。
【0016】
[(B)成分]
本発明では、(B)糖類、アミノ酸、流動化剤、緑葉素材から選択される少なくとも1種(以下、「(B)成分」ともいう。)を用いる。(B)成分は1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0017】
(糖類)
本発明における糖類としては、糖を1以上含有する物であればよく、例えば単糖類、二糖類、多糖類、糖アルコール、及びこれらの誘導体、並びに、糖類を熱処理して得られるカラメルなどが挙げられる。糖類は1種を使用してもよく、2種以上を使用することもできる。
【0018】
本発明における単糖類とは、それ以上加水分解されない糖類である。単糖類としては、例えばグルコース、プシコース、リボース、デオキシリボース、マンノース、ラムノース、ガラクトース、キシロース、アラビノース、フルクトース、フコース、リブロース、アロース、キシルロースなどが挙げられる。
【0019】
本発明における二糖類とは、単糖がグリコシド結合を形成して1分子となった糖のことである。二糖類としては、同じ糖または異なる種の糖より構成されてもよく、例えばスクロース、乳糖、トレハロース、ツラノース、セロビオース、ラクツロースなどが挙げられる。
【0020】
本発明における多糖類とは、三糖以上のものであれば特に限定されない。多糖類としては、例えばデキストリン、オリゴ糖、セルロース、プルラン、ポリデキストロース、グリコーゲン、キチン、アガロース、カラギーナン、ヘパリン、ヒアルロン酸、キシログルカンなどが挙げられる。なお、本発明におけるオリゴ糖とは、三糖以上の多糖類を指し、二糖はオリゴ糖の概念には含まれない。
【0021】
デキストリンとしては、デキストリン、マルトデキストリン、イソマルトデキストリン(分岐マルトデキストリン)、焙焼デキストリン、高分子デキストリン、難消化性デキストリンなどが挙げられる。
【0022】
オリゴ糖としては、ラフィノース、パノース、マルトトリオース、メレジトース、ゲンチアノース、アカルボース、スタキオース、ガラクトオリゴ糖、フラクトオリゴ糖、マンナンオリゴ糖、イソマルトオリゴ糖、キシロオリゴ糖、大豆オリゴ糖、ニゲロオリゴ糖、乳果オリゴ糖、シクロデキストリン(環状オリゴ糖)などが挙げられる。
【0023】
セルロースとしては、植物由来のセルロース、又はバクテリアセルロース、微生物産生若しくは動物産生のセルロース及びこれらの誘導体などが挙げられる。セルロース誘導体としては、メチルセルロース、エチルセルロース、プロピルセルロース、ニトロセルロース、アセチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースなどが挙げられる。セルロースは粉末化、結晶化されていてもよい。
【0024】
本発明における糖アルコールとは、糖分子のカルボニル基が還元され,水酸基になることにより得られる鎖式多価アルコールのことである。糖アルコールとしては、例えばキシリトール、ソルビトール、マンニトール、還元麦芽糖、ラクチトール、オリゴ糖アルコール、エリスリトール、低糖化還元水飴、高糖化還元水飴、還元パラチノースなどが挙げられる。
【0025】
本発明におけるカラメルとは、糖類を熱処理して得られたものであり、より詳しくは、第7版食品添加物公定書1991年で定義されている、(I)でん粉加水分解物、糖蜜又は糖類の食用炭水化物を、熱処理して得られたもの、又は酸もしくはアルカリを加えて熱処理して得られたもので、亜硫酸化合物およびアンモニウム化合物を使用していないもの、(II)でん粉加水分解物、糖蜜又は糖類の食用炭水化物に、亜硫酸化合物を加え、又はこれに酸もしくはアルカリを加えて熱処理して得られたもので、アンモニウム化合物を使用していないもの、(III)でん粉加水分解物、糖蜜又は糖類の食用炭水化物に、アンモニウム化合物を加えて、又はこれに酸もしくはアルカリを加えて熱処理して得られたもので、亜硫酸化合物を使用していないもの、(IV)でん粉加水分解物、糖蜜又は糖類の食用炭水化物に、亜硫酸化合物およびアンモニウム化合物を加えて、又はこれに酸もしくはアルカリを加えて熱処理して得られたもの、のいずれかに該当する褐色の液体または粉末である。
【0026】
糖類としては、これらの中でも、呈味向上の観点から、単糖類、二糖類、多糖類、糖アルコール、これらの誘導体、及びカラメルが好ましく、その中でも、単糖類としてグルコースが、二糖類として乳糖及び麦芽糖が、多糖類としてデキストリン、セルロース、プルラン及びポリデキストロースが、糖アルコールとして還元パラチノース、エリスリトール、キシリトール及び還元麦芽糖がそれぞれ好ましい。尚、デキストリンを用いる場合は、難消化性デキストリンを、セルロースを用いる場合は、粉末セルロース、結晶セルロース及びヒドロキシプロピルセルロースを好適に用いることができる。
【0027】
(B)成分として糖類を使用する場合、糖類の含有量は特に制限されないが、呈味向上の観点から、(A)ブラッククミン1質量部に対して、糖類を0.001~1000質量部含有させることが好ましく、0.01~100質量部含有させることがより好ましく、0.02~50質量部含有させることがよりさらに好ましく、0.1~10質量部含有させることが特に好ましい。
【0028】
(アミノ酸)
アミノ酸とは、アミノ基とカルボキシル基の両方の官能基を持つ有機化合物である。本発明におけるアミノ酸としては、例えば、ロイシン、イソロイシン、バリン、メチオニン、トレオニン、ヒスチジン、フェニルアラニン、リシン、トリプトファンといった必須アミノ酸、チロシン、システイン、アスパラギン酸、アスパラギン、セリン、グルタミン酸、グルタミン、プロリン、グリシン、アラニン、アルギニンといった非必須アミノ酸、テアニン、アラニン、オルニチン、シトルリンといったその他のアミノ酸が挙げられる。
なお、本発明において、アミノ酸とは、塩や誘導体も含む概念である。アミノ酸は1種を使用してもよく、2種以上を使用することもできる。
【0029】
アミノ酸としては、これらの中でも、呈味改善の観点から、必須アミノ酸として分岐鎖アミノ酸(ロイシン、イソロイシン及びバリン)、メチオニン、トレオニン、ヒスチジン、フェニルアラニン、リシン、トリプトファンが、非必須アミノ酸としてアルギニンが、その他のアミノ酸としてオルニチン、シトルリンが好ましい。
【0030】
アミノ酸としては、L-体、D-体、DL-体のいずれも使用できるが、呈味向上の観点から、L-体がより好ましい。
【0031】
アミノ酸としては、天然物より公知の方法で抽出精製して得たもの、公知の方法で化学合成して得たもの、微生物等を用いる発酵法によって得たものなど、いずれのものを用いることができる。また、市販品を用いることができる。
【0032】
本発明の経口組成物におけるアミノ酸の量は、公知の方法にて分析することができる。例えば、アミノ酸自動分析計を用いて分析することができる。
【0033】
(B)成分としてアミノ酸を使用する場合、アミノ酸の含有量は特に制限されないが、呈味向上の観点から、(A)ブラッククミン1質量部に対して、アミノ酸を0.001~1000質量部含有させることが好ましく、0.01~100質量部含有させることがより好ましく、0.02~50質量部含有させることがよりさらに好ましく、0.1~10質量部含有させることが特に好ましい。
【0034】
(流動化剤)
本発明における流動化剤とは、混合末や顆粒の流動性の改善を目的で使用される成分である。本発明における流動化剤としては、例えば、二酸化ケイ素、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸アルミン酸マグネシウム、リン酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、ステアリン酸、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、第三リン酸カルシウム、リン酸水素カルシウムなどが挙げられる。流動化剤は1種を使用してもよく、2種以上を使用することもできる。
【0035】
流動化剤としては、これらの中でも、呈味向上の観点から、二酸化ケイ素及びステアリン酸カルシウムが好ましい。
【0036】
(B)成分として流動化剤を使用する場合、流動化剤の含有量は特に制限されないが、呈味向上の観点から、(A)ブラッククミン1質量部に対して、流動化剤を0.001~1000質量部含有させることが好ましく、0.01~100質量部含有させることがより好ましく、0.02~50質量部含有させることがよりさらに好ましく、0.1~10質量部含有させることが特に好ましい。
【0037】
(緑葉素材)
本発明において、緑葉素材は、通常知られているとおりの意味の緑葉素材であれば、特に限定されず、例えば、緑葉野菜の茎葉の加工物を含む組成物である。本明細書では、「茎及び/又は葉」を「茎葉」とよぶ。緑葉野菜は通常知られているとおりの意味の緑葉野菜であれば特に限定されず、例えば大麦若葉、ハトムギ若葉、甘藷若葉、ケール、明日葉、クマザサ、ヨモギ、長命草、桑の葉、茶葉、ほうれん草、水菜、かぶの葉、セロリ、小松菜、大根の葉、人参の葉、ブロッコリー、しそ、春菊、パセリ、キャベツ、レタスなどが挙げられる。緑葉素材は1種を使用してもよく、2種以上を使用することもできる。
【0038】
緑葉素材としては、これらの中でも、呈味向上の観点から、大麦若葉、甘藷若葉、ケール、明日葉、クマザサ、ヨモギ、長命草、桑の葉及び茶葉が好ましい。
【0039】
緑葉野菜の茎葉の加工物は、通常知られる植物体の加工物であれば特に限定されず、例えば粉砕物及びその乾燥粉末(粉砕末とも言う)、細片化物、搾汁及びその乾燥粉末(搾汁末とも言う)並びに抽出物及びその乾燥粉末(抽出末とも言う)などが挙げられるが、得られる組成物の製造性向上、呈味改善の観点から、粉砕末が好ましい。抽出物は、適当な溶媒を用いて抽出することに得ることができ、溶媒としては、例えば、水、エタノール、含水エタノールを用いることができる。
【0040】
(B)成分として緑葉素材を使用する場合、緑葉素材の含有量は特に制限されないが、呈味向上の観点から、(A)ブラッククミン1質量部に対して、緑葉素材を0.001~1000質量部含有させることが好ましく、0.01~100質量部含有させることがより好ましく、0.02~50質量部含有させることがよりさらに好ましく、0.1~10質量部含有させることが特に好ましい。
【0041】
本発明における(B)成分の合計量は特に限定されないが、呈味向上の観点から、(A)ブラッククミン1質量部に対して、(B)成分を合計で0.001~1000質量部含有させることが好ましく、0.01~100質量部含有させることがより好ましく、0.02~50質量部含有させることがよりさらに好ましく、0.1~10質量部含有させることが特に好ましい。
【0042】
本発明の経口組成物は、(A)ブラッククミンと、(B)成分のみを含有するものであってもよいし、上記成分に加えて、その他の成分を含有してもよい。その他の成分の含有量は、本発明の組成物の利用形態などに応じて適宜選択することができる。
【0043】
本発明の経口組成物の形態としては、例えば、固形状剤、液剤が挙げられる。固形状剤としては、錠剤、顆粒剤、カプセル剤等を挙げることができる。これらの中でも、呈味改善の観点から、顆粒剤、錠剤の形態が好ましく、顆粒剤が特に好ましい。顆粒剤とは粉末を造粒した剤のことを言う。錠剤としては、裸錠、コーティング錠、徐放錠、口腔内速崩壊錠、バッカル錠、チュアブル錠等を挙げることができる。カプセル剤としては、ソフトカプセル剤、ハードカプセル剤等を挙げることができる。
【0044】
本発明の経口組成物の製造方法は特に限定されず、使用態様に応じて当業者に知られる一般的な製造方法に準じて製造できる。顆粒剤である場合、例えば、組成成分を流動層造粒法、攪拌造粒法、押出造粒法などの造粒方法に従って造粒して顆粒状とすることで、製造できる。錠剤である場合、例えば、混合機で組成成分を混合し、打錠機で打錠して作製することで、製造できる。打錠工程前に、造粒機を用いて造粒し、乾燥、整粒する工程を行ったり、打錠工程後にコーティング機で錠剤をコーティングする工程を設けたりしてもよい。
【0045】
本発明の経口組成物は、例えば、医薬品(医薬部外品を含む)や、特定保健用食品、栄養機能食品、機能性表示食品等の所定機関より効能の表示が認められた機能性食品などのいわゆる健康食品等として用いることができる。
【実施例0046】
以下、本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0047】
<官価試験>
ブラッククミンが有する不快な呈味のマスキング効果を、官能試験によって評価した。
【0048】
表1~4に示す組成の散剤を調製した。なお、被験試料の調製には下記の原料を使用した。
ブラッククミン:市販されているブラッククミン(Nigella sativa)の種子から抽出した、チモキノンを含有する粉末状の抽出物を使用した。
デキストリン:市販の難消化性デキストリンを使用した。
ポリデキストロース:市販のポリデキストロースを使用した。
セルロース:市販のヒドロキシプロピルセルロースを使用した、
ステアリン酸カルシウム:市販のステアリン酸カルシウムを使用した。
バリン:市販のL―バリンを使用した。
ロイシン:市販のL―ロイシンを使用した。
イソロイシン:市販のL―イソロイシンを使用した。
大麦若葉:大麦若葉の粉砕末(株式会社東洋新薬製)を使用した。
【0049】
得られた散剤50mgを粉末のまま、訓練されたパネラー4名に摂取させ、官能試験を行った。まずパネラー全員に、ブラッククミンそのもの(比較例1)を摂取させ、ブラッククミンが有する不快な呈味(舌がしびれる感覚と苦味)を認知してもらった。その後、デンプンを用いた比較例2を摂取させた。比較例1及び比較例2を基準に、各サンプル(実施例1~24)を評価してもらった。
【0050】
(ブラッククミンの不快な呈味の判定基準)
1:比較例1と同程度の舌がしびれる感覚と苦味がある。舌がしびれる感覚と苦味があるが強く、不快感が強い。
2:比較例1よりも舌がしびれる感覚と苦味が抑えられているが、比較例2よりも舌がしびれる感覚と苦味が強い。舌がしびれる感覚と苦味を強く感じ、不快感がある。
3:比較例2と同程度の舌がしびれる感覚と苦味があり、やや不快感がある。
4:比較例2よりも舌がしびれる感覚と苦味が抑えられている。舌がしびれる感覚と苦味はわずかに感じる程度であり、さほど不快感はない。
5:舌がしびれる感覚と苦味を感知できず、不快感はない。
【0051】
各パネラーの官能試験結果を基に、以下の基準で評価した。結果を表1~4に示す。
(総合評価)
××:パネラー4名全員が1の評価である。
× :パネラー4名全員が3以下の評価である。ただし、パネラー全員が1の評価であるものを除く。
△ :パネラー4名のうち1名が4以上の評価である。
○ :パネラー4名のうち2名が4以上の評価である。
◎ :パネラー4名のうち3名以上が4以上の評価である。
【0052】
【表1】
【0053】
【表2】
【0054】
【表3】
【0055】
【表4】
【0056】
表1~4に示す通り、ブラッククミンとともに、デキストリン、ポリデキストロース、セルロース、ステアリン酸カルシウム、バリン、ロイシン、イソロイシン、及び大麦若葉からなる1種を用いた場合には、総合評価が△以上であり、デンプンを用いた場合と比較して、ブラッククミンの不快な呈味が改善されていた(実施例1~24)。ブラッククミンの含有割合が50%であるサンプルを比較すると、デキストリン(実施例2)を用いた場合が○であり、ポリデキストロース(実施例5)、セルロース(実施例8)、ステアリン酸カルシウム(実施例12)、バリン(実施例14)、ロイシン(実施例17)、イソロイシン(実施例20)、大麦若葉(実施例23)を用いた場合が◎であることから、デキストリン、ポリデキストロース、セルロース、ステアリン酸カルシウム、バリン、ロイシン、イソロイシン、大麦若葉がブラッククミンの不快な呈味改善に優れており、ポリデキストロース、セルロース、ステアリン酸カルシウム、バリン、ロイシン、イソロイシン、大麦若葉がブラッククミンの不快な呈味改善に特に優れると考えられる。
【0057】
[顆粒剤1]
表5の配合にて、顆粒剤を製造した。得られた顆粒剤は、1日あたり3gを摂取すればよく、100mlの水に溶かして摂取することができる。いずれの顆粒剤もブラッククミンの不快な呈味が改善されており、嗜好性に優れたものである。
【0058】
【表5】
【0059】
[顆粒剤2]
表6の配合にて、顆粒剤を製造した。得られた顆粒剤は、1日あたり2gを摂取すればよく、水などに溶かさずにそのまま摂取することができる。いずれの顆粒剤もブラッククミンの不快な呈味が改善されており、嗜好性に優れたものである。
【0060】
【表6】
【0061】
[錠剤1]
表7の配合にて、錠剤を製造した。錠剤は、1粒250mgで製造した。得られた錠剤は1日あたり1~4粒を摂取すればよく、100mlの水などと共に摂取することができる。いずれの錠剤もブラッククミンの不快な呈味が改善されており、嗜好性に優れたものである。
【0062】
【表7】
【0063】
[錠剤2]
表8の配合にて、錠剤を製造した。錠剤は、1粒1500mgで製造した。得られた錠剤は1日あたり1~4粒を摂取すればよく、噛んで摂取することができる。いずれの錠剤もブラッククミンの不快な呈味が改善されており、嗜好性に優れたものである。
【0064】
【表8】
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明によれば、(A)ブラッククミンと(B)成分とを含有することにより、ブラッククミンの不快な呈味を改善し、嗜好性に優れた経口組成物を提供することができることから、産業上の有用性は高い。