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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024160989
(43)【公開日】2024-11-15
(54)【発明の名称】光学表示装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/30 20060101AFI20241108BHJP
   G02F 1/13363 20060101ALI20241108BHJP
   G02F 1/1335 20060101ALI20241108BHJP
   G02F 1/1337 20060101ALI20241108BHJP
   B32B 7/023 20190101ALI20241108BHJP
【FI】
G02B5/30
G02F1/13363
G02F1/1335 510
G02F1/1337 500
B32B7/023
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024074398
(22)【出願日】2024-05-01
(31)【優先権主張番号】10-2023-0058236
(32)【優先日】2023-05-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】590002817
【氏名又は名称】三星エスディアイ株式会社
【氏名又は名称原語表記】SAMSUNG SDI Co., LTD.
【住所又は居所原語表記】150-20 Gongse-ro,Giheung-gu,Yongin-si, Gyeonggi-do, 446-902 Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】弁理士法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】チョ,キョン ミン
(72)【発明者】
【氏名】キム,ポン チュン
(72)【発明者】
【氏名】ユ,ジョン フン
(72)【発明者】
【氏名】チョン,ソン ギョン
(72)【発明者】
【氏名】イ,ソン フン
【テーマコード(参考)】
2H149
2H290
2H291
4F100
【Fターム(参考)】
2H149AA13
2H149AB05
2H149BA02
2H149BA13
2H149CA02
2H149CA04
2H149DA02
2H149DA12
2H149DA24
2H149DA27
2H149EA02
2H149EA12
2H149EA22
2H149FA02Y
2H149FA03W
2H149FA05Y
2H149FA08Y
2H149FA12Y
2H149FA13Y
2H149FA24Y
2H149FA61
2H149FD05
2H149FD06
2H290AA73
2H290BA12
2H290BF13
2H290CA03
2H291FA22X
2H291FA22Z
2H291FA94X
2H291FB05
2H291FD12
2H291GA08
2H291GA22
2H291HA15
2H291HA20
2H291LA22
2H291LA25
2H291LA27
2H291PA04
2H291PA07
2H291PA53
2H291PA82
2H291PA87
4F100AJ06
4F100AJ06C
4F100AK02
4F100AK11C
4F100AK21
4F100AK41A
4F100AR00B
4F100AR00C
4F100AR00D
4F100AR00E
4F100BA04
4F100BA05
4F100BA07
4F100EJ37
4F100GB48
4F100JN10
4F100JN10D
4F100JN18
4F100JN18A
4F100JN18B
4F100JN18C
4F100YY00A
4F100YY00B
4F100YY00C
4F100YY00D
(57)【要約】
【課題】液晶層によって赤みを帯びた部分が発生するという問題を解消し、黒の視認性に優れ、画面品質に優れた光学表示装置を提供する。
【解決手段】液晶パネルと、前記液晶パネルの一面に積層された視認側偏光板と、を含み、前記液晶パネルは、液晶層のプレチルト角度が2゜以上5゜以下で、前記視認側偏光板は、前記液晶パネルから順次積層されたポジティブA層を含む第1位相差層と、ポジティブC層を含む第2位相差層と、偏光子と、を含み、前記視認側偏光板は、下記の数式1を満たす、光学表示装置:
Re1-205nm≧Rth2 ・・・[数式1]
(前記数式1において、Re1は、第1位相差層の波長550nmでの面内位相差(単位:nm)で、Rth2は、第2位相差層の波長550nmでの厚さ方向の位相差(単位:nm)である)。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液晶パネルと、前記液晶パネルの一面に積層された視認側偏光板と、を含み、
前記液晶パネルは、液晶層のプレチルト角度が2゜以上5゜以下で、
前記視認側偏光板は、前記液晶パネルから順次積層されたポジティブA層を含む第1位相差層と、ポジティブC層を含む第2位相差層と、偏光子と、を含み、前記視認側偏光板は、下記の数式1を満たす、光学表示装置。
Re1-205nm≧Rth2 ・・・[数式1]
(前記数式1において、
Re1は、第1位相差層の波長550nmでの面内位相差(単位:nm)で、
Rth2は、第2位相差層の波長550nmでの厚さ方向位相差(単位:nm)である)。
【請求項2】
数式1において、Re1-205nmは、-100nm以上-60nm以下である、請求項1に記載の光学表示装置。
【請求項3】
前記液晶層又は前記液晶パネルは、波長550nmでの面内位相差が330nm以上380nm以下である、請求項1に記載の光学表示装置。
【請求項4】
前記液晶層は、水平配向モードである、請求項1に記載の光学表示装置。
【請求項5】
前記液晶層は、物理的配向によって形成される、請求項1に記載の光学表示装置。
【請求項6】
前記液晶パネルは、前記液晶層、及び前記液晶層の一面に形成されたラビング処理された配向膜を含む、請求項1に記載の光学表示装置。
【請求項7】
前記液晶層は、正の複屈折性を有する、請求項1に記載の光学表示装置。
【請求項8】
前記ポジティブA層は、波長550nmでの面内位相差が100nm以上160nm以下である、請求項1に記載の光学表示装置。
【請求項9】
前記ポジティブA層の遅相軸は、前記偏光子の光吸収軸(0゜)を基準にして-1゜以上1゜以下である、請求項1に記載の光学表示装置。
【請求項10】
前記ポジティブA層は逆波長分散性である、請求項1に記載の光学表示装置。
【請求項11】
前記ポジティブC層は、波長550nmでの厚さ方向の位相差が-140nm以上-10nm以下である、請求項1に記載の光学表示装置。
【請求項12】
前記第2位相差層は、前記ポジティブC層単独である、又は前記ポジティブC層及び前記ポジティブC層の少なくとも一面に積層された第2保護層を含む、請求項1に記載の光学表示装置。
【請求項13】
前記ポジティブC層は、セルロースエステル系化合物又はその重合体、及び芳香族系化合物又はこれらの重合体のうち1種以上の化合物を含有する、請求項1に記載の光学表示装置。
【請求項14】
前記第1位相差層は、前記ポジティブA層単独である、又は前記ポジティブA層及び前記ポジティブA層の少なくとも一面に積層された第1保護層を含む、請求項1に記載の光学表示装置。
【請求項15】
前記第1保護層は、波長550nmでの面内位相差が10nm以下である、請求項14に記載の光学表示装置。
【請求項16】
前記偏光子と前記液晶パネルとの間には、位相差層として第1位相差層及び第2位相差層のみが含まれる、請求項1に記載の光学表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置は、液晶パネル、液晶パネルの一面に積層された視認側偏光板、及び液晶パネルの他の一面に積層された光源側偏光板を含む。
【0003】
液晶表示装置のうち光視野角を広げる液晶駆動モードとして、インプレーン(in-plane)スイッチングモードが使用されている。インプレーンスイッチングモードは、液晶が水平に配向されている状態の駆動モードである。インプレーンスイッチングモードとしては、インプレーンスイッチング(IPS)モード、フリンジフィールドスイッチング(FFS)モード、強誘電性液晶(FLC)モードなどがある。
【0004】
インプレーンスイッチングモードにおいて、液晶は、化学的方法である光配向又は物理的方法であるラビング(rubbing)によって配向させることができる。このうち、物理的方法であるラビングは、液晶パネル用基板に高分子フィルム又は配向剤で形成された配向膜を付着し、高分子フィルム又は配向膜を繊維で擦りながら一定の方向に溝を掘り、その溝によって液晶を配向する方法である。物理的方法は、液晶のチルトによって液晶の応答速度が速いという長所を有する。
【0005】
本発明の背景技術は、例えば、特開2006-251659号公報などに開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006-251659号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、液晶層によって赤みを帯びた(reddish)部分が発生するという問題を解消し、黒の視認性に優れ、画面品質に優れた光学表示装置を提供することにある。
【0008】
本発明の他の目的は、コントラスト比及び視野角を高め、色変化を最小化した光学表示装置を提供することにある。
【0009】
本発明の更に他の目的は、駆動時、液晶のチルト角度の変化による全方位での色偏差による視認性の低下を最小化した光学表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
一実施形態は、光学表示装置として、前記光学表示装置は、液晶パネルと、前記液晶パネルの一面に積層された視認側偏光板と、を含み、前記液晶パネルは、液晶層のプレチルト角度(pretilt angle)が2゜以上5゜以下で、前記視認側偏光板は、前記液晶パネルから順次積層されたポジティブA層を含む第1位相差層と、ポジティブC層を含む第2位相差層と、偏光子と、を含み、前記視認側偏光板は、下記の数式1を満たす
Re1-205nm≧Rth2 ・・・[数式1]
(前記数式1において、
Re1は、第1位相差層の波長550nmでの面内位相差(単位:nm)で、
Rth2は、第2位相差層の波長550nmでの厚さ方向位相差(単位:nm)である)。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、液晶層において赤みを帯びた部分が発生するという問題を解消し、黒の視認性に優れ、画面品質に優れた光学表示装置を提供することができる。
【0012】
本発明は、コントラスト比及び視野角を高め、色変化を最小化した光学表示装置を提供することができる。
【0013】
本発明は、駆動時、液晶のチルト角度の変化による全方位での色偏差による視認性の低下を最小化した光学表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施例の光学表示装置を示す断面図である。
図2】実施例1で赤みを帯びた部分が発生しなかったことを示す結果である。
図3】比較例1で赤みを帯びた部分が発生したことを示す結果である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図面を参考にして、本発明の属する技術分野で通常の知識を有する者が容易に実施できるように本発明を詳細に説明する。本発明は、様々な異なる形態で実現可能であり、ここで説明する実施形態に限定されない。
【0016】
ここで使用される用語は、例示的な各実施形態を説明するために使用されたものに過ぎなく、本発明を限定するためのものではない。単数の表現は、文脈上、明らかに異なる意味を有さない限り、複数の表現を含む。
【0017】
図面において、本発明を明確に説明するために説明と関係のない部分は省略し、明細書全体にわたって同一又は類似する構成要素に対しては同一の図面符号を付した。図面において、各構成要素の長さ及び大きさは、本発明を説明するためのものであって、本発明が図面に記載の各構成要素の長さ及び大きさに限定されることはない。
【0018】
本明細書において、「上部」と「下部」は、図面を基準にして定義したものであって、視・観点によって「上部」が「下部」に、「下部」が「上部」に変更されてもよく、「上」と称されるものは、直上のみならず、中間に他の構造を介在した場合も含み得る。その一方で、「直接上」、「直上」、「直接形成」又は「直接接して形成」と称されるものは、中間に他の構造を介在しないことを意味する。
【0019】
本明細書において、「面内方向位相差(Re)」、「厚さ方向位相差(Rth)」、及び「二軸性程度(NZ)」は、下記の数式A、数式B及び数式Cで表される:
【0020】
Re=(nx-ny)×d ・・・[数式A]
Rth=((nx+ny)/2-nz)×d ・・・[数式B]
NZ=(nx-nz)/(nx-ny) ・・・[数式C]
(数式A、数式B、及び数式Cにおいて、nx、ny、nzは、測定波長において、それぞれ該当の光学素子のx軸方向、光学素子のy軸方向、厚さ方向の屈折率で、dは、該当の光学素子の厚さ(単位:nm)である)。測定波長は、450nm、550nm及び/又は650nmであってもよい。
【0021】
本発明では、x軸方向を光学素子の遅相軸(slow axis)方向、y軸方向を光学素子の進相軸(fast axis)方向と定義する。光学素子は、位相差層(ポジティブC層及びポジティブA層を含む)、基材層及び/又は保護層であってもよい。
【0022】
本明細書において、「(メタ)アクリル」は、アクリル及び/又はメタクリルを意味する。
【0023】
本明細書において、数値範囲の記載時、「X乃至Y」は、X以上Y以下(X≦そして≦Y)を意味する。
【0024】
一実施形態によると、光学表示装置は、液晶層において赤みを帯びた部分が発生するという問題を解消した。必ずしもそうではないが、物理的方法で配向されたインプレーンスィッチングモードの液晶層を含む液晶パネルを備える光学表示装置においては、液晶層において赤みを帯びた部分が発生し得る。ここで、「赤みを帯びた部分」は、図3のように、画面の側面で赤色の色感が見えることを意味する。一実施形態によると、光学表示装置は、コントラスト比及び視野角を高め、色変化を最小化した。一実施形態によると、光学表示装置は、駆動時、液晶のチルト角度の変化による全方位での色偏差による視認性の低下を最小化した。
【0025】
一実施形態によると、光学表示装置は、液晶パネルと、液晶パネルの一面に積層された視認側偏光板と、を含み、液晶パネルは、液晶層のプレチルト角度が2゜以上5゜以下で、視認側偏光板は、液晶パネルから順次積層された、ポジティブA層を含む第1位相差層と、ポジティブC層を含む第2位相差層と、偏光子と、を含み、視認側偏光板は、下記で説明する数式1を満たす。
【0026】
光学表示装置は、液晶のプレチルト角度が2゜以上5゜以下である液晶層を備える液晶パネルを含み、上述した視認側偏光板を備えることによって、液晶層において赤みを帯びた部分が発生するという問題を解消し、コントラスト比及び視野角を高め、色変化を最小化し、液晶のチルト角度の変化による全方位での色偏差による視認性の低下を最小化した。
【0027】
以下、光学表示装置を詳細に説明する。
【0028】
[液晶パネル]
液晶パネルは、電圧の印加及び非印加によって液晶の配向が変わり、光源から出射される光を出射させることができる。
【0029】
液晶パネルは、一対の基板と、各基板の間に含まれた表示媒体としての液晶層と、液晶層の一面に形成されたラビング処理された配向膜と、を含んでもよい。一方の基板(カラーフィルター基板)には、カラーフィルター及びブラックマトリックスが積層されてもよい。他方の基板(活性マトリックス基板)には、液晶の電気光学的特性を制御するスイッチング素子(例:TFT)、及びスイッチング素子にゲート信号を付与する信号線と画素線が積層されていてもよいが、これに限定されない。
【0030】
一実施形態において、液晶パネルは、水平配向モードの液晶層として、IPS、FFS又はFLCモードの液晶層を採用してもよい。これを通じて、液晶表示装置は、視野角特性の改善効果を得ることができる。
【0031】
液晶パネル、例えば、液晶層は、プレチルト角度が2゜乃至5゜である。プレチルト角度が5゜を超えると、表示装置の光漏れが強くなるので、画面の映像を確実に実現できない場合がある。プレチルト角度が2゜未満であると、本発明の第1位相差層及び第2位相差層を備えたとしても、赤みを帯びた部分が生じるという問題を解消できない場合がある。
【0032】
液晶層の「プレチルト角度」は、液晶パネル又は液晶層に電圧が印加されていないときの液晶層のチルト角度を意味する。プレチルト角度は、通常、機械的なラビングによって発生し、プレチルト角度は、ラビング強度が強いほど増加する。ラビング強度が強いほど、液晶層のアンカーリングエネルギー(Anchoring Energy)が増加し、パネルへの電圧印加が遮断されたとき、元の位置に戻ろうとする力が強くなるので、応答速度が向上するという長所がある。
【0033】
液晶層の「プレチルト角度」は、液晶層の正面位相差及び傾斜面位相差を測定し、液晶層内の液晶の屈折率を反映して計算することができる。液晶層のプレチルト角度は、通常の位相差測定機(例えば、Axoscan)で容易に測定することができるが、これに限定されない。
【0034】
液晶層は、物理的配向方法によって形成された配向膜上で液晶の配向によって形成されてもよい。例えば、配向膜の形成方法は、次の通りであってもよいが、これに限定されない。所定の液晶配向剤が、例えば、ロールコーター法、スピンコート法、印刷法、インクジェット法などの適切な塗布方法によって基板に塗布される。液晶配向剤の塗布後、塗布した配向剤の液滴下を防止するなどの目的で、まず、予備加熱(プリベーク(prebake))が実施されることが好ましい。プリベーク温度は、例えば、30℃乃至200℃、40℃乃至150℃、40℃乃至100℃であってもよい。プリベーク時間は、例えば、0.25分乃至10分、0.5分乃至5分であってもよいい。そして、追加的に加熱(ポストベーク(postbake))工程が実施されてもよい。ポストベーク温度は、例えば、80℃乃至300℃、120℃乃至250℃であってもよい。ポストベーク時間は、例えば、5分乃至200分、例えば、10分乃至100分であってもよい。配向膜の厚さは、5nm乃至300nm、10nm乃至200nmであってもよい。
【0035】
形成された配向膜は、そのまま液晶の配向のための配向膜として使用することができる。しかし、形成された配向膜に対して配向能付与処理が実施されてもよい。配向能付与処理は、形成された配向膜を、例えば、ナイロン、レーヨン、コットンなどの繊維からなる布地を巻いたロールで一定方向に擦るラビング処理によって実施されてもよい。
【0036】
液晶層は、ラビング処理された配向膜に所定の液晶を塗布して硬化させることによって製造されてもよい。液晶層は、正の複屈折性を有するものであって、正又は負の誘電率異方性特性を有してもよい。「正の複屈折性」は、液晶層の光軸方向に屈折率が高いことを意味し、通常、ロッド(Rod)形態を有することができる。
【0037】
液晶層のプレチルト角度である2゜乃至5゜は、液晶層を形成するとき、ラビング処理の間にラビング強度を調節することによって実現されてもよい。液晶層のプレチルト角度によって応答速度に有意な差があってもよい。通常、ラビング強度が高いとアンカーリングエネルギーが高くなるので、明状態から暗状態への転換が速くなる。液晶層のプレチルト角度である2゜乃至5゜は、速い応答速度に有利であるが、色相変化が激しいという短所がある。
【0038】
液晶層又は液晶パネルは、波長550nmでの面内位相差(△nd)が330nm乃至380nmであってもよい。上記範囲で、液晶層又は液晶パネルは、光透過率の最大値を有することができる。パネルモードによって、透過率の最大値を有する面内位相差(△nd)が変わってもよい。通常、IPSモードよりも、FFSモードで透過率の最大値を有する面内位相差(△nd)の値がさらに高くなり得る。これは、電圧がかかった時、ほとんどの液晶が横方向にスイッチングされるが、FFSモードには、IPSモードよりも縦方向及びツイストされる液晶の形態が多く存在するので、透過率の最大値を達成するためには、さらに高い面内位相差(△nd)が必要である。
【0039】
一実施形態によると、光学表示装置において、視認側偏光板のうち偏光子の光吸収軸に対して液晶層の遅相軸が実質的に直交し得る。
【0040】
[視認側偏光板]
視認側偏光板は、液晶パネルから順次積層された、ポジティブA層を含む第1位相差層と、ポジティブC層を含む第2位相差層と、偏光子と、を含み、下記の数式1を満たす。
【0041】
Re1-205nm≧Rth2 ・・・[数式1]

(数式1において、
Re1は、第1位相差層の波長550nmでの面内位相差(単位:nm)で、
Rth2は、第2位相差層の波長550nmでの厚さ方向位相差(単位:nm)である)。
【0042】
数式1は、液晶層のプレチルト角度が2゜乃至5゜であるとき、液晶層において赤みを帯びた部分が発生することなく、黒の視認性に優れ、画面品質に優れた視認側偏光板にするために考案されたものである。数式1は、視認側偏光板がポジティブA層及びポジティブC層を備えるときにうまく適用されてもよい。数式1を満足すると、液晶パネルのうち液晶層のプレチルト角度が2゜乃至5゜であったとしても、液晶層において赤みを帯びた部分が発生することなく、黒の視認性に優れ、画面品質に優れ、コントラスト比及び視野角を高め、色変化を最小化し、液晶層のプレチルト角度の変化による全方位での色偏差による視認性の低下を最小化することができる。
【0043】
数式1において、Re1-205nm>Rth2になることが好ましく、この場合、液晶層において赤みを帯びた部分の発生が全くないこともある。
【0044】
数式1は、第1位相差層、好ましくは、ポジティブA層の面内位相差(Re1)及び第2位相差層、好ましくは、ポジティブC層の厚さ方向位相差(Rth2)を調節することによって実現されてもよい。一実施形態において、数式1の「Re1-205nm」は、-100nm乃至-60nm、具体的には、-90nm乃至-65nm、例えば、-100nm、-99nm、-98nm、-97nm、-96nm、-95nm、-94nm、-93nm、-92nm、-91nm、-90nm、-89nm、-88nm、-87nm、-86nm、-85nm、-84nm、-83nm、-82nm、-81nm、-80nm、-79nm、-78nm、-77nm、-76nm、-75nm、-74nm、-73nm、-72nm、-71nm、-70nm、-69nm、-68nm、-67nm、-66nm、-65nm、-64nm、-63nm、-62nm、-61nm、-60nmであってもよい。
【0045】
一実施形態によると、視認側偏光板のうち、偏光子と液晶パネルとの間には、位相差層として第1位相差層及び第2位相差層のみが含まれてもよい。ここで、「位相差層」は、波長550nmでの面内位相差が10nm超過である位相差層を意味する。
【0046】
[第1位相差層]
第1位相差層は、ポジティブA層を含む。ポジティブA層は、nx>ny≒nz(nx、ny、nzは、それぞれポジティブA位相差層の波長550nmでの遅相軸方向の屈折率、進相軸方向の屈折率、厚さ方向の屈折率である)を満たす。
【0047】
ポジティブA層は、波長550nmでの面内位相差が100nm乃至160nm、例えば、100nm、105nm、110nm、115nm、120nm、125nm、130nm、135nm、140nm、145nm、150nm、155nm、160nm、具体的には、110nm乃至150nm、110nm乃至140nm、115nm乃至150nm、120nm乃至140nmであってもよい。上記範囲で、視認側偏光板は数式1を容易に満たし、液晶層のプレチルト角度が2゜乃至5゜であったとしても、液晶層において赤みを帯びた部分が発生するという問題を容易に解消することができる。
【0048】
ポジティブA層は、波長550nmでの厚さ方向位相差が50nm乃至80nm、例えば、50nm、55nm、60nm、65nm、70nm、75nm、80nmであってもよい。上記範囲で、上述した面内位相差に容易に到達し得る。
【0049】
ポジティブA層は、波長550nmでの二軸性程度が0.9乃至1.1、例えば、0.9、0.95、1.0、1.05、1.1になってもよい。上記範囲で、上述した面内位相差に容易に到達し得る。
【0050】
ポジティブA層は、逆波長分散性或いはフラット分散性であってもよい。「逆波長分散性」は、波長が増加するにつれて面内位相差が増加することを意味する。「フラット波長分散性」は、波長が増加するにつれて面内位相差が実質的に均一になることを意味する。
【0051】
一実施形態において、ポジティブA層は、Re(450)/Re(550)が1.05未満、例えば、0.8以上1.05未満になってもよい。ポジティブA層は、Re(650)/Re(550)が0.97超過、例えば、0.97超過1.1以下になってもよい。Re(450)、Re(550)、Re(650)は、それぞれポジティブA層の波長450nm、550nm、650nmでの面内位相差である。
【0052】
ポジティブA層は、上述した位相差及び分散性を実現できるものであれば、その材料は特に限定しない。
【0053】
一実施形態において、ポジティブA層は、非液晶性組成物で形成されてもよい。例えば、ポジティブA層は、高分子フィルムであってもよく、トリアセチルセルロースなどを含むセルロースエステル系樹脂、ノルボルナン、非晶性環状ポリオレフィンなどを含む環状オレフィンポリマー(COP)系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレートなどを含むポリエステル系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、非環状ポリオレフィン系樹脂、ポリメチル(メタ)アクリレート樹脂などを含むポリ(メタ)アクリレート系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、及び(メタ)アクリル系樹脂のうち1種以上を含むフィルムを含んでもよい。
【0054】
他の実施形態において、ポジティブA層は、液晶性組成物で形成されてもよい。例えば、液晶性組成物は、リアクティブメソゲン(reactive mesogen)を含んでもよい。リアクティブメソゲンは、光重合性官能基を有する反応性液晶単量体として、光配向、物理的配向又は機械的配向によって配向された後で硬化されることによって位相差を実現することができる。リアクティブメソゲンは、メソゲン基として、ビフェニル基、フェニルベンゾエート基、フェニルシクロヘキサン基、アゾキシベンゼン基、アゾメチン基、フェニルピリミジン基、ジフェニルアセチレン基、ジフェニルベンゾエート基、ビシクロヘキサン基、シクロヘキシルベンゼン基、テルフェニル基などの単位を含むことができる。これらの単位の末端は、シアノ基、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲンなどの置換基をさらに有することもできる。液晶性組成物は、重合性液晶単量体、重合性単量体、架橋剤、開始剤などをさらに含んでもよい。一実施形態において、液晶性組成物のうち液晶は、ロッド(rod)型液晶であってもよい。
【0055】
リアクティブメソゲンとしては、当業者に知られている通常の種類が使用されてもよい。ただし、リアクティブメソゲンは、配向及び硬化によって目的とする位相差を容易に実現できるが、高価であるという短所を有する。
【0056】
ポジティブA層は、面内方向で遅相軸及び進相軸を有する。ポジティブA層の遅相軸は、偏光子の光吸収軸(0゜)を基準にして-1゜乃至1゜、例えば、0゜であってもよい。上記範囲で、本発明の効果を容易に実現することができる。
【0057】
ポジティブA層は、厚さが50μm以下、具体的には0μm超過50μm以下、10μm乃至50μmになってもよい。上記範囲で、ポジティブA層が視認側偏光板に使用され得る。
【0058】
一実施形態において、第1位相差層は、ポジティブA層単独からなってもよい。
【0059】
他の実施形態において、第1位相差層は、ポジティブA層、及びポジティブA層の少なくとも一面に積層された第1保護層を含んでもよい。第1保護層は、下記で詳細に説明する。
【0060】
[第2位相差層]
第2位相差層は、ポジティブC層を含む。ポジティブC層は、nz>nx≒ny(nx、ny、nzは、それぞれ波長550nmでのポジティブC層の遅相軸方向、進相軸方向、厚さ方向の屈折率である)の関係を満たす。
【0061】
ポジティブC層は、液晶表示装置、具体的には、IPS、FFS又はFLCモードの液晶表示装置に適用したとき、側面色相変化の程度を抑制することによって画面品質を容易に改善することができる。
【0062】
ポジティブC層は、波長550nmでの厚さ方向位相差が-140nm乃至-10nm、例えば、-140nm、-135nm、-130nm、-125nm、-120nm、-115nm、-110nm、-105nm、-100nm、-95nm、-90nm、-85nm、-80nm、-75nm、-70nm、-65nm、-60nm、-55nm、-50nm、-45nm、-40nm、-35nm、-30nm、-25nm、-20nm、-15nm、-10nm、具体的には、-120nm乃至-45nm、-110nm乃至-55nm、-100nm乃至-65nm、-100nm乃至-70nm、-100nm乃至-80nmになってもよい。上記範囲で、数式1を容易に満たし、側面色相変化を低下させることによって画面品質を改善するという効果がある。
【0063】
ポジティブC層は、波長550nmで面内位相差が0nm乃至10nm、具体的には、0nm乃至8nm、0nm乃至5nmになってもよい。上記範囲で、ポジティブC層に入射される光に影響を与えない、又はポジティブC層から出射される光に影響を与えなくなり得る。
【0064】
ポジティブC層は、厚さが10μm以下になってもよい。上記範囲で、厚さ方向位相差に到逹することができ、厚さの薄型化効果を得ることができる。具体的には、ポジティブC層は、厚さが0μm超過10μm以下、0.5μm乃至10μmになってもよい。
【0065】
一実施形態において、ポジティブC層は、液晶性ポリマー、又は液晶性ポリマーを形成するモノマーを含有する液晶層であってもよい。
【0066】
他の実施形態において、ポジティブC層は、液晶性ポリマー、又は液晶性ポリマーを形成するモノマーを含有しない非液晶性層であってもよい。
【0067】
例えば、ポジティブC層用組成物は、セルロースエステル系化合物又はその重合体、及び芳香族系化合物又はこれらの重合体のうち1種以上の化合物を含有することができる。一実施形態において、ポジティブC層は、セルロースエステル系化合物又はその重合体、及び芳香族系化合物又はこれらの重合体のうち1種以上の化合物を含有することができる。セルロースエステル系化合物又はその重合体、及び芳香族系化合物又はこれらの重合体のうち1種以上の化合物は、上述したポジティブC層を容易に形成することができる。
【0068】
以下、セルロースエステル系化合物に対して説明する。
【0069】
セルロースエステル系化合物は、セルロースエステル系樹脂、セルロースエステル系オリゴマー、及びセルロースエステル系モノマーのうち1種以上を含むことができる。
【0070】
セルロースエステル系化合物は、セルロース上のヒドロキシル基とカルボン酸又はカルボン酸無水物との反応からの縮合反応生成物を含むことができる。
【0071】
セルロースエステル系化合物は、位置選択的に又はランダム(random)に置換されてもよい。位置選択性は、炭素13 NMRによってセルロースエステル上のC6、C3、C2の位置における相対的な置換度を決定することによって測定することができる。セルロースエステルは、所望の置換度及び重合度を有するセルロースエステルを提供するのに十分な接触時間、セルロースと一つ以上の炭素数1乃至20のアシル化剤とを接触させることによって通常の方法によって製造することができる。
【0072】
アシル化剤は、一つ以上の炭素数1乃至20の直鎖又は分岐鎖のアルキル又はアリールを有する、カルボン酸無水物、カルボン酸ハライド、ジケトン、又はアセト酢酸エステルであってもよい。カルボン酸の無水物の例は、酢酸無水物、プロピオン酸無水物、酪酸無水物、イソ酪酸無水物、吉草酸無水物、ヘキサン酸無水物、2-エチルヘキサン酸無水物、ノナン酸無水物、ラウリン酸無水物、パルミチン酸無水物、ステアリン酸無水物、安息香酸無水物、置換された安息香酸無水物、フタル酸無水物、及びイソフタル酸無水物のうち1種以上を含んでもよい。カルボン酸ハライドの例は、アセチル、プロピオニル、ブチリル、ヘキサノイル、2-エチルヘキサノイル、ラウロイル、パルミトイル、ベンゾイル、置換されたベンゾイル、及びステアリルクロリドを含んでもよい。アセト酢酸エステルの例は、メチルアセトアセテート、エチルアセトアセテート、プロピルアセトアセテート、n-ブチルアセトアセテート、及び3級ブチルアセトアセテートを含んでもよい。最も好ましいアシル化剤は、酢酸無水物、プロピオン酸無水物、酪酸無水物、2-エチルヘキサン酸無水物、ノナン酸無水物、ステアリン酸無水物などの炭素数2乃至20の直鎖又は分岐鎖アルキルカルボン酸無水物であってもよい。
【0073】
セルロースエステル系化合物の好ましい例としては、セルロースアセテート(CA)、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)、及びセルロースアセテートブチレート(CAB)を含んでもよいが、これに制限されない。
【0074】
一実施形態において、セルロースエステル系化合物は、2個の互いに異なるアシル基の置換基を有してもよい。アシル基のうち少なくとも1個以上は、芳香族置換基を含み、セルロースエステル系化合物は、相対的置換度(RDS、relative degree of substitution)がC6>C2>C3であってもよい。C6は、セルロースエステルのうち炭素6番での置換度、C2は、セルロースエステルのうち炭素2番での置換度、C3は、セルロースエステルのうち炭素3番での置換度を意味する。芳香族系化合物は、ベンゾエート、又は置換されたベンゾエートを含んでもよい。
【0075】
他の実施形態において、セルロースエステル系化合物は、下記の(a)及び(b)を有する位置選択的に(regioselective)置換されたセルロースエステル化合物を含んでもよい。
(a)複数個のクロモフォア-アシル置換基。
(b)複数個のピバロイル置換基。
【0076】
セルロースエステル系化合物は、約0.1乃至約1.2の水酸基置換度を有し、セルロースエステル系化合物は、約0.4乃至約1.6のクロモフォア-アシル置換度を有し、セルロースエステル系化合物のうち炭素2番でのクロモフォア-アシル置換度と炭素3番でのクロモフォア-アシル置換度の総和と、炭素6番でのクロモフォア-アシル置換度との差は約0.1乃至約1.6で、クロモフォア-アシルは下記の(i)、(ii)、(iii)、及び(iv)から選択されてもよい。
(i)(C6-20)アリール-アシル、このとき、アリールは、非置換又は1個乃至5個のRに置換され、
(ii)ヘテロアリール、このとき、ヘテロアリールは、N、O、及びSから選択される1個乃至4個のヘテロ原子を有する5員乃至10員の環で、ヘテロアリールは、非置換、又は1個乃至5個のRに置換され、
(iii)
【化1】

アリールは、C1-6アリール、
アリールは、非置換、又は1個乃至5個のRに置換され、
(iv)
【化2】

ヘテロアリールは、N、O、及びSから選択される1個乃至4個のヘテロ原子を有する5員乃至10員の環で、ヘテロアリールは、非置換、又は1個乃至5個のRに置換され、
それぞれのRは、独立して、ニトロ、シアノ、(C1-6)アルキル、ハロ(C1-6)アルキル、(C6-20)アリール-CO-、(C6-20)アリール、(C1-6)アルコキシ、ハロ(C1-6)アルコキシ、ハロ、N、O、及びSから選択される1個乃至4個のヘテロ原子を有する5員乃至10員のヘテロアリール、又は
【化3】
である。
【0077】
一実施例において、クロモフォア-アシルは、非置換又は置換のベンゾイル、又は非置換又は置換のナフチルであってもよい。
【0078】
一実施例において、クロモフォア-アシルは、下記の群から選択されてもよい。:
【化4】

【化5】

【化6】

【化7】
又は
【化8】
【0079】
このとき、*は、セルロースエステルの酸素に対するクロモフォア-アシル置換基の結合部位を示す。
【0080】
更に他の実施形態において、セルロースエステル系化合物は、下記の化学式1で表されるように、セルロースをなす糖単量体の水酸基[C2の水酸基、C3の水酸基、又はC6の水酸基]のうち少なくとも一部の水素が非置換又は置換されたアシル単位を有するエステル系化合物を含むことができる。
【化9】

[化学式1]
(化学式1において、nは、1以上の整数である。)
【0081】
セルロースエステル系化合物又はアシルのための置換基は、それぞれハロゲン、ニトロ、アルキル(例:炭素数1乃至炭素数20のアルキル基)、アルケニル(例:炭素数2乃至20のアルケニル基)、シクロアルキル(例:炭素数3乃至炭素数10のシクロアルキル基)、アリール(例:炭素数6乃至炭素数20のアリール基)、ヘテロアリール(例:炭素数3乃至炭素数10のアリール基)、アルコキシ(例:炭素数1乃至炭素数20のアルコキシ基)、アシル、及びハロゲン含有官能基のうち1種以上を含むことができる。置換基は、同一であってもよく、異なってもよい。
【0082】
「アシル」は、当業者に知られているように、R-C(=O)-*(*は、連結符号、Rは、炭素数1乃至炭素数20のアルキル基、炭素数3乃至炭素数20のシクロアルキル、炭素数6乃至炭素数20のアリール又は炭素数7乃至20のアリールアルキル)になってもよい。「アシル」は、セルロースでエステル結合を通じて(酸素原子を通じて)セルロースの環に結合される。
【0083】
「アルキル」、「アルケニル」、「シクロアルキル」、「アリール」、「ヘテロアリール」、「アルコキシ」、「アシル」は、便宜上、それぞれハロゲンを含まない非ハロゲン系である。第2位相差層用組成物は、セルロースエステル系単独であってもよく、又はセルロースエステル系が混合されて含まれてもよい。
【0084】
「ハロゲン」は、フッ素(F)、Cl、Br又はIを意味し、好ましくはFを意味する。
【0085】
「ハロゲン含有官能基」は、1個以上のハロゲンを含有する有機官能基として、芳香族、脂肪族又は脂環族官能基を含んでもよい。例えば、ハロゲン含有官能基は、ハロゲン置換された炭素数1乃至炭素数20のアルキル基、ハロゲン置換された炭素数2乃至炭素数20のアルケニル基、ハロゲン置換された炭素数2乃至20のアルキニル基、ハロゲン置換された炭素数3乃至炭素数10のシクロアルキル基、ハロゲン置換された炭素数1乃至炭素数20のアルコキシ基、ハロゲン置換されたアシル基、ハロゲン置換された炭素数6乃至炭素数20のアリール基、又はハロゲン置換された炭素数7乃至炭素数20のアリールアルキル基を意味し得るが、これに制限されない。
【0086】
「ハロゲン置換されたアシル基」は、R’-C(=O)-*(*は、連結符号、R’は、ハロゲン置換された炭素数1乃至炭素数20のアルキル基、ハロゲン置換された炭素数3乃至炭素数20のシクロアルキル、ハロゲン置換された炭素数6乃至炭素数20のアリール又はハロゲン置換された炭素数7乃至20のアリールアルキル)であってもよい。「ハロゲン置換されたアシル基」は、セルロースでエステル結合を通じて(酸素原子を通じて)セルロースの環に結合される。
【0087】
好ましくは、ポジティブC層用組成物は、アシル、ハロゲン又はハロゲン含有官能基に置換されたセルロースエステル系化合物を含んでもよい。さらに好ましくは、ハロゲンはフッ素であってもよい。ハロゲンは、セルロースエステル系化合物中に1重量%乃至10重量%で含まれてもよい。上記範囲で、ポジティブC層を容易に製造することができる。
【0088】
セルロースエステル系化合物としては、当業者に知られている通常の方法で製造されたり、商業的に販売される製品がポジティブC層の製造に使用されてもよい。例えば、置換基としてアシルを有するセルロースエステル系化合物は、上述した化学式1のセルロースをなす糖単量体又は糖単量体の重合体にトリフルオロ酢酸又はトリフルオロ酢酸無水物を反応させたり、トリフルオロ酢酸又はトリフルオロ酢酸無水物を反応させた後、アシル化剤(例えば、カルボン酸の無水物、又はカルボン酸)を追加的に反応させたり、又は、トリフルオロ酢酸又はトリフルオロ酢酸無水物及びアシル化剤を共に反応させることによって製造されてもよい。
【0089】
以下、芳香族系化合物に対して説明する。
【0090】
芳香族系化合物は、フェニル基を含み、ポリスチレン系化合物、フルオロベンゼン或いはジフルオロスチレン構造を含んでもよいが、これに制限されない。一実施形態において、ポリスチレン系化合物は、下記の化学式2の部分を含むことができる。
【0091】
[化学式2]
【化10】
【0092】
スチレン環上の置換基Rの例は、アルキル、置換のアルキル、ハロゲン、ヒドロキシ、カルボキシ、ニトロ、アルコキシ、アミノ、スルホネート、ホスフェート、アシル、アシルオキシ、フェニル、アルコキシカルボニル、シアノなどを含んでもよい。「置換のアルキル基」において、「置換」は、水素原子が上述した置換基のうちいずれか一つに置換されたことを意味する。
【0093】
一実施形態において、R、R、及びRのうち一つ以上は、ハロゲン、さらに好ましくはフッ素であってもよい。
【0094】
ポジティブC層用組成物は、溶媒をさらに含むことができる。溶媒は、プロピレングリコールメチルエーテル、プロピルレングリコールメチルエーテルアセテート(PGMEA)、メチルイソプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、メタノール、エチルアセテート、ジクロロメタン、シクロペンタノン、テトラヒドロフラン、及びメチル3次ブチルエーテルのうち1種以上を含む有機溶媒を含んでもよい、これに限定されない。
【0095】
ポジティブC層用組成物は、芳香族融合環を有する化合物をさらに含んでもよい。芳香族融合環を有する化合物は、ポジティブC位相差層の厚さ方向位相差の発現率及び波長分散性を調節する役割をする。芳香族融合環を有する化合物は、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、ピレン、下記の構造1又は下記の構造2を含んでもよい。芳香族融合環を有する添加剤としては、2-ナフチルベンゾエート、下記の構造3の2,6-ナフタレンジカルボン酸ジエステル、ナフタレン、下記の構造4のアビエトサンエステルなどを含んでもよいが、ここに限定されない:
【0096】
【化11】

[構造1]
【0097】
【化12】

[構造2]
【0098】
【化13】

[構造3]
(構造3において、Rは、C1乃至C20のアルキル又はC6乃至C20のアリールで、nは、0乃至6の整数である。)
【0099】
【化14】

[構造4]
(構造4において、Rは、C1乃至C20のアルキル又はC6乃至C20のアリールである。)
【0100】
好ましくは、芳香族融合環を有する化合物は、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、ピレン、2-ナフチルベンゾエート、及び構造3の2,6-ナフタレンジカルボン酸ジエステルのうち1種以上を含んでもよい。
【0101】
芳香族融合環を有する化合物は、ポジティブC層中に0重量%乃至30重量%、具体的には0.1重量%乃至30重量%、好ましくは10重量%乃至30重量%で含まれてもよい。上記範囲で、熱安定性を高め、厚さ当たりの位相差発現率を高め、波長分散性を調節するという効果がある。
【0102】
ポジティブC層用組成物は、可塑化剤、安定剤、UV吸収剤、ブロック防止剤、スリップ剤、潤滑剤、染料、顔料、遅延改善剤などの添加剤をさらに含んでもよい。
【0103】
一実施形態において、第2位相差層は、ポジティブC層単独であってもよい。
【0104】
他の実施形態において、第2位相差層は、ポジティブC層、及びポジティブC層の少なくとも一面に積層された第2保護層を含んでもよい。第2保護層は下記で説明する。
【0105】
第1位相差層と第2位相差層は、粘着層又は接着層によって貼り合わせてもよい。
【0106】
[保護層(第1保護層又は第2保護層を意味する。)]
保護層は、第1位相差層又は第2位相差層に含まれ、偏光板の機械的強度を高めたり、ポジティブA層又はポジティブC層を形成する基材フィルムであってもよい。
【0107】
保護層は、光学的に透明なフィルムであってもよい。例えば、保護層は、全光線透過率が90%以上、例えば、90%乃至100%であってもよい。上記範囲で、偏光板に入射されて出射される光に影響を与えなくなり得る。
【0108】
保護層は、光学的異方性フィルム又は光学的等方性フィルムを含んでもよい。
【0109】
一実施形態において、保護層は、波長550nmでの面内位相差が10nm以下、例えば、0nm乃至10nmであってもよい。上記範囲で、ポジティブC位相差層から入射又は出射される光に影響を与えなくなり得る。
【0110】
一実施形態において、保護層は、波長550nmでの厚さ方向位相差が-10nm乃至10nm、例えば、0nm乃至5nmであってもよい。上記範囲で、偏光板に入射される光に影響を与えないか、ポジティブC位相差層から入射又は出射される光に影響を与えなくなり得る。
【0111】
保護層は、トリアセチルセルロースなどを含むセルロースエステル系樹脂、ノルボルナン、非晶性環状ポリオレフィンなどを含む環状ポリオレフィン(COP)系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどを含むポリエステル系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、非環状-ポリオレフィン系樹脂、ポリメチル(メタ)アクリレート樹脂などを含むポリ(メタ)アクリレート系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、及びアクリル系樹脂のうち1種以上を含むフィルムを含んでもよい。
【0112】
[偏光子]
偏光子は、入射される光を直交する2個の偏光成分に分離し、一方の偏光成分は透過させ、他方の偏光成分は吸収する機能を有する吸収型偏光子である。
【0113】
偏光子の光透過率は、40%以上、具体的には40%乃至45%であってもよい。偏光子の偏光度は、95%以上、具体的には95%乃至100%、さらに具体的には98%乃至100%であってもよい。上記範囲で、正面明暗比をより一層改善することができ、耐久性を向上させることができる。
【0114】
偏光子は、二色性染料を含有し、一軸延伸された偏光子を含んでもよい。具体的には、二色性染料を含有する偏光子は、偏光子用基材フィルムをMD一軸に延伸し、二色性染料(例:ヨウ素又はヨウ素含有物質としてヨウ化カリウムを含む。)で染色して製造された偏光子を含んでもよい。偏光子用基材フィルムは、ポリビニルアルコール系フィルム又はその誘導体を含んでもよいが、これに制限されない。偏光子は、当業者に知られている通常の方法によって製造されてもよい。
【0115】
偏光子は、厚さが1μm乃至40μm、具体的には5μm乃至30μm、さらに具体的には10μm乃至25μmになってもよい。上記範囲で、偏光子が偏光板に使用されてもよい。
【0116】
視認側偏光板は、偏光子の光出射面に下記で説明する第3保護層をさらに含んでもよい。
【0117】
[第3保護層]
第3保護層は、偏光子の上部面(光出射面)に配置され、偏光子を保護する。第3保護層は、下記で説明する軸間の角度調節を通じて正面明暗比の改善効果、側面色相変化の改善効果及び黒の視認性の改善効果を提供することもできる。
【0118】
一実施形態において、第3保護層は、光学的等方性フィルムを含んでもよい。
【0119】
他の実施形態において、第3保護層は、光学的異方性フィルムを含んでもよい。
【0120】
第3保護層は、面内方向のうち屈折率が高い軸及び屈折率が低い軸を備える。ここで、「屈折率が高い軸」と「屈折率が低い軸」は、第3保護層の面内方向の2個の軸であるx軸及びy軸のうち屈折率を相対的に比較して定義したものである。特に制限されないが、第3保護層で面内方向のうち屈折率が高い軸及び屈折率の低い軸は、保護層を製造する工程中に延伸によって形成されてもよい。例えば、屈折率が高い軸は遅相軸、屈折率が低い軸は進相軸であってもよい。第3保護層は、面内方向のうち、上述した屈折率が低い軸及び屈折率が高い軸を有するためにTD一軸に延伸されたり、或いはMD及びTD二軸に延伸され、TD側の延伸倍率がMD側の延伸倍率よりも高い二軸延伸保護フィルムを含んでもよい。
【0121】
偏光子の面内方向のうち屈折率が高い軸(光吸収軸)を基準(0゜)としたとき、第3保護層の面内方向のうち屈折率が低い軸がなす角度は-10゜乃至+10゜である。上記角度範囲で、虹ムラの抑制効果がある。
【0122】
本明細書において、「角度」を表示するとき、「+」は、0゜を基準としたとき、時計回りでの角度を意味し、「-」は、0゜を基準としたとき、反時計回りでの角度を意味する。偏光子の面内方向のうち屈折率が高い軸は、偏光子の長さ方向(MD、machine direction)に、屈折率が低い軸は、偏光子の幅方向(TD、transverse direction)であってもよい。
【0123】
一実施形態において、第3保護層は、波長550nmでの面内位相差(Re)が5,000nm以上、具体的には5,000nm乃至15,000nm、さらに具体的には5,000nm乃至12,000nmであってもよい。上記範囲で、虹ムラを効果的に抑制することができる。一実施形態において、第3保護層は、波長550nmでの厚さ方向位相差(Rth)が6,000nm以上、具体的には6,000nm乃至15,000nm、さらに具体的には6,000nm乃至12,000nmであってもよい。上記範囲であれば、液晶表示装置の視野角の向上を図りつつ、複屈折によるスポットの発生を制御することができる。一実施形態において、第3保護層は、波長550nmでの二軸性程度(NZ)が2.5以下、具体的には1.0乃至2.2、さらに具体的には1.2乃至2.0、最も具体的には1.3乃至1.6であってもよい。上記範囲であれば、フィルムの機械的強度を維持しつつ、複屈折によるスポットの発生を制御することができる。
【0124】
一実施形態において、第3保護層は、光学的に透明な樹脂で形成されたフィルムを含んでもよい。例えば、第3保護層は、トリアセチルセルロースなどを含むセルロースエステル系樹脂、ノルボルナン、非晶性環状ポリオレフィンなどを含む環状ポリオレフィン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどを含むポリエステル系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、非環状-ポリオレフィン系樹脂、ポリメチル(メタ)アクリレート樹脂などを含むポリ(メタ)アクリレート系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、及びポリ塩化ビニリデン系樹脂のうち1種以上を含む保護フィルムを含んでもよい。
【0125】
第3保護層は、単一層であってもよく、又は単一層の樹脂フィルムが複数個積層される場合、共押出によって複数個の積層が一体に形成されたフィルムも含むことができる。
【0126】
他の実施形態において、第3保護層は、保護コーティング層であってもよい。保護コーティング層は、当業者に知られている通常の組成物で形成されてもよい。
【0127】
第3保護層は、厚さが1μm乃至100μm、具体的には5μm乃至100μm、10μm乃至90μm、15μm乃至85μmであってもよい。上記範囲で、第3保護層が偏光板に使用されてもよい。
【0128】
第3保護層の上部面には、ハードコーティング層、耐指紋性層、反射防止層などの追加的な機能性コーティング層がさらに形成されてもよい。また、偏光子と第3保護層は、粘着層及び/又は接着層によって積層されてもよい。
【0129】
[光源側偏光板]
光源側偏光板は、偏光子、偏光子の光入射面に積層された保護層、及び偏光子の光出射面に積層された保護層を含んでもよい。ここで、偏光子の光入射面に積層された保護層は、上述した第1保護層、第2保護層又は第3保護層であってもよい。また、偏光子の光出射面に積層された保護層は、上述した第1保護層、第2保護層又は第3保護層であってもよい。
【0130】
光学表示装置において、光源側偏光板のうち偏光子の光吸収軸は、視認側偏光板のうち偏光子の光吸収軸と実質的に直交し得る。ここで、「実質的に直交」は、光源側偏光板のうち偏光子の光吸収軸と、視認側偏光板のうち偏光子の光吸収軸とがなす角度が85゜乃至95゜、例えば、90゜であることを意味する。
【0131】
図1は、本発明の一実施例の光学表示装置を示す断面図である。
【0132】
図1を参照すると、液晶表示装置は、液晶パネル100、液晶パネル100の一面に積層された視認側偏光板、及び液晶パネル100の他の一面に積層された光源側偏光板200を含み、視認側偏光板は、液晶パネル100から順次積層されたポジティブA層10、ポジティブC層20、偏光子30、及び保護層40を含んでもよい。
【0133】
以下、本発明の好ましい実施例を通じて、本発明の構成及び作用をさらに詳細に説明する。ただし、下記の実施例は、本発明の理解を促進するためのものであって、本発明の範囲が下記の実施例に限定されることはない。
【実施例0134】
[実施例1]
ポリビニルアルコール系フィルム(KURARAY社、VF-TS#4500、厚さ:45μm)を、30℃でフィルムの長さを基準にして2倍でポリビニルアルコールフィルムのMDに一軸延伸し、ヨウ素を吸着させた後、60℃のホウ酸水溶液でさらに延伸することによって偏光子(厚さ:17μm、屈折率:1.52)を製造した。
【0135】
基材フィルム(トリアセチルセルロースフィルム、波長550nmでの面内位相差:5nm)にポジティブC層用組成物[フッ素含有ポリスチレン系重合体を含む。VM500、EASTMAN社]を塗布して乾燥させ、基材フィルム上にポジティブC層を形成した。
【0136】
MD方向に一軸延伸された環状オレフィンポリマー(COP)系フィルム(Zeon社、ZM film)をポジティブA層(逆波長分散性)として使用した。
【0137】
製造したポジティブC層とポジティブA層とを粘着層で合わせ、基材フィルムにポジティブC層及びポジティブA層が順次積層された積層体を製造した。
【0138】
製造した偏光子の下部面に積層体を合わせ、基材フィルムを偏光子と合わせ、製造した偏光子の他の一面に保護層(ポリエチレンテレフタレートフィルム)を合わせることによって視認側偏光板を製造した。視認側偏光板のうち偏光子の光吸収軸を0゜としたとき、ポジティブA層の遅相軸は0゜、すなわち、平行をなす。
【0139】
下記の表1のプレチルト角度が3゜である液晶層を備えるIPS液晶パネルを準備した。
【0140】
上記と同一の方法で偏光子を製造し、偏光子の一面にトリアセチルセルロースフィルム(波長550nmでの面内位相差:0nm)を合わせ、偏光子の他の一面に保護層(ポリエチレンテレフタレートフィルム)を合わせることによって光源側偏光板を製造した。
【0141】
液晶パネルの光出射面に製造した視認側偏光板を合わせ(視認側偏光板のうちポジティブA層を液晶パネルに最も隣接させた)、光入射面に製造した光源側偏光板を合わせることによって(光源側偏光板のうちトリアセチルセルロースフィルムを液晶パネルに最も隣接させた)光学表示装置用モジュールを製造した。
【0142】
[実施例2乃至実施例4]
実施例1において、ポジティブC層及びポジティブA層の構成を下記の表1のように変更した点を除いては、実施例1と同一の方法で光学表示装置用モジュールを製造した。
【0143】
[比較例1]
実施例1において、視認側偏光板のうちポジティブC層及びポジティブA層を含まない視認側偏光板(ポリエチレンテレフタレートフィルム-偏光子-トリアセチルセルロースフィルムが順次積層された偏光板)を使用した点を除いては、実施例1と同一の方法で光学表示装置用モジュールを製造した。
【0144】
[比較例2乃至比較例3]
実施例1において、視認側偏光板のうちポジティブC層及びポジティブA層を下記の表1のように変更した点を除いては、実施例1と同一の方法で光学表示装置用モジュールを製造した。
【0145】
実施例と比較例の偏光板に対して下記の表1の物性を評価し、その結果を表1、図2及び図3に示した。
【0146】
(1)色相値のうちMax b*値:シミュレーションプログラム(Techwiz 1D)でMax b*値を計算した。入射角0゜~89゜、方向角0゜~359゜の範囲において、1゜単位で計算した。この計算値は単純な参考値である。偏光板の透過率スペクトル、パネルの各種素子の拡散、及び吸収程度によって異なる値が出る。したがって、Max b*値が低いほど赤い色が少なく見える。
【0147】
(2)視認性評価の結果:FFSモードパネル(BOE、中国)に実施例及び比較例で製造された視認側偏光板を付着させ、目視で評価した。
【0148】
【表1】

【0149】
表1のように、本発明の偏光板は、Max b*値が低いので、液晶層による赤みを帯びた部分の発生程度が低く、黒の視認性に優れるので、画面品質も優れていた。その一方で、本発明の数式1を満たさないか、ポジティブC層及びポジティブA層を備えない比較例の偏光板は、本発明の効果を得ることができなかった。図2のように、本発明の偏光板は、液晶層による赤みを帯びた部分の発生がなかったことを確認することができる。その一方で、図3のように、比較例の偏光板は、赤みを帯びた部分が発生したことを確認することができる。
【0150】
本発明の単純な変形及び変更は、この分野で通常の知識を有する者によって容易に実施可能であり、このような変形や変更は、いずれも本発明の領域に含まれるものと見なすことができる。
【符号の説明】
【0151】
10 ポジティブA層
20 ポジティブC層
30 偏光子
40 保護層
100 液晶パネル
200 光源側偏光板
図1
図2
図3