(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024161000
(43)【公開日】2024-11-15
(54)【発明の名称】触覚対応ゲーミングコントローラ
(51)【国際特許分類】
G06F 3/01 20060101AFI20241108BHJP
A63F 13/285 20140101ALI20241108BHJP
【FI】
G06F3/01 560
A63F13/285
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024074662
(22)【出願日】2024-05-02
(31)【優先権主張番号】63/500,344
(32)【優先日】2023-05-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】18/515,745
(32)【優先日】2023-11-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】515233476
【氏名又は名称】シラス ロジック インターナショナル セミコンダクター リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】ジャンコ,マルコ
(72)【発明者】
【氏名】スミス,ジェームズ
(72)【発明者】
【氏名】スキナー,ニコラス
(72)【発明者】
【氏名】カーティス,グラハム
【テーマコード(参考)】
5E555
【Fターム(参考)】
5E555AA08
5E555BA20
5E555BB20
5E555DA24
5E555FA00
(57)【要約】 (修正有)
【課題】本開示は、触覚対応デバイス及びシステム、特に触覚対応ゲーミングコントローラに関する。
【解決手段】ゲーミングコントローラであって、触覚アクチュエータ、及び触覚ドライバを備え、触覚ドライバは、優勢な周波数F2を有する駆動信号で触覚アクチュエータを駆動し、駆動信号が触覚アクチュエータにどのように印加されるかを制御して、優勢な周波数F1を有する所望の触覚効果を少なくとも部分的にエミュレートする触覚効果を生成するように構成され、この場合F2>F1である、ゲーミングコントローラ。
【選択図】
図5A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゲーミングコントローラであって、
触覚アクチュエータ、及び
触覚ドライバ、を備え、
前記触覚ドライバは、優勢な周波数F2を有する駆動信号で前記触覚アクチュエータを駆動し、前記駆動信号が前記触覚アクチュエータにどのように印加されるかを制御して、優勢な周波数F1を有する所望の触覚効果を少なくとも部分的にエミュレートする触覚効果を生成するように構成され、この場合F2>F1である、前記ゲーミングコントローラ。
【請求項2】
F2は前記触覚アクチュエータの共振周波数F0またはその付近であり、及び/または
F2は100Hzを超え、さらに好ましくは150Hzを超え、及び/または
F1は100Hz未満、さらに好ましくは20~80Hzの範囲であり、及び/または
F1及びF2は、F1における駆動信号から触覚アクチュエータ応答までのゲインがF2よりもA倍低くなるように設定され、この場合A>2、任意選択でA>5、任意選択でA>10である、請求項1に記載のゲーミングコントローラ。
【請求項3】
前記制御は、
前記駆動信号が前記触覚アクチュエータにいつ印加され、いつされないかを制御すること、
前記印加される駆動信号の大きさを制御すること、
前記印加される駆動信号の位相を制御すること、
前記印加される駆動信号の極性を制御すること、
F2の値を制御し、任意選択でF0を追跡すること、
前記印加される駆動信号の離散パルスの先端が急峻なアタックプロファイルを有するように、及び/または前記印加される駆動信号の離散パルスの後端が急峻な制動プロファイルを有するように、前記駆動信号を修正すること、及び
前記触覚アクチュエータ及び/または前記触覚ドライバのインピーダンスが修正されたかのごとく前記触覚アクチュエータが動作するように、前記駆動信号を修正すること、の少なくとも1つを含む、請求項1に記載のゲーミングコントローラ。
【請求項4】
前記触覚アクチュエータは、
リニア共振アクチュエータ、LRA、及び
ボイスコイルモーター、VCMのうちの少なくとも1つである、またはそれを含む、請求項1に記載のゲーミングコントローラ。
【請求項5】
前記制御は、前記印加される駆動信号が所望の駆動信号を少なくとも部分的にエミュレートするように前記駆動信号を制御することを含み、前記所望の駆動信号は前記優勢な周波数F1を有し、前記所望の触覚効果を生成するように構成される、請求項1に記載のゲーミングコントローラ。
【請求項6】
前記優勢な周波数F1を有する前記所望の駆動信号及び/または前記所望の触覚効果は、
周期的な波形、
正弦波、三角波、方形波、長方形波、正ランプ鋸歯状波、または負ランプ鋸歯状波、
緩やかな上昇と急速な下降を有する修正された正弦波形、
不規則な波形、及び
任意選択で1つ以上のカスタムパラメータによって定義されるカスタマイズされた波形、の少なくとも1つを有する、請求項5に記載のゲーミングコントローラ。
【請求項7】
前記制御は、前記駆動信号を一連の離散パルスとして印加することを含み、任意選択で、各離散パルスは、前記駆動信号の1つ以上の振動を含む、請求項1に記載のゲーミングコントローラ。
【請求項8】
前記制御は、
各離散パルスの先端は急峻なアタックプロファイルを有し、及び/または各離散パルスの後端は急峻な制動プロファイルを有する、及び/または
前記触覚アクチュエータは、前記触覚アクチュエータ及び/または前記触覚ドライバのインピーダンスが修正されたかのように動作するように前記駆動信号を修正することを含む、請求項7に記載のゲーミングコントローラ。
【請求項9】
前記パルスのタイミング、大きさ、及び/または極性は、前記パルスがタイミング、大きさ、及び/または極性において前記所望の駆動信号のサンプルに対応するように構成され、及び/または
前記パルスの前記タイミングと前記大きさは、前記パルスの最大限大きい値が前記所望の駆動信号のサンプリングされたバージョンを再現するように選択される、請求項7に記載のゲーミングコントローラ。
【請求項10】
前記パルスは、前記所望の駆動信号の正及び負のピークのサンプルとタイミングが一致する、及び/または
前記パルスの前記タイミング及び前記大きさは、前記パルスの最大限大きい値が前記所望の駆動信号の極大値及び/または極小値に対応するように選択される、請求項9に記載のゲーミングコントローラ。
【請求項11】
前記パルスは、所望の駆動信号の前記優勢な周波数F1のナイキストレートに対応するレートで生成される、請求項7に記載のゲーミングコントローラ。
【請求項12】
前記制御は、前記印加される駆動信号の包絡線が前記所望の駆動信号の少なくとも一部を含むように、前記駆動信号の振幅を変調することを含む、請求項1に記載のゲーミングコントローラ。
【請求項13】
前記所望の駆動信号の前記一部が、前記所望の駆動信号の周期または振動の少なくとも30%、40%、または50%を含む、請求項12に記載のゲーミングコントローラ。
【請求項14】
前記所望の触覚効果及び/または前記優勢な周波数F1及び/または前記所望の触覚効果の波形を示すコマンド信号を受信すること、及び前記コマンド信号に基づいて、前記触覚アクチュエータに前記駆動信号がどのように印加されるかを制御することを含む、請求項1に記載のゲーミングコントローラ。
【請求項15】
前記触覚アクチュエータが第1の触覚アクチュエータであり、前記駆動信号が第1の駆動信号であり、
前記ゲーミングコントローラは第2の触覚アクチュエータを備え、
前記触覚ドライバは、優勢な周波数F2bを有する第2の駆動信号で前記第2の触覚アクチュエータを駆動し、前記第2の駆動信号が前記第2の触覚アクチュエータにどのように印加されるかを制御して、優勢な周波数F1bを有する所望の触覚効果を少なくとも部分的にエミュレートする触覚効果を生成するように構成され、この場合F2b>F1bである、請求項1に記載のゲーミングコントローラ。
【請求項16】
F2bは、F2と実質的に同じであるか、またはF2とは異なる、及び/または
F1bはF1と実質的に同じであるか、またはF1と異なる、請求項15に記載のゲーミングコントローラ。
【請求項17】
前記印加される第1の駆動信号及び前記印加される第2の駆動信号が、
互いに同期する、または
互いに実質的に位相が異なっており、好ましくは互いに実質的に180°位相が異なっており、及び/または相互に相補的な信号である、または
互いに実質的に同位相であり、好ましくは互いに実質的に同じである、または
互いの間に目標位相差を有し、任意選択で、前記目標位相差が制御可能であるように制御される、請求項15に記載のゲーミングコントローラ。
【請求項18】
前記第1の触覚アクチュエータ及び前記第2の触覚アクチュエータは、それらの振動軸が2次元または3次元で、
同一線上にある、または
互いに平行である、または
互いに垂直である、または
同一直線上になく、互いに平行でも互いに垂直でもないように取り付けられる、請求項15に記載のゲーミングコントローラ。
【請求項19】
前記ゲーミングコントローラは、N個の触覚アクチュエータHAxを備え、この場合x=1~Nであり、N≧2であり、
前記触覚ドライバは、対応する優勢な周波数F2xを有する対応する駆動信号DSxで前記N個の触覚アクチュエータHAxのそれぞれを駆動するように構成され、
前記触覚ドライバは、前記N個の触覚アクチュエータHAxのそれぞれについて、その駆動信号DSxがその触覚アクチュエータHAxにどのように印加されるかを制御して、前記N個の触覚アクチュエータを用いて、少なくとも部分的に、優勢な周波数F1を有する所望の触覚効果をエミュレートする触覚効果を生成するように構成され、各優勢な周波数F2xはF1より大きい、請求項1に記載のゲーミングコントローラ。
【請求項20】
ゲーミングコントローラであって、
N個の触覚アクチュエータHAx、この場合x=1~Nであり、N≧1である、及び
触覚ドライバ、を備え、
前記触覚ドライバは、
対応する優勢な周波数F2xを有する対応する駆動信号DSxで前記N個の触覚アクチュエータHAxのそれぞれを駆動し、
前記N個の触覚アクチュエータHAxのそれぞれについて、その駆動信号DSxがその触覚アクチュエータHAxにどのように印加されるかを制御して、前記N個の触覚アクチュエータを用いて、少なくとも部分的に、優勢な周波数F1を有する所望の触覚効果をエミュレートする触覚効果を生成するように構成され、各優勢な周波数F2xはF1より大きい、前記ゲーミングコントローラ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、触覚対応デバイス及びシステム、特に触覚対応ゲーミングコントローラに関する。このようなデバイス及びシステムは、触覚アクチュエータと、触覚アクチュエータを駆動するための触覚ドライバとを備え得る。
【背景技術】
【0002】
振動トランスデューサは、触覚フィードバックの分野を含む、さまざまな技術分野で使用されている。よく知られているように、触覚(またはハプティクス)テクノロジーは、ユーザに力、振動、または動きを加えることによって、接触体験、または触覚体験を作り出す。触覚トランスデューサを使用すると、ユーザに力を加えて触覚体験(触覚フィードバックとも呼ばれる)を与えることができ、それは、オーディオまたはビジュアル体験などの別のユーザ体験を伴い、及び/または強化し、または進行中のプロセスの状態に関する触覚情報を単にユーザに提供する。例えば、触覚振動は、ゲームアプリケーションでの没入感を付与することができる。
【0003】
リニア共振アクチュエータ(LRA)は、共振または共振付近の狭帯域で動作するとき電力効率が高くなる。LRAはまた比較的高速であり、そのため、正確な触覚効果に有用である。これらの理由により、LRAは通常、モバイルフォンつまり携帯電話などのバッテリ駆動のモバイルデバイスで使用され、電力効率が高く、強力かつ正確な触覚フィードバックをユーザにもたらし、例えば、機械的なボタン押しの効果を再現する。ボイスコイルモーター(VCM)はLRAに似ているが、周波数応答範囲がより広い。
【0004】
偏心回転質量モーター(ERM)は通常、LRA及びVCMよりもはるかに低速であり、ランブルタイプ-またはその他の低周波数-の触覚フィードバックに、より適している。これらの理由により、ERMは通常、ゲーミングコントローラにて低周波の触覚効果をもたらすために使用される。ゲーミングコントローラまたはゲームコントローラは、ビデオゲームまたはビデオゲームに入力をするエンターテイメントシステムで使用するためのデバイスとみなされ得る。コントローラは、エンターテイメントシステムに入力をするだけの入力デバイス、またはエンターテイメントシステムからデータを受信して応答(例えば、ランブルなどの触覚応答、または音声応答)を生成する入出力デバイスであり得る。
【0005】
ただし、ゲーミングコントローラではERMの代わりにLRAまたはVCMを採用することが所望されている。一方ではLRAとVCM、他方ではERMの周波数特性が大きく異なることを考えると、これは課題を作り出す。
【0006】
このような課題に対処することが望ましい。
【発明の概要】
【0007】
本開示の第1の態様によれば、ゲーミングコントローラであって、触覚アクチュエータ、及び触覚ドライバを備え、触覚ドライバは、優勢な周波数F2を有する駆動信号で触覚アクチュエータを駆動し、駆動信号が触覚アクチュエータにどのように印加されるかを制御して、優勢な周波数F1を有する所望の触覚効果を少なくとも部分的にエミュレートする触覚効果を生成するように構成され、この場合F2>F1である、ゲーミングコントローラが提供される。
【0008】
F2はF1よりも大幅に大きくなり得、例えば、前者は150Hzを超え(例えば、触覚アクチュエータの共振周波数またはその付近)、後者は100Hz未満(触覚アクチュエータの駆動効率が特に不良)になる。
【0009】
本開示の第2の態様によれば、ゲーミングコントローラであって、N個の触覚アクチュエータHAxであって、x=1~Nであり、N≧1であるN個の触覚アクチュエータHAx、及び触覚ドライバであって、対応する優勢な周波数F2xを有する対応する駆動信号DSxでN個の触覚アクチュエータHAxのそれぞれを駆動し、N個の触覚アクチュエータHAxのそれぞれについて、その駆動信号DSxがその触覚アクチュエータHAxにどのように印加されるかを制御して、N個の触覚アクチュエータを用いて、少なくとも部分的に、優勢な周波数F1を有する所望の触覚効果をエミュレートする触覚効果を生成するように構成され、各優勢な周波数F2xはF1より大きい、触覚ドライバを備えるゲーミングコントローラが提供される。
【0010】
本開示の第3の態様によれば、ゲーミングコントローラまたは自動車システムの触覚アクチュエータを駆動するための触覚ドライバであって、優勢な周波数F2を有する駆動信号で触覚アクチュエータを駆動し、駆動信号が触覚アクチュエータにどのように印加されるかを制御して、優勢な周波数F1を有する所望の触覚効果を少なくとも部分的にエミュレートする触覚効果を生成するように構成され、この場合F2>F1である、触覚ドライバが提供される。
【0011】
本開示の第4の態様によれば、触覚効果生成方法であって、触覚アクチュエータを、優勢な周波数F2を有する駆動信号で駆動すること、及び優勢な周波数F1を有する所望の触覚効果を少なくとも部分的にエミュレートする触覚効果を生成するために、駆動信号がどのように触覚アクチュエータに印加されるかを制御することを含み、この場合、F2>F1である方法が提供される。
【0012】
本開示の第5の態様によれば、共振周波数を有するアクチュエータ、好ましくはLRAまたはVCMなどの触覚アクチュエータを駆動するためのシステム及び方法であって、アクチュエータ(例えば、触覚振動)によって出力する所望の効果の指示を受信することであって、所望の効果は比較的低い周波数を有し、好ましくは、所望の効果は、アクチュエータの共振周波数よりも低い主要なまたは優勢な周波数F1を有する、受信すること、受信された指示に基づいて触覚駆動信号を生成することであって、触覚駆動信号は比較的高い周波数を有し、好ましくは触覚駆動信号は主要なまたは優勢な周波数F2を有し、この場合F2>F1である、生成すること、及び触覚駆動信号を使用してアクチュエータを駆動することであって、触覚駆動信号は、ユーザに対する所望の効果の感覚をエミュレートするために生成される、駆動すること、を含むシステム及び方法が提供される。
【0013】
本開示の第6の態様によれば、集積回路(IC)であって、触覚アクチュエータと結合される触覚ドライバ出力段と、触覚ドライバ出力段によって出力される触覚駆動信号を生成するデジタル信号プロセッサ(DSP)であって、結合された触覚アクチュエータによって生成される触覚効果の指示を受信し、受信した指示を触覚ドライバ出力段によって出力される触覚駆動信号に変換するDSPとを含む、集積回路(IC)が提供される。好ましくは、触覚駆動信号は、生成される触覚効果の主要なまたは優勢な周波数よりも高い主要なまたは優勢な周波数を有する。
【0014】
対応する装置/デバイスの態様、方法の態様、コンピュータプログラムの態様、及び記憶媒体の態様が想定される。ある態様の特徴を別の態様に適用することも、その逆も可能である。
【0015】
これより、単なる例として、添付の図面を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】LRAの例示的な周波数応答を示すグラフである。
【
図3】例示的な触覚アクチュエータとしてのLRAの制御を理解するのに有用である概略図である。
【
図4】所望の駆動信号と、駆動信号の印加を制御することによって形成される一連のLRAパルスとを示すグラフである。
【
図5A】第1及び第2の触覚アクチュエータを有する、本発明を具体化するホストの概略図である。
【
図5B】第1及び第2の触覚アクチュエータを有する、本発明を具体化するホストの概略図である。
【
図6】
図4に対応するグラフを示しており、1つは第1の触覚アクチュエータを駆動するためのものであり、もう1つは第2の触覚アクチュエータを駆動するためのものである。
【
図7】所望の駆動信号と、その包絡線が所望の駆動信号に対応するように振幅変調された駆動信号とを示すグラフである。
【
図8】
図7に相応するが、所望の駆動信号が任意の波形形状を有し得ることを理解するのに有用であるグラフである。
【
図9】対応するホストにおける触覚アクチュエータの異なる構成例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下の説明では、本開示による例示的な実施形態を説明する。さらなる例示的な実施形態及び実装形態は、当業者には明らかであろう。さらに、当業者は、後に論じる実施形態の代わりに、またはそれに関連して、様々な等価な技術を適用することができ、そのような等価物はすべて本開示に包含されるものとみなすべきであることを認識するであろう。
【0018】
前述したように、LRA/VCMとERMの周波数特性は大きく異なる。
【0019】
LRAを例にとると、
図1はLRAの例示的な周波数応答を示すグラフであり、この例では約180Hzの共振周波数F0で特徴的な「鋭い」共振ピークを示している。
【0020】
しかしながら、ゲーミングコントローラに展開される触覚アプリケーションは、通常、
図1に示すように、20~80Hz帯域の周波数F1での触覚効果を求め、これは、LRAの応答が通常不良/低い共振周波数から遠く離れている。例えば、F1での駆動信号からLRA応答までのゲインは、F0の場合よりも5分の1、または10分の1にさえもなる可能性がある。F1などの低周波で強い感覚を作り出すためにLRAに通電するには、多大な電力が必要であり、LRAの駆動コイルを損傷する可能性がある。これを念頭に置いて、ゲーミングコントローラでは通常LRAではなくERMが採用されている、なぜならそれらが、このような周波数では電力効率が高く効果的だからである。
【0021】
ここでは、実行例として、周波数F1は、所望の低周波触覚効果の周波数として取り上げられ、周波数F2は、通常LRA/VCM共振周波数F0またはその近くで、LRAまたはVCMを駆動するのに適した比較的高い周波数として取り上げられる。概観すると、本発明者らは、第1のアプローチにおいて、高周波インパルスまたはパルスを使用して、対応する低周波駆動信号を「サンプリング」することにより、所望の低周波触覚効果の「感覚」を作り出すことを提案している。パルス間の間隔は、所望の低周波駆動信号に適合し得る。第2のアプローチとして、本発明者らは、高周波信号を低周波包絡線で振幅変調することにより、所望の低周波触覚効果の「感覚」を作り出すことを提案する。実際、ユーザの皮膚/身体はフィルタ(ローパスフィルタ)として機能し、所望の触覚効果が感じられる。
【0022】
図2は、本発明を具体化するホスト100の概略図である。ホスト100はホストシステムまたはホストデバイスと見なされ得るが、簡潔にするために単にホストと称される。本開示は、その状況に応じて理解されるであろう。
【0023】
ホスト100は、触覚対応ホストとも呼ばれることがあり、消費者向けデバイスまたはシステムである場合がある。実行例として、ホスト100はゲーミングコントローラと見なされる。
【0024】
図2に示すように、ホスト100は、エンクロージャ101、触覚ドライバ110、触覚アクチュエータ120、及び任意選択でセンサ130を含むことができる。ホスト100は、触覚アクチュエータ120なしで設けられて、その後、触覚アクチュエータ120に取り付けることができる。触覚ドライバ110は、例えばホスト100の製造中に取り付けられるように、ホスト100とは独立して設けてもよい。
【0025】
エンクロージャ101は、ホスト100のさまざまなコンポーネントを収容するための任意の適切なハウジング、ケース、シャーシ、またはその他のエンクロージャを備え得る。エンクロージャ101は、プラスチック、金属、布地、及び/または他の任意の適切な材料から構築され得る。さらに、エンクロージャ101は、いくつかの構成において、ホスト100がユーザ(つまり、人、消費者)によって容易に使用可能となるように適合される(例えば、サイズ決めされる、及び形作られる)場合がある。
【0026】
触覚ドライバ110は、コントローラ、信号発生器、及び/または増幅器であるか、またはこれらを含んでもよい。触覚ドライバ110は、示されているように、駆動信号で触覚アクチュエータ120を駆動するように構成されている。具体的には、触覚ドライバ110は、優勢な周波数F2を有する駆動信号で触覚アクチュエータ120を駆動し、駆動信号が触覚アクチュエータ120にどのように印加されるかを制御して、優勢な周波数F1を有する所望の触覚効果を少なくとも部分的にエミュレートする、または、優勢な周波数F1を有する所望の触覚効果のように感じる触覚効果を生成するように構成され、この場合F2≠F1である。実行例では、F2>F1、またはF2>>F1である。
【0027】
触覚ドライバ110は、信号発生器(例えば、後述するデジタル信号プロセッサ、DSP)と触覚ドライバ出力段(例えば、信号の増幅を実行する)の組み合わせとして設けられ得る。このような信号発生器は触覚駆動信号を生成でき、触覚駆動出力段は触覚アクチュエータ120に接続され、触覚駆動信号を増幅することができる。本開示はその状況に応じて理解されるであろう。
【0028】
ここで、触覚アクチュエータ120を効率的かつ確実に駆動するために、優勢な周波数F2は触覚アクチュエータ120の共振周波数F0と同じかそれに近い値であり、優勢な周波数F1は優勢な周波数F2よりも低いか、大幅に低いか、または優勢な周波数F2から大きく離れていることが理解されるであろう。F0及びF2は100Hzを超えてもよく、さらに好ましくは150Hzを超えてもよい。例えば、F0及びF2は、170~185Hzの範囲にあってもよいし、180Hzであってもよい。F1は100Hz未満である場合もあれば、20~80Hzの範囲にある場合もある。
【0029】
触覚アクチュエータ120(または単にアクチュエータまたはトランスデューサ)は、LRA及び/またはVCMであるか、またはそれらを備え得る。触覚アクチュエータ120は、いくつかの構成では複数の実際のアクチュエータとして実装され得る。F1での駆動信号から触覚アクチュエータ応答までのゲインは、F0またはF2よりもA倍低くなる場合があり、それにおいてA>2、任意選択でA>5、任意選択でA>10である。
【0030】
触覚ドライバ110は、エンクロージャ101内に収容することができ、駆動信号で触覚アクチュエータ120を駆動するように構成された任意のシステム、デバイス、または装置を含むことができる。
【0031】
触覚ドライバ110の制御機能は、デジタル回路またはアナログ回路として、ハードウェアまたはプロセッサで動作するソフトウェア、またはこれらの任意の組み合わせとして実装することができる。このような制御機能には、プログラム命令またはコードを解釈及び/または実行し、及び/またはデータを処理するように構成された任意のシステム、デバイス、または装置が含まれる場合があり、プロセッサ、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、FPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)、またはプログラム命令を解釈及び/または実行し、及び/またはデータを処理するように構成されたいずれかの他のデジタルまたはアナログ回路が含まれ得るが、これらに限定されない。したがって、コードは、プログラムコードまたはマイクロコード、または例えば、ASICまたはFPGAをセットアップまたは制御するためのコードを含むことができる。コードはまた、再プログラム可能な論理ゲートアレイなどの再構成可能な装置を動的に構成するためのコードを含むこともできる。同様に、コードは、Verilog TMまたはVHDLなどのハードウェア記述言語のコードを含むことができる。当業者に理解されるように、コードは、互いに通信する複数の結合されたコンポーネント間で分散され得る。必要に応じて、そのような態様は、アナログハードウェアを構成するために、フィールド(再)プログラム可能なアナログアレイまたは同様のデバイス上で実行されるコードを使用して実装することもできる。実行用のプロセッサ制御コードは、ディスク、CD-ROM、DVD-ROMなどの不揮発性キャリア媒体、読み取り専用メモリ(ファームウェア)などのプログラムされたメモリ、または光信号キャリアまたは電気信号キャリアなどのデータキャリアで提供され得る。触覚ドライバ110またはその制御回路は、ICチップなどの集積回路として、またはその一部として設けられ得る。
【0032】
触覚ドライバ110の制御機能は、触覚効果生成方法とみなすことができる。そのような方法は、触覚アクチュエータ120を、優勢な周波数F2を有する駆動信号で駆動すること、及び優勢な周波数F1を有する所望の触覚効果を少なくとも部分的にエミュレートする触覚効果を生成するために、駆動信号がどのように触覚アクチュエータに印加されるかを制御することを含むことができ、この場合、F2≠F1である。再度、実行例では、F2>F1、またはF2>>F1である。
【0033】
図1には示されていないが、ホスト100は、ホスト100の動作を全体的に制御するように構成されたアプリケーションプロセッサなど、触覚ドライバ110とは別であるが触覚ドライバ110と通信するさらなるコントローラを備え得る。あるいは、そのようなさらなるコントローラの機能は、触覚ドライバ110によって設けられ得る。ホスト100は、ユーザ及び/または他のデバイスとの対話のための入力及び/または出力ユニット(I/Oユニット)と、メモリとを備えることもできる。メモリは、例えば触覚ドライバ110(及び任意のさらなるコントローラ)のためのプログラム命令及び/またはデータを一定期間保持するように構成され得る。
【0034】
駆動信号が触覚アクチュエータ120にどのように印加されるかという制御は、いつ駆動信号が触覚アクチュエータ120に印加される、及びされないか(すなわち、タイミング)、例えば経時的な印加される駆動信号の大きさ、例えば経時的な印加される駆動信号の位相、例えば経時的な印加される駆動信号の極性、及び例えば経時的なF2の値(例えば、F0の追跡)のいずれかを制御することを含んでもよい。つまり、駆動信号のこれらの特徴または特性はいずれも、経時的に変化、制御、または調整され得る。
【0035】
一般に、駆動信号が触覚アクチュエータ120にどのように印加されるかという制御は、印加される駆動信号の離散パルスの先端が急峻なアタックプロファイルを有するように、及び/または印加される駆動信号の離散パルスの後端が急峻な制動プロファイルを有するように、駆動信号を修正することを含んでもよい。制御は、触覚アクチュエータ及び/または触覚ドライバのインピーダンスが修正されたかのごとく触覚アクチュエータが動作するように、駆動信号を修正することを含んでもよい。これに関して、センサ130は、触覚アクチュエータのパフォーマンスを監視できるようにし、触覚アクチュエータ120の閉ループ制御を実行できるようにするために設けられ得る。センサ130の例示的な使用をよりよく理解するために、
図3を参照する。
【0036】
図3は、左側に、LRAの質量バネシステム201の電気的に等価なモデルを含む、線形システムとしてモデル化されたLRAの例(触覚アクチュエータ120の例として)を示す。この例では、LRAは電気的要素と機械的要素をもつ3次システムとしてモデル化されている。特に、ReとLeはそれぞれコイル-磁石システムのDC抵抗とコイルインダクタンスであり、Blはコイルの磁力係数である。駆動アンプ(触覚ドライバ110に対応)は、出力インピーダンスRoを有する電圧波形V(t)を出力する。端子電圧V
T(t)は、例えばセンサ130を介して、触覚トランスデューサ(触覚アクチュエータ120)の端子間で検知され得る。質量バネシステム201は速度u(t)で移動する。
【0037】
図3の左側にも示されているように、LRAなどの電磁負荷は、コイルインピーダンスZ
コイルと機械的インピーダンスZ
mechの和として見られるように、インピーダンスZ
LRAによって特徴付けることができる。コイルインピーダンスZ
コイルは、インダクタンスLeと直列に接続された直流(DC)抵抗Reとしてモデル化できる。同様に、機械インピーダンスZ
mechは、共振時の抵抗R
RES、静電容量C
MES、及びインダクタンスL
CESを含む3つのパラメータによって定義され得る。合計の機械インピーダンスと電気的に等価であるのは、R
RES、C
MES、L
CESの並列接続である。
【0038】
US 11,283,337 B2でより詳細に説明されているように、エネルギーがLRAに伝達されるにつれて、LRAの逆EMFのアタック時間が遅くなり得、LRAに蓄えられた機械エネルギーが放出されて、駆動信号が終了した後に逆EMFのいくばくかの「リンギング」が発生する可能性がある。触覚LRAのコンテキストでは、そのような動作特性により、「鮮明な」触覚応答ではなく、「鈍い」感覚のクリックまたはパルスが生じる可能性がある。この問題は、トランスデューサの共振周波数F0でインピーダンスの鋭いピークを伴う高品質係数Qを有するLRAに起因する可能性がある(
図1の周波数応答を参照)。
【0039】
図3の右側に示されているように、LRAは、修正された触覚トランスデューサ301として左側と同じようにモデル化できるが、ただし、触覚トランスデューサ301と直列に挿入された負のインピーダンスRe_negを備える負性抵抗抵抗器606を含んでいる。負のインピーダンスRe_negを追加することは、それが効果的にDC抵抗Reから減算されてそれにより全体のDC電気インピーダンスが低下するため、品質係数Qを低下させる可能性がある。
【0040】
実際には、負の抵抗器は存在しない。代わりに、負のインピーダンスフィルタ(図示されていないが、触覚ドライバ110にて実装される)は、右側に示される回路と実質的に同様に動作するように構成されたデジタルフィルタを備えることができ、これには、触覚トランスデューサ301の数学的モデルと直列の負のインピーダンスRe_negの数学的モデルが含まれる。動作中、負のインピーダンスフィルタは、図示するように、触覚トランスデューサ301にかかる電圧及び/または触覚トランスデューサ301によって引き出される電流に基づいて(センサ130によって測定されるように)、負のインピーダンスRe_negとDC抵抗Reの接続点で発生する電圧Vmを実質的に計算し得る(実際に、負のインピーダンスRe_negの物理的な抵抗器を触覚トランスデューサ301と直列に配置することができた場合)。次いで、計算された電圧Vmを使用して、触覚トランスデューサ301(触覚アクチュエータ120)を駆動することができる。この点に関するさらなる詳細及び関連する技術は、US 11,283,337 B2(上記)、US 11,121,661 B2、及びUS 10,828,672 B2にて提示されており、その全内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0041】
したがって、センサ130は、例えば、触覚アクチュエータ120にわたる電圧及び/または触覚アクチュエータ120によって引き出される電流を検出できる任意のセンサであってよい。センサ130は、いくつかの構成では、触覚アクチュエータ120の機械的パフォーマンスを検出するように構成され得る。例えば、センサ130は、電圧計、電流計、抵抗、マイクロフォン、加速度計、慣性測定ユニット、モーションセンサ、スピーカ、圧電センサ、温度センサ、及び力センサのうちの少なくとも1つを含むことができる。
【0042】
いくつかの構成では、センサ130は、触覚ドライバ110の一部として実装され得る。したがって、触覚ドライバ110及び/またはセンサ130は、アクチュエータ特性、例えば、電圧、電流、逆EMF、温度、及び/またはアクチュエータ共振周波数を監視及び追跡するように構成された監視回路を備え得る。触覚ドライバ110は、監視された特性に基づいて駆動信号を制御または調整するように構成され得る。
【0043】
したがって、触覚ドライバ110は、駆動信号が触覚アクチュエータ120にどのように印加されるかを制御するように構成され得、印加される駆動信号が、優勢な周波数F1を有し、所望の触覚効果を生成するように構成された所望の駆動信号を少なくとも部分的にエミュレートするようにする。優勢な周波数F1を有する所望の駆動信号及び/または所望の触覚効果は、周期性の波形、正弦波、三角波、方形波、長方形波、正ランプ鋸歯状波、または負ランプ鋸歯状波、緩やかな上昇と急速な下降を有する修正された正弦波形、不規則な波形、及び任意選択で1つ以上のカスタムパラメータによって定義されるカスタマイズされた波形のうちの少なくとも1つを有し得る。この時点で、経時的に変化する触覚効果を提供するために、経時的にF1の値を変更、制御、または調整できることに留意されたい。
【0044】
前述の第1のアプローチに合わせて、
図4を参照すると、これは、優勢な周波数F1を有する所望の駆動信号と、優勢な周波数F2を有する駆動信号の印加を制御することによって形成される一連のLRAパルスとを示すグラフである。駆動信号の大きさ(例えば、mV)は時間(例えば、ms)にわたって示され、後述する
図6~
図8においても同様である。前述のように、本発明者らは、優勢な周波数F2を有する駆動信号の高周波インパルスまたはパルスを使用して、所望の駆動信号(所望の触覚効果を作り出す)を「サンプリング」することによって、所望の低周波触覚効果の「感覚」を作り出すことを提案する。
【0045】
図4の最初の2つのパルスに示されているように、このような各パルスは離散パルス(つまり、駆動信号の非適用によって、または駆動信号がゼロの大きさである期間によって効果的に分離されている)であり得、駆動信号の1つ以上の振動を含むことができる。戻って
図3を参照すると、また最初の2つのパルスに関して
図4に示されているように、駆動信号は、各離散パルスの先端が急峻なアタックプロファイルを有するように、及び/または各離散パルスの終端が急峻な制動プロファイルを有するように修正することができる(
図4から明らかなように)。他のパルスも状況に応じて理解できる。例えば、駆動信号は、触覚アクチュエータ120及び/または触覚ドライバ110のインピーダンスが修正されたかのように触覚アクチュエータが動作するように修正することができる。
【0046】
図4にも示されているように、パルスのタイミング、大きさ及び/または極性は、パルスがタイミング、大きさ及び/または極性において所望の駆動信号のサンプルに対応するように構成される。例えば、
図4に示すように、パルスは、その正及び負のピークにおける所望の駆動信号のサンプルにタイミング的に対応し得、印加される駆動信号の極性は、最初の2つのパルスに明示的に示されるように、正及び負のピーク(極大値及び極小値)に合うように交互になる。
【0047】
別の構成では、図示するように、パルスは、所望の駆動信号の正のピークと負のピークのサンプルとタイミングが一致するが、印加される駆動信号の極性は、正のピークと負のピークに合うように交互に変化してはいない。例えば、パルスは(タイミングは所望の駆動信号の正と負のピークのサンプルに一致しながら)、図示のように交互の極性を有するのではなく、すべて正の極性を有するか、すべて負の極性を有する場合がある。例えば、振動の方向は人間の触覚では知覚できず、大きさだけが知覚できるため、極小値と極大値の位置に一致するタイミングで「正」極性のみのパルスを使用できるが、これは、上で説明したサンプリング概念に沿って極性が交互に変化するパルスと同じ効果をもたらす。
【0048】
また、
図4から明らかなように、生成されたパルス間の間隔は、所望の駆動信号、すなわち低周波のパターンに適応するように選択され得る。パルスは、所望の駆動信号の優勢な周波数F1のナイキストレートに対応するレートで生成され得る。このようにして、優勢な周波数F2を有する駆動信号で触覚アクチュエータを駆動しているにもかかわらず、所望の低周波効果の「感触」を生成することができる。
【0049】
もちろん、任意の数のパルスを使用することができ、所望の駆動信号(必ずしも極性が異なるとは限らない)のサンプルとして機能し、そのためユーザに対して所望の触覚効果の「感覚」を作り出す。この点で、異なるパルス/インパルスは異なる振幅を有する可能性がある。一連のパルスは、極性の観点から、正及び負のパルス、または正のパルスのみ、または負のパルスのみを含むことができる。また、所望の駆動信号は任意の波形を有し、パルス/インパルスがその波形をサンプリングして、そのため対応する所望の触覚効果を作り出すまたはエミュレートすることができることも理解されよう。
【0050】
所望の触覚効果は、複数の触覚アクチュエータを使用して生成することができる。
【0051】
図5Aは、本発明を具体化するホスト100M-1の概略図である。ホスト100M-1は、複数の触覚アクチュエータ120a及び120bと、任意選択で対応する複数のセンサ130a及び130bを備えることを除いて、ホスト100と同じである。触覚ドライバ110Mは、複数の触覚アクチュエータ120a及び120bを駆動するように構成されている点を除き、触覚ドライバ110と一致する。そのため、重複した説明は省略され得る。
【0052】
図2を参照すると、触覚アクチュエータ120aは、第1の触覚アクチュエータとみなされ、触覚アクチュエータ120aの駆動信号(第1の駆動信号)が触覚アクチュエータ120の駆動信号と同じである触覚アクチュエータ120に対応していてよい。このとき、触覚アクチュエータ120bは、第2の駆動信号で第2の触覚アクチュエータを駆動するように構成された触覚ドライバ110Mを備えた第2の触覚アクチュエータとみなされてもよい。具体的には、触覚ドライバ110Mは、優勢な周波数F2bを有する第2の駆動信号で第2の触覚アクチュエータ120bを駆動し、優勢な周波数F1bを有する所望の触覚効果を少なくとも部分的にエミュレートする触覚効果を生成するために、第2の駆動信号が第2の触覚アクチュエータ120bにどのように印加されるかを制御するように構成され得、この場合F2b≠F1bである。実行例では、F2b>F1b、またはF2b>>F1bである。F2bはF2と実質的に同じである、及び/またはF1bはF1と実質的に同じである可能性がある。
【0053】
図5Bは、本発明を具体化するホスト100M-2の概略図である。ホスト100M-2は、触覚アクチュエータ120a及び120bが、それぞれの触覚ドライバ110Ma及び110Mbによって駆動され、各々が触覚ドライバ110に対応する点を除いて、ホスト100M-1と同じである。このように、触覚ドライバ110Maは第1の駆動信号を生成し、触覚ドライバ100Mbは第2の駆動信号を生成する。触覚ドライバ110Maと110Mbの組み合わせは触覚ドライバ100Mに対応するため、重複する説明は省略され得る。
【0054】
第1のアプローチに関連する例として、
図6は、
図4に対応するグラフを示しており、1つは第1の触覚アクチュエータ120aを駆動するためのものであり、もう1つは第2の触覚アクチュエータ120bを駆動するためのものである。この例では、F2=F2b、F1=F1bである。また、第1の触覚アクチュエータ120aに対する第1の駆動信号は、触覚アクチュエータ120に対する駆動信号と同一であり(したがって、重複した説明は省略する)、第2の触覚アクチュエータ120bに対する第2の駆動信号は、第1の駆動信号に対する相補信号になる。すなわち、印加される第1の駆動信号と印加される第2の駆動信号は、互いに実質的に位相が異なるように、好ましくは互いに実質的に180°位相が異なるように、及び/または相互に相補的な信号となるように制御される。これは一連のパルスの対をもたらし、
図4と
図6の比較から分かるように、各対において2つのパルスは相補的な信号であるか、または反対の極性を有する。
【0055】
別の構成では、第1駆動信号と第2駆動信号は、実質的に互いに同位相であり得、実質的に互いに同じである場合さえもある。一般に、第1の駆動信号と第2の駆動信号は互いに同期していてもよい。他の位相差、例えば45°または90°も可能である。
【0056】
第1の触覚アクチュエータ120aと第2の触覚アクチュエータ120bは、振動軸が同一直線上、相互に平行、相互に垂直、または互いに対して任意の角度(2次元または3次元)で配置されるように取り付けることができる。軸が同一線上にある場合、第1の駆動信号と第2の駆動信号は互いに実質的に同位相である可能性があるが、構成によっては、これらの信号は互いに同位相でなくてもよく、逆位相になることさえあり得る。一般に、振動軸は互いに対して構成され得、第1の駆動信号と第2の駆動信号の位相は、様々な適用について異なるように互いに対して構成され得る。
【0057】
もちろん、ホスト100M-1または100M-2には任意の数の触覚アクチュエータを有し得、その触覚ドライバ110Mまたは触覚ドライバ110Ma及び110Mbは、対応する駆動信号でそれらを駆動するように構成できる。したがって、振動の相対的な軸と駆動信号の相対的な位相に関する考慮事項は、任意の数の触覚アクチュエータに適用され、適用ごとに異なる構成が存在し得る。
図9に、いくつかの例が示されており、以下でさらに詳しく説明する。
【0058】
前述の第2のアプローチに合わせて、また
図2のホスト100に戻り、
図7が参照され、これは、優勢な周波数F1を有する所望の駆動信号と、優勢な周波数F2を有する駆動信号とを示すグラフであり、駆動信号は、その包絡線が所望の駆動信号に対応するように振幅変調されている。前述のように、本発明者らは、高周波信号(アクチュエータの共振周波数またはその付近)を低周波包絡線で振幅変調することにより、所望の低周波触覚効果(所望の駆動信号に対応)の「感覚」を作り出すことを提唱している。振幅変調は、所望の低周波効果の信号包絡線に対応するように制御することができる。
【0059】
図7に示すように、駆動信号は、印加される駆動信号の包絡線が所望の駆動信号の少なくとも一部を構成するように変調され得る。例えば、所望の駆動信号の部分は、所望の駆動信号の周期または完全な振動の少なくとも30%、40%、または50%を構成することができる。つまり、駆動信号が所望の駆動信号の一部に対してのみ振幅変調されている場合でも、ユーザは所望の触覚効果を体験することができ、または生成された触覚効果は十分である可能性がある。一般に、変調信号(つまり、所望の駆動信号)は、所望の低周波効果と同じ周期で繰り返されるべきである。
図8に関連して説明したように、波形の「形状」は任意であり得るが、有利にも滑らかにしてアーチファクトを避けるようにする。
【0060】
図8は、
図7に相応するが、所望の駆動信号が任意の波形形状を有し得ることを理解するのに有用であるグラフである。簡単にするために、優勢な周波数F2を有する駆動信号は示されていないが、示されている所望の駆動信号にその包絡線が対応するように存在し、振幅変調されていることが理解されるであろう。この理解を助けるために、補足的な包絡線も破線で示されている。前述のように、優勢な周波数F1を有する所望の駆動信号及び/または所望の触覚効果は、周期性の波形、正弦波、三角波、方形波、長方形波、正ランプ鋸歯状波、または負ランプ鋸歯状波、緩やかな上昇と急速な下降を有する修正された正弦波形、不規則な波形、及び任意選択で1つ以上のカスタムパラメータによって定義されるカスタマイズされた波形のうちの少なくとも1つを有し得る。
【0061】
図5Aのホスト100M-1(または
図5Bのホスト100M-2)に合わせて、この第2のアプローチにも複数の触覚アクチュエータを使用でき、例えば、第1及び第2の触覚アクチュエータ120a及び120bが対応する駆動信号によって駆動されることが理解されよう。第1の触覚アクチュエータ120aに対する第1の駆動信号は、
図7に示すように
図2の触覚アクチュエータ120に対する駆動信号と同一であり得(したがって、重複した説明は省略する)、第2の触覚アクチュエータ120bに対する第2の駆動信号は、第1の駆動信号に対する相補信号になり得る。すなわち、印加される第1の駆動信号と印加される第2の駆動信号は、互いに実質的に位相が異なるように、好ましくは互いに実質的に180°位相が異なるように、及び/または相互に相補的な信号となるように制御され得る。
【0062】
上記の最初のアプローチと同様に、これは単なる例であり、2番目のアプローチでも同相駆動信号が想定されている。また、第1及び第2の触覚アクチュエータ120a、120bの振動軸も同様に、同一直線上、相互平行、相互直交、または(二次元または三次元で)互いに任意の角度で配置されてもよい。ホスト100M-1または100M-2には任意の数の触覚アクチュエータを有し得、その触覚ドライバ110Mまたは触覚ドライバ110Ma及び110Mbは、対応する駆動信号でそれらを駆動するように構成できる。したがって、振動の相対的な軸と駆動信号の相対的な位相に関する考慮事項は、同等にこの第2のアプローチに対して任意の数の触覚アクチュエータに適用され、適用ごとに異なる構成が存在し得る。
図9に、やはりいくつかの例が示されており、以下でさらに詳しく説明する。
【0063】
図面には示されていないが、触覚ドライバ110または110M、あるいは触覚ドライバ110Ma及び110Mbは、所望の触覚効果及び/または優勢な周波数F1及び/または所望の触覚効果の波形を示すコマンド信号を受信するように構成され得、どのようにしてコマンド信号に基づいて駆動信号が触覚アクチュエータに印加されるかを制御するように構成され得る。すなわち、触覚ドライバ110または110M、あるいは触覚ドライバ110Ma及び110Mbは、触覚アクチュエータ(複数可)によって出力される所望の触覚効果の指示を受信することができ、その触覚効果は触覚アクチュエータ(複数可)の共振周波数とは異なる周波数を有する。
【0064】
所望の触覚効果の指示は、もともと異なるアクチュエータタイプ(例えば、ERM)を意図した時変信号を含んでもよいし、または生成される特定のタイプの効果を指定するデータを含んでもよい(例えば、定められた期間30Hzトーンを生成する)。コマンド信号に基づいて、所望の低周波効果または所望の駆動信号は、本明細書に開示された技術に基づいて、調整された(高周波)駆動信号または駆動信号のセットにマッピングまたは変換され得、調整された高周波駆動信号(複数可)は、ユーザに対して所望の低周波効果をエミュレートまたは再現する。このようなコマンド信号は、ホスト100または100M-1または100M-2内で生成される場合もあれば、別のデバイスまたはシステムから受信される外部信号である場合もある。
【0065】
複数の触覚アクチュエータが使用される場合、それらのアクチュエータを組み合わせて使用して、所望の触覚効果を生成できることが理解されるであろう。ホスト100M-1を例にとると、ホスト100M-1はN個の触覚アクチュエータHAxを備えていると考えられ、この場合x=1~N、N≧2である。触覚ドライバ110M-1は、N個の触覚アクチュエータ120x(アクチュエータ120a及び120bは例である)のそれぞれを、対応する優勢な周波数F2xを有する対応する駆動信号DSxで駆動するように構成され得る。さらに、触覚ドライバ110M-1は、N個の触覚アクチュエータHAxのそれぞれについて、その駆動信号DSxがその触覚アクチュエータHAxにどのように印加されるかを制御して、N個の触覚アクチュエータを用いて、少なくとも部分的に、優勢な周波数F1を有する所望の触覚効果をエミュレートする触覚効果を生成するように構成され得、各優勢な周波数F2xはF1とは異なる(例えば、F1より大きい、またははるかに大きい)。この意味において、N個の触覚アクチュエータは、所望の触覚効果を少なくとも部分的にエミュレートする触覚効果を集合的に作り出すことができる。
【0066】
上述の
図9は、対応する例示的なホスト100M-A、100M-B、100M-C、及び100M-Dにおける触覚アクチュエータの異なる構成例を示す概略図である。
【0067】
ホスト100M-A、100M-B、100M-C、及び100M-Dのそれぞれは、ホスト100M-1または100M-2の詳細な実装形態と考えることができるため、重複した説明は省略する。ホスト100M-A、100M-B、100M-C、及び100M-Dは、単に振動軸及び駆動信号の位相に関して複数の触覚アクチュエータ間の相対的な構成をより良く理解するために提供される。
【0068】
各ホスト100M-A、100M-B、100M-C、及び100M-Dには、
図5A及び5Bに合わせて2つの触覚アクチュエータ120a及び120bが示されているが、任意の数の触覚アクチュエータを使用することができる。また、ホスト100M-A、100M-B、100M-C、及び100M-Dのそれぞれにおいて、触覚アクチュエータ120a及び120bの各々に対して、振動軸の向きの方向は、矢印の向きによって示されている。また、矢印の相対的な方向は、駆動信号の位相が同相(矢印が同じ方向を向いている)か、逆相(矢印が反対方向を向いている)かを示す。さらに、方向は2次元で互いに対して相対的に示されているが、相対的な方向は3次元であり得ることが認識される。
【0069】
ホスト100M-Aでは、触覚アクチュエータ120a及び120bは、任意の相対的な位置を有すると考えることができ、それらの振動軸も同様に、任意の相対的な方向を有すると考えることができる。エンクロージャ101は、相対的な位置/方向が適切であり得る特定の形状(概略的に示される)を有するように示されている。
【0070】
ホスト100M-Bでは、エンクロージャ101は、
図2、
図5A、及び
図5Bにあるように、(三次元で)任意の形状を有することが理解される。触覚アクチュエータ120a及び120bは、それらの振動軸が同一直線上にある(同軸に取り付けられている)ように取り付けられていると考えることができる。触覚アクチュエータ120a及び120bの駆動信号は、図示のように同位相であってもよい。これにより、例えば、一方のアクチュエータが他方の効果を減衰させることを回避できる。
【0071】
ホスト100M-Cでは、エンクロージャ101は任意の形状(三次元を有することが理解される。触覚アクチュエータ120a及び120bは、それらの振動軸が同一直線上にある(同軸に取り付けられている)ように取り付けられていると考えることができる。触覚アクチュエータ120a及び120bの駆動信号は、図示のように逆位相であってもよい。これは、一部の適用で適切な場合がある。
【0072】
ホスト100M-Dで、エンクロージャ101はやはり、任意の形状(三次元)を有することが理解される。触覚アクチュエータ120a及び120bは、それらの振動軸が相互に直交するように(垂直に取り付けられている)取り付けられていると考えることができる。触覚アクチュエータ120a及び120bの駆動信号は、図示のようであってもよい。
【0073】
実行例では、本明細書で開示されたホストはゲーミングコントローラであった。しかしながら、本発明は他の分野、例えば自動車業界にも適用可能である。ホストは、例えば、シート、シートバック、ヘッドレスト、ハンドル、車載コンソールまたはコントローラ、またはヒューマンマシンインターフェース、ギアスティック、ステアリングホイール、またはHVAC(暖房、換気、及び空調)制御などの自動車システムである可能性がある。本発明は、時計を含むウェアラブル技術の分野に適用できる可能性がある。ホストは、例えば触覚対応のウェアラブルデバイスであってもよい。本発明は、パーソナルコンピュータ、ラップトップ、タブレットコンピュータ、及びノートブックの分野に適用可能である。ホストは、例えば触覚対応のトラックパッドであり得る。一般的に、ホストは、電気または電子デバイス、または触覚対応デバイスの場合がある。
【0074】
当業者は、上述の装置(回路)、デバイス、及び方法のいくつかの態様は、プロセッサ制御コードとして、例えば、ディスク、CD-ROMまたはDVD-ROM、読み取り専用メモリ(ファームウェア)などのプログラムされたメモリなどの不揮発性キャリア媒体、または光または電気信号キャリアなどのデータキャリアに具体化され得ることを認識するであろう。例えば、触覚ドライバ110及び110Mのいずれも、プロセッサ制御コードに基づいて動作するプロセッサとして実装され得る。
【0075】
一部のアプリケーションでは、このような態様はDSP(デジタル信号プロセッサ)、ASIC(特定用途向け集積回路)、またはFPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)に実装される。したがって、コードは、従来型のプログラムコードまたはマイクロコード、または例えば、ASICまたはFPGAをセットアップまたは制御するためのコードを含むことができる。コードはまた、再プログラム可能な論理ゲートアレイなどの再構成可能な装置を動的に構成するためのコードを含むこともできる。同様に、コードは、Verilog TMまたはVHDLなどのハードウェア記述言語のコードを含むことができる。当業者には理解されるように、コードは、互いに通信する複数の結合されたコンポーネント間で分散されてもよい。必要に応じて、そのような態様は、アナログハードウェアを構成するために、フィールド(再)プログラム可能なアナログアレイまたは同様のデバイスで実行されるコードを使用して実装することもできる。
【0076】
なお、上述の実施形態は本発明を限定するものではなく例示するものであり、当業者は、添付の特許請求の範囲から逸脱することなく、多くの代替実施形態を設計することができると留意するべきである。「含む」という言葉は、特許請求の範囲に挙げられているもの以外の要素またはステップの存在を排除するものではなく、「a」または「an」は複数を排除するものではなく、単一の特徴または他のユニットが、特許請求の範囲にて記載された複数のユニットの機能を果たすことができる。特許請求の範囲におけるいかなる参照符号またはラベルも、その範囲を限定するものとして解釈されてはならない。
【0077】
本明細書で使用される場合、2つ以上の要素が互いに「結合されている」と言及されている場合、そのような用語は、そのような2つ以上の要素が、介在する要素の有無にかかわらず、間接的または直接的に接続されて、該当する場合、電子通信または機械的通信にあることを示す。
【0078】
本開示は、当業者が理解できる、本明細書の例示的な実施形態に対するすべての変化、置換、変形、変更、及び改変を包含する。同様に、適切な場合には、添付の請求項には、当業者が理解できる本明細書の例示的な実施形態に対するすべての変化、置換、変形、変更、及び修正が含まれる。さらに、添付の請求項において、特定の機能を実行するように適合、配置、可能、構成、有効化、動作可能、または作動可能にされている装置またはシステム、あるいは装置またはシステムのコンポーネントについて言及することは、その装置、システム、またはコンポーネントまたはその特定の機能がアクティブ化、オン、またはロック解除されているかどうかに関係なく、その装置、システム、またはコンポーネントがそのように適合、配置、可能、構成、有効化、動作可能、または作動可能である限り、その装置、システム、またはコンポーネントを包含する。したがって、開示の範囲から逸脱することなく、本明細書に記載のシステム、装置、及び方法に修正、追加、または省略を行うことができる。例えば、システム及び装置のコンポーネントは統合されてもよいし、分離されてもよい。さらに、本明細書に開示されるシステム及び装置の動作は、より多くの、より少ない、または他のコンポーネントによって実行され得て、記載される方法は、より多くの、より少ない、または他のステップを含んでもよい。さらに、ステップは任意の適切な順序で実行することができる。この文書で使用される「各々」は、セットの各メンバー、またはセットのサブセットの各メンバーを指す。
【0079】
例示的な実施形態が図に示され、下部で説明されているが、本開示の原理は、現在公知であるかどうかに関係なく、任意の数の技術を使用して実装することができる。本開示は、図面に示され、上記で説明された例示的な実装形態及び技術に決して限定されるべきではない。
【0080】
特に明記しない限り、図面に描かれている品目は必ずしも原寸に比例して描かれているわけではない。
【0081】
本明細書に列挙したすべての例及び条件付き言語は、本開示、及び本技術を促進するために本発明者らが寄与する概念を読者が理解するのを補助するための教育的目的を意図したものであり、そのような具体的に列挙した例及び条件に限定されるものではないと解釈される。本開示の実施形態は詳細に説明されているが、本開示の精神及び範囲から逸脱することなく、さまざまな変更、置換、及び修正が可能であることは理解されるべきである。
【0082】
特定の利点を上に列挙したが、様々な実施形態は、列挙した利点の一部を含むことも、まったく含まないことも、すべてを含むこともできる。さらに、他の技術的利点は、前述の図及び説明を概観した後、当業者にとって容易に明らかになるであろう。
【0083】
特に本開示の恩恵を受ける当業者によって、本明細書で特に図に関連して説明されるさまざまな動作は、他の回路または他のハードウェアコンポーネントによって実装され得ることが理解されるべきである。所与の方法の各動作が実行される順序は変更されてもよく、本明細書に示されるシステムのさまざまな要素は、追加、並べ替え、結合、省略、修正などが可能である。本開示は、そのような修正及び変更をすべて包含することが意図されており、したがって、上記の説明は、限定的な意味ではなく、例示的な意味で考えられるべきである。
【0084】
同様に、本開示は特定の実施形態について言及しているが、本開示の範囲及び対象から逸脱することなく、それらの実施形態に対して特定の修正及び変更を行うことができる。さらに、特定の実施形態に関して本明細書で説明されているいずれかの恩恵、利点、または問題に対する解決は、重要な、必要な、または不可欠な特徴または要素として解釈されることを意図するものではない。同様に、本開示の恩恵により、さらなる実施形態も当業者には明らかであり、そのような実施形態は本明細書に包含されるものとみなされるべきである。
【0085】
特許庁(USPTO)及び本出願に基づいて発行されたいずれかの特許のいずれかの読者が本出願に付された請求項を解釈するのを支援するために、出願人は、特定の請求項で「手段」または「ステップ」という語が明示的に使用されない限り、付された請求項または請求項の要素のいずれも、35 U.S.C. § 112(f)を発動する意図はないことに留意することを希望する。
【0086】
本明細書では、振幅変調を使用して高周波共振を有するアクチュエータで低周波効果を作り出す方法が検討されている。変調された信号(駆動信号)は、アクチュエータの共振周波数に等しい周波数を有することができる(電力節約)。変調信号は、所望の効果の低周波数に一致する正弦波であり得る。変調信号は、所望の効果を生成するために任意に適合させることができる。
【0087】
本明細書では、高周波パルス/インパルスを使用して高周波共振を有するアクチュエータで低周波効果を作り出す方法も考慮される。LF(低周波)の「感覚」を実現するために、任意の数のインパルス(同じまたは異なる振幅)を使用できる。パルスは、所望の駆動信号のサンプルとして機能し得る。インパルス(パルス)は、アクティブな制動で制御できる。インパルスは、例えば速度制御システムを使用して、閉ループ(すなわち、
図3の右側に一致)で駆動されてもよい。
【0088】
本明細書では、高周波共振を有する複数のアクチュエータを使用して低周波効果を作り出す方法も考慮される。2つ以上のアクチュエータを同期して使用することができる。異なるアクチュエータが再生される波形の異なる部分を再現する(時間多重化)。
【0089】
本開示は以下の記述まで拡張される。
【0090】
1.共振周波数を有するアクチュエータ、好ましくはLRAまたはVCMなどの触覚アクチュエータを駆動するためのシステム及び方法であって、
アクチュエータによって出力される所望の効果(例えば触覚振動)の指示を受信することであって、所望の効果は比較的低い周波数を有し、好ましくは所望の効果はアクチュエータの共振周波数よりも低い主要なまたは優勢な周波数F1を有する、受信すること、
受信した指示に基づいて触覚駆動信号を生成することであって、
触覚駆動信号は比較的高い周波数を有し、好ましくは触覚駆動信号は主要なまたは優勢な周波数F2を有し、この場合F2>F1である、生成すること、及び
触覚駆動信号を使用してアクチュエータを駆動することであって、触覚駆動
信号がユーザに所望の効果の感覚をエミュレートするため生成される、駆動すること、を含むシステム及び方法が提供される。
【0091】
2.好ましくは、触覚駆動信号は、アクチュエータの共振周波数またはその付近の主要なまたは優勢な周波数(F2)を有するように生成される。
【0092】
3.好ましくは、所望の効果は、100Hz未満の主要なまたは優勢な周波数(F1)を有し、さらに好ましくは20~80Hzの範囲である。
【0093】
4.好ましくは、触覚駆動信号は、100Hzを超える、さらに好ましくは150Hzを超える主要または優勢な周波数(F2)を有する。
【0094】
5.好ましくは、生成するステップは、低周波信号を調整された高周波信号にマッピングまたは変換することを含み、調整された高周波信号は、システム及び方法のユーザに対する低周波信号の効果をエミュレートまたは再現する。
【0095】
6.一態様では、触覚駆動信号を生成するステップは、一連の高周波インパルス、好ましくは正及び負のインパルスを生成することを含む。
【0096】
7.好ましくは、高周波インパルスの間隔及び大きさは、インパルスの最大限大きい値が所望の低周波信号のサンプリングされたバージョンを再現するように選択される。
【0097】
8.好ましい態様では、インパルスの間隔及び大きさは、インパルスの最大限の大きさが所望の低周波信号の極大値または極小値に対応するように選択される。一態様では、インパルスは、低周波信号のナイキストレートと同等のレートで生成される。
【0098】
9.代替の態様では、触覚駆動信号を生成するステップは、高周波信号を振幅変調することを含み、振幅変調は、触覚駆動信号が所望の低周波効果の信号包絡線に対応するように調整される。
【0099】
10.好ましい態様では、触覚駆動信号は、所望の低周波効果の信号包絡線の一部、好ましくは信号包絡線の開始部分に対してのみ生成され得る。
【0100】
11.上述のシステム及び方法を実装するように構成された集積回路(IC)が提供される。
【0101】
12.さらに、集積回路(IC)であって、
触覚アクチュエータと結合される触覚ドライバ出力段と、
触覚駆動出力段から出力される触覚駆動信号を生成するデジタル信号プロセッサ(DSP)とを備え、
DSPは、結合された触覚アクチュエータによって生成される触覚効果の指示を受信し、受信した指示を触覚ドライバ出力段によって出力される触覚駆動信号に変換する、集積回路(IC)を提供する。好ましくは、触覚駆動信号は、生成される触覚効果の主要なまたは優勢な周波数よりも高い主要なまたは優勢な周波数を有する。
【0102】
13.さらに、携帯電話、ラップトップ、タブレットコンピュータ、ゲーミングコントローラ、またはウェアラブルデバイスなどのモバイルデバイスが提供され、モバイルデバイスは、触覚アクチュエータと、触覚アクチュエータを駆動するための上述のICとを備える。
【0103】
14.別の態様では、触覚ドライバICと結合されるコントローラICが提供され、コントローラICは、別個の触覚ドライバICと組み合わせて上記のシステム及び方法を実行するように構成される。
【0104】
15.好ましくは、触覚アクチュエータは、線形共振アクチュエータ(LRA)またはボイスコイルモータ(VCM)である。
【0105】
S1.ゲーミングコントローラであって、
触覚アクチュエータ、及び
触覚ドライバ、を備え、
前記触覚ドライバは、優勢な周波数F2を有する駆動信号で前記触覚アクチュエータを駆動し、前記駆動信号が前記触覚アクチュエータにどのように印加されるかを制御して、優勢な周波数F1を有する所望の触覚効果を少なくとも部分的にエミュレートする触覚効果を生成するように構成され、この場合F2>F1である、前記ゲーミングコントローラ。
【0106】
S2.
F2は前記触覚アクチュエータの共振周波数F0またはその付近であり、及び/または
F2は100Hzを超え、さらに好ましくは150Hzを超え、及び/または
F1は100Hz未満、さらに好ましくは20~80Hzの範囲であり、及び/または
F1及びF2は、F1における駆動信号から触覚アクチュエータ応答までのゲインがF2よりもA倍低くなるように設定され、この場合A>2、任意選択でA>5、任意選択でA>10である、陳述S1に記載のゲーミングコントローラ。
【0107】
S3.前記制御は、
前記駆動信号が前記触覚アクチュエータにいつ印加され、いつされないかを制御すること、
前記印加される駆動信号の大きさを制御すること、
前記印加される駆動信号の位相を制御すること、
前記印加される駆動信号の極性を制御すること、
F2の値を制御し、任意選択でF0を追跡すること、
前記印加される駆動信号の離散パルスの先端が急峻なアタックプロファイルを有するように、及び/または前記印加される駆動信号の離散パルスの後端が急峻な制動プロファイルを有するように、前記駆動信号を修正すること、及び
前記触覚アクチュエータ及び/または前記触覚ドライバのインピーダンスが修正されたかのごとく前記触覚アクチュエータが動作するように、前記駆動信号を修正すること、の少なくとも1つを含む、陳述S1またはS2に記載のゲーミングコントローラ。
【0108】
S4.前記触覚アクチュエータは、
リニア共振アクチュエータ、LRA、及び
ボイスコイルモーター、VCMのうちの少なくとも1つである、またはそれを含む、先行する陳述のいずれかに記載のゲーミングコントローラ。
【0109】
S5.前記制御は、前記印加される駆動信号が所望の駆動信号を少なくとも部分的にエミュレートするように前記駆動信号を制御することを含み、前記所望の駆動信号は前記優勢な周波数F1を有し、前記所望の触覚効果を生成するように構成される、先行する陳述のいずれかに記載のゲーミングコントローラ。
【0110】
S6.前記優勢な周波数F1を有する前記所望の駆動信号及び/または前記所望の触覚効果は、
周期的な波形、
正弦波、三角波、方形波、長方形波、正ランプ鋸歯状波、または負ランプ鋸歯状波、
緩やかな上昇と急速な下降を有する修正された正弦波形、
不規則な波形、及び
任意選択で1つ以上のカスタムパラメータによって定義されるカスタマイズされた波形、の少なくとも1つを有する、陳述S5に記載のゲーミングコントローラ。
【0111】
S7.前記制御は、前記駆動信号を一連の離散パルスとして印加することを含む、先行する陳述のいずれかに記載のゲーミングコントローラ。
【0112】
S8.各離散パルスは、前記駆動信号の1つ以上の振動を含む、陳述S7に記載のゲーミングコントローラ。
【0113】
S9.前記制御は、
各離散パルスの先端は急峻なアタックプロファイルを有し、及び/または各離散パルスの後端は急峻な制動プロファイルを有する、及び/または
前記触覚アクチュエータは、前記触覚アクチュエータ及び/または前記触覚ドライバのインピーダンスが修正されたかのように動作するように前記駆動信号を修正することを含む、陳述S7またはS8に記載のゲーミングコントローラ。
【0114】
S10.
前記パルスのタイミング、大きさ、及び/または極性は、前記パルスがタイミング、大きさ、及び/または極性において前記所望の駆動信号のサンプルに対応するように構成され、及び/または
前記パルスの前記タイミングと前記大きさは、前記パルスの最大限大きい値が前記所望の駆動信号のサンプリングされたバージョンを再現するように選択される、S7からS9のいずれかに記載のゲーミングコントローラ。
【0115】
S11.
前記パルスは、前記所望の駆動信号の正及び負のピークのサンプルとタイミングが一致する、及び/または
前記パルスの前記タイミング及び前記大きさは、前記パルスの最大限大きい値が前記所望の駆動信号の極大値及び/または極小値に対応するように選択される、陳述S10に記載のゲーミングコントローラ。
【0116】
S12.前記パルスは、所望の駆動信号の前記優勢な周波数F1のナイキストレートに対応するレートで生成される、S7からS11のいずれかに記載のゲーミングコントローラ。
【0117】
S13.前記制御は、前記印加される駆動信号の包絡線が前記所望の駆動信号の少なくとも一部を含むように、前記駆動信号の振幅を変調することを含む、先行する陳述のいずれかに記載のゲーミングコントローラ。
【0118】
S14.前記所望の駆動信号の前記一部が、前記所望の駆動信号の周期または振動の少なくとも30%、40%、または50%を含む、陳述S13に記載のゲーミングコントローラ。
【0119】
S15.前記所望の触覚効果及び/または前記優勢な周波数F1及び/または前記所望の触覚効果の前記波形を示すコマンド信号を受信すること、及び前記コマンド信号に基づいて、前記触覚アクチュエータに前記駆動信号がどのように印加されるかを制御することを含む、先行する陳述のいずれかに記載のゲーミングコントローラ。
【0120】
S16.前記触覚アクチュエータが第1の触覚アクチュエータであり、前記駆動信号が第1の駆動信号であり、
前記ゲーミングコントローラは第2の触覚アクチュエータを備え、
前記触覚ドライバは、優勢な周波数F2bを有する第2の駆動信号で前記第2の触覚アクチュエータを駆動し、前記第2の駆動信号が前記第2の触覚アクチュエータにどのように印加されるかを制御して、優勢な周波数F1bを有する所望の触覚効果を少なくとも部分的にエミュレートする触覚効果を生成するように構成され、この場合F2b>F1bである、先行する陳述のいずれかに記載のゲーミングコントローラ。
【0121】
S17.
F2bは、F2と実質的に同じであるか、またはF2とは異なる、及び/または
F1bはF1と実質的に同じであるか、またはF1と異なる、陳述S16に記載のゲーミングコントローラ。
【0122】
S18.前記印加される第1の駆動信号及び前記印加される第2の駆動信号が、
互いに同期する、または
互いに実質的に位相が異なっており、好ましくは互いに実質的に180°位相が異なっており、及び/または相互に相補的な信号である、または
互いに実質的に同位相であり、好ましくは互いに実質的に同じである、または
互いの間に目標位相差を有し、任意選択で、前記目標位相差が制御可能であるように制御される、陳述S16またはS17に記載のゲーミングコントローラ。
【0123】
S19.前記第1の触覚アクチュエータ及び前記第2の触覚アクチュエータは、それらの振動軸が2次元または3次元で、
同一線上にある、または
互いに平行である、または
互いに垂直である、または
同一直線上になく、互いに平行でも互いに垂直でもないように取り付けられる、陳述S16からS18のいずれかに記載のゲーミングコントローラ。
【0124】
S20.
前記ゲーミングコントローラは、N個の触覚アクチュエータHAxを備え、この場合x=1~Nであり、N≧2であり、
前記触覚ドライバは、対応する優勢な周波数F2xを有する対応する駆動信号DSxで前記N個の触覚アクチュエータHAxのそれぞれを駆動するように構成され、
前記触覚ドライバは、前記N個の触覚アクチュエータHAxのそれぞれについて、その駆動信号DSxがその触覚アクチュエータHAxにどのように印加されるかを制御して、前記N個の触覚アクチュエータを用いて、少なくとも部分的に、優勢な周波数F1を有する所望の触覚効果をエミュレートする触覚効果を生成するように構成され、各優勢な周波数F2xはF1より大きい、先行する陳述のいずれかに記載のゲーミングコントローラ。
【0125】
S21.ゲーミングコントローラであって、
N個の触覚アクチュエータHAx、この場合x=1~Nであり、N≧1である、及び
触覚ドライバ、を備え、
前記触覚ドライバは、
対応する優勢な周波数F2xを有する対応する駆動信号DSxで前記N個の触覚アクチュエータHAxのそれぞれを駆動し、
前記N個の触覚アクチュエータHAxのそれぞれについて、その駆動信号DSxがその触覚アクチュエータHAxにどのように印加されるかを制御して、前記N個の触覚アクチュエータを用いて、少なくとも部分的に、優勢な周波数F1(またはF1x)を有する所望の触覚効果をエミュレートする触覚効果を生成するように構成され、各優勢な周波数F2xはF1(またはF1x)より大きい、前記ゲーミングコントローラ。
【0126】
S22.ゲーミングコントローラまたは自動車システムの触覚アクチュエータを駆動するための触覚ドライバであって、優勢な周波数F2を有する駆動信号で前記触覚アクチュエータを駆動し、前記駆動信号が前記触覚アクチュエータにどのように印加されるかを制御して、優勢な周波数F1を有する所望の触覚効果を少なくとも部分的にエミュレートする触覚効果を生成するように構成され、この場合F2>F1である、前記触覚ドライバ。
【0127】
S23.触覚効果生成方法であって、
触覚アクチュエータを、優勢な周波数F2を有する駆動信号で駆動すること、及び
優勢な周波数F1を有する所望の触覚効果を少なくとも部分的にエミュレートする触覚効果を生成するために、前記駆動信号がどのように前記触覚アクチュエータに印加されるかを制御することを含み、この場合、F2>F1である、前記方法。
【外国語明細書】