(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024161001
(43)【公開日】2024-11-15
(54)【発明の名称】改善されたバイオアベイラビリティを有する製剤
(51)【国際特許分類】
A61K 31/165 20060101AFI20241108BHJP
A61P 25/28 20060101ALI20241108BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20241108BHJP
A61P 1/16 20060101ALI20241108BHJP
A61P 9/00 20060101ALI20241108BHJP
A61P 3/04 20060101ALI20241108BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20241108BHJP
A61P 21/00 20060101ALI20241108BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20241108BHJP
A61P 25/14 20060101ALI20241108BHJP
A61P 25/16 20060101ALI20241108BHJP
A61K 9/20 20060101ALI20241108BHJP
A61K 9/16 20060101ALI20241108BHJP
A61K 9/14 20060101ALI20241108BHJP
A61K 9/48 20060101ALI20241108BHJP
A61K 47/32 20060101ALI20241108BHJP
A61K 47/38 20060101ALI20241108BHJP
【FI】
A61K31/165
A61P25/28
A61P35/00
A61P1/16
A61P9/00
A61P3/04
A61P29/00
A61P21/00
A61P25/00
A61P25/14
A61P25/16
A61K9/20
A61K9/16
A61K9/14
A61K9/48
A61K47/32
A61K47/38
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024074672
(22)【出願日】2024-05-02
(31)【優先権主張番号】63/500,094
(32)【優先日】2023-05-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】524168909
【氏名又は名称】メリー ライフ バイオメディカル カンパニー,リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フイ-チェン ワン
(72)【発明者】
【氏名】チア-ユ シュー
(72)【発明者】
【氏名】リン-イン リャウ
【テーマコード(参考)】
4C076
4C206
【Fターム(参考)】
4C076AA30
4C076AA31
4C076AA36
4C076AA53
4C076BB01
4C076CC01
4C076DD09
4C076EE06
4C076EE10
4C076EE11
4C076EE12
4C076EE13
4C076EE16
4C076EE31
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4C076EE33
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4C076FF04
4C076FF33
4C076GG05
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4C076GG12
4C206AA01
4C206AA03
4C206GA07
4C206GA22
4C206KA01
4C206KA16
4C206MA02
4C206MA05
4C206MA55
4C206MA57
4C206MA61
4C206MA63
4C206MA72
4C206NA02
4C206NA11
4C206NA14
4C206ZA02
4C206ZA15
4C206ZA16
4C206ZA94
(57)【要約】 (修正有)
【課題】改善された溶解性、バイオアベイラビリティ及び/又はPKプロファイルを有する、クルクミン誘導体を含む経口製剤を提供する。
【解決手段】非晶質形態のTML-6、
又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、若しくはプロドラッグと、1つ以上の賦形剤とを含む、製剤。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
非晶質形態のTML-6、
【化1】
又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、若しくはプロドラッグと、1つ以上の賦形剤とを含む、製剤。
【請求項2】
鋭い吸熱ピークを含まない示差走査熱量測定サーモグラムを特徴とする、請求項1に記載の製剤。
【請求項3】
結晶性TML-6に対応する吸熱ピークを含まないDSCサーモグラムを特徴とする、請求項1又は2に記載の製剤。
【請求項4】
約50℃~約90℃における幅広い吸熱ピークを含むDSCサーモグラムを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項5】
(鋭く、狭い回折ピークのない)本質的に連続的であるX線粉末回折(XRPD)パターンを特徴とする、請求項1に記載の製剤。
【請求項6】
5.5°、11.1°、15.7°、16.7°、及び22.3°のうちの1つ以上における度2θ-反射(±0.2°2θ)を含まないXRPDパターンを特徴とする、請求項5に記載の製剤。
【請求項7】
約20%(w/w)~90%(w/w)のTML-6、
【化2】
又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、若しくはプロドラッグと、約10%(w/w)~約80%(w/w)の1つ以上の賦形剤とを含む、製剤。
【請求項8】
TML-6、又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、若しくはプロドラッグが、非晶質形態である、請求項7に記載の製剤。
【請求項9】
約70%(w/w)~90%(w/w)のTML-6、又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、若しくはプロドラッグと、約10%(w/w)~約30%(w/w)の1つ以上の賦形剤とを含む、請求項7又は8に記載の製剤。
【請求項10】
1つ以上の賦形剤が、腸溶性ポリマーを含む、請求項7~9のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項11】
1つ以上の賦形剤が、ポリメタクリレートベースのコポリマー、ポリ(メタクリル酸)ベースのコポリマー、ポロキサマー及びセルロース誘導体賦形剤のうちの少なくとも1つを含む、請求項7~10のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項12】
ポリメタクリレートベースのコポリマー及び/又はポリ(メタクリル酸)ベースのコポリマーと、セルロース誘導体賦形剤との比が、約1:5~約5:1の範囲である、請求項11に記載の製剤。
【請求項13】
ポリメタクリレートベースのコポリマー及び/又はポリ(メタクリル酸)ベースのコポリマーの量が、約10%~約70%(w/w)の範囲であり、セルロース誘導体賦形剤の量が、約10%~約70%(w/w)の範囲である、請求項11又は12に記載の製剤。
【請求項14】
ポリメタクリレートベースのコポリマー及び/又はポリ(メタクリル酸)ベースのコポリマーが、ポリ(メタクリル酸、メタクリル酸メチル)1:1、ポリ(メタクリル酸、アクリル酸エチル)1:1、ポリ(メタクリル酸、メタクリル酸メチル)1:2、ポリ(メタクリル酸、メタクリル酸メチル)1:2、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、及びメタクリル酸のポリマー、ポリ(メタクリル酸ブチル-co-メタクリル酸(2-ジメチルアミノエチル)-co-メタクリル酸メチル)1:2:1、ポリ(アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、2-トリメチルアンモニオエチルメタクリレートクロリド又は2-(メタクリロイルオキシ)-N,N,N-トリメチルエタンアミニウムクロリド)1:2:0.2、ポリ(アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、2-トリメチルアンモニオエチルメタクリレートクロリド又は2-(メタクリロイルオキシ)-N,N,N-トリメチルエタンアミニウムクロリド)1:2:0.2、ポリ(アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、2-トリメチルアンモニオエチルメタクリレートクロリド又は2-(メタクリロイルオキシ)-N,N,N-トリメチルエタンアミニウムクロリド)1:2:0.2、ポリ(アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、2-トリメチルアンモニオエチルメタクリレートクロリド又は2-(メタクリロイルオキシ)-N,N,N-トリメチルエタンアミニウムクロリド)1:2:0.1、ポリ(アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、2-トリメチルアンモニオエチルメタクリレートクロリド又は2-(メタクリロイルオキシ)-N,N,N-トリメチルエタンアミニウムクロリド)1:2:0.1、ポリ(アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、2-トリメチルアンモニオエチルメタクリレートクロリド又は2-(メタクリロイルオキシ)-N,N,N-トリメチルエタンアミニウムクロリド)1:2:0.1、0.7%(PEGステアリルエーテル)を有するポリ(アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル)2:1、1.5%(ノノキシノール)を有するポリ(アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル)2:1及び1.5%(ノノキシノール)を有するポリ(アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル)2:1及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項11~13のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項15】
セルロース誘導体賦形剤が、セルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、セルロースエステル誘導体、酢酸セルロース、酢酸フタル酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、酢酸プロピオン酸セルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、微結晶セルロース、ヒドロキシエチルセルロース及びヒドロキシプロピルメチルセルロースからなる群から選択される、請求項7~14のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項16】
製剤が、錠剤、顆粒、カプセル又は噴霧乾燥粉末の形態である、請求項7~25のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項17】
請求項1~16のいずれか一項に記載の製剤及び1つ以上の追加の賦形剤を含む、医薬組成物。
【請求項18】
1つ以上の追加の賦形剤が、以下に限定されないが、希釈剤、崩壊剤、結合剤、滑沢剤及び流動促進剤を含む、請求項17に記載の医薬組成物。
【請求項19】
治療を必要とする対象における神経変性疾患、肝疾患、がん、心血管疾患、肥満、炎症性疾患又は老化を予防及び/又は治療する方法であって、請求項1~21のいずれか一項に記載の製剤又は請求項17若しくは18に記載の医薬組成物を前記対象に投与するステップを含む、方法。
【請求項20】
神経変性疾患が、筋萎縮性側索硬化症、多発性硬化症、パーキンソン病、アルツハイマー病、ハンチントン病、多系統萎縮症、認知症、運動ニューロン疾患、クロイツフェルト・ヤコブ病又はプリオン病である、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2023年5月4日に出願された米国仮特許出願第63/500,094号(参照により全体が本明細書に組み込まれる)に対する優先権を主張する。
【0002】
発明の分野
本開示の発明は、クルクミン誘導体を含む製剤に関する。より詳細には、本開示は、改善された溶解性、バイオアベイラビリティ及び/又はPKプロファイルを有する、クルクミン誘導体を含む経口製剤に関する。
【背景技術】
【0003】
クルクミンは、インド及びアジアの他の地域で天然に生育する多年生植物のショウガ科に属する、ウコンとして一般に知られている、クルクミン・ロンガ(Curcumin longa)の主成分である。クルクミンは、多種多様な疾患、例えば、がん、心血管疾患、肥満、肝疾患、炎症性疾患及び老化に対して有効である。クルクミンの有益な効果は一連の疫学的調査、動物実験、及び細胞株研究によって示唆されているが、クルクミンの低いバイオアベイラビリティ及び迅速な代謝は、ヒト疾患に対するクルクミンの治療開発を妨げている[Jager R、Lowery RP、Calvanese AV、Joy JM、Purpura M、Wilson JM: Comparative absorption of curcumin formulations. Nutr J 2014、13:11]。
【発明の概要】
【0004】
本開示は、改善された溶解性及びバイオアベイラビリティ及び/又はPKプロファイルを有するクルクミン誘導体を含む製剤が、神経変性疾患を治療及び/又は予防することを実証する。
【0005】
本開示は、非晶質形態のTML-6、
【化1】
又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、若しくはプロドラッグと、1つ以上の賦形剤とを含む、製剤を提供する。
【0006】
一実施形態では、製剤は、鋭い吸熱ピークを含まない示差走査熱量測定サーモグラムを特徴とする。
【0007】
一実施形態では、製剤は、結晶性TML-6に対応する吸熱ピークを含まないDSCサーモグラムを特徴とする。
【0008】
一実施形態では、製剤は、約50℃~約90℃における幅広い吸熱ピークを含むDSCサーモグラムを特徴とする。
【0009】
一実施形態では、製剤は、(鋭く、狭い回折ピークのない)本質的に連続的であるX線粉末回折(XRPD)パターンを特徴とする。
【0010】
5.5°、11.1°、15.7°、16.7°、及び22.3°のうちの1つ以上における度2θ-反射(±0.2°2θ)を含まないXRPDパターンを特徴とする、請求項5に記載の製剤。
【0011】
本開示は、約20%(w/w)~90%(w/w)のTML-6、
【化2】
又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、若しくはプロドラッグと、約10%(w/w)~約80%(w/w)の1つ以上の賦形剤とを含む、製剤をさらに提供する。
【0012】
一実施形態では、TML-6、又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、若しくはプロドラッグは、非晶質形態である。
【0013】
一実施形態では、製剤は、約70%(w/w)~90%(w/w)のTML-6、又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、若しくはプロドラッグと、約10%(w/w)~約30%(w/w)の1つ以上の賦形剤とを含む。
【0014】
一実施形態では、1つ以上の賦形剤は、腸溶性ポリマーを含む。
【0015】
一実施形態では、1つ以上の賦形剤は、ポリメタクリレートベースのコポリマー、ポリ(メタクリル酸)ベースのコポリマー、ポロキサマー及びセルロース誘導体賦形剤のうちの少なくとも1つを含む。
【0016】
一実施形態では、ポリメタクリレートベースのコポリマー及び/又はポリ(メタクリル酸)ベースのコポリマーと、セルロース誘導体賦形剤との比は、約1:5~約5:1の範囲である。
【0017】
一実施形態では、ポリメタクリレートベースのコポリマー及び/又はポリ(メタクリル酸)ベースのコポリマーの量は、約10%~約70%(w/w)の範囲であり、セルロース誘導体賦形剤の量は、約10%~約70%(w/w)の範囲である。
【0018】
一実施形態では、ポリメタクリレートベースのコポリマー及び/又はポリ(メタクリル酸)ベースのコポリマーは、ポリ(メタクリル酸、メタクリル酸メチル)1:1、ポリ(メタクリル酸、アクリル酸エチル)1:1、ポリ(メタクリル酸、メタクリル酸メチル)1:2、ポリ(メタクリル酸、メタクリル酸メチル)1:2、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、及びメタクリル酸のポリマー、ポリ(メタクリル酸ブチル-co-メタクリル酸(2-ジメチルアミノエチル)-co-メタクリル酸メチル)1:2:1、ポリ(アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、2-トリメチルアンモニオエチルメタクリレートクロリド又は2-(メタクリロイルオキシ)-N,N,N-トリメチルエタンアミニウムクロリド)1:2:0.2、ポリ(アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、2-トリメチルアンモニオエチルメタクリレートクロリド又は2-(メタクリロイルオキシ)-N,N,N-トリメチルエタンアミニウムクロリド)1:2:0.2、ポリ(アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、2-トリメチルアンモニオエチルメタクリレートクロリド又は2-(メタクリロイルオキシ)-N,N,N-トリメチルエタンアミニウムクロリド)1:2:0.2、ポリ(アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、2-トリメチルアンモニオエチルメタクリレートクロリド又は2-(メタクリロイルオキシ)-N,N,N-トリメチルエタンアミニウムクロリド)1:2:0.1、ポリ(アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、2-トリメチルアンモニオエチルメタクリレートクロリド又は2-(メタクリロイルオキシ)-N,N,N-トリメチルエタンアミニウムクロリド)1:2:0.1、ポリ(アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、2-トリメチルアンモニオエチルメタクリレートクロリド又は2-(メタクリロイルオキシ)-N,N,N-トリメチルエタンアミニウムクロリド)1:2:0.1、0.7%(PEGステアリルエーテル)を有するポリ(アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル)2:1、1.5%(ノノキシノール)を有するポリ(アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル)2:1及び1.5%(ノノキシノール)を有するポリ(アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル)2:1及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0019】
一実施形態では、セルロース誘導体賦形剤は、セルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、セルロースエステル誘導体、酢酸セルロース、酢酸フタル酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、酢酸プロピオン酸セルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、微結晶セルロース、ヒドロキシエチルセルロース及びヒドロキシプロピルメチルセルロースからなる群から選択される。
【0020】
一実施形態では、製剤は、錠剤、顆粒、カプセル又は噴霧乾燥粉末の形態である。
【0021】
本開示はまた、製剤及び1つ以上の追加の賦形剤を含む、医薬組成物を提供する。
【0022】
一実施形態では、1つ以上の追加の賦形剤は、以下に限定されないが、希釈剤、崩壊剤、結合剤、滑沢剤及び流動促進剤を含む。
【0023】
本開示は、治療を必要とする対象における神経変性疾患、肝疾患、がん、心血管疾患、肥満、炎症性疾患又は老化を予防及び/又は治療する方法であって、製剤又は医薬組成物を前記対象に投与するステップを含む、方法をさらに提供する。
【0024】
一実施形態では、神経変性疾患は、筋萎縮性側索硬化症、多発性硬化症、パーキンソン病、アルツハイマー病、ハンチントン病、多系統萎縮症、認知症、運動ニューロン疾患、クロイツフェルト・ヤコブ病又はプリオン病である。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】
図1は、TML-6のX線粉末回折(XRPD)パターンを示す。
【
図2】
図2は、TML-6製剤E13のXRPDパターンを示す。
【
図3】
図3は、TML-6及びTML-6製剤E14~E17のDSCサーモグラムを示す。
【
図4】
図4は、TML-6及びTML-6製剤E04のDSCサーモグラムを示す。
【
図5】
図5は、TML-6及びTML-6製剤E10及びE12のDSCサーモグラムを示す。
【
図6】
図6は、0時間から10時間までのTML-6並びにTML-6製剤E02、E10、E12及びE13の単回投与後のラットにおけるTML-6の血漿濃度-時間プロファイル(平均)を示す。
【
図7】
図7は、0時間から25時間までのTML-6並びにTML-6製剤E02、E10、E12及びE13の単回投与後のイヌにおけるTML-6の血漿濃度-時間プロファイル(平均)を示す。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明は、本発明の様々な実施形態の以下の詳細な説明、実施例、並びに化学図及び表を、それらの関連する説明とともに参照することにより、より容易に理解することができる。特許請求の範囲により別段具体的に指示のない限り、本発明は、具体的な調製方法、担体若しくは製剤、又は本発明の化合物を局所、経口若しくは非経口投与用に意図された製品若しくは組成物へと製剤化する特定の様式に限定されないことが理解されるべきであり、なぜならば、関連技術分野の当業者が十分に認識しているように、このようなことは当然ながら変化し得るからである。本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を説明することのみを目的としており、限定することを意図したものではないことも理解されるべきである。
【0027】
本出願では、「a」、「an」及び「the」などの用語は、単数の実体のみを指すことを意図したものではないが、説明のために具体的な例が使用され得る一般的なクラスを含む。用語「a」、「an」、及び「the」は、用語「少なくとも1つ」と互換的に使用される。リストが後に続く句「~のうちの少なくとも1つ」及び「~のうちの少なくとも1つを含む」は、リスト中の項目のうちの任意の1つ及びリスト中の2つ以上の項目の任意の組み合わせを指す。すべての数値範囲は、別段記載のない限り、それらの端点、及び端点の間の非整数値を含む。
【0028】
用語「対象」は、本明細書で使用される場合、任意の動物、好ましくは哺乳動物、より好ましくはヒトを意味する。対象の例としては、ヒト、非ヒト霊長類、齧歯類、モルモット、ウサギ、ヒツジ、ブタ、ヤギ、ウシ、ウマ、イヌ及びネコが挙げられる。
【0029】
用語「治療すること」又は「治療」は、本明細書で使用される場合、そのような用語が適用される障害、疾患若しくは状態、又はそのような障害、疾患若しくは状態の1つ以上の症状を逆転させる、軽減する、その進行を阻害する、又は改善することを意味する。
【0030】
用語「ポリマー」は、低い相対分子質量の分子から実際に又は概念的に得られる単位の複数の繰り返しを含む構造を有する分子を指す。
【0031】
用語「溶媒」は、均質な液体材料を指し、これは、単一化合物であっても又は化合物の組み合わせであってもよく、水を含んでも又は含まなくてもよい。
【0032】
用語「担体」又は「賦形剤」は、本明細書で使用される場合、担体及び/若しくは希釈剤及び/若しくはアジュバント、又は対象への治療剤の送達のためのビヒクルとして使用されるか、又はその取り扱い若しくは保存特性を改善するために、又は経口投与に好適なカプセル若しくは錠剤などの個別の物品への組成物の用量単位の製剤化を可能にする若しくは促進するために製剤に添加される、それ自体治療剤ではない任意の物質を指す。
【0033】
本明細書で使用される場合、用語「薬学的に許容される」は、健全な医学的判断の範囲内で、過剰な毒性、刺激アレルギー応答及びその他の問題の合併症なしに、対象、例えば、哺乳動物又はヒトの組織との接触に好適な、化合物、材料、組成物及び/又は剤形を指すことが本明細書で定義される。
【0034】
本明細書に記載される化合物TML-6は、クルクミン誘導体又は合成クルクミン誘導体であり、これは、ADの病因における複数のメカニズムに関与している抗炎症特性を有し、脳Aβレベルの低下及び抗炎症においてクルクミンより著しく優れた活性を示す。TML-6は、その薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、又はプロドラッグの形態で存在し得る。
【0035】
一部の実施形態では、本開示は、非晶質形態又は結晶形態のTML-6、
【化3】
又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、若しくはプロドラッグと、1つ以上の賦形剤とを含む、製剤を提供する。
【0036】
一部の実施形態では、TML-6は非晶質形態である。いかなる理論にも束縛されることを意図するものではないが、本出願人は、驚くべきことに、TML-6の非晶質形態が、改善された溶解性、溶解及び/又はバイオアベイラビリティを有することを見出した。TML-6の非晶質形態は、任意の公知の方法、例えば、X線粉末回折(XRPD)及び示差走査熱量測定(DSC)によって検出及び決定することができる。
【0037】
例えば、製剤は、鋭い吸熱ピークを含まない示差走査熱量測定サーモグラム、結晶性TML-6に対応する吸熱ピーク(約132±5℃における)を含まないDSCサーモグラム、又は幅広い吸熱ピーク(例えば、約50℃~約90℃における)を含むDSCサーモグラムを特徴とし得る。一部の実施形態では、幅広い吸熱ピークは、1つ以上の賦形剤に対応していてもよい。別の態様では、製剤は、(鋭く、狭い回折ピークのない)本質的に連続的であるX線粉末回折(XRPD)パターン、又は5.5°、11.1°、15.7°、16.7°、及び22.3°のうちの1つ以上における度2θ-反射(±0.2°2θ)を含まないXRPDパターンを特徴とし得る。
【0038】
薬物の粒径、TML-6の粒径は、乾燥及び/又はミリング(milling)/篩分けによって制御される(非限定的な実施例は下に記載される)。粒径はまた、ローラー圧縮及び/又はミリング/篩分けを使用して細かく砕くことができる。本開示では、製剤中のTML-6、又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、若しくはプロドラッグの粒径分布の少なくとも60%は、150μm未満である。粒径分布は、当業者によって周知の手順である篩解析、光子相関分光法又はレーザー回折(国際標準ISO 13320-1)、又は電子感知領域(electronic sensing zone)、遮光、沈降又は顕微鏡検査を使用して測定することができる。
【0039】
1つ以上の賦形剤は、本明細書に記載される製剤を調製するためにTML-6と組み合わされる。本明細書に記載される製剤は、約20%(w/w)~90%(w/w)のTML-6、又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、若しくはプロドラッグと、約10%(w/w)~約80%(w/w)の1つ以上の賦形剤とを含む。一部の実施形態では、製剤は、約70%(w/w)~90%(w/w)のTML-6、又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、若しくはプロドラッグと、約10%(w/w)~約30%(w/w)の1つ以上の賦形剤とを含み得る。
【0040】
1つ以上の賦形剤は、1つ以上のポリメタクリレートベースのコポリマー、ポリ(メタクリル酸)ベースのコポリマー、ポロキサマー及び/又はセルロース誘導体賦形剤を含む。いかなる理論にも束縛されることを意図するものではないが、これらの賦形剤は、胃液及び/又は腸液中のTML-6の溶解を増加させ、TML-6の固体形態(好ましくは非晶質形態における)を制御し、及び/又はTML-6製剤のPKプロファイルを改善することができると考えられる。好ましくは、ポリメタクリレートベースのコポリマーの量は、約10%~約70%(w/w)の範囲であり、セルロース誘導体賦形剤の量は、約10%~約70%(w/w)の範囲である。ポリメタクリレートベースのコポリマーは、ポリ(メタクリル酸メチル)(PMMA)ベースのコポリマーを含む。PMMAベースのコポリマーの特定の実施形態としては、以下に限定されないが、中性、カチオン性、及びアニオン性形態のPMMAベースのコポリマーが挙げられる。一部の実施形態では、PMMAベースのコポリマーは、メタクリル酸メチルと、メタクリル酸、メタクリル酸エステル、及びアクリル酸エステルのうちの1つ以上とに基づくコポリマーを含み得る。さらなる実施形態では、PMMAは、ポリ(メタクリル酸-co-メタクリル酸メチル)である。一部のさらなる実施形態では、ポリ(メタクリル酸-co-メタクリル酸メチル)としては、以下に限定されないが、本明細書に記載されるメタクリル酸及びメタクリル酸メチルに基づくポリマーの任意の1つが挙げられる。
【0041】
ポリ(メタクリル酸)ベースのコポリマーの特定の実施形態としては、以下に限定されるが、メタクリル酸の、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸tert-ブチル、メタクリル酸メチル、及びN-イソプロピルアクリルアミドとのコポリマーが挙げられる。さらなる実施形態では、ポリ(メタクリル酸)ベースのコポリマーは、メタクリル酸-メタクリル酸メチルコポリマー(1:1)及び/又はメタクリル酸-アクリル酸エチルコポリマー(1:1)であり得る。
【0042】
セルロース誘導体賦形剤の特定の実施形態としては、以下に限定されないが、セルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、セルロースエステル誘導体、酢酸セルロース、酢酸フタル酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、酢酸プロピオン酸セルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、微結晶セルロース(MCC)、ヒドロキシエチルセルロース及びヒドロキシプロピルメチルセルロースが挙げられる。
【0043】
一部の実施形態では、ポリメタクリレートベースのコポリマー及び/又はポリ(メタクリル酸)ベースのコポリマーは、ポリ(メタクリル酸、メタクリル酸メチル)1:1、ポリ(メタクリル酸、アクリル酸エチル)1:1、ポリ(メタクリル酸、メタクリル酸メチル)1:2、ポリ(メタクリル酸、メタクリル酸メチル)1:2、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、及びメタクリル酸のポリマー、ポリ(メタクリル酸ブチル-co-メタクリル酸(2-ジメチルアミノエチル)-co-メタクリル酸メチル)1:2:1、ポリ(アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、2-トリメチルアンモニオエチルメタクリレートクロリド又は2-(メタクリロイルオキシ)-N,N,N-トリメチルエタンアミニウムクロリド)1:2:0.2、ポリ(アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、2-トリメチルアンモニオエチルメタクリレートクロリド又は2-(メタクリロイルオキシ)-N,N,N-トリメチルエタンアミニウムクロリド)1:2:0.2、ポリ(アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、2-トリメチルアンモニオエチルメタクリレートクロリド又は2-(メタクリロイルオキシ)-N,N,N-トリメチルエタンアミニウムクロリド)1:2:0.2、ポリ(アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、2-トリメチルアンモニオエチルメタクリレートクロリド又は2-(メタクリロイルオキシ)-N,N,N-トリメチルエタンアミニウムクロリド)1:2:0.1、ポリ(アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、2-トリメチルアンモニオエチルメタクリレートクロリド又は2-(メタクリロイルオキシ)-N,N,N-トリメチルエタンアミニウムクロリド)1:2:0.1、ポリ(アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、2-トリメチルアンモニオエチルメタクリレートクロリド又は2-(メタクリロイルオキシ)-N,N,N-トリメチルエタンアミニウムクロリド)1:2:0.1、0.7%(PEGステアリルエーテル)を有するポリ(アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル)2:1、1.5%(ノノキシノール)を有するポリ(アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル)2:1及び1.5%(ノノキシノール)を有するポリ(アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル)2:1及びそれらの組み合わせを含む。
【0044】
一部の実施形態では、ポリメタクリレートベースのコポリマー及び/又はポリ(メタクリル酸)ベースのコポリマーと、セルロース誘導体賦形剤との比は、約1:5~約5:1の範囲である。例えば、ポリ(メタクリル酸)ベースのコポリマーと、セルロース誘導体賦形剤との比は、約1:5~約5:1の範囲、例えば、5:25、6:24、7:23、8:22、9:21、10:20、11:19、12:18、13:17、14:16、15:15、16:14、17:13、18:12、19:11、20:10、21:9、22:8、23:7、24:6又は25:5である。
【0045】
一部の実施形態では、1つ以上の賦形剤は、1つ以上のポリマー材料、例えば、ポリソルベート及び/又はポロキサマーを含む。ポリソルベートの特定の実施形態としては、以下に限定されないが、tween 20、tween 40、tween 60、tween 80及びtween 85が挙げられる。ポロキサマーの特定の実施形態としては、以下に限定されないが、ポロキサマー124、ポロキサマー188、ポロキサマー237、ポロキサマー338及びポロキサマー407が挙げられる。これらのポリマー材料は、単独で、又は1つ以上のポリメタクリレートベースのコポリマー及び/又はセルロース誘導体賦形剤とともに使用することができる。
【0046】
本明細書に記載される製剤は、ボールミリング、湿式造粒、直接圧縮及び乾式造粒、ホットメルト押出又は噴霧乾燥によって調製することができる。一部の実施形態では、製剤は、顆粒、噴霧乾燥粉末、カプセル又は錠剤の形態であり得る。
【0047】
本明細書に記載される製剤は、医薬組成物を形成するために、任意選択で1つ以上の追加の賦形剤と組み合わせることができる。一実施形態では、医薬組成物は、錠剤又はカプセルであり得る。1つ以上の追加の賦形剤の特定の実施形態としては、以下に限定されないが、希釈剤、崩壊剤、バインダー、滑沢剤及び流動促進剤が挙げられる。
【0048】
滑沢剤は、典型的には、錠剤化材料がパンチにくっつくのを防止し、錠剤圧縮中の摩擦を最小限にし、圧縮された錠剤をダイ(die)から取り出すことを可能にするために添加される。薬学的に許容される滑沢剤及び薬学的に許容される流動促進剤の例としては、以下に限定されないが、コロイダルシリカ、三ケイ酸マグネシウム、デンプン、タルク、三塩基性リン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、ポリエチレングリコール、粉末セルロース及び微結晶セルロースが挙げられる。
【0049】
バインダーは、粉末材料に粘着特性を与える薬剤である。一般に使用されるバインダーとしては、デンプン、及び糖、例えば、スクロース、グルコース、デキストロース及びラクトースが挙げられる。薬学的に許容されるバインダーの例としては、以下に限定されないが、デンプン;セルロース及びその誘導体、例えば、微結晶セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシルエチルセルロース及びヒドロキシルプロピルメチルセルロース;スクロース;デキストロース;コーンシロップ;多糖;及びゼラチンが挙げられる。
【0050】
希釈剤は、混合物のバルク重量を増加させ、その結果、圧縮のための実用的なサイズをもたらすために添加される。薬学的に許容される充填剤及び薬学的に許容される希釈剤の例としては、以下に限定されないが、粉糖、圧縮糖、デキストレート、デキストリン、デキストロース、ラクトース、マンニトール、微結晶セルロース、粉末セルロース、ソルビトール、スクロース及びタルクが挙げられる。
【0051】
崩壊剤は、錠剤が許容される崩壊速度を有することを確実にするために含まれることが多い。典型的な崩壊剤としては、デンプン誘導体、及びカルボキシメチルセルロースの塩が挙げられる。薬学的に許容される崩壊剤の例としては、以下に限定されないが、デンプン;クレイ; セルロース;アルギネート;ゴム;架橋ポリマー、例えば、架橋ポリビニルピロリドン(VPV)、架橋カルボキシメチルセルロースカルシウム及び架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム;ダイズ多糖;及びグアーガムが挙げられる。
【0052】
流動促進剤の例としては、以下に限定されないが、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛及びフマル酸ステアリルナトリウムが挙げられる。
【0053】
有用な賦形剤の他の例は、Handbook of pharmaceutical excipients、第3版、A. H. Kibbe編、American Pharmaceutical Association、Washington DC出版、ISBN: 0-917330-96-X、又はHandbook of Pharmaceutical Excipients(第4版)、Raymond C Rowe編 - 出版社: Science and Practiceに記載される。
【0054】
本開示はまた、治療を必要とする対象における神経変性疾患、肝疾患、がん、心血管疾患、肥満、炎症性疾患又は老化を予防及び/又は治療する方法であって、本明細書に記載される製剤又は医薬組成物を前記対象に投与するステップを含む、方法を提供する。これらの疾患の治療のためのTML-6の適用は、Min Hao、Yue Chu、Jingxuan Lei、Zhouhui Yao、Pingping Wang、Ziyan Chen、Kuilong Wang、Xianan Sang、Xin Han、Lu Wang、Gang Cao. Pharmacological Mechanisms and Clinical Applications of Curcumin: Update. Aging and disease. 2023、14(3): 716~749 https://doi.org/10.14336/AD.2022.1101、及びSu IJ、Chang HY、Wang HC、Tsai KJ. A Curcumin Analog Exhibits Multiple Biologic Effects on the Pathogenesis of Alzheimer's Disease and Improves Behavior, Inflammation, and β-Amyloid Accumulation in a Mouse Model. Int J Mol Sci. 2020年7月30日;21(15):5459. doi: 10.3390/ijms21155459. PMID: 32751716; PMCID: PMC7432838に論じられるものである。神経変性疾患の例としては、以下に限定されないが、筋萎縮性側索硬化症、多発性硬化症、パーキンソン病、アルツハイマー病、ハンチントン病、多系統萎縮症、認知症、運動ニューロン疾患、クロイツフェルト・ヤコブ病及びプリオン病が挙げられる。
【0055】
本明細書に記載される製剤及び医薬組成物は、改善された溶解性及びバイオアベイラビリティを有し、したがって、神経変性疾患の予防及び/又は治療において有利な効力を与える。
【実施例0056】
以下の実施例/研究は、本発明の実施において当業者の助けとなるために提供される。
【0057】
本開示の製剤の調製:湿式造粒
実施例1~3の製剤(E01~E03)について、表1に列挙される成分を篩分けし、混合して、顆粒を形成し、次いで乾燥し、成形して、製剤製品を形成した。表1において、TPGSは、D-α-トコフェロールポリエチレングリコール-1000スクシネートの略語であり、SDSは、ドデシル硫酸ナトリウム(SLSとも呼ばれる)の略語である。
【0058】
【0059】
本開示の製剤の調製:溶媒蒸発固体分散
実施例4~12の製剤(E04~E12)について、表2に列挙される成分を溶媒(精製水、95%エタノール及び/又はアセトン)中に分散させ、得られた分散体をオーブン中で乾燥した。冷却後、乾燥分散体をすりつぶし、篩分けした。
【0060】
【0061】
本開示の製剤の調製:噴霧乾燥
実施例13の製剤(E13)の成分は表1に示すとおりである。
【0062】
【0063】
上記成分を混合し、得られた混合物を、噴霧乾燥機を使用して噴霧し、次いで噴霧乾燥粉末を収集した。
【0064】
実施例14~17の製剤を同じ噴霧乾燥法を用いて調製し、その成分は表4に示すとおりである。
【0065】
【0066】
X線粉末回折(XRPD)研究
TML-6(未製剤化)及びTML-6製剤E13を、X線解析のためにそれを提示するゼロバックグラウンド試料ホルダー上で解析した。TML-6のXRPDパターン(
図1)は、5.5°、11.1°、15.7°、16.7°、22.3°などにおける度2θ-反射(±0.2°2θ)を示し、これは結晶状態を示した。
【0067】
TML-6製剤E13のXRPDパターン(
図4)は、鋭く、狭い回折ピークがなく、本質的に連続的であり、これは非晶質形態を示した。
【0068】
示差走査熱量測定(DSC)研究
試料(1~2mg)をアルミニウムパンへと正確に秤量し、密封し、DSC解析のために10℃/分の加熱傾斜で40℃から160℃まで加熱する。
【0069】
TML-6のDSCサーモグラム(
図3)は、結晶状態におけるその融点に対応する、134.25℃における1つの鋭い吸熱ピークを特徴とした。
【0070】
TML-6製剤E14~E17のDSCサーモグラム(
図3)は、(シフトし得る)賦形剤の融点に対応する、約50℃~約90℃における幅広いピークを示し、結晶性TML-6の特性ピークは示されない。
【0071】
TML-6製剤E10及びE12のDSC融点(
図5)は、著しい発熱又は吸熱ピークを示さず、これも非晶質形態を示した。
【0072】
TML-6製剤E04のDSCサーモグラム(
図4)は、TML-6の吸熱ピーク(約132.85℃)に近い、132.55℃における吸熱ピークを示し、これは結晶状態を示した。
【0073】
0.1HCl及びpH6.8リン酸塩緩衝液中、30分の溶解試験
TML-6(API単独)及びTML-6製剤(E01~E12)の溶解を、30分間、胃液を模倣する媒体中で測定し、結果は表5及び6に示すとおりである。TML-6(API単独)及びTML-6製剤(E13~E17)の溶解を、30分間、腸液を模倣する媒体中で測定し、結果は表6に示すとおりである。
【0074】
【0075】
【0076】
上記の表5及び6を参照して、ポリメタクリレートベースのコポリマー、ポリ(メタクリル酸)ベースのコポリマー、ポロキサマー及び/又はセルロース誘導体賦形剤の添加は、TML-6の溶解を効果的に改善することができる。その上、TML-6は、結晶形態におけるよりも、非晶質形態において改善された溶解を示す。
【0077】
ラットにおける薬物動態(PK)研究
この研究の目的は、6~8週齢の雄性Sprague-Dawleyラット(BioLASCO Taiwan Co. Ltd)に投与された場合の経口(PO)用量を通じたTML-6 API(未製剤化、結晶)、TML-6製剤E02(結晶)並びにTML-6製剤E10、E12及びE13(非晶質)の薬物動態プロファイルを得ることである。ラットにおける5用量の研究設計。動物は、強制経口投与による25mg/kgのTML-6 API、TML-6製剤E02、E10、E12及びE13の単回投与(single dose)を受けた。
【0078】
投与溶液調製:TML-6 API、E02、E10、E12及びE13経口製剤は、これらのTML6製剤化粉末を、0.5%メチルセルロース(MC)からなる水性ビヒクル中にそれぞれ2.5mg/mL TML-6の濃度まで懸濁することによって調製した。
【0079】
血漿試料調製及び生体解析 連続血液試料を、尾静脈を通じてすべての動物から収集した。およそ0.2mLの血液試料を、それぞれ以下の時点で収集した:投与前、並びに投与の0.083、0.25、0.5、1、2、4、6、8、10及び24時間後。血漿の分離を、採血後に遠心分離(4℃にて15分間の1,000×g)によって調製した。ラット血漿中のTML-6の濃度を、
図6及び7に示すように、液体クロマトグラフィー-タンデム質量分析(LC-MS/MS)によって決定した。定量下限(LLOQ)は0.1ng/mLであった。各用量レベルにおいてLLOQを上回る血漿濃度-時間データを、TML-6のPKパラメータの計算に使用した(表7)。
【0080】
結果:TML-6 API並びにTML-6製剤E02、E10、E12及びE13のPK研究を、0.5%MC懸濁液中の25mg/kgでラットに経口投与した後に実施した。ML-6 API並びにTML-6製剤E02、E10、E12及びE13のCmax及びAUC(0-∞)を表7にまとめた。未製剤化TML-6(TML-6 API)とTML-6製剤E02との間に、Cmax及びAUC(0-∞)において著しい差はなかった。TML-6製剤E10、E12及びE13は、TML-6のCmax及びAUC(0-∞)の改善を助けることができる。結果はまた、TML-6の改善された溶解を有する製剤が、改善されたCmax及びAUC(0-∞)も有することを示した。
【0081】
【0082】
本開示の組成物及び方法はそれぞれ、いくつかの革新的態様を有し、これらのうちの単一の態様が、本明細書に開示される所望の属性を単独で担うわけではなく、又はこれに必要とされるわけではない。上記の様々な特徴及びプロセスは、互いに独立して使用してもよく、又は様々な方法で組み合わせてもよい。すべての可能な組み合わせ及び部分的組み合わせは、本開示の範囲内にあることを意図している。本開示に記載される実施に対する様々な改変は、当業者に容易に明らかである可能性があり、本明細書に定義される一般原理は、本開示の精神又は範囲から逸脱することなく、他の実施に適用してもよい。したがって、特許請求の範囲は、本明細書に示される実施に限定されることを意図するものではないが、本開示、原理、及び本明細書に開示される新規特徴と一致する最も広い範囲が与えられるべきである。
【0083】
別個の実施の文脈で本明細書に記載される特定の特徴は、単一実施において組み合わせて実施することもできる。逆に、単一実施の文脈で記載される様々な特徴は、別個に複数実施において又は任意の好適な部分的組み合わせにおいて実施することもできる。さらに、特徴が特定の組み合わせで作用すると上に記載され、さらに初めはそのようなものとして特許請求されている可能性があるが、特許請求されている組み合わせからの1つ以上の特徴は、場合によっては、組み合わせから削除することができ、特許請求されている組み合わせは、部分的組み合わせ又は部分的組み合わせのバリエーションを対象とし得る。単一の特徴又は特徴の群は、それぞれの実施形態にとって必要ではなく、又は不可欠ではない。