IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

2024-161002二重目的ハードウェア及びネットワークコントローラに基づく電力効率の高いセルラー動作のための装置及び方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024161002
(43)【公開日】2024-11-15
(54)【発明の名称】二重目的ハードウェア及びネットワークコントローラに基づく電力効率の高いセルラー動作のための装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   H04W 52/02 20090101AFI20241108BHJP
   H04W 16/26 20090101ALI20241108BHJP
   H04W 36/08 20090101ALI20241108BHJP
【FI】
H04W52/02 111
H04W16/26
H04W36/08
【審査請求】有
【請求項の数】23
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024074699
(22)【出願日】2024-05-02
(31)【優先権主張番号】63/463,749
(32)【優先日】2023-05-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】18/650,845
(32)【優先日】2024-04-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】392026693
【氏名又は名称】株式会社NTTドコモ
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100121980
【弁理士】
【氏名又は名称】沖山 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100128107
【弁理士】
【氏名又は名称】深石 賢治
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】パパドプロス, ハララボス
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 富士雄
(72)【発明者】
【氏名】大藤 義顕
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067AA21
5K067AA43
5K067DD27
5K067DD36
5K067EE02
5K067EE06
5K067EE10
5K067EE16
(57)【要約】      (修正有)
【課題】複数のセルを含む通信ネットワークにおいて、セルをスリープ状態とした場合にカバレージホールの発生を改善する通信ネットワーク、セル及び方法を提供する。
【解決手段】通信ネットワークにおいて、各セル102は、基地局111及びローカルネットワークコントローラ110を有し、セルラー通信動作のハードウェアと、消費電力低減状態中にリピータとして動作するリピータハードウェアの両方を有する。通信ネットワークは、複数のローカルネットワークコントローラ110に結合されたマスターネットワークコントローラ101を含み、マスターネットワークコントローラ101が、第1の消費電力低減状態に入る少なくとも1つのセル102を選択し、ローカルネットワークコントローラにシグナリングして、少なくとも1つのセルをリピータとして動作させる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のセルであって、前記複数のセルの各々には基地局及びローカルネットワークコントローラが配備され、前記複数のセルのうちの少なくとも1つが、セルラー通信動作を実行するためのハードウェアと、前記少なくとも1つのセルが第1の消費電力低減状態においてリピータとして動作することを可能にするためのリピータハードウェアと、の両方を有する、当該複数のセルと、
前記複数のセルの各々における前記ローカルネットワークコントローラに結合されたマスターネットワークコントローラであって、前記マスターネットワークコントローラが、前記第1の消費電力低減状態に入る前記少なくとも1つのセルを選択し、前記少なくとも1つのセルに配備された前記ローカルネットワークコントローラにシグナリングして前記リピータハードウェアを有効化することによって前記少なくとも1つのセルをリピータとして動作させる構成とされている、当該マスターネットワークコントローラと、
を備える、通信ネットワーク。
【請求項2】
前記少なくとも1つのセルに配備された前記ローカルネットワークコントローラは、
前記少なくとも1つのセルが前記第1の消費電力低減状態に入ることを示す前記マスターネットワークコントローラからのシグナリングに応答して、前記少なくとも1つのセルの近隣の1つ又は複数のセルにUEをハンドオフする、請求項1に記載の通信ネットワーク。
【請求項3】
前記マスターネットワークコントローラが、前記少なくとも1つのセルが前記消費電力低減状態に移行する及び/又は前記消費電力低減状態にある間に、前記複数のセルのうちの1つ又は複数のセルに、前記少なくとも1つのセルのドナーセルとして動作するようにシグナリングする、請求項1に記載の通信ネットワーク。
【請求項4】
前記ドナーセルに配備された基地局は、信号がドナーアンテナに到達するように、当該基地局のアンテナの傾斜角を変更して前記ドナーセルのカバレッジエリアを拡大する、請求項3に記載の通信ネットワーク。
【請求項5】
少なくとも1つの前記ドナーセルが、有線接続を介して、他のドナーセルに通信可能に結合されている、請求項3に記載の通信ネットワーク。
【請求項6】
少なくとも1つの前記ドナーセルが、前記少なくとも1つのセルとの通信に使用するための1つ又は複数の周波数帯域を供与する、請求項3に記載の通信ネットワーク。
【請求項7】
複数のドナーセルのうちの1つのドナーセルが、セルラー通信動作を実行するためのハードウェア及びリピータハードウェアの両方を有する、第1の複数のセルのためのドナーセルである、請求項3に記載の通信ネットワーク。
【請求項8】
前記少なくとも1つのセルに配備された前記ローカルネットワークコントローラのみが、セルにおけるセル/リピータ動作を制御する、請求項1に記載の通信ネットワーク。
【請求項9】
前記ローカルネットワークコントローラが、前記消費電力低減状態に移行する場合に部分的に切り換わるように動作可能である、請求項8に記載の通信ネットワーク。
【請求項10】
前記セルの複数の帯域のうち、全てではない1つ又は複数の帯域が、前記消費電力低減状態に移行する場合に送信に供され、低電力動作に移行されない残りの帯域が、送信に使用され続けるか又はスリープ状態にされる、請求項9に記載の通信ネットワーク。
【請求項11】
前記マスターネットワークコントローラが、前記少なくとも1つのセルの前記ローカルネットワークコントローラに、通常の電力から前記消費電力低減状態の電力への切り替え及び/又は前記消費電力低減状態の電力から前記通常の電力への切り替えを開始するためのトリガを、提供する、請求項1に記載の通信ネットワーク。
【請求項12】
前記消費電力低減状態にある間、前記少なくとも1つのセルが、1つ又は複数のドナーセルに通信可能に結合され、少なくとも1つのドナーセルから無線オーバーファイバ信号を受信する、請求項11に記載の通信ネットワーク。
【請求項13】
前記消費電力低減状態では、前記少なくとも1つのセルをスリープ状態に切り替えることと、複数のドナーセルそれぞれのアンテナの傾斜を変更して各ドナーセルのカバレッジを拡張することと、が行われる、請求項11に記載の通信ネットワーク。
【請求項14】
前記マスターネットワークコントローラが、前記少なくとも1つのセルの前記ローカルネットワークコントローラに、スリープモードを開始する又はリピータ機能を選択するためのトリガを提供する、請求項1に記載の通信ネットワーク。
【請求項15】
前記少なくとも1つのセルに配備された前記基地局が前記スリープモードに入り、前記スリープモードに入ったことに応答して、前記基地局にリピータとして動作するようにシグナリングする、又は、1つ若しくは複数の近傍セルにシグナリングして前記1つ又は複数の近傍セルのアンテナに関する傾斜変更を実行させる、ことによって、前記少なくとも1つのセルのカバレッジエリア上でカバレッジを拡大させる場合に、
前記マスターネットワークコントローラは、潜在的なカバレッジホールを検出するように動作可能である、請求項14に記載の通信ネットワーク。
【請求項16】
ローカルネットワークコントローラと、
セルラー通信動作を実行するためのハードウェア、及び、少なくとも1つのセルが第1の消費電力低減状態中にリピータとして動作することを可能にするリピータハードウェアと、
が配備された、セル。
【請求項17】
前記ローカルネットワークコントローラは、
前記セルが消費電力低減状態に入ることを示す受信された制御シグナリングに応答して、UEを1つ又は複数の近隣セルにハンドオフする、請求項16に記載のセル。
【請求項18】
前記ローカルネットワークコントローラは、
セルラー通信を使用して動作するか、又は、前記消費電力低減状態でリピータとして動作するように、
前記ハードウェアを制御するよう動作可能である、請求項17に記載のセル。
【請求項19】
前記ローカルネットワークコントローラは、
前記消費電力低減状態に移行する場合に、複数の帯域の使用から1つの帯域の使用に切り替えるように動作可能である、請求項18に記載のセル。
【請求項20】
前記ローカルネットワークコントローラは、
前記セルが前記消費電力低減状態に移行する場合に、
前記セルの複数の帯域のうち、全てではない1つ又は複数の帯域を使用して送信動作を行うように前記ハードウェアを制御し、低電力動作に移行されない残りの帯域が、送信に使用され続けるか又はスリープ状態にされる、請求項19に記載のセル。
【請求項21】
通信ネットワークにおける複数のセルのうちの各セルによって、セルラー通信動作を実行するためのハードウェアを使用して送信するステップと、
前記複数のセルの各々におけるローカルネットワークコントローラに結合されたマスターネットワークコントローラによって、消費電力低減状態に入る少なくとも1つのセルを選択するステップと、
前記マスターネットワークコントローラによって、前記少なくとも1つのセルの前記ローカルネットワークコントローラにシグナリングしてリピータハードウェアを有効化させることによって、前記少なくとも1つのセルをリピータとして動作させるステップと、
少なくとも1つのセルが、前記消費電力低減状態においてリピータハードウェアを使用してリピータとして動作するステップと、
を含む、方法。
【請求項22】
前記方法は、
前記少なくとも1つのセルの前記ローカルネットワークコントローラによって、前記少なくとも1つのセルが前記消費電力低減状態に入ることを示す前記マスターネットワークコントローラからのシグナリングに応答して、前記少なくとも1つのセルの近隣の1つ又は複数のセルにUEをハンドオフするステップ、
をさらに含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記方法は、
前記少なくとも1つのセルが前記消費電力低減状態に移行する及び/又は前記消費電力低減状態にある間に、前記セルの1つ又は複数のアンテナの傾斜角を変更して前記セルのカバレッジエリアを拡大することによって、前記少なくとも1つのセルの前記カバレッジエリアの少なくとも一部分をカバーするステップ、
をさらに含む、請求項21に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本出願は、2023年5月3日に出願され、「APPARATUS AND METHOD FOR POWER-EFFICIENT CELLULAR OPERATION BASED ON DUAL PURPOSE HARDWARE AND NETWORK CONTROLLERS」と題された米国仮特許出願第63/463,749号の非仮出願であって、その利益を主張するものであり、その全体が参照により組み込まれている。
【0002】
[0002]本開示の実施形態は無線通信に関し、より詳細には、本明細書に開示する実施形態は、セルのうちの少なくとも1つが、セルラー通信動作を実行するためのハードウェアと、消費電力低減状態中にリピータとして動作することを可能にするためのリピータハードウェアとの両方を有する、セルラー通信に関する。
【背景技術】
【0003】
[0003]今日、モバイルネットワーク事業者は電力消費量及び二酸化炭素消費量を考慮に入れており、その理由は、モバイルネットワークに電力を供給するために使用されるエネルギーが温室効果ガスの排出及び気候変動の一因となるためである。環境への影響に加えて、過剰な電力消費は、ネットワーク事業者の運用コストの増加にもつながる場合がある。したがって、モバイルネットワーク事業者は、電力消費量及び二酸化炭素排出量を考慮に入れて削減することによって、事業が環境に与える悪影響を軽減するのを支援しつつ、収益も向上させることができる。
【0004】
[0004]電力使用量を削減するために人々が検討している選択肢のうちの1つは、トラフィックの少ない時間中に基地局をオフにすることである。しかしながら、モバイルネットワーク事業者がセルをスリープ状態にすると、カバレッジホールが作成される場合があり、多くの顧客を不満にすることになる。
【0005】
[0005]カバレッジホールに対処する1つの解決策は、カバレッジホールを閉じる目的で、近隣セルにそれらのアンテナを上向きに傾斜させてカバレッジを拡大させることである。このアプローチにはいくつかの問題がある。第1に、傾斜させた後でも、カバレッジホールがまだ存在する場合がある。第2に、近隣セルのアンテナを傾斜させると、他の近隣セル(スリープ状態にされないもの)への干渉が大きくなる場合がある。さらに、セル間のハンドオーバーも影響を受ける場合があり、傾斜変更によるハンドオーバーの失敗数が増加する場合がある。モバイルネットワーク事業者が大幅に電力を節約するためにいくつかのセルを同時にスリープ状態にしたい場合、これらの問題全てがさらに悪化する場合がある。
【発明の概要】
【0006】
[0006]セルラー動作のための装置及び方法を開示する。いくつかの実施形態では、通信ネットワークは、複数のセルを含み、複数のセルのうちの各セルが基地局及びローカルネットワークコントローラを有し、セルのうちの少なくとも1つが、セルラー通信動作を実行するためのハードウェアと、少なくとも1つのセルが第1の消費電力低減状態中にリピータとして動作することを可能にするためのリピータハードウェアと、の両方を有する。通信ネットワークはまた、複数のセルのそれぞれにおけるローカルネットワークコントローラに結合されたマスターネットワークコントローラを含み、マスターネットワークコントローラが、第1の消費電力低減状態に入る少なくとも1つのセルを選択し、少なくとも1つのセルのローカルネットワークコントローラにシグナリングして、リピータハードウェアを有効化させることによって、少なくとも1つのセルをリピータとして動作させるように構成される。
【0007】
[0007]いくつかの他の実施形態では、セルは、ローカルネットワークコントローラと、セルラー通信動作を実行するためのハードウェア、及び少なくとも1つのセルが第1の消費電力低減状態中にリピータとして動作することを可能にするリピータハードウェアと、を含む。
【0008】
[0008]さらにいくつかの他の実施形態では、方法は、通信ネットワークにおける複数のセルのうちの各セルによって、セルラー通信動作を実行するためのハードウェアを使用して送信するステップと、複数のセルのそれぞれにおけるローカルネットワークコントローラに結合されたマスターネットワークコントローラによって、消費電力低減状態に入る少なくとも1つのセルを選択するステップと、マスターネットワークコントローラによって、少なくとも1つのセルのローカルネットワークコントローラにシグナリングして、リピータハードウェアを有効化させることによって、少なくとも1つのセルをリピータとして動作させるステップと、少なくとも1つのセルが、消費電力低減状態中にリピータハードウェアを使用してリピータとして動作するステップと、を含む。
【0009】
[0009]記載した実施形態及びそれらの利点は、添付の図面と併せて以下の説明を参照することによって最もよく理解することができる。これらの図面は、記載した実施形態の思想及び範囲から逸脱することなく、当業者によって記載した実施形態に加えられる可能性がある形態及び詳細の変更を何ら制限するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】通信ネットワークのいくつかの実施形態を示す図である。
図2】デュアルハードウェア局(dual hardware station)がドナーセルに接続する場合を示す図である。
図3】デュアルハードウェア局が消費電力低減状態に入ることができる構成を示す図である。
図4】デュアルハードウェア局がスリープモードに入ったときの、又はスリープモードにあるときの、近傍基地局の拡大されたカバーエリアを示す図である。
図5】サイトのデュアルハードウェア局のいくつかの実施形態を示す図である。
図6】マスターネットワークコントローラがセルを消費電力低減状態にするための動作を実行しつつ、そのようなセルに関するカバレッジの問題を保守又は対処するいくつかの実施形態を示す図である。
図7A】サイトにおけるデュアルハードウェアのいくつかの実施形態を示す図である。
図7B】サイトAのローカルネットワークコントローラがスイッチをトグルしてフルスタックセルプロセッサをセルラー通信用のアンテナに結合できるようにする場合の通常動作を示す図である。
図7C】低電力動作中のサイトAのデュアルハードウェア局を示す図である。
図7D】ドナーセルアンテナへの有線接続を含むデュアルハードウェアセルを動作させる例を示す図である。
図8】リピータ機能におけるローカルネットワークコントローラベースの段階的切り替えの例を示す図である。
図9】サイトにおけるコントローラベースの段階的切り替えのいくつかの実施形態の他の例を示す図である。
図10】通常動作中のセルのグループのいくつかの実施形態を示す図である。
図11】通常動作中のセルのグループのいくつかの実施形態を示す図である。
図12】サイトにおけるマスター/ローカルネットワークコントローラベースの段階的切り替えのいくつかの実施形態の例を示す図である。
図13】通常動作及び低電力(リピータ)動作の間の段階的切り替えのいくつかの実施形態を示す図である。
図14A-1】通信ネットワークの低消費電力モードへの移行動作のためのプロセスのいくつかの実施形態のデータフロー図である。
図14A-2】通信ネットワークの低消費電力モードへの移行動作のためのプロセスのいくつかの実施形態のデータフロー図である。
図14B-1】通常モードからスリープモードに移行するためのプロセスのいくつかの実施形態のフロー図である。
図14B-2】通常モードからスリープモードに移行するためのプロセスのいくつかの実施形態のフロー図である。
図15】通常動作からスリープ動作へのコントローラベースの段階的切り替えのいくつかの実施形態のマルチバンドの例を示す図である。
図16】通常動作からスリープ動作へのコントローラベースの段階的切り替えの他のいくつかの実施形態の他のマルチバンドの例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[0030]以下の説明では、本開示のより完全な説明を提供するために、多数の詳細について記載している。しかしながら、本開示がこれらの特定の詳細がなくとも実施できることは当業者には明らかであろう。他の例では、本開示を不明瞭にすることを避けるために、よく知られている構造及びデバイスは、詳細にではなく、ブロック図形式で示す。
【0012】
[0031]本明細書に記載の実施形態は、モバイルネットワーク事業者が、より電力効率の高いネットワークを有するために、ある時間、1つ又は複数のセルを消費電力低減状態にすることを可能にする。いくつかの実施形態では、これらの時間は、トラフィックの少ない時間中である。ユーザ体験への影響を軽減するために、本明細書に記載の実施形態は、モバイルネットワーク事業者が次世代の電力効率の高いネットワークを有することを支援する。
【0013】
[0032]いくつかの実施形態では、低電力動作を容易にするために、ネットワークは、基地局が省電力モードに入っている間、端末(たとえば、携帯電話、ユーザデバイスなど)にシームレスな移行を提供するための2つのネットワークコントローラを含む。2つのコントローラのうちの1つ目を、本明細書ではメインコントローラと呼ぶ。メインコントローラは、ネットワーク全体のトラフィック状況を監視し、各基地局の電力管理を制御する。いくつかの実施形態では、メインコントローラは、チャネル割り当ても制御する。本明細書でローカルネットワークコントローラと呼ぶ2つ目のコントローラは、基地局動作を実行するための機能及びリピータ動作を実行するための機能を含むデュアルハードウェア基地局における省電力モードを管理する。
【0014】
[0033]本明細書の実施形態は、チャネル割り当て及び電力管理によって実施されるか又は別の方法で実行されるハンドオフ管理を用いて、関連付けられた基地局から他の基地局へのハンドオフを開始する。これは、端末が接続を維持するためにデュアルコネクティビティを有することができる、Wi-Fi(登録商標)及びセルラーなどの2つの異なるネットワークシステムを有する従来のデュアルモード基地局とは対照的であることに留意されたい。
【0015】
[0034]省電力モード中に、メインコントローラは基地局において、送信電力を低減させ、及び/又はTx/Rx(送信電力及び受信電力)をシャットダウンする。関連付けられた基地局が省電力モードに入ると、端末が関連付けられた基地局への接続を失って、重大なサービス中断が引き起こされるのを防ぐために、メインコントローラ及びローカルネットワークコントローラは、どの動作チャネル(たとえば、周波数)をシャットダウンするか、及び動作チャネルの電力をいつ低減させるかを管理する。換言すれば、関連付けられた基地局がスリープモードに移行する間、関連付けられた端末は、チャネル(たとえば、周波数)管理を使用した他の基地局へのハンドオフが自動的に開始される。いくつかの実施形態では、スリープモードとは、関連付けられた基地局がその電力をシャットダウンするか、又は電力を低減させることを意味する。
【0016】
[0035]したがって、2つのネットワークコントローラは、現在の関連付けられた接続を維持し、電力効率を最大化するように調整される。このように、本明細書に開示する実施形態は、関連付けられた基地局がスリープモードに移行する前の通信機能のシームレスな移行を提供しつつ、管理エリア内での効率的な電力管理を提供する。
【0017】
デュアルハードウェア基地局
[0036]いくつかの実施形態では、ネットワークは、サイトにおける追加のハードウェアを含む。サイトは基地局とすることができる。いくつかの実施形態では、ハードウェアは、通常のセルとしてだけでなく、リピータとしても動作することができる。たとえば、通常動作では、ハードウェアは標準的なセルとして機能し、一方、トラフィックの少ないシナリオでは、標準的なリピータとして機能する。いくつかの実施形態では、リピータは、標準的なセルと同じカバレッジを有するように設計され、大幅に低いエネルギーフットプリントを有することができる。たとえば、リピータはSureCallのリピータ@28GHzで構成され、わずか30Wを使用して本格的なセルと同じカバレッジを提供する。いくつかの実施形態では、ハードウェアは、通常動作と低トラフィック動作との間の段階的且つシームレスな移行を可能にするための専用のコントローラも装備される。
【0018】
[0037]追加のハードウェアを使用することには、ベースラインのスリープ動作に関するいくつかの利点がある。実施形態は、以下の利点のうちの1つ又は複数を含む。第1に、追加のハードウェアを使用することで、低電力動作への切り替え時にカバレッジホールが作成されることが防止され、ひいては顧客満足が維持される。第2に、近隣セルの傾斜変更が必要ないので、追加の干渉は発生しない。第3に、多数のセルに設置することがはるかに容易であるので、さらなる大幅な省電力につながる。第4に、干渉レベルが固定のままであるので、低電力動作の影響を調べることが容易である。たとえば、低電力動作がいつ必要になるか、セルがいつ低電力動作から抜け出すべきかを予測することが容易であり、ハンドオーバー及びセル計画への影響を予測することが容易である。
【0019】
[0038]図1は、通信ネットワークのいくつかの実施形態を示している。図1を参照すると、通信ネットワークは、マスターネットワークコントローラ101及び複数のセル102を含む。いくつかの実施形態では、マスターネットワークコントローラl01は、RANインテリジェンスコントローラ(RIC)内に位置する。セル102のそれぞれは、ローカルネットワークコントローラ及び基地局を含む。たとえば、セル102aは、ローカルネットワークコントローラ110a及び基地局111を含む。マスターネットワークコントローラ101は、セル102内のローカルネットワークコントローラのそれぞれに通信可能に結合される。セル102のうちの1つ又は複数は、デュアルハードウェア局を含む。たとえば、セル102Bは、ローカルネットワークコントローラ110bと共にデュアルハードウェア局120を含む。いくつかの実施形態では、デュアルハードウェア局は、基地局及びリピータを含む。いくつかの実施形態では、大多数又は全てのセルが、デュアルハードウェア局を含む。
【0020】
[0039]いくつかの実施形態では、セル内のデュアルハードウェア局は、有線接続によって、本明細書でドナーセルと呼ぶ他の基地局に通信可能に直接接続することができる。有線接続は、ファイバ接続(たとえば、無線オンファイバ(RoF))とすることができる。図2は、デュアルハードウェア局がドナーセルに接続する場合を示している。図2を参照すると、デュアルハードウェア局120は、ローカルネットワークコントローラ210Aと共にセルA内にある。ドナーセルB及びCは、セルA及びそのデュアルハードウェア局120の近隣に位置している。ドナーセルBは、基地局211B及びローカルネットワークコントローラ210Bを含み、一方、ドナーセルCは、基地局211C及びローカルネットワークコントローラ210Cを含む。ドナーセルBの基地局211Bは、RoF(又は他の何らかの有線接続)を介してデュアルハードウェア局120に通信可能に結合される。デュアルハードウェア局120がリピータとして動作する場合、ドナーセルBからの信号は、RoF上で直接搬送することができる。この場合、セルAは信号を増幅して送信する。
【0021】
[0040]いくつかの実施形態では、ドナーセルCからの信号は、通常の無線リピータとして無線リンクを使用してセルAで受信することができる。そのような場合、セルAのデュアルハードウェア局120は、信号を増幅して前方に送信する。
【0022】
[0041]いくつかの実施形態では、デュアルハードウェア局120の電力を低減させて、デュアルハードウェア局120が消費電力低減状態に入るようにすることができる。いくつかの実施形態では、電力の低減は段階的である。いくつかの実施形態では、デュアルハードウェア局120の電力を段階的に低減させた後、最終的にはシャットダウンする。図3は、そのような構成を示している。デュアルハードウェア局がシャットダウンされると、1つ又は複数の近傍セルがアンテナの傾斜角を変更して、セルAのエリアにカバレッジを提供する。図4は、デュアルハードウェア局がスリープモードに入ったときの、又はスリープモードにあるときの、近傍基地局301及び302の拡大されたカバーエリアを示している。デュアルハードウェア局120が消費電力低減状態に入ると、近傍基地局301及び302のカバレッジエリアは、それらのカバレッジエリアがセルAのカバレッジエリアの少なくとも一部分をカバーするように拡大されるよう、それらのアンテナの傾斜角を変更することによって拡大される。たとえば、近傍基地局301は、その傾斜角が変更されて、カバレッジ302BがセルAのカバレッジエリアの一部分をカバーするように拡大し、一方、近傍基地局302は、そのアンテナの傾斜角が変更されて、セルAのカバレッジエリアの少なくとも一部分をカバーするようにカバレッジエリア302Aを拡大する。いくつかの実施形態では、これらのアンテナのうちの1つ又は複数は、それらの傾斜を少量だけ、たとえば、0.5度~2度のオーダーの量だけ増加させる(その理由は、リピータハードウェアを同時に使用してセルのカバレッジエリアの他の部分をカバーすることができるためである)。いくつかの実施形態では、一部のアンテナを5度以上も上向きに傾斜させる必要がある場合がある。いくつかの実施形態では、これらの大きな傾斜は段階的に行われてもよく、セルAにおけるTX電力(ひいてはカバレッジエリア)の段階的な低減に伴って行われてもよい。アンテナを傾斜させるための機構は、当技術分野ではよく知られていることに留意されたい。したがって、デュアルハードウェア局120が最終的にスリープモードに入り、基地局機能及びリピータ機能が消費電力低減状態にあるときに、近傍局301及び302は、それらの変更された傾斜角を通じてセルAのカバレッジを提供する。
【0023】
[0042]いくつかの実施形態では、リピータは基地局と同じ送信(TX)/受信(RX)電力を有する。しかしながら、いくつかの実施形態では、リピータは基地局と同じTX/RX電力を有さない。いくつかの実施形態では、リピータはミリ波周波数で送信する。
【0024】
[0043]図5は、サイトのデュアルハードウェア局のいくつかの実施形態を示している。図5を参照すると、デュアルハードウェア局120は、デュアルハードウェア局120のローカルネットワークコントローラ210Aに結合されたスイッチ542を含む。このハードウェアは、サイトのセルラー通信動作を実行するためのフルスタックセルプロセッサ510を含む。いくつかの実施形態では、フルスタックセルプロセッサ510は、セルラー通信を実行するための(たとえば、3GPP(登録商標)で定義された)プロトコルスタック全体を有するように構成される。フルスタックセルプロセッサ510は、スイッチ542及びローカルネットワークコントローラ210Aに結合される。いくつかの実施形態では、スイッチ542は、ローカルネットワークコントローラ210Aの一部である。デュアルハードウェア局120は、リピータ用のアナログプロセッサ511も含む。アナログプロセッサ511は、スイッチ542、ローカルネットワークコントローラ210A、及びTX/RXドナーアンテナ502に結合される。
【0025】
[0044]スイッチ542は、ローカルネットワークコントローラ210Aが、TX/RXアンテナ(又はRU)502をフルスタックセルプロセッサ510からの信号で駆動するか、アナログプロセッサ511からの信号を用いるかを切り替えることを可能にする。デュアルハードウェア局120がセルラー通信を使用する場合、ローカルネットワークコントローラ210Aは、スイッチ542を制御して、フルスタックセルプロセッサ510がTX/RXアンテナ501を利用してセルラー通信を実行することを可能にする。その他の場合、デュアルハードウェア局120がリピータとして動作する場合には、ローカルネットワークコントローラ210Aは、スイッチ542を制御して、TX/RXドナーアンテナ502を介したアナログプロセッサ511の制御下でのリピータによる通信を可能にする。したがって、ローカルネットワークコントローラ210Aは、スイッチ542を使用して、セルがいつTX/RXアンテナ501又はTX/RXドナーアンテナ502を用いて通信するかを制御する。
【0026】
[0045]いくつかの実施形態では、基地局及びリピータ機能は、アンテナと共に、互いに論理的に同じ場所に配置される。しかしながら、いくつかの実施形態では、リピータ機能は、基地局と同じ場所に配置される。いくつかの他の実施形態では、リピータ機能は、基地局と同じ場所に配置されない。アンテナ501及び502は、基地局及びリピータ機能(たとえば、プロセッサ)から離れた場所に配置することができる。いくつかの実施形態では、アンテナ501及び502の一方又は両方は、リモート無線ヘッド(RRH)である。
【0027】
[0046]図5は1つのリピータを示しているが、デュアルハードウェア局は複数のリピータを含むことができることに留意されたい。さらに、各リピータは、各自の関連付けられたドナー及び/又はTX/RXアンテナを有することができる。
【0028】
[0047]マスターネットワークコントローラ(たとえば、マスターネットワークコントローラ101)が、1つ又は複数のセルを消費電力低減状態にすることを望む場合、マスターネットワークコントローラは、セルのローカルネットワークコントローラと通信して、セルのうちの1つ又は複数を消費電力低減状態にすることができるか否かを判定し、それらのセルを電源切断するように選択しつつ、消費電力低減状態にされる1つ又は複数のセルにカバレッジを提供するために傾斜を変更して動作する他のセルを選択する。
【0029】
[0048]図6は、マスターネットワークコントローラがセルを消費電力低減状態にするための動作を実行しつつ、そのようなセルに関するカバレッジの問題を保守又は対処するいくつかの実施形態を示している。図6を参照すると、マスターネットワークコントローラ101は、ローカルネットワークコントローラ611及び612などのセル内のローカルネットワークコントローラにステータス要求601を送信する。ステータス要求に応答して、ローカルネットワークコントローラ611、612などのローカルネットワークコントローラは、フィードバック応答メッセージをマスターネットワークコントローラ101に送信する。いくつかの実施形態では、これらのフィードバック応答メッセージは、ネットワークトラフィック、セル容量、及びセルが電源切断された場合に存在する可能性がある潜在的なカバレッジホールなどのうちの1つ又は複数に関連する情報を含む。このフィードバック情報を使用して、マスターネットワークコントローラ101は、電力最適化器620の計算を実行し、この情報を使用して電源切断するセルを選択する。いくつかの実施形態では、電力最適化は、マスターネットワークコントローラにおいてアルゴリズムを実行することによって実行される。いくつかの実施形態では、アルゴリズムは、ローカルネットワークコントローラによって共有されたネットワークトラフィック要件を考慮に入れ、それらをカバレッジエリアにわたるネットワーク容量要件に変換する。続いて、アルゴリズムは、これらの要件に一致するか又は超えることができる最小電力フットプリントを見つけようとする。いくつかの実施形態では、アルゴリズムは貪欲に、セルを一度に1つずつより低い電力状態に切り替え(いずれの場合も、容量要件が新しい構成によって満たされる場合)、これを、QoEを損なうことなくそれ以上の電力節約が不可能になるまで行う。いくつかの実施形態では、逆のメカニズムを適用して、1つ又は複数のセルをより高い電力消費状態にすることによって、ネットワークトラフィックの増加を考慮する(また、ネットワークトラフィックが増加しても、QoEを依然として満たせるようにする)。
【0030】
[0049]いくつかの実施形態では、この選択は、どのセルにアンテナの傾斜変更を実行するように指令すべきか、どのセルがスリープ状態になるか、又はどのセルがリピータとして動作するかを選択することを含む。この情報は、ローカルネットワークコントローラに伝達される。たとえば、マスターネットワークコントローラ101は、ローカルネットワークコントローラ611に制御信号を送信して、基地局にそのアンテナの傾斜を変更させることによって、セルの現在のカバレッジを超えてカバレッジを拡大させ、一方、ローカルネットワークコントローラ612に、そのハードウェアをスリープ状態にするか、又は通信のためにリピータとして動作するようにシグナリングする。
【0031】
[0050]図5に戻ると、いくつかの実施形態では、デュアルハードウェア局を有するセルは、ハードウェアを通常のセルラー通信のために、又はリピータとしても、使用することができる。トグルスイッチ542を一方向にトグルすることにより、デュアルハードウェア局のフルスタックセルプロセッサ510は、セルラー通信を実行することが可能になり、スイッチ542を逆方向にトグルすることにより、アナログプロセッサ511を有するリピータをリピータとして使用することができる。図7Aは、サイトにおけるデュアルハードウェアのいくつかの実施形態を示している。図7Aを参照すると、サイトAは、通常のセルとして動作するだけでなく、リピータとしても動作可能なハードウェアを含む。2つのトグルスイッチ740及び741は、フルスタックセルプロセッサ710及びアナログプロセッサ711のいずれをアンテナ701に結合させるかをトグルする。いくつかの実施形態では、トグルスイッチ740及び741は、ローカルネットワークコントローラ720によって制御される。図7Aに示すように、ローカルネットワークコントローラ720は、フルスタックセルプロセッサ710をアンテナ701に接続しつつ、アナログプロセッサ711をアンテナ701から切り離すように、トグルスイッチ740及び741を設定している。通常のセルとして動作する場合、ローカルネットワークコントローラ720は、フルスタックセルプロセッサ710がアンテナ701を送信動作及び受信動作の両方に使用するように、スイッチ740及び741をトグルする。リピータとして動作する場合、ローカルネットワークコントローラ720は、ダウンリンクにおいて、アナログプロセッサ711がアンテナ701を送信動作に使用し、ドナーアンテナ702を受信動作に使用するように、スイッチ740及び741をトグルする。すなわち、ダウンリンク送信の場合、ドナーアンテナ702は、他のエンティティから信号を受信し、アンテナ701は、その信号をそのカバレッジエリア上で再送信する。アップリンク方向では、アンテナ701は、そのカバレッジエリア上でUEによって送信された信号を受信し、ドナーアンテナ702は、それらの信号を(フルスタックプロセッサを介した)さらなる処理のために他のサイトに再送信する。
【0032】
[0051]図7Bは、サイトAのローカルネットワークコントローラ720がトグルスイッチ740及び741をトグルして、フルスタックセルプロセッサ710をアンテナ701に結合できるようにする場合の通常動作を示している。図7Cは、低電力動作中のサイトAのデュアルハードウェア局を示している。図7Cを参照すると、ローカルネットワークコントローラ720は、トグルスイッチ740及び741を制御して、アナログプロセッサ711を有効化することによって、アナログプロセッサをアンテナ701に接続する。低電力動作中に、アナログプロセッサ711は、ドナーアンテナ702を介してドナーセルと通信し、アンテナ702を用いてリピータカバレッジを提供する。たとえば、ドナー信号750がドナーアンテナ702とドナーセルアンテナ761との間で伝送され、ドナーセルアンテナ761はドナーセルカバレッジエリア760を提供するように動作する。ドナー信号750は、ドナーセルアンテナ761からサイトAのドナーアンテナ702に送信することができ、次いで、アナログプロセッサ711は、その情報をアンテナ702経由で送信させて、リピータカバレッジエリア770を介してリピータとして動作することができる。いくつかの実施形態では、ドナーアンテナ702とドナーセルアンテナ761との間に見通し(LOS:line of sight)経路が存在する。これは、送信に使用される周波数がミリ波の場合に発生する場合がある。いくつかの実施形態では、リピータ信号は、OFDMの巡回プレフィックス内にある。
【0033】
[0052]図7Aに示すようなサイトにおけるハードウェア制御を使用して、いくつかの実施形態では、通信システムは、容量要求及び遅延制約(無線/有線リピータ動作に関するもの)が満たされる限り、所望する数のセルをスリープ状態にすることができる。
【0034】
[0053]いくつかの他の実施形態では、デュアルハードウェア局は、リピータ用のアナログプロセッサをドナーセルアンテナに結合する追加のスイッチを含む。この場合、アナログプロセッサとドナーセルアンテナとの間の接続は有線接続である。図7Dは、ドナーセルアンテナへの有線接続を含むデュアルハードウェアセルを動作させる例を示している。図7Dを参照すると、図7Cのハードウェアと同様に、コントローラ720は、スイッチ740及び741をトグルして、リピータ機能を有効化する。しかしながら、コントローラ720はまた、ファイバ接続780(又は他のタイプの有線接続)を介してアナログプロセッサ711をドナーセル781に結合する追加のトグルスイッチ742をトグルして、ドナーセル781とアナログプロセッサ711との間の通信を可能にする。いくつかの実施形態では、ファイバ接続は、無線オーバーファイバ(RoF:radio over fiber)接続である。ドナーセル781はその信号を、ファイバ接続780を介してアナログプロセッサ711と共有する。
【0035】
[0054]いくつかの実施形態では、ドナーセルは、オープンランダムアクセスネットワーク(O-RAN)の分散ユニット(DU:distributed unit)又はドナーDUを用いて又はその一部として実装され、送信アンテナ701(及び他のそのような送信アンテナ、たとえば、図5の送信アンテナ501及び図10の送信アンテナ1001)は、オープンランダムアクセスネットワーク(O-RAN)の無線ユニット(RU:radio unit)又は受信機RUを用いて又はその一部として実装される。いくつかの他の実施形態では、ドナーセルは、ドナープロセッサを用いて又はその一部として実装され、送信アンテナ701(及び他のそのような送信アンテナ、たとえば、図5の送信アンテナ501及び図10の送信アンテナ1001)は、受信機無線送信ユニットを用いて又はその一部として実装される。
【0036】
[0055]いくつかの実施形態では、リピータ信号伝送は、ドナーセル伝送と同期される。これはマルチパスを扱うのに役立つ。より具体的には、複数の場所から同じ信号を送信し、タイミングが同期される場合、送信された信号の受信は、OFDMサイクリックプレフィックス内にすることができる(たとえば、2つの場所からの送信信号のタイミング同期により、マルチパス拡散が最小限に抑えられ、OFDMサイクリックプレフィックス期間未満になることが保証される)。
【0037】
[0056]いくつかの実施形態では、リピータに電源投入する前に、フルスタックプロセッサが電源切断される。場合によっては、これによりサービスが中断される場合がある。いくつかの他の実施形態では、電源切断時に、サービスの中断を生じさせないようにするための措置が講じられる。たとえば、いくつかの実施形態では、サイトのローカルネットワークコントローラは、通常動作と低電力動作との間を段階的に切り替える。段階的切り替えを実行する場合、いくつかの実施形態では、アナログリピータとフルスタックプロセッサとの両方が同時にオンになる。いくつかの実施形態では、段階的切り替え中に、セル内のアクティブユーザの状態がドナーセルに移される。いくつかの実施形態では、ドナーアンテナの無線リンクは、ドナーアンテナへの有線接続(たとえば、RoF接続など)で置き換えることができる。
【0038】
[0057]いくつかの実施形態では、コントローラは、ドナー基地局によって使用される周波数を制御する。たとえば、いくつかの展開例では、これらのTX/RXアンテナ(たとえば、RU)の多くが(サービスプロバイダに割り当てられた)2つの異なる周波数帯域で同時に信号を送信し、これらの周波数帯域は分断されているが、搬送周波数が互いに近接している。そのような場合、これらの帯域のいずれか1つで(さらには同時に両方で)UEにサービスを提供することができる。TX/RX(たとえば、RU)が2つの異なる帯域にわたってカバレッジを提供することにより、既存の手段を使用して、あるモード(たとえば、セルによって使用されるフルセルスタック)から他のモード(たとえば、セルがリピータとして動作する場合)への切り替え中にハンドオーバーを実行することが可能になる。いくつかの実施形態では、「移行」期間において、周波数間ハンドオーバーとして知られているものが存在し、ある周波数帯域内の1つのセルから他の周波数帯域内の他のセル(又は場合によっては同じセル)にUEをハンドオーバーする。いくつかの他の実施形態では、周波数内ハンドオーバーによって、「ソフト」切り替え(すなわち、UEがプロセス内でドロップされない)を可能にすることができる。この場合、コントローラは、単一の帯域内の無線リソースをリピータ及びフルスタック信号の間で分割する。これは、いくつかの方法で実現することができる。1つの方法は、OFDMプレーン内のトーンを2つの異なるチャンクに分割し、一方のチャンクでフルスタックプロセッサによって生成された信号を送信し、他方のチャンクでリピータによって生成された信号を送信することである。いくつかの実施形態では、中央(2つのチャンクの間)のOFDMトーンの一部が、2つの信号間の干渉を許容可能にするための「ガードバンド」として未使用のまま残される。
【0039】
[0058]図8は、リピータ機能におけるローカルネットワークコントローラベースの段階的切り替えの例を示している。移行中、リピータ用のアナログプロセッサ及びフルスタックプロセッサのそれぞれに、伝送に利用可能なスペクトルの一部が割り当てられる。たとえば、図8において、グラフ800は、利用可能なスペクトル801の全てが通常動作(たとえば、セルラー動作)用のフルスタックセルプロセッサに割り当てられることと、段階的切り替え中に通常のセルラー動作用のフルスタックセルプロセッサとリピータ動作用のアナログプロセッサとの間でスペクトル802が分割されることと、低電力動作中に利用可能なスペクトル803全体がリピータ用のアナログプロセッサに割り当てられることと、を示している。スペクトル802の分割は、段階的切り替え中にフルスタックセルプロセッサとアナログリピータとの間で50/50である必要はないことに留意されたい。
【0040】
[0059]いくつかの実施形態では、「電源切断される」セルが複数の帯域で送信する場合、段階的切り替えのためにスペクトルを分割するためのいくつかのオプションが示される。たとえば、図8に示す1つの例では、グラフ810は、利用可能なスペクトル811の全ての帯域が通常動作(たとえば、セルラー動作)用のフルスタックセルプロセッサに割り当てられることと、段階的切り替え中にフルスタックセルプロセッサとアナログプロセッサとの間でスペクトル812の帯域が分割されることと(たとえば、段階的切り替え中に、1つの帯域がフルスタックセルプロセッサに割り当てられ、1つの帯域がアナログプロセッサに割り当てられ、段階的切り替え中に、1つ又は複数の帯域がフルスタックセルプロセッサに割り当てられ、1つ又は複数の帯域がアナログプロセッサに割り当てられる、など)、低電力動作中に利用可能なスペクトル813全体を表す全ての帯域がリピータ用のアナログプロセッサに割り当てられることと、を示している。
【0041】
[0060]図9は、サイトにおけるコントローラベースの段階的切り替えのいくつかの実施形態の他の例を示している。図9を参照すると、グラフは、いくつかの論理的時間ステップA~Gにわたる帯域1及び2で構成されるスペクトルの割り当てを示している。時間Aにおいて、サイトのハードウェアはその通常のセルラー動作を実行しており、帯域1及び2の両方がフルスタックセルプロセッサに割り当てられている。また、この時間中に、サイトAの全ての関連付けられたUEは、帯域のうちの1つ、たとえばこの例では帯域2に移動される。いくつかの実施形態では、ローカルネットワークコントローラは、UE状態を移すことを可能にする。いくつかの実施形態において、この動作は、セルの物理識別子(ID)を変更する必要がないことを除いて、通常のハンドオーバー(HO)と同様であることに留意されたい。
【0042】
[0061]時間Bにおいて、帯域1のUE状態を帯域2に移した後、帯域1のTXはオフにされる。時間Cにおいて、リピータが帯域1で電源投入され、一方、帯域2がフルスタックセルプロセッサに割り当てられている。また、この時間中に、関連付けられた全てのUEが帯域1に移動され、ドナーセルへのハンドオーバーが行われ、これは全てのセルUEがドナーセルに関連付けられることを意味する。ここでも、いくつかの実施形態では、コントローラは、(通常のHOと同様にして)UE状態を移すことを可能にする。いくつかの実施形態では、UEがハンドオーバーを要求するのではなく、ハンドオーバーはUEにおいて強制され、UEが参加すべきセルを指定する情報がUEに提供される。いくつかの他の実施形態では、UEは、ハンドオーバーを実行してからハンドオーバーを要求するように基地局によってシグナリングされる。
【0043】
[0062]時間Dにおいて、リピータは帯域1でオンになっており、帯域2はまだフルスタックセルプロセッサに割り当てられている。時間Eにおいて、帯域2のTXはオフにされ、一方、帯域1はリピータに割り当てられたままである。時間Fにおいて、帯域1がリピータに割り当てられたままである間に、リピータが帯域2で電源投入される。時間Gにおいて、帯域1及び帯域2の両方がリピータに割り当てられている。いくつかの他の実施形態では、帯域2は、時間Eの後もオフにされたままであり、リピータに割り当てられず、したがって、段階的切り替え手順は時間Eの後に終了する。
【0044】
[0063]いくつかの実施形態では、段階的切り替えメカニズムは、スペクトルがフルスタックセルプロセッサとリピータとの間で分割される単一の帯域で行うことができることに留意されたい。ローカルネットワークコントローラは、このスペクトル分割を開始することができる。
【0045】
[0064]いくつかの実施形態では、マスターネットワークコントローラは、標準的なスリープ動作で使用される。この場合、マスターネットワークコントローラは、サービスの中断を軽減及び/又は防止しつつ、セルをスリープモードに段階的に切り替えることを可能にする。いくつかの実施形態では、通常動作中、関心対象のセルはオンになっており、そのカバレッジエリアにサービスを提供し、スリープ動作中、近隣セルがドナーセルとして動作してカバレッジを提供する。いくつかの実施形態では、通常動作中、これらのドナーセルは、通常動作のために送信(TX)アンテナを傾斜させて、それらのカバレッジエリアをカバーする。
【0046】
[0065]図10は、通常動作中のセルのグループのいくつかの実施形態を示している。図10を参照すると、マスターネットワークコントローラ1000は、セルAのローカルネットワークコントローラ1020と通信可能に結合される。セルAはまた、フルスタックセルプロセッサ1010と、ローカルネットワークコントローラ1020に結合され、ローカルネットワークコントローラ1020によって制御されるオン-オフ(たとえば、トグル)スイッチ1041及び1042と、TXアンテナ1001と、を含む。マスターネットワークコントローラ1000はまた、トグルスイッチ1043及び1044に結合され、これらを制御し、これらはそれぞれ近隣セルTXアンテナ1030及び1031に結合される。通常動作中、マスターネットワークコントローラ1000は、トグルスイッチ1043及び1044を、それらがオフになるように制御する。そのような場合、近隣セルTXアンテナ1030及び1031は傾斜されず、それぞれそれらの近隣セルカバレッジエリア1050及び1051に対してのみカバレッジを提供する。
【0047】
[0066]図11は、通常動作中のセルのグループのいくつかの実施形態を示している。図11を参照すると、マスターネットワークコントローラ1000は、通常動作からスリープ動作への段階的切り替えを可能にする。スリープ動作の場合、関心対象のセル、たとえばセルAは、ローカルネットワークコントローラ1020がマスターネットワークコントローラ1000からの制御信号に応答してオン-オフスイッチ1041及び1042をオフ位置にすることによって、スリープ状態にされる。また、マスターネットワークコントローラ1000は、スイッチ1042及び1043を制御して、近隣セルがカバレッジドナーとして動作することを可能にする。この場合、近隣セルは、それらのTXアンテナを上向きに傾斜させて、それらのカバレッジエリア1050及び1051を拡大することによって、関心対象のセルであるセルAにカバレッジを提供する。
【0048】
[0067]図12は、サイトにおけるマスター/ローカルネットワークコントローラベースの段階的切り替えのいくつかの実施形態の例を示している。図12を参照すると、グラフは、いくつかの論理的時間ステップA~Gにわたる帯域1及び2で構成されるスペクトルの割り当てを示している。時間Aにおいて、サイトのハードウェアはその通常動作を実行しており、帯域1及び2の両方がセルAのフルスタックセルプロセッサに割り当てられている。また、この時間中に、セルAの関連付けられたUEの全てが、帯域のうちの1つ、たとえば帯域2に移動される。いくつかの実施形態では、コントローラ(ローカルネットワークコントローラ及びマスターネットワークコントローラ)は、(通常のHOのようにして)UE状態を移すことを可能にする。たとえば、いくつかの実施形態では、ローカルネットワークコントローラ1020は、セルサイトにおける帯域動作のON-OFF及び傾斜角の変更を管理し、一方、マスターネットワークコントローラ1000は、帯域動作のON-OFF、及びどのセルサイトがそれらの傾斜角を変更すべきかについてネットワーク全体の最適化を管理する。
【0049】
[0068]時間Bにおいて、全てのUEのUE状態が帯域2に移動された後、帯域1のTXがオフにされる。時間Cにおいて、近隣セルTXは帯域1の傾斜を開始してセルAのエリアをカバーするようにカバレッジを拡大し、一方、帯域2はフルスタックセルプロセッサに割り当てられている。また、この時間中に、セルAの全ての関連付けられたUEは、近隣セル(たとえば、アンテナ1030及び1031を有するセル)によって運用される帯域1に移動され、近隣セルにハンドオーバーが行われる。ここでも、いくつかの実施形態では、マスターネットワークコントローラは、(通常のHOと同様にして)UE状態を近隣セルに移すことを可能にする。いくつかの実施形態では、帯域1における2つの近隣セルに対するUEの参照信号受信電力(RSRP:Reference Signal Received Power)を使用して、UEのハンドオーバー先を選択する。
【0050】
[0069]時間Dにおいて、近隣セルは帯域1の傾斜を終了しており、一方、帯域2はセルAのフルスタックセルプロセッサに割り当てられたままである。いくつかの実施形態では、コントローラは、電源切断されるセル、すなわち「スリープ」セルに、(時間C及びD中の)その制御信号電力を低下させるように要求することもできる。いくつかの実施形態では、スリープセル(セルA)から受信したRSRPが弱くなると、スリープセルによってサービス提供されるUEが、近隣セル(RSRPが最も強いセル)へのハンドオーバーを要求することが可能になる。
【0051】
[0070]時間Eにおいて、帯域2のTXがオフにされ、一方、帯域1はリピータに割り当てられたままになる。いくつかの実施形態では、帯域2のリピータはオンにされなくてもよく、段階的切り替え手順は、時間Eの後に終了する。時間Fにおいて、帯域1がリピータに割り当てられたままである間に、リピータが帯域2で電源投入される。いくつかの実施形態では、時間E及びFの間に実行される動作は、1つのステップにマージされることに留意されたい。時間Gにおいて、帯域1及び帯域2の両方がリピータに割り当てられている。
【0052】
[0071]いくつかの実施形態では、単一のセルは、リピータ機能動作において多くのドナー候補を有することができる。ドナーの一部(又は全て)は、有線(無線オーバーファイバ)のドナーとすることができる。ドナーの一部(又は全て)は、無線のドナーとすることができる。いくつかの実施形態では、各ドナーは、1つ又は複数の周波数帯域を供与(donate)してもよい。いくつかの実施形態では、それぞれがこれらの1つ又は複数の周波数帯域を供与する場合、それらの帯域は、シャットダウンされるデュアルハードウェア局専用である。いくつかの実施形態では、1つ又は複数の帯域がデュアルハードウェア局に割り当てられる。
【0053】
[0072]いくつかの実施形態では、高度なハードウェアを用いて、単一のセルが多数のセルに対するドナーに同時になることができる。いくつかの実施形態では、一部のセルに対して、この単一のセルは有線のドナーであり、一方、他のセルに対して、この単一のセルは無線のドナーである。
【0054】
[0073]いくつかの実施形態では、1つのコントローラがセルごとに使用され、そのセルでのセル/リピータ動作を制御する。いくつかの実施形態では、コントローラは、部分的に低電力動作に切り替わる。いくつかの実施形態では、低電力動作は、1つ又は複数の帯域で有効化されるが、必ずしもセルが送信する全ての帯域で有効化されるわけではない。残りの帯域(すなわち、低電力動作に移行されない帯域)に関して、いくつかの実施形態では、セルは1つ又は複数のこれらの帯域において通常動作で送信を継続する。これは、高電力を使用するので、あまり魅力的ではない。いくつかの他の実施形態では、残りの帯域(すなわち、低電力動作に移行されない帯域)に関して、セルは1つ又は複数のこれらの帯域においてスリープ状態にされる。これは、残りのアクティブな帯域(たとえば、低電力動作又は通常動作の帯域)のうちの1つ又は複数によって十分なカバレッジ及び容量が提供される場合に役立つ。
【0055】
[0074]図13は、通常動作及び低電力(リピータ)動作の間の段階的切り替えのいくつかの実施形態を示している。この例では、ネットワーク事業者が、セルAを低電力動作に移行し、ドナーセルBを介してセルAにカバレッジを提供することを選択したと仮定する。これに応じて、ネットワーク事業者は、セルAのコントローラに要求を送信する。
【0056】
[0075]図14A-1および図14A-2は、セルAにおける通常動作からの移行の論理フローのいくつかの実施形態を示している。図14B-1および図14B-2は、ドナーセルBの信号を使用したセルAにおける電力動作からの移行の論理フローのいくつかの実施形態を示している。図14A-1、図14A-2、図14B-1および図14B-2においてコントローラによって実行される動作は、ローカルネットワークコントローラ、マスターネットワークコントローラ、又はローカルネットワークコントローラとマスターネットワークコントローラとの組合せによって実行される動作とすることができることに留意されたい。また、図14A-1、図14A-2、図14B-1および図14B-2において、ドナーセルはその信号を無線で、又は無線オーバーファイバを介して提供できることにも留意されたい。
【0057】
[0076]図14A-1および図14A-2は、通信ネットワークの低消費電力モードへの移行動作のためのプロセスのいくつかの実施形態のデータフロー図である。図14A-1および図14A-2を参照すると、プロセッサは、セルAのコントローラ内の処理ロジックがネットワーク(NW)事業者要求を受信することから開始する(処理ブロック1401)。ネットワーク事業者要求に応答して、ローカルネットワークコントローラ内の処理ロジックは、セルA内の関連付けられたユーザ機器(UE:user equipment)の状態を要求する(処理ブロック1402)。これらの要求に応答して、コントローラ内の処理ロジックは、セルA内の関連付けられたUEの状態を受信し(処理ブロック1403)、スペクトルを通常動作(Nスペクトル)と低電力動作(LPスペクトル)との間で分割することを決断する(処理ブロック1404)。コントローラ内の処理ロジックは、セルAに新しいスペクトル分割について通知する(処理ブロック1405)。その後、セルAは、そのアクティブUEを、通常動作用に割り当てられたスペクトルの部分に移す(処理ブロック1406)。コントローラ内の処理ロジックはまた、低電力動作用に割り当てられたスペクトルの部分でリピータに電源投入し(処理ブロック1407)、セルBがセルAのドナーであることをセルBに通知する(処理ブロック1408)。コントローラはまた、近傍セルBに現在の通常/低電力スペクトル分割を通知する(処理ブロック1409)。
【0058】
[0077]コントローラ内の処理ロジックは、セルAのアクティブUEを近傍セルB(LPスペクトル内)に移すためのアドミッション制御を開始し(処理ブロック1410)、LPスペクトルにおけるリソースブロック(RB)割り当てをセルAに通知する(処理ブロック1411)。近傍セルBの処理ブロックは、その信号をセルAに供与する(処理ブロック1412)。セルAは、ドナー近傍セルBの信号から低電力スペクトル成分を抽出し、その成分を送信する(処理ブロック1413)。この時点で、コントローラ内の処理ロジックは、セルAの通常動作ハードウェアの電源切断を開始し(処理ブロック1414)、セルA及び近傍セルBの両方に、スペクトル全体で低電力動作を有効化するように通知する(処理ブロック1415)。
【0059】
[0078]図14B-1および図14B-2は、通常モードからスリープモードに移行するためのプロセスのいくつかの実施形態のフロー図である。図14B-1および図14B-2を参照すると、このプロセスは、コントローラ内の処理ロジックがネットワーク事業者要求を受信することによって開始される(処理ブロック1421)。ネットワーク事業者要求に応答して、コントローラ内の処理ロジックは、第1のセル(セルA)内の関連付けられたUEの状態を要求し(処理ブロック1422)、第1のセル(セルA)内の関連付けられたUEの状態を受信する(処理ブロック1423)。セル内の関連付けられたUEのこの状態に応答して、コントローラ内の処理ロジックは、通常動作(Nスペクトル)と低電力動作(LPスペクトル)との間のスペクトル分割を決定することを決断し(処理ブロック1424)、第1のセル(セルA)に新しいスペクトル分割を通知する(処理ブロック1425)。新しいスペクトル分割に関する受信情報に応答して、第1のセル(セルA)は、そのアクティブなUEを通常動作用に割り当てられたスペクトルの部分に移し(処理ブロック1426)、近隣セルにそれらの傾斜角を変更してカバレッジを拡大するように要求する(処理ブロック1427)。そして、コントローラ内の処理ロジックは、低電力スペクトル内の低電力又は全スペクトル電力を低減する(処理ブロック1428)。処理ロジックはまた、第1のセル(セルA)のアクティブUEを近傍セル(たとえば、セルB、又はセルCなど)に移すためのアドミッション(admission)制御を開始する(処理ブロック1429)。その後、セルAは、TX/RX電力をシャットダウンして、スリープモードに入る(処理ブロック1430)。これが発生すると、第1のセル(セルA)のカバレッジエリアをカバーするように傾斜角を変更した近隣セルによってセルAのカバレッジがカバーされる(処理ブロック1431)。
【0060】
[0079]図15は、通常動作からスリープ動作へのコントローラベースの段階的切り替えのいくつかの実施形態のマルチバンドの例を示している。図15を参照すると、時間Aにおける通常動作中、UEは帯域1及び2上にあり、一方、近傍セルは帯域1及び2を使用している。セルAが消費電力低減状態に移動する場合、時間Bにおいて、セルAの全てのUEが帯域のうちの1つ、たとえば帯域2に移動され、次いで、セルAのローカルネットワークコントローラは帯域1のTXをオフにする。時間Cにおいて、近傍セルの傾斜角のうちの1つ又は複数が、セルAのカバレッジエリアをカバーするように変更される。いくつかの実施形態では、セルAにおける近傍セルからの信号強度は、傾斜角の変更前よりも高くなる。時間Dにおいて、セルAにおいて帯域2のTXが電力低下することによって、セルAの全てのUEが近傍セルのうちの1つに移動する。これが発生すると、セルAのローカルネットワークコントローラは帯域2のTXをオフにする。
【0061】
[0080]図16は、通常動作からスリープ動作へのコントローラベースの段階的切り替えの他のいくつかの実施形態の他のマルチバンドの例を示している。図16を参照すると、異なる時間におけるセルA及び近傍セルのカバレッジエリアが示されている。最初に、セルAのカバレッジエリアは近傍セルの間にあり、近傍セルとわずかに重なっている。セルAにおいて帯域1のTXがオフにされ、帯域2のTXが低電力セルAになり、近傍セルが傾斜変更された後、セルAのカバレッジエリアが縮小され、一方、2つの近傍セルのカバレッジエリアがセルAの元のカバレッジエリアをカバーするように拡大する。次いで、セルAにおいて帯域2のTXがオフにされて、セルAのカバレッジエリアが消失し、2つの近傍セルが拡大されたカバレッジエリアを使用してセルAのカバレッジエリアをカバーする。
【0062】
[0081]いくつかの例示的な実施形態を本明細書に記載する。
【0063】
[0082]例1は、複数のセルであって、複数のセルのうちの各セルが基地局及びローカルネットワークコントローラを有し、セルのうちの少なくとも1つが、セルラー通信動作を実行するためのハードウェアと、少なくとも1つのセルが第1の消費電力低減状態中にリピータとして動作することを可能にするためのリピータハードウェアと、の両方を有する、複数のセルを含む、通信ネットワークである。通信ネットワークはまた、複数のセルのそれぞれにおけるローカルネットワークコントローラに結合されたマスターネットワークコントローラであって、マスターネットワークコントローラが、第1の消費電力低減状態に入る少なくとも1つのセルを選択し、少なくとも1つのセルのローカルネットワークコントローラにシグナリングして、リピータハードウェアを有効化させることによって、少なくとも1つのセルをリピータとして動作させるように構成される、マスターネットワークコントローラを含む。
【0064】
[0083]例2は、少なくとも1つのセルのローカルネットワークコントローラが、少なくとも1つのセルが第1の消費電力低減状態に入るというマスターネットワークコントローラからのシグナリングに応答して、少なくとも1つのセルの近隣の1つ又は複数のセルにUEをハンドオフすることを任意選択で含んでもよい、例1に記載の通信ネットワークである。
【0065】
[0084]例3は、マスターネットワークコントローラが、少なくとも1つのセルが消費電力低減状態に移行する、及び/又は消費電力低減状態にある間に、複数のセルのうちの1つ又は複数のセルに少なくとも1つのセルのドナーセルとして動作するようにシグナリングすることを任意選択で含んでもよい、例1に記載の通信ネットワークである。
【0066】
[0085]例4は、ドナーセルの基地局が、ドナーセルのアンテナの傾斜角を変更して、ドナーセルのカバレッジエリアを拡大することによって、信号がドナーアンテナに到達するようにすることを任意選択で含んでもよい、例3に記載の通信ネットワークである。
【0067】
[0086]例5は、複数のドナーセルのうちの少なくとも1つが、有線接続を介してドナーセルに通信可能に結合されていることを任意選択で含んでもよい、例3に記載の通信ネットワークである。
【0068】
[0087]例6は、複数のドナーのうちの少なくとも1つが、少なくとも1つのセルとの通信に使用するための1つ又は複数の周波数帯域を供与することを任意選択で含んでもよい、例3に記載の通信ネットワークである。
【0069】
[0088]例7は、複数のドナーセルのうちの1つのドナーセルが、セルラー通信動作を実行するためのハードウェア及びリピータハードウェアの両方を有する第1の複数のセルのためのドナーセルであることを任意選択で含んでもよい、例3に記載の通信ネットワークである。
【0070】
[0089]例8は、少なくとも1つのセルのローカルネットワークコントローラのみが、セルにおけるセル/リピータ動作を制御することを任意選択で含んでもよい、例1に記載の通信ネットワークである。
【0071】
[0090]例9は、ローカルネットワークコントローラが、消費電力低減状態に移行する場合に部分的に切り換わるように動作可能であることを任意選択で含んでもよい、例8に記載の通信ネットワークである。
【0072】
[0091]例10は、セルの帯域のうちの全てではなく1つ又は複数が、消費電力低減状態に移行する場合に送信し、低電力動作に移行されない残りの帯域が、送信に使用され続けるか、又はスリープ状態にされることを任意選択で含んでもよい、例9に記載の通信ネットワークである。
【0073】
[0092]例11は、マスターネットワークコントローラが、少なくとも1つのセルのローカルネットワークコントローラに、通常の電力から消費電力低減状態の電力への、及び/又はその逆の、切り替えを開始するためのトリガを提供することを任意選択で含んでもよい、例1に記載の通信ネットワークである。
【0074】
[0093]例12は、消費電力低減状態にある間、少なくとも1つのセルが、1つ又は複数のドナーセルに通信可能に結合され、少なくとも1つのドナーセルから無線オーバーファイバ信号を受信することを任意選択で含んでもよい、例11に記載の通信ネットワークである。
【0075】
[0094]例13は、消費電力低減状態が、少なくとも1つのセルをスリープ状態に切り替えることと、少なくとも1つのセルのドナーセルのそれぞれの傾斜を変更してドナーセルのカバレッジを拡張することと、を含むことを任意選択で含んでもよい、例11に記載の通信ネットワークである。
【0076】
[0095]例14は、マスターネットワークコントローラが、少なくとも1つのセルのローカルネットワークコントローラに、スリープモードを開始するか又はリピータ機能を選択するためのトリガを提供することを任意選択で含んでもよい、例1に記載の通信ネットワークである。
【0077】
[0096]例15は、少なくとも1つのセルの基地局がスリープモードに入り、スリープモードに入ったことに応答して、基地局にリピータとして動作するようにシグナリングするか、或いは1つ又は複数の近傍セルにシグナリングして、1つ又は複数の近傍セルのアンテナに関する傾斜変更を実行させることによって、少なくとも1つのセルのカバレッジエリア上にカバレッジを拡大させる場合に、マスターネットワークコントローラが潜在的なカバレッジホールを検出するように動作可能であることを任意選択で含んでもよい、例14に記載の通信ネットワークである。
【0078】
[0097]例16は、ローカルネットワークコントローラと、セルラー通信動作を実行するためのハードウェア、及び少なくとも1つのセルが第1の消費電力低減状態中にリピータとして動作することを可能にするリピータハードウェアと、を含む、セルである。
【0079】
[0098]例17は、ローカルネットワークコントローラが、セルが消費電力低減状態に入ることを示す受信された制御シグナリングに応答して、UEを1つ又は複数の近隣セルにハンドオフすることを任意選択で含んでもよい、例16に記載のセルである。
【0080】
[0099]例18は、ローカルネットワークコントローラが、セルラー通信を使用して動作するか、又は消費電力低減状態でリピータとして動作するように、ハードウェアを制御するよう動作可能であることを任意選択で含んでもよい、例17に記載のセルである。
【0081】
[00100]例19は、ローカルネットワークコントローラが、消費電力低減状態に移行する場合に、複数の帯域の使用から1つの帯域の使用に切り替えるように動作可能であることを任意選択で含んでもよい、例18に記載のセルである。
【0082】
[00101]例20は、ローカルネットワークコントローラが、セルが消費電力低減状態に移行する場合に、複数の帯域のうちの全てではなく1つ又は複数を使用して送信するようにハードウェアを制御し、低電力動作に移行されない残りの帯域が、送信に使用され続けるか、又はスリープ状態にされることを任意選択で含んでもよい、例19に記載のセルである。
【0083】
[00102]例21は、通信ネットワークにおける複数のセルのうちの各セルによって、セルラー通信動作を実行するためのハードウェアを使用して送信するステップと、複数のセルのそれぞれにおけるローカルネットワークコントローラに結合されたマスターネットワークコントローラによって、消費電力低減状態に入る少なくとも1つのセルを選択するステップと、マスターネットワークコントローラによって、少なくとも1つのセルのローカルネットワークコントローラにシグナリングして、リピータハードウェアを有効化させることによって、少なくとも1つのセルをリピータとして動作させるステップと、少なくとも1つのセルが、消費電力低減状態中にリピータハードウェアを使用してリピータとして動作するステップと、を含む、方法である。
【0084】
[00103]例22は、少なくとも1つのセルのローカルネットワークコントローラによって、少なくとも1つのセルが消費電力低減状態に入るというマスターネットワークコントローラからのシグナリングに応答して、少なくとも1つのセルの近隣の1つ又は複数のセルにUEをハンドオフするステップを任意選択で含んでもよい、例21に記載の方法である。
【0085】
[00104]例23は、少なくとも1つのセルが消費電力低減状態に移行する、及び/又は消費電力低減状態にある間に、ドナーセルの1つ又は複数のアンテナの傾斜角を変更して、ドナーセルのカバレッジエリアを拡大することによって、少なくとも1つのセルのカバレッジエリアの少なくとも一部分をカバーするステップを任意選択で含んでもよい、例21に記載の方法である。
【0086】
[00105]上記の詳細な説明の一部分は、コンピュータメモリ内のデータビットに対する操作のアルゴリズム及び記号表現に関して提示している。これらのアルゴリズム的な記述及び表現は、データ処理技術の当業者が自身の取り組みの内容を他の当業者に最も効果的に伝えるために使用する手段である。アルゴリズムは、ここでは一般的に、所望の結果につながる首尾一貫した一連のステップであると考えられる。これらのステップは、物理量の物理的操作を必要とするステップである。通常、必ずというわけではないが、これらの量は、記憶、転送、結合、比較、及び別の方法で操作されることが可能な電気信号又は磁気信号の形態を取る。これらの信号をビット、値、要素、記号、文字、語(term)、数などと呼ぶことは、主に一般的な使用上の理由から、場合により好都合であることが分かっている。
【0087】
[00106]しかしながら、これら及び同様の用語は全て適切な物理量に関連付けられるべきであり、これらの量に適用される好都合なラベルにすぎないことに留意されたい。特に断りのない限り、以下の議論から明らかなように、本説明全体を通じて、たとえば、「処理」、「コンピューティング」、「計算」、「決定」、「表示」などの用語を用いた議論は、コンピュータシステムのレジスタ及びメモリ内の物理(電子)量として表されるデータを操作して、コンピュータシステムメモリ若しくはレジスタ、又は他のそのような情報記憶、伝送若しくは表示デバイス内の物理量として同様に表される他のデータに変換するコンピュータシステム又は同様の電子コンピューティングデバイスのアクション及び処理を指すことは理解される。
【0088】
[00107]本開示は本明細書の動作を実行するための装置にも関する。この装置は、必要な目的のために特別に構築されてもよく、又はコンピュータに記憶されたコンピュータプログラムによって選択的に作動又は再構成される汎用コンピュータを含んでもよい。そのようなコンピュータプログラムは、任意のタイプのディスク、たとえば、フロッピーディスク、光ディスク、CD-ROM、及び光磁気ディスク、読み取り専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、EPROM、EEPROM、磁気カード若しくは光カード、又はそれぞれがコンピュータシステムバスに結合された電子命令を記憶するのに適した任意のタイプの媒体などであるがこれらに限定されないコンピュータ可読記憶媒体に記憶されてもよい。
【0089】
[00108]本明細書に提示したアルゴリズム及び表示は、本質的に特定のコンピュータ又は他の装置に関連するものではない。様々な汎用システムが本明細書の教示によるプログラムと共に使用されてもよく、又は必要な方法のステップを実行するために、より専門的な装置を構築することが好都合であることが分かっている場合がある。種々のこれらのシステムに必要な構造は、以下の説明から明らかになる。また、本開示は、特定のプログラミング言語を参照して説明していない。本明細書に記載の本開示の教示を実装するために、種々のプログラミング言語が使用されてもよいことは理解されよう。
【0090】
[00109]機械可読媒体は、機械(たとえば、コンピュータ)によって読み取り可能な形態で情報を記憶又は伝送するための任意のメカニズムを含む。たとえば、機械可読媒体は、読み取り専用メモリ(「ROM」)、ランダムアクセスメモリ(「RAM」)、磁気ディスク記憶媒体、光記憶媒体、フラッシュメモリデバイス、電気的、光学的、音響的又は他の形態の伝搬信号(たとえば、搬送波、赤外線信号、デジタル信号など)などを含む。
【0091】
[00110]本開示の多くの改変及び修正は、前述の説明を読んだ後、当業者には疑いなく明らかになるであろうが、例として図示及び説明したいかなる特定の実施形態も、決して限定的なものと考えられることを意図していないことは理解されたい。したがって、種々の実施形態の詳細への言及は、特許請求の範囲を限定することを意図するものではなく、特許請求の範囲自体は、本開示に不可欠と考えられる特徴のみを列挙したものである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図7D
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14A-1】
図14A-2】
図14B-1】
図14B-2】
図15
図16
【外国語明細書】