(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024161004
(43)【公開日】2024-11-15
(54)【発明の名称】位置及び組織近接度表示を用いた生理学的信号測定のための単一センサ
(51)【国際特許分類】
A61B 5/367 20210101AFI20241108BHJP
【FI】
A61B5/367 100
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024074720
(22)【出願日】2024-05-02
(31)【優先権主張番号】18/311,606
(32)【優先日】2023-05-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】511099630
【氏名又は名称】バイオセンス・ウエブスター・(イスラエル)・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Biosense Webster (Israel), Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】リオール・ボッツァー
(72)【発明者】
【氏名】ポール・スアレス
(72)【発明者】
【氏名】デビー・ハイスミス
(72)【発明者】
【氏名】コク・アナニ・モウエナ・アメフィア
【テーマコード(参考)】
4C127
【Fターム(参考)】
4C127AA02
4C127HH13
4C127LL08
(57)【要約】
【課題】多機能センサユニットを提供すること。
【解決手段】少なくとも2つの露出された巻線部分を有する1つ以上のコイルを有する、医療用プローブのためのセンサである。1つ以上のコイルは、1)少なくとも2つの露出された巻線において受信された心電図(ECG)信号と、2)少なくとも2つの露出された巻線の近傍における環境インピーダンス/コンダクタンスを示す信号と、を出力するように構成され得る。1つ以上のコイルは更に、磁場に基づいてセンサの位置を決定し、センサの曲率を決定し、環境インピーダンス/コンダクタンスを方向的に測定し、及び/又は温度を測定するように構成され得る。1つ以上のコイルの絶縁部分は、少なくとも2つの露出された巻線部分と交互配置され得る。センサは、カテーテル又はガイドワイヤと一体化され得る。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向軸線の周りに巻かれて医療用プローブのためのセンサを形成する、同軸ワイヤであって、前記同軸ワイヤが、
前記同軸ワイヤの一部分によって囲まれた、コア導電性部材と、
前記コア導電性部材を覆い、前記センサに対する外部環境から前記コア導電性部材を電気的に絶縁する、内側絶縁体と、
前記内側絶縁体上に延在し、前記内側絶縁体によって、前記コア導電性部材から電気的に絶縁された、外側導電性部材と、
前記外側導電性部材の一部分を覆う外側絶縁体であって、前記外側導電性部材の絶縁されていない部分が、前記センサを形成する前記同軸ワイヤの2つ以上の巻線において、前記センサに対する前記外部環境に露出されている、外側絶縁体と、を備える、同軸ワイヤ。
【請求項2】
前記コア導電性部材が、1つ以上の基準磁場を測定して、体内の前記センサの位置を示す信号を提供するように構成されている、請求項1に記載の同軸ワイヤ。
【請求項3】
前記コア導電性部材が、前記センサを通る磁束の変化に基づいて、信号を出力するように構成されている、請求項1に記載の同軸ワイヤ。
【請求項4】
前記絶縁されていない部分が、組織に接触し、前記組織を介して心電図(ECG)信号を出力するように構成されている、請求項1に記載の同軸ワイヤ。
【請求項5】
前記絶縁されていない部分が露出している前記外部環境の導電率の変化に応答して、前記外側導電性部材のインピーダンスが変動するように構成されている、請求項1に記載の同軸ワイヤ。
【請求項6】
前記外側導電性部材が、前記絶縁されていない部分が露出している前記外部環境の導電率の変化を示す出力信号を提供するように構成されている、請求項1に記載の同軸ワイヤ。
【請求項7】
前記外側導電性部材が、1つ以上の基準磁場を測定して、体内の前記センサの位置を示す信号を提供するように構成されている、請求項1に記載の同軸ワイヤ。
【請求項8】
前記外側導電性部材が、前記センサを通る磁束の変化に基づいて、信号を出力するように構成されている、請求項1に記載の同軸ワイヤ。
【請求項9】
前記コア導電性部材、前記内側絶縁体、及び前記外側導電性部材が、互いに同軸であり、前記長手方向軸線の周りに巻かれている、請求項1に記載の同軸ワイヤ。
【請求項10】
前記外側導電性部材の絶縁されていない部分を有する隣接する巻線を備え、前記センサが直線状の長手方向軸線と位置合わせされた場合に、前記絶縁されていない部分が間隙によって分離され、前記センサを屈曲させることによって、前記間隙が潰れて、前記隣接する巻線の前記絶縁されていない部分を電気的に短絡させ、それによって、前記センサの曲率の程度の表示を提供する、請求項1に記載の同軸ワイヤ。
【請求項11】
カテーテルであって、
長手方向軸線に沿って延在する、管状シャフトと、
前記管状シャフトの周りに巻かれてセンサを形成する、同軸ワイヤと、を備え、前記同軸ワイヤが、
コア導電性部材と、
前記コア導電性部材を覆い、前記同軸ワイヤに対する外部環境から前記コア導電性部材を電気的に絶縁する、内側絶縁体と、
前記内側絶縁体上に延在し、前記内側絶縁体によって、前記コア導電性部材から電気的に絶縁された、外側導電性部材と、
前記外側導電性部材の一部分を覆う外側絶縁体であって、前記外側導電性部材の絶縁されていない部分が、前記同軸ワイヤの2つ以上の巻線において、前記センサに対する前記外部環境に露出されている、外側絶縁体と、を備える、カテーテル。
【請求項12】
前記コア導電性部材が、1つ以上の基準磁場を測定して、体内の前記センサの位置を示す信号を提供するように構成されている、請求項11に記載のカテーテル。
【請求項13】
前記絶縁されていない部分が、組織に接触し、前記組織を介して心電図(ECG)信号を出力するように構成されている、請求項11に記載のカテーテル。
【請求項14】
前記外側導電性部材が、前記絶縁されていない部分が露出している前記外部環境の導電率の変化を示す出力信号を提供するように構成されている、請求項11に記載のカテーテル。
【請求項15】
前記コア導電性部材、前記内側絶縁体、及び前記外側導電性部材が、互いに同軸であり、前記長手方向軸線の周りに巻かれている、請求項11に記載のカテーテル。
【請求項16】
ガイドワイヤであって、
長手方向軸線に沿って延在する、管状シャフトと、
前記管状シャフトの遠位端部から延在し、前記長手方向軸の周りに巻かれてセンサを形成する、同軸ワイヤと、を備え、前記同軸ワイヤが、
コア導電性部材と、
前記コア導電性部材を覆い、前記同軸ワイヤに対する外部環境から前記コア導電性部材を電気的に絶縁する、内側絶縁体と、
前記内側絶縁体上に延在し、前記内側絶縁体によって、前記コア導電性部材から電気的に絶縁された、外側導電性部材と、
前記外側導電性部材の一部分を覆う外側絶縁体であって、前記外側導電性部材の絶縁されていない部分が、前記センサを形成する前記同軸ワイヤの2つ以上の巻線において、前記センサに対する前記外部環境に露出されている、外側絶縁体と、を備える、ガイドワイヤ。
【請求項17】
前記コア導電性部材が、1つ以上の基準磁場を測定して、体内の前記センサの位置を示す信号を提供するように構成されている、請求項16に記載のガイドワイヤ。
【請求項18】
前記絶縁されていない部分が、組織に接触し、前記組織を介して心電図(ECG)信号を出力するように構成されている、請求項16に記載のガイドワイヤ。
【請求項19】
前記外側導電性部材が、前記絶縁されていない部分が露出している前記外部環境の導電率の変化を示す出力信号を提供するように構成されている、請求項16に記載のガイドワイヤ。
【請求項20】
前記コア導電性部材、前記内側絶縁体、及び前記外側導電性部材が、互いに同軸であり、前記長手方向軸線の周りに巻かれている、請求項16に記載のガイドワイヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2022年12月16日に出願された先行出願の米国特許出願第18/083,422号公報(代理人整理番号BIO6652USNP1)の一部継続出願として、米国特許法第120条の下で優先権の利益を主張するものであり、この出願は、参照によりその全体が本出願に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
カテーテルは、関心のあるパラメータを感知するための生理学的信号感知電極(例えば、心電図(electrocardiograph、ECG)電極)と、カテーテルの位置を正確に追跡するための磁気位置センサと、を含んでもよい。磁気位置センサはコイルであり、コイルを介して磁場が生成され得る。コイルは、体内のカテーテルの位置を感知することに専用である。現在、このような専用コイルは、磁気位置感知のためにのみ使用されている。
【0003】
磁気位置センサを含まないカテーテルは、カテーテルの位置を追跡するために、アクティブ電流位置(Active Current Location、ACL)構成要素及びシステムを使用する。ACLは、身体の外側のパッチ電極が、身体を通る電流の結果として生じるインピーダンスの測定からカテーテル電極の位置を三角測量するために使用され得るように、身体の内側のカテーテル上にある電極からの小電流の注入に依拠する。例示的なACLシステムとしては、米国特許第7,756,576号.同第7,869,865号、同第7,848,787号、及び同第8,456,182号に詳述されるものが挙げられ、典型的には、本出願の所有者であるBiosense Webster社からのCARTO(登録商標)システム及び手順に関連付けられている。しかしながら、磁気位置センサと比較すると、ACLシステムは、電流を駆動し、インピーダンスに基づいて位置を計算し、したがって、磁気位置センサよりもはるかに精度が低い。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示の主題は、(1)組織によって生成される生理学的電気信号(例えば、ECG信号)を測定すること、(2)センサへの組織近接度の表示を提供すること、及び(3)1つ以上の磁場に対する多機能センサユニットの位置を提供するために、1つ以上の磁場を感知することに使用され得る多機能センサユニットを提供する。典型的にはカテーテル上で使用される一体型多機能センサユニットは、カテーテルに沿って延在する外側コイルを伴って構成されている。コイルはワイヤ巻線から形成され、巻線のうちの少なくとも2つは絶縁されていないか、又は露出されている。これらの露出された巻線は、多機能センサユニットが、収縮中に、心臓(例えば、心臓壁)から電気インパルス(信号)として送られる環境インピーダンス及び生理学的インピーダンスを感知することを可能にする。コイルは、コイル形状によって決定される誘導インピーダンスと、露出された巻線が曝される環境によって決定される二次インピーダンスと、を有する。二次インピーダンスは、抵抗成分、容量成分、誘導成分、又はこれらの任意の組み合わせを含んでもよい。二次インピーダンスは、複素インピーダンスであってもよい。したがって、コイルの全体的なインピーダンスは環境と共に変化するが、インピーダンスの変化は、コイルに作用する発生磁場からの周知の磁束によって誘導される、コイルから出力される電気信号(例えば、電流信号及び/又は電圧信号)に基づいて検出され得る。組織は、血液とは異なるインピーダンスを有し、例えば、組織は、血液よりも少ない抵抗インピーダンス成分を有するので、コイルインピーダンスの変化は、組織への近接度の表示を提供し得る。したがって、露出部分が組織から離れている場合、コイルはより誘導性であり、露出部分が組織の近くに移動される場合、コイルはより低い抵抗を有する。露出された巻線は、生物学的組織と接触している場合に、生理学的信号(例えば、ECG信号)を測定し得る。いくつかの例では、コイルのインダクタンスは、コイルが位置センサとして機能することを可能にし得る。
【0005】
コイルは、前述の機能を達成するために、多くの構成を有し得る。コイルは、コア導電性部材と、コア導電性部材を覆う内側絶縁体と、内側絶縁体を覆う外側導電性部材と、外側導電性部材の一部分を覆う外側絶縁体と、を有する同軸ワイヤを含み得る。センサは、露出されたコイル巻線と交互配置された絶縁コイル巻線を有し得る。絶縁され露出されたコイル巻線は、前述のコイル(すなわち、単一コイル)を形成し得るか、又はセンサは、少なくとも2つの露出された巻線部分を有するコイルに加えて、第2の絶縁されたコイルを含み得る。コイルは、コイルが曲げられた場合に、コイルの絶縁されていない部分が接触するように巻かれ得、それによって、コイル巻線間に短絡を引き起こし、コイルのインピーダンスを変化させて、それによって、インピーダンスの変化を測定してコイルの曲率を示し得る。コイルは、カテーテル又はガイドワイヤなどの医療用プローブと一体化され得る。コイル巻線は、絶縁されたコイル部分が絶縁されていないコイル部分に重なるようにコイルの中心軸から半径方向に積み重ねられ得る。互換性のあるコイル構成は、当業者によって理解されるように、組み合わせ可能である。
【図面の簡単な説明】
【0006】
本開示は、図面と併せて、以下の本開示の実施形態の詳細な説明からより完全に理解されるであろう。
【
図1】開示されたセンサユニットが展開されるカテーテルを含む、心臓マッピングのための電気解剖学的マッピングシステムの概略図である。
【
図2】本開示の一実施例による、
図1の多機能センサユニットの特徴部を示す、カテーテルの一部分に配置された第1の例示的なセンサユニットの図である。
【
図3】開示されたセンサユニットからデータを取得して、種々の出力を生成するための例示的なプロセスのフロー図である。
【
図4】本開示の一実施例による、カテーテルの一部分に配置され、
図1の多機能センサユニットの特徴部を示す、第2の例示的なセンサユニットの図である。
【
図5A】本開示の一実施例による、第3の例示的なセンサユニットを有し、
図1の多機能センサユニットの特徴部を示す、例示的なカテーテルの図である。
【
図5B】本開示の一実施例による、第3の例示的なセンサユニットを有し、
図1の多機能センサユニットの特徴部を示す、例示的なカテーテルの図である。
【
図6A】本開示の一実施例による、
図1の多機能センサユニットの特徴部を示す、第4の例示的なセンサユニットの図である。
【
図6B】
図6Aに示される第4の例示的なセンサユニットの、同軸ワイヤの断面の図である。
【
図6C】
図6Aに示される第4の例示的なセンサユニットの、同軸ワイヤの断面の図である。
【
図7A】本開示の一実施例による、
図1の多機能センサユニットの特徴部を示す、第5の例示的なセンサユニットの図である。
【
図7B】本開示の一実施例による、
図1の多機能センサユニットの特徴部を示す、第5の例示的なセンサユニットの図である。
【
図8A】本開示の一実施例による、
図1の多機能センサユニットの特徴部を示す、第6の例示的なセンサユニットの図である。
【
図8B】本開示の一実施例による、
図1の多機能センサユニットの特徴部を示す、第7の例示的なセンサユニットの図である。
【
図9】本開示の一実施例による、第8の例示的なセンサユニットを含むガイドワイヤの図である。
【
図10】本開示の一実施例による、
図1の多機能センサユニットの特徴部を示す、第9の例示的なセンサユニットの図である。
【
図11】本開示の一実施例による、
図1の多機能センサユニットの特徴部を示す、第10の例示的なセンサユニットの図である。
【
図12】本開示の一実施例による、
図1の多機能センサユニットの特徴部を示す、第11の例示的なセンサユニットの図である。
【
図13A】本開示の一実施例による、
図1の多機能センサユニットのインピーダンスモデルの図である。
【
図13B】本開示の一実施例による、
図1の多機能センサユニットのインピーダンスモデルの図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
概要
以下の詳細な説明は、図面を参照しながら読まれるべきものであり、異なる図面における同様の要素には、同一の番号が付けられている。図面は、必ずしも縮尺どおりとは限らず、選択された実施形態を描示しており、また本発明の範囲を限定することを意図していない。詳細な説明は、限定ではなく、例として、本発明の原理を例解する。この説明は、当業者が本発明を作製及び使用することを明らかに可能にし、また本発明を実施するための最良の態様であると現在考えられているものを含めて、本発明のいくつかの実施形態、適応例、変形例、代替物、及び使用を説明する。
【0008】
本明細書で使用される場合、任意の数値又は数値範囲に対する「約(about)」又は「ほぼ(approximately)」という用語は、構成要素の一部又は構成要素の集合を、本明細書に説明されるその意図された目的に沿って機能させるのに好適な寸法の許容誤差を示す。より具体的には、「約」又は「ほぼ」は、列挙された値の±10%の値の範囲を指す場合があり、例えば「約90%」は、81%~99%の値の範囲を指す場合がある。更に、本明細書で使用される場合、「患者(patient)」、「宿主(host)」、「ユーザ(user)」、及び「被験者(subject)」という用語は、任意のヒト又は動物被験体を指し、ヒト患者における本発明の使用が好ましい実施形態を表すが、システム又は方法をヒトの使用に限定することを意図するものではない。
【0009】
本明細書で使用される場合、「多機能センサ(multi-functional sensor)」又は「センサユニット(sensor unit)」という用語は、CARTO(登録商標)(Biosense Webster Inc.によって製造される)などの適切な電気生理学的システムに接続された場合に、(本明細書のその他の箇所で更に説明及び図示されるような)少なくとも3つの機能を提供することができる2つのコイルを有するデバイスを示す。このような「多機能センサ」又は「センサユニット」は、
(1)生物学的組織によって生成又は伝搬される生理学的電気信号(例えば、ECG信号)を、測定又は記録することと、
(2)センサへの組織近接度又は組織接触を表示することと、
(3)1つ以上の基準磁場に対する多機能センサユニットの位置を提供するように、1つ以上の磁場を感知することと、が可能である。3つの機能の全てが同時に有効化される必要はなく、独立して使用され得ることに留意されたい。
【0010】
本開示の主題は、例えば、心臓などの身体器官の電気解剖学的マッピングなどの処置において使用される、例えば、焦点カテーテル又はその他のカテーテルなどのカテーテルと共に動作可能なセンサユニット又はセンサを提供する。電気解剖学的マッピングは、電気生理学的処置に使用され得るCARTO(登録商標)(Biosense Webster Inc.によって製造される)などの電気生理学的システムの一部であってもよい。一体型センサユニットは、互いに種々の周知の距離で、典型的には、互いに同じ距離で、カテーテル上に位置決めされる。センサユニットのそれぞれは、カテーテルの内側にあり、例えば、カテーテルによって、体内にある場合に組織、血液、又はその他の体液と接触することから電気的に絶縁されている内側コイルと、カテーテルの外側にあり、体内にある場合に組織、血液、及びその他の体液に直接露出され、接触する可能性のある少なくとも部分的に絶縁されていない外側コイルと、を含む。
【0011】
絶縁された内側コイルは、例えば、磁気位置センサとして機能する。内側コイルは、磁場の存在下で、内側コイルが信号を出力するようなものであり、信号は、センサユニットが配置されるカテーテルの位置及び/又は配向を確認するために使用可能である。
【0012】
絶縁されていない外側コイルは、複数の機能を実行する。第1の機能は、生理学的信号感知又は記録電極を含み、外側コイルは、生理学的信号(例えば、心臓組織からの心電図(ECG))を取得することなどによって、組織と信号を交換する。心臓組織の場合、生理学的信号(例えば、ECG信号)は、心臓壁の収縮を引き起こし、身体を介して異なる電位を生成する心臓の組織内の電流によって生成される。外側コイルは、これらの生理学的信号(例えば、ECG信号)をプロセッサ又はコンピュータに出力し、プロセッサ又はコンピュータは、例えば、CARTO(登録商標)処置の一部として心臓マップを作成する際に、これらの信号を使用するか、又はそれらのその他の分析を実行する。
【0013】
第2の機能は、導電率センサとしての動作を含み、導電率センサは、生成された電界が組織/血液を通過するときに、インピーダンス、例えば、電気インピーダンス又は環境インピーダンスによって影響を受け、電界が通過する種々の組織及び/又は流体に基づいて、インピーダンスの変化をもたらす。検出(感知)された電束の導電率値は、複素電圧(及び/又は電流)として、外側コイルによって、プロセッサ又はコンピュータに出力される。出力電圧は、組織及び/又は流体内のインピーダンスに対応し、更に、組織への近接度に関する表示を提供するために使用され得、プロセッサ及び/又はコンピュータによって分析されるとき、カテーテルが動作している身体の位置内の組織タイプ、流体タイプ、例えば、血液又はその他の体液などの組織の種々の態様を示す。更に、外側の絶縁されていないコイルは、前述の発生した基準磁場で動作するので、内側コイルの磁気位置センサ動作と同様に、磁気位置センサとしても機能し得る。
【0014】
内側及び外側コイルは、例えば、センサユニットを伴うカテーテルに近接する(例えば、カテーテルが動作している被験者の下又はその近傍にある)磁場発生器から発生した磁場で動作するため、内側コイル及び外側コイルは、典型的には、電流を駆動せず、そうするために、発生磁場と干渉し、内側コイル及び外側コイルはこれを検出するために使用される。絶縁されていない外側コイルによって実行される複数の機能は、同時期に実行されてもよく、場合によっては同時に実行されてもよい。
【0015】
更に、外側コイルは複数の機能を実行するので、機能のそれぞれのために以前に使用された個々のセンサに取って代わり、したがって、カテーテル及びそれに関連するシステムの複雑さを低減する。
【0016】
本開示はまた、電気解剖学的マップを構築するために、プロセッサ及び/又はコンピュータによって使用される複数の出力であり、上述の内側コイル及び外側コイルから受信された信号を処理する。これらの出力は、生理学的信号(例えば、組織の電気的活動である、ECGなど)を示す、外側コイルからの複数の第1の出力と、露出された外側コイル内の個々の巻線間で漏れている電流に対応する、外側コイルにわたるそれぞれの誘導電圧差を示す、やはり外側コイルからの複数の第2の出力と、を含む。この漏れ電流は、外側コイルを取り囲む組織/材料に関連する。
【0017】
少なくとも内側コイルからの複数の第3の出力もあるが、これらの出力は、特定の組織への近接度又はセンサユニットのそれぞれの位置、したがって、カテーテルの位置を示す。場合によっては、外側コイルはまた、カテーテル及び/又はその上のセンサユニットの位置に関する前述の第3の出力を生成するように機能し得る。
【0018】
装置の説明
例示的なカテーテルベースの電気生理学的マッピング及びアブレーションシステム10を示す
図1を参照する。システム10は、医師34によって、患者の血管系を介して心臓12の腔又は血管構造内へ経皮的に挿入される複数のカテーテルを含む。典型的には、送達シース14、1つ以上のカテーテルは、心臓12の所望の位置付近の左心房又は右心房内へと挿入されるカテーテル22によって表される。その後、複数のカテーテルを送達シースカテーテル内へと挿入して、所望の位置に到達させ得る。複数のカテーテルは、心内電位図(Intracardiac Electrogram、IEGM)信号の感知専用のカテーテル、アブレーション専用のカテーテル、及び/又は感知及びアブレーションの両方に専用のカテーテルを含み得る。
【0019】
焦点カテーテルなどの例示的なカテーテル22は、被験者23の心臓12の電気解剖学的マッピング及び/又はアブレーションを実行するために使用される。マッピング手順中、1つ以上のセンサユニット又はセンサ24を備えるカテーテル22の遠位端部22dは、心臓12内へと挿入される。IEGM処置の場合、医師34は、心臓12の標的部位を感知するために、カテーテル22の遠位先端部26を、心臓壁13と接触させる。アブレーションの場合、医師34は、同様に、カテーテル22の遠位端部26を、アブレーションのために、標的部位13に運ぶ。同じカテーテル22が、感知及びアブレーションのために使用されてもよく、及び/又は複数のカテーテルが、感知又はアブレーションに特化したカテーテルのうちのいくつかと共に、感知及びアブレーションのために使用され得る。
【0020】
図示される焦点カテーテル22は、以下に詳細に説明される例示的なセンサユニットに開示されるような種々の特徴部を有し得るセンサユニット24を含む。焦点カテーテル22は、センサユニット24を含むように変更され得るカテーテルの一例である。感知及び/又はアブレーションのための複数の電極を伴うエンドエフェクタを有する多電極カテーテルもまた、エンドエフェクタに隣接するカテーテルのシャフト上、又はエンドエフェクタ上に、センサユニット24を含むように変更され得る。例えば、エンドエフェクタは、バスケット、レイ、プラナー、ラッソ、又は1つ以上のスパインを含むその他のこのようなエンドエフェクタ構造のスパインに結合されたセンサユニット24を含み得る。
【0021】
各センサユニット24は、例えば、生理学的電気信号(例えば、ECG)を検出するための、生理学的感知電極又は記録電極として機能するとともに、(被験者23の下又は被験者23の近傍に配置された磁場発生器32、すなわち、コイル又は磁気放射器によって発生した)発生磁場から磁束の変化を検出し、これらの検出された変化を電圧、例えば、電圧変化として出力するインダクタンスセンサとして機能する。検出された磁場(磁束)変化は、電圧として、ワークステーション55内のプロセッサ(図示せず)に入力され、プロセッサは、例えば、受信した電圧変化に基づいて、例えば、組織インピーダンス(組織近接インジケータ(Tissue Proximity Indicator、TPI))を分析するようにプログラムされる。これらの受信された電圧は、カテーテル22及び/又は各感知ユニット24に近接する組織及び/又は流体に関する情報を推定するために、並びに体内、例えば、心臓12内のカテーテル22及び/又はカテーテル上のセンサユニット24の位置を検出するために使用される。
【0022】
一体型センサユニット24は、ワークステーション55のプロセッサと通信する。プロセッサは、例えば、多機能センサユニット24によって捕捉された種々の信号を分析するようにプログラムされる。受信された信号及び磁場データは、例えば、1つ以上の線37a、37bを介して、多機能センサユニット24からプロセッサに送信される。
【0023】
典型的に、プロセッサは、汎用コンピュータを含み、この汎用コンピュータは、本明細書に記載される機能を実行するように、ソフトウェアでプログラムされている。ソフトウェアは、例えば、ネットワークを介して、電子形式でコンピュータにダウンロードされてもよく、又は、代替的若しくは追加的に、磁気メモリ、光学メモリ、若しくは電子メモリなどの非一時的な有形媒体に提供及び/又は格納されてもよい。
【0024】
例えば、患者インターフェースユニット(Patient Interface Unit、PIU)30内の信号発生器は、典型的には、交流電流を(例えば、線42を介して)発生器32に供給することによって、発生器32に磁場を発生させる。発生磁場は、多機能センサユニット24の、以下に詳述される内側コイル60及び外側コイル70(
図2)(内側コイル60及び外側コイル70は、それぞれ内側及び外側の導電性要素としても周知である)にわたって電圧差を誘導する。例えば、誘導電圧差(それぞれ、内側コイル60及び外側コイル70によって出力される)は、PIU30によって、次に、ワークステーション55内のプロセッサによって(線37a、37bを介して)受信され、誘導電圧に基づいて、プロセッサは、少なくとも内側コイル60、場合によっては、外側コイル70の位置、並びに(カテーテル22の体内の位置用の)外側コイル70からの組織インピーダンス(環境インピーダンスとしても周知である)測定値(組織近接インジケータ(TPI))を確認する。
【0025】
例えば、プロセッサは、種々の組織及び/又は流体インピーダンスを表す電圧を、データベース、ルックアップテーブル(Look Up Table、LUT)、その他の記憶された値、又は参照などにおける電圧と比較して、組織及び/又は流体タイプを決定するようにプログラムされてもよい。組織及び/又は流体タイプは、モニタ27上に表示されてもよい。
【0026】
プロセッサはまた、典型的に、(本実施例において、カテーテル22が動作する身体位置である)心臓12の電子解剖学的マップ20を、(例えば、心臓内組織の電気的活性を示すECG信号である)生理学的信号及び(ECG信号の発生源のそれぞれの位置を示す)螺旋状の導電要素から受信した電圧に基づいて構築するようにプログラムされる。生理学的信号(例えば、ECG信号)でオーバーレイされたこのような解剖学的マップ(「電気解剖学的マップ」)マップ20は、医師34による視認のためにモニタ27上に表示されてもよく、及び/又は後の分析のために記憶されてもよい。
【0027】
一体型センサユニット24は、種々の距離、例えば約1mm~4mmの間隔で互いに離れて配置されてもよい。例えば、センサユニット24間の距離は同じであり、カテーテル22上のセンサユニット24の位置は周知である。
【0028】
レコーダ11は、体表面ECG電極18で捕捉された電位
図21と、カテーテル22のセンサユニット24で捕捉された心内電位図(IEGM)と、を表示する。レコーダ11は、心拍リズムをペーシングするためのペーシング能力を含んでもよく、及び/又は独立型ペーサに電気的に接続されてもよい。
【0029】
システム10は、カテーテル22の遠位先端部26、又はアブレーション用に構成された別の例示的なカテーテルの遠位先端部にある1つ以上の電極に、アブレーションエネルギーを伝導するように適合されたアブレーションエネルギー発生器50を含んでもよい。アブレーションエネルギー生成器50によって生成されるエネルギーは、不可逆エレクトロポレーション(irreversible electroporation、IRE)をもたらすために使用され得るような、単極性若しくは双極性の高電圧直流パルスを含む、高周波(radiofrequency、RF)エネルギー若しくはパルス場アブレーション(pulsed-field ablation、PFA)エネルギー、又はそれらの組み合わせを含んでもよいが、それらに限定されない。
【0030】
患者インターフェースユニット(PIU)30は、カテーテルと、電気生理学的機器と、電源と、システム10の動作を制御するワークステーション55と、の間の電気通信を確立するように構成されたインターフェースである。システム10の電気生理学的機器は、例えば、複数のカテーテル、位置パッド25、体表面ECG電極18、電極パッチ38、アブレーションエネルギー生成器50、及びレコーダ11を含んでもよい。任意選択で、PIU30は、カテーテルの位置の実時間計算を実施し、ECG計算を実行するための処理能力を更に含む。
【0031】
ワークステーション55は、メモリと、適切なオペレーティングソフトウェアがロードされたメモリ又は記憶装置を有するプロセッサユニットと、ユーザインターフェース機能と、を含む。ワークステーション55は、任意選択で、(1)心内膜解剖学的構造を三次元(three-dimensions、3D)でモデリングし、モデル又は解剖学的マップ20をディスプレイデバイス27上に表示するためにレンダリングすることと、(2)記録された電位
図21からコンパイルされた活性化シーケンス(又はその他のデータ)を、レンダリングされた解剖学的マップ20上に重ね合わされた代表的な視覚的表示又は画像でディスプレイデバイス27上に表示することと、(3)心腔内の複数のカテーテルの実時間の位置及び配向を表示することと、(4)アブレーションエネルギーが印加された箇所などの関心部位をディスプレイデバイス27上に表示することと、を含む複数の機能を提供してもよい。システム10の要素を具現化する1つの市販製品は、Biosense Webster Inc.,31 Technology Drive,Irvine,CA 92618、から市販されている、CARTO(商標)3システムとして入手可能である。
【0032】
図2も参照すると、カテーテル22の一部が、
図1に示される多機能センサユニット24の例示的な特徴部を示す第1の例示的なセンサユニット124と共に示されている。第1の例示的なセンサユニット124は、カテーテル22の内側の内側導電要素、例えば、ワイヤ61のコイル60(内側コイルとしても周知である)と、カテーテル22の外側の外側導電要素、例えばコイル70(外側コイルとしても周知である)とから形成され、また、外側コイル70のワイヤ71’の少なくとも一部分が絶縁されておらず露出されている状態で、例えば、1つ以上のコイル状の導電性ワイヤ71(又は巻線若しくは螺旋巻線)から形成される。例えば、外側コイル70の絶縁されていない部分又は露出部分は、外側コイル70の少なくとも2つの巻線を含む。したがって、例えば、完全に絶縁されている内側コイル60の電圧出力は、主に、内側コイル60のコアを通る磁場の磁束によって影響を受け、磁場の磁束は、主に、発生器32が発生する磁場に基づく。外側コイル70の電圧出力は、外側コイル70のコアを通る磁束によって影響を受け、磁束は、主に、位置パッド25の磁気放射器32によって提供される磁場に基づき、外側コイル70及び内側コイル60が同軸である場合に、内側コイル60のコアを通る磁場の磁束と同様である。外側コイル70の電圧出力は、絶縁されていない巻線71’と外部環境(例えば、血液又は組織)との直接の物理的接触による、外側コイル70の絶縁されていない巻線71’間の二次インピーダンスの変化によっても影響を受ける。
【0033】
内側コイル60は絶縁されているので、内側コイル60のインピーダンスは、主に誘導性であり、内側コイル60の幾何学的形状に基づいて分かる。磁束は、発生器コイル32が発生する外部から印加された磁場に基づいて、周知の方法で、空間内で変化する。内側コイル60のコアを通る磁束により、内側コイル60は、ワークステーション55に電気信号を供給する。電気信号は、磁束と内側コイル60のインピーダンスとの関数である。内側コイル60のインピーダンスは周知であり、磁束は、位置の周知の関数であるので、内側コイル60の位置は、内側コイル60からの電気信号に基づいて決定され得る。電気信号は、非限定的な例として、参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第5,391,199号、同第5,443,489号、同第5,558,091号、同第6,172,499号、同第6,239,724号、同第6,332,089号、同第6,484,118号、同第6,618,612号、同第6,690,963号、同第6,788,967号、同第6,892,091号に記載されているような磁気ベースの位置感知技術を使用して、第1の例示的なセンサユニット124の位置を決定するために使用され得る。内側コイル60及び外側コイル70は同軸であるので、内側コイル60を通る磁束は、内側コイル60からの電気信号に関連する外側コイル70を通る磁束とほぼ同じである。外側コイル70のインピーダンスは、外側コイル70の出力信号(例えば、電圧)及び外側コイル70のコアを通る磁束に基づいて(すなわち、内側コイル60からの電気信号に基づいて)、ワークステーション55によって計算され得る。外側コイルのインピーダンスは、コイル巻線の幾何学的形状に基づくインダクタンスと、絶縁されていない巻線71’の露出部分の近傍における環境を通る導電率に基づく二次インピーダンスと、を含む。したがって、外側コイルの複素インピーダンスは、コイルの幾何学的形状及び露出部分の位置(周知である)、並びに露出部分間の環境のインピーダンスに基づく。したがって、内側コイル60及び外側コイル70の出力電圧に基づいて、外側コイル70の絶縁されていない巻線71’の露出部分の近傍における環境の導電率の変化を検出し得る。
【0034】
巻線61の内側コイル60は、例えば、カテーテル22自体、又はカテーテル22の内側のその他の絶縁材料60aによって電気的に絶縁される。内側コイル60は、例えば、線37a、37bを含む専用電圧チャネルを含み、それによって、発生磁場(例えば、磁場が内側コイル60上に電位を生成する)によって引き起こされた誘導電圧差が、ワークステーション55内のプロセッサ(図示せず)に中継される。プロセッサは、受信した電圧(電位)を分析し、体内、例えば、心臓12内の内側コイル60の位置を確認するか、又はその他の方法で決定する。
【0035】
外側コイル70は、例えば、カテーテル22の外側表面に沿って位置決めされた巻線71を含む。巻線71は、少なくとも2つの絶縁されていないワイヤ部分71’を含む。外側コイル70及び内側コイル60は、例えば、互いに対して同軸及び/又は同心であるように配置されている。例えば、外側コイル70は、内側コイル60のスパン内に延在するように、内側コイル60の少なくとも一部分の上に(かつそれに沿って)延在し、及び/又は周知の付勢力でシフトされる(例えば、内側コイル60は、典型的には、外側コイル70を越えて長手方向に延在する)。外側コイル70は、外側コイル巻線(ワイヤ71)の第1の螺旋角度で巻かれてもよく、内側コイル60は、第1の螺旋巻線角度とは異なる内側コイル巻線の第2の螺旋角度で巻かれてもよい(ワイヤ61)。2つの周知であるが異なる第1の螺旋巻線角度及び第2の螺旋巻線角度は、内側コイル60及び外側コイル70が二軸磁気位置センサとして機能することを可能にする。
【0036】
外側コイル70は、(電位を測定するための)専用電圧チャネルを含み、専用電圧チャネルは、演算増幅器(オペアンプ)75によって受信された磁気を表す信号、及びオペアンプ76によって受信された生理学的信号(例えば、ECG信号)を表す信号のためのサブ線72、74を含み、サブ線72、74は、線37a、37bを介してワークステーション55内のプロセッサと通信する。外側コイル70は、それを形成するワイヤ71によって、絶縁されていない、別様に露出されている部分71’を含み、身体組織及び/又は血液などの流体と接触する。
【0037】
外側コイル70は、例えば、単一のコイル、又は絶縁ワイヤを用いて外側コイル70を形成するように接合された複数のコイルから形成される。ワイヤ71は、カテーテル22の周りに一連の螺旋状の巻線又はターンで巻かれる。絶縁部の一部は、ワイヤの一部を露出させるために、例えば、レーザによって機械的にワイヤから除去される。ワイヤ部分の露出は、絶縁されていない巻線71’間の二次インピーダンスが、外側コイル70のインピーダンスの誘導部分が有意であることを可能にするように、特定の環境条件において十分に高くなり得るように、巻線間の接触をもたらさないように行われる。したがって、部分的に露出された外側コイル70は、内側コイル60と同様に、位置センサとして機能し得る。
【0038】
外側コイル70は、例えば、その少なくとも2つ、典型的には、2つ以上の絶縁されていない又は露出された巻線を介して複数の機能を実行する。外側コイル70の1つの機能は電極としてであり、外側コイル70が、組織から生理学的電気信号(例えば、ECG)を取得することなどによって、組織と信号を交換し、又は絶縁されていない巻線71’の露出された部分が組織に接触している場合、ペーシングなどのために、外側コイル70から電気信号を組織へと駆動する。別の機能は、磁場センサユニット(センサ)124又は磁束センサを含む環境導電率センサであり、これは、外側コイル70によって受信されるような(患者の下又は周囲の基準位置に配置された磁場発生器32によって)発生した磁場に基づく出力電圧と、外側コイルの幾何学的形状に基づく外側コイル70の誘導性インピーダンスと、外側コイル70の絶縁されていない巻線71’の露出部分の間の組織及び/又は流体の導電率に基づく外側コイル70の二次インピーダンスと、を生成する。組織導電率/インピーダンス値、したがって、出力電圧は、組織及び/又は流体のタイプごとに異なり、例えば、絶縁されていない巻線71’の露出部分の間の組織タイプ、組織境界、特定の組織及び/又は流体の位置などのうちの1つ以上を決定するために、ワークステーション55のプロセッサによって使用される。
【0039】
外側コイル70は、外側コイル70及び外側コイル70のワイヤ71から延在する線72、74を介して、位置及び組織インピーダンス(例えば、パラメータ)を分析するために、異なる周波数帯域が使用され得るようなものである。例えば、ECGは、直流を1kHz占有する場合がある一方で、磁気関連の電圧、場合によっては磁気位置感知もまた、例えば、約2kHz~8kHzを使用する場合がある。ECG(電気活動感知)及び位置感知のための周波数スペクトルが異なるので、2つの信号は重複せず、したがって、同じワイヤによって同時に送信され得る。
【0040】
外側コイル70はまた、外側コイル70の二次インピーダンスが十分に高い及び/又は周知である場合に、内側コイル60のものと同一又は類似の磁気位置センサとして機能し得る。検出された外側コイル70に基づいて、体内、例えば心臓12内の外側コイル70及び/又は第1の例示的なセンサユニット124の位置が決定される。外側コイル70が(以下に詳述するように)位置センサとして使用される場合、内側コイル60は基準として機能する。
【0041】
あるいは、外部漏洩コイル(例えば、外側コイル70)と、第1の例示的なセンサユニット124などの外部センサとの間に、周知の物理的関係がある限り、内側コイル60は存在する必要がない。本文脈における「漏洩(Leaky)」とは、コイルが、有意な二次インピーダンスに加えて、理想的な誘導性インピーダンスを有する非理想的なインダクタとしてモデル化され得るインピーダンスを有することである。
【0042】
環境のインピーダンスの変化は、外側コイル70の2つ以上の巻線(ワイヤ部分71’)の2つ以上の露出部分の間で、検出される。代替として、外側コイル70は、1つ以上の露出部分を伴う1つの巻線のみを含んでもよく、カテーテル22は、インピーダンスの変化が露出された巻線と二次露出電極又はセンサとの間で測定され得るように構成された外側コイル70の近傍に配置される二次露出電極又はセンサ(例えば、ACL位置センサ)を、更に含み得る。この例では、1つの露出された巻線は、組織と接触している場合に生理学的信号感知(例えば、ECG)のために使用可能であり、環境インピーダンスの変化は、露出された巻線と二次露出電極又はセンサとの間のインピーダンスの変化に基づいて検出され得る。この構成の欠点は、外側コイル70及び/又は二次電極/センサを介して、電流を駆動する必要がある場合があることである。
【0043】
開示された外側コイル70は、2つ以上の絶縁されていない露出された巻線を有するように設計されているので、外側コイル70は、二次電極又はセンサがなくても(例えば、ACL位置感知システムがない)動作し得、このような電流は、発生器30からの磁場又は生理学的信号(例えば、ECG信号)と干渉する可能性がある、外側コイル70(又は内側コイル60)を介して駆動される必要がなく、電流を生成及び測定する特定のハードウェアを必要とすることになる。更に、外側コイル70の少なくとも2つの絶縁されていない露出された巻線を有することによって、位置計算は、ACLシステムの場合のようにインピーダンスに基づかない。
【0044】
外側コイル70の巻線、及び少なくとも絶縁されていない又は露出された巻線(ワイヤ部分71)は、例えば、短絡の潜在的な原因である電気的干渉を含む干渉を回避するために、少なくとも最小距離で互いに離間される。この最小距離は、例えば、少なくとも約0.5mmである。巻線間の距離は、感度に影響を与える。例えば、個々の巻線間のより大きな距離又は間隔は、巻線間のより短い分離距離を有する外側コイル70と比較して、外側コイル70をより感度の低いものにする。コイルの巻線(ターン)の数もまた感度に影響を及ぼす場合がある。更に、外側コイル70の材料は、巻線間の距離と同様に感度に影響を与える。
【0045】
外側コイル70の巻線間の漏れ電流は、外側コイル70上の勾配電圧によって影響を受ける。異なる巻線材料は、異なる電圧及び電流漏れを生成する。外側コイル70上の電圧勾配が高いほど、環境/組織関連インピーダンスに対する感度が大きくなる。ワイヤコイル70の材料としては、例えば、医療グレードのステンレス鋼及び白金ワイヤが挙げられる。ワイヤはまた、露出されたワイヤの特定の領域においてより良好な/調整された感度を達成するために、1つ以上の巻線の間の中間位置でコーティングされ得る。
【0046】
図3は、外側コイル70から、場合によっては内側コイル60からも受信された信号に基づいて、プロセッサによって実行される例示的なプロセスのフロー図である。本プロセスは、例えば、自動的にリアルタイムで実行され、手動のサブプロセスを含んでもよい。本プロセスは、所望される限り実行されてもよい。
【0047】
本プロセスは、開始ブロック100で始まり、ここで、例えば、カテーテル22は、被験者23内、例えば心臓12内で展開される。更に、磁場は、ワークステーション55を介して制御されるように、発生器32によって発生される。
【0048】
ブロック102では、カテーテル22の第1の例示的なセンサユニット124を通る磁束の変化と、外側コイル70の絶縁されていない露出された巻線(ワイヤ部分71’)によって検出される環境の導電率と、に対応する電圧信号が、プロセッサ32に送信(出力)される。ブロック110において、ワークステーション55のプロセッサは、例えば、外側コイル70から受信した電圧変化に基づいて、これらの信号を分析する。これらの受信された電圧変化は、カテーテル22及び/又は各感知ユニット124に近接する組織及び/又は流体に関する情報を推定するために、並びに体内、例えば、心臓12内のカテーテル22及び/又はカテーテル上のセンサユニット124の位置を検出するために使用される。ブロック122では、プロセッサは、組織インピーダンス値又は組織若しくは流体タイプ、組織及び/又は流体境界などの組織及び/又は流体特性を出力する。
【0049】
ブロック104において、生理学的信号(例えば、ECG信号)が、露出された巻線71’の部分を介して外側コイル70によって受信され、プロセッサに送信(出力)される。プロセッサは、ブロック110において、これらの信号を分析し、ブロック125において、心臓12の電気解剖学的マップを生成するか、又はその他の方法で作成するか、又は作成させる。
【0050】
ブロック106において、内側コイル60は、発生磁場を検出し、対応する信号をプロセッサに送信する。プロセッサは、ブロック110において、これらの受信信号を分析し、ブロック126において、カテーテル22及び/又はその上の多機能センサユニット24の位置を決定する。
【0051】
ブロック106’における任意選択のプロセスにおいて、外側コイル70は、発生磁場を検出し、対応する信号をプロセッサに送信する。プロセッサは、ブロック110において、これらの受信信号を分析し、ブロック126’において、カテーテル22及び/又はその上の多機能センサユニット24の位置を決定する。
【0052】
図4は、カテーテル222の遠位端部222d付近のカテーテル222の一部分上に配置された第2の例示的なセンサユニット224の図であり、
図1の多機能センサユニット24の特徴部を示す。第2の例示的なセンサユニット224は、少なくとも2つの露出された絶縁されていない部分を有する単一のコイル270を含み、全体的に絶縁されていなくてもよい。コイル270は、距離d1だけ離間した巻線271を含み得る。距離d1は、隣接する絶縁されていない巻線271が互いに接触しないように、十分な大きさであり得る。距離d1はまた、
図7A及び
図7Bに関連してより詳細に開示されるように、第2の例示的なセンサユニット224が曲げられた場合に隣接する巻線が短絡するように構成されてもよい。
【0053】
コイル270は、サブ線272、274に電気的に結合されて、コイル270からECGオペアンプ276及び磁気オペアンプ275に電気信号を送る。ECGオペアンプ276は、ワークステーション55(
図1)内のプロセッサと通信して、組織13から組織13に押し付けられたコイル270の露出部分に生理学的信号(例えば、ECG信号)を送信するように構成されている。磁気オペアンプ275は、ワークステーション55(
図1)内のプロセッサに、磁場発生器32が発生した磁場に起因するコイル270にわたる電圧を示す電気信号を送信するように構成されている。コイル270はまた、
図2に示す第1の例示的なセンサ124の内側コイル60のものと同一又は類似の磁気位置センサとして機能してもよい。例えば、コイルインピーダンスがコイルインピーダンスの誘導部分にほぼ等しくなるように、絶縁されていないワイヤ部分間の二次インピーダンスが十分に高い場合、磁場発生器32が発生する磁場によって誘導された電気信号は、発生磁場内のコイル270の位置、したがって、患者23内の位置に関する情報を提供し得る。別の代替として、ワークステーション55は、インピーダンスの抵抗(及び/又は容量)部分が有意である場合であっても、コイル270のインピーダンスの誘導部分を、コイル270のインピーダンスの抵抗(及び/又は容量)部分から区別することが可能であり得る。例えば、発生器32は、複数の周波数で磁束を提供してもよく、コイル270から出力される電気信号の周波数応答は、コイル270のインピーダンス及び位置の両方を決定するために使用されてもよい。
【0054】
図5A及び
図5Bは、第3の例示的な多機能センサユニット324を有する例示的なカテーテル322の図であり、
図1の多機能センサユニット24の特徴部を示す。第3の例示的なセンサユニット324は、
図2に示す第1の例示的なセンサユニット124の内側コイル60及び外側コイル70と同様に構成された内側コイル360及び外側コイル370を含む。外側コイル370は、少なくとも2つの露出された絶縁されていない部分を含み得る。外側コイル370は、第3の例示的なセンサユニット324を通る磁束の変化に基づいて信号を出力するように構成され得る。磁束の変化は、外側コイル370のインピーダンスを示す電気信号を提供し得るが、これは、
図1、
図2、
図13A、及び
図13Bに関連してより詳細に開示されるように、組織への近接度を決定するために使用され得る。外側コイル370の絶縁されていない部分は、組織に接触し、組織を介して測定される生理学的信号(例えば、ECG信号)を出力するように構成され得る。外側コイル370はまた、
図4に示す第2の例示的なセンサユニット242のコイル270又は
図2に示す第1の例示的なセンサユニット124の外側コイル70と同様の位置センサとして機能してもよい。内側コイル360は、1つ以上の基準磁場を測定して第3の例示的なセンサユニット324の位置を示す信号を提供し、体内の第3の例示的なセンサユニット324の位置を決定するための出力信号を提供することによって、
図2に示される第1の例示的なセンサユニット124の内側コイル60と同様に機能し得る。
【0055】
内側コイル360は、カテーテル322の管状本体28に取り付けられている。絶縁スリーブ380は、内側コイル360上に配置されている。あるいは、内側コイル360は、管状本体28の内腔内に、位置決めされ得る。別の代替として、絶縁スリーブ380は、省略することができ、そのため、外側コイル370が内側コイル360上に直接配置され、内側コイル360のワイヤ絶縁は、内側コイル360を電気的に絶縁するのに十分である。
【0056】
外側コイル370の巻線371は、距離d1だけ分離される。巻線分離距離d1は、外側コイル370の隣接する絶縁されていない部分が接触して電気的短絡をもたらさないことを確実にするために十分であり得る。いくつかの例では、巻線分離距離d1は、
図7A及び
図7Bに関連してより詳細に開示されるように、外側コイル370の曲率が巻線371間の短絡をもたらし、それによって、コイルインピーダンスを変化させるようなものであり得る。
【0057】
カテーテル322は、カテーテル322の遠位端部322d付近に、1つ以上のセンサユニットを含み得る。
図5Bは、カテーテル322の遠位端部322d付近の第3の例示的なセンサユニット324のうちの3つを示す。代替として、1つ、2つ、4つ、又は5つのセンサユニットが、カテーテルの遠位端部322d付近に位置決めされ得る。更に、カテーテル322は、第3の例示的なセンサユニット324の一部又は全部を、本明細書に示されるその他の例示的なセンサユニット124、224、424、524、624、724、824、924、1024、1124のいずれかで置き換えることによって変更され得るが、センサユニット24は、本明細書に示される例示的なセンサユニット、その変形例、又は当業者によって理解されるその他のセンサユニットのいずれかの適合する特徴部を含む。
【0058】
第3の例示的なセンサユニット324は、それぞれ、外側コイル370から近位方向に延在する導体372、374を含み、外側コイルからカテーテルハンドルへの、したがって、ワークステーション55(
図1)への電気的接続を提供し得る。第3の例示的なセンサユニット324は、それぞれ、内側コイル360からカテーテルハンドルへの、したがって、ワークステーション55(
図1)への電気的接続を提供するための導体337を含み得る。同様に、本明細書に開示される例示的なセンサユニットのいずれも、ワークステーション55(
図1)への電気的接続を行うために、同様の導体を含み得る。
【0059】
カテーテル322は、リング電極390、先端電極26(
図1)、又は当業者によって理解されるようなその他のこのような特徴部などの追加のカテーテル特徴部を更に含み得る。リング電極390は、ACLセンサとして機能し得る。ACLセンサ電極26は、センサユニット24(
図1)による位置測定を補足する位置センサ測定を提供してもよい。
【0060】
図6Aは、
図1のセンサユニット24の特徴部を示す第4の例示的なセンサユニット424の図である。同軸ワイヤ465は、長手方向軸線A-Aの周りに巻かれて、第4の例示的なセンサユニット424を形成する。同軸ワイヤ465は、コイルを形成する巻線466と、2つの絶縁戻り線472、474と、を含む。同軸ワイヤ465は、巻線466の近位端部と近位戻り線474との間に、近位屈曲部477を形成する。同軸ワイヤ465は、巻線466の遠位端部と遠位戻り線472との間に、遠位屈曲部467を形成する。遠位戻り線472は、巻線466が、組織及び/又は外部環境と接触することを遠位戻り線472が妨げないように、巻線466の下にされ位置決めされる。
【0061】
図6B及び
図6Cは、
図6Aに示される第4の例示的なセンサユニット424の同軸ワイヤ465の断面図である。同軸ワイヤ465は、コア導電性部材460と、内側絶縁体469と、外側導電性部材470と、外側絶縁体479と、を含む。内側絶縁体469は、コア導電性部材460の上にあり、コア導電性部材460を、外部環境から第4の例示的なセンサユニット424へと、電気的に絶縁する。外側導電性部材は、内側絶縁体上に延在し、内側絶縁体469によって、コア導電性部材460から電気的に絶縁されている。外側絶縁体479は、外側導電性部材470の一部分上にあり、外側導電性部材470の絶縁されていない部分が、第4の例示的なセンサユニット424を形成する同軸ワイヤ465の2つ以上の巻線466において、第4の例示的なセンサユニット424の外部環境に露出されるようになっている。コア導電性部材460、内側絶縁体469、外側導電性部材470、及び外側絶縁体479は、互いに同軸であり、長手方向軸線A-Aの周りに巻かれる同軸ワイヤ465を形成する。
【0062】
図示されるように、同軸ワイヤ465のコイルの巻線466の全ては、絶縁されていない。あるいは、巻線466の選択された部分は、例えば、
図11により詳細に示されるような方向依存性であるECG及び/若しくは環境測定を行うために、又は治療中に遭遇する環境条件において、コイルインピーダンスに所望の二次成分を提供するために絶縁されてもよい。
【0063】
コア導電性部材460は、1つ以上の基準磁場を測定して、第3の例示的なセンサユニット324の位置を示す信号を提供し、体内のセンサの位置を決定するための信号を出力するように構成され得る。コア導電性部材460は、
図2に示す内側コイル60又は
図5Aに示す内側コイル360と同様に機能し得る。コア導電性部材460は、第4の例示的なセンサユニット424を通る磁束の変化に基づいて信号を出力するように構成され得る。
【0064】
外側導電性部材470の絶縁されていない部分は、組織に接触し、組織を介して生理学的信号(例えば、ECG)を出力するように構成され得る。外側導電性部材470は、絶縁されていない部分が露出されている外部環境の導電率の変化に応答してインピーダンスが変化するように構成され得る。インピーダンスの変化は、
図1に示される外側コイル70、
図4に示されるコイル270、
図5A及び
図5Bに示される外側コイル370、
図13A及び
図13Bに関連して開示されるもの、又は本開示の利益を有する当業者によって別様に理解されるもののインピーダンスの変化と同様であり得る。外側導電性部材470は、絶縁されていない部分が露出されている外部環境の導電率の変化を示す出力信号を提供するように構成され得る。外部環境は、外側導電性部材470に対するインピーダンスの変化を引き起こし得るが、このインピーダンスは、外部環境の導電率の変化を識別するために、ワークステーション55(
図1)によって使用され得る。
【0065】
外側導電性部材470は、1つ以上の基準磁場を測定して、第3の例示的なセンサユニット324の位置を示す信号を提供し、体内のセンサの位置を決定するための信号を出力するように構成され得る。例えば、コイルインピーダンスが外側導電性部材470のコイルインピーダンスの誘導部分にほぼ等しくなるように、絶縁されていないワイヤ部分間の二次インピーダンスが十分に高い場合、磁場発生器32(
図1)が発生した磁場によって誘導された電気信号は、発生磁場内の巻線466の位置、したがって、患者23内の位置に関する情報を提供し得る。外側導電性部材470は、第4の例示的なセンサユニット424を介した磁束の変化に基づいて、信号を出力するように構成され得る。検出された外側導電性部材470に基づいて、体内、例えば、心臓12内の第4の例示的なセンサユニット424の巻線466の位置が決定される。外側導電性部材470が位置センサとして使用される場合、コア導電性部材460は、基準として機能し得る。
【0066】
外側導電性部材470の絶縁されていない部分を有する隣接する巻線466は、センサが、直線状の長手方向軸線と位置合わせされた場合に、絶縁されていない部分が間隙によって分離されるように位置決めされ得る。
図7A及び
図7Bに関連してより詳細に開示されるように、センサを屈曲させると、間隙が潰れて、隣接する巻線466の絶縁されていない部分が電気的に短絡され、それによって、センサの曲率の程度の表示が提供され得る。
【0067】
第4の例示的なセンサユニット424は、カテーテル(例えば、
図1及び
図5Bを参照)又はガイドワイヤ(例えば、
図9)などの医療用プローブと一体化され得る。例示的なカテーテルは、長手方向軸線A-Aに沿って延在する管状シャフトと、カテーテル本体上に第4の例示的なセンサユニット242を形成するように管状シャフトの周りに巻かれた同軸ワイヤ465と、を含み得る。例示的なガイドワイヤは、長手方向軸線A-Aに沿って延在する管状シャフトと、管状シャフトの遠位端部から延在し、長手方向軸線A-Aの周りに巻かれた同軸ワイヤ465と、を含み得る。
【0068】
図7A及び
図7Bは、
図1のセンサユニット24の特徴部を示す第5の例示的なセンサユニット524の図であり、本開示の利益を有する当業者によって理解されるように、本明細書に開示されるその他のセンサユニット、その変形例、及びその代替物の特徴部と組み合わせられ得る。
図7Aは、線形配列を有する第5の例示的なセンサユニット524の図である。コイル570の隣接する巻線571は、隣接する巻線を互いに電気的に絶縁するために十分な間隙距離d1だけ分離されている。
【0069】
図7Bは、曲率半径r1の周りに屈曲された第5の例示的なセンサユニット524の図であり、これによって、図示された隣接する巻線571のうちの3つが、短絡位置572において互いに接触し、隣接する巻線571間の間隙距離d2が、短絡位置572の反対側で増加する。隣接する巻線571が短絡位置572で短絡される場合、1つ以上の巻線ループは、短絡によってバイパスされるので、事実上0インピーダンスを有する。これは、コイル570の全体的なインピーダンスを変化させる。コイルのインピーダンスの変化は、例えば、
図2、
図13A、及び
図13Bに関連して、本明細書のその他の箇所でより詳細に開示される技法を使用して測定され得る。コイル内のインピーダンスの測定された変化は、いくつの巻線571が短絡によってバイパスされるかに直接依存する。コイル形状、例えば、間隙距離d1は、短絡されるコイルの数が第5の例示的なセンサユニット524の曲率半径r1と共に変化するように構成され得る。一般に、よりきつい曲線は、より多くのコイルが短絡される原因となる場合がある。間隙距離d1は、曲率半径r1とコイルインピーダンスとの間の関係を更に操作するために、コイル570の長さに沿って変化してもよい。
【0070】
図8Aは、
図1のセンサユニット24の特徴部を示す、第6の例示的なセンサユニット624の図である。13。第6の例示的なセンサユニット624は、第1の複数のコイル巻線661と、第2の複数のコイル巻線671と、遠位戻り線672と、近位戻り線674と、接続線673と、を含む。第1の複数のコイル巻線661は、第6の例示的なセンサユニット624に対して外部環境から電気的に絶縁され、外部環境の導電率とは独立した誘導性インピーダンスを有する。第2の複数のコイル巻線671は、第1の複数の巻線661と交互配置され、第2の複数のコイル巻線671が外部環境の導電率の変化と共に変動するインピーダンスを有するように、それぞれ、少なくとも部分的に絶縁されておらず、第6の例示的なセンサユニット624の外部環境に露出された少なくとも2つの巻線を含む。戻り線672、674は、第1の複数の巻線661及び第2の複数の巻線671から、カテーテルハンドルへの電気的接続を提供し、それによって、ワークステーション55(
図1)への電気的接続を提供する。接続線673は、第2の複数のコイル巻線671の遠位端部を、第1の複数のコイル巻線661の近位端部に接合する。
【0071】
第6の例示的なセンサユニット624の第1の複数のコイル巻線661は、第2の複数のコイル巻線671と電気的に直列である。第6の例示的なセンサユニット624の第1の複数のコイル巻線661及び第2の複数のコイル巻線671は、単一のワイヤ666から形成される。単一のワイヤ666は、体内のセンサの位置を決定し、心電図信号を決定し、組織への近接度を決定するための信号を出力するように構成され得る。
【0072】
単一のワイヤ666は、遠位戻り線672が最初に管状本体28上に位置決めされ、続いて第1の複数の巻線661、続いて接続線673、続いて第2の複数の巻線671、最後に近位戻り線674が位置決めされるように形成される。遠位戻り線672は、第1の複数のコイル巻線661及び第2の複数のコイル巻線671の下で遠位方向に延在する、絶縁された第1の長さを有する。第1の複数の巻線661の絶縁された第2の長さは、遠位戻り線672の絶縁された第1の長さから近位方向に巻かれる。絶縁された第3の長さの接続線673は、絶縁された第2の長さから第1の複数のコイル巻線661の上を遠位方向に延在する。絶縁されていない第4の長さは、絶縁された第3の長さから近位方向に巻かれて、第2の複数のコイル巻線671を形成する。近位戻り線674の絶縁された第5の長さは、第2の複数のコイル巻線671から近位方向に延在する。
【0073】
図8Aには示されていないが、第1の複数のコイル巻線661は、2つ以上の層の内側層が、2つ以上の層の外側層によって外部環境から電気的に絶縁された第2の複数のコイル巻線671の絶縁されていない部分を含むように、2つ以上の層において、第2の複数のコイル巻線671と交互配置され得る。2つ以上の層は、交互の絶縁されたワイヤ部分及び絶縁されていないワイヤ部分を有する方格様パターンを有する断面を有し得る。2つ以上の層は、
図10に関連して開示したものと同様に構成され得る。
【0074】
図8Aには示されていないが、第2の複数のコイル巻線671は、第2の複数のコイル巻線671のインピーダンスが、医療用プローブの第1の側の近傍における外部環境の導電率の変化と共に変動するように、医療用プローブの第1の側のみに露出部分を有し得る。第2の複数のコイル巻線671は、
図11に示される方向性コイル巻線1070、1080と同様に構成され得る。
【0075】
図8Bは、
図1のセンサユニット24の特徴部を示す、第7の例示的なセンサユニット724の図である。第7の例示的なセンサユニット724は、第1の複数のコイル巻線761及び第2の複数のコイル巻線771を含む。第1の複数のコイル巻線761は、第7の例示的なセンサユニット724に対して外部環境から電気的に絶縁され、外部環境の導電率とは独立した誘導性インピーダンスを有する。第2の複数のコイル巻線771は、第1の複数の巻線761と交互配置される。第2の複数のコイル巻線771は、第2の複数のコイル巻線771が外部環境の導電率の変化と共に変動するインピーダンスを有するように、少なくとも部分的に絶縁されておらず、第7の例示的なセンサユニット724の外部環境に露出された少なくとも2つの巻線をそれぞれ含む。
【0076】
第7の例示的なセンサユニット724は、体内のセンサの位置を決定し、心電図信号を決定し、組織への近接度を決定するための信号を出力するように構成され得る。
【0077】
第1の複数のコイル巻線761は、第2の複数のコイル巻線771から電気的に絶縁されている。
【0078】
第7の例示的なセンサユニット724は、第1のワイヤ760及び第2のワイヤ770を更に含む。第1のワイヤ760は、第1の複数の巻線761を含む。第1のワイヤ760は、1つ以上の基準磁場を測定して、第3の例示的なセンサユニット324の位置を示す信号を提供し、体内の第7の例示的なセンサユニット724の位置を決定するための信号を出力するように構成されている。第2のワイヤ770は、第2の複数の巻線771を含み、心電図信号及び外部環境の導電率の変化を示す信号を出力するように構成されている。
【0079】
図8Bには示されていないが、第1の複数のコイル巻線761は、2つ以上の層の内側層が、2つ以上の層の外側層によって外部環境から電気的に絶縁された第2の複数のコイル巻線771の絶縁されていない部分を含むように、2つ以上の層において、第2の複数のコイル巻線771と交互配置され得る。2つ以上の層は、交互の絶縁されたワイヤ部分及び絶縁されていないワイヤ部分を有する方格様パターンを有する断面を有し得る。2つ以上の層は、
図10に関連して開示したものと同様に構成され得る。
【0080】
図8Bには示されていないが、第2の複数のコイル巻線771は、第2の複数のコイル巻線771のインピーダンスが、医療用プローブの第1の側の近傍における外部環境の導電率の変化と共に変動するように、医療用プローブの第1の側のみに露出部分を有し得る。第2の複数のコイル巻線771は、
図11に示される方向性コイル巻線1070、1080と同様に構成され得る。
【0081】
図9は、第8の例示的なセンサユニット824を含むガイドワイヤ800の図である。ガイドワイヤは、患者の体外で操作されるように構成された近位部分802と、血管系を通って延在するように構成された中間部分と、血管系をナビゲートするように構成された遠位端部804と、を有する。ガイドワイヤ800は、長手方向軸線A-Aに沿って延在する管状シャフト810と、管状シャフトの遠位端部から延在する第8の例示的なセンサユニット824と、を含む。管状シャフトの遠位端部は、テーパ状内側部分832と、テーパ状内側部分832を覆う管状部分831と、を含み得る。第8の例示的なセンサユニット824は、テーパ状内側部分832のテーパ状端部833を覆う内側コイル860と、内側コイル860を覆う絶縁ジャケット850と、絶縁ジャケット850を覆う外側コイル870と、を含み、ガイドワイヤ800は、ガイドワイヤ800の遠位端部に、非外傷性エンドキャップ840を含む。第8の例示的なセンサユニット824は、代替的に、当業者によって理解されるように、本明細書に示されるその他の巻き線ワイヤの例示的なセンサユニット124、224、324、424、524、624、724、924、1024、1124、それらの変形例、及びそれらの代替物と同様に構成され得る。
【0082】
図10は、
図1のセンサユニット24の特徴部を示す、第9の例示的なセンサユニット924の図である。第9の例示的なセンサユニット924は、複数の絶縁された巻線961a、961bと、2つ以上の層において絶縁された巻線961a、961bと交互配置された、複数の絶縁されていない巻線971a、971bと、を含む。2つ以上の層の内側層は、2つ以上の層の外側層によって外部環境から電気的に絶縁された、コイル巻線971bの絶縁されていない部分を含む。複数の絶縁された巻線961a、961bは、絶縁されたワイヤ961a、961b部分と絶縁されていないワイヤ部分971a、971bとが交互になった方格様パターンを有する断面を有する2つ以上の層において、複数の絶縁されていない巻線971a、971bと交互配置されている。
【0083】
図11は、
図1のセンサユニット24の特徴部を示す、第10の例示的なセンサユニット1024の図である。第10の例示的なセンサユニット1024は、第1の複数のコイル巻線1060と、第2の複数のコイル巻線1070と、第3の複数のコイル巻線1080と、を含む。第1の複数のコイル巻線1060は、第10の例示的なセンサユニット1024に対して外部環境から電気的に絶縁され、外部環境の導電率とは独立した誘導性インピーダンスを含む。第2の複数のコイル巻線1070は、第2の複数のコイル巻線1070が第1の側1010で外部環境の導電率の変化と共に変動するインピーダンスを有するように、それぞれが、少なくとも部分的に絶縁されず、第10の例示的なセンサユニット1024の第1の側1010で外部環境に露出された少なくとも2つの巻線を含む。第3の複数のコイル巻線1080は、第3の複数のコイル巻線1080が第2の側1020で外部環境の導電率の変化と共に変動するインピーダンスを有するように、それぞれが、少なくとも部分的に絶縁されず、第10の例示的なセンサユニット1024の第2の側1020で外部環境に露出された少なくとも2つの巻線を含む。第1の複数のコイル巻線1060、第2の複数のコイル巻線1070、及び第3の複数のコイル巻線1080は、管状支持体28の表面に沿って、互いに交互配置され、長手方向軸線A-Aの周りに巻かれる。
【0084】
第10の例示的なセンサユニット1024は、体内のセンサの位置を決定し、心電図信号を決定し、組織への近接度を決定するための信号を出力するように構成され得る。
【0085】
第2の複数のコイル巻線1070は、第2の複数のコイル巻線1070のインピーダンスが、医療用プローブの第1の側1010の近傍における外部環境の導電率の変化と共に変動するように、医療用プローブの第1の側1010のみに露出部分を有する。第3の複数のコイル巻線1080は、第3の複数のコイル巻線1080のインピーダンスが、医療用プローブの第2の側1020の近傍における外部環境の導電率の変化と共に変動するように、医療用プローブの第2の側1020のみに露出部分を有する。第2の複数のコイル巻線1070及び第3の複数のコイル巻線1080は、第1の側1010及び第2の側1020に対する組織の方向を示す信号を出力するように構成されている。
【0086】
図12は、
図1のセンサユニット24の特徴部を示す、第11の例示的なセンサユニット1124の図である。第11の例示的なセンサユニット1124は、温度の変化に伴ってインピーダンスが変動する、温度感知導体を含む。第11の例示的なセンサユニット1124は、長手方向軸線A-Aの周りに巻線1171を有するコイル1170と、近位戻り線1172と、遠位戻り線1173と、を含む。巻線1171及び戻り線1172、1173は、互いに温度感度が異なる材料を含み得る。第11の例示的なセンサユニット1124は、温度感度が異なる少なくとも2つのセグメントを有する。
【0087】
図13A及び
図13Bは、
図1のセンサユニット24のインピーダンスモデルの図である。
図13Aに示すように、コイルの各巻線は、誘導性インピーダンスL1、L2、L3、L4、L5を有し、コイルは、隣接する露出コイル部分の間に抵抗性インピーダンスR1、R2、R3、R4、R5を有する。コイルの軸線A-Aを通る変動磁場B(t)は、巻線を通る電流I(t)と、センサユニット24のための出力信号として測定され得るコイルにわたる電圧V(t)と、を誘導する。変動磁場B(t)及び誘導性インピーダンスL1、L2、L3、L4、L5が周知である場合、コイルの抵抗性インピーダンスは、センサユニット24の出力信号に基づいて計算され得る。
【0088】
図13Bに示すように、露出されたワイヤ部分の間の抵抗性インピーダンスR1、R2、R2、R4、R5(
図13A)は、血管系又は心臓内にある場合に、コイル巻線の隣接する露出部分の間で電流が取り得る経路に依存する。
図13Bは、2つの電流経路、すなわち、血液RB1を通り、組織RTを通り、再び血液RB2を通る第1の経路と、血液を直接通る第2の経路RB3と、を示す。コイルが組織から離れている場合、第2の直接経路は、第1の経路よりも低い抵抗を有し、露出されたワイヤ部分間の抵抗性インピーダンスは、血液を通る直接経路RB3によって支配される。コイルが組織13の近くに移動されるにつれて、第1の経路のインピーダンスは、第2の経路に匹敵するか、又はそれより小さくなり、露出されたワイヤ部分の間の抵抗性インピーダンスは、血液RB1、RB2及び組織RTを通るインピーダンスに基づく。変動磁場B(t)が、組織抵抗RTが血液RB1、RB2のそれよりも著しく小さい周波数で印加される場合、コイルの有効抵抗性インピーダンスは、コイルが組織13に接近するにつれて減少する。
図13A及び
図13Bに示されるモデルは、単に説明のための簡略化であることに留意されたい。組織及び/又は血液は、複素インピーダンスを有してもよい。異なる組織種類は異なるインピーダンスを有し、血液及び組織のインピーダンスは、周波数と共に変動する。
【0089】
以下の条項は、本開示の非限定的な実施形態を列挙する。
【0090】
条項1.医療用プローブのためのセンサを形成するために、長手方向軸線の周りに巻かれた同軸ワイヤであって、同軸ワイヤは、同軸ワイヤの一部分によって取り囲まれたコア導電性部材と、コア導電性部材を覆い、センサに対する外部環境からコア導電性部材を電気的に絶縁する内側絶縁体と、内側絶縁体上に延在し、内側絶縁体によってコア導電性部材から電気的に絶縁された外側導電性部材と、外側導電性部材の絶縁されていない部分が、センサを形成する同軸ワイヤの2つ以上の巻線においてセンサに対する外部環境に露出されるように、外側導電性部材の一部分を覆う外側絶縁体と、を備える、同軸ワイヤ。
【0091】
条項2.コア導電性部材が、1つ以上の基準磁場を測定して、体内のセンサの位置を示す信号を提供するように構成されている、条項1に記載の同軸ワイヤ。
【0092】
条項3.コア導電性部材が、センサを通る磁束の変化に基づいて、信号を出力するように構成されている、条項1又は2に記載の同軸ワイヤ。
【0093】
条項4.絶縁されていない部分が、組織に接触し、組織を介して心電図(ECG)信号を出力するように構成されている、条項1~3のいずれか一項に記載の同軸ワイヤ。
【0094】
条項5.絶縁されていない部分が露出している外部環境の導電率の変化に応答して、インピーダンスが変動するように、外側導電性部材が構成されている、条項1~4のいずれか一項に記載の同軸ワイヤ。
【0095】
条項6.絶縁されていない部分が露出している外部環境の導電率の変化を示す出力信号を提供するように、外側導電性部材が構成されている、条項1~5のいずれか一項に記載の同軸ワイヤ。
【0096】
条項7.外側導電性部材が、体内のセンサの位置を示す信号を提供するために、1つ以上の基準磁場を測定するように構成されている、条項1~6のいずれか一項に記載の同軸ワイヤ。
【0097】
条項8.外側導電性部材が、センサを通る磁束の変化に基づいて信号を出力するように構成されている、条項1~7のいずれか一項に記載の同軸ワイヤ。
【0098】
条項9.コア導電性部材、内側絶縁体、及び外側導電性部材が、互いに同軸であり、長手方向軸線の周りに巻かれている、条項1~8のいずれか一項に記載の同軸ワイヤ。
【0099】
条項10.外側導電性部材の絶縁されていない部分を有する隣接する巻線を備え、センサが直線状の長手方向軸線と位置合わせされた場合に、絶縁されていない部分が間隙によって分離され、センサを屈曲させることによって、間隙が潰れて、隣接する巻線の絶縁されていない部分を電気的に短絡させ、それによって、センサの曲率の程度の表示を提供する、条項1~9のいずれか一項に記載の同軸ワイヤ。
【0100】
条項11.カテーテルであって、長手方向軸線に沿って延在する管状シャフトと、管状シャフトの周りに巻かれた同軸ワイヤであって、同軸ワイヤが、コア導電性部材と、コア導電性部材を覆い、同軸ワイヤに対する外部環境からコア導電性部材を電気的に絶縁する内側絶縁体と、内側絶縁体上に延在し、内側絶縁体によってコア導電性部材から電気的に絶縁される外側導電性部材と、外側導電性部材の絶縁されていない部分が、センサを形成する同軸ワイヤの2つ以上の巻線においてセンサに対する外部環境に露出されるように、外側導電性部材の一部分を覆う外側絶縁体と、を備える同軸ワイヤと、を備える、カテーテル。
【0101】
条項12.ガイドワイヤであって、長手方向軸線に沿って延在する管状シャフトと、管状シャフトの遠位端部から延在し、長手方向軸線の周りに巻かれた同軸ワイヤであって、同軸ワイヤが、コア導電性部材と、コア導電性部材を覆い、同軸ワイヤに対する外部環境からコア導電性部材を電気的に絶縁する内側絶縁体と、内側絶縁体上に延在し、内側絶縁体によってコア導電性部材から電気的に絶縁された外側導電性部材と、外側導電性部材の絶縁されていない部分が、センサを形成する同軸ワイヤの2つ以上の巻線においてセンサに対する外部環境に露出されるように、外側導電性部材の一部分を覆う外側絶縁体と、を備える同軸ワイヤと、を備える、ガイドワイヤ。
【0102】
条項13.医療用プローブ用のセンサであって、センサが、センサに対する外部環境から電気的に絶縁され、外部環境の導電率に依存しない誘導性インピーダンスを含む第1の複数のコイル巻線と、第2の複数のコイル巻線が、外部環境の導電率の変化に応じて変動するインピーダンスを有するように、第1の複数の巻線と交互配置され、それぞれ、少なくとも部分的に絶縁されておらず、センサの外部環境に露出された少なくとも2つの巻線を備える第2の複数のコイル巻線と、を備える、医療用プローブ用のセンサ。
【0103】
条項14.体内のセンサの位置を決定し、心電図信号を決定し、組織への近接度を決定するための信号を出力するように構成されている、条項13に記載のセンサ。
【0104】
条項15.第1の複数のコイル巻線が、第2の複数のコイル巻線と電気的に直列である、条項13又は14に記載のセンサ。
【0105】
条項16.第1の複数のコイル巻線及び第2の複数のコイル巻線が、単一のワイヤから形成されている、条項13~15のいずれか一項に記載のセンサ。
【0106】
条項17.単一のワイヤが、第1の複数のコイル巻線及び第2の複数のコイル巻線の下で遠位方向に延在する、絶縁された第1の長さと、第1の複数のコイル巻線を形成するために、絶縁された第1の長さから近位方向に巻かれた、絶縁された第2の長さと、絶縁された第2の長さから第1の複数のコイル巻線の上を遠位方向に延在する、絶縁された第3の長さと、第2の複数のコイル巻線を形成するために、絶縁された第3の長さから近位方向に巻かれた、絶縁されていない第4の長さと、を含む、条項16に記載のセンサ。
【0107】
条項18.単一のワイヤが、体内のセンサの位置を決定し、心電図信号を決定し、組織への近接度を決定するように構成されている、条項16又は17に記載のセンサ。
【0108】
条項19.第1の複数のコイル巻線が、第2の複数のコイル巻線から電気的に絶縁されている、条項13又は14に記載のセンサ。
【0109】
条項20.第1の複数の巻線を含み、1つ以上の基準磁場を測定して体内のセンサの位置を示す信号を提供するように構成された第1のワイヤと、第2の複数の巻線を含み、心電図信号及び外部環境の導電率の変化を示す信号を出力するように構成された第2のワイヤと、を更に備える、条項19に記載のセンサ。
【0110】
条項21.第1の複数のコイル巻線は、2つ以上の層の内側層が、2つ以上の層の外側層によって外部環境から電気的に絶縁された第2の複数のコイル巻線の絶縁されていない部分を含むように、2つ以上の層において、第2の複数のコイル巻線と交互配置される、条項13~20のいずれか一項に記載のセンサ。
【0111】
条項22.第1の複数のコイル巻線が、2つ以上の層において第2の複数のコイル巻線と交互配置され、絶縁されたワイヤ部分と絶縁されていないワイヤ部分とが交互になった方格様パターンを有する断面を有する、条項13~21のいずれか一項に記載のセンサ。
【0112】
条項23.第2の複数のコイル巻線は、第2の複数のコイル巻線のインピーダンスが医療用プローブの第1の側の近傍における外部環境の導電率の変化と共に変動するように、医療用プローブの第1の側のみに露出部分を備える、条項13~20のいずれか一項に記載のセンサ。
【0113】
条項24.第3の複数のコイル巻線を更に備え、第3の複数のコイル巻線が、医療用プローブの第2の側の近傍における外部環境の導電率の変化と共に変動するインピーダンスを有するように、第3の複数のコイル巻線は医療用プローブの第2の側のみに露出部分を備える、条項23に記載のセンサ。
【0114】
条項25.第2の複数のコイル巻線及び第3の複数のコイル巻線が、第1の側及び第2の側に対する組織の方向を示す信号を出力するように構成されている、条項24に記載のセンサ。
【0115】
条項26.温度感知ワイヤを更に備える、条項13~25のいずれか一項に記載のセンサ。
【0116】
条項27.温度感知ワイヤは、温度応答が異なる少なくとも2つのセグメントを含む、条項26に記載のセンサ。
【0117】
条項28.センサが、センサ付近の外部環境の温度を示す信号を出力するように構成されている、条項26又は27に記載のセンサ。
【0118】
条項29.医療用プローブが、カテーテルを含む、条項13~28のいずれか一項に記載のセンサ。
【0119】
条項30.医療用プローブが、ガイドワイヤを備える、条項13~28のいずれか一項に記載のセンサ。
【0120】
条項31.絶縁されていない部分を有する隣接する巻線を備えるコイル状ワイヤを備えるセンサであって、コイル状ワイヤは、センサが直線状の長手方向軸線と位置合わせされた場合に、絶縁されていない部分の間に間隙を有するように構成されており、コイル状ワイヤは、間隙が潰れて、隣接する巻線の絶縁されていない部分を電気的に短絡させ、それによって、センサの曲率の程度の表示を提供するように構成されている、センサ。
【0121】
条項32.医療用プローブの曲率半径を示す出力信号を提供するように構成されている、条項31に記載のセンサ。
【0122】
条項33.温度感知ワイヤを更に備える、条項31又は32に記載のセンサ。
【0123】
条項34.温度感知ワイヤは、温度応答が異なる少なくとも2つのセグメントを含む、条項33に記載のセンサ。
【0124】
条項35.センサが、センサ付近の外部環境の温度を示す信号を出力するように構成されている、条項33又は34に記載のセンサ。
【0125】
条項36.カテーテルであって、長手方向軸線に沿って延在する管状シャフトと、第1の複数のコイル巻線及び第2の複数のコイル巻線を備えるセンサと、を備え、第1の複数のコイル巻線が、センサに対する外部環境から電気的に絶縁されており、外部環境の導電率から独立した誘導性インピーダンスを備え、第2の複数のコイル巻線が、外部環境の導電率の変化と共に変動するインピーダンスを有するように、第2の複数のコイル巻線が、第1の複数の巻線と交互配置されており、それぞれが、少なくとも部分的に絶縁されておらず、センサの外部環境に露出された少なくとも2つの巻線を備える、カテーテル。
【0126】
条項37.第1の複数のコイル巻線が、第2の複数のコイル巻線と電気的に直列である、条項36に記載のカテーテル。
【0127】
条項38.第1の複数のコイル巻線及び第2の複数のコイル巻線が、単一のワイヤから形成されている、条項36又は37に記載のカテーテル。
【0128】
条項39.単一のワイヤが、第1の複数のコイル巻線及び第2の複数のコイル巻線の下で遠位方向に延在する、絶縁された第1の長さと、第1の複数のコイル巻線を形成するために、絶縁された第1の長さから近位方向に巻かれた、絶縁された第2の長さと、絶縁された第2の長さから第1の複数のコイル巻線の上を遠位方向に延在する、絶縁された第3の長さと、第2の複数のコイル巻線を形成するために、絶縁された第3の長さから近位方向に巻かれた、絶縁されていない第4の長さと、を含む、条項38に記載のカテーテル。
【0129】
条項40.第1の複数のコイル巻線が、第2の複数のコイル巻線から電気的に絶縁されている、条項36に記載のカテーテル。
【0130】
条項41.第1の複数の巻線を含み、1つ以上の基準磁場を測定して体内のセンサの位置を示す信号を提供するように構成された第1のワイヤと、第2の複数の巻線を含み、心電図信号及び外部環境の導電率の変化を示す信号を出力するように構成された第2のワイヤと、を更に備える、条項40に記載のカテーテル。
【0131】
条項42.ガイドワイヤであって、長手方向軸線に沿って延在する管状シャフトと、第1の複数のコイル巻線及び第2の複数のコイル巻線を備えるセンサと、を備え、第1の複数のコイル巻線が、センサに対する外部環境から電気的に絶縁されており、外部環境の導電率から独立した誘導性インピーダンスを備え、第2の複数のコイル巻線が、外部環境の導電率の変化と共に変動するインピーダンスを有するように、第2の複数のコイル巻線が、第1の複数の巻線と交互配置されており、それぞれが、少なくとも部分的に絶縁されておらず、センサの外部環境に露出された少なくとも2つの巻線を備える、ガイドワイヤ。
【0132】
条項43.第1の複数のコイル巻線が、第2の複数のコイル巻線と電気的に直列である、条項42に記載のガイドワイヤ。
【0133】
条項44.第1の複数のコイル巻線及び第2の複数のコイル巻線が、単一のワイヤから形成されている、条項42又は43に記載のガイドワイヤ。
【0134】
条項45.単一のワイヤが、第1の複数のコイル巻線及び第2の複数のコイル巻線の下で遠位方向に延在する、絶縁された第1の長さと、第1の複数のコイル巻線を形成するために、絶縁された第1の長さから近位方向に巻かれた、絶縁された第2の長さと、絶縁された第2の長さから第1の複数のコイル巻線の上を遠位方向に延在する、絶縁された第3の長さと、第2の複数のコイル巻線を形成するために、絶縁された第3の長さから近位方向に巻かれた、絶縁されていない第4の長さと、を含む、条項44に記載のガイドワイヤ。
【0135】
条項46.第1の複数のコイル巻線が、第2の複数のコイル巻線から電気的に絶縁されている、条項42に記載のガイドワイヤ。
【0136】
条項47.第1の複数の巻線を含み、1つ以上の基準磁場を測定して体内のセンサの位置を示す信号を提供するように構成された第1のワイヤと、第2の複数の巻線を含み、心電図信号及び外部環境の導電率の変化を示す信号を出力するように構成された第2のワイヤと、を更に備える、条項46に記載のガイドワイヤ。
【0137】
上記の実施形態は、例として引用したものであり、本発明は、以上で本明細書に具体的に図示及び説明されたものに限定されるものではない。むしろ、本発明の範囲は、上記の説明及び例解された種々の特徴の組み合わせ及び副次的組み合わせの両方、並びに前述の説明を読むことで当業者に想起されるであろう、先行技術で開示されていないそれらの変形例及び修正を含む。
【0138】
〔実施の態様〕
(1) 長手方向軸線の周りに巻かれて医療用プローブのためのセンサを形成する、同軸ワイヤであって、前記同軸ワイヤが、
前記同軸ワイヤの一部分によって囲まれた、コア導電性部材と、
前記コア導電性部材を覆い、前記センサに対する外部環境から前記コア導電性部材を電気的に絶縁する、内側絶縁体と、
前記内側絶縁体上に延在し、前記内側絶縁体によって、前記コア導電性部材から電気的に絶縁された、外側導電性部材と、
前記外側導電性部材の一部分を覆う外側絶縁体であって、前記外側導電性部材の絶縁されていない部分が、前記センサを形成する前記同軸ワイヤの2つ以上の巻線において、前記センサに対する前記外部環境に露出されている、外側絶縁体と、を備える、同軸ワイヤ。
(2) 前記コア導電性部材が、1つ以上の基準磁場を測定して、体内の前記センサの位置を示す信号を提供するように構成されている、実施態様1に記載の同軸ワイヤ。
(3) 前記コア導電性部材が、前記センサを通る磁束の変化に基づいて、信号を出力するように構成されている、実施態様1に記載の同軸ワイヤ。
(4) 前記絶縁されていない部分が、組織に接触し、前記組織を介して心電図(ECG)信号を出力するように構成されている、実施態様1に記載の同軸ワイヤ。
(5) 前記絶縁されていない部分が露出している前記外部環境の導電率の変化に応答して、前記外側導電性部材のインピーダンスが変動するように構成されている、実施態様1に記載の同軸ワイヤ。
【0139】
(6) 前記外側導電性部材が、前記絶縁されていない部分が露出している前記外部環境の導電率の変化を示す出力信号を提供するように構成されている、実施態様1に記載の同軸ワイヤ。
(7) 前記外側導電性部材が、1つ以上の基準磁場を測定して、体内の前記センサの位置を示す信号を提供するように構成されている、実施態様1に記載の同軸ワイヤ。
(8) 前記外側導電性部材が、前記センサを通る磁束の変化に基づいて、信号を出力するように構成されている、実施態様1に記載の同軸ワイヤ。
(9) 前記コア導電性部材、前記内側絶縁体、及び前記外側導電性部材が、互いに同軸であり、前記長手方向軸線の周りに巻かれている、実施態様1に記載の同軸ワイヤ。
(10) 前記外側導電性部材の絶縁されていない部分を有する隣接する巻線を備え、前記センサが直線状の長手方向軸線と位置合わせされた場合に、前記絶縁されていない部分が間隙によって分離され、前記センサを屈曲させることによって、前記間隙が潰れて、前記隣接する巻線の前記絶縁されていない部分を電気的に短絡させ、それによって、前記センサの曲率の程度の表示を提供する、実施態様1に記載の同軸ワイヤ。
【0140】
(11) カテーテルであって、
長手方向軸線に沿って延在する、管状シャフトと、
前記管状シャフトの周りに巻かれてセンサを形成する、同軸ワイヤと、を備え、前記同軸ワイヤが、
コア導電性部材と、
前記コア導電性部材を覆い、前記同軸ワイヤに対する外部環境から前記コア導電性部材を電気的に絶縁する、内側絶縁体と、
前記内側絶縁体上に延在し、前記内側絶縁体によって、前記コア導電性部材から電気的に絶縁された、外側導電性部材と、
前記外側導電性部材の一部分を覆う外側絶縁体であって、前記外側導電性部材の絶縁されていない部分が、前記同軸ワイヤの2つ以上の巻線において、前記センサに対する前記外部環境に露出されている、外側絶縁体と、を備える、カテーテル。
(12) 前記コア導電性部材が、1つ以上の基準磁場を測定して、体内の前記センサの位置を示す信号を提供するように構成されている、実施態様11に記載のカテーテル。
(13) 前記絶縁されていない部分が、組織に接触し、前記組織を介して心電図(ECG)信号を出力するように構成されている、実施態様11に記載のカテーテル。
(14) 前記外側導電性部材が、前記絶縁されていない部分が露出している前記外部環境の導電率の変化を示す出力信号を提供するように構成されている、実施態様11に記載のカテーテル。
(15) 前記コア導電性部材、前記内側絶縁体、及び前記外側導電性部材が、互いに同軸であり、前記長手方向軸線の周りに巻かれている、実施態様11に記載のカテーテル。
【0141】
(16) ガイドワイヤであって、
長手方向軸線に沿って延在する、管状シャフトと、
前記管状シャフトの遠位端部から延在し、前記長手方向軸の周りに巻かれてセンサを形成する、同軸ワイヤと、を備え、前記同軸ワイヤが、
コア導電性部材と、
前記コア導電性部材を覆い、前記同軸ワイヤに対する外部環境から前記コア導電性部材を電気的に絶縁する、内側絶縁体と、
前記内側絶縁体上に延在し、前記内側絶縁体によって、前記コア導電性部材から電気的に絶縁された、外側導電性部材と、
前記外側導電性部材の一部分を覆う外側絶縁体であって、前記外側導電性部材の絶縁されていない部分が、前記センサを形成する前記同軸ワイヤの2つ以上の巻線において、前記センサに対する前記外部環境に露出されている、外側絶縁体と、を備える、ガイドワイヤ。
(17) 前記コア導電性部材が、1つ以上の基準磁場を測定して、体内の前記センサの位置を示す信号を提供するように構成されている、実施態様16に記載のガイドワイヤ。
(18) 前記絶縁されていない部分が、組織に接触し、前記組織を介して心電図(ECG)信号を出力するように構成されている、実施態様16に記載のガイドワイヤ。
(19) 前記外側導電性部材が、前記絶縁されていない部分が露出している前記外部環境の導電率の変化を示す出力信号を提供するように構成されている、実施態様16に記載のガイドワイヤ。
(20) 前記コア導電性部材、前記内側絶縁体、及び前記外側導電性部材が、互いに同軸であり、前記長手方向軸線の周りに巻かれている、実施態様16に記載のガイドワイヤ。
【外国語明細書】