(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024161005
(43)【公開日】2024-11-15
(54)【発明の名称】位置および組織近接度指示を用いた生理学的信号測定のための渦巻き型センサ
(51)【国際特許分類】
A61B 5/367 20210101AFI20241108BHJP
【FI】
A61B5/367 100
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024074725
(22)【出願日】2024-05-02
(31)【優先権主張番号】18/311,695
(32)【優先日】2023-05-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】511099630
【氏名又は名称】バイオセンス・ウエブスター・(イスラエル)・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Biosense Webster (Israel), Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】リオール・ボッツァー
(72)【発明者】
【氏名】ポール・スアレス
(72)【発明者】
【氏名】デビー・ハイスミス
(72)【発明者】
【氏名】コク・アナニ・モウエナ・アメフィア
【テーマコード(参考)】
4C127
【Fターム(参考)】
4C127AA02
4C127LL08
(57)【要約】
【課題】多機能センサユニットを提供すること。
【解決手段】コイルが1つ以上の基板に配置されるように、各々が医療用プローブの長手方向軸に直交するそれぞれの中心軸を有するコイルを有する医療用プローブのためのセンサユニット。第1のコイルは、外部環境に露出された導電性表面を有することができ、第2のコイルは、外部環境から絶縁または封止されたその導電性表面を有する。コイルは、1)少なくとも2つの露出した巻線で受信された生理学的電気信号(例えば、ECG)と、2)少なくとも2つの露出した巻線の近傍における環境インピーダンス/コンダクタンスを示す信号と、を出力するように構成され得る。コイルは更に、磁界に基づいてセンサの位置を決定し、センサの曲率を決定し、環境インピーダンス/コンダクタンスを方向的に測定し、および/または温度を測定するように構成され得る。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多機能センサユニットであって、
長手方向軸に沿って延在する第1の基板と、
前記長手方向軸に概ね直交する第1の中心軸の周りで前記第1の基板上に配置された第1のコイルであって、前記第1のコイルは、その導電性表面が外部環境に露出されるように構成されている、第1のコイルと、
前記長手方向軸に沿って延在する第2の基板と、
前記長手方向軸に概ね直交する第2の中心軸の周りで前記第2の基板上に配置された第2のコイルであって、前記第2のコイルは、その導電性表面が前記外部環境から絶縁または封止されるように構成されている、第2のコイルと、
を備える、多機能センサユニット。
【請求項2】
前記第1の基板と前記第2の基板との間に配置された構造部材を更に備える、請求項1に記載の多機能センサユニット。
【請求項3】
前記第1の基板および前記第2の基板は、前記第1のコイル用の第1の表面と、前記第2のコイル用の前記第1の表面の反対側の第2の表面とを有する単一の基板を備える、請求項1に記載の多機能センサユニット。
【請求項4】
前記第1のコイルおよび前記第2のコイルのうちの少なくとも1つは、矩形の渦巻き型平面コイルを備える、請求項1に記載の多機能センサユニット。
【請求項5】
前記第2のコイルは、患者の身体内の前記多機能センサユニットの位置を示す信号を提供するために、1つ以上の基準磁界を測定するように構成されている、請求項1に記載の多機能センサユニット。
【請求項6】
前記第2のコイルは、1つ以上の基準磁界によって誘導された前記第2のコイルを通る磁束の変化に基づいて信号を出力するように構成されている、請求項1に記載の多機能センサユニット。
【請求項7】
前記第1のコイルは、組織に接触し、組織によって伝搬される生理学的電気信号を表す信号を出力するように構成されている、請求項1に記載の多機能センサユニット。
【請求項8】
前記第1のコイルは、前記第1のコイルが露出される前記外部環境の導電率の変化に応答してインピーダンスが変化するように構成されている、請求項1に記載の多機能センサユニット。
【請求項9】
前記第1のコイルは、患者の身体内の前記第1のコイルの位置を示す信号を提供するために、1つ以上の基準磁界を測定するように構成されている、請求項1に記載の多機能センサユニット。
【請求項10】
前記第1のコイルは、1つ以上の基準磁界によって誘導された前記第1のコイルを通る磁束の変化に基づいて信号を出力するように構成されている、請求項1に記載の多機能センサユニット。
【請求項11】
前記第1の中心軸は、前記第2の中心軸と同軸である、請求項1に記載の多機能センサユニット。
【請求項12】
前記多機能センサユニットは、
身体内の前記多機能センサユニットの位置と、
生物学的組織によって生成される生理学的信号と、
前記多機能センサユニットの組織への近接度と、を表す信号を出力するように構成されている、請求項1に記載の多機能センサユニット。
【請求項13】
前記第1のコイルは、前記第2のコイルから電気的に絶縁されている、請求項1に記載の多機能センサユニット。
【請求項14】
前記第1のコイルの少なくとも2つの部分は前記外部環境に露出されている、請求項1に記載の多機能センサユニット。
【請求項15】
長手方向軸に沿って延在する第3の基板と、
前記長手方向軸に概ね直交し、前記第1の中心軸に対してある角度である第3の中心軸の周りで前記第3の基板上に配置された第3のコイルであって、前記第3のコイルは、その導電性表面が前記外部環境に露出されるように構成されている、第3のコイルと、
前記長手方向軸に沿って延在する第4の基板と、
前記長手方向軸に概ね直交し、前記第2の中心軸に対してある角度である第4の中心軸の周りで前記第4の基板上に配置された第4のコイルであって、前記第4のコイルは、その導電性表面が前記外部環境から絶縁または封止されるように構成されている、第4のコイルと、を更に備える、請求項1に記載の多機能センサユニット。
【請求項16】
前記第3の中心軸は、前記第4の中心軸と同軸である、請求項15に記載の多機能センサユニット。
【請求項17】
前記第1の中心軸は、前記第3の中心軸から約60°~約180°の角度にある、請求項15に記載の多機能センサユニット。
【請求項18】
前記第2の中心軸は、前記第4の中心軸から約60°~約180°の角度にある、請求項15に記載の多機能センサユニット。
【請求項19】
長手方向軸に沿って延在する第5の基板と、
前記長手方向軸に概ね直交し、前記第1の中心軸に対してある角度であり、前記第3の中心軸に対してある角度である第5の中心軸の周りに、前記第5の基板上に配置された第5のコイルであって、前記第5のコイルは、その導電性表面が前記外部環境に露出されるように構成されている、第5のコイルと、
前記長手方向軸に沿って延在する第6の基板と、
前記長手方向軸に概ね直交し、前記第2の中心軸に対してある角度であり、前記第4の中心軸に対してある角度である第6の中心軸の周りに、前記第6の基板上に配置された第6のコイルであって、前記第6のコイルは、その導電性表面が前記外部環境から絶縁または封止されるように構成されている、第6のコイルと、を更に備える、請求項15に記載の多機能センサユニット。
【請求項20】
前記第1のコイル、前記第3のコイル、および前記第5のコイルは、3軸位置センサとして集合的に機能し、
前記第2のコイル、前記第4のコイル、および前記第6のコイルは、集合的に、前記長手方向軸からの3つの異なる方向における環境導電率の変動を示す出力信号を提供する、請求項19に記載の多機能センサユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2022年12月16日に出願された先行出願の米国特許出願第18/083,422号(代理人整理番号BIO6652USNP1)の一部継続出願として35 USC120に基づく優先権の利益を主張するものであり、この出願は、参照によりその全体が本出願に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
カテーテルは、関心のあるパラメータを感知するための生理学的信号感知電極(例えば、ECG電極)と、カテーテルの位置を正確に追跡するための磁気位置センサとを含み得る。磁気位置センサはコイルであり、コイルを通して磁界が生成され得る。コイルは、身体内のカテーテルの位置を感知することに専用である。現在、そのような専用コイルは、磁気位置感知のためにのみ使用されている。
【0003】
磁気位置センサを含まないカテーテルは、カテーテルの場所を追跡するために、アクティブ電流場所(ACL)構成要素およびシステムを使用する。ACLは、身体の外側のパッチ電極が、身体を通る電流の結果として生じるインピーダンスの測定からカテーテル電極の場所を三角測量するために使用できるように、身体の内側のカテーテル上にある電極からの小電流の注入に依拠する。例示的なACLシステムとしては、米国特許第7,756,576号.同第7,869,865号、同第7,848,787号、および同第8,456,182号に詳述されるものが挙げられ、典型的には、本出願の所有者であるBiosense WebsterからのCARTO(登録商標)システムおよび手順に関連付けられている。しかしながら、磁気位置センサと比較すると、ACLシステムは、電流を駆動し、インピーダンスに基づいて位置を計算し、したがって、磁気位置センサよりもはるかに精度が低い。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示の主題は、(1)組織によって生成される生理学的電気信号(例えば、ECG信号)を測定し、(2)センサへの組織近接度の指示を提供し、(3)1つ以上の磁界を感知して、1つ以上の磁界に対する多機能センサユニットの位置を提供する、ために使用することができる多機能センサユニットを提供する。典型的にはカテーテル上で使用される統合多機能センサユニットは、カテーテルに沿って延在する外側コイルを伴って構成されている。コイルはワイヤ巻線から形成され、巻線の少なくとも2つは絶縁されていないか、または露出されている。これらの露出した巻線は、多機能センサユニットが、収縮中に心臓(例えば、心臓壁)から電気インパルス(信号)として送信される環境インピーダンスおよび生理学的信号を感知することを可能にする。コイルは、コイル形状によって決定される誘導性インピーダンスと、露出された巻線が露出される環境によって決定される二次インピーダンスとを有する。二次インピーダンスは、抵抗性、容量性、誘導性、またはそれらの任意の組み合わせであってもよい。二次インピーダンスは複素インピーダンスであってもよい。したがって、コイルの全体的なインピーダンスは環境によって変化し、インピーダンスの変化は、コイルに作用する発生磁界からの既知の磁束によって誘導される、コイルから出力される電圧(および/または電流)信号に基づいて検出することができる。組織は、血液とは異なるインピーダンス、例えば、血液よりも小さい抵抗性インピーダンス成分を有するので、コイルインピーダンスの変化は、組織への近接度の指示を提供することができる。したがって、露出部分が組織から離れているとき、コイルはより誘導性であり、露出部分が組織の近くに移動されるとき、コイルはより低い抵抗を有する。露出した巻線は、生物学的組織と接触しているときに生理学的信号(例えば、ECG信号)を測定することができる。いくつかの例では、コイルのインダクタンスは、コイルが位置センサとして機能することを可能にすることができる。
【0005】
組織近接度位置センサを有する例示的な統合された生理学的信号は、第1の基板、第2の基板、第1のコイル、および第2のコイルを含むことができる。第1および第2の基板は長手方向軸に沿って延在し、第1および第2のコイルは各々、長手方向軸に概ね直交するそれぞれの第1および第2の中心軸を有する。第1のコイルは、その導電性表面が外部環境に露出されるように構成され、第2のコイルは、その導電性表面が外部環境から絶縁または封止されるように構成されている。組織近接度位置センサは、第1の基板と第2の基板との間に構造部材を有することができる。或いは、第1および第2の基板は単一の基板を含むことができる。第1および第2の中心軸は、互いに同軸であってもよい。組織近接度位置センサは、各々が第1および第2のコイルと同様に構成され、それぞれの中心軸が第1および第2の中心軸に対してある角度になるように配置された複数対のコイルを有することができる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
本開示は、以下の本開示の実施例の詳細な説明を図面と併せて読むことで、より完全に理解されるであろう。
【
図1】開示されたセンサユニットが展開されるカテーテルを含む、心臓マッピングのための電気解剖学的マッピングシステムの概略図である。
【
図2】本開示の一例による、
図1の多機能センサユニットの特徴を示すカテーテルの一部に配置された第1の例示的なセンサユニットの図である。
【
図3】開示されたセンサユニットからデータを取得して様々な出力を生成するための例示的なプロセスのフロー図である。
【
図4】本開示の一例による、
図1の多機能センサユニットの特徴を示すカテーテルの一部に配置された第2の例示的なセンサユニットの図である。
【
図5A】本開示の一例による、
図1の多機能センサユニットの特徴を示す第3の例示的なセンサユニットの3つの多機能センサの図である。
【
図5B】本開示の一例による、
図1の多機能センサユニットの特徴を示す第3の例示的なセンサユニットの3つの多機能センサの図である。
【
図5C】
図5Aに示すような3つの多機能センサの断面図である。
【
図5D】
図5Bに示された多機能センサユニットの断面図である。
【
図6】本開示の一例による、
図1の多機能センサユニットの特徴を示す第4の例示的なセンサユニットの断面図である。
【
図7A】本開示の一例による、
図1の多機能センサユニットを有するカテーテルの図である。
【
図7B】本開示の一例による、
図1の多機能センサユニットの特徴を示す第5の例示的なセンサユニットの
図7Aに示されるような断面図である。
【
図7C】本開示の一例による、カテーテル本体の外面に取り付けられた
図5A~
図5Dの第3の例示的なセンサユニットのものと同様の多機能センサユニットの
図7Aに示されるような断面図である。
【
図8A】本開示の一例による、
図1の多機能センサユニットのインピーダンスモデルの図である。
【
図8B】本開示の一例による、
図1の多機能センサユニットのインピーダンスモデルの図である。
【
図9】本開示の一例による、カテーテルの組織近接度センサを構築するための方法のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
概要
以下の詳細な説明は、図面を参照しながら読まれるべきものであり、異なる図面における同様の要素には同一の番号が付けられている。図面は、必ずしも縮尺どおりとは限らず、選択された実施形態を描示しており、また本発明の範囲を限定することを意図していない。詳細な説明は、限定ではなく、例として、本発明の原理を例解する。この説明は、当業者が本発明を作製および使用することを明らかに可能にし、また本発明を実施するための最良の態様であると現在考えられているものを含めて、本発明のいくつかの実施形態、適応例、変形例、代替物、および使用を説明する。
【0008】
本明細書で使用される場合、任意の数値または数値範囲に対する「約」または「ほぼ」という用語は、構成要素の一部または構成要素集合を、本明細書に説明されるその意図された目的に沿って機能させるのに好適な寸法の許容誤差を示すものである。より具体的には、「約」または「略」は、挙げた値の±10%の値の範囲を指す場合があり、例えば「約90%」は、81%~99%の値の範囲を指す場合がある。更に、本明細書で使用される場合、「患者」、「宿主」、「ユーザ」、および「被験者」という用語は、任意のヒトまたは動物被験体を指し、ヒト患者における本発明の使用が好ましい実施形態を表すが、システムまたは方法をヒトの使用に限定することを意図するものではない。
【0009】
本明細書で使用される場合、「多機能センサ」または「センサユニット」という用語は、CARTO(登録商標)(Biosense Webster Inc.によって製造される)などの適切な電気生理学的システムに接続されたときに、少なくとも3つの機能(本明細書の他の箇所で更に説明および図示されるような)を提供することができる2つのコイルを有するデバイスを示す。そのような「多機能センサ」または「センサユニット」は、
(1)生物学的組織によって生成または伝搬される生理学的電気信号(例えば、ECG信号)を測定または記録することと、
(2)センサへの組織近接度または組織接触を示すことと、
(3)1つ以上の磁界を感知して、1つ以上の基準磁界に対する多機能センサユニットの位置を提供することと、ができる。3つの機能の全てが同時にイネーブルされる必要はなく、独立して使用され得ることに留意されたい。
【0010】
本開示の主題は、例えば、心臓等の身体器官の電気解剖学的マッピング等の処置において使用される、例えば、焦点カテーテルまたは他のカテーテル等のカテーテルと共に動作可能な、センサユニットまたはセンサを提供する。電気解剖学的マッピングは、電気生理学的処置に使用され得るCARTO(登録商標)(Biosense Webster Inc.によって製造される)等の電気生理学的システムの一部であってもよい。統合センサユニットは、互いに様々な既知の距離で、典型的には互いに同じ距離で、カテーテル上に配置される。センサユニットの各々は、カテーテルの内側にあり、例えばカテーテルによって、身体内にあるときに組織、血液、または他の体液と接触することから電気的に絶縁されている内側コイルと、カテーテルの外側にあり、体内にあるときに組織、血液、および他の体液に直接露出され、潜在的に接触する少なくとも部分的に絶縁されていない外側コイルとを含む。
【0011】
絶縁された内側コイルは、例えば、磁気位置センサとして機能する。内側コイルは、磁場の存在下で、内側コイルが信号を出力するようなものであり、信号は、センサユニットが配置されるカテーテルの場所および/または配向を確認するために使用可能である。
【0012】
絶縁されていない外側コイルは、複数の機能を実行する。第1の機能は、生理学的信号感知または記録電極を含み、外側コイルは、生理学的信号(例えば、心臓組織からの心電図(ECG))を取得すること等によって、組織と信号を交換する。心臓組織の場合、生理学的信号(例えば、ECG信号)は、心臓壁の収縮を引き起こす心臓の組織内の電流によって生成され、身体を通して異なる電位を生成する。外側コイルは、これらの生理学的信号(例えば、ECG信号)をプロセッサまたはコンピュータに出力し、プロセッサまたはコンピュータは、例えば、CARTO(登録商標)処置の一部として、心臓の解剖学的表現にわたって生理学的信号(例えば、ECG信号)の心臓マップを作成する際にこれらの信号を使用するか、またはその他の分析を実行する。
【0013】
第2の機能は、導電率センサとしての動作を含み、導電率センサは、生成された電界が組織/血液を通過するときにインピーダンス、例えば、電気インピーダンスまたは環境インピーダンスによって影響を受け、電界が通過する様々な組織および/または流体に基づいてインピーダンスの変化をもたらす。検出(感知)された電束の導電率値は、複素電圧(および/または)電流として外側コイルによってプロセッサまたはコンピュータに出力される。出力電圧は、組織および/または流体内のインピーダンスに対応し、更に、組織への近接度に関する指示を提供するために使用でき、プロセッサおよび/またはコンピュータによって分析されるように、カテーテルが動作している身体場所内の組織タイプ、流体タイプ、例えば、血液または他の体液などの組織の種々の側面を示す。更に、外側の絶縁されていないコイルは、前述の生成された基準磁界で動作するので、内側コイルの磁気位置センサ動作と同様に、磁気位置センサとしても機能することができる。
【0014】
内側および外側コイルは、例えば、センサユニットを伴うカテーテルに近接する(例えば、カテーテルが動作している被験者の下またはその近傍にある)磁場発生器からの発生磁場と共に動作するため、内側コイルおよび外側コイルは、典型的には、電流を駆動せず、そうすることは、内側コイルおよび外側コイルが検出するために使用される発生磁場と干渉するであろう。外側非絶縁コイルによって実行される複数の機能は、同時に実行されてもよく、場合によっては同時に実行されてもよい。
【0015】
更に、外側コイルは複数の機能を実行するので、機能の各々のために以前に使用された個々のセンサに取って代わり、したがって、カテーテルおよびそれに関連するシステムの複雑さを低減する。
【0016】
本開示は更に、電気解剖学的マップを構築するためにプロセッサおよび/またはコンピュータによって使用される、複数の出力であり、上述の内側コイルおよび外側コイルから受信された信号を処理する。これらの出力は、組織の電気的活動(ECG)を示す、外側コイルからの複数の第1の出力と、外側露出コイル内の個々の巻線間で漏れている電流に対応する、外側コイルにわたるそれぞれの誘導電圧差を示す、やはり外側コイルからの複数の第2の出力とを含む。この漏れ電流は、外側コイルを取り囲む組織/材料に関連する。
【0017】
更に、少なくとも内側コイルからの複数の第3の出力があり、これらの出力は、特定の組織への近接度またはセンサユニットのそれぞれの位置、したがってカテーテルの位置を示す。場合によっては、外側コイルはまた、カテーテルおよび/またはその上のセンサユニットの位置に関する前述の第3の出力を生成するように機能し得る。
【0018】
装置の説明
例示的なカテーテルベースの電気生理学マッピングおよびアブレーションシステム10を示す
図1を参照する。システム10は、医師34によって、患者の血管系を通して心臓12の腔または血管構造内へ経皮的に挿入される、複数のカテーテルを含む。典型的には、送達シース14、1つ以上のカテーテルは、心臓12の所望の位置の近くの左心房または右心房内に挿入されるカテーテル22によって示される。その後、複数のカテーテルを送達シースカテーテルに挿入して、所望の位置に到達させることができる。複数のカテーテルは、心内電位図(Intracardiac Electrogram、IEGM)信号の感知専用のカテーテル、アブレーション専用のカテーテル、および/または感知およびアブレーションの両方に専用のカテーテルを含み得る。
【0019】
焦点カテーテルなどの例示的なカテーテル22は、被験者23の心臓12の電気解剖学的マッピングを実行するために使用される。マッピング手順中、1つ以上のセンサユニットまたはセンサ24を備えるカテーテル22の遠位端22dは、心臓12に挿入される。
【0020】
IEGM処置のために、医師34は、心臓12の標的部位を感知するために、カテーテル22の遠位先端部26を心臓壁13と接触させる。アブレーションのために、医師34は、同様に、カテーテル22の遠位端26をアブレーションのための標的部位13に運ぶ。同じカテーテル22が、感知およびアブレーションのために使用されてもよく、および/または複数のカテーテルが、感知またはアブレーションのために特殊化されるカテーテルのうちのいくつかと共に、感知およびアブレーションのために使用されることができる。
【0021】
図示される焦点カテーテル22は、以下に詳細に説明される例示的センサユニットに開示されるような種々の特徴を有することができる、センサユニット24を含む。
図2および
図4は、渦巻き形状を有するインダクタを有する例示的なセンサユニットを示し、
図5A~
図5D、
図6、
図7、
図8A、および
図8Bは、渦巻き形状を有するインダクタを有する例示的なセンサユニットを示す。インダクタの形状とは関係なく、各センサユニット24は、生理学的電気信号(例えば、ECG)を検出するために、生理学的信号感知または記録電極として機能すると共に、(被験者23の下または被験者23の近傍に配置された磁界発生器32、すなわちコイルまたは磁気放射器によって発生された)発生磁界からの磁束の変化を検出し、これらの検出された変化を電圧、例えば電圧変化として出力するためのインダクタンスセンサとして機能してもよい。検出された磁場(磁束)変化は、電圧として、ワークステーション55内のプロセッサ(図示せず)に入力され、プロセッサは、例えば、受信された電圧変化に基づいて、例えば、組織インピーダンス(組織近接度インジケータ(TPI))を分析するようにプログラムされる。これらの受信された電圧は、カテーテル22および/または各センサユニット24に近接する組織および/または流体に関する情報を推定するために、並びに身体内、例えば心臓12内のカテーテル22および/またはカテーテル上のセンサユニット24の位置を検出するために使用される。
【0022】
焦点カテーテル22は、センサユニット24を含むように変更することができるカテーテルの一例である。感知および/またはアブレーションのための複数の電極を伴うエンドエフェクタを有する多電極カテーテルはまた、エンドエフェクタに隣接するカテーテルのシャフト上、またはエンドエフェクタ上にセンサユニット24を含むように修正されることができる。例えば、エンドエフェクタは、バスケット、放射線、平面、ラッソ、または1つ以上のスパインを含む他のそのようなエンドエフェクタ構造のスパインに結合されたセンサユニット24を含むことができる。
【0023】
統合センサユニット24は、ワークステーション55のプロセッサと通信する。プロセッサは、例えば、多機能センサユニット24によって捕捉された様々な信号を分析するようにプログラムされる。受信された信号および磁界データは、例えば、1つ以上のライン37a、37bを介して、多機能センサユニット24からプロセッサに送信される。
【0024】
典型的に、プロセッサは、汎用コンピュータを含み、この汎用コンピュータは、本明細書に記載される機能を実行するように、ソフトウェアでプログラムされている。ソフトウェアは、例えばネットワークを介して電子形式でコンピュータにダウンロードされてもよく、或いは、代替的または追加的に、磁気メモリ、光学メモリ、または電子メモリなどの非一時的な有形媒体に提供および/または格納されてもよい。
【0025】
例えば、患者インターフェースユニット(PIU)30内の信号発生器は、典型的には、交流電流を(例えば、ライン42を介して)発生器32に供給することによって、発生器32に磁場を発生させる。生成された磁界は、多機能センサユニット24の、以下に詳述される内側コイル60および外側コイル70(
図2)(内側コイル60および外側コイル70は、それぞれ内側および外側の導電性要素としても知られる)にわたって電圧差を誘導する。例えば、誘導電圧差(それぞれ、内側コイル60および外側コイル70によって出力される)は、PIU 30によって、次いで、ワークステーション55内のプロセッサによって(ライン37a、37bを介して)受信され、誘導電圧に基づいて、プロセッサは、少なくとも内側コイル60、場合によっては、外側コイル70の位置、並びに(カテーテル22の本体内の位置用の)外側コイル70からの組織インピーダンス(環境インピーダンスとしても知られる)測定値(組織近接度インジケータ(TPI))も確認する。
【0026】
例えば、プロセッサは、種々の組織および/または流体インピーダンスを表す電圧を、データベース、ルックアップテーブル(LUT)、他の記憶された値、または参照等における電圧と比較して、組織および/または流体タイプを判定するようにプログラムされてもよい。組織および/または流体タイプは、モニタ27上に表示されてもよい。
【0027】
プロセッサは、典型的に、(この例では、カテーテル22の動作する身体位置である)心臓12の電子解剖学的マップ20を、生理学的信号(例えば、心臓内組織の電気的活性を示すECG信号)、および、(ECG信号の発生源のそれぞれの位置を示す)螺旋状の導電性要素から受信された電圧に基づいて構築するようにもプログラムされる。生理学的信号(例えば、ECG信号)でオーバーレイされたそのような解剖学的マップ(「電気解剖学的マップ」)マップ20は、医師34による視認のためにモニタ27上に表示されてもよく、および/または後の分析のために記憶されてもよい。
【0028】
統合センサユニット24は、様々な距離、例えば1mm~4mm程度の間隔で配置され得る。例えば、センサユニット24間の距離は同じであり、カテーテル22上のセンサユニット24の位置は既知である。
【0029】
レコーダ11は、体表面ECG電極18で捕捉された電位
図21と、カテーテル22のセンサユニット24で捕捉された心内電位図(IEGM)と、を表示する。レコーダ11は、心拍リズムをペーシングするためのペーシング能力を含んでもよく、および/または独立型ペーサに電気的に接続されてもよい。
【0030】
システム10は、アブレーションするように構成されたカテーテル22の遠位先端部26または別の例示的なカテーテルの遠位先端部にある電極のうちの1つ以上にアブレーションエネルギーを伝達するように適合されたアブレーションエネルギー生成器50を含み得る。アブレーションエネルギー生成器50によって生成されるエネルギーは、不可逆エレクトロポレーション(IRE)をもたらすために使用され得るような単極性若しくは双極性高電圧直流パルスを含む、高周波(RF)エネルギー若しくはパルス場アブレーション(PFA)エネルギー、またはそれらの組み合わせを含み得るが、それらに限定されない。
【0031】
患者インターフェースユニット(PIU)30は、カテーテルと、電気生理学的機器と、電源と、システム10の動作を制御するワークステーション55との間の電気通信を確立するように構成されたインターフェースである。システム10の電気生理学的機器は、例えば、複数のカテーテル、位置パッド25、体表面ECG電極18、電極パッチ38、アブレーションエネルギー生成器50、およびレコーダ11を含み得る。任意選択で、PIU30は、カテーテルの場所のリアルタイム計算を実装し、ECG計算を実行するための処理能力を更に含む。
【0032】
ワークステーション55は、メモリと、適切なオペレーティングソフトウェアがロードされたメモリまたは記憶装置を有するプロセッサユニットと、ユーザインターフェース機能と、を含む。ワークステーション55は、任意選択的に、(1)心内膜解剖学的構造を三次元(3D)でモデルリングし、モデルまたは解剖学的マップ20をディスプレイデバイス27上に表示するためにレンダリングすることと、(2)記録された電位
図21からコンパイルされた活性化シーケンス(または他のデータ)を、レンダリングされた解剖学的マップ20上に重ね合わされた代表的な視覚的指標または画像でディスプレイデバイス27上に表示することと、(3)心腔内の複数のカテーテルのリアルタイム位置および向きを表示することと、(4)アブレーションエネルギーが印加された場所などの関心部位をディスプレイデバイス27上に表示することと、を含む、複数の機能を提供し得る。システム10の要素を具現化する1つの市販製品は、Biosense Webster,Inc.,31 Technology Drive,Irvine,CA 92618、から市販されている、CARTO(商標)3システムとして入手可能である。
【0033】
図2も参照すると、カテーテル22の一部が、
図1に示される多機能センサユニット24の例示的な特徴を示す第1の例示的なセンサユニット124と共に示されている。第1の例示的なセンサユニット124は、カテーテル22の内側の内側導電性要素、例えばワイヤ61のコイル60(内側コイルとしても知られる)と、カテーテル22の外側の外側導電性要素、例えばコイル70(外側コイルとしても知られる)とから形成され、外側コイル70のワイヤ71’の少なくとも一部が絶縁されておらず露出されている状態で、例えばコイル状の導電性ワイヤ71(または巻線若しくは螺旋巻線)から形成される。例えば、外側コイル70の非絶縁部分または露出部分は、外側コイル70の少なくとも2つの巻線を含む。したがって、例えば、完全に絶縁されている内側コイル60の電圧出力は、主に、内側コイル60のコアを通る磁界の磁束によって影響を受け、磁界の磁束は、主に、発生器32によって生成される磁界に基づく。外側コイル70の電圧出力は、外側コイル70のコアを通る磁束によって影響を受け、磁束は、主に、位置パッド25の磁気放射器32によって提供される磁界に基づき、外側コイル70および内側コイル60が同軸である場合、内側コイル60のコアを通る磁界の磁束と同様である。外側コイル70の電圧出力は、絶縁されていない巻線71’と外部環境(例えば、血液または組織)との直接的な物理的接触による外側コイル70の絶縁されていない巻線71’間の二次インピーダンスの変化によっても影響を受ける。
【0034】
内側コイル60は絶縁されているので、内側コイル60のインピーダンスは主に誘導性であり、内側コイル60の形状に基づいて分かる。磁束は、発生器コイル32によって生成される外部から印加された磁界に基づいて既知の方法で空間内で変化する。内側コイル60のコアを通る磁束により、内側コイル60はワークステーション55に電気信号を供給する。電気信号は、磁束と内側コイル60のインピーダンスとの関数である。内側コイルのインピーダンスは既知であり、磁束は位置の既知の関数であるので、内側コイル60の位置は、内側コイル60からの電気信号に基づいて決定することができる。電気信号は、非限定的な例として磁気ベースの位置感知技術を使用して、第1の例示的なセンサユニット124の位置を決定するために使用することができ、このような技術は、米国特許第5,391,199号、米国特許第5,443,489号、米国特許第5,558,091号、米国特許第6,172,499号、米国特許第6,239,724号、米国特許第6,332,089号、米国特許第6,484,118号、米国特許第6,618,612号、米国特許第6,690,963号、米国特許第6,788,967号、同第6,892,091号に記載されており、参照により本明細書に組み込まれる。内側コイル60および外側コイル70は同軸であるので、内側コイル60を通る磁束は、内側コイル60からの電気信号に関連する外側コイル70を通る磁束とほぼ同じである。外側コイル70のインピーダンスは、外側コイル70の出力信号(例えば、電圧)および外側コイル70のコアを通る磁束に基づいて(すなわち、内側コイル60からの電気信号に基づいて)ワークステーション55によって計算することができる。外側コイルのインピーダンスは、コイル巻線の形状に基づくインダクタンスと、絶縁されていない巻線71’の露出部分の近傍の環境を通る導電率に基づく二次インピーダンスとを含む。したがって、外側コイルの複素インピーダンスは、コイルの形状および(既知である)露出部分の位置、並びに露出部分間の環境のインピーダンスに基づく。したがって、内側コイル60および外側コイル70の出力電圧に基づいて、外側コイル70の絶縁されていない巻線71’の露出部分付近の環境の導電率の変化を検出することができる。
【0035】
内側コイル60巻線61は、例えば、カテーテル22自体、またはカテーテル22の内側の他の絶縁材料60aによって、電気的に絶縁される。内側コイル60は、例えば、ライン37a、37bを含む専用電圧チャネルを含み、それにより、生成された磁場(例えば、磁場が内側コイル60上に電位を生成する)によって引き起こされた誘導電圧差が、ワークステーション55内のプロセッサ(図示せず)に中継される。プロセッサは、受信した電圧(電位)を分析し、体内、例えば心臓12内の内側コイル60の位置を確認するか、または他の方法で決定する。
【0036】
外側コイル70は、例えば、カテーテル22の外面に沿って配置された巻線71を含む。巻線71は、少なくとも2つの絶縁されていないワイヤ部分71’を含む。外側コイル70および内側コイル60は、例えば、互いに対して同軸および/または同心であるように配置される。例えば、外側コイル70は、内側コイル60のスパン内に延在するように、内側コイル60の少なくとも一部分の上に(かつそれに沿って)延在し、および/または既知のバイアスでシフトされる(例えば、内側コイル60は、典型的には、外側コイル70を越えて長手方向に延在する)。外側コイル70は、外側コイル巻線(ワイヤ71)の第1の螺旋角度で巻かれてもよく、内側コイル60は、第1の螺旋巻き角度とは異なる内側コイル巻線の第2の螺旋角度で巻かれてもよい(ワイヤ61)。2つの既知であるが異なる第1および第2の螺旋巻き角は、内側コイル60および外側コイル70が二軸磁気位置センサとして機能することを可能にする。
【0037】
外側コイル70は、(電位を測定するための)専用電圧チャネルを含み、専用電圧チャネルは、演算増幅器(オペアンプ)75によって受信された磁気を表す信号、およびオペアンプ76によって受信されたECG信号を表す信号のためのサブライン72、74を含み、サブライン72、74は、ライン37a、37bを介してワークステーション55内のプロセッサと通信する。外側コイル70は、それを形成するワイヤ71によって、絶縁されていないかまたは露出されている部分71’を含み、身体組織および/または血液などの流体と接触する。
【0038】
外側コイル70は、例えば、単一のコイル、または絶縁ワイヤを用いて外側コイル70を形成するように接合された複数のコイルから形成される。ワイヤ(複数可)71は、カテーテル22の周りに一連の螺旋状の巻線またはターンで巻かれる。絶縁部の一部は、ワイヤの一部を露出させるために、例えばレーザによって機械的にワイヤから除去される。ワイヤ部分の露出は、絶縁されていない巻線71’間の二次インピーダンスが、外側コイル70のインピーダンスの誘導性部分が有意であることを可能にするように、ある環境条件において十分に高くなり得るように、巻線間の接触をもたらさない様式で行われる。したがって、部分的に露出された外側コイル70は、内側コイル60と同様に、位置センサとして機能することができる。
【0039】
外側コイル70は、例えば、その少なくとも2つ、典型的には2つ以上の絶縁されていないまたは露出された巻線を介して、複数の機能を実行する。外側コイル70の1つの機能は、電極としての機能であり、外側コイル70は、組織から生理学的電気信号(例えば、ECG)を取得することなどによって、組織と信号を交換するか、または絶縁されていない巻線71’の露出部分が組織と接触しているときに、ペーシングなどのために外側コイル70から組織に電気信号を駆動する。別の機能は、磁界センサユニット(センサ)124または磁束センサを含む環境導電率センサであり、これは、外側コイル70によって受信される(患者の下または周りの基準位置に配置された磁界発生器32によって)生成された磁界に基づく出力電圧と、外側コイルの形状に基づく外側コイル70の誘導性インピーダンスと、外側コイル70の絶縁されていない巻線71’の露出部分間の組織および/または流体の導電率に基づく外側コイル70の二次インピーダンスとを生成する。組織導電率/インピーダンス値、したがって出力電圧は、組織および/または流体のタイプごとに異なり、例えば、絶縁されていない巻線71’の露出部分間の組織タイプ、組織境界、特定の組織および/または流体の位置などのうちの1つ以上を決定するためにワークステーション55のプロセッサによって使用される。
【0040】
外側コイル70は、外側コイル70および外側コイル70のワイヤ71から延在するライン72、74を通して位置および組織インピーダンス(例えば、パラメータ)を分析するために異なる周波数帯域が使用され得るようなものである。例えば、ECGは、DCから1kHzを占有してもよく、磁気関連電圧、および場合によっては磁気位置感知も、例えば、約2kHzから8kHzを使用し得る。ECG(電気活動感知)および位置感知のための周波数スペクトルが異なるので、2つの信号は重複せず、したがって、同じワイヤによって同時に送信され得る。
【0041】
外側コイル70はまた、外側コイル70の二次インピーダンスが十分に高いおよび/または既知であるとき、内側コイル60のものと同一または類似の磁気位置センサとして機能してもよい。検出された外側コイル70に基づいて、身体、例えば心臓12内の外側コイル70および/または第1の例示的なセンサユニット124の位置が決定される。外側コイル70が(以下に詳述するように)位置センサとして使用される場合、内側コイル60は基準として機能する。
【0042】
或いは、外部漏洩コイル(例えば、外側コイル70)と第1の例示的なセンサユニット124などの外部センサとの間に既知の物理的関係がある場合には、内側コイル60が存在する必要はない。この文脈における「漏洩」とは、コイルが、かなりの抵抗性および/または容量性インピーダンスに加えて理想的な誘導性インピーダンスを有する非理想的インダクタとしてモデル化され得るインピーダンスを有することである。
【0043】
環境のインピーダンスの変化は、外側コイル70の2つ以上の巻線(ワイヤ部分71’)の2つ以上の露出部分の間で検出される。代替として、外側コイル70は、1つ以上の露出部分を伴う1つの巻線のみを含んでもよく、カテーテル22は、インピーダンスの変化が露出した巻線と二次露出電極またはセンサとの間で測定されることができるように構成されている、外側コイル70の近傍に配置される二次露出電極またはセンサ(例えば、ACL位置センサ)を更に含むことができる。この例では、1つの露出した巻線は、組織と接触しているときに生理学的信号感知(例えば、ECG)のために使用可能であり、環境インピーダンスの変化は、露出した巻線と二次露出電極またはセンサとの間のインピーダンスの変化に基づいて検出することができる。この構成の欠点は、外側コイル70および/または二次電極/センサを通して電流を駆動する必要がある場合があることである。開示された外側コイル70は、2つ以上の絶縁されていない露出した巻線を有するように設計されているので、外側コイル70は、二次電極またはセンサがなくても(例えば、ACL位置感知システムがなくても)動作することができ、そのような電流は、発生器30からの磁場または生理学的信号(例えば、ECG信号)と干渉する可能性があり、電流を生成および測定する特定のハードウェアを必要とする外側コイル70(または内側コイル60)を通して駆動される必要がない。更に、外側コイル70の少なくとも2つの絶縁されていない露出された巻線を有することによって、位置計算は、ACLシステムの場合のようにインピーダンスに基づかない。
【0044】
外側コイル70の巻線、および少なくとも絶縁されていないまたは露出された巻線(ワイヤ部分71)は、例えば、短絡の潜在的な原因である電気的干渉を含む干渉を回避するために、少なくとも最小距離で互いに離間される。この最小距離は、例えば、少なくとも約0.5mmである。巻線間の距離は感度に影響を与える。例えば、個々の巻線間のより大きな距離または間隔は、巻線間のより短い分離距離を有する外側コイル70と比較して、外側コイル70をより感度の低いものにする。コイルの巻線(ターン)の数も感度に影響を及ぼし得る。更に、外側コイル70の材料は、巻線間の距離と同様に感度に影響を与える。
【0045】
外側コイル70の巻線間の漏れ電流は、外側コイル70上の勾配電圧によって影響を受ける。異なる巻線材料は、異なる電圧および電流漏れを生成する。外側コイル70の電圧勾配が高いほど、環境/組織関連インピーダンスに対する感度が大きくなる。ワイヤコイル70の材料としては、例えば、医療グレードのステンレス鋼および白金ワイヤが挙げられる。ワイヤは更に、露出されたワイヤの特定の領域においてより良好な/調整された感度を達成するために、1つ以上の巻線の間の中間位置でコーティングされ得る。
【0046】
図3は、外側コイル70から、場合によっては内側コイル60からも受信された信号に基づいて、プロセッサによって実行される例示的なプロセスのフロー図である。このプロセスは、例えば、自動的にリアルタイムで実行され、手動のサブプロセスを含んでもよい。このプロセスは、所望される限り実行され得る。
【0047】
プロセスは、開始ブロック100で始まり、ここで、例えば、カテーテル22は、被験者23内、例えば心臓12内で展開される。更に、磁場は、ワークステーション55を介して制御されるように、発生器32によって生成されている。
【0048】
ブロック102において、カテーテル22の第1の例示的なセンサユニット124を通る磁束の変化と、外側コイル70の絶縁されていない露出した巻線(ワイヤ部分71’)によって検出される環境の導電率とに対応する電圧信号が、ワークステーション55のプロセッサに送信(出力)される。ブロック110において、ワークステーション55のプロセッサは、例えば、外側コイル70から受信した電圧変化に基づいて、これらの信号を分析する。これらの受信された電圧変化は、カテーテル22および/または各センサユニット124に近接する組織および/または流体に関する情報を推定するために、並びに身体内、例えば心臓12内のカテーテル22および/またはカテーテル上のセンサユニット124の位置を検出するために使用される。ブロック122では、プロセッサは、組織インピーダンス値または組織若しくは流体タイプ、組織および/または流体境界などの組織および/または流体特性を出力する。
【0049】
ブロック104において、生理学的信号(例えば、ECG信号)が、露出した巻線71’の部分を介して外側コイル70によって受信され、プロセッサに送信(出力)される。プロセッサは、ブロック110において、これらの信号を分析し、ブロック125において、心臓12の電気解剖学的マップを生成するか、または他の方法で作成するか、または作成させる。
【0050】
ブロック106において、内側コイル60は、生成された磁場を検出し、対応する信号をプロセッサに送信する。プロセッサは、ブロック110において、これらの受信信号を分析し、ブロック126において、カテーテル22および/またはその上の多機能センサユニット24の位置を決定する。
【0051】
ブロック106’における任意選択のプロセスにおいて、外側コイル70は、生成された磁場を検出し、対応する信号をプロセッサに送信する。プロセッサは、ブロック110において、これらの受信信号を分析し、ブロック126’において、カテーテル22および/またはその上の多機能センサユニット24の位置を決定する。
【0052】
図4は、カテーテル222の遠位端222d付近のカテーテル222の一部上に配置された第2の例示的なセンサユニット224の図であり、
図1の多機能センサユニット24の特徴を示す。第2の例示的なセンサユニット224は、少なくとも2つの露出した絶縁されていない部分を有する単一のコイル270を含み、完全に絶縁されていなくてもよい。コイル270は、距離d1だけ離間した巻線271を含むことができる。距離d1は、隣接する絶縁されていない巻線271が互いに接触しないように、十分に大きくすることができる。
【0053】
コイル270は、サブライン272、274に電気的に結合されて、コイル270からECGオペアンプ276および磁気オペアンプ275に電気信号を送る。ECGオペアンプ276は、ワークステーション55(
図1)内のプロセッサと通信して、組織13から組織13に押し付けられたコイル270の露出部分に生理学的信号(例えば、ECG信号)を送信するように構成されている。磁気オペアンプ275は、ワークステーション55(
図1)内のプロセッサに、磁界発生器32によって生成された磁界に起因して、コイル270にわたって誘導された電圧を示す電気信号を送信するように構成されている。コイル270はまた、
図2に示す第1の例示的なセンサ124の内側コイル60のものと同一または類似の磁気位置センサとして機能してもよい。例えば、コイルインピーダンスがコイルインピーダンスの誘導性部分にほぼ等しくなるように、絶縁されていないワイヤ部分間の二次インピーダンスが十分に高い場合、磁界発生器32によって生成された磁界によって誘導された電気信号は、生成された磁界内のコイル270の位置、したがって患者23内の位置に関する情報を提供することができる。別の代替として、ワークステーション55は、インピーダンスの抵抗性(および/または容量)部分が有意である場合であっても、コイル270のインピーダンスの誘導性部分をコイル270のインピーダンスの抵抗性(および/または容量性)部分から区別することが可能であり得る。例えば、発生器32は、複数の周波数で磁束を提供してもよく、コイル270から出力される電気信号の周波数応答は、コイル270のインピーダンスおよび位置の両方を決定するために使用されてもよい。
【0054】
図5Aおよび
図5Bは、
図1の多機能センサユニット24の特徴を示す、第3の例示的なセンサユニット324の3つの多機能センサ351、352、353の図である。3つの多機能センサ351、352、353の各々は、長手方向軸A-Aに沿って延在し、集合的に管状形状を形成する。
図5Aは、3つの多機能センサ351、352、353の小型構成の図であり、
図5Bは、3つの多機能センサ351、352、353の拡大構成(または
図5Aの小型構成の分解図)である。
【0055】
図5Cは、
図5Aに示される第3の例示的なセンサユニット324の断面図である。
【0056】
図5Dは、
図5Bに示される多機能センサユニット351の断面図である。他の2つの多機能センサ352、353も同様に構成されていることが好ましい。
【0057】
図5A~
図5Dをまとめて参照すると、3つの多機能センサ351、352、353の各々は、それぞれの中心軸A1、A2、A3の周りに渦巻きを描く一対のコイル361、371、362、372、363、373(外側コイルおよび内側コイル)を含む。3つの多機能センサ351、352、353は各々、コイルが取り付けられた少なくとも1つの基板311、312、313を含む。
【0058】
外側コイル371、372、373は各々、その導電性表面が外部環境に露出されるように構成され、内側コイル361、362、363は各々、その導電性表面が外部環境から絶縁または封止されるように構成されている。各組織近接度位置センサ351、352、353は、身体内の組織近接度位置センサの位置を決定し、心電図信号を決定し、組織に対する組織近接度位置センサの近接度を決定するための信号を出力するように構成することができる。
【0059】
内側コイル361、362、363は、絶縁されているので、1つ以上の基準磁界を測定して、患者の身体内の組織近接度位置センサの位置を示す信号を提供するように構成することができる。
図1を参照すると、例えば、PIU30内の信号発生器は、発生器32に、それぞれの内側コイル361、362、363にわたってそれぞれの電圧を誘導する磁界を発生させることができ、それにより、誘導された電圧は、患者の身体内の組織近接度位置センサ351、352、353の位置を決定するための出力信号として機能する。出力信号は、それぞれの内側コイル361、362、363を通る磁束の変化に基づく。このようにして、内側コイル361、362、363は各々、
図2に示す内側コイル60と同様に機能することができる。しかしながら、
図2に示される内側コイル60のインダクタの軸は、カテーテル22の長手方向軸A-Aと同軸であり、一方、
図5Aおよび
図5Bの多機能センサ351、352、353の各々の中心軸A1、A2、A3は、長手方向軸A-Aに直交し、互いに対してある角度をなすことに留意されたい。したがって、3つの多機能センサ351、352、353の構成は、複数の軸A1、A2、A3に沿った位置感知を可能にする。
図1に示すように、カテーテル22は、長手方向軸A-Aに直交する中心軸を各々有するコイルを有する多機能センサと、長手方向軸A-Aに沿った中心軸を有するコイルを有する多機能センサユニットとを含むことができる。多機能センサの結果として生じる組み合わせは、2軸センサ(多機能センサのうちの2つを伴う)として、または3軸センサ(多機能センサのうちの3つを伴う)として機能することができる。
【0060】
露出した導電性表面を有する外側コイル371、372、373は、組織に接触し、組織を通して生理学的電気信号(例えば、ECG)を出力するように構成することができる。誘導性渦巻きである外側コイル371、372、373は、それぞれの外側コイルを通る磁束の変化に基づいて信号を出力するように構成することができる。外側コイル371、372、373の各々のインピーダンスは、露出した導電性表面による外部環境への導電率の変化に応答して変化することができる。外側コイル371、372、373は、互いに角度θ12、θ23、θ32である中心軸A1、A2、A3を有するので、3つの外側コイル371、372、373間のインピーダンスの変化を比較することにより、カテーテル22の管状本体の周囲に対する外部環境の特徴の方向の指示を提供することができる。
【0061】
各角度θ12、θ23、θ31は約60°であることが好ましい。第3の例示的なセンサユニット324(
図5A)は、図示されているように、カテーテル22の周囲に配置された3つの多機能センサを含む。しかしながら、代替的な数の多機能センサ(例えば、2つ、4つ、5つ、または6つ)が利用されてもよい。多機能センサ間の角度は、多機能センサがカテーテル22の周囲に等間隔に配置されるようにすることができる。例えば、カテーテル22の周囲に正確に2つの多機能センサを有する修正された第3の例示的なセンサユニット324の場合、多機能センサ間の角度は、約180°であり得る。更に別の修正形態では、第3の例示的なセンサユニット324は、各角度θ12、θ23、θ31が約60°~約180°となるように、等しいサイズおよび/または等しい間隔ではない3つの多機能センサを含むことができる。
【0062】
外側コイル371、372、373の長さ全体を外部環境に露出させることができる。代替的に、外側コイルの少なくとも2つの部分が外部環境に露出されるように、外側コイル371、372、373の部分を外部環境から隔離することができる。
【0063】
内側コイル361、362、363は、外側コイル371、372、373に対する基準として機能することができ、その結果、誘導電圧差(内側コイル361、362、363および外側コイル371、372、373によってそれぞれ出力される)がPIU 30(
図1)によって受信され、次いで、ワークステーション55内のプロセッサが(ライン37a、37bを介して)、少なくとも内側コイル361、362、363の位置、場合によっては外側コイル371、372、373の位置、並びに外側コイル371、372、373からの組織インピーダンス(環境インピーダンスとしても知られる)(カテーテル22の本体内の位置についての)測定値(組織近接度インジケータ(TPI))を確認する。
【0064】
例えば、プロセッサは、種々の組織および/または流体インピーダンスを表す電圧を、データベース、ルックアップテーブル(LUT)、他の記憶された値、または参照等における電圧と比較して、組織および/または流体タイプを判定するようにプログラムされてもよい。組織および/または流体タイプは、モニタ27上に表示されてもよい(
図1)。
【0065】
基板311、312、313は、各組織近接度位置センサ351、352、353がフレックス回路を含むように、可撓性かつ電気絶縁性であるように構築されることが好ましい。基板311、312、313は、可撓性ポリマーフィルムを含むことができる。各組織近接度位置センサ351、352、353は、図示されるようにそれ自体の別個のフレックス回路を含むことができ、または1つ以上の多機能センサ351、352、353が単一のフレックス回路上に含まれることができる。例えば、コイル361、362、363、371、372、373の全ては、単一の基板を有する単一のフレックス回路上にあり得る。或いは、外側コイル371、372、373の全ては、内側コイル361、362、363が支持される第2の基板を有する第2のフレックス回路から分離された第1の基板を有する単一のフレックス回路上にあってもよい。代替的に、第1の内側コイル361および外側コイル371対は、第2の内側コイル362および外側コイル372対および第3の内側コイル362および外側コイル373対が支持される1つ以上の基板を有する1つ以上のフレックス回路とは異なる第1のフレックス回路の単一の基板上に支持され得る。別の例として、各コイル361、362、363、371、372、373は、それ自体の別個の基板によって支持することができる。したがって、第3の例示的なセンサユニット324は、当業者によって理解されるように、本明細書に明示的に列挙されていないものを含むフレックス回路の複数の構成を含むことができる。フレックス回路は、様々な構成で構造部材28(
図7A~
図7C)に取り付けることができる。所与の基板または複数の基板は、第1の表面および第1の表面の反対側の第2の表面を有することができる。外側コイル371、372、373は、第1の表面上に配置することができ、内側コイル361、362、363は、第2の表面上に配置することができる。
【0066】
フレックス回路は、フォトリソグラフィ技術、積層、接着、または当業者によって理解されるような他の好適な技法を用いて製造されることができる。フレックス回路は、フレックス回路が、フレックス回路のための構造的支持を提供する、より剛性の本体に適合することができるように、可撓性である平面構造として製作されることができる。本明細書に提示される例では、多機能センサユニットのフレックス回路は、フレックス回路の平面形状が湾曲して、長手方向軸A-Aからの半径にある弧状(弓形)輪郭を有するように、管状カテーテル本体の表面に結合され得る。各コイル361、362、363、371、372、373は、それぞれの基板311、312、313に平行な弧状の輪郭を有する平面タイプの渦巻きを有する。本開示の例示は、管状支持構造に適用されるフレックス回路に特有であるが、フレックス回路は、バスケット形状または放射線形状エンドエフェクタのスパイン、バルーンエンドエフェクタの表面等の他の形状を有する構造部材28(
図7Bおよび7C)に適用されることができる。
【0067】
1つ以上のコイルおよび基板を含むことに加えて、各フレックス回路は、当業者によって理解されるように、電気トレースおよび他の電気構成要素等の追加の特徴を更に含むことができる。
【0068】
コイルの一部または全部は、
図5Aおよび
図5Bに示されるような矩形の渦巻き型コイル、または円形、六角形、若しくは他の多角形形状などの他の適切な渦巻き形状とすることができる。所与の対における外側コイル371、372、373および内側コイル361、362、363は、所与の対におけるコイルからの出力信号の比較を簡略化するために、同様の形状および同軸中心軸を有することが好ましい。しかしながら、対のコイル間の相対位置が既知である場合、対のコイルは、オフセットされてもよく、および/または異なる形状を有してもよい。例えば、
図5Dでは、外側コイル371は、内側コイル361の第2の中心軸A1と同軸である第1の中心軸A0を有する。しかしながら、第2の中心軸A1に対する第1の中心軸A0の相対位置がワークステーション55によって数学的に補償され得る場合、第1の中心軸A0は第2の中心軸A1と同軸である必要はない。内側コイル361、362、363は、外側コイル371、372、373から電気的に絶縁されているので、内側コイル361、362、363は、外側コイル371、372、373の出力信号と比較することができる基準出力信号を提供することができる。
【0069】
コイル361、362、363、371、372、373のうちのいずれか1つは、温度応答が異なる少なくとも2つのセグメントを備える感温性ワイヤを含むことができる。
【0070】
図6は、
図1の統合多機能センサユニット24の特徴を示す第4の例示的なセンサユニット424の断面図である。第4の例示的なセンサユニット424は、外側コイル471と電気的に直列の内側コイル461を含む。内側コイル461は、外側コイル471から基板411の反対側にあり、そうでなければ、内側コイル461を外側コイル471と直列に電気的に接続するビア477を除いて、外側コイル471から電気的に絶縁されている。外側コイル471は、外部環境に露出された導電性表面を含み、内側コイル461は、外部環境から絶縁または封止された導電性表面を有する。外側コイル471は、外部環境の導電率の変化に伴って変化するインピーダンスを有する。各コイル461、471はそれぞれ、戻りラインによってカテーテルハンドルに、したがってワークステーション55(
図1)に接続することができる。コイル461、471は、直列に接続されているので、各コイル461、471からの出力信号の個々の和である出力信号を提供する。
【0071】
外側コイル471の露出した導電性表面のために、第4の例示的なセンサユニット424は、心電図信号を決定し、組織への近接度を決定するように構成することができる。第4の例示的なセンサユニット424は、身体内のセンサの位置を決定するための信号を出力するように更に構成されてもよい。例えば、コイルインピーダンスが外側コイル471のコイルインピーダンスの誘導性部分にほぼ等しくなるように、外側コイル471の露出した導電部分間の二次インピーダンスが十分に高い場合、磁界発生器32によって生成された磁界によって誘導された電気信号は、生成された磁界内の第4の例示的なセンサユニット424の位置、したがって患者23内の位置に関する情報を提供することができる。
【0072】
図7Aは、渦巻き形状を有するインダクタを備えた
図1の多機能センサユニット24を有するカテーテル22の図である。多機能センサユニット24は、
図5A~
図5Dおよび
図6に関連して説明したような様々な構成を有することができ、
図7Bおよび
図7Cに示すような断面を有することもできる。
【0073】
図7Bは、
図1の多機能センサユニット24の特徴を示す第5の例示的なセンサユニット524の
図7Aに示されるような断面の図である。第1の基板511aは、長手方向軸A-Aに沿って延在する。第1のコイル571は、長手方向軸A-Aに概ね直交する第1の中心軸A0の周りで第1の基板上に配置される。第1のコイル571は、その導電性表面が外部環境に露出される(例えば、全長が露出されるか、または少なくとも2つの部分が露出される)ように構成され得る。第2の基板511bは、長手方向軸A-Aに沿って延在する。第2のコイル561は、長手方向軸A-Aに概ね直交する第2の中心軸A1の周りで第2の基板511b上に配置される。第2のコイル561は、その導電性表面が外部環境から絶縁または封止されるように構成することができる。第5の例示的なセンサユニット524は、第1の基板511aと第2の基板511bとの間に構造部材28を更に含む。図示の例では、構造部材28は、長手方向軸A-Aに沿ったカテーテルの管状本体である。しかしながら、カテーテルエンドエフェクタのストラット、スパイン、またはバルーンなどの他の構造部材が、構造部材28として機能することができる。構造部材28は、第5の例示的なセンサユニット524のフレックス回路に機械的安定性を提供する。いくつかの例では、基板511a、511bは、基板が構造部材28に適合することができ、構造部材28がない場合にコイル561、571を支持するのに十分な剛性を欠くように、十分に可撓性である。
【0074】
図7Cは、カテーテル本体28の外面に取り付けられた
図5A~
図5Dの第3の例示的なセンサユニット324と同様の多機能センサユニット324の
図7Aに示されるような断面図である。第3の例示的なセンサユニット324は、構造部材28の外面に結合される。図示の例では、構造部材28は、長手方向軸A-Aに沿ったカテーテルの管状本体である。しかしながら、カテーテルエンドエフェクタのストラット、スパイン、またはバルーンなどの他の構造部材が、構造部材28として機能することができる。構造部材28は、第3の例示的なセンサユニット324のフレックス回路に機械的安定性を提供する。いくつかの例では、基板311は、基板が構造部材28に適合することができ、構造部材28がない場合にコイル361、371を支持するのに十分な剛性を欠くように、十分に可撓性である。
【0075】
図8Aおよび
図8Bは、
図1の多機能センサユニット24のインピーダンスモデルの図である。
図8Aは、絶縁または封止された部分378および露出部分377を有する渦巻き型コイル370の平面図である。コイル370は渦巻き型インダクタであるので、コイルは、コイル370の形状によって決定される誘導性インピーダンス成分L1、L2を有する。コイル370はまた、隣接する露出コイル部分377の間に抵抗性インピーダンス成分R1、R2を有する。
図8Bは、露出コイル部分377が組織13に隣接しているときのインピーダンスのモデルを示す。コイル370の軸A0を通る変動する磁界B(t)は、巻線を通る電流I(t)と、多機能センサユニット24のための出力信号として測定され得るコイル370にわたる電圧V(t)とを誘導する。変動する磁界B(t)および誘導性インピーダンスL1、L2が既知である場合、コイルの抵抗性インピーダンスは、多機能センサユニット24の出力信号に基づいて計算することができる。抵抗性インピーダンスは、脈管構造または心臓内にあるとき、電流がコイル巻線の隣接する露出部分377の間で取ることができる経路に依存する。
図8Bは、2つの電流経路、すなわち、血液RB1を通り、組織RTを通り、再び血液RB2を通る第1の経路と、血液RB3を直接通る第2の経路とを示す。コイル370が組織から離れているとき、第1の経路は、第2の経路よりも著しく高いインピーダンスを有し、2つの露出部分の間の抵抗性インピーダンスは、第2の経路によって支配される。コイル370が組織13の近くにあるとき、第1の経路のインピーダンスは減少し、第2の経路に匹敵するかまたはそれより小さくなる。変動する磁界B(t)が、組織抵抗RTが血液RB1、RB2のそれよりも著しく小さい周波数で印加される場合、コイル370の有効抵抗性インピーダンスは、コイルが組織13に接近するにつれて減少する。
図8Aおよび
図8Bに示されるモデルは、純粋に説明のための簡略化であることに留意されたい。組織および/または血液は、複素インピーダンスを有し得る。異なる組織タイプは異なるインピーダンスを有し、血液および組織のインピーダンスは周波数と共に変化する。
【0076】
図9は、カテーテルの組織近接度センサを構築するための方法600のフロー図である。結果として生じる組織近接度センサは、当業者によって理解されるように、第3の例示的な組織近接度センサユニット324、第4の組織近接度センサユニット424、第5の組織近接度センサユニット524、それらの変形形態、またはそれらの代替形態の組織近接度センサと同様に構成され得る。
【0077】
ブロック602において、組織近接度センサの1つ以上のフレックス回路は、1つ以上のフレックス回路の第1の表面上の第1のコイルが外部環境に露出されて組織に接触することができるように構成され、かつ1つ以上のフレックス回路の第2の表面上の第2のコイルが外部環境から電気的に絶縁されるように構成されているように、カテーテルの管状本体に固定され得る。
【0078】
ブロック604において、第1のコイルは、第1のコイルが露出される外部環境の導電率の変化に応答してインピーダンスが変化するように構成され得る。
【0079】
ブロック606において、第1のコイルは、組織を通して生理学的信号(例えば、ECG信号)を出力するように構成することができる。組織を通って移動する生理学的信号(例えば、ECG信号)は、生理学的信号(例えば、ECG信号)が第1のコイルの出力として提供されるように、第1のコイルによって検出され得る。
【0080】
ブロック608において、第2のコイルは、第2のコイルを通る磁束に少なくとも部分的に基づいて、患者の身体内の組織近接度センサの位置を示す出力信号を提供するように構成され得る。
【0081】
任意選択のブロック610において、第1のコイルは、第1のコイルを通る磁束に少なくとも部分的に基づいて、患者の身体内の組織近接度センサの位置を示す出力信号を提供するように構成され得る。
【0082】
図1の多機能センサユニットは、本開示による当業者によって理解されるように、第3、第4、および第5の例示的なセンサユニット324、424、524の互換性のある特徴を含むように修正することができる。同様に、
図9の方法600は、本開示による当業者によって理解されるように、第3、第4、および第5の例示的なセンサユニット324、424、524の互換性のある特徴を含むように修正することができる。
【0083】
以下の条項は、本開示の非限定的な実施形態を列挙する。
【0084】
条項1.組織近接度位置センサユニットであって、長手方向軸に沿って延在する第1の基板と、長手方向軸に概ね直交する第1の中心軸の周りで第1の基板上に配置された第1のコイルであって、第1のコイルは、その導電性表面が外部環境に露出されるように構成されている、第1のコイルと、長手方向軸に沿って延在する第2の基板と、長手方向軸に概ね直交する第2の中心軸の周りで第2の基板上に配置された第2のコイルであって、第2のコイルは、その導電性表面が外部環境から絶縁または封止されるように構成されている、第2のコイルと、を備える、組織近接度位置センサユニット。
【0085】
条項2.第1の基板と第2の基板との間に配置された構造部材を更に備える、条項1に記載の組織近接度位置センサユニット。
【0086】
条項3.第1の基板および第2の基板は、第1のコイル用の第1の表面と、第2のコイル用の第1の表面の反対側の第2の表面とを有する単一の基板を備える、条項1に記載の組織近接度位置センサユニット。
【0087】
条項4.第1のコイルおよび第2のコイルのうちの少なくとも1つは、矩形の渦巻き型平面コイルを備える、条項1から3のいずれか一項に記載の組織近接度位置センサユニット。
【0088】
条項5.第2のコイルは、患者の身体内の組織近接度位置センサユニットの位置を示す信号を提供するために、1つ以上の基準磁界を測定するように構成されている、条項1から4のいずれか一項に記載の組織近接度位置センサユニット。
【0089】
条項6.第2のコイルは、第2のコイルを通る磁束の変化に基づいて信号を出力するように構成されている、条項1から5のいずれか一項に記載の組織近接度位置センサユニット。
【0090】
条項7.第1のコイルは、組織に接触し、組織を通じて生理学的電気信号(例えば、ECG)を出力するように構成されている、条項1から6のいずれか一項に記載の組織近接度位置センサユニット。
【0091】
条項8.第1のコイルは、第1のコイルが露出される外部環境の導電率の変化に応答してインピーダンスが変化するように構成されている、条項1から7のいずれか一項に記載の組織近接度位置センサユニット。
【0092】
条項9.第1のコイルは、患者の身体内の第1のコイルの位置を示す信号を提供するために、1つ以上の基準磁界を測定するように構成されている、条項1から8のいずれか一項に記載の組織近接度位置センサユニット。
【0093】
条項10.第1のコイルは、1つ以上の基準磁界によって誘導された第1のコイルを通る磁束の変化に基づいて信号を出力するように構成されている、条項1から9のいずれか一項に記載の組織近接度位置センサユニット。
【0094】
条項11.第1の中心軸は、第2の中心軸と同軸である、条項1から10のいずれか一項に記載の組織近接度位置センサユニット。
【0095】
条項12.組織近接度位置センサユニットは、身体内の組織近接度位置センサユニットの位置を決定し、心電図信号を決定し、組織に対する組織近接度位置センサユニットの近接度を決定するための信号を出力するように構成することができる、条項1から11のいずれか一項に記載の組織近接度位置センサユニット。
【0096】
条項13.第1のコイルは、第2のコイルと電気的に直列である、条項1から12のいずれか一項に記載の組織近接度位置センサユニット。
【0097】
条項14.第1のコイルは、第2のコイルから電気的に絶縁されている、条項1から12のいずれか一項に記載の組織近接度位置センサユニット。
【0098】
条項15.第1のコイルの渦巻きの長さ全体が外部環境に露出されている、条項1から14のいずれか一項に記載の組織近接度位置センサユニット。
【0099】
条項16.第1のコイルの少なくとも2つの部分は外部環境に露出されている、条項1から14のいずれか一項に記載の組織近接度位置センサユニット。
【0100】
条項17.第1のコイルは、第1のコイルが露出される外部環境の導電率の変化に応答してインピーダンスが変化し、管状本体の周囲に対する外部環境の方向の指示を提供するように構成されている、条項1から16のいずれか一項に記載の組織近接度位置センサユニット。
【0101】
条項18.長手方向軸に沿って延在する第3の基板と、長手方向軸に概ね直交し、第1の中心軸に対してある角度である第3の中心軸の周りで第3の基板上に配置された第3のコイルであって、第3のコイルは、その導電性表面が外部環境に露出されるように構成されている、第3のコイルと、長手方向軸に沿って延在する第4の基板と、長手方向軸に概ね直交し、第2の中心軸に対してある角度である第4の中心軸の周りで第4の基板上に配置された第4のコイルであって、第4のコイルは、その導電性表面が外部環境から絶縁または封止されるように構成されている、第4のコイルと、を更に備える、条項1から17のいずれか一項に記載の組織近接度位置センサユニット。
【0102】
条項19.第3の中心軸は、第4の中心軸と同軸である、条項18に記載の組織近接度位置センサユニット。
【0103】
条項20.第1の中心軸は、第3の中心軸から約60°~約180°の角度にある、条項18または19に記載の組織近接度位置センサユニット。
【0104】
条項21.第2の中心軸は、第4の中心軸から約60°~約180°の角度にある、条項18から20のいずれか一項に記載の組織近接度位置センサユニット。
【0105】
条項22.長手方向軸に沿って延在する第5の基板と、長手方向軸に概ね直交し、第1の中心軸に対してある角度であり、第3の中心軸に対してある角度である第5の中心軸の周りに、第5の基板上に配置された第5のコイルであって、第5のコイルは、その導電性表面が外部環境に露出されるように構成されている、第5のコイルと、長手方向軸に沿って延在する第6の基板と、長手方向軸に概ね直交し、第2の中心軸に対してある角度であり、第4の中心軸に対してある角度である第6の中心軸の周りに、第6の基板上に配置された第6のコイルであって、第6のコイルは、その導電性表面が外部環境から絶縁または封止されるように構成されている、第6のコイルと、を更に備える、条項18から21のいずれか一項に記載の組織近接度位置センサユニット。
【0106】
条項23.第1の中心軸は、第3の中心軸に対して約60°の角度であり、第5の中心軸に対して約60°の角度であり、第2の中心軸は、第4の中心軸に対して約60°の角度であり、第6の中心軸に対して約60°の角度である、条項22に記載の組織近接度位置センサユニット。
【0107】
条項24.第1のコイル、第3のコイル、および第5のコイルは、3軸位置センサとして集合的に機能し、第2のコイル、第4のコイル、および第6のコイルは、集合的に、長手方向軸からの3つの異なる方向における環境導電率の変動を示す出力信号を提供する、条項22または23に記載の組織近接度位置センサユニット。
【0108】
条項25.第1のコイルおよび第2のコイルは、温度応答が異なる少なくとも2つのセグメントを備える感温性ワイヤを集合的に備える、条項1から23のいずれか一項に記載の組織近接度位置センサユニット。
【0109】
条項26.第1の基板および/または第2の基板は、可撓性ポリマーフィルムを備える、条項1から25のいずれか一項に記載の組織近接度位置センサユニット。
【0110】
条項27.第1の基板および第2の基板は各々、長手方向軸からの半径において、それぞれの弧状輪郭を形成する、条項1から25のいずれか一項に記載の組織近接度位置センサユニット。
【0111】
条項28.第1のコイルは、第1の基板に平行な弧状輪郭を含む平面タイプの渦巻きを備え、第2のコイルは、第2の基板に平行な弧状輪郭を含む平面タイプの渦巻きを備える、条項27に記載の組織近接度位置センサユニット。
【0112】
条項29.第1の基板、第2の基板、第1のコイル、および第2のコイルを備える1つ以上のフレックス回路を更に備える、条項1から28のいずれか一項に記載の組織近接度位置センサユニット。
【0113】
条項30.1つ以上のフレックス回路は、湾曲して弓形輪郭を形成するように構成されている、条項29に記載の組織近接度位置センサユニット。
【0114】
条項31.カテーテルであって、長手方向軸に沿って延在する管状部材と、管状部材の外面上に長手方向軸の周りに等角に配置された3つの多機能センサと、を備え、3つの多機能センサの各組織近接度位置センサのそれぞれの中心軸は、長手方向軸に直交して配置され、3つの組織近接度位置センサの各組織近接度位置センサは、それぞれの基板と、それぞれの第1のコイルと、それぞれの第2のコイルとを備え、それぞれの基板は、長手方向軸に沿って延在し、第1の外面と、第1の外面に対向する第2の内面とを備え、それぞれの第1のコイルは、長手方向軸に概ね直交するそれぞれの中心軸の周りでそれぞれの基板の第1の外面上に配置されて、それぞれの第1のコイルの導電性表面が外部環境に露出されるように構成され、それぞれの第2のコイルは、長手方向軸に概ね直交する第2の中心軸の周りでそれぞれの基板の第2の内面上に配置されて、それぞれの第2のコイルの導電性表面が外部環境から絶縁されるように構成されている、カテーテル。
【0115】
条項32.それぞれの第1のコイルおよびそれぞれの第2のコイルのうちの少なくとも1つは、矩形の渦巻き型平面コイルを備える、条項31に記載のカテーテル。
【0116】
条項33.それぞれの第2のコイルは、患者の身体内の3つの多機能センサのそれぞれの組織近接度位置センサの位置を示す信号を提供するために、1つ以上の基準磁界を測定するように構成されている、条項31または32に記載のカテーテル。
【0117】
条項34.それぞれの第2のコイルは、それぞれの第2のコイルを通る磁束の変化に基づいて信号を出力するように構成されている、条項31から33のいずれか一項に記載のカテーテル。
【0118】
条項35.それぞれの第1のコイルは、組織に接触し、組織を通じて生理学的電気信号(例えば、ECG)を出力するように構成されている、条項31から34のいずれか一項に記載のカテーテル。
【0119】
条項36.それぞれの第1のコイルは、それぞれの第1のコイルが露出される外部環境の導電率の変化に応答してインピーダンスが変化するように構成されている、条項31から35のいずれか一項に記載のカテーテル。
【0120】
条項37.それぞれの第1のコイルは、患者の身体内の3つの多機能センサのそれぞれの組織近接度位置センサの位置を示す信号を提供するために、1つ以上の基準磁界を測定するように構成されている、条項31から36のいずれか一項に記載のカテーテル。
【0121】
条項38.それぞれの第1のコイルは、それぞれの第1のコイルを通る磁束の変化に基づいて信号を出力するように構成されている、条項31から37のいずれか一項に記載のカテーテル。
【0122】
条項39.3つの多機能センサは、身体内の3つの多機能センサの位置を決定し、心電図信号を決定し、3つの多機能センサの組織への近接度を決定するための信号を出力するように構成されている、条項31から38のいずれか一項に記載のカテーテル。
【0123】
条項40.それぞれの第1のコイルは、それぞれの第2のコイルと電気的に直列である、条項31から39のいずれか一項に記載のカテーテル。
【0124】
条項41.それぞれの第1のコイルは、それぞれの第2のコイルから電気的に絶縁されている、条項31から39のいずれか一項に記載のカテーテル。
【0125】
条項42.それぞれの第1のコイルの渦巻きの長さ全体が外部環境に露出されている、条項31から41のいずれか一項に記載のカテーテル。
【0126】
条項43.それぞれの第1のコイルの少なくとも2つの部分は外部環境に露出されている、条項31から42のいずれか一項に記載のカテーテル。
【0127】
条項44.それぞれの第1のコイルは、それぞれの第1のコイルが露出される外部環境の導電率の変化に応答してインピーダンスが変化し、管状部材の周囲に対する外部環境の方向の指示を提供するように構成されている、条項31から43のいずれか一項に記載のカテーテル。
【0128】
条項45.3つの多機能センサのうちのそれぞれの組織位置センサのそれぞれの中心軸は、3つの組織近接度位置センサのうちの他の組織位置センサの各々のそれぞれの中心軸に対して約60°の角度である、条項31から44のいずれか一項に記載のカテーテル。
【0129】
条項46.3つの組織位置センサのそれぞれの第1のコイルは、3軸位置センサとして集合的に機能し、3つの多機能センサのそれぞれの第2のコイルは、長手方向軸からの3つの異なる方向における環境導電率の変動を示す出力信号を集合的に提供する、条項31から45のいずれか一項に記載のカテーテル。
【0130】
条項47.それぞれの第1のコイルおよびそれぞれの第2のコイルは、温度応答が異なる少なくとも2つのセグメントを備える感温性ワイヤを集合的に備える、条項31から46のいずれか一項に記載のカテーテル。
【0131】
条項48.カテーテルであって、長手方向軸に沿って延在する管状部材と、長手方向軸の周りに等角に配置された3つの多機能センサと、を備え、3つの多機能センサの各組織近接度位置センサのそれぞれの中心軸は、長手方向軸に直交して配置され、3つの組織近接度位置センサの各組織近接度位置センサは、環状部材の外面上に配置されたそれぞれの第1の基板と、それぞれの第1の基板上に配置されたそれぞれの第1のコイルと、管状部材の内面上に配置されたそれぞれの第2の基板と、それぞれの第2の基板上に配置されたそれぞれの第2のコイルと、を備え、それぞれの第1のコイルは、その導電性表面が外部環境に露出されるように構成され、それぞれの第2のコイルは、その導電性表面が外部環境から絶縁されるように構成されている、カテーテル。
【0132】
条項49.3つの多機能センサは、身体内の3つの多機能センサの位置を決定し、心電図信号を決定し、3つの多機能センサの組織への近接度を決定するための信号を出力するように構成されている、条項48に記載のカテーテル。
【0133】
条項50.カテーテルであって、長手方向軸に沿って延在する管状部材と、長手方向軸の周りに等角に配置された3つの多機能センサと、を備え、3つの多機能センサの各組織近接度位置センサのそれぞれの中心軸は、長手方向軸に直交して配置され、3つの組織近接度位置センサの各組織近接度位置センサは、それぞれの基板と、それぞれの基板の外面上に配置されたそれぞれの第1のコイルと、それぞれの基板の内面上に配置されたそれぞれの第2のコイルとを備え、それぞれの基板は、それぞれの第1のコイルが外部環境に露出された導電性表面を有するように構成され、それぞれの第2のコイルが外部環境から絶縁された導電性表面を有するように構成されているように、管状部材に固定される、カテーテル。
【0134】
条項51.3つの多機能センサは、身体内の3つの多機能センサの位置を決定し、心電図信号を決定し、3つの多機能センサの組織への近接度を決定するための信号を出力するように構成されている、条項50に記載のカテーテル。
【0135】
条項52.カテーテルの組織近接度センサを構築する方法であって、方法は、組織近接度センサの1つ以上のフレックス回路を、1つ以上のフレックス回路の第1の表面上の第1のコイルが外部環境に露出されて組織に接触することができるように構成され、かつ1つ以上のフレックス回路の第2の表面上の第2のコイルが外部環境から電気的に絶縁されるように構成されているように、カテーテルの管状本体に固定することと、第1のコイルを、第1のコイルが露出される外部環境の導電率の変化に応答してインピーダンスが変化するように構成することと、組織を通じて生理学的電気信号(例えば、ECG)を出力するように第1のコイルを構成することと、第2のコイルを通る磁束に少なくとも部分的に基づいて、患者の身体内の組織近接度センサの位置を示す出力信号を提供するように、第2のコイルを構成することと、を含む、方法。
【0136】
条項53.第1のコイルを通る磁束に少なくとも部分的に基づいて、身体内の組織近接度センサの位置を示す出力信号を提供するように第1のコイルを構成することを更に含む、条項52に記載の方法。
【0137】
条項54.組織近接度センサの1つ以上のフレックス回路をカテーテルの管状本体に固定することは、1つ以上のフレックス回路のうちの第1のフレックス回路を管状本体の外面に固定することであって、第1のフレックス回路が第1のコイルを備える、ことと、1つ以上のフレックス回路のうちの第2のフレックス回路を管状本体の内面に固定することであって、第2のフレックス回路が第2のコイルを備える、ことと、を更に含む、条項52または53に記載の方法。
【0138】
条項55.組織近接度センサの1つ以上のフレックス回路をカテーテルの管状本体に固定することは、1つ以上のフレックス回路の第2の表面を管状本体の外面に固定することを更に含む、条項52または53に記載の方法。
【0139】
条項56.周囲環境に部分的に露出された導電性表面を有する第1のコイルと、周囲環境から封止された導電性表面を有する第2のコイルとを備えるセンサユニットであって、第1のコイルは、生物学的組織によって生成または伝搬された生理学的電気信号、および組織近接度指示のための組織インピーダンスを感知し、第2のコイルは、位置検出のための1つ以上の基準磁界によって誘導される信号を生成する、センサユニット。
【0140】
〔実施の態様〕
(1) 多機能センサユニットであって、
長手方向軸に沿って延在する第1の基板と、
前記長手方向軸に概ね直交する第1の中心軸の周りで前記第1の基板上に配置された第1のコイルであって、前記第1のコイルは、その導電性表面が外部環境に露出されるように構成されている、第1のコイルと、
前記長手方向軸に沿って延在する第2の基板と、
前記長手方向軸に概ね直交する第2の中心軸の周りで前記第2の基板上に配置された第2のコイルであって、前記第2のコイルは、その導電性表面が前記外部環境から絶縁または封止されるように構成されている、第2のコイルと、
を備える、多機能センサユニット。
(2) 前記第1の基板と前記第2の基板との間に配置された構造部材を更に備える、実施態様1に記載の多機能センサユニット。
(3) 前記第1の基板および前記第2の基板は、前記第1のコイル用の第1の表面と、前記第2のコイル用の前記第1の表面の反対側の第2の表面とを有する単一の基板を備える、実施態様1に記載の多機能センサユニット。
(4) 前記第1のコイルおよび前記第2のコイルのうちの少なくとも1つは、矩形の渦巻き型平面コイルを備える、実施態様1に記載の多機能センサユニット。
(5) 前記第2のコイルは、患者の身体内の前記多機能センサユニットの位置を示す信号を提供するために、1つ以上の基準磁界を測定するように構成されている、実施態様1に記載の多機能センサユニット。
【0141】
(6) 前記第2のコイルは、1つ以上の基準磁界によって誘導された前記第2のコイルを通る磁束の変化に基づいて信号を出力するように構成されている、実施態様1に記載の多機能センサユニット。
(7) 前記第1のコイルは、組織に接触し、組織によって伝搬される生理学的電気信号を表す信号を出力するように構成されている、実施態様1に記載の多機能センサユニット。
(8) 前記第1のコイルは、前記第1のコイルが露出される前記外部環境の導電率の変化に応答してインピーダンスが変化するように構成されている、実施態様1に記載の多機能センサユニット。
(9) 前記第1のコイルは、患者の身体内の前記第1のコイルの位置を示す信号を提供するために、1つ以上の基準磁界を測定するように構成されている、実施態様1に記載の多機能センサユニット。
(10) 前記第1のコイルは、1つ以上の基準磁界によって誘導された前記第1のコイルを通る磁束の変化に基づいて信号を出力するように構成されている、実施態様1に記載の多機能センサユニット。
【0142】
(11) 前記第1の中心軸は、前記第2の中心軸と同軸である、実施態様1に記載の多機能センサユニット。
(12) 前記多機能センサユニットは、
身体内の前記多機能センサユニットの位置と、
生物学的組織によって生成される生理学的信号と、
前記多機能センサユニットの組織への近接度と、を表す信号を出力するように構成されている、実施態様1に記載の多機能センサユニット。
(13) 前記第1のコイルは、前記第2のコイルから電気的に絶縁されている、実施態様1に記載の多機能センサユニット。
(14) 前記第1のコイルの少なくとも2つの部分は前記外部環境に露出されている、実施態様1に記載の多機能センサユニット。
(15) 長手方向軸に沿って延在する第3の基板と、
前記長手方向軸に概ね直交し、前記第1の中心軸に対してある角度である第3の中心軸の周りで前記第3の基板上に配置された第3のコイルであって、前記第3のコイルは、その導電性表面が前記外部環境に露出されるように構成されている、第3のコイルと、
前記長手方向軸に沿って延在する第4の基板と、
前記長手方向軸に概ね直交し、前記第2の中心軸に対してある角度である第4の中心軸の周りで前記第4の基板上に配置された第4のコイルであって、前記第4のコイルは、その導電性表面が前記外部環境から絶縁または封止されるように構成されている、第4のコイルと、を更に備える、実施態様1に記載の多機能センサユニット。
【0143】
(16) 前記第3の中心軸は、前記第4の中心軸と同軸である、実施態様15に記載の多機能センサユニット。
(17) 前記第1の中心軸は、前記第3の中心軸から約60°~約180°の角度にある、実施態様15に記載の多機能センサユニット。
(18) 前記第2の中心軸は、前記第4の中心軸から約60°~約180°の角度にある、実施態様15に記載の多機能センサユニット。
(19) 長手方向軸に沿って延在する第5の基板と、
前記長手方向軸に概ね直交し、前記第1の中心軸に対してある角度であり、前記第3の中心軸に対してある角度である第5の中心軸の周りに、前記第5の基板上に配置された第5のコイルであって、前記第5のコイルは、その導電性表面が前記外部環境に露出されるように構成されている、第5のコイルと、
前記長手方向軸に沿って延在する第6の基板と、
前記長手方向軸に概ね直交し、前記第2の中心軸に対してある角度であり、前記第4の中心軸に対してある角度である第6の中心軸の周りに、前記第6の基板上に配置された第6のコイルであって、前記第6のコイルは、その導電性表面が前記外部環境から絶縁または封止されるように構成されている、第6のコイルと、を更に備える、実施態様15に記載の多機能センサユニット。
(20) 前記第1のコイル、前記第3のコイル、および前記第5のコイルは、3軸位置センサとして集合的に機能し、
前記第2のコイル、前記第4のコイル、および前記第6のコイルは、集合的に、前記長手方向軸からの3つの異なる方向における環境導電率の変動を示す出力信号を提供する、実施態様19に記載の多機能センサユニット。
【外国語明細書】