(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024161007
(43)【公開日】2024-11-15
(54)【発明の名称】内燃機関の燃料噴射器および燃焼機関
(51)【国際特許分類】
F02M 61/08 20060101AFI20241108BHJP
F02M 61/16 20060101ALI20241108BHJP
【FI】
F02M61/08 M
F02M61/16 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024074822
(22)【出願日】2024-05-02
(31)【優先権主張番号】10 2023 111 573.1
(32)【優先日】2023-05-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】510153962
【氏名又は名称】マン・エナジー・ソリューションズ・エスイー
【氏名又は名称原語表記】MAN ENERGY SOLUTIONS SE
【住所又は居所原語表記】Stadtbachstr.1 86153 Augsburg,GERMANY
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】トーマス・アッツケルン
(72)【発明者】
【氏名】ドゥシャン・ミケスカ
【テーマコード(参考)】
3G066
【Fターム(参考)】
3G066AA16
3G066AB02
3G066AB05
3G066AB06
3G066BA46
3G066CC01
3G066CC03
3G066CC11
3G066CC40
3G066CD04
3G066CD10
(57)【要約】
【課題】内燃機関の新しいタイプの燃料噴射器およびそのような燃料噴射器を有する内燃機関を提供すること。
【解決手段】シリンダに燃料を供給するように構成されている、内燃機関用の燃料噴射器(10)であって、該燃料噴射器が該内燃機関に取り付けられ得るハウジング(11)と、燃料流を開放するために弁座(14)に対して動かされ得る、弁軸(12)と係合しかつ弁座(14)と相互作用する弁体(13)と、第1の端部(22a)で弁軸(12)と係合しかつ第2の端部(22b)でハウジング(11)と係合するベローズ封止要素(22)と、燃料噴射器(10)を通って流動する燃料流からかつ燃料圧力脈動から該ベローズ封止要素(22)を少なくとも部分的に切り離すスリーブ体(24)と、を有する、燃料噴射器(10)。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関のシリンダに燃料を供給するように構成されている、前記内燃機関用の燃料噴射器(10)であって、
前記燃料噴射器が前記内燃機関に取り付けられ得るハウジング(11)と、
燃料流を開放するために、弁座(14)に対して動かされることが可能であり、弁軸(12)と係合しかつ前記弁座(14)と相互作用する弁体(13)と、
第1の端部(22a)で前記弁軸(12)と係合しかつ第2の端部(22b)で前記ハウジング(11)と係合するベローズ封止要素(22)と、
前記燃料噴射器(10)を通る燃料流からかつ燃料圧力脈動から前記ベローズ封止要素(22)を少なくとも部分的に切り離すスリーブ体(24)と、
を有する、
燃料噴射器(10)。
【請求項2】
前記スリーブ体(24)は、前記ハウジング内の燃料空間(18)を第1の部分空間(18a)と第2の部分空間(18b)とに分割し、前記第1の部分空間(18a)は前記燃料流が通過して流動することが可能であり、前記ベローズ封止要素(22)は前記第2の部分空間(18b)内に配置されている、
請求項1に記載の燃料噴射器。
【請求項3】
前記燃料空間(18)の前記第1の部分空間(18a)と前記燃料空間(18)の前記第2の部分空間(18b)とは、前記スリーブ体(24)にある少なくとも1つの開口部または穴部またはチョーク(25)により接続されている、
請求項2に記載の燃料噴射器。
【請求項4】
前記第1の部分空間(18a)は、前記スリーブ体(24)に径方向外側で隣接して、前記ハウジング(11)と前記スリーブ体(24)との間に形成されており、
前記第2の部分空間(18b)は、前記スリーブ体(24)に径方向内側で隣接して形成されている、
請求項2に記載の燃料噴射器。
【請求項5】
前記スリーブ体(24)は、前記ベローズ封止要素(22)が前記スリーブ体(24)内に配置されているように、前記ベローズ封止要素(22)を径方向外側で取り囲む、
請求項1に記載の燃料噴射器。
【請求項6】
前記ハウジング(11)に取り付けられているかまたは前記ハウジング(11)の一体部分である、ガイド部分(15a)および座部分(15b)を備えたガイドおよび座体(15)を含み、
前記ガイドおよび座体(15)の前記ガイド部分(15a)は前記弁軸(12)を案内し、前記ガイドおよび座体(15)の前記座部分(15b)は前記弁座(14)をもたらし、
前記スリーブ体(24)は、第1の端部(24a)で前記ガイドおよび座体(15)と係合し、第2の端部(24b)で前記ハウジング(11)と係合する、
請求項1に記載の燃料噴射器。
【請求項7】
前記スリーブ体(24)は、その第1の端部(24a)において前記ガイドおよび座体(15)に、その第2の端部(24b)において前記ハウジング(11)に、それぞれ封止接続されている、
請求項6に記載の燃料噴射器。
【請求項8】
前記ベローズ封止要素(22)は、その第1の端部(22a)において前記弁軸(12)に、その第2の端部(22b)において前記ハウジング(11)に、それぞれ封止接続されている、
請求項1に記載の燃料噴射器。
【請求項9】
前記ベローズ封止要素(22)は、その第1の端部(22a)において、前記弁軸(12)と相互作用するリング(23)またはショルダ部を介して、前記弁軸(12)に間接的に接続されている、
請求項1に記載の燃料噴射器。
【請求項10】
前記ベローズ封止要素(22)は金属材料で構成されており、
前記スリーブ体(24)は金属材料またはプラスチックで構成されている、
請求項1に記載の燃料噴射器。
【請求項11】
シリンダを有し、
各シリンダが、請求項1から10のいずれか一項に記載の燃料噴射器(10)を含む、
内燃機関。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は内燃機関の燃料噴射器に関する。さらに、本発明は内燃機関に関する。
【0002】
ここで、本発明は、詳細には、いわゆる大型機関または大型内燃機関の分野に関し、そのシリンダは少なくとも140mm、詳細には少なくとも175mmのピストン径を有する。そのような大型内燃機関は、例えば、船舶用機関である。
【背景技術】
【0003】
実践から、デュアルフューエルエンジンとして設計されている、ガスエンジン、液体燃料エンジン、または大型内燃機関が知られている。液体燃料内燃機関では、例えばディーゼル燃料などの液体燃料を燃焼させる。内燃機関では、例えば天然ガスなどのガス燃料を燃焼させる。デュアルフューエルエンジンでは、第1の動作モードで液体燃料を燃焼させ、第2の動作モードでガス燃料を燃焼させることが可能である。
【0004】
内燃機関のシリンダに燃料を供給するために、内燃機関は燃料噴射器を含む。燃料噴射器により、燃料は、シリンダの燃焼空間もしくは燃焼室内へ、または該燃焼空間もしくは該燃焼室と相互作用する、シリンダのプレチャンバ内へ、またはシリンダに繋がる取入れ管内へ直接導入され得る。
【0005】
燃料噴射器が、それぞれの燃料噴射器が内燃機関に取り付けられ得るハウジングを有する。さらに、燃料噴射器は、弁軸と相互作用する弁体を有し、該弁体は弁座と相互作用する。弁体と弁座との間の相対位置に応じて、燃料流が開放されるかまたは阻止される。
【0006】
燃料噴射器では、外側に向かって開く弁体を有する燃料噴射器と内側に向かって開く弁体を有する燃料噴射器とが、基本的に区別されている。外側に向かって開く弁体を有する燃料噴射器では、燃料流を開放するために、該弁体はハウジングから離れる方向にまたはハウジングに基づいて外側に向かう方向に動かされることが可能である。内側に向かって開く弁体を有する燃料噴射器では、対照的に、該弁体はハウジングに基づいて、ハウジング内へ内側に向かう方向に、燃料流を開放するために動かされ得る。本発明は、燃料流を開放するために外側に向かって開く弁体を有する燃料噴射器と共に、またはさらには、燃料流を開放するために内側に向かって開く弁体を有する燃料噴射器と共に、使用され得る。
【0007】
より長い寿命を有する、内燃機関の燃料噴射器が必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
このことから、本発明は、内燃機関の新しいタイプの燃料噴射器およびそのような燃料噴射器を有する内燃機関を作り出すという目的に基づく。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本目的は、請求項1に記載の燃料噴射器により達成される。
【0010】
燃料噴射器は、燃料噴射器が内燃機関に取り付けられ得るハウジングを含む。該燃料噴射器は、弁軸と相互作用しかつ弁座と相互作用する弁体を含み、該弁体は、燃料流を開放するために、該弁座に対して動かされ得る。燃料噴射器は、第1の端部で該弁軸と係合し、第2の端部で該ハウジングと係合するベローズ封止要素を含む。さらに、燃料噴射器は、燃料噴射器を通る燃料流からかつ燃料圧力脈動から該ベローズ封止要素を少なくとも部分的に切り離すスリーブ体を含む。該スリーブ体により、ベローズ封止要素は、詳細には燃料圧力脈動による負荷から保護され得る。スリーブ体はベローズ封止要素を燃料流から少なくとも部分的に切り離す。燃料流中の圧力変動または圧力脈動がベローズ封止要素に直接影響を及ぼさない。したがって、ベローズ封止要素の疲労強度は高められ、したがって燃料噴射器の寿命は延ばされ得る。
【0011】
優先的に、スリーブ体は、ハウジング内の燃料空間を、第1の部分空間と第2の部分空間とに分割し、該第1の部分空間は燃料流が通過して流動することが可能であり、ベローズ封止要素は該第2の部分空間内に配置されている。したがって、ベローズ封止要素の疲労強度は高められ、かつしたがって燃料噴射器の寿命は特に有利に延ばされ得る。
【0012】
優先的に、燃料空間の第1の部分空間と燃料空間の第2の部分空間とは、スリーブ体にある少なくとも1つの開口部または穴部またはチョークにより接続されている。したがって、燃料が少なくとも1つの開口部または穴部またはチョークを経由して流動することができるので、ベローズ封止要素のストローク動作に起因する、(ベローズ封止要素が中に配置されている)第2の部分空間内の燃料の体積変化を相殺することが可能である。
【0013】
優先的に、燃料空間の第1の部分空間は、ハウジングとスリーブ体との間に、スリーブ体の径方向外側に隣接して形成されており、燃料空間の第2の部分空間は、スリーブ体の径方向内側に隣接して形成されており、スリーブ体は、ベローズ封止要素がスリーブ体内に配置されているように、ベローズ封止要素を径方向外側で取り囲む。この設計は、ベローズ封止要素の疲労強度を高めかつしたがって燃料噴射器の寿命を延ばすために、特に好適である。
【0014】
優先的に、燃料噴射器は、ハウジングまたは該ハウジングの一体部分に取り付けられている、ガイド部分および座部分を備えたガイドおよび座体(guide and seat body)を含み、該ガイドおよび座体の該ガイド部分は弁軸を案内し、ガイドおよび座体の座部分は弁座をもたらし、スリーブ体は、第1の端部でガイドおよび座体と係合し、第2の端部でハウジングと係合する。この実施形態は構造的に簡単である。
【0015】
優先的に、スリーブ体は、その第1の端部でガイドおよび座体に、かつその第2の端部でハウジングに、それぞれ封止接続されている。燃料空間の2つの部分空間の連結が、単に、少なくとも1つの開口部または穴部またはチョークにより起こる。これは、ベローズ封止要素の疲労強度を高めかつしたがって燃料噴射器の寿命を延ばすために好適である。
【0016】
優先的に、ベローズ封止要素は、その第1の端部で弁軸に、該弁軸と相互作用するリングまたはショルダ部を介して間接的に接続されている。この設計は構造的に特に簡単である。
【0017】
本発明による内燃機関は請求項11において定義されている。
【0018】
本発明の好適なさらなる発展は従属請求項および次の説明から得られる。本発明の例示的実施形態を、これに限定されない図面によって、より詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明による、内燃機関の燃料噴射器を通る概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1は、本発明による、内燃機関用の燃料噴射器10の例示的実施形態を通る断面図を示す。該燃料噴射器10は、液体燃料用の燃料噴射器、およびまたガス燃料用の燃料噴射器の両方であり得る。燃料噴射器10は、内燃機関のシリンダに、すなわち直接シリンダの燃焼室の中へ、または燃焼室と相互作用する、シリンダのプレチャンバの中へ、またはシリンダへ燃焼用空気も運搬する、シリンダの燃焼室に繋がる、内燃機関の管の中へ、燃料を供給するように構成されている。
【0021】
燃料噴射器10はハウジング11を有する。該ハウジング11を介して、燃料噴射器10は内燃機関に、例えばシリンダヘッドまたはシリンダヘッドカバーの領域内に、取り付けられ得る。さらに、燃料噴射器10は弁体13を担持する弁軸12を有する。該弁軸12は磁力で直接作動させられ得る。該弁体13は弁座14と相互作用する。詳細には、弁体13が該弁座14に当接して置かれている場合、燃料噴射器10はいかなる燃料流も可能にしない。対照的に、弁体13が弁座14から離れて持ち上げられている場合、燃料噴射器10は燃料流を開放する。
【0022】
さらに、燃料噴射器10は、弁軸12用のガイド部分15aと弁座14をもたらす座部分15bとを備えたガイドおよび座体15を有する。
【0023】
図示の例示的実施形態では、このガイドおよび座体15は、ハウジング11に対して別個の組立品、一体組立品、またはモノリシック組立品として具現化され、かつハウジング11に取り付けられる。
図1によれば、ガイドおよび座体15とハウジング11とは、ガイドおよび座体15に、詳細にはガイドおよび座体15の座部分15bに、相互作用するねじすなわちハウジング11上の雌ねじ26とガイドおよび座体15上の雄ねじ27とにより、螺合させられる。
【0024】
既に説明されているように、ガイドおよび座体15のガイド部分15aは弁軸12を案内する。この目的のために、弁軸12はガイド部分15aにある収納部(recess)16に入る。
【0025】
ガイドおよび座体15の座部分15bは弁体13用の弁座14をもたらす。
【0026】
ガイドおよび座体15のガイド部分15aは燃料が周囲を流動し得る。対照的に、ガイドおよび座体15の座部分15bは燃料が通過して流動し得る。弁体13が弁座14を離れて持ち上げられておりかつ燃料噴射器10が燃料流を開放する場合、該燃料はガイド部分15aの周囲を流動し、ガイドおよび座体15の座部分15bを通過して流動する。
【0027】
拡張部または穴部17により、開いた燃料噴射器10では、ガイド部分15aから出てくる燃料は座部分15b内へ溢れ出ることができる。
【0028】
ここで、ガイドおよび座体15をハウジング11の一体部分とすることもできることが指摘される。また、該ガイドおよび座体15は複数の体に、すなわち弁軸12を案内するガイド体と、該ガイド体に対して分離されており、弁座をもたらす座体と、に分割され得る。
【0029】
ハウジング11の複数の部品または部分11a、11bおよび11cが示されている。図示の例示的実施形態では、ガイドおよび座体15はハウジング部品またはハウジング部分11aの第1の端部と係合する。したがって、ガイドおよび座体15の雄ねじ27と相互作用する雌ねじ26は、ガイドおよび座体15をねじ接続によってハウジング部品またはハウジング部分11aに固定するために、ハウジング部品またはハウジング部分11aのこの端部上に形成されている。該ハウジング部分11aは、燃料噴射器の燃料空間18の範囲を径方向外側で定めており、ハウジング部品またはハウジング部分11aとハウジング部品またはハウジング部分11cとの間に形成されている環状間隙19から出てくる燃料は、開口部または穴部20を経由して溢れ出ることができる。ハウジング部品またはハウジング部分11bはハウジング部品またはハウジング部分11a内に受容されている。ガイドおよび座体15のガイド部分15a内で案内される弁軸12は、ハウジング部品またはハウジング部分11aによって径方向外側で範囲を定められている燃料空間18を貫通する。さらに、弁軸12はハウジング部品またはハウジング部分11bを貫通する。
【0030】
燃料空間18から出るその燃料が、弁軸12とハウジング部品またはハウジング部分11bとの間に形成されている間隙21を経由して流動することを防止するために、ベローズ封止要素22は燃料空間18内に配置されている。該ベローズ封止要素22は、第1の端部22aで弁軸12と係合し、反対側の端部22bでハウジング11すなわちハウジング部品またはハウジング部分11bと係合する。弁軸12へのベローズ封止要素22の第1の端部22aの接続、およびハウジング11すなわちハウジング部品またはハウジング部分11bへのベローズ封止要素22の第2の端部22bの接続は、それぞれ流体密である。ベローズ封止要素22のベローズ構造の理由で、ベローズ封止要素22は、弁軸12のストローク動作時、弁軸12とハウジング11との間の相対運動を相殺するかまたは補償することができる。
【0031】
図示の例示的実施形態において、ベローズ封止要素22は、その第1の端部22aで弁軸12と係合し、すなわち弁軸12に堅固にかつ流体密に接続されているリングまたはショルダ部23と直接係合する。ベローズ封止要素22の反対側の第2の端部22bはハウジング11と係合し、すなわちハウジング部品またはハウジング部分11bと流体密に直接係合する。該リングまたはショルダ部23は弁軸12の一体部分とすることもできる。
【0032】
燃料空間18内に配置されているのはベローズ封止要素22だけでなく、さらにスリーブ体24も配置されている。図示の例示的実施形態では、該スリーブ体24は、第1の端部24aでガイドおよび座体15と係合し、すなわちガイドおよび座体15のガイド部分15aと係合しており、反対側の第2の端部24bでハウジング11と係合し、すなわちハウジング部品またはハウジング部分11bと係合している。
【0033】
スリーブ体24は、燃料噴射器10を通る燃料流からかつ燃料の圧力脈動からベローズ封止要素22を少なくとも部分的に切り離す。したがって、燃料空間18内の圧力変動がベローズ封止要素22に直接影響を及ぼさないことが確実にされ得る。したがって、ベローズ封止要素22は詳細には圧力ピークから保護されることが可能であり、その結果として、ベローズ封止要素の疲労強度が高められ、かつしたがって燃料噴射器10の寿命が延ばされる。
【0034】
燃料空間18内に配置されているスリーブ体24は、該燃料空間18を、第1の部分空間18aと第2の部分空間18bとに分割する。該第1の部分空間18aは燃料流が通過して流動することが可能であり、一方、ベローズ封止要素22は該第2の部分空間18b内に配置されている。第1の部分空間18aはハウジングすなわちハウジング部品またはハウジング部分11aとスリーブ体24との間に形成されており、第2の部分空間18bはスリーブ体24の径方向内側に配置されている。燃料空間18の第1の部分空間18aは、したがって、スリーブ体24に径方向外側で隣接しており、第2の部分空間18bはスリーブ体24に径方向内側で隣接している。
【0035】
図示の例示的実施形態では、スリーブ体24は、第1の端部24aでガイドおよび座体15に封止接続されており、反対側の第2の端部24bにおいて、ハウジングすなわちハウジング部品またはハウジング部分11bに封止接続されている。該スリーブ24は、相対運動が起こらないので、ハウジング部品またはハウジング部分11bとガイドおよび座体15との間のそのような相対運動を相殺する必要がない剛性スリーブである。
【0036】
燃料空間18の第1の部分空間18aは、スリーブ体24にある少なくとも1つの開口部または穴部またはチョーク25を優先的に経由して、燃料空間18の第2の部分空間18bに接続されている。したがって、弁軸12およびしたがってベローズ封止要素22のストローク動作に起因する部分空間18b内の燃料の体積の変化が相殺され得る。
【0037】
ベローズ封止要素22は、優先的に、金属材料の要素である。スリーブ体24は金属材料またはプラスチックから製造され得る。
【0038】
スリーブ体24はベローズ封止要素22への燃料圧力の影響を回避するかまたは減少させる。したがって、ベローズ封止要素22の疲労強度は高められる。燃料噴射器10の寿命は延ばされ得る。さらに、動作パラメータを拡張すること、詳細にはより高い燃料圧力を利用することが可能である。より高い燃料圧力がスリーブ体24によって吸収され得る。ベローズ封止要素22上への直接的な燃料流入がスリーブ体24によって防止される。したがって、ベローズ封止要素が燃料流に対して遮蔽され、その結果として、ベローズ封止要素の疲労強度が高められる。取付け中、ベローズ封止要素22はスリーブ体24によって保護され得る。
【符号の説明】
【0039】
10 燃料噴射器
11 ハウジング
11a、11b、11c ハウジング部品
12 弁軸
13 弁体
14 弁座
15 ガイドおよび座体
15a ガイド部分
15b 座部分
16 収納部
17 穴部
18 燃料空間
18a 第1の部分空間
18b 第2の部分空間
19 環状間隙
20 開口部、穴部
21 間隙
22 ベローズ封止要素
22a 第1の端部
22b 第2の端部
23 リング/ショルダ部
24 スリーブ体
24a 端部、(スリーブ体の)第1の端部
24b 端部、(スリーブ体の)第2の端部
25 チョーク
26 雌ねじ
27 雄ねじ
【外国語明細書】