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特開2024-16101特有の物理的強度特性を有する吸収紙製品
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024016101
(43)【公開日】2024-02-06
(54)【発明の名称】特有の物理的強度特性を有する吸収紙製品
(51)【国際特許分類】
   D21H 27/00 20060101AFI20240130BHJP
   D21H 11/04 20060101ALI20240130BHJP
   D21H 11/18 20060101ALI20240130BHJP
   A47K 10/16 20060101ALI20240130BHJP
【FI】
D21H27/00 F
D21H11/04
D21H11/18
A47K10/16
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023184616
(22)【出願日】2023-10-27
(62)【分割の表示】P 2019537019の分割
【原出願日】2017-09-19
(31)【優先権主張番号】62/396,812
(32)【優先日】2016-09-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】518460509
【氏名又は名称】マーサー インターナショナル インコーポレイテッド
(71)【出願人】
【識別番号】519096301
【氏名又は名称】ジーゲンベイン,トビアス
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】ジーゲンベイン,トビアス
(57)【要約】      (修正有)
【課題】柔らかさ、吸収性および抄紙信頼性を犠牲にせずに湿潤強度を増加させ、物理的製品性能をさらに最適化する新規繊維状紙構造を有する吸収性タオルペーパーウェブを提供する。
【解決手段】吸収性タオルペーパーウェブは、吸収性タオルペーパーウェブの乾燥繊維ベースで約40重量%~約90重量%の精製された軟材パルプ繊維混合物と、前記乾燥繊維ベースで、10重量%~55重量%の硬材パルプ繊維混合物と、10重量%以下の水分とを含み、前記軟材パルプ繊維混合物は、前記乾燥繊維ベースで約18.5重量%~約88.5重量%の軟材パルプ繊維と、前記乾燥繊維ベースで約0.25重量%~約5.0重量%のカチオン性強化ポリマと、前記乾燥繊維ベースで、0.05重量%~20重量%のセルロースナノフィラメントであって、平均幅が30nm~500nm、アスペクト比が200~5000の、セルロースナノフィラメントを含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
縦目及び前記縦目に垂直な横目を有する、吸収性タオルペーパーウェブであって、前記吸収性タオルペーパーウェブは、
(a)前記吸収性タオルペーパーウェブの乾燥繊維ベースで、40重量%~90重量%の精製された軟材パルプ繊維混合物であって:
i)前記吸収性タオルペーパーウェブの乾燥繊維ベースで、18.5重量%~88.5重量%の軟材パルプ繊維;
ii)前記吸収性タオルペーパーウェブの乾燥繊維ベースで、0.25重量%~5.0重量%のカチオン性強化ポリマ;および
iii)前記吸収性タオルペーパーウェブの乾燥繊維ベースで、0.05重量%~20重量%のセルロースナノフィラメントであって、平均幅が30nm~500nm、アスペクト比が200~5000の、セルロースナノフィラメント;
を含む軟材パルプ繊維混合物;
(b)前記吸収性タオルペーパーウェブの乾燥繊維ベースで、10重量%~55重量%の硬材パルプ繊維混合物;ならびに
(c)10重量%以下の水分;
を含み、
(a)前記軟材パルプ繊維混合物、(b)前記硬材パルプ繊維混合物、及び(c)前記水分の合計は、前記吸収性タオルペーパーウェブの乾燥繊維ベースで100重量%となり、
前記吸収性タオルペーパーウェブは、10Nm/g~18Nm/gの範囲の幾何平均引張強度指数を有し、
前記吸収性タオルペーパーウェブは、0.20~0.34の範囲の横目湿潤引張強度対横目乾燥引張強度比値を有する、
吸収性タオルペーパーウェブ。
【請求項2】
密度差を有する吸収性タオルペーパーウェブであることをさらに特徴とする、請求項1に記載の吸収性タオルペーパーウェブ。
【請求項3】
前記密度差を有する吸収性タオルペーパーウェブは、新ティッシュ技術(NTT)の吸収性タオルペーパーウェブであることをさらに特徴とする、請求項2に記載の吸収性タオルペーパーウェブ。
【請求項4】
前記密度差を有する吸収性タオルペーパーウェブは、先進ティッシュ成型システム(ATMOS)の吸収性タオルペーパーウェブであることをさらに特徴とする、請求項2に記載の吸収性タオルペーパーウェブ。
【請求項5】
前記密度差を有する吸収性タオルペーパーウェブは、クレープ加工なしスルーエア乾燥技術(UCTAD)の吸収性タオルペーパーウェブであることをさらに特徴とする、請求項2に記載の吸収性タオルペーパーウェブ。
【請求項6】
前記密度差を有する吸収性タオルペーパーウェブは、スルーエア乾燥(TAD)の吸収性タオルペーパーウェブであることをさらに特徴とする、請求項2に記載の吸収性タオルペーパーウェブ。
【請求項7】
縦目及び前記縦目に垂直な横目を有する吸収性タオルペーパーウェブであって、前記吸収性タオルペーパーウェブは、
(a)前記吸収性タオルペーパーウェブの乾燥繊維ベースで、40重量%~90重量%の精製された軟材パルプ繊維混合物であって:
i)前記吸収性タオルペーパーウェブの乾燥繊維ベースで、18.5重量%~88.5重量%の軟材パルプ繊維;
ii)前記吸収性タオルペーパーウェブの乾燥繊維ベースで、0.25重量%~5.0重量%のカチオン性強化ポリマ;および
iii)前記吸収性タオルペーパーウェブの乾燥繊維ベースで、0.05重量%~20重量%のセルロースナノフィラメントであって、平均幅が30nm~500nm、アスペクト比が200~5000の、セルロースナノフィラメント;
を含む軟材パルプ繊維混合物;
(b)前記吸収性タオルペーパーウェブの乾燥繊維ベースで、10重量%~55重量%の硬材パルプ繊維混合物;ならびに
(c)10重量%以下の水分;
を含み、
前記軟材パルプ繊維混合物、前記硬材パルプ繊維混合物、及び前記水分の合計は、前記吸収性タオルペーパーウェブの乾燥繊維ベースで100重量%となり、
前記吸収性タオルペーパーウェブは、10Nm/g~18Nm/gの範囲の幾何平均引張強度指数を有し;
前記吸収性タオルペーパーウェブは、0.20~0.34の範囲の横目湿潤引張強度対横目乾燥引張強度比値を有する、
吸収性タオルペーパーウェブ。
【請求項8】
前記吸収性タオルペーパーウェブは、密度差を有する吸収性タオルペーパーウェブであることをさらに特徴とする、請求項7に記載の吸収性タオルペーパーウェブ。
【請求項9】
前記密度差を有する吸収性タオルペーパーウェブは、新ティッシュ技術(NTT)の吸収性タオルペーパーウェブであることをさらに特徴とする、請求項8に記載の吸収性タオルペーパーウェブ。
【請求項10】
前記密度差を有する吸収性タオルペーパーウェブは、先進ティッシュ成型システム(ATMOS)の吸収性タオルペーパーウェブであることをさらに特徴とする、請求項8に記載の吸収性タオルペーパーウェブ。
【請求項11】
前記密度差を有する吸収性タオルペーパーウェブは、クレープ加工なしスルーエア乾燥技術(UCTAD)の吸収性タオルペーパーウェブであることをさらに特徴とする、請求項8に記載の吸収性タオルペーパーウェブ。
【請求項12】
前記密度差を有する吸収性タオルペーパーウェブは、スルーエア乾燥(TAD)の吸収性タオルペーパーウェブであることをさらに特徴とする、請求項8に記載の吸収性タオルペーパーウェブ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2016年9月19に出願された米国仮特許出願番号第62/396,812号の出願日の恩典を主張する。
【0002】
発明の分野
本発明は、紙製品に関する。より特定的には、本発明は、特有の物理的強度特性を有する吸収紙製品に関する。さらにより特定的には、本発明は、高い乾燥引張強度および横目湿潤引張強度対横目乾燥引張強度の高い比率を有する吸収紙製品に関する。
【背景技術】
【0003】
化粧紙、ペーパータオル、バスティッシュ、ナプキンおよび他の同様の製品などのティッシュ製品は、いくつかの重要な特性を含むように設計される。例えば、製品は良好な嵩、良好な吸収性、柔らかい手触りを有するべきであり、および、良好な強度および耐久性を有するべきである。不運なことに、製品の1つの特性を増加させるように工程が取られると、製品の他の特性はしばしば悪影響を受ける。
【0004】
考案者たちは長い間、それらの構造の十分な強度を確保するために、それらの紙構造中の軟材繊維のレベルの均衡をとるように企図し、同時により高いレベルの軟材繊維に由来する悪影響を最小に抑えようとしてきた。
【0005】
問題の1つの例は、ペーパータオル地製品の考案者たちが、乾燥強度を維持または低減しながら、より高い使用中の湿潤強度を有する新規製品を開発するために提示し、働いてきた努力により証明される。しかしながら、考案者たちは典型的な抄紙機プロセス変数を使用して製品の使用中の湿潤強度を増加させるので、吸収性および/または柔らかさなどの他の消費者所望の属性は典型的には減少する。ペーパータオル地を改善するために考案者たちが取り組む問題は、どのようにして、柔らかさおよび/または吸収性を維持または改善しながらタオルの使用中の湿潤強度を増加させるか、および/または総製品乾燥強度を維持または低減しかつシート柔軟性を増加しながら軟材含有量を減少させるかである。強度を増加させるために製紙業者が使用できる全ての標準抄紙機プロセス変数は通常、シート手触りに悪影響を与える可能性があり、製品吸収性にマイナスの影響を与える可能性がある。
【0006】
したがって、柔らかさ、吸収性および抄紙信頼性を犠牲にせずに湿潤強度を増加させるタオル製品の物理的製品性能をさらに最適化する新規繊維状紙構造が、依然として必要とされている。特に、乾燥強度を維持または増加しながら湿潤強度を増加する新規繊維状紙構造が必要である。そのような構造はとりわけ、マルチ密度抄紙構造にとって有益であり、スルーエア乾燥(Through-Air Dried)、ファブリッククレープ(Fabric Crepe.)NTT、ATMOSおよびUCTAD機械プロセスで製造されるそのような構造が非限定的な例である。
【発明の概要】
【0007】
本発明の開発は、縦目およびタオルペーパーウェブが製造される抄紙機の方向に直角な横目を有する吸収性タオルペーパーウェブであり、ウェブは(a)タオルペーパーウェブの乾燥繊維ベースの約20重量%~約90重量%の、i.)タオルペーパーウェブの乾燥繊維ベースの約18.5重量%~約88.5重量%の軟材パルプ繊維(軟材パルプ繊維は混合物に添加される前に任意で精製される);ii.)タオルペーパーウェブの乾燥繊維ベースの約0.25重量%~約5.0重量%のカチオン性強化ポリマを含む、精製された軟材パルプ繊維混合物、(b)ティッシュペーパーウェブの乾燥繊維ベースの約10重量%~約55重量%の硬材パルプ繊維混合物、および(c)約10重量%以下の水分を含み、ここで、ペーパータオルウェブは約6Nm/g~約12Nm/gの範囲の幾何平均引張強度指数(Geometric Mean Tensile Strength index)を有し;ここで、ペーパーウェブは約0.20~約0.50の範囲の横目湿潤引張強度対横目乾燥引張強度比値を有する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本開示において使用するためのスルーエア乾燥抄紙機によるマルチ密度吸収性ペーパータオルを製造するためのプロセスの1つの実施形態の概略図である。
図2】本開示において使用するためのマルチ密度吸収性タオルウェブ製品を製造するための、別の「新ティッシュ技術」(「NTT」)プロセスの概略図である。
図3】本開示において使用するためのマルチ密度吸収性タオルウェブ製品を製造するための、先進ティッシュ成型システム「ATMOS」プロセスの概略図である。
図4】本開示において使用するためのマルチ密度吸収性タオルウェブ製品を製造するための、クレープ加工なしスルーエア乾燥技術「UCTAD」プロセスの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示は、軟材流へのより低い精製エネルギー入力を有するにもかかわらず乾燥引張を維持しながら、およびカチオン性樹脂付加定数を維持しながら、高い湿潤引張強度対乾燥強度比を有する吸収性タオルペーパーウェブに関する。
【0010】
ペーパータオルウェブは、タオルペーパーウェブの乾燥繊維ベースの約20重量%~約90重量%の精製された軟材パルプ繊維混合物を含む。精製された軟材パルプ繊維混合物は、タオルペーパーウェブの乾燥繊維ベースの約18.5重量%~約88.5重量%の軟材パルプ繊維を含む。軟材パルプ繊維は混合物に添加される前に任意で精製される。軟材パルプ繊維混合物はまた、タオルペーパーウェブの乾燥繊維ベースの約0.25重量%~約5.0重量%のカチオン性強化ポリマを含む。ペーパータオルウェブはまた、タオルペーパーウェブの乾燥繊維ベースの約10重量%~約55重量%の硬材パルプ繊維混合物を含む。ペーパータオルウェブは約10重量%以下の水分を含む。
【0011】
ペーパータオルウェブは、約6Nm/g~約12Nm/gの範囲の幾何平均引張強度指数を有することにより測定される、または約300N/m~約600N/mの範囲の乾燥引張強度により測定される乾燥強度を維持する。ペーパータオルウェブは、約0.20~約0.50、好ましくは約0.295~約0.35の範囲の横目湿潤引張強度対横目乾燥引張強度比値を有することにより測定される、ウェブの乾燥強度との関連での改善された湿潤強度を有する。
【0012】
本明細書では、「紙製品」は、伝統的に、セルロース繊維を含むが、必ずしもそうではない任意の形成された、繊維状構造製品を示す。1つの実施形態では、本発明の紙製品は、吸収性タオル製品(「ペーパータオル製品」)を含む。他の実施形態では、本発明の紙製品はソフトサニタリティッシュ製品を含み得る。
【0013】
「吸収性タオル製品」は本明細書では、ソフトな手触りと共に、液体吸収および湿式洗浄に対する消費者の要求を満たすように設計され製造される紙製品のクラスである。吸収性タオル製品は、サニタリティッシュおよび化粧紙と同じ抄紙技術で製造されるが、原料、抄紙プロセス設定、目付および他の原料が、所望の消費者属性を与えるように最適化される。
【0014】
本開示の紙製品は、ペーパーティッシュ製品またはペーパータオル製品を含む紙製品を指す。開示される紙技術としては、一般に、従来のフェルトプレス、または従来のウェットプレスティッシュペーパー、パターン高密度化ティッシュペーパー、ウェットクレープティッシュペーパー製品、クレープ加工ありまたはクレープ加工なしに関係なくスルーエア乾燥ティッシュペーパー製品が挙げられるが、それらに限定されない。例えば、本開示の抄紙プロセスは、接着剤クレーピング、ウェットクレーピング、ダブルクレーピング、エンボス加工、ウェットプレス加工、エアプレス加工、スルーエア乾燥、クレープ加工ありスルーエア乾燥、クレープ加工なしスルーエア乾燥、ならびにペーパーウェブの形成における他の工程を利用できる。そのような技術のいくつかの例は、米国特許第4,529,480号、5,048,589号、5,399,412号、5,129,988号、5,494,554号、5,607,551号、6,398,916号、7,744,726号および8,388,803号において開示される。
【0015】
多層タオル製品を形成する場合、別個のプライを、同じプロセスから、または異なるプロセスから要望通り製造できる。例えば、1つの実施形態では、ティッシュまたはタオルウェブは、当技術分野で知られたプロセスを使用して形成されるクレープ加工ありスルーエア乾燥ウェブであってよい。
【0016】
そのようなウェブを形成するために、ロールにより好適に支持され駆動されるエンドレス移動フォーミングファブリックは、へッドボックスから流れてくる層状または非層状抄紙ストックを受け取る。真空箱がフォーミングファブリックの真下に配置され、繊維完成紙料から水を除去するように適合されてウェブの形成を支援する。フォーミングワイヤー/ファブリックから、形成されたウェブが第2のファブリックに真空補助または機械的手段によりトランスファーされ、この第2のテンプレートは、所望のトポグラフィーがテンプレートの構造中に生成される限り、ワイヤー、フェルト、または織布のいずれかであってよい。シート形成テンプレートの使用は、複数の低局所目付領域と相互に連結される高い局所目付の複数の繊維強化領域を有する抄紙構造を生成する。ファブリックは、複数のガイドロールにより、連続パス周りの移動のために支持される。ファブリックからファブリックへのウェブのトランスファーを促進するように設計されたピックアップロールが、ウェブをトランスファーさせるために含められてもよい。
【0017】
形成されたウェブは次いで、約10重量%未満水分、好ましくは約6重量%未満、より好ましくは約4%重量%未満水分の水分レベルに乾燥される。好ましくは、形成されたウェブは、形成されたウェブを通って加熱空気を吹き付け、その後回転可能な加熱ドライヤードラム、例えばヤンキードライヤーの表面にトランスファーすることにより乾燥される。乾燥シリンダーには、樹脂製接着剤コーティング組成物の真下に樹脂製保護コーティング層が任意で提供される。樹脂製接着剤コーティング組成物は好ましくは再湿潤性である。プロセスは、接着剤コーティングが乾燥サイクルへのウェブのトランスファー時に十分なウェットタック強度を提供するように維持されて乾燥中にウェブを固定するように動作される。接着剤樹脂コーティング組成物はまた、乾燥された時に接着剤コーティング組成物が柔軟であるように維持され、乾燥が達成された時にウェブが顕著なシートダメージなしに乾燥シリンダーから除去され得る。ウェブは、乾燥ファブリックがトポグラフィーを有する場合、直接スルー乾燥ファブリックからヤンキーにトランスファーされてよく、または好ましくは、インプレッションファブリックにトランスファーされ、それが次いでウェブをヤンキードライヤーにトランスファーさせるために使用される。ウェブはその後、クレーピングブレードによりドライヤードラムから除去される。ウェブのクレーピングはウェブ内の内部ボンディングをさらに低減し、柔らかさおよび吸収性を増加させる。
【0018】
他の実施形態では、ベースウェブは、クレープ加工なしスルーエア乾燥プロセスにより形成される。関連するクレープ加工なしスルーエア乾燥ティッシュプロセスは例えば、米国特許第5,656,132号および6,017,417号において記載される。
【0019】
本発明による繊維状構造物はスルーエア乾燥繊維状構造物、密度差繊維状構造物、目付差繊維状構造物、湿式繊維状構造物、エアレイド繊維状構造物、クレープ加工ありもしくはクレープ加工なし繊維状構造物、パターン-高密度化もしくは非パターン-高密度化繊維状構造物、圧縮または非圧縮繊維状構造物、ダブル再クレープ加工繊維状構造物(当技術分野でよく知られており、米国特許第3,301,746号、3,974,025号、4,191,609号および4,637,859号、6,398,906号および8,388,803号において例示されている)の形態であってよい。
【0020】
本開示の吸収性タオルペーパーウェブは、縦目および縦目に直角な横目を有する。「縦目」(MD)および「横目」(CD)は本明細書では、下記の通り規定される。ペーパーウェブの「縦目」は抄紙機の長さと平行であるペーパーウェブの面内の方向である。ペーパーウェブの「横目」は、抄紙機の長さに垂直であり、そのため、縦目に直角である、ペーパーウェブの面内の方向である。総乾燥引張は縦目と横目引張の合計である。
【0021】
本明細書では、「抄紙完成紙料」という句は、セルロースまたは非セルロース繊維のいずれか、抄紙機能助剤(強度、吸収性または柔らかさ改善)、フィラーおよび抄紙ウェブを形成するために使用される他の抄紙プロセス材料の水性混合物を指す。想定されるセルロース繊維は、軟材パルプ繊維、例えば針葉樹さらしクラフト、硬材パルプ繊維、例えば広葉樹さらしクラフト、非木質繊維、リサイクル繊維、合成ポリマ繊維およびまたはユーカリさらしクラフトパルプとして販売される標準の「市場」で入手可能な材料であり、表面ボンディング特性を増強させるように改良された繊維材料、例えば特許6,379,494号または繊維改良の同様の方法において教示される、増強されたカルボキシル化繊維を含まない。
【0022】
本開示の吸収性タオルペーパーウェブは、約20%~約90%、好ましくは約30%~約80%、より好ましくは約40%~約70%、さらにいっそう好ましくは約50%~約60%の、軟材パルプ繊維およびカチオン性強化ポリマを含む精製された軟材パルプ繊維混合物を含む。
【0023】
本明細書では、「乾燥繊維ベースの重量パーセント(%)」という句は、言及された材料成分のパーセンテージを指し、全ての水および他の揮発性材料が抄紙ウェブから除去された時点での任意の担体および/または送達ビヒクル対乾燥最終繊維ウェブを含む。
【0024】
「繊維」は本明細書では、見かけの長さがその見かけの直径を大きく超える、すなわち少なくとも約10かつ200未満の長さ対直径比を有する細長い物理的構造を意味する。非円形断面および/または管形状を有する繊維が一般的であり;この場合の「直径」は、繊維の断面積と等しい断面積を有する円の直径であると考えることができる。より特定的には、本明細書では、「繊維」は繊維状構造物を作る繊維を指す。本発明は、例として、天然繊維、例えばセルロースナノフィラメントおよび/または木材パルプ繊維、非木質繊維または任意の好適な繊維およびそれらの任意の組み合わせなどの、様々な繊維状構造物を作る繊維の使用を企図する。
【0025】
本発明において有用な天然の繊維状構造物を作る繊維としては、動物繊維、鉱物繊維、植物繊維、人工紡糸繊維、および加工繊維状要素、例えばセルロースナノフィラメントが挙げられる。動物繊維は、例えば、羊毛、絹、およびそれらの混合物からなる群より選択され得る。植物繊維は、例えば、木材、綿、コットンリンター、亜麻、サイザル麻、アバカ、ヘンプ、ヘスペラロエ、ジュート、竹、バガス、アフリカハネガヤ、わら、ジュート、ヘンプ、トウワタ綿毛、クズ、トウモロコシ、ソルガム、ヒョウタン、リュウゼツラン、トリコーム、ヘチマおよびそれらの混合物からなる群より選択される植物由来であってよい。
【0026】
しばしば木材パルプと呼ばれる木質繊維は、クラフト(硫酸塩)、亜硫酸塩、ポリスルフィド、ソーダパルプ化などを含む当技術分野における経験豊かなものによく知られた多くの化学パルプ化プロセスのいずれか一つにより、それらの起源から遊離される。さらに、繊維はメカニカルおよびセミケミカルプロセスを使用して、それらの起源から遊離されてよく、例えば、丸太、サーモメカニカルパルプ、ケモメカニカルパルプ(CMP)、ケミサーモメカニカルパルプ(CTMP)、アルカリ性過酸化物機械パルプ(APMP)、中性セミケミカル亜硫酸パルプ(NSCS)が挙げられ、それらも企図される。パルプは、所望であれば、二酸化塩素、酸素、アルカリ性過酸化物などの使用を含む、当技術分野における経験豊かなものによく知られたいずれか一つのプロセスまたはその組み合わせにより白化されてよい。しかしながら、化学パルプが好ましい場合があり、なぜならそれらは優れた手触りおよび/または所望のティッシュシート特性を付与するからである。落葉樹(以後、「硬材」と呼ばれる)および針葉樹(以後、「軟材」とも呼ばれる)の両方に由来するパルプが使用されてよく、および/または非木質植物由来の繊維が人工繊維と共に使用されてよい。硬材、軟材、および/または非木質繊維はブレンドされてよく、またはその代わりに、層に堆積されて重層化および/または層状ウェブを提供し得る。米国特許第4,300,981号および3,994,771号は、軟材および硬材繊維の層化を開示する。再生紙由来の繊維、ならびに他の非繊維材料、例えば元の抄紙および紙加工を促進するために使用される接着剤もまた本発明に適用可能である。木材パルプ繊維は、短くても(硬材繊維に典型的)または長く(軟材繊維およびいくつかの非木質繊維に典型的)てもよい。
【0027】
本発明のペーパータオルウェブにおいて使用できる軟材繊維の例としては、マツ、エゾマツ、モミ、カラマツ、ヘムロック、イトスギ、およびヒマラヤスギ由来の繊維が挙げられるが、それらに限定されない。クラフトプロセスに由来し、より北の気候に起因する軟材繊維が好ましい可能性がある。これらはしばしば北部針葉樹さらしクラフト(NBSK)パルプと呼ばれる。
【0028】
本開示の吸収性タオルペーパーウェブの軟材パルプ繊維混合物は、タオルペーパーウェブの乾燥繊維ベースの約18.5重量%~約88.5重量%、好ましくは約25重量%~約75重量%、より好ましくは約35重量%~約65重量%、さらにいっそう好ましくは約45重量%~約55重量%の、軟材パルプ繊維を含む。
【0029】
軟材パルプ繊維は任意で、軟材パルプ繊維混合物への添加前にボンディングを増強させるために処理され得る。この繊維の調製は機械的精製処理を含んでよく、これにより繊維は、圧縮され、および/または高せん断に供されて、繊維をより柔軟にし、かつ繊維フィブリル化、繊維膨潤および増加した繊維柔軟性により増加された繊維対繊維ボンディング面積を生成する。精製は抄紙分野の当業者により知られている任意の手段により実施され得る。メカニカル精製は約20キロワット-時間/絶乾トン(kWh/bdt)未満、好ましくは約10kWh/bdt未満であってよく、より好ましくは、繊維は精製されずに増強された湿潤強度を依然として与え、一定の化学薬品添加を維持しかつペーパーウェブ乾燥強度を維持することが、予想外に分かった。
【0030】
繊維ボンディングを増強させるための任意的な処理は、化学的処理またはパルプおよび抄紙技術分野において知られている「化学的精製」により達成されて、繊維フィブリル化、繊維膨潤を通して繊維対繊維ボンディング面積を増加し、これにより繊維柔軟性も増加する。
【0031】
短い硬材繊維の非限定的な例としては、アカシア、ユーカリ、カエデ、オーク、ヤマナラシ、カバノキ、ヒロハハコヤナギ、ハンノキ、トネリコ、サクランボ、ニレ、ヒッコリー、ポプラ、ゴム、クルミ、ニセアカシア、アメリカスズカケノキ、ブナ、キササゲ、サッサフラス、グメリン(gmelin)、ネムノキ属、およびモクレンからなる群より選択される繊維源由来の繊維が挙げられる。
【0032】
吸収性タオルペーパーウェブは、約10%~約55%、好ましくは20%~約45%、より好ましくは約30%~約40%の、硬材パルプを含む硬材パルプ繊維混合物を含む。
【0033】
本発明の吸収性タオルペーパーウェブの異なる実施形態はまた、それらの個々の表面が変更されない限り、追加のパルプ繊維を含んでよい。
【0034】
リサイクル繊維が、完成紙料に任意の量で添加され得る。任意の好適なリサイクル繊維が使用され得るが、比較的低いレベルの砕木パルプを有するリサイクル繊維が多くの場合好ましく、例えば、15重量%未満のリグニン含量、または10重量%未満のリグニン含量を有するリサイクル繊維が、使用される完成紙料混合物および用途によって好ましい場合がある。
【0035】
「合成ポリマ繊維」および同様の専門用語は、合成ポリマ、例えばポリエステル、ナイロンおよびポリオレフィンなどから生成される繊維を指す。ポリエステルは、一般に公知の重合技術により、脂肪族または芳香族ジカルボン酸と飽和脂肪族または芳香族ジオールから得られる。好ましい芳香族二酸モノマは、低級アルキルエステル、例えばテレフタル酸またはイソフタル酸のジメチルエステルである。典型的な脂肪族ジカルボン酸としては、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデカン二酸または1,4-シクロヘキサンジカルボン酸が挙げられる。好ましい芳香族ジカルボン酸またはそのエステルもしくは無水物は、エステル化またはエステル交換され、および飽和脂肪族または芳香族ジオールと重縮合される。典型的な飽和脂肪族ジオールは、好ましくは低級アルカン-ジオール、例えばエチレングリコールを含む。典型的な脂環式ジオールとしては、1,4-シクロヘキサンジオールおよび1,4-シクロヘキサンジメタノールが挙げられる。典型的な芳香族ジオールとしては、ヒドロキノン、レゾルシノールおよびナフタレンジオールの異性体(1,5-;2,6-;および2,7-)などの芳香族ジオールが挙げられる。脂肪族および芳香族ジカルボン酸ならびに飽和脂肪族および芳香族ジオールの様々な混合物もまた使用され得る。最も典型的には、芳香族ジカルボン酸は脂肪族ジオールと重合されて、ポリエステル、例えばポリエチレンテレフタレート(テレフタル酸+エチレングリコール)を生成する。加えて、芳香族ジカルボン酸は芳香族ジオールと重合されて、全芳香族ポリエステル、例えばポリフェニレンテレフタレート(テレフタル酸+ヒドロキノン)を生成し得る。ポリエステルの例としては下記が挙げられる;ポリエチレンテレフタレート;ポリ(1,4-ブチレン)テレフタレート;および1,4-シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート/イソフタレートコポリマおよび、芳香族ジカルボン酸、例えばイソフタル酸、ビ安息香酸(bibenzoic acid)、ナフタレン-ジカルボン酸、例えば1,5-;2,6-;および2,7-ナフタレン-ジカルボン酸;4,4,-ジフェニレン-ジカルボン酸;ビス(p-カルボキシフェニル)メタン酸;エチレン-ビス-p-安息香酸;1,4-テトラメチレンビス(p-オキシ安息香酸);エチレンビス(p-テトラメチレン酸;1,3-トリメチレンビス(p-オキシ安息香酸);および1,4-テトラメチレンビス(p-オキシ安息香酸)、ならびに2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオール;シクロヘキサンジメタノールおよび一般式HO(CH2)OHの脂肪族グリコール(ここで、nは2~10の整数である)、例えば、エチレングリコール;1,4-テトラメチレングリコール;1,6-ヘキサメチレングリコール;1,8-オクタメチレングリコール;1,10-デカメチレングリコール;および1,3-プロピレングリコールからなる群より選択されるジオール;ならびに一般式HO(CH2CH2O)Hのポリエチレングリコール(ここで、nは2~10,000の整数である)、および芳香族ジオール、例えばヒドロキノン、レゾルシノールおよびナフタレンジオールの異性体(1,5-;2,6-;および2,7)由来の他の直鎖ホモポリマエステル。1つ以上の脂肪族ジカルボン酸、例えばアジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデカン二酸または1,4-シクロヘキサンジカルボン酸もまた存在してよい。
【0036】
好適なポリオレフィン樹脂としては、エチレン、プロピレン、ブテン-1、ペンテン-1,4-メチルペント-1-エンなどのオレフィンを、従来様式で重合することにより生成される材料が挙げられる。繊維に有用なポリオレフィンは、高密度ポリエチレン(HDPE)およびポリプロピレンである。他のポリオレフィンホモポリマおよびエチレンのコポリマが、この発明の実施において使用されてよい。そのような他のポリオレフィンとしては、低密度ポリエチレン(LDPE)、超低密度ポリエチレン(VLDPE)、直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE)およびポリブチレン(PB)が挙げられる。しかしながら、これらの他のポリオレフィンは、他のポリオレフィン、例えばポリプロピレンまたは高密度ポリエチレン(HDPE)とブレンドされてよい。
【0037】
発明の実施において有用なナイロンまたはポリアミド樹脂は当技術分野でよく知られており、半結晶およびアモルファス樹脂を含み、それらは、例えば、ジアミンと4~12の炭素原子を含む飽和ジカルボン酸の等モル量の縮合重合により、ラクタムの開環重合により、またはポリアミドの、例えばポリエーテルポリアミドブロックコポリマを形成する他の成分との共重合により、生成され得る。ポリアミドの例としては、ポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン66)、ポリヘキサメチレンアゼラアミド(ナイロン69)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ナイロン610)、ポリヘキサメチレンドデカノアミド(ナイロン612)、ポリドデカメチレンドデカノアミド(ナイロン1212)、ポリカプロラクタム(ナイロン6)、ポリラウリンラクタム、ポリ-11-アミノウンデカン酸、ならびにアジピン酸、イソフタル酸、およびヘキサメチレンジアミンのコポリマが挙げられる。
【0038】
合成ポリマ繊維は、セルロースと比べて一般に疎水性であり、湿潤強力樹脂にボンディングするためのアニオン性部位またはパルプ由来繊維に効果的に水素結合するために十分なヒドロキシル基を欠く。この発明と関連して使用される好適な繊維としては、溶融紡糸繊維、メルトブロー繊維、複数のセグメントを有する分割性繊維およびとりわけ、ディスクリファイナーにおける精製によりそれらのセグメントに分割可能である分割型複合繊維が挙げられる。Fiber Innovation Technologyから入手可能な1つの好適な繊維は、以下で記載される、0.125デニールの特性繊度を有する、16-セグメント、2-デニールナイロン/ポリエステル複合繊維である。
【0039】
分割性繊維を製造するための分割型繊維調製は熱可塑性繊維との関連で一般に知られおり、ここで、繊維は、異なるポリマで形成されるセグメントを有する。例えば、Pikeらの米国特許第5,759,926号、ならびにSasseらの米国特許第5,895,710号、およびPolancoらの米国特許出願公開第2003/0203695号(米国特許出願番号第10/135,650号)を参照されたい。
【0040】
この発明と関連して生成され利用される分割性繊維は、分割型パイ形状、海島配置、サイドバイサイド配置、中空配置などを有し得る。Murakamiらの米国特許第4,735,849号、図6A-6D、ならびに米国特許出願公開第US2002/0168912号(米国特許出願番号第09/852,888号)、図2-9を参照されたい。分割性繊維は、以下で記載されるように完成紙料中への組み込み前に、好適に崩壊される。
【0041】
この発明でまた企図される人工繊維は、当業者により知られている複数の溶媒を介して調製されるセルロースドープを使用することにより形成される。このドープは繊維へと紡糸され、それは使用され、またはさらにフィブリル化され、吸収性シートに組み込まれ得る。理論に限定されないが、リヨセルなどの合成セルロースが、精製およびより小さな繊維および繊維セグメントを作製するための他の方法によりサイズが低減された改良リヨセルと共に考えられる。米国特許7,718,036号は、様々な考えられる溶媒ならびにティッシュおよびタオル構造物中のフィブリル化ローゼル(losel)の包含物を示す。
【0042】
抄紙動作のための繊維の調製中、長繊維およびいくらかの短繊維パルプは機械的または化学的加工に供され、これにより繊維は圧縮され、高せん断に供されおよび/または化学的に処理されて、繊維をより柔軟にし、かつ繊維フィブリル化、繊維膨潤および増加した繊維柔軟性により増加された繊維対繊維ボンディング面積を生成する。当業者であればパルプ繊維を精製する3つの主要な生成物が下記のようであることを認識するであろう;1)あるパーセンテージの繊維は精製強度および濃度によって、全く影響されない、2)かなりのパーセンテージの繊維がフィブリル化され、これにより繊維細胞壁が層剥離され、元の繊維に結合されたままのミクロフィブリルが露出する、ならびに3)あるパーセンテージの繊維およびミクロフィブリルは切断されまたは非常に小さな小片(200ミクロン未満の長さ)へと機械的に破壊され、この画分は極細繊維画分と呼ばれる。これらの極細繊維は、一次的(天然木材源中に存在するもの)または二次的(精製の作用中に作製されるもの)であり得る。発見されたことは、精製強度、濃度および他の加工条件を変更することにより、セルロースナノフィラメントと呼ばれる新しい繊維構成要素を作製できること、ならびに加工段階および単位動作を最適化することにより、40%超の個別化セルロースナノフィラメントを含む終局パルプ繊維流が生成され得ることである。
【0043】
これらの「セルロースナノフィラメント」は、本発明の実施形態において使用され得る。それらは軟材および/または硬材のいずれかに由来してよく、そのようなものとして、軟材または硬材の繊維状要素を含み得る。セルロースナノフィラメントサイズおよび高アスペクト比により、この材料は、特有の繊維クラスとして区別され、軟材または硬材材料のいずれかとして特徴づけられない。高アスペクト比により、繊維幅で割った繊維長が少なくとも200~約5000、好ましくは約600超~約1000であることが意味される。セルロースナノフィラメントはナノメートル範囲の平均幅、例えば約30nm~約500nmの平均幅、およびマイクロメートル範囲またはそれを超える平均長、例えば約10μm超、好ましくは約100μm~約2mm、より好ましくは約200μm~約1mm、さらにいっそう好ましくは約300μm~約500μmの平均長を有する。そのようなセルロースナノフィラメントは、例えば、機械的手段のみを使用するプロセス、例えば、2012年1月19日に出願された米国特許出願公開第2013/0017394号において開示される方法から得ることができる。加えて、セルロースナノフィラメントは、特定の幾何学的形状が維持される限り、様々なプロセスから製造できる。セルロースナノフィラメントを作製するために使用されるプロセスとしては改良精製機器、ホモジナイザー、超音波繊維処理、および酵素繊維改質を含む化学繊維処理が挙げられるが、それらに限定されない。
【0044】
論文“Nanocellulose Patent Trends: A Comprehensive Review on Patents on Cellulose Nanocrystals, Microfibrillated and Bacterial Cellulose”, Charreau et al, Nanotechnology, 2013 7, 56-80において、著者は長年にわたるミクロフィブリル化セルロース(MFC)に言及する様々な用語についてレビューしており、「セルロースナノフィラメント」はこれらの一般用語に当てはまり得る。本開示の「セルロースナノフィラメント」材料は特定的には、“High aspect ratio cellulose nanofilaments and method for their production”と題する、Hua, X.らの公開US20130017394A1号において開示されるプロセスの結果物である。このプロセスにより生成される材料は、開示されるプロセスが、前に開示された材料よりも著しく高いアスペクト比(長さ/幅)を有するセルロースナノフィラメントを生成するという点で特有である。
【0045】
セルロースナノフィラメントは、それらが少なくとも40重量%、好ましくは75重量%、より好ましくは90重量%の、最大で300-350μmのフィラメント長およびおよそ100-500nmの直径を有するフィブリル化セルロース材料のフィラメントを有するという点で、木材パルプ繊維の機械的分解のための他の方法を使用して調製されるミクロフィブリル化セルロース(MFC)またはナノフィブリル化セルロース(NFC)などの他のセルロース繊維とは構造的に非常に異なる。NFC中のフィブリル化セルロース材料は典型的には、100μmより短い長さを有し、一方、NFC中のフィブリル化セルロース材料は典型的には、1μmより短い長さを有する。しかしながら、セルロースナノフィラメント材料の生成において、機械的手段を用いて生成される同様の他のフィブリル化セルロース材料は1つの一次元値を有する均質な材料ではないことが、当業者により認識されるべきである。上で記載されるセルロースナノフィラメント材料および精製されたパルプ流内に>50%セルロースナノフィラメントを含む精製されたパルプ流の好ましいブレンドが、この発明の基礎である。
【0046】
この発明で企図される実施形態で可能なセルロースナノフィラメントの別の想定される適用は、抄紙場所に輸送される前での、少パーセンテージの純粋セルロースナノフィラメントおよび/またはセルロースナノフィラメントおよび他の精製製品の混合物のいずれかのバージンまたはリサイクルパルプ流への包含である。このように、バージン繊維源はセルロースナノフィラメント添加により増強でき、次いでセルロースナノフィラメントは新規繊維投与流を導入することなしに抄紙プロセスに添加できる。パルプ生成施設でセルロースにセルロースナノフィラメントを投与することにより、セルロースナノフィラメント包含によってのみ可能である特性を有する「スーパーパルプ」と呼ばれるものを生成できるであろう。そのため、セルロースモノフィラメント添加のための多くの異なる方法が本発明で考慮され、これらとしては、セルロースナノフィラメントおよび他の精製副産物(50%超の好ましいナノセルロース含量を有する)の混合物を含む、直接純粋セルロースナノフィラメント包含が挙げられるが、それらに限定されず、セルロースナノフィラメントは、製紙工場での包含前に未使用のまたはリサイクルされた繊維中の包含により添加される。
【0047】
「フィブリル化セルロース繊維」という句は、本明細書では、機械的または化学的処理を受けたセルロース繊維であり、その処理中に個々のセルロースフィラメントまたはその束は、繊維本体から遊離されるが繊維に一端で接合したままであり、より大きなボンディング面積および増加した繊維-繊維接触を生成する。処理の程度が繊維から放出されるセルロースナノフィラメントの数を決定する。
【0048】
本明細書では、「非セルロース繊維」という句は、セルロース以外の材料から構成される天然または人工繊維のいずれかから構成される抄紙繊維の群を意味する。非セルロース繊維としては、人工紡糸繊維、動物起源、および/または微細藻類由来の繊維が挙げられるが、それらに限定されない。加えて、本発明の製品を形成する繊維は、ポリマ溶融組成物から、好適な紡糸動作、例えばメルトブローイングおよび/またはスピンボンディングを介して紡糸されてよく、および/またはそれらは天然源から入手されてもよい。そのような繊維は単成分および/または多成分であってよい。例えば、繊維状要素は複合繊維および/またはフィラメントを含んでよい。複合繊維および/またはフィラメントは任意の形態、例えばサイドバイサイド、芯鞘、海島などであってよい。フィラメントの非限定的な例としては、メルトブローおよび/またはスパンボンドフィラメントが挙げられる。フィラメントへと紡糸できるポリマの非限定的な例としては、天然ポリマ、例えばデンプン、デンプン誘導体、セルロース、例えばレーヨンおよび/またはリヨセル、およびセルロース誘導体、ヘミセルロース、ヘミセルロース誘導体、ならびに合成ポリマ、例えば、限定はされないが熱可塑性ポリマフィラメント、例えばポリエステル、ナイロン、ポリオレフィン、例えばポリプロピレンフィラメント、ポリエチレンフィラメント、および生分解性熱可塑性繊維、例えばポリ乳酸フィラメント、ポリヒドロキシアルカノエートフィラメント、ポリエステルアミドフィラメントおよびポリカプロラクトンフィラメントが挙げられる。繊維の非限定的な例としては、パルプ繊維、例えば木材パルプ繊維、および合成ステープルファイバ、例えばポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、そのコポリマ、レーヨン、ガラス繊維およびポリビニルアルコール繊維が挙げられる。ステープルファイバは、フィラメントトウを紡糸し次いでその2つを5.08cm(2in.)未満のセグメントに切断し、繊維を生成することにより生成され得る。
【0049】
本明細書では、「セルロース極細繊維」という句は、200ミクロン未満の長さを有する繊維材料のクラスを意味する。これらの材料は木中の一次材料、または天然起源の材料を含んでよく、またはそれらは二次物、パルプ化および/またはパルプ繊維のハンドリングのいずれかにより作製されるものとして分類でき、そのため繊維セクションおよび/またはセルロースナノフィラメントセクションを含んでよい。極細繊維は均質な材料ではなく、規定された長さ制限を有する材料のクラスを表すために使用されるにすぎない。
【0050】
本開示の吸収性タオルペーパーウェブの好ましい実施形態は、約0.05~約20.0%、好ましくは約1.0%~約10.0%、より好ましくは約2.0%~約5.0%のセルロースナノフィラメントを含む。
【0051】
この発明で有用なカチオン性強化ポリマとしては、限定はされないが、カチオン性水溶性樹脂が挙げられる。これらの樹脂は、湿潤強度を紙シートに付与し、抄紙技術分野でよく知られている。そのような樹脂としては、ポリアミドエピクロロヒドリン(PAE)、尿素-ホルムアルデヒド樹脂、メラミンホルムアルデヒド樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ジアルデヒドデンプン、およびそれらの混合物が挙げられる。
【0052】
いくつかの実施形態では、ティッシュ製品の強度をさらに増強させるために他の強度剤を使用できる。本明細書では、「湿潤強度剤」は、パルプ繊維に添加されると、約0.1を超える湿潤幾何学的引張強度対乾燥幾何学的引張強度比(ration)を有する、結果として得られるウェブまたはシートを提供できる任意の材料である。典型的には、これらは「永久的」湿潤強度または「一時的」湿潤強度剤と呼ばれる。当技術分野でよく知られているように、一時的なおよび永久的な湿潤強度剤はまた、時として、乾燥時にティッシュ製品の強度を増強する乾燥強度剤としても機能し得る。任意的な化学材料成分のリストは、本質的にほとんど例示的にすぎないことが意図され、本発明の範囲を制限することを意味しない。他の材料もまた、本発明の利点を妨害しない、または弱めない限り包含され得る。
【0053】
湿潤強度剤は、ウェブの所望の特性によって、様々な量で適用され得る。例えば、いくつかの実施形態では、添加される総湿潤強度剤は約0.5~50kg/T、いくつかの実施形態では、2~約15kg/Tであってよく、いくつかの実施形態では、約3~約5kg/Tの強度剤が、多層ティッシュウェブの任意の層に組み入れられてよい。この発明で有用なカチオン性湿潤強力樹脂としては、限定はされないがカチオン性水溶性樹脂が挙げられる。これらの樹脂は紙シートに湿潤強度を付与し、抄紙技術分野においてよく知られている。この樹脂は一時的または永久的湿潤強度のいずれかを繊維状シートに付与できる。そのような樹脂としては、ポリアミドエピクロロヒドリン(PAE)、尿素-ホルムアルデヒド樹脂、メラミンホルムアルデヒド樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ジアルデヒドデンプン、およびそれらの混合物が挙げられる。
【0054】
強度添加物は、永久的湿潤強力樹脂、一時的湿潤強力樹脂、乾燥強度添加物、およびそれらの混合物からなる群より選択され得る。永久的湿潤強度が所望である場合、化学抄紙添加物は下記の化学薬品の群から選択できる:ポリアミドピクロロヒドリン、ポリアクリルアミド、不溶化ポリビニルアルコール;ウレアロムアルデヒド(ureaormaldehyde);ポリエチレンイミン;およびキトサンポリマ。ポリアミドエピクロロヒドリン樹脂はカチオン性湿潤強力樹脂であり、特に有用性があることが見出されている。そのような樹脂の好適な型は、1972年10月24日に発行された米国特許第3,700,623号、および1973年11月13日に発行された3,772,076号(どちらも、Keimに発行)において記載される。有用なポリアミドエピクロロヒドリン樹脂の1つの商業的供給源は、Wilmington, Del.のSolenis LLC.であり、それはそのような樹脂を商標名KYMENE(登録商標)557H下で市場に出している。
【0055】
ポリアクリルアミド樹脂もまた、湿潤強力樹脂として有用性があることが見出されている。これらの樹脂は、1971年1月19日に、Cosciaらに発行された米国特許第3,556,932号、および1971年1月19日に、Williamsらに発行された3,556,933号において記載される。ポリアクリルアミド樹脂の1つの商業的供給源はヘルシンキ、フィンランドのKemira Oyjであり、それは1つのそのような樹脂をFennorezとして市場に出している。
【0056】
この発明において有用性を見出すさらに他の水溶性カチオン性樹脂は、尿素ホルムアルデヒドおよびメラミンホルムアルデヒド樹脂である。これらの多官能性樹脂のより一般的な官能基は、窒素含有基、例えばアミノ基および窒素に付着されるメチロール基である。ポリエチレンイミン型樹脂もまた、本発明において有用性を見出すことができる。
【0057】
一時的湿潤強度が所望である場合、化学抄紙添加物は下記化学薬品の群から選択できる:カチオン性ジアルデヒドデンプン系樹脂(例えば、Japan Carletにより生成されるCaldas、National Starch78-0080またはCobond1000、どちらもNational Starch and Chemical Corporationにより生成);およびジアルデヒドデンプン。加工デンプン一時的湿潤強力樹脂はまた、1987年6月23日に発行された、米国特許第4,675,394号、Solarekらに記載される。好ましい一時的湿潤強力樹脂としては、1991年1月1日にBjorkquistに発行された米国特許第4,981,557号に記載されるものが挙げられる。好ましい一時的湿潤強力樹脂の別の例は、Fennorez、ヘルシンキ、フィンランドのKemira Oyjにより製造される市販の改良ポリアクリルアミド樹脂である。乾燥強度が所望である場合、化学抄紙添加物は下記化学薬品の群から選択できる。ポリアクリルアミド(例えば、Wayne、N.J.のAmerican Cyanamidにより生成されるCypro514およびACCOSTRENGTH711の組み合わせ);デンプン(例えば、コーンスターチまたはジャガイモデンプン);ポリビニルアルコール(例えば、Allentown, Pa.のAir Products Incにより生成されるAIRVOL 540);グアーまたはローカストビーンガム;および/またはカルボキシメチルセルロース(例えば、CPKelco、Atlanta、GA製のCalexes)。一般に、本発明を実施するのに好適なデンプンは、水溶性、および親水性により特徴付けられる。例示的なデンプン材料としては、コーンスターチおよびジャガイモデンプンが挙げられるが、これにより好適なデンプン材料の範囲を制限することは意図されず;および工業的にアミオカ(amioca)デンプンとして知られているワキシーコーンスターチが、特に好ましい。アミオカデンプンは、それが完全にアミロペクチンであるという点で一般的なコーンスターチと異なり、一方、一般的なコーンスターチはアミロペクチンおよびアミロースの両方を含む。アミオカデンプンの様々な特有の特性は、“Amioca - The Starch From Waxy Corn”, H. H. Schopmeyer, Food Industries, 1945年12月, pp. 106-108 (Vol. pp. 1476-1478)においてさらに記載される。デンプンは顆粒または分散形態であってよいが、顆粒形態が好ましい。デンプンは好ましくは、十分調理されて顆粒の膨潤を誘導する。より好ましくは、デンプン顆粒は、デンプン顆粒の分散の直前に、ある程度まで加熱調理により膨潤される。そのような高膨潤デンプン顆粒は、「完全調理された」と呼ばれる。分散のための条件は、一般には、デンプン顆粒のサイズ、顆粒の結晶化度、および存在するアミロースの量によって変動し得る。完全調理されたアミオカデンプンは、例えば、約4%濃度のデンプン顆粒の水性スラリーを約190°F(約88℃)で約30~約40分間加熱することにより調製できる。使用できる他の例示的なデンプン材料としては、加工カチオン性デンプン、例えば、National Starch and Chemical Company(Bridgewater、N.J.)から入手可能な、窒素含有基、例えばアミノ基および窒素に付着されたメチロール基を有するように加工されたものが挙げられる。そのような加工デンプン材料は今まで、湿潤および/または乾燥強度を増加させるためのパルプ完成紙料添加物として主に使用されてきた。しかしながら、ティッシュペーパーウェブへの適用によりこの発明により適用される場合、それらは同じ加工デンプン材料のウェットエンド添加に比べて、湿潤強度への低減された効果を有し得る。そのような加工デンプン材料が未加工デンプンよりも高価であることを考慮すると、後者が一般には好ましいものであった。これらの湿潤および乾燥強力樹脂は、この発明で記載されるプロセスにより添加されることに加えて、パルプ完成紙料に添加され得る。化学化合物、例えば上で記載される湿潤強力および一時的湿潤強力樹脂のパルプ完成紙料への添加は任意であり、本開発の実施に必要ではないことが理解されるべきである。
【0058】
本発明のプロセスの好ましい実施形態では、カチオン性強化ポリマは、生成される吸収性タオルまたはサニタリティッシュ製品の乾燥繊維ベースの約0.25重量%~約5.0重量%、好ましくは約0.5重量%~約3.0重量%、より好ましくは約1.0重量%~約2.0重量%の範囲の量で完成紙料に添加される。一般に、吸収性タオル製品を製造するためのプロセスはより高いレベルのポリマを添加し、この場合、ポリマは最大で約5.0%、好ましくは最大で約3.0%、より好ましくは最大で約1.5%添加される。反対に、サニタリティッシュ製品を生成するためのプロセスはわずかに低いレベルの強化ポリマを添加し、この場合、ポリマは、最大で約3.0%、好ましくは最大で約1.5%添加される。
【0059】
本開示では、現在のところ抄紙メーカーが利用できるものより高い濃度または活性レベルを有し、本開示において開示される下限未満のレベルで吸収性タオルペーパーウェブと等価になるであろう実施形態となり得る、ポリマおよびポリマ溶液が、現在または将来生成され得ることが、理解され企図される。
【0060】
本開示の繊維状構造物は均質であってよく、または層状であってよい。層状である場合、繊維状構造物は少なくとも2および/または少なくとも3および/または少なくとも4および/または少なくとも5つの層を含み得る。
【0061】
「目付」は、本明細書では、lbs/3000ftまたはg/mで報告される試料の単位面積あたりの重量である。本発明の繊維状タオル構造物および/またはサニタリティッシュ製品は10g/m2~約120g/m2および/または約14g/m2~約80g/m2および/または約20g/m2~約60g/m2の目付を表してよい。
【0062】
目付は、ある一定の面積(m)の1つ以上の試料を調製すること、および本発明による繊維状構造物および/またはそのような繊維状構造物を含む紙製品の試料(複数可)を0.01gの最小分解能を有するトップローディングはかり上で量ることにより測定される。はかりは気流および他の障害からドラフトシールドを用いて防護される。
【0063】
重量を、はかりの読取り値が一定になった時に記録する。平均重量(g)および試料の平均面積(m)が計算される。目付(g/m)は平均重量(g)を試料の平均面積(m)で割ることにより計算される。
【0064】
「サニタリティッシュ製品」は本明細書では、排尿および排便後クリーニング(トイレットペーパー)、耳鼻咽喉科学的放出(化粧紙)、および多機能吸収性およびクリーニング用途(吸収性タオル)のための拭き道具として有用なソフト低密度(すなわち約0.15g/cm未満)ウェブを意味する。本開示により調製されるサニタリティッシュ製品は、任意の好適な後処理、例えば、限定はされないが印刷、エンボス加工、カレンダー仕上げ、スリッティング、折り畳み、他の繊維状構造物との組み合わせおよび/または巻取などに供されてよい。
【0065】
吸収性タオルペーパーウェブの好ましい実施形態では、繊維状構造物は、約20%~90%(重量パーセント)の精製された軟材パルプ繊維混合物を含む。長繊維軟材パルプ繊維混合物は、タオル製品の乾燥繊維ベースの約18.5重量%~約88.5重量%の軟材パルプを含み、ここで軟材パルプは、カチオン性強化ポリマと合わせる前に、任意で精製され、または精製されない。カチオン性強化ポリマは水性流に、約0.25重量%~約5.0重量%のポリマが抄紙完成紙料に添加されることを可能にするように、添加される。軟材パルプおよびカチオン性ポリマを合わせた後、タオルペーパーウェブの乾燥繊維ベースの約0.05重量%~約20重量%のセルロースナノフィラメントが、流れ中にブレンドされる。発明のこの実施形態では、この軟材繊維、セルロースナノフィラメントおよびカチオン性流はその後、タオル製品の、乾燥繊維ベースの10重量%~55重量%の硬材パルプ繊維混合物とブレンドされ、上で記載されるプロセスのいずれかにより繊維状シートへと形成される。吸収性タオルペーパーは、約6Nm/g~約12Nm/gの幾何平均引張強度指数、約300N/m~約600N/mの範囲の総乾燥引張強度値、および約0.20~約0.50の横目湿潤引張強度対横目乾燥引張強度比を有する。
【0066】
セルロースナノフィラメントを含む吸収性タオルペーパーウェブの他の実施形態は、約0.25~約0.35の横目湿潤引張強度対横目乾燥引張強度比を有し得る。
【0067】
本発明の別の実施形態では、軟材繊維流は、抄紙系の1つまたは複数の別個の層中に送り込まれ、10~55重量%の硬材パルプ繊維流から分離される。このプロセス実施形態は、約6Nm/g~約12Nm/gの幾何平均引張強度指数および約0.295~約0.35の横目湿潤引張強度対横目乾燥引張強度比を有するより高い強度の吸収性タオルウェブ製品を生成する。
【0068】
本出願の吸収性ペーパータオルウェブはまた、カチオン性強化ポリマを含む。一般に、カチオン性強化ポリマは、ウェブの所望の特性によって、様々な量で適用され得る。例えば、いくつかの実施形態では、添加される総湿潤強度剤は約0.5~50kg/T、いくつかの実施形態では2~約15kg/T、いくつかの実施形態では、約3~約5kg/Tであってよい。強度ポリマは、多層ティッシュウェブの任意の層中に組み入れられてよい。
【0069】
任意的な材料成分-化学抄紙添加物:
所望であれば、様々な化学添加組成物が、消費者所望の利点、例えば柔らかさ、少ない糸くず、吸収性、および/またはシート柔軟性をさらに増強させるために、吸収性ペーパータオルウェブに任意で添加され得る。化学添加物は剥離剤(debonder)、ケイ素軟化添加物、非ケイ素軟化添加物、非カチオン性強化添加物、吸収性添加物および美的添加物からなる群より選択される。
【0070】
剥離剤
化学剥離剤もまた、ウェブを軟化させるために適用できる。特定的には、化学剥離剤はウェブの1つ以上の層内の水素結合の量を低減でき、これにより、よりソフトな製品が得られる。得られるティッシュ製品の所望の特性によって、剥離剤は、ペーパーウェブの乾燥繊維ベースの0重量%~約3.0重量%、好ましくは約0.1~約2.0重量%、より好ましくは約0.5~約1.0重量%の量で適用できる。剥離剤は、単層または多層ティッシュウェブの任意の層に組み入れることができる。
【0071】
本発明において軟化剤添加物として使用するのに好適な剥離剤はカチオン性および非カチオン性界面活性剤の両方を含み、カチオン性界面活性剤が好ましい。非カチオン性界面活性剤としては、アニオン性、非イオン性、両性、および双性イオン性界面活性剤が挙げられる。好ましくは、界面活性剤は、ティッシュペーパーが製造された後、ティッシュペーパーの特性の製造後変化(そうでなければ界面活性剤の包含により起こり得る)を実質的に除去するために、インサイチューで実質的に非移動性である。これは、例えば、発明のティッシュペーパー製品実施形態の貯蔵、輸送、販売、および使用の間に普通に遭遇する温度を超える溶融温度を有する界面活性剤の使用により、達成され得る:例えば、約50℃以上の溶融温度。
【0072】
前記柔らかさ/引張利点を提供するためにティッシュペーパーウェブに適用される非カチオン性界面活性剤のレベルは、最終生成物についての一定引張ベースでそのような利点を付与するのに必要とされる最小有効レベル~約2%の範囲であり:好ましくは約0.01%~約2%の非カチオン性界面活性剤がウェブにより保持され;より好ましくは、約0.05%~約1.0%;最も好ましくは、約0.05%~約0.3%である。界面活性剤は好ましくは、8以上の炭素原子を有するアルキル鎖を有する。例示的なアニオン性界面活性剤は、直鎖スルホン酸アルキル、およびアルキルベンゼンスルホン酸塩である。例示的な非イオン性界面活性剤は、アルキルグリコシドであり、アルキルグリコシドエステル例えばCRODESTA(登録商標)SL-40(Croda, Inc. (New York, N.Y.)から入手可能である);1977年3月8日にW. K. Langdonに発行された米国特許第4,011,389号に記載されるアルキルグリコシドエーテル;アルキルポリエトキシル化エステル、例えばGlyco Chemicals, Inc. (Greenwich, Conn.)から入手可能なPEGOSPERSE(登録商標)200ML;アルキルポリエトキシル化エーテルおよびエステル、例えばShell Chemical Coから入手可能なNEODOLR25-12;ソルビタンエステル、例えばICI America, Inc製のSPAN60、エトキシル化ソルビタンエステル、プロポキシル化ソルビタンエステル、混合エトキシル化プロポキシル化ソルビタンエステル、およびポリエトキシル化ソルビタンアルコール、例えばTWEEN60(これもICI America, Inc.製)が挙げられる。アルキルポリグリコシドが、本発明における使用には特に好ましい。例示的な界面活性剤の上記リストは本質的に単に例示的なものであると意図され、本発明の範囲を制限することを意味しない。
【0073】
ケイ素
主として滑らかな手触りを付与することにより機能する化学軟化剤が所望である場合、ポリシロキサンまたは「ケイ素」が使用され得る。得られるティッシュ製品の所望の特性によって、ケイ素はペーパーウェブの乾燥繊維ベースの0重量%~約3.0重量%、好ましくは約0.1~約2.0重量%、より好ましくは約0.5~約1.0重量%の量で適用できる。ケイ素は単層または多層ティッシュウェブの任意の層に組み入れることができる。本発明において使用するのに好適なケイ素化合物は下で詳細に記載される。
【0074】
ポリシロキサン化合物は好ましくは、下記構造のモノマシロキサン単位を有し:
【化1】
式中、R1およびR2は、各独立したシロキサンモノマ単位について、それぞれ独立して、水素または任意のアルキル、アリール、アルケニル、アルカリル、アラキル(arakyl)、シクロアルキル、ハロゲン化炭化水素、または他のラジカルであってよい。そのようなラジカルのいずれも置換でき、または非置換であってよい。任意の特定のモノマ単位のR1およびR2ラジカルは、次の隣接するモノマ単位の対応する官能基と異なっていてよい。加えて、ポリシロキサンは直鎖、分枝鎖のいずれかであってよく、環状構造をとることもできる。ラジカルR1およびR2は、さらに独立して、他のケイ素(silaceous)官能基、例えば、限定はされないがシロキサン、ポリシロキサン、シラン、およびポリシランであってよい。ラジカルR1およびR2は、例えば、アルコール、カルボン酸、アルデヒド、ケトンおよびアミン、アミド官能基を含む、様々な有機官能基のいずれかを包含してよく、アミノ官能性シリコーン化合物が好ましい。例示的なアルキルラジカルはメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、オクチル、デシル、オクタデシルなどである。例示的なアルケニルラジカルはビニル、アリルなどである。例示的なアリールラジカルはフェニル、ジフェニル、ナフチルなどである。例示的なアルカリルラジカルはトイル(toyl)、キシリル、エチルフェニルなどである。例示的なアラキル(arakyl)ラジカルはベンジル、α-フェニルエチル、β-フェニルエチル、α-フェニルブチルなどである。例示的なシクロアルキルラジカルはシクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどである。例示的なハロゲン化炭化水素ラジカルはクロロメチル、ブロモエチル、テトラフルオロエチル、フルオロエチル、トリフルロエチル、トリフルオロトイル、ヘキサフルオロキシリルなどである。ポリシロキサンを開示する参考文献としては、1958年3月11日にGeenに発行された米国特許第2,826,551号;1976年6月22日にDrakoffに発行された米国特許第3,964,500号;1982年12月21日に、Paderに発行された米国特許第4,364,837号、1991年10月22日にAmpulskiらに発行された米国特許第5,059,282号;および1960年9月28日に公開されたWoolstonの英国特許第849,433号が挙げられる。また、Petrarch Systems, Inc.により1984年に分配されたSilicon Compounds,pp181-217は、一般にポリシロキサンの広範なリストおよび記載を含む。
【0075】
強度添加物
強度添加物はティッシュペーパーウェブに単独で、軟化剤、吸収性、および/または美的添加物の添加と同時に、その前に、またはその後に適用され得る。少なくとも有効量の強度添加物、好ましくはデンプンは、糸くず制御および同時に強度増加を、非バインダ処理と比べて乾燥時に提供するが、そうでなければ、同一のシートが好ましくはシートに適用される。好ましくは、乾燥繊維重量ベースで計算される、約0.01%~約2.0%の強度添加物が乾燥シート中に保持され;より好ましくは、約0.1%~約1.0%の強度添加物材料、好ましくはデンプン系が保持される。
【0076】
軟化添加物
化学抄紙添加物乳化界面活性剤材料以外の任意の界面活性剤は以後「界面活性剤」と呼ばれ、乳化された化学抄紙添加物の乳化成分として存在する任意の界面活性剤は以後「乳化剤」と呼ばれる。界面活性剤は単独で、または他の化学抄紙添加物と同時に、その後に、もしくはその前にティッシュペーパーに適用され得る。典型的なプロセスでは、別の添加物が存在する場合、界面活性剤は他の添加物(複数可)と同時にセルロース基材に適用される。糸くず制御のために、および/または引張強度を増加させるために、剥離剤含有ティッシュペーパーを比較的低いレベルのバインダで処理することもまた、望ましい可能性がある。
【0077】
主として滑らかな手触りを付与することにより機能する化学軟化剤が所望である場合、それは下記の化学薬品の群から選択できる。有機材料(例えば、鉱物油またはワックス、例えばパラフィン(parafin)もしくはカルナバ(carnuba)、またはラノリン);およびポリシロキサン(例えば、Ampulskiに発行された米国特許第5,059,282号に記載される化合物)。本発明での使用に好適なポリシロキサン化合物は下で詳細に記載される。
【0078】
主として構造を可塑化することにより機能する化学軟化剤が所望である場合、それは下記の化学薬品の群から選択できる:ポリエチレングリコール(例えばPEG400);ジメチルアミン;および/またはグリセリン。
【0079】
主として剥離することにより機能するカチオン性化学軟化剤が所望である場合、それは下記の化学薬品の群から選択できる。カチオン性四級アンモニウム化合物(例えば二水素化獣脂ジメチルアンモニウムメチルスルフェート(DTDMAMS)または二水素化獣脂ジメチルアンモニウムクロリド(DTDMAC)、どちらもGreenwich, Conn.のWitco Corporationにより生成される;Berocel579(Stennungsund, SwedenのEka Nobel製);Osbornに発行された米国特許第4,351,699号および4,447,294号において記載される材料;および/またはDTDMAMSまたはDTDMACのジエステル誘導体)。特に、下記式を有する四級アンモニウム化合物もまた本発明での使用に好適である:
(R4-m-N-[R2]
mは1~3であり;
各RはC-Cアルキル基、ヒドロキシアルキル基、ヒドロカルビルもしくは置換ヒドロカルビル基、アルコキシル化基、ベンジル基、またはそれらの混合物であり;各RはC-C41アルキル基、ヒドロキシアルキル基、ヒドロカルビルもしくは置換ヒドロカルビル基、アルコキシル化基、ベンジル基、またはそれらの混合物であり;ならびにXは任意の軟化剤-適合性アニオンである。好ましくは、各RはC16-C18アルキルであり、最も好ましくは各Rは直鎖C18アルキルである。好ましくは、各Rはメチルであり、Xは塩化物またはメチルスルフェートである。任意で、R置換基は植物油源由来であってよい。下記式を有する生分解性エステル-官能性四級アンモニウムもまた、本発明で使用できる:
(R4-m-N-[(CH-Y-R
各Y=-O-(O)C-、または-C(O)-O-;
m=1~3;好ましくは、m=2;
各n=1~4;好ましくは、n=2;
各R置換基は短鎖C-C、好ましくはC-C、アルキル基、例えば、メチル(最も好ましい)、エチル、プロピル、など、ヒドロキシアルキル基、ヒドロカルビル基、ベンジル基またはそれらの混合物であり;各Rは長鎖、少なくとも部分不飽和(約5超~約100未満、好ましくは約10~約85のIV)、C11-C23ヒドロカルビル、もしくは置換ヒドロカルビル置換基であり、対イオン、Xは任意の軟化剤適合性アニオン、例えば、酢酸、塩化物、臭化物、メチル硫酸、ギ酸、硫酸、硝酸などである。好ましくは、Rの大半は、少なくとも90%のC18-C24鎖長を含有する脂肪アシルを含む。より好ましくは、Rの大半は、少なくとも90%のC18、C22およびそれらの混合物を含有する脂肪アシルからなる群より選択される。
【0080】
他の型の好適な四級アンモニウム化合物は、Kimberly-Clark Corporationに譲渡され、1995年12月12日に公開された欧州特許第0688901A2号において記載される。
【0081】
三級アミン軟化化合物もまた本発明で使用される。好適な三級アミン軟化剤の例は、James River Corporationに譲渡され、1995年3月21日に発行された米国特許第5,399,241号において記載される。
【0082】
吸収性添加物
増強された吸収性が所望である場合、界面活性剤が、本発明のペーパーウェブを処理するために使用され得る。界面活性剤のレベルは、使用される場合、1つの実施形態では、ティッシュウェブの乾燥繊維重量ベースにより約0.01%~約2%であってよい。1つの実施形態では、界面活性剤は8以上の炭素原子を有するアルキル鎖を有する。あるいは、高度の不飽和(モノおよび/またはポリ)および/または分枝鎖アルキル基を有するカチオン性軟化剤活性材料成分は著しく吸収性を増強できる。
【0083】
吸収率を増強させる吸収性助剤が所望である場合、それは下記の化学薬品の群から選択できる:ポリエトキシレート(例えばPEG400);アルキルエトキシル化エステル(例えばLonza Inc.製のPEGOSPERSE200ML);アルキルエトキシル化アルコール(例えばNeodol);アルキルポリエトキシル化ノニルフェノール(例えば、Rhone-Poulenc/GAFにより生成されるIGEPAL CO)、エトキシレートトリメチルペンタンジオール、および/またはSpendelに発行された米国特許第4,959,125号および4,940,513号において記載される材料。界面活性剤剥離剤軟化剤が湿潤を減少させるそれらの場合には、湿潤剤、例えば、第2の界面活性剤が適用溶液に添加され得る。例えば、ソルビタンステアレートエステルをアルキルポリエトキシル化アルコールと混合してソフト湿潤性紙を生成できる。
【0084】
水溶性ポリヒドロキシ化合物もまた、吸収性助剤および/または湿潤剤として使用できる。本発明での使用に好適な水溶性ポリヒドロキシ化合物の例としては、グリセロール、約150~約800の重量平均分子量を有するポリグリセロールならびに約200~約4000、好ましくは約200~約1000、最も好ましくは約200~約600の重量平均分子量を有するポリオキシエチレンおよびポリオキシプロピレンが挙げられる。約200~約600の重量平均分子量を有するポリオキシエチレンがとりわけ好ましい。上記ポリヒドロキシ化合物の混合物もまた使用され得る。例えば、グリセロールおよびポリグリセロールの混合物、グリセロールおよびポリオキシエチレンの混合物、ポリグリセロールおよびポリオキシエチレンの混合物、などが本発明で有用である。特に好ましいポリヒドロキシ化合物は約400の重量平均分子量を有するポリオキシエチレンである。この材料は、Danbury, Conn.のUnion Carbide Companyから商標名「PEG-400」で市販されている。
【0085】
吸収率を減少させる吸収性助剤が所望である場合、それは下記の化学薬品の群から選択できる。アルキルケテン二量体(例えば、Hercules Inc., Wilmington, Del.により製造されるAQUAPELR 360XC Emulsion);フルオロカーボン(例えば、Minneapolis, Minn.の3MによるScotch Guard)疎水性シリコーン(例えば、Midland, Mich.のDow CoirningによるPDMS DC-200)、フルオロテロマー(例えば、Wilmington, Del.のDupontによるZONYL7040)、など。
【0086】
吸収性添加物は単独で、または強度添加物と組み合わせて使用できる。デンプン系強度添加物は、本発明での使用に好ましいバインダであることが見出されている。好ましくは、ティッシュペーパーはデンプンの水溶液で処理される。完成ティッシュペーパー製品の糸くずを低減することに加えて、低レベルのデンプンはまた、板性(boardiness)(すなわち、剛性)(高レベルのデンプンの添加に起因するであろう)を付与することなく、ティッシュペーパーの引張強度に適度な改善を付与する。また、これは、引張強度を増加させる従来の方法により強化されたティッシュペーパー:例えば、パルプのさらなる精製により;または他の乾燥強度添加物の添加により増加した引張強度を有するシートに比べて改善された強度/柔らかさ関係を有するティッシュペーパーを提供する。この結果はとりわけ驚きに値する。なぜならデンプンは伝統的に、柔らかさが重要な特徴ではない用途:例えば、板紙において、柔らかさを犠牲にして、強度を強化するために使用されてきたからである。加えて、補足的に、デンプンは、表面印刷適性を改善するために印刷用紙および筆記用紙のためのフィラーとして使用されてきた。
【0087】
美的添加物
美的添加物が所望である場合、それは下記の化学薬品の群から選択できる:インク;染料;芳香剤;乳白剤(例えばTiO2または炭酸カルシウム)、光学的増白剤、およびそれらの混合物。紙の美学もまた、この発明で記載されるプロセスを使用して改善できる。インク、染料、および/または芳香剤が好ましくは、水性組成物に添加され、その後、それはティッシュペーパーウェブに適用される。美添加物は単独で、または湿潤、軟化、および/または強度添加物と組み合わせて適用され得る。
【0088】
本開示のペーパーウェブは高い乾燥引張強度を有する。ペーパーウェブは約6Nm/g~約12Nm/gの範囲の幾何平均引張強度指数を有する。好ましい実施形態ペーパーウェブは約7Nm/g~約10Nm/gの範囲の幾何平均引張強度指数を有する。別々に測定して、本開示のペーパーウェブは、単層では約300N/m~約600N/mの範囲の総乾燥引張強度を有し、好ましい単層実施形態は、約350N/m~約500N/mの範囲の乾燥引張強度を有する。
【0089】
本開示の抄紙機で生成される単層ペーパーウェブはまた、高い横目(CD)湿潤引張強度を有する。本開示のペーパーウェブは、約0.20~約0.50N/mの範囲の横目湿潤引張強度対横目乾燥引張強度比を有し、好ましい実施形態は、約0.295~約0.35の範囲のCD湿潤引張強度対CD乾燥引張強度比を有する。
【0090】
製造プロセス
図1で、抄紙へッドボックス1を有するツインワイヤフォーマーは、抄紙繊維の水性懸濁液の完成紙料を複数のフォーミングファブリック、例えば外側フォーミングファブリック5および内側フォーミングファブリック3上に注入または堆積し、これにより、ウェットティッシュウェブ6を形成する。本開示の形成プロセスは、抄紙業界で知られている任意の従来の形成プロセスであってよい。そのような形成プロセスとしては、長網、ルーフフォーマー、例えばサクションブレストロールフォーマー、およびギャップフォーマー、例えばツインワイヤフォーマーおよびクレセントフォーマーが挙げられるが、それらに限定されない。
【0091】
内側フォーミングファブリック3がフォーミングロール4周りに回転するにつれ、ウェットティッシュウェブ6が内側フォーミングファブリック3上に生じる。内側フォーミングファブリック3は、ウェットティッシュウェブ6が繊維の乾燥重量に基づき約10パーセントの濃度まで部分的に脱水される際に新たに形成されるウェットティッシュウェブ6をプロセスの下流で支持し運搬するように機能する。ウェットティッシュウェブ6の追加の脱水は公知の抄紙技術、例えば真空サクションボックスにより実施され得、その間、内側フォーミングファブリック3はウェットティッシュウェブ6を支持する。ウェットティッシュウェブ6は、少なくとも約20パーセント、より特定的には約20~約40パーセント、より特定的には約20~約30パーセントの濃度へとさらに脱水され得る。
【0092】
フォーミングファブリック3は一般に、好適な多孔性材料、例えば金属ワイヤーまたはポリマフィラメントから製造できる。例えば、いくつかの好適なファブリックとしては下記が挙げられるが、それらに限定されない:Albany International(Albany, N.Y.)から入手可能なAlbany84Mおよび94M、Asten856、866、867、892、934、939、959、または937;Asten Synweve Design274、それらは全て、Asten Forming Fabrics, Inc.(Appleton, Wis.)から入手可能;ならびにVoith Fabrics(Appleton, Wis.)から入手可能なVoith2164。不織ベース層を含むフォーミングファブリックまたはフェルトもまた有用であり得、押出ポリウレタンフォ一ム、例えばSpectra Seriesを用いて製造されたScapa Corporationのものが挙げられる。
【0093】
ウェットウエブ6はその後、フォーミングファブリック3からトランスファーファブリック8にトランスファーされ、その間、固体濃度は約10~約40パーセント、特に、約20~約30パーセントである。本明細書では、「トランスファーファブリック」はウェブ製造プロセスの形成セクションと乾燥セクションの間に配置されるファブリックである。
【0094】
トランスファーファブリック8へのトランスファーは、正圧および/または負圧の助けにより実施され得る。例えば、1つの実施形態では、真空シュー9は、フォーミングファブリック3およびトランスファーファブリック8が、真空スロットの先端で同時に合流し、分岐するように、負圧を適用できる。典型的には、真空シュー9は約10~約25水銀柱インチのレベルで圧力を供給する。上記のように、真空トランスファーシュー9(負圧)は、ウェブを次のファブリック上に吹き飛ばすウェブの反対側からの正圧の使用により補充または置き換えることができる。いくつかの実施形態では、他の真空シューもまた、繊維ウェブ6をトランスファーファブリック8の表面上に引き出すのを助けるために使用できる。
【0095】
典型的には、トランスファーファブリック8は、ウェブのMDおよびCDストレッチを増強させるためにフォーミングファブリック3より遅い速度で進み、それは一般に、その横目(CD)または縦目(MD)のウェブのストレッチを指す(試料破損時のパーセント伸長として表される)。例えば、2つのファブリック間の相対速度差は約1~約30パーセント、いくつかの実施形態では約5~約20パーセント、いくつかの実施形態では、約10~約15パーセントであってよい。これは一般に「ラッシュトランスファー」と呼ばれる。「ラッシュトランスファー」中、ウェブのボンドの多くは破壊されると考えられ、これにより、シートは、トランスファーファブリック8の表面上の凹みへと曲がって折り重なることを余儀なくされる。トランスファーファブリック8の表面の外形へのそのような成型は、ウェブのMDおよびCDストレッチを増加し得る。1つのファブリックから別のものへのラッシュトランスファーは、下記の特許、米国特許第5,667,636号、5,830,321号、4,440,597号、4,551,199号、4,849,054号のいずれか一つで教示される原理に従うことができる。
【0096】
ウェットティッシュウェブ6はその後、トランスファーファブリック8からスルーエア乾燥ファブリック11にトランスファーされる。典型的には、トランスファーファブリック8は、スルーエア乾燥ファブリック11とおよそ同じ速度で進む。しかしながら、今では、第2のラッシュトランスファーは、ウェブがトランスファーファブリック8からスルーエア乾燥ファブリック11にトランスファーされる時に実施され得ることが発見されている。このラッシュトランスファーは本明細書では、第2の位置で起こるものとして言及され、スルーエア乾燥ファブリック11をトランスファーファブリック8より遅い速度で動作させることにより達成される。2つの別個の位置で、すなわち、第1および第2の位置でラッシュトランスファーを実施することにより、増加したCDストレッチを有するティッシュ製品が生成され得る。
【0097】
ウェットティッシュウェブをトランスファーファブリック8からスルーエア乾燥ファブリック11にラッシュトランスファーすることに加えて、ウェットティッシュウェブ6は、真空トランスファーロール12または真空シュー9のような真空トランスファーシューの助けにより、スルーエア乾燥ファブリック11の表面に従うように肉眼的に再配列され得る。所望であれば、スルーエア乾燥ファブリック11は、トランスファーファブリック8の速度より遅い速度で移動されて、得られた吸収性ティッシュ製品のMDストレッチをさらに増強できる。トランスファーを真空補助により実施して、スルーエア乾燥ファブリック11のトポグラフィーへのウェットティッシュウェブ6の適合を確保してもよい。
【0098】
スルーエア乾燥ファブリック11により支持される間、ウェットティッシュウェブ6は、スルーエアードライヤー13により約94パーセント以上の最終濃度へと乾燥される。ウェブ15はその後、リールドラム22とリール23の間の巻取ニップを通過し、その後の加工、例えばスリッティング切断、折り畳み、およびパッケージングのためのティッシュのロール25に巻き取られる。
【0099】
ウェブは、最終乾燥のためのスルーエア乾燥ファブリックに、好ましくは真空の助けによりトランスファーされて、所望の嵩および外観を与えるためのウェブの肉眼的再配列を確保する。別々のトランスファーおよびスルーエア乾燥ファブリックの使用は様々な利点を与えることができる。なぜなら、それは、2つのファブリックが独立して重要な製品要件に対処するように特定的に設計されることを可能にするからである。例えば、トランスファーファブリックは一般に、高ラッシュトランスファーレベルの高MDストレッチへの効率的な変換を可能にするように最適化され、一方、スルーエア乾燥ファブリックは、嵩およびCDストレッチを届けるように設計される。そのため、中程度に粗く、中程度に3次元のトランスファーファブリックおよびスルーエア乾燥ファブリック(最適化配置ではかなり粗くおよび三次元である)を有することが有用である。結果は、比較的滑らかなシートがトランスファーセクションを出て行き、その後、肉眼的に再配列されて(真空援助により)、スルーエア乾燥ファブリックの高い嵩、高いCDストレッチ表面トポロジーを与えることである。シートトポロジーは完全にトランスファーからスルーエア乾燥ファブリックへと変化し、繊維は、著しい繊維-繊維移動を含み、肉眼的に再配列される。
【0100】
乾燥プロセスは、ウェットウェブの嵩または厚さを保存する傾向のある任意の非圧縮または圧縮乾燥方法であってよく、限定はされないが、スルーエア乾燥、赤外放射、マイクロ波乾燥、Valmet NTT、Voith ATMOS、などが挙げられる。その商業的入手性および実用性のために、スルーエア乾燥がよく知られており、この発明の目的のためのウェブを非圧縮で乾燥するための1つの一般的に使用される手段である。好適なスルーエア乾燥ファブリックとしては、実質的に連続な縦目リッジを有するファブリックが挙げられるが、それらに限定されず、それによりリッジは複数の縦糸がまとめられて形成され、例えば米国特許第6,998,024号において開示されるものである。他の好適なスルーエア乾燥ファブリックとしては、米国特許第7,611,607号において開示されるもの、特にFred(t1207-77)、Jeston(t1207-6)およびJack(t1207-12)と呼ばれるファブリックが挙げられる。ウェブは好ましくは、スルーエア乾燥ファブリック上で最終乾燥度へと乾燥され、ヤンキードライヤーの表面にプレスされず、その後のクレープ加工はない。
【0101】
ウェットティッシュウェブ6が非圧縮乾燥されるとすぐに、これにより乾燥ティッシュウェブ15を形成し、巻き取り前に乾燥ティッシュウェブ15をヤンキードライヤーにトランスファーすること、または代替短縮法、例えば米国特許第4,919,877号で開示されるマイクロクレープ加工を使用することにより、乾燥ティッシュウェブ15をクレープ加工できる。
【0102】
新ティッシュ技術-NTT
抄紙機10が図2に示される。抄紙機はウェットセクションまたは形成セクション20、プレスセクション30および乾燥セクション50を含む。ウェットセクション20はへッドボックスへッドボックス22、フォーミングロール23、エンドレス内側布24、およびフォーミングワイヤーからなるエンドレス外側布25を含む。内側および外側布24および25は、それぞれ、いくつかのガイドロール26および27周りの別個のループで動く。
【0103】
乾燥セクション50は加熱乾燥シリンダー52を含み、これはフード54により覆われる。乾燥シリンダーおよびフードは集合的にヤンキードライヤーを構成できる。乾燥セクションの出口側で、クレーピングドクター56が配列されて、乾燥シリンダー52から出る繊維ウェブをクレープ加工する。適用装置装置58が、乾燥シリンダー52の外皮表面上で好適な接着剤または他の組成物を適用するために提供される。得られたクレープウェブはその後、要望通りの最終製品形態へのその後の変換のためにペアレントロール(図示せず)へとローリングされる。
【0104】
プレスセクション30は少なくとも1つのプレスを含み、これは2つの協同する第1および第2のプレス部材31および32を有し、そのプレス部材は一緒に、プレスニップを規定する。さらに、プレスセクションは、第1のプレス部材31およびガイドロール34周りのループで動くエンドレスプレスフェルト33、ならびにエンドレス不透過性トランスファーベルト35を含む。トランスファーベルト35は第2のプレス部材32および複数のガイドロール36周りのループで動く。サクションロール(番号付けされていない)はまた図1において、プレスニップの上流で、フェルト33が内側布24と重なる位置でフェルト33のループ内に示される。このサクションロールは、プレスニップの前でフェルト33およびペーパーウェブを脱水する。例えば、サクションロールを約40kPaの真空で動作でき、これにより、プレスニップに入るペーパーウェブは、約15%~20%の乾燥固体含量を有し得る。
【0105】
図2に示される実施形態では、プレスはシュープレスであり、この場合、第1のプレス部材はシュープレスロール31を含み、第2のプレス部材は対向ロール32を含む。シュープレスロールおよび対向ロールはそれらの間に延びるプレスニップを規定する。他の型のプレスをシュープレスの代わりに使用できる。
【0106】
抄紙機は、トランスファーベルト35から最終ファブリック37へのペーパーウェブのトランスファーのためのトランスファーポイント40を規定するために、トランスファーベルト35に隣接して配置されるサクショントランスファー装置38周りのループで動くように配列される透過性最終ファブリック37をさらに含む。トランスファーポイント40は、トランスファーベルト35により横断される経路に沿って測定される、プレスニップから距離Dに配置される。サクショントランスファー装置38は、最終ファブリック37を通して吸引を実行してペーパーウェブをトランスファーベルト35から最終ファブリック37上にトランスファーするように動作できる、サクションゾーン41を形成する。構造化ティッシュウェブを製造する場合、最終ファブリックは、構造化表面を有する構造化ファブリック(または「テクスチャライジングファブリック」)を含み、サクショントランスファー装置38により実行される吸引は、湿ティッシュウェブをファブリックの構造化表面に成型するようにさらに機能する。「構造化ファブリック」は約25以下の縦目-配向ナックルまたは他の隆起表面特徴/平方センチメートルを有してよい。ファブリック37は、ティッシュウェブのファブリック37から乾燥シリンダー52上へのトランスファーのための非圧縮ニップを乾燥シリンダー52と共に規定する、トランスファーロール39周りで動く。
【0107】
図1に示される実施形態では、サクショントランスファー装置38は、あらかじめ決められたセクター角度を包含するサクションゾーン41を有するサクションロールである。トランスファーベルト35は、吸引装置38の湾曲外面を部分的に覆うように配列される。ロールの代わりとして、サクショントランスファー装置は別の型の吸引装置、例えば湾曲外面を有するサクションシュー、または規定された長さLの非湾曲吸引表面を有するサクションボックスであってよい。
【0108】
トランスファーベルト35の特性、および、構造化ファブリック37およびサクショントランスファー装置38との関連でのトランスファーベルト35の配列は、低目付ティッシュウェブ、例えば約20グラム/平方メートル(gsm)以下、より特定的には約10~約20gsm、さらにより特定的には約10~約15gsmの目付を有するティッシュウェブの製造の場合、特に重要である。本明細書では、「目付」は、ティッシュ製造プロセス中に乾燥シリンダー52上に配置される間の、ウェブ中の絶乾繊維の量を指す。これは、ウェブを縦目で短縮するクレープひだの存在により影響を受ける可能性がある、「完成」目付とは区別されるべきである。しかしながら、ドライヤー上のティッシュウェブの目付は、縦目短縮の全てを取り出した後にティッシュウェブの目付を測定することにより、完成目付から厳密に推定できる。そのような低目付を有するティッシュウェブは、抄紙機で取り扱うのが特に困難である。なぜなら、ウェットティッシュウェブは事実上引張強度をもたないからである。結果として、ティッシュウェブをトランスファーベルト35から分離しそれを構造化ファブリック37上にトランスファーするプロセスは、ウェブの非常に低い強度により複雑である。
【0109】
より特定的には、その上にティッシュウェブを有するトランスファーベルト35が、プレス部材31、32により形成されるプレスニップから出て行く時、薄い水膜がティッシュウェブとトランスファーベルト35の表面の間に存在する。この水膜が無傷である限り、ティッシュウェブはトランスファーベルトからウェブ破壊の著しい危険なしに分離できないと理論化される。異なる特性を有するトランスファーベルトの複数回試験から、トランスファーベルトの表面特性が、ティッシュウェブがトランスファーベルトから分離できるかどうかを決定するのに重要な役割を果たすことが見出されている。特定的には、いくつかの型のトランスファーベルトはティッシュウェブを分離することを困難または本質的に不可能にするが、一方、他の型のトランスファーベルトはティッシュウェブが分離されることを可能にする(以下でさらに説明されるように、他の判断基準もまた満たされている限り)ことが見出されている。これらの試験に基づき、ウェブの分離を可能にするトランスファーベルトは幾分、ウェブがプレスニップを出た後にある一定の期間が経過した後で薄い水膜を消散または破壊させることができ、一方、ウェブを破壊なしに分離させないトランスファーベルトは水膜を消散させないことが理論化される。
【0110】
試験結果を考慮すると、低目付(先述のとおり)のティッシュウェブを製造するための抄紙機、例えば図1で図示されるものは、トランスファーベルト35が水膜を消散させる適正な表面特性を有する限り、および水膜が消散するために十分な期間(本明細書では、「滞在時間」tdと呼ばれる)が存在する限り、使用できることが見出されている。滞在時間は、ウェブがプレスニップ~トランスファーポイント40の距離Dを進むのにかかる期間である。滞在時間(秒)は、式td=(D/V)60によりトランスファーベルト35の速度V(メートル/分)に関連する。このように、例えば、V=1000m/分およびD=4mである場合、tdは0.24秒に等しい。
【0111】
トランスファーベルト35の表面特性に関しては、そのウェブ接触表面が実質的に無孔のポリマコーティングで形成され、かつその表面粗さを約Ra=2~5μmの算術平均粗さまで増加させるために研磨された、またはサンディングされた表面を有し得るトランスファーベルトは一般に、距離Dを少なくとも0.5秒の滞在時間tdを提供するように十分長くしても、ティッシュウェブをトランスファーベルトから分離させないことが見出されている。機械小型化の理由のため、通常は、距離Dをできるだけ小さく維持しながら、依然としてティッシュウェブトランスファーがウェブを破壊せずに確実に実施されるようにすることが望まれることに注意すべきである。このように、実施された試験に基づき、実質的に無孔のポリマコーティングを有するトランスファーベルトは、たとえ、それらの表面粗さを増加させるためにサンディングされても、使用できないことが決定された。
【0112】
先進ティッシュ成型システム-ATMOS
本明細書で示される事項は例示であり、本発明の実施形態の事例的説明目的のものにすぎず、最も有用であると考えられるものならびに本発明の原理および概念的見地の容易に理解される説明を提供するために提示される。この関連で、本発明の基本的理解に必要なもの以上により詳細に、本発明の構造的細部を示す試みはなにもなされず、本発明の形態が実際にはどのように具体化され得るかについて当業者にあきらかにする説明が図面と共に記載される。
【0113】
ここで図3を参照して、繊維ウェブW、例えば、ティッシュ、衛生ペーパーウェブ(paper wed)、など製造するための機械TWAが示され、これは例えば、繊維ウェブWを加工するためのツインワイヤーATMOSシステムであってよい。システムTWAは、外側ワイヤー3a、内側ワイヤー3bおよびフォーミングロール2により形成されるツインワイヤフォーマーに懸濁液を送るへッドボックス1を含む。ツインワイヤフォーマーは任意の従来の公知の型であってよく、好ましくは、例えば、2005年7月27日に出願された米国特許出願番号第11/189,884号で開示される型であってよい。ウェブWがツインワイヤフォーマーにより形成されるとすぐに、ウェブWは内側ワイヤー3bにより構造化ファブリック4に搬送される。ウェブWは、ピックアップエリアに配置されたサクションボックス5を用いて内側ワイヤー3bから構造化ファブリック4にトランスファーされる。ウェブWは構造化ファブリック4により、透過性引っ張りベルト12および真空ロール9から構成されるベルトプレスアセンブリ18により形成されるプレス配列へ、およびこれを通って搬送される。脱水ファブリック7もまた、真空ロール9上を、ベルトプレスアセンブリ18を通って通過する。ウェブWは、ベルトプレスアセンブリ18と真空ロール9により形成される延在ベルトプレスニップにおいて脱水され、構造化ベルト4により、ヤンキーシリンダ15およびフード16配列に運搬され、プレスロール14を使用してヤンキー15にトランスファーされる。スチームボックスおよび熱風送風機配列11は透過性引っ張りベルト12内に配列され、真空ロール9のサクションゾーンZ上に配列される。1つ以上のセーブオール10が、真空ロール9から収集された水分を収集するために使用される。システムはまた、ベルト/ファブリックの各々のための多くのガイドロール、脱水ベルト7のための調整ロール19、多くのUhleボックス6aおよび6b、多くのシャワーユニット8a、8b、8cおよび8d、ならびに追加のサクションボックスまたはピックアップ13を使用する。
【0114】
非限定的例として、外側ワイヤー3aは従来のエンドレス循環ワイヤーであってよく、および/またはDSPベルト(例えば、米国特許第6,237,644号で開示される型)であってよい。外側ワイヤー3aはまた、任意の好適な従来のワイヤーであってよい。
【0115】
非限定的例として、内側ワイヤー3bはエンドレス循環ベルトであってよい。内側ワイヤー3bはまた、任意の好適な従来のワイヤーであってよい。
【0116】
非限定的例として、フォーミングロール2は中実ロールまたはオープンロールであってよい。ロール2はまた、任意の好適な従来のフォーミングロールであってよい。
【0117】
非限定的例として、ベルトプレスベルト12は、例えば、2006年3月14日に出願された米国特許出願番号第11/276,789号で開示される型のベルトであってよい。例として、透過性ベルト12はペーパーウェブに面する側を有してよく、ロール9の支持表面上でガイドされ下記の特性を有してよい:およそ20kN/m~およそ100kN/mの張力、およそ100cfm~およそ1200cfmの透過性値、張力下にない時でのおよそ0.5%~およそ90%であるペーパーウェブ側の表面接触エリア、およびおよそおよそ1.0%~およそ85%のオープンエリア。
【0118】
例えば、透過性ベルト12は好ましくは下記の特性を有してよい:ベルト12は高いMD(縦目)張力に、伸張なしにかつモノフィラメントの歪みなしに長期間にわたって抵抗しなければならない;ベルト12は、ATMOS配置であるスチームボックスからの蒸気(および超熱水蒸気)の影響に抵抗しなければならない、すなわち、それは加水分解に抵抗しなければならない;ベルト12は、ウェブがヤンキー乾燥およびクレーピング段階で最終乾燥に移る際にベルトプレス後に十分な乾燥度(およそ32″~およそ35%またはそれ以上)が達成されるように、紙シートに十分な体積の空気を通すことができなければならない;ベルト12は好ましくは、本明細書で記載される好適な透過性および表面接触エリア、材料、および織目を有するべきである;ならびにベルト12は、ティッシュを乾燥させる効率的で経済的な様式であるシステムまたはプロセスの一部でなければならない。ベルト12はまた、2004年10月26日に出願された米国出願第10/972,408号および/または2004年10月26日に米国出願第10/972,431号および/または2004年1月30日に出願された米国出願第10/768,485号で開示される型のベルトプレスベルトであってよい。
【0119】
非限定的例として、脱水ファブリック7は、例えば、2006年4月28日に出願された米国特許出願番号第11/380,835号で開示される型の脱水ファブリックであってよく、下記の特徴および特性を有してよい。例として、脱水ファブリック7はペーパーウェブに面する側を有してよく、支持表面、例えば、ロール9の支持表面上でガイドされてよく、下記の特性を有してよい:およそ0.1mm~およそ15mmのキャリパー、およそ1cfm~およそ500cfmの透過性値、およそ0.2g/cm3~およそ1.10g/cm3の総合密度、ならびにおよそ350g/m2~およそ3000g/m2の重量。キャリパーはまた、好ましくはおよそ2mm~およそ4mmであってよく、透過性値は好ましくはおよそ10cfm~およそ50cfmであってよく、総合密度は好ましくはおよそ0.2g/cm3~およそ1.10g/cm3であってよく、重量は好ましくはおよそ900g/m2~およそ1300g/m2であってよい。脱水ファブリック7はまた、好ましくは良好な圧縮性を有するべきである。
【0120】
発明の1つの非限定的実施形態によれば、形成されたウェブWは、サクションボックス5を使用して構造化ファブリック4にトランスファーされる。これは、構造化ファブリック4および内側ワイヤー3bが異なる速度で進む間に起こり、すなわち、ベルト3bと4の間の速度差が使用される。好ましくは、構造化ベルト4は内側ワイヤー3bより遅い速度で進む。ウェブWは縦方向で、第1のサクションボックス5aおよび第2のサクションボックス5bを過ぎて移動する。真空箱5aおよび5bを使用して、十分な水分がウェブWから除去されて、典型的なまたは名目の20グラム/平方メートル(gsm)ウェブ移動でおよそ7%~およそ25%の固体レベルを達成できる。ボックス5での真空はおよそ-0.2~およそ-0.8barの真空を提供でき、好ましい動作レベルはおよそ-0.4~およそ-0.6barである。繊維ウェブWが縦方向mに沿って進行するにつれ、それは脱水ファブリック7と接触する。脱水ファブリック7はエンドレス循環ベルトであってよく、それは複数のガイドロールによりガイドされる。ファブリック7の張力はガイドロール19を調整することにより調整できる。脱水ベルト7は脱水ファブリックまたはフェルトであってよい。ウェブWはその後、構造化ファブリック4と脱水ファブリック7の間の真空ロール9に向かって進む。真空ロール9は縦方向mに沿って回転し、およそ-0.2~およそ-0.8barの真空レベルで動作されてよく、好ましい動作レベルは少なくともおよそ-0.4barであり、最も好ましくはおよそ-0.6barである。非限定的例として、ロール9の真空ロールシェルの厚さはおよそ25mm~およそ75mmの範囲であってよい。サクションゾーンZのエリアにおけるウェブWを通る平均気流は、大気圧および周囲温度でおよそ150m3/分/メートル機械幅であってよい。構造化ファブリック4、ウェブWおよび脱水ファブリック7は、真空ロール9および透過性ベルト12により形成されるベルトプレス18を通してガイドされる。図に示されるように、透過性ベルト12は単一のエンドレス循環ベルトであり、これは複数のガイドロールによりガイドされ、真空ロール9にプレスし、ベルトプレス18が形成される。
【0121】
上方または構造化ファブリック4はエンドレスファブリックであり、これはウェブWを、ベルトプレスシステム18へ、およびそこから、ツインワイヤフォーマー2/3a/3bから、最終乾燥のためのヤンキーシリンダ15へ輸送する。ツインワイヤフォーマーからトランスファーされた後、ウェブWは上方ファブリック4の3次元構造で存在し、そのため、それは平坦ではなく、3次元構造も有し、これは嵩高いウェブを生成する。下方ファブリック7もまた透過性である。下方ファブリック7のデザインは水を貯蔵できるようになされる。下方ファブリック7はまた滑らかな表面を有してよい。下方ファブリック7は好ましくは、バット層を有するフェルトであってよい。下方ファブリック7のバット繊維の直径はおよそ11dtexに等しいか、それ未満であり、好ましくはおよそ4.2dtexに等しいか、それ未満、より好ましくはおよそ3.3dtexに等しいか、それ未満であってよい。バット繊維(baft fiber)はまた、繊維のブレンドであってよい。下方ファブリック7はまた、およそ67dtexからの繊維を含むベクタ層を包含でき、また、さらに粗い繊維、例えば、およそ100dtex、およそ140dtex、またはさらにより高いdtex数などを含んでよい。これは水の良好な吸収にとって重要である。下方ファブリック7のバット層および/または下方ファブリック自体の湿潤表面はおよそ35m2/m2フェルト面積以上であってよく、好ましくはおよそ65m2/m2フェルト面積以上であってよく、最も好ましくはおよそ100m2/m2フェルト面積以上であってよい。下方ファブリック7の比表面はおよそ0.04m2/gフェルト重量以上であってよく、好ましくはおよそ0.065m2/gフェルト重量以上であってよく、最も好ましくはおよそ0.075m2/gフェルト重量以上であってよい。これもまた、水の良好な吸収にとって重要である。圧縮性に対する値としての動剛性K[N/mm]は100,000N/mm以下であれば許容でき、好ましい圧縮性は90,000N/mm以下であり、最も好ましくは、圧縮性は70,000N/mm以下である。下方ファブリック7の圧縮性(mm/Nで表される力による厚さ変化)が考慮されるべきである。これはウェブを効率的に高い乾燥度レベルまで脱水するために重要である。硬表面はウェブWを上方ファブリック4の構造化表面の突出点間でプレスしないであろう。他方、フェルトは、嵩および、そのために品質、例えば、水保持能力の損失を回避するために3次元構造内にあまり深くプレスされるべきではない。
【0122】
また、非限定的例として、透過性ベルト12は、高い走行張力、高圧、熱、水分濃度に耐え、抄紙プロセスにより要求される高レベルの水除去を達成できる、単または多層織布であってよい。ファブリック12は好ましくは高い幅安定性を有し、高い走行張力、例えば、およそ20kN/m~およそ100kN/m、好ましくはおよそ20kN/m以上かつおよそ60kN/m以下で動作できなければならない。ファブリック12はまた好ましくは、好適な高い透過性を有するべきであり、耐加水分解および/または耐熱材料でできていてよい。透過性高張力ベルト12は、構造化ベルト4および脱水ベルト7を含む「サンドイッチ」構造の一部を形成する。これらのベルト4および7は、その間に配置されるウェブWと共に、回転ロール9上に配列される高張力ベルト12を含むプレス装置18中で圧力に供される。他の実施形態では、ベルトプレス18は、回転ロール9の代わりに静的延在脱水ニップを利用する装置で使用できる。
【0123】
図面に戻って、ベルトプレス18および9により形成されるニップは、およそ30°~180°、好ましくはおよそ50°~およそ140°の接触角を有してよい。非限定的例として、ニップ長は、およそ800mm~およそ2500mmであってよく、好ましくはおよそ1200mm~およそ1500mmであってよい。また、非限定的例として、サクションロール418の直径は、およそ1000mm~およそ2500mm以上であってよく、好ましくはおよそ1400mm~およそ1700mmであってよい。
【0124】
好適な脱水を可能にするために、単層または多層ファブリック12は好ましくはおよそ100cfm~およそ1200cfmの透過性値を有するべきであり、最も好ましくはおよそ300cfm~およそ800cfmである。ニップはまた、好ましくは50°~130°である接触角を有してよい。単または多層ファブリックまたは透過性ベルト12はまた、すでに形成されたエンドレス織ベルト(すなわち、予め連結された、または縫い合わされたベルト)であってよい。あるいは、ベルト12は、ピン-シームを介して一緒に連結されたその端を有し、またはその代わりに、機械上で縫い合わせることができる、織ベルトであってよい。単または多層ファブリックあるいは透過性ベルト12はまた、好ましくは、加圧または張力下にない時でのおよそ0.5%~およそ90%の紙表面接触エリアを有してよい。ベルト12の接触表面はベルトをサンディングまたは研磨に供することにより変化されるべきではない。非限定的例として、ベルト12はおよそ1.0%~およそ85%のオープンエリアを有するべきである。単または多層ファブリックまたは透過性ベルト12はまた、5ヤーン/cm~およそ60ヤーン/cmの紙表面縦糸番手を有する織ベルトであってよく、好ましくはおよそ8ヤーン/cm~およそ20ヤーン/cm、最も好ましくはおよそ10ヤーン/cm~およそ15ヤーン/cmである。さらに、織ベルト12は、およそ5ヤーン/cm~およそ60ヤーン/cmの紙表面横糸番手を有してよく、好ましくはおよそ5ヤーン/cm~およそ20ヤーン/cm、最も好ましくはおよそ8ヤーン/cm~およそ17ヤーン/cmである。
【0125】
ATMOS抄紙プロセスにおいて生成される可能性がある高い水分および熱のために、織られた単または多層ファブリックまたは透過性ベルト12は1つ以上の耐加水分解および/または耐熱材料でできていてよい。1つ以上の耐加水分解材料は好ましくはPETモノフィラメントであってよく、理想的には、通常、ドライヤーおよびTADファブリックと関連する、すなわち、0.72IV~1.0IVの範囲の固有粘度値を有してよい。これらの材料はまた、カルボキシル末端基等価物などを含む、好適な「安定化パッケージ」を有してよい。耐加水分解性を考慮する場合、カルボキシル末端基等価物(酸基は加水分解を触媒するからである)、および残留DEGまたはジエチレングリコール(これもまた、加水分解の速度を増加させる可能性があるからである)を考慮しなければならない。これらの因子は典型的なPETボトル樹脂から、使用されるべき樹脂を分離する。加水分解について、カルボキシル等価物は、まず始めに可能な限り低くあるべきであり、12未満であるべきであることが見出されている。DEGレベルについては、0.75%未満が好ましくは使用されるべきである。この低レベルのカルボキシル末端基であっても、エンドキャッピング剤が添加されることが必須である。プロセスの終わりに遊離カルボキシル基が存在しないことを確保するために、押出加工中カルボジイミドが使用されるべきである。末端基をキャップするために使用できるいくつかのクラスの化学薬品が存在し、例えばエポキシ、オルト-エステルおよびイソシアネートであるが、実際には、モノマカルボジイミドおよびモノマのポリマカルボジイミド(carbodiiminde)との組み合わせが最良であり、最も使用される。好ましくは、全ての末端基は、遊離カルボキシル末端基が存在しないように、上記のクラスから選択され得るエンドキャッピング剤によりキャップされる。
【0126】
PPSを、耐熱材料用に使用できる。他の単一ポリマ材料、例えばPEN、PBT、PEEKおよびPAもまた、安定性、清浄度および寿命などの特性を改善するために使用できる。単一ポリマ糸ならびにコポリマ糸の両方を使用できる。
【0127】
高張力ベルト12のために使用される材料は必ずしもモノフィラメントから製造されなくてよく、芯鞘を含む、マルチフィラメントであってもよい。他の材料、例えば非塑性材料もまた使用でき、例えば、金属材料である。
【0128】
透過性ベルト12は単一材料でできている必要はなく、これはまた、2、3またはそれ以上の異なる材料でできていてよく、すなわち、ベルトは複合ベルトであってよい。透過性ベルト12はまた、堆積により適用される、および/または加工中に架橋させることができるポリマ材料である外層、コーティング、および/または処理を用いて形成できる。好ましくは、コーティングはファブリック安定性、耐汚染性、濾水、摩耗性、改善された耐熱および/または耐加水分解性を増強する。コーティングがファブリック表面張力を低減してシート離型を補助し、または駆動負荷を低減するならば、これも好ましい。処理またはコーティングはこれらの特性の1つ以上を付与するおよび/または改善するように適用できる。
【0129】
透過性ベルト12は、優れた接触エリアを必ずしも必要とせず、すなわち、ATMOSシステムにおいて上手く動作するベルト12の1つの非限定的例は、10%未満の接触エリアを含む。理想的には、透過性ベルト12は好適な透過性および表面接触エリアを有する。ベルトの材料および織り方はそのような検討事項よりも重要ではない。
【0130】
非限定的例として、構造化ファブリック4は、例えば、2006年4月28日に出願された米国特許出願番号第11/380,826号で開示される型の構造化ファブリックであってよい。例として、構造化ファブリック4はペーパーウェブに面する側を有してよく、ロール9の支持表面上でガイドされてよく、下記の特性を有してよい:およそ100cfm~およそ1200cfmの透過性値、加圧および張力下にない場合のおよそ5%~およそ70%の紙表面接触エリア、およびおよそ10%~およそ90%のオープンエリア。
【0131】
また、非限定的例として、構造化ファブリック4は単層のまたは多層の織布であってよく、これは高圧、熱、水分濃度に耐えることができ、高レベルの水除去を達成でき、また、Voith ATMOS抄紙プロセスにより必要とされるペーパーウェブを成型もしくはエンボス加工できる。ファブリック4はまた、幅安定性、好適な高透過性を有するべきである。ファブリック4はまた好ましくは、耐加水分解および/または耐熱材料を使用するべきである。
【0132】
ファブリック4は、少なくとも2つの他のベルトおよび/またはファブリックを含むサンドイッチ構造の一部として使用される。これらの追加のベルトは高張力ベルト12および脱水ベルト7を含む。サンドイッチ構造は、回転ロール9または静的支持表面により形成される延在ニップ上で圧力および張力に供される。延在ニップは、およそ30°~およそ180°の接触角を有してよく、好ましくはおよそ50°~およそ130°である。ニップ長はおよそ800mm~およそ2500mmとすることができ、好ましくはおよそ1200mm~およそ1500mmである。ニップはおよそ1000mm~およそ2500mmである、好ましくはおよそ1400mm~およそ1700mmである直径を有する回転サクションロールにより形成されてよい。
【0133】
構造化ファブリック4は紙シートまたはウェブにトポグラフィカルパターンを付与する。これを達成するために、高圧が成型ファブリック4に高張力ベルト12を介して与えられる。シートパターンのトポグラフィーは、成型ベルト4の仕様を変化させることにより、すなわち、糸直径、糸形状、糸密度、および糸タイプなどのパラメータを調節することにより操作できる。異なるトポグラフィカルパターンをシート中で、異なる表面織りにより付与できる。同様に、シートパターンの強度は、高張力ベルト12により付与される圧力を変化させることにより、成型ベルト4の仕様を変化させることにより変化させることができる。シートのトポグラフィカルパターンの性質および強度に影響を与えることができる他の因子としては、空気温度、空気速度、空気圧力、延在ニップにおけるベルト滞在時間、およびニップ長が挙げられる。
【0134】
下記は構造化ファブリック4の非限定的特徴および/または特性である:好適な脱水を可能にするために、単または多層ファブリックはおよそ100cfm~およそ1200cfmの透過性値を有するべきであり、好ましくはおよそ200cfm~およそ900cfmである;2つの他のベルト、例えば、高張力ベルト12および脱水ベルト7を有するサンドイッチ構造の一部であるファブリック4は、回転するまたは静的な支持表面上でおよそ30°~およそ180°かつ好ましくはおよそ50°~およそ130°の接触角で、圧力および張力に供される;ファブリック4は、加圧または張力下にない場合におよそ5%~およそ70%の紙表面接触エリアを有するべきである;フォーミングファブリックはおよそ10%~およそ90%のオープンエリアを有するべきである。ファブリック4は好ましくは、予め連結されたおよび/または縫い合わされた連続および/またはエンドレスベルトとして、ATMOS機械上に設置できる織布である。あるいは、フォーミングファブリック4はATMOS機械において、例えば、ピン-シーム配列を使用して連結されてよく、または、そうでなければ、機械上で縫い合わされてよい。ATMOS抄紙プロセスにより発生する高い水分および熱に抵抗するために、織られた単または多層ベルト4は、耐加水分解および/または耐熱材料のいずれかを利用し得る。耐加水分解材料は好ましくは、0.72IV~およそ1.0IVの範囲で、ドライヤーおよびTADファブリックと通常関連する固有粘度値を有するPETモノフィラメントを含むべきであり、また、カルボキシル末端基等価物(酸基は加水分解を触媒するからである)および残留DEGまたはジエチレングリコール(これもまた加水分解速度を増加させるからである)を含む、好適な「安定化パッケージ」を有するべきである。これらの2つの因子は、典型的なPETボトル樹脂から、使用できる樹脂を分離する。加水分解について、カルボキシル等価物は、まず始めに可能な限り低くあるべきであり、およそ12未満であるべきであることが見出されている。DEGレベルはおよそ0.75%未満であるべきである。この低レベルのカルボキシル末端基であっても、エンドキャッピング剤が添加されることが必須であり、プロセスの終わりに遊離カルボキシル基が存在しないことを確保するために、押出加工中カルボジイミドが使用されるべきである。末端基をキャップするために使用できるいくつかのクラスの化学薬品が存在し、例えばエポキシ、オルト-エステル、およびイソシアネートであるが、実際にはモノマカルボジイミドおよびモノマのポリマカルボジイミド(carbodiiminde)との組み合わせが最良であり、最も使用される。
【0135】
PPSなどの耐熱材料を、構造化ファブリック4において使用できる。PEN、PBT、PEEKおよびPAなどの他の材料もまた、安定性、清浄度および寿命などのファブリック4の特性を改善するために使用できる。単一ポリマ糸およびコポリマ糸の両方を使用できる。ベルト4のための材料は、必ずしも、モノフィラメントから製造される必要はなく、マルチフィラメント、芯鞘であってよく、非塑性材料、すなわち、金属材料であってもよい。同様に、ファブリック4は必ずしも、単一材料でできていなくてもよく、2、3またはそれより多い異なる材料でできていてよい。成形糸、すなわち、非円形糸もまた、紙シートのトポグラフィーまたは特性を増強または制御するために使用されてよい。成形糸はまた、ファブリック特徴または特性、例えば安定性、キャリパー、表面接触エリア、表面平坦性、透過性および摩耗性を改善または制御するために使用できる。
【0136】
構造化ファブリック4はまた、例えば、堆積により適用される追加のポリマ材料で、処理および/またはコートされてよい。材料は、ファブリック安定性、耐汚染性、濾水、摩耗性を増強する、耐熱および/または耐加水分解性を改善するために、ならびに、ファブリック表面張力を低減するために、加工中に添加され架橋されてよい。これはシート離型を助け、および/または駆動負荷を低減する。処理/コーティングを、ファブリック4のこれらの特性の1つまたはいくつかを付与する/改善するために適用できる。前に示されるように、ペーパーウェブW中のトポグラフィカルパターンを、異なる単および多層織りの使用により変化させ操作できる。パターンのさらなる増強を、糸直径、糸番手、糸タイプ、糸形状、透過性、キャリパーに対する変更および処理またはコーティングの付加などによる、特定のファブリック織りへの調整により、さらに得ることができる。最後に、ファブリックまたは成型ベルト4の1つ以上の表面は、表面特性を増強するために、サンディングおよび/または研磨に供されてよい。
【0137】
前記実施例は説明の目的のために提供されたものにすぎず、決して、本発明を限定するものとして解釈されるものではないことが示される。本発明について、例示的な実施形態を参照して記載してきたが、使用されている用語は、制限する用語ではなく、説明および例示の用語であることが理解される。ここで言明された、および補正された添付の特許請求の範囲内で、本発明の範囲および精神から逸脱せずに、その観点において、変更が可能である。発明を、特定の配列、材料および実施形態を参照して本明細書で記載してきたが、発明は本明細書で開示される事項に制限されることは意図されない。代わりに、発明は、添付の特許請求の範囲内にあるような、全ての機能的に等価な構造、方法および使用にまで拡大される。
【0138】
クレープ加工なしスルーエア乾燥-UCTAD
図4を参照して、この発明を実施する方法をより詳細に記載する。図4は、加熱組成物のオフライン適用に好適なクレープ加工なしスルーエア乾燥ベースシートを製造するためのプロセスを記載する。抄紙繊維の水性懸濁液をフォーミングファブリック2上に注入または堆積させる層状抄紙へッドボックス1を有するツインワイヤフォーマーが示される。ウェブはその後、ファブリック4にトランスファーされ、これは新たに形成されるウェットウェブを支持しプロセスの下流に運搬するように機能し、その間、ウェブは約10乾燥重量パーセントの濃度へと部分的に脱水される。ウェットウェブの追加の脱水は、例えば真空吸引により実施でき、その間、ウェットウェブはフォーミングファブリックにより支持される。
【0139】
ウェットウェブはその後、増加したMDストレッチをウェブに付与するために、フォーミングファブリックから、フォーミングファブリックより遅い速度で進むトランスファーファブリック6にトランスファーされる。ウェットウェブの圧縮を回避するために、好ましくは真空シュー5の助けにより、キストランスファーが実施される。ウェブはその後、真空トランスファーロール7または真空トランスファーシューの助けにより、トランスファーファブリックからスルーエア乾燥ファブリック8へトランスファーされる。スルーエア乾燥ファブリックは、トランスファーファブリックと比べておよそ同じ速度で、または異なる速度で進み得る。所望であれば、スルーエア乾燥ファブリックはより遅い速度で動いて、MDストレッチをさらに増強する。トランスファーは好ましくは真空補助で実施されて、スルーエア乾燥ファブリックに従うシートの変形を確保し、これにより、所望の嵩、柔軟性、CDストレッチおよび外観をもたらす。
【0140】
ウェブトランスファーのために使用される真空のレベルは約3~約15水銀柱インチ(75~約380水銀柱ミリメートル)、好ましくは約10水銀柱インチ(254ミリメートル)であってよい。真空シュー(負圧)は、ウェブの反対側からの正圧の使用を補充され、またはこれにより置き換えられて、それを次のファブリック上に真空により吸引することに加えてまたはその代わりとして、ウェブを次のファブリック上に吹き飛ばす。また、1つまたは複数の真空ロールを使用して真空シュー(複数可)を置き換えてよい。
【0141】
スルーエア乾燥ファブリックにより支持される間、ウェブは、スルーエアードライヤー9により約94パーセント以上の濃度へと最終乾燥され、その後、上方キャリヤファブリック11にトランスファーされる。
【0142】
乾燥ベースシート13は上方と下方トランスファーファブリック、それぞれ11と12の間で、リール14に輸送され、そこで、ロール15に、加熱組成物のその後の印刷およびさらなる加工のために巻き取られる。
【0143】
実施例
実施例1:吸収性タオル地
吸収性タオルペーパーウェブを、下記を備えた、スルーエア乾燥ティッシュ製造抄紙機または「Valmet Karlstad TAD」デモ機上で生成した:
フォーミングワイヤー:Microline XPまたは類似物および等価のThinlineQ592、
TADファブリック:Prolux 593または等価の均質シート、
化学:PAE/CMC pH約8-9比3-4/1、
長繊維のみの精製.標的約550CSF、
北部軟材クラフト:Mercer Celgar NBSK(「BNSK」)
硬材クラフト:ユーカリ:Brazilian(「BEuc」)
セルロースナノフィラメント:Kruger Canadaから供給
標的特性:
高および中層U.S.タオル地:
目付:52GSM
総引張:460-740(N/m)
CD引張:130-270(N/m)
MD引張:230-470(N/m)
引張GMT6.5-11Nm/g
総湿潤引張:100-160(N/m)
CD湿潤引張:30-60(N/m)
MD湿潤引張:45-100(N/m)

完成紙料含有物:
BNSK 55%
BEuc 45%
セルロースナノフィラメントをBNSK流にBNSK置換物として添加する
【0144】
パート1:タオルフォーマット。プロセスを一定に保持し、唯一の変更は2.5および5.0%でのセルロースナノフィラメント材料の添加とする。下記表は結果を示す:
【表1】
【0145】
観察結果:抄紙変数を一定に保持すると、CFの添加は乾燥引張を以上で列挙した条件で173から239N/Mに予想通り増加するが、驚いたことに湿潤対乾燥引張比を0.29から0.34に増加する。このデータはCF繊維に関連して開示された全ての前の情報からは予期されなかった。
【0146】
パート2:製品を大体同じ総引張値で一定に保持し、かつ標的に保つためのコントロールノブとして精製を使用した場合のタオルフォーマットリールデータ。
【表2】
【0147】
観察結果:我々は、この実験の時間的制約内のコントロールノブとして精製のみを使用して、製品群内で製品引張を一定に保持するのに成功しなかった。プロセスおよび試験方法変化内で、CD引張を162-166N/mのみの範囲で一定に保持したが、驚いたことに、CD湿潤引張は45から52.8N/mに増加し、これは、驚いたことに湿潤対乾燥引張比を0.28から0.32に増加させた。より驚いたことは、湿潤引張は精製エネルギー入力を低減するにつれ増加したという事実であった。なぜなら湿潤引張は一般に、標準精製制御限界にわたり精製と共に増加することが十分に裏付けされているからである。このデータはセルロースフィラメント繊維に関連して開示された全ての前の情報からは予期されなかった。
【0148】
分析試験方法
下記の試験方法はここで関連する吸収性ペーパーウェブの物理的特性を決定するために使用される技術を代表する。
【0149】
1.試料コンディショニングおよび調製
試験のための試料は全て一般に紙試験のための許容される標準に従うコンディショニング環境において調製される。試料のためのコンディショニング環境はおよそ50%の創造湿度およびおよそ74カ氏度の温度を有する。
【0150】
2.総乾燥引張強度
本発明の吸収性ペーパーウェブ試料の乾燥引張強度特性は、国際標準化機構、ISO12625-4:2005、ティッシュペーパーおよびティッシュ製品-パート4:引張強度、破壊時のストレッチおよび引張エネルギー吸収の決定により公開される試験方法を実施することにより決定される。ISO12625-4を使用して、縦目(MD)および横目(CD)乾燥引張強度の両方を測定する。総乾燥引張強度は縦目乾燥引張強度および横目乾燥引張強度の数学的合計である。
【0151】
3.幾何平均引張強度指数
幾何平均引張強度指数はISO12625-4結果由来の計算パラメータであり、MD引張指数(MD引張/目付)とCD引張指数(CD引張/目付)の積の平方根に等しい。
幾何平均引張=√(MD引張指数 X CD引張指数)
幾何平均引張強度指数は単位質量あたりの全体のシート強度を評価するためのより代表的な測定基準を提供し得る。
【0152】
4.湿潤引張強度
本発明の吸収性ペーパーウェブ試料の湿潤引張強度特性は、国際標準化機構、ISO12625-5:2005、ティッシュペーパーおよびティッシュ製品-パート5:湿潤引張強度の決定により公開される試験方法を実施することにより決定される。ISO12625-5を使用して縦目(MD)および横目(CD)湿潤引張強度の両方を測定する。
【0153】
5.CD湿潤引張:CD乾燥引張比
横目湿潤引張強度対横目乾燥引張強度の特性比は、2つの特性パラメータの数学的比として計算される。
比=CD湿潤引張強度
CD乾燥引張強度
【0154】
本開示で使用される場合、「含む」、「含んでいる」という用語、および語幹用語「含む」からの他の派生語は、任意の明言された特徴、要素、整数、工程、または構成成分の存在を特定する制約のない用語であることが意図され、1つ以上の他の特徴、要素、整数、工程、構成成分、またはそれらの群の存在または追加を除外することは意図されない。
【0155】
本明細書で開示される寸法および値は、列挙された正確な寸法および値に厳密に制限されると理解されるべきではない。代わりに、他に特に規定がなければ、そのような寸法および/または値はそれぞれ、列挙された寸法および/または値ならびにその寸法および/または値を囲む機能的に等価な範囲の両方を意味することが意図される。例えば、「40mm」として開示される寸法は「約40mm」を意味することが意図される。
【0156】
本発明の特定の実施形態を説明し、記載してきたが、様々な他の変更および改変が本発明の精神および範囲から逸脱せずに可能であることは当業者には明らかであろう。そのため、添付の特許請求の範囲では、この発明の範囲内にあるそのような変更および改変を全て包含することが意図される。
図1
図2
図3
図4