(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024161043
(43)【公開日】2024-11-15
(54)【発明の名称】安定な抗IFNAR1製剤
(51)【国際特許分類】
A61K 39/395 20060101AFI20241108BHJP
A61K 47/18 20170101ALI20241108BHJP
A61K 47/34 20170101ALI20241108BHJP
A61K 47/20 20060101ALI20241108BHJP
A61K 47/14 20170101ALI20241108BHJP
A61K 47/04 20060101ALI20241108BHJP
A61K 47/12 20060101ALI20241108BHJP
A61K 47/26 20060101ALI20241108BHJP
A61K 47/36 20060101ALI20241108BHJP
A61K 47/40 20060101ALI20241108BHJP
A61K 47/10 20170101ALI20241108BHJP
A61P 37/02 20060101ALI20241108BHJP
A61P 19/02 20060101ALI20241108BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20241108BHJP
A61P 3/08 20060101ALI20241108BHJP
A61P 1/00 20060101ALI20241108BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20241108BHJP
A61P 17/06 20060101ALI20241108BHJP
A61P 13/12 20060101ALI20241108BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20241108BHJP
A61P 21/00 20060101ALI20241108BHJP
C07K 16/28 20060101ALI20241108BHJP
【FI】
A61K39/395 N
A61K47/18
A61K47/34
A61K47/20
A61K47/14
A61K47/04
A61K47/12
A61K47/26
A61K47/36
A61K47/40
A61K47/10
A61P37/02
A61P19/02
A61P29/00 101
A61P3/08
A61P1/00
A61P25/00
A61P17/06
A61P13/12
A61P17/00
A61P21/00
C07K16/28 ZNA
C07K16/28
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024140769
(22)【出願日】2024-08-22
(62)【分割の表示】P 2022031581の分割
【原出願日】2016-08-18
(31)【優先権主張番号】62/207,164
(32)【優先日】2015-08-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】391008951
【氏名又は名称】アストラゼネカ・アクチエボラーグ
【氏名又は名称原語表記】ASTRAZENECA AKTIEBOLAG
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100138911
【弁理士】
【氏名又は名称】櫻井 陽子
(72)【発明者】
【氏名】ロベルト・デパス
(72)【発明者】
【氏名】ナタリー・デヘスス
(72)【発明者】
【氏名】ジャレッド・ビー
(57)【要約】
【課題】本発明は、高濃度の抗INFAR1抗体を含む安定な低粘度の抗体製剤に関する。
【解決手段】いくつかの実施形態では、本発明は、概して、ヒトインターフェロンα1(INFAR1)に特異的に結合する約100mg/mL~約200mg/mLの抗体またはその断片;約20mM~約80mMのリジンまたはその塩;約0.02%~約0.06%の界面活性剤;非荷電賦形剤;および調合緩衝液を含む安定な抗体製剤に関する。いくつかの実施形態では、本発明は、容器、剤形、および/またはキットを対象とする。いくつかの実施形態では、本発明は、安定な抗体製剤を製造および使用する方法を対象とする。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a.約150~200mg/mLのアニフロルマブ;
b.約25~150mMのリジン塩;
c.非荷電賦形剤;
を含む安定な抗体製剤。
【請求項2】
製剤が5.5~6.25のpH、任意に5.9のpHである、請求項1に記載の抗体製剤。
【請求項3】
前記リジン塩が、リジン酢酸塩、リジンモノクロリド、リジンジクロリド、リジンL-アスパラギン酸塩、リジンL-グルタミン酸塩およびリジンHClからなる群から選択される、請求項1または2に記載の抗体製剤。
【請求項4】
界面活性剤を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の抗体製剤。
【請求項5】
界面活性剤が、トリトンX-100、ツイーン80、ポリソルベート20、ポリソルベート80、ノノキシノール-9、ポリオキサマー、ステアリルアルコール、ドデシル硫酸ナトリウム、およびモノステアリン酸ソルビタンからなる群から選択される、請求項1~4のいずれか一項に記載の抗体製剤。
【請求項6】
界面活性剤がポリソルベート80である、請求項5に記載の抗体製剤。
【請求項7】
約0.02%~約0.08%の界面活性剤を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の抗体製剤。
【請求項8】
約0.05%の界面活性剤を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の抗体製剤。
【請求項9】
調合緩衝液を含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の抗体製剤。
【請求項10】
調合緩衝液が酢酸緩衝液、トリス緩衝液、HEPES緩衝液、塩酸緩衝液、アルギニン緩衝液、グリシン緩衝液、クエン酸緩衝液、ヒスチジン緩衝液、またはTES緩衝液である、請求項9に記載の抗体製剤。
【請求項11】
調合緩衝液がヒスチジン緩衝液である、請求項9に記載の抗体製剤。
【請求項12】
ヒスチジン緩衝液がヒスチジン塩酸塩を含む、請求項11に記載の抗体製剤。
【請求項13】
調合緩衝液がヒスチジン/ヒスチジン塩酸塩である、請求項11に記載の抗体製剤。
【請求項14】
前記緩衝液が約10mM~約40mMのヒスチジン/ヒスチジン塩酸塩を含む、請求項12に記載の抗体製剤。
【請求項15】
前記緩衝液が約25mMのヒスチジン/ヒスチジン塩酸塩を含む、請求項13に記載の抗体製剤。
【請求項16】
非荷電賦形剤が、フルクトース、グルコース、マンノース、ソルボース、キシロース、乳糖、マルトース、スクロース、デキストラン、プルラン、デキストリン、シクロデキストリン、可溶性デンプン、トレハロース、ソルビトール、エリスリトール、イソマルト、ラクチトール、マルチトール、キシリトール、グリセロール、ヒドロキシエチルデンプン、水溶性グルカンからなる群から選択される、請求項1~15のいずれか一項に記載の抗体製剤。
【請求項17】
非荷電賦形剤が、グルコース、スクロース、トレハロース、およびグリセロールからなる群から選択される、請求項16に記載の抗体製剤。
【請求項18】
非荷電賦形剤がトレハロースである、請求項1~17のいずれか一項に記載の抗体製剤。
【請求項19】
非荷電賦形剤がトレハロース二水和物である、請求項18に記載の抗体製剤。
【請求項20】
約100mM~約150mMの非荷電賦形剤を含む、請求項1~19のいずれか一項に記載の抗体製剤。
【請求項21】
静脈内、皮下、または筋肉内投与に適する、請求項1~20のいずれか一項に記載の抗体製剤。
【請求項22】
請求項1~21のいずれか一項に記載の抗体製剤を含む、プレフィルドシリンジ。
【請求項23】
I型IFN媒介疾患または障害の治療を、それを必要とする対象において行う方法に使用される、請求項1~21のいずれか一項に記載の抗体製剤を含む医薬組成物であって、該方法が治療有効量の抗体製剤を投与するステップを含むものである、医薬組成物。
【請求項24】
前記疾患または障害が、全身性エリテマトーデス(SLE)、インスリン依存性糖尿病、炎症性腸疾患、多発性硬化症、乾癬、自己免疫性甲状腺炎、関節リウマチ、糸球体腎炎、強皮症、筋炎、および狼瘡性腎炎からなる群から選択される、請求項23に記載の医薬組成物。
【請求項25】
前記疾患または障害が全身性エリテマトーデスである、請求項24に記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、本出願と共にEFS-Webを介してテキストフィールドとして提出された、2016年8月18日に作成され、かつ2,490のサイズを有する「IFNAR-350WO1_SL.txt」という名称の配列表を参照により組み込む。
【0002】
本発明は、インターフェロンα受容体1(IFNAR1)またはその抗原結合断片に特異的に結合する高濃度の抗体を含む、安定な低粘度の抗体製剤に関する。実施形態では、抗体製剤は、アニフロルマブまたはその抗原結合断片を含む。
【0003】
いくつかの実施形態では、本発明は、IFNAR1に特異的に結合する約100mg/mL~約200mg/mLの抗体またはその断片;約25mM~約130mMのリジンまたはリジン塩;非荷電賦形剤;界面活性剤;および調合緩衝液を含む安定な抗体製剤に関する。いくつかの実施形態では、本発明は、容器、剤形、およびキットを対象とする。いくつかの実施形態では、本発明は、安定な抗体製剤を製造および使用する方法を対象とする。
【背景技術】
【0004】
抗体は、それらの標的認識特異性のために、様々な疾患および病状の治療で使用され、それによって全身投与に続いて非常に選択的な成果をもたらす。抗体が有効性を保つために、それらは、製造、精製、輸送、および保存中にそれらの生物学的活性を維持しなくてはならない。製造される大量の高純度モノクローナル抗体を提供するための、新しい製造および精製技術が開発されている。しかしこれらの抗体を輸送および保存のために安定化させるという難題が依然として存在し、投与に適した剤形で抗体を提供するという、なおもさらにより大きい難題も存在する。
【0005】
変性、凝集、混入、および粒子形成は、抗体の製剤と保存における著しい障害であり得る。幅広い多様な抗体があるために、全ての抗体の保存に適する普遍的な配合または条件はない。ある抗体の最適配合は、抗体に特異的であることが多い。さらに、抗体製剤は、抗体濃度および/または例えば抗体製剤の粘度などの所望の物理的性質次第で、特定の抗体に合わせてさらに調整する必要があり得る。抗体保存製剤は、多くの場合、市販の抗体のための研究および開発過程の重要な部分である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
抗体安定性と関連する難題を克服するための様々な方法が提案されている。例えば、場合により、抗体は、頻繁に凍結乾燥され、次に投与の直前に再構成される。しかし、再構成は、投与過程に追加的なステップを付け加え、製剤に汚染物質を導入し得る。それに加えて、再構成された抗体は、凝集および粒子形成の問題に直面する場合がある。したがって、輸送および保存と関連する難題を克服し得る、安定した抗体製剤を提供する必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、高濃度の抗インターフェロンα受容体1抗体またはその抗原結合断片を含む安定な低粘度の抗体製剤に関する。いくつかの実施形態では、本発明は、概して、IFNAR1またはその断片に特異的に結合する約100mg/mL~約200mg/mLの抗体、約25mM~約130mMのリジンまたはリジン塩;非荷電賦形剤;界面活性剤;および調合緩衝液を含む安定な抗体製剤に関する。
【0008】
実施形態では、本発明は、約100mg/mL~約200mg/mLのアニフロルマブまたはその抗原結合断片;約40mM~約60mMのリジンHCl;約100mM~約160mMのトレハロース二水和物;約0.02%~約0.1%のポリソルベート80;約15mM~約35mMのヒスチジン/ヒスチジンHClを含む抗体製剤を対象とし、製剤は約5.5~6.5のpHである。
【0009】
実施形態では、本発明は、約145mg/mL~約155mg/mLのアニフロルマブまたはその抗原結合断片;約45mM~約55mMのリジンHCl;約120mM~約140mMのトレハロース二水和物;約0.04%~約0.08%のポリソルベート80;および約20mM~約30mMのヒスチジン/ヒスチジンHClを含む抗体製剤を対象とし、製剤は約5.8~約6.1のpHである。
【0010】
いくつかの実施形態では、本発明は、約150mg/mLのアニフロルマブまたはその抗原結合断片;約50mMのリジンHCl;約130mMのトレハロース二水和物;約0.05%のポリソルベート80;および約25mMのヒスチジン/ヒスチジンHClを含む抗体製剤を対象とし、製剤は約5.9のpHである。
【0011】
いくつかの実施形態では、本発明は、150mg/mLのアニフロルマブまたはその抗原結合断片;50mMのリジンHCl;130mMのトレハロース二水和物;0.05%のポリソルベート80;および25mMのヒスチジン/ヒスチジンHClを含む抗体製剤を対象とし、製剤は約5.9のpHである。
【0012】
追加的な実施形態では、本発明は、150mg/mLのアニフロルマブ;50mMのリジンHCl;130mMのトレハロース二水和物;0.05%のポリソルベート80;25mMのヒスチジン/ヒスチジンHClを含む抗体製剤を対象とし、製剤は5.9のpHである。
【0013】
いくつかの実施形態では、本発明は、適切な容器内において本明細書に記載の抗体製剤のいずれか1つを含む、ヒトへの非経口投与に適する医薬単位用量剤形を対象とする。
【0014】
いくつかの実施形態では、本発明は、本明細書に記載される任意の抗体製剤、本明細書に記載されるような容器、本明細書に記載されるような単位用量剤形、または本明細書に記載されるようなプレフィルドシリンジを含むキットを対象とする。
【0015】
いくつかの実施形態では、本発明は、抗体を約100mg/mL~約200mg/mLの抗IFNAR抗体またはその抗原結合断片に精製するステップと、単離抗体を安定化製剤に入れて安定な抗体製剤を形成するステップとを含む、安定な抗体製剤を製造する方法を対象とし、得られた安定な抗体製剤は、約100mg/mL~約200mg/mLの抗体;約25mM~約130mMのリジンまたはリジン塩;約100mM~約150mMの非荷電賦形剤;約0.02%~約0.1%の界面活性剤;および調合緩衝液を含む。
【0016】
いくつかの実施形態では、本発明は、I型IFN媒介疾患または障害の治療を、それを必要とする対象において行う方法であって、本明細書に記載の抗体製剤のいずれか1つの治療有効量を投与するステップを含む方法を対象とする。
【0017】
本発明を例示する目的で、本発明の特定の実施形態が図面に示される。しかし、本発明は、図面に示された実施形態の正確な配置および手段に限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】ハイスループットスクリーニングビーズに基づく方法において、pHの関数として粘度を示す。
【0019】
【
図2】ハイスループットスクリーニングビーズに基づく方法を用いて、リジンHCl濃度の関数として粘度を示す。
【0020】
【
図3】pH6.0における25mMのヒスチジン/ヒスチジンHCl、25mMのリジン、130mMのトレハロース(丸);およびpH6.0における25mMのヒスチジン/ヒスチジンHCL、50mMのリジン、130mMのトレハロース(菱形)を含有する製剤について、抗体(アニフロルマブ)濃度の濃度の関数として粘度を示す。
【0021】
【
図4】0mMのリジン(菱形);5mMのリジン(四角形);12.5mMのリジン(三角形);25mMのリジン(×印);および50mMのリジン(星印)を含有する溶液について、抗体(アニフロルマブ)濃度の関数として粘度を示す。
【0022】
【
図5】135mg/mLのアニフロルマブ(菱形);150mg/mLのアニフロルマブ(四角形);および180mg/mLのアニフロルマブ(三角形)を含有する溶液について、リジンHCl濃度の関数として粘度を示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
定義
本発明について詳細に説明する前に、本発明は、変動し得る特定の組成物または工程段階に限定されないものと理解される。本明細書および添付の特許請求の範囲の用法では、文脈上例外が明記されていない限り、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「その(the)」は、複数の指示対象を含むことに留意すべきである。「1つの(a)」(または「1つの(an)」)という用語ならびに「1つまたは複数」および「少なくとも1つ」という用語は、本明細書で同義的に使用され得る。
【0024】
さらに本明細書で使用される「および/または」は、他方の有無にかかわらず、2つの指定された特徴または成分のそれぞれの特定の開示と見なされるべきである。したがって、本明細書において、「Aおよび/またはB」などの語句で使用される「および/または」という用語は、「AおよびB」、「AまたはB」、「A」(単独)、および「B」(単独)を含むことが意図される。同様に、「A、B、および/またはC」などの語句における用法では、「および/または」という用語は、以下の実施形態のそれぞれを包含することが意図される:A、B、およびC;A、B、またはC;AまたはC;AまたはB;BまたはC;AおよびC;AおよびB;BおよびC;A(単独);B(単独);およびC(単独)。
【0025】
本開示全体にわたり、百分率、比率などの全ての表現は、特に断りのない限り、「重量基準」である。本明細書の用法では、「重量基準」は、「質量基準」という用語と同義であり、本明細書で定義される比率または百分率が、容積、厚さ、またはその他の尺度でなく、重量に準拠することを示す。
【0026】
「約」という用語は、本明細書では、およそ、範囲、大体、または前後を意味するために使用される。数値範囲に関連して「約」という用語が使用される場合、それは記載される数値の上下の境界を延長することで範囲を修飾する。一般に「約」という用語は、規定値の上下の数値を10%の差異で修飾するために本明細書で使用される。
【0027】
特に断りのない限り、本明細書で使用される全ての技術的および科学的用語は、本発明が関連する技術分野の当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。例えば、Concise Dictionary of Biomedicine and Molecular Biology,Juo,Pei-Show,2nd ed.,2002,CRC Press;The Dictionary of Cell and Molecular Biology,3rd ed.,1999,Academic Press;およびOxford Dictionary Of Biochemistry And Molecular Biology,Revised,2000,Oxford University Pressは、本開示で使用される多数の用語の一般的辞書を当業者に提供する。
【0028】
単位、接頭辞、および記号は、それらの国際単位系(SI)公認形式で示される。数値範囲は、範囲を規定する数を包含する。特に断りのない限り、アミノ酸配列は、アミノからカルボキシ方向で左から右に記述される。本明細書で提供される見出しは、本明細書全体を参照することにより有し得る本発明の様々な態様または実施形態を限定しない。したがって、直下で定義される用語は、本明細書全体を参照してより詳細に定義される。
【0029】
本明細書で実施形態が「含む」という言葉を用いて記述される場合には常に、「からなる」および/または「から本質的になる」によって記述される、その他の点で類似した実施形態も提供されるものと理解される。
【0030】
アミノ酸は、それらの一般に知られている三文字記号によるか、またはIUPAC-IUB生化学命名委員会が推奨する一文字記号によるかのいずれかで本明細書において言及される。同様にヌクレオチドは、それらの一般に認められた一文字コードによって言及される。
【0031】
本明細書の用法では、「射出力」という用語は、抗体製剤を針に通過させるのに必要な圧力(ニュートン単位)である。
【0032】
本明細書の用法では、「自己免疫疾患」という用語は、患者自身の細胞に反応性であり抗原抗体複合体を形成する自己抗体の形成に関連する障害、病態または病状を指す。「自己免疫疾患」という用語は、例えば、全身性エリテマトーデスなどの病状、および例えば急性リウマチ熱などの特定の外的作用因子によって引き起こされる障害を含む。自己免疫障害の例としては、自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性肝炎、ベルジェ病、慢性疲労症候群、クローン病、皮膚筋炎、線維筋痛症、グレーブス病、橋本甲状腺炎、特発性血小板減少症紫斑病、扁平苔癬、多発性硬化症、重症筋無力症、乾癬、リウマチ熱、関節リウマチ、強皮症、シェーグレン症候群、全身性エリテマトーデス、I型糖尿病、潰瘍性大腸炎、および白斑が挙げられるが、これに限定されない。特定の態様では、自己免疫疾患は、全身性エリテマトーデス(SLE)、強皮症(SSe)、筋炎、または狼瘡性腎炎である。
【0033】
「インターフェロンα受容体-1」、「IFNARI」、および「IFNAR」という用語は同義的に使用され、ヒトIFNAR1の変種、イソ型、種同族体を含み、IFNARIに共通する少なくとも1つのエピトープを有する類似体を含む。例えば、de Weerd et al.,J.Bioi.Chern.282:20053-20057(2007)を参照されたい。したがって、特定の例では、ヒトIFNAR1に対して特異的なヒト抗体は、ヒト以外の種からのIFNARI、またはヒトIFNAR1と構造的に関連するその他のタンパク質(例えば、ヒトIFNAR1同族体)と交差反応する。他の事例では、抗体はヒトIFNARIに対して完全に特異的であり得、種交差反応またはその他の各種交差反応性を示さない。ヒトIFNAR1の完全なcDNAの配列は、Genbank受入番号NM 000629を有する。
【0034】
「I型インターフェロン」または「I型IFN」という用語は、本明細書の用法ではIFNAR1のリガンドである、I型インターフェロン分子ファミリーのメンバー(すなわちIFNAR1に結合できるI型インターフェロン分子ファミリーのメンバー)を指す。I型インターフェロンリガンドの例は、インターフェロンα1、2a、2b、4、5、6、7、S、10、14、16、17、21、インターフェロンβ、およびインターフェロンωである。
【0035】
「I型IFN媒介疾患または障害」という用語は、I型IFN薬力学(「PD」)マーカー発現プロファイルまたは遺伝子シグネチャー(I型IFN GS)を呈示する、あらゆるI型IFNまたはIFNa誘導性疾患、障害、または病状を指す。PDマーカー発現プロファイルおよび遺伝子シグネチャーは均等物であると理解される。これらの疾患、障害、または病状としては、全身性エリテマトーデス(SLE)、強皮症、狼瘡性腎炎、oワスレナグサ(o myosotis)などの自己免疫要素があるものが挙げられる。I型IFN媒介疾患または障害は、例えば抗体またはその抗原結合断片である小分子または生物剤の投与によって治療され得る。治療薬が生物剤である場合、それはI型IFNまたはIFNαのあらゆるサブタイプに対して特異的な抗体であってもよい。例えば、抗体は、IFNα1、IFNα2、IFNα4、IFNα5、IFNα6、IFNα7、IFNα8、IFNα10、IFNα14、IFNα17、IFNα21、IFNβ、またはIFNωのいずれか1つに対して特異的であってもよい。代替的に、抗体は、任意の2つ、任意の3つ、任意の4つ、任意の5つ、任意の6つ、任意の7つ、任意の8つ、任意の9つ、任意の10、任意の11、任意の12のI型IFNまたはIFNαサブタイプに対して特異的であってもよい。抗体が2つ以上のI型IFNサブタイプに特異的である場合、抗体は、IFNα1、IFNα2、IFNα4、IFNα5、IFNα8、IFNα10、およびIFNα21に対して特異的であってもよく;またはそれはIFNα1、IFNα2、IFNα4、IFNα5、IFNα8、およびIFNα10に対して特異的であってもよく;またはそれはIFNα1、IFNα2、IFNα4、IFNα5、IFNα8、およびIFNα21に対して特異的であってもよく;またはそれはIFNα1、IFNα2、IFNα4、IFNα5、IFNα10、およびIFNα21に対して特異的であってもよい。IFNα活性を調節する治療薬は、IFNα活性を中和してもよい。I型IFN媒介疾患または障害はまた、例えばIFNAR1などのI型IFN受容体に対して特異的な抗体で治療し得る。いくつかの態様では、抗IFNAR1抗体は、ヒト以外の種からのIFNAR1と交差反応し得る。その他の態様では、抗IFNAR1抗体は、IFNAR1のみに対して特異的であり得、種交差反応またはその他のタイプの交差反応を示さない。いくつかの態様では、抗IFNAR1抗体は、未修飾抗体と比較して、FCリガンドに対する結合親和性の低下を示し、エフェクター機能(ADCCおよび/もしくはCDC)の低下もしくは低減、Fcリガンドに対する結合の低下もしくは低減、または毒性の低下もしくは低減を有する。
【0036】
「MEDI-546」という用語は、米国特許第7,662,381号明細書に記載される抗IFNAR9D4抗体のFc修飾型を指す。「MEDI-546」および「アニフロルマブ」という用語は、本明細書で同義的に使用される。MEDI-546の配列は、米国特許第2011-0059078号明細書に記載される。MEDI-546は、ヒトIgG1の下側ヒンジおよびCH2ドメインに導入されたL234F、L235E、およびP331Sの3つの変異の組み合わせを含み、それらは、ヒトFcyRI(CD64)、FcyRIIA(CD32A)、FcyRIII(CD16)、およびC1qに対するそれらの結合低下を引き起こし、番号付与はKabatに記載されるEU指標に従う。例えば、それらの内容全体が参照により本明細書に援用される米国特許出願公開第2011/0059078号明細書およびOganesyan et al.Acta Crystallographica D 64:700-704(2008)を参照されたい。MEDI-546のVHおよびVκ配列は、表1に示される。
【表1】
【0037】
「I型IFN活性を調節する抗体またはその抗原結合断片」という用語は、患者においてI型IFN活性を調節できる、その最も広い意味での抗体を指す(後述参照)。「調節」という用語は、本明細書の用法では、I型IFN活性の阻害または抑制、およびI型IFN活性の誘導または増強を含む。特定の態様では、I型IFN活性はIFNα活性である。いくつかの態様では、型IFN GSの抑制は、I型IFN活性の抑制である。いくつかの態様では、抗体またはその抗原結合断片は、モノクローナルである。特定の態様では、I型IFN活性を調節する抗体またはその抗原結合断片は、IFNAR1などのI型IFN受容体に特異的に結合する。いくつかの特定の態様では、抗体またはその抗原結合断片は、IFNAR1のサブユニット1に特異的に結合する。
【0038】
「抗体」という用語は、本明細書では、その最も広い意味で使用され、例えばモノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、多価抗体、多特異性抗体、キメラ抗体、およびヒト化抗体を含む。「抗体」という用語は、抗体全体を含む。「抗体」という用語はまた、ジスルフィド結合またはその抗原結合部分によって相互連結する、少なくとも2本の免疫グロブリン重(H)鎖および2本の免疫グロブリン軽(L)鎖を含むタンパク質も指す。各重鎖は、重鎖可変領域(本明細書でVHと略記される)および重鎖定常領域から構成される。重鎖定常領域は、CHI、CH2、およびCH3の3つのドメインから構成される。各軽鎖は、軽鎖可変領域(本明細書でVLと略記される)および軽鎖定常領域から構成される。軽鎖定常領域は、1つのドメイン、CLから構成される。VHおよびVL領域は、相補性決定領域(CDR)と称される超可変性領域にさらに細分化され得、フレームワーク領域(FR)と称される、より保存された領域がその中に散在する。各VHおよびVLは、FRI、CDRI、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4の順でアミノ末端からカルボキシ末端に配置された3つのCDRおよび4つのFRから構成される。重鎖および軽鎖の可変領域は、抗原と相互作用する結合ドメインを含有する。抗体の定常領域は、免疫グロブリンと、免疫系の様々な細胞(例えば、エフェクター細胞)および古典的補体系の第1の成分(C1q)を含む宿主組織または要素との結合を媒介し得る。
【0039】
「抗原結合断片」という用語は、抗原(例えば、IFNAR)に特異的に結合する能力を保つ抗体の1つまたは複数の断片を指す。抗体の抗原結合機能は、全長抗体の断片によって遂行され得ることが示されている。抗体の「抗原結合断片」という用語に包含される結合断片の例としては、(i)VL、VH、CL、およびCHIドメインからなる一価の断片であるFab断片;(ii)ヒンジ領域のジスルフィド架橋によって連結する2つのFab断片を含む二価の断片であるF(ab’)2断片;(iii)VHおよびCHIドメインからなるFd断片;(iv)抗体の単一アームのVLおよびVHドメインからなるFv断片;(v)VHドメインからなるdAb断片(Ward et al.,(1989)Nature 34I:544-546);および(vi)単離された相補性決定領域(CDR)が挙げられる。さらに、Fv断片であるVLおよびVHの2つのドメインは別個の遺伝子によってコードされるが、それらは、組換え法を用いて、その中でVLおよびVH領域が対合して、その中で一本鎖Fv(scFv)として知られている一価の分子を形成する単一タンパク質鎖になるようにする、合成リンカーによって連結され得る。例えば、Bird et al.(1988)Science 242:423-426;およびHuston et al.(1988)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85:5879-5883)を参照されたい。このような一本鎖抗体も抗体の「抗原結合断片」という用語に包含されることが意図される。これらの抗体断片は、当業者に公知の従来の技術を用いて得られ、断片は非損傷抗体と同じ方法で有用性についてスクリーニングされる。
【0040】
「単離抗体」は、本明細書の用法では、異なる抗原特異性を有する他の抗体を実質的に含まない抗体を指すことを意図する(例えば、IFNARに特異的に結合する単離抗体は、IFNAR以外の抗原に特異的に結合する抗体を実質的に含まない)。しかし、IFNARに特異的に結合する単離抗体は、その他の生物種に由来するIFNAR分子などのその他の抗原との交差反応性を有し得る。さらに、単離抗体は、その他の細胞物質および/または化学物質を実質的に含まなくてもよい。
【0041】
「モノクローナル抗体」という用語は、本明細書の用法では、単一分子組成の抗体分子の調製物を指す。モノクローナル抗体は、特定のエピトープに対する単一結合特異性および親和性を示す。
【0042】
「ヒト抗体」という用語は、本明細書の用法では、フレームワークおよびCDR領域の両方が、ヒト生殖系列免疫グロブリン配列に由来する可変領域を有する抗体を含むことが意図される。さらに、抗体が定常領域を含有する場合、定常領域もヒト生殖系列免疫グロブリン配列に由来する。本開示のヒト抗体は、ヒト生殖系列免疫グロブリン配列によってコードされないアミノ酸残基を含み得る(例えば、生体外でのランダムもしくは部位特異的変異誘発、または生体内での体細胞変異によって導入された変異)。しかし、「ヒト抗体」という用語は、本明細書の用法では、マウスなどの別の哺乳類種の生殖細胞に由来するCDR配列がヒトフレームワーク配列上にグラフトされた抗体を含むことは意図されない。
【0043】
「ヒトモノクローナル抗体」という用語は、フレームワークおよびCDR領域の両方がヒト生殖系列免疫グロブリン配列に由来する可変領域を有する、単一結合特異性を示す抗体を指す。一実施形態では、ヒトモノクローナル抗体は、例えば、不死化細胞に融合されたヒト重鎖導入遺伝子および軽鎖導入遺伝子を含むゲノムを有する、遺伝子組換えマウスなどの遺伝子組換え非ヒト動物から得られたB細胞を含むハイブリドーマによって産生される。
【0044】
「組換ヒト抗体」という用語は、本明細書の用法では、(a)ヒト免疫グロブリン遺伝子またはそれから調製されたハイブリドーマについて、遺伝子組換えまたは染色体導入された動物(例えば、マウス)から単離抗体(下でさらに詳しく説明される)、(b)ヒト抗体を発現するように形質転換された宿主細胞から、例えば、トランスフェクトーマから単離抗体、(c)組換えコンビナトリアルヒト抗体ライブラリーから単離抗体、および(d)ヒト免疫グロブリン遺伝子配列の他のDNA配列へのスプライシングを伴う、その他のあらゆる手段によって調製、発現、作製または単離抗体などの組換え手段によって調製、発現、作製、または単離された全てのヒト抗体を含む。このような組換えヒト抗体は、フレームワークおよびCDR領域がヒト生殖系列免疫グロブリン配列に由来する可変領域を有する。しかし、特定の実施形態では、このような組換えヒト抗体は、生体外変異誘発(またはヒトIg配列について遺伝子組換えされた動物が使用される場合、生体内体細胞変異誘発)の対象となり得、したがって、組換え抗体のVHおよびVL領域のアミノ酸配列は、ヒト生殖系列VHおよびVL配列に由来し関連する配列である一方、生体内においてヒト抗体生殖系列レパートリー内に天然に存在しなくてもよい。
【0045】
「抗体」という用語は、本明細書の用法では、それらが所望の生物学的活性を示しさえすれば、その中で重鎖および/または軽鎖の一部が、特定の種に由来しまたは特定の抗体クラスまたはサブクラスに属する抗体中の対応する配列と同一または相同的である一方、鎖の残部は、別の種に由来しまたは別の抗体クラスまたはサブクラスに属する抗体中の対応する配列と同一または相同的である、「キメラ」抗体およびこのような抗体の断片も含む(米国特許第4,816,567号明細書;およびMorrison et al,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 81:6851-6855(1984))。
【0046】
脊椎動物系における基本的な抗体構造は、比較的よく知られている。例えば、Harlow et al.(1988)Antibodies:A Laboratory Manual(2nd ed.;Cold Spring Harbor Laboratory Press)を参照されたい。
【0047】
用語に、当該技術分野で使用されおよび/または受け入れられている2つ以上の定義がある場合、本明細書で使用される用語の定義は、明示的に別段の定めがある場合を除いて、そのような意味の全てを含むことが意図される。特定の例は、重鎖および軽鎖ポリペプチドの両方の可変領域内に見出される非隣接抗原結合位置を描写するための、「相補性決定領域」(「CDR」)という用語の使用である。この特定の領域は、Kabat et al.(1983)U.S.Dept.of Health and Human Services,“Sequences of Proteins of Immunological Interest”およびChothia and Lesk,J.Mol.Bioi.196:901-917(1987)によって記載され、その定義には、互いに比較した際のアミノ酸残基の重複またはサブセットが含まれる。それにもかかわらず、抗体またはその変異型のCDRを指すためにいずれかの定義を適用することは、本明細書で定義および使用される用語の範囲内にあることが意図される。上で引用された参考文献のそれぞれによって定義されるようなCDRを包含する適切なアミノ酸残基は、以下の表2に比較として記載される。特定のCDRを包含する正確な残基数は、CDRの配列およびサイズに次第で変動するであろう。当業者は、抗体の可変領域アミノ酸配列を所与として、特定のCDRを含む残基を慣例的に判定し得る。
【表2】
【0048】
Kabat et al.も、あらゆる抗体に適用可能な可変ドメイン配列の番号付与体系を定義した。当業者は、配列自体を、以上のいかなる実験データに依存することなく、この「Kabat番号付与」体系を任意の可変ドメイン配列に明白に割り当て得る。本明細書の用法では、「Kabat番号付与」は、Kabat et al.(1983)U.S.Dept.of Health and Human Services,“Sequence of Proteins of Immunological Interest”に記載される番号付与体系を指す。別段の指定がない限り、本開示の抗IFNAR抗体またはその抗原結合断片、変異型または誘導体における特定のアミノ酸残基位置の番号付与への言及は、Kabat番号付与体系に従う。
【0049】
「治療する」または「治療」という用語は、本明細書の用法では、治療処置および予防または防止的手段の両方を指し、目的は、炎症性疾患または病状の進行など、対象の望まれない生理学的変化または障害を予防しまたは遅延させる(軽減する)ことである。有益なまたは所望の臨床結果としては、症状の緩和、疾患の程度の減少、疾患の状態の安定化(すなわち、悪化なし)、疾患の進行の遅延または減速、疾患状態の改善または緩和、および(部分的または完全を問わない)寛解または検出不可能が挙げられるが、これに限定されない。「治療」という用語はまた、治療を受けない場合の予測生存期間と比較して、生存を長期化させることを意味する。治療を必要とする対象としては、既に状態もしくは障害を有する対象、および病状もしくは障害を有しやすい対象または病状もしくは障害が予防される対象が挙げられる。
【0050】
「治療すること」または「治療」または「治療する」などの用語は、(1)症状を治癒、遅延、軽減し、および/または診断された病的状態または障害の進行を食い止める治療手段、および(2)標的病的状態または障害の進行を阻止しおよび/または遅延させる予防または防止手段の両方を指す。したがって、治療を必要とする対象としては、既に障害がある対象;障害を起こしやすい対象;その中で障害が予防される対象が挙げられる。
【0051】
「有効量」または「ための有効量」または「治療有効量」という用語は、所望の結果を生じるのに十分な治療薬の用量への言及を含む。
【0052】
「対象」または「患者」は、診断、予後診断、または治療法が所望される、あらゆる対象、特に哺乳類対象を意味する。本明細書の用法では、「対象」または「患者」という用語は、あらゆるヒトまたは非ヒト動物を含む。「非ヒト動物」という用語は、例えば、非ヒト霊長類、ヒツジ、イヌ、ネコ、ウマ、ウシ、クマ、ニワトリ、両生類、爬虫類などの哺乳類および非哺乳類などの全ての脊椎動物を含む。本明細書の用法では、「I型IFN媒介疾患または障害を有する患者」などの語句は、例えば検出、画像診断、またはその他の診断手順のための、I型IFN活性を調節する抗体またはその抗原結合断片の投与から、および/またはこのような抗体またはその抗原結合による治療、すなわち疾患の一時的緩和または予防から利益を受ける哺乳類対象などの対象を含む。
【0053】
抗体製剤
実施形態では、本発明は、抗IFNAR1抗体またはその抗原結合断片を含む安定な抗体製剤を提供する。実施形態では、抗IFNAR1抗体はアニフロルマブである。実施形態では、本発明の製剤は、アニフロルマブおよびその抗原結合断片の両方を含む。
【0054】
実施形態において、本発明の抗体製剤は、配列番号1のアミノ酸配列を有する参照VHからの0~つの5アミノ酸置換を含むVHドメイン配列を含む、抗体またはその抗原結合断片を含む。
【0055】
実施形態において、本発明の抗体製剤は、配列番号2のアミノ酸配列を有する参照Vκからの0~つの5アミノ酸置換を含むVκドメインを含む、抗体またはその抗原結合断片を含む。
【0056】
いくつかの実施形態では、抗体製剤中の抗体は、抗体製剤に添加される前に精製される。「単離する」および「精製する」という用語は、例えば宿主細胞タンパク質を含む組成物など、抗体がその中にある組成物中の不純物またはその他の汚染物質からの抗体の分離を指す。いくつかの実施形態では、抗体から、少なくとも50%、70%、80%、90%、95%、98%、99%、99.5%、または99.9%(w/w)の不純物が浄化される。例えば、いくつかの実施形態では、例えば抗IFNAR1抗体などの抗体の精製は、組成物中に元々存在する、99%(w/w)の宿主細胞タンパク質からの抗体の分離を含むであろう。
【0057】
いくつかの実施形態では、「単離する」、および「精製する」という用語は、例えば世界保健機関または米国食品医薬品局など、政府機関のガイドラインに一致する程度に、例えば抗IFNAR1抗体などの抗体を組成物中の不純物またはその他の汚染物質から分離することを指す。
【0058】
抗体を精製する方法は、当業者に知られている。精製を実施するための適切な技術としては、アフィニティクロマトグラフィー、疎水性相互作用、イオン交換(カチオン交換クロマトグラフィーまたは混合モードクロマトグラフィーなど)などの様々なタイプのクロマトグラフィー、および濾過が挙げられる。
【0059】
アフィニティクロマトグラフィーは、それによって抗体が、その特異的結合特性のために抗体に対する親和性リガンドと結合する、分離法を指す。機能的親和性リガンドは、抗体を含む組成物がリガンドおよび固体担体の上を通過すると、リガンドに対する特異的結合親和性を有する抗体がリガンドに吸着され、1つまたは複数のその他の不純物は吸着されずに(またはより低い親和力で結合して)、抗体から分離されるように、固体または半固体担体上に固定化し得る。典型的に結合しない(または十分に結合しない)不純物の例としては、処理関連不純物(例えば、宿主細胞タンパク質、DNA、培地成分)およびいくつかの生成物関連不純物(例えば、抗体断片)が挙げられる。いくつかの実施形態では、吸着された抗体をリガンドおよび担体から除去する前に、リガンドを含む固体担体を緩衝液で1回または複数回洗浄して、追加的な不純物を除去する。1つまたは複数の不純物が除去(溶出)された後、吸着された抗体をリガンドおよび担体から除去して、最初の組成物からの抗体の単離をもたらし得る。リガンドおよび担体から抗体を除去する方法は、リガンドに依存して、当業者に知られており、例えば、pH、添加もしくはカオトロピック剤もしくは変性剤、または市販の溶出緩衝液の添加などの環境変化が挙げられる。いくつかの実施形態では、抗体組成物に対して、2つ以上の親和性精製処理を用い得る。プロテインAおよびプロテインG(およびそれらの組み合わせ)を含む様々な親和性リガンドが、当該技術分野で公知である。固定化リガンドは、市販される。例えば、プロテインAアフィニティシステムとしては、MabSelect、MabSelect SuRe、MabSelect Xtra、MabSelect SuRe LX、Sepaharose CL-4B、ProSep vA、ProSep vA Ultra、およびCeramic HyperDが挙げられる。
【0060】
イオン交換クロマトグラフィーとしては、カチオン交換クロマトグラフィーおよび混合クロマトグラフィーが挙げられる。カチオン交換クロマトグラフィーは、カチオン交換マトリックスを使用して、電荷の差に基づいて、抗体および数種の不純物を分離させ得る任意の方法を指す。カチオン交換マトリックスは、通常は、共有結合した負荷電基を含む。弱いまたは強力なカチオン交換樹脂を用いてもよい。通常、強力なカチオン交換樹脂は、pH次第でスルホン酸またはスルホネート基を含む、担持される有機基を含む。弱いカチオン交換体樹脂は、通常、pH次第でカルボン酸またはカルボキシレート基を含む、担持される有機基を含む。特定の実施形態では、追加的な結合機構、ならびに例えば水素結合相互作用および疎水性相互作用の1つまたは複数のイオン性相互作用を組み込んだ、マルチモーダルカチオン交換樹脂を利用し得る。適切なカチオン交換樹脂の例は、当該技術分野で周知であり、フラクトゲル、カルボキシメチル(CM)、スルホエチル(SE)、スルホプロピル(SP)、ホスフェート(P)およびスルホネート(S)、PROPAC WCX-10(商標)(Dionex)、Capto S、S-セファロースFF、フラクトゲルEMD SO3M、Toyopearl Megacap II SP 550C、Poros 50 HS、およびSP-セファロースマトリックスが挙げられるが、これに限定されない。いくつかの実施形態では、組成物に対して、2つ以上のカチオン交換クロマトグラフィー処理を用い得る。
【0061】
混合モードクロマトグラフィーは、不純物(例えば、宿主細胞タンパク質、DNAなどの処理関連不純物、および/または内在性または偶発性ウイルス)からの分析物の分離を達成するために、固定層と分析物間の相互作用の2つ以上の形態を利用する方法を指す。適切なアニオン交換マトリックスの例は、当該技術分野で公知であり、Capto Adhere、Sartobind Q、Natrix Q、Chromasorb Q、およびMustang Qが挙げられるが、これに限定されない。
【0062】
いくつかの実施形態では、追加的な濾過ステップを利用して、不純物を除去し得る。例えば、いくつかの実施形態では、ナノ濾過または限外濾過が使用される。ナノ濾過は、例えば、75nm未満、50nm未満、および未満15nmでさえある孔径を有するマトリックスを通して、組成物を通過させ、例えばウイルスなどの不純物を抗体から分離するステップを含む。用い得る市販のナノフィルターおよびウルトラフィルターは、Millipore Corporation(Billerica,Mass.、例えば、Viresolve ProおよびViresolve Pro+)、PallCorporation(East Hills,N.Y.)、GE Healthcare Sciences(Piscataway,N.J.)、およびSartorius Corporation(Goettingen,Germany)などの様々な供給業者によって製造される。
【0063】
いくつかの実施形態では、例えば、抗IFNARまたはその抗原結合断片などの本発明の製剤で使用される抗体は、配列番号1のKabat定義VH配列および配列番号2のKabat定義Vκを含み、抗体は、10mg/ml~300mg/ml、30mg/ml~250mg/ml、50mg/ml~200mg/ml、100mg/ml~200mg/ml、125mg/ml~175mg/ml、130mg/ml~170mg/mL、135mg/ml~165mg/mL、140mg/ml~160mg/mL、145mg/ml~155mg/mL、130mg/ml、135mg/ml、140mg/ml、145mg/ml、146mg/ml、147mg/ml、148mg/ml、149mg/ml、150mg/ml、151mg/ml、152mg/ml、153mg/ml、154mg/ml、155mg/ml、156mg/ml、157mg/ml、158mg/ml、159mg/mlまたは160mg/mlの濃度で製剤中にある。いくつかの実施形態では、抗体は、約50mg/ml、55mg/ml、60mg/ml、65mg/ml、70mg/ml、75mg/ml、80mg/ml、85mg/ml、90mg/ml、95mg/ml、100mg/ml、125mg/ml、130mg/ml、140mg/ml、150mg/ml、160mg/ml、170mg/ml、180mg/ml、190mg/ml、200mg/mlの濃度である。
【0064】
本発明の抗体製剤は、リジンを含む。リジンは、
【化1】
の構造を有する必須アミノ酸である。本明細書の用法では、リジンは、リジンの遊離塩基形態およびあらゆる全てのそれらの塩を含み得る。実施形態において、リジンの塩形態は、リジン酢酸塩、リジンモノクロリド、リジンジクロリド、リジンL-アスパラギン酸塩、およびリジンL-グルタミン酸塩である。いくつかの実施形態では、リジンは、その薬学的に許容可能な塩を含む。例えば、リジンはリジン塩酸塩を含む。リジンは、本明細書の用法では、全ての鏡像異性体(例えば、L-リジンおよびS-リジン)、および鏡像異性体の任意の組み合わせ(例えば、50%のL-リジンおよび50%のS-リジン;90%~100%のL-リジンおよび10%-0%のS-リジンなど)も含む。いくつかの実施形態では、「リジン」という用語には、99%を超えるL-リジンおよび1%未満のS-アリジンが含まれる。いくつかの実施形態では、「リジン」という用語は、鏡像異性的に純粋なL-リジンが含まれる。いくつかの実施形態では、リジンは製薬等級リジンである。
【0065】
実施形態において、本発明の抗体製剤は、例えば、100~200mg/mLの抗体、または約150mg/mLの抗体を含む抗体製剤などの抗体製剤中に約10~約100mMのリジン、約20~約90mMのリジン、約30mMのリジン~約80mMリジン、約40~約70mMのリジン、約45~約65mMのリジン、約45~約60mMのリジン、約50~約55mMのリジンを含む。実施形態において、本発明の製剤は、抗体製剤中に約50mMのリジンHCl、100~200mg/mLの抗体、または約150mg/mLの抗体、非荷電賦形剤、界面活性剤、および調合緩衝液を含む。
【0066】
本発明の抗体製剤は、非荷電賦形剤を含み得る。賦形剤という用語は、本明細書に記載される抗体と共に製剤化される、薬理学的不活性物質を指す。いくつかの実施形態では、賦形剤は、変性防止を促進し、または別の方法での抗体の安定化を促進し得る。医薬組成物で使用してもよい適切な賦形剤は、当該技術分野で公知である。例は、例えば手引き書Gennaro,Alfonso R.:“Remington’s Pharmaceutical Sciences”,Mack Publishing Company,Easton,Pa.,1990にある。いくつかの実施形態では、賦形剤は、「非荷電」賦形剤であり、すなわち、陽性「+」または陰性「-」電荷のいずれも保有しない賦形剤である。いくつかの実施形態では、賦形剤は、フルクトース、グルコース、マンノース、ソルボース、キシロース、乳糖、マルトース、スクロース、デキストラン、プルラン、デキストリン、シクロデキストリン、可溶性デンプン、トレハロース、ソルビトール、エリスリトール、イソモルト、ラクチトール、マルチトール、キシリトール、グリセロール、ラクチトール、ヒドロキシエチルデンプン、水溶性グルカンからなる群から選択される。
【0067】
いくつかの実施形態では、非荷電賦形剤は、抗体製剤中に約1mM~約1M、約2mM~約500mM、約5mM~約400mM、約10mM~約300mMまたは約20mM~約250mMで存在する。いくつかの実施形態では、非荷電賦形剤は、抗体製剤中に約30mM~約230mM、約40mM~約220mM、約50mM~約210mM、約60mM~約210mM、約70mM~約200mM、約70mM~約200mM、約70mM~約200mM、約70mM~約200mM、約80mM~約190mM、約90mM~約180mM、約100mM~約170mM、約110mM~約160mM、約12mM~約150mM、約125mM~約145mM、約125mM~約140mM、約120mM、約125mM、約130mM、約135mM、約140mM、約150mM、約160mM、または約170mMで存在し、例えば抗体製剤は、100~200mg/mLの抗体を含む。一実施形態では、非荷電賦形剤は、抗体製剤中に約130mMで存在する。いくつかの実施形態では、非荷電賦形剤は、抗体製剤中に約50mM~約500mM、約100mM~約450mM、約110mM~約350mM、約120mM、約125mM、約130mM、約140mM、または約145mMで存在し、例えば、抗体製剤は、100~200mg/mLの抗体または約150mg/mLの抗体を含む。一実施形態では、非荷電賦形剤は、抗体製剤中に約130mMで存在する。
【0068】
いくつかの実施形態では、非荷電賦形剤は、式:
【化2】
によって表わされるトレハロースである。
【0069】
いくつかの実施形態では、トレハロースは、抗体製剤中に約1mM~約1M、約2mM~約500mM、約5mM~約400mM、約10mM~約300mMまたは約20mM~約250mMで存在する。いくつかの実施形態では、トレハロースは、抗体製剤中に約30mM~約230mM、約40mM~約220mM、約50mM~約210mM、約60mM~約210mM、約70mM~約200mM、約80mM~約190mM、約90mM~約180mM、約100mM~約170mM、約110mM~約160mM、約120mM~約150mM、約125mM~約145mM、約125mM~約140mM、約120mM、約125mM、約130mM、約135mM、約140mM、約150mM、約160mM、または約170mMで存在し、例えば、抗体製剤は、100~200mg/mLの抗体を含む。一実施形態では、トレハロースは、抗体製剤中に約130mMで存在する。いくつかの実施形態では、トレハロースは、抗体製剤中に約50mM~約500mM、約100mM~約450mM、約110mM~約350mM、約120mM、約125mM、約130mM、約140mM、または約145mMで存在し、例えば、抗体製剤は、100~200mg/mLの抗体または約150mg/mLの抗体を含む。一実施形態では、トレハロースは、抗体製剤中に約130mMで存在する。
【0070】
抗体製剤には、様々なその他の成分が含まれ得る。いくつかの実施形態では、抗体製剤は、緩衝液(例えば、ヒスチジン、酢酸、リン酸またはクエン酸緩衝液)、および/または安定剤(例えば、ヒトアルブミン)などを含み得る。いくつかの実施形態では、抗体製剤は、例えば、イオン交換体、アルミナ、ステアリン酸アルミニウム、レシチン、ヒト血清アルブミンなどの血清タンパク質、リン酸塩などの緩衝物質、スクロース、グリシン、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、飽和植物脂肪酸の部分グリセリド混合物、水、硫酸プロタミンなどの塩または電解質、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素カリウム、塩化ナトリウム、亜鉛塩、コロイドシリカ、三ケイ酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、セルロースベースの物質、ポリエチレングリコール、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ポリアクリレート、ポリエチレン-ポリオキシプロピレン-ブロックポリマー、およびポリエチレングリコールを含む、薬学的に許容可能な担体を含み得る。
【0071】
いくつかの実施形態では、抗体製剤は、界面活性剤をさらに含む。いくつかの実施形態では、界面活性剤は、トリトンX-100、ツイーン80、ポリソルベート20、ポリソルベート80、ノノキシノール-9、ポリオキサマー、ステアリルアルコール、ドデシル硫酸ナトリウム、およびモノステアリン酸ソルビタンからなる群から選択される。
【0072】
いくつかの実施形態では、界面活性剤は、式:
【化3】
によって表わされるポリソルベート80、すなわち、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレアートである。ポリソルベート80(PS-80)は、例えば、Alkest(登録商標)TW80(Univar(登録商標))、およびTween(登録商標)80(Sigma-Aldrich(登録商標))などのいくつかの商業的供給業者から市販される。本出願人らは、場合により、抗体製剤中のPS-80の濃度を調節することで、長期間にわたる貯蔵時に安定性が増し、粒子形成量が減少することを見出した。
【0073】
いくつかの実施形態では、PS-80は、例えば、約100mg/mL~約200mg/mLの抗体または約150mg/mLの抗体を含む抗体製剤などの抗体製剤の約0.01%~約0.1%、約0.02%~約0.09%、約0.02%~約0.08%、約0.03%~約0.08%、約0.04%~約0.07%、約0.05%~約0.06%、約0.02%、約0.03%、約0.04%、約0.05%、約0.06%約0.07%である。いくつかの実施形態では、PS-80は抗体製剤中において約0.05%である。
【0074】
いくつかの実施形態では、抗体製剤は、ヒスチジン/ヒスチジンHCl緩衝液をさらに含む。いくつかの実施形態では、抗体製剤は、例えば、100~200mg/mLの抗体または約150mg/mLの抗体を含む抗体製剤などの本発明の抗体製剤中に約1mM~約100mM、約5mM~約80mMヒスチジン/ヒスチジンHCl緩衝液、約10mM~約60mMのヒスチジン/ヒスチジンHCl緩衝液、約15mM~約50mMのヒスチジン/ヒスチジンHCl緩衝液、約15mM~約30mMのヒスチジン/ヒスチジンHCl緩衝液、または約25mMのヒスチジン/ヒスチジンHCl緩衝液を含む。一実施形態では、ヒスチジン/ヒスチジンHCl緩衝液は、抗体製剤中に約25mMである。
【0075】
いくつかの実施形態では、本発明は、150mg/mLのアニフロルマブまたはその抗原結合断片;50mMのリジンHCl;130mMの非荷電賦形剤;0.05%の界面活性剤;25mMの調合緩衝液を含む抗体製剤を対象とし、製剤は約5.9のpHである。
【0076】
いくつかの実施形態では、本発明は、150mg/mLのアニフロルマブ;50mMのリジンHCl;130mMの非荷電賦形剤;0.05%の界面活性剤;25mMの調合緩衝液を含む抗体製剤を対象とし、製剤は約5.9のpHである。
【0077】
追加的な実施形態では、本発明は、150mg/mLのアニフロルマブ;50mMのリジンHCl;130mMのトレハロース二水和物;0.05%のポリソルベート80;25mMのヒスチジン/ヒスチジンHClを含む抗体製剤を対象とし、製剤は5.9のpHである。
【0078】
いくつかの実施形態では、本発明は、(a)約100mg/mL~約200mg/mLの抗体またはその抗原結合断片、(b)約0.02%~約0.1%のポリソルベート80、(c)約100mM~約160mMのトレハロース、(d)約40mM~約60mMのL-リジンHCl、および(e)15~35mMのヒスチジン/ヒスチジンHClを含む安定な抗体製剤を対象とし、抗体はアニフロルマブである。実施形態において、製剤pHは約5.5~約6.5である。
【0079】
さらなる実施形態では、本発明は、(a)約145mg/mL~約155mg/mLの抗体またはその抗原結合断片、(b)約0.04%~約0.08%のポリソルベート80、(c)約120~140mMのトレハロース二水和物、(d)約45~55mMのL-リジンHCl、および(e)約20~30mMのヒスチジン/ヒスチジンHClを含む安定な抗体製剤を対象とし、抗体はアニフルロマブである。実施形態において、製剤pHは約5.8~約6.1である。
【0080】
さらなる実施形態では、本発明は、(a)約150mg/mLの抗体またはその抗原結合断片、(b)約0.05%のポリソルベート80、(c)約130mMのトレハロース二水和物、(d)約50mMのL-リジンHCl、および(e)約25mMのヒスチジン/ヒスチジンHClを含む安定な抗体製剤を対象とし、抗体はアニフルロマブである。実施形態において、製剤pHは約5.9である。
【0081】
いくつかの実施形態では、本発明は、150mg/mLのアニフロルマブまたはその抗原結合断片;50mMのリジンHCl;130mMのトレハロース二水和物;0.05%のポリソルベート80;25mMのヒスチジン/ヒスチジンHClを含む抗体製剤を対象とし、製剤は約5.9のpHである。
【0082】
追加的な実施形態では、本発明は、150mg/mLのアニフロルマブ;50mMのリジンHCl;130mMのトレハロース二水和物;0.05%のポリソルベート80;25mMのヒスチジン/ヒスチジンHClを含む抗体製剤を対象とし、製剤は5.9のpHである。
【0083】
いくつかの実施形態では、抗体製剤から様々な成分を省くことができ、または抗体製剤は、その成分を「実質的に含まない」。「実質的に含まない」という用語は、本明細書の用法では、0.01%未満、0.001%未満、0.0005%未満、0.0003%未満、または0.0001%未満の指定された成分を含有する抗体製剤を指す。
【0084】
抗体製剤は、異なるモル浸透圧濃度を有し得る。抗体製剤のモル浸透圧濃度の測定法は、当業者に知られており、例えば浸透圧計(例えば、Advanced Instrument Inc 2020凝固点降下浸透圧計)が挙げられる。いくつかの実施形態では、製剤は、200~600mosm/kg、260~500mosm/kg、または300~450mosm/kgのモル浸透圧濃度を有する。
【0085】
本発明の抗体製剤は、様々なpHレベルを有し得る。いくつかの実施形態では、抗体製剤のpHは、4~7、4.5~6.5、または5~6である。いくつかの実施形態では、抗体製剤のpHは5.0である。いくつかの実施形態では、抗体製剤のpHは6.0である。いくつかの実施形態では、抗体製剤のpHは≦7.0である。適切な緩衝液の添加を含むがこれに限定されない、様々な手段を利用して、所望のpHレベルを得てもよい。
【0086】
本明細書に記載される抗体製剤は、様々な粘度を有する。抗体製剤の粘度測定法は当業者に知られており、例えばレオメータ(例えば、50mm、40mmまたは20mmプレート付属品を備えたAnton Paar MCR301レオメータ)が挙げられる。本発明のいくつかの実施形態では、粘度は、毎秒剪断速度1000の高剪断限界で報告された。いくつかの実施形態では、抗体製剤は、20センチポアズ(cP)未満、18cP未満、15cP未満、13cP未満、または11cP未満の粘度を有する。いくつかの実施形態では、抗体製剤は13cP未満の粘度を有する。当業者は、粘度が温度に左右されることを理解し、したがって別段の指定がない限り、本明細書で提供される粘度は、別段の指定がない限り25℃で測定される。
【0087】
射出力は、抗体製剤が対象に投与される際に抗体製剤によって提供される抵抗性と相関する。射出力は、投与針のゲージおよび温度に左右される。いくつかの実施形態では、抗体製剤は、27Gaのクモ膜下穿刺肉薄(STW)針を通過する際に15N、12N、10N、または8N未満の射出力を有する。いくつかの実施形態では、抗体製剤は、29GaのSTW針を通過する際に15N、12N、10N、または8N未満の射出力を有する。
【0088】
追加的な実施形態において、本発明の抗体製剤は水溶液である。いくつかの実施形態では、抗体製剤は、凍結温度にさらされず、および/または冷凍されず、すなわち、それらは液体状態のままであった。いくつかの実施形態では、抗体製剤中の抗体は凍結乾燥されなかった。
【0089】
本明細書の用法では、安定性という用語は、一般に、タンパク質、ペプチド、または別の生理活性高分子などの生物活性作用物質の完全性維持、または分解、変性、凝集またはアンフォールディングの最小化に関連する。本明細書の用法では,「改善された安定性」とは、一般に、分解、変性、凝集またはアンフォールディングをもたらすことが知られている条件下で、関心のあるタンパク質(例えば、アニフロルマブなどの抗体)、ペプチドまたは別の生理活性高分子が、対照タンパク質、ペプチドまたは別の生理活性高分子と比較して、より大きい安定性を維持することを意味する。
【0090】
いくつかの実施形態では、安定性とは、低から検出不能レベルの粒子形成を有する抗体製剤を指す。「低から検出不能レベルの粒子形成」という語句は、本明細書の用法では、約40℃での約18ヶ月間にわたる貯蔵後、粒度が10ミクロンを超える粒子が検出されるHIAC分析または視覚的分析による判定で、1000/mL未満の粒子、700/mL未満の粒子、650/mL未満の粒子、500/mL未満の粒子、400/mL未満の粒子、200/mL未満の粒子、100/mL未満の粒子または1/mL未満の粒子を含有するサンプルを指す。いくつかの実施形態では、HIAC分析または視覚的分析のいずれによっても抗体製剤中に粒子は検出されない。
【0091】
いくつかの実施形態では、安定性は、抗体断片化の減少を指す。実施形態において、本発明の製剤中の例えばアニフロルマブなどの抗体の断片化率は、TSK-Gel G3000カラムを備えたAgilent HPLC装置で実施されたHP-SEC分析による判定で、12ヶ月間にわたり1ヶ月当たり約2.0~4.0%である。実施形態において、本発明の製剤中の例えばアニフロルマブなどの抗体の断片化率は、TSK-Gel G3000カラムを備えたAgilent HPLC装置で実施されたHP-SEC分析による判定で、6ヶ月間にわたり1ヶ月当たり約2.0~4.0%である。実施形態において、本発明の製剤中の例えばアニフロルマブなどの抗体の断片化率は、TSK-Gel G3000カラムを備えたAgilent HPLC装置で実施されたHP-SEC分析による判定で、2ヶ月間にわたり1ヶ月当たり約2.0~4.0%である。実施形態において、本発明の製剤中の例えばアニフロルマブなどの抗体の断片化率は、TSK-Gel G3000カラムを備えたAgilent HPLC装置で実施されたHP-SEC分析による判定で、2ヶ月間にわたり1ヶ月当たり約3.0~4.0%である。
【0092】
さらなる実施形態では、安定性は、抗体の凝集の減少を指す。実施形態において、例えば、アニロルマブを含有する本発明の抗体製剤の凝集率は、TSK-Gel G3000カラムを備えたAgilent HPLC装置で実施されたHP-SEC分析による判定で、12ヶ月間にわたり1ヶ月当たり約0.5~2.5%である。実施形態において、例えば、アニロルマブを含有する本発明の抗体製剤の凝集率は、TSK-Gel G3000カラムを備えたAgilent HPLC装置で実施されたHP-SEC分析による判定で、6ヶ月間にわたり1ヶ月当たり約0.5~2.5%である。実施形態において、例えば、アニロルマブを含有する本発明の抗体製剤の凝集率は、TSK-Gel G3000カラムを備えたAgilent HPLC装置で実施されたHP-SEC分析による判定で、2ヶ月間にわたり1ヶ月当たり約0.5~2.5%である。追加的な実施形態において、例えば、アニロルマブを含有する本発明の抗体製剤の凝集率は、TSK-Gel G3000カラムを備えたAgilent HPLC装置で実施されたHP-SEC分析による判定で、2ヶ月間にわたり1ヶ月当たり約1~2%である。
【0093】
さらなる実施形態では、安定性は、純度低下の減少を意味する。実施形態において、例えば、アニロルマブを含有する本発明の抗体製剤の純度低下率は、TSK-Gel G3000カラムを備えたAgilent HPLC装置で実施されたHP-SEC分析による判定で、12ヶ月間にわたり1ヶ月当たり約3~5%である。実施形態において、例えば、アニロルマブを含有する本発明の抗体製剤の純度低下率は、TSK-Gel G3000カラムを備えたAgilent HPLC装置で実施されたHP-SEC分析による判定で、6ヶ月間にわたり1ヶ月当たり約3~5%である。追加的な実施形態において、例えば、アニロルマブを含有する本発明の抗体製剤の純度低下率は、TSK-Gel G3000カラムを備えたAgilent HPLC装置で実施されたHP-SEC分析による判定で、2ヶ月間にわたり1ヶ月当たり約3.5~4.5%である。
【0094】
当業者は、タンパク質の安定性が、製剤組成に加えて、その他の特性に左右されることを理解するであろう。例えば、安定性は、温度、圧力、湿度、pH、および外的形態の放射線によって影響され得る。したがって、特に断りのない限り、本明細書で言及される安定性は、40℃、1気圧、50%相対湿度、pH6.0、および標準的バックグラウンドレベルの放射線で測定されると見なされる。抗体製剤中の抗体安定性は、様々な手段によって判定し得る。いくつかの実施形態では、抗体安定性は、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)によって判定される。SECは、それらの流体力学的サイズ、拡散係数、および表面特性の組み合わせに基づいて、分析物(例えば、タンパク質および抗体などの巨大分子)を分離する。したがって例えばSECは、様々な変性状態にある抗体および/または分解された抗体から、天然の三次元立体構造にある抗体を分離し得る。SECでは、固定層は、一般に、ガラスまたは鋼鉄カラム内の緻密な三次元マトリックスに充填された、不活性粒子から構成される。移動相は、純水、水性緩衝液、有機溶剤、これらの混合物、またはその他の溶媒であり得る。固定相粒子は、特定サイズ未満の化学種のみを進入させる小さい孔および/またはチャンネルを有する。したがって大型粒子は、これらの孔およびチャンネルから排除されるが、より小型の粒子は、流動移動相から取り出される。粒子が、固定相孔内で固定化状態にある時間は、それらが孔内にどの程度浸透したかに、ある程度左右される。移動相流から取り出されることで、それらのカラムからの溶出にはより長い時間がかかり、サイズの違いに基づいて粒子間の分離がもたらされる。
【0095】
いくつかの実施形態では、SECを同定技術と組み合わせて、タンパク質またはその断片を同定し、または特性解析する。タンパク質同定および特性解析は、例えば高速液体クロマトグラフィー(HPLC)などのクロマトグラフィー技術、免疫測定法、電気泳動、紫外線/可視/赤外線分光法、ラマン分光法、表面増強ラマン分光法、質量分光分析、ガスクロマトグラフィー、静的光散乱(SLS)、フーリエ変換赤外線分光法(FTIR)、円二色性(CD)、尿素誘導タンパク質アンフォールディング技術、内在性トリプトファン蛍光、示差走査熱量測定、および/またはANSタンパク質結合を含むがこれに限定されない、様々な技術によって達成し得る。
【0096】
いくつかの実施形態では、タンパク質同定は、高圧液体クロマトグラフィーによって達成される。HPLC実施するための様々な手段および装置が、当業者に知られている。一般にHPLCは、その中で分離が起きる分離カラムに、関心のあるタンパク質を含有する液体溶媒を装填することを伴う。HPLC分離カラムは、固体粒子(例えば、シリカ、ポリマー、または吸着材)で充填され、サンプル混合物は、カラム粒子との相互作用に伴って、化合物に分離される。HPLC分離は、液体溶媒条件(例えば、圧力、温度)、サンプル混合物と液体溶媒との化学相互作用(例えば、疎水性、プロトン付加など)、およびサンプル混合物と分離カラム内に充填された固体粒子との化学相互作用(例えば、リガンド親和性、イオン交換など)の影響を受ける。
【0097】
いくつかの実施形態では、SECおよびタンパク質の同定は、同一装置内で、または同時に行われる。例えば、SECとHPLCは併用し得、HP-SECと称されることが多い。
【0098】
いくつかの実施形態では、抗体製剤は、約100mg/ml~約200mg/ml抗体またはその抗原結合断片を含み、約40℃での1~24ヶ月間にわたる貯蔵時に安定しており、抗体はアニフロルマブである。いくつかの実施形態では、製剤は、約25℃での1~18ヶ月間にわたる保存時に安定している。いくつかの実施形態では、製剤は、約5℃での1~6ヶ月間にわたる保存時に安定している。いくつかの実施形態では、製剤は、約5℃での1~3ヶ月間にわたる保存時に安定している。いくつかの実施形態では、製剤は、約5℃での1~12ヶ月間にわたる保存時に安定している。いくつかの実施形態では、製剤は、約5℃での少なくとも18ヶ月間にわたる保存時に安定している。いくつかの実施形態では、製剤は、約5℃での少なくとも24ヶ月または36ヶ月間にわたる保存時に安定している。
【0099】
「安定した」という用語は相対的であり得、絶対的でない。したがって、いくつかの実施形態では、抗体を2℃~8℃で6ヶ月間にわたり保存した際、HP-SECによる測定で20%未満、15%未満、10%未満、5%未満または2%未満の抗体が分解、変性、凝集し、または折り畳まれていない場合、抗体は安定している。いくつかの実施形態では、抗体を2℃~8℃で12ヶ月間にわたり保存した際、SEC HPLCによる測定で20%未満、15%未満、10%未満、5%未満または2%未満の抗体が分解、変性、凝集し、または折り畳まれていない場合、抗体は安定している。いくつかの実施形態では、抗体を2℃~8℃で18ヶ月間にわたり保存した際、HP-SECによる測定で20%未満、15%未満、10%未満、5%未満または2%未満の抗体が分解、変性、凝集し、または折り畳まれていない場合、抗体製剤中の抗体は安定している。いくつかの実施形態では、抗体を2℃~8℃で24ヶ月間にわたり保存した際、SEC HPLCによる測定で20%未満、15%未満、10%未満、5%未満または2%未満の抗体が分解、変性、凝集し、または折り畳まれていない場合、抗体製剤中の抗体は安定している。
【0100】
いくつかの実施形態では、抗体を23℃~27℃で3ヶ月間にわたり保存した際、HP-SECによる測定で20%未満、15%未満、10%未満、5%未満または2%未満の抗体が分解、変性、凝集し、または折り畳まれていない場合、抗体は安定している。いくつかの実施形態では、抗体を23℃~27℃で6ヶ月間にわたり保存した際、HP-SECによる測定で20%未満、15%未満、10%未満、5%未満または2%未満の抗体が分解、変性、凝集し、または折り畳まれていない場合、抗体は安定している。いくつかの実施形態では、抗体を23℃~27℃で12ヶ月間にわたり保存した際、HP-SECによる測定で20%未満、15%未満、10%未満、5%未満または2%未満の抗体が分解、変性、凝集し、または折り畳まれていない場合、抗体は安定している。いくつかの実施形態では、抗体を23℃~27℃で24ヶ月間にわたり保存した際、HP-SECによる測定で20%未満、15%未満、10%未満、5%未満または2%未満の抗体が分解、変性、凝集し、または折り畳まれていない場合、抗体は安定している。
【0101】
いくつかの実施形態では、抗体を40℃で保存した際、HP-SECによる測定で1ヶ月当たり6%未満、4%未満、3%未満、2%未満または1%未満の抗体が分解、変性、凝集し、または折り畳まれていない場合、抗体は安定している。いくつかの実施形態では、抗体を5℃で保存した際、HP-SECによる測定で1ヶ月当たり6%未満、4%未満、3%未満、2%未満または1%未満の抗体が分解、変性、凝集し、または折り畳まれていない場合、抗体は安定している。
【0102】
実施形態において、抗体が5℃で貯蔵された際、HP-SECによる判定で、1~3ヶ月間、1~6ヶ月間、1~12ヶ月間、1~18ヶ月間、または1~24ヶ月間にわたり1ヶ月当たり1%、2%、3%、4%、5%または6%(または約1%~6%)の抗体が分解、変性、凝集またはアンフォールドされる場合、抗体は安定している。
【0103】
いくつかの実施形態では、8週間、4ヶ月、6ヶ月、9ヶ月、12ヶ月または24ヶ月間にわたり、例えばELISAなどの当業者に知られている抗体結合アッセイによる測定で、抗体が、参照抗体と比較して、製剤の抗体(その抗体断片を含む)の結合活性に、非常にわずかまたは皆無の低下を示す場合、本発明の抗体製剤は安定していると見なし得る。いくつかの実施形態では、約40℃で少なくとも1ヶ月間にわたり保存された抗体は、保存されていない参照抗体と比較して、INFAR1受容体ポリペプチドとの結合能力の少なくとも80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%を保つ。いくつかの実施形態では、約5℃で少なくとも6ヶ月間にわたり保存された抗体は、保存されていない参照抗体と比較して、INFAR1受容体ポリペプチドとの結合能力の少なくとも80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%を保つ。いくつかの実施形態では、約40℃で少なくとも1ヶ月間にわたり保存された抗体は、保存されていない参照抗体と比較して、INFAR1受容体ポリペプチドとの結合能力の少なくとも95%を保つ。いくつかの実施形態では、約5℃で少なくとも6ヶ月間にわたり保存された抗体は、保存されていない参照抗体と比較して、INFAR1受容体ポリペプチドとの結合能力の少なくとも95%を保つ。
【0104】
本出願人らは、本明細書で提供される抗体製剤が、目視検査、マイクロフローイメージング(MFI)、またはサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)による判定で、粒子形成の大幅低下をもたらすことを見出した。
【0105】
いくつかの実施形態では、製剤は、約40℃での少なくとも1ヶ月間にわたる保存時、目視検査による判定で粒子を実質的に含まない。いくつかの実施形態では、製剤は、約5℃での少なくとも6ヶ月間、少なくとも9ヶ月間、少なくとも12ヶ月間、少なくとも15ヶ月間、少なくとも18ヶ月間、少なくとも24ヶ月間、または少なくとも36ヶ月間にわたる保存時、目視検査による判定で粒子を実質的に含まない。
【0106】
いくつかの実施形態では、本発明の抗体製剤は、製薬目的で使用し得る。製薬用途で使用される抗体は、概して、特に細胞タンパク質汚染物質、細胞DNA汚染物質、ウイルスおよびその他の伝染性作用物質を含む、細胞培養物からの汚染物質に関して、高レベルの純度を有しなくてはならない。“WHO Requirements for the use of animal cells as in vitro substrates for the production of biologicals:Requirements for Biological Substances No.50.”No.878.Annex 1,1998を参照されたい。汚染物質に対する懸念に応えて、世界保健機関(WHO)は、様々な汚染物質のレベルに対する制限を設けた。例えば、WHOは、タンパク質製品の1投与当たり10ng未満のDNA許容限度を推奨する。同様に米国食品医薬品局(FDA)は、0.5pg/mgタンパク質以下のDNA許容限度を設定する。したがっていくつかの実施形態では、本発明は、例えば米国食品医薬品局および/または世界保健機関などの1つまたは複数の政府機関によって規定される、汚染物質制限を満たし、またはそれに優る、抗体製剤を対象とする。
【0107】
いくつかの実施形態では、抗本明細書に記載される抗体製剤は、薬学的に許容可能である。「薬学的に許容可能」とは、健全な医学的判断の範囲内で、過剰な毒性またはその他の合併症なしに、ヒトおよび動物組織との接触に適する、妥当な利点/リスク比が釣り合った抗体製剤を指す。
【0108】
抗体製剤の純度は、変動し得る。いくつかの実施形態では、例えば抗INFAR1抗体などの関心のある治療用抗体は、抗体製剤中に存在する全ポリペプチドの90%(wt/wt)を超える。いくつかの実施形態では、例えば抗INFAR1などの関心のある治療用抗体は、抗体製剤中に存在する全ポリペプチドの95%(wt/wt)、98%(wt/wt)、99%(wt/wt)、99.5%(wt/wt)または99.9%(wt/wt)を超える。
【0109】
本発明は、本明細書に記載される抗体製剤の治療有効量を投与することにより、I型IFN媒介疾患または障害の治療を、それを必要とする対象において行う方法をさらに提供する。実施形態において、疾患または障害は、全身性エリテマトーデス(SLE)、インスリン依存性糖尿病、炎症性腸疾患、多発性硬化症、乾癬、自己免疫性甲状腺炎、関節リウマチ、糸球体腎炎、強皮症、筋炎、および狼瘡性腎炎からなる群から選択される。さらなる実施形態では、疾患または障害は、クローン病、潰瘍性大腸炎、およびセリアック病などの炎症性腸疾患である。さらなる実施形態では、疾患または障害は、肺疾患または全身性エリテマトーデスなどの障害である。
【0110】
本発明の抗体製剤は、様々な手段を通じて対象に投与し得る。いくつかの実施形態では、抗体製剤は、例えば、吸入(例えば、粉末またはエアゾールスプレー)、経粘膜、静脈内、皮下、または筋肉内投与を通じた非経口投与に適する。いくつかの実施形態では、製剤は注射用製剤である。いくつかの実施形態では、本発明は、本明細書に記載されるような抗体製剤のいずれかを含む、密封容器を対象とする。
【0111】
いくつかの態様では、本発明は様々な医薬品剤形を対象とする。様々な剤形が、本明細書で提供される製剤に適用し得る。例えば、Pharmaceutical Dosage Form:Parenteral Medications,Volume 1,2nd Editionを参照されたい。一実施形態では、本発明の医薬単位用量は、例えば、バイアルまたはシリンジなどの適切な容器内の抗体製剤を構成する。一実施形態では、本発明の医薬単位用量は、静脈内、皮下、または筋肉内に送達される抗体製剤を構成する。別の実施形態では、本発明の医薬単位用量は、煙霧剤で送達される抗体製剤を構成する。特定の実施形態では、本発明の医薬単位用量は、皮下送達される抗体製剤を構成する。別の実施形態では、本発明の医薬単位用量は、煙霧剤で送達される抗体製剤を構成する。さらなる実施形態では、本発明の医薬単位用量は、鼻腔内投与される抗体製剤を構成する。
【0112】
本発明の抗体製剤は、単回使用のための水性抗体製剤のアリコートを含有するバイアルを調製することで単位用量剤形として調製し得る。例えば、1バイアル当たりの単位用量は、約0.1mg/ml~約300mg/mlの範囲にわたるINFAR1受容体に特異的に結合する抗体を1ml、2ml、3ml、4ml、5ml、6ml、7ml、8ml、9ml、10ml、15ml、または20mlの異なる濃度で含有してもよい。必要に応じて、これらの製剤は、各バイアルに無菌希釈剤を添加することで所望の濃度に調節し得る。特定の実施形態では、本発明の水性抗体製剤は、約2mg/ml~約20mg/mlの抗体またはその抗原結合断片を含有する滅菌液体として単回用量バイアルに処方され、抗体はアニフロルマブである。別の特定の実施形態では、本発明の水性抗体製剤は、約100mg/ml~約200mg/mlの抗体またはその抗原結合断片、約45~55mMのリジンHCl、約0.04%~約0.08%のポリソルベート80、約120mM~約140mMのトレハロース、および約20~30mMのヒスチジン/ヒスチジンHClを含有する滅菌液体として単回用量バイアルに処方され、抗体はアニフロルマブである。実施形態において、製剤のpHは約6である。一実施形態では、本発明の抗体は、3cc USP I型ホウケイ酸琥珀色バイアル(West Pharmaceutical Servicesパーツ番号6800-0675)内に140~160mg/mlで提供される。別の実施形態では、本発明の抗体は、3cc USP I型ホウケイ酸琥珀色バイアル内に150mg/mlで提供される。
【0113】
本発明の抗体製剤は、単回使用のための水性抗体製剤のアリコートを含有するプレフィルドシリンジを調製することで単位用量剤形として調製し得る。例えば、1プレフィルドシリンジ当たりの単位用量は、約140mg/ml~約160mg/mlの範囲のIFNAR1ポリペプチドと特異的に結合する、0.1ml、0.2ml、0.3ml、0.4ml、0.5ml、0.6ml、0.7ml、0.8ml、0.9ml、1ml、2ml、3ml、4ml、5ml、6ml、7ml、8ml、9ml、10ml、15ml、または20mlの様々な濃度の抗体またはその抗原結合断片を含有してもよい。特定の実施形態では、本発明の水性抗体製剤は、約145mg/mL~約155mg/mLの抗体またはその抗原結合断片、約45~55mMのリジンHCl、約0.04%~約0.08%のポリソルベート80、約120mM~約140mMのトレハロース、および約20~30mMのヒスチジン/ヒスチジンHClを含有する滅菌液体として単回用量プレフィルドシリンジに処方され、抗体はアニフロルマブである。実施形態において、製剤のpHは約6である。特定の実施形態では、本発明の水性抗体製剤は、約145mg/mL~約155mg/mLの抗体またはその抗原結合断片、約45~55mMのリジンHCl、約0.04%~約0.08%のポリソルベート80、約120mM~約140mMのトレハロース、および約20~30mMのヒスチジン/ヒスチジンHClを含有する滅菌液体として単回用量プレフィルドシリンジに処方され、抗体はアニフロルマブである。実施形態において、製剤のpHは約6である。
【0114】
様々な用量が、単回使用で投与され得る。例えば、いくつかの実施形態では、単回用量で、0.1mg、0.2mg、0.3mg、0.4mg、0.5mg、0.6mg、0.7mg、0.8mg、0.9mg、1.0mg、1.1mg、1.2mg、1.3mg、1.4mg、1.5mg、1.6mg、1.7mg、1.8mg、1.9mg、2mg、3mg、4mg、5mg、6mg、7mg、8mg、9mg、10mg、12mg、14mg、16mg、18mg、20mg、30mg、40mg、50mg、70mg、または100mgの抗体を投与し得る。
【0115】
様々なタイプのシリンジを使用し得る。シリンジは、対象への投与の例えば1週間、1日、6時間、3時間、2時間、1時間、30分間、20分間、または10分間未満前など、対象への投与直前に抗体製剤で充填し得る。いくつかの実施形態では、シリンジは、小売販売の時点で、または対象の治療が行われる施設によって抗体製剤で充填される。いくつかの実施形態では、シリンジはあらかじめ充填され、例えば、シリンジは、対象への投与の1日、2日、4日、1週間、2週間、1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、6ヶ月、12ヶ月、18ヶ月、24ヶ月、3年、または4年以上前などに抗体製剤で充填される。いくつかの実施形態では、プレフィルドシリンジは、例えば、27G通常針、27G肉薄針、29G通常針、または29G肉薄針などの針を含む。いくつかの実施形態では、プレフィルドシリンジは、27Gクモ膜下穿刺肉薄針を含む。
【0116】
いくつかの実施形態では、所望の対象への投与に適する任意のシリンジを使用し得る。いくつかの実施形態では、シリンジは、プラスチックシリンジまたはガラスシリンジである。いくつかの実施形態では、シリンジは、タングステンを実質的に含まない材料からできている。いくつかの実施形態では、シリンジは、シリコーンで被覆される。いくつかの実施形態では、プレフィルドシリンジは、フルオロポリマー樹脂ディスクを有するプランジャーを含む。シリンジの例としては、27G STW針付きBD Hypak(商標)SCF 1MLL 27G1/2-5B BD260L WL,0.4mgシリコン油MDN;Becton Dickinson Hypak 1mL longプランジャーストッパー4023付きHypak(商標)for Biotech 1ml Long(Becton Dickinson);Flurotec Daikyo Si1000(カタログ番号47271919);C3Pin;Hypak(商標)for Biotech 0.8mgシリコーン油(Becton Dickinson);およびCZシリンジ(West、カタログ番号19550807)が挙げられるが、これに限定されない。
【0117】
本発明の水性抗体製剤は、滅菌濾過、放射線などを含む様々な滅菌法によって滅菌されてもよい。特定の実施形態では、透析濾過抗体製剤は、滅菌済み0.2ミクロンフィルターによって濾過滅菌される。本発明の滅菌された水性抗体製剤は、例えば炎症応答などの免疫応答を予防、治療および/または管理するために対象に投与されてもよい。
【0118】
本発明は、標記発明の抗体製剤を含むプレフィルドシリンジをさらに提供する。いくつかの実施形態では、プレフィルドシリンジは、(a)約100mg/mL~約200mg/mLの抗IFNAR1抗体、約25mM~130mMのリジンまたはリジン塩、非荷電賦形剤、界面活性剤、および調合緩衝液を含む。
【0119】
本発明は、標記発明の抗体製剤を含むプレフィルドシリンジをさらに提供する。いくつかの実施形態では、プレフィルドシリンジは、(a)約100mg/mL~約200mg/mLのアニフロルマブまたはその抗原結合断片、約40~60mMのリジンHCl、約100mM~約160mMのトレハロース二水和物、0.02%~約0.1%のポリソルベート80、および約15mM~約35mMのヒスチジン/ヒスチジンHClを含む。実施形態において、製剤のpHは約5.5~約6.5である。
【0120】
本発明は、標記発明の抗体製剤を含むプレフィルドシリンジをさらに提供する。いくつかの実施形態では、プレフィルドシリンジは、(a)約145mg/mL~約155mg/mLのアニフロルマブまたはその抗原結合断片、約45~55mMのリジンHCl、120mM~約140mMのトレハロース二水和物、0.04%~約0.08%のポリソルベート80、および20mM~約30mMのヒスチジン/ヒスチジンHClを含む。実施形態において、製剤のpHは約5.8~6.1である。
【0121】
本発明は、標記発明の抗体製剤を含むプレフィルドシリンジをさらに提供する。いくつかの実施形態では、プレフィルドシリンジは、(a)約150mg/mLの抗体またはその抗原結合断片、いくつかの実施形態では50mMのリジンHCl、約0.05%のポリソルベート80、約130mMのトレハロース二水和物、および約25mMのヒスチジン/ヒスチジンHClを含み、抗体はアニフロルマブである。実施形態において、製剤のpHは約5.9である。
【0122】
本発明は、標記発明の抗体製剤を含むプレフィルドシリンジをさらに提供する。いくつかの実施形態では、プレフィルドシリンジは、(a)約150mg/mLのアニフロルマブ、約50mMのリジンHCl、約0.05%のポリソルベート80、約130mMのトレハロース二水和物、および約25mMのヒスチジン/ヒスチジンHClを含む。実施形態において、製剤のpHは約5.9である。
【0123】
特定の実施形態では、本発明の抗体製剤は、約145mg/mL~約155mg/mLの抗体またはその抗原結合断片、約45~55mMのリジンHCl、約0.04%~約0.08%のポリソルベート80、約120mM~約140mMのトレハロース、および約20~30mMのヒスチジン/ヒスチジンHClを含有する滅菌液体として単回用量プレフィルドシリンジに処方され、抗体はアニフロルマブである。実施形態において、製剤のpHは約6である。
【0124】
実施形態において、本発明は、本発明の抗体製剤を含むプレフィルドシリンジを対象とし、プレフィルドシリンジは、27ゲージクモ膜下穿刺肉薄(STW)針を装着された際に1~20Nの平均滑り力を有する。実施形態において、本発明は、本発明の抗体製剤を含むプレフィルドシリンジを対象とし、プレフィルドシリンジは、27ゲージクモ膜下穿刺肉薄(STW)針を装着された際に5~15Nの平均滑り力を有する。実施形態において、本発明は、本発明の抗体製剤を含むプレフィルドシリンジを対象とし、プレフィルドシリンジは、27ゲージクモ膜下穿刺肉薄(STW)針を装着された際に約8Nの平均滑り力を有する。
【0125】
いくつかの実施形態では、本発明は、本明細書に記載される抗体製剤、本明細書に記載される容器、本明細書に記載される単位用量剤形、または本明細書に記載されるプレフィルドシリンジのいずれかを含むキットを対象とする。
【0126】
いくつかの実施形態では、本発明はまた、(a)抗体またはその抗原結合断片を約100mg/mL~約200mg/mLに精製するステップであって、抗体はアニフロルマブである、ステップと、(b)単離抗体を安定化製剤に入れて安定な抗体製剤を形成するステップとを含む、抗体を含む安定な抗体製剤を製造する方法も対象とし、得られた安定な抗体製剤は、(i)アニフロルマブである約100mg/mL~約200mg/mLの抗体またはその抗原結合断片、(ii)約25mM~約130mMのリジンまたはリジン塩、(iii)約100mM~約150mMのトレハロース、(iv)約0.02%~約0.1%のポリソルベート80を含む、。
【0127】
いくつかの実施形態では、本発明はまた、(a)抗体またはその抗原結合断片を約100mg/mL~約200mg/mLに精製するステップであって、抗体はアニフロルマブである、ステップと、(b)単離抗体を安定化製剤に入れて安定な抗体製剤を形成するステップとを含む、抗体を含む安定な抗体製剤を製造する方法も対象とし、得られた安定な抗体製剤は、約100mg/mL~約200mg/mLの抗体;約45mM~約55mMのリジンのリジンHClまたはリジン塩;約100mM~約150mMの非荷電賦形剤;約0.02%~約0.1%の界面活性剤;および調合緩衝液を含む。
【0128】
いくつかの実施形態では、本発明はまた、(a)抗体またはその抗原結合断片を約145mg/mL~約155mg/mLに精製するステップであって、抗体はアニフロルマブである、ステップと、(b)単離抗体を安定化製剤に入れて安定な抗体製剤を形成するステップとを含む、抗体を含む安定な抗体製剤を製造する方法も対象とし、得られた安定な抗体製剤は、約145mg/mL~約155mg/mLの抗体、約25mM~約130mMのリジンHClまたはリジン塩;約120mM~約140mMのトレハロース二水和物;約0.04%~約0.08%のポリソルベート80、約20mM~約30mMのヒスチジン/ヒスチジンHClを含み、製剤のpHは約5.8~6.1である。
【0129】
いくつかの実施形態では、本発明は、(a)抗体またはその抗原結合断片を約150mg/mLに精製するステップであって、抗体はアニフロルマブである、ステップと、(b)単離抗体を安定化製剤に入れて安定な抗体製剤を形成するステップとを含む、安定な抗体製剤を製造する方法を対象とし、得られた安定な抗体製剤は、(i)約150mg/mLの抗体またはその抗原結合断片、(ii)約50mMのリジンHCl;(iii)約130mMのトレハロース、(iv)約0.05%%)のポリソルベート80を含み、抗体はアニフロルマブである。
【0130】
本発明の多くの態様は、水性製剤を対象とするが、均等物の目的で、本発明の抗体または抗体製剤は、必要に応じて凍結乾燥されてもよいことに留意すべきである。したがって、本発明は、後から水性形態に再構成される本発明の製剤の凍結乾燥形態または凍結乾燥抗体を包含する。いくつかの実施形態では、本発明は、アニフロルマブを含む、再構成された抗体またはその抗原結合断片の製剤を製造する方法を対象とし、方法は、(a)細胞培養物から抗体を精製するステップと;(b)単離抗体を凍結乾燥するステップと;(c)凍結乾燥抗体を水溶液に添加して、再構成された抗体製剤を形成するステップとを含み、再構成された抗体製剤は、(i)アニフロルマブである約100mg/mL~約200mg/mLの抗体またはその抗原結合断片、および(ii)約45~約55mMのリジンHClを含む。
【0131】
いくつかの実施形態では、本発明は、抗体またはその抗原結合断片を含む抗体製剤を対象とし、抗体はアニフロルマブであり、抗体製剤は、粒子を本質的に含まない。いくつかの実施形態では、「粒子を本質的に含まない」をという用語は、ライトボックス下で観察した際の可視粒子の不在を指す。いくつかの実施形態では、「粒子を本質的に含まない」という用語は、前述の「低から検出不能レベルの粒子形成」という語句と同義である。いくつかの実施形態では、粒子を本質的に含まないとは、サンプルが30個未満の粒子/mL、20個未満の粒子/ml、20個未満の粒子/ml、15個未満の粒子/ml、10個未満の粒子/ml、5個未満の粒子/ml、2個未満の粒子/mlまたは1個未満の粒子/mlを含有することを指し、粒子は25μmよりも大きく、粒子数はHIAC分析または視覚的分析によって確認される。いくつかの実施形態では、粒子を本質的に含まないとは、サンプルが1~50個の粒子/mL、2~40個の粒子/ml、3~30個の粒子/ml、4~25個の粒子/ml、または5~20個の粒子/mlを含有することを指し、粒子は25μmよりも大きく、粒子数はHIAC分析または視覚的分析によって確認される。いくつかの実施形態では、「可視粒子」という用語は、25μmよりも大きい粒子を指す。
【0132】
いくつかの実施形態では、粒子を本質的に含まないとは、1~200個の粒子/mL、10~150個の粒子/ml、約30個の粒子/ml~100個の粒子/ml、または40~80個の粒子/mlを含有するサンプルを指し、粒子は5μmよりも大きく、粒子数はHIAC分析または視覚的分析によって確認される。いくつかの実施形態では、「可視粒子」という用語は、5μmよりも大きい粒子を指す。いくつかの実施形態では、HIAC分析または視覚的分析のいずれによっても抗体製剤中に粒子は検出されない。
【0133】
いくつかの実施形態では、本発明は、抗体またはその抗原結合断片を含む抗体製剤を対象とし、抗体製剤は、38℃~42℃での貯蔵時、少なくとも1ヶ月間、少なくとも2ヶ月間、少なくとも3ヶ月間、少なくとも4ヶ月間、少なくとも5ヶ月間、少なくとも6ヶ月間、少なくとも8ヶ月間、少なくとも10ヶ月間、少なくとも12ヶ月間、または少なくとも18ヶ月間にわたり粒子を本質的に含まず、抗体はアニフロルマブである。いくつかの実施形態では、本発明は、抗体またはその抗原結合断片を含む抗体製剤を対象とし、抗体製剤は、2~6℃での貯蔵時、少なくとも1ヶ月間、少なくとも2ヶ月間、少なくとも3ヶ月間、少なくとも4ヶ月間、少なくとも5ヶ月間、少なくとも6ヶ月間、少なくとも8ヶ月間、少なくとも10ヶ月間、少なくとも12ヶ月間、少なくとも18ヶ月間、少なくとも24ヶ月間、少なくとも30ヶ月間、少なくとも36ヶ月間、または少なくとも48ヶ月間にわたり粒子を本質的に含まず、抗体はアニフロルマブである。
【0134】
いくつかの実施形態では、本発明は、抗体がアニフロルマブである、抗体またはその抗原結合断片を精製する方法であって、(i)抗体を含む細胞培養物を得るステップと、(ii)抗体にアフィニティクロマトグラフィー実施するステップと、(iv)抗体にカチオン交換を実施するステップと、(v)抗体に混合モードクロマトグラフィーを実施するステップとを含む方法を対象とする。
【0135】
いくつかの実施形態では、本発明は、抗体またはその抗原結合断片を精製する方法を対象とし、抗体はアニフロルマブであり、方法は、(i)抗体を含む細胞培養物を得るステップと、(ii)抗体をプロテインAカラムに結合させるステップと、(iii)抗体をプロテインAカラムから溶出させるステップと、(iv)抗体にカチオン交換を実施するステップと、(v)抗体に混合モードクロマトグラフィーを実施するステップとを含む。いくつかの実施形態では、抗体を精製する方法は、ウイルス不活性化処理をさらに含む。いくつかの実施形態では、ウイルス不活性化ステップは、pHを4.0未満に低下させることで実施される。いくつかの実施形態では、方法は、透析濾過処理をさらに含む。いくつかの実施形態では、方法は、濾過処理をさらに含む。いくつかの実施形態では、活性ウイルス粒子を除去するのに、濾過処理で十分である。
【0136】
いくつかの実施形態では、本発明は、患者を治療する方法を対象とする。いくつかの実施形態では、方法は、本明細書に記載される抗体製剤を、それを必要とする対象に投与するステップと、本明細書に記載される容器、本明細書に記載される単位用量剤形、または本明細書に記載されるプレフィルドシリンジを含む。
【0137】
いくつかの実施形態では、本発明は、本明細書に記載される抗体製剤を投与することで肺疾患または障害を治療するのに適する。いくつかの実施形態では、本発明は、本明細書に記載される抗体製剤を投与することで、好酸球性疾患または障害がある患者を治療する方法を対象とする。いくつかの実施形態では、本発明は、本明細書に記載される抗体製剤を投与するステップを含む、対象において肺疾患または障害を治療する方法を対象とする。いくつかの実施形態では、本発明は、本明細書に記載される抗体製剤を投与するステップを含む、対象において好酸球性疾患または障害を治療する方法を対象とする。いくつかの実施形態では、本発明は,本明細書に記載される抗体製剤を投与するステップを含む、対象における、例えば、喘息、COPD、好酸球性喘息、混合型好酸球性・好中球喘息、アスピリン高感度喘息、アレルギー性気管支肺のアスペルギルス症、急性および慢性好酸球性気管支炎、急性および慢性好酸球性肺炎、チャーグ・ストラウス症候群、過好酸性症候群、薬物・刺激物・放射線誘発性肺好酸球増加症、感染誘発性肺好酸球増加症(真菌、結核、寄生生物)、己免疫関連肺好酸球増加症、好酸球性食道炎、またはクローン病またはそれらの組み合わせなどの肺疾患または障害の治療法を対象とする。いくつかの実施形態では、本発明は、本明細書に記載される抗体製剤を投与するステップを含む、対象における喘息の治療法を対象とする。いくつかの実施形態では、本発明は、本明細書に記載される抗体製剤を投与するステップを含む、対象におけるCOPの治療法を対象とする。
【0138】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される抗体製剤の治療有効量が投与されて、病状が治療される。本明細書の用法では、「治療有効量」という用語は、疾患または障害(例えば、IFNAR1受容体ポリペプチドの異常な発現および/または活性によって特徴付けられる疾患または障害、IFNAR1受容体またはその1つまたは複数のサブユニットの異常な発現および/または活性によって特徴付けられる疾患または障害、自己免疫疾患、炎症性疾患、増殖性疾患、または感染症あるいは1つまたは複数のその症状)の重症度を低下させ、病状の持続期間を低下させ、このような疾患または障害の1つまたは複数の症状を改善し、このような疾患または障害の進行を予防し、このような疾患または障害の退縮を引き起こし、または別の治療法の治療効果を高めまたは改善するのに十分な治療法(例えば、IFNAR1ポリペプチドと免疫特異的に結合する抗体)の量を指す。いくつかの実施形態では、治療有効量は、事前に特定され得ず、例えば用量漸増などの様々な手段を使用して、例えば医師またはその他の保健医療提供者などの介護者によって判定され得る。適切な治療有効量はまた、例えば動物モデルを使用して、日常的実験法によって判定し得る。
【0139】
「治療法(therapies)」および「治療法(therapy)」という用語は、疾患または障害(例えば、IFNAR1ポリペプチドの異常な発現および/または活性によって特徴付けられる疾患または障害、IFNAR1受容体またはその1つもしくは複数のサブユニットの異常な発現および/または活性によって特徴付けられる疾患または障害、自己免疫疾患、炎症性疾患、増殖性疾患、または感染症(好ましくは呼吸器感染症)あるいはその1つまたは複数の症状)の予防、治療、管理、または改善において使用し得る、あらゆるプロトコル、方法、および/または作用物質を指し得る。特定の実施形態では、「治療法(therapy)」および「治療法(therapy)」という用語は、熟練した医療関係者に知られている、そのような疾患もしくは障害または1つもしくは複数の症状の治療、管理、予防、または改善において有用な、生物学的療法、支持療法、および/またはその他の治療法を指す。
【0140】
本明細書の用法では、「治療法プロトコル」という用語は、投薬および治療的に有効な1つまたは複数の治療法(例えば、治療薬)の実施のタイミングのためのレジメンを指す。
【0141】
本発明の抗体製剤の投与経路は、例えば、経口、非経口、吸入または局所投与法を介し得る。非経口という用語は、本明細書の用法では、例えば静脈内、動脈内、腹腔内、筋肉内、皮下、直腸または膣内投与を含む。いくつかの実施形態では、抗体は、抗IFNAR1抗体であり、投与経路は筋肉内注射である。これらの投与形態は全て、本発明の範囲内として明確に検討される一方で、いくつかの実施形態では、抗体製剤は、注射、特に静脈内もしくは動脈内注射または点滴による投与に適する。
【0142】
いくつかの実施形態では、本発明の組成物および方法は、コストの削減、方法段階の削減、誤りの機会の減少、安全でないまたは不適切な添加剤の導入の機会の減少、廃棄物の低減、保存時間の増加などのいずれかにより、製造会社がより効率的な方法でヒトへの投与に適した抗体製剤を製造できるようにする。
【実施例0143】
ここで、本発明を以下の実施例を参照して説明する。これらの実施例は例示のみを目的とし、本発明はこれらの実施例にどのようにも限定されず、むしろ本明細書で提供される教示の結果として明らかになるあらゆる全ての変形形態を包含すると解釈されるべきである。
【0144】
実施例1
材料および方法
材料
使用された全ての材料は、USPまたは複数公定等級であった。全ての溶液および緩衝液は、USPまたはHPLC水を使用して調製し、さらなる使用前に濾過した。安定性試験のためのサンプルは、バイオセーフティキャビネットフード(BSC)の無菌条件下で調製した。バルク材料は、2~8℃で保存した。安定性試験は、表3に列挙される供給品を用いて実施した。
【表3】
【0145】
タンパク質濃度判定
タンパク質濃度は、SOPDV-6233から適応された手法を用いて、Agilent UV-Vis分光光度計を用いて280nmでの吸光度を測定することによって判定した。測定された1.39(mg/mL)-~cm~の吸光係数を用いた。サンプルについて、TD-0025に従って糖または非糖含有製剤のための密度補正係数を適用した。
【0146】
円錐平板粘度測定
粘度は、円錐形およびプレート付属品を備えたAnton Paar MCR301レオメータを用いて測定した。必要な容積を最小化するために、スクリーニング目的の1回の反復測定で20mmの円錐を使用した。結果を1000の毎秒剪断速度の高剪断限界で報告した。
【0147】
サイズ排除クロマトグラフィー(HPSEC)による純度判定
SECは、現行の製剤科学ガイドラインに従って、TSK-Gel G3000を有するAgilent HPLC装置で実施された。
【0148】
外観
標準的な操作手順:タンパク質原薬および医薬品の外観評価(Visual Appearance Evaluation of Protein Drug Substance and Drug Product)から適応された粒子標準および指標を用いて、サンプルをそれらの各容器内で色および透明度について調べることによってサンプルの目視検査を実施した。
【0149】
安定性および粘度に対する賦形剤レベルの影響を評価するための研究
安定性および粘度(応答)に対する濃度、トレハロースレベルおよびリジンHClレベル(要素)の影響を研究するために、実験アプローチの設計を利用した。ボックスベーンケン計画は、JMP9.1ソフトウェア(SAS,Inc.,NC,Cary)を用いて作成した。設計は、濃度(100~200mg/mL);トレハロースレベル(0~211mM);およびリジンHClレベル(25~130mM)の要素を含んだ。pHは、サイクル1製剤についての以前の製剤安定性データに基づいて6.0に設定した。ポリソルベートレベルは、0.02%に設定した。高濃度において、0~25mMのリジンHCLの範囲にわたり粘度の大幅な低下が観察された、予備的ハイスループット粘度スクリーニング研究に基づいて、低リジンレベルは25mMと定義された(実施例2参照)。安定性は、外観およびHP-SECによる純度の評価(モノマー損失、凝集、断片化)を用いて、40℃での加速安定性試験を実施して評価した。5℃での1.8ヶ月後における肉眼不可視の粒子数も測定したが、サンプル間で有意な差異は観察されなかったため、さらに分析しなかった。
【0150】
堅固さおよびリジンHCl濃度の粘度プロファイルに対する影響
25mMのヒスチジン/ヒスチジンHCl、25mMのリジンHCl(注:これは低リジンHCl区分内である)、130mMのトレハロース二水和物中の約200mg/mLのMEDI-546の原液(pH6.0)を調製して、ポリソルベート80を0.02%配合した希釈系列を調製した。濃度および粘度を測定し、プロットした。公称製剤条件(50mMのリジンHCl)も調製し、測定した。0.5MのリジンHCl原液を調製し、MEDI-546原液を公称50mMのリジンレベルにスパイクするのに使用した。同一希釈および処方を実施して、粘度および濃度を測定した。
【0151】
27Ga STWプレフィルドシリンジ内のリード製剤の機能評価
プレフィルドシリンジ(「PFS」)(BD Hypak SCF 1MLL 27G1/2-SB);0.4mgシリコーン油MDN、27GSTW肉薄針装着)に、25mMヒスチジン/ヒスチジンHCl、50mMのリジンHCl、130mMのトレハロース二水和物、0.05%のポリソルベート80(pH5.9)中の150mg/mLのMEDI-546を充填した。このロットの粘度は9.4mPas、濃度は150.7mg/mLと測定された。BD Hypak SCF 1MLL 4023 FLUR Daikyo SI1000ストッパーを真空ストッパーによって装着した。インストロン5542(Norwood,MA 02062)を使用して、260mm/分で滑り性能を測定した。さらに、3人の分析者が関節炎シミュレーション手袋を装着し、または非装着で注射までの時間を評価した(Georgia Tech Research Instituteからの関節炎手袋およびLimbsnthings,UKからの注射トレーナー)。
【0152】
実施例2
ハイスループット粘度スクリーニング結果の概要
ハイスループット粘度スクリーニングは、ナノ粒子を使用して実施した。手短に述べると、水(既知の粘度)およびサンプル(未知の粘度)中で既知の粒度のナノ粒子を測定し、比率を用いて未知のサンプル粘度を判定した。これらのデータは、絶対粘度測定のためでなく、スクリーニングおよび趨勢のために収集した。
【0153】
pHに対する粘度のHTSスクリーニング結果は、
図1に示される。結果は、粘度がpHと共に増加することを示唆した。TFF中における、粘度および可能なドーマン型効果に対するこの潜在的なpHの影響に基づいて、本発明者らは、製剤pHを5.9に選択すべきであると判断した。PFSの開発のためには、pHの影響を中心とするさらなる堅固さが必要となる。リジンHClに対する粘度のHTSスクリーニング結果(
図2)は、0~25mMのリジンHClにかけて粘度の大幅な低下を示した。サンプル調製の実地実験室観察も、リジンなしではサンプル粘度がより高く、より高い濃度での取り扱いが困難であることを示した。この理由から、実験は25mMのリジンHClを低レベルとして開始した。
【0154】
実施例3
製剤の安定性および粘度の総合評価
表4は、抗体製剤の粘度および加速安定性結果の概要を示す。表5は、5℃で1.8ヶ月後における製剤の(HIACによる)肉眼不可視の粒子の結果の概要を示す。結果の総合評価は、40℃での純度低下率が全て許容可能であり、1ヶ月当たり3.8~4.8%の範囲であったことを示す。断片化率は1ヶ月当たり2.8~3.4%の範囲であり、凝集率は1ヶ月当たり0.7~2.0%の範囲であった。40℃で1ヶ月後における目視検査は、全ての製剤について同様の性能を示す(全て粒子は標準1、透明度は<IIIまたはII、色はY6)。肉眼不可視の粒子(HIAC)データは、全てのサンプルが、粒度10ミクロンを超える粒子を1mL当たり670個未満有したことを示した。粘度は、全ての製剤について2.8~39.7mPasの範囲であった。150mg/mLの製剤のいくつかは、許容可能な粘度値を有した。
【0155】
以下の実施例におけるデータの追加的な分析は、安定性を最大にしながら許容可能な粘度を提供する適切で堅固な製剤を選択するために、データがどのように使用および解釈されたかを示す。
【表4】
【表5】
【0156】
実施例4
結果の分析
表6は、データから得られた解釈および結論を要約する。
【表6】
【0157】
分析結果に基づいて、25mMのヒスチジン/ヒスチジンHCl、50mMのリジンHCl、130mMのトレハロース脱水物、0.05%のポリソルベート80(pH5.9)中の150mg/mLのMEDI-546を有する製剤をさらに評価した。
【0158】
実施例6
抗体製剤の粘度およびシリンジ機能性の確認
理想的には、プレフィルドシリンジの滑り力は、機能性を確保するために可能な限り低いべきである。この研究において、本発明者らは、20mPas未満の粘度および15N未満の滑り力を目標値とする。以前の経験では、15mPas未満の公称粘度を有する製剤が、27ゲージの薄肉針を装着された場合、許容可能な滑り性能を有した。27Ga STW PFSでは、最大20mPasが実現可能であってもよい。製剤およびPFSは、シリンジおよび製剤のばらつきを補償するために、堅固さを含むべきである。
【0159】
このセクションにおいて、本発明者らは、より低い区分(25mM)のリジンHCl製剤と比較した場合の、濃度曲線と対比した製剤粘度の堅固さを実証する追加的なデータを記載する。27Ga STW PFS内の公称製剤による、滑り性能および注射時間実現可能性の結果もこのセクションで評価される。
【0160】
堅固さおよびリジンHCl濃度の粘度プロファイルに対する影響
100~200mg/mLにわたるMEDI-546の希釈系列を2つの製剤中で調製した。それらは、25mMのヒスチジン/ヒスチジン-HCl、130mMのトレハロース脱水物、0.02%のポリソルベート80(pH6.0)に25mMまたは50mMのいずれかのリジンHClを配合した中にMEDI-546を含有した。粘度曲線は、
図3に示される。結果は、低(25mM)および公称(50mM)の両方のリジンレベルを有する製剤の粘度が150mg/mL(<15mPas)で許容可能であり、いずれも165mg/mLで約20mPas未満であることを示す。したがって、50mMのリジンHClの公称レベルが粘度性能の観点から25mMの低レベルで適切に切り分けられるという結果が確認された。TFF中における、粘度および可能なドーマン型効果に対するpHの影響に基づいて、抗体製剤のpHは5.9に選択された。
【0161】
プレフィルドシリンジ内の抗体製剤の機能性の評価
表7は、25mMのヒスチジン/ヒスチジンHCl、50mMのリジンHCl、130mMのトレハロース脱水物、0.05%のポリソルベート80(pH5.9)中に150mg/mLのMEDI-546を有する製剤の機能評価の結果を示す。
【0162】
MEDI-546医薬品を注射するのに必要な力は、許容範囲内であった。表8は、使用者注射評価(実験室分析者)の結果を示す。使用者らは、「射出力が軽かった」、「関節炎手袋がAPFSの取り扱いを困難にした」、「SSIデバイスが機能した」と報告した。ユーザーは、注射トレーナーおよび手袋を初めて使用したため、注射速度にいくらかのばらつきがあった(注:注射するための力は問題とされなかった)。これらの結果は、この製剤が27Ga STW針を装着したPFSでの使用に適することを示す。これらの研究は、抗体製剤の粘度に関していかなる問題も特定しなかった。
【表7】
【表8】
【0163】
実施例7
粘度に対するリジンおよびタンパク質の影響
表9および
図4に示されるように、異なる濃度におけるリジン溶液の粘度をタンパク質(アニフロルマブ)濃度の関数として測定した。
【表9】
【0164】
表10および
図5に示されるように、異なる濃度における抗体(アニフロルマブ)溶液の粘度をタンパク質濃度の関数として測定した。
【表10】
【0165】
上に示された実施例は、本発明の様々な態様および本発明の方法の実施を例示する。これらの実施例は、本発明の多くの異なる実施形態の網羅的な説明を提供することは意図されない。したがって、理解の明確さのために、本発明を例示および実施例によっていくらか詳細に説明してきたが、当業者は、添付の特許請求の範囲の趣旨または範囲から逸脱することなく、多くの変更形態および修正形態がなされ得ることを容易に理解するであろう。
【0166】
本明細書で言及される全ての刊行物、特許、および特許出願は、個々の刊行物、特許または特許出願が、あたかも具体的かつ個別に参照により本明細書に援用されたかのように、参照により本明細書に援用される。