IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ マジック リープ, インコーポレイテッドの特許一覧

特開2024-161068ピクセルアレイを伴うシースルーディスプレイ内の残影画像軽減
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024161068
(43)【公開日】2024-11-15
(54)【発明の名称】ピクセルアレイを伴うシースルーディスプレイ内の残影画像軽減
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/13 20060101AFI20241108BHJP
   G02F 1/1335 20060101ALI20241108BHJP
   G02F 1/13363 20060101ALI20241108BHJP
   G09F 9/00 20060101ALI20241108BHJP
   G02F 1/133 20060101ALN20241108BHJP
   G02B 27/02 20060101ALN20241108BHJP
【FI】
G02F1/13 505
G02F1/1335 510
G02F1/13363
G09F9/00 313
G02F1/133 580
G02B27/02 Z
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024141875
(22)【出願日】2024-08-23
(62)【分割の表示】P 2023141000の分割
【原出願日】2020-08-14
(31)【優先権主張番号】62/887,639
(32)【優先日】2019-08-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】514108838
【氏名又は名称】マジック リープ, インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Magic Leap,Inc.
【住所又は居所原語表記】7500 W SUNRISE BLVD,PLANTATION,FL 33322 USA
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】デイビッド マンリー
(72)【発明者】
【氏名】ヴァイブハブ マトゥール
(72)【発明者】
【氏名】クリントン カーライル
(72)【発明者】
【氏名】ジョナサン アレクサンダー ロロン
(72)【発明者】
【氏名】チュルウ オ
(57)【要約】
【課題】ピクセルアレイを伴うシースルーディスプレイ内の残影画像軽減の提供。
【解決手段】頭部搭載型装置は、可変調光アセンブリと、接眼レンズのユーザ側が、ユーザの方に向いており、第1の側に対向する接眼レンズの世界側が、ユーザから外方を向くように、接眼レンズを搭載するフレームとを含む、接眼レンズを含む。動的調光アセンブリは、動作の間、世界側からユーザ側に光学軸と平行に透過される光の強度を選択的に変調させる。動的調光アセンブリは、それぞれ、独立して可変の複屈折を有する、複数のピクセルを有する、可変複屈折セルと、可変複屈折セルのユーザ側上に配列される、第1の直線偏光器であって、光学軸に直交する第1の直線偏光器の通過軸に沿って直線偏光される光学軸と平行に伝搬する光を透過させるように構成される第1の直線偏光器と、可変複屈折セルと第1の直線偏光器との間に配列される4分の1波長板とを含む。
【選択図】図7A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
方法であって、
前記方法は、動的調光アセンブリを使用して、前記動的調光アセンブリの世界側から前記動的調光アセンブリのユーザ側に光学軸に平行に透過される周囲光の強度を変調させることを含み、
前記動的調光アセンブリは、
第1の電極層と、
第2の電極層と、
前記第1の電極層と前記第2の電極層との間に配置されている液晶層と、
前記液晶層の前記ユーザ側上に配列されている円偏光器と、
前記液晶層の前記世界側上の直線偏光器と、
前記液晶層と前記直線偏光器との間に配列されている光学リターダと
を備え、
前記周囲光の前記強度を変調させることは、
前記直線偏光器を使用して、前記周囲光を直線偏光することと、
前記第1の電極層および前記第2の電極層および前記液晶層を使用して、前記光の偏光を回転させること、または、前記光の前記偏光を考慮することのうちの少なくとも一方を行うことと、
前記円偏光器を使用して、前記周囲光を円偏光することと
を含む、方法。
【請求項2】
前記光の前記偏光を回転させること、または、前記光の前記偏光を考慮することのうちの少なくとも一方は、前記第1の電極層または前記第2の電極層のうちの少なくとも一方に電圧を印加することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記液晶層は、能動的にアドレス指定される複数のピクセルを備え、
前記第1の電極層または前記第2の電極層のうちの少なくとも一方に前記電圧を印加することは、前記第1の電極層および前記第2の電極層および前記液晶層によって、ピクセル毎に前記光の偏光を回転させる、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記方法は、前記動的調光アセンブリの前記ユーザ側上に配置されているシースルーディスプレイからの光をユーザに透過させることをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記シースルーディスプレイから前記ユーザに透過される前記光の少なくとも一部は、1つ以上の光プロジェクタから受け取られる、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記シースルーディスプレイからの前記光は、拡張現実コンテンツを表す、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記周囲光は、前記シースルーディスプレイと前記動的調光アセンブリとの間に配列されている1つ以上の屈折率整合層を通して透過される、請求項4に記載の方法。
【請求項8】
前記円偏光器は、第2の直線偏光器と第1の4分の1波長板とを備え、
前記周囲光を円偏光することは、前記第2の直線偏光器および前記第1の4分の1波長板を使用することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記光学リターダは、
第2の4分の1波長板、または
前記第1の4分の1波長板の遅延よりも大きい遅延を伴うA-プレート
のうちの少なくとも一方である、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記動的調光アセンブリは、前記液晶層の前記世界側上の前記直線偏光器と前記液晶層との間に配列されているA-プレートを備え、
前記周囲光は、前記A-プレートを通して前記直線偏光器から前記液晶層に透過される、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記動的調光アセンブリは、1つ以上の反射防止層を備え、
前記周囲光は、前記1つ以上の反射防止層を通して透過される、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、その全内容が、参照することによって組み込まれる、2019年8月15日に出願され、「GHOST IMAGE MITIGATION IN SEE-THROUGH DISPLAYS WITH PIXEL ARRAYS」と題された、仮出願第62/887,639号の優先権を主張する。
【背景技術】
【0002】
現代のコンピューティングおよびディスプレイ技術は、いわゆる「仮想現実」または「拡張現実」体験のためのシステムの開発を促進しており、デジタル的に再現された画像またはその一部が、現実であるように見える、またはそのように知覚され得る様式で、ユーザに提示される。仮想現実、すなわち、「VR」シナリオは、典型的には、他の実際の実世界の視覚的入力に対する透過性を伴わずに、デジタルまたは仮想画像情報の提示を伴う。拡張現実、すなわち、「AR」シナリオは、典型的には、ユーザの周囲の実際の世界の可視化に対する拡張としてのデジタルまたは仮想画像情報の提示を伴う。
【0003】
これらのディスプレイ技術において成された進歩にもかかわらず、当技術分野において、拡張現実システム、特に、ディスプレイシステムに関連する、改良された方法、システム、およびデバイスの必要性が存在する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
偏光TFT-LCDパネルを使用したセグメント化された減衰は、世界の完全視野を調光せずに、コンテンツの可視性および中実度を大幅に増加させることができる。回折導波管タイプシースルーARディスプレイ内のディスプレイ光は、2つの方向、すなわち、1つは、ユーザに向かって、1つは、世界に向かって、光を送光する。(例えば、金属トレース、導体、層屈折率不整合、およびTFT等の調光アセンブリの反射性コンポーネントからの)世界に向かって進む光の後方反射は、一次ディスプレイ画像の隣に「残影」画像として現れ得る。本残影画像は、仮想コンテンツの効果的コントラストおよび視認忠実性、したがって、没入感の品質に影響を及ぼす。金属トレース、TFT、層屈折率不整合、調光器を越えた要素/オブジェクト等に起因する、残影画像および迷光経路を軽減することは、困難な問題である。
【0005】
本明細書に開示されるシステムおよび技法は、調光器の偏光フィルムを、システム光学アイソレータおよび調光器内光学アイソレータの両方として活用し、そのような「残影」画像を事実上抑制する。屈折率が調光器の第1の層に近い、接眼レンズカバーガラスと調光器との間の屈折率整合流体/ゲルの追加は、第1の調光器表面からの残影を軽減させ得る。
【0006】
具体的に選定される無彩色性質を伴う、4分の1波長板(QWP)を使用することは、電気的に制御される複屈折(ECB)セルを使用するもの等の液晶調光器が、より少ない偏光漏出、より良好な色彩性能を有し、比較的に広範囲の動作条件を横断して、より色中立的であることを可能にすることができる。
【0007】
本開示は、概して、周囲光条件を変動する際に、光学システムを改良するための技法に関する。より具体的には、本開示の実施形態は、調光要素を備える、拡張現実(AR)デバイスを動作させるためのシステムおよび方法を提供する。本発明は、ARデバイスを参照して説明されるが、本開示は、コンピュータビジョンおよび画像ディスプレイシステムにおける種々の用途に適用可能である。
【0008】
一般に、第1の側面では、本発明は、可変調光アセンブリと、頭部搭載型装置の使用の間、接眼レンズのユーザ側が、頭部搭載型装置のユーザの方に向いており、第1の側に対向する接眼レンズの世界側が、ユーザから外方を向くように、接眼レンズを搭載するフレームとを含む、接眼レンズを含む、頭部搭載型装置を特徴とする。動的調光アセンブリは、頭部搭載型装置の動作の間、接眼レンズの世界側から接眼レンズのユーザ側に光学軸と平行に透過される光の強度を選択的に変調させるように構成される。動的調光アセンブリは、それぞれ、独立して可変の複屈折を有する、複数のピクセルを有する、可変複屈折セルと、可変複屈折セルのユーザ側上に配列される、第1の直線偏光器であって、光学軸に直交する第1の直線偏光器の通過軸に沿って直線偏光される、光学軸と平行に伝搬する光を透過させるように構成される、第1の直線偏光器と、可変複屈折セルと第1の直線偏光器との間に配列される、4分の1波長板であって、4分の1波長板の速軸は、第1の直線偏光器の通過軸に対して配列され、第1の直線偏光器によって透過される直線偏光を円偏光に変換する、4分の1波長板と、可変複屈折セルの世界側上の第2の直線偏光器とを含む。
【0009】
頭部搭載型装置の実装は、以下の特徴および/または他の側面の特徴のうちの1つまたはそれを上回るものを含むことができる。例えば、動的調光アセンブリはさらに、可変複屈折セルと第2の直線偏光器との間に配列される、光学リターダを含む。光学リターダは、第2の4分の1波長板であることができる。光学リターダは、4分の1波長板の遅延を上回る遅延を伴う、A-プレートである。光学リターダの遅延と4分の1波長板の遅延との間の差異は、最小複屈折状態における可変複屈折セルの残差遅延に対応することができる。
【0010】
可変複屈折セルは、液晶の層を含むことができる。液晶は、電気的に制御可能な複屈折モードにおいて構成されることができる。いくつかの実施形態では、液晶の層は、垂直に整合された液晶層である。液晶は、ネマチック位相液晶であることができる。
【0011】
可変複屈折セルのピクセルは、能動的にアドレス指定されるピクセルであることができる。
【0012】
接眼レンズはさらに、可変調光アセンブリのユーザ側上のフレーム内に搭載される、シースルーディスプレイを含むことができる。シースルーディスプレイは、頭部搭載型装置の動作の間、光を光プロジェクタから受け取り、光をユーザに向かって指向するように配列される、1つまたはそれを上回る導波管層を含むことができる。頭部搭載型装置は、シースルーディスプレイと可変調光アセンブリとの間に配列される、1つまたはそれを上回る屈折率整合層を含むことができる。
【0013】
いくつかの実施形態では、動的調光アセンブリは、1つまたはそれを上回る反射防止層を含む。
【0014】
別の側面では、本発明は、頭部搭載型装置を含む、拡張現実システムを特徴とする。
【0015】
一般に、別の側面では、本発明は、可変調光アセンブリと、頭部搭載型装置の使用の間、接眼レンズのユーザ側が、頭部搭載型装置のユーザの方に向いており、第1の側に対向する接眼レンズの世界側が、ユーザから外方を向くように、接眼レンズを搭載するフレームとを有する、接眼レンズを含む、頭部搭載型装置を特徴とする。動的調光アセンブリは、頭部搭載型装置の動作の間、接眼レンズの世界側から接眼レンズのユーザ側に光学軸と平行に透過される光の強度を選択的に変調させるように構成される。動的調光アセンブリは、液晶の層と、液晶層のユーザ側上に配列される、円偏光器と、液晶層の世界側上の直線偏光器とを含む。
【0016】
頭部搭載型装置の実施形態は、以下の特徴および/または他の側面の特徴のうちの1つまたはそれを上回るものを含むことができる。例えば、円偏光器は、直線偏光器と、4分の1波長板とを含むことができる。頭部搭載型装置は、液晶層の世界側上の直線偏光器間に配列される、A-プレートを含むことができる。
【0017】
頭部搭載型装置は、液晶の層を含む、ピクセル化されたセルを含むことができ、ピクセル化されたセルは、能動的にアドレス指定されるピクセル化されたセルである。
【0018】
一般に、さらなる側面では、本発明は、光学システムを動作させる方法を特徴とする。本方法は、光学システムにおいて、世界オブジェクトと関連付けられる光を受け取るステップを含んでもよい。本方法はまた、仮想画像を接眼レンズ上に投影するステップを含んでもよい。本方法はさらに、検出された情報に基づいて、少なくとも部分的に調光されるべき光学システムのシステム視野の一部を決定するステップを含んでもよい。本方法はさらに、調光器を調節し、システム視野内の一部内の世界オブジェクトと関連付けられる光の強度を低減させるステップを含んでもよい。
【0019】
いくつかの実施形態では、光学システムは、世界オブジェクトと関連付けられる光に対応する光情報を検出するように構成される、光センサを含む。いくつかの実施形態では、検出された情報は、光情報を含む。いくつかの実施形態では、光情報は、複数の空間的に分解される光値を含む。いくつかの実施形態では、光情報は、グローバル光値を含む。いくつかの実施形態では、光学システムは、光学システムのユーザの眼に対応する視線情報を検出するように構成される、眼追跡器を含む。いくつかの実施形態では、検出された情報は、視線情報を含む。いくつかの実施形態では、視線情報は、ユーザの眼の視線ベクトルと交差する、ピクセル場所を含む。いくつかの実施形態では、視線情報は、ユーザの眼の瞳孔位置、ユーザの眼の回転中心、ユーザの眼の瞳孔サイズ、ユーザの眼の瞳孔直径、およびユーザの眼の錐体および桿体場所のうちの1つまたはそれを上回るものを含む。いくつかの実施形態では、本方法はさらに、仮想画像に対応する画像情報を検出するステップを含む。いくつかの実施形態では、検出された情報は、画像情報を含む。いくつかの実施形態では、画像情報は、複数の空間的に分解される画像明度値を含む。いくつかの実施形態では、画像情報は、グローバル画像明度値を含む。
【0020】
いくつかの実施形態では、本方法はさらに、検出された情報に基づいて、システム視野の一部に関する複数の空間的に分解される調光値を決定するステップを含む。いくつかの実施形態では、調光器は、複数の調光値に従って調節される。いくつかの実施形態では、調光器は、複数のピクセルを備える。いくつかの実施形態では、調光器は、システム視野の全て内の世界オブジェクトと関連付けられる光の強度を完全に遮断するように調節される。いくつかの実施形態では、本方法はさらに、仮想画像と関連付けられる明度を調節するステップを含む。いくつかの実施形態では、仮想画像は、画像視野によって特徴付けられる。いくつかの実施形態では、画像視野は、システム視野に等しい。いくつかの実施形態では、画像視野は、システム視野のサブセットである。
【0021】
一般に、別の側面では、本発明は、光学システムを特徴とする。光学システムは、仮想画像を接眼レンズ上に投影するように構成される、プロジェクタを含んでもよい。光学システムはまた、世界オブジェクトと関連付けられる光を調光するように構成される調光器を含んでもよい。光学システムはさらに、プロジェクタおよび調光器に通信可能に結合される、プロセッサを含んでもよい。いくつかの実施形態では、プロセッサは、検出された情報に基づいて、少なくとも部分的に調光されるべき光学システムのシステム視野の一部を決定するステップを含む、動作を実施するように構成される。いくつかの実施形態では、動作はまた、調光器を調節し、システム視野の一部内の世界オブジェクトと関連付けられる光の強度を低減させるステップを含んでもよい。
【0022】
いくつかの実施形態では、光学システムはさらに、世界オブジェクトと関連付けられる光に対応する光情報を検出するように構成される、光センサを含む。いくつかの実施形態では、検出された情報は、光情報を含む。いくつかの実施形態では、光情報は、複数の空間的に分解される光値を含む。いくつかの実施形態では、光情報は、グローバル光値を含む。いくつかの実施形態では、光学システムはさらに、光学システムのユーザの眼に対応する視線情報を検出するように構成される、眼追跡器を含む。いくつかの実施形態では、検出された情報は、視線情報を含む。いくつかの実施形態では、視線情報は、ユーザの眼の視線ベクトルと交差する、ピクセル場所を含む。いくつかの実施形態では、視線情報は、ユーザの眼の瞳孔位置、ユーザの眼の回転中心、ユーザの眼の瞳孔サイズ、ユーザの眼の瞳孔直径、およびユーザの眼の錐体および桿体場所のうちの1つまたはそれを上回るものを含む。いくつかの実施形態では、動作はさらに、仮想画像に対応する画像情報を検出するステップを含む。いくつかの実施形態では、検出された情報は、画像情報を含む。いくつかの実施形態では、画像情報は、複数の空間的に分解される画像明度値を含む。いくつかの実施形態では、画像情報は、グローバル画像明度値を含む。
【0023】
いくつかの実施形態では、動作はさらに、検出された情報に基づいて、システム視野の一部に関する複数の空間的に分解される調光値を決定するステップを含む。いくつかの実施形態では、調光器は、複数の調光値に従って調節される。いくつかの実施形態では、調光器は、複数のピクセルを備える。いくつかの実施形態では、調光器は、システム視野の全て内の世界オブジェクトと関連付けられる光の強度を完全に遮断するように調節される。いくつかの実施形態では、動作はさらに、仮想画像と関連付けられる明度を調節するステップを含む。いくつかの実施形態では、仮想画像は、画像視野によって特徴付けられる。いくつかの実施形態では、画像視野は、システム視野に等しい。いくつかの実施形態では、画像視野は、システム視野のサブセットである。
【0024】
多数の利点が、従来の技法に優る本開示の方法によって達成されることができる。例えば、本明細書に説明されるARデバイスは、ユーザの眼に到達する周囲光を大域的に調光および/または選択的に調光することによって、暗い屋内から明るい屋外へと変動する光レベルにおいて使用されてもよい。本発明の実施形態は、ピクセル化された調光器を使用して、世界光を99%を上回って減衰させることによって、単一デバイス内でARおよび仮想現実(VR)能力を可能にする。本発明の実施形態はまた、離散または持続可変深度面切替技術を用いて、可変焦点要素を使用して、輻輳・開散運動遠近調節競合を軽減させる。本発明の実施形態は、検出された周囲光の量に基づいて、プロジェクタ明度を最適化することによって、ARデバイスのバッテリ寿命を改良する。他の利点も、当業者に容易に明白となるであろう。
本発明は、例えば、以下を提供する。
(項目1)
頭部搭載型装置であって、
可変調光アセンブリを備える接眼レンズと、
フレームであって、前記フレームは、前記頭部搭載型装置の使用の間、前記接眼レンズのユーザ側が、前記頭部搭載型装置のユーザの方に向いており、第1の側に対向する前記接眼レンズの世界側が、前記ユーザから外方を向くように、前記接眼レンズを搭載する、フレームと
を備え、
動的調光アセンブリは、前記頭部搭載型装置の動作の間、前記接眼レンズの世界側から前記接眼レンズのユーザ側に光学軸と平行に透過される光の強度を選択的に変調させるように構成され、前記動的調光アセンブリは、
それぞれが独立して可変の複屈折を有する複数のピクセルを備える可変複屈折セルと、
前記可変複屈折セルのユーザ側上に配列される第1の直線偏光器であって、前記第1の直線偏光器は、前記光学軸に直交する前記第1の直線偏光器の通過軸に沿って直線偏光される前記光学軸と平行に伝搬する光を透過させるように構成される、第1の直線偏光器と、
前記可変複屈折セルと前記第1の直線偏光器との間に配列される4分の1波長板であって、前記4分の1波長板の速軸は、前記第1の直線偏光器の通過軸に対して配列され、前記第1の直線偏光器によって透過される直線偏光を円偏光に変換する、4分の1波長板と、
前記可変複屈折セルの世界側上の第2の直線偏光器と
を備える、頭部搭載型装置。
(項目2)
前記動的調光アセンブリはさらに、前記可変複屈折セルと前記第2の直線偏光器との間に配列される光学リターダを備える、項目1に記載の頭部搭載型装置。
(項目3)
前記光学リターダは、第2の4分の1波長板である、項目2に記載の頭部搭載型装置。
(項目4)
前記光学リターダは、前記4分の1波長板の遅延を上回る遅延を伴うA-プレートである、項目2に記載の頭部搭載型装置。
(項目5)
前記光学リターダの遅延と前記4分の1波長板の遅延との間の差異は、最小複屈折状態における前記可変複屈折セルの残差遅延に対応する、項目2に記載の頭部搭載型装置。
(項目6)
前記可変複屈折セルは、液晶の層を備える、項目1に記載の頭部搭載型装置。
(項目7)
前記液晶は、電気的に制御可能な複屈折モードにおいて構成される、項目6に記載の頭部搭載型装置。
(項目8)
前記液晶の層は、垂直に整合された液晶層である、項目6に記載の頭部搭載型ディスプレイ。
(項目9)
前記液晶は、ネマチック位相液晶である、項目6に記載の頭部搭載型ディスプレイ。
(項目10)
前記可変複屈折セルのピクセルは、能動的にアドレス指定されるピクセルである、項目1に記載の頭部搭載型ディスプレイ。
(項目11)
前記接眼レンズはさらに、前記可変調光アセンブリのユーザ側上のフレーム内に搭載されるシースルーディスプレイを備える、項目1に記載の頭部搭載型装置。
(項目12)
前記シースルーディスプレイは、前記頭部搭載型装置の動作の間、光を光プロジェクタから受け取り、前記光を前記ユーザに向かって指向するように配列される1つまたはそれを上回る導波管層を備える、項目11に記載の頭部搭載型装置。
(項目13)
前記シースルーディスプレイと前記可変調光アセンブリとの間に配列される1つまたはそれを上回る屈折率整合層をさらに備える、項目12に記載の頭部搭載型装置。
(項目14)
前記動的調光アセンブリは、1つまたはそれを上回る反射防止層を備える、項目1に記載の頭部搭載型装置。
(項目15)
項目1に記載の頭部搭載型装置を備える、拡張現実システム。
(項目16)
頭部搭載型装置であって、
可変調光アセンブリを備える接眼レンズと、
フレームであって、前記フレームは、前記頭部搭載型装置の使用の間、前記接眼レンズのユーザ側が、前記頭部搭載型装置のユーザの方に向いており、第1の側に対向する前記接眼レンズの世界側が、前記ユーザから外方を向くように、前記接眼レンズを搭載する、フレームと
を備え、
動的調光アセンブリは、前記頭部搭載型装置の動作の間、前記接眼レンズの世界側から前記接眼レンズのユーザ側に光学軸と平行に透過される光の強度を選択的に変調させるように構成され、前記動的調光アセンブリは、
液晶の層と、
前記液晶層のユーザ側上に配列される円偏光器と、
前記液晶層の世界側上の直線偏光器と
を備える、頭部搭載型装置。
(項目17)
前記円偏光器は、直線偏光器と、4分の1波長板とを備える、項目16に記載の頭部搭載型装置。
(項目18)
前記液晶層の世界側上の直線偏光器間に配列されるA-プレートをさらに備える、項目17に記載の頭部搭載型装置。
(項目19)
前記液晶の層を備えるピクセル化されたセルを備え、前記ピクセル化されたセルは、能動的にアドレス指定されるピクセル化されたセルである、項目16に記載の頭部搭載型装置。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1図1は、本明細書に説明されるいくつかの実施形態による、ウェアラブルARデバイスを通して視認されるような拡張現実(AR)場面を図示する。
【0026】
図2A図2Aは、本発明による、ARデバイスの1つまたはそれを上回る一般的特徴を図示する。
【0027】
図2B図2Bは、調光される面積が検出された光情報に基づいて決定される、ARデバイスの実施例を図示する。
【0028】
図2C図2Cは、調光される面積が仮想画像に基づいて決定される、ARデバイスの実施例を図示する。
【0029】
図2D図2Dは、調光される面積が視線情報に基づいて決定される、ARデバイスの実施例を図示する。
【0030】
図3図3は、本発明による、ウェアラブルARデバイスの概略図を図示する。
【0031】
図4図4は、光学システムを動作させるための方法を図示する。
【0032】
図5図5は、接眼レンズおよびピクセル化された調光要素を伴う、ARデバイスを図示する。
【0033】
図6A図6Aは、本開示のいくつかの実施形態による、シースルーディスプレイシステムのための例示的光学的に透過性の空間光変調器(「SLM」)またはディスプレイアセンブリの正面図である。
【0034】
図6B図6Bは、図6Aの例示的SLMまたはディスプレイアセンブリの概略側面図である。
【0035】
図7A図7Aは、第1の状態におけるシースルーディスプレイシステムの実施例を図示する。
【0036】
図7B図7Bは、第1の状態と異なる第2の状態における、図7Aのシースルーディスプレイシステムの実施例を図示する。
【0037】
図8A図8Aは、第1の状態における、別のシースルーディスプレイシステムの実施例を図示する。
【0038】
図8B図8Bは、第1の状態と異なる第2の状態における、図8Aのシースルーディスプレイシステムの実施例を図示する。
【0039】
図9図9は、本開示のいくつかの実施形態による、シースルーディスプレイシステムの実施例を図示する。
【0040】
図10図10は、本開示の他の実施形態による、シースルーディスプレイシステムの実施例を図示する。
【0041】
図11図11は、本開示のさらに他の実施形態による、シースルーディスプレイシステムの実施例を図示する。
【0042】
図12図12は、シースルーディスプレイシステムとともに有用な例示的コンピュータシステムの略図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
詳細な説明
光学シースルー(OST)拡張現実(AR)デバイスに関する継続中の技術的課題は、変動する周囲光条件下での仮想コンテンツの不透明度および/または可視度の変動である。問題は、完全に暗い部屋または完全に明るい太陽光下の屋外等、極限照明条件において悪化する。本明細書に開示される実施形態は、ARデバイスの視野内の異なる空間場所における世界光を調光することによって、これらおよび他の問題を低減(例えば、解決)することができる。そのような可変調光配列では、ARデバイスは、ARデバイスによって検出された種々の情報に基づいて、調光すべき視野の部分および各部分に適用される調光の量を決定することができる。本情報は、検出された周囲光、検出された視線情報、および/または投影されている仮想コンテンツの検出された明度を含んでもよい。ARデバイスの機能性はさらに、周囲光と関連付けられる方向を検出することによって、例えば、複数の空間的に分解された光強度値を検出することによって、改良されることができる。これは、調光が必要とされる視野の部分のみを調光し、および/または視野のある部分内のプロジェクタ明度を増加させることによって、ARデバイスのバッテリ寿命を改良することができる。故に、本明細書に開示される実施形態は、従来の可能性として考えられるものよりはるかに広い種々の周囲照明条件においてARデバイスの使用を有効にすることができる。
【0044】
図1は、本明細書に説明されるいくつかの実施形態による、ウェアラブルARデバイスを通して視認されるようなAR場面を図示する。AR技術のユーザに、人々、木々、背景における建物、およびコンクリートプラットフォーム120を特徴とする、実世界公園状設定106が見えている、AR場面100が、描写される。これらのアイテムに加え、AR技術のユーザはまた、実世界プラットフォーム120上に立っているロボット像110と、マルハナバチの擬人化のように見える、飛んでいる漫画のようなアバタキャラクタ102とが「見える」と知覚するが、これらの要素(キャラクタ102および像110)は、実世界には存在しない。ヒト視知覚および神経系の著しい複雑性に起因して、他の仮想または実世界画像要素の中で仮想画像要素の快適で、自然な感覚で、豊かな提示を促進する、仮想現実(VR)またはAR技術を生産することは、困難である。
【0045】
図2Aは、例示的ARデバイス200の1つまたはそれを上回る一般的特徴を図示する。ARデバイス200は、接眼レンズ202および動的調光器203を通して見ているとき、ユーザが1つまたはそれを上回る世界オブジェクト230を視認し得るように、ARデバイス200が非アクティブモードまたはオフモードにあるとき、透明または半透明であるように構成される、接眼レンズ202および動的調光器203を含む。図示されるように、接眼レンズ202および動的調光器203は、並置構成に配列され、接眼レンズ202および動的調光器203を通して見ているときにユーザに見える、システム視野を形成する。いくつかの実施形態では、システム視野は、接眼レンズ202および動的調光器203の一方または両方によって占有される、2次元領域全体として定義される。図2Aは、単一接眼レンズ202および単一動的調光器203を図示する(例証的理由から)が、一般に、ARデバイス200は、ユーザの片眼毎に、2つの接眼レンズおよび2つの動的調光器を含む。
【0046】
動作の間、動的調光器203は、世界オブジェクト230から接眼レンズ202およびユーザに透過される世界光232の強度を変動させ、それによって、動的調光器203の他の面積より少ない世界光を透過させる、調光される面積236をシステム視野内に提供するように調節されてもよい。調光される面積236は、システム視野の一部またはサブセットであってもよく、部分的または完全に、調光されてもよい。部分的に調光される面積は、入射世界光のある割合を透過させるであろう一方、完全に調光される面積は、実質的に全ての入射世界光を遮断するであろう。動的調光器203は、調光される面積236のための複数の空間的に分解された調光値に従って調節されてもよい。
【0047】
さらに、ARデバイス200の動作の間、プロジェクタ214は、仮想画像222を接眼レンズ202上に投影してもよく、これは、ユーザによって、世界光232とともに観察され得る。仮想画像222を接眼レンズ202上に投影することは、ユーザが対応する仮想コンテンツをユーザの環境内のある場所に位置付けられるように知覚するように、ライトフィールド223(すなわち、仮想コンテンツの角度表現)をユーザの網膜上に投影させる。仮想コンテンツ(キャラクタ102および像110)は、例証的目的のためだけに、接眼レンズ202に表示されているように図2A-2Dに描写されることに留意されたい。仮想コンテンツは、実際には、接眼レンズ202を越えた種々の深度において、ユーザによって知覚され得る。例えば、ユーザは、像110を世界オブジェクト230(すなわち、プラットフォーム120)とほぼ同一距離に位置するように、およびキャラクタ102をユーザのより近くに位置するように知覚し得る。いくつかの実施形態では、動的調光器203は、接眼レンズ202よりユーザの近くに位置付けられてもよく、故に、仮想画像222(すなわち、ライトフィールド223)と関連付けられる光の強度を低減させてもよい。いくつかの実施形態では、2つの動的調光器が、接眼レンズ202の各側上で1つずつ利用されてもよい。
【0048】
描写されるように、ARデバイス200は、世界光232を検出するように構成される、周囲光センサ234を含む。周囲光センサ234は、周囲光センサ234によって検出された世界光232が、動的調光器203および/または接眼レンズ202上に衝突する世界光232に類似する、および/またはそれを表すように、位置付けられてもよい。いくつかの実施形態では、周囲光センサ234は、動的調光器203の異なるピクセルに対応する、複数の空間的に分解された光値を検出するように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、または同一実施形態では、周囲光センサ234は、世界光232の平均光強度または単一光強度に対応する、大域的光値を検出するように構成されてもよい。他の可能性も、検討される。
【0049】
図2Bは、調光される面積236が、世界光232に対応する、検出された光情報に基づいて決定される状態における、ARデバイス200を図示する。具体的には、周囲光センサ234は、本実施例では、太陽233からの世界光232を検出し、太陽と関連付けられる世界光232がARデバイス200を通して通過する、システム視野の方向および/または部分をさらに検出し得る。それに応答して、動的調光器203は、調光される面積236を設定し、検出された世界光に対応するシステム視野の部分を網羅するように調節され、太陽233から接眼レンズ202およびユーザへの世界光の強度を低減させる。図示されるように、動的調光器203は、調光される面積236の端部を上回る量において、調光される面積236の中心における世界光232の透過される強度を低減させるように調節される。
【0050】
図2Cは、調光される面積236が、視野内の仮想画像222の場所に基づいて決定される状態における、ARデバイス200を図示する。具体的には、調光される面積236は、ユーザが仮想画像222を観察することから生じる、ユーザによって知覚される仮想コンテンツに基づいて決定される。いくつかの実施形態では、ARデバイス200は、可能性の中でもとりわけ、仮想画像222の場所(例えば、システムの視野内の場所および/またはそれを通してユーザが仮想コンテンツを知覚する動的調光器203の対応する場所)および/または仮想画像222の明度(例えば、知覚される仮想コンテンツの明度)を含む、画像情報を検出してもよい。図示されるように、動的調光器203は、調光される面積236を設定し、仮想画像222に対応するシステム視野の部分を網羅するように調節されてもよい、または代替として、いくつかの実施形態では、調光される面積236は、仮想画像222と整合されない、システム視野の部分を網羅してもよい。いくつかの実施形態では、調光される面積236の調光値は、周囲光センサ234によって検出された世界光232および/または仮想画像222の明度に基づいて決定されてもよい。
【0051】
図2Dは、調光される面積236がユーザの眼に対応する視線情報に基づいて決定される状態における、ARデバイス200を図示する。いくつかの実施形態では、視線情報は、ユーザの視線ベクトル238および/または視線ベクトル238が動的調光器203と交差する動的調光器203のピクセル場所を含む。図示されるように、動的調光器203は、調光される面積236を設定し、視線ベクトル238と動的調光器203との間の交点(または交差領域)に対応するシステム視野の部分を網羅するように調節されてもよい、または代替として、いくつかの実施形態では、調光される面積236は、視線ベクトル238と動的調光器203との間の交点(または交差領域)に対応しない、システム視野の部分を網羅してもよい。いくつかの実施形態では、調光される面積236の調光値は、周囲光センサ234によって検出された世界光232および/または仮想画像222の明度に基づいて決定されてもよい。いくつかの実施形態では、視線情報は、ARデバイス200に搭載される、眼追跡器240によって検出されてもよい。
【0052】
図3は、さらなる例示的ウェアラブルARデバイス300の概略図を図示する。ARデバイス300は、並置構成に配列される、左接眼レンズ302Aおよび左動的調光器303Aと、同様に並置構成に配列される、右接眼レンズ302Bおよび右動的調光器303Bとを含む。描写されるように、ARデバイス300は、限定ではないが、直接、左接眼レンズ302Aまたはその近くに取り付けられる、左正面に向いた世界カメラ306Aと、直接、右接眼レンズ302Bまたはその近くに取り付けられる、右正面に向いた世界カメラ306Bと、直接、左接眼レンズ302Aまたは近くに取り付けられる、左側に向いた世界カメラ306Cと、直接、右接眼レンズ302Bまたは近くに取り付けられる、右側に向いた世界カメラ306Dと、ユーザの左眼を観察するように位置付けられる、左眼追跡器340Aと、ユーザの右眼を観察するように位置付けられる、右眼追跡器340Bと、周囲光センサ334とを含む、1つまたはそれを上回るセンサを含む。ARデバイス300はまた、左接眼レンズ302Aに光学的にリンクされる、左プロジェクタ314A、そして右接眼レンズ302Bに光学的にリンクされる右プロジェクタ314B等、1つまたはそれを上回る画像投影デバイスを含む。
【0053】
ARデバイス300のコンポーネントのいくつかまたは全ては、投影された画像がユーザによって視認され得るように、頭部搭載型であってもよい。いくつかの実装では、図3に示されるARデバイス300のコンポーネントは全て、ユーザによって装着可能な単一デバイス(例えば、単一ヘッドセット)上に搭載される。ある実装では、処理モジュール350が、物理的に別個であって、1つまたはそれを上回る有線および/または無線接続によって、ARデバイス300の他のコンポーネントに通信可能に結合される。例えば、処理モジュール350が、フレームに固定して取り付けられる、ユーザによって装着されるヘルメットまたは帽子に固定して取り付けられる、ヘッドホンに内蔵される、または別様にユーザに除去可能に取り付けられる(例えば、リュック式構成において、ベルト結合式構成において等)等、種々の構成において搭載されてもよい。
【0054】
処理モジュール350は、プロセッサ352と、不揮発性メモリ(例えば、フラッシュメモリ)等の関連付けられるデジタルメモリ356とを含んでもよく、その両方とも、データの処理、キャッシュ、および記憶を補助するために利用され得る。データは、カメラ306、周囲光センサ334、眼追跡器340、マイクロホン、慣性測定ユニット、加速度計、コンパス、GPSユニット、無線デバイス、および/またはジャイロスコープ等、(例えば、ARデバイス300に動作可能に結合される、または別様にユーザに取り付けられ得る)センサから捕捉されたデータを含んでもよい。例えば、処理モジュール350は、画像320をカメラ306から受信してもよい。具体的には、処理モジュール350は、左正面画像320Aを左正面に向いた世界カメラ306Aから、右正面画像320Bを右正面に向いた世界カメラ306Bから、左側画像320Cを左側に向いた世界カメラ306Cから、右側画像320Dを右側に向いた世界カメラ306Dから受信してもよい。いくつかの実施形態では、画像320は、単一画像、一対の画像、画像のストリームを備えるビデオ、ペアリングされた画像のストリームを備えるビデオ、および同等物を含んでもよい。画像320は、ARデバイス300が電源投入されている間、周期的に、生成され、処理モジュール350に送信されてもよい、または処理モジュール350によってカメラのうちの1つまたはそれを上回るものに送信される命令に応答して、生成されてもよい。別の実施例として、処理モジュール350は、光情報を周囲光センサ334から受信してもよい。別の実施例として、処理モジュール350は、視線情報を眼追跡器340の一方または両方から受信してもよい。別の実施例として、処理モジュール350は、画像情報(例えば、画像明度値)をプロジェクタ314の一方または両方から受信してもよい。
【0055】
接眼レンズ302Aおよび302Bは、それぞれ、プロジェクタ314Aおよび314Bからの光を指向するように構成される、透明または半透明導波管を含む。具体的には、処理モジュール350は、左プロジェクタ314Aに、左仮想画像322Aを左接眼レンズ302A上に出力させ(左仮想画像322Aと関連付けられる対応するライトフィールドをユーザの網膜上に投影させ)てもよく、右プロジェクタ314Bに、右仮想画像322Bを右接眼レンズ302B上に出力させ(右仮想画像322Bと関連付けられる対応するライトフィールドをユーザの網膜上に投影させ)てもよい。いくつかの実施形態では、接眼レンズ302はそれぞれ、異なる色および/または異なる深度面に対応する、複数の導波管を含む。いくつかの実施形態では、動的調光器303は、接眼レンズ302に結合される、および/またはそれと統合されてもよい。例えば、動的調光器303のうちの1つは、多層接眼レンズの中に組み込まれてもよく、接眼レンズ302のうちの1つを構成する、1つまたはそれを上回る層を形成してもよい。
【0056】
カメラ306Aおよび306Bは、それぞれ、ユーザの左および右眼の視野と実質的に重複する、画像を捕捉するように位置付けられてもよい。故に、カメラ306の設置は、ユーザの眼の近くであるが、ユーザの視野を不明瞭にするほど近くではないようになり得る。代替として、または加えて、カメラ306Aおよび306Bは、それぞれ、仮想画像322Aおよび322Bの内部結合場所と整合するように位置付けられてもよい。カメラ306Cおよび306Dは、ユーザの側面、例えば、ユーザの周辺視覚内またはユーザの周辺視覚外に対して画像を捕捉するように位置付けられてもよい。カメラ306Cおよび306Dを使用して捕捉された画像320Cおよび320Dは、必ずしも、カメラ306Aおよび306Bを使用して捕捉された画像320Aおよび320Bと重複する必要はない。
【0057】
ARデバイス300の1つまたはそれを上回るコンポーネントは、図2A-2Dを参照して説明される、1つまたはそれを上回るコンポーネントに類似してもよい。例えば、いくつかの実施形態では、接眼レンズ302、動的調光器303、プロジェクタ314、周囲光センサ334、および眼追跡器340の機能性は、それぞれ、接眼レンズ202、動的調光器203、プロジェクタ214、周囲光センサ234、および眼追跡器240に類似してもよい。いくつかの実施形態では、処理モジュール350の機能性は、別個に格納されるが、通信可能に結合される、電子ハードウェアコンポーネントの2つまたはそれを上回るセットによって実装されてもよい。例えば、処理モジュール350の機能性は、ヘッドセットに物理的にテザリングされるコンピューティングデバイス内に格納される、電子ハードウェアコンポーネント、ヘッドセットの環境内の1つまたはそれを上回る電子デバイス(例えば、スマートフォン、コンピュータ、周辺デバイス、スマート家電等)、1つまたはそれを上回る遠隔に位置するコンピューティングデバイス(例えば、サーバ、クラウドコンピューティングデバイス等)、またはそれらの組み合わせと併せて、ヘッドセット内に格納される、電子ハードウェアコンポーネントによって行われてもよい。そのような構成の一実施例は、図12を参照して下記にさらに詳細に説明される。
【0058】
図4は、光学システム(例えば、ARデバイス200または300)を動作させるための例示的方法400を図示する。概して、光学システムの動作は、図4に示されるように、または異なる順序で、方法400のステップを実施するステップを含むことができ、ステップの全てが、実施される必要はない。例えば、いくつかの実施形態では、ステップ406、408、および410のうちの1つまたはそれを上回るものは、方法400の実施の間、省略されてもよい。方法400の1つまたはそれを上回るステップは、プロセッサ(例えば、プロセッサ352)または光学システム内のある他のコンポーネントによって実施されてもよい。
【0059】
ステップ402では、オブジェクト(例えば、世界オブジェクト230)と関連付けられる光(例えば、世界光232)が、光学システムにおいて受け取られる。オブジェクトは、光学システムのユーザによって視認される、木、人物、家、建物、太陽等の実世界オブジェクトであってもよい。いくつかの実施形態では、オブジェクトと関連付けられる光は、最初に、動的調光器(例えば、動的調光器203または303)または光学システムの外部の審美的レンズによって受け取られる。いくつかの実施形態では、オブジェクトと関連付けられる光は、光が光学システムの1つまたはそれを上回るコンポーネントに到達すると(例えば、光が動的調光器に到達すると)、光学システムにおいて受け取られたと見なされる。
【0060】
ステップ404では、仮想画像(例えば、仮想画像222または322)が、接眼レンズ(例えば、接眼レンズ202または302)上に投影される。仮想画像は、光学システムのプロジェクタ(例えば、プロジェクタ214または314)によって接眼レンズ上に投影されてもよい。仮想画像は、単一画像、一対の画像、画像のストリームから成るビデオ、ペアリングされた画像のストリームから成るビデオ、および同等物に対応してもよい。いくつかの実施形態では、仮想画像は、仮想画像と関連付けられる任意の光が接眼レンズに到達すると、接眼レンズ上に投影されたと見なされる。いくつかの実施形態では、仮想画像を接眼レンズ上に投影することは、ユーザが対応する仮想コンテンツがユーザの環境内のある場所に位置付けられるように知覚するように、ライトフィールド(すなわち、仮想コンテンツの角度表現)をユーザの網膜上に投影させる。
【0061】
ステップ406、408、および410の間、情報が、例えば、光学システムの1つまたはそれを上回るセンサを使用して、光学システムによって検出されてもよい。ステップ406では、オブジェクトと関連付けられる光に対応する光情報が、検出される。光情報は、光学システムに搭載される光センサ(例えば、周囲光センサ234または334)を使用して検出されてもよい。いくつかの実施形態では、光情報は、複数の空間的に分解された光値を含む。複数の空間的に分解された光値はそれぞれ、システム視野内の2次元位置に対応してもよい。例えば、光値はそれぞれ、動的調光器のピクセルと関連付けられてもよい。他の実施形態では、または同一実施形態では、光情報は、大域的光値を含んでもよい。大域的光値は、システム視野全体と関連付けられてもよい(例えば、動的調光器の全てのピクセル上に衝突する光の平均光値)。
【0062】
ステップ408では、光学システムのユーザの眼に対応する視線情報が、検出される。視線情報は、光学システムに搭載される眼追跡器(例えば、眼追跡器240または340)を使用して検出されてもよい。いくつかの実施形態では、視線情報は、ユーザの眼の視線ベクトル(例えば、視線ベクトル238)を含む。いくつかの実施形態では、視線情報は、ユーザの眼の瞳孔位置、ユーザの眼の回転中心、ユーザの眼の瞳孔サイズ、ユーザの眼の瞳孔直径、およびユーザの眼の錐体および桿体場所のうちの1つまたはそれを上回るものを含む。視線ベクトルは、瞳孔位置、眼の回転中心、瞳孔サイズ、瞳孔直径、および/または錐体および桿体場所等、視線情報の1つまたはそれを上回る成分に基づいて決定されてもよい。視線ベクトルが、錐体および桿体場所に基づいて決定されるとき、さらに、錐体および桿体場所を含有する、眼の網膜層内の視線ベクトルの原点を決定するように、光情報(例えば、大域的光値)に基づいて決定されてもよい。いくつかの実施形態では、視線情報は、視線ベクトルが動的調光器と交差する、動的調光器のピクセルまたはピクセルのグループを含む。
【0063】
ステップ410では、プロジェクタによって接眼レンズ上に投影された仮想画像(例えば、仮想画像222または322)に対応する、画像情報が、検出される。画像情報は、プロジェクタによって、プロセッサ(例えば、プロセッサ352)によって、または別個の光センサによって検出されてもよい。いくつかの実施形態では、画像情報は、ユーザが仮想画像を観察するとき、それを通してユーザが仮想コンテンツを知覚する、動的調光器内の1つまたはそれを上回る場所を含む。いくつかの実施形態では、画像情報は、複数の空間的に分解された画像明度値(例えば、知覚される仮想コンテンツの明度)を含む。例えば、画像明度値はそれぞれ、接眼レンズまたは動的調光器のピクセルと関連付けられてもよい。1つの特定の実装では、プロセッサが、命令をプロジェクタに送信し、仮想画像を接眼レンズ上に投影するとき、プロセッサは、命令に基づいて、空間的に分解された画像明度値を決定してもよい。別の特定の実装では、プロジェクタが、命令をプロセッサから受信し、仮想画像を接眼レンズ上に投影するとき、プロジェクタは、空間的に分解された画像明度値をプロセッサに送信する。別の特定の実装では、接眼レンズ上またはその近くに位置付けられる、光センサが、空間的に分解された画像明度値を検出し、プロセッサに送信する。他の実施形態では、または同一実施形態では、画像情報は、大域的画像明度値を含む。大域的画像明度値は、システム視野全体と関連付けられてもよい(例えば、仮想画像全体の平均画像明度値)。
【0064】
ステップ412では、少なくとも部分的に調光されることになるシステム視野の一部は、検出された情報に基づいて決定される。検出された情報は、ステップ406の間に検出された光情報、ステップ408の間に検出された視線情報、および/またはステップ410の間に検出された画像情報を含んでもよい。いくつかの実施形態では、システム視野の一部は、システム視野全体に等しい。種々の実施形態では、システム視野の一部は、システム視野の1%、5%、10%、25%、50%、または75%等に等しくてもよい。いくつかの実施形態では、異なるタイプの情報は、少なくとも部分的に調光されることになる部分を決定する際、異なるように加重されてもよい。例えば、視線情報は、利用可能であるとき、少なくとも部分的に調光されることになる部分を決定する際、光情報および画像情報より重く加重されてもよい。1つの特定の実装では、情報の各タイプは、独立して、少なくとも部分的に調光されることになるシステム視野の異なる部分を決定するために使用されてもよく、続いて、異なる部分は、ANDまたはOR演算を使用して、単一部分に組み合わせられてもよい。
【0065】
ステップ414では、システム視野の一部に関する複数の空間的に分解された調光値が、検出された情報に基づいて決定される。いくつかの実施形態では、調光値は、仮想コンテンツの所望の不透明度または可視度に基づく定式的アプローチを使用して決定される。1つの特定の実装では、仮想コンテンツの可視度は、以下の方程式を使用して計算されてもよい。
【化1】


式中、Vは、可視度であり、Imaxは、画像情報によって示されるような仮想画像の明度であり、Ibackは、光情報(決定された調光値によって修正されてもよい)によって示されるような世界オブジェクトと関連付けられる光値に関連され、Cは、所望のコントラスト(例えば、100:1)である。例えば、可視度方程式は、調光器の各ピクセル場所において、特定のピクセル場所における仮想画像の明度と、特定のピクセル場所における世界オブジェクトと関連付けられる光値とを使用して、特定のピクセル場所のための調光値を計算するために使用されてもよい。
【0066】
ステップ416では、調光器は、システム視野の一部内のオブジェクトと関連付けられる光の強度を低減させるように調節される。例えば、調光器は、調光器の各ピクセル場所上に衝突する、オブジェクトと関連付けられる光の強度が、その特定のピクセル場所のために決定された調光値に従って低減されるように調節されてもよい。本開示で使用されるように、調光器を調節するステップは、調光器を初期化するステップ、調光器をアクティブ化するステップ、調光器の電源を投入するステップ、以前に初期化され、アクティブ化され、および/または電源を投入された調光器を修正または変更するステップ、および同等物を含んでもよい。いくつかの実施形態では、プロセッサは、システム視野の一部および複数の空間的に分解された調光値の両方を示す、データを調光器に送信してもよい。
【0067】
ステップ418では、プロジェクタは、仮想画像と関連付けられる明度を調節するように調節される。例えば、いくつかの実施形態では、仮想オブジェクトの明度を増加または減少させずに、仮想コンテンツの所望の不透明度または可視度を達成することは、困難であり得る。そのような実施形態では、仮想画像の明度は、調光器を調節する前、その後、それと同時に、またはそれと並行して、調節されてもよい。
【0068】
図5は、接眼レンズ502と、相互から独立して(すなわち、それらは、独立して可変である)種々のレベルの調光を有し得る、調光面積(すなわち、ピクセル)の空間グリッドから成る、ピクセル化された調光要素503とを伴う、ARデバイス500を図示する。調光面積はそれぞれ、関連付けられるサイズ(例えば、幅および高さ)と、関連付けられる間隔(例えば、ピッチ)とを有してもよい。図示されるように、調光面積の空間グリッドは、入射光の完全調光を提供する、1つまたはそれを上回る暗いピクセル506と、入射光の完全透過を提供する、1つまたはそれを上回るクリアなピクセル508とを含んでもよい。ピクセル化された調光要素503内の隣接するピクセルは、境を接してもよい(例えば、ピッチが幅に等しいとき)、または間隙またはチャネルによって分離されてもよい(例えば、ピッチが幅を上回るとき)。
【0069】
種々の実施形態では、ピクセル化された調光要素503は、液晶技術を使用する。そのような技術は、典型的には、液晶材料が(例えば、液晶層の対向側上の電極を使用して、液晶層を横断して電位差を印加することによって)ピクセルに印加される電場強度に応じて再配向され得るように、1つまたはそれを上回る電極層に対して整合される、液晶材料の層(例えば、ネマチック位相を有する)を含む。液晶モードの実施例は、ねじれネマチック(「TN」)または垂直に整合された(「VA」)液晶を含む。電気的に制御される複屈折(「ECB」)液晶モードもまた、使用されることができる。強誘電性液晶等のネマチック位相以外の液晶相も、使用されることができる。いくつかの実施形態では、染料ドープまたはゲストホスト型液晶材料も、使用されることができる。
【0070】
図6Aは、シースルーディスプレイシステムのための例示的光学的に透過性の空間光変調器(「SLM」)またはディスプレイアセンブリ603の正面図を描写する。同様に、図6Bは、図6Aの例示的SLMまたはディスプレイアセンブリの概略断面図を描写する。いくつかの実施例では、光学的に透過性のSLMまたはディスプレイアセンブリ603は、拡張現実システムの外部カバーの全部または一部を形成してもよい。アセンブリ603は、例えば、本明細書に説明される調光アセンブリ、光学的に透過性のLCD、光学的に透過性のOLEDディスプレイ、および同等物のうちの1つまたはそれを上回るものに類似または匹敵する、光学的に透過性の制御可能調光アセンブリに対応し得る。いくつかの実装では、図6A-6Bのアセンブリ603は、それぞれ、図2A-2C、3、および5を参照して上記に説明されるようなコンポーネント203、303a、303B、および503のうちの1つまたはそれを上回るものに対応し得る。制御可能調光アセンブリアーキテクチャおよび制御スキームの付加的実施例は、米国仮特許出願第62/725,993号、米国仮特許出願第62/731,755号、米国仮特許出願第62/858,252号、および米国仮特許出願第62/870,896号(その全ては、参照することによってその全体として本明細書に組み込まれる)にさらに詳細に説明される。
【0071】
図6A-6Bの実施例では、アセンブリ603は、外側電極層616Aと内側電極層616Bとの間に挟入される、液晶層618を含み、これは、ひいては、外側偏光器612Aと内側偏光器612Bとの間に挟入される。外側および内側偏光器612A、612Bは、それを通して通過する、非偏光を直線に偏光させるように構成されてもよい。アセンブリ603は、外側偏光器612Aと外側電極層616Aとの間に位置付けられる、外側基板層620Aと、内側偏光器612Bと内側電極層616Bとの間に位置付けられる、内側基板層620Bとを含む。基板層620Aおよび620Bは、電極層616Aおよび616Bを支持し、典型的には、ガラスまたはプラスチック等の光学的に透明な材料から形成される。アセンブリ603はさらに、外側偏光器612Aと外側電極層616Aとの間に位置付けられる、外側光学リターダ614A(例えば、A-プレート)と、内側偏光器612Bと内側電極層616Bとの間に位置付けられる、内側光学リターダ614B(例えば、A-プレート)とを含む。
【0072】
上記に述べられたように、いくつかの実装では、アセンブリ803は、ECBセルを含む、またはそれに対応してもよい。有利なこととして、ECBセルは、例えば、円偏光を変調させ、例えば、円偏光の楕円率を変化させるように構成されることができる。
【0073】
動作時、外側偏光器612Aは、第1の偏光状態(例えば、図6Aの垂直方向に沿った直線偏光)をそれを通してユーザの眼に向かって伝搬する周囲光に付与する。次に、その配向に応じて、液晶層618内に含有される液晶分子はさらに、液晶層618を横断するにつれて、偏光された周囲光を回転/遅延させる。例えば、液晶層618は、偏光の平面が第1の偏光状態の偏光の平面と異なるように、直線偏光を回転させることができる。代替として、または加えて、液晶層は、偏光を遅延させる、例えば、直線偏光を楕円または円偏光に変換することができる。概して、回転/遅延の量は、液晶材料の複屈折、その配向、および液晶層618の厚さに依存する。回転/遅延の量はまた、例えば、外側および内側電極層616A、616Bを横断して電位差を印加することによって液晶層618に印加される、電場に依存する。対の電極層616A、616Bおよび液晶層618によって付与される、偏光回転の量は、各個別のピクセルにおいて電極層に印加される電圧に従って、ピクセル毎に変動され得るということになる。
【0074】
偏光の遅延はまた、外側および内側光学リターダ614A、614Bによって影響される。例えば、外側光学リターダ614Aとしての4分の1波長板の使用は、偏光器612Aによって透過される直線偏光を遅延させ、直線偏光を円偏光に変換する役割を果たし、4分の1波長板の速軸は、直線偏光器の通過軸に対して適切に(例えば、45°に)配向される。
【0075】
最後に、内側偏光器612Bは、外側偏光器612Aと比較して、第2の異なる偏光状態(例えば、水平偏光)の光を透過させ得る。第2の偏光状態は、外側偏光器612Aによって周囲光上に付与される偏光状態に直交し得る。液晶層618および外側および/または内側光学リターダ614A、614Bの累積効果が、外側偏光器612Aによって透過される偏光を回転させる、そのような状況では、内側偏光器612Bは、90度回転されるにもかかわらず、外側偏光器612Aによって透過される光を透過させるであろう。代替として、液晶層618および光学リターダ614Aおよび614Bの累積効果が、偏光器612Aからの光の偏光状態を不変のままにする場合、これは、内側偏光器612Bによって遮断されるであろう。故に、内側偏光器612Bは、第2の偏光状態における周囲光の部分が、影響されずにそれを通して通過することを可能にし得、第2の偏光状態以外の偏光状態における周囲光の部分を減衰させ得る。偏光回転の量は、各ピクセルにおいて液晶層に印加される電場強度によって、ピクセル毎に制御され、デバイス603の光透過がピクセル毎に制御されることを可能にすることができる。
【0076】
概して、電極層のピクセル構造は、例えば、液晶層の性質、ピクセルサイズ等に応じて、変動し得る。いくつかの実施形態では、外側電極層616Aおよび内側電極層616Bのうちの1つは、2次元アレイに配列される個々にアドレス指定可能な電極の層(すなわち、ピクセル)に対応し得る。例えば、いくつかの実施例では、内側電極層616Bは、それぞれ、アセンブリ603によって選択的に制御され、単一平面電極に対応し得る、外側電極層616Aと連動して、個別の電場/電圧を生成し得る、ピクセル電極のアレイに対応し得る。いくつかの実施例では、外側および内側電極層616A、616Bの一方または両方の電極は、酸化インジウムスズ(「ITO」)等の光学的に透過性の伝導性材料から作製されてもよい。
【0077】
図6A-6Bに示されるように、アセンブリ603はまた、金属ライントレースまたは導体617a-nを含む。アセンブリ603のピクセル電極のアレイ内の各ピクセル電極は、対応する薄膜トランジスタ(「TFT」)に電気的に結合され、これは、ひいては、複数の金属ライントレースまたは導体617a-n内の対応する対の金属ライントレースまたは導体に電気的に結合される。そのような金属ライントレースまたは導体は、ピクセル(例えば、内側電極層616Bのピクセル電極)間の「透過性間隙」領域内に位置付けられ、さらに、各ピクセルの状態を駆動または別様に制御するために、1つまたはそれを上回る回路に電気的に結合される。いくつかの実施例では、そのような1つまたはそれを上回る回路は、ガラス上チップ(「COG」)コンポーネント622を含んでもよい。COGコンポーネント622は、内側ガラス層620B等のアセンブリ603内のガラスの層上に配置されてもよい。いくつかの実装では、COGコンポーネント622は、ピクセルのアレイ(例えば、内側電極層616Bのピクセル電極のアレイ)から側方にオフセットされてもよい。このように、アセンブリ603のCOGコンポーネント622は、シースルーディスプレイシステムの筐体または他のコンポーネントまたはそれらの組み合わせによって隠されている、ユーザの視野(「FOV」)の外側に位置付けられてもよい。TFT等のアクティブ切替要素を使用する、ピクセルは、「能動的にアドレス指定される」と称される。
【0078】
図7Aは、第1の状態(状態「A」)における、シースルーディスプレイシステム700の実施例を図示する。同様に、図7Bは、第1の状態(状態「A」)と異なる、第2の状態(状態「B」)における、シースルーディスプレイシステム700を図示する。図7A-7Bに示されるように、システム700は、接眼レンズ702と、光学的に透過性のSLMまたはディスプレイアセンブリ703とを含む。いくつかの実施例では、図7A-7Bの接眼レンズ702は、それぞれ、図2A-2C、3、および5を参照して上記に説明される、コンポーネント202、302A、302B、および502のうちの1つまたはそれを上回るものに対応する。いくつかの実装では、図7A-7Bのアセンブリ703は、それぞれ、図2A-2C、3、5、および6A-6Bを参照して上記に説明されるようなコンポーネント203、303a、303B、503、および603のうちの1つまたはそれを上回るものに対応し得る。
【0079】
システム700の接眼レンズ702は、3つの導波管1210、1220、および1230を含む。3つの導波管1210、1220、および1230はそれぞれ、例えば、異なる光の色および/または仮想コンテンツの深度に対応し得る。図7A-7Bに示されるように、接眼レンズ702はさらに、それぞれ、導波管1210、1220、および1230上に配置される、内部結合光学要素1212、1222、および1232を含む。内部結合光学要素1212、1222、および1232は、それぞれ、全内部反射(TIR)を介した伝搬のために、光を導波管1210、1220、および1230の中に結合するように構成されてもよい。加えて、接眼レンズ702はまた、それぞれ、導波管1210、1220、および1230上に配置される、外部結合回折光学要素1214、1224、および1234を含む。外部結合回折光学要素1214、1224、および1234は、それぞれ、光を導波管1210、1220、および1230から外に、システム700の視認者の片眼または両眼に向かって、結合するように構成されてもよい。図7Aから分かるように、第1の状態(状態「A」)では、光は、接眼レンズ702の中に、またはそこから外に結合されない。
【0080】
図7Bの実施例では、システム700は、光が、(i)内部結合光学要素1212、1222、および1232を用いて、導波管1210、1220、および1230の中に結合され、(ii)全内部反射(TIR)を介して、導波管1210、1220、および1230を通して伝搬し、(iii)外部結合回折光学要素1214、1224、および1234を用いて、導波管1210、1220、および1230から外に結合される、第2の異なる状態(状態「B」)にある。各光経路1240、1242、および1244が、それぞれ、場所1212、1222、および1232において内部結合し、導波管1210、1220、および1230上に配置される、個別の外部結合回折光学要素1214、1224、または1234(描写されない、経路1222および1232から外部結合された光)に衝突するにつれて、これは、視認者に向かってと、視認者から離れるようにデバイスの世界側に向かっての両方において、光を回折する。本光伝搬は、それぞれ、2つの対向方向、すなわち、1つは、光束3010によって表される視認者に向かって、1つは、光束3020によって表される視認者から離れる方向に伝搬する、複数のビームレットとして描写される。
【0081】
視認者から離れるように伝搬する、光束3020は、その経路内でシステムの要素から反射する場合、これらの反射が迷光として視認者に到達し得るため、望ましくない効果を生じさせ得る。例えば、後続導波管1220からの本光の反射は、光束3010に干渉し、システム700によって投影された像のぼけを増加させ、および/またはコントラストを低減させ得る。さらに、いくつかの状況では、光束3020は、図6A-6Bを参照して上記に説明されるようなアセンブリ603の金属ライントレースまたは導体617a-nに匹敵または類似する、アセンブリ703の1つまたはそれを上回る金属ライントレースまたは導体等のアセンブリ703の1つまたはそれを上回るコンポーネントから反射し得、これは、「残影」画像および他の望ましくないアーチファクトを生産し得る。瞳エクスパンダ技術を採用する、導波管光学システムはさらに、これらの問題を悪化させ得る。
【0082】
図8Aおよび8Bは、それぞれ、第1の状態(状態「A」)と、第1の状態(状態「A」)と異なる、第2の状態(状態「B」)とにおける、シースルーディスプレイシステム800の実施例を図示する。図8A-8Bに示されるように、システム800は、接眼レンズ702と、光学的に透過性のSLM803とを含む。いくつかの実施例では、図8A-8Bの接眼レンズ702は、図7A-7Bの接眼レンズ702に対応し得るが、さらに、導波管スタックの両側上に位置付けられる、外側ガラスカバー1250Aと、内側ガラスカバー1250Bとを含んでもよい。
【0083】
いくつかの実装では、図8A-8Bのアセンブリ803は、それぞれ、図6A-6Bおよび7A-7Bを参照して上記に説明されるようなアセンブリ603および703のうちの1つまたはそれを上回るものに対応し得るが、内側および外側光学リターダ614Aおよび614Bは、それぞれ、4分の1波長板(QWP)624Aおよび624Bである。外側および内側QWP624A、624Bは、それを通して通過する直線偏光を円偏光に変換する役割を果たす。例えば、視認者の環境から視認者に向かって伝搬する光は、外側偏光器612Aを通して通過するにつれて、直線偏光され、続いて、外側QWP624Aを通して通過するにつれて、円偏光された状態になり得る。同様に、光束3020の1つまたはそれを上回る部分等の視認者から離れるようにアセンブリ803に向かって伝搬する光は、内側偏光器612Bを通して通過するにつれて、直線偏光された状態になり、続いて、内側QWP624Bを通して通過するにつれて、円偏光された状態になり得る。図8Aから分かるように、第1の状態(状態「A」)では、光は、接眼レンズ702の中に、またはそこから外に結合されない。
【0084】
図8Bの実施例では、システム800は、第2の異なる状態(状態「B」)にあり、光が、接眼レンズ702から外に、2つの方向に、すなわち、1つは、光線3011によって表される視認者に向かって、1つは、光線3021によって表される視認者から離れる方向に結合される。光線3011および3021は、図7Bを参照して上記に説明されるような光束3010および3020に類似する、光束の部分を表し得る。図8Bに示されるように、光線3021が、接眼レンズ702から離れ、アセンブリ803に向かって伝搬するにつれて、光線3021は、内側偏光器612Bを通して通過するにつれて直線偏光され、続いて、内側QWP624Bを通して通過するにつれて、円偏光された状態になる。アセンブリ803の1つまたはそれを上回る金属ライントレースまたは導体に到達することに応じて、光線3021は、接眼レンズ702に向かって逆反射され得、これは、光線3021の円偏光の掌性を事実上逆転させ得る(すなわち、左旋円偏光は、反射に応じて、右旋円偏光になり、その逆も同様である)。接眼レンズ702に向かって戻るその途中で内側QWP624Bを通して通過すると、円偏光は、直線偏光に戻るように変換されるが、偏光器612Bの通過状態に直交するように偏光される。故に、反射された光は、偏光器612Bによって、減衰(例えば、遮断)される。このように、システム800は、アセンブリ803のコンポーネントから視認者に向かって逆反射する接眼レンズ702からの光の結果として生産され得る、「残影」画像の効果を低減させる。
【0085】
いくつかの実施形態では、内側光学リターダ614Aは、4分の1波長板であって、外側光学リターダ614Bは、4分の1波遅延と若干異なる遅延を伴う、A-プレート(例えば、プレートの平面に速軸を伴う、一軸性複屈折フィルム)である。例えば、いくつかの実装では、液晶は、最低複屈折のその状態下においてさえ、ある程度の残差複屈折を留保し得る。これは、例えば、液晶層内の整合層に近い液晶分子の配向に起因して生じ得る。整合層およびその近くでは、液晶分子は、電極構造によって印加される最大電場強度の存在下においてさえ、その整合を留保し得る。外側光学リターダ614Bの遅延を4分の1波遅延を上回って増加させることによって、液晶材料のそのような残差遅延を補償することが可能である。例えば、外側光学リターダ614Bは、4分の1波遅延を5nmまたはそれを上回る(例えば、最大50nm等、10nmまたはそれを上回る、15nmまたはそれを上回る、20nmまたはそれを上回る、25nmまたはそれを上回る、30nmまたはそれを上回る、35nmまたはそれを上回る、40nmまたはそれを上回る、45nmまたはそれを上回る)遅延を伴う、A-プレートであることができる。液晶層の残差遅延を補償することは、動的調光器を通して、光漏出を低減させることができる。
【0086】
内側および外側光学リターダの速軸は、概して、動的調光器がその最暗状態において良好な減光率を伴う大ダイナミックレンジを提供するように、液晶層の整合方向および内側および外側偏光器の通過軸に対して配列される。いくつかの実施形態では、内側および外側光学リターダは、その隣接する偏光器の通過軸に対して45°に配向される、その速軸を有する。内側および外側光学リターダの速軸は、相互に対して90°に配向されることができる。ある実施形態では、外側光学リターダの速軸は、液晶層の世界側境界における液晶層の整合方向に対して90°に配向される。
【0087】
概して、動的調光器の性能は、少なくとも1つの波長において、少なくとも1つの光伝搬方向のために最適化される。例えば、動的調光器の性能は、「軸上」光、すなわち、動的調光器を形成するスタックの層に対して法線に入射する光のために最適化されることができる。ある実施形態では、動的調光器の性能は、緑色光、例えば、550nmの波長を伴う光のために最適化される。さらに、動的調光器の性能は、1つの光伝搬方向に沿って1つの波長のために最適化されてもよいが、一般に、調光器は、ある角度の範囲および波長の範囲にわたって、適正な性能を提供するように構成されるであろう。例えば、動的調光器は、あるディスプレイの視野と同一サイズまたはより大きい光伝搬角度の範囲にわたって、適正な性能(例えば、最小性能閾値を上回るダイナミックレンジ)を提供するように構成されることができる。さらに、性能は、ある動作波長の範囲(例えば、ディスプレイの色域に及ぶ)にわたって、適正であることができる。ある波長の範囲にわたって適正な性能を達成するために、いくつかの実装では、無彩色光学リターダ等の無彩色光学コンポーネントが、使用されることができる。無彩色A-プレート(例えば、アクロマティック4分の1波長板)は、例えば、異なる分散を有する、2つまたはそれを上回る異なる複屈折材料を使用することによって提供されることができる。
【0088】
図9は、シースルーディスプレイシステム900のさらなる実施例を図示する。図9のシステム900は、図8A-8Bのシステム800に対応し得るが、さらに、外側反射防止性層626Aと、内側反射防止性層626Bとを含んでもよい。外側反射防止性層626Aは、外側偏光器612Aに隣接して位置付けられてもよい一方、内側反射防止性層626Bは、内側偏光器612Bに隣接して位置付けられてもよい。外側および内側反射防止性層626A、626Bは、光の反射が接眼レンズ702から外に結合されないように限定することによって、「残影」画像等の望ましくない効果の存在をさらに低減させる役割を果たし得る。いくつかの状況では、少なくとも一部のそのような反射は、ディスプレイシステム900の異なる層間または空気とディスプレイシステム900の層との間の不整合の屈折率(すなわち、フレネル反射)の結果であり得る。反射防止性層は、そのような反射を低減させることができる。単層または多層反射防止性フィルムを含む、種々の異なる適切な反射防止性層が、使用されることができる。そのような層は、軸上光のために、またはある他の非法線入射角における光のために、最適化されることができる。そのような層は、1つまたはそれを上回る可視波長のために最適化されることができる。いくつかの実施形態では、反射防止性層は、可視スペクトルの緑色部分、例えば、ヒトの眼の最大明所視感度またはその近くにおける波長を有する、光のために最適化される。接眼レンズにおいて使用するための反射防止性層の実施例は、2018年12月10日に出願され、2019年6月13日に米国特許公開第2019/0179057号として公開された、米国特許出願第16/214,575号(参照することによってその全体として明示的に本明細書に組み込まれる)に説明される。
【0089】
図10は、シースルーディスプレイシステム1000のさらに別の実施例を図示する。図10のシステム1000は、図9のシステム900に対応し得るが、さらに、第2の外側QWP634Aと、第2の内側QWP634Bとを含んでもよい。第2の外側QWP634Aは、外側偏光器612Aに隣接して位置付けられる一方、第2の内側QWP634Bは、内側偏光器612Bに隣接して位置付けられる。第2のQWP634Aは、システム1000の近傍の(例えば、アセンブリ803を越えた)1つまたはそれを上回るオブジェクトから反射する場合、光が外側偏光器612Aによって減衰されるように、視認者から離れるように進行し、外側偏光器612Aを通して通過した該光の偏光状態を変調させることによって、「残影」画像等の望ましくない効果の存在をさらに低減させる役割を果たし得る。同様に、内側QWP634Bは、内側偏光器612Bと視認者との間に位置付けられるシステム1000の1つまたはそれを上回るコンポーネントから反射する場合、光が内側偏光器612Aによって減衰されるように、視認者に向かって進行し、内側偏光器612Bを通して通過した該光の偏光状態を変調させることによって、「残影」画像等の望ましくない効果の存在をさらに低減させる役割を果たし得る。
【0090】
図11は、シースルーディスプレイシステム1100の別の実施例を図示する。図11のシステム1100は、図10のシステム1000に対応し得るが、コンポーネント626Bの代わりに、屈折率整合された層628を含んでもよい。屈折率整合された層628は、第2の内側QWP634Bまたは接眼レンズ702に最も近いアセンブリ803のいずれかの層の屈折率に匹敵または類似する屈折率を有する、材料(例えば、ゲルまたは光学接着剤)の層であってもよい。屈折率整合層を含むことは、アセンブリ803上に入射する接眼レンズ702からの光のフレネル反射を低減させることによって、「残影」画像等の望ましくない効果の存在をさらに低減させる役割を果たし得る。
【0091】
いくつかの実装では、シースルーディスプレイシステムは、図8A-11のうちの1つまたはそれを上回るもののそれぞれからのコンポーネントのいくつかまたは全てを含んでもよい。図8A-11のうちの1つまたはそれを上回るもののそれぞれからのコンポーネントの異なる組み合わせを伴う、シースルーディスプレイシステムを含む、他の構成も、可能性として考えられる。主に、光学的に透過性の空間光変調器およびディスプレイのコンテキストにおいて説明されるが、本明細書に説明される構成および技法のうちの1つまたはそれを上回るものは、シースルーピクセルアレイを伴う他のシステムにおいて活用されてもよいことを理解されたい。
【0092】
本明細書に説明されるいくつかの実装は、デジタル電子回路網、コンピュータソフトウェア、ファームウェア、またはハードウェアの1つまたはそれを上回るグループまたはモジュールとして、またはそれらのうちの1つまたはそれを上回るものの組み合わせ内に実装されることができる。異なるモジュールが、使用されることができるが、各モジュールは、明確に異なる必要はなく、複数のモジュールが、同一デジタル電子回路網、コンピュータソフトウェア、ファームウェア、またはハードウェア、またはそれらの組み合わせ上に実装されることができる。
【0093】
本明細書に説明されるいくつかの実装は、1つまたはそれを上回るコンピュータプログラム、すなわち、データ処理装置による実行のために、またはその動作を制御するために、コンピュータ記憶媒体上にエンコーディングされたコンピュータプログラム命令の1つまたはそれを上回るモジュールとして実装されることができる。コンピュータ記憶媒体は、コンピュータ可読記憶デバイス、コンピュータ可読記憶装置基板、ランダムまたはシリアルアクセスメモリアレイまたはデバイス、またはそれらのうちの1つまたはそれを上回るものの組み合わせであることができる、またはその中に含まれることができる。さらに、コンピュータ記憶媒体は、伝搬信号ではないが、コンピュータ記憶媒体は、人工的に生成された伝搬信号内にエンコーディングされたコンピュータプログラム命令のソースまたは宛先であることができる。コンピュータ記憶媒体はまた、1つまたはそれを上回る別個の物理的コンポーネントまたは媒体(例えば、複数のCD、ディスク、または他の記憶デバイス)である、またはその中に含まれることができる。
【0094】
用語「データ処理装置」は、データを処理するためのあらゆる種類の装置、デバイス、および機械を包含し、一例として、プログラマブルプロセッサ、コンピュータ、システムオンチップ、または前述の複数のもの、または組み合わせを含む。装置は、特殊目的論理回路網、例えば、FPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)またはASIC(特定用途向け集積回路)を含むことができる。装置はまた、ハードウェアに加え、当該コンピュータプログラムのための実行環境を作成する、コード、例えば、プロセッサファームウェア、プロトコルスタック、データベース管理システム、オペレーティングシステム、クロスプラットフォームランタイム環境、仮想機械、またはそれらのうちの1つまたはそれを上回るものの組み合わせを構成する、コードを含むことができる。装置および実行環境は、ウェブサービス、分散型コンピューティング、およびグリッドコンピューティングインフラストラクチャ等の種々の異なるコンピューティングモデルインフラストラクチャを実現することができる。
【0095】
コンピュータプログラム(プログラム、ソフトウェア、ソフトウェアアプリケーション、スクリプト、またはコードとしても知られる)は、コンパイルまたはインタープリタ型言語、宣言型、または手続型言語を含む、任意の形態のプログラミング言語で書き込まれることができる。コンピュータプログラムは、ファイルシステム内のファイルに対応してもよいが、そうである必要はない。プログラムは、他のプログラムまたはデータを保持する、ファイルの一部内に(例えば、マークアップ言語ドキュメント内に記憶される、1つまたはそれを上回るスクリプト)、当該プログラムに専用の単一ファイル内に、または複数の協調ファイル(例えば、1つまたはそれを上回るモジュール、サブプログラム、またはコードの一部を記憶する、ファイル)内に記憶されることができる。コンピュータプログラムは、1つの施設に位置する、または複数の施設を横断して分散され、通信ネットワークによって相互に接続される、1つのコンピュータ上または複数のコンピュータ上で実行されるように展開されることができる。
【0096】
本明細書に説明されるプロセスおよび論理フローのうちのいくつかは、入力データに作用し、出力を生成することによって、1つまたはそれを上回るコンピュータプログラムを実行し、アクションを実施する、1つまたはそれを上回るプログラマブルプロセッサによって実施されることができる。プロセスおよび論理フローはまた、特殊目的論理回路網、例えば、FPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)またはASIC(特定用途向け集積回路)によって実施されることができ、装置はまた、そのようなものとして実装されることができる。
【0097】
コンピュータプログラムの実行のために好適なプロセッサは、一例として、汎用および特殊目的マイクロプロセッサの両方および任意の種類のデジタルコンピュータのプロセッサを含む。概して、プロセッサは、命令およびデータを読取専用メモリまたはランダムアクセスメモリまたは両方から受信するであろう。コンピュータは、命令に従ってアクションを実施するためのプロセッサと、命令およびデータを記憶するための1つまたはそれを上回るメモリデバイスとを含む。コンピュータはまた、データを受信する、またはデータを転送する、または両方を行うために、データを記憶するための1つまたはそれを上回る大容量記憶デバイス、例えば、磁気、光磁気ディスク、または光ディスクを含む、またはそこに動作可能に結合されてもよい。しかしながら、コンピュータは、そのようなデバイスを有する必要はない。コンピュータプログラム命令およびデータを記憶するために好適なデバイスは、あらゆる形態の不揮発性メモリ、媒体、およびメモリデバイスを含み、一例として、半導体メモリデバイス(例えば、EPROM、EEPROM、フラッシュメモリデバイス、およびその他)、磁気ディスク(例えば、内部ハードディスク、リムーバブルディスク、およびその他)、光磁気ディスク、およびCD ROMおよびDVD-ROMディスクを含む。プロセッサおよびメモリは、特殊目的論理回路網によって補完される、またはその中に組み込まれることができる。
【0098】
ユーザとの相互作用を提供するために、動作は、情報をユーザに表示するためのディスプレイデバイス(例えば、モニタまたは別のタイプのディスプレイデバイス)と、それによってユーザがコンピュータへの入力を提供し得る、キーボードおよびポインティングデバイス(例えば、マウス、トラックボール、タブレット、タッチセンサ式画面、または別のタイプのポインティングデバイス)とを有する、コンピュータ上で実装されることができる。他の種類のデバイスも同様に、ユーザとの相互作用を提供するために使用されることができ、例えば、ユーザに提供されるフィードバックは、任意の形態の感覚フィードバック、例えば、視覚的フィードバック、聴覚的フィードバック、または触覚フィードバックであることができ、ユーザからの入力は、音響、発話、または触覚入力を含む、任意の形態で受信されることができる。加えて、コンピュータは、ユーザによって使用されるデバイスに、ドキュメントを送信し、そこからドキュメントを受信することによって、例えば、ウェブブラウザから受信された要求に応答して、ウェブページをユーザのクライアントデバイス上のウェブブラウザに送信することによって、ユーザと相互作用することができる。
【0099】
コンピュータシステムは、単一コンピューティングデバイス、または相互に近接して、または概して、遠隔で、動作し、典型的には、通信ネットワークを通して相互作用する、複数のコンピュータを含んでもよい。通信ネットワークの実施例は、ローカルエリアネットワーク(「LAN」)および広域ネットワーク(「WAN」)、ネットワーク間(例えば、インターネット)、衛星リンクを備える、ネットワーク、およびピアツーピアネットワーク(例えば、アドホックピアツーピアネットワーク)を含む。クライアントおよびサーバの関係は、個別のコンピュータ上で起動し、相互にクライアント-サーバ関係を有する、コンピュータプログラムによって生じ得る。
【0100】
図12は、プロセッサ1210と、メモリ1220と、記憶デバイス1230と、入/出力デバイス1240とを含む、例示的コンピュータシステム1200を示す。コンポーネント1210、1220、1230、および1240はそれぞれ、例えば、システムバス1250によって、相互接続されることができる。プロセッサ1210は、システム1200内での実行のための命令を処理することが可能である。いくつかの実装では、プロセッサ1210は、シングルスレッド式プロセッサ、マルチスレッド式プロセッサ、または別のタイプのプロセッサである。プロセッサ1210は、メモリ1220内または記憶デバイス1230上に記憶される命令を処理することが可能である。メモリ1220および記憶デバイス1230は、情報をシステム1200内に記憶することができる。
【0101】
入/出力デバイス1240は、システム1200のための入/出力動作を提供する。いくつかの実装では、入/出力デバイス1240は、ネットワークインターフェースデバイス、例えば、Ethernet(登録商標)カード、シリアル通信デバイス、例えば、RS-232ポート、および/または無線インターフェースデバイス、例えば、802.11カード、3G無線モデム、4G無線モデム等のうちの1つまたはそれを上回るものを含むことができる。いくつかの実装では、入/出力デバイスは、入力データを受信し、出力データを他の入/出力デバイス、例えば、ウェアラブルディスプレイデバイス1260に送信するように構成される、ドライバデバイスを含むことができる。いくつかの実装では、モバイルコンピューティングデバイス、モバイル通信デバイス、および他のデバイスも、使用されることができる。
【0102】
上記に議論される方法、システム、およびデバイスは、実施例である。種々の構成は、必要に応じて、種々のプロシージャまたはコンポーネントを省略、代用、または追加してもよい。例えば、代替構成では、本方法は、説明されるものと異なる順序で実施されてもよく、および/または種々の段階は、追加される、省略される、および/または組み合わせられてもよい。また、ある構成に関して説明される特徴は、種々の他の構成において組み合わせられてもよい。構成の異なる側面および要素は、類似様式で組み合わせられてもよい。また、技術は、進歩するものであって、したがって、要素の多くは、実施例であって、本開示の範囲または請求項を限定するものではない。
【0103】
具体的詳細が、実装を含む、例示的構成の完全な理解を提供するために説明に与えられる。しかしながら、構成は、これらの具体的詳細を伴わずに実践されてもよい。例えば、周知の回路、プロセス、アルゴリズム、構造、および技法は、構成を曖昧にすることを回避するために、不必要な詳細を伴わずに示されている。本説明は、例示的構成のみを提供し、請求項の範囲、可用性、または構成を限定するものではない。むしろ、構成の前述の説明は、当業者に説明される技法を実装するための有効な説明を提供するであろう。種々の変更が、本開示の精神または範囲から逸脱することなく、要素の機能および配列に行われてもよい。
【0104】
いくつかの例示的構成が説明されたが、種々の修正、代替構造、および均等物が、本開示の精神から逸脱することなく、使用されてもよい。例えば、前述の要素は、より大きいシステムのコンポーネントであってもよく、他のルールが、本技術の用途に優先する、または別様にそれを修正してもよい。また、いくつかのステップは、前述の要素が検討される前、間、または後に行われてもよい。故に、前述の説明は、請求項の範囲を束縛するものではない。
【0105】
本明細書および添付の請求項で使用されるように、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈によって明確に別様に示されない限り、複数参照を含む。したがって、例えば、「ユーザ」の言及は、複数のそのようなユーザを含み、「プロセッサ」の言及は、1つまたはそれを上回るプロセッサおよび当業者に公知のその均等物等の言及を含む。
【0106】
また、単語「comprise(~を備える)」、「comprising(~を備える)」、「contains(~を含有する)」、「containing(~を含有する)」、「include(~を含む)」、「including(~を含む)」、および「includes(~を含む)」は、本明細書および以下の請求項で使用されるとき、述べられた特徴、整数、コンポーネント、またはステップの存在を規定するために意図されるが、それらは、1つまたはそれを上回る他の特徴、整数、コンポーネント、ステップ、行為、またはグループの存在または追加を除外するものではない。
【0107】
また、本明細書に説明される実施例および実施形態は、例証目的のみのためのものであって、それに照らして、種々の修正または変更が、当業者に示唆され、本願の精神および権限および添付の請求項の範囲内に含まれることを理解されたい。
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7A
図7B
図8A
図8B
図9
図10
図11
図12