(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024161075
(43)【公開日】2024-11-15
(54)【発明の名称】経路表示装置、及び、プログラム
(51)【国際特許分類】
G01C 21/36 20060101AFI20241108BHJP
G01C 21/26 20060101ALI20241108BHJP
G08G 1/0969 20060101ALI20241108BHJP
【FI】
G01C21/36
G01C21/26 C
G08G1/0969
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024141965
(22)【出願日】2024-08-23
(62)【分割の表示】P 2023082126の分割
【原出願日】2013-12-19
(71)【出願人】
【識別番号】000005016
【氏名又は名称】パイオニア株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】500403929
【氏名又は名称】パイオニアシステムテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107331
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 聡延
(72)【発明者】
【氏名】牛場 敬裕
(72)【発明者】
【氏名】田中 真人
(72)【発明者】
【氏名】山下 晋平
(72)【発明者】
【氏名】籾井 健作
(72)【発明者】
【氏名】丸目 雅浩
(57)【要約】
【課題】変更前後の経路上の地点に関する情報を比較しつつ、予め設定された経路を部分的に変更することが可能な経路表示装置を提供する。
【解決手段】経路表示装置は、目的地までの第1経路が表示された状態で、利用者により第1経路上の移動対象点が操作されると、その移動対象点の位置に応じて第1経路上の2つの端点を決定する。また、移動対象点の移動先位置が決定されると、移動先位置と2つの端点とを含む第2経路を決定する。そして、地図上に第1経路と第2経路を表示するとともに、第1経路に関する情報と第2経路に関する情報とを比較可能に示す経路比較情報を表示する。
【選択図】
図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1経路を地図上に表示する表示手段と、
前記第1経路に含まれない道路であり、ユーザ入力に基づき決定された道路を含む第2経路を取得する取得手段と、を備え、
前記表示手段は、前記第2経路が取得されたときに、地図上に前記第1経路及び前記第2経路を比較可能に表示し、さらに前記第1経路に含まれる地点の情報及び前記第2経路に含まれる地点の情報を比較可能に表示することを特徴とする経路表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、設定された経路を編集する手法に関する。
【背景技術】
【0002】
ナビゲーション装置には、利用者が指定した目的地までのルートを決定し、経路に沿って案内を行う機能がある。特許文献1は、設定されたルートを利用者が変更する手法を記載している。具体的に、特許文献1では、設定されたルート上の地点を利用者が指などでドラッグ操作すると、設定されているルート上の2点を固定点とし、それら固定点とドラッグ操作によって指定された地点とを含む修正ルートが決定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開WO2008/117712号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、固定点は「操作対象に最も近い端点、右左折点、目的地点、出発地点(現在地点)等」とされており、もし現在表示されている画面上に固定点が無い場合、つまり現在の縮尺を超えて固定点の設定が必要な場合には固定点が設定できない。特許文献1では、仮に現在の縮尺を超える範囲でルートの再設定をしようとすると、固定点は現在の縮尺での表示画面上の端点に設定されることになる。
【0005】
また、特許文献1では、固定点は一度設定されると固定され、利用者の操作によって動的に変更されるものではない。そのため、例えば操作対象に最も近い端点を固定点とした場合にはそれら端点間の範囲でしかルートの変更ができず、効率が悪い。さらに、特許文献1では、変更後のルート上の地点についての詳細な情報が表示されない。
【0006】
本発明の解決しようとする課題としては、上記のものが一例として挙げられる。本発明は、変更前後の経路上の地点に関する情報を比較しつつ、予め設定された経路を部分的に変更することが可能な経路表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は、経路表示装置であって、第1経路を地図上に表示する表示手段と、前記第1経路に含まれない道路であり、ユーザ入力に基づき決定された道路を含む第2経路を取得する取得手段と、を備え、前記表示手段は、前記第2経路が取得されたときに、地図上に、前記第1経路及び前記第2経路を比較可能に表示し、さらに前記第1経路に含まれる地点の情報及び前記第2経路に含まれる地点の情報を比較可能に表示することを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載の発明は、コンピュータを備える経路表示装置により実行されるプログラムであって、第1経路を地図上に表示する表示手段、前記第1経路に含まれない道路であり、ユーザ入力に基づき決定された道路を含む第2経路を取得する取得手段、として前記コンピュータを機能させ、前記表示手段は、前記第2経路が取得されたときに、地図上に、前記第1経路及び前記第2経路を比較可能に表示し、さらに前記第1経路に含まれる地点の情報及び前記第2経路に含まれる地点の情報を比較可能に表示することを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施例に係るナビゲーション装置の構成を示すブロック図である。
【
図3】経路編集における境界円の決定方法を説明する図である。
【
図4】経路編集における境界円の決定方法を説明する図である。
【
図5】経路編集における縮尺変更を説明する図である。
【
図9】移動先ノード判定処理のフローチャートである。
【
図10】経路編集処理による経路編集前の表示例を示す。
【
図11】経路編集処理による経路編集中の表示例を示す。
【
図12】経路編集処理による経路編集前の他の表示例を示す。
【
図13】経路編集処理による経路編集中の他の表示例を示す。
【
図14】経路編集処理による経路編集中の他の表示例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の1つの好適な実施形態では、経路表示装置は、地図上に表示された第1経路を表示部に表示させる表示制御手段と、前記第1経路上の点であり利用者によって移動操作される移動対象点の位置に応じて、前記第1経路上の2つの端点を決定する端点決定手段と、前記移動対象点の移動先位置を決定する位置決定手段と、前記移動対象点の移動先位置と、前記2つの端点とを含む第2経路を決定する第2経路決定手段と、を備え、前記表示制御手段は、前記第2経路が決定されたときに、地図上に前記第1経路及び前記第2経路を表示するとともに、前記第1経路に関する情報と前記第2経路に関する情報とを比較可能に示す経路比較情報を表示する。
【0011】
上記の経路表示装置は、目的地までの第1経路が表示された状態で、利用者により第1経路上の移動対象点が操作されると、その移動対象点の位置に応じて第1経路上の2つの端点を決定する。また、移動対象点の移動先位置が決定されると、移動先位置と2つの端点とを含む第2経路を決定する。そして、地図上に第1経路と第2経路を表示するとともに、第1経路に関する情報と第2経路に関する情報とを比較可能に示す経路比較情報を表示する。これにより、利用者は第1経路と第2経路とを比較しながら第1経路の編集を行うことができる。
【0012】
上記の経路表示装置の一態様では、前記経路比較情報は前記2つの端点及び前記移動対象点の移動先位置に対応する地点の地点情報を含む。他の一態様では、前記地点情報は対応する地点の交差点名を含む。
【0013】
上記の経路表示装置の他の一態様では、前記経路比較情報は、前記第1経路及び第2経路上の案内地点を示したリストを含む。この場合、好適には、前記地点情報は、対応する地点における信号の有無、及び、レーン情報の少なくとも一方を含む。
【0014】
上記の経路表示装置の他の一態様では、前記経路比較情報は、前記第1経路及び第2経路を示す経路バーを含む。
【0015】
上記の経路表示装置の他の一態様では、前記表示制御手段は、前記移動対象点の移動先位置として指定可能な移動先候補点を地図上に表示し、前記位置決定手段は、前記移動対象点の位置が前記移動先候補点と一致する場合に、当該移動先候補点を移動先位置と決定する。よって、移動先候補点として予め決定された地点のみを移動先位置として決定することができる。
【0016】
上記の経路表示装置の他の一態様は、前記表示部に表示されている地図の縮尺を示す縮尺表示体を表示する縮尺表示手段と、前記縮尺表示体に対する利用者の変更操作に応じて、表示されている地図の縮尺を変更する縮尺変更手段と、を備え、前記縮尺変更手段は、前記移動対象点の位置が前記移動先候補点と一致しない場合に、前記変更操作を受け付け、地図の縮尺を変更する。これにより、希望する移動先候補点が表示されていない場合、利用者は地図の縮尺を変更して、他の移動先候補点を表示させることができる。
【0017】
上記の経路表示装置の他の一態様では、前記端点決定手段は、前記移動対象点の位置に隣接する前記第1経路上の2つの地点を2つの端点と決定し、決定された2つの端点を直径とする境界円と前記移動対象点との位置関係に基づいて、決定された2つの端点を変更する。これにより、移動対象点の位置に応じて適切な端点が決定される。
【0018】
本発明の他の好適な実施形態では、表示部を備える経路表示装置により実行される経路表示方法は、地図上に表示された第1経路を前記表示部に表示させる表示制御工程と、前記第1経路上の点であり利用者によって移動操作される移動対象点の位置に応じて、前記第1経路上の2つの端点を決定する端点決定工程と、前記移動対象点の移動先位置を決定する位置決定工程と、前記移動対象点の移動先位置と、前記2つの端点とを含む第2経路を決定する第2経路決定工程と、を備え、前記表示制御工程は、前記第2経路が決定されたときに、地図上に前記第1経路及び前記第2経路を表示するとともに、前記第1経路に関する情報と前記第2経路に関する情報とを比較可能に示す経路比較情報を表示する。これにより、利用者は第1経路と第2経路とを比較しながら第1経路の編集を行うことができる。
【0019】
本発明の他の好適な実施形態では、表示部及びコンピュータを備える経路表示装置により実行される経路表示プログラムは、地図上に表示された第1経路を前記表示部に表示させる表示制御手段と、前記第1経路上の点であり利用者によって移動操作される移動対象点の位置に応じて、前記第1経路上の2つの端点を決定する端点決定手段と、前記移動対象点の移動先位置を決定する位置決定手段と、前記移動対象点の移動先位置と、前記2つの端点とを含む第2経路を決定する第2経路決定手段として前記コンピュータを機能させ、前記表示制御手段は、前記第2経路が決定されたときに、地図上に前記第1経路及び前記第2経路を表示するとともに、前記第1経路に関する情報と前記第2経路に関する情報とを比較可能に示す経路比較情報を表示する。このプログラムをコンピュータにより実行することにより、上記の経路表示装置を実現することができる。このプログラムは記憶媒体に記憶して扱うことができる。
【実施例0020】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施例について説明する。以下の実施例は、本発明の経路表示装置をナビゲーション装置に適用したものとする。
【0021】
[1]ナビゲーション装置
図1は、ナビゲーション装置1の構成を示す。
図1に示すように、ナビゲーション装置1は、自立測位装置10、GPS受信機18、システムコントローラ20、ディスクドライブ31、データ記憶ユニット36、通信用インタフェース37、通信装置38、表示ユニット40、音声出力ユニット50、入力装置60、外部データ記憶ユニット61を備える。
【0022】
自立測位装置10は、加速度センサ11、角速度センサ12及び距離センサ13を備える。加速度センサ11は、例えば圧電素子からなり、車両の加速度を検出し、加速度データを出力する。角速度センサ12は、例えば振動ジャイロからなり、車両の方向変換時における車両の角速度を検出し、角速度データ及び相対方位データを出力する。距離センサ13は、車両の車輪の回転に伴って発生されているパルス信号からなる車速パルスを計測する。
【0023】
GPS受信機18は、複数のGPS衛星から、測位用データを含む下り回線データを搬送する電波19を受信する。測位用データは、緯度及び経度情報等から車両の絶対的な位置(以後、「現在位置」とも呼ぶ。)を検出するために用いられる。
【0024】
システムコントローラ20は、インタフェース21、CPU(Central Processing Unit)22、ROM(Read Only Memory)23及びRAM(Random Access Memory)24を含んでおり、ナビゲーション装置1全体の制御を行う。
【0025】
インタフェース21は、加速度センサ11、角速度センサ12及び距離センサ13並びにGPS受信機18とのインタフェース動作を行う。そして、これらから、車速パルス、加速度データ、相対方位データ、角速度データ、GPS測位データ、絶対方位データ等をシステムコントローラ20に入力する。
【0026】
CPU22は、システムコントローラ20全体を制御する。ROM23は、システムコントローラ20を制御する制御プログラム等が格納された図示しない不揮発性メモリ等を有する。RAM24は、入力装置60を介して使用者により予め設定された経路データ等の各種データを読み出し可能に格納したり、CPU22に対してワーキングエリアを提供したりする。
【0027】
システムコントローラ20、CD-ROMドライブ又はDVD-ROMドライブなどのディスクドライブ31、データ記憶ユニット36、通信用インタフェース37、表示ユニット40、音声出力ユニット50及び入力装置60は、バスライン30を介して相互に接続されている。
【0028】
ディスクドライブ31は、システムコントローラ20の制御の下、CD、DVD、Blu-lay Disk等といったディスク33から、音楽データ、映像データなどのコンテンツデータを読み出し、出力する。
【0029】
データ記憶ユニット36は、例えば、HDDなどにより構成され、地図データなどのナビゲーション処理に用いられる各種データを記憶するユニットである。
【0030】
通信装置38は、車両の車内通信網を通じて、ECU(Electronic Control Unit)によって管理されている情報を取得する。
【0031】
表示ユニット40は、システムコントローラ20の制御の下、各種表示データをディスプレイなどの表示装置に表示する。具体的には、システムコントローラ20は、データ記憶ユニット36から地図データを読み出す。表示ユニット40は、システムコントローラ20によってデータ記憶ユニット36から読み出された地図データなどを表示画面上に表示する。表示ユニット40は、バスライン30を介してCPU22から送られる制御データに基づいて表示ユニット40全体の制御を行うグラフィックコントローラ41と、VRAM(Video RAM)等のメモリからなり即時表示可能な画像情報を一時的に記憶するバッファメモリ42と、グラフィックコントローラ41から出力される画像データに基づいて、液晶、CRT(Cathode Ray Tube)等のディスプレイ44を表示制御する表示制御部43と、ディスプレイ44とを備える。ディスプレイ44は、表示部として機能し、例えば対角5~10インチ程度の液晶表示装置等からなり、車内のフロントパネル付近に装着される。
【0032】
音声出力ユニット50は、システムコントローラ20の制御の下、CD-ROMドライブ31又はDVD-ROM32、若しくはRAM24等からバスライン30を介して送られる音声デジタルデータのD/A(Digital to Analog)変換を行うD/Aコンバータ51と、D/Aコンバータ51から出力される音声アナログ信号を増幅する増幅器(AMP)52と、増幅された音声アナログ信号を音声に変換して車内に出力するスピーカ53とを備えて構成されている。
【0033】
入力装置60は、各種コマンドやデータを入力するための、キー、スイッチ、ボタン、リモコン、音声入力装置等から構成されている。入力装置60は、車内に搭載された当該車載用電子システムの本体のフロントパネルやディスプレイ44の周囲に配置される。また、ディスプレイ44がタッチパネル方式の場合、ディスプレイ44の表示画面上に設けられたタッチパネルも入力装置60として機能する。
【0034】
外部データ記憶ユニット61は、例えばUSBメモリなどにより構成され、編集された経路情報を他の機器と授受する目的で利用される。
【0035】
上記の構成において、表示ユニット40は本発明の表示制御手段として機能し、CPU22は本発明の指定位置決定手段、端点決定手段及び第2経路決定手段として機能する。
【0036】
[2]経路編集
次に、本実施例における経路編集について説明する。
【0037】
(1)概要
まず、経路編集の概要について説明する。
図2は、経路編集の概要を説明する図である。
図2(a)に経路表示画像70の一例を示す。経路表示画像70は、既に設定済の経路を地図上に表示した画像である。いま、出発地71から目的地72までの経路73が決定され、地図上に表示されているものとする。経路73上には、案内地点を含む複数の地点(「ノード」とも呼ぶ。)が黒色の地点マーク74により示されている。また、経路73に含まれない道路75、及び、経路73に含まれない地点を示す白抜きの地点マーク76が地図上に示されている。なお、地点マーク76で表示されているノードは、既に設定されている経路73上のあるノードを他のノードへ移動する際の移動先として選択可能なノードである。
【0038】
ここで、利用者がノード74xの代わりにノード76xを通過するように経路73を変更したい場合、利用者はディスプレイ44上のタッチパネルの操作により、地点74xをドラッグし、地点76xへと移動してドロップする。具体的に、利用者が指などでタッチパネルにタッチすると、
図2(b)に示すようにディスプレイ44にはポインタ77が表示される。利用者が指で地点74xにタッチし、タッチパネルへの接触を維持したまま地点76x方向へドラッグすると、
図2(b)に示すように手で物を握った形状のポインタ77が矢印78の方向へ移動する。そして、
図2(c)に示すように利用者が地点76xでタッチパネルから指を離し、ポインタ77をドロップすると、経路73は地点76xを通過するように変更される。このときポインタ77は手を離した形状となる。
【0039】
こうして、ノード74xをノード76xに変更する経路編集の指示が入力される。これに応じて、ナビゲーション装置1は、
図2(d)に示すように、ノード74xの代わりにノード76xを通る経路を作成する。
【0040】
(2)詳細な動作
次に、経路編集における詳細な動作について説明する。いま、
図3(a)に示すように、出発地71から目的地72までの経路73が決定されており、経路73上にはノード(地点)P1~P6が存在するものとする。また、利用者は、ノードP3の代わりにノードP10を通過するように経路73を変更するものとする。以下、移動の対象となるノードP3を「移動対象ノード」と呼び、その移動対象ノードの移動先となるノードP10を「移動先ノード」と呼ぶ。また、ノードP10、P11などは、現在の経路73に含まれていないが、経路編集によって移動先ノードとして指定可能なノードであり、これを「移動先候補ノード」と呼ぶ。なお、移動対象ノードは本発明の移動対象点に相当し、移動先候補ノードは本発明の移動先候補点に相当する。
【0041】
本実施例では、利用者が移動対象ノードを地図上で移動(ドラッグ)すると、その位置に応じて、変更対象となる区間を規定する2つの端点が決定される。次に、利用者が複数の移動先候補ノードから目標の移動先候補ノードを決定し、タッチパネル上で移動対象ノードを目標の移動先候補ノードへドラッグし、ドロップすると、その移動先候補ノードが移動先ノードとして決定される。そして、ナビゲーション装置1は、2つの端点と、移動先ノードとを通る新たな経路を決定する。なお、利用者が移動対象ノードに指でタッチし、ポインタ77を任意の方向にドラッグしている間、ポインタ77は手を握った形状として表示される。また、利用者がドラッグしていたポインタ77を移動先候補ノード上でドロップすると、ポインタ77は手を開いた形状で表示される。
【0042】
(端点の決定)
次に、端点の決定方法について説明する。
図3(a)に示すように、利用者が移動対象ノードP3にタッチし、ノードP10方向にドラッグすると、ナビゲーション装置1のCPU22は、まず移動対象ノードP3に隣接する2つのノードP2、P4を端点に決定する。ここで、端点とは、経路編集によって変更される経路73上の一部の区間の両端を規定する点である。即ち、端点を両端とする区間について新たな経路が作成される。なお、CPU22は、利用者が移動対象ノードを移動させている間、2つの端点P2、P4のそれぞれとポインタ77とを結ぶ方向線(補助線)79を表示する。方向線79は、その時点において決定されている2つの端点と、移動対象ノードの移動方向(ドラッグされている方向)との関係を利用者に示す役割を有する。
【0043】
次に、
図3(b)に示すように、CPU22は、2つの端点を結ぶ線を直径とする境界円R1を想定する。なお、この境界円R1はナビゲーション装置1が経路編集処理において使用する仮想的な円であり、利用者に見えるようにディスプレイ44に表示されるわけではない。CPU22は、移動対象ノードP3を示すポインタ77が境界円R1内に位置する間は、2つの端点としてノードP2、P4を維持する。また、CPU22は、境界円R1内に存在する移動先候補ノード76(本例ではノードP10)を表示する。
【0044】
一方、利用者が境界円R1を超えてポインタ77を移動させると、
図3(c)に示すように、CPU22は、それまで端点として設定されていたノードP2、P4よりも外側のノードP1、P5を端点に設定し直す。即ち、CPU22は、出発地71側の端点をノードP2から出発地71よりのノードP1に変更し、目的地72側の端点をノードP4から目的地よりのノードP5へ変更する。そして、新たに決定されたノードP1、P5を結ぶ線を直径とする境界円R2を想定する。CPU22は、ポインタ77が境界円R2内に位置する間は、ノードP1、P5を端点として維持し、境界円R2内に存在する移動先候補ノード76(本例ではノードP10、P11)を表示する。なお、利用者がポインタ77を逆方向に移動させ、ポインタ77が境界円R1内に戻った場合には、CPU22は端点をノードP2、P4に戻し、境界円をR2からR1に戻す。
【0045】
ポインタ77が境界円R2を超えてさらに移動した場合には、CPU22はさらに外側(出発地側及び目的地側)のノードを端点に設定する。利用者がポインタ77をさらに外側へ移動させた場合、CPU22は端点が出発地71及び目的地72と一致するまでこの処理を繰り返す。
【0046】
図3の例では、移動対象ノードが
図3(c)に示す境界円R2を超えて移動すると、CPU22は、
図4に示すように出発地71と目的地72を2つの端点とし、それらを結ぶ線を直径とする境界円Rnを想定する。なお、この状態でさらにポインタ77が境界円Rnを超えて移動したとしても、CPU22は端点として出発地71と目的地72を維持する。
【0047】
このように、本実施例では、ポインタ77が示す移動対象ノードの位置と、元の経路上にある他のノードとの位置関係に基づいて、変更対象となる区間の端点が自動的に決定される。よって、既に決定されている経路の一部を変更する場合に、利用者が変更対象となる区間、具体的には2つの端点などを指定する必要はない。
【0048】
利用者がポインタ77を移動先候補ノードP10、P11などにドロップする(ノード上で指を離す)と、CPU22は、ポインタ77がドロップされたノードを移動先ノードと決定する。そして、CPU22は、その時点で設定されている2つの端点を両端とし、移動先ノードを通る新たな経路(以下、「代替経路」と呼ぶ。)を決定する。なお、代替経路は本発明の第2経路に相当する。
【0049】
(縮尺の変更)
次に、経路編集中の縮尺の変更について説明する。地図上に表示される移動先候補ノード76(ノードP10、P11など)は、その時点で表示されている地図の縮尺に応じて決定される。一般的に、広域地図の縮尺では主として大きな交差点のみが移動先候補ノード76として表示され、詳細地図の縮尺では小さい交差点も移動先候補ノード76に含めて表示される。例えば、広域地図の地図では所定幅以上の道路(又は片側2車線の道路)上の交差点のみが移動先候補ノード76に設定され、それより詳細な地図の縮尺ではさらに信号機がある交差点が移動先候補ノード76に追加され、さらに詳細な地図の縮尺では信号機の無い交差点も移動先候補ノード76に追加される。このように、移動先候補ノード76として表示されるノードは、地図データの縮尺ごとに予め決定されている。
【0050】
いま、
図5(a)において、利用者が移動対象ノードP3を別のノードに移動したいが、移動先として希望するノードが現在の縮尺では地図上に移動先候補ノード76として表示されていないとする。この場合、移動対象ノードP3にタッチしてポインタ77をドラッグし始めた利用者は、移動先候補ノード76の位置以外の任意の位置で指を離す、即ち、ポインタ77を一旦開放(リリース)する。CPU22は、ポインタ77が移動先候補ノード76の位置以外でリリースされた場合、ポインタ77の移動をその位置で停止するとともに、利用者による縮尺変更を可能とする。即ち、利用者はポインタ77を移動先候補ノード76以外の場所ではドロップできず、移動先候補ノード76以外で利用者が指をタッチパネルから離した場合は、ポインタ77はその位置で一旦リリースされたものとし、経路編集作業は一旦保留された状態となる。なお、利用者がポインタ77を移動先候補ノード上に置いたときには、ポインタ77の色を変えるなどして、ポインタ77が移動先候補ノード上にあることを利用者に知らせることとしてもよい。また、ポインタ77が移動先候補ノード76以外の場所でリリースされた場合、
図5に示すようにポインタ77を手を広げた形状で表示することが好ましい。
【0051】
縮尺の変更には、
図5(a)に示す縮尺ルーラー81が使用される。縮尺ルーラー81は、表示中の地図の縮尺を示すものであり、利用者は縮尺ルーラー81上でバー82を移動させることにより、表示中の地図の縮尺を変更することができる。なお、縮尺ルーラー81は、経路編集中に常に表示させておくのが好ましい。縮尺ルーラーは本発明の縮尺表示体に相当する。
【0052】
図5(a)に示す状況で、利用者が移動対象ノードP3に対応するポインタ77を移動先候補ノード76以外の位置でリリースし、縮尺バー82を操作して縮尺を変更して
図5(b)に示すように詳細な地図を表示させると、元の縮尺では表示されていなかったノードP15~P18が移動先候補ノード76として表示される。このように、利用者は、移動対象ノードの移動先として指定したいノードが移動先候補ノード76として表示されていない場合には、縮尺を変更することにより、そのノードを移動先候補ノード76として表示させることができる。なお、利用者により縮尺が変更され、詳細な地図が表示された場合には、
図5(b)に示すように、現在の表示エリアと経路全体との位置関係を示すウィンドウ90が併せて表示される。ウィンドウ90は、枠91内に、現在設定されている経路の概略93と、現在の縮尺による表示範囲92とを示す。ウィンドウ90を表示することにより、利用者が経路編集中に縮尺を変更して詳細な地図を表示させたとしても、現在の表示エリアと経路全体との関係を容易に把握することができる。なお、逆に利用者が広域地図を表示させるように縮尺を変更した場合であっても、ポインタ77周辺の様子が分かりにくくなる場合には、ポインタ周辺の詳細図を別のウィンドウにより表示することとしてもよい。
【0053】
縮尺の変更により希望の移動先候補ノード76が表示された場合、利用者は、再びポインタ77のドラッグを開始することにより、経路編集を再開することができる。
【0054】
(経路編集処理)
次に、経路編集処理について説明する。
図6は経路編集処理のメインルーチンであり、
図7~9は経路編集処理のサブルーチンである。経路編集処理は、ナビゲーション装置1のCPU22が予め用意されたプログラムを実行することにより実現される。なお、経路編集処理の前提として、利用者が目的地を指定して経路探索を行い、目的地までの1つの経路が設定されているものとする。即ち、
図3(a)に示すように、地図上に出発地71と目的地72とを含む経路73が示された経路表示画像70がディスプレイ44に表示されているものとする。経路編集処理は、この設定されている経路の一部を利用者が変更したい場合に、利用者が経路編集を指示することにより開始する。
【0055】
図6において、まずCPU22は、移動先候補ノード76を表示する(ステップS11)。移動先候補ノード76は、移動対象ノードの移動先として指定可能なノードであり、前述のように表示中の地図の縮尺などに応じて予め決定されている。
【0056】
次に、CPU22はモード判定を行う(ステップS12)。モード判定とは、タッチパネルなどの入力装置を通じて利用者により操作されたポインタ77の状態に基づいて、経路編集のモードを判定する処理である。モード判定の詳細を
図7に示す。
【0057】
まず、CPU22は、いずれかのノードがアクティブであるか否かを判定する(ステップS31)。ここで、利用者が指でノードにタッチし、ポインタ77がそのノードを掴んだ状態である場合、そのノードを「アクティブ」という。即ち、CPU22は、利用者がポインタ77でいずれかのノードを掴んでいる否かを判定する。利用者がポインタ77で掴んだノードが移動対象ノードとされる。なお、ノードがポインタ77により掴まれていない場合、そのノードを「インアクティブ」であるという。
【0058】
いずれかのノードがアクティブである場合(ステップS31:Yes)、CPU22は現在のモードを「編集中」であると判定する。つまり、CPU22は、利用者が移動対象ノードに対応するポインタ77を希望する方向へ移動させ、希望の移動先候補ノードへドラッグする途中であると判定する。そして、処理は
図7のメインルーチンへ戻る。
【0059】
一方、いずれのノードもアクティブでない場合(ステップS31:No)、ポインタ77は利用者によるドラッグ中ではなく、いずれかの場所に置かれていると考えられる。よって、CPU22は、ポインタ77が移動先候補ノード76と重なっているか否かを判定する(ステップS33)。ポインタ77が移動先候補ノード76と重なっている場合(ステップS33:Yes)、利用者が移動対象ノードをその移動先候補ノードへ変更する経路変更を指示した状態と考えられるので、CPU22は現在のモードを「編集中」と判定する(ステップS34)。そして、処理はメインルーチンへ戻る。
【0060】
一方、ポインタ77が移動先候補ノード76と重なっていない場合(ステップS33:No)、利用者はポインタ77を移動先候補ノード76以外の位置でリリースしたことになるので、CPU22は現在のモードを「保留中」と判定する(ステップS35)。そして、処理はメインルーチンへ戻る。なお、保留中の場合、前述のように利用者は縮尺ルーラー81を操作して縮尺を変更することが可能となる。
【0061】
図6へ戻り、CPU22は、モード判定により決定された現在のモードが保留中であるか否かを判定する(ステップS13)。現在のモードが保留中である場合(ステップS13:Yes)、CPU22は縮尺変更の処理を行う。具体的に、CPU22は、利用者が縮尺ルーラー81により縮尺変更操作を行ったか否かを判定する(ステップS19)。縮尺変更操作が行われた場合(ステップS19:Yes)、CPU22は縮尺変更を行う(ステップS21)。即ち、CPU22は、
図5(a)、(b)に例示するように、表示されている地図の縮尺を変更する。そして、処理はステップS11へ戻る。
【0062】
縮尺変更操作が行われていない場合(ステップS19:No)、CPU22は利用者により経路編集の終了指示が入力されたか否かを判定する(ステップS20)。終了指示が入力された場合(ステップS20:Yes)、経路編集処理は終了する。終了指示が入力されていない場合(ステップS20:No)、処理はステップS11へ戻る。
【0063】
ステップS13において、現在のモードが保留中でないと判定された場合(ステップS13:No)、CPU22はノード変更操作がなされているか否か、具体的には利用者がポインタ77により掴んでいる移動対象ノードが移動しているか否かを判定する(ステップS14)。ノード変更操作がなされていない場合(ステップS14:No)、処理はステップS12へ戻る。
【0064】
一方、ノード変更操作がなされている場合(ステップS14:Yes)、CPU22は端点探査を行う(ステップS15)。端点探査とは、ポインタ77の位置に基づいて、2つの端点を決定する処理である。端点探査の詳細を
図8に示す。
【0065】
CPU22は、まず、移動対象ノードの隣接ノードを探索する(ステップS41)。ここで、「隣接ノード」とは、移動対象ノードに隣接するノードであって、目的地側と出発地側のそれぞれ2つのノードを指す。これら合計4つのノードのうち、移動対象ノードに近い方の2つのノードを近端ノードと呼び、移動対象ノードから遠い方の2つのノードを遠端ノードと呼ぶ。
図3の例では、CPU22は、移動対象ノードP3を基準として、近端ノードP2、P4と、遠端ノードP1、P5とを決定することになる。
【0066】
次に、CPU22は、2つの遠端ノードを直径とする円(「遠端円」と呼ぶ。)を算出し(ステップS42)、さらに2つの近端ノードを直径とする円(「近端円」と呼ぶ。)を算出する(ステップS43)。これにより、
図3の例では、遠端円R2と近端円R1とが決定される。
【0067】
次に、CPU22は、ポインタ77と、遠端円及び近端円との位置関係を判定する(ステップS44)。具体的に、ポインタ77が近端円の内側にある場合、処理はステップS45へ進み、ポインタ77が近端円と遠端円の間にある場合、処理はステップS47へ進み、ポインタ77が遠端円の外側にある場合、処理はステップS48へ進む。
【0068】
さて、ステップS45では、CPU22は、近端ノードが移動対象ノードの初期位置と一致したか否かを判定する(ステップS45)。近端ノードが移動対象ノードの初期位置と一致していない場合(ステップS45:No)、CPU22はそのときの近端ノードを遠端ノードとし、それよりも移動対象ノードの初期位置に近い隣接ノードを近端ノードとする(ステップS46)。即ち、近端ノードと遠端ノードが移動対象ノードの初期位置に近い方へ1つずつシフトされる。そして、処理はステップS42へ戻る。一方、近端ノードが移動対象ノードの初期位置と一致する場合(ステップS45:Yes)、その時の2つの遠端ノードを端点とする(ステップS47)。この場合、近端ノードが移動対象ノードの初期位置と一致しているので、遠端ノードは移動対象ノードの初期位置に隣接する2つのノードとなる。
図3の例では、近端ノードとノードP3とが一致するので、遠端ノードがノードP2、P4となり、ノードP2、P4が端点に決定される。
【0069】
次に、ステップS47では、CPU22はその時の2つの遠端ノードを端点とする。
図3の例では、
図3(c)に示す位置にポインタ77があるとき、ノードP2、P4を直径とする円R1(
図3(b)参照)と遠端円R2の間にあるので、そのときの遠端ノードP1、P5が端点に決定される。
【0070】
また、ステップS48では、CPU22は遠端ノードが出発地又は目的地と一致しているか否かを判定する。遠端ノードが出発地又は目的地と一致している場合、即ち
図4に示すような場合、境界円はそれ以上拡大されないので、CPU22は、その時の2つの遠端ノードを端点に決定する(ステップS47)。即ち、
図4の例では、出発地と目的地が端点に決定される。なお、この場合は経路73の全体が編集の対象となる。
【0071】
一方、遠端ノードが出発地又は目的地でない場合(ステップS48:No)、CPU22は、そのときの遠端ノードを近端ノードとし、移動対象ノードから次に遠い隣接ノードを遠端ノードとする(ステップS49)。即ち、CPU22は、近端ノードと遠端ノードを移動対象ノードから遠い方向(即ち、それぞれ出発地及び目的地の方向)へ1つシフトする。そして、処理はステップS42へ戻る。
【0072】
こうして、ステップS47で端点が決定されると、処理はメインルーチンへ戻る。次に、CPU22は、移動先ノード判定を行う(ステップS16)。移動先判定は、移動先ノードを決定する処理である。移動先ノード判定の詳細を
図9に示す。
【0073】
CPU22は、移動対象ノード、即ちポインタ77の位置が移動先候補ノード76の位置と一致しているか否かを判定する(ステップS51)。つまり、CPU22は、利用者が移動対象ノードを移動先候補ノード76上にドラッグしたか否かを判定する。移動対象ノードの位置が移動先候補ノード76の位置と一致していない場合(ステップS51:No)、CPU22は移動先ノードが未定であると判定し(ステップS54)、処理はメインルーチンへ戻る。
【0074】
一方、ポインタ77の位置が移動先候補ノード76の位置と一致している場合(ステップS51:Yes)、CPU22は、移動対象ノードがアクティブからインアクティブに変化したか否かを判定する(ステップS52)。即ち、CPU22は、利用者がドラッグしていたポインタ77をドロップしたか否かを判定する。移動対象ノードがインアクティブに変化していない場合(ステップS52:No)、CPU22は移動先ノードが未定であると判定し(ステップS54)、処理はメインルーチンへ戻る。
【0075】
一方、移動対象ノードがインアクティブに変化した場合(ステップS52:Yes)、CPU22はポインタ77がドロップ離された位置を移動先ノードと決定する(ステップS53)。言い換えると、ステップS51とS52がともにYesになった場合、利用者は移動対象ノードを示すポインタ77をいずれかの移動先候補ノード76上へドロップしたことになるので、CPU22はその移動先候補ノード76を移動先ノードに決定する。そして、処理はメインルーチンへ戻る。
【0076】
次に、
図6のメインルーチンにおいて、CPU22は、移動先ノードが決定されているか否かを判定する(ステップS17)。移動先ノード判定によって移動先ノードが未定と判定されている場合(ステップS17:No)、処理はステップS12へ戻る。一方、移動先ノード判定によって移動先ノードが決定されている場合(ステップS17:Yes)、CPU22は、ステップS15の端点探査で決定された端点間を結び、かつ、ステップS16で決定された移動先ノードを通る代替経路を探索する(ステップS18)。より詳しくは、CPU22は、出発地側の端点を出発地とし、移動先ノードを経由地とし、目的地側の端点を目的地とする代替経路を探索する。こうして、利用者が指定した移動先ノードを通過する代替経路が得られる。なお、代替経路として複数の経路が得られた場合、CPU22は複数の経路を利用者に提示して選択を促すことができる。
【0077】
(表示例)
次に、経路編集により得られた代替経路の表示例について説明する。
図10は、経路編集前、即ち最初の経路探索により1つの経路が得られた際の表示例を示す。地図上に出発地から目的地までの経路73を示した経路表示画像70がディスプレイ44に表示される。さらに、経路73の各ノードP1~P6についてのノードリスト75が表示される。ノードリスト75は、経路73上の各ノードにおける地点情報を示す。ここで、地点情報は、進行方向、交差点名、信号の有無、レーン情報(右折レーンの有無)などを含む。
【0078】
図11は、経路73上のノードP3をノードP10に移動させて代替経路を得た場合の表示例を示す。代替経路(ノードP2→P10→P4)が実線で示され、元の経路(ノードP2→P3→P4)が破線で示されている。このように、経路表示画像70では、元の経路と代替経路とが区別可能に表示される。また、ノードリスト75においては、元の経路全体についてのリストに加えて、代替経路(ノードP2→P10→P4)を構成する各ノードにおける地点情報が追加リスト75xとして表示される。追加リスト75xは、前述の経路編集処理において決定された2つの端点(本例では、ノードP2、P4)と、移動先ノード(本例ではノードP10)の地点情報を含む。また、本例は該当しないが、2つの端点間に移動先ノード以外のノードがある場合には、そのノードの地点情報も表示される。
【0079】
これにより、利用者は、元の経路と代替経路における地点情報(進行方向、交差点名、信号の有無、レーン情報など)を比較して見ることができる。これにより、利用者は例えば信号の無い交差点での右左折よりも信号のある交差点での右左折が多い経路、右折レーンの無い交差点で右折するより右折レーンのある交差点で右折することが多い経路など、好みにあった代替経路を探すことができる。
【0080】
次に、経路編集により得られた代替経路の他の表示例について説明する。
図12(a)は、経路編集前、即ち最初の経路探索により1つの経路が得られた際の表示例を示す。地図上に出発地から目的地までの経路73を示した経路表示画像70がディスプレイ44に表示される。さらに、経路73に沿って通過するノードを直線的に示した経路バー60が表示される。経路バー60では、元の経路73を示す直線61上に、経路73上に存在するノードP1~P6が示される。なお、各ノードP1~P6の位置に、交差点名などを表示してもよい。直線61上に示されたノードP1~P6の間隔は、経路73における各ノードの間隔に対応している。
【0081】
また、利用者が移動対象ノードを選択しやすくするために、対象ノード選択ボタン55L、55Rが表示される。入力装置がタッチパネルであるような場合、移動対象となるノードを正確にドラッグすることが難しいことがある。特に、経路上のノードが表示された地図上で近接している場合には、誤って隣のノードを選択してしまうことがありうる。そこで、対象ノード選択ボタン55L、55Rを表示するとともに、経路バー60上にカーソル62を表示する。利用者が対象ノード選択ボタン55Lを操作するとカーソル62は経路バー60上の1つ左のノードへ移動し、対象ノード55Rを操作するとカーソル62は経路バー60上の1つ右のノードへ移動する。このように、対象ノード選択ボタン55L、55Rを操作することにより、利用者は容易に移動対象ノードを選択することができる。移動対象ノードを選択した後は、利用者は経路表示画像70内でポインタ77を移動させて経路編集を行うことができる。
【0082】
図12(b)は、利用者がノードP3をノードP10に変更する経路編集を行った際に得られた代替経路の表示例である。経路表示画像70では、代替経路(ノードP2→P10→P4)が実線で示され、元の経路(ノードP2→P3→P4)が破線で示されている。経路バー60においては、元の経路73を示す直線61に加えて、代替経路を示す直線63が直線61に沿って対応する位置に表示される。元の経路を示す直線61上には移動対象ノード(本例ではノードP3)を示すカーソル62が表示され、代替経路上には移動先ノード(本例ではノードP10)を示すマーク64が表示される。
【0083】
図13(a)は、利用者がノードP3を別のノードP11に変更する経路編集を行った際に得られた代替経路の表示例である。経路表示画像70では、代替経路(ノードP1→P11→P5)が実線で示され、元の経路(ノードP1→P2→P3→P4→P5)が破線で示されている。経路バー60においては、元の経路73を示す直線61に加えて、代替経路を示す直線63が直線61に沿って対応する位置に表示される。元の経路を示す直線61上には移動対象ノード(本例ではノードP3)を示すカーソル62が表示され、代替経路上には移動先ノード(本例ではノードP11)を示すマーク64が表示されている。
【0084】
図13(b)は、
図13(a)において、経路バー60にさらに多くの情報を表示した例である。具体的に、経路編集において決定された端点に対応するノードP1、P5がボックス65により他のノードと区別して表示されている。また、端点に対応するノードP1、P5については、交差点名が吹き出し66により示されている。さらに、端点に対応するノード、例えばノードP5については、その交差点における交差点情報69を表示してもよい。また、元の経路又は代替経路に混雑情報、渋滞情報、通行止め情報などがある場合には、その区間を示すマーク68によりそれらの情報を示してもよい。
【0085】
なお、上記の例では、説明の便宜上、元の経路と代替経路とを実線と破線により区別しているが、実際の表示では、両者の線分の種類、太さ、色などを変えて区別すればよい。
【0086】
図14は、他の表示例を示す。
図14の例は、
図11の例において、ノードリスト75を表示する代わりに、案内パネル78を表示するものである。案内パネル78は、各地点における進行方向及び交通標識などをマークで示したものである。これにより、利用者は変更前後の経路の各地点における情報を視覚的に容易に認識することができる。なお、ディスプレイ44上の表示領域に余裕があれば、
図11や
図13(b)の例においてさらにこの案内パネル78を表示してもよい。また、
図11や
図13(b)の例において、利用者の指示に応じて、案内パネル78を吹き出しのように表示可能としてもよい。
【0087】
[変形例]
(1)上記の経路編集において、移動先候補ノードを表示する際、一方通行、進入禁止、通行止めなどの理由により通過できないノードは移動先候補ノードから除外することが好ましい。また、本発明をポータブルナビゲーション装置に適用したような場合には、利用者が移動手段を徒歩、自転車、自動車などから選択して設定し、移動手段の設定に応じて表示する移動先候補ノードを選別することとしてもよい。例えば、移動手段が自動車の場合には上記のように一方通行などの交通標識や交通状況を考慮して移動先候補ノードを表示し、移動手段が徒歩の場合は車両用の交通標識を考慮せずに移動先候補ノードを表示することとしてもよい。
【0088】
また、移動先候補ノードを提示する条件として、利用者が交通量や道幅などを別途指定できるようにしてもよい。これは、予め地図データにおけるノードとパスのデータを作成する際に、それらのデータに交通量や道幅のデータを付加しておき、利用者が指定した交通量や道幅の条件を満たす移動先候補ノードのみを提示するようにしてもよい。また、そのようにしてデータに付加した交通量や道幅のデータは、代替経路を探索する際の重みづけに使用することもできる。
【0089】
(2)上記の実施例は、縮尺変更を行う際には経路編集を一旦保留とするシステムを前提としている。即ち、ポインタ77が移動先候補ノード76以外の場所でリリースされたときに縮尺の変更を可能としている。しかし、経路編集操作と縮尺変更操作とを並行して行うことができるシステムにおいては、縮尺変更操作を行うために経路編集操作を保留とする必要はない。この場合、
図6におけるステップS12、S13は省略することができる。
【0090】
(3)上記の実施例において、計算された代替経路を一時的に保存するようにしてもよい。例えば、ディスプレイ44上に一時保存などのボタンを設け、ユーザの指示により代替経路を保存できるようにする。ユーザは、1つの代替経路を保存した後、さらに経路編集を継続して他の代替経路を取得し、保存してあった代替経路と比較することにより、最終的な代替経路を確定させることとしてもよい。
【0091】
(4)上記の実施例では、本発明を車載用ナビゲーション装置に適用しているが、本発明は、これ以外にスマートフォン、タブレットPC、PCなどの機器や、それらの機器で動作するアプリケーションに適用することもできる。なお、本発明を車載用ナビゲーション装置に適用した場合には、入力装置としてリモコンを使用し、ディスプレイ44上に表示されたカーソルやポインタをリモコンで操作することとしてもよい。また、本発明を通常のPCに適用した場合には、入力装置としてマウスを使用し、ディスプレイ上に表示されたカーソルやポインタをマウスで操作することとしてもよい。