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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024001611
(43)【公開日】2024-01-10
(54)【発明の名称】室外機及び空気調和機
(51)【国際特許分類】
   F24F 1/22 20110101AFI20231227BHJP
【FI】
F24F1/22
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022100375
(22)【出願日】2022-06-22
(71)【出願人】
【識別番号】000006611
【氏名又は名称】株式会社富士通ゼネラル
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(74)【代理人】
【識別番号】100066980
【弁理士】
【氏名又は名称】森 哲也
(72)【発明者】
【氏名】田中 悠太
(57)【要約】
【課題】電源線や各種ケーブルが引き出される電装品箱の内部に水等が入り込むことを確実に回避しつつ、仕向地によって使用される可能性のある様々な配線の径に柔軟に対応可能な配線引出部を備える室外機及び空気調和機を提供する。
【解決手段】電装品を収容する電装品箱10と、電装品箱10内の電装品と接続される配線を引き出す配線引出部20と、を備え、配線引出部20には、配線のうち、その径が定まっている第1の配線群を引き出す第1の開口21と、その径が定まっていない第2の配線群を引き出す第2の開口22とが形成されている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
電装品を収容する電装品箱と、
前記電装品箱内の前記電装品と接続される配線を引き出す配線引出部と、を備え、
前記配線引出部は、前記配線のうち、その径が定まっている第1の配線群を引き出す第1の開口と、その径が定まっていない第2の配線群を引き出す第2の開口とが形成されていることを特徴とする室外機。
【請求項2】
前記第2の開口の開口部には、前記配線引出部に設けられる第1の部材と、前記第1の部材と対向する位置に配置され前記第1の部材と合わせることで前記電装品箱から引き出される前記第2の配線群を挟み込む第2の部材とを備えるクランプ部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の室外機。
【請求項3】
前記クランプ部は、前記電装品箱から引き出される前記第2の配線群を挟み込むシール材を備えており、前記シール材は前記第1の部材と前記第2の部材を合わせた際に互いに対向する位置にそれぞれ設けられていることを特徴とする請求項2に記載の室外機。
【請求項4】
前記第1の部材は凹状部が形成され、前記第2の部材は、凸状部が形成されていることを特徴とする請求項3に記載の室外機。
【請求項5】
前記第1の開口は前記配線引出部に複数形成され、その開口部にはいずれも非金属製の部材が取り付けられていることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の室外機。
【請求項6】
前記電装品箱は、前記筐体を構成する支柱フレームに設けられ、前記支柱フレームを回転軸として回動して開閉可能とされている場合に、
前記第2の開口は、前記第1の開口よりも前記配線引出部において前記回転軸側に配置されていることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の室外機。
【請求項7】
請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の室外機と、
室内に設置され、前記室外機との間で冷凍回路を構成する室内機と、
を備える空気調和機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施の形態は、室外機及び空気調和機に関する。
【背景技術】
【0002】
空気調和機は、一般的に室内に設置される室内機と室外に設置される室外機とから構成され、これら室内機及び室外機を連結して構成される冷凍回路内を冷媒が循環することによって室内の温度や湿度を調節している。
【0003】
通常室外機の筐体内部には、圧縮機やモータなどを制御するための制御基板を備えた電装品箱が収納されている。電装品箱には、各種電子部品が実装された制御基板のほか、トランスやリレースイッチ等の電子部品(以下、これらをまとめて「電装品」と表す)が収容されている。
【0004】
そして当該電装品に対して電力を供給する電源線、或いは、各種信号を送受信するための各種ケーブルが当該電装品箱と筐体内部に設けられる圧縮機やセンサ等、或いは、筐体外部との間で接続されることになる。これらの電源線や各種ケーブルは、例えば、以下の特許文献1に開示される電装品箱のように、電装品箱の底部から引き出される。
【0005】
そして、この電源線や各種ケーブルが引き出される電装品箱の底部では、例えば、水や虫、小動物が入り込むことを防止するために、これら電源線や各種ケーブルをシール材と密着させ、隙間を密封することによって塞がれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010-121857号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
電装品箱は、電装品を収容する収容箱と当該収容箱を覆うカバーとで構成される。上述したシール材は、収容箱とカバーとで挟み込むことによって圧縮され、電源線や各種ケーブルと密着させている。そして電源線や各種ケーブルは、当該シール材の間にいくつかの束になって挟み込まれている。
【0008】
ケーブルの束の太さはまちまちなため、潰れたシール材による反発や、電源線や各種ケーブルの移動等によって、カバーが浮き上がり、場合によっては収容箱からカバーが脱落してしまうこともあり得る。また、カバーが収容箱の他の部分と固定されている場合にカバーが浮き上がってしまうと、カバーが歪むおそれもある。
【0009】
一方、このような現象が生じないように、例えば、電装品箱の底部に孔を設け、切れ込みがあるゴムキャップを嵌め込み、当該孔に電源線や各種ケーブルを通す方法も考えられる。
【0010】
しかしながら、例えば、空気調和機が設置、使用される国や地域等の仕向け地によって電源事情が異なることも多く、使用される電源線や各種ケーブルの径(太さ)がまちまちである。また、電源線や各種ケーブルの指定がなく、作業員が任意に選択することが認められている場合もある。
【0011】
そのため場合によっては電源線や各種ケーブルが孔を通らなかったり、反対に孔と電源線や各種ケーブルの間に大きな隙間ができたりしてしまう可能性がある。このような状態では、そもそもの目的であった電装品箱に水等が入り込むことを防止することが困難となる。かといって仕向地によって異なる事情に対応する孔を設けようとすることも現実的ではない。
【0012】
本発明は、電源線や各種ケーブルが引き出される電装品箱の内部に水等が入り込むことを確実に回避しつつ、仕向地によって使用される可能性のある様々な配線の径に柔軟に対応可能な配線引出部を備える室外機及び空気調和機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の一態様に係る室外機は、電装品を収容する電装品箱と、電装品箱内の電装品と接続される配線を引き出す配線引出部と、を備え、配線引出部には、配線のうち、その径が定まっている第1の配線群を引き出す第1の開口と、その径が定まっていない第2の配線群を引き出す第2の開口とが形成されている。
【0014】
さらに、本発明の一態様に係る空気調和機は、室外機と、室内に設置され、室外機との間で冷凍回路を構成する室内機と、を備え、室外機は、電装品を収容する電装品箱と、電装品箱内の電装品と接続される配線を引き出す配線引出部と、を備え、配線引出部には、配線のうち、その径が定まっている第1の配線群を引き出す第1の開口と、その径が定まっていない第2の配線群を引き出す第2の開口とが形成されている室外機と、室内に設置されている。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、電源線や各種ケーブルが引き出される電装品箱の内部に水等が入り込むことを確実に回避しつつ、仕向地によって使用される可能性のある様々な配線の径に柔軟に対応可能な配線引出部を備える室外機及び空気調和機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施の形態に係る空気調和機の室外機の全体を示す斜視図である。
図2】本発明の実施の形態に係る室外機において、サービスパネルを取り外して電装品箱等を露出させた状態を示す室外機の正面図である。
図3】本発明の実施の形態に係る室外機において、サービスパネルを取り外して露出させた電装品箱を下側から示す説明図である。
図4】本発明の実施の形態に係る室外機において、サービスパネルを取り外して露出させた電装品箱を下側から示す説明図であって、第2の開口を明示して示す説明図である。
図5】第2の開口に設けられるクランプ部の第1の部材と第2の部材とを分離して示す分解斜視図である。
図6】第2の開口に設けられるクランプ部の第1の部材と第2の部材とを分離して示し、図5からシール材の描画を省略した分解斜視図である。
図7】本発明の実施の形態に係る室外機を備える空気調和機の全体の冷凍回路の構成を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の実施の形態について、図面を参照しながら以下説明する。図1は、本発明の実施の形態に係る空気調和機の室外機1の全体を示す斜視図である。また、図2は、本発明の実施の形態に係る室外機1において、サービスパネル6を取り外して電装品箱10等を露出させた状態を示す室外機1の正面図である。
【0018】
図1に示すように、この空気調和機Aの室外機1は、大型の筐体2を有している。すなわち、室外機1を水平面上に設置したとき、図2に示す室外機1のように、鉛直方向(図面において上下方向を示すY軸)を縦とし、当該鉛直方向に直交する方向(図面において左右方向を示すX軸)を横と表した場合に、本発明の実施の形態における室外機1の筐体2は、縦横比において横幅よりも縦の長さの方が長くなるように形成されている。
【0019】
すなわち、以下において説明する室外機については、図1図2に示す形状を有する室外機1を例に挙げる。但し室外機1については、図1図2に示すような形状の他、筐体2の内部に取り付けられる各種機器の大きさや個数によってその大きさや形状(縦横比)を自由に設定することができる。
【0020】
なお以下においては、上下左右の各方向については、上述したように、縦方向をY軸とし、横方向をX軸として説明する。また、図面正面側、すなわち室外機1のうち、後述するサービスパネルの側を手前とし、反対側となる室外機1の内側を奥と表す。従って、奥行き方向はZ軸である。
【0021】
筐体2の側面には、当該筐体2の内部に空気を取り込むための空気吸込口3が設けられている。また、筐体2の内部には、空気吸込口3に沿って熱交換器ユニット4が配置されている。
【0022】
本発明の実施の形態における室外機1では、熱交換器ユニット4は、上から見てコ字型に形成された熱交換器を上下2段に組み上げて形成されており、筐体2の内周面に沿って配置されている。なお、本発明の実施の形態における室外機1において熱交換器ユニット4の構成は任意であってよく、その形状や構成は仕様に応じて任意に選択されて良い。
【0023】
筐体2の上部には、ファン5が配置されており、ファン5を囲むようにして空気吹き出し口Oが形成されている。すなわち、本発明の実施の形態における室外機1は、いわゆる上吹き室外機である。
【0024】
これによれば、本発明の実施の形態における室外機1では、空気吸込口3から熱交換器ユニット4を経て筐体2の内部に吸い込まれた空気は、ファン5を介して筐体2の上部に設けられる空気吹き出し口Oから排気される。
【0025】
筐体2の4つの側面のうち、3箇所には空気吸込口3が形成されており、残りの1つの側面(上述した正面)には、筐体2の内部に配置されている機器等のメンテナンス等を行う際に開閉されるサービスパネル6,6が設けられている。
【0026】
図1に示すように、本発明の実施の形態に係る室外機1の場合、サービスパネル6,6は、金属板で形成されており筐体2に対して上下に2分割されている。またその各々が筐体2に対して、例えば、ネジ止めされており、必要な場合以外には取り外しできないようになっている。
【0027】
図2に示すように、この上部側のサービスパネル6を取り外すと、筐体2の内部であって、当該サービスパネル6の奥に配置される電装品箱10が現れる。この電装品箱10は、その内部に電装品を収容している。
【0028】
なお、ここで「電装品」とは、上述したように、例えば、室外機1に電源を供給する電源基板やその他の制御基板、フィルタ基板、インバータ基板等、室外機1を運転、制御するのに必要な電子部品のことである。
【0029】
そして、図2に示すように下部側のサービスパネル6を取り外すと、筐体2の内部に据え置かれた圧縮機71やその配管類などを含む冷凍回路ユニット7が現れる。なお、本発明において、冷凍回路ユニット7の具体的な構成は任意であり、空気調和機A用の冷凍回路として用いるものであれば、それらの構成は仕様に応じて自由に構成されうる。
【0030】
電装品箱10は、図2に示すように、筐体2の支柱フレームFに一方の側面がヒンジによって回転可能に支持されており、他方の側面が自由端として開き戸のように自由に開閉するように構成されている。
【0031】
ここで、電装品箱10は、例えば、正面(図2の正面図において示されている面)が開口された、図2においては見えていない収容箱11と、収容箱11の正面の開口部を覆うように取り付けられるカバー12を備えている。
【0032】
すなわち、電装品箱10(収容箱11)の正面は、筐体2外部から電装品箱10の内部に収容される電装品へ接触(アクセス)することができるように筐体2の外部に向けて開口している。また、カバー12は、収容箱11の正面開口を覆うことができる大きさの板状に形成されている。
【0033】
そして電装品箱10に収容される電装品には電源線や各種ケーブル(以下、これら電源線等については適宜まとめて「配線」と表す)が接続されることから、電装品箱10の底面は、配線を引き出すことが可能なように、その一部が開口されている。そこで当該電装品箱の底面に設けられる配線引出部20について以下、図3及び図4を用いて説明する。
【0034】
図3は、本発明の実施の形態に係る室外機1において、サービスパネル6を取り外して露出させた電装品箱10を下側から見た状態を示す説明図である。また図4は同様に、本発明の実施の形態に係る室外機1において、サービスパネル6を取り外して露出させた電装品箱10を下側から見た状態を示す説明図であって、特に第2の開口22を明示して示す説明図である。
【0035】
なお、図3及び図4においては、配線引出部20の構造をはっきりと見せるべく、電装品箱10の内部から引き出される配線についてはその描画を省略している。
【0036】
また、本発明の実施の形態においては、上述したように電装品箱10の底面が開口した構造とされている。すなわち、収容箱11のうち、底部(X軸に平行に延びる2つの長辺のうち、Y軸の方向下側の部分)は開放されており、この部分に電装品箱10とは別体である配線引出部20が当該開口に蓋をするように設けられた構造となっている。
【0037】
但し、当該配線引出部20については、このように電装品箱10と別体の構造とはせずに、電装品箱10の底面、すなわち、収容箱11の底面が以下に説明する配線引出部20の機能を備えていても良い。
【0038】
図3に示すように、配線引出部20は、電装品箱10の底面を構成し、その長手方向に広がるように、電装品箱10の内部から引き出される配線を通す開口が設けられている。そして、当該開口としては、本発明の実施の形態においては、第1の開口21と第2の開口22の2種類に開口が設けられている。
【0039】
すなわち、電装品箱10の内部に収容されている電装品と接続される配線には、仕向地に関係なく、いずれの国や地域においてもその径が概ね決まっている配線と、仕向地において選択可能であるために使用される径がまちまちである配線、つまり径が定まっていない配線とが存在する。
【0040】
例えば信号線のようにデータの送受信に用いられる配線の場合は、例えば、同じ機種(室外機)を使用する限り、設置される国や地域によって室外機1が扱うデータ量に変更は少なく、いずれの仕向地においても使用される配線に大きな変更はないものと考えられる。
【0041】
一方、電源線の場合、もちろん室外機に必要とされる電力は決められているものの、仕向地において必ずしも電力が安定的に供給されるとは限らず、そのようなことも見越して、室外機が設置される国や地域によっては、電圧も異なるためどの径の電源線を用いるか異なる場合がある。
【0042】
そのため、例えば電源線については、室外機設置の際に使用される電源線を想定して様々な径に対応可能な開口を予め配線引出部20に設けておくことは妥当ではない。また、複数の配線を束ねて引き出すことも考えられ、予め定められた径の開口を通すことは困難なこともある。
【0043】
以上の事情に鑑み、本発明の実施の形態における室外機1においては、配線引出部20に2種類の開口を設けている。このうち、第1の開口21は、配線のうち、その径が定まっている第1の配線群を引き出すために設けられるものである。一方、第2の開口22は、径が定まっていない第2の配線群を引き出すために設けられている。
【0044】
なお、ここで「第1の配線群」、或いは、「第2の配線群」と記載しているのは、第1の開口21、或いは、第2の開口22から引き出される配線が1本である場合、或いは、複数本が束ねられている場合、いずれも含むためである。
【0045】
図3に示すように、本発明の実施の形態における第1の開口21は、配線引出部20のX軸の方向にわたって6つ設けられている。第1の開口21は、略円形状に形成されており、中央部に十字形の切り込みが形成された配線孔キャップが嵌め込まれている。これは、配線を第1の開口21に通しやすくするためであるとともに、水や虫等の侵入を防止するためである。
【0046】
そして、第1の開口21の開口の大きさやX軸、或いは、Z軸における配置位置は、電装品箱10に収容されているどの電装品と接続される配線を引き出すのかによって適宜決定されるものである。また、形成される第1の開口21の数や形状についても同様である。
【0047】
また、配線を通した後に当該配線が移動した際に、配線が第1の開口21に接触したとしても配線の被覆を削る等、配線に損傷を与えることを低減させるために、第1の開口21には、例えば非金属製の材料で形成されている配線孔キャップが取り付けられている。具体的な材料としては、ゴムや樹脂等を挙げることができる。
【0048】
配線引出部20には、上述した第1の開口21の他、第2の開口22も設けられている。この第2の開口22は、上述したように、電源線等の仕向地ごとに採用され、事前にどのような径の配線が採用されるか不明な、配線の径が定まっていない第2の配線群を通すためのものである。
【0049】
そのため図4に示すように、第2の開口22は、第1の開口21よりもその開口面積が大きく、X軸方向、及び、Z軸方向に複数の電源線を通すのに十分な幅をもつ形状に形成されている。なお、当該第2の開口22の形状については、角が丸められた長方形や矩形状といった形状を採用することができる。
【0050】
そして図3、或いは、図4に示すように、第2の開口22のZ軸方向手前側には、クランプ部23が設けられている。このクランプ部23は、配線引出部20の第2の開口22から引き出される第2の配線群を挟んで止めるためのものである。また、挟んだ第2の配線群の間から水等が電装品箱10の内部に入り込むことを防止する役割も果たす。
【0051】
本発明の実施の形態における当該クランプ部23は、第1の部材231と、第2の部材232と、第1の部材231と第2の部材232とを締結するための締結部材233とを有する。
【0052】
ここで図3では、クランプ部23の全体が示されている一方、図4では、クランプ部23のうち、第1の部材231のみが示されている。これは、第1の部材231が配線引出部20に予め設けられていることを示している。
【0053】
すなわち、図4に示す状態で配線引出部20の第2の開口22から第2の配線群を引き出し、その後、当該第1の部材231に第2の部材232を嵌め合わせて締結部材233を用いて両者を固定することによって引き出された第2の配線群を挟み込む。従って、第1の部材231が設けられる位置は、第2の開口22を塞がない位置である。
【0054】
図5は、第2の開口に設けられるクランプ部23の第1の部材231と第2の部材232とを分離して示す分解斜視図である。当該図5に示すように、第1の部材231、及び、第2の部材232は、両者が嵌め合わされた際に、互いに対向する面となる位置に第1の部材231にはシール材234が、第2の部材232にはシール材235が設けられている。
【0055】
すなわち、第1の部材231と第2の部材232とが嵌め合わせられて締結部材233によって固定される際、第1の部材231のシール材234と第2の部材232のシール材235が対向し、接触する。そして、これらシール材234とシール材235との間を第2の配線群が通ることになる。
【0056】
クランプ部23はこのような構造とされているので、第2の配線群はクランプ部23によって挟み込まれた際にその隙間がシール材234とシール材235とによって埋められることになる。従って、ここから水等がクランプ部23、第2の開口22を通って電装品箱10の内部に入り込むことを防止することができる。
【0057】
図6は、第2の開口22に設けられるクランプ部23の第1の部材231と第2の部材232とを分離して示し、図5からシール材234,235の描画を省略した分解斜視図である。また、第1の部材231のY軸方向奥側に細かな破線で第2の開口22を示している。
【0058】
第1の部材231は、底面231aと当該底面231aのX軸方向両端からZ軸方向に立ち上がる側面231b,231bとを備えている。このように第1の部材231は、底面231a及びその両端から側面231b,231bを備えていることから、第2の部材232との関係で凹状部となるように形成されている。
【0059】
当該側面231b,231bには、さらに、Z軸方向の中程にX軸方向において互いに向かい合うように折り曲げられる保持部231c,231cが形成されている。また、当該保持部231c,231cは図6においてY軸方向の手前側に形成されているが、Y軸方向の奥側には同じ向きに折り曲げられる第1の固定部231d,231dが形成されている。
【0060】
そして側面231b,231bのZ軸方向の上端には、保持部231c,231cとはX軸方向で反対側を向くように折り曲げられた締結部231e,231eが形成されている。さらに、底面231aのY軸方向の奥側には、Z軸方向に立ち上がるように折り曲げられた第2の固定部231fが形成されている。
【0061】
保持部231c,231cおよび第1の固定部231d,231dは、第2の部材232が第1の部材231に締結された際に、後述する第2の部材232の補強部232d,232dと接することで第2の部材232を保持し、第2の部材232がY軸方向手前側にずれてしまうことを防ぐ。
【0062】
側面231b,231bは、第2の部材232が第1の部材231に締結された際に、側面232b,232bと接することで、第2の部材232を保持し、第2の部材232がX軸方向にずれてしまうことを防ぐ。
【0063】
締結部231e,231eにはねじ穴が形成されており、後述する第2の部材232と第1の部材231とが締結部材233によって締結される際に、締結部材233が当該ねじ穴を貫通することで両者を固定する。
【0064】
また、第1の部材231と第2の部材232とが締結部材233によって締結される場合には、締結部231e,231eのZ軸方向上面は第2の部材232の締結部のZ軸方向下面と互いに接触する。
【0065】
第2の固定部231fは、クランプ部23が配線引出部20に設けられる際に配線引出部20に接することになり、第2の固定部は第2の開口をY軸方向に超えることがないように配置される。すなわち、第2の固定部231fは、第2の開口22を塞がないように配置される。
【0066】
そして第1の部材231に設けられるシール材234は、上述した底面231aに固定される。このようにシール材234は底面231aに固定されているが、さらに、側面231b,231b、第2の固定部231fによってもX軸方向及びY軸方向への移動が制限される。
【0067】
ここでシール材234として用いられるのは、例えば、ゴム素材等、気体や液体を通過させない性質を備えている素材が好適に採用される。また、このようにシール材234は柔らかな素材が用いられることから、シール材234と接する第2の配線群が擦れた場合であっても、その被覆等が傷つけられる心配はない。
【0068】
第2の部材232は、底面232aと、当該底面232aのX軸方向両端からZ軸方向に立ち上がる側面232b,232bと、側面232b,232bのZ軸方向上端においてX軸方向に折り曲げられた締結部232c,232cと、底面232aのY軸方向手前側、奥側においてZ軸方向に立ち上がる補強部232d,232dを備えている。
【0069】
底面232aは、第1の部材231に第2の部材232を締結した場合に、その底面231aと対向する位置に配置される。そして側面232b,232bが底面232aの両端から立ち上がっていることから、第1の部材231との関係で凸状部となるように形成されている。
【0070】
そして、第1の部材231が備えるシール材234と対向するように当該底面232aには底面232aに沿って面状にシール材235が設けられている(図6において図示せず)。
【0071】
シール材235がこのような位置に設けられていることから、第1の部材231に第2の部材232を締結した際に、第1の部材231が備えるシール材234と互いに対向することになる。そのため、第1の部材231に第2の部材232を締結した際に第2の開口22から引き出される第2の配線群をシール材234,235で挟むことができ、第2の開口22への水等の浸入を防止することができる。
【0072】
また、締結部232c,232cにはねじ穴が形成されており、締結部材233が当該ねじ穴を貫通して第1の部材231と締結部材233を締結することによって、クランプ部23が配線引出部20から引き出される第2の配線群の移動を制限することができる。
【0073】
補強部232d,232dは、第2の部材232の強度を向上させる。さらに上述したように、第1の部材231、及び、第2の部材232のいずれにおいても、底面231a,232aから側面がZ軸方向に立ち上がるように、いわば凹状となるように形成されている。
【0074】
ここで、第1の部材231に第2の部材232を嵌め込んで締結した場合、第1の部材231に設けられるシール材234と第2の部材232に設けられるシール材235とが潰された状態となる。そのため、シール材234,235は圧縮応力によってZ軸の方向に向けてその力を解放しようとする。また、シール材234,235の間に第2の配線群が挟まっていれば解放しようとする力はさらに強まる。
【0075】
そこで第1の部材231、及び、第2の部材232を上述したような形状に形成することによって、クランプ部23全体の強度の向上を図っている。このようにクランプ部23全体の強度を例えば、シール材234,235の反発力に耐えうる強度とすることで、クランプ部23が第2の配線群を挟持した状態を維持することができる。また、シール材234,235を第2の配線群に密着させることができるため、水等の侵入を防止することもできる。
【0076】
そして第1の開口21との関係において、第2の開口22は、配線引出部20において、図3図4に示すように、X軸方向において筐体2の支柱フレームF側に寄った位置に配置される。
【0077】
上述したように、電装品箱10は、筐体2の支柱フレームFに一方の側面がヒンジによって回動可能に支持されている、そのため、支柱フレームFの延伸方向と平行な線を回転軸として、電装品箱10の他方の側面が自由端として開き戸のように開閉する場合、配線引出部20から引き出されている配線も電装品箱10の開閉に合わせて移動することになる。
【0078】
一方で、第1の配線群とは異なり第2の配線群の径は定まっておらず、第2の開口22も第1の開口21よりもその開口面積が広い。このような場合に、第2の開口22が、電装品箱10が開閉される際の回転軸となる支柱フレームFよりも遠い位置に配置されていると、電装品箱10の開閉に伴う第2の配線群の移動量が多くなってしまう。
【0079】
そこで、第2の開口22をX軸方向において筐体2の支柱フレームF側に寄った位置、すなわち、第1の開口21よりも電装品箱10の回転軸側に配置されることによって、第2の配線群の移動量を少なくし、移動に伴って生じ得る断線等の配線の損傷を低減させることができる。
【0080】
次に、これまで説明してきた室外機1を用いた空気調和機Aについて説明する。空気調和機Aは、室内に設置される室内機30と室外に設置される室外機1とから構成され、これら室内機30及び室外機1を連結して構成される冷凍回路C内を冷媒が循環することによって室内の温度や湿度を調節している。
【0081】
なお、本発明の実施の形態における室外機1は、複数の室内機30と連結が可能な大型の室外機である。但し、室外機1と室内機30とが1対1の関係にある場合でも仕組みは同じである。以下図7を用いて空気調和機Aの説明を行うが、図7では1台の室外機1に1台の室内機30が連結されている場合を例に挙げている。
【0082】
図7は、本発明の実施の形態に係る室外機1を備える空気調和機Aの全体の冷凍回路Cの構成を示す回路図である。上述したように空気調和機Aは、室外機1と、この室外機1と接続される室内機30とから構成される。
【0083】
図7に点線で示される室内機30内には、冷媒と室内の空気との間で熱交換を行う室内熱交換器31が設けられている。なお、当該室内機30内には、室内熱交換器31しか示されていないが、通常室内機30が備える、例えば、熱交換された空気を室内へ送風する室内ファンや室内機30の制御を行う制御装置等が備えられている。
【0084】
図7において破線で示されている室外機1は、図1図2を用いて説明したように、冷凍回路ユニット7を備えている。当該冷凍回路ユニット7は、圧縮機71と、熱交換器ユニット4と、膨張弁72とが順次配管で接続されている。
【0085】
なお、冷凍回路ユニット7を構成する機器としては、上述した機器の他、例えば、四方弁等の各種弁機構やアキュムレータ等の機器も接続されているが、図7ではこれらの図示は省略している。また、室外機1を構成する各機器を制御する制御装置については、これまで説明してきた電装品箱10の内部に設けられているが、同様に図示を省略している。
【0086】
そして、室外機1と室内機30とは冷媒が流通する配管によって接続され、冷凍回路Cが構成されている。すなわち、圧縮機71と室外機1の膨張弁72との間に室内機30の室内熱交換器31が入るように配管が接続され、圧縮機71、室内熱交換器31、膨張弁72の順、或いは、膨張弁72、室内熱交換器31、圧縮機71の順に冷媒が流れる。
【0087】
ここで、冷凍回路Cを用いた空気調和機Aの運転について冷房運転を例にとって説明する。例えば、空気調和機Aにおいて冷房運転が行われる場合、図7の矢印に示すように、冷媒は、室外機1に設けられている圧縮機71、熱交換器ユニット4、膨張弁72、室内機30に設けられている室内熱交換器31、再度室外機1の圧縮機71の順に冷凍回路C内を循環する。
【0088】
すなわち、室外機1の圧縮機71において圧縮されて高温高圧となった冷媒が熱交換器ユニット4に供給される。熱交換器ユニット4では、図示しない室外ファンが回転することで供給される外気と高温高圧の冷媒が熱交換され、冷媒は外気に放熱する。そして、冷媒の一部、或いはその全部が凝縮して低温高圧の冷媒となる。
【0089】
このように低温低圧となった冷媒は熱交換器ユニット4を出た後に膨張弁72を通過することで減圧される。その後、低温低圧となった冷媒は、室内熱交換器31に供給され、室内熱交換器31で室内空気との間で熱交換が行われる。
【0090】
室内熱交換器31による熱交換によって、冷媒は蒸発するとともに、室内熱交換器31に吸い込まれた室内空気は冷却され、室内ファンによって室内に供給されて室内が冷房される。そして熱交換により吸熱した低圧の冷媒は圧縮機71へと戻り、これまでの冷凍サイクルを繰り返す。
【0091】
一方暖房運転については、図7に示す矢印とは逆向きの順序で冷凍回路Cの内部を冷媒が循環し、室内熱交換器31で冷媒が凝縮することで室内の暖房が行われることになる。
【0092】
以上本発明の実施の形態に係る室外機及び当該室外機を備える空気調和機は、上述したような配線引出部を備える。そのため、電源線や各種ケーブルが引き出される電装品箱の内部に水等が入り込むことを確実に回避しつつ、仕向地によって使用される可能性のある様々な配線の径に柔軟に対応することが可能となる。
【0093】
特に電装品箱の内部から引き出される配線の中でもその径が定まっていない配線を通すための、その他の開口よりも開口面積の大きな開口を設けるとともに、当該開口の引出口の部分にはクランプ部を配置している。そしてこのクランプ部は当該開口から引き出された配線をシール材で挟み込むように挟持する。そのため、どのような径の配線が引き出されたとしてもシール材が配線に密着しその隙間を埋めることになるため、当該開口から電装品箱の内部に水等が入り込むことを防止することができる。
【0094】
なお、この発明は、上記実施の形態そのままに限定されるものではなく、本発明の一例を示したものである。実施の段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化でき、また、上記実施の形態には種々の変更又は改良を加えることが可能である。また、上記実施の形態に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることにより種々の発明を形成できる。
【0095】
例えば、実施の形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施の形態に亘る構成要素を適宜組み合わせてもよく、その様な変更又は改良を加えた形態も本発明に含まれ得る。この実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0096】
例えばこれまで説明してきたクランプ部については、第1の部材と第2の部材とを、ネジ等の締結部材を用いて固定していた。但しこのような構造に限定されず、例えば、第1の部材及び第2の部材の双方が互いに嵌合することができる嵌合部を備えており、第2の部材を第1の部材に嵌め合わせるだけで両者を締結することができる構造としても良い。
【0097】
また、本発明の実施の形態におけるクランプ部については、第1の部材と第2の部材との複数の部材で構成されていることを前提としていた。但し、複数の部材で構成されず、クランプ部として一体に構成されていても良い。この場合には、一体に構成されている中央の開口部にシール材が設けられており、当該シール材に形成されている開口に第2の配線群を通すことでシールされる。
【0098】
さらに、第1の開口21については、例えば、図3に示すように2種類の開口面積を持つことを前提にこれまで説明してきた。これは、径が定まっている第1の配線群の中にも様々な径を有する配線があることを前提としているからである。但し、使用される径の定まっている第1の配線群がいずれも同じ開口面積を持つ第1の開口を通すことができるのであれば、複数の開口面積を持つ第1の開口を形成せず、第1の開口としていずれの開口面積も同じ面積に形成することもできる。
【0099】
なお、本発明の実施の形態において説明した技術については、以下のような構成を採用することもできる。
(1)筐体と、
電装品を収容する電装品箱と、
前記電装品箱内の前記電装品と接続される配線を引き出す配線引出部と、を備え、
前記配線引出部は、前記配線のうち、その径が定まっている第1の配線群を引き出す第1の開口と、その径が定まっていない第2の配線群を引き出す第2の開口とが形成されていることを特徴とする室外機。
(2)前記第2の開口の開口部には、前記配線引出部に設けられる第1の部材と、前記第1の部材と対向する位置に配置され前記第1の部材と合わせることで前記電装品箱から引き出される前記第2の配線群を挟み込む第2の部材とを備えるクランプ部が形成されていることを特徴とする上記(1)に記載の室外機。
(3)前記クランプ部は、前記電装品箱から引き出される前記第2の配線群を挟み込むシール材を備えており、前記シール材は前記第1の部材と前記第2の部材を合わせた際に互いに対向する位置にそれぞれ設けられていることを特徴とする上記(2)に記載の室外機。
(4)前記第1の部材は凹状部が形成され、前記第2の部材は、凸状部が形成されていることを特徴とする上記(1)ないし上記(3)に記載の室外機。
(5)前記第1の開口は前記配線引出部に複数形成され、その開口部にはいずれも非金属製の部材が取り付けられていることを特徴とする上記(1)ないし上記(4)のいずれかに記載の室外機。
(6)前記電装品箱は、前記筐体を構成する支柱フレームに設けられ、前記支柱フレームを回転軸として回動して開閉可能とされている場合に、
前記第2の開口は、前記第1の開口よりも前記配線引出部において前記回転軸側に配置されていることを特徴とする上記(1)ないし上記(5)のいずれかに記載の室外機。
(7)上記(1)ないし(6)のいずれかに記載の室外機と、
室内に設置され、前記室外機との間で冷凍回路を構成する室内機と、
を備える空気調和機。
【符号の説明】
【0100】
1・・・室外機、2・・・筐体、3・・・空気吸込口、4・・・熱交換器ユニット、5・・・ファン、6・・・サービスパネル、7・・・冷凍回路ユニット、71・・・圧縮機、72・・・膨張弁、10・・・電装品箱、11・・・収容箱、12・・・カバー、20・・・配線引出部、21・・・第1の開口、22・・・第2の開口、23・・・クランプ部、231・・・第1の部材、231a・・・底面、231b・・・側面、231c・・・保持部、231d・・・第1の固定部、231e・・・締結部、231f・・・第2の固定部、232・・・第2の部材、232a・・・底面、232b・・・側面、232c・・・締結部、232d・・・補強部、233・・・締結部材、234・・・シール材、235・・・シール材、30・・・室内機、31・・・室内熱交換器、A・・・空気調和機、O・・・空気吹き出し口
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7