(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024161116
(43)【公開日】2024-11-15
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
G01C 21/36 20060101AFI20241108BHJP
【FI】
G01C21/36
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024145031
(22)【出願日】2024-08-27
(62)【分割の表示】P 2023090867の分割
【原出願日】2016-09-27
(71)【出願人】
【識別番号】000005016
【氏名又は名称】パイオニア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000958
【氏名又は名称】弁理士法人インテクト国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100120189
【弁理士】
【氏名又は名称】奥 和幸
(72)【発明者】
【氏名】大石 智也
(57)【要約】
【課題】随時更新される情報を移動体の運転手等に提示する場合に、状況に応じて情報の更新を制御することにより運転手が運転に集中することができる情報処理装置等を提供する。
【解決手段】表示ユニット214に出力され且つ更新可能な出力情報を取得すると共に、車両の自動運転のレベルを示す状態情報を取得する。制御部211は、取得された状態情報により示される自動運転のレベルに基づいて、出力情報の更新の可否を制御する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体に備えられた出力手段に出力され且つ更新可能な出力情報を取得する出力情報取得手段と、
前記移動体における移動に関する制御状態を示す状態情報を取得する状態情報取得手段と、
前記取得された状態情報に基づいて、前記出力情報の更新の可否を制御する制御手段と、
を備えることを特徴とする情報処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、出力手段が出力している情報の更新制御を行う情報処理装置等の技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
近年のいわゆるモバイルコンピューティングの普及に伴い、その利用者は、端末装置が出力する多種多様な情報を入手することができる。そうした情報の中には、天気情報、為替情報、株価情報、交通機関の運行情報、SNS(Social Networking Service)への投稿情報、ナビゲーション装置の地図上に表示されるPOI(Point of Interest)情報など、随時更新される情報が含まれる。
【0003】
また、下記特許文献1には、利用者の好みやその時の状況を考慮して、利用者の嗜好をより反映させる情報を配信する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、利用者に情報を提示する上述した端末装置や特許文献1に記載の技術では、随時更新される情報を、その更新に合わせて逐次更新しつつ利用者に提示するのが一般的であるが、例えば、自動車等の移動体のナビゲーション装置が表示装置に表示させる情報について、運転状況や搭乗者の意図等に無関係にリアルタイムでそれを更新することとすると、例えば運転者は更新された情報に気を取られて運転に集中できない場合があるという問題がある。
【0006】
そこで本願は、こうした事情に鑑みて為されたものであり、その課題の一例は、随時更新される情報を移動体の運転手等に提示する場合に、状況に応じて情報の更新を制御することにより、運転手を運転に集中させることが可能な情報処理装置等を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、移動体に備えられた出力手段に出力され且つ更新可能な出力情報を取得する出力情報取得手段と、前記移動体における移動に関する制御状態を示す状態情報を取得する状態情報取得手段と、前記取得された状態情報に基づいて、前記出力情報の更新の可否を制御する制御手段と、を備える。
【0008】
上記の課題を解決するために、請求項7に記載の発明は、情報処理装置において実行される情報処理方法において、移動体に備えられた出力手段に出力され且つ更新可能な出力情報を取得する出力情報取得工程と、前記移動体における移動に関する制御状態を示す状態情報を取得する状態情報取得工程と、前記取得された状態情報に基づいて、前記出力情報の更新の可否を制御する制御工程と、を含む。
【0009】
上記の課題を解決するために、請求項8に記載の発明は、前記出力手段に接続されたコンピュータを、請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の情報処理装置として機能させる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施形態に係る情報処理装置の概要構成を示すブロック図である。
【
図2】実施例に係るナビゲーション装置のディスプレイにおける画面例を示す図である。
【
図3】実施例に係るナビゲーション装置の概要構成を示すブロック図である。
【
図4】実施例に係るナビゲーション装置におけるディスプレイ等の配置を運転席から見た場合を例示する外観図である。
【
図5】実施例に係るナビゲーション装置の動作例の全体を示すフローチャートである。
【
図6】実施例に係るナビゲーション装置の動作例の細部を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本願を実施するための形態について、
図1を用いて説明する。
【0012】
図1に示すように、実施形態に係る情報処理装置1は、出力情報取得手段111Aと、状態情報取得手段111Bと、制御手段111Cと、周囲環境情報取得手段111Dと、検出手段111Eと、を備えており、外部の出力手段2に接続されている。
【0013】
この構成において出力情報取得手段111Aは、移動体に備えられた出力手段2に出力され且つ更新可能な出力情報を取得する。更新可能に出力手段2に出力される出力情報としては、天気情報、為替情報、株価情報、交通機関の運行情報、SNSへの投稿情報などが含まれる。
【0014】
状態情報取得手段111Bは、移動体における移動に関する制御状態を示す状態情報を取得する。移動体とは、例えば、自動車、自転車、鉄道、船舶、航空機等のことである。制御状態とは、例えば、当該移動体の利用者(例えば当該移動体が車両である場合の運転者)の判断又は運転技術等が当該移動体の移動に関してどの程度関与しているか等であり、その移動体におけるいわゆる自動運転の状態のことである。
【0015】
そして制御手段111Cは、状態情報取得手段111Bにより取得された状態情報に基づいて出力情報の更新の可否を制御する。ここで、出力情報の「更新」とは、
i)既に出力手段2に出力されている出力情報を新たな出力情報に更新する処理(例えば、既に出力されている為替情報Aを他の為替情報Bに更新する処理)、及び、
ii)未だ出力されていない出力情報を出力手段2に出力するか否かを制御する処理(即ち、出力手段2が、当該出力手段2に出力情報が何も出力されていない状態から、新たな出力情報が出力される状態に切り換わる等)
の両方が含まれる(以下、同様)。
【0016】
従って、実施形態に係る情報処理装置1によれば、移動体における移動に関する制御状態に基づいて出力情報の更新の可否を制御するので、きめ細かく且つ適切に出力情報の更新の可否を制御することができ、運転手を運転に集中させることができる。
【0017】
また実施形態に係る情報処理装置1において、移動体の制御状態は、複数のレベルが予め設定された当該移動体の運転の自動化の状態であり、状態情報取得手段111Bにより取得される状態情報は、現在の移動体の運転の自動化がいずれのレベルの自動化であるかを示す状態情報であるように構成される。
【0018】
従って、移動体の移動に関する制御状態が、複数のレベルが既定されたその運転の自動化の状態であり、状態情報が現在の移動体の運転の自動化がいずれのレベルの自動化であるかを示すので、移動体の運転の自動化のレベルに応じて、きめ細かく且つ適切に出力情報の更新の可否を制御することができ、運転手を運転に集中させることができる。
【0019】
更に実施形態に係る情報処理装置1において、移動体の制御状態は、その運転における加速・操舵・制動の全てが自動化され且つその運転者が前記運転に全く関与しない完全自動化運転状態、又は当該完全自動化運転状態以外の移動体の運転状態、のいずれかであり、状態情報取得手段111Bにより取得される状態情報は、当該いずれかの運転状態を示す状態情報であり、制御手段111Cは、上記運転状態が完全自動化運転状態以外の移動体の運転状態であることが状態情報により示されている場合に出力情報の更新を禁止するように制御する。
【0020】
従って、移動体の移動に関する制御状態が完全自動化運転状態又は当該完全自動化運転状態以外の移動体の運転状態のいずれかであり、状態情報が当該いずれかの運転状態を示す状態情報であり、移動体の運転状態が完全自動化運転状態以外の移動体の運転状態であることが示されている場合に出力情報の更新を禁止するように制御するので、きめ細かく且つ適切に出力情報の更新の可否を制御することができ、運転手を運転に集中させることができる。
【0021】
更にまた実施形態に係る情報処理装置1において、周囲環境情報取得手段111Dは、移動体の周囲環境に関する周囲環境情報を取得する。
【0022】
そして制御手段111Cは、状態情報取得手段111Bにより取得された状態情報により示される移動体の制御状態と、周囲環境情報取得手段111Dにより取得された周囲環境情報に関する周囲環境と、に基づいて出力情報の更新の可否を制御する。
【0023】
従って、移動体の制御状態と、周囲環境と、に基づいて出力情報の更新の可否を制御するので、よりきめ細かく且つ適切に出力情報の更新の可否を制御することができ、運転手を運転に集中させることができる。
【0024】
また実施形態に係る情報処理装置1において、移動体の制御状態は、移動体の運転における加速・操舵・制動の全てが自動化され且つその運転者がその運転に全く関与しない完全自動化運転状態、又は当該完全自動化運転状態以外の移動体の運転状態、のいずれかであり、状態情報取得手段111Bにより取得される状態情報は、上記いずれかの運転状態を示す状態情報とされている。
【0025】
そして制御手段111Cは、移動体の運転状態が完全自動化運転状態であることが状態情報により示されている場合に出力情報の更新を行うように制御し、その運転状態が完全自動化運転状態以外の運転状態であることが状態情報により示されており、且つ周囲環境情報取得手段111Dにより取得された周囲環境情報に関する周囲環境が出力情報の更新に相応しくないことが周囲環境情報により示されている場合に出力情報の更新を禁止するように制御する。
【0026】
従って、移動体の移動に関する制御状態が完全自動化運転状態又は当該完全自動化運転状態以外の移動体の運転状態のいずれかであり、状態情報が当該いずれかの運転状態を示す状態情報であり、移動体の運転状態が完全自動化運転状態であることが示されている場合に出力情報の更新を行うように制御し、運転状態が完全自動化運転状態以外の運転状態であることが示されており且つ周囲環境が出力情報の更新に相応しくないことが示されている場合に出力情報の更新を禁止するので、きめ細かく且つ適切に出力情報の更新の可否を制御することができ、運転手を運転に集中させることができる。
【0027】
更にまた実施形態に係る情報処理装置1において、検出手段111Eは、移動体の運転者以外の同乗者の動作を検出する。
【0028】
そして制御手段111Cは、出力情報が検出手段111Eにより検出された動作の対象である場合に、周囲環境情報取得手段111Dにより取得された周囲環境情報に関する周囲環境に拘わらず出力情報の更新を可とするように制御する。
【0029】
従って、出力情報が運転者以外の同乗者の動作の対象である場合に、周囲環境に拘わらず出力情報の更新を可とするように制御するので、運転者以外の同乗者の動作の対象である場合は適切に出力情報を更新することができる。
【実施例0030】
次に、上述した実施形態に対応する具体的な実施例について、
図2乃至
図6を用いて説明する。なお以下に説明する実施例は、車両(「移動体」の一例)に搭載された車載装置に上述した実施形態を適用した場合の実施例である。ここで、以下に説明する実施例に係る車載装置としては、例えば、当該車載装置が搭載されている車両の移動を案内するナビゲーション装置や、当該車内において動画やSNS投稿情報等のコンテンツを表示する表示装置等が挙げられる。
【0031】
(I)実施例に係る車載装置の概要
まず、実施例に係る車載装置NVの特徴的な情報更新機能の概略について説明する。情報更新機能は、時間の経過と共に更新される出力情報をディスプレイに表示する際の更新を制御する機能である。
【0032】
実施例に係る車載装置NVは、時間の経過と共に更新される出力情報である時刻情報、為替情報及びSNS投稿情報を取得する。各情報を取得するタイミングは定期的であってもよいし、その情報が更新された都度であってもよい。SNS投稿情報としては、例えば、利用者の設定したキーワードを含む投稿記事を示す情報である。即ち車載装置NVは、「北海道」というキーワードが設定されると、北海道に関する投稿記事を示す情報を取得する。
【0033】
次いで車載装置NVは、取得した出力情報を
図2に示すようにそれぞれ個別の領域に表示する。具体的には、画面400の時刻表示領域401に時刻情報を表示させ、為替表示領域402に為替情報を表示させ、また、投稿情報表示領域403にSNS投稿情報を表示させる。このとき車載装置NVは、車載装置NVが搭載された車両の周囲環境がその移動時の情報更新に対して適切でない場合には、新たにSNS投稿情報を取得したとしても、新たなSNS投稿情報により投稿情報表示領域403に表示されているSNS投稿情報を更新しない。ここで、上記周囲環境が車両の移動時の情報更新に対して適切でない場合とは、例えば、周囲が豪雨である場合、現在走行している道路が渋滞している場合、又は現在走行している道路が極細道である場合等、当該車両の運転者に対して、例えば心理的、体力的又は精神的な負荷をかけるような周囲環境である場合等をいう。また、車載装置NVは、SNS投稿情報が利用者の動作の対象である場合、すなわち、利用者の視線がSNS投稿情報に向けられている場合、又は、SNS投稿情報が表示されている投稿情報表示領域403に対する操作(例えば、スクロール操作等)を利用者が行っている場合にも、新たにSNS投稿情報を取得したとしても、新たなSNS投稿情報により投稿情報表示領域403に表示されているSNS投稿情報を更新しない。一方、車載装置NVは、時刻情報については、車両の周囲環境が車両の移動時の情報更新に対して適切でない状況であることを示しているか否かに拘わらず、又、時刻情報が利用者の動作の対象であるか否かに拘わらず、新たに時刻情報を取得した場合、新たな時刻情報により時刻表示領域401等に表示されている時刻情報を更新する(為替情報及び為替表示領域402についても同様)。即ち車載装置NVは、時刻情報については最新の情報を表示する。
【0034】
更に車載装置NVは、当該車載装置NVが搭載されている車両におけるその運転の自動化のレベルに応じて、出力情報の更新の可否を制御する。このとき、当該自動化のレベルについては、基本的には任意に設定し得るものであるが、一例としては、以下の表1に例示するレベル1からレベル4が挙げられる。
【0035】
【0036】
この表1に示す自動化のレベルは、平成28年5月20日に高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部から発表された「官民ITS構想・ロードマップ2016年~2020年までの高速道路での自動走行及び限定地域での無人自動走行移動サービスの実現に向けて~」の第5頁において定義されている自動化のレベルである。そして表1に記載されている定義付けでは、表1に示されるレベル1の自動化を実現するシステムが「安全運転支援システム」であり、表1に示されるレベル2及びレベル3の自動化を実現するシステムが「準自動走行システム」であり、表1に示されるレベル4の自動化を実現するシステムが「安全自動走行システム」であるとされている。なお、表1における「情報提供型」の分類には、当該情報提供型で運転者への注意喚起を行う「安全運転支援装置(車載機器)」が含まれる。また、表1におけるいずれの自動化のレベルにおいても、車両の運転者は、いつでも自動走行システムの制御に介入することができることとされている。即ち、例えばレベル4の自動化においては、必要に応じて、システム解除停止ボタン等により運転者が自動走行システムを停止することができる。但し、レベル4の自動化において運転者が自動走行システムに介入した場合、その時点でレベル4の自動化ではなくなることになる。
【0037】
(II)
実施例に係る車載装置の構成
次に、
図3を用いて実施例に係る車載装置NVの構成について説明する。
図3に示すように実施例に係る車載装置NVは、制御部211と、HDD等からなる記憶装置212と、入力装置213と、表示ユニット214と、バスライン215と、入出力インターフェース部220と、車速センサ221と、角速度センサ222と、加速度センサ223と、舵角センサ224と、GPS(Global Positioning System)受信部225と、データ送受信部226と、視線検出カメラ227と、車外カメラ228と、車外センサ229と、を備えて構成されている。なお上記構成のうち、入力装置213、画面400を含む表示ユニット214、視線検出カメラ227及び車外センサ229の配置例としては、例えば
図4に例示するように、車内の運転席から見て車外センサ229は車外に備えられており、ハンドルHの位置に入力装置213が備えられ、更にハンドルHの脇のフロントパネルFPの位置に表示ユニット214及び視線検出カメラ227が備えられているのが好適である。なお、運転者からみてフロントガラスFG越しの視線の位置に表示(投影)されるヘッドアップディスプレイの画像HD内に更新部分がある場合に、実施例に係るその更新の制御を適用することもできる。
【0038】
以上の構成において車速センサ221は、例えば車載装置NVが搭載されている車両から取得される車速パルス等を用いた速度検出処理等を用いて当該車両の現在速度を検出し、速度データを出力する。角速度センサ222は、当該車両の、例えば方向変化の角速度を検出し、単位時間当たりの角速度データ及び相対方位データを出力する。加速度センサ223は、当該車両の例えば前後方向の加速度を検出し、単位時間当たりの加速度データ等を出力する。舵角センサ224は、当該車両の舵角を検出し、舵角データ等を出力する。GPS受信部225は、GPS衛星からの航法電波を受信し、GPS測位データとして自車位置情報である緯度、経度、高度データ、車両の進行方向の絶対方位データ及びGPS速度データ等を出力する。データ送受信部226は、ネットワークを介したサーバ装置との間のデータの送受信に係る処理を行う。視線検出カメラ227は、車載装置NVが搭載されている車両の車内に設けられ、利用者(運転手及び同乗者をいう。以下、同様。)の視線を検出するためのカメラであり、撮影した画像を制御部211に出力する。車外カメラ228は、車載装置NVが搭載されている車両の車外に設けられ、車両の周囲環境を検出するためのカメラであり、撮影した画像を制御部211に出力する。車外センサ229は、車両の外部の気温、湿度或いは雨量等を検出するセンサであり、その検出結果を、入出力インターフェース部220及びバスライン215を介して制御部211に出力する。
【0039】
記憶装置212は、オペレーティングシステムや、アプリケーションプログラム等の各種プログラムを記憶する。なお、各種プログラムは、例えば、サーバ装置等からネットワークを介して取得されるようにしてもよいし、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)、USB(Universal Serial Bus)メモリ等の記録媒体に記録されたものを読み込んで実行することとしてもよい。
【0040】
また記憶装置212は、表示ユニット214に地図を表示するための地図画像データや、経路を探索する際に用いる地図情報、道路リンク情報などが格納される。また記憶装置212は、事故が起きやすい交差点、踏切、高速道路の合流地点などのいわゆるヒヤリハットポイントを示す情報を記憶する。更に記憶装置212は、利用者の車載装置NVに対する操作履歴を示す操作履歴情報、又は利用者の視線の移動履歴を示す視線移動履歴情報を記憶する。このとき、操作履歴情報及び視線移動履歴情報はいずれの利用者によるものかを示す識別情報と共に記憶される。当該識別情報は、視線検出カメラ227が出力する撮影画像に基づいて制御部211が識別する。
【0041】
これらに加えて記憶装置212は、上記地図情報及び道路リンク情報に関連した道路情報として、道路の種別(例えば、高速道、一般道又は一方通行道路等の種別)を示す道路種別情報、道路の幅を示す道路幅情報、各道路における路肩の有無を示す路肩有無情報、当該路肩がある場合におけるその幅を示す路肩幅情報、各道路におけるレーン(車線)数を示すレーン数情報、各道路における中央車線の位置を示す中央車線位置情報、各道路についての駐車スペースの有無を示す駐車スペース有無情報、当該駐車スペースがある場合のその位置を示す駐車スペース位置情報等を記憶する。更に記憶装置212は、駐車場の種別(サービスエリア、ショッピングモール駐車場等)を示す駐車場種別情報や、各駐車場の位置を示す駐車場位置情報等を含む駐車場情報を記憶する。このとき当該駐車場位置情報は、対応する駐車場を平面形状(範囲)として見た場合の、当該駐車場を構成する各辺の頂点の経度/緯度を示す位置情報を含んでおり、当該位置情報を元にして、各頂点を結んだ範囲内を駐車場と認識できるように構成されている。より具体的に駐車状位置情報は、例えば、対応する駐車場の平面形状(範囲)が長方形ならば、その四つの頂点の経度/緯度の示す位置情報を元にして、当該四点の範囲内を駐車場と認識できるように構成されている。
【0042】
なお、記憶装置212が記憶する情報は、車載装置NV外の図示しないサーバ装置に記憶させ、適宜、受信して利用することとしてもよい。
【0043】
入力装置213は、タッチセンサ、タッチパネル、キーボード、マウス、圧力検知センサ、ジョグダイヤル、その他のコントローラ等により構成され、利用者の入力操作を受け付けて、その操作内容を示す操作信号を制御部211に送信する。
【0044】
表示ユニット214は、制御部211の制御下で各種表示データを表示する。表示ユニット214は、グラフィックスコントローラ214aと、VRAM(Video RAM)等のメモリからなるバッファメモリ214bと、液晶ディスプレイ等からなるディスプレイ214c等を備えて構成されている。この構成においてグラフィックスコントローラ214aは、バスライン215を介して制御部211から送られる制御データに基づいて、表示ユニット214全体の制御を行う。また、バッファメモリ214bは、即時表示可能な画像情報を一時的に記憶する。そして、グラフィックスコントローラ214aから出力される画像データに基づいて、ディスプレイ214cに画像が表示される。
【0045】
制御部211は、制御部211全体を制御するCPU211aと、制御部211を制御する制御プログラム等が予め記憶されているROM211bと、各種データを一時的に格納するRAM211cと、により構成されている。制御部211は、車速センサ221、角速度センサ222、加速度センサ223、舵角センサ224及びGPS受信部225と、バスライン215及び入出力インターフェース部220を介して接続されており、それぞれから出力される速度データ、角速度データ及び相対方位データ、舵角データ、GPS測位データ及び車両の進行方向の絶対方位データ、加速度データ等に基づいて、車載装置NV全体の制御を行うとともに、表示ユニット214等の各種構成部材におけるそれぞれの動作を制御する。
【0046】
制御部211は、システム時計から時刻情報を取得し、図示しないサーバ装置から為替情報やSNS投稿情報を取得する。なお為替情報としては、利用者が設定した通貨間の為替レートを示す情報が取得され、SNS投稿情報としては、利用者が設定したキーワードを含む投稿記事を示す情報が取得される。制御部211は、時刻情報及び為替レートは所定間隔で取得し、SNS投稿情報は新たな投稿記事が図示しないサーバ装置にアップロードされる度に取得する。
【0047】
制御部211は、現在、ディスプレイ214cに表示している画面の構成を特定する。例えば、画面における更新の対象となる部分(例えば、
図2における時刻表示領域401、為替表示領域402、投稿情報表示領域403)の位置や表示内容、画面内において利用者が操作可能な部分の位置等を特定する。また制御部211は、取得した情報がいずれの更新の対象となる部分に表示されている情報を更新するための情報であるかを特定する。一方で制御部211は、車外カメラ228が出力した撮影画像及び車外センサ229における検出結果にそれぞれ基づいて、車外の天候や道路の状況などの周囲環境を特定する。また制御部211は、視線検出カメラ227が出力した撮影画像に基づいて、利用者の視線の向きを特定する。具体的には、いずれの利用者が、ディスプレイ214cに表示される画面において時刻表示領域401、為替表示領域402、投稿情報表示領域403のいずれの領域に視線を向けているかを特定する。
【0048】
そして制御部211は、取得した時刻情報、為替情報、SNS投稿情報により、時刻表示領域401、為替表示領域402、投稿情報表示領域403の表示内容を更新するか否かを判定する。例えば、次の(1)乃至(5)の少なくともいずれかの規則に基づいて、取得した情報により更新の対象となる部分(以下において、「更新部分」という場合がある)を更新するか否かを判定することができる。
(1)取得した情報が、利用者の視線が向けられている更新部分を更新するための情報である場合には、当該取得した情報による更新を見合わせる(そのタイミングにおける更新を禁止することをいう。以下、同様。)。
(2)取得した情報が、利用者の操作の対象となっている更新部分を更新するための情報である場合には、当該取得した情報による更新を見合わせる。
(3)現在位置がヒヤリハットポイントである場合であって上記利用者が第3実施例に係る車載装置が搭載されている車両の運転者である場合には、後述する更に詳細な実施例に係る条件(以下、「実施例に係る詳細条件」と称する)と、当該車両の運転の現在の自動化のレベル(表1参照)を加味した上で、取得した情報による更新を見合わせる。一方、現在位置がヒヤリハットポイントである場合であっても上記利用者が上記運転者以外の同乗者である場合には、自動化のレベルに拘わらず当該更新を行う。
(4)現在の周囲の環境が、車載装置NVが搭載された車両の移動時の情報更新に対して適切でない場合、即ち上述したように、周囲が豪雨である場合、現在走行している道路が渋滞している場合、又は現在走行している道路が極細道である場合等であって上記利用者が上記運転者である場合には、実施例に係る詳細条件及び上記自動化のレベルを加味した上で、取得した情報による更新を見合わせる。一方、現在の周囲の環境が上記車両の移動時の情報更新に対して適切でない場合であっても、上記利用者が上記同乗者である場合は、自動化のレベルに拘わらず当該更新を行う。
(5)取得した情報が、任意に設定された時間内に利用者の操作が行われた(視線が向けられた)更新部分を更新するための情報である場合であって上記利用者が上記運転者である場合には、当該取得した情報による更新を見合わせる。一方、取得した情報が、任意に設定された時間内に利用者の操作が行われた(視線が向けられた)更新部分を更新するための情報である場合であっても、上記利用者が上記同乗者である場合には当該更新を行う。
【0049】
但し、取得した情報が、時刻情報のように最新の情報を表示することが好ましい情報である場合については、上記(1)乃至(5)の規則に該当しても(つまり、利用者の動作の対象であるか否か、周囲環境が車両の移動時の情報更新に対して適切でないか否か、又は上記自動化のレベルに拘わらず)、常に当該取得した情報による更新を行うこととする。一方SNS投稿情報は、上記(1)乃至(5)の規則に該当する場合(つまり、利用者の動作の対象である場合、又は周囲環境が車両の移動時の情報更新に対して適切でない状況である場合)には、上記自動化のレベルに応じて、当該取得した情報による更新を見合わせることとする。
【0050】
(III)
実施例に係る車載装置の動作例
次に、
図5のフローチャートを用いて、実施例に係る車載装置NVの動作例について説明する。なお、視線検出カメラ227による車両の乗員の視線検出のキャリブレーション等は完了しているものとする。また制御部211は、利用者の視線を検出し、視線の移動履歴を記憶装置212に記憶させ、利用者による操作が行われると操作履歴を記憶装置212に記憶させるものとする。
【0051】
まず制御部211は、出力情報(時刻情報、為替情報又はSNS投稿情報)を取得する(ステップS11)。次いで制御部211は、ステップS11の処理で取得した出力情報により更新する更新部分(時刻表示領域401、為替表示領域402又は投稿情報表示領域403)を特定する(ステップS12)。例えば制御部211は、取得した出力情報が時刻情報であれば、時刻表示領域401を更新部分として特定し、取得した出力情報がSNS投稿情報であれば、投稿情報表示領域403を更新部分として特定する。
【0052】
次に制御部211は、ステップS11の処理で取得した出力情報は更新見合わせ不要の情報か否かを判定する(ステップS13)。なお本実施例では、説明の便宜上、時刻情報は更新見合わせ不要の出力情報であると仮定し、一方、為替情報及びSNS投稿情報は更新見合わせ不要の出力情報ではない(即ち、更新見合わせ必要の出力情報である)と仮定する。制御部211は、取得した出力情報が更新見合わせ不要の情報(時刻情報)であると判定した場合には(ステップS13:YES)、取得した出力情報(時刻情報)により、ステップS12の処理で特定した更新部分(時刻表示領域401)の情報を更新し(ステップS24)、ステップS11の処理に移行する。一方制御部211は、取得した出力情報が更新見合わせ不要の情報ではないと判定した場合(即ち、為替情報又はSNS投稿情報であると判定した場合)には(ステップS13:NO)、次いで、利用者の現在の視線情報及び操作情報を取得する(ステップS14)。
【0053】
次に制御部211は、視線検出カメラ227からの画像や図示しないシートセンサからの情報等に基づいて、車載装置NVの利用者を示す利用者情報を取得する(ステップS15)。この場合の利用者情報とは、例えば運転者が運転席に座っているか否か、或いは運転者以外の同乗者が助手席又は後部座席に座っているか否か、といった情報を含む。
【0054】
次に制御部211は、ステップS14の処理で取得した視線情報に基づいて、運転手の視線が、ステップS12の処理で特定した更新部分に向いているか否かを判定する(ステップS16)。このとき制御部211は、運転手の視線が更新部分に向いていると判定した場合には(ステップS16:YES)、ステップS11で取得した出力情報による、ステップS12の処理により特定した更新部分に表示されている情報の更新を見合わせて(ステップS25)、ステップS11の処理に移行する。これにより、運転手が視線を向けている更新部分について、新たに出力情報が取得されたとしても当該出力情報により更新部分の情報は更新されないので、出力情報の内容に対する運転手の理解が深まる。一方制御部211は、運転手の視線が更新部分に向いていないと判定した場合には(ステップS16:NO)、次いで、ステップS14の処理で取得した操作情報に基づいて、運転手の操作対象がステップS12の処理で特定した更新部分であるか否かを判定する(ステップS17)。このとき、例えば、ステップS11の処理で取得した出力情報がSNS投稿情報であって、運転手が投稿情報表示領域403についてスクロール操作を行っている場合などには、「YES」と判定する。
【0055】
制御部211は、運転手の操作対象がステップS12の処理で特定した更新部分であると判定した場合には(ステップS17:YES)、ステップS11で取得した出力情報による、ステップS12の処理により特定した更新部分に表示されている情報の更新を見合わせて(ステップS25)、ステップS11の処理に移行する。これにより、運転手が操作をしている更新部分について、新たに出力情報が取得されたとしても当該出力情報により更新部分の情報は更新されないので、出力情報の内容に対する運転手の理解が深まる。一方制御部211は、運転手の現在の操作対象がステップS12の処理で特定した更新部分ではないと判定した場合には(ステップS17:NO)、次いで、運転手の操作履歴情報、視線移動履歴情報、現在位置情報及び周囲環境情報を取得する(ステップS18)。具体的に制御部211は、運転手の操作履歴情報及び視線移動履歴情報を記憶装置212から取得し、GPS受信部225が出力する緯度、経度、高度データを現在位置情報として取得し、車外カメラ228が出力する車外を撮影した画像及び車外センサ229が出力した検出結果をそれぞれ分析することにより周囲環境情報を取得する。周囲環境情報は、現在の周囲の環境が車両の移動時の情報更新に対して適切でない状況であるか否かを示す情報であり、制御部211が、車外カメラ228が出力した撮影画像及び車外センサ229が出力した検出結果にそれぞれ基づいて、車外の天気や道路の状況などに基づいて算出して取得する。例えば、豪雨である場合、現在走行している道路が渋滞している場合、現在走行している道路が極細道である場合には、車両の移動時の情報更新に対して適切でない状況であることを示す周囲環境情報が取得される。なお制御部211は、位置ごとに天候や道路の状況などを示す情報を保持する図示しないサーバ装置に対して、ネットワークを介して自車両の現在位置を送信し、当該サーバ装置から現在位置に対応する当該情報を取得し、当該情報に基づいて周囲環境情報を算出してもよい。また制御部211は、位置ごとに当該位置の周囲の環境が車両の移動時の情報更新に対して適切でない場合のその度合いを示す不適切情報を算出するサーバ装置に対して、ネットワークを介して自車両の現在位置を送信し、サーバ装置から不適切情報を周囲環境情報として取得することとしてもよい。
【0056】
次に制御部211は、現在の車両の運転状態における自動化のレベルが、上記表1に示されるレベル4であるか否か、即ち、車載装置NVが搭載されている車両が完全自動走行状態で移動しているか否かを判定する(ステップS19)。このステップS19の判定には、例えば図示しない自動運転制御部から出力される自動走行状態情報等を用いることができる。この自動化のレベルの検出処理自体は、従来と同様の手法を用いることができる。ステップS19の判定において、現在の車両の運転状態における自動化のレベルが、上記表1に示されるレベル4である場合(ステップS19:YES)、制御部211はステップS24に移行して必要な更新部分の更新を行う。
【0057】
他方、ステップS19の判定において、当該自動化のレベルが上記レベル4以外のレベルであった場合(ステップS19:NO、)、次に制御部211は、上記ステップS15で取得した利用者情報に基づいて、車載装置NVの現在の利用者が運転者であるか否かを判定する(ステップS20)。ステップS20の判定において、車載装置NVの現在の利用者が運転者以外の同乗者である場合(ステップS20:NO)、制御部211はステップS24に移行して必要な更新部分の更新を行う。一方ステップS20の判定において、車載装置NVの現在の利用者が運転者である場合(ステップS20:YES)、制御部211は次に、ステップS18の処理で取得した運転手の操作履歴情報及び視線移動履歴情報に基づいて、ステップS12の処理で特定した更新部分が、現在から所定時間内に操作の対象になった又は視線が向けられた更新部分であるか否かを判定する(ステップS21)。例えば制御部211は、現在から30秒前までの間に、操作の対象となった又は視線が向けられた更新部分であるか否かを判定する。制御部221は、所定時間内に操作の対象になった又は視線が向けられた更新部分であると判定した場合には(ステップS21:YES)、ステップS11で取得した出力情報による、ステップS12の処理により特定した更新部分に表示されている情報の更新を見合わせて(ステップS25)、ステップS11の処理に移行する。これにより、運転手が所定時間前まで視線を向けていた、又は、操作の対象としていた更新部分について、新たに出力情報が取得されたとしても当該出力情報により更新部分の情報は更新されないので、運転手が再度情報を閲覧するために情報に視線を向けた際、以前と同じ出力情報を閲覧することができる。一方制御部211は、所定時間内に操作の対象になった又は視線が向けられた更新部分ではないと判定した場合には(ステップS21:NO)、次いで、ステップS18の処理で取得した現在位置情報と、記憶装置212が記憶するヒヤリハットポイントを示す情報とに基づいて、現在位置がヒヤリハットポイント又はその近辺(例えば、ヒヤリハットポイントから50メートル以内。以下、同様)であるか否かを判定する(ステップS22)。
【0058】
ステップS22の判定において、現在位置がヒヤリハットポイント又はその近辺であると判定した場合(ステップS22:YES)、制御部211は次に、現在の車両の運転状態における自動化のレベルが、上記表1に示されるレベル4(ステップS19参照)を除くいずれのレベルであるか、即ち、車載装置NVが搭載されている車両が完全自動走行状態以外のいずれの自動化のレベルで移動しているか否かを判定する(ステップS26)。このステップS26の判定も、上記ステップS19の判定と同様に、例えば上記自動走行状態情報等を用いることができる。ステップS26の判定において、現在の車両の運転状態における自動化のレベルが、上記表1に示されるレベル3である場合(ステップS26:3)、制御部211は後述するステップS23に移行する。一方ステップS26の判定において、現在の車両の運転状態における自動化のレベルが、上記表1に示されるレベル1又はレベル2である場合(ステップS26:1,2)、制御部211は次に、ステップS11で取得した出力情報による、ステップS12の処理により特定した更新部分に表示されている情報の更新について、実施例に係る詳細条件に基づいた見合わせの判定を行う(ステップS27)。このステップS27の判定において当該詳細条件に基づいた情報の更新の見合わせを行う場合(ステップS27:YES)、制御部211は、当該情報の更新を見合わせて(ステップS25)、ステップS11の処理に移行する。これにより、現在位置がヒヤリハットポイントであり、上記自動化のレベルが低く、且つ上記詳細条件に基づいて情報の更新を見合わせる場合には、新たに出力情報が取得されたとしても当該出力情報により更新部分の情報は更新されないので、運転手は運転に集中することができる。一方制御部211は、上記ステップS27の判定において上記詳細条件に基づいて情報の更新を見合わせない(即ち情報の更新を行う)場合(ステップS27:NO)、後述するステップS23に移行する。
【0059】
他方、ステップS22の判定において、現在位置がヒヤリハットポイント又はその近辺ではないと判定した場合(ステップS22:NO)、制御部211は、ステップS18の処理で取得した周囲環境情報に基づいて、周囲環境が車両の移動時の情報更新に対して適切でない場合のその度合いが高い状況であるか否かを判定する(ステップS23)。
【0060】
ステップS23の判定おいて、当該度合いが高い周囲環境ではないと判定した場合(ステップS23:NO)、制御部211は、ステップS11の処理で取得した出力情報(為替情報又はSNS投稿情報)により、ステップS12の処理で特定した更新部分(為替表示領域402又は投稿情報表示領域403)の情報を更新し(ステップS24)、ステップS11の処理に移行する。
【0061】
一方、ステップS23の判定おいて、当該周囲環境が車両の移動時の情報更新に対して適切でない場合のその度合いが高い状況であると判定した場合(ステップS23:YES)、制御部211は次に、現在の車両の運転状態における自動化のレベルが、上記表1に示されるレベル4(ステップS19参照)を除くいずれのレベルであるか、即ち、車載装置NVが搭載されている車両が完全自動走行状態以外のいずれの自動化のレベルで移動しているか否かを再度判定する(ステップS28)。このステップS28の判定も、上記ステップS19又は上記ステップS26の判定と同様に、例えば上記自動走行状態情報等を用いることができる。ステップS28の判定において、現在の車両の運転状態における自動化のレベルが、上記表1に示されるレベル2又はレベル3である場合(ステップS28:2,3)、制御部211はステップS24に移行する。一方ステップS28の判定において、現在の車両の運転状態における自動化のレベルが上記表1に示されるレベル1である場合(ステップS28:1)、制御部211は次に、ステップS11で取得した出力情報による、ステップS12の処理により特定した更新部分に表示されている情報の更新について、上記ステップS27と同様の実施例に係る詳細条件に基づいた見合わせの判定を行う(ステップS29)。このステップS29の判定において当該詳細条件に基づいた情報の更新の見合わせを行う場合(ステップS29:YES)、制御部211は、当該情報の更新を見合わせて(ステップS25)、ステップS11の処理に移行する。これにより、上記度合いが高い周囲環境であり、上記自動化のレベルが低く、且つ上記詳細条件に基づいて情報の更新を見合わせる場合には、新たに出力情報が取得されたとしても当該出力情報により更新部分の情報は更新されないので、運転手は運転に集中することができる。一方制御部211は、上記ステップS29の判定において上記詳細条件に基づいて情報の更新を見合わせない(即ち情報の更新を行う)場合(ステップS29:NO)、ステップS24に移行する。
【0062】
なお、上記ステップS28の判定は、車外カメラ228が出力した撮影画像及び車外センサ229が出力した検出結果に基づいて制御部211により上記度合いの判定ができることを前提としている。これに対し、例えば余りに強い暴風雨であること等に起因して車外カメラ228が出力した撮影画像及び車外センサ229が出力した検出結果に基づいて制御部211により上記度合いの判定ができないような特別な場合、上記ステップS28の判定として制御部211は、レベル4以外の全ての自動化のレベルについて上記ステップS29に移行する、即ち当該ステップS28の判定自体を行わない(スキップする)のが好ましい。
【0063】
次に、上記ステップS27及びステップS29における実施例に係る詳細条件に基づいた見合わせの判定について、具体的に
図6を用いて説明する。なお、上記ステップS27における実施例に係る詳細条件に基づいた見合わせの判定と、上記ステップS29における当該詳細条件に基づいた見合わせの判定と、は同一であるので、これらを纏めて
図6を用いて説明する。
【0064】
図6に示すように、上記ステップS26の判定が「1,2」であった場合(ステップS27の場合)、又は上記ステップS28の判定が「1」であった場合(ステップS29の場合)のそれぞれにおいて、制御部211は先ず、記憶装置212から上記道路情報及び駐車場情報を取得し(ステップS-A)、次にGPS受信部225からの現在位置情報に基づいて車載装置NVが搭載されている車両の現在位置を検出する(ステップS-B)。次に制御部211は、ステップS-Bにおいて検出した現在位置に基づいて、当該車両が現在道路外に位置しているか否かを判定する(ステップS-C)。
【0065】
ここで、実施例に係る上記「道路外」とは、例えば道路交通法(昭和三十五年六月二十五日法律第百五号)において、第2実施例に係る車載装置NV2又は第3実施例に係る車載装置が搭載されている車両の駐車又は停車が認められている地点又は領域をいう。より具体的に上記道路外とは、例えば以下の地点又は領域をいう。
・道路交通法で規定されている「駐停車禁止路側帯」及び「歩行者専用路側帯」を除いた、道路交通法で規定されている「路側帯」
・車道に沿って歩道が別途設けられている場合における、当該車道の、その中心線からみて車道外側線より外側の領域
・いわゆる駐車場又は駐車スペース(例えば、道路内の時間制限付駐車スペース等)
上記ステップS-Cの判定において、当該車両が現在道路外に位置していない(即ち、当該車両が上記道路外以外の道路内に位置している)場合(ステップS-C:NO)、制御部211は、ステップS27の判定又はステップS29の判定としては「YES」とし、
図5ステップS25に移行する。
【0066】
一方ステップS-Cの判定において、当該車両が現在道路外に位置している場合(ステップS-C:YES)、制御部211は次に、ステップS-Bにおいて検出した車両の位置等に基づいて、当該車両が現在停止中か否かを判定する(ステップS-D)。ステップS-Dの判定において、当該車両が現在停止中でない(即ち、当該車両が移動中)の場合(ステップS-D:NO)、制御部211は、ステップS27の判定又はステップS29の判定としては「YES」とし、上記ステップS25に移行する。
【0067】
一方ステップS-Dの判定において、当該車両が現在停止中である場合(ステップS-D:YES)、制御部211は、ステップS27の判定又はステップS29の判定としては「NO」とし、上記ステップS23(ステップS27の場合)又はステップS24(ステップS29の場合)に移行する。
【0068】
以上説明したステップS26の判定及びステップS28の判定を含む車載装置NVの動作例が制御部211を中心として行われることにより、例えば上記ステップS16の判定において運転手の視線が更新部分に向いておらず(
図5ステップS16:NO参照)、更に運転手の操作対象が更新部分でない場合(
図5ステップS17:NO参照)において、現在の車両の運転状態における自動化のレベルが上記表1に示されるレベル4であれば(ステップS19:YES参照)、当該車両が完全自動走行状態にあることから、当該更新部分の情報の更新は行われる(
図5ステップS24参照)。
【0069】
また、例えば上記ステップS16の判定において運転手の視線が更新部分に向いておらず(
図5ステップS16:NO参照)、更に運転手の操作対象が更新部分でない場合(
図5ステップS17:NO参照)において、現在の車両の運転状態における自動化のレベルが上記表1に示されるレベル3であり(
図5ステップS26:NO)、道路上の混雑がなく天候も快晴なのであれば(
図5ステップS23:NO)、上記ステップS11により更新用の出力情報を取得したタイミングにおける車両の現在位置がヒヤリハットポイント又はその近辺であっても(
図5ステップS22:YES参照)問題ないと考えられることから、当該更新部分の情報の更新は行われる(
図5ステップS24参照)。
【0070】
更に、例えば上記ステップS16の判定において運転手の視線が更新部分に向いておらず(
図5ステップS16:NO参照)、更に運転手の操作対象が更新部分でない場合(
図5ステップS17:NO参照)において、現在の車両の運転状態における自動化のレベルが上記表1に示されるレベル3であれば(
図5ステップS28:2,3)、道路上の混雑はないが車外センサ229により車両の走行に支障をきたすような雨量を検出した場合であっても(
図5ステップS23:YES参照)問題ないと考えられることから、当該更新部分の情報の更新は行われる(
図5ステップS24参照)。
【0071】
以上説明したように、実施例に係る車載装置NVの制御部211(「出力情報取得手段」、「状態情報取得手段」、「制御手段」、「周囲環境情報取得手段」及び「検出手段」の一例)による出力情報の更新の制御では、車両における移動に関する制御状態に基づいて出力情報の更新の可否を制御するので、きめ細かく且つ適切に出力情報の更新の可否を制御することができ、運転手を運転に集中させることができる。
【0072】
また制御部211による出力情報の更新可否の制御において、上記制御状態が、複数のレベルが予め設定された車両の運転の自動化の状態(表1参照)であり、制御部211により取得される状態情報が現在の車両の運転の自動化がいずれのレベルの自動化であるかを示すので、車両の運転の自動化のレベルに応じて、きめ細かく且つ適切に出力情報の更新の可否を制御することができ、運転手を運転に集中させることができる。
【0073】
更に制御部211による出力情報の更新可否の制御では、車両の制御状態と、周囲環境と、に基づいて出力情報の更新の可否を制御するので、よりきめ細かく且つ適切に出力情報の更新の可否を制御することができ、運転手を運転に集中させることができる。
【0074】
更にまた制御部211による出力情報の更新可否の制御では、車両の運転状態が完全自動走行状態であることが示されている場合に出力情報の更新を行うように制御し、一方運転状態が自動化のレベル1に相当する自動化であり(
図5ステップS28:1参照)且つ周囲環境が出力情報の更新に相応しくないことが示されている場合(
図5ステップS23:YES参照)に出力情報の更新を禁止するので、きめ細かく且つ適切に出力情報の更新の可否を制御することができ、運転手を運転に集中させることができる。
【0075】
また制御部211による出力情報の更新可否の制御では、出力情報が運転者以外の同乗者の動作の対象である場合に(
図5ステップS20:NO)、周囲環境に拘わらず出力情報の更新を可とするように制御するので、運転者以外の同乗者の動作の対象である場合は適切に出力情報を更新することができる。
【0076】
なお制御部211による出力情報の更新可否の制御において、車両の制御状態が、自動化のレベル4に相当する完全自動走行状態、又は当該完全自動走行状態以外の自動運転状態、のいずれかであり、制御部211により取得される状態情報が当該いずれかの運転状態を示す状態情報であり、車両の運転状態が完全自動走行状態以外の車両の運転状態であることが示されている場合に出力情報の更新を禁止するように制御する上記特別な場合には、きめ細かく且つ適切に出力情報の更新の可否を制御することができ、運転手を運転に集中させることができる。
【0077】
また上記実施例では、ステップS22の処理において現在位置がヒヤリハットポイントであるか否かを判定し、ステップS23の処理において周囲環境が車両の移動時の情報更新に対して適切でない状況であるか否かを判定することとしているが、現在位置がヒヤリハットポイントである場合も、周囲環境が車両の移動時の情報更新に対して適切でない状況であると考えられることから、本発明の「周囲環境が移動時の情報更新に対して適切でない」ことには、現在位置がヒヤリハットポイントである場合自体も含まれる。
【0078】
(IV)変形例
次に、上記実施例の変形例について説明する。なお、以下に説明する各変形例は適宜組み合わせることができる。
【0079】
(IV.1)
第1変形例
上記実施例では、情報を出力する装置としてディスプレイ214cを例示したが、これに加えて他の出力装置(例えば、HUD(Head-Up Display)。
図4参照)を設け、複数の出力装置において出力する情報について更新を制御することとしてもよい。この場合に制御部211は、ディスプレイ214c及びHUDに表示している画面の構成を特定できるものとする。
【0080】
(IV.2)第2変形例
上記実施例では、利用者(運転手、同乗者)の視線を視線検出カメラ227が出力する撮影画像に基づいて検出することとしたが、利用者の視線を眼電位センサが出力するデータに基づいて検出することとしてもよい。
【0081】
(IV.3)第3変形例
上記実施例では、ステップS22の処理において、現在位置がヒヤリハットポイントであるか否かを判定することとしたが、現在位置がヒヤリハットポイントに近づいているか否かを判定することとしてもよい。これにより、現在位置がヒヤリハットポイントに近づいている場合又は現在位置がヒヤリハットポイントである場合には、更新が見合わされ、利用者(運転手)は運転に集中することができる。
【0082】
(IV.4)第4変形例
上記実施例では、ステップS25の処理で更新を見合わせた後は、ステップS11に移行し、次の出力情報を取得することとしたため、直近のステップS11の処理で取得した出力情報による更新を行わないまま、当該出力情報は破棄されてしまうこととなるが、ステップS11の処理で取得した出力情報による更新を必ず行うために、ステップS11の処理で取得した出力情報は記憶装置212にストックしていき、ステップS24の処理を実行する場合には、ストックされた出力情報のうち、より古い出力情報から順に(FIFO(First In First Out))更新に使用することとしてもよい。
【0083】
(IV.5)第5変形例
上記実施例は、情報処理装置が車両に搭載される車載装置NVである場合について説明したが、移動体とともに移動して、情報を出力するあらゆる装置に適用することができる。例えば、PC(personal computer)、ノートPC、スマートフォン、タブレット等に適用することができる。
【0084】
(IV.6)
第6変形例
上記実施例に係る
図5のフローチャートのうち、ステップS16及びステップS17と、ステップS18乃至ステップS23並びにステップS26乃至ステップS29とは、それぞれの処理(ステップ)群内の順序を維持したまま入れ換えてもよい。