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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024161126
(43)【公開日】2024-11-15
(54)【発明の名称】画像投射装置および画像投射方法
(51)【国際特許分類】
   B60Q 1/26 20060101AFI20241108BHJP
   B60Q 1/34 20060101ALI20241108BHJP
【FI】
B60Q1/26 Z
B60Q1/34 D
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024145391
(22)【出願日】2024-08-27
(62)【分割の表示】P 2024018224の分割
【原出願日】2015-12-11
(31)【優先権主張番号】P 2015003961
(32)【優先日】2015-01-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2015155164
(32)【優先日】2015-08-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000005810
【氏名又は名称】マクセル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】國井 康彦
(72)【発明者】
【氏名】賀来 信行
(72)【発明者】
【氏名】岸上 勝博
(72)【発明者】
【氏名】中村 浩之
(72)【発明者】
【氏名】藏知 恵
(72)【発明者】
【氏名】清水 拓也
(57)【要約】
【課題】自車両(自動車等に代表される移動体)の走行状態等、車両に関する情報に基づいて、情報を路面上や壁面、自車両上等(以下、路面等)に投射して表示することを可能とする技術を提供すること。
【解決手段】車両用の画像投射装置であって、車両に関する情報を取得可能な取得部と、取得部が取得した情報に基づき、画像を投射可能な画像投射部と、を備え、前記車両が複数の車線が存在する車道を走行する場合、画像投射部は、車両の予測進行路を示す画像を投射する。
【選択図】図12
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両用の画像投射装置であって、
車両に関する情報を取得可能な取得部と、
前記取得部が取得した前記情報に基づき、画像を投射可能な画像投射部と、を備え、
前記車両が複数の車線が存在する車道を走行する場合、前記画像投射部は、前記車両の予測進行路を示す画像を投射する、
画像投射装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像投射装置であって、
前記画像投射部は、前記車両が走行する車線に隣接する車線に進入する場合、前記車両が走行する車線に隣接する車線を走行する車両に対して前記画像を投射する、
画像投射装置。
【請求項3】
請求項2に記載の画像投射装置であって、
前記画像は、前記車両が前記走行する車線から他車線に進入して走行することを示す画像である、
画像投射装置。
【請求項4】
請求項1に記載の画像投射装置であって、
前記画像投射部は、前記車両が走行する車線に隣接する車線に進入する場合、前記車両の方向指示器がOFFされても、所定の時間以上投射を継続する、
画像投射装置。
【請求項5】
請求項1に記載の画像投射装置であって、
前記画像投射部は、前記車両の方向指示器を所定時間以上点灯または点滅させない場合、前記画像の投射を行わない、
画像投射装置。
【請求項6】
請求項1に記載の画像投射装置であって、
前記画像投射部は、前記車両が走行する車線に隣接する車線に進入する場合、前記車両が走行する車線に隣接する車線の路面上に前記車両の進行路を表す直線または曲線である画像を投射する、
画像投射装置。
【請求項7】
請求項1に記載の画像投射装置であって、
前記画像は、前記車両の予測走行経路を示すマークである、
画像投射装置。
【請求項8】
画像投射方法であって、
車両に関する情報を取得可能な取得ステップと、
前記取得ステップが取得した前記情報に基づき、画像を投射可能な画像投射ステップと、を備え、
前記車両が複数の車線が存在する車道を走行する場合、前記画像投射ステップは、前記車両の予測進行路を示す画像を投射する、
画像投射方法。
【請求項9】
請求項8に記載の画像投射方法であって、
前記画像投射ステップは、前記車両が走行する車線に隣接する車線に進入する場合、前記車両が走行する車線に隣接する車線を走行する車両に対して前記画像を投射する、
画像投射方法。
【請求項10】
請求項8に記載の画像投射方法であって、
前記画像投射ステップは、前記車両が走行する車線に隣接する車線に進入する場合、前記車両の方向指示器がOFFされても、所定の時間以上投射を継続する、
画像投射方法。
【請求項11】
請求項8に記載の画像投射方法であって、
前記画像投射ステップは、前記車両の方向指示器を所定時間以上点灯または点滅させない場合、前記画像の投射を行わない、
画像投射方法。
【請求項12】
請求項8に記載の画像投射方法であって、
前記画像投射ステップは、前記車両が走行する車線に隣接する車線に進入する場合、前記車両が走行する車線に隣接する車線の路面上に前記車両の進行路を表す直線または曲線である画像を投射する、
画像投射方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は画像投射装置および画像投射方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プロジェクタに代表される映像投射装置は、所望の映像を拡大して投射するための装置として、既に広い分野で利用されており、更に近年においては、パーソナルコンピュータや携帯電話のための表示装置としても広く利用されてきている。
【0003】
かかる映像投射装置について、特に車両での使用に関する従来技術としては、以下のものが既に知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8-43781号公報
【特許文献2】特開2004-136838号公報
【特許文献3】特開2010-26759号公報
【特許文献4】特開2012-247369号公報
【特許文献5】特開2014-153868号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
即ち、上記特許文献1は、外部光源としての車両のヘッドライトの前に、光源を内蔵せずに携帯性に優れたLCDプロジェクタを配置することで、ヘッドライトを外部光源として用いる投射型表示装置を開示するものである。特許文献2は、その問題点を解決すべく、予めプロジェクタをヘッドライトの前で且つ車両の中に組み込んだ第1の状態と、プロジェクタ若しくはヘッドライトを移動させてヘッドライトからの光束を直接、車両の外部に照射する第2の状態を実現し、更には、道路上に画像を表示する実施形態をも示している。
【0006】
更に、特許文献3には、車両の運転支援装置として、車線逸脱判定時に自車両の乗員に対して効果的に注意を喚起するため、車両前方の路上に、車両前方のヘッドライト部分に取り付けられた照射手段(レーザー)により、喚起を促すための情報を表示するものが知られている。
【0007】
また、特許文献4によれば、車両の先頭部分に投影手段としてのプロジェクタを取り付け、ナビゲーションシステムで探索された経路情報に基づいて、分岐方向へ誘導する経路案内画像を、投射角度の設定を伴って、車両前方の路面に投影するものも既に知られている。加えて、特許文献5によれば、ターゲットマークとトラッキングラインからなる描画パターンを、自車両の走行状態に基づいて車両前方の路面に投影することにより、自車両の走行先の認識を可能として、もって、適切な運転を可能にする車両の運転支援装置も、既に、知られている。
【0008】
しかしながら、上述した従来技術は、必ずしも自車両の走行状態等に基づいて必要な情報を効果的に表示するものではなかった。
【0009】
そこで、本発明は上述した従来技術における問題点に鑑みて達成されたものであり、例えば自車両(自動車等に代表される移動体)の走行状態等、車両に関する情報に基づいて、情報を路面上や壁面、自車両上等(以下、路面等)に投射して表示することを可能とする技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、例えば特許請求の範囲に記載の構成を採用する。本願は上記課題を解決する手段を複数含んでいるが、その一例を挙げるならば、画像投射装置は、車両に関する情報を取得可能な取得部と、取得部が取得した情報に基づき、画像を投射可能な画像投射部と、を備える。前記車両が複数の車線が存在する車道を走行する場合、画像投射部は、車両の予測進行路を示す画像を投射する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、車両に関する情報に基づいて、情報を路面等に投射して表示することを可能とする技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施の形態に係る映像投射装置を搭載して路面等に映像を投射している車両の前方からの斜視図である。
図2】本発明の一実施の形態に係る映像投射装置を搭載して路面等に映像を投射している車両の後方からの斜視図である。
図3】上記映像投射装置を構成する配光制御ECUの全体構成を示す図である。
図4】上記配光制御ECUとその周辺要素の更に詳細な構成例を示すブロック図である。
図5】本発明の一実施の形態に係る映像投射装置の構成の一例を示す図である。
図6】上記投映器の像面も含めた光線図である。
図7】上記投映器から車両情報との関係により路面上に投射される各種の映像の具体例を示す図である。
図8】上記投映器から車両情報との関係により路面上に投射される各種の映像の具体例を示す図である。
図9】上記投映器から車両情報との関係により路面上に投射される各種の映像の具体例を示す図である。
図10】上記投映器から車両情報との関係により路面上に投射される各種の映像の具体例を示す図である。
図11】上記投映器から車両情報との関係により路面上に投射される各種の映像の具体例を示す図である。
図12】上記投映器から車両情報との関係により路面上に投射される各種の映像の具体例を示す図である。
図13】上記投映器から車両情報との関係により路面上に投射される各種の映像の具体例を示す図である。
図14】上記投映器から車両情報との関係により路面上に投射される各種の映像の具体例を示す図である。
図15】上記投映器から車両情報との関係により路面上に投射される各種の映像の具体例を示す図である。
図16】上記投映器から車両情報との関係により路面上に投射される各種の映像の具体例を示す図である。
図17】上記投映器から車両情報との関係により路面上に投射される各種の映像の具体例を示す図である。
図18】上記投映器から車両情報との関係により路面上に投射される各種の映像の具体例を示す図である。
図19】上記投映器から車両情報との関係により路面上に投射される各種の映像の具体例を示す図である。
図20】上記投映器から車両情報との関係により路面上に投射される、他の実施例になる映像の具体例を示す図である。
図21】上記投映器から車両情報との関係により路面上に投射される、他の実施例になる映像の具体例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について、添付の図面を参照しながらその詳細内容について説明する。
【0014】
<映像投射装置の配置>
まず、図1(A)および(B)には、本発明の一実施の形態に係る映像投射装置を搭載した自車両の一例として乗用車10が示されており、これらの図に示すように、当該乗用車10の本体の前方には、左右一対のヘッドライト11が設けられている。そして、図1(A)の例では、ここではその詳細な図示はしないが、これら一対のヘッドライト11の内部には発光体であるランプが組み込まれている。また、図1(A)の例では、乗用車10には以下に詳述する映像投射装置が左右一対となって搭載されている。そして、当該映像投射装置からの映像光は、例えば、透明な窓部を介して自車両の前方に投射される。なお、この例では、路面等に投射される映像は自車両の近傍を歩行している歩行者等に対して現在、あるいは、その後の進行方向を示しており、これにより安全性をより高く確保するものである。
【0015】
図1(B)には、映像投射装置を車体の先端部に1台だけ搭載した例を示しており、この場合には、映像投射装置からの映像光は、例えば、車体の先端部に設けられた透明な窓部12を介して自車両の前方に投射されることとなる。
【0016】
続いて、図2(A)および(B)には、本発明の一実施の形態に係る映像投射装置を搭載した上記乗用車10の後方が示されており、これらの図に示すように、車体の後方には、赤色のテールランプ13、13’が設けられている。そして、この図2(A)の例では、やはりここではその詳細な図示はしないが、これらテールランプ13、13’の内部には発光体であるランプが組み込まれている。また、図2(A)の例では映像投射装置が左右一対となって搭載されており、当該映像投射装置からの映像光は、例えば透明な窓部を介して自車両の後方に投射される。
【0017】
また、図2(B)は、映像投射装置を、例えば、車体の屋根付近等に搭載した例を示している。この図2(B)の例では、上記図1(B)と同様、車体の後端に設けられた透明な窓部を介して、映像光が自車両の後方に投射されることとなる。
【0018】
なお、以上では1台または複数台(一対)の映像投射装置を自車両の前後に搭載する例について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、例えば映像投射装置を自車両の前後以外の場所(例えば、サイドミラー部分や屋根の上や車体の側面、底面等)に搭載してもよい。また、映像投射装置をヘッドライトやテールランプの内部に一体に組み込んでもよい。つまり、本発明では当該映像投射装置により所望の映像を路面等に投射することができればよい。なお、映像投射装置をヘッドライトやテールランプの内部に一体に組み込んだ場合は、ヘッドライトやテールランプの光源を投射用の光源としても用いることもできる。
【0019】
<配光制御ECUの構成>
続いて、図3には、上述した乗用車10内に搭載された電子制御ユニット(配光制御ECU)の構成の一例が示されている。この図からも明らかなように、当該配光制御ECU40は、CPU(中央演算装置)41、記憶手段であるRAM42やROM43、更には、入出力装置(I/Oユニット)44を備えている。そして、当該配光制御ECUには、上記I/Oユニット44を介して、以下の各種情報取得部や通信部からの情報が入力され、上記のヘッドライト11の駆動や映像投射装置500の映像投射を制御している。
【0020】
なお、ここで、上記各種情報取得部からの情報としては、例えば、自車両の走行速度を示す速度信号、エンジンの状態(ON/OFF)を示す信号、ギアの位置を示すギア情報、周囲のドライバーに危険の存在を知らせるハザード信号、ハンドルの操舵角度を示すハンドル舵角信号、ターンシグナル(または、「ウィンカー」とも言う)の有無や左右どちらが点灯/点滅しているかを示すターンシグナル信号、更には、上記各種のランプの点灯/点滅状態を示すランプ点灯情報が含まれる。
【0021】
また、上記各種情報取得部からの情報としては、更に、例えば、車の外部の光を検出する外光センサーからの情報(照度信号、色度信号等)、車に取り付けられたカメラからの映像情報、自車両の前方等、周辺を走行する車両やその他の対象物と間の距離等を検出する距離センサーからの信号、更には、夜間における車の外部の状況を検出する赤外線センサーからの信号等が含まれる。
【0022】
更に、上記通信部からの情報には、例えば、自車両の位置を割り出すためのGPS(Global Positioning System、全地球測位網)信号、経路案内等を行うナビゲーション装置からの情報である、所謂、ナビ情報、更には他の車両との間で行われる車車間通信や道路と車の間で行われる路車間通信の情報等が含まれる。
【0023】
図4には、上述した配光制御ECU40とその周辺要素についての、更に詳細な構成が示されている。即ち、図4において、方向指示器センサー51、ハンドル操舵角センサー52、シフトポジションセンサー53、車速センサー54、アクセル操作センサー55、ブレーキ操作センサー56、照度センサー57、色度センサー58、エンジン始動センサー59、およびハザードランプセンサー60からの信号が、上記配光制御ECU40に入力されている。更に、カメラ61からの信号は、画像処理部62を介してECU40に入力され、GPS受信部63と地図情報出力部64からの信号は、演算部65を介してECU40に入力されている。
【0024】
また、上記映像投射装置を構成する投映器100には、上記配光制御ECU40からの制御信号と、投映信号出力部110からの信号(路面等に投射する映像信号)が制御部120を介して入力されており、これにより以下に説明する路面等への映像の投射が実行される。
【0025】
加えて、上記配光制御ECU40には、更に、ヘッドライトセンサー66、そして、ハイ/ローセンサー67からの信号が入力されている。
【0026】
<映像投射装置>
続いて、上記図4に示した投映器100、投映信号出力部110および制御部120を含む映像投射装置500の更に詳細な構成の一例について、以下に、図5を参照しながら詳細に説明する。
【0027】
投射光学系501は、映像を路面等へ投射する光学系で、レンズおよび/またはミラーを含む。表示素子502は、透過する光または反射する光を変調して映像を生成する素子で、例えば、透過型液晶パネル、反射型液晶パネル、DMD(Digital Micromirror Device:登録商標)パネル等を用いる。表示素子駆動部503は、表示素子502に対して駆動信号を送り、表示素子502に映像を発生させる。光源505は映像投射用の光を発生するもので、高圧水銀ランプ、キセノンランプ、LED光源、レーザー光源等を用いる。電源506は、光源505に電力を供給する。更に、電源506は、その他各部にそれぞれ必要な電力を供給する。照明光学系504は、光源505で発生した光を集光し、より均一化して表示素子502に照射する。冷却部515は、光源505、電源506または表示素子502など、高温状態になる各部位を空冷方式や液冷方式で必要に応じて冷却する。操作入力部507は、操作ボタンやリモコンの受光部であり、ユーザからの操作信号を入力する。
【0028】
映像信号入力部531は、外部の映像出力装置を接続して映像データを入力する。音声信号入力部533は、外部の音声出力装置を接続して音声データを入力する。音声出力部540は、音声信号入力部533に入力された音声データに基づいた音声出力を行うことが可能である。また、音声出力部540は内蔵の操作音やエラー警告音を出力してもよい。通信部532は、例えば、外部の情報処理装置と接続し、各種の制御信号を入出力する。
【0029】
不揮発性メモリ508は、プロジェクタ機能で用いる各種データを格納する。不揮発性メモリ508に格納されるデータには、路上に投射するための、予め用意した画像データや映像データなども含まれる。メモリ509は、投射する映像データや装置各部の制御パラメータ等を記憶する。制御部510は、接続される各部の動作を制御する。
【0030】
画像調整部560は、映像信号入力部531で入力した映像データや、不揮発性メモリ508に格納される画像データや、映像データに対して画像処理を行うものである。当該画像処理としては、例えば、画像の拡大、縮小、変形等を行うスケーリング処理、輝度を変更するブライト調整処理、画像のコントラストカーブを変更するコントラスト調整処理、画像を光の成分に分解して成分ごとの重みづけを変更するレティネックス処理等がある。
【0031】
ストレージ部570は、映像、画像、音声、各種データなどを記録するものである。例えば、製品出荷時に予め映像、画像、音声、各種データなどを記録しておいてもよく、通信部532を介して外部機器や外部のサーバ等から取得した映像、画像、音声、各種データなどを記録してもよい。ストレージ部570に記録された映像、画像、各種データなどは、表示素子502と投射光学系501を介して投射映像として出力すればよい。ストレージ部570に記録された音声は音声出力部540から音声として出力すればよい。
【0032】
以上説明したように、映像投射装置500には様々な機能を載せることが可能である。しかしながら、映像投射装置500は必ずしも上述した構成の全てを有する必要はない。映像を投射する機能があればどのような構成でもよい。
【0033】
図6は像面も含めた投映器の光線図である。図において、図示しないLED等からなる光源から出射して映像表示素子を透過した映像光は、フィルタ等を通過し、各種のレンズ系で屈折作用を受け、更には、構成に応じて反射作用を受けた後で、像面8(路面等)に投射される。
【0034】
このように、上述した映像投射装置500では、投射距離700mmに対して、投射像の範囲の長辺の長さが10061-542=9519≒9520mmなので、投射比は700/9520≒0.07という、かつてない大幅な広角化を実現している。
【0035】
なお、上記では1台の映像投射装置500とその投射光学系について述べたが、上述したように、本発明では1台または複数台(一対)の投映器を車両に搭載し(あるいはヘッドライトやテールランプに一体に組み込み)、所望の映像を路面等に投射するものであってもよい。その際、特に上記図1(A)や図2(A)に示すように、複数台(一対)の映像投射装置による場合には、各映像投射装置から同一の映像を路面等に投射してもよく(その場合、図5の表示素子502には同じ映像が表示される)、または左右の映像投射装置から異なる映像を投射して路面等で合成してもよい(その場合、図5の表示素子502には、所望の映像を左右に分割した映像が表示される)。
【0036】
また、上記では、路面等に映像を投射する映像投射装置として、透過型の液晶映像表示素子を使用した構成について説明したが、本発明ではこれに限定されることなく、当該映像投射装置としては、その他、例えばDLP(デジタルライトプロセッシング)装置などのマイクロミラーからなる反射型の映像投射装置、光変調可能な面状の発光ダイオードからの映像光を投射光学系を介して投射することの可能な映像投射装置など、各種の映像投射装置を使用することも可能である。即ち、本発明では当該映像投射装置により、所望の映像を路面等に投射することが可能となればよい。
【0037】
<路面等への投射映像>
続いて、以上に詳細を説明した映像投射装置を、一例として上述のように車体の前方および/または後方に搭載し、以って車両情報との関係により路面等に投射される各種の映像の具体例について、以下、図7~19を参照しながら、詳細に説明する。
【0038】
図7には、車両10の運転時に右折/左折で方向指示器(ウィンカー、あるいはターンシグナルとも言う)を点灯/点滅させた場合、車両前方の路面に矢印を投射する形態を示している。この場合、上記図4に示す方向指示器センサー51からの信号に基づき、映像投射装置は、自車両の進行方向を示す映像である矢印200を車両前方の路面に投射する(図7(A))。それと共に、更に映像投射装置は、車速センサー54から入力される自車両の走行速度、そしてハンドル操舵角センサー52から入力されるハンドルの操舵角に基づいて、当該車両前方の路面に投射した矢印200を点滅させる(図7(B))。なお、その際、ターンシグナルの点滅に連動(同期して、または交互に)してもよく、または当該矢印200が点滅する周期を可変とし、当該点滅周期を、入力された走行速度やハンドルの操舵角に応じて設定することも可能である。
【0039】
かかる路面等への投射映像によれば、周囲に存在する他車のドライバーや歩行者に対して自車両の進行方向だけではなく、自車両の運転情報(この場合、車速とハンドル操舵角)に基づいて表示方法を設定(この場合、点滅と点滅周期)することにより、周囲のドライバーや歩行者に対してより確実に提示(警告)し、高い安全性を確保することを可能としている。その際、図1(A)、図2(A)の例のように一対の映像投射装置が組み込まれている場合には、それぞれの投射映像を合わせ大きな映像を表示することで、更に安全性を高めることができるし、それぞれで異なる対象に対して異なる投射映像や情報を表示することも可能となる。なお、実施例では矢印を用いて説明したが、これに限らず、方向を示す形状や文字情報等であってもよい。また、実施例では表示するマーク自体を投射した例を示したが、マークを除く周囲部を投射し反転させたマークを表示してもよい。
【0040】
更には、図8にも示すように、ドライバーのハンドル操作に応じて矢印の湾曲状態を変えるようにしてもよい。即ち、例えば、ドライバーが実際にハンドル操作をする前には、車両の進行方向を示す矢印は直線の矢印210とし(図8(A))、実際にハンドル操作をした時、矢印を操舵角に応じた曲線の矢印200(図8(B))とすることによれば、車両の運転情報を周囲のドライバーや歩行者に対してより確実に提示することが可能となる。
【0041】
更には、上記の図において、その表示内容を上記の矢印に代え、例えば、危険を知らせるマーク230(以下の図15(A)を参照)や曲線からなる進入軌跡220(以下の図12(B)を参照)とし、更にはその表示位置を変えて(例えば、走行速度に従って離れた位置に、または操舵方向に移動した位置に)表示することも可能である。加えて、右折/左折でウィンカーを点灯/点滅させる場合、ターンシグナルと同色の矢印200を点灯/点滅し、または右折/左折でマーク(矢印200)の表示位置を変える(左側または右側によせる)ことも可能である。更には、ウィンカー点灯/点滅有無を検知し、ハンドルと連動して、ウィンカーが点灯/点滅している場合に上記矢印200による右折/左折の表示を行うようにすることもできる。
【0042】
図9は、車庫入れに際しハンドルを操作した場合の表示の例を示しており、自車両10の後方に進行方向を示す矢印200を表示すると共に、自車両10の進行範囲を表示するための矩形の枠220を表示している。なお、この場合、矢印200だけを、または矩形の枠220だけを表示してもよく、更には操舵角に応じて矢印に代え危険を知らせるマーク230(以下の図15(A)を参照)などを表示してもよい。
【0043】
かかる路面等への投射映像によれば、特に車庫入れの際、周囲のドライバーや歩行者に対してより確実に提示(警告)して、高い安全性を確保することを可能としている。
【0044】
続いて、図10には、上記と同様、右折/左折でウィンカーを点灯/点滅させた場合において、GPSやナビと連動させ、自車両から交差点までの距離に応じて、マーク(矢印200)を表示する位置までの距離を変更させる例を示している。この例では、自車両10から交差点までの距離が遠い場合にはマーク(矢印200)を遠くに表示し、交差点へ近づくに従って、その表示位置を自車両10に近づくように、即ち自車両から交差点までの距離に応じて表示位置を設定する。
【0045】
また、上記の例において、交差点までの距離に応じてマーク(矢印200)の色や形状を変えることも可能である。例えば、図11(A)~(C)にも示すように、交差点までの距離に応じて、マーク(矢印200)のサイズ(より具体的には、「L」字形状の右折/左折用の矢印200)を徐々に大きくし、またはマーク(矢印200)の色を、青⇒黄⇒赤のように変えることもできる。また、マーク(矢印200)を大きく表示/点滅させることもできる。
【0046】
かかる路面等への投射映像によれば、周囲のドライバーや歩行者にとっては、自車両の進行方向が認識しやすく、また自車両のドライバーにとっても交差点での自車両が進入すべき経路が認識しやすく、より高い安全性を確保することが可能となる。
【0047】
また、特に比較的広い車道を複数の車両が並んで走行するような場合には、図12(A)にも示すように、マーク(直線の矢印)210を隣接する車線の路面にもかかるように表示し、または図12(B)に示すように、当該矢印に代えて、軌跡を表示する斜めに曲がった平行な複数本(本例では、2本)の直線、または曲線からなる進入軌跡220を表示してもよい。これらの場合、特に車線の変更時において、隣接する車線を走行する後続車のドライバーに対しても、自車両の進行方向をより確実に認識させる(警告)ことができ、高い安全性を確保することを可能とする。なお、その際、車線変更に伴ってウィンカーを点灯/点滅させた場合、ウィンカーの点灯/点滅時間が右左折時に比べて短いため、上述した投射表示が間に合わない、あるいは投射時間が短すぎる場合が想定されるが、かかる場合には、投射表示させるまでの処理方法を単純化(例えば、ステップ数の低減等)して時差を減らすことや、所定時間以上は投射表示を継続させる(ウィンカーをOFFしても所定時間は投射表示がOFFされない等)ことで短い投射時間に対応することができる。または、ウィンカーの指示操作を間違えた場合を想定し、所定時間以上ウィンカーを点灯/点滅させない場合には、投射表示させないようにしてもよい。
【0048】
続いて、上記図4にも示したカメラ61により撮像されて画像処理部62を介して配光制御ECU40に入力される映像信号を利用した路面等への投射映像について以下に説明する。
【0049】
図13にも示すように、自車両10上では、当該カメラ61によってドライバーの死角となる側面領域(図では、車の左側面の斜線部で示す領域)を撮影しており、そして、当該死角領域である隣接する車線において後方を走行する他車10’を検知した場合には、自車両10のECU40は、上述した矢印などのマークに代えて、当該自車両の後方を走行する他車10’の映像300を進行方向前方の路面等に投射する。
【0050】
このような映像300の表示によれば、運転中のドライバーは、通常では気付き難い、後方を走行する他車10’を確実に認識する(気付く)ことができることから、特に車線変更時等における安全な運転に資することが可能となる。
【0051】
また、図14にも示すように、駐車状態の自車両10が発進する場合には、当該自車両が発進しようとする方向に向けて、路面等に自車両の映像310を投射することによれば、周囲のドライバーや歩行者に対してより確実に提示(警告)して、高い安全性を確保することを可能にする。
【0052】
更には、図15にも示すように、自車両10が後退する場合や、ハザード連動注意喚起の場合において、車両の後方の路面等に危険を知らせるマーク230を投射し(図15(A))、または車両の前後の路面等に「後退中」の文字240を投射してもよい(図15(B))。かかる映像の投射によれば、特に駐車時において、周囲のドライバーや歩行者に対してより確実に提示(警告)し、高い安全性を確保することが可能となる。
【0053】
また、図16に示すように、駐車するために自車両10を後退(バック走行)する場合など、ハンドルの操作に応じて、当該自車両が駐車しようとする位置に駐車のためのスペースを示すマーク250(例えば、矩形の赤色の面等)を投射して表示することもできる。
【0054】
加えて、トンネル、高速道路走行時や一般道走行時等において、その表示内容を変えるようにすることも可能である。例えば、図17にも示すように、ドライバーの注視点は走行速度によって変化するため、直線の矢印210を自車両10の走行速度に応じて設定される投射距離に投射するようにする。例えば、低速時には近距離に(図17(A))、中速時には中距離に(図17(B))、そして高速時には遠距離に(図17(C))投射する。
【0055】
更には、図18に示すように、走行速度に応じてドライバーの視野角が変化するため(例えば時速40kmで100度、時速100kmで40度と速いほど狭くなる)、低速時は視野角の範囲が広角(図18(A)の斜線部260)となることから、これに合わせて広角表示し、高速時には視野角の範囲が狭角(図18(B)の斜線部270)となることから、これに合わせて表示するように設定してもよい。
【0056】
また、特にトンネル内での走行時には、高速道路や一般道での走行時とは異なる表示内容とすることも可能である。例えば図19に示すように、トンネル内では周囲光の明るさの急激な変化やスモールライトの点灯と同期させて、表示内容(本例では、直線の矢印210の色を)を変更(色換え)してもよく、またはトンネル内ではトンネル内照明によりマーク(矢印210)の見えづらい色を意識的に強く照射することも考えられる。
【0057】
なお、この場合には、上述した照度センサー57や色度センサー58からの信号を利用して、上述した配光制御ECU40により表示内容である直線の矢印210の色を適宜設定するようにすればよい。また、トンネル内の走行において、ドライバーがライト点灯しない場合には、外光変化またはトンネル内の照明光を検知してモードの切替え(具体的には、ライトを点灯に切替える)を行うこともできる。更に、高速道路のトンネル内での走行時において、車速センサー54からの信号をも利用することによれば、一定時間の平均走行速度を検知し、当該平均走行速度をも考慮しながら、車両の運転情報にとって最適な表示内容を投射するようにすることも可能となる。より具体的には、高速道路走行中であることを一定時間の平均走行速度から認識する。トンネル走行時の表示方法は、例えば、夕方/夜間の表示状態と同様とすればよい。また、高速道路走行中であっても渋滞時は一般道モードに戻ってしまうため、ナビゲーション装置と連動したり、あるいは高速道路から出たかを確認するステップを設けるなどが考えられる。
【0058】
なお、以上には本発明の種々の実施例を説明したが、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するためにシステム全体を詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、またある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【0059】
また、上記の各構成、機能、処理部、処理手段等は、それらの一部または全部を、例えば集積回路で設計する等によりハードウェアで実現してもよい。また、上記の各構成、機能等は、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによりソフトウェアで実現してもよい。各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリや、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)等の記録装置、または、ICカード、SDカード、DVD等の記録媒体に置くことができる。
【0060】
更に加えて、以上で説明した種々の実施例を含む本発明の内容について、以下に要約して示す。
【0061】
(1)右折/左折でウィンカーを点灯/点滅させた場合、速度/舵角に応じて点滅周期を可変とする。
(2)右折/左折でハンドルを動かした場合、舵角に応じて表示内容/表示位置を可変とする(例えば、ウィンカー起動時は斜めマークとし、舵角が大きくなるとL字マークに変わる)。
(3)車庫入れ、駐車でハンドルを動かした場合、舵角/ギアに応じて進行範囲を表示/矢印を変更する。
(4)右折/左折でウィンカーを点灯/点滅させた場合、投射映像をターンシグナルの点灯/点滅に連動(同期または交互)させる。
(5)右折/左折でウィンカーを点灯/点滅させた場合、ターンシグナルと同色の点灯/点滅とする。
(6)右折/左折でウィンカーを点灯/点滅させた場合、右折/左折でマークの表示位置を変える。
(7)右折/左折でハンドルを動かした場合、ウィンカー点灯/点滅有無を検知し、ウィンカー点灯/点滅の場合は右折/左折を示す表示をする(即ち、ウィンカー、および/またはハンドルとの連動)。
(8)右折/左折でウィンカーを点灯/点滅させた場合、GPSやナビと連動させ、交差点までの距離に応じてマークの表示距離を変更させる(例えば、交差点までの距離が遠い場合には自車両から遠くに表示し、交差点が近くなるにつれて表示を自車両に近づける)。
(9)右折/左折でウィンカーを点灯/点滅させた場合、交差点までの距離に応じてマークの色や形状を変える(例えば、青⇒黄⇒赤。あるいは徐々にサイズを大きくする)。
(10)右折/左折でウィンカーを点灯/点滅させた場合、右折/左折用矢印(例えば、L字)を大きく表示/点滅させる。
【0062】
(11)車線変更でウィンカーを点灯/点滅させた場合、矢印を右折/左折をイメージさせるL字にせず、直線矢印を斜めに表示させる。
(12)車線変更でウィンカーを点灯/点滅させた場合、左右斜め前方にマークを表示することで後続車に見えるように表示する。
(13)車線変更でウィンカーを点灯/点滅させた場合、矢印ではなく車の軌跡を表示させることで自車両が入る場所を明確化する。
(14)車線変更でウィンカーを点灯/点滅させた場合、変更しようとする車線のカメラの画像を映す(例えばドライバーの死角となる側面の画像など)。
(15)車線変更でウィンカーを点灯/点滅させた場合、ウィンカー点灯/点滅時間が右左折時に比べて短いので、投射表示が間に合わない、あるいは投射時間が短すぎる可能性があるため、投射表示させるまでの処理方法を単純化して時差を減らすことや、所定時間以上は投射表示を継続させる必要がある。
(16)ウィンカーの指示操作を間違えた場合を想定して、例えば所定時間以降ウィンカーを点灯/点滅させないと投射表示させない。
(17)車庫入れ、駐車でハンドルを動かした場合、任意時間の平均走行速度を検知し、検知結果に応じて右折/左折のL字表示はさせない(即ち、右折/左折で減速する場合との切り分け)。
(18)車庫入れ、駐車でハンドルを動かした場合、アラートを表示する(例えば前後左右のいずれかあるいは全部)。
(19)車庫入れ、駐車でハンドルを動かした場合、ハザードに連動して注意喚起表示する。
【0063】
(20)車庫入れ、駐車でハンドルを動かした場合、周辺歩行者等への注意喚起表示する(主にバック時など)。
(21)車庫入れ、駐車でハンドルを動かした場合、赤色などで駐車エリアを点灯/点滅表示させる(駐車モード)。
(22)トンネル、高速道路走行時と一般道で表示内容を変える。それぞれ速度に応じてマークの投射距離を変える。
(23)トンネル、高速道路走行時と一般道走行時で表示内容を変える。走行速度に応じてドライバーの視野角が変化するため、低速時は広角に表示し高速時には狭角に表示する。
(24)トンネル、高速道路走行時と一般道走行時で表示内容を変える。トンネルではスモールライトの点灯と同期させて表示内容を変更する(色換え)。また、ドライバーがライトを点灯しない場合は外光変化またはトンネル内照明を検知してトンネル走行中であることを認識する。高速道路走行中であることを一定時間の平均走行速度から認識する。トンネル走行時の表示方法は、例えば夕方/夜間の表示状態と同様とすればよい。また、高速道路走行中であっても渋滞時は一般道モードに戻ってしまうため、ナビゲーション装置と連動したり、あるいは高速道路から出たかを確認するステップを設ける。
(25)トンネル内での走行では、トンネル内照明では見えづらい色を意識的に強く照射する。あるいは見えやすい色を照射する。
【0064】
また、上記(5)に関連し:
(26)映像ソース入力からの表示モードと走行時等の表示モードで光源OFFのタイミングを変える(例えば、走行時等の表示モードでは運転状況に応じて映像投射装置のON/OFFを切替え、映像ソース入力からの表示モードでは、映像投射装置は常時ONとする)。映像ソース入力からの表示モードではヘッドライトはOFFとし、映像投射装置はONとする。そして走行時等の表示モードではヘッドライトも映像投射装置もONとする。
(27)必要な時に映像投射装置の光源をONとし、それ以外はOFFとする。
(28)エンジンOFF時でも光源はONを可能とする。またはエンジンOFF時は映像投射装置を起動しない。
(29)エンジンOFF時は機能を制限する(例えば、セキュリティや警告はONとし、それ以外(例えば映像ソース入力からの表示)はしない等)。
(30)エンジンOFF時は光源の電力を省エネモードとする。
【0065】
<投射映像と車の挙動>
更に、車両と投射映像とが個別に動いた場合には、投射映像を見ている人間(例えば、歩行者や相手方のドライバー等の他者)の注意が分散してしまい、そのため、投射映像の視認が難しくなる。
【0066】
より具体的には、例えば、交差点において、自車両が右折または左折しようとして交通信号が赤であるため一旦停止した場合、例えば矢印などを含む、自車両が進む方向を示す映像を、自車両の前方(交差点)の路面上に投射する。また、その際には、投射映像を見ている他者(例えば、歩行者や相手方のドライバー等の他者)の注意を喚起する目的で、自車両が進む方向を示す映像である矢印などを表示することが効果的である。
【0067】
しかしながら、この場合、車両の発進に伴って投射映像も同時に移動し、即ち、車両と投射映像の両者が動いた場合には、投射映像を見ている他者は、むしろ混乱を生じてしまい、本来の目的を達成できない場合がある。そこで、この他の実施例では、自車両の挙動に合わせて投射映像の路面上での投射位置の静/動を、適宜、切替える。
【0068】
より具体的な実施例を、図20および21に示す。まず、図20には、自車両10が交差点において停車している様子を示しており、この場合、自車両の前方の路面上に、自車両が進む方向を示す映像を投射する。なお、この例では、図20(A)~(C)から明らかなように、歩行者や対向する車両のドライバーに自車両の進行方向への注意をより促す目的で、自車両の進行方向を示す(本例では、右折)矢印200を表示し、遠方や死角からの視認性をも高めることを目的として、動画像(例えば矢印200を点滅させる)として表示する。なお、その際、自車両は交差点の直前で停止していることから、映像の路面上での投射位置は静止している。また、この動画像による矢印200は路面上でも識別が容易な色光(例えば、赤)で描かれることが好ましい。
【0069】
図21は、自車両10が交差点において始動して交差点内に進入して通過する際の様子を示している。この場合、自車両前方の路面上に投射された矢印200の位置は、初期の表示位置において静止したままである。即ち、この場合には、図20(A)~(C)から明らかなように、車両両10は、路面上に投射された矢印200に沿って移動し、あたかも、自車両10が矢印200の上を踏んで走行するかのように、矢印200の表示が行われる。なお、これらの図20および21においては、図示を簡略化するため、歩行者や対向する車両、更には、横断歩道などは省略されている。
【0070】
また、この実施例では、上記図3図4に示した配光制御ECU40とその周辺要素の詳細において、配光制御ECU40は、例えば、ハンドル操舵角センサー52、車速センサー54、アクセル操作センサー55等からの信号を取り込み、これらの信号に基づいて、自車両10の挙動を把握すると共に、自車両10の現在の位置を演算する。他方、自車前方の路面上に投射される矢印200については、その位置が静止したままとなるように表示されるように補正するための演算を行うことができる。そして、図5に示した表示素子502上に発生する映像を、表示素子駆動部503を介して変更して投射することにより、あたかも、矢印200は静止したままであり、この矢印に沿って自車両10が移動するような表示を実現することができる。
【0071】
即ち、特に、自車両10が交差点などにおいて停止して、その進行方向を矢印200等により表示した後には、当該矢印200の表示位置は、自車両10の移動に連動させず、その表示位置が出来る限り変動しないよう、車速パルスやハンドルの舵角等によって自車両10の位置を把握し、初期表示位置に留まるのに必要な補正を行うことにより、映像の表示位置を車両の動きに連動させることなく固定化することが可能となる(即ち、映像の路上での表示位置を固定/移動することが可能となる)。なお、ここで、固定化のトリガとしては、自車両10が停止状態から走行状態となった場合や、ハンドルを切り始めた場合(所定の舵角を検知した場合)、あるいはそれらの組合せとする。また、表示素子502上に発生する映像への必要な補正を行わない場合には、映像の表示位置を車両の動きに連動することとなる。このように、配光制御ECU40は、各種センサーなどからの信号により自車両10の挙動を把握すると共に、映像の路上での表示位置の固定/移動を決定する。
【0072】
以上にも述べたように、自車両の挙動に合わせて、路面上に投射される映像の静/動を切替える、より具体的には、自車両の停止時には投射映像を動かすこと(矢印200の動画)により、他者(歩行者や相手方のドライバー等)の注意を喚起する。逆に、自車両が移動(走行)している場合には、投射映像を静止させる(路面上の投射位置も固定)ことで注目を自車両へ移すことにより、注意の分散を回避して、安全性の向上を図ることができることとなる。
【0073】
以上に詳述した実施例では、特に、交差点において自車が右折または左折しようとする場合の自車両の移動方向の表示について詳細に述べたが、更には、その他の場合においても、同様にして実施することも可能である。その一例として、例えば上記図9に示したように、車庫入れに際してハンドルを操作した場合の表示にも、同様に、適用することもできる。なお、その場合、自車両10の後方に進行方向を示す矢印200を表示すると共に、自車両10の進行範囲を表示するための矩形の枠220を表示するが、当該矢印200を、上記の実施例と同様に、動画によって表示することにより、周囲のドライバーや歩行者に対してより確実に提示(警告)して、より高い安全性を確保することが可能となる。そして、その際にも、自車両が後方に向かって移動しても、後方の路面上に投射された矢印200を含む表示の位置は、初期の位置において静止したままとする(固定化)。
【0074】
このことによれば、上記の実施例と同様に、矢印200を動画として表示することにより、周囲のドライバーや歩行者に対してより確実に注意を喚起することが可能となり、且つ、実際に車両が後進した際における映像と自車両の間の混乱を回避してより高い安全性を確保することを可能にする。
【0075】
更には、例えば上記の図15にも示すように、自車両10が後退する場合や、ハザード連動注意喚起の場合において、車両の後方の路面等に投射する危険を知らせるマーク230(図15(A))、または、車両の前後の路面等に投射する「後退中」の文字240(図15(B))等についても、これらを動画として表示することにより、周囲のドライバーや歩行者に対してより確実に注意を喚起することが可能となる。但し、これらの場合、特に、図15(A)の場合には、車両が発進する際には、既に、危険を知らせるマーク230の表示は不要となっており、その表示は行わない。また、図15(B)に示す「後退中」の文字240の表示の場合には、後退中の車両の移動と共に、当該文字240の表示を移動してもよく、または、これに代えて、上記の実施例と同様に、その表示位置を固定としてもよい。かかる映像の表示によれば、特に駐車時において、周囲のドライバーや歩行者に対してより確実に提示(警告)し、高い安全性を確保することが可能となる。即ち、上記の実施例では、車両の進行方向を示す表示として、主に、矢印を用いて説明したが、本発明では、これに限らず、その他の方向を示す形状や文字情報等であってもよい。
【符号の説明】
【0076】
10…自車両(乗用車)、10’…他車、11…ヘッドライト、12…窓部、13、13’…テールランプ、40…配光制御ECU、51…方向指示器センサー、52…ハンドル操舵角センサー、53…シフトポジションセンサー、54…車速センサー、55…アクセル操作センサー、56…ブレーキ操作センサー、57…照度センサー、58…色度センサー、59…エンジン始動センサー、60…ハザードランプセンサー、61…カメラ、62…画像処理部、63…GPS受信部、64…地図情報出力部、66…ヘッドライトセンサー、67…ハイ/ローセンサー、100…投映器、110…投映信号出力部、120…制御部、500…映像投射装置、501…投射光学系、502…表示素子、503…表示素子駆動部、504…照明光学系、505…光源、531…映像信号入力部、533…音声信号入力部、532…通信部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
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