(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024161145
(43)【公開日】2024-11-15
(54)【発明の名称】仮製造実績データ生成装置、仮製造実績データ生成方法および仮製造実績データ生成プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/04 20120101AFI20241108BHJP
【FI】
G06Q50/04
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024146117
(22)【出願日】2024-08-28
(62)【分割の表示】P 2021073116の分割
【原出願日】2021-04-23
(71)【出願人】
【識別番号】398040527
【氏名又は名称】株式会社オービック
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤澤 翼
(72)【発明者】
【氏名】上野 剛光
(57)【要約】
【課題】製造の進捗度に応じて、製品の個数、製品の原価、原料の個数及び原料の原価を管理する仮の製造実績データである仮製造実績データを生成できる仮製造実績データ生成装置等の提供を課題とする。
【解決手段】本実施形態では、(1)自動取得した製造指示量、入力された進捗率及び自動取得した所定時点製造量に基づき、所定時点での製品の仮の出来高を算出し、(2)当該算出した仮の出来高及び自動取得した製品原価単価に基づき、所定時点での製品の仮の原価金額を算出し、(3)自動取得した投入指示量、入力された進捗率及び自動取得した所定時点投入量に基づき、所定時点での原料の仮の残り使用量を算出し、(4)当該算出した仮の残り使用量及び自動取得した原料原価単価に基づき、所定時点での原料の仮の残り原価金額を算出し、(5)前記算出した(1)~(4)の値を有する仮レコード及び打消し用の赤レコードを含む仮製造実績データを生成する。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御部および記憶部を備え、原料が投入されてから製品が完成するまでの間における所定時点での仮の製造実績データである仮製造実績データを生成することができる仮製造実績データ生成装置であって、
前記記憶部には、
製造指示を識別するための製造指示識別データと、前記製品を識別するための製品識別データと、前記製品の製造指示量と、前記製造指示量の前記製品を製造するのに必要な前記原料の投入指示量と、を含む製造指示データと、
前記製造指示識別データと、前記製品識別データと、前記所定時点での前記製品の製造量である所定時点製造量と、前記製品の原価単価である製品原価単価と、前記投入指示量と同じ前記所定時点での前記原料の投入量である所定時点投入量と、前記原料の原価単価である原料原価単価と、を含む製造実績データと、
が格納されており、
前記制御部は、
前記所定時点での前記製品の製造の進捗率を入力するための進捗率入力画面において、前記製造指示識別データ、前記製品識別データおよび前記進捗率が入力されると、前記製造指示データから、前記入力された製造指示識別データおよび製品識別データと紐づく製品の製造指示量および原料の投入指示量を取得し、前記製造実績データから、前記入力された製造指示識別データおよび製品識別データと紐づく所定時点製造量、製品原価単価、所定時点投入量および原料原価単価を取得する取得手段と、
前記取得手段で取得した製品の製造指示量、前記入力された進捗率および前記取得手段で取得した所定時点製造量に基づいて、前記所定時点での前記製品の仮の出来高である製品仮出来高を算出する製品仮出来高算出手段と、
前記製品仮出来高算出手段で算出した製品仮出来高および前記取得手段で取得した製品原価単価に基づいて、前記所定時点での前記製品の仮の原価金額である製品仮原価金額を算出する製品仮原価算出手段と、
前記取得手段で取得した原料の投入指示量、前記入力された進捗率および前記取得手段で取得した所定時点投入量に基づいて、前記所定時点での前記原料の仮の残り使用量である原料仮残使用量を算出する原料仮残使用量算出手段と、
前記原料仮残使用量算出手段で算出した原料仮残使用量および前記取得手段で取得した原料原価単価に基づいて、前記所定時点での前記原料の仮の残り原価金額である原料仮残原価金額を算出する原料仮残原価算出手段と、
前記入力された製造指示識別データと、前記入力された製品識別データと、前記製品仮出来高算出手段で算出した前記製品仮出来高と、前記製品仮原価算出手段で算出した前記製品仮原価金額と、前記原料仮残使用量算出手段で算出した前記原料仮残使用量と、前記原料仮残原価算出手段で算出した前記原料仮残原価金額と、を有する仮レコードと、当該仮レコード中の数値を打ち消して在庫情報上の整合をとるための赤レコードと、を含む前記仮製造実績データを生成する仮製造実績データ生成手段と、
を備えること、
を特徴とする仮製造実績データ生成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、仮製造実績データ生成装置、仮製造実績データ生成方法および仮製造実績データ生成プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、其々センサ機器を接続した受入管理装置、計量管理装置、および投入管理装置のうちの少なくとも二つの管理装置をクライアントとして、製造情報にかかるデータベースを接続したサーバーを備えた製造管理システムにおいて、前記サーバーは一の管理装置から送信される事象通知を受信して、前記データベースを更新することで、他の管理装置は当該事象にかかる製造情報を閲覧し確認することを特徴とする製造管理システムが開示されている(特許文献1の0010段落参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載のように、製品(例えば、化学製品や工業製品)を製造する業界においては、最初に原料すべてを投入し、製品が出来上がるまでに数か月という長い期間を要することがある。
【0005】
つまり、製品が1個ずつ順次出来上がっていくという製造の態様ではないため、製造の進捗度に応じて、製品の個数、製品の原価、原料の個数および原料の原価を管理することができなかった。また、できたとしても、手動で行う必要があり大変な手間と時間を要していた。
【0006】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであって、製造の進捗度に応じて、製品の個数、製品の原価、原料の個数および原料の原価を管理する仮の製造実績データである仮製造実績データを生成することができる仮製造実績データ生成装置、仮製造実績データ生成方法および仮製造実績データ生成プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る仮製造実績データ生成装置においては、制御部および記憶部を備え、原料が投入されてから製品が完成するまでの間における所定時点での仮の製造実績データである仮製造実績データを生成することができる仮製造実績データ生成装置であって、前記記憶部には、製造指示を識別するための製造指示識別データと、前記製品を識別するための製品識別データと、前記製品の製造指示量と、前記製造指示量の前記製品を製造するのに必要な前記原料の投入指示量と、を含む製造指示データと、前記製造指示識別データと、前記製品識別データと、前記所定時点での前記製品の製造量である所定時点製造量と、前記製品の原価単価である製品原価単価と、前記投入指示量と同じ前記所定時点での前記原料の投入量である所定時点投入量と、前記原料の原価単価である原料原価単価と、を含む製造実績データと、が格納されており、前記制御部は、前記所定時点での前記製品の製造の進捗率を入力するための進捗率入力画面において、前記製造指示識別データ、前記製品識別データおよび前記進捗率が入力されると、前記製造指示データから、前記入力された製造指示識別データおよび製品識別データと紐づく製品の製造指示量および原料の投入指示量を取得し、前記製造実績データから、前記入力された製造指示識別データおよび製品識別データと紐づく所定時点製造量、製品原価単価、所定時点投入量および原料原価単価を取得する取得手段と、前記取得手段で取得した製品の製造指示量、前記入力された進捗率および前記取得手段で取得した所定時点製造量に基づいて、前記所定時点での前記製品の仮の出来高である製品仮出来高を算出する製品仮出来高算出手段と、前記製品仮出来高算出手段で算出した製品仮出来高および前記取得手段で取得した製品原価単価に基づいて、前記所定時点での前記製品の仮の原価金額である製品仮原価金額を算出する製品仮原価算出手段と、前記取得手段で取得した原料の投入指示量、前記入力された進捗率および前記取得手段で取得した所定時点投入量に基づいて、前記所定時点での前記原料の仮の残り使用量である原料仮残使用量を算出する原料仮残使用量算出手段と、前記原料仮残使用量算出手段で算出した原料仮残使用量および前記取得手段で取得した原料原価単価に基づいて、前記所定時点での前記原料の仮の残り原価金額である原料仮残原価金額を算出する原料仮残原価算出手段と、前記入力された製造指示識別データと、前記入力された製品識別データと、前記製品仮出来高算出手段で算出した前記製品仮出来高と、前記製品仮原価算出手段で算出した前記製品仮原価金額と、前記原料仮残使用量算出手段で算出した前記原料仮残使用量と、前記原料仮残原価算出手段で算出した前記原料仮残原価金額と、を有する仮レコードと、当該仮レコード中の数値を打ち消して在庫情報上の整合をとるための赤レコードと、を含む前記仮製造実績データを生成する仮製造実績データ生成手段と、を備えること、を特徴とする。
【0008】
また、本発明に係る仮製造実績データ生成装置においては、前記製品仮出来高算出手段は、前記取得手段で取得した製品の製造指示量に前記入力された進捗率を乗じて100を掛けた値から、前記取得手段で取得した所定時点製造量を差し引くことにより、前記製品仮出来高を算出すること、を特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る仮製造実績データ生成装置においては、前記原料仮残使用量算出手段は、前記取得手段で取得した原料の投入指示量に前記入力された進捗率を乗じて100を掛けた値から、前記取得手段で取得した所定時点投入量を差し引くことにより、前記原料仮残使用量を算出すること、を特徴とする。
【0010】
また、本発明に係る仮製造実績データ生成装置においては、前記赤レコードが、前記入力された製造指示識別データと、前記入力された製品識別データと、前記仮レコードが有する正の値の前記製品仮出来高を負の値に反転させた値と、前記仮レコードが有する正の値の前記製品仮原価金額を負の値に反転させた金額と、前記仮レコードが有する負の値の前記原料仮残使用量を正の値に反転させた値と、前記仮レコードが有する負の値の前記原料仮残原価金額を正の値に反転させた金額と、を有すること、を特徴とする。
【0011】
また、本発明に係る仮製造実績データ生成装置においては、前記所定の時点が、ある月の月末時点であり、前記仮レコードが、当該月末に生成され、前記赤レコードが、当該月末の翌月の初めに生成されること、を特徴とする。
【0012】
また、本発明に係る仮製造実績データ生成装置においては、前記製品が、前記原料が投入されてから完成するまで長期間を要するものであること、を特徴とする。
【0013】
また、本発明に係る仮製造実績データ生成方法においては、制御部および記憶部を備える情報処理装置で実行される、原料が投入されてから製品が完成するまでの間における所定時点での仮の製造実績データである仮製造実績データを生成することができる仮製造実績データ生成方法であって、前記記憶部には、製造指示を識別するための製造指示識別データと、前記製品を識別するための製品識別データと、前記製品の製造指示量と、前記製造指示量の前記製品を製造するのに必要な前記原料の投入指示量と、を含む製造指示データと、前記製造指示識別データと、前記製品識別データと、前記所定時点での前記製品の製造量である所定時点製造量と、前記製品の原価単価である製品原価単価と、前記投入指示量と同じ前記所定時点での前記原料の投入量である所定時点投入量と、前記原料の原価単価である原料原価単価と、を含む製造実績データと、が格納されており、前記制御部で実行される、前記所定時点での前記製品の製造の進捗率を入力するための進捗率入力画面において、前記製造指示識別データ、前記製品識別データおよび前記進捗率が入力されると、前記製造指示データから、前記入力された製造指示識別データおよび製品識別データと紐づく製品の製造指示量および原料の投入指示量を取得し、前記製造実績データから、前記入力された製造指示識別データおよび製品識別データと紐づく所定時点製造量、製品原価単価、所定時点投入量および原料原価単価を取得する取得ステップと、前記取得ステップで取得した製品の製造指示量、前記入力された進捗率および前記取得ステップで取得した所定時点製造量に基づいて、前記所定時点での前記製品の仮の出来高である製品仮出来高を算出する製品仮出来高算出ステップと、前記製品仮出来高算出ステップで算出した製品仮出来高および前記取得ステップで取得した製品原価単価に基づいて、前記所定時点での前記製品の仮の原価金額である製品仮原価金額を算出する製品仮原価算出ステップと、前記取得ステップで取得した原料の投入指示量、前記入力された進捗率および前記取得ステップで取得した所定時点投入量に基づいて、前記所定時点での前記原料の仮の残り使用量である原料仮残使用量を算出する原料仮残使用量算出ステップと、前記原料仮残使用量算出ステップで算出した原料仮残使用量および前記取得ステップで取得した原料原価単価に基づいて、前記所定時点での前記原料の仮の残り原価金額である原料仮残原価金額を算出する原料仮残原価算出ステップと、前記入力された製造指示識別データと、前記入力された製品識別データと、前記製品仮出来高算出ステップで算出した前記製品仮出来高と、前記製品仮原価算出ステップで算出した前記製品仮原価金額と、前記原料仮残使用量算出ステップで算出した前記原料仮残使用量と、前記原料仮残原価算出ステップで算出した前記原料仮残原価金額と、を有する仮レコードと、当該仮レコード中の数値を打ち消して在庫情報上の整合をとるための赤レコードと、を含む前記仮製造実績データを生成する仮製造実績データ生成ステップと、を含むこと、を特徴とする。
【0014】
また、本発明に係る仮製造実績データ生成プログラムにおいては、制御部および記憶部を備える情報処理装置に実行させるための、原料が投入されてから製品が完成するまでの間における所定時点での仮の製造実績データである仮製造実績データを生成することができる仮製造実績データ生成プログラムであって、前記記憶部には、製造指示を識別するための製造指示識別データと、前記製品を識別するための製品識別データと、前記製品の製造指示量と、前記製造指示量の前記製品を製造するのに必要な前記原料の投入指示量と、を含む製造指示データと、前記製造指示識別データと、前記製品識別データと、前記所定時点での前記製品の製造量である所定時点製造量と、前記製品の原価単価である製品原価単価と、前記投入指示量と同じ前記所定時点での前記原料の投入量である所定時点投入量と、前記原料の原価単価である原料原価単価と、を含む製造実績データと、が格納されており、前記制御部に実行させるための、前記所定時点での前記製品の製造の進捗率を入力するための進捗率入力画面において、前記製造指示識別データ、前記製品識別データおよび前記進捗率が入力されると、前記製造指示データから、前記入力された製造指示識別データおよび製品識別データと紐づく製品の製造指示量および原料の投入指示量を取得し、前記製造実績データから、前記入力された製造指示識別データおよび製品識別データと紐づく所定時点製造量、製品原価単価、所定時点投入量および原料原価単価を取得する取得ステップと、前記取得ステップで取得した製品の製造指示量、前記入力された進捗率および前記取得ステップで取得した所定時点製造量に基づいて、前記所定時点での前記製品の仮の出来高である製品仮出来高を算出する製品仮出来高算出ステップと、前記製品仮出来高算出ステップで算出した製品仮出来高および前記取得ステップで取得した製品原価単価に基づいて、前記所定時点での前記製品の仮の原価金額である製品仮原価金額を算出する製品仮原価算出ステップと、前記取得ステップで取得した原料の投入指示量、前記入力された進捗率および前記取得ステップで取得した所定時点投入量に基づいて、前記所定時点での前記原料の仮の残り使用量である原料仮残使用量を算出する原料仮残使用量算出ステップと、前記原料仮残使用量算出ステップで算出した原料仮残使用量および前記取得ステップで取得した原料原価単価に基づいて、前記所定時点での前記原料の仮の残り原価金額である原料仮残原価金額を算出する原料仮残原価算出ステップと、前記入力された製造指示識別データと、前記入力された製品識別データと、前記製品仮出来高算出ステップで算出した前記製品仮出来高と、前記製品仮原価算出ステップで算出した前記製品仮原価金額と、前記原料仮残使用量算出ステップで算出した前記原料仮残使用量と、前記原料仮残原価算出ステップで算出した前記原料仮残原価金額と、を有する仮レコードと、当該仮レコード中の数値を打ち消して在庫情報上の整合をとるための赤レコードと、を含む前記仮製造実績データを生成する仮製造実績データ生成ステップと、を含むこと、を特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、製造の進捗度に応じて、製品の個数、製品の原価、原料の個数および原料の原価を管理する仮の製造実績データである仮製造実績データを生成することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、仮製造実績データ生成装置の構成の一例を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、原料の投入から製品の完成までのフローの一例を示すイメージ図である。
【
図3】
図3は、製造指示入力から仮出来高入力までのフローの一例を示す図である。
【
図4】
図4は、製造指示データの一例を示す図である。
【
図5】
図5は、パターン1の場合における製造実績データの一例を示す図である。
【
図6】
図6は、パターン1の場合における進捗率入力画面の一例を示す図である。
【
図7】
図7は、パターン1の場合に生成される仮製造実績データの一例を示す図である。
【
図8】
図8は、パターン1の場合に生成される仕訳の一例を示す図である。
【
図9】
図9は、パターン2の場合における製造実績データの一例を示す図である。
【
図10】
図10は、パターン2の場合における進捗率入力画面の一例を示す図である。
【
図11】
図11は、パターン2の場合に生成される仮製造実績データの一例を示す図である。
【
図12】
図12は、パターン2の場合に生成される仕訳の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、本発明に係る仮製造実績データ生成装置、仮製造実績データ生成方法および仮製造実績データ生成プログラムの実施形態を、図面に基づいて詳細に説明する。なお、本実施形態により本発明が限定されるものではない。
【0018】
[1.概要]
化学製品等の混ぜ物を1つの製造指示内で大量(例えば、数十~数百トン)に生産するメーカーでは、
図2に示すように、最初に使用原料をすべて投入する。このため、
図2に示すように、製品が出来上がるまでのリードタイムが長い(例えば、数か月)という特徴がある。つまり、製造開始のタイミングで原料は全て払出された状態となるが、製品出来高の実績計上には時間がかかってしまう。
【0019】
ここで、従来のシステムにおいては、実際の製造出来高および払出実績の登録しか行えなかったため、実際の製品がまだ全部は出来上がってない段階での月度単位での資産(原料、仕掛および製品等)推移の予測は、システム外で手動により行うしかなかった。また、手動による予測は時間も労力もかかるため、できたとしても単月のシミュレーションのみであった。
【0020】
そこで、本実施形態においては、例えば、製造指示に対して進捗率を基に、製造が完了する前に、製品受出来高および原料払出を含む仮の製造実績データを自動で生成できるようにした。この際、当月末に仮の製造実績データを生成し、翌月初めに仮の製造実績データの赤伝票を生成することで、在庫情報に影響を与えない仮の製造実績データとした。つまり、本実施形態においては、進捗率情報を入力するという簡易な操作により、自動で仮の製造実績データを生成できるようにした。
【0021】
これにより、例えば、当該生成した仮の製造実績データを用いて、管理会計上の仮想会社でシミュレーションを行えるようにした。また、例えば、実際の製品がまだ全部は出来上がってない段階での資産推移の予測をシステムで行えるようにすることで、作業をシンプルかつ簡易化させ、また、数か月先の予測までも可能とした。そして、例えば、製造リードタイムが長期化する製品の製造に対して、投入した原料を月末の見做し進捗率に応じて仕掛品から製造原価へ振り替えることによって、妥当性の高い仕掛品原価を早期に把握できるようにした。以下、具体的な構成および動作について説明する。
【0022】
[2.構成]
本実施形態に係る仮製造実績データ生成装置100の構成の一例について、
図1を参照して説明する。
図1は、仮製造実績データ生成装置100の構成の一例を示すブロック図である。
【0023】
仮製造実績データ生成装置100は、市販のデスクトップ型パーソナルコンピュータである。なお、仮製造実績データ生成装置100は、デスクトップ型パーソナルコンピュータのような据置型情報処理装置に限らず、市販されているノート型パーソナルコンピュータ、PDA(Personal Digital Assistants)、スマートフォン、タブレット型パーソナルコンピュータなどの携帯型情報処理装置であってもよい。
【0024】
仮製造実績データ生成装置100は、制御部102と通信インターフェース部104と記憶部106と入出力インターフェース部108と、を備えている。仮製造実績データ生成装置100が備えている各部は、任意の通信路を介して通信可能に接続されている。
【0025】
通信インターフェース部104は、ルータ等の通信装置および専用線等の有線または無線の通信回線を介して、仮製造実績データ生成装置100をネットワーク300に通信可能に接続する。通信インターフェース部104は、他の装置と通信回線を介してデータを通信する機能を有する。ここで、ネットワーク300は、仮製造実績データ生成装置100とサーバ200とを相互に通信可能に接続する機能を有し、例えばインターネットやLAN(Local Area Network)等である。なお、後述する各種マスタ等のデータは、例えばサーバ200に格納されてもよい。
【0026】
入出力インターフェース部108には、入力装置112および出力装置114が接続されている。出力装置114には、モニタ(家庭用テレビを含む)の他、スピーカやプリンタを用いることができる。入力装置112には、キーボード、マウス、及びマイクの他、マウスと協働してポインティングデバイス機能を実現するモニタを用いることができる。なお、以下では、出力装置114をモニタ114とし、入力装置112をキーボード112またはマウス112として記載する場合がある。
【0027】
記憶部106には、各種のデータベース、テーブルおよびファイルなどが格納される。記憶部106には、OS(Operating System)と協働してCPU(Central Processing Unit)に命令を与えて各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録される。記憶部106として、例えば、RAM(Random Access Memory)・ROM(Read Only Memory)等のメモリ装置、ハードディスクのような固定ディスク装置、フレキシブルディスク、および光ディスク等を用いることができる。
【0028】
記憶部106は、例えば、製造指示データ106aと、製造実績データ106bと、仮製造実績データ106cと、を備えている。
【0029】
本実施形態に係る仮製造実績データ生成装置100によれば、原料が投入されてから製品が完成するまでの間における所定時点での仮の製造実績データである仮製造実績データ106cを生成することができる。前記製品は、特に制限されないが、例えば、前記原料が投入されてから完成するまで長期間を要するもの(化学製品等)である。前記所定の時点とは、例えば、ある月の月末時点である。
【0030】
製造指示データ106aは、
図4に示すように、例えば、製造指示を識別するための製造指示識別データ(製造指示番号)と、製造開始日と、製造完了日と、前記製品を識別するための製品識別データ(製品)と、前記製品の製造指示量(製造量)と、前記原料を識別するための原料識別データ(使用原料)と、前記製造指示量の前記製品を製造するのに必要な前記原料の投入指示量(使用量)と、等を含む。
【0031】
製造実績データ106bは、
図5および
図9に示すように、例えば、会計年月と、前記製造指示識別データ(製造指示番号)と、前記製品識別データ(製品)と、前記所定時点での前記製品の製造量である所定時点製造量(製造量)と、前記製品の原価単価である製品原価単価と、前記製品の原価金額である製品原価金額と、前記原料識別データ(使用原料)と、前記投入指示量と同じ前記所定時点での前記原料の投入量である所定時点投入量(使用量)と、前記原料の原価単価である原料原価単価と、前記原料の原価金額である原料原価金額と、等を含む。
【0032】
仮製造実績データ106cは、本発明の特徴であり、前記製品の製造が完了していない時点における前記製品についての仮の出来高および仮の原価金額ならびに前記原料についての仮の残り使用量および仮の残り原価金額を把握するためのデータである。前記製品の原価は、前記製品が完成して初めて計上することができるが、前記製品の完成までには数か月もの期間を要する場合もあるため、前記製品の出来高および原価を早期またはこまめに把握できないという問題があった。そこで、本実施形態においては、製品がまだ完成していない時点においても、製造の進捗率に応じて、前記製品についての仮の出来高および仮の原価金額を把握できるようにした。また、前記原料は、前記製品の製造を開始する時点ですべて投入済のため開始時点で前記原料の残りは0となるため、前記原料の残り使用量および残り原価を、製造の進捗度に応じた形で把握できないという問題があった。そこで、本実施形態においては、原料をすべて投入した後においても、製造の進捗率に応じて、前記原料についての仮の残り使用量および仮の残り原価を把握できるようにした。ただし、このような仮の数値を含む仮レコードを生成するのみでは、実際の在庫の状態とのズレが生じてしまうため、仮製造実績データ106cは、当該仮レコード中の金額を打ち消して在庫情報上の整合をとるための赤レコードを併せて含む点も特徴である。なお、前記仮レコードが、例えば、ある月の月末に生成され、前記赤レコードが、当該月末の翌月の初めに生成されて、仮製造実績データ106cに格納されることにより、仮製造実績データ106cは生成される。
【0033】
前記仮レコードは、
図7でいうと製造実績日が2021/2/28の上5行のレコード、
図11でいうと前記製造実績日が2021/3/31の上5行のレコードである。前記仮レコードは、
図7および
図11の上5行のレコードに示すように、例えば、前記製造実績日と、前記製造指示識別データ(製造指示番号)と、前記製品識別データ(製品)と、前記所定時点での前記製品の仮の出来高である製品仮出来高(製造量)と、前記製品原価単価と、前記所定時点での前記製品の仮の原価金額である製品仮原価金額(製品原価金額)と、前記原料識別データ(使用原料)と、前記所定時点での前記原料の仮の残り使用量である原料仮残使用量(使用量)と、前記原料原価単価と、前記所定時点での前記原料の仮の残り原価金額である原料仮残原価金額(原料原価金額)と、等を含む。
図7および
図11に示すように、前記仮レコード中の前記製品仮出来高(製造量)および前記製品仮原価金額(製品原価金額)は、例えば、正の値である。これに対して、
図7および
図11に示すように、前記仮レコード中の前記原料仮残使用量(使用量)および前記原料仮残原価金額(原料原価金額)は、例えば、負の値である。
【0034】
前記赤レコードは、
図7でいうと製造実績日が2021/3/1の下5行のレコード、
図11でいうと製造実績日が2021/4/1の下5行のレコードである。前記赤レコードは、
図7および
図11の下5行のレコードに示すように、例えば、前記製造実績日と、前記製造指示識別データ(製造指示番号)と、前記製品識別データ(製品)と、前記仮レコードが有する正の値の前記製品仮出来高を負の値に反転させた値(製造量)と、前記製品原価単価と、前記仮レコードが有する正の値の前記製品仮原価金額を負の値に反転させた金額(製品原価金額)と、前記原料識別データ(使用原料)と、前記仮レコードが有する負の値の前記原料仮残使用量を正の値に反転させた値(使用量)と、前記原料原価単価と、前記仮レコードが有する負の値の前記原料仮残原価金額を正の値に反転させた金額(原料原価金額)と、等を含む。
【0035】
制御部102は、仮製造実績データ生成装置100を統括的に制御するCPU等である。制御部102は、OS等の制御プログラム・各種の処理手順等を規定したプログラム・所要データなどを格納するための内部メモリを有し、格納されているこれらのプログラムに基づいて種々の情報処理を実行する。
【0036】
制御部102は、機能概念的に、例えば、(1)前記所定時点での前記製品の製造の進捗率を入力するための進捗率入力画面において、前記製造指示識別データ、前記製品識別データおよび前記進捗率が入力されると、前記製造指示データから、前記入力された製造指示識別データおよび製品識別データと紐づく製品の製造指示量および原料の投入指示量を取得し、前記製造実績データから、前記入力された製造指示識別データおよび製品識別データと紐づく所定時点製造量、製品原価単価、所定時点投入量および原料原価単価を取得する取得手段としての取得部102aと、(2)前記取得手段で取得した製品の製造指示量、前記入力された進捗率および前記取得手段で取得した所定時点製造量に基づいて、前記所定時点での前記製品の仮の出来高である製品仮出来高を算出する製品仮出来高算出手段としての製品仮出来高算部102bと、(3)前記製品仮出来高算出手段で算出した製品仮出来高および前記取得手段で取得した製品原価単価に基づいて、前記所定時点での前記製品の仮の原価金額である製品仮原価金額を算出する製品仮原価算出手段としての製品仮原価算出部102cと、(4)前記取得手段で取得した原料の投入指示量、前記入力された進捗率および前記取得手段で取得した所定時点投入量に基づいて、前記所定時点での前記原料の仮の残り使用量である原料仮残使用量を算出する原料仮残使用量算出手段としての原料仮残使用量算出部102dと、(5)前記原料仮残使用量算出手段で算出した原料仮残使用量および前記取得手段で取得した原料原価単価に基づいて、前記所定時点での前記原料の仮の残り原価金額である原料仮残原価金額を算出する原料仮残原価算出手段としての原料仮残原価算出部102eと、(6)前記入力された製造指示識別データと、前記入力された製品識別データと、前記製品仮出来高算出手段で算出した前記製品仮出来高と、前記製品仮原価算出手段で算出した前記製品仮原価金額と、前記原料仮残使用量算出手段で算出した前記原料仮残使用量と、前記原料仮残原価算出手段で算出した前記原料仮残原価金額と、を有する仮レコードと、当該仮レコード中の数値を打ち消して在庫情報上の整合をとるための赤レコードと、を含む前記仮製造実績データを生成する仮製造実績データ生成手段としての仮製造実績データ生成部102fと、(7)仕訳を生成する仕訳生成部102gと、を備えている。
【0037】
取得部102aは、前記所定時点での前記製品の製造の進捗率を入力するための進捗率入力画面において、前記製造指示識別データ、前記製品識別データおよび前記進捗率が入力されると、製造指示データ106aから、前記入力された製造指示識別データおよび製品識別データと紐づく製品の製造指示量および原料の投入指示量を取得し、また、製造実績データ106bから、前記入力された製造指示識別データおよび製品識別データと紐づく所定時点製造量、製品原価単価、所定時点投入量および原料原価単価を取得する。
【0038】
製品仮出来高算出部102bは、取得部102aで取得した製品の製造指示量、前記入力された進捗率および取得部102aで取得した所定時点製造量に基づいて、前記所定時点での前記製品の仮の出来高である前記製品仮出来高を算出する。具体的には、製品仮出来高算出部102bは、取得部102aで取得した製品の製造指示量に前記入力された進捗率を乗じて100を掛けた値から、取得部102aで取得した所定時点製造量を差し引くことにより、前記製品仮出来高を算出してもよい。
【0039】
製品仮原価算出部102cは、製品仮出来高算出部102bで算出した製品仮出来高および取得部102aで取得した製品原価単価に基づいて、前記所定時点での前記製品の仮の原価金額である前記製品仮原価金額を算出する。
【0040】
原料仮残使用量算出部102dは、取得部102aで取得した原料の投入指示量、前記入力された進捗率および取得部102aで取得した所定時点投入量に基づいて、前記所定時点での前記原料の仮の残り使用量である前記原料仮残使用量を算出する。具体的には、料仮残使用量算出部102dは、取得部102aで取得した原料の投入指示量に前記入力された進捗率を乗じて100を掛けた値から、取得部102aで取得した所定時点投入量を差し引くことにより、前記原料仮残使用量を算出してもよい。
【0041】
原料仮残原価算出部102eは、原料仮残使用量算出部102dで算出した原料仮残使用量および取得部102aで取得した原料原価単価に基づいて、前記所定時点での前記原料の仮の残り原価金額である前記原料仮残原価金額を算出する。
【0042】
仮製造実績データ生成部102fは、前記入力された製造指示識別データと、前記入力された製品識別データと、製品仮出来高算出部102bで算出した前記製品仮出来高と、製品仮原価算出部102cで算出した前記製品仮原価金額と、原料仮残使用量算出部102dで算出した前記原料仮残使用量と、原料仮残原価算出部102eで算出した前記原料仮残原価金額と、を有する前記仮レコードと、当該仮レコード中の数値を打ち消して在庫情報上の整合をとるための前記赤レコードと、を含む仮製造実績データ106cを生成する。
【0043】
仕訳生成部102gは、ここまでの処理により算出した数量および金額を用いて、例えば、
図8および
図12に示す仕訳を生成する。
【0044】
[3.処理の概要]
本項目では、本実施形態に係る処理の概要を説明する。
【0045】
本実施形態の処理フローを
図3に示す。まず、製造指示入力により製造指示データ106aが生成される。次に、製造実績入力により製造出来高および原料払出が登録されることで、製造実績データ106bが生成される。最後に、本発明の特徴である仮出来高入力により製造指示に対しての進捗率(%)が登録されることで、仮製造実績データ106cが生成される。
【0046】
前記製造実績入力は、まだ製造が完了していない製造指示を対象として行う。また、前記製造実績入力においては、会計年月を指定可能とし、数か月先の累計も確認可能とする。そして、仮製造実績データ106cは、当月末に生成される前記仮レコードと、翌月初めに生成される赤伝票としての前記赤レコードと、を含む。
【0047】
[4.処理の具体例]
本項目では、本実施形態に係る処理の具体例を説明する。本項目においては、原料が最初にすべて投入されてから製品が完成するまでの間における所定時点において、仮製造実績データ106cを生成するという場面について説明をする。
【0048】
本項目における説明の流れとしては、[4-1]において、製造指示データ106aの生成について説明し、[4-2]において、投入実績のみ発生している場合における仮製造実績データ106cの生成(パターン1とする)について説明し、[4-3]において、投入実績および製造出来高の両方が発生している場合における仮製造実績データ106cの生成(パターン2とする)について説明する。
【0049】
[4-1.製造指示データ106aの生成]
まず、以下の<製造指示の内容>に示すように、製品X10トンを製造するために、原料A~Eの合計10トンが最初にすべて投入される旨の製造指示がなされる。生成された製造指示データ106aを、
図4に示す。
<製造指示の内容>
・製造開始日:2021/2/24
・製造納期 :2021/5/31
・製品 :製品X
・製造量 :100,000Kg(10トン)
【0050】
[4-2.パターン1:投入実績のみ発生している場合における仮製造実績データ106cの生成]
本項目においては、2月に原料の投入だけを終えて2月末を迎えた際に、2月終了時点の製造実績データ106bに基づいて仮製造実績データ106cを生成するという場面について説明する。
【0051】
(1)製造実績データ106bの生成
まず、以下の<製造の内容>に示すように、2月末時点までの製造実績入力(製造指示に対しての集計)がなされる。生成された製造実績データ106bを、
図5に示す。
<製造の内容>
・会計年月 :2021/2
・製造指示番号:SEIZOU000001
・製品 :製品X
・製造量 :0Kg
・原料使用量 :100,000Kg(10トン)
【0052】
2月末時点においては、製品Xはまだ製造されていないため、
図5の製造実績データ106bにおける「製造量」の列に示すように、製品Xの製造量は「0Kg」である。このため、
図5の製造実績データ106bにおける「製品原価金額」の列に示すように、製品Xについての製品原価金額も「0円」である。一方で、原料はすべて投入済のため、
図5の製造実績データ106bにおける「使用量」の列に示すように、原料の使用量の合計は100,000Kg(10トン)である。また、
図5の製造実績データ106bにおける「原料原価金額」の列に示すように、原料毎の原料原価金額が算出される。
【0053】
(2)進捗率の入力
次に、2月末時点(会計年月2021/2)において、
図6に示す進捗率入力画面から、製造指示番号として「SEIZOU000001」が入力され、製品として「製品X」が入力され、進捗率として「20%」が入力される。
【0054】
(3)仮製造実績データ106cの生成
次に、仮製造実績データ106cが、以下のようにして生成される。
【0055】
取得部102aは、
図4の製造指示データ106aから、
図6の進捗率入力画面において入力された製造指示番号「SEIZOU000001」および製品「製品X」と紐づく情報として、製品Xの製造指示量「100,000Kg」および各原料の投入指示量「原料A:60,000Kg、原料B:15,000Kg、原料C:9,000Kg、原料D:8,500Kg、原料E:7,500Kg」を取得する。また、取得部102aは、
図5の製造実績データ106bから、
図6の進捗率入力画面において入力された製造指示番号「SEIZOU000001」および製品「製品X」と紐づく情報として、製品Xの製造量「0Kg」、製品Xの原価単価「34.55円/Kg」、各原料の投入量「原料A:60,000Kg、原料B:15,000Kg、原料C:9,000Kg、原料D:8,500Kg、原料E:7,500Kg」および各原料の原価単価「原料A:50円/Kg、原料B:20円/Kg、原料C:10円/Kg、原料D:5円/Kg、原料E:3円/Kg」を取得する。
【0056】
製品仮出来高算出部102bは、「(製造指示量×進捗率(%)×100)-実際に登録している出来高量の合計」という計算式により、2月末時点での製品Xの仮の出来高を算出する。具体的には、製品仮出来高算出部102bは、「(取得部102aで取得した製造指示量100,000Kg×
図6の進捗率入力画面において入力された進捗率20%×100)-取得部102aで取得した製品Xの製造量0Kg」という計算式により、2月末時点での製品Xの仮の出来高20,000Kgを算出する。当該20,000Kgは、進捗率20%に相当する仮の製造量である。
【0057】
製品仮原価算出部102cは、製品仮出来高算出部102bで算出した2月末時点での製品Xの仮の出来高20,000Kgに、取得部102aで取得した製品Xの原価単価34.55円/Kgを乗じることにより、2月末時点での製品Xの仮の原価金額691,000円を算出する。当該額691,000円は、進捗率20%に相当する仮の製品原価金額である。
【0058】
原料仮残使用量算出部102dは、「(製造指示の投入量(予定)×進捗率(%)×100)-実際に登録している投入量の合計」という計算式により、2月末時点での各原料の仮の原料払出を算出する。具体的には、原料仮残使用量算出部102dは、「(取得部102aで取得した各原料の投入指示量×
図6の進捗率入力画面において入力された進捗率20%×100)-取得部102aで取得した各原料の投入量」という計算式により、2月末時点での各原料の仮の残り使用量を算出する。すなわち、
・原料Aについては、「(60,000Kg×20%)×100-60,000Kg」=-48,000Kg
・原料Bについては、「(15,000Kg×20%)×100-15,000Kg」=-12,000Kg
・原料Cについては、「(9,000Kg×20%)×100-9,000Kg」=-7,200Kg
・原料Dについては、「(8,500Kg×20%)×100-8,500Kg」=-6,800Kg
・原料Eについては、「(7,500Kg×20%)×100-7,500Kg」=-6,000Kg
を算出する。これらの算出した値は、残りの進捗率80%に相当する仮の原料使用量である。
【0059】
原料仮残原価算出部102eは、原料仮残使用量算出部102dで算出した2月末時点での各原料の仮の残り使用量に、取得部102aで取得した各原料の原価単価を乗じることにより、2月末時点での各原料の仮の残り原価金額を算出する。すなわち、
・原料Aについては、「-48,000Kg×50円/Kg」=-2,400,000円
・原料Bについては、「-12,000Kg×20円/Kg」=-240,000円
・原料Cについては、「-7,200Kg×10円/Kg」=-72,000円
・原料Dについては、「-6,800Kg×5円/Kg」=-34,000円
・原料Eについては、「-6,000Kg×3円/K」=-18,000円
を算出する。これらの算出した値は、残りの進捗率80%に相当する仮の原料原価金額である。
【0060】
仮製造実績データ生成部102fは、製造実績日2021/2/28を有する上5行のレコードと、製造実績日2021/3/1を有する下5行の赤レコードと、を含む
図7に示す仮製造実績データ106cを生成する。
【0061】
前記上5行のレコードは、
図7に示すように、進捗率入力画面に入力された製造指示番号「SEIZOU000001」と、進捗率入力画面に入力された製品「製品X」と、製品仮出来高算出部102bで算出した2月末時点での製品Xの仮の出来高20,000Kgと、製品仮原価算出部102cで算出した2月末時点での製品Xの仮の原価金額「691,000円」と、原料仮残使用量算出部102dで算出した2月末時点での各原料の仮の残り使用量「原料A:-48,000Kg、原料B:-12,000Kg、原料C:-7,200Kg、原料D:-6,800Kg、原料E:-6,000Kg」と、原料仮残原価算出部102eで算出した2月末時点での各原料の仮の残り原価金額「原料A:-2,400,000円、原料B:-240,000円、原料C:-72,000円、原料D:-34,000円、原料E:-18,000円」と、等を有する。ここで、2月末時点では、製品Xの実際の製造量は0Kgであるため、製品Xの実際の原価金額は0円であり、また、各原料の使用量は最初にすべて投入済のため、各原料の実際の原価金額は投入済の原料に相当する金額となる。しかしながら、担当者は、生成された仮製造実績データ106c中の前記上5行のレコードを参照することで、2月末時点での進捗率に基づいて算出した製品Xについての仮の出来高および原価金額ならびに各原料についての仮の残り使用量および仮の残り原価金額を把握し、管理会計上のシミュレーション等を行うことができる。
【0062】
前記下5行の赤レコードは、
図7に示すように、進捗率入力画面に入力された製造指示番号「SEIZOU000001」と、進捗率入力画面に入力された製品「製品X」と、前記上5行のレコードが有する2月末時点での製品Xの仮の出来高20,000Kgを負の値に反転させた値「-20,000Kg」と、前記上5行のレコードが有する2月末時点での製品Xの仮の原価金額「691,000円」を負の値に反転させた金額「-691,000円」と、前記上5行のレコードが有する2月末時点での各原料の仮の残り使用量を正の値に反転させた値「原料A:48,000Kg、原料B:12,000Kg、原料C:7,200Kg、原料D:6,800Kg、原料E:6,000Kg」と、前記上5行のレコードが有する2月末時点での各原料の仮の残り原価金額を正の値に反転させた金額「原料A:2,400,000円、原料B:240,000円、原料C:72,000円、原料D:34,000円、原料E:18,000円」と、等を有する。このように、前記下5行の赤レコードを生成することで、前記上5行のレコード中の数量および金額を打ち消して在庫情報上の整合をとることが可能となる。
【0063】
このように、本実施形態に係る仮製造実績データ生成装置100によれば、仮製造実績データ106cを生成することで、在庫情報に影響を与えない態様で、管理会計上のシミュレーション等を行うことが可能となる。
【0064】
(4)仕訳の生成
最後に、仕訳生成部102gは、
図8に示す仕訳を生成する。
図8の仕訳において、3,455,000円は、
図5の製造実績データ106bにおいて点線で囲んで示す原料原価金額の合計額に由来し、691,000円は、
図7の仮製造実績データ106cにおいて点線で囲んで示す製品原価金額に由来し、-2,764,000円は、
図7の仮製造実績データ106cにおいて点線で囲んで示す原料原価金額の合計額に由来する。
【0065】
[4-3.パターン3:投入実績および製造出来高の両方が発生している場合における仮製造実績データ106cの生成]
本項目においては、2月の原料の投入を終えた後、製品Xを28,000Kg製造した際に、3月終了時点の製造実績データ106bに基づいて仮製造実績データ106cを生成するという場面について説明する。
【0066】
(1)製造実績データ106bの生成
まず、以下の<製造の内容>に示すように、3月末時点までの製造実績入力(製造指示に対しての集計)がなされる。生成された製造実績データ106bを、
図9に示す。
<製造の内容>
・会計年月 :2021/3
・製造指示番号:SEIZOU000001
・製品 :製品X
・製造量 :28,000Kg
・原料使用量 :100,000Kg(10トン)
【0067】
3月末時点においては、製品Xが28,000Kg製造されているため、
図9の製造実績データ106bにおける「製造量」の列に示すように、製品Xの製造量は「28,000Kg」である。このため、
図9の製造実績データ106bにおける「製品原価金額」の列に示すように、製品Xについての製品原価金額は、28,000Kg×製品原価単価34.55円/Kg=967,400円となる。一方で、原料はすべて投入済のため、
図9の製造実績データ106bにおける「使用量」の列に示すように、原料の使用量の合計は100,000Kg(10トン)である。また、
図9の製造実績データ106bにおける「原料原価金額」の列に示すように、原料毎の原料原価金額が算出される。
【0068】
(2)進捗率の入力
次に、3月末時点(会計年月2021/3)において、
図10に示す進捗率入力画面から、製造指示番号として「SEIZOU000001」が入力され、製品として「製品X」が入力され、進捗率として「50%」が入力される。
【0069】
(3)仮製造実績データ106cの生成
次に、仮製造実績データ106cが、以下のようにして生成される。
【0070】
取得部102aは、
図4の製造指示データ106aから、
図10の進捗率入力画面において入力された製造指示番号「SEIZOU000001」および製品「製品X」と紐づく情報として、製品Xの製造指示量「100,000Kg」および各原料の投入指示量「原料A:60,000Kg、原料B:15,000Kg、原料C:9,000Kg、原料D:8,500Kg、原料E:7,500Kg」を取得する。また、取得部102aは、
図9の製造実績データ106bから、
図10の進捗率入力画面において入力された製造指示番号「SEIZOU000001」および製品「製品X」と紐づく情報として、製品Xの製造量「28,000Kg」、製品Xの原価単価「34.55円/Kg」、各原料の投入量「原料A:60,000Kg、原料B:15,000Kg、原料C:9,000Kg、原料D:8,500Kg、原料E:7,500Kg」および各原料の原価単価「原料A:50円/Kg、原料B:20円/Kg、原料C:10円/Kg、原料D:5円/Kg、原料E:3円/Kg」を取得する。
【0071】
製品仮出来高算出部102bは、「(製造指示量×進捗率(%)×100)-実際に登録している出来高量の合計」という計算式により、3月末時点での製品Xの仮の出来高を算出する。具体的には、製品仮出来高算出部102bは、「(取得部102aで取得した製造指示量100,000Kg×
図10の進捗率入力画面において入力された進捗率50%×100)-取得部102aで取得した製品Xの製造量28,000Kg」という計算式により、3月末時点での製品Xの仮の出来高22,000Kgを算出する。当該22,000Kgは、進捗率50%に相当する仮の製造量である。
【0072】
製品仮原価算出部102cは、製品仮出来高算出部102bで算出した3月末時点での製品Xの仮の出来高22,000Kgに、取得部102aで取得した製品Xの原価単価34.55円/Kgを乗じることにより、3月末時点での製品Xの仮の原価金額760,100円を算出する。当該額760,100円は、進捗率50%に相当する仮の製品原価金額である。
【0073】
原料仮残使用量算出部102dは、「(製造指示の投入量(予定)×進捗率(%)×100)-実際に登録している投入量の合計」という計算式により、3月末時点での各原料の仮の原料払出を算出する。具体的には、原料仮残使用量算出部102dは、「(取得部102aで取得した各原料の投入指示量×
図10の進捗率入力画面において入力された進捗率50%×100)-取得部102aで取得した各原料の投入量」という計算式により、3月末時点での各原料の仮の残り使用量を算出する。すなわち、
・原料Aについては、「(60,000Kg×50%)×100-60,000Kg」=-30,000Kg
・原料Bについては、「(15,000Kg×50%)×100-15,000Kg」=-7,500Kg
・原料Cについては、「(9,000Kg×50%)×100-9,000Kg」=-4,500Kg
・原料Dについては、「(8,500Kg×50%)×100-8,500Kg」=-4,250Kg
・原料Eについては、「(7,500Kg×50%)×100-7,500Kg」=-3,750Kg
を算出する。これらの算出した値は、残りの進捗率50%に相当する仮の原料使用量である。
【0074】
原料仮残原価算出部102eは、原料仮残使用量算出部102dで算出した3月末時点での各原料の仮の残り使用量に、取得部102aで取得した各原料の原価単価を乗じることにより、3月末時点での各原料の仮の残り原価金額を算出する。すなわち、
・原料Aについては、「-30,000Kg×50円/Kg」=-1,500,000円
・原料Bについては、「-7,500Kg×20円/Kg」=-150,000円
・原料Cについては、「-4,500Kg×10円/Kg」=-45,000円
・原料Dについては、「-4,250Kg×5円/Kg」=-21,250円
・原料Eについては、「-3,750Kg×3円/K」=-11,250円
を算出する。これらの算出した値は、残りの進捗率50%に相当する仮の原料原価金額である。
【0075】
仮製造実績データ生成部102fは、製造実績日2021/3/31を有する上5行のレコードと、製造実績日2021/4/1を有する下5行の赤レコードと、を含む
図11に示す仮製造実績データ106cを生成する。
【0076】
前記上5行のレコードは、
図11に示すように、進捗率入力画面に入力された製造指示番号「SEIZOU000001」と、進捗率入力画面に入力された製品「製品X」と、製品仮出来高算出部102bで算出した3月末時点での製品Xの仮の出来高22,000Kgと、製品仮原価算出部102cで算出した3月末時点での製品Xの仮の原価金額「760,100円」と、原料仮残使用量算出部102dで算出した2月末時点での各原料の仮の残り使用量「原料A:-30,000Kg、原料B:-7,500Kg、原料C:-4,500Kg、原料D:-4,250Kg、原料E:-3,750Kg」と、原料仮残原価算出部102eで算出した3月末時点での各原料の仮の残り原価金額「原料A:-1,500,000円、原料B:-150,000円、原料C:-45,000円、原料D:-21,250円、原料E:-11,250円」と、等を有する。
【0077】
前記下5行の赤レコードは、
図11に示すように、進捗率入力画面に入力された製造指示番号「SEIZOU000001」と、進捗率入力画面に入力された製品「製品X」と、前記上5行のレコードが有する3月末時点での製品Xの仮の出来高22,000Kgを負の値に反転させた値「-22,000Kg」と、前記上5行のレコードが有する3月末時点での製品Xの仮の原価金額「760,100円」を負の値に反転させた金額「-760,100円」と、前記上5行のレコードが有する3月末時点での各原料の仮の残り使用量を正の値に反転させた値「原料A:30,000Kg、原料B:7,500Kg、原料C:4,500Kg、原料D:4,250Kg、原料E:3,750Kg」と、前記上5行のレコードが有する3月末時点での各原料の仮の残り原価金額を正の値に反転させた金額「原料A:1,500,000円、原料B:150,000円、原料C:45,000円、原料D:21,250円、原料E:11,250円」と、等を有する。
【0078】
(4)仕訳の生成
最後に、仕訳生成部102gは、
図12に示す仕訳を生成する。
図12の仕訳において、967,400円は、
図9の製造実績データ106bにおいて点線で囲んで示す製品原価金額に由来し、760,100円は、
図11の仮製造実績データ106cにおいて点線で囲んで示す製品原価金額に由来し、-1,727,500円は、
図11の仮製造実績データ106cにおいて点線で囲んで示す原料原価金額の合計額に由来する。
【0079】
[5.本実施形態のまとめ]
このように、本実施形態に係る仮製造実績データ生成装置100によれば、製造の進捗度に応じて、製品の個数、製品の原価、原料の個数および原料の原価を管理する仮の製造実績データである仮製造実績データ106cを生成することができる。当該生成した仮製造実績データ106cを用いることで、例えば、管理会計上のシミュレーションを行うことができる。
【0080】
[6.国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)への貢献]
本実施形態により、業務効率化や企業の適切な経営判断を推進することに寄与することができるので、SDGsの目標8及び9に貢献することが可能となる。
【0081】
また、本実施形態により、廃棄ロス削減や、ペーパレス・電子化を推進することに寄与することができるので、SDGsの目標12、13及び15に貢献することが可能となる。
【0082】
また、本実施形態により、統制、ガバナンス強化に寄与することができるので、SDGsの目標16に貢献することが可能となる。
【0083】
[7.他の実施形態]
本発明は、上述した実施形態以外にも、特許請求の範囲に記載した技術的思想の範囲内において種々の異なる実施形態にて実施されてよいものである。
【0084】
例えば、実施形態において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。
【0085】
また、本明細書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各処理の登録データや検索条件等のパラメータを含む情報、画面例、データベース構成については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0086】
また、仮製造実績データ生成装置100に関して、図示の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。
【0087】
例えば、仮製造実績データ生成装置100が備える処理機能、特に制御部にて行われる各処理機能については、その全部または任意の一部を、CPUおよび当該CPUにて解釈実行されるプログラムにて実現してもよく、また、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現してもよい。尚、プログラムは、本実施形態で説明した処理を情報処理装置に実行させるためのプログラム化された命令を含む一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されており、必要に応じて仮製造実績データ生成装置100に機械的に読み取られる。すなわち、ROMまたはHDD(Hard Disk Drive)などの記憶部などには、OSと協働してCPUに命令を与え、各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録されている。このコンピュータプログラムは、RAMにロードされることによって実行され、CPUと協働して制御部を構成する。
【0088】
また、このコンピュータプログラムは、仮製造実績データ生成装置100に対して任意のネットワークを介して接続されたアプリケーションプログラムサーバに記憶されていてもよく、必要に応じてその全部または一部をダウンロードすることも可能である。
【0089】
また、本実施形態で説明した処理を実行するためのプログラムを、一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納してもよく、また、プログラム製品として構成することもできる。ここで、この「記録媒体」とは、メモリーカード、USB(Universal Serial Bus)メモリ、SD(Secure Digital)カード、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(登録商標)(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)、CD-ROM(Compact Disk Read Only Memory)、MO(Magneto-Optical disk)、DVD(Digital Versatile Disk)、および、Blu-ray(登録商標) Disc等の任意の「可搬用の物理媒体」を含むものとする。
【0090】
また、「プログラム」とは、任意の言語または記述方法にて記述されたデータ処理方法であり、ソースコードまたはバイナリコード等の形式を問わない。なお、「プログラム」は必ずしも単一的に構成されるものに限られず、複数のモジュールやライブラリとして分散構成されるものや、OSに代表される別個のプログラムと協働してその機能を達成するものをも含む。なお、実施形態に示した各装置において記録媒体を読み取るための具体的な構成および読み取り手順ならびに読み取り後のインストール手順等については、周知の構成や手順を用いることができる。
【0091】
記憶部に格納される各種のデータベース等は、RAM、ROM等のメモリ装置、ハードディスク等の固定ディスク装置、フレキシブルディスク、および、光ディスク等のストレージ手段であり、各種処理やウェブサイト提供に用いる各種のプログラム、テーブル、データベース、および、ウェブページ用ファイル等を格納する。
【0092】
また、仮製造実績データ生成装置100は、既知のパーソナルコンピュータまたはワークステーション等の情報処理装置として構成してもよく、また、任意の周辺装置が接続された当該情報処理装置として構成してもよい。また、仮製造実績データ生成装置100は、当該装置に本実施形態で説明した処理を実現させるソフトウェア(プログラムまたはデータ等を含む)を実装することにより実現してもよい。
【0093】
更に、装置の分散・統合の具体的形態は図示するものに限られず、その全部または一部を、各種の付加等に応じてまたは機能負荷に応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。すなわち、上述した実施形態を任意に組み合わせて実施してもよく、実施形態を選択的に実施してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0094】
本発明は、例えば、製品が出来上がるまでに長期のリードタイムを要する業界において有用であり、典型的には、化学製品を製造する業界において有用である。
【符号の説明】
【0095】
100 仮製造実績データ生成装置
102 制御部
102a 取得部
102b 製品仮出来高算出部
102c 製品仮原価算出部
102d 原料仮残使用量算出部
102e 原料仮残原価算出部
102f 仮製造実績データ生成部
102g 仕訳生成部
104 通信インターフェース部
106 記憶部
106a 製造指示データ
106b 製造実績データ
106c 仮製造実績データ
108 入出力インターフェース部
112 入力装置
114 出力装置
200 サーバ
300 ネットワーク
【手続補正書】
【提出日】2024-09-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御部および記憶部を備え、原料が投入されてから製品が完成するまでの間における所定時点での仮の製造実績データである仮製造実績データを生成することができる仮製造実績データ生成装置であって、
前記記憶部には、
製造指示を識別するための製造指示識別データと、前記製品を識別するための製品識別データと、前記製品の製造指示量と、前記製造指示量の前記製品を製造するのに必要な前記原料の投入指示量と、を含む製造指示データと、
前記製造指示識別データと、前記製品識別データと、前記所定時点での前記製品の製造量である所定時点製造量と、前記製品の原価単価である製品原価単価と、前記投入指示量と同じ前記所定時点での前記原料の投入量である所定時点投入量と、前記原料の原価単価である原料原価単価と、を含む製造実績データと、
が格納されており、
前記制御部は、
前記所定時点での前記製品の製造の進捗率を入力するための進捗率入力画面において、前記製造指示識別データ、前記製品識別データおよび前記進捗率が入力されると、前記製造指示データから、前記入力された製造指示識別データおよび製品識別データと紐づく製品の製造指示量および原料の投入指示量を取得し、前記製造実績データから、前記入力された製造指示識別データおよび製品識別データと紐づく所定時点製造量、製品原価単価、所定時点投入量および原料原価単価を取得する取得手段と、
前記取得手段で取得した製品の製造指示量、前記入力された進捗率および前記取得手段で取得した所定時点製造量に基づいて、前記所定時点での前記製品の仮の出来高である製品仮出来高を算出する製品仮出来高算出手段と、
前記製品仮出来高算出手段で算出した製品仮出来高および前記取得手段で取得した製品原価単価に基づいて、前記所定時点での前記製品の仮の原価金額である製品仮原価金額を算出する製品仮原価算出手段と、
前記取得手段で取得した原料の投入指示量、前記入力された進捗率および前記取得手段で取得した所定時点投入量に基づいて、前記所定時点での前記原料の仮の残り使用量である原料仮残使用量を算出する原料仮残使用量算出手段と、
前記原料仮残使用量算出手段で算出した原料仮残使用量および前記取得手段で取得した原料原価単価に基づいて、前記所定時点での前記原料の仮の残り原価金額である原料仮残原価金額を算出する原料仮残原価算出手段と、
前記入力された製造指示識別データと、前記入力された製品識別データと、前記製品仮出来高算出手段で算出した前記製品仮出来高と、前記製品仮原価算出手段で算出した前記製品仮原価金額と、前記原料仮残使用量算出手段で算出した前記原料仮残使用量と、前記原料仮残原価算出手段で算出した前記原料仮残原価金額と、を有する仮レコードを含む前記仮製造実績データを生成する仮製造実績データ生成手段と、
を備えること、
を特徴とする仮製造実績データ生成装置。
【請求項2】
前記製品仮出来高算出手段は、
前記取得手段で取得した製品の製造指示量に前記入力された進捗率を乗じて100を掛けた値から、前記取得手段で取得した所定時点製造量を差し引くことにより、前記製品仮出来高を算出すること、
を特徴とする請求項1に記載の仮製造実績データ生成装置。
【請求項3】
前記原料仮残使用量算出手段は、
前記取得手段で取得した原料の投入指示量に前記入力された進捗率を乗じて100を掛けた値から、前記取得手段で取得した所定時点投入量を差し引くことにより、前記原料仮残使用量を算出すること、
を特徴とする請求項1または2に記載の仮製造実績データ生成装置。
【請求項4】
前記仮製造実績データ生成手段は、前記仮レコード中の数値を打ち消して在庫情報上の整合をとるための赤レコードをさらに含む前記仮製造実績データを生成し、
前記製造実績データは、前記所定時点製造量と前記製品原価単価の積である製品原価金額および前記所定時点投入量と前記原料原価単価の積である原料原価金額をさらに含み、
前記制御部は、(1)前記製造実績データに含まれる前記製品原価金額に基づく、製品出来高に係る仕訳、(2)前記製造実績データに含まれる前記原料原価金額の合計額に基づく、原料払出に係る仕訳、(3)前記仮製造実績データに含まれる前記製品仮原価金額に基づく、仮の製品出来高に係る仕訳および(4)前記仮製造実績データに含まれる前記原料仮残原価金額の合計額に基づく、仮の原料払出に係る仕訳を生成する仕訳生成手段をさらに備えること、
を特徴とする請求項1から3のいずれか一つに記載の仮製造実績データ生成装置。
【請求項5】
前記赤レコードが、
前記入力された製造指示識別データと、前記入力された製品識別データと、前記仮レコードが有する正の値の前記製品仮出来高を負の値に反転させた値と、前記仮レコードが有する正の値の前記製品仮原価金額を負の値に反転させた金額と、前記仮レコードが有する負の値の前記原料仮残使用量を正の値に反転させた値と、前記仮レコードが有する負の値の前記原料仮残原価金額を正の値に反転させた金額と、を有すること、
を特徴とする請求項4に記載の仮製造実績データ生成装置。
【請求項6】
前記所定の時点が、ある月の月末時点であり、
前記仮レコードが、当該月末に生成され、
前記赤レコードが、当該月末の翌月の初めに生成されること、
を特徴とする請求項4または5に記載の仮製造実績データ生成装置。
【請求項7】
前記製品が、前記原料が投入されてから完成するまで長期間を要するものであること、
を特徴とする請求項1から6のいずれか一つに記載の仮製造実績データ生成装置。
【請求項8】
制御部および記憶部を備える情報処理装置で実行される、原料が投入されてから製品が完成するまでの間における所定時点での仮の製造実績データである仮製造実績データを生成することができる仮製造実績データ生成方法であって、
前記記憶部には、
製造指示を識別するための製造指示識別データと、前記製品を識別するための製品識別データと、前記製品の製造指示量と、前記製造指示量の前記製品を製造するのに必要な前記原料の投入指示量と、を含む製造指示データと、
前記製造指示識別データと、前記製品識別データと、前記所定時点での前記製品の製造量である所定時点製造量と、前記製品の原価単価である製品原価単価と、前記投入指示量と同じ前記所定時点での前記原料の投入量である所定時点投入量と、前記原料の原価単価である原料原価単価と、を含む製造実績データと、
が格納されており、
前記制御部で実行される、
前記所定時点での前記製品の製造の進捗率を入力するための進捗率入力画面において、前記製造指示識別データ、前記製品識別データおよび前記進捗率が入力されると、前記製造指示データから、前記入力された製造指示識別データおよび製品識別データと紐づく製品の製造指示量および原料の投入指示量を取得し、前記製造実績データから、前記入力された製造指示識別データおよび製品識別データと紐づく所定時点製造量、製品原価単価、所定時点投入量および原料原価単価を取得する取得ステップと、
前記取得ステップで取得した製品の製造指示量、前記入力された進捗率および前記取得ステップで取得した所定時点製造量に基づいて、前記所定時点での前記製品の仮の出来高である製品仮出来高を算出する製品仮出来高算出ステップと、
前記製品仮出来高算出ステップで算出した製品仮出来高および前記取得ステップで取得した製品原価単価に基づいて、前記所定時点での前記製品の仮の原価金額である製品仮原価金額を算出する製品仮原価算出ステップと、
前記取得ステップで取得した原料の投入指示量、前記入力された進捗率および前記取得ステップで取得した所定時点投入量に基づいて、前記所定時点での前記原料の仮の残り使用量である原料仮残使用量を算出する原料仮残使用量算出ステップと、
前記原料仮残使用量算出ステップで算出した原料仮残使用量および前記取得ステップで取得した原料原価単価に基づいて、前記所定時点での前記原料の仮の残り原価金額である原料仮残原価金額を算出する原料仮残原価算出ステップと、
前記入力された製造指示識別データと、前記入力された製品識別データと、前記製品仮出来高算出ステップで算出した前記製品仮出来高と、前記製品仮原価算出ステップで算出した前記製品仮原価金額と、前記原料仮残使用量算出ステップで算出した前記原料仮残使用量と、前記原料仮残原価算出ステップで算出した前記原料仮残原価金額と、を有する仮レコードを含む前記仮製造実績データを生成する仮製造実績データ生成ステップと、
を含むこと、
を特徴とする仮製造実績データ生成方法。
【請求項9】
制御部および記憶部を備える情報処理装置に実行させるための、原料が投入されてから製品が完成するまでの間における所定時点での仮の製造実績データである仮製造実績データを生成することができる仮製造実績データ生成プログラムであって、
前記記憶部には、
製造指示を識別するための製造指示識別データと、前記製品を識別するための製品識別データと、前記製品の製造指示量と、前記製造指示量の前記製品を製造するのに必要な前記原料の投入指示量と、を含む製造指示データと、
前記製造指示識別データと、前記製品識別データと、前記所定時点での前記製品の製造量である所定時点製造量と、前記製品の原価単価である製品原価単価と、前記投入指示量と同じ前記所定時点での前記原料の投入量である所定時点投入量と、前記原料の原価単価である原料原価単価と、を含む製造実績データと、
が格納されており、
前記制御部に実行させるための、
前記所定時点での前記製品の製造の進捗率を入力するための進捗率入力画面において、前記製造指示識別データ、前記製品識別データおよび前記進捗率が入力されると、前記製造指示データから、前記入力された製造指示識別データおよび製品識別データと紐づく製品の製造指示量および原料の投入指示量を取得し、前記製造実績データから、前記入力された製造指示識別データおよび製品識別データと紐づく所定時点製造量、製品原価単価、所定時点投入量および原料原価単価を取得する取得ステップと、
前記取得ステップで取得した製品の製造指示量、前記入力された進捗率および前記取得ステップで取得した所定時点製造量に基づいて、前記所定時点での前記製品の仮の出来高である製品仮出来高を算出する製品仮出来高算出ステップと、
前記製品仮出来高算出ステップで算出した製品仮出来高および前記取得ステップで取得した製品原価単価に基づいて、前記所定時点での前記製品の仮の原価金額である製品仮原価金額を算出する製品仮原価算出ステップと、
前記取得ステップで取得した原料の投入指示量、前記入力された進捗率および前記取得ステップで取得した所定時点投入量に基づいて、前記所定時点での前記原料の仮の残り使用量である原料仮残使用量を算出する原料仮残使用量算出ステップと、
前記原料仮残使用量算出ステップで算出した原料仮残使用量および前記取得ステップで取得した原料原価単価に基づいて、前記所定時点での前記原料の仮の残り原価金額である原料仮残原価金額を算出する原料仮残原価算出ステップと、
前記入力された製造指示識別データと、前記入力された製品識別データと、前記製品仮出来高算出ステップで算出した前記製品仮出来高と、前記製品仮原価算出ステップで算出した前記製品仮原価金額と、前記原料仮残使用量算出ステップで算出した前記原料仮残使用量と、前記原料仮残原価算出ステップで算出した前記原料仮残原価金額と、を有する仮レコードを含む前記仮製造実績データを生成する仮製造実績データ生成ステップと、
を含むこと、
を特徴とする仮製造実績データ生成プログラム。