(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024161162
(43)【公開日】2024-11-15
(54)【発明の名称】作業機
(51)【国際特許分類】
A01C 11/02 20060101AFI20241108BHJP
【FI】
A01C11/02 313C
A01C11/02 322C
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024146692
(22)【出願日】2024-08-28
(62)【分割の表示】P 2022195573の分割
【原出願日】2017-12-21
(71)【出願人】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】福永 究
(57)【要約】
【課題】作業装置に特別な規制用の装置を備えなくても、作業装置の損傷のおそれがない状態で、水田や農用資材の状態等に応じて、圃場面に対する農用資材の供給量を変更設定できるようにすることが要望されている。
【解決手段】原動部の動力が伝達される第一変速装置24と、第一変速装置24の変速状態を変更操作する変速操作具30と、が備えられ、変速操作具30が後進走行側に操作されると、第二変速装置45の動力が作業装置に伝達されないようにする制御装置63が備えられている。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
原動部の動力が伝達される第一変速装置が備えられ、
前記第一変速装置の動力は少なくとも走行伝動系に伝達され、
作業装置と、
作業伝動系の動力を変速して前記作業装置に伝達する第二変速装置と、
前記第一変速装置の変速状態を変更操作する変速操作具と、
前記変速操作具が前進走行側の操作域から後進走行側に操作されると、前記第二変速装置の動力が前記作業装置に伝達されないようにする制御装置と、が備えられている作業機。
【請求項2】
前記作業装置が、農用資材を圃場面に供給する請求項1に記載の作業機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗用型田植機や乗用型直播機等のように、苗や種子、肥料や薬剤等の農用資材を圃場面に供給する水田作業機等の作業機に関する。
【背景技術】
【0002】
水田作業機の一例である乗用型田植機では、特許文献1に開示されているような構成を備えたものがある。特許文献1では、エンジン(原動部に相当)の動力が主変速装置に伝達され、その変速後の動力が分岐されて走行用の車輪及び苗植付装置(作業装置に相当)に伝達されている。
【0003】
これにより、機体の走行方向に沿って事前に設定された株間(供給量に相当)で、苗植付装置により苗が圃場面に植え付けられるのであり、主変速装置が操作されて機体の走行速度が変化しても、苗植付装置に伝達される動力も主変速装置にて変速された動力であるので、苗植付装置による株間は一定間隔に維持される。
【0004】
そして、主変速装置の動力が、ギヤ変速式の株間変速装置を通って苗植付装置に伝達されており、株間変速装置を変速操作することによって、苗植付装置による株間を変更することができるように構成されている。株間を変更することにより、圃場面に供給される苗の供給量が変更される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記従来構成において、主変速装置は変速後の動力を走行用の車輪に伝達するので、前進走行だけでなく後進走行にも対応するように、正転伝動状態と逆転伝動状態の両方の伝動状態がある。しかし、上記従来構成では、株間変速装置がギヤ変速式の変速装置であり、正転伝動状態だけでなく逆転伝動状態においても、そのまま作業装置に動力が伝達される。
【0007】
従来より、機体後進時には、作業装置への動力伝達を断続する作業クラッチを切り状態に切り換えて、逆転動力が伝達されないようにする等の対策を講じている。しかし、例えば、作業クラッチの切操作が遅れたり、誤作動するような場合には、逆転動力が作業装置に伝達され、適正な作動が行われず損傷のおそれがある。そして、損傷を防止するためには、作業装置側で逆転動力を規制するための特別な装置を備えておく必要があった。
【0008】
そこで、作業装置に特別な規制用の装置を備えなくても、作業装置の損傷のおそれがない状態で、圃場や農用資材の状態等に応じて、圃場面に対する農用資材の供給量を変更設定できるようにすることが要望されている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の作業機は、原動部の動力が伝達される第一変速装置が備えられ、前記第一変速装置の動力は少なくとも走行伝動系に伝達され、作業装置と、作業伝動系の動力を変速して前記作業装置に伝達する第二変速装置と、前記第一変速装置の変速状態を変更操作する変速操作具と、前記変速操作具が前進走行側の操作域から後進走行側に操作されると、前記第二変速装置の動力が前記作業装置に伝達されないようにする制御装置と、が備えられている。
また、本発明の水田作業機は、原動部の動力が伝達される第一変速装置と、機体の走行方向に沿って事前に設定された供給量で、農用資材を圃場面に供給する作業装置と、前記第一変速装置の動力を走行伝動系及び作業伝動系に分岐する分岐部と、前記走行伝動系の動力が伝達される走行用の車輪と、前記作業伝動系の動力を変速して前記作業装置に伝達する第二変速装置と、前記第一変速装置の変速状態を変更操作する変速操作具と、
前記変速操作具が後進走行側に操作されると、前記第二変速装置を中立状態に切り換える制御装置と、が備えられている。
また、本発明の水田作業機は、原動部の動力が伝達される第一変速装置と、機体の走行方向に沿って事前に設定された供給量で、農用資材を圃場面に供給する作業装置と、前記第一変速装置の動力を走行伝動系及び作業伝動系に分岐する分岐部と、前記走行伝動系の動力が伝達される走行用の車輪と、前記作業伝動系の動力を変速して前記作業装置に伝達する第二変速装置とが備えられ、前記第二変速装置に、前記作業伝動系の動力のうち正転動力が前記作業装置に伝達されることを許容し、且つ、逆転動力が前記作業装置に伝達されることを牽制する牽制機構が備えられている。
【0010】
本構成によれば、第一変速装置の作業伝動系の動力が第二変速装置を通って作業装置に伝達されるのであり、第二変速装置を操作することにより、第二変速装置の変速操作範囲内において圃場面に供給する農用資材の供給量を変更設定することができる。
【0011】
例えば、第一変速装置の変速動力が正転状態に設定されて、機体が前進走行しながら作業装置が農用資材の供給作業を行っているときに、第二変速装置が逆転動力を出力する状態に変更されると、作業装置において適正な作動が行われないおそれがある。
【0012】
しかし、本構成によれば、第二変速装置に備えられた牽制機構によって、第二変速装置から逆転動力が作業装置に伝達されることが牽制される。その結果、作業装置に逆転動力が出力されることはなく、作業装置側で逆転動力を規制するための特別な装置を用いることなく、正転動力だけを伝達することができる。
【0013】
従って、作業装置に特別な規制用の装置を備えなくても、作業装置の損傷のおそれがない状態で、圃場田や農用資材の状態等に応じて、圃場面に対する農用資材の供給量を変更設定できるようにすることが可能となった。
【0014】
本発明においては、前記第二変速装置が静油圧式無段変速装置にて構成され、
前記牽制機構が、前記静油圧式無段変速装置におけるトラニオン軸を操作する変速アームが逆転操作域に操作されるのを接当牽制する接当部材にて構成されていると好適である。
【0015】
本構成によれば、第二変速装置が静油圧式無段変速装置にて構成されるから、作業伝動系の動力を無段階に変速可能である。このように無段階に変速することで、圃場面に対する農用資材の供給量を作業状況に応じて、無段変速装置の最高速位置と最低速位置との間において任意の供給量を設定することができる。その結果、圃場面や農用資材の状態等に応じて、供給量を細かく適切に設定することができるようになって、水田作業機の作業精度を向上させることができる。
【0016】
静油圧式無段変速装置は、正転動力だけでなく、逆転動力についても無段階に変速可能である。そこで、トラニオン軸を操作する変速アームを接当部材によって接当規制することにより、トラニオン軸が逆転操作域に操作されることを牽制するようにした。このように機械的に牽制することで、逆転動力が作業装置に伝達されることを確実に回避させることができる。
【0017】
接当部材は、変速アームを接当規制するものであればよく簡単な構造のもので対応できる。又、例えば、変速アームをアクチュエータで操作する構成を採用した場合に、トラニオン軸の操作状態を検出するセンサの検出誤差等の要因でアクチュエータが過剰に操作するようなことがあっても、逆転動力が作業装置に伝達されることを確実に牽制することができる。
【0018】
本発明においては、前記第一変速装置の変速状態を変更操作する変速操作具と、
前記変速操作具が後進走行側に操作されると、前記第二変速装置を中立状態に切り換える制御装置とが備えられていると好適である。
【0019】
本構成によれば、変速操作具が前進走行側の操作域から後進走行側に操作されると、第二変速操作が中立状態に切り換えられる。後進走行側への操作としては、例えば、変速操作具が、前進走行側の操作域における最低速位置(中立状態に相当する位置)まで操作されたこと、変速操作具が中立操作位置に位置していること、後進走行側の操作域における最低速位置(中立状態に相当する位置)に位置していること、等がある。
【0020】
このように変速操作具が、実際に後進伝動状態に切り換えられる前に、後進伝動状態に切り換えられる蓋然性が高い操作に基づいて、第二変速装置を中立状態に切り換えるので、切り換え動作に少し時間遅れがあったとしても、作業装置に逆転動力が伝達されることを回避でき、作業装置の損傷を防止できる。
【0021】
本発明においては、前記作業装置が、機体の走行方向に沿って事前に設定された供給間隔で、農用資材を圃場面に間欠的に供給すると好適である。
【0022】
本構成によれば、作業装置は、機体の走行に伴って、間隔をあけた状態で間欠的に農用資材を圃場面に供給する。第二変速装置が変速することにより、作業装置が農用資材を供給する間隔を変更設定することによって供給量を変更することになる。この構成では、1回に供給する農用資材の量を変更せずに、全体の供給量を変更できるので、供給量の調整作業が不要で対応が簡単になる。
【0023】
本発明においては、前記作業装置として、機体の走行方向に沿って事前に設定された供給間隔で、農用資材としての種子を圃場面に点播する播種装置が備えられていると好適である。
【0024】
本構成によれば、機体を走行させながら播種装置によって圃場面に種子を点播することができ、播種作業において種子の点播の間隔を精度よく管理し易いものになる。
【0025】
本発明においては、前記作業装置として、機体の走行方向に沿って事前に設定された供給間隔で、農用資材としての苗を圃場面に供給する苗植付装置が備えられていると好適である。
【0026】
本構成によれば、機体を走行させながら苗植付装置によって圃場面に苗を植え付けることができ、苗植付け作業において苗の植付間隔を精度よく管理し易いものになる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明の実施形態を水田作業機(作業機)の一例である乗用型田植機に適用した場合について、図面に基づいて説明する。
本実施形態における前後方向及び左右方向は、特段の説明がない限り、以下のように記載している。走行機体11の走行時における前進側の進行方向が「前」であり、後進側の進行方向が「後」である。前後方向での前向き姿勢を基準として右側に相当する方向が「右」であり、左側に相当する方向が「左」である。すなわち、
図1及び
図2に符号(F)で示す方向が機体前側、
図1及び
図2に符号(B)で示す方向が機体後側である。
図2に符号(L)で示す方向が機体左側、
図2に符号(R)で示す方向が機体右側である。
【0029】
(乗用型田植機の全体構成)
図1及び
図2に示すように、乗用型田植機は、右及び左の前輪1(走行用の車輪に相当)、右及び左の後輪2(走行用の車輪に相当)を備えた走行機体11の後部に、リンク機構3及びリンク機構3を昇降駆動する油圧シリンダ4が備えられ、リンク機構3の後部に苗植付装置5(作業装置に相当)が支持されている。
【0030】
苗植付装置5は、左右方向に所定間隔を置いて配置された植付伝動ケース6、植付伝動ケース6の後部の右及び左側部に回転自在に支持された回転ケース7、回転ケース7の両端に備えられた一対の植付アーム8、フロート9及び苗のせ台10等を備えている。
【0031】
右及び左のマーカー12が、苗植付装置5の右及び左の横側部に備えられている。マーカー12は、圃場面Gに接地する作用姿勢(
図1参照)、及び圃場面Gから上方に離れた格納姿勢に変更自在であり、マーカー12の先端部に回転体12aが回転自在に支持されている。マーカー12の作用姿勢において、マーカー12の回転体12aが圃場面Gに接地するのであり、走行機体11の走行に伴ってマーカー12の回転体12aが、回転しながら圃場面Gに指標を形成する。
【0032】
(運転部の付近の構成)
図1及び
図2に示すように、走行機体11に、運転座席13、及び前輪1を操向操作する操縦ハンドル14が備えられている。
【0033】
走行機体11の前部の右部及び左部に右及び左の縦向き支持フレーム16が備えられており、縦向き支持フレーム16に予備苗のせ台15が支持されている。右及び左の縦向き支持フレーム16の上部に亘って、横向き支持フレーム17が連結されている。
【0034】
横向き支持フレーム17において、平面視で走行機体11の左右中央CLに位置する部分に、位置計測装置18が取り付けられている。位置計測装置18には、衛星測位システムにより位置情報を取得する受信装置(図示せず)、走行機体11の傾き(ピッチ角、ロール角)を検出する慣性計測装置(図示せず)が備えられており、位置計測装置18は走行機体11の位置を示す測位データを出力する。
【0035】
右及び左の後輪2を支持する後車軸ケース22において、平面視で走行機体11の左右中央CLに位置する部分に、慣性情報を計測する慣性計測装置19が取り付けられている。慣性計測装置19及び位置計測装置18の慣性計測は、IMU(Inertial Measurement Unit)により構成されている。
【0036】
前述の衛星測位システム(GNSS:Global Navigation Satellite System)には、代表的なものとしてGPS(Global Positioning System)が挙げられる。GPSは、地球の上空を周回する複数のGPS衛星や、GPS衛星の追跡と管制を行う管制局や、測位を行う対象(走行機体11)が備える受信装置を使用して、位置計測装置18の受信装置の位置を計測するものである。
【0037】
慣性計測装置19は、走行機体11のヨー角度の角速度を検出可能なジャイロセンサー(図示せず)、及び、互いに直交する3軸方向の加速度を検出する加速度センサー(図示せず)を備えている。慣性計測装置19により計測される慣性情報には、ジャイロセンサーにより検出される方位変化情報と、加速度センサーにより検出される位置変化情報とが含まれている。これにより、位置計測装置18及び慣性計測装置19によって、走行機体11の位置及び走行機体11の方位が検出される。
【0038】
(ミッションケースの付近の構成)
走行機体11の前部に、ミッションケース20が支持されており、ミッションケース20の右及び左の横側部に連結された前車軸ケース21に、右及び左の前輪1が支持されている。走行機体11の後部に、後車軸ケース22が支持されており、後車軸ケース22に右及び左の後輪2が支持されている。
【0039】
ミッションケース20の前部に、エンジン23(原動部に相当)が支持されている。ミッションケース20の左の横側部に、静油圧式の無段変速装置からなる第一変速装置24が連結されており、エンジン23の動力が伝動ベルト25を介して第一変速装置24の入力軸24aに伝達される。
【0040】
第一変速装置24は、中立位置、前進側及び後進側に無段階に変速自在に構成されており、操縦ハンドル14の左の横側に備えられた変速操作具としての主変速レバー30により第一変速装置24を操作する。説明を加えると、
図3に示すように、第一変速装置24は、アーキシャルプランジャー型の油圧ポンプ24Pと、アーキシャルプランジャー型の油圧モータ24Mとを、ケーシング24Cにて一体的に収容した、周知構造の静油圧式の無段変速装置にて構成されている。
【0041】
図5に示すように、主変速レバー30と、油圧ポンプ24Pの斜板操作用のトラニオン軸24cを操作するための変速アーム24dとが連係機構30Rにより連動連係されている。主変速レバー30を操作して、油圧ポンプ24Pの斜板の傾きを変更することにより、回転動力を無段階に変速することができる。
【0042】
図5に示すように、主変速レバー30は、前後方向に揺動操作可能であり、前後中間部の中立位置Nから前側に前進操作域が設定され、中立位置Nから後側に後進操作域が設定されている。主変速レバー30を中立位置Nから前進操作域を前側に揺動させるほど、前進走行速度が増速する。主変速レバー30を中立位置Nから後進操作域を後側に揺動させるほど、後進走行速度が増速する。前進操作域と後進操作域とが左右方向にずれており、主変速レバー30は、中立位置Nにおいて、前進側中立位置と後進側中立位置とに左右方向に位置をずらすことができる。従って、前進操作式から一気に後進操作域にそのまま揺動操作することはできない。
【0043】
(前輪及び後輪への走行伝動系の構成)
図3に示すように、ミッションケース20の右の横側部に、油圧ポンプ26が連結されており、油圧ポンプ26は油圧シリンダ4等に作動油を供給する。第一変速装置24の入力軸24aがミッションケース20に入り込んでおり、油圧ポンプ26の入力軸26aと、第一変速装置24の入力軸24aとに亘って伝動軸27が連結されている。
【0044】
ミッションケース20の内部に、伝動軸28,29が左右方向に沿って支持されて、第一変速装置24の出力軸24bが伝動軸28の端部に連結されている。ミッションケース20の内部において、伝動軸28,29に亘って、ギヤ変速型式の副変速装置31が備えられている。
【0045】
副変速装置31は、伝動軸28に連結された低速ギヤ32及び高速ギヤ33、スプライン構造により伝動軸29に一体回転及びスライド自在に外嵌されたシフトギヤ34を備えている。運転座席13の近傍に備えられた副変速レバー(図示せず)により、シフトギヤ34をスライド操作することができる。
【0046】
副変速装置31において、シフトギヤ34を低速ギヤ32に咬合させると、伝動軸28の動力が低速状態で伝動軸29に伝達され、シフトギヤ34を高速ギヤ33に咬合させると、伝動軸28の動力が高速状態で伝動軸29に伝達される。
水田において植付作業を行う場合、副変速装置31を低速状態に操作するのであり、路上等において高速で走行する場合に、副変速装置31を高速状態に操作する。
【0047】
右及び左の前輪1に動力を伝達する右及び左の前車軸35が、ミッションケース20及び前車軸ケース21に亘って支持されており、右及び左の前車軸35の間に、前輪デフ装置36が備えられている。伝動軸29に連結された伝動ギヤ37と、前輪デフ装置36のケース36aに連結された伝動ギヤ38とが、咬合している。
【0048】
ミッションケース20の後部に出力軸39が前後方向に沿って支持されており、前輪デフ装置36のケース36aに連結されたベベルギヤ40と、出力軸39の前部に形成されたベベルギヤ39aとが、咬合している。
【0049】
図1に示すように、出力軸39の後部に、伝動軸41が自在継手(図示せず)を介して連結されており、伝動軸41の後部が、自在継手(図示せず)を介して、後車軸ケース22の入力軸(図示せず)に連結されている。
【0050】
以上の構成により、第一変速装置24で変速された動力が、第一変速装置24の出力軸24bから、伝動軸28、副変速装置31、伝動軸29、伝動ギヤ37,38、前輪デフ装置36及び前車軸35を介して、右及び左の前輪1に伝達される。
前輪デフ装置36に伝達された動力が、ベベルギヤ40、出力軸39、伝動軸41、後車軸ケース22の内部の伝動軸(図示せず)を介して、右及び左の後輪2に伝達される。
【0051】
出力軸39に、多板型式のブレーキ42が外嵌されており、
図2に示すブレーキペダル43を踏み操作することにより、ブレーキ42を制動状態に操作することができる。ブレーキ42により出力軸39に制動を掛けることによって、前輪1及び後輪2に制動を掛けることができる。
【0052】
デフロック部材44が、キー構造により左の前車軸35に一体回転及びスライド自在に外嵌されている。運転座席13の下側に備えられたデフロックペダル(図示せず)を踏み操作することにより、デフロック部材44をスライド操作して前輪デフ装置36のケース36aに咬合させることにより、前輪デフ装置36をデフロック状態に操作することができる。
【0053】
以上の構成により、第一変速装置24の動力が伝動軸28において走行伝動系及び作業伝動系に並列的に分岐されて、走行伝動系の動力が、副変速装置31を通って、前輪1及び後輪2(走行用の車輪)に伝達される状態となっている。従って、伝動軸28が分岐部を構成する。
【0054】
(苗植付装置への作業伝動系の構成)
図4に示すように、ミッションケース20の右の横側部に、静油圧型式の無段変速装置からなる第二変速装置45が連結されている。第二変速装置45は、第一変速装置24と同様に、アーキシャルプランジャー型の油圧ポンプ45Pと、アーキシャルプランジャー型の油圧モータ45Mとを、ケーシング45Cにて一体的に収容した、周知構造の静油圧式の無段変速装置にて構成されている。油圧ポンプ45Pに備えられた斜板(図示せず)の傾きを変更することにより、回転動力を無段階に変速することができる。
【0055】
第二変速装置45の入力軸45aと伝動軸28とが連結されている。第二変速装置45の入力軸45aがミッションケース20の反対側に突出しており、第二変速装置45に冷却風を送る排熱用のファン46が、第二変速装置45の入力軸45aの突出部に連結されている。つまり、ファン46は油圧ポンプ45Pと一体回転する状態で備えられている。
【0056】
第二変速装置45の出力軸45bに伝動軸47が連結されている。ミッションケース20の内部に、伝動軸48,49が左右方向に沿って支持されており、伝動軸49の端部が伝動軸47と同芯状に相対回転自在に支持されている。
【0057】
2組のギヤを備えた伝動ギヤ50が、伝動軸48の外側に回転自在に外嵌されている。
伝動軸47に形成された伝動ギヤ47aと、伝動ギヤ50の大径ギヤ部分とが咬合し、伝動軸49に連結された伝動ギヤ51と、伝動ギヤ50の小径ギヤ部分とが咬合している。
【0058】
ミッションケース20の内部において、伝動軸48,49に亘って、ギヤ変速型式の不等速変速装置52が備えられており、伝動軸48にベベルギヤ53が連結されている。ミッションケース20の後部に出力軸54が前後方向に沿って支持され、ベベルギヤ55が出力軸54の前部に植付クラッチ56を介して外嵌されており、ベベルギヤ53,55が咬合している。
【0059】
図1に示すように、出力軸54の後部に、伝動軸57が自在継手(図示せず)を介して連結されており、伝動軸57の後部が、自在継手(図示せず)を介して、苗植付装置5の入力軸(図示せず)に連結されている。
【0060】
以上の構成により、第一変速装置24で変速された動力が、第一変速装置24の出力軸24bから、伝動軸28及び第二変速装置45の入力軸45aを介して、第二変速装置45に伝達される。
【0061】
第二変速装置45で変速された動力が、第二変速装置45の出力軸45bから、伝動軸47(伝動ギヤ47a)、伝動ギヤ50,51、伝動軸49、不等速変速装置52、伝動軸48、ベベルギヤ53,55、植付クラッチ56、出力軸54、伝動軸57を介して、苗植付装置5に伝達される。
【0062】
植付クラッチ56を伝動状態に操作すると、苗植付装置5に動力が伝達されて、苗植付装置5が作動する。
苗植付装置5が作動すると、
図5に示すように、苗のせ台10が左右に往復横送り駆動されるのに伴って、回転ケース7が
図5の反時計方向に回転駆動され、2組の植付アーム8が、苗のせ台10の下部から交互に苗A(農用資材に相当)を取り出して圃場面Gに植え付ける。これにより、走行機体11の走行方向F1に沿って、事前に設定された設定株間L1(供給間隔に相当)で、苗Aが圃場面Gに間欠的に植え付けられる。
植付クラッチ56を遮断状態に操作すると、苗植付装置5への動力が遮断されて、苗植付装置5が停止し、苗のせ台10及び回転ケース7が停止する。
【0063】
以上の構成により、第一変速装置24(変速装置)の動力が走行伝動系及び作業伝動系に並列的に分岐されて、作業伝動系の動力が第二変速装置45及び不等速変速装置52を通って、苗植付装置5(作業装置)に伝達される状態となっている。
【0064】
(不等速変速装置の構成)
図4に示すように、不等速変速装置52は、伝動軸49に連結された等速ギヤ58及び3個の不等速ギヤ59、伝動軸48に相対回転自在に外嵌された等速ギヤ60及び3個の不等速ギヤ61を備えており、等速ギヤ58,60が咬合し、3個の不等速ギヤ59,61同士が咬合している。
【0065】
キー状の変速部材62が伝動軸48の内部にスライド自在に支持されており、変速部材62をスライド操作して、等速ギヤ60及び3個の不等速ギヤ61のうちの一つに係合させることにより、変速部材62を係合させた等速ギヤ60及び3個の不等速ギヤ61のいずれかを伝動軸48に連結状態とすることができる。
【0066】
等速ギヤ58,60は、円形ギヤで同径である。これにより、変速部材62を等速ギヤ60に係合させると、伝動軸49の1回転の動力が、角速度の等速状態で1回転の動力として伝動軸48に伝達される。
【0067】
不等速ギヤ59,61は、楕円ギヤ、偏芯ギヤ又は非円形ギヤである。これにより、変速部材62を不等速ギヤ61のうちの一つに係合させると、伝動軸49の1回転の動力が1回転の動力として伝動軸48に伝達されるのであるが、1回転のうち角速度が高低に変化する。
【0068】
不等速ギヤ59,61が偏芯ギヤである場合、一つの偏芯ギヤにおいてギヤ歯の転位が複数設定されており、ギヤ歯によって転位が異なるものに設定されている。これにより、不等速ギヤ59,61のバックラッシのバラ付きを少なくすることができて、不等速ギヤ59,61による動力の伝達が滑らかなものにすることができる。
【0069】
(無段変速装置を操作する制御系の構成)
図5に示すように、走行機体11に制御装置63が備えられている。設定株間L1を設定する設定部64が運転座席13又は操縦ハンドル14の近傍に備えられて、設定部64の操作信号が制御装置63に入力されている。
【0070】
設定部64は作業者が人為的に操作する操作レバーの型式であり、最大間隔L11と最小間隔L12との間において、作業者が、設定株間L1を無段階に任意に設定(選択)することができる。
【0071】
図4に示すように、ギヤ歯状の回転体49aが一体回転するように伝動軸49に連結されている。回転体49aに対してピックアップセンサー型式の作業回転数検出部65が備えられており、作業回転数検出部65の検出値が制御装置63に入力されている。
【0072】
これにより、第二変速装置45の下流側で、且つ、不等速変速装置52の上流側において、第二変速装置45と不等速変速装置52との間の伝動系(伝動軸49)の回転数が、第二変速装置45からの動力の回転数として作業回転数検出部65によって検出されて、制御装置63に入力される。
【0073】
図4に示すように、ギヤ歯状の回転体28aが、伝動軸28と一体で回転するように伝動軸28に連結されている。伝動軸28の回転体28aに対して、ピックアップセンサー型式の走行回転数検出部66が備えられており、走行回転数検出部66の検出値が制御装置63に入力されている。
【0074】
これにより、副変速装置31の上流側において、走行伝動系及び作業伝動系の分岐部(伝動軸28)と副変速装置31との間の伝動系の回転数を検出する走行回転数検出部66が備えられた状態となっている。
【0075】
図5に示すように、第二変速装置45における油圧ポンプ45Pの斜板(図示せず)の角度を変更して第二変速装置45を操作する駆動機構67が備えられており、制御装置63から駆動機構67に操作信号が出力される。第二変速装置45には、斜板操作用のトラニオン軸45cを操作するための変速アーム45dが備えられている。駆動機構67は、減速機付き電動モータ67Aと、電動モータ67Aによって揺動操作される駆動アーム67Bと、この駆動アーム67Bと変速アーム45dとを枢支連結するロッド67Cとが備えられている。駆動アーム67Bを揺動することで、ロッド67Cで押し引きして変速アーム45dが揺動し、変速操作される。尚、図示はしないが、駆動アーム67Bの揺動操作位置を検出するポテンショメータ式の検出センサが設けられ、検出センサの検出値は制御装置63に入力されている。
【0076】
制御装置63に、スリップ率検出部68、制御部69、タイマー70、第1走行距離検出部71、第2走行距離検出部72、供給間隔検出部73が、ソフトウェアとして備えられている。
【0077】
(前輪及び後輪のスリップ率の検出)
水田において植付作業を行う場合、前輪1及び後輪2にスリップが発生するので、スリップ率検出部68において、以下の説明のように前輪1及び後輪2のスリップ率が検出される。
【0078】
この場合、前輪1及び後輪2のスリップが発生した状態とは、前輪1及び後輪2が空転するような状態となり、前輪1及び後輪2が回転している割に、走行機体11が前進していない状態である。
【0079】
植付作業において、ある第1時点と、第1時点から設定時間が経過した次の第2時点とが、タイマー70により検出される。
第1時点から第2時点において、位置計測装置18及び慣性計測装置19による走行機体11の位置及び走行機体11の方位の検出に基づいて、第1走行距離検出部71により、走行機体11の実際の走行距離が検出される。この場合、第1走行距離検出部71の検出値には、前輪1及び後輪2のスリップが含まれている。
【0080】
第1時点から第2時点において、前輪1及び後輪2の外径と、走行回転数検出部66の検出値(前輪1及び後輪2の回転数)とによって、第2走行距離検出部72により、走行機体11の走行距離が検出(演算)される。この場合に、第2走行距離検出部72の検出値には、前輪1及び後輪2にスリップは含まれていない。
【0081】
スリップ率検出部68により、第1走行距離検出部71の検出値と、第2走行距離検出部72の検出値とが比較される。
前輪1及び後輪2のスリップが発生していると、第1走行距離検出部71の検出値が、第2走行距離検出部72の検出値よりも小さくなるのであり、第1走行距離検出部71及び第2走行距離検出部72の検出値の差が大きくなるほど、前輪1及び後輪2のスリップが多く発生していると判断できる。
【0082】
これにより、第1走行距離検出部71の検出値と、第2走行距離検出部72の検出値とに基づいて、スリップ率検出部68により前輪1及び後輪2のスリップ率が検出される。
第1時点から第2時点までの前輪1及び後輪2のスリップ率が検出されると、第2時点から設定時間が経過した次の第3時点までの前輪1及び後輪2のスリップ率が検出されるのであり、前輪1及び後輪2のスリップ率の検出が連続的に繰り返して行われる。
【0083】
(植付作業の開始時における株間の設定)
水田において植付作業を行う場合、以下のような操作が行われる。
植付作業の開始時において、作業者は、設定部64により設定株間L1を設定(選択)する。設定部64により株間L1が設定された状態において、植付作業を開始すると、設定株間L1に対応して、制御部69から駆動機構67に操作信号が出力され、駆動機構67により第二変速装置45が操作される。このとき、検出センサの検出値に基づいて駆動アームの位置を制御するようにしている。
【0084】
この段階では、前輪1及び後輪2のスリップは考慮されていないので、第二変速装置45の変速位置は一義的に決まるのであり、設定株間L1に対応した変速位置に、第二変速装置45が操作される。
【0085】
第二変速装置45では作動油のリークが生じることがあるので、第二変速装置45の出力軸45bの回転数が、設定株間L1に対応する変速位置での回転数よりも少し低速になり、この分だけ実際の株間Lx(供給間隔に相当)は設定株間L1よりも少し大きくなることがある。
【0086】
この場合、作業回転数検出部65の検出値(第二変速装置45の出力軸45bの回転数)に基づいて、第二変速装置45の出力軸45bの回転数が、設定株間L1に対応する回転数となるように、第二変速装置45が、設定株間L1に対応する変速位置に操作された状態で、駆動機構67により微調節される。
【0087】
(植付作業において前輪及び後輪のスリップ率の検出に基づく株間の調節)
上述したように、第二変速装置45が設定株間L1に対応する変速位置に操作された状態において、植付作業の進行に伴って、スリップ率検出部68により前輪1及び後輪2のスリップ率が検出され、実際の株間Lxが設定株間L1となるように、第二変速装置45が以下の説明のように自動的に操作される。
【0088】
作業回転数検出部65の検出値(第二変速装置45の出力軸45bの回転数)と、走行回転数検出部66の検出値(前輪1及び後輪2の回転数)とに基づいて、供給間隔検出部73により、実際の株間Lxが検出される。
具体的には、前輪1及び後輪2のスリップ率に相当する長さが演算されて、設定株間L1から、前輪1及び後輪2のスリップに相当する長さが差し引かれて、実際の株間Lxが検出される。
【0089】
供給間隔検出部73により検出される実際の株間Lxが設定株間L1となるように、制御部69から駆動機構67に操作信号が出力され、駆動機構67により第二変速装置45が操作される。
【0090】
(設定株間に基づく不等速変速装置の操作)
設定部64により設定された設定株間L1が、特に大きなものではなく、特に小さなものではない場合、作業者は、不等速変速装置52において、等速ギヤ58,60による動力が伝達される状態を設定しておけばよい。
【0091】
設定部64により設定された設定株間L1が、特に大きなものに設定されていたり、特に小さなものに設定されていた場合、作業者は、不等速変速装置52において変速部材をスライド操作して、不等速ギヤ59,61のうち、設定部64により設定された設定株間L1に適した不等速ギヤ59,61を選択すればよい(伝動軸48に連結状態とすればよい)。
【0092】
設定部64により設定された設定株間L1が、特に大きなものに設定されていた場合、等速ギヤ58,60を用いると、植付アーム8による苗のせ台10からの苗Aの取り出しから、植付アーム8による苗Aの圃場面Gへの植え付けまでの領域において、回転ケース7の回転速度が低速になり過ぎる。そこで、設定株間L1に適した不等速ギヤ59,61を選択すると、前述の領域において、不等速変速装置52により回転ケース7の回転速度を少し高速にすることができ、苗Aが圃場面Gに適切に植え付けられるようにすることができる。
【0093】
設定部64により設定された設定株間L1が、特に小さなものに設定されていた場合、植付アーム8による苗のせ台10からの苗Aの取り出しから、植付アーム8による苗Aの圃場面Gへの植え付けまでの領域において、回転ケース7の回転速度が高速になり過ぎる。そこで、設定株間L1に適した不等速ギヤ59,61を選択すると、前述の領域において、不等速変速装置52により回転ケース7の回転速度を少し低速にすることができ、苗Aが圃場面Gに適切に植え付けられるようにすることができる。
【0094】
(第二変速装置を牽制する構成)
第二変速装置45に、作業伝動系の動力のうち正転動力が苗植付装置5に伝達されることを許容し、且つ、逆転動力が苗植付装置5に伝達されることを牽制する牽制機構Kが備えられている。
【0095】
具体的には、牽制機構Kは、第二変速装置45におけるトラニオン軸45cを操作する変速アーム45dが逆転操作域に操作されるのを接当牽制する接当部材74にて構成されている。すなわち、
図5に示すように、変速アーム45dが、中立位置から所定方向(
図5の右方向)に揺動すると、正転操作域に切り換わる。変速アーム45dが、中立位置から所定方向と反対方向(
図5の左方向)に揺動すると、逆転操作域に切り換わる。第二変速装置45は、変速アーム45dが正転操作域に切り換わり、揺動角が大きいほど正転動力の速度が大きくなる。第二変速装置45は、変速アーム45dが逆転操作域に切り換わり、揺動角が大きいほど逆転動力の速度が大きくなるように変速することが可能である。
【0096】
しかし、変速アーム45dが中立位置から逆転操作域に亘って揺動する箇所に、接当部材74が備えられており、この接当部材74により、変速アーム45dが逆転操作域に移動することを機械的に接当して牽制する構成となっている。従って、第二変速装置45から正転動力のみ苗植付装置5に伝達され、逆転動力が伝達されることはない。
【0097】
又、制御装置63は、主変速レバー30が後進走行側に操作されると、第二変速装置45を中立状態に切り換えるように駆動機構67を制御するように構成されている。
図5に示すように、主変速レバー30の揺動支点位置に主変速レバー30の揺動操作位置を検出するポテンショメータからなるレバー位置センサ75が設けられている。このレバー位置センサ75の検出結果は制御装置63に入力されている。
【0098】
制御装置63は、レバー位置センサ75の検出値により主変速レバー30が中立位置に操作されたことを検出すると、第二変速装置45が中立状態に切り換わるように駆動機構67を作動させる。主変速レバー30の中立位置Nは、前進操作域の最低速位置N1、後進操作式の最低速位置N2、あるいは、その中間位置のいずれでもよい。主変速レバー30が前進操作域にて操作されている状態から後進走行側に向けて操作され、中立位置Nに切り換えられると、第二変速装置45を中立状態に切り換えることになる。
【0099】
〔別実施形態〕
(1)上記実施形態では、牽制機構Kが、変速アーム45dが逆転操作域に操作されるのを接当牽制する接当部材74にて構成されるものを示したが、この構成に代えて、変速アーム45dとロッド67cを介して連動連結される駆動アーム67Bに接当作用して、駆動アーム67Bが逆転操作域に操作されるのを牽制する構成としてもよい。又、牽制機構Kとしては、変速アーム45dや駆動アーム67Bに接当して規制する構成に限らず、次のように構成してもよい。例えば、第二変速装置45の出力部において、出力用回転体が正転方向に回転する際にその回転動力を伝動下手側に伝達し、出力用回転体が逆転方向に回転する際には、空回りしてその動力を伝動下手側に伝達させない一方向回転規制機構を備える構成でもよい。
【0100】
(2)上記実施形態では、主変速レバー30が、後進走行側に操作されることの一例として、主変速レバー30が中立位置Nに操作されると、第二変速装置45を中立状態に切り換え制御する構成としたが、この構成に代えて、主変速レバー30が後進操作式に操作されると、第二変速装置45を中立状態に切り換え制御する構成としてもよい。
【0101】
(3)上記実施形態では、作業装置(苗植付装置5)が、機体の走行方向に沿って事前に設定された供給間隔で、農用資材(苗)を圃場面に間欠的に供給する構成としたが、この構成に代えて、作業装置が、機体の走行方向に沿って農用資材を圃場面に連続的に供給する構成としてもよい。このように連続的に農用資材を供給する場合、第二変速装置45の変速によって連続的に供給されるときの農用資材の単位時間あたりの供給量を変更調整することができる。
【0102】
(4)上記実施形態では、走行機体の後部に、作業装置としての苗植付装置5だけを備える構成としたが、この構成に代えて、苗植付装置5にて苗が植えられた圃場面に肥料を供給する施肥装置を別途させる構成としてもよい。そして、このように施肥装置を備えるにあたり、施肥装置用の動力を苗植付装置と並列状態で供給する必要がある。そこで、施肥装置駆動用の伝達機構をミッションケース20の内部に備える構成としてもよい。
【0103】
(5)上記実施形態では、作業装置として苗植付装置5が備えられる乗用型田植機に適用したものを示したが、本発明は、作業装置として、機体の走行方向に沿って事前に設定された供給間隔で、農用資材としての種子を圃場面に点播する播種装置が備えられた水田作業機(乗用型直播機)に適用することができる。このように乗用型直播機に適用する場合には、第二変速装置の変速操作により、圃場面に種子を点播するときの走行方向に沿う点播する間隔を変更することができる。
【0104】
(6)上記実施形態では、農用資材として苗又は種子を供給するものを示したが、農用資材としては、それ以外に、肥料や薬剤等を圃場面に供給する構成としてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0105】
本発明は、乗用型田植機や乗用型直播機等のように、苗や種子、肥料や薬剤等の農用資材を圃場面に供給する水田作業機に適用できる。
【符号の説明】
【0106】
1,2 車輪
5 作業装置
24 第一変速装置
30 変速操作具
45 第二変速装置
45c トラニオン軸
45d 変速アーム
63 制御装置
74 接当部材
K 牽制機構