(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024161178
(43)【公開日】2024-11-15
(54)【発明の名称】機能管理システム及び機能管理方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/20 20230101AFI20241108BHJP
G06F 11/07 20060101ALI20241108BHJP
G06F 8/61 20180101ALI20241108BHJP
B60R 16/02 20060101ALI20241108BHJP
【FI】
G06Q10/20
G06F11/07 140R
G06F11/07 178
G06F8/61
B60R16/02 650Z
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024147578
(22)【出願日】2024-08-29
(62)【分割の表示】P 2023010383の分割
【原出願日】2023-01-26
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001081
【氏名又は名称】弁理士法人クシブチ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大谷 恭平
(72)【発明者】
【氏名】辻岡 毅
(72)【発明者】
【氏名】加納 忠彦
(57)【要約】
【課題】車両におけるオプション機能の実行準備の可否を迅速にユーザに提示し得るようにして、オプション機能利用の円滑化を図ること。
【解決手段】
機能管理システムは、車両に搭載された電子制御装置の故障についての情報及び又は電子制御装置により制御される機器の故障についての情報を含む故障情報を収集する情報収集部と、オプション機能のそれぞれについて、利用開始のための実行準備が可能か否かを判断する判断部と、を備える。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両におけるオプション機能の利用を管理する機能管理システムであって、
前記車両に搭載された電子制御装置の故障についての情報及び又は前記電子制御装置により制御される機器の故障についての情報を含む故障情報を収集する情報収集部と、
前記オプション機能のそれぞれについて、利用開始のための実行準備が可能か否かを判断する判断部と、
を備える機能管理システム。
【請求項2】
前記オプション機能についての利用開始の要求を端末装置から受信する受付部と、
前記端末装置を介してユーザに通知を行う通知部を有し、
前記通知部は、受付部がいずれかの前記オプション機能についての利用開始の要求を受信したときに、当該オプション機能が実行準備不可と判断されたものであるときは、当該オプション機能を利用できない旨の通知を、端末装置を介してユーザに出力する、
請求項1に記載の機能管理システム。
【請求項3】
端末装置を介してユーザに前記オプション機能のリストを提示する通知部を有し、
前記通知部は、前記リストにおいて、実行準備可能と判断された前記オプション機能を提示する、
請求項1に記載の機能管理システム。
【請求項4】
端末装置を介してユーザに前記オプション機能のリストを提示する通知部を有し、
前記通知部は、前記リストにおいて、実行準備不可と判断された前記オプション機能は提示しない、
請求項1に記載の機能管理システム。
【請求項5】
前記電子制御装置は、当該電子制御装置の動作故障についての自己診断及び又は当該電子制御装置が制御する前記機器についての故障診断を行って、前記故障情報を生成し、
前記情報収集部は、前記車両の電源スイッチがオンに切り替えられたときに前記電子制御装置から前記故障情報を収集して前記判断部に送信する、
請求項1に記載の機能管理システム。
【請求項6】
前記情報収集部は、さらに、前記車両の電源スイッチがオンされている期間において前記電子制御装置及び又は前記機器の故障を発見した前記電子制御装置から受信される前記故障情報を前記判断部へ送信する、
請求項5に記載の機能管理システム。
【請求項7】
前記電子制御装置への前記オプション機能の実行に必要なソフトウェアプログラムのインストールを管理するインストール管理部を備え、
前記インストール管理部は、実行準備が可能と判断された前記オプション機能のソフトウェアプログラムをインストールする、
請求項1に記載の機能管理システム。
【請求項8】
前記電子制御装置への前記オプション機能の実行に必要なソフトウェアプログラムのインストールを管理するインストール管理部を備え、
前記インストール管理部は、実行準備が不可と判断された前記オプション機能のソフトウェアプログラムはインストールしない、
請求項1に記載の機能管理システム。
【請求項9】
前記インストール管理部は、前記車両の電源スイッチがオフされている期間に、前記オプション機能の実行に必要なソフトウェアプログラムを前記電子制御装置にインストールする、
請求項7に記載の機能管理システム。
【請求項10】
前記車両に搭載された前記情報収集部を備える車両管理装置と、
前記車両の外部に設けられた前記判断部を備えるサーバ装置である管理サーバと、
を含む、
請求項1ないし9のいずれか一項に記載の機能管理システム。
【請求項11】
車両におけるオプション機能の利用を管理する機能管理システムのコンピュータが行う機能管理方法であって、
前記車両に搭載された電子制御装置の故障についての情報及び又は前記電子制御装置により制御される機器の故障についての情報を含む故障情報を収集する情報収集ステップと、
前記オプション機能のそれぞれについて、利用開始のための実行準備が可能か否かを判断する判断ステップと、
を有する機能管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両におけるオプション機能の利用を管理する機能管理システム、及び機能管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、交通参加者の中でも脆弱な立場にある人々にも配慮した持続可能な輸送システムへのアクセスを提供する取り組みが活発化している。この実現に向けて運転支援技術に関する研究開発を通して交通の安全性や利便性をより一層改善する研究開発に注力している。
【0003】
また、近年、車両の販売時に、当該車両において標準機能を実現するための装置のほか、オプション機能を実現し得る装置及び機器を車両に搭載しておき、車両の販売後において、ユーザからの要求に応じてオプション機能の実行を可能とすることが行われている。
【0004】
特許文献1には、使用目的に応じて車両に搭載されているオプションの利用設定を変更する情報処理装置が記載されている。この情報処理装置では、車両の使用目的が業務である場合には、全てのオプションの利用が可能とされ、車両の使用目的が私用である場合には、少なくとも一つのオプションの利用が制限される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、運転支援技術においては、車両利用者の利便性を向上すべく、車両のオプション機能に係る装置や機器の故障を適切に管理して、それらオプション機能の実行準備を円滑に行うことが課題である。
【0007】
本願は、上記課題の解決のため、車両ユーザからのオプション機能の利用要求に際し、当該オプション機能の実行準備の可否を迅速にユーザに提示し得るようにして、オプション機能利用の円滑化を図ることを目的としたものである。そして、延いては持続可能な輸送システムの発展に寄与するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一の態様は、車両におけるオプション機能の利用を管理する機能管理システムであって、前記車両に搭載された電子制御装置の故障についての情報及び又は前記電子制御装置により制御される機器の故障についての情報を含む故障情報を収集する情報収集部と、前記オプション機能のそれぞれについて、利用開始のための実行準備が可能か否かを判断する判断部と、を備える機能管理システムである。
本発明の他の態様は、車両におけるオプション機能の利用を管理する機能管理システムのコンピュータが行う機能管理方法であって、前記車両に搭載された電子制御装置の故障についての情報及び又は前記電子制御装置により制御される機器の故障についての情報を含む故障情報を収集する情報収集ステップと、前記オプション機能のそれぞれについて、利用開始のための実行準備が可能か否かを判断する判断ステップと、を有する機能管理方法である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、車両ユーザからのオプション機能の利用要求に際し、当該オプション機能の実行準備の可否を迅速にユーザに提示し得るようにして、オプション機能利用の円滑化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一実施形態に係る機能管理システムの構成を示す図である。
【
図2】機能管理システムを構成する車両管理装置の構成を示す図である。
【
図3】機能管理システムを構成する管理サーバの構成を示す図である。
【
図4】機能管理システムを構成する端末装置の構成を示す図である。
【
図5】機能管理システムが実行する準備判断処理の手順を示すフロー図である。
【
図6】機能管理システムが実行する機能開始処理の手順を示すフロー図である。
【
図8】端末装置における機能リストの表示例である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
[1.機能管理システムの構成]
図1は、本発明の一実施形態に係る機能管理システム1の構成を示す図である。機能管理システム1は、車両2に搭載された車両管理装置3と、車両2の外部に設けられたサーバ装置である管理サーバ4と、車両2を利用するユーザUが所持する端末装置6と、を含む。車両管理装置3と管理サーバ4と端末装置6とは、例えば、インターネット等の通信ネットワーク5を介して互いに通信可能に接続されている。
【0012】
車両2は、例えば、電動の又は内燃機関により駆動される車両である。端末装置6は、スマートフォン、タブレットPC、ノートPC等の携帯型又は可搬型の端末装置のほか、デスクトップPC等の据え置き型の端末装置でもよい。本実施形態では、端末装置6は、例えば、ユーザUが所持するスマートフォンである。
【0013】
ユーザUは、端末装置6を操作することにより、車両2のオプション機能を選択して、その利用開始の要求を管理サーバ4へ送信する。管理サーバ4は、利用開始の要求を受信したことに応じて、車両2の車両管理装置3に対し、上記要求により指定されたオプション機能の実行準備を指示する。
【0014】
[2.機能管理システムの動作概要]
機能管理システム1は、準備判断処理と、機能開始処理と、を実行する。
準備判断処理は、オプション機能のそれぞれについて、利用開始のための実行準備が可能か否かを判断する処理である。また、機能開始処理は、ユーザUからの要求に応じて、当該要求により指定されたオプション機能を車両2において実行できるよう準備する処理である。ここで、オプション機能の実行準備には、そのオプション機能の実行に必要なソフトウェアプログラムを、関連する電子制御装置にインストールすること、及び又は関連する電子制御装置に対しそのオプション機能の実行許可を与えること(又は、関連する電子制御装置に対しそのオプション機能についての実行許可の設定を行うこと)が含まれ得る。
【0015】
準備判断処理では、車両管理装置3は、車両2が備える電子制御装置の故障についての情報及びそれらの電子制御装置が制御する機器の故障についての情報を含む故障情報を収集する。管理サーバ4は、車両管理装置3から故障情報を取得し、当該故障情報に基づき、車両2のオプション機能のそれぞれについて、ユーザUが利用を開始するための実行準備が可能か否かを判断する。例えば、管理サーバ4は、故障情報に基づき、オプション機能のそれぞれについて、当該オプション機能の実行に必要な電子制御装置又は機器に故障が発見されているときは、当該オプション機能の実行準備を不可と判断する。管理サーバ4は、オプション機能毎の実行準備可否の判断結果を管理情報として記憶する。
【0016】
これにより、機能管理システム1では、電子制御装置又は機器の故障により実行準備ができないオプション機能を、ユーザUからのオプション機能の利用要求に先立って検出し得るので、オプション機能の実行準備の可否を迅速にユーザに提示して、オプション機能利用の円滑化を図ることができる。
【0017】
機能開始処理では、管理サーバ4は、端末装置6を介したユーザUからの要求により、端末装置6にオプション機能のリストを表示する。ユーザUは、このリストから所望のオプション機能を選択して、その利用開始を要求することができる。管理サーバ4は、いずれかのオプション機能についての利用開始の要求を端末装置6から受信することに応じて、上記準備判断処理において記憶した実行準備可否の判断結果を参照し、利用開始が求められたオプション機能が実行準備可能であるか否かを判断する。そして、管理サーバ4は、そのオプション機能が実行準備不可である場合には、端末装置6を介して、ユーザUに対し、そのオプション機能は利用できない旨の通知を行う。
【0018】
一方、利用開始が求められたオプション機能が実行準備可能なものであるときは、管理サーバ4は、そのオプション機能の利用料金についての課金処理を行ったのち、車両管理装置3に対し、そのオプション機能についての実行準備を指示する。上記利用料金は、例えば、オプション機能毎の月額利用料金であり得る。実行準備指示を受信した車両管理装置3は、利用開始が求められたオプション機能の実行に必要なソフトウェアプログラムを、当該オプション機能に関連する電子制御装置にインストールする。
【0019】
本実施形態では、特に、車両管理装置3は、上記オプション機能についての実行準備指示に従い、実行準備可能と判断されたオプション機能のソフトウェアプログラムをインストールし、実行準備不可と判断されたオプション機能のソフトウェアプログラムはインストールしない。
これにより、無用なソフトウェアプログラムのインストールを避けて、車両管理装置3の処理負荷及び電子制御装置の処理負荷を低減することができる。
【0020】
以下、車両管理装置3、管理サーバ4、および端末装置6の構成について、順次、説明する。
[3.車両管理装置の構成]
まず、車両2が備える車両管理装置3について説明する。
図2は、車両管理装置3の構成を示す図である。車両管理装置3は、車両2が備える車載ネットワークバス10を介して、aECU(Electronic Contrl Unit)11a、bECU11b、cECU11c、dECU11d、TCU(Telematics Control Unit)13、及びIVI(In-Vehicle Infotainment)ユニット14と、通信可能に接続されている。
【0021】
aECU11a、bECU11b、cECU11c、及びdECU11dは、本開示における電子制御装置であり、それぞれ、a機器12a、b機器12b、c機器12c、及びd機器12dを制御する。以下、aECU11a、bECU11b、cECU11c、及びdECU11dを総称してECU11ともいい、a機器12a、b機器12b、c機器12c、及びd機器12dを総称して機器12ともいうものとする。各ECU11は、単独で又は他のECU11と協働して、車両2の様々なオプション機能を実行し得る。
【0022】
ECU11は、それぞれ、車両電源スイッチ18がオン状態にあって電源供給が行われている期間に、例えば所定のタイミングで定期的に、自身の動作故障についての自己診断及びそれぞれが制御する機器12についての故障診断を行って、その診断結果を示す故障情報を生成する。各ECU11は、生成した故障情報を、車両管理装置3へ送信する。ここで、上記故障には、ソフトウェアの異常及び又はハードウェアの故障が含まれ得る。
【0023】
TCU13は、通信ネットワーク5を介して管理サーバ4及び端末装置6と通信するための無線通信装置を含む。IVIユニット14は、第1タッチパネル15を介したユーザUからの指示により、第1タッチパネル15に画像や映像を表示し、及び第1スピーカ16により音響を出力して、経路案内等の情報提供や、音楽、動画などの娯楽を提供する。IVIユニット14は、また、車両2の車室内に持ち込まれた端末装置6との間で、Bluetooth(登録商標)等の短距離無線により、又はUSB(登録商標)を介した有線通信により通信を行う第1通信装置17を備えてもよい。
【0024】
車両管理装置3は、第1プロセッサ20と、第1メモリ21と、を備える。第1メモリ21は、例えば、揮発性及び又は不揮発性の半導体メモリ、及び又はハードディスク装置等により構成される。
【0025】
第1プロセッサ20は、例えば、CPU等を備えるコンピュータである。第1プロセッサ20は、プログラムが書き込まれたROM、データの一時記憶のためのRAM等を有する構成であってもよい。そして、第1プロセッサ20は、機能要素又は機能ユニットとして、情報収集部23と、インストール管理部24と、を備える。
【0026】
第1プロセッサ20が備えるこれらの機能要素は、例えば、コンピュータである第1プロセッサ20が、第1メモリ21に保存された第1プログラム22を実行することにより実現される。なお、第1プログラム22は、コンピュータ読み取り可能な任意の記憶媒体に記憶させておくことができる。これに代えて、第1プロセッサ20が備える上記機能要素の全部又は一部を、それぞれ一つ以上の電子回路部品を含むハードウェアにより構成することもできる。
【0027】
情報収集部23は、ECU11から故障情報を収集して、管理サーバ4へ送信する。具体的には、情報収集部23は、車両電源スイッチ18がオンに切り替えられたときに、ECU11から故障情報を収集して管理サーバ4へ送信する。これに加えて、情報収集部23は、車両電源スイッチ18がオンされている期間において故障を発見したECU11から故障情報を受信したときに、当該受信された故障情報を管理サーバ4へ送信してもよい。
【0028】
インストール管理部24は、ECU11へのソフトウェアプログラムのインストールを管理する。本実施形態では、特に、インストール管理部24は、管理サーバ4において実行準備が可能と判断されたオプション機能のソフトウェアプログラムをインストールし、実行準備が不可と判断されたオプション機能のソフトウェアプログラムはインストールしない。
【0029】
具体的には、インストール管理部24は、管理サーバ4から実行準備指示を受信したときに、受信した実行準備指示に従い、実行準備が可能と判断され且つ実行が許可されたオプション機能に関連するECU11に対して、当該オプション機能の実行に必要なソフトウェアプログラムを、管理サーバ4からダウンロードしてインストールする。また、インストール管理部24は、上記インストールの完了後に、上記関連するECU11に対し、上記オプション機能の実行を許可する。
【0030】
なお、インストール管理部24は、受信した実行準備指示において実行が許可されていないオプション機能に関連するECU11に、当該オプション機能の実行に必要なソフトウェアプログラムが既にインストールされているときは、当該ECU11に対し、当該オプション機能の実行を禁止する。例えば、ユーザUが、一のオプション機能の利用を介してから、そのオプション機能の利用を終了したような場合には、実行準備指示において、実行が許可されていないオプション機能が車両管理装置3に通知され得る。
【0031】
また、インストール管理部24は、実行準備が可能と判断され且つ実行が許可されたオプション機能に関連するECU11において、当該オプション機能の実行に必要なソフトウェアプログラムが既にインストールされているときは、当該ECU11に対し、当該オプション機能の実行の許可のみを行い、当該ソフトウェアプログラムを重複してインストールしない。
例えば、ユーザUが、一のオプション機能の利用を介してから、そのオプション機能の利用を終了したような場合には、そのオプション機能のソフトウェアプログラムは、ECU11にインストールされたままとなり得る。
【0032】
また、本実施形態では、インストール管理部24は、ECU11に対するソフトウェアプログラムのインストールを、車両電源スイッチ18がオフされている期間に行う。これにより、例えば、車両2の走行に必要な処理を行ういずれかのECU11に対し、車両2の走行中に、オプション機能のためのソフトウェアプログラムのインストール処理が行われて、車両走行の安全性が低下してしまう、という事態が防止され得る。
【0033】
例えば、インストール管理部24は、実行準備指示を受信したときに、ECU11にインストールすべきソフトウェアプログラムを管理サーバ4からダウンロードして第1メモリ21に記憶するか又は対応するECU11に記憶させておく。そして、インストール管理部24は、車両電源スイッチ18がオフされている期間に、対応するECU11に対し、上記ダウンロードしたソフトウェアプログラムのインストールを行う。
【0034】
[4.管理サーバの構成]
次に、管理サーバ4について説明する。
図4は、管理サーバ4の構成を示す図である。管理サーバ4は、第2プロセッサ30と、第2メモリ31と、第2通信装置32と、を備える。第2通信装置32は、管理サーバ4が通信ネットワーク5を介して車両管理装置3および端末装置6と通信するための通信装置である。
【0035】
第2メモリ31は、例えば、揮発性及び又は不揮発性の半導体メモリ、及び又はハードディスク装置等により構成される。第2メモリ31には、管理情報33が記憶されている。管理情報33は、ユーザUを識別するユーザID、車両2を識別する車両ID、車両2の車両管理装置3と通信するためのアクセス情報、ユーザUからオプション機能に関する料金支払いを受けるための課金情報(例えば、銀行口座情報やクレジットカード情報)、及び車両2のオプション機能についての情報を含む。
【0036】
図7は、第2メモリ31が記憶する管理情報33の一例を示す図である。図示の例では、管理情報33が表形式で示されている。図示の表の左から、第1列はユーザID、第2列は車両ID、第3列はアクセス情報、第4列は課金情報である。
【0037】
図示の表の第5列から第9列は、車両2のオプション機能についての情報である。第5列はオプション機能の名称、第6列及び第7列は、それぞれ、各オプション機能の動作に関与するECU11(関連ECU)及び機器12(関連機器)のリストである。第8列は各オプション機能の実行準備が可能か否かの情報(実行準備可否の情報)、第9列は各オプション機能の実行を許可しているか否かの情報(実行許否の情報)を示している。
【0038】
例えばシェアカーである車両2が複数あり、複数のユーザUがそれぞれの車両2を利用し得る場合には、管理情報33は、例えば、ユーザUと車両2の組み合わせのそれぞれについて、上記第1列から第9列までの情報を保持するものとすることができる。
【0039】
ここで、ユーザID、車両ID、アクセス情報、及び課金情報は、例えば、従来技術に従い、予め端末装置6を介してユーザUから取得されて管理情報33に保存されるものとすることができる。
【0040】
また、第5列のオプション機能の名称、第6列の関連ECUのリスト、及び第7列の関連機器のリストは、車両2の仕様に応じて予め設定される。第8列の実行準備可否についての情報は、後述する管理サーバ4の判断部36により保存され又は更新される。第9列の実行許否の情報は、デフォルトでは全て「禁止」であり、後述する許可部38により更新される。
【0041】
図3を参照し、第2プロセッサ30は、例えば、CPU等を備えるコンピュータである。第2プロセッサ30は、プログラムが書き込まれたROM、データの一時記憶のためのRAM等を有する構成であってもよい。そして、第2プロセッサ30は、機能要素又は機能ユニットとして、受付部35と、判断部36と、通知部37と、許可部38と、配信部39と、を備える。
【0042】
第2プロセッサ30が備えるこれらの機能要素は、例えば、コンピュータである第2プロセッサ30が、第2メモリ31に保存された第2プログラム34を実行することにより実現される。なお、第2プログラム34は、コンピュータ読み取り可能な任意の記憶媒体に記憶させておくことができる。これに代えて、第2プロセッサ30が備える上記機能要素の全部又は一部を、それぞれ一つ以上の電子回路部品を含むハードウェアにより構成することもできる。
【0043】
受付部35は、後述する端末装置6からの機能リスト要求及び機能開始要求を受信する。受付部35は、機能リスト要求を受信したとき及び機能開始要求を受信したときに、それぞれ、第2メモリ31の管理情報33を参照し、その機能リスト要求及び機能開始要求に含まれるユーザIDにより、当該機能リスト要求及び機能開始要求の正当性を認証する。例えば、受付部35は、受信した機能リスト要求及び機能開始要求に含まれるユーザIDが管理情報33に含まれているときは、その機能リスト要求及び機能開始要求が正当であるものと判断する。
【0044】
受付部35は、受信した機能リスト要求が正当なものであるときは、上記受信した機能リスト要求を判断部36及び通知部37に送る。また、受付部35は、受信した機能開始要求が正当なものであるときは、上記受信した機能開始要求を通知部37及び許可部38に送る。
【0045】
判断部36は、車両2のオプション機能のそれぞれについて、利用開始のための実行準備が可能か否かを判断する。本実施形態では、特に、判断部36は、車両2が備える車両管理装置3の情報収集部23から送信された故障情報に基づき、オプション機能のそれぞれについて、当該オプション機能の実行に必要なECU11及び機器12に故障が発見されていないときは、当該オプション機能の実行準備を可能と判断する。また、判断部36は、上記必要なECU11又は機器12に故障が発見されているときは、当該オプション機能の実行準備を不可と判断する。
【0046】
具体的には、判断部36は、車両2の車両電源スイッチ18がオンされたときに車両管理装置3の情報収集部23から送信される故障情報に基づいて、オプション機能のそれぞれの実行準備の可否を判断する。これにより、判断部36は、車両2の走行時のような、車両管理装置3と管理サーバ4との通信状態が変化する期間においても、最新の故障情報に基づいてオプション機能の実行準備可否を判断することができる。
【0047】
また、判断部36は、車両2の車両電源スイッチ18がオンされている期間において故障を発見したECU11からの故障情報を車両管理装置3から受信したときは、当該受信した故障情報にも基づいて、オプション機能のそれぞれの実行準備の可否を判断する。これにより、判断部36は、ECU11のいずれか又は機器12のいずれかにおいて直近に発生した故障状況を反映して、オプション機能についての実行準備可否の判断を行うことができる。
【0048】
判断部36は、オプション機能のそれぞれについての実行準備可否の判断結果に基づき、第2メモリ31に保存されている管理情報33を更新する。
【0049】
通知部37は、端末装置6を介してユーザUに通知を行う。通知部37は、端末装置6からの機能リスト要求を受付部35を介して受け取ったときに、第2メモリ31の管理情報33に基づき、車両2のオプション機能のリストである機能リストを端末装置6へ送信する。端末装置6は、受信した機能リストを表示する。ユーザUは、端末装置6に表示される機能リストから、利用を開始したいオプション機能を選択することができる。端末装置6は、ユーザが選択したオプション機能についての機能開始要求を、管理サーバ4へ送信する。
【0050】
通知部37は、端末装置6からの機能開始要求を受付部35を介して受け取ったときに、その機能開始要求が要求するオプション機能が、実行準備可能と判断されたものでないときは、端末装置6を介して、ユーザUに対し、当該オプション機能を利用できない旨の通知を行う。具体的には、通知部37は、機能開始要求を受け取ったときに、第2メモリ31の管理情報33を参照し、その機能開始要求が要求するオプション機能についての、実行準備可否の判断結果を取得する。そして、通知部37は、そのオプション機能について実行準備が可能と判断されていないときは、端末装置6に指示にして、当該オプション機能を利用できない旨の通知である準備不可通知を行う。準備不可通知は、例えば、「現在、その機能は、ご利用頂けません。最寄りのディーラーにご相談ください。」等のテキストメッセージ及び又は音声メッセージであり得る。
【0051】
許可部38は、端末装置6からの機能開始要求を受付部35を介して受け取ったときに、その機能開始要求が要求するオプション機能が実行準備可能なものであるときは、そのオプション機能の利用に係る料金についての、ユーザUへの課金処理を行う。課金される料金は、例えば、そのオプション機能の月額利用料金であり得る。許可部38は、ユーザUへの課金処理が完了したときに、第2メモリ31の管理情報33に保存されている、対応するオプション機能についての実行許否情報を「許可」に更新し、そのオプション機能についての実行準備指示を車両2へ送信する。
【0052】
配信部39は、車両2の車両管理装置3からの要求に応じて、車両管理装置3が求めるソフトウェアプログラムを車両管理装置3へ送信する。なお、ソフトウェアプログラムは、例えば、第2メモリ31に保存されているものとすることができる(
図3では不図示)。
【0053】
[5.端末装置の構成]
次に、車両2のユーザUが所持する端末装置6について説明する。上述したように、端末装置6は、本実施形態では、例えばスマートフォンである。
【0054】
図4は、端末装置6の構成を示す図である。端末装置6は、第3通信装置46と、第2タッチパネル47と、第2スピーカ48と、を備える。第3通信装置46は、端末装置6が通信ネットワーク5を介して管理サーバ4と通信するための無線通信装置である。これに加えて、第3通信装置46は、Bluetooth通信等の短距離無線通信を行う無線通信装置及びUSBを介した有線通信により通信を行う有線通信装置を含んでもよい。
【0055】
端末装置6は、また、第3プロセッサ40と、第3メモリ41と、を備える。第3メモリ41は、例えば、揮発性及び又は不揮発性の半導体メモリ等により構成される。
【0056】
第3プロセッサ40は、例えば、CPU等を備えるコンピュータである。第3プロセッサ40は、プログラムが書き込まれたROM、データの一時記憶のためのRAM等を有する構成であってもよい。そして、第3プロセッサ40は、機能要素又は機能ユニットとして、要求部43と、表示制御部44と、通知出力部45と、を備える。
【0057】
第3プロセッサ40が備えるこれらの機能要素は、例えば、コンピュータである第3プロセッサ40が、第3メモリ41に保存された第3プログラム42を実行することにより実現される。第3プログラム42は、例えば、アプリケーションプログラムであり、通信ネットワーク5に接続されたプログラム配信サーバ(不図示)等からダウンロードされるか、又はコンピュータ読み取り可能な任意の記憶媒体に予め記憶されたものを当該記憶媒体から読み出して用いられるものとすることができる。これに代えて、第3プロセッサ40が備える上記機能要素の全部又は一部を、それぞれ一つ以上の電子回路部品を含むハードウェアにより構成することもできる。
【0058】
要求部43は、第2タッチパネル47を介して入力されるユーザUからの指示により、管理サーバ4へ、車両2のオプション機能のリストを含む機能リストを要求するための機能リスト要求を送信する。機能リスト要求には、ユーザUのユーザIDおよび車両2の車両IDが含まれ得る。上述したように、管理サーバ4は、機能リスト要求を受信したことに応じて、機能リストを端末装置6へ送信する。端末装置6の表示制御部44(後述)は、送信された機能リストを第2タッチパネル47に表示する。
【0059】
要求部43は、また、機能リストが表示された第2タッチパネル47を介して入力されるユーザUからの指示により、車両2に追加可能ないずれかのオプション機能についての利用開始を要求する機能開始要求を、管理サーバ4へ送信する。
【0060】
表示制御部44は、管理サーバ4から受信される機能リスト及びその他の種々の情報を第2タッチパネル47に表示する。
【0061】
通知出力部45は、管理サーバ4からの指示により、管理サーバ4から受信される準備不可通知のメッセージを含む種々のメッセージを、第2タッチパネル47に表示し及び又は第2スピーカ48から出力する。
【0062】
図8は、表示制御部44により第2タッチパネル47に表示される機能リストの例である。この機能リストは、アプリケーションプログラムである第3プログラム42を実行した際の画面の一つとして第2タッチパネル47に表示される。図示の例では、リスト表示領域50に機能リストが表示されている。この機能リストの左列は、車両2のオプション機能のリスト(
図7の表の第5列に相当)であり、右列は、それぞれのオプション機能についての実行許否の情報(
図7の表の第9列に相当)を示している。この右列には、
図7の第9列の「実行許否」の列が「許可」とされているオプション機能(すなわち、ユーザUが既に利用を開始しているオプション機能)については、「利用中」と表示されており、
図7の「実行許否」の列が「禁止」であるオプション機能については、チェックボックスが表示されている。
【0063】
図8に示すリスト表示領域50には、機能Aから機能Gまでの7つのオプション機能が表示されている。ユーザUは、リスト表示領域50においてスワイプ操作またはフリック操作を行うことにより、端末装置6に他のオプション機能を表示させることができる。
【0064】
ユーザUが、新たに利用を開始したい所望のオプション機能のチェックボックスにタッチしてチェックを入れ、選択ボタン52を押すと、要求部43は、対応するオプション機能についての機能開始要求を管理サーバ4へ送信する。上述したように、管理サーバ4の通知部37は、これに応じて、その機能開始要求が要求するオプション機能が実行準備可能と判断されたものでないときは、端末装置6に準備不可通知を送信する。端末装置6の通知出力部45は、管理サーバ4から受信した準備不可通知を、第2タッチパネル47のメッセージ領域51に表示する。これに加えて、通知出力部45は、準備不可通知を、音声メッセージとして第2スピーカ48から出力してもよい。
【0065】
ユーザUは、終了ボタン53を押すことにより、このアプリケーションを終了することができる。
【0066】
[6.機能管理システムにおける処理]
次に、機能管理システム1が行う機能管理方法の処理の手順について説明する。機能管理システム1は、オプション機能の実行準備可否を判断する準備判断処理と、ユーザUからの要求に応じてオプション機能の利用開始のための処理を行う機能開始処理と、により機能管理方法を実行する。
【0067】
[6.1 準備判断処理]
図5は、準備判断処理の手順を示すフロー図である。準備判断処理は、機能管理システム1のコンピュータである車両管理装置3の第1プロセッサ20および管理サーバ4の第2プロセッサ30が実行する。
図5に示す処理は、繰り返し実行される。
【0068】
準備判断処理では、まず、車両管理装置3の情報収集部23は、車両2の車両電源スイッチ18がターンオンされたか否か(すなわち、オフ状態からオン状態に切り替えられたか否か)を判断する(S100)。そして、車両電源スイッチ18がオンされたときは(S100、YES)、情報収集部23は、ECU11のそれぞれから故障情報を収集する(S102)。情報収集部23は、管理サーバ4へ、収集した故障情報を送信する(S104)。
【0069】
次に、故障情報を受信した管理サーバ4の判断部36は、車両管理装置3から受信した故障情報に基づき、車両2の各オプション機能の実行準備の可否を判断する(S106)。続いて、判断部36は、判断結果に基づき、第2メモリ31が記憶する管理情報33を更新して(S108)、準備判断処理を終了する。
【0070】
一方、ステップS100において、車両電源スイッチがターンオンされないときは(S100、NO)、情報収集部23は、いずれかのECU11から故障の発生を示す故障情報を受信したか否かを判断する(S110)。上述したように、それぞれのECU11は、車両電源スイッチ18がオン状態である場合において、例えば定期的に故障診断を行って、故障情報を車両管理装置3へ送信する。
【0071】
そして、情報収集部23は、いずれかのECU11から故障の発生を示す故障情報を受信したときは(S110、YES)、ステップS104に処理を移して、受信した故障情報を管理サーバ4へ送信する。一方、故障の発生を示す故障情報を受信しないときは(S110、NO)、情報収集部23は、準備判断処理を終了する。
【0072】
ここで、
図5に示すステップS102及びS104は、本開示における情報収集ステップに相当する。また、
図5に示すステップS106は、本開示における判断ステップに相当する。
【0073】
[6.2 機能開始処理]
図6は、機能開始処理の手順を示すフロー図である。機能開始処理は、機能管理システム1のコンピュータである車両管理装置3の第1プロセッサ20、管理サーバ4の第2プロセッサ30、および端末装置6の第3プロセッサ40が実行する。
図6に示す処理は、繰り返し実行される。
【0074】
機能開始処理では、まず、管理サーバ4の受付部35が、端末装置6から正当な機能リスト要求を受信したか否かを判断する(S200)。そして、正当な機能リスト要求を受信しないときは(S200、NO)、受付部35は、ステップS200に戻って処理を繰り返し、正当な機能リスト要求を受信するのを待機する。
【0075】
一方、正当な機能リスト要求を受信したときは(S200、YES)、管理サーバ4の通知部37は、その機能リスト要求の送信元である端末装置6へ、機能リストを送信する。機能リストを受信した端末装置6の表示制御部44は、第2タッチパネル47に機能リストを表示する(S202)。
【0076】
次に、端末装置6の要求部43は、ユーザUから終了操作が行われたか否かを判断する(S204)。ユーザUの終了操作は、例えば、第2タッチパネル47に機能リストと共に表示される終了ボタン53を押すことであり得る。そして、終了操作が行われたときは(S204、YES)、要求部43は、機能開始処理を終了する。
【0077】
一方、終了操作が行われないときは(S204、NO)、要求部43は、ユーザUから、いずれかのオプション機能の開始要求が入力されたか否かを判断する(S206)。上述したように、ユーザUは、第2タッチパネル47に表示された機能リストから、利用を開始したいオプション機能をチェックボックスにより選択して選択ボタン52を押すことで、そのオプション機能の開始要求を入力することができる。
【0078】
そして、オプション機能の開始要求が入力されないときは(S206、NO)、要求部43は、ステップS204に処理を戻してステップS204及びステップS206を繰り返し、終了操作が行われるか又はいずれかのオプション機能の開始要求が入力されるのを待機する。
【0079】
一方、いずれかのオプション機能の開始要求が入力されたときは(S206、YES)、要求部43は、そのオプション機能についての機能開始要求を管理サーバ4へ送信する。機能開始要求を受信した管理サーバ4の通知部37及び許可部38は、第2メモリ31に記憶されている管理情報33に基づき、その機能開始要求により要求されたオプション機能の実行準備が可能か否かを判断する(S208)。
【0080】
そして、要求されたオプション機能の実行準備が可能であるときは(S208、YES)、許可部38は、ユーザUへの課金処理が正常に行われたことを条件として、管理情報33における、上記要求されたオプション機能の実行許否の情報を「許可」に更新する。また、許可部38は、上記要求されたオプション機能についての実行準備指示を車両2へ送信する。そして、実行準備指示を受信した車両2の車両管理装置3のインストール管理部24は、そのオプション機能の実行に必要なソフトウェアプログラムが、関連するECU11にインストールされていないときは、管理サーバ4から、上記必要なソフトウェアプログラムをダウンロードして、第2メモリ31に保存する(S210)。
【0081】
次に、インストール管理部24は、車両2の車両電源スイッチ18がオフ状態であるか否かを判断する(S212)。そして、車両電源スイッチ18がオフ状態でないときは(S212、NO)、インストール管理部24は、ステップS212に戻って処理を繰り返し、車両電源スイッチ18がオフ状態になるのを待機する。一方、車両電源スイッチ18がオフ状態であるときは(S212、YES)、インストール管理部24は、上記実行準備指示により指示されたオプション機能に関連するECU11に指示して、当該オプション機能の実行準備を行う(すなわち、実行可能な状態とする)(S214)。
【0082】
その際、インストール管理部24は、上記関連するECU11において、上記要求されたオプション機能の実行に必要なソフトウェアプログラムがインストールされていないときは、ステップS210においてダウンロードしたソフトウェアプログラムを、上記関連するECU11にインストールする。上記要求されたオプション機能を実行準備したあとは、インストール管理部24は、機能開始処理を終了する。
【0083】
一方、ステップS208において、要求されたオプション機能の実行準備が可能でないと判断されるときは(S208、NO)、通知部37は、端末装置6に指示して、上記要求されたオプション機能についての準備不可通知を出力し(S216)、ステップS204に処理を移す。
【0084】
[7.他の実施形態]
上述した実施形態では、管理サーバ4の通知部37は、端末装置6から機能リスト要求を受信したときに、すべてのオプション機能を含む機能リストを端末装置6へ送信し、端末装置6を介してユーザUにすべてのオプション機能を提示するものとした。これに代えて、管理サーバ4の通知部37は、機能リストにおいて、実行準備可能と判断されたオプション機能を提示し、実行準備不可と判断されたオプション機能は提示しないものとしてもよい。具体的には、通知部37は、例えば、端末装置6から機能リスト要求を受信したことに応じて、管理情報33を参照し、実行準備可能と判断されたオプション機能のみを含む機能リストを作成して、作成した機能リストを端末装置6へ送信するものとすることができる。
【0085】
上述した実施形態では、車両管理装置3の情報収集部23が収集する故障情報には、ECU11及び機器12の故障についての情報を含むものとしたが、故障情報は、少なくともECU11又は機器12の故障についての情報を含むものとすることができる。
【0086】
上述した実施形態では、オプション機能の実現に必要なソフトウェアプログラムは、管理サーバ4から車両管理装置3にダウンロードされるものとしたが、通信ネットワーク5に接続されたプログラム配信サーバ(不図示)等の他のサーバ装置からダウンロードされるものとしてもよい。
【0087】
上述した実施形態では、端末装置6により機能開始要求が送信されたオプション機能が実行準備不可である場合には、そのオプション機能についての課金処理や利用許可は行われないものとしたが、端末装置6を介したユーザUからの了解の下に、当該オプション機能について課金処理及び利用許可が行われるものとしてもよい。この場合には、ユーザUは、車両2について必要な故障修理等を行った後で、上記オプション機能を即座に利用することができる。
【0088】
上述した実施形態では、管理サーバ4の許可部38が行う課金処理は、オプション機能の月額利用料金であるものとしたが、オプション機能の購入料金であってもよい。
【0089】
上述した実施形態では、ユーザUは、端末装置6によりオプション機能の利用開始の要求を行うものとした。これに加えて、ユーザUは、端末装置6により、既に利用を開始しているオプション機能の利用停止の要求を行うものとしてもよい。利用停止の要求を受信した管理サーバ4の許可部38は、そのオプション機能の課金を中止すると共に、管理情報33において、そのオプション機能についての実行許否の情報(
図7の表の最右列)を「禁止」に更新したのち、車両管理装置3に対してそのオプション機能の実行の禁止を指示することができる。車両管理装置3のインストール管理部24は、上記指示に従い、関連するECU11に対し、そのオプション機能の実行を禁止する。
【0090】
上述した実施形態では、端末装置6は、ユーザUが所持するスマートフォン等の端末装置であるものとしたが、端末装置6は、車両2が備えるIVIユニット14であってもよい。この場合には、ユーザUは、車両2に乗車したときに、IVIユニット14に接続された第1タッチパネル15を介して、機能リストを閲覧し、及び利用を開始したいオプション機能の選択を行うものとすることができる。
【0091】
管理サーバ4が有する、配信部39以外の他の機能要素及び管理情報33は、車両管理装置3に備えられていてもよい。この場合には、例えば、通信ネットワーク5を介することなく、IVIユニット14の通信装置を介して、端末装置6と車両管理装置3とが通信して、機能管理方法を実行するものとすることができる。
【0092】
なお、本発明は上記の実施形態の構成に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能である。
【0093】
[8.上記実施形態によりサポートされる構成]
上述した実施形態は、以下の構成をサポートする。
【0094】
(構成1)車両におけるオプション機能の利用を管理する機能管理システムであって、前記車両に搭載された電子制御装置の故障についての情報及び又は前記電子制御装置により制御される機器の故障についての情報を含む故障情報を収集する情報収集部と、前記オプション機能のそれぞれについて、利用開始のための実行準備が可能か否かを判断する判断部と、を備え、前記判断部は、前記故障情報に基づき、前記オプション機能のそれぞれについて、当該オプション機能の実行に必要な前記電子制御装置又は前記機器に故障が発見されているときは、当該オプション機能の実行準備を不可と判断する、機能管理システム。
構成1の機能管理システムによれば、電子制御装置又は機器の故障により実行準備ができないオプション機能を、ユーザからのオプション機能の利用要求に先立って検出し得るので、利用要求の際には、求められたオプション機能の実行準備の可否を迅速にユーザに提示して、オプション機能利用の円滑化を図ることができる。
【0095】
(構成2)前記オプション機能についての利用開始の要求を端末装置から受信する受付部と、前記端末装置を介してユーザに通知を行う通知部を有し、前記通知部は、受付部がいずれかの前記オプション機能についての利用開始の要求を受信したときに、当該オプション機能が実行準備不可と判断されたものであるときは、当該オプション機能を利用できない旨の通知を、端末装置を介してユーザに出力する、構成1に記載の機能管理システム。
構成2の機能管理システムによれば、ユーザからオプション機能の利用開始を求められた際に、機器故障等により当該オプション機能が実行準備できないものであるときは、その旨をユーザに通知するので、ユーザは、他の代替のオプション機能を検討する等の対処を行うことができ、オプション機能利用の円滑化を図ることができる。
【0096】
(構成3)端末装置を介してユーザに前記オプション機能のリストを提示する通知部を備え、前記通知部は、前記リストにおいて、実行準備可能と判断された前記オプション機能を提示し、実行準備不可と判断された前記オプション機能は提示しない、構成1に記載の機能管理システム。
構成3の機能管理システムによれば、実行準備できないオプション機能はユーザに提示されないので、ユーザは、提示された実行準備可能なオプション機能の中から所望のオプション機能を選択することができ、オプション機能利用の円滑化を図ることができる。
【0097】
(構成4)前記電子制御装置は、当該電子制御装置の動作故障についての自己診断及び又は当該電子制御装置が制御する前記機器についての故障診断を行って、前記故障情報を生成し、前記情報収集部は、前記車両の電源スイッチがオンに切り替えられたときに前記電子制御装置から前記故障情報を収集して前記判断部に送信する、構成1ないし3のいずれかに記載の機能管理システム。
構成4の機能管理システムによれば、車両の電源スイッチがオンに切り替えられたときに収集された故障情報を用いるので、車両の走行時のような、情報収集部と車両との通信状態が変化し得る期間においても、最新の故障情報を用いて、オプション機能の実行準備の可否を適切に判断することができる。
【0098】
(構成5)前記情報収集部は、さらに、前記車両の電源スイッチがオンされている期間において前記電子制御装置及び又は前記機器の故障を発見した前記電子制御装置から受信される前記故障情報を前記判断部へ送信する、構成4に記載の機能管理システム。
構成5の機能管理システムによれば、直近に発生した故障状況を反映して、オプション機能の実行準備の可否を判断することができる。
【0099】
(構成6)前記電子制御装置への前記オプション機能の実行に必要なソフトウェアプログラムのインストールを管理するインストール管理部を備え、前記インストール管理部は、実行準備が可能と判断された前記オプション機能のソフトウェアプログラムをインストールし、実行準備が不可と判断された前記オプション機能のソフトウェアプログラムはインストールしない、構成1ないし5のいずれかに記載の機能管理システム。
構成6の機能管理システムによれば、無要なソフトウェアプログラムのインストールを避けて、処理負荷を低減することができる。
【0100】
(構成7)前記インストール管理部は、前記車両の電源スイッチがオフされている期間に、前記オプション機能の実行に必要なソフトウェアプログラムを前記電子制御装置にインストールする、構成6に記載の機能管理システム。
構成7の機能管理システムによれば、例えば、車両走行に必要な電子制御装置に対しオプション機能のためのソフトウェアプログラムのインストール処理が車両走行中に行われて車両走行の安全性が低下する、という事態を防止することができる。
【0101】
(構成8)前記車両に搭載された前記情報収集部を備える車両管理装置と、前記車両の外部に設けられた前記判断部を備えるサーバ装置である管理サーバと、を含む、構成1ないし7のいずれかに記載の機能管理システム。
構成8の機能管理システムによれば、オプション機能についての実行準備可否の判断を車両外のサーバ装置において処理するので、車載装置である車両管理装置における処理を軽減することができる。
【0102】
(構成9)車両におけるオプション機能の利用を管理する機能管理システムのコンピュータが行う機能管理方法であって、前記車両に搭載された電子制御装置の故障についての情報及び又は前記電子制御装置により制御される機器の故障についての情報を含む故障情報を収集する情報収集ステップと、前記オプション機能のそれぞれについて、利用開始のための実行準備が可能か否かを判断する判断ステップと、を有し、前記判断ステップでは、前記故障情報に基づき、前記オプション機能のそれぞれについて、当該オプション機能の実行に必要な前記電子制御装置又は前記機器に故障が発見されているときは、当該オプション機能の実行準備を不可と判断する、機能管理方法。
構成9の機能管理方法によれば、電子制御装置又は機器の故障により実行準備ができないオプション機能を、ユーザからのオプション機能の利用要求に先立って検出し得るので、利用要求の際には、求められたオプション機能の実行準備の可否を迅速にユーザに提示して、オプション機能利用の円滑化を図ることができる。
【符号の説明】
【0103】
1…機能管理システム、2…車両、3…車両管理装置、4…管理サーバ、5…通信ネットワーク、6…端末装置、10…車載ネットワークバス、11…ECU、11a…aECU、11b…bECU、11c…cECU、11d…dECU、12…機器、12a…a機器、12b…b機器、12c…c機器、12d…d機器、13…TCU、14…IVIユニット、15…第1タッチパネル、16…第1スピーカ、17…第1通信装置、18…車両電源スイッチ、20…第1プロセッサ、21…第1メモリ、22…第1プログラム、23…情報収集部、24…インストール管理部、30…第2プロセッサ、31…第2メモリ、32…第2通信装置、33…管理情報、34…第2プログラム、35…受付部、36…判断部、37…通知部、38…許可部、39…配信部、40…第3プロセッサ、41…第3メモリ、42…第3プログラム、43…要求部、44…表示制御部、45…通知出力部、46…第3通信装置、47…第2タッチパネル、48…第2スピーカ、50…リスト表示領域、51…メッセージ領域、52…選択ボタン、53…終了ボタン。