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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024161181
(43)【公開日】2024-11-15
(54)【発明の名称】コネクタ及び相手側コネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/6585 20110101AFI20241108BHJP
   H01R 12/70 20110101ALI20241108BHJP
【FI】
H01R13/6585
H01R12/70
【審査請求】有
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024151172
(22)【出願日】2024-09-03
(62)【分割の表示】P 2023201225の分割
【原出願日】2020-01-15
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】下村 亮介
(72)【発明者】
【氏名】宮▲崎▼ 洋二
(72)【発明者】
【氏名】田中 広志
(72)【発明者】
【氏名】飯島 主匡
(57)【要約】
【課題】複数の端子間でノイズの伝搬が起きる可能性を低減できるコネクタ及びこのコネクタに接続する相手側コネクタを提供する。
【解決手段】コネクタ(ソケットS1)は、複数の端子4と、ハウジング2と、内側シールド3と、外側シールド1と、を備える。ハウジング2は、底壁21と、壁部25~27と、を有する。内側シールド3は、底壁21の収容溝に配置される基部31と、基部31から上方に突出した第1延長部32と、を有する。ハウジング2の壁部25~27は、第1延長部32を保持している第1シールド保持部28を有する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
相手側コネクタに対して相対的に上下方向の上方に移動することで、前記相手側コネクタに接続するコネクタであって、
前記コネクタは、
前記相手側コネクタの複数の相手側端子にそれぞれ電気的に接続される複数の端子と、
前記複数の端子を保持しているハウジングと、
上方から見て、前記複数の端子のうち2つの端子の間に配置された内側シールドと、
上方から見て、前記複数の端子の前記2つの端子のうち一つの端子と、前記複数の端子のうち前記2つの端子とは別の一つの端子との、間に配置された他の内側シールドと、
前記複数の端子を囲む外側シールドと、
を備え、
前記ハウジングは、底壁と、前記外側シールドに囲まれ前記底壁の上面から上方に突出する壁部と、を有し、
前記外側シールドは、上下方向と直交する第1方向に互いに対向する第1外周壁と第2外周壁とを有し、
前記内側シールドは、
前記底壁を貫通する第1貫通部に配置される第1基部部位から上方に突出した第1延長部と、
前記底壁を貫通する第2貫通部に配置され前記第1方向において前記第1基部部位よりも前記第2外周壁側に位置する第2基部部位から、上方に突出した第2延長部と、
を有し、
前記壁部は、上下方向に沿って見て前記第1外周壁及び前記第2外周壁に対し間隔を有した所定壁部を有し、
前記ハウジングの前記所定壁部は、
前記所定壁部の第1側面から窪んだ第1凹部と、
前記所定壁部の第2側面から窪んだ第2凹部と、
を有し、
前記第1延長部は前記第1凹部に配置され、前記第2延長部は前記第2凹部に配置される、
コネクタ。
【請求項2】
前記第1凹部は、前記所定壁部の前記第1側面を上下方向に貫通した貫通部を有し、
前記第1延長部は、前記第1凹部の前記貫通部に配置される、
請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
前記第2凹部は、前記所定壁部の前記第2側面を上下方向に貫通した貫通部を有し、
前記第2延長部は、前記第2凹部の前記貫通部に配置される、
請求項2に記載のコネクタ。
【請求項4】
前記複数の相手側端子は、前記コネクタの前記2つの端子にそれぞれ接触する2つの相手側端子を有し、
前記相手側コネクタは、上下方向に沿って見て、前記相手側コネクタの前記2つの相手側端子の間に配置される相手側内側シールドを備え、
前記第1延長部は、前記相手側内側シールドに接触する当接部を含む、
請求項1に記載のコネクタ。
【請求項5】
前記第2延長部は、前記相手側内側シールドに接触する当接部を含む、
請求項4に記載のコネクタ。
【請求項6】
前記第2凹部は、前記第1方向において前記第1凹部よりも一方側に配置され、
前記第1凹部は、前記第1方向の前記一方に開口しており、
前記第2凹部は、前記第1方向の他方に開口している、
請求項1に記載のコネクタ。
【請求項7】
前記第2凹部は、前記第1方向において前記第1凹部よりも一方側に配置され、
前記第1凹部は、前記第1方向の他方に開口しており
前記第2凹部は、前記第1方向の前記一方に開口している、
請求項1に記載のコネクタ。
【請求項8】
前記ハウジングの前記所定壁部は、前記第1延長部が当接する第1シールド当接部を含む、
請求項1に記載のコネクタ。
【請求項9】
前記ハウジングの前記所定壁部は、前記第1延長部が前記相手側内側シールドに接触した状態において、前記第1延長部が当接する第1シールド当接部を含む、
請求項4に記載のコネクタ。
【請求項10】
前記ハウジングの前記所定壁部は、前記第2延長部が前記相手側内側シールドに接触した状態において、前記第2延長部が当接する第2シールド当接部を含む、
請求項5に記載のコネクタ。
【請求項11】
前記外側シールドは、前記内側シールドを囲んでいる、
請求項1に記載のコネクタ。
【請求項12】
前記内側シールドは、前記外側シールドの前記第1外周壁に対向する第1先端領域と、前記外側シールドの前記第2外周壁に対向する第2先端領域と、を有する、
請求項1に記載のコネクタ。
【請求項13】
前記複数の端子のそれぞれは、前記相手側端子に接触する接点部と、回路基板に電気的に接続されるように構成された基板接続部と、を有し、
前記第1先端領域と前記第2先端領域は、前記第1方向に並んでおり、
前記複数の端子のうち少なくとも一つの端子の前記接点部と前記基板接続部は、上方から見て、前記第1方向に並んでいる、
請求項12に記載のコネクタ。
【請求項14】
前記内側シールドは、前記外側シールドに直接結合する第1先端領域と、前記外側シールドに直接結合する第2先端領域と、を有する、
請求項1に記載のコネクタ。
【請求項15】
前記第1貫通部と前記第2貫通部とは、繋がっている、
請求項1に記載のコネクタ。
【請求項16】
前記第1基部部位と前記第2基部部位とは、繋がっている、
請求項1に記載のコネクタ。
【請求項17】
請求項1~16のいずれか一項に記載のコネクタに接続する前記相手側コネクタであって、
前記複数の相手側端子と、
前記複数の相手側端子を保持する相手側ハウジングと、
を備える、
相手側コネクタ。
【請求項18】
前記複数の相手側端子は、前記コネクタの前記2つの端子にそれぞれ接触する2つの相手側端子を有し、
前記相手側コネクタは、上下方向に沿って見て、前記相手側コネクタの前記2つの相手側端子の間に配置される相手側内側シールドを備え、
前記相手側内側シールドは、前記コネクタ及び前記相手側コネクタとの接続状態において、前記内側シールドに接触する、
請求項17に記載の相手側コネクタ。
【請求項19】
前記複数の相手側端子は、前記コネクタの前記2つの端子にそれぞれ接触する2つの相手側端子を有し、
前記相手側コネクタは、前記相手側コネクタの前記2つの相手側端子を囲む相手側外側シールドを備え、
前記相手側外側シールドは、前記コネクタ及び前記相手側コネクタとの接続状態において、前記外側シールドに接触する、
請求項17に記載の相手側コネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は一般にコネクタ及び相手側コネクタに関し、より詳細には、シールドを備えるコネクタ及びこのコネクタに接続する相手側コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、コネクタ及びコネクタを覆うシールドカバーが記載されている。コネクタは、第1の回路基板に装着されたソケットと第2の回路基板に装着されたヘッダとを嵌合することで、第1の回路基板と第2の回路基板とを電気的に接続する。シールドカバーは、第1の回路基板および第2の回路基板のいずれか一方の回路基板に形成された係合部に係合する。コネクタは、一方向に配列された複数のコンタクトを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-182808号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されたようなコネクタでは、複数のコンタクト(端子)間でノイズの伝搬が起きることがあり、放射ノイズを抑制することが求められていた。
【0005】
本開示は、複数の端子間でノイズの伝搬が起きる可能性を低減できるコネクタ及びこのコネクタに接続する相手側コネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係るコネクタは、相手側コネクタに対して相対的に上下方向の上方に移動することで、前記相手側コネクタに接続する。前記コネクタは、複数の端子と、ハウジングと、内側シールドと、他の内側シールドと、外側シールドと、を備える。前記複数の端子は、前記相手側コネクタの複数の相手側端子にそれぞれ電気的に接続される。前記ハウジングは、前記複数の端子を保持している。前記内側シールドは、上方から見て、前記複数の端子のうち2つの端子の間に配置されている。前記他の内側シールドは、上方から見て、前記複数の端子の前記2つの端子のうち一つの端子と、前記複数の端子のうち前記2つの端子とは別の一つの端子との、間に配置されている。前記ハウジングは、底壁と、前記外側シールドに囲まれ前記底壁の上面から上方に突出する壁部と、を有する。前記外側シールドは、上下方向と直交する第1方向に互いに対向する第1外周壁と第2外周壁とを有する。前記内側シールドは、前記底壁を貫通する第1貫通部に配置される第1基部部位から上方に突出した第1延長部と、前記底壁を貫通する第2貫通部に配置され前記第1方向において前記第1基部部位よりも前記第2外周壁側に位置する第2基部部位から、上方に突出した第2延長部と、を有する。前記壁部は、上下方向に沿って見て前記第1外周壁及び前記第2外周壁に対し間隔を有した所定壁部を有する。前記ハウジングの前記所定壁部は、前記所定壁部の第1側面から窪んだ第1凹部と、前記所定壁部の第2側面から窪んだ第2凹部と、を有する。前記第1延長部は前記第1凹部に配置され、前記第2延長部は前記第2凹部に配置される。
【0007】
本開示の一態様に係る相手側コネクタは、前記コネクタに接続する。前記相手側コネクタは、前記複数の相手側端子と、前記複数の相手側端子を保持する相手側ハウジングと、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本開示は、複数の端子間でノイズの伝搬が起きる可能性を低減できるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、一実施形態に係るソケット(コネクタ)の分解斜視図である。
図2図2は、同上のソケットの下面図である。
図3図3は、同上のソケットの平面図である。
図4図4は、同上のソケットの外側シールドの斜視図である。
図5図5は、一実施形態に係るヘッダ(コネクタ)の分解斜視図である。
図6図6は、同上のヘッダの平面図である。
図7図7は、同上のヘッダの下面図である。
図8図8は、同上のヘッダの外側シールドの斜視図である。
図9図9は、同上のソケット及びヘッダの分離状態を示し、同上のソケット及びヘッダの各々の内側シールドを含む端面図である。
図10図10は、同上のソケット及びヘッダの接続状態を示し、同上のソケット及びヘッダの各々の内側シールドを含む端面図である。
図11図11は、同上のソケット及びヘッダの分離状態を示し、同上のソケット及びヘッダの各々の2つの端子を含む端面図である。
図12図12は、同上のソケット及びヘッダの接続状態を示し、同上のソケット及びヘッダの各々の2つの端子を含む端面図である。
図13図13は、同上のソケットを模式化した下面図である。
図14図14は、同上のソケット及びヘッダのノイズレベル及び比較例のソケット及びヘッダのノイズレベルを示すグラフである。
図15図15は、変形例1に係るソケットの下面図である。
図16図16は、同上のソケットの平面図である。
図17図17は、変形例1に係るヘッダの平面図である。
図18図18は、同上のヘッダの下面図である。
図19図19は、変形例2に係るソケット及びヘッダの分離状態における、ソケット及びヘッダの各々の2つの端子の斜視図である。
図20図20は、同上のソケット及びヘッダの接続状態における、ソケット及びヘッダの各々の2つの端子の斜視図である。
図21図21は、その他の変形例に係るソケットを模式化した下面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(1)概要
以下、実施形態1に係るコネクタ及びコネクタ装置について、図面を用いて説明する。ただし、下記の実施形態は、本開示の様々な実施形態の1つに過ぎない。下記の実施形態は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。また、下記の実施形態において説明する各図は、模式的な図であり、図中の各構成要素の大きさ及び厚さそれぞれの比が必ずしも実際の寸法比を反映しているとは限らない。
【0011】
図11に示すように、コネクタ装置100は、第1コネクタ(ソケットS1)と、第2コネクタ(ヘッダH1)と、を備える。以下の説明では、第1コネクタを「ソケットS1」とも称し、第2コネクタを「ヘッダH1」とも称す。ソケットS1は、ヘッダH1に接続される。このとき、ソケットS1の端子4が、ヘッダH1の端子8に電気的に接続される。ソケットS1から見て、ヘッダH1は、ソケットS1に接続される「相手側コネクタ」である。逆に、ヘッダH1から見て、ソケットS1は、ヘッダH1に接続される「相手側コネクタ」である。すなわち、コネクタ装置100は、コネクタ(ソケットS1又はヘッダH1)と、相手側コネクタと、を備える。また、ソケットS1から見て、ヘッダH1の端子8は、ソケットS1の端子4に電気的に接続される「相手側端子」である。逆に、ヘッダH1から見て、ソケットS1の端子4は、ヘッダH1の端子8に電気的に接続される「相手側端子」である。
【0012】
(1.1)特徴1
図1図5図9図13に示すように、本実施形態のコネクタ(ソケットS1又はヘッダH1)は、外側シールド1(又は5)と、端子4(又は8)と、ハウジング2(又は6)と、内側シールド3(又は7)と、を備える。端子4(又は8)は、外側シールド1(又は5)に囲まれている。端子4(又は8)は、相手側コネクタの相手側端子に電気的に接続される。ハウジング2(又は6)は、外側シールド1(又は5)に対して固定されている。ハウジング2(又は6)は、端子4(又は8)を保持している。内側シールド3(又は7)は、外側シールド1(又は5)に囲まれている。内側シールド3(又は7)は、2つの先端領域r1(又はr7)を含む。2つの先端領域r1(又はr7)は、外側シールド1(又は5)に対向又は直接結合している第1の先端領域、及び外側シールド1(又は5)に対向又は直接結合している第2の先端領域からなる。次に記載する複数の電気的閉ループの中で、他の電気的閉ループを囲まない電気的閉ループLO1、LO2、LO3の最長のループ長は、端子4(又は8)に流れる伝送信号の最大周波数に対応する波長よりも短い。複数の電気的閉ループはそれぞれ、外側シールド1(又は5)と、内側シールド3(又は7)と、外側シールド1(又は5)と2つの先端領域r1(又はr7)とをそれぞれ最短距離L1(又はL7)で結ぶ2つの仮想的な経路W7、W8(又はW9、W10)と、のうち、少なくとも外側シールド1(又は5)と内側シールド3(又は7)とを含み、かつ端子4(又は8)を囲む。
【0013】
上記の構成によれば、電気的閉ループにおいて伝送信号の共振が起きる可能性を低減できる。
【0014】
本開示において、「端子に流れる伝送信号の最大周波数」とは、端子を介して信号を伝送する場合、例えばRF信号を伝送する場合はその搬送波の最大周波数であり、ディジタル信号を伝送する場合は、クロック周波数の3~5倍高調波の周波数である。上記最大周波数は、例えば、コネクタを製造するメーカ等がコネクタの仕様に応じて決めた値、又は、コネクタの規格等で決められた値である。上記最大周波数は、例えば、メーカが提供する仕様書に、動作が保証されている最大周波数の値として記載されている。
【0015】
(1.2)特徴2
また、図1図4図5図8図9に示すように、本実施形態のコネクタ(ソケットS1又はヘッダH1)は、外側シールド1(又は5)と、端子4(又は8)と、ハウジング2(又は6)と、を備える。外側シールド1(又は5)は、筒状部10(又は50)を有する。筒状部10(又は50)は、所定方向の両端が開口している。端子4(又は8)は、外側シールド1(又は5)に囲まれている。端子4(又は8)は、相手側コネクタの相手側端子に電気的に接続される。ハウジング2(又は6)は、外側シールド1(又は5)に対して固定されている。ハウジング2(又は6)は、端子4(又は8)を保持している。外側シールド1(又は5)は、先端面102(又は502)と、筒状部10(又は50)の外周面101(又は501)と、筒状部10(又は50)の内周面103(又は503)と、を有する。先端面102(又は502)は、筒状部10(又は50)の両端のうち、次に記載する一端に、筒状部10(又は50)の内縁に沿って設けられる。一端は、コネクタ及び相手側コネクタの非接続状態から接続状態への移行に際して相手側コネクタ側となる端である。先端面102(又は502)、外周面101(又は501)及び内周面103(又は503)のうち少なくとも1つは、筒状部10(又は50)の周方向の全周に亘ってシームレスである。
【0016】
本開示において、「シームレス」とは、継ぎ目及び切れ目が存在しないことを言う。
【0017】
上記の構成によれば、先端面102(又は502)、外周面101(又は501)及び内周面103(又は503)にそれぞれ継ぎ目又は切れ目がある場合と比較して、外側シールド1(又は5)から放射されるノイズを低減できる。
【0018】
(1.3)特徴3
また、図1図5図10に示すように、本実施形態のコネクタ(ソケットS1又はヘッダH1)は、複数の端子4(又は8)を備える。複数の端子4(又は8)は、相手側コネクタの複数の相手側端子にそれぞれ電気的に接続される。コネクタは、ハウジング2(又は6)と、内側シールド3(又は7)と、を更に備える。ハウジング2(又は6)は、複数の端子4(又は8)を保持している。コネクタ及び相手側コネクタは、第1方向(本実施形態では、後述する上下方向)において少なくとも一方が他方に向かって移動することで互いに接続される。複数の端子4(又は8)は、2つの端子4(又は8)を含む。2つの端子4(又は8)は、第1方向と直交する第2方向(本実施形態では、後述する前後方向)において、内側シールド3(又は7)を挟んで両側に配置されている。内側シールド3(又は7)は、基部31(又は71)と、延長部32(又は72)と、を有する。基部31(又は71)は、第1方向及び第2方向の両方と直交する第3方向(本実施形態では、後述する左右方向)に沿った方向に長さを有する。延長部32(又は72)は、基部31(又は71)から突出している。ハウジング2(又は6)は、シールド保持部(収容部28又は68)を有する。シールド保持部は、延長部32(又は72)を保持している。
【0019】
上記の構成によれば、2つの端子4(又は8)が内側シールド3(又は7)を挟んで両側に配置されていることにより、内側シールド3(又は7)が無い場合と比較して、2つの端子4(又は8)間でノイズの伝搬が起きる可能性を低減できる。さらに、コネクタの延長部32(又は72)がシールド保持部(収容部28又は68)により位置決めされているので、コネクタの延長部32(又は72)と相手側コネクタとの位置合わせの精度を高められる。さらに、本実施形態では、コネクタの延長部32(又は72)は、相手側コネクタの内側シールドに電気的に接続される。上記の構成により、コネクタの延長部32(又は72)と相手側コネクタの内側シールドとの電気的接続の精度を高められる。
【0020】
(1.4)特徴4
また、図1図2図5図6に示すように、本実施形態のコネクタ(ソケットS1又はヘッダH1)は、複数の端子4(又は8)と、ハウジング2(又は6)と、内側シールド3(又は7)と、を備える。複数の端子4(又は8)はそれぞれ、相手側コネクタの複数の相手側端子に電気的に接続される。ハウジング2(又は6)は、複数の端子4(又は8)を保持している。コネクタ及び相手側コネクタは、第1方向において少なくとも一方が他方に向かって移動することで互いに接続される。複数の端子4(又は8)は、2つの端子4(又は8)を含む。2つの端子4(又は8)は、第1方向と直交する第2方向において、内側シールド3(又は7)を挟んで両側に配置されている。
【0021】
上記の構成によれば、内側シールド3(又は7)が無い場合と比較して、2つの端子4(又は8)間でノイズの伝搬が起きる可能性を低減できる。
【0022】
また、上記の構成において、コネクタは、外側シールド1(又は5)を更に備えることが好ましい。外側シールド1(又は5)は、複数の端子4(又は8)及び内側シールド3(又は7)を囲んでいる。
【0023】
コネクタが外側シールド1(又は5)を備えることにより、外側シールド1(又は5)の内と外との間でノイズの伝搬若しくは放射が起きる可能性を低減できる。
【0024】
(2)詳細
以下、本実施形態に係るコネクタ(ソケットS1及びヘッダH1)について、図1図14を参照して詳細に説明する。
【0025】
以下、特に断りがない限り、ソケットS1及びヘッダH1が互いに接続又は分離される方向を上下方向(「第1方向」ともいう)とし、ソケットS1から見てヘッダH1側を上方として説明する。また、上下方向と直交する方向であってソケットS1のハウジング2の長手方向を前後方向(「第2方向」ともいう)として説明する。また、上下方向及び前後方向の両方と直交する方向、すなわちハウジング2の短手方向を左右方向(「第3方向」ともいう)として説明する。つまり、図1等において、「上」、「下」、「前」、「後」、「左」、「右」の矢印で示す通りに上、下、前、後、左、右の各方向を規定する。ただし、これらの方向はソケットS1及びヘッダH1の使用方向を規定する趣旨ではない。また、図面中の各方向を示す矢印は説明のために表記しているに過ぎず、実体を伴わない。
【0026】
上述の通り、コネクタ及び相手側コネクタは、第1方向において少なくとも一方が他方に向かって移動することで互いに接続される。本実施形態では、ソケットS1がヘッダH1の下に配置され、ソケットS1が上に移動することと、ヘッダH1が下に移動することと、のうち少なくとも一方が行われることで、ソケットS1とヘッダH1とが互いに接続される。そのため、「コネクタ及び相手側コネクタの非接続状態から接続状態への移行に際して相手側コネクタ側」とは、ソケットS1をコネクタとする場合は上側を意味し、ヘッダH1をコネクタとする場合は下側を意味する。
【0027】
本実施形態のソケットS1及びヘッダH1はそれぞれ、例えばプリント配線板やフレキシブルプリント配線板などの回路基板150又は550(図10参照)に取り付けられる。ソケットS1及びヘッダH1は、例えばスマートフォン等の携帯端末に搭載されている複数の回路基板の間を電気的に接続するために用いられる。もちろん、ソケットS1及びヘッダH1の用途を限定する趣旨ではなく、ソケットS1及びヘッダH1は、例えばカメラモジュール等の携帯端末以外の電子機器に用いられてもよい。また、ソケットS1及びヘッダH1の用途は、複数の回路基板の間を電気的に接続する用途に限られず、例えば回路基板とディスプレイとの間や、回路基板とバッテリとの間など、複数の部品の間を電気的に接続する用途であればよい。
【0028】
ソケットS1及びヘッダH1はそれぞれ、回路基板150又は550に接続されていない状態で提供されてもよいし、接続された状態で提供されてもよい。
【0029】
(2.1)ソケットの構成
まず、本実施形態に係るソケットS1の構成について説明する。
【0030】
ソケットS1は、ソケットS1の中心を通り上下方向に沿った軸を対象軸として2回対称である。図1に示すように、ソケットS1は、外側シールド1と、ハウジング2と、複数(2つ)の内側シールド3と、複数(8つ)の端子4と、を備えている。外側シールド1及び複数の内側シールド3の各々は、静電シールドである。外側シールド1は、複数の端子4を囲んでいる。すなわち、外側シールド1は、複数の端子4の外側に配置されている。複数の内側シールド3は、外側シールド1の内側に配置されている。また、複数の内側シールド3は、ハウジング2の内側に配置されている。
【0031】
ソケットS1には、回路基板150(図9参照)が機械的にかつ電気的に接続される。本実施形態では、回路基板150は両面基板であるが、回路基板150は積層基板であってもよい。回路基板150は、基材160(図9参照)と、導体170、180(図9参照)と、を有している。基材160は、例えば、半導体基材又はガラス基材である。導体170は、基材160の表面に設けられる銅箔等のパターンである。導体170は、例えば、基材160のうちソケットS1が接続される側の表面の略全面に設けられる。導体180は、例えば、半田である。導体180は、導体170の所定の領域(ランド)に設けられる。導体170は、導体180(半田)を介して外側シールド1、複数の内側シールド3及び複数の端子4に電気的に接続される。外側シールド1及び複数の内側シールド3は、例えば、回路基板150に設けられたグランドに電気的に接続される。図2では、導体180(半田)が設けられる領域を2点鎖線により図示している。
【0032】
(2.1.1)ソケットのハウジング
ハウジング2は、樹脂成形体である。ハウジング2は、電気絶縁性を有している。図1図3に示すように、ハウジング2は、底壁21と、周壁22と、を有している。底壁21は、平面視において、左右方向よりも前後方向に長い長方形状に形成されている。周壁22は、底壁21の厚さ方向の一面(上面)の外周部の全周から、上方に突出している。ハウジング2は、上下方向に扁平な直方体状であって、上下方向の両面のうちヘッダH1との対向面となる上面の中央部に、周壁22にて囲まれた凹部24(図3参照)を有する。
【0033】
周壁22の形状は、筒状である。周壁22は、複数の端子4を囲んでいる。周壁22は、周壁22の周方向の全周に亘って連続している。言い換えると、周壁22は、周壁22の周方向の全周に亘って切れ目の無いように形成されている。図1に示すように、周壁22は、2つの第1周壁221と、2つの第2周壁222と、を含んでいる。2つの第1周壁221は、周壁22のうちそれぞれ前後方向に略平行に延びる部分であって、凹部24を介して左右方向に対向する。2つの第2周壁222は、周壁22のうちそれぞれ左右方向に略平行に延びる部分であって、凹部24を介して前後方向に対向する。2つの第2周壁222は、それぞれ2つの第1周壁221の端部同士を連結する。すなわち、ハウジング2は、断面四角の角筒状の周壁22の一方の開口面(下面)を底壁21で閉塞した形状を有する。
【0034】
図3に示すように、ハウジング2は、第1壁部25、第2壁部26及び第3壁部27を更に有している。第1壁部25、第2壁部26及び第3壁部27は、底壁21から上方に突出している。第1壁部25、第2壁部26及び第3壁部27は、凹部24に配置されている。すなわち、第1壁部25、第2壁部26及び第3壁部27は、周壁22に囲まれている。第1壁部25、第2壁部26及び第3壁部27の形状はそれぞれ、直方体状である。上下方向から見て、第1壁部25、第2壁部26及び第3壁部27の各々は、左右方向よりも前後方向に長い。すなわち、第1壁部25、第2壁部26及び第3壁部27の各々は、第3方向(左右方向)に沿った方向に厚さを有する壁部である。第1壁部25、第2壁部26及び第3壁部27は、この順で左から右へ並んでいる。
【0035】
複数の壁部(第1壁部25、第2壁部26及び第3壁部27)の各々は、複数(2つ)の収容部28を有している。複数の収容部28の各々には、内側シールド3の延長部32が収容されている。複数の収容部28の各々は、壁部に設けられた貫通孔である。収容部28は、壁部を上下方向に貫通している。収容部28は、底壁21をも上下方向に貫通している。また、上下方向から見て、第1壁部25及び第3壁部27に設けられた収容部28は、第1壁部25(第3壁部27)の側面(左右方向と交差する面)から窪んだ凹部である。
【0036】
また、複数の壁部(第1壁部25、第2壁部26及び第3壁部27)の各々は、複数の端子保持部29を有している。複数の端子保持部29の各々は、端子4を保持している。複数の端子保持部29の各々は、壁部に設けられた貫通孔である。壁部は、端子保持部29において上下方向に貫通している。また、上下方向から見て、端子保持部29は、壁部の側面(左右方向と交差する面)から窪んだ凹部である。複数の端子保持部29は、2つ1組で対応しており、互いに対応する2つの端子保持部29は、左右方向に並んでいる。そして、底壁21のうち互いに対応する2つの端子保持部29の間の部位は、端子4が挿入される貫通孔211となっている。
【0037】
複数の端子4は、ハウジング2に圧入によって固定されている。つまり、複数の端子4は、ハウジング2に対して一方向に(上向きに)押し込まれることにより、ハウジング2に保持されている。本実施形態では、8つの端子4がハウジング2に固定されている。8つの端子4は、2列に並んでいる。すなわち、8つの端子4のうち、4つの端子4が第1列を構成し、残りの4つの端子4が、第2列を構成する。各列の4つの端子4は、前後方向に並んでいる。第1列を構成する4つの端子4の各々は、第1壁部25の端子保持部29及び第2壁部26の端子保持部29に保持されている。第2列を構成する4つの端子4の各々は、第2壁部26の端子保持部29及び第3壁部27の端子保持部29に保持されている。つまり、各端子4は、2つの壁部の間に配置され、2つの壁部により両側から支持されている。
【0038】
図2に示すように、底壁21は、複数の切欠き212を有している。複数の切欠き212は、上下方向から見て端子4の基板接続部45(後述する)と対向する位置に設けられている。また、底壁21は、複数(2つ)の収容溝213を有している。各収容溝213は、底壁21の下面に設けられた溝である。収容溝213は、前後方向よりも左右方向に長い。収容溝213は、内側シールド3の基部31を収容する。
【0039】
周壁22は、複数(4つ)の挿入部223を有している。複数(4つ)の挿入部223は、2つの第1周壁221及び2つの第2周壁222の各々の側面(内面)から窪んだ凹部である。後述するように、複数(4つ)の挿入部223にはそれぞれ、外側シールド1の一部であるシールド突起14が挿入される。
【0040】
(2.1.2)ソケットの外側シールド
外側シールド1は、複数の端子4及び複数の内側シールド3を囲んでいる。外側シールド1は、主材料、又は、表面を構成するめっき等の材料として、金属を含んでいる。ここでは、一例として、外側シールド1は、金属を主材料として形成されている。図1図4に示すように、外側シールド1は、筒状部10と、複数(4つ)のシールド突起14と、を有している。筒状部10は、外周壁11と、天壁12と、内周壁13と、を含んでいる。
【0041】
外周壁11は、断面四角の角筒状の形状を有する。外周壁11は、2つの第1外周壁111と、2つの第2外周壁112と、を含んでいる。2つの第1外周壁111は、外周壁11のうちそれぞれ前後方向に略平行に延びる部分であって、左右方向に対向する。2つの第2外周壁112は、外周壁11のうちそれぞれ左右方向に略平行に延びる部分であって、前後方向に対向する。2つの第2外周壁112は、それぞれ2つの第1外周壁111の端部同士を連結する。第1外周壁111及び第2外周壁112の各々の下端部(下面)は、前後左右方向を含む平面と平行であり、かつ略同一平面内に形成されている。
【0042】
天壁12の形状は、上下方向から見て矩形枠状である。天壁12は、外周壁11の上端につながっており、上下方向から見て外周壁11の内側に向かって延びている。
【0043】
内周壁13は、外周壁11の内側に設けられている。内周壁13は、断面四角の角筒状の形状を有する。外周壁11の上端と、内周壁13の上端とが、天壁12により連結されている。
【0044】
内周壁13は、2つの第1内周壁131と、2つの第2内周壁132と、を含んでいる。2つの第1内周壁131は、内周壁13のうちそれぞれ前後方向に略平行に延びる部分であって、左右方向に対向する。2つの第2内周壁132は、内周壁13のうちそれぞれ左右方向に略平行に延びる部分であって、前後方向に対向する。2つの第2内周壁132は、それぞれ2つの第1内周壁131の端部同士を連結する。
【0045】
外周壁11、天壁12及び内周壁13により、第1方向(上下方向)の両端が開口した筒状部10が構成されている。外周壁11の外周面は、筒状部10の外周面101に相当する。内周壁13の内周面は、筒状部10の内周面103に相当する。また、外側シールド1は、先端面102を有する。先端面102は、第1方向における筒状部10の両端のうち、コネクタ(ここでは、ソケットS1)及び相手側コネクタ(ここでは、ヘッダH1)の非接続状態から接続状態への移行に際して相手側コネクタ側となる一端(上端)に設けられている。先端面102は、筒状部10の内縁に沿って環状に設けられている。ここでは、天壁12の上面が先端面102に相当する。また、先端面102の内縁が、筒状部10の上端における筒状部10の内縁に相当する。
【0046】
先端面102と外周面101との境界部分b1は、前後方向から見て円弧状の面である(図9参照)。また、先端面102と内周面103との境界部分b2は、前後方向から見て円弧状の面である(図9参照)。なお、ここでは、先端面102を、筒状部10の外面のうち、上下方向に対してなす鋭角が0度以上45度未満である領域として定義する。また、上記鋭角が45度以上である外側の面を外周面101と定義し、上記鋭角が45度以上である内側の面を内周面103と定義する。境界部分b1は、筒状部10の周方向の全周に亘って、先端面102の一部と外周面101の一部とを含むとする。境界部分b2は、筒状部10の周方向の全周に亘って、先端面102の一部と内周面103の一部とを含むとする。
【0047】
複数(4つ)のシールド突起14は、2つの第1内周壁131及び2つの第2内周壁132の各々に1つずつ対応して設けられている。各シールド突起14は、対応する第1内周壁131又は第2内周壁132から、下向きに突出している。複数(4つ)のシールド突起14は、ハウジング2に設けられた複数(4つ)の挿入部223(図2参照)と一対一で対応している。各シールド突起14は、対応する挿入部223に挿入される。
【0048】
外側シールド1は、ハウジング2にインサート成形されている。より詳細には、外側シールド1の外周壁11と内周壁13との間に、ハウジング2の周壁22が入り込むように、外側シールド1がハウジング2にインサート成形される。
【0049】
外側シールド1の面は、その全体が継ぎ目無く形成されている。外側シールド1は、例えば、絞り加工により形成され、これにより、外側シールド1の面の全体が継ぎ目無く形成される。本実施形態では、外側シールド1の面のうち、少なくとも外周面101及び内周面103が、筒状部10の周方向の全体に亘ってシームレスである(すなわち、継ぎ目及び切れ目が無い)。本実施形態では、さらに、先端面102が、筒状部10の周方向の全体に亘ってシームレスである。
【0050】
例えば、外周面101に着目すると、図4に示すように、外周面101は、2つの第1外周壁111の各々の外表面1110と、2つの第2外周壁112の各々の外表面1120と、を含んでいる。外表面1110及び外表面1120の各々がシームレスである。さらに、法線方向が互いに異なる2面である外表面1110及び外表面1120が、シームレスにつながっている。このようにして、外周面101が、筒状部10の周方向の全体に亘ってシームレスとなっている。
【0051】
また、内周面103に着目すると、図4に示すように、内周面103は、2つの第1内周壁131の各々の外表面1310と、2つの第2内周壁132の各々の外表面1320と、を含んでいる。外表面1310及び外表面1320の各々がシームレスである。さらに、法線方向が互いに異なる2面である外表面1310及び外表面1320が、シームレスにつながっている。このようにして、内周面103が、筒状部10の周方向の全体に亘ってシームレスとなっている。
【0052】
また、先端面102と外周面101との境界部分b1及び先端面102と内周面103との境界部分b2のうち少なくとも一方(本実施形態では、両方)は、筒状部10の周方向の全周に亘ってシームレスである。
【0053】
例えば、図4の紙面右上(外側シールド1のコーナー部分)では、第1外周壁111の外表面1110と、第2外周壁112の外表面1120と、先端面102とが、シームレスにつながっている。つまり、法線方向が互いに異なる3面である外表面1110、外表面1120及び先端面102が、シームレスにつながっている。また、図4の紙面右では、法線方向が互いに異なる2面である外表面1110及び先端面102が、シームレスにつながっている。さらに、図4の紙面上では、法線方向が互いに異なる2面である外表面1120及び先端面102が、シームレスにつながっている。このようにして、境界部分b1が、筒状部10の周方向の全体に亘ってシームレスとなっている。
【0054】
また、例えば、図4の紙面左下(外側シールド1のコーナー部分)では、第1内周壁131の外表面1310と、第2内周壁132の外表面1320と、先端面102とが、シームレスにつながっている。つまり、法線方向が互いに異なる3面である外表面1310、外表面1320及び先端面102が、シームレスにつながっている。また、図4の紙面左では、法線方向が互いに異なる2面である外表面1310及び先端面102が、シームレスにつながっている。さらに、図4の紙面下では、法線方向が互いに異なる2面である外表面1320及び先端面102が、シームレスにつながっている。このようにして、境界部分b2が、筒状部10の周方向の全体に亘ってシームレスとなっている。
【0055】
(2.1.3)ソケットの内側シールド
本実施形態では、2つの内側シールド3の形状は同じである。内側シールド3は、主材料、又は、表面を構成するめっき等の材料として、金属を含んでいる。ここでは、一例として、内側シールド3は、金属を主材料として形成されている。図1図9に示すように、内側シールド3は、基部31と、複数(3つ)の延長部32(2つの第1延長部33及び1つの第2延長部34)と、を有している。
【0056】
基部31は、第3方向(左右方向)に沿った方向に長さを有する。基部31の形状は、板状である。基部31の厚さ方向(前後方向)から見て、基部31は、上下方向よりも左右方向に長い。基部31は、ハウジング2の底壁21に設けられた収容溝213に収容されている。
【0057】
図9に示すように、複数の延長部32は、基部31から上向きに突出している。つまり、複数の延長部32は、第1方向(上下方向)に沿って、コネクタ(ここでは、ソケットS1)及び相手側コネクタ(ここでは、ヘッダH1)の非接続状態から接続状態への移行に際して相手側コネクタ側となる向きに、第1方向(上下方向)に沿って突出している。各延長部32の形状は、板状である。各延長部32の厚さ方向(前後方向)から見て、各延長部32は、左右方向よりも上下方向に長い。なお、各延長部32の厚さ方向は、左右方向であってもよい。
【0058】
第1延長部33は、延長部本体331と、当接部332と、を含む。延長部本体331は、基部31から突出した部位である。当接部332は、相手側コネクタ(ヘッダH1)の内側シールド7に接触する部位である。当接部332は、延長部本体331から突出している。当接部332は、第1延長部33(延長部本体331)のうち、第1延長部33の長さ方向に沿った面(ここでは、左面又は右面)に設けられている。すなわち、当接部332は、延長部本体331から左右方向に突出している。
【0059】
2つの第1延長部33の各々の当接部332は、左右方向において互いに対向している。各当接部332は、ヘッダH1の内側シールド7の当接部720に接触する(図10参照)。これにより、2つの内側シールド3がそれぞれ、ヘッダH1の2つの内側シールド7のうち対応する内側シールド7に電気的に接続される。具体的には、内側シールド7の2つの延長部72が、内側シールド3の2つの第1延長部33の間に挿入される。このとき、2つの延長部72及び2つの第1延長部33の弾性により、2つの延長部72が2つの第1延長部33に押し付けられる。
【0060】
第2延長部34は、延長部本体341と、複数(2つ)の保持突起342と、を含む。延長部本体341は、基部31から突出した部位である。2つの保持突起342は、延長部本体341から突出している。2つの保持突起342は、延長部本体341の左端及び右端に設けられている。すなわち、2つの保持突起342のうち一方は、延長部本体341から左向きに突出しており、他方は、延長部本体341から右向きに突出している。
【0061】
ソケットS1は、2つの内側シールド3の各々に3つの延長部32を有している。つまり、ソケットS1は、計6つの延長部32を有している。ハウジング2に設けられた6つの収容部28(図3参照)は、6つの延長部32と一対一で対応している。各延長部32は、対応する収容部28に収容される。より詳細には、第1壁部25及び第3壁部27が有する収容部28にはそれぞれ、第1延長部33が収容され、第2壁部26が有する収容部28には、第2延長部34が収容される。第2延長部34において、2つの保持突起342を含んだ左右方向の幅は、収容部28の左右方向の幅よりも僅かに大きい。内側シールド3は、ハウジング2に圧入によって固定されている。つまり、内側シールド3は、ハウジング2に対して一方向に(上向きに)押し込まれることにより、ハウジング2に保持されている。内側シールド3は、2つの保持突起342が収容部28の内面に挟まれた状態で、ハウジング2に保持されている。
【0062】
ここで、シールド保持部(収容部28)における2つの第1延長部33の各々の収容スペースは、2つの第1延長部33の各々よりも大きい。つまり、2つの第1延長部33の各々と収容部28の内面との間の位置合わせには、遊びが持たせられている。内側シールド3をハウジング2に保持する機能は、少なくとも第2延長部34により実現される。つまり、少なくとも第2延長部34が収容部28に圧入されることで、内側シールド3がハウジング2に保持される。要するに、複数の延長部32は、相手側コネクタ(ここでは、ヘッダH1)の内側シールド7に接触する当接部332を含む第1延長部33と、シールド保持部(収容部28)に保持されている第2延長部34と、を含む。ただし、第2延長部34も、相手側コネクタ(ここでは、ヘッダH1)の内側シールド7に接触する当接部を含んでいてもよい。
【0063】
図9に示すように、内側シールド3の基部31は、ソケットS1の下端に位置している。内側シールド3は、外側シールド1に囲まれている。内側シールド3は、外側シールド1に対向している2つの先端領域r1を含む。2つの先端領域r1は、基部31の長さ方向の両端(左端及び右端)に設けられている。
【0064】
ここで、外側シールド1は、第1端e1と、第2端e2と、を有する。第1端e1は、コネクタ(ここでは、ソケットS1)及び相手側コネクタ(ここでは、ヘッダH1)の非接続状態から接続状態への移行に際して相手側コネクタ側となる端(上端)である。第2端e2は、第1端e1とは反対側の端(下端)である。なお、ここでは、第2端e2は、筒状部10の周方向の全周に亘る領域とする。外側シールド1は、第2端e2を含む領域において2つの先端領域r1に対向している。
【0065】
外側シールド1は、第2端e2を含む領域において2つの先端領域r1のうち少なくとも一方に対して空隙g1を挟んで対向している。図9に示すように、外側シールド1には、回路基板150の導体170、180が電気的に接続される。また、導体170、180は、外側シールド1の第2端e2を内側シールド3の2つの先端領域r1にそれぞれ架け渡すように設けられる。つまり、外側シールド1は、導体170、180を介して、内側シールド3に電気的に接続される。一方で、回路基板150が存在しない状態において、外側シールド1は、空隙g1を介して2つの先端領域r1のうち少なくとも一方(本実施形態では、両方)に対して電気的に絶縁されている。空隙g1における外側シールド1と2つの先端領域r1のうち少なくとも一方との間の最短距離L1は、0.01mm以上0.1mm以下である。
【0066】
内側シールド3は、第1端e3と、第2端e4と、を有する。第1端e3は、コネクタ(ここでは、ソケットS1)及び相手側コネクタ(ここでは、ヘッダH1)の非接続状態から接続状態への移行に際して相手側コネクタ側となる端(上端)である。第2端e4は、第1端e3とは反対側の端(下端)である。内側シールド3は、第2端e4に、回路基板150に電気的に接続される接続面310(下面)を有する。接続面310は、平面状であり、かつ、2つの先端領域r1間に亘って連続している。より詳細には、接続面310は、2つの先端領域r1間を結ぶ長方形状の平面である。
【0067】
(2.1.4)ソケットの端子
(2.1.4.1)配置
図2図3に示すように、複数(8つ)の端子4は、複数(6つ)の低周波端子4Pと、複数(2つ)の高周波端子4Tと、を含む。各端子4は、ハウジング2の底壁21の貫通孔211に挿入され、端子保持部29に保持されている。
【0068】
2つの高周波端子4Tは、少なくとも1つの内側シールド3を挟んで両側に配置されている。言い換えると、2つの高周波端子4Tの間には、少なくとも1つの内側シールド3が配置されている。これにより、2つの高周波端子4T間でノイズの伝搬が起きる可能性を低減できる。
【0069】
より詳細には、2つの高周波端子4Tは、少なくとも1つの内側シールド3に対して、第2方向(前後方向)において両側、すなわち、内側シールド3の前側及び後側に配置されている。図2において、2つの内側シールド3のうち一方に着目すると、内側シールド3の前方に1つの高周波端子4Tが配置されており、内側シールド3の後方に残りの1つの高周波端子4Tが配置されている。また、2つの高周波端子4Tの間には、2つの内側シールド3が配置されている。また、内側シールド3の長さ方向(左右方向)は、2つの高周波端子4Tが並んでいる方向(略前後方向)に対して交差する方向である。
【0070】
6つの低周波端子4Pは、2つの内側シールド3の間に配置されている。すなわち、2つの高周波端子4Tのうち一方が配置されたスペースと6つの低周波端子4Pが配置されたスペースとが、2つの内側シールド3のうち一方により隔てられている。さらに、2つの高周波端子4Tのうち他方が配置されたスペースと6つの低周波端子4Pが配置されたスペースとが、2つの内側シールド3のうち他方により隔てられている。6つの低周波端子4Pは、前後方向に3つずつ、2列に並んでいる。
【0071】
各列の3つの低周波端子4Pは、前後方向において等ピッチで配置されている。また、各列の末端の低周波端子4Pの前方又は後方には、高周波端子4Tが配置されている。低周波端子4Pと高周波端子4Tとの間のピッチは、3つの低周波端子4Pのピッチの整数倍(本実施形態では、2倍)である。このような配置により、6つの低周波端子4P及び2つの高周波端子4Tを一括してハウジング2に組み込む工程を容易に実現できる。
【0072】
本実施形態では、低周波端子4Pと高周波端子4Tとの間のピッチは、3つの低周波端子4Pのピッチよりも長い。これにより、低周波端子4Pと高周波端子4Tとの間に内側シールド3の配置されるスペースを確保できる。
【0073】
2つの高周波端子4Tの間には、複数の低周波端子4Pが配置されたスペースが設けられているため、2つの高周波端子4T間の距離を確保できる。これにより、2つの高周波端子4T間でノイズの伝搬が起きる可能性を更に低減できる。また、2つの高周波端子4Tは、ハウジング2の周壁22の内側において、対角の位置に配置されている。これにより、2つの高周波端子4T間の距離をより長くできる。
【0074】
2つの高周波端子4Tは、回路基板150上に導体170でパターン形成された信号線に電気的に接続される。6つの低周波端子4Pのうち少なくとも1つは、回路基板150上に導体170でパターン形成された電源線に電気的に接続される。2つの高周波端子4Tでは、6つの低周波端子4Pと比較して、周波数の高い信号が伝送される。2つの高周波端子4Tで伝送される信号の周波数は、例えば、5~50GHz程度である。
【0075】
また、6つの低周波端子4Pのうち少なくとも1つは、内側シールド3に電気的に接続されてもよい。これにより、6つの低周波端子4Pのうち少なくとも1つは、内側シールド3と同電位となる。具体的には、6つの低周波端子4Pのうち少なくとも1つの電位及び内側シールド3の電位は、グランド電位となる。6つの低周波端子4Pのうち少なくとも1つは、例えば、回路基板150の導体170、180を介して、内側シールド3に電気的に接続されてもよい。なお、6つの低周波端子4Pのうち少なくとも1つが、回路基板150によらずに内側シールド3に電気的に接続されていてもよい。
【0076】
(2.1.4.2)形状
各端子4の形状は、互いに同じである。各端子4は、例えば、金属板に打抜き加工及び曲げ加工等をすることにより形成されている。図11に示すように、各端子4は、(第1)接点部41と、基部42と、連結部43と、突出部44と、基板接続部45と、(第2)接点部46と、を有している。
【0077】
基板接続部45は、例えば、回路基板150の導体180(半田)に電気的に接続される。すなわち、半田付け等の接合手段にて基板接続部45が回路基板150に接合される。これにより、回路基板150と端子4とは、電気的かつ機械的に接続される。また、図2に示すように、第1方向(上下方向)から見て、基板接続部45は、外側シールド1に囲まれている。さらに、上下方向と直交する1つの平面上に、基板接続部45の少なくとも一部及び外側シールド1の少なくとも一部が存在する。
【0078】
連結部43は、下方に開放されたU字状に形成されている。連結部43は、基部42の上端部と、接点部41の上端部とを連結している。基部42の下端部は、基板接続部45につながっている。
【0079】
突出部44は、上方に開放されたU字状に形成されている。突出部44は、接点部41の下端部と、接点部46とを連結している。第1接点部である接点部41と、第2接点部である接点部46とは左右方向において互いに対向する。本実施形態では、端子4のうち、少なくとも連結部43及び突出部44が弾性を有する。
【0080】
端子4がハウジング2に保持された状態において、上から見て、接点部41及び接点部46の少なくとも一部が露出する。接点部41及び接点部46は、ヘッダH1(相手側コネクタ)の複数の端子8(相手側端子)のうち対応する端子8に接触して、端子8に電気的に接続される(図12参照)。具体的には、端子8の接点部81及び接点部84が、接点部41及び接点部46の間に挿入される。このとき、突出部44の弾性により、接点部41及び接点部46が端子8に押し付けられる。
【0081】
端子4は、力覚部47を更に有している。力覚部47は、端子4と端子8(相手側端子)との接触時にクリック感を生じる。力覚部47は、接点部41から突出した突起である。端子8が有する力覚部85(突起)が、力覚部47を乗り越えたとき、クリック感が生じる。具体的には、力覚部85が下向きに移動して力覚部47を乗り越えることにより、端子4と端子8との間に作用する力の大きさが減少するので、端子4と端子8とを接続する作業者は、当該力の大きさの減少をクリック感として知覚する。作業者は、クリック感を知覚したことをもって、ソケットS1とヘッダH1との接続の進捗を知ることができる。なお、ソケットS1とヘッダH1との接続及びそれに伴う端子4と端子8との接続は、人の手によりなされることに限定されず、機械によりなされてもよい。
【0082】
端子4と端子8との接続時には、接点部46は、端子8の窪み840に挿入される。端子4と端子8とが接続している状態から、非接続の状態へ移行するに際しては、力覚部85が上向きに移動して力覚部47を乗り越え、かつ、接点部46が窪み840から脱出することが可能な一定以上の力を要する。このように、力覚部85及び力覚部47の組、並びに、接点部46及び窪み840の組はそれぞれ、ソケットS1とヘッダH1との接続状態を維持可能なロック機構を構成する。
【0083】
図3に示すように、内側シールド3の当接部332と、複数の端子4のうち少なくとも1つの端子4の接点部41とは、第2方向(前後方向)に並んでいる。
【0084】
(2.1.5)ソケット側の回路基板
ソケットS1は、回路基板150の導体180(半田)に電気的に接続される。図2では、ソケットS1の下面のうち、導体180が設けられる領域を2点鎖線により図示している。導体180の一部は、外側シールド1の下面に、外側シールド1の周方向に沿って設けられる。ここでは、外側シールド1の下面には、外側シールド1の周方向において間隔をあけて存在する複数の領域にそれぞれ、導体180が設けられる。ただし、外側シールド1の下面には、外側シールド1の周方向の全周に亘って連続して導体180が設けられてもよい。つまり、外側シールド1は、その周方向の全周に亘って連続して導体180に接触していてもよい。
【0085】
また、導体180の一部は、外側シールド1と各内側シールド3とを架け渡すように設けられる。さらに、導体180の一部は、各内側シールド3の下面に、内側シールド3の長さ方向に沿って設けられる。ここでは、各内側シールド3の下面には、内側シールド3の長さ方向において間隔をあけて存在する複数(3つ)の領域にそれぞれ、導体180が設けられる。ただし、各内側シールド3の下面には、内側シールド3の長さ方向の全体に亘って連続して導体180が設けられてもよい。つまり、内側シールド3は、その長さ方向の全体に亘って連続して導体180に接触していてもよい。
【0086】
導体180の一部は、このように外側シールド1及び各内側シールド3に電気的に接続され、かつ、回路基板150の導体170のうち、グランド電位の導体170に電気的に接続されている。すなわち、外側シールド1及び各内側シールド3の電位が、グランド電位となる。基材160のうちソケットS1が接続される側の表面の大部分が、グランド電位の導体170により占められることが好ましい。つまり、回路基板150に、いわゆるグランドプレーンが設けられることが好ましい。これにより、シールド効果を高められる。
【0087】
また、導体180の一部は、端子4の基板接続部45に電気的に接続される。端子4は、回路基板150の導体170(配線パターン)を介して、適宜の回路等に電気的に接続される。例えば、複数の高周波端子4Tは、信号を処理する回路に電気的に接続される。また、例えば、複数の低周波端子4Pのうち少なくとも一部の低周波端子4Pは、高周波端子4Tで伝送する信号よりも低い周波数の信号を伝送する配線、若しくは、電源回路又はグランドに電気的に接続される。
【0088】
(2.1.6)ソケットの電気的閉ループ
図13に、外側シールド1、複数(2つ)の内側シールド3及び複数(8つ)の端子4の、下から見た配置を、模式的に示す。
【0089】
ソケットS1では、少なくとも、次に記載する複数(3つ)の電気的閉ループLO1、LO2、LO3が形成されている。電気的閉ループLO1、LO2、LO3の各々は、外側シールド1と、2つの内側シールド3と、仮想的な経路W7、W8、W9、W10と、のうち、少なくとも外側シールド1と1又は2つの内側シールド3とを含む。つまり、電気的閉ループLO1、LO2、LO3の各々は、外側シールド1の中で完結した経路と、1つの内側シールド3の中又は2つの内側シールド3の各々の中で完結した経路と、を必ず含み、任意で、仮想的な経路W7、W8、W9、W10のうち少なくとも1つを含む。2つの仮想的な経路W7、W8(又はW9、W10)は、外側シールド1と内側シールド3の2つの先端領域r1とをそれぞれ最短距離L1で結ぶ。電気的閉ループLO1、LO2、LO3の各々は、少なくとも1つの端子4を囲む。電気的閉ループLO1、LO2、LO3の各々は、他の電気的閉ループを囲まない。他の電気的閉ループは、外側シールド1と、2つの内側シールド3と、仮想的な経路W7、W8、W9、W10と、のうち、少なくとも外側シールド1と1又は2つの内側シールド3とを含む。電気的閉ループLO1は、電気的閉ループLO2、LO3を囲まず、電気的閉ループLO2は、電気的閉ループLO1、LO3を囲まず、電気的閉ループLO3は、電気的閉ループLO1、LO2を囲まない。
【0090】
本開示において、ある電気的閉ループ(以下、第1の閉ループと称す)が他の電気的閉ループ(以下、第2の閉ループと称す)を囲むと言うとき、第1の閉ループの一部と第2の閉ループの一部とが重なっていてもよい。
【0091】
電気的閉ループLO1、LO2、LO3の中で最長のループ長は、端子4に流れる伝送信号の最大周波数に対応する波長よりも短い。これにより、伝送信号の共振が起きる可能性を低減できる。ここで、上記最大周波数は、より詳細には、高周波端子4Tに流れる伝送信号の最大周波数である。つまり、本実施形態では、高周波端子4Tの仕様に応じて、上記最大周波数が決定される。
【0092】
なお、上下方向と直交する平面(図13の紙面と平行な平面)内に限らなければ、ソケットS1には、電気的閉ループLO1、LO2、LO3以外の電気的閉ループも形成されるが、いずれも電気的閉ループLO1、LO2、LO3と比較してループ長が短いので、ここでは取り上げない。
【0093】
次に、電気的閉ループLO1、LO2、LO3を構成する経路W1~W10について説明する。
【0094】
ソケットS1には、2つの内側シールド3が前後に並んで配置される。外側シールド1の左側面には、前側の内側シールド3の左側の先端領域r1と対向する領域r2と、後側の内側シールド3の左側の先端領域r1と対向する領域r3と、が存在する。外側シールド1の右側面には、前側の内側シールド3の右側の先端領域r1と対向する領域r4と、後側の内側シールド3の右側の先端領域r1と対向する領域r5と、が存在する。
【0095】
経路W1は、外側シールド1の前側領域に含まれ、外側シールド1に沿って領域r4、r2を結ぶ。経路W2は、外側シールド1の左側面に沿って、領域r2、r3を結ぶ。
【0096】
経路W3は、外側シールド1の後側領域に含まれ、外側シールド1に沿って領域r3、r5を結ぶ。経路W4は、外側シールド1の右側面に沿って、領域r5、r4を結ぶ。
【0097】
経路W5は、上側の内側シールド3の2つの先端領域r1を結ぶ。経路W6は、下側の内側シールド3の2つの先端領域r1を結ぶ。
【0098】
経路W7は、外側シールド1の領域r2と前側の内側シールド3の左側の先端領域r1とを最短距離L1で結ぶ。経路W8は、外側シールド1の領域r4と前側の内側シールド3の右側の先端領域r1とを最短距離L1で結ぶ。
【0099】
経路W9は、外側シールド1の領域r3と後側の内側シールド3の左側の先端領域r1とを最短距離L1で結ぶ。経路W10は、外側シールド1の領域r5と後側の内側シールド3の右側の先端領域r1とを最短距離L1で結ぶ。
【0100】
電気的閉ループLO1は、経路W1、W7、W5、W8により形成される。電気的閉ループLO2は、経路W2、W9、W6、W10、W4、W8、W5、W7により形成される。電気的閉ループLO3は、経路W3、W10、W6、W9により形成される。
【0101】
上述の通り、本開示において、ある電気的閉ループ(第1の閉ループ)が他の電気的閉ループ(第2の閉ループ)を囲むと言うとき、第1の閉ループの一部と第2の閉ループの一部とが重なっていてもよい。例えば、図13において、経路W4、W1、W2、W9、W6、W10により形成される第1の閉ループと、第2の閉ループとしての電気的閉ループLO1とは、経路W1において重なっており、かつ、第1の閉ループは第2の閉ループを囲んでいる。
【0102】
本実施形態では、電気的閉ループLO2のループ長が、電気的閉ループLO1、LO2、LO3の中で最長のループ長である。上記最長のループ長の一例は、6~7[mm]程度である。
【0103】
仮に、端子4に流れる伝送信号の最大周波数fMAXを10GHz(1010Hz)とすると、上記最大周波数fMAXに対応する波長λは、λ=3×108/fMAX=0.03[m]=30[mm]である。上記最長のループ長が、6~7[mm]の場合、上記最長のループ長は、上記最大周波数fMAXに対応する波長λよりも短いという条件を満たす。
【0104】
また、外側シールド1は、内側シールド3に依らずに、端子4を囲む電気的閉ループLO4を構成する。電気的閉ループLO4は、経路W1、W2、W3、W4により形成される。つまり、外側シールド1のうち、周方向において連続した筒状部10(図4参照)が、電気的閉ループLO4を構成する。電気的閉ループLO4は、電気的閉ループLO1、LO2、LO3を囲んでいる。
【0105】
ここで、外側シールド1は、筒状部10の周方向に隙間が無いように形成されているため、単体で電気的閉ループLO4を構成する。ただし、外側シールド1は、回路基板150の導体170及び/又は180と共に電気的閉ループLO4を構成してもよい。つまり、外側シールド1に隙間が形成されている場合に、隙間の両端を結ぶ経路が、導体170及び/又は180により形成され、電気的閉ループLO4がこの経路を含んでいてもよい。ここで、導体170及び/又は180はソケットS1の構成に含まれていなくてよい。
【0106】
(2.2)ヘッダの構成
次に、本実施形態に係るヘッダH1の構成について説明する。ヘッダH1の構成のうち、ソケットS1の構成と同様である構成については、適宜説明を省略する。
【0107】
ヘッダH1は、ヘッダH1の中心を通り上下方向に沿った軸を対象軸として2回対称である。図5に示すように、ヘッダH1は、外側シールド5と、ハウジング6と、複数(2つ)の内側シールド7と、複数(8つ)の端子8と、を備えている。外側シールド5及び複数の内側シールド7の各々は、静電シールドである。外側シールド5は、複数の端子8を囲んでいる。すなわち、外側シールド5は、複数の端子8の外側に配置されている。複数の内側シールド7は、外側シールド5の内側に配置されている。また、複数の内側シールド7は、ハウジング6の内側に配置されている。
【0108】
ヘッダH1には、回路基板550(図9参照)が機械的にかつ電気的に接続される。回路基板550は、ソケットS1に接続される回路基板150の基材160及び導体170、180と同様の構成として、基材560(図9参照)及び導体570、580(図9参照)を有している。導体570は、例えば、基材560のうちヘッダH1が接続される側の表面の略全面に設けられる。また、図6では、導体580(半田)が設けられる領域を2点鎖線により図示している。
【0109】
(2.2.1)ヘッダのハウジング
ハウジング6は、樹脂成形体である。ハウジング6は、電気絶縁性を有している。ハウジング6は、底壁61と、周壁62と、を有している。底壁61は、平面視において、左右方向よりも前後方向に長い長方形状に形成されている。周壁62は、底壁61の厚さ方向の一面(下面)の外周部から、下方に突出している。ハウジング6の左側面及び右側面は、底壁61及び周壁62を上下方向に貫通する複数(図5では、左側面に2つ、右側面に2つ)の切欠き601を有している。複数の切欠き601は、上下方向から見て端子8の基板接続部83と対向する位置に設けられている(図6参照)。
【0110】
図7に示すように、ハウジング6は、2つの壁部65を更に有している。各壁部65は、底壁61から下方に突出している。壁部65の形状は、下面が円筒側面状に湾曲した直方体状である(図10参照)。壁部65の前端及び後端は、周壁62につながっている。上下方向から見て、壁部65は、左右方向よりも前後方向に長い。すなわち、壁部65は、第3方向(左右方向)に沿った方向に厚さを有する。2つの壁部65は、左右に並んでいる。
【0111】
各壁部65は、複数(2つ)の収容部68を有している。複数の収容部68の各々には、内側シールド7の延長部72が収容されている。複数の収容部68の各々は、壁部65に設けられた貫通孔である。収容部68は、壁部65を上下方向に貫通している。収容部68は、底壁61をも上下方向に貫通している。また、上下方向から見て、壁部65に設けられた収容部68は、壁部65の側面(左右方向と交差する面)から窪んだ凹部である。
【0112】
また、各壁部65は、複数(4つ)の端子保持部69を有している。1つの端子保持部69につき、1つの端子8が保持されている。複数の端子保持部69の各々は、壁部65に設けられた窪みである。
【0113】
複数の端子8は、ハウジング6にインサート成形されている。本実施形態では、8つの端子8がハウジング6に固定されている。ヘッダH1の8つの端子8は、ソケットS1の8つの端子4と一対一で対応する。各端子8は、対応する端子4と接続される位置に配置されている。
【0114】
図5図6に示すように、底壁61は、複数(2つ)の収容溝613を有している。各収容溝613は、底壁61の上面に設けられた溝である。収容溝613は、前後方向よりも左右方向に長い。収容溝613は、内側シールド7の基部71を収容する。
【0115】
図7に示すように、周壁62は、複数(2つ)の挿入部623を有している。複数(2つ)の挿入部623はそれぞれ、周壁62の底面(下面)に設けられた凹部である。後述するように、複数(2つ)の挿入部623にはそれぞれ、外側シールド5の一部であるシールド突起54が挿入される。
【0116】
(2.2.2)ヘッダの外側シールド
外側シールド5は、複数の端子8及び複数の内側シールド7を囲んでいる。外側シールド5は、主材料、又は、表面を構成するめっき等の材料として、金属を含んでいる。ここでは、一例として、外側シールド5は、金属を主材料として形成されている。図5図8に示すように、外側シールド5は、外周壁51と、複数(4つ)の天壁52と、複数(2つ)のシールド突起54と、底壁55と、を有している。
【0117】
外周壁51は、断面四角の角筒状の形状を有する。外周壁51は、2つの第1外周壁511と、2つの第2外周壁512と、を含んでいる。2つの第1外周壁511は、外周壁51のうちそれぞれ前後方向に略平行に延びる部分であって、左右方向に対向する。2つの第2外周壁512は、外周壁51のうちそれぞれ左右方向に略平行に延びる部分であって、前後方向に対向する。2つの第2外周壁512は、それぞれ2つの第1外周壁511の端部同士を連結する。
【0118】
外側シールド5は、外周壁51から突出した複数の突起56を更に有している。複数の突起56は、相手側コネクタ(ここでは、ソケットS1)の外側シールド1に接触する接触部として機能する。外周壁51と天壁52と複数の突起56とにより、第1方向(上下方向)の両端が開口した筒状部50が構成されている。すなわち、筒状部50は、外周壁51、天壁52及び複数の突起56を含む。筒状部50の外周面501は、外周壁51の外周面の一部と、複数の突起56の表面と、を含む。
【0119】
コネクタ(ここでは、ヘッダH1)の外側シールド5は、第1方向(上下方向)に沿った側面(外周面501)を有する。上記側面(外周面501)は、凸形構造を有する。すなわち、複数の突起56からなる構造が、凸形構造に相当する。コネクタ(ここでは、ヘッダH1)の外側シールド5は、凸形構造(複数の突起56)において相手側コネクタ(ここでは、ソケットS1)の外側シールド1に接触する。より詳細には、複数の突起56は、外側シールド1の筒状部10の内周面103に接触する(図10参照)。
【0120】
複数の突起56が無く外周面501が平面状である場合と比較して、外側シールド1、5の各々の寸法に多少のばらつきがあっても、外側シールド1を外側シールド5に押し込むことが可能となる。そのため、例えば、外側シールド1、5が左右(又は前後)のうち一方において互いに接触し、他方において離れているといった接触不良が起きる可能性を低減できる。
【0121】
2つの第1外周壁511の各々には、3つの突起56が設けられている。2つの第2外周壁512には、1つの突起56が設けられている。複数の突起56は、筒状部50の周方向において間隔をあけて設けられている。複数の突起56の間の沿面距離L2、L3の最大値は、端子8に流れる伝送信号の最大周波数に対応する波長λの1/4以下である。これにより、複数の突起56の間の領域(外側シールド5のうち外側シールド1に電気的に接続されていない領域)からノイズが漏れる可能性を低減できる。ここで、第1外周壁511に設けられた突起56と第2外周壁512に設けられた突起56との間の沿面距離L2は、第1外周壁511に設けられた複数の突起56間の沿面距離L3よりも大きい。つまり、複数の突起56の間の沿面距離の最大値は、沿面距離L2である。ここで、上記最大周波数は、より詳細には、複数の端子8のうち、高周波端子8Tに流れる伝送信号の最大周波数である。つまり、本実施形態では、高周波端子8Tの仕様に応じて、上記最大周波数が決定される。
【0122】
複数(4つ)の天壁52の各々の形状は、上下方向から見てL字状である。複数(4つ)の天壁52は、外周壁51の4隅の下端につながっており、上下方向から見て外周壁51の内側に向かって延びている。
【0123】
底壁55の形状は、上下方向から見て矩形枠状である。底壁55は、外周壁51の上端につながっており、上下方向から見て外周壁51の外側に向かって延びている。底壁55の下面は前後左右方向を含む平面と平行になるように形成されている。
【0124】
外周壁51の内周面は、筒状部50の内周面503に相当する。また、外側シールド5は、先端面502を有する。先端面502は、第1方向(上下方向)における筒状部50の両端のうち、コネクタ(ここでは、ヘッダH1)及び相手側コネクタ(ここでは、ソケットS1)の非接続状態から接続状態への移行に際して相手側コネクタ側となる一端(下端)に設けられている。先端面502は、筒状部50の内縁に沿って設けられている。ここでは、天壁52の上面が先端面502に相当する。また、先端面502の内縁が、筒状部50の下端における筒状部50の内縁の一部に相当する。
【0125】
先端面502と外周面501との境界部分b3は、前後方向から見て円弧状の面である(図9参照)。なお、ここでは、先端面502を、筒状部50の外面のうち、上下方向に対してなす鋭角が0度以上45度未満である領域として定義する。また、上記鋭角が45度以上である外側の面を外周面501と定義する。境界部分b3は、筒状部10の周方向に沿って、所定の長さを有するとする。
【0126】
複数(2つ)のシールド突起54は、複数(4つ)の天壁52のうち2つに1つずつ対応して設けられている。各シールド突起54は、対応する天壁52から、上向きに突出している。複数(2つ)のシールド突起54は、ハウジング6に設けられた複数(2つ)の挿入部623(図7参照)と一対一で対応している。各シールド突起54は、対応する挿入部623に挿入される。
【0127】
外側シールド5は、ハウジング6に圧入によって固定されている。つまり、外側シールド5は、ハウジング6に対して一方向に(上向きに)押し込まれることにより、ハウジング6に保持されている。このとき、外側シールド5の複数の天壁52が、ハウジング6の周壁62の少なくとも一部を覆う。また、このとき、各シールド突起54は、対応する挿入部623に挿入される。
【0128】
外側シールド5の面は、その全体が継ぎ目無く形成されている。本実施形態では、外側シールド5の面のうち、少なくとも外周面501及び内周面503が、筒状部50の周方向の全体に亘ってシームレスである(すなわち、継ぎ目及び切れ目が無い)。
【0129】
図8に示すように、外周面501は、2つの第1外周壁511の各々に対応する外表面5110(第1外周壁511の表面及び突起56の表面を含む)と、2つの第2外周壁512の各々に対応する外表面5120(第2外周壁512の表面及び突起56の表面を含む)と、を含んでいる。外表面5110及び外表面5120の各々がシームレスである。さらに、法線方向が互いに異なる2面である外表面5110及び外表面5120が、シームレスにつながっている。このようにして、外周面501が、筒状部50の周方向の全体に亘ってシームレスとなっている。
【0130】
また、図8に示すように、内周面503は、2つの第1外周壁511の各々の内表面5111と、2つの第2外周壁512の各々の内表面5121と、を含んでいる。内表面5111及び内表面5121の各々がシームレスである。さらに、法線方向が互いに異なる2面である内表面5111及び内表面5121が、シームレスにつながっている。このようにして、内周面503が、筒状部10の周方向の全体に亘ってシームレスとなっている。
【0131】
また、外周面501と先端面502との境界部分b3は、シームレスである。例えば、図8の紙面右上(外側シールド5のコーナー部分)では、法線方向が互いに異なる3面である外表面5110、外表面5120及び先端面502が、シームレスにつながっている。
【0132】
(2.2.3)ヘッダの内側シールド
本実施形態では、2つの内側シールド7の形状は同じである。内側シールド7は、主材料、又は、表面を構成するめっき等の材料として、金属を含んでいる。ここでは、一例として、内側シールド7は、金属を主材料として形成されている。図9に示すように、内側シールド7は、基部71と、複数(2つ)の延長部72(第1延長部)と、を有している。
【0133】
基部71は、第3方向(左右方向)に沿った方向に長さを有する。基部71の形状は、板状である。基部71の厚さ方向(前後方向)から見て、基部71は、上下方向よりも左右方向に長い。基部71は、ハウジング6の底壁61に設けられた収容溝613に収容されている。
【0134】
複数の延長部72は、基部71から下向きに突出している。つまり、複数の延長部72は、第1方向(上下方向)に沿って、コネクタ(ここでは、ヘッダH1)及び相手側コネクタ(ここでは、ソケットS1)の非接続状態から接続状態への移行に際して相手側コネクタ側となる向きに、第1方向(上下方向)に沿って突出している。各延長部72の形状は、長方形状の板状である。各延長部72の厚さ方向(前後方向)から見て、各延長部72は、左右方向よりも上下方向に長い。なお、各延長部72の厚さ方向は、左右方向であってもよい。
【0135】
延長部72は、相手側コネクタ(ソケットS1)の内側シールド3に接触する当接部720(接触面)を含む。当接部720は、延長部72のうち、延長部72の長さ方向に沿った面(ここでは、左面又は右面)に設けられている。2つの延長部72の各々の当接部720は、互いに反対向き(右向き及び左向き)に向いている。
【0136】
ヘッダH1は、2つの内側シールド7の各々に2つの延長部72を有している。つまり、ヘッダH1は、計4つの延長部72を有している。ハウジング6に設けられた4つの収容部68(図7参照)は、4つの延長部72と一対一で対応している。各延長部72は、対応する収容部68に収容される。
【0137】
内側シールド7は、ハウジング6に圧入によって固定されている。つまり、内側シールド7は、ハウジング6に対して一方向に(下向きに)押し込まれることにより、ハウジング6に保持されている。このとき、各延長部72が対応する収容部68に収容される。ここで、シールド保持部(収容部68)における2つの延長部72の各々の収容スペースは、2つの延長部72の各々よりも大きい。
【0138】
図9に示すように、内側シールド7の基部71は、ヘッダH1の上端に位置している。ここで、外側シールド5は、第1端e5と、第2端e6と、を有する。第1端e5は、コネクタ(ここでは、ヘッダH1)及び相手側コネクタ(ここでは、ソケットS1)の非接続状態から接続状態への移行に際して相手側コネクタ側となる端(下端)である。第2端e6は、第1端e5とは反対側の端(上端)である。なお、ここでは、第2端e6は、外側シールド5の底壁55の周方向の全周に亘る領域とする。外側シールド5は、第2端e6を含む領域において、内側シールド7の2つの先端領域r7に対向している。
【0139】
外側シールド5は、第2端e6を含む領域において2つの先端領域r7のうち少なくとも一方に対して空隙g7を挟んで対向している。図9に示すように、外側シールド5には、回路基板550の導体570、580が電気的に接続される。また、導体570、580は、外側シールド5の第2端e6を内側シールド7の2つの先端領域r7にそれぞれ架け渡すように設けられる。つまり、外側シールド5は、導体570、580を介して、内側シールド7に電気的に接続される。一方で、回路基板550が存在しない状態において、外側シールド5は、空隙g7を介して2つの先端領域r7のうち少なくとも一方(本実施形態では、両方)に対して電気的に絶縁されている。空隙g7における外側シールド5と2つの先端領域r7のうち少なくとも一方との間の最短距離L7は、0.01mm以上0.1mm以下である。
【0140】
内側シールド7は、第1端e7と、第2端e8と、を有する。第1端e7は、コネクタ(ここでは、ヘッダH1)及び相手側コネクタ(ここでは、ソケットS1)の非接続状態から接続状態への移行に際して相手側コネクタ側となる端(下端)である。第2端e8は、第1端e7とは反対側の端(上端)である。内側シールド7は、第2端e8に、回路基板550に電気的に接続される接続面710(上面)を有する。接続面710は、平面状であり、かつ、2つの先端領域r7間に亘って連続している。より詳細には、接続面710は、2つの先端領域r7間を結ぶ長方形状の平面である。
【0141】
(2.2.4)ヘッダの端子
図6図7に示すように、複数(8つ)の端子8は、複数(6つ)の低周波端子8Pと、複数(2つ)の高周波端子8Tと、を含む。複数の端子8の配置は、ソケットS1の複数の端子4の配置と同様である。すなわち、「(2.1.4.1)配置」で説明した内容は、複数の端子8にも該当する。
【0142】
各端子8の形状は、互いに同じである。各端子8は、例えば、金属板に打抜き加工及び曲げ加工等をすることにより形成されている。図11に示すように、各端子8は、(第1)接点部81と、巻込片82と、基板接続部83と、(第2)接点部84と、を有している。
【0143】
基板接続部83は、例えば、回路基板550の導体580(半田)に電気的に接続される。すなわち、半田付け等の接合手段にて基板接続部83が回路基板550に接合される。これにより、回路基板550と端子8とは、電気的かつ機械的に接続される。また、図6に示すように、第1方向(上下方向)から見て、基板接続部83は、外側シールド5に囲まれている。さらに、上下方向と直交する1つの平面上に、基板接続部83の少なくとも一部及び外側シールド5の少なくとも一部が存在する。
【0144】
接点部81及び接点部84は、上下方向に長さを有する。接点部81は、ソケットS1の端子4の接点部41に接触する部位であり、接点部84は、ソケットS1の端子4の接点部46に接触する部位である。巻込片82は、上方に開放されたU字状に形成されている。巻込片82は、接点部81の下端部と、接点部84の下端部とを連結している。基板接続部83は、接点部81の上端部から突出した部位である。
【0145】
端子8がハウジング6に保持された状態において、下から見て、接点部81及び接点部84の少なくとも一部が露出する。接点部81及び接点部84は、ソケットS1(相手側コネクタ)の複数の端子4(相手側端子)のうち対応する端子4に接触して、端子4に電気的に接続される(図12参照)。
【0146】
端子8は、力覚部85を更に有している。力覚部85は、端子8と端子4(相手側端子)との接触時にクリック感を生じる。力覚部85は、接点部81から突出した突起である。力覚部85(突起)が、端子4の力覚部47を乗り越えたとき、クリック感が生じる。
【0147】
接点部84は、接点部46との接触面に、窪み840を有している。すなわち、接点部46は、窪み840に挿入される。ここでは、接点部46は、窪み840の側面に接触する。
【0148】
図7に示すように、内側シールド7の当接部720と、複数の端子8のうち少なくとも1つの端子8の接点部81とは、第2方向(前後方向)に並んでいる。
【0149】
(2.2.5)ヘッダ側の回路基板
ヘッダH1は、回路基板550の導体580(半田)に電気的に接続される。図6では、ヘッダH1の上面のうち、導体580が設けられる領域を2点鎖線により図示している。回路基板550の導体570、580、外側シールド5、複数の内側シールド7、複数の端子8の配置及び電気的な接続関係は、ソケットS1に対応する回路基板150の導体170、180、外側シールド1、複数の内側シールド3、複数の端子4の配置及び電気的な接続関係と同様である。
【0150】
(2.2.6)ヘッダの電気的閉ループ
ヘッダH1の外側シールド5、複数(2つ)の内側シールド7及び複数(8つ)の端子8の配置は、図13に示したソケットS1の外側シールド1、複数(2つ)の内側シールド3及び複数(8つ)の端子4の配置と同様である。そのため、ヘッダH1でもソケットS1と同様に、少なくとも、複数(3つ)の電気的閉ループLO1、LO2、LO3が形成されている。ヘッダH1の電気的閉ループLO1、LO2、LO3に関する詳細は、ソケットS1の電気的閉ループLO1、LO2、LO3に関する詳細と同様である。また、外側シールド5は、外側シールド1と同様に、内側シールド7に依らずに、端子8を囲む電気的閉ループLO4を構成する。
【0151】
ここで、外側シールド5は、筒状部50の周方向に隙間が無いように形成されているため、単体で電気的閉ループLO4を構成する。ただし、外側シールド5は、回路基板550の導体570及び/又は580と共に電気的閉ループLO4を構成してもよい。つまり、外側シールド5に隙間が形成されている場合に、隙間の両端を結ぶ経路が、導体570及び/又は580により形成され、電気的閉ループLO4がこの経路を含んでいてもよい。ここで、導体570及び/又は580はヘッダH1の構成に含まれていなくてよい。
【0152】
(3)組立工程
次に、ソケットS1とヘッダH1とを接続してコネクタ装置100を組み立てる工程の一例について、図9図12を参照して説明する。
【0153】
ソケットS1には、回路基板150が機械的にかつ電気的に接続される。ヘッダH1には、回路基板550が機械的にかつ電気的に接続される。この状態で、図9図11に示すように、ソケットS1は、ヘッダH1の下に配置される。そして、ソケットS1が上に移動することと、ヘッダH1が下に移動することと、のうち少なくとも一方がなされる。これにより、図10図12に示すように、ソケットS1とヘッダH1とが機械的に接続される。また、図10に示すように、ソケットS1の内側シールド3とヘッダH1の内側シールド7とが接触して、電気的に接続される。また、図12に示すように、ソケットS1の複数の端子4とヘッダH1の複数の端子8とが接触して、電気的に接続される。また、図10図12に示すように、ソケットS1の外側シールド1とヘッダH1の外側シールド5とが接触して、電気的に接続される。また、図10に示すように、ソケットS1のハウジング2の第1壁部25と第2壁部26との間、及び、第2壁部26と第3壁部27との間に、ヘッダH1のハウジング6の2つの壁部65が挿入される。
【0154】
ここで、ソケットS1及びヘッダH1(コネクタ及び相手側コネクタ)の非接続状態から接続状態への移行に際して、ソケットS1及びヘッダH1の各構成が、次に記載する順で互いに接触する。
【0155】
まず、ソケットS1及びヘッダH1は、外側シールド1、5において互いに接触する。すなわち、外側シールド1の筒状部10の内周面103のうち上端付近の領域が、外側シールド5の筒状部50の外周面501のうち下端付近の領域に接触する。
【0156】
次に、ソケットS1及びヘッダH1は、端子4、8において互いに接触する。すなわち、接点部41と接点部81とが互いに接触することと、接点部46と接点部84とが互いに接触することと、のうち少なくとも一方がなされる。
【0157】
次に、ソケットS1及びヘッダH1は、内側シールド3、7において互いに接触する。すなわち、内側シールド3の当接部332と内側シールド7の当接部720とが互いに接触する。
【0158】
次に、コネクタ(ソケットS1又はヘッダH1)の力覚部47(又は85)が相手側端子(端子8又は4)に接触する。すなわち、力覚部47が端子8の接点部81に接触することと、力覚部85が端子4の接点部41に接触することと、のうち少なくとも一方がなされる。そして、力覚部47、85により、クリック感を生じる。
【0159】
次に、コネクタ(ここでは、ヘッダH1)の外側シールド5が凸形構造(複数の突起56)(接触部ともいう)において相手側コネクタ(ここでは、ソケットS1)の外側シールド1に接触する。すなわち、複数の突起56が外側シールド1の筒状部10の内周面103に接触する(図10参照)。より詳細には、まず、複数の突起56が内周面103の上端付近の領域に接触する。その後、複数の突起56と内周面103との間の接圧により、外側シールド1の内周壁13が外側(外周壁11側)に向かうように外側シールド1が弾性変形しながら、複数の突起56が更に下へ移動する。最終的に、図10に示すように、複数の突起56は、内周面103のうち上下方向に沿った領域に接触する。以上により、ソケットS1及びヘッダH1の接続が完了する。
【0160】
このように、複数の突起56が外側シールド1に接触することで外側シールド1、5間の接圧及び摩擦力が大きくなることに先んじて、端子4、8においてクリック感が生じる。そのため、複数の突起56が外側シールド1に接触した後にクリック感が生じる場合と比較して、作業者がクリック感を知覚しやすい。つまり、摩擦力によりクリック感が知覚され難くなることを抑制できる。また、複数の突起56が外側シールド1に接触することで固定された、外側シールド1、5の位置関係が、その後の工程で変更されることがなくなるため、位置決めの精度を改善できる。これにより、外側シールド1、5間の接触面積を確保できる。
【0161】
(4)ノイズレベル
図14の実線は、実施形態のコネクタ装置100の放射ノイズの解析結果を表し、図14の破線は、比較例のコネクタ装置の放射ノイズの解析結果を表す。横軸は、周波数(単位は、[GHz])を表し、縦軸は、ノイズレベル(単位は、[dBμV/m])を表す
【0162】
比較例のコネクタ装置では、外側シールド1、5の各々は、金属板に曲げ加工をすることで形成されている点で、実施形態のコネクタ装置100と相違し、その他の構成については実施形態のコネクタ装置100と同じである。そのため、比較例のコネクタ装置の外側シールド1、5の各々の、例えば筒状部10(50)の外周面及び内周面には、筒状部10(50)の周方向において、継ぎ目又は切れ目が存在する。これに対して、実施形態のコネクタ装置100では、外側シールド1、5の各々は、金属の絞り加工により形成されている。そのため、外側シールド1、5の各々の、筒状部10(50)の外周面及び内周面は、筒状部10(50)の周方向の全周に亘って、シームレスに(つまり、継ぎ目及び切れ目が存在しないように)形成されている。
【0163】
図14に示すように、各周波数において、比較例のコネクタ装置よりも、実施形態のコネクタ装置100の方が、ノイズレベルが低減する。つまり、比較例と比較して、実施形態では、外側シールド1、5の各々の継ぎ目が除去されているため、共振の影響を抑えるだけでなく、継ぎ目から放射されるノイズを低減する効果を得られる。
【0164】
(変形例1)
以下、変形例1に係るソケットS2及びヘッダH2について、図15図18を用いて説明する。実施形態と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。また、図15図17ではそれぞれ、導体180、580(半田)が設けられる領域を2点鎖線により図示している。
【0165】
図15図16に示すように、ソケットS2は、内側シールド3を1つのみ備えている。また、ソケットS2は、端子4を2つのみ備えている。これに応じて、外側シールド1A及びハウジング2Aの形状が、実施形態の外側シールド1及びハウジング2の形状に対して異なっている。以下、より詳細に説明する。
【0166】
ハウジング2Aの概略形状は、実施形態のハウジング2のうち6つの低周波端子4Pが設けられた領域を省略した形状である。外側シールド1Aの概略形状は、実施形態の外側シールド1のうち6つの低周波端子4Pが設けられた領域を省略した形状である。
【0167】
ハウジング2の第1壁部25、第2壁部26及び第3壁部27の各々は、1つの収容部28を有している。これらの(3つの)収容部28に、内側シールド3の3つの延長部32が収容されている。
【0168】
また、第1壁部25及び第3壁部27の各々は、1つの端子保持部29を有している。第2壁部26は、2つの端子保持部29を有している。第1壁部25の端子保持部29と第2壁部26の一方の端子保持部29とに、2つの端子4のうち一方が保持されている。第3壁部27の端子保持部29と第2壁部26の他方の端子保持部29とに、2つの端子4のうち他方が保持されている。
【0169】
ここでは、2つの端子4は、高周波端子4Tであるが、これに限定されず、2つの端子4のうち少なくとも一方が、低周波端子4Pであってもよい。
【0170】
2つの高周波端子4Tは、内側シールド3を挟んで両側(前側及び後側)に配置されている。そのため、実施形態と同様に、2つの高周波端子4T間でノイズの伝搬が起きる可能性を低減できる。
【0171】
図17図18に示すように、ヘッダH2は、内側シールド7を1つのみ備えている。また、ヘッダH2は、端子8を2つのみ備えている。これに応じて、外側シールド5A及びハウジング6Aの形状が、実施形態の外側シールド5及びハウジング6の形状に対して異なっている。以下、より詳細に説明する。
【0172】
ハウジング6Aの概略形状は、実施形態のハウジング6のうち6つの低周波端子8Pが設けられた領域を省略した形状である。外側シールド5Aの概略形状は、実施形態の外側シールド5のうち6つの低周波端子8Pが設けられた領域を省略した形状である。
【0173】
ハウジング6の2つの壁部65の各々は、1つの収容部68を有している。これらの(2つの)収容部68に、内側シールド7の2つの延長部72が収容されている。
【0174】
また、2つの壁部65の各々は、1つの端子保持部69を有している。各端子保持部69に、端子8が保持されている。
【0175】
ここでは、2つの端子8は、高周波端子8Tであるが、これに限定されず、2つの端子8のうち少なくとも一方が、低周波端子8Pであってもよい。
【0176】
2つの高周波端子8Tは、内側シールド7を挟んで両側(前側及び後側)に配置されている。そのため、実施形態と同様に、2つの高周波端子8T間でノイズの伝搬が起きる可能性を低減できる。
【0177】
(変形例2)
以下、変形例2に係るソケットS1及びヘッダH1について、図19図20を用いて説明する。実施形態と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。なお、図19図20では、ソケットS1及びヘッダH1のうち2つの高周波端子4T及び2つの高周波端子8Tのみ抜き出して図示している。
【0178】
本変形例2では、ソケットS1において、低周波端子4Pと高周波端子4Tとで形状が異なっている。また、ヘッダH1において、低周波端子8Pと高周波端子8Tとで形状が異なっている。
【0179】
すなわち、本変形例2のソケットS1は、端子4を複数備える。ヘッダH1は、端子8を複数備える。複数の端子4(又は8)は、第1の端子(低周波端子4P又は8P)と、第2の端子(高周波端子4T又は8T)と、を含む。第2の端子は、第1の端子とは形状が異なる。第1の端子と第2の端子との間には、内側シールド3(又は7)が配置されている(図13参照)。
【0180】
一例として、低周波端子4Pは、実施形態の低周波端子4Pと同様の形状である。また、一例として、低周波端子8Pは、実施形態の低周波端子8Pと同様の形状である。
【0181】
一方で、本変形例2の高周波端子4Tは、一例として、図19に示すように、2つの接点部41と、基部42と、基板接続部45と、を有している。高周波端子4Tは、例えば、金属板に打抜き加工及び曲げ加工等をすることにより形成されている。
【0182】
基部42は、上方に開放されたU字状に形成されている。基板接続部45は、基部42の下端部に接続されている。基部42の左端からは、一方の接点部41が前後方向に突出しており、基部42の右端からは、他方の接点部41が前後方向に突出している。
【0183】
高周波端子8Tは、一例として、図19に示すように、2つの接点部81と、基部86と、基板接続部83と、を有している。高周波端子8Tは、例えば、金属板に打抜き加工及び曲げ加工等をすることにより形成されている。
【0184】
基部86は、下方に開放されたU字状に形成されている。基板接続部83は、基部86の上端部に接続されている。基部86の左端からは、一方の接点部81が左へ突出しており、基部86の右端からは、他方の接点部81が右へ突出している。
【0185】
ソケットS1とヘッダH1とを接続する工程で、図20に示すように、各高周波端子4Tと、対応する高周波端子8Tとが接続される。すなわち、高周波端子4Tの2つの接点部41の間に、高周波端子8Tが挿入される。これにより、2つの接点部41の各々は、対応する接点部81に接触する。また、このとき2つの接点部41の間隔が左右方向に押し広げられる。
【0186】
なお、端子4、8の形状を、次のようにしてもよい。低周波端子4P(8P)は電源配線及びグランドに接続する可能性があるため、低抵抗になるように高周波端子4T(8T)に比べ幅を広くしてもよい。また、低周波端子4P、8Pにおいて低抵抗になるように、低周波端子4Pと低周波端子8Pとの接触面積を、高周波端子4Tと高周波端子8Tとの接触面積に比べ大きくしてもよい。また、高周波端子4T(8T)は高速信号を通すため、その特性インピーダンスが回路基板150(550)上に形成される信号線の特性インピーダンスとマッチングする形状としてもよい。
【0187】
また、ソケットS1及びヘッダH1のうち一方のみにおいて、低周波端子4P(8P)と高周波端子4T(8T)とで形状が異なっていてもよい。
【0188】
(実施形態のその他の変形例)
以下、実施形態のその他の変形例を列挙する。以下の変形例は、適宜組み合わせて実現されてもよい。また、以下の変形例は、上述の変形例1と適宜組み合わせて実現されてもよい。
【0189】
外側シールド1(5)及び内側シールド3(7)は、回路基板150(550)の導体180(580)を介して互いに電気的に接続されることに限定されず、別の導電性部材を介して互いに電気的に接続されてもよい。
【0190】
外側シールド1(5)、複数の内側シールド3(7)及び複数の端子4(8)のうち少なくとも1つは、導体170(570)に接触し、これにより導体170(570)に電気的に接続されていてもよい。
【0191】
図21に示すように、ソケットS1において、内側シールド3の2つの先端領域r1のうち少なくとも一方(図21では、両方)は、外側シールド1に直接結合していてもよい。同様に、ヘッダH1において、内側シールド7の2つの先端領域r7のうち少なくとも一方は、外側シールド5に直接結合していてもよい。例えば、内側シールド3(7)の長さが実施形態と比較して延長されて、内側シールド3(7)が外側シールド1(5)に溶接、圧入又はかしめ等の手段により結合されていてもよい。あるいは、内側シールド3(7)のうち先端領域r1(r7)を含む部位と外側シールド1(5)の少なくとも一部とが、1つの部材により形成されていてもよい。なお、内側シールド3(7)と外側シールド1(5)とがシームレスにつながっていてもよい。
【0192】
延長部32(又は72)は、基部31(又は71)から上下方向に沿って突出することに限定されない。例えば、延長部32(又は72)は、基部31(又は71)から前後方向に沿って突出していてもよい。
【0193】
実施形態における各構成の個数は、一例であって、実施形態で示した個数に限定されない。例えば、内側シールド3(7)が有する延長部32(72)の個数は適宜変更が可能である。また、各コネクタ(ソケットS1及びヘッダH1)が備える端子4(8)の個数は適宜変更が可能である。また、各コネクタは、端子4(8)として、低周波端子4P(8P)のみを備えていてもよいし、高周波端子4T(8T)のみを備えていてもよい。
【0194】
実施形態において凹部又は窪みとして形成されている部位は、適宜、貫通孔に置き換えらえてもよい。逆に、実施形態において貫通孔として形成されている部位は、適宜、凹部又は窪みに置き換えられてもよい。
【0195】
実施形態において、圧入により結合されている部位が、インサート成形により結合されていてもよい。逆に、実施形態において、インサート成形により結合されている部位が、圧入により結合されていてもよい。また、圧入又はインサート成形に代えて、別の結合方法、例えば、接着、溶接、又はかしめ等を採用してもよい。
【0196】
外側シールド1、5は、絞り加工に代えて、例えば、成形により形成され、これにより、外側シールド1、5の面の少なくとも一部(例えば、外周面101、501の全体)がシームレスに形成されてもよい。また、例えば、溶接により、外側シールド1、5の面の少なくとも一部がシームレスに形成されてもよい。
【0197】
外側シールド5の複数の突起56は、筒状部50の外周面501ではなく、内周面503に設けられていてもよい。
【0198】
実施形態におけるソケットS1の一部の構成が、ヘッダH1に適宜適用されてもよい。逆に、実施形態におけるヘッダH1の一部の構成が、ソケットS1に適宜適用されてもよい。例えば、複数の突起56は、外側シールド1、5の両方に設けられていてもよいし、外側シールド1、5のうち外側シールド1にのみ設けられていてもよい。
【0199】
(まとめ)
以上説明した実施形態等から、以下の態様が開示されている。
【0200】
第1の態様に係るコネクタ(ソケットS1、S2又はヘッダH1、H2)は、複数の端子(4又は8)を備える。複数の端子(4又は8)は、相手側コネクタの複数の相手側端子にそれぞれ電気的に接続される。コネクタは、ハウジング(2、2A又は6、6A)と、内側シールド(3又は7)と、を更に備える。ハウジング(2、2A又は6、6A)は、複数の端子(4又は8)を保持している。コネクタ及び相手側コネクタは、第1方向において少なくとも一方が他方に向かって移動することで互いに接続される。複数の端子(4又は8)は、2つの端子(4又は8)を含む。2つの端子(4又は8)は、第1方向と直交する第2方向において、内側シールド(3又は7)を挟んで両側に配置されている。内側シールド(3又は7)は、基部(31又は71)と、延長部(32又は72)と、を有する。基部(31又は71)は、第1方向及び第2方向の両方と直交する第3方向に沿った方向に長さを有する。延長部(32又は72)は、基部(31又は71)から突出している。ハウジング(2、2A又は6、6A)は、シールド保持部(収容部28又は68)を有する。シールド保持部(収容部28又は68)は、延長部(32又は72)を保持している。
【0201】
上記の構成によれば、2つの端子(4又は8)が内側シールド(3又は7)を挟んで両側に配置されていることにより、内側シールド(3又は7)が無い場合と比較して、2つの端子(4又は8)間でノイズの伝搬が起きる可能性を低減できる。さらに、コネクタの延長部(32又は72)がシールド保持部(収容部28又は68)により位置決めされているので、コネクタの延長部(32又は72)と相手側コネクタとの位置合わせの精度を高められる。
【0202】
また、第2の態様に係るコネクタ(ソケットS1、S2又はヘッダH1、H2)では、第1の態様において、延長部(32又は72)は、コネクタ及び相手側コネクタの非接続状態から接続状態への移行に際して相手側コネクタ側となる向きに、第1方向に沿って突出している。
【0203】
上記の構成によれば、延長部(32又は72)が例えば第2方向に突出している場合と比較して、第1方向から見て延長部(32又は72)が占めるスペースを削減できる。
【0204】
また、第3の態様に係るコネクタ(ソケットS1、S2又はヘッダH1、H2)では、第2の態様において、ハウジング(2、2A又は6、6A)は、壁部(25、26、27又は65)を備える。壁部(25、26、27又は65)は、第3方向に沿った方向に厚さを有する。壁部(25、26、27又は65)は、シールド保持部としての収容部(28又は68)を有する。収容部(28又は68)には、延長部(32又は72)が収容されている。
【0205】
上記の構成によれば、ハウジング(2、2A又は6、6A)により、延長部(32又は72)の絶縁距離を確保できる。
【0206】
また、第4の態様に係るコネクタ(ソケットS1、S2又はヘッダH1、H2)では、第1~3の態様のいずれか1つにおいて、延長部(32又は72)は、当接部(332又は720)を含む。当接部(332又は720)は、相手側コネクタの内側シールドに接触する。
【0207】
上記の構成を採用すること、及び、コネクタの延長部(32又は72)がシールド保持部(収容部28又は68)により位置決めされていることにより、コネクタの内側シールド(3又は7)と相手側コネクタの内側シールドとの電気的接続の精度を高められる。
【0208】
また、第5の態様に係るコネクタ(ソケットS1、S2)では、第4の態様において、延長部(第1延長部33)は、延長部本体(331)を更に含む。延長部本体(331)は、基部(31)から突出している。当接部(332)は、延長部本体(331)から突出している。
【0209】
上記の構成によれば、コネクタの当接部(332)は延長部本体(331)から突出しているので、コネクタの延長部(第1延長部33)が当接部(332)以外の箇所で相手側コネクタの内側シールドに接触する可能性を低減できる。
【0210】
また、第6の態様に係るコネクタ(ソケットS1、S2又はヘッダH1、H2)では、第4又は5の態様において、延長部(32又は72)の形状は、板状である。当接部(332又は720)は、延長部(32又は72)のうち、延長部(32又は72)の長さ方向に沿った面に設けられている。
【0211】
上記の構成によれば、コネクタの当接部(332又は720)と相手側コネクタの内側シールドとの接触面積を確保できる。
【0212】
また、第7の態様に係るコネクタ(ソケットS1、S2又はヘッダH1、H2)では、第4~6の態様のいずれか1つにおいて、複数の端子(4又は8)の各々は、接点部(41、46又は81、84)を含む。接点部(41、46又は81、84)は、相手側端子に接触する。当接部(332又は720)と、複数の端子(4又は8)のうち少なくとも1つの端子(4又は8)の接点部(41、46又は81、84)とは、第2方向に並んでいる。
【0213】
上記の構成によれば、コネクタの構造を簡素にできる。
【0214】
また、第8の態様に係るコネクタ(ソケットS1、S2又はヘッダH1、H2)では、第1~7の態様のいずれか1つにおいて、内側シールド(3又は7)は、延長部(32又は72)を複数有する。
【0215】
上記の構成によれば、コネクタの延長部(32又は72)と相手側コネクタとの位置合わせの精度を更に高められる。
【0216】
また、第9の態様に係るコネクタ(ソケットS1、S2)では、第8の態様において、複数の延長部(32)は、第1延長部(33)と、第2延長部(34)と、を含む。第1延長部(33)は、当接部(332)を含む。当接部(332)は、相手側コネクタの内側シールドに接触する。第2延長部(34)は、シールド保持部(収容部28)に保持されている。
【0217】
上記の構成によれば、複数の延長部(32)が第1延長部(33)だけを含む場合と比較して、延長部(32)の個数を増やすことができるので、コネクタの延長部(32)と相手側コネクタとの位置合わせの精度を更に高められる。
【0218】
また、第10の態様に係るコネクタ(ソケットS1、S2)では、第9の態様において、シールド保持部(収容部28)における第1延長部(33)の収容スペースは、第1延長部(33)よりも大きい。
【0219】
上記の構成によれば、コネクタの第1延長部(33)と相手側コネクタとの位置合わせにおいて許容される誤差が大きくなる。
【0220】
また、第11の態様に係るコネクタ(ソケットS1、S2又はヘッダH1、H2)では、第1~10の態様のいずれか1つにおいて、外側シールド(1、1A又は5、5A)を更に備える。外側シールド(1、1A又は5、5A)は、複数の端子(4又は8)及び内側シールド(3又は7)を囲んでいる。
【0221】
上記の構成によれば、外側シールド(1、1A又は5、5A)の内と外との間でノイズの伝搬が起きる可能性を低減できる。
【0222】
また、第12の態様に係るコネクタ(ソケットS1、S2又はヘッダH1、H2)では、第11の態様において、内側シールド(3又は7)は、2つの先端領域(r1又はr7)を含む。外側シールド(1、1A又は5、5A)は、第1端(e1又はe5)と、第1端(e1又はe5)とは反対側の第2端(e2又はe6)と、を有する。第1端(e1又はe5)は、コネクタ及び相手側コネクタの非接続状態から接続状態への移行に際して相手側コネクタ側となる端である。外側シールド(1、1A又は5、5A)は、第2端(e2又はe6)を含む領域において2つの先端領域(r1又はr7)のうち少なくとも一方に対して空隙(g1又はg7)を挟んで対向している。
【0223】
上記の構成によれば、第2端(e2又はe6)側に内側シールド(3又は7)の少なくとも一部が設けられるので、第2端(e2又はe6)側においてノイズの伝搬が起きる可能性を低減できる。
【0224】
また、第13の態様に係るコネクタ(ソケットS1、S2又はヘッダH1、H2)では、第12の態様において、回路基板(150又は550)が存在しない状態において、外側シールド(1、1A又は5、5A)は、空隙(g1又はg7)を介して2つの先端領域(r1又はr7)のうち少なくとも一方に対して電気的に絶縁されている。回路基板(150又は550)は、外側シールド(1、1A又は5、5A)に電気的に接続される。
【0225】
上記の構成によれば、外側シールド(1、1A又は5、5A)と2つの先端領域(r1又はr7)とが接触する場合と比較して、外側シールド(1、1A又は5、5A)及び内側シールド(3又は7)の各々の寸法公差が改善する。
【0226】
第1の態様以外の構成については、コネクタ(ソケットS1、S2又はヘッダH1、H2)に必須の構成ではなく、適宜省略可能である。
【0227】
また、第14の態様に係るコネクタ装置(100)は、第1~13の態様のいずれか1つに係るコネクタ(ソケットS1、S2又はヘッダH1、H2)と、相手側コネクタと、を備える。
【0228】
上記の構成によれば、2つの端子(4又は8)が内側シールド(3又は7)を挟んで両側に配置されていることにより、内側シールド(3又は7)が無い場合と比較して、2つの端子(4又は8)間でノイズの伝搬が起きる可能性を低減できる。さらに、コネクタの延長部(32又は72)がシールド保持部(収容部28又は68)により位置決めされているので、コネクタの延長部(32又は72)と相手側コネクタとの位置合わせの精度を高められる。
【符号の説明】
【0229】
1、1A 外側シールド
150 回路基板
2、2A ハウジング
25、26、27 壁部
28 収容部(シールド保持部)
3 内側シールド
31 基部
32 延長部
33 第1延長部
331 延長部本体
332 当接部
34 第2延長部
4 端子
41、46 接点部
5、5A 外側シールド
56 突起(凸形構造)
550 回路基板
6、6A ハウジング
65 壁部
68 収容部(シールド保持部)
7 内側シールド
71 基部
72 延長部
720 当接部
8 端子
81、84 接点部
100 コネクタ装置
e1 第1端
e2 第2端
e5 第1端
e6 第2端
g1 空隙
g7 空隙
H1、H2 ヘッダ(コネクタ)
r1 先端領域
r7 先端領域
S1、S2 ソケット(コネクタ)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
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