(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024016119
(43)【公開日】2024-02-06
(54)【発明の名称】バイオ容器用強化フィルム
(51)【国際特許分類】
B65D 65/40 20060101AFI20240130BHJP
B32B 27/28 20060101ALI20240130BHJP
【FI】
B65D65/40 D
B32B27/28 101
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023186239
(22)【出願日】2023-10-31
(62)【分割の表示】P 2021525588の分割
【原出願日】2019-10-23
(31)【優先権主張番号】62/767,946
(32)【優先日】2018-11-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】504115013
【氏名又は名称】イー・エム・デイー・ミリポア・コーポレイシヨン
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ブライアン・ペレイラ
(72)【発明者】
【氏名】ジョン・サラゴサ
(72)【発明者】
【氏名】ジョーセフ・マルドゥーン
(57)【要約】 (修正有)
【課題】バイオ容器に使用するためのフィルムの亀裂又はしわを防止するための強化フィルムに関する。
【解決手段】フィルムに対する本体を形成する2つ以上の層から形成されたフィルムであって、内側及び外側を有するフィルム、及びフィルムの本体に組み込まれた基材を含むバイオ容器用材料であって、該基材は繊維状物質で形成され、該2つ以上の層のうちの少なくとも1つの各々がエチレン-酢酸ビニル樹脂を含む、バイオ容器用材料。また、非拘束圧力試験も開示される。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルムに対する本体を形成する2つ以上の層から形成されたフィルムであって、内側及び外側を有するフィルム、及びフィルムの本体に組み込まれた基材を含むバイオ容器用材料であって、該基材は繊維状物質で形成され、該2つ以上の層のうちの少なくとも1つの各々がエチレン-酢酸ビニル樹脂を含む、バイオ容器用材料。
【請求項2】
前記基材が、前記基材をフィルムに付着させるためのポリマー裏打ちで形成される、請求項1に記載の材料。
【請求項3】
前記基材が、織布繊維状物質及び不織布繊維状物質からなる群から選択される材料で形成される、請求項1に記載の材料。
【請求項4】
前記基材が、ナイロン、ポリエステル、アラミド、炭素、金属、ガラス及びポリオレフィンからなる群から形成される、請求項1に記載の材料。
【請求項5】
前記基材が、ポリマー繊維、金属繊維、炭素繊維及びガラス繊維からなる群から選択される織布材料である、請求項1に記載の材料。
【請求項6】
前記基材が、ナイロン、ポリエステル、アラミド、炭素、金属、ガラス及びポリオレフィンからなる群から選択される不織布繊維状物質から形成される、請求項1に記載の材料。
【請求項7】
前記フィルムが、1つ以上の接触層及びガス不透過層の1つ以上の層を有する多層フィルムで形成され、前記基材が、前記1つ以上の接触層と前記ガス不透過層1つ以上の層の間でフィルムに組み込まれる、請求項1に記載の材料。
【請求項8】
前記フィルムが、内側接触帯を形成する1つ以上の層から形成される第1の内側層、ガス不透過帯の1つ以上の層、及び外側強度帯を形成する、該ガス不透過帯の外側のポリマーの1つ以上の層を有する多層フィルムで形成され、前記基材が前記接触帯と前記ガス不透過帯との間で前記フィルムに組み込まれる、請求項1~7のいずれか一項に記載の材料。
【請求項9】
前記基材がエチレン-酢酸ビニル樹脂に埋め込まれる、請求項1~8のいずれか一項に記載の材料。
【請求項10】
前記基材が、観察窓及びポートからなる群から選択されるデバイスを提供するために、基材中に形成された1つ以上の開口部を有する、請求項1~9のいずれか一項に記載の材料。
【請求項11】
少なくとも2つの壁、及び該少なくとも2つの壁によって規定される内部容積を有するバイオ容器であって、内側接触帯を形成する1つ以上の層から形成される第1の内側層、ガス不透過帯の1つ以上の層、及び外側強度帯を形成する、該ガス不透過帯の外側のポリマーの1つ以上の層を有するフィルム材料、及び該接触帯と該ガス不透過帯との間で該フィルムに組み込まれる基材で形成され、該基材が繊維状物質で形成される、バイオ容器。
【請求項12】
前記基材が、織布繊維状物質及び不織布繊維状物質からなる群から選択される材料で形成される、請求項11に記載のバイオ容器。
【請求項13】
前記基材が、織布材料及び不織布材料からなる群から選択される形態の繊維状物質からなる群から選択される材料で形成され、該繊維状物質が、ナイロン、ポリエステル、アラミド、炭素、金属及びポリオレフィンからなる群から選択される材料で作製される、請求項11に記載のバイオ容器。
【請求項14】
前記フィルムが、第1内側帯、ガス不透過帯、及び外側強度帯を形成する、ガス不透過帯の外側の強度帯を有する多層フィルムと、該接触帯と該ガス不透過帯との間で前記フィルムに組み込まれる基材とから形成され、前記基材が繊維状物質で形成される、請求項11~13のいずれか一項に記載のバイオ容器。
【請求項15】
前記基材が、観察窓及びポートからなる群から選択されるデバイスを提供するために、基材中に形成された1つ以上の開口部を有する、請求項11~14のいずれか一項に記載のバイオ容器。
【請求項16】
前記基材が、前記バイオ容器の内部への観察窓を提供するために、基材中に形成された1つ以上の細長い開口部を有する、請求項11~15のいずれか一項に記載のバイオ容器。
【請求項17】
前記基材が、ポリマー、金属繊維、炭素繊維及びガラス繊維からなる群から選択される材料で形成される、請求項11~16のいずれか一項に記載のバイオ容器。
【請求項18】
バイオ容器の入口にガス圧力源を取り付け、前記バイオ容器内のその他の入口又は出口を閉鎖し、前記バイオ容器又は圧力源に圧力計を取り付けて前記バイオ容器内の圧力を読み取り、前記バイオ容器を満杯になるまで所望の圧力で膨張させ、圧力を経時的に監視して、何らかの圧力減衰が起こるか否かを決定することを含む、請求項11に記載のバイオ容器の試験方法。
【請求項19】
所望の容量の液体で満たされた請求項11に記載のバイオ容器と、圧力計を有する圧力源を前記バイオ容器に取り付け、弁を前記バイオ容器の出口に取り付け、前記バイオ容器を所望の圧力に膨張させ、前記弁を選択的に開閉して液体を分配することを含む分配方法。
【請求項20】
前記バイオ容器が1回加圧される、請求項11に記載の方法。
【請求項21】
分配中に前記バイオ容器が閾値最小値に達したときに、前記バイオ容器に追加のガス圧力を加えることをさらに含む、請求項11に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2018年11月15日に出願した米国仮出願第62/767,946号の優先権の利益を主張するものであり、これはその全体が参照により本明細書に援用される。
【0002】
開示の分野
本開示は、強化フィルムに関する。より詳細には、この開示内に提示されたフィルムの実施形態は、バイオ容器に使用するためのフィルムの亀裂又はしわを防止するための強化フィルムに関する。
【背景技術】
【0003】
背景
医薬品及びバイオ医薬品業界では、使い捨てのバッグ及び他のバイオ容器の利用が高まっている。多くのフィルムで構成されるこれらのバッグは、原料、中間体及び完成品などの液体及び固体の加工及び輸送のためのステンレスタンク、トート及びビンに代わるものである。
【0004】
このようなフィルムは、典型的には多層プラスチックフィルム積層品であり、一般的にかさばる。典型的には、積層品には4つ以上(一般に4枚~10枚の間)のフィルム領域が含まれる。シートは、一般に、少なくとも、バッグ又はバイオ容器内で液体又は固体と接触する表面を有する内側領域シートを有する。内側領域シートは複数のフィルムを含み、耐薬品性及び強度について指定されている、ポリエチレンのような一般に不活性な材料を含む。第1の外側領域シートは、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン-酢酸ビニル(EVA)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリアミド(ナイロン)などのような1つ以上のプラスチックフィルムから一般に形成される、バイオ容器の残りのシートに対して支持、破裂抵抗、強度、及び幾分かの程度の防護を提供する。少なくとも1枚のバリアシートは内側領域シートと第1の外側領域シートとの間に配置され、ポリエチレン-酢酸ビニル、ポリエチレン-ビニルアルコール(EVOH)などの1枚以上のガス不透過性フィルムを有することが多い。厚い布基材を典型的に含む追加の外側強度領域シートが、通常、第1の外側領域シート上に配置される。
【0005】
ガス不透過性フィルム(複数可)は、結晶性の傾向があり、したがって脆弱であり、及び/又は亀裂及び/又はきっ甲割れの影響を受けやすいプラスチック材料で形成される。試験中、包装中及び使用中のバッグ又はバイオ容器の折りたたみ、取扱い及び操作は、ガス不透過性フィルムに応力を与え、そのより脆弱な性質のため、その層に欠陥、例えば、応力集中及び亀裂の形成につながる。これらの欠陥は、典型的にはひび割れ線と表現され、欠陥がなければ透明又は半透明のフィルム中で白っぽい色に見える。これらの亀裂は、水平方向(すなわち、領域の深さ)にも垂直方向(領域の表面全体)にも伝播して、残りの領域を介して広がる傾向があり、最終的にはバイオ容器を損ない、次いでバイオ容器を破壊する。これらの破損は、漏れを引き起こし、バッグ又はバイオ容器の内部容積内の無菌性を喪失させる。
【0006】
ASTM F392は、可撓性のあるバリア材料の試験について記載しており、フィルムのシートを円筒形状内に包み、ねじってから所定のストロークで圧迫する。この調整後、フィルムに色素溶液を塗ることでピンホールが見つかる。これらのピンホールは、バッグ及びバイオ容器の亀裂及び潜在的な破損につながる応力集中である。
【0007】
応力集中及び亀裂に耐性があり、薄く可撓性のままである、新しいバイオ容器及びバイオ容器用の新しい多層材料は、技術の進歩を示すであろう。
【発明の概要】
【0008】
いくつかの実施形態の要約
フィルムに対する本体を形成する2つ以上の層から形成されるフィルムであって、内側及び外側を有するフィルム、及びフィルムの本体に組み込まれた基材であって、繊維状物質で形成される基材を含むバイオ容器用材料であって、該2つ以上の層のうち少なくとも1つの各々がエチレン-酢酸ビニルポリマー樹脂を含む、バイオ容器用材料。
【0009】
いくつかの実施形態において、基材は繊維状物質である。いくつかの実施形態において、基材は織布又は不織布材料である。いくつかの実施形態において、基材は、直径約0.010~0.020mmの繊維又はフィラメントを有するスクリーンである。いくつかの例示的な実施形態において、繊維又はフィラメントは直径が約0.015mmである。
【0010】
本開示の実施形態には、可撓性層及び容器の内部に隣接する接触層(複数可)をガス不透過層、例えば、酸素バリア層から分離する織布又は不織布基材のいずれかと、接触層(複数可)の外側の耐摩耗性層(複数可)を有する、バイオ容器用の多層フィルムが含まれる。
【0011】
接触層(複数可)とより脆弱なガス不透過層(複数可)との間に織布又は不織布基材を配置することにより、フィルムの全体的な性能が向上する。例えば、応力集中及び亀裂は、完全になくならないとしても、かなり減少する。いずれかの層に亀裂が発生した場合、前記織布又は不織布基材は、膜の深さを貫通する亀裂の伝播を抑制する。亀裂が接触層からいかなる外側層、例えば外層に伝播することがないので、このフィルムから形成されたバッグの内部容積の無菌性が維持される。理論に束縛されるつもりはないが、接触層とガス不透過層(複数可)との間に前記基材を加えることで不連続性が生じ、亀裂の伝播を抑制することにより層の破壊を防ぐと考えられる。換言すれば、例えば、ガス不透過層(複数可)又は耐摩耗性層(複数可)のいずれかで始まったいかなる亀裂も、内側接触層に伝播することも、内側接触層を通って伝播する可能性もない。
【0012】
バイオ容器を形成するための応力集中又は亀裂減少並びに切断、穿刺及び摩耗性を高めたフィルムが開示される。このフィルムは、容器の内部を形成する第1の側面及び容器の内部からさらに遠く離れた第2の面を有する第1の内側接触層(単数又は複数)を有する。織布又は不織布基材で形成される応力抑制層は、第1の内側接触層(複数可)の第2の面に付着するか、又はわずかに組み込まれる第1の側面を有する。応力抑制層は、容器の内部からさらに遠く離れた第2の面を有する。応力抑制層の第2面上に1つ以上のガス不透過層が形成される。布、例えば、織布及び/又は不織布のような、他の保護及び耐摩耗性層は、任意に、ガス不透過層(複数可)の外側に組み込まれてもよい。
【0013】
最適な基材は、ポリマー及び/又は他の材料、例えばガラス、金属、又は炭素繊維のような材料から単独で、又はポリマーとの組み合わせで構成される。基材は、バイオ容器の特徴的な折りたたみができるように可撓性である。いくつかの実施形態において、基材はウェブの形態であってもよい。基材は織布又は不織布材料であることができる。基材は、一般に、基材がフィルムの内層又は外層に付着することができるアタッチメント又は結合層を有する。いくつかの実施形態において、基材又は布はガス不透過層の第1の面上にある。いくつかの実施形態において、基材又は布は、ガス不透過層の第2の面上にある。いくつかの実施形態において、基材又は布は、ガス不透過層内、すなわち、ガス不透過層の第1の面とガス不透過層の第2の面との間に埋め込まれる。いくつかの実施形態において、基材又は布は、ガス不透過層の第1の面、及び耐摩耗性層のような外層上にある。上で簡単に述べた基材及び層は、バイオテクノロジー製造及び検証のための内部容積の清浄度及び低抽出物を維持するための包埋、押出、カレンダリング、及び/又は積層などの様々な技術により単一フィルムに統合することができる。
【0014】
バイオ容器は、1つ以上のガス、液体及び固体を収容することができる閉じた内部容積を有する。フィルムによって作られた容器の内部容積に視覚的開口部又は窓を提供するか、又はポートを形成するために、開口部を基材に形成することができる。
【0015】
本明細書に開示されるいくつかの実施形態は、いくつかの層から形成されたフィルムであって、内側及び外側、1つ以上の接触層、それに続く、織布又は不織布基材で形成された応力抑制層、及び基材層の外側の1つ以上のガス不透過層(複数可)を有するフィルムを含むバイオ容器のための材料を提供する。
【0016】
本明細書に開示されるいくつかの実施形態は、いくつかの層から形成されたフィルムであって、内側及び外側、1つ以上の接触層、それに続く、織布又は不織布基材で形成された応力抑制層、及び基材層の外側の1つ以上のガス不透過層を含むフィルムを含むバイオ容器用材料を提供し、任意に1つ以上の追加の保護及び耐摩耗性層を不透過性層(複数可)の外側に加えることができる。
【0017】
本明細書に開示されるいくつかの実施形態は、選択的に密閉された内部容積を有するバイオ容器であって、バイオ容器が1つ又は複数のフィルム片から形成され、フィルムは内側及び外側を有し、フィルムが数層、内部側を形成する1つ以上の接触層、続いて織布又は不織布基材から形成される応力抑制層、及び基材層の外側の1つ以上のガス不透過層から構成されるバイオ容器を提供する。
【0018】
本明細書に開示されるいくつかの実施形態は、フィルムと、内側接触層(複数可)と外部ガス不透過層(複数可)との間でフィルムに付着した基材とから形成される材料であって、基材は織布及び不織の繊維状物質からなる群から選択される繊維状物質で形成される材料を提供する。
【0019】
本明細書に開示されるいくつかの実施形態は、その内面上に1つ以上の接触層及びその外面上にガス不透過性ポリマー樹脂の1つ以上の層、及び内側接触層と外部不透過層との間に組み込まれた基材を有するフィルムから形成された材料であって、基材が、ポリマー、金属繊維、ガラス繊維、及び炭素繊維からなる群から選択される材料からなる群から選択される織布繊維状物質からなる群から選択される繊維状物質から形成される材料を提供する。
【0020】
本明細書に開示されるいくつかの実施形態は、ナイロン、例えば、ナイロン6又はナイロン6/6、ポリエステル、及び米国デラウェア州ウィルミントンのE.I.duPont de Nemours and CompanyによるKEVLAR(登録商標)又はNOMEX(登録商標)などのアラミド、及びポリオレフィンからなる群から選択される織布繊維状物質からなる群から選択される材料で形成された基材を有するフィルムを提供する。
【0021】
本明細書に開示されるいくつかの実施形態は、フィルムに組み込まれた基材層を有し、基材が、ポリマー(ナイロン、例えば、ナイロン6又はナイロン6/6、ポリエステル、アラミドなどをはじめとする)、金属繊維及びガラス繊維からなる群から選択される材料からなる群から選択される不織繊維状物質から形成されるフィルムを提供する。
【0022】
本明細書に開示されるいくつかの実施形態は、フィルムに組み込まれた基材層を有し、基材が、ナイロン、ポリエステル、アラミド及びポリオレフィンを含む、又はそれらからなる群から選択される不織繊維状ポリマー材料で形成されるフィルムを提供する。
【0023】
本明細書に開示されるいくつかの実施形態は、フィルムに組み込まれた基材層を有するフィルム又は材料であって、フィルムは、内側接触帯を形成する1つ以上の層から形成された第1の内側層、ガス不透過性帯の1つ以上の層、及び外側強度帯を形成する、ガス不透過性帯の外側面上のポリマーの1つ以上の層を有する多層フィルムから形成され、内側接触層とガス不透過層との間でフィルムに基材が組み込まれるフィルム又は材料を提供する。
【0024】
本明細書に開示されるいくつかの実施形態は、フィルム及びフィルムに組み込まれた基材から形成され、基材が窓又はポート開口部を形成するための1つ以上の開口部を有する材料を提供する。
【0025】
本明細書に開示されるいくつかの実施形態は、フィルム及びフィルムに組み込まれた基材から形成され、基材が窓を形成するための1つ以上の細長い開口部を有する材料を提供する。
【0026】
本明細書に開示されるいくつかの実施形態は、上記のフィルム又は材料のいずれか、全て、又は選択された組合せで形成されるバイオ容器を提供する。
【0027】
本明細書に開示されるいくつかの実施形態は、制約又は低圧の使用を必要とせずに圧力試験が可能である、上記フィルム又は材料のいずれか、全て、又は選択された組合せで形成されたバイオ容器を提供する。
【0028】
本明細書に開示されるいくつかの実施形態は、バイオ容器内に含まれるガス圧の使用(静的又は連続的のいずれか)によって、バイオ容器を通して流体(ガス及び/又は液体)を分配又は移動させることが可能である、上記フィルム又は材料のいずれか、全て、又は選択された組合せで形成されたバイオ容器を提供する。
【0029】
これら及び他の規定は、以下の説明、特許請求の範囲、及び図から明らかになるであろう。本開示の様々な利点、態様、新規及び発明的な特徴、並びにその例示的な実施形態の詳細は、以下の説明及び図からより完全に理解されるであろう。したがって、本明細書に開示された特徴が詳細に理解され得る方法、上記に簡潔に要約された開示の実施形態のより具体的な記述は、添付の図を参照することによって得られるであろう。しかし、添付図は、本開示の典型的な実施形態のみを示しており、したがって、記載された実施形態は、他の同等に効果的なバッグ、バイオリアクター、フィルム及び/又は材料につながることができるので、その範囲を限定するものとは考えられないことに注意しなければならない。また、1つの実施形態の要素及び特徴が、さらなる記述なしに他の実施形態において見出され得ること、及び、可能であれば、同一の参照数字が、図に共通の同などの要素を示すために使用されていることも理解されるべきである。本明細書中で使用される場合、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、及び「その(the)」は、文脈が別途明確に指示しない限り、複数の参照物を含む。特に定義しない限り、本明細書中で用いられる全ての技術的及び科学的用語は、これらの実施形態が関係する分野の当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。また、本明細書で用いられる以下の用語は、文脈が別途示す場合を除き、以下の定義の対象となる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1A】本開示のフィルムの第1の実施形態の断面を示す。
【
図1B】本開示のフィルムの第2の実施形態の断面を示す。
【
図1C】本開示のフィルムの第3の実施形態の断面を示す。
【
図2A】本開示に従って形成されたバイオ容器を断面図において示す。
【
図2B】本開示に従って形成された別のバイオ容器を平面図において示す。
【
図3】本開示に従って材料を形成する方法を平面図において示す。
【
図4】本開示に従って材料を形成する別の方法を平面図において示す。
【
図5A】本開示の別の実施形態の第1の断面を示す。
【
図5B】本開示のさらなる実施形態の第2の断面を示す。
【
図6】本開示に従って形成されたバイオ容器のさらなる実施形態を断面図において示す。
【
図7】本開示に従って形成されたバイオ容器のさらなる実施形態を平面図において示す。
【
図8】本発明の開示に従って形成されたバイオ容器のホルダーの実施形態を平面図において示す。
【
図9】
図8のホルダーに取り付けられた
図7のバイオ容器を平面図において示す。
【発明を実施するための形態】
【0031】
開示に関する詳細な説明
図1Aは、本開示による強化されたバイオ容器フィルム2の第1の実施形態の断面を示す。フィルム2は、内側接触帯4を有する。内側接触帯4は、第1の面4kを含み、これは、フィルム2から形成されるバイオ容器(本明細書に記載)の内部容積内の液体と接触している。内側接触帯4は、フィルムと接触する可能性がある液体に対して不活性であり、かつフィルム2の内側接触帯4又は第1の前面4kと接触する液体中に入る可能性のある抽出物が少ない材料の1つ以上の層で形成され得る。このような材料には、ポリエチレンなどの様々なポリオレフィンが含まれるが、これらに限定されるものではない。いくつかの実施形態は、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレンなどを含む。
【0032】
この内側接触帯4の外側には、ガス不透過性である樹脂の1つ以上の層から形成されるガス不透過帯6がある。このような樹脂には、EVA及びEVOHのようなポリマーが含まれるが、これらに限定されるものではなく、アルミニウム、アルミニウム合金、及び/又はそれらの様々な組合せのような様々な金属箔も含み得る。
【0033】
このガス不透過帯6の外側には、任意に、フィルム2の残りの帯に対して、支持、破裂抵抗、及びある程度の防護、例えば耐摩耗性を提供する1つ以上の層から形成される外側強度帯8がある。このような樹脂には、高密度ポリエチレンなどの種々のグレードのポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン、PET、EVA、ポリアミドなどが含まれるが、これらに限定されない。
【0034】
そのような実施形態では、帯4、6、8の各々は1つの層によって表されるが、上述のように、各々の帯は、一緒に結合された1つ以上の層で形成されてもよく、ここで、様々な帯は、一体のフィルム2として一緒に形成される。例えば、開示のいくつかの実施形態によれば、帯の1つ以上、又は各帯は、いくつかの層から形成することができる。また、同様のポリマー樹脂は、帯4、6、8及び/又は内側4、不透過帯6及び外側帯8のそれぞれを形成し得る層の1つ以上の間で、結合樹脂で形成され得る。結合層は、例えば、ポリウレタン、EVA及びポリエチレン、例えば、低密度ポリエチレンのブレンド、及び当該技術分野で知られているように積層体を形成するためのその他の結合層を含むことができる。
【0035】
内側接触帯4とガス不透過帯6との間には基材12が組み込まれる。基材12は、示されたように織布であるが、前述のようにそれは不織布又はスパンボンド材料であってもよいし、あるいはそれは米国デラウェア州ウィルミントンのHercules社により市販されている開口部又は多孔質延伸フィルムであるDELNET(登録商標)フィルムのようなネット材料であってもよい。基材12は、ポリマー繊維若しくは糸、金属繊維若しくは糸、ガラス繊維若しくは糸、又は炭素繊維若しくは糸又はそれらの組み合わせを含み得る。一般的には織布、不織布又はネット状のポリマー基材は、ナイロン、KEVLAR(登録商標)及び他のアミド、PET、EVA、ポリエチレン、ポリプロピレンなどの材料で形成することができる。
【0036】
ポリマー織布は、前述のポリマーのいずれかで形成することができる。ポリマー織布は、布単独として、又は既に布に結合した結合層14(後述)を有する被覆布のいずれかとして市販されている。このような材料は、米国マサチューセッツ州ホルブルックのEastex Products Inc.、米国ノースカロライナ州シャーロットのPGI Inc.、米国ニュ-ハンプシャー州マンチェスターのFreudenberg & Co.など、様々な企業から入手することができる。不織布は、例えば、スパンボンド又はインフレーション材料であることができ、例えば、米国デラウェア州ウィルミントンのE.I.DuPont De NemoursのTYPAR(登録商標)又はTYVEK(登録商標)シートとして市販されている。
【0037】
一般に織布又は不織布として入手可能な金属基材は、ステンレス鋼、アルミニウムなどで形成することができる。開示のいくつかの実施形態は、非腐食性金属又はエポキシ又はニッケルのような非腐食性外層で処理された金属を含む。これらは、典型的には、織布又はスクリーン材料として提供される。ガラス基材は一般に織布又は不織布である。ガラス繊維布やガラス繊維マットも適している。炭素繊維基材は、米国ミズーリ州セントルイスのZoltek Corp.のPANEX(登録商標)30又は35の炭素繊維ウェブのような織物状のウェブ形態でも商業的に見出すことができる。
【0038】
基材12は、1つ以上のアッタチメント又は結合層14によって、接触帯とガス不透過帯との間でフィルムに取り込むことができる(
図1A参照)。いくつかの実施形態において、結合層14は熱可塑性樹脂である。また、いくつかの実施形態において、基材12は、示されているように、少なくとも部分的に結合層14に埋め込まれている。いくつかの実施形態は、結合層14(複数可)が、エチレン-酢酸ビニル(EVA)樹脂単独などのポリマー又はポリエチレンなどの第2のポリマーとブレンドされたポリマーを含む。いくつかの実施形態において、結合層14は、EVA樹脂と接触層4で使用される低密度ポリエチレン樹脂とのブレンドである。また、いくつかの実施形態において、基材12は不織布として示されているが、織布も全く同じ働きをすることができる。結合層14は、使用前に基材12を備えていてもよいし、基材12に加えてもよい。結合層14(複数可)を基材12に組み込むことができる。あるいは、基材12は、内側帯4又は不透過帯6のいずれかの材料のような、異なる材料を含むことができ、結合層14(複数可)は、内側帯4及び不透過帯6の間に基材12を付着させるために使用される。例えば、付着手段は、当該技術分野で知られているように、多くの積層又は塗布処理の1つにより達成され得る。
【0039】
いくつかの実施形態において、結合層14(複数可)は、特に積層処理が使用される場合に、追加の層としてフィルム製造方法の一部として形成することができる。いくつかの例において、基材12は、基材12が熱結合材料としてフィルム2に組み込まれるか、又は以下に示すようにフィルム製造方法の一部として統合されるならば、結合層14を必要としない。この実施形態において、基材12は織布材料として示されているが、同様に
図1Aに示すような不織布であってもよい。上記のように、内側接触帯4は、第1の面4kを含み、これは、フィルム2から形成されるバイオ容器の内側体積内の液体と接触している。
【0040】
図1Cは、本開示のフィルム2の第3の実施形態の断面を示す。フィルム2は、内側接触帯4を含む。内側接触帯4は第1の面4kを含み、これは、フィルム2から形成されたバイオ容器(本明細書に記載)の内部容積内の液体と接触している。内側接触帯4は、フィルムと接触する可能性がある液体に対して不活性であり、かつフィルム2の内側接触帯4又は第1の前面4kと接触する液体中に入る可能性のある抽出物が少ない材料の1つ以上の層で形成され得る。いくつかの例示的な実施形態において、内側接触帯4は2つの層を含む。例えば、図に示すように、内側接触帯4は、外側接触層4aを含み、これは、例えば、ポリオレフィン材料を含む。いくつかの実施形態において、外側接触層4aはポリエチレン層である。いくつかの実施形態において、外側接触層4aは、超低密度ポリエチレン(ULDPE)(例えば、0.857~0.908g/cm
3の密度)、ポリオレフィンプラストマー、又はポリエチレン-オクテンコポリマーの1つであるポリエチレン層である。いくつかの実施形態において、ポリエチレン層は、米国ミシガン州ミッドランドのDow Corp.によって市販されているENGAGE(登録商標)ポリオレフィンエラストマー、及びいくつかの例示的なエチレン-アルファ-オレフィン及びポリエチレン-オクテンコポリマー樹脂を含む。いくつかの実施形態において、ENGAGEは、Dow Corp.によって市販されているグレード8480である。いくつかの実施形態において、内側接触帯は内側接触層4bを含み、これは、例えばEVAポリマー材料を含む。また、いくつかの実施形態において、内層4bと外層4aは、当該技術分野のものに知られているように、インフレーションフィルム法を用いて一緒に接合される。
【0041】
図1Cに描かれている実施形態のフィルム2の内側接触帯4の外側にはガス不透過性である材料の1つ以上の層で形成されたガス不透過帯6がある。このような材料には、EVA及びEVOHのようなポリマーが含まれるが、これらに限定されるものではなく、アルミニウム、アルミニウム合金、及び/又はそれらの様々な組み合わせのような様々な金属箔も含み得る。いくつかの実施形態において、ガス不透過帯6は複数の層を含む。いくつかの例示的な実施形態では、ガス不透過帯6は、LDPE又はLLDPEなどのポリエチレンを含む外層6a、ENGAGE(登録商標)ポリオレフィンエラストマーなどの第2のポリエチレン層6b、変性ポリエチレン層(例えば、無水マレイン酸で変性したLDPEなど)のような結合層6c、EVOH層6d、第2の結合層6c、別の第2のポリエチレン層6b及びEVA層6eを含む。
【0042】
内側接触帯4とガス不透過帯6との間には、内側接触帯4からガス不透過帯6へ又はその逆の亀裂の伝播を防止するための基材12が配置される。基材12はまた支持及び破裂抵抗を提供する。基材12は、1つ以上のアタッチメント又は結合層14によって、接触帯とガス不透過帯との間でフィルムに組み込むことができる。いくつかの実施形態において、結合層14は、示されるように基材12に埋め込まれる。好ましい結合層14は、ポリ(エチレン-酢酸ビニル)のようなプラスチックを単独で、又はポリエチレンのような異なるポリマーとブレンドしたプラスチックを含む。いくつかの実施形態において、結合層14はEVAと低密度ポリエチレンとのブレンドを含み、EVAは、高流動EVAである。例えば、いくつかの実施形態において、結合層14に対するメルトフローは、約3~25g/10分の範囲であり得る。
【0043】
いくつかの実施形態において、結合層14は、EVAと接触層4で使用される低密度ポリエチレンとのブレンドを含む。また、いくつかの実施形態において、基材12は不織布として示されているが、織布も全く同じ働きをすることができる。結合層14は、使用前に基材12を備えていてもよいし、基材12に加えてもよい。結合層14(複数可)を基材12に組み込むことができる。あるいは、基材12は、内部帯4又は不透過性帯6のいずれかの材料のような異なる物質を含むことができ、結合層14は、内側帯4及びガス不透過性6の間で基材12を付着させるために使用される。例えば、付着手段は、当該技術分野で知られているように、多くの積層又は塗布処理の1つにより達成することができる。
【0044】
いくつかの実施形態において、結合層14(複数可)は、特に積層方法が使用される場合に、追加の層としてフィルム製造方法の一部として形成することができる。いくつかの例において、基材12は、基材12が熱結合材料としてフィルム2に組み込まれるか、又は以下に示すようにフィルム製造方法の一部として統合されるならば、結合層14を必要としない。この実施形態において、基材12は織布材料として示されているが、同様に
図1Aに示すように不織布であってもよい。上記のように、内側接触帯4は第1の面4kを含み、これは、フィルム2から形成されるバイオ容器の内部容積内の液体と接触している。
【0045】
いくつかの例示的な実施形態において、
図1Cに描かれるように、フィルム2は、厚さ約0.008~0.012mmの接触帯4、厚さ約0.006~0.010mmのガス不透過帯6、及び厚さ約0.200~0.250mmの結合層14を含む基材層12を含む。いくつかの実施形態において、フィルム2は厚さが約0.350~0.410mmである。
【0046】
3枚のフィルム、すなわち、内側接触帯4、ガス不透過帯6、及びその間に配置されたEVA樹脂14を有する基材12は、一緒に積層される。いくつかの実施形態において、以下に示すように、
図3の装置を用いて、3枚のフィルム、すなわち、内側接触帯4、ガス不透過帯6、及びその間に配置されたEVA樹脂14を有する基材12が一緒に積層される。
【0047】
図2Aにおいて、バイオ容器22は、その膨張又は充填された構成で示されている。典型的には、バイオ容器22は、少なくとも幾分かの液体及び上部付近の空気のような幾分かのガスで満たされているが、試験のために、バイオ容器22は、空気又は選択されたガスのみで満たされてもよい。バイオ容器22は、3D又は3次元バッグと呼ばれる。
【0048】
フィルム2は、上記の様々な実施形態において記載されているように、
図2に示すように、バイオ容器22の底部16、上部18及び側面20(複数可)を形成する1個又は数個の片にするために切断される。バイオ容器22は、様々な流体(ガス、液体、又はその両方)及び/又は固体を保持するために使用することができる、バイオ容器22の底部16、上部18及び側面20(複数可)によって形成される内部容積19を有する。
【0049】
また、
図2Aにはポート30と窓32が示されており、これらは、フィルム2に組み込む前に、上述のように基材12に開口部をつくることによって形成される。ポート30及び窓32は任意であり、内部容積19及び/又はその中のあらゆる内容物を見るために使用される。観察ポート30に示されているように、開口部は円形である。しかし、観察ポート30のための任意の形状が使用できる。窓32は、液体で満たされるか又は部分的に満たされると、バイオ容器22の高さ全体を本質的に見ることができるように、細長く示されている。1つは、観察ポート30又は窓32の切断縁部及び基材12のような隣接する基材にポリマーを含浸させるか、又は観察ポート30又は窓32の所望の開口サイズと一致するような大きさの開口中心を有するポリマーディスクを基材12に取り付けて、基材繊維(複数可)が緩む可能性を低減又は排除するなどして、開口部の周りにリムを形成することができる。あるいは、本明細書に記載される結合層14のような結合層を使用する場合、このような結合層14は、繊維が緩むのを防止するために、基材12の繊維(複数可)に十分なアタッチメントを提供する。さもなければ緩んだ繊維はバイオ容器内の生物液体を汚染する可能性がある。
【0050】
さらに、ポート開口部34に示されるように、基材12及び/又はフィルム2にポート開口部を形成することができる。ポート開口部34は、バイオ容器に形成される前に、必要に応じて、加熱されているか否かを問わず、ダイ、パンチ若しくはナイフ、及び/又は、レーザーを用いて、最終材料に切断することができる。他の切断方法を用いることができる。所望であれば、まず、フィルム2に組み込む前に基材12を切断し、次いで、その下方及び上方のフィルム2を切断してポート開口部34を形成するためのガイドとして用いることができる。本明細書に記載されているバイオ容器は、さらに付属品36を含んでいてもよい。
【0051】
あるいは、ナイロン、ポリエチレン又はポリプロピレンのような、基材12のための透明又は半透明の材料を使用することにより、基材12がフィルム2に取り付けられる前に、所望の領域で基材12を加熱溶融させて窓30、32を形成することにより、窓30、32を形成することができる。加熱の第1の手段は、基材12を所望の領域で加圧して加熱/軟化又は溶融するために、及び基材が所望の窓を形成するために、アイロン又は加熱プラテンを使用することである。あるいは、RFヒーター又はインパルス溶接機は、基材12を加熱及び溶融することができる。窓30は、基材12をフィルム2に取り付ける前に、基材12に形成することができる。あるいは、窓30が、基材12がフィルム2に取り付けられた後、基材12に形成される実施形態については、基材12は、フィルム2の融点よりも低い融点を有する材料であり、基材12はフィルム2の融点よりも低い温度まで加熱されるだけである。
【0052】
図2Bは、2次元(2D)又は枕型バイオ容器23として知られているものを示す。バイオ容器23は、上記のように、一般にフィルム2のような1枚又は2枚のフィルム片で形成される。フィルム(1つの片Iが使用される場合)は、それ自体を折りたたみ、その外縁に沿って密封し、バイオ容器23を形成する。あるいは、バイオ容器23は、その外縁に沿って一緒に密封された2枚のフィルム片から形成されてもよい。どちらの構成でも、内部容積19が形成され、それは環境から選択的に切り離される。
図2Aと同様に、窓30、32、ポート開口部34及び/又は付属品36を使用することができ、
図2Aと同様の方法で組み立てることができる。
【0053】
図3及び4は、本開示に従う、上述のように、フィルム2のいくつかの実施形態などのフィルムを製造するための典型的な方法を例示する。結合層14(以下に示す)と併せていくつかの実施形態について、基材12は、接触層4と障壁層6の間に、上述のように障壁層6の外側に形成された保護層とともに組み込まれる。本開示のフィルム2は、熱積層、接着又は化学結合、カレンダリングなどを含むが、これらに限定されない種々の方法によって製造することができる。
【0054】
図3は、供給ロール41からの予め形成された接触層4と、供給ロール43からの予め形成された障壁層6/保護層8の組合せと、供給ロール45からの基材12とを取得し、溶融相が選択された基材12に残る一方で、1個以上のダイ44を有する押出装置42を通って、1つ以上の結合層14(下記に示される)を基材12の片側又は両側に押出すことによって、これらの層(4と6/8の組合せ)の間に基材12を組み込む押出コーティング法を示す。基材12は、典型的には、結合樹脂14を形成する溶融樹脂40と接触した際の寸法変化を避けるために、より高い融点材料である。加圧ロール46及びチルロール48機構が採用され、接合材料/層4、6/8及び12、14が、1つの新しい一体型の多層フィルム2へ良好な接着により結合されることを確実にする。これに関連して、一体とは、様々な層を積層したり、フィルム2を破壊しないでは分解したりすることができないことを意味する。完成品、例えば、フィルム2は、ねじ巻きロール47上に取り込まれる。所望であれば、第2の押出ヘッド(図示せず)を帯4と基材12の間に配置して、そこに同様に結合層14も作製することができる。いくつかの実施形態において、層4、6/8及び12、14は、220℃~240℃の溶融温度を用いて積層される。いくつかの実施形態において、溶融温度は約230℃~235℃の範囲である。いくつかの例示的な実施形態において、溶融温度は約231℃~233℃の範囲である。いくつかの例示的な実施形態において、溶融温度範囲は、EVA樹脂の実質的な架橋が生じないように選択される。
【0055】
図4は、通常ポリマーとポリマー用揮発性溶媒との混合物である、非常に薄いポリマー被膜50に使用される代替法であり、溶媒は、一連のオーブン(図示せず)により下流で気化される。ポリマー及び揮発性溶媒を含む被膜化合物50をコーティングナイフ54などによって塗布しながら、基材12をコーティングドラム52の上で移動させる。その結果、よく接着した多層構造が得られる。いくつかの実施形態において、上記のような保護層8のような追加の保護層が、基材12に適用される。いくつかの実施形態において、上記のような保護層8のような追加の保護層が、フィルム2に適用される。いくつかの実施形態において、保護層8は、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレンなどのポリオレフィン、及び当業者に公知の他のものを含む。いくつかの実施形態において、保護層8は、ポリオレフィン系コポリマー樹脂を含む。いくつかの実施形態において、保護層8は、プラストマー樹脂を含む。いくつかの実施形態において、保護層8は、エチレン-アルファ-オレフィン樹脂又はポリエチレン-オクテンコポリマー樹脂を含む。例えば、いくつかの例示的なエチレン-アルファ-オレフィン樹脂は、米国ミシガン州ミッドランドのDow Corp.により商標AFFINITY(登録商標)の下で市販されている。
【0056】
多層構造を組み合わせる別の方法は、接触帯4に隣接することになる基材表面、又はガス不透過帯6のいずれかに熱溶融性熱可塑性物質の層を塗布し、それらをプレスして、互いに接触させ、良好な結合を形成することである。
【0057】
バイオ容器22、23は、その密閉された側面、上部及び底部によって規定される内部容積19を有する。内部容積19は、1リットル~2000リットル又はそれより大きいものまで幅があり得る。典型的には、1、5、10、20、50、100、200、500、1000及び2000リットルのように、利用可能にされた様々なサイズがあるが、それらの間、又は2000Lよりも大きい特注容積も、所望により製造され得る。バイオ容器22、23は、環境に対して開放されていてもよい。例えば、上端が開いていてもよいし、様々なポート及び入口又は出口によってバイオ容器22、23の内部容積に選択的にアクセスできるように、環境から選択的に閉鎖されていてもよい。バイオ容器は流体(ガス、液体又は両方の組合せ)及び/又は固体を貯蔵又は処理するために使用でき、バイオリアクター又はミキサー又は貯蔵バッグに形成することができる。例えば、バイオ容器22、23はミキサーであってもよく、種々の液体を一緒に混合するために、又は液体(1種又は複数種)を緩衝培地、細胞培養培地などのような1つ以上の固体と混合するために使用されてもよい。また、バイオ容器は、チャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO)をはじめとする昆虫細胞又は哺乳動物細胞のような動物細胞、大腸菌などの細菌、酵母、真菌などの増殖に使用されるバイオリアクター又は発酵槽であってもよい。バイオ容器22、23又はバイオリアクターは、中間体又は完成した医薬品などの液体の貯蔵又は輸送に使用することができる。このようなバイオ容器22、23は、医薬及びバイオ医薬品、獣医学、栄養医学、幹細胞製造、抗体薬物コンジュゲート(ADC)製造及びワクチン製造において特に価値がある。当技術分野で知られているように、インペラー、センサ、ガス及び液体チューブセットなどの種々の付加物も、所望により加えてよい。
【0058】
図1A及び1Bのフィルム2の代替実施形態を
図5A及び5Bに示す。
図5Aは、本開示の別の実施形態の第1断面80を示す。これらの実施形態は、
図1A及び
図1Bの実施形態に関連して説明された要素に加えて、第2の基材21と、第2の基材21の外面上又は外面に組み込まれた外側保護層20とを有する。基材21の繊維はカプセル化されており、基材21の繊維がほどけたり、ピリングを引き起こしたりして、結果として生じる構造の耐摩耗性をさらに改善することがより困難である。このような層の材料には、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン、EVA、EVAコポリマー、スチレン-ブタジエンポリマー、コポリマー及びブレンド、ポリエステル、PET、熱可塑性エラストマー(TPE)、ポリウレタン、及び/又は類似の樹脂が含まれる。
【0059】
外側保護層20は、示されるように、いくつかの実施形態においては少なくとも部分的に基材21に埋め込まれている熱可塑性材料又はフィルムのような追加の樹脂層の形態で、基材21の外面に付着させることができる。外側保護層20は、使用前に基材21を備えていてもよいし、基材21に加えてもよい。あるいは、外側保護層20は、例えば、積層方法が用いられる場合に、追加の層としてフィルム製造方法の一部として形成することができる。
図5Bは、本開示のさらなる実施形態の第2の断面90を示す。第2の断面90は、第1の断面80と構造が類似している。いくつかの実施形態において、追加の結合層14は、
図5Bに示すように、基材12の厚さを囲んだり、包んだりするように基材12を接着する際に用いられる。いくつかの実施形態において、結合層14(複数可)は線状低密度ポリエチレン樹脂を含む。
【0060】
いくつかの例では、熱接着材料として外側保護層が部分的に基材12の外面に組み込まれるか、又は基材12の外面の深さの一部に組み込まれるか、又は押し出される熱溶融層のようなフィルム製造方法の一部として一体化されるならば(
図5A)、外側保護層20は結合層を必要としない。
【0061】
基材12、21は、透明又は着色された繊維状物質から形成することができる。場合によっては、紫外線(UV)及び通常の「白色」光を含む光に敏感な液体が基材12、21によって遮蔽されて、遮蔽されなければ透き通った又は透明なバッグの中に生じるであろう損傷を低減又は排除できるように、不透明又は遮光物質で形成された基材12、21を有することが望ましい。UV光を含む光を遮断する添加剤(二酸化チタン、酸化亜鉛などの添加剤又は有機UV遮断薬がよく知られている)を、基材12、21、又は被膜若しくは結合層14(使用される場合)、又はフィルム2の1つ以上の層に所望により添加することもできる。このような遮光添加剤は当業者には周知であり、米国オハイオ州エイボン レイクのPolyone Corp.のColormatrix(商標) Ultimate(商標)又はColormatrix(商標) Lactra(商標)又はOncap(商標)製品などの様々な供給源から入手することができる。
【0062】
フィルムバッグは、膨らませると圧力下で伸びることはよく知られている。場合によっては、膨張によってフィルム2が許容できない方法で伸びる可能性がある。例えば、フィルムの薄くなること、又は他のそのような欠陥が生じる場合、より薄い又は欠陥を有するフィルムの部分は、フィルムの残りの部分よりも急速に膨張し、フィルム表面に気泡又は他の変形を生じることがある。この変形は破裂するか、又は、フィルムの残りの部分よりも擦過傷下での磨耗が大きく/早くなる可能性があり、漏出につながることがある。同様に、フィルムに薄くなること又は他の欠陥がない場合でも、拘束されていないフィルムは、それが折りたたまれたり、ほどけたりする方法、又はフィルム中に折り目又は重なり又はしわを有する可能性がある場合には、異なる速度で膨らむことがあり、それによりこのような気泡又は層間の剥離などの他の欠陥につながる可能性がある。しかし、製造ミス又は出荷及び取扱いによって形成される可能性のあるピンホール又は密封されていない継ぎ目がないことを保証するために、バッグは使用前にしばしば圧力試験によって検査される。この試験は、一般に、バッグを膨らませ、圧力をかけながら一定時間放置し、その減衰を記録する圧力減衰試験である。
【0063】
しかし、バッグの伸びる、かつ変形を生じさせる能力のために、圧力減衰試験は、低圧、例えば、典型的には1psi未満、一般的には約0.5psi(3.5KPa)で行われる必要があり、バッグは、典型的には、2つの離間した拘束プレートの間にバッグを拘束することによって、又は真空チャンバー内に配置することによって、又はそのバッグのために規定された容積のホルダー内に配置することによって拘束される。これらの技術の各々は、膨張時に欠陥が形成される可能性を減少又は防止する。しかし、使用される圧力が低いために、それに相応して検出レベルは低く、これは著しく大きな欠陥のみが確認されることを意味する(例えば、1000L以上のバッグの場合1000~2000μm)。同様に、離間した板の壁付きチャンバーを使用する場合、いくつかの欠陥は覆われるか、又は分かりにくくされ、検出されない。最後に、圧力が低いため、このような試験を実行し、問題が存在するか否かを判断するのにかかわる時間は長い(5~10分の試験サイクル)。使用前に、より良い、より正確で迅速な漏れ検出試験が必要である。そのような試験がない場合には、より頑丈な材料及び/又はそれから作られたバイオ容器によってより正確な漏れ検出試験の必要性が軽減される。
【0064】
本開示により、バイオ容器22、23のような、圧力減衰試験の間に機械的に拘束される必要がないバッグが提供される。代わりに、基材12、21自体がフィルム2を拘束し、フィルム2を等しい速度で膨張させ、それにより試験中に気泡などの変形が形成される可能性が減少する。本明細書に開示されたいずれのバイオ容器も、基材12及び基材21の両方を有するか、又はいずれか一方のみを有するかにかかわらず、試験中に機械的に拘束される必要がないことが理解される。さらに、基材12、21は、より高い圧力(3.5~15psi(24~103KPa)程度)を用いることもできる。これにより、より正確かつ高レベルの検出が可能となり、存在する場合より小さな欠陥が検出可能となる。さらに、より高い圧力を使用することで、試験を大幅に速めることができる。
【0065】
図6に示すように、本開示の追加の特徴は、バッグ22、23が、単に、バッグ内の空気圧を使用することにより、バッグからの液体の移動を可能にして、自己分配又は自己流動できることである。バッグ22、23は、空気ポンプ又はチューブ又は導管66により入口又はポート64に取り付けられた加圧空気の供給装置などの空気圧システム62を有することができる。バッグ22、23は最大15psi(103KPa)の圧力に加圧され、バッグ22、23の中のこのヘッド圧力は、必要に応じ所望のように出口又は第2ポート70からバッグ22、23内の液体68の流れを起こすために使用することができる。示されるように、出口70は、受け器72の上方に位置するか、又はチューブ又は導管により別のバッグ(図示せず)に、又は一連のより小さなバッグ(図示せず)を収容するマニホルドに、又は液体68をバイアル又は注射器に分配するための弁付き針(図示せず)のような分配ヘッドに接続することができる。出口70は、必要に応じて出口を選択的に開閉するための弁74又はクランプを有していてもよい。バッグ22、23は、上記のような1つ以上の窓30と同様に、圧力計などのための追加のポートを含んでいてもよい。
【0066】
所望であれば、液体が分配される際に追加の空気圧を供給することにより、バッグ22、23内の圧力を一定に維持することができる。これにより、バッグ22、23から液体が一定速度で完全に分配されるように、バッグ22、23内の所望のヘッド圧力を維持することができる。あるいは、バッグ22、23から液体が分配されるにつれて減少する一定のヘッド圧力を単に加えることができる。
【0067】
いずれの実施形態においても、弁、チェック弁、クランプ、圧力計、窓などを使用して、システムを所望の状態に維持し、必要に応じてバッグ22、23から液体68の所望のように分配又は移動させることもできる。これらの要素の全ては、当業者に周知である。
【0068】
いずれの実施形態も、液体をバッグ22、23から移動させるためのポンプの必要性を排除する。これは、システムコスト及び複雑性を減少させ、様々なタンパク質溶液などのバッグ22、23から分配される剪断感受性製品に対する剪断損傷の可能性を減少させる点で有利であり得る。
【0069】
図7は、平面図において本開示に従って形成されたバイオ容器100のさらなる実施形態を示す。バイオ容器100は、本明細書に記載されているように、フィルム2の任意の実施形態、例えば、
図1A、1B、1C、5A、及び5Bに記載された実施形態で形成することができる。本開示のさらなる実施形態では、バッグ又はバイオ容器100は、1つ以上のグロメット又は眼102を含んでいてもよい。
図7に示すようにバッグ100がフック又は担体から単に垂れ下がることができるように、グロメット又は眼102は、典型的には上端104にある。基材によりバッグ100はより弾力があり、自己支持的になるので、そのような容器に典型的に使用されるようなバット又はビンのような堅固な封入支持容器の必要性が少なくなる。これにより、
図8に示すように、簡単なフレームワーク106を使用することができる。
図8は、平面図において、本開示に従って形成されたバイオ容器のためのホルダーの実施形態を示す。
図8において、フレームワーク106は、基部108と、少なくとも4本の垂直に延びる棒110とから形成される。示めされるように、各棒110の上端112の近傍には、第2の実質的に水平な棒114がある。各第2の実質的に水平な棒114は、隣接する棒110に接続されて、フレームワーク106を完成させる。いくつかの実施形態において、
図9に示されるように、グロメット102が上端112に取り付けられ、バッグ100はフレームワーク106の内側にぶら下がることが可能になる。
【0070】
図9は、平面図において
図8のホルダーに据え付けられた
図7のバイオ容器100を示す。所望により、追加の第2の実質的に水平な棒114(図示せず)を、隣接する棒110の間の、第1の棒の組108よりも基部108に向かう位置(単数又は複数)に配置することができる。あるいは、パネル(図示せず)を、第2の実質的に水平な棒114の代わりに、又はそれと併せて使用してもよい。
【0071】
2層のPureFlex(商標)フィルム(EMD Millipore Corp.製PureFlex(商標))をパウチに形成し、これを200mm×約250mmとし、破裂試験に供した。PureFlex(商標)フィルムは、第1の超低密度ポリエチレン層、その上に配置されたEVOH層、EVOH層上に配置されたEVA樹脂層、及びEVA樹脂層上に配置された第2の超低密度ポリエチレン層からなり、PureFlex(商標)フィルムの厚さは約0.25mmである。いくつかの実施形態において、第1の超低密度ポリエチレン層は流体接触層である。いくつかの実施形態において、第2の超低密度ポリエチレン層は流体接触層である。また、いくつかの実施形態において、EVA樹脂層は、EVAコポリマー樹脂を含む。例えば、EVAコポリマー樹脂は、約20~30重量%のエチレン-酢酸ビニルを含むことができる。いくつかの実施形態において、EVA樹脂層は、約28重量%のエチレン-酢酸ビニルを含む。いくつかの実施形態において、EVA樹脂層は、低密度ポリエチレンとブレンドされた約28重量%のエチレン-酢酸ビニルを含む。いくつかの実施形態において、EVA樹脂層は、米国デラウェア州ウィルミントンのE.I.duPont De Nemoursによって市販されるELVAX(登録商標)樹脂を含む。PureFlex(商標)パウチのいくつかを試験し、1平方インチあたり7~8ポンド(psi)の間で破裂する。
【0072】
同様に、
図1Cに関して記載したフィルム2の2層をパウチに形成し、同じ破裂試験を行った。これらのパウチは29psiで破裂する。
【0073】
引張強さ試験もASTM 638に従って実施した。
図1Cに記載したフィルム2のようなフィルム2の破断時の引張強さは約5000psiであった。反対に、PureFlex(商標)フィルムは、約2100psiという破断時の引張強さを示した。
【0074】
摩耗試験も実施した。
図1Cに記載されたフィルム2のようなフィルムは、一般に4000~6900回のストローク、すなわち、ねじれに耐えた。反対に、PureFlex(商標)フィルムは150回のストロークにしか耐えられなかった。
【実施例0075】
[実施例1]
バイオ容器フィルムを、Gelbo Flex ASTM F392規格に従う本開示に従って作製した複合フィルム2と比較した。以下に述べるPureflex(商標)フィルムは、内側接触帯、中間酸素障壁帯及びプラスチックのみで形成された外側保護帯を有する多層積層フィルムであった。このフィルムの厚さは約0.020インチ(0.50mm)であった。いくつかの実施形態において、PureFlex(登録商標)フィルムは、エチレン-アルファ-オレフィン樹脂を含む接触層を有する。例えば、いくつかの例示的なエチレン-アルファ-オレフィン樹脂は、米国ミシガン州ミッドランドのDow Corp.により商標AFFINITY(登録商標)の下で市販されている。
【0076】
Pureflex(商標)フィルムのサンプルを修正し、外帯がEVOH樹脂、例えば、クラレ(株)、Plemium Pack GmbH、米国イリノイ州アーリントンハイツのSoarus LLCで市販されているSOARNOL(登録商標)、及び/又はその他により市販されているものの層を有するようにして、耐屈曲亀裂性を改善した。いくつかの実施形態では、EVOH層は、任意選択で低いメルトフローレートを有するエチレン-ビニルアルコールコポリマーを含む。耐屈曲亀裂性樹脂を有するフラットチューブ標準フィルムの試料の厚さは、約0.014~0.020インチ(0.35~0.50mm)であった。
【0077】
ポリオレフィン性樹脂で形成された内側接触帯、横糸及び縦糸方向の両方のメッシュ数が86で、厚さが約150ミクロンの,例えば米国ニューヨーク州バッファローのSefar, Inc.から得られた基材、例えばナイロン織布基材を含む中間帯、EVOH樹脂で形成された酸素障壁帯、及び耐屈曲亀裂性樹脂の外層の積層(各帯の間には結合層)によって、本開示のフィルムのサンプルを作成した。
【0078】
表1の値は、試験した各フィルムの3つのサンプルの平均である。具体的には、耐屈曲亀裂性樹脂を有する標準フィルム、耐屈曲亀裂性樹脂を有するフラットチューブ標準フィルム、及び基材緩衝層と耐屈曲亀裂性層とを有する複合フィルムであり、これらを標準フィルム(EMDMillipore Corp.製PureFlex(商標))に対する結果と比較する。PureFlex(商標)フィルムは、第1の超低密度ポリエチレン層、その上に配置されたEVOH層、EVOH樹脂層上に配置されたEVA樹脂層、及びEVA樹脂層上に配置された第2の超低密度ポリエチレン層からなっており、PureFlex(商標)フィルムの厚さは約0.25mmである。いくつかの実施形態において、第1の超低密度ポリエチレン層は流体接触層である。いくつかの実施形態において、第2の超低密度ポリエチレン層は流体接触層である。また、いくつかの実施形態において、EVA層はEVAコポリマー樹脂を含む。例えば、EVAコポリマー樹脂は、約20~30重量%のエチレン-酢酸ビニルを含むことができる。いくつかの実施形態において、EVA樹脂層は、約28重量%のエチレン-酢酸ビニルを含む。いくつかの実施形態において、EVA樹脂層は、低密度ポリエチレンとブレンドされた約28重量%のエチレン-酢酸ビニルを含む。いくつかの実施形態において、EVA樹脂層は、米国デラウェア州ウィルミントンのE.I.duPont De Nemoursによって市販されているELVAX(登録商標)樹脂を含む。
【0079】
本明細書に記載する配合物に対する全ての範囲はその間の範囲を含み、端点を含む場合と含まない場合がある。任意に含まれる範囲は、その間の整数値(あるいは1つの元の端点を含む)からのものであり、記載された桁又は次の小さい桁である。例えば、より低い範囲値が0.2の場合、任意に含まれる端点は、1、2、3などと同様に0.3、0.4、・・・1.1、1.2であることができ、より高い範囲が8ならば、任意に含まれる端点は、7.9、7.8と同様に、7、6などであることができる。3以上のような片側のみの限度には、同じように、記載された桁の整数値又は1つ下の桁から始まる一致した限度(又は範囲)が含まれる。例えば、3以上は4、又は3.1以上を含む。
【0080】
本明細書全体にわたる「1つの実施形態」、「特定の実施形態」、「1つ以上の実施形態」、「いくつかの実施形態」、又は「実施形態」に対する参照は、実施形態に関連して記述される特徴、構造、材料、又は特性が、開示の少なくとも1つの実施形態に含まれることを示す。したがって、この明細書全体にわたる「1つ以上の実施形態」、「特定の実施形態」、「1つの実施形態」、「いくつかの実施形態」、又は「実施形態」などの語句の出現は、必ずしも同じ実施形態を指すわけではない。
【0081】
本明細書で引用された特許出願及び特許並びに非特許文献の公表文献は、各個々の公表文献又は参考文献が完全に記載されるように参照により本明細書に援用されるためにあたかも具体的かつ個別に明記されているかのように、引用された部分全体においてその全体が本明細書に援用される。本出願が優先権を主張するあらゆる特許出願も、公表文献及び参考文献に関して上述の方法で本明細書中に参照により援用される。
前記基材が、ナイロン、ポリエステル、アラミド、炭素、金属、ガラス及びポリオレフィンからなる群から選択される不織布繊維状物質から形成される、請求項1に記載の材料。