(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024161198
(43)【公開日】2024-11-15
(54)【発明の名称】低シアン化水素含有量梅酒又は梅酒含有飲料
(51)【国際特許分類】
C12G 3/04 20190101AFI20241108BHJP
C12G 3/06 20060101ALI20241108BHJP
【FI】
C12G3/04
C12G3/06
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024151908
(22)【出願日】2024-09-04
(62)【分割の表示】P 2022170838の分割
【原出願日】2022-10-25
(71)【出願人】
【識別番号】309007911
【氏名又は名称】サントリーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100129458
【弁理士】
【氏名又は名称】梶田 剛
(72)【発明者】
【氏名】清原 和樹
(57)【要約】
【課題】本発明の課題は、シアン化水素含有量が低い梅酒や梅酒含有飲料の熟成感又は上質なコクを向上させることである。
【解決手段】シアン化水素含有量が低い梅酒又はそれを含有する飲料中のフルフラール含有量及び/又はオクタン酸エチルの含有量を特定範囲にする。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フルフラールの含有量が1000ppb以上であり、そしてシアン化水素の含有量がアルコール100%換算で8ppm未満である、梅酒又は梅酒含有飲料。
【請求項2】
オクタン酸エチルの含有量が50ppb以上であり、そしてシアン化水素の含有量がアルコール100%換算で8ppm未満である、梅酒又は梅酒含有飲料。
【請求項3】
フルフラールの含有量が1200ppb以上であり、オクタン酸エチルの含有量が50ppb以上である、梅酒又は梅酒含有飲料。
【請求項4】
フルフラールの含有量が1000ppb以上であり、そしてシアン化水素の含有量がアルコール100%換算で8ppm未満である梅酒又は梅酒含有飲料の製造方法。
【請求項5】
オクタン酸エチルの含有量が50ppb以上であり、そしてシアン化水素の含有量がアルコール100%換算で8ppm未満である梅酒又は梅酒含有飲料の製造方法。
【請求項6】
フルフラールの含有量が1200ppb以上であり、オクタン酸エチルの含有量が50ppb以上である梅酒又は梅酒含有飲料の製造方法。
【請求項7】
シアン化水素の含有量がアルコール100%換算で8ppm未満である梅酒又は梅酒含有飲料の熟成感又は上質なコクを向上させるための方法であって、
梅酒又は梅酒含有飲料におけるフルフラールの含有量が1000ppb以上となるよう原料を混合する工程を含む、前記方法。
【請求項8】
シアン化水素の含有量がアルコール100%換算で8ppm未満である梅酒又は梅酒含有飲料の熟成感又は上質なコクを向上させるための方法であって、
梅酒又は梅酒含有飲料におけるオクタン酸エチルの含有量が50ppb以上となるよう原料を混合する工程を含む、前記方法。
【請求項9】
梅酒又は梅酒含有飲料の熟成感又は上質なコクを向上させるための方法であって、
梅酒又は梅酒含有飲料におけるフルフラールの含有量が1200ppb以上、オクタン酸エチルの含有量が50ppb以上となるよう原料を混合する工程を含む、前記方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、低いシアン化水素含有量を有し、そして特定量でフルフラール及び/又はオクタン酸エチルを含有する梅酒又は梅酒含有飲料、及び関連する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
梅酒は、梅果実を焼酎等のアルコール類に添加して製造される飲料であり、酒税法上リキュールに属する。梅酒は、従来から家庭でも作られており、また近年では、醸造メーカーから様々なタイプの梅酒が製造販売されている。
【0003】
近年、梅酒の製造方法について様々な検討がされている。たとえば、特許文献1には、梅の果実を湯煎により加熱してからアルコール液に浸漬して、カルバミン酸エチルの含有量が低い梅酒を製造する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
梅にはシアン配糖体が含まれており、それからシアン化水素が生成し得る。その結果、梅酒や梅酒含有飲料にシアン化水素が含まれる。シアン化水素は通常の梅酒に含まれている程度であれば、人体に影響を与えるものではないが、その量は低下させることができれば好ましい。
【0006】
シアン化水素含有量を低下させる方法として、原料となる梅酒を希釈する方法が考えられる。
しかしながら、シアン化水素は、梅の果実に含まれるシアン配糖体から生成されるところ、その生成過程で副生成物として生じるグルコースなどの成分は、梅酒独特の熟成感又は上質なコクに大きく貢献している。そのため、梅酒の希釈の際には、それらの成分の濃度も低下してしまう。したがって、シアン化水素含有量が低い梅酒や梅酒含有飲料では、梅酒独特の熟成感や上質なコクが不足する傾向が強い。
【0007】
したがって、本発明の課題は、シアン化水素含有量が低い梅酒や梅酒含有飲料の熟成感又は上質なコクを向上させることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、シアン化水素含有量が低い梅酒又はそれを含有する飲料中のフルフラール含有量及び/又はオクタン酸エチルの含有量を特定範囲にすると、その熟成感又は上質なコクを向上させることができることを見出し、本発明を完成させた。
【0009】
本発明は、以下のものに関するが、これらに限定されない。
(1)フルフラールの含有量が1000ppb以上であり、そしてシアン化水素の含有量がアルコール100%換算で8ppm未満である、梅酒又は梅酒含有飲料。
(2)オクタン酸エチルの含有量が50ppb以上であり、そしてシアン化水素の含有量がアルコール100%換算で8ppm未満である、梅酒又は梅酒含有飲料。
(3)フルフラールの含有量が1200ppb以上であり、オクタン酸エチルの含有量が50ppb以上である、梅酒又は梅酒含有飲料。
(4)フルフラールの含有量が1000ppb以上であり、そしてシアン化水素の含有量がアルコール100%換算で8ppm未満である梅酒又は梅酒含有飲料の製造方法。
(5)オクタン酸エチルの含有量が50ppb以上であり、そしてシアン化水素の含有量がアルコール100%換算で8ppm未満である梅酒又は梅酒含有飲料の製造方法。
(6)フルフラールの含有量が1200ppb以上であり、オクタン酸エチルの含有量が50ppb以上である梅酒又は梅酒含有飲料の製造方法。
(7)シアン化水素の含有量がアルコール100%換算で8ppm未満である梅酒又は梅酒含有飲料の熟成感又は上質なコクを向上させるための方法であって、
梅酒又は梅酒含有飲料におけるフルフラールの含有量が1000ppb以上となるよう原料を混合する工程を含む、前記方法。
(8)シアン化水素の含有量がアルコール100%換算で8ppm未満である梅酒又は梅酒含有飲料の熟成感又は上質なコクを向上させるための方法であって、
梅酒又は梅酒含有飲料におけるオクタン酸エチルの含有量が50ppb以上となるよう原料を混合する工程を含む、前記方法。
(9)梅酒又は梅酒含有飲料の熟成感又は上質なコクを向上させるための方法であって、梅酒又は梅酒含有飲料におけるフルフラールの含有量が1200ppb以上、オクタン酸エチルの含有量が50ppb以上となるよう原料を混合する工程を含む、前記方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、シアン化水素含有量が低い梅酒や梅酒含有飲料の熟成感又は上質なコクを向上させることができる。
本明細書における梅酒やそれを含有する飲料に関して用いられる「熟成感」とは、梅酒又は梅酒含有飲料の飲用時に感じられる香りや味に関するものであり、酸味・甘味・香りなどから構成される複雑味がありながらも、味全体がまとまり、まろやかで心地よい余韻があることを意味する。また、「上質なコク」とは、梅酒又は梅酒含有飲料の飲用時に感じられる香りや味に関するものであり、香りや味わいに濃厚さと複雑さがありながらも、それらがバランス良く感じられ、口の中で豊かな広がりと持続性が感じられることを意味する。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の梅酒及び梅酒含有飲料、及び関連する方法について、以下に説明する。
なお、特に断りがない限り、本明細書において用いられる「ppm」及び「ppb」は、重量/容量(w/v)のppm及びppbを意味し、それぞれ「mg/L」及び「μg/L」と同義である。
【0012】
また、本明細書に記載の「アルコール」との用語は、特に断らない限りエタノールを意味する。
(梅酒及び梅酒含有飲料)
本明細書において用いられる「梅酒」との用語は、原料である青梅や熟成梅等の梅の果実又はその一部(種子を含む)を、焼酎などのアルコールを含む液に浸漬し、成分を抽出して得られる飲料をいう。
【0013】
梅果実を供給する梅の品種は、一般に梅酒の製造に用いられるものであれば特に限定されないが、例えば、南高梅、白加賀梅、竜峡小梅、甲州小梅、露茜、鶯宿、翠香、加賀地蔵、八郎、峰春、パープルクィーン、紀の宝、みなべ21、NK14、橙高、パープル南高、ユージャック、前沢小梅、改良内田、吉村小梅、信州豊後、高田梅、新平太夫、玉織姫、夏みどり、福太夫、紅の舞、花香実、古城、月世界、梅郷等が挙げられる。果実の熟度は特に制限されず、未成熟の青梅でも、又は完熟したものでもよい。そして、梅果実又はその一部をそのままアルコールを含む溶液に浸漬させてもよいし、それを処理してから、例えば粉砕、切断、加熱、冷凍、又は乾燥してから浸漬工程に用いてもよい。
【0014】
浸漬工程に用いるアルコールを含む液は、アルコールと共に、通常は水を含む。また、一例において、当該液は蒸留酒を含有し、それによってアルコールを含有する。当該蒸留酒は、その原料や製造方法によって限定されない。当該蒸留酒としては、例えば、ウィスキー、ブランデー、スピリッツ(例えば、ウオッカ、ラム、テキーラ、ジン、アクアビット)、ニュートラルスピリッツ、リキュール類、焼酎が挙げられる。好ましくは、当該蒸留酒は、ウィスキー、ブランデー、又はニュートラルスピリッツである。典型的な浸漬温度は常温(25℃前後)であり、典型的な浸漬時間は1~12カ月、例えば1~3ケ月程度である。
【0015】
本明細書において用いられる「梅酒含有飲料」との用語は、梅酒を含有する飲料を意味する。梅酒含有飲料の典型的な例として、梅酒を水又は炭酸水で希釈して得られた飲料が挙げられる。
【0016】
梅酒含有飲料中の梅酒の含有量は、好ましくは1~99v/v%、より好ましくは5~99v/v%、より好ましくは10~99v/v%、より好ましくは20~99%である。
【0017】
本発明の梅酒又は梅酒含有飲料におけるシアン化水素の含有量は非常に低く、その含有量は、アルコール100%換算で8ppm未満、好ましくは7ppm以下、より好ましくは6ppm以下、より好ましくは5ppm以下、より好ましくは4ppm以下、より好ましくは3ppm以下、より好ましくは2ppm以下である。
【0018】
ここで、「アルコール100%換算」とは、梅酒又は梅酒含有飲料などの飲料サンプルに含まれるアルコールの一定量当たりのシアン化水素の量を意味し、以下の式により算出される。
【0019】
(アルコール100%換算シアン化水素含有量)
=(飲料サンプル中シアン化水素含有量)/(飲料サンプル中アルコール含有量(v/v%))×100
飲料中のシアン化水素の含有量は、公知のいずれの方法で測定してもよいが、例えば、後述する実施例に示された方法で測定することが出来る。
【0020】
また、本発明の梅酒又は梅酒含有飲料は、好ましくは、梅酒が通常含有する成分も含有する。好ましい態様において、当該梅酒又は梅酒含有飲料は、ベンズアルデヒドを0.5~100ppm含有する。
【0021】
(フルフラール、オクタン酸エチル)
本発明の梅酒又は梅酒含有飲料は、特定量のフルフラール及び/又はオクタン酸エチルを含有する。これらの成分は、梅酒又は梅酒含有飲料の熟成感又は上質なコクを向上させることができる。
【0022】
本発明の梅酒又は梅酒含有飲料におけるフルフラールの含有量は、1000ppb以上、好ましくは1200ppb以上、好ましくは1000~3000ppb、より好ましくは1000~2500ppb、より好ましくは1300~1700ppbである。
【0023】
本発明の梅酒又は梅酒含有飲料におけるオクタン酸エチルの含有量は50ppb以上、好ましくは50~300ppb、より好ましくは50~200ppb、より好ましくは80~200ppbである。
【0024】
ある態様の本発明の梅酒又は梅酒含有飲料において、好ましくは、フルフラールの含有量が1200ppb以上であり、そしてオクタン酸エチルの含有量が50ppb以上である。
【0025】
本発明の梅酒又は梅酒含有飲料は、これらの成分の両方を上記の含有量で含んでいてもよい。
これらの成分の含有量を調整するためには、例えば、それらの成分の内の一部又は全部を外部から加えることができる。所望の成分を外部から加えるためには、それを梅酒又は梅酒含有飲料に直接添加してもよいし、それらの成分の内の一部又は全部を含有する梅果汁、梅エキス、原酒等の原料を梅酒又は梅酒含有飲料に添加してもよい。
【0026】
これらの成分の含有量は、GC-MS、LC-MSなどの公知のいずれかの方法を用いて分析することができる。例えば、それらの含有量はガスクロマトグラフィー(GC)で測定することができ、その測定条件の例は、後述する実施例に記載されたものである。
【0027】
(アルコール)
本発明の梅酒又は梅酒含有飲料は、アルコールを含有する。当該梅酒又は梅酒含有飲料のアルコール含有量は、好ましくは1.0~30v/v%であり、より好ましくは3.0~25.0v/v%、より好ましくは5.0~22.0v/v%である。
【0028】
本明細書においては、アルコール含有量は、公知のいずれの方法によっても測定することができるが、例えば、振動式密度計によって測定することができる。具体的には、飲料から濾過又は超音波によって炭酸ガスを抜いた試料を調製し、そして、その試料を直火蒸留し、得られた留液の15℃における密度を測定し、国税庁所定分析法(平19国税庁訓令第6号、平成19年6月22日改訂)の付表である「第2表 アルコール分と密度(15℃)及び比重(15/15℃)換算表」を用いて換算して求めることができる。
【0029】
(他の成分)
本発明における梅酒又は梅酒含有飲料には、他にも、梅酒が本来有する独特の味を損なわない限り、そして本発明の効果を損なわない限り、飲料に通常配合する添加剤、例えば、糖類、香料、ビタミン、色素類、酸化防止剤、保存料、調味料、酸味料、エキス類、pH調整剤、品質安定剤等を配合することができる。
【0030】
(容器詰め飲料)
本発明の梅酒又は梅酒含有飲料は、容器詰めの形態で提供してもよい。容器の形態には、缶等の金属容器、ペットボトル、紙パック、ガラス瓶、パウチなどが含まれるが、これらに限定されない。
【0031】
(方法)
本発明は、別の側面ではシアン化水素の含有量がアルコール100%換算で8ppm未満である梅酒又は梅酒含有飲料の熟成感又は上質なコクを向上させるための方法である。当該方法は、以下の工程を含む:
梅酒又は梅酒含有飲料におけるフルフラールの含有量が1000ppb以上となるよう原料を混合する工程;及び/又は
梅酒又は梅酒含有飲料におけるオクタン酸エチルの含有量が50ppb以上となるよう原料を混合する工程。
【0032】
これらの工程は、梅酒又は梅酒含有飲料の製造方法にも用いることができる。
当該含有量を調整する方法は、梅酒又は梅酒含有飲料に関して上記した通りであるか、それらから自明である。また、フルフラール及びオクタン酸エチルの含有量及び他の成分
の具体例や量も、梅酒又は梅酒含有飲料に関して上記したとおりである。
【0033】
(数値範囲)
明確化のために記載すると、本明細書において下限値と上限値によって表されている数値範囲、即ち「下限値~上限値」は、それら下限値及び上限値を含む。例えば、「1~2」により表される範囲は、1及び2を含む。
【実施例0034】
以下に実施例に基づいて本発明の説明をするが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(試験例1) 低シアン化水素含有量飲料に対するフルフラールの効果
市販されている梅酒製品A(香料を使用している紙パックの梅酒)をコントロールとして用いた(コントロール1)。当該コントロールのシアン化水素含有量はアルコール100%換算で5ppmであり、当該コントロールは、94.6ppbのフルフラールと17.5ppbのオクタン酸エチルを含有していた。次いで、当該コントロールに種々の量のフルフラールを添加して複数の飲料を得た。各飲料のアルコール含有量は、10~15v/v%であった。
【0035】
なお、シアン化水素含有量の測定は、以下のように実施した。すなわち、サンプルとなる飲料にアルカリを添加して、サンプルに含まれる梅由来の加水分解酵素を失活させてから、pHを約5.5に調整し、水蒸気蒸留をして、遊離したシアン化水素をアルカリ溶液中に捕集した。次いで、得られた溶液にピリジンピラゾロン試薬を添加して発色させ、比色法にてシアン化水素の濃度を定量した。続く試験例でも同様にした。
【0036】
また、各飲料におけるフルフラールとオクタン酸エチルの含有量の測定のためには、以下の条件でGC-MS分析を実施した。続く試験例でも同様にした。
・分析装置
Agilent Technologies社製GCMS
・GCオーブン温度条件
40℃(5分)-6℃/min-240℃
・カラム
DBwax 60m 内径320μm 膜厚0.25μm(Agilent J&W)・試料前処理 なし
それらの飲料を官能評価に付した。具体的には、各飲料について専門パネル3名が以下の基準にしたがって官能評価し、そのスコアの平均値を求めた(平均値は、四捨五入して整数とした)。評価の個人差を少なくするために、各パネルは、各スコアに対応した標準品を用いて、事前に各スコアと味との関係の共通認識を確立した。この評価方法は、特に断りがない限り、他の試験例でも用いた。
【0037】
<梅酒含有飲料の熟成感又は上質なコク>
1点:熟成感、上質なコクがない
2点:熟成感、上質なコクがあまりない
3点:熟成感、上質なコクがやや感じられる
4点:熟成感、上質なコクが感じられる
5点:熟成感、上質なコクを強く感じられる
フルフラールの含有量と評価結果を表1に示す。フルフラールの含有量が一定範囲にあると、優れた効果が得られた。
【0038】
【0039】
(試験例2) 低シアン化水素含有量飲料に対するフルフラールの効果 その2
梅酒製品B(香料を使用した糖類ゼロの紙パックの梅酒)をコントロールとして用いたことを除いて試験例1と同様の実験を実施した(フルフラールを添加した飲料の数はより少ないが)。この実験におけるコントロールをコントロール2と呼ぶ。コントロール2におけるシアン化水素含有量はアルコール100%換算で8ppm未満であり、フルフラールの含有量は193.3ppbであり、オクタン酸エチルの含有量は12.3ppbであった。また、各飲料のアルコール含有量は8~12v/v%であった。実験結果を以下に示す。
【0040】
【0041】
異なる梅酒を用いても、試験例1と同様の傾向が認められた。このことは、本願発明が幅広い梅酒又は梅酒含有飲料に適用することができることを示唆している。
(試験例3) 低シアン化水素含有量飲料に対するオクタン酸エチルの効果
試験例1で用いた梅酒製品Aをコントロールとして用いた。この試験例では、これをコントロール3と呼ぶ。コントロール3におけるシアン化水素含有量はアルコール100%換算で5ppmであり、そのフルフラールの含有量は94.6ppbであり、オクタン酸エチルの含有量は17.5ppbであった。次いで、当該コントロールに種々の量のオクタン酸エチルを添加して複数の飲料を得た。各飲料のアルコール含有量は10~15v/v%であった。それらの飲料を、試験例1と同様の官能評価に付した。
【0042】
オクタン酸エチル含有量と評価結果を表1に示す。オクタン酸エチルの含有量が一定範囲にあると、優れた効果が得られた。
【0043】
【0044】
(試験例4) 低シアン化水素含有量飲料に対するオクタン酸エチルの効果 その2
コントロールとして試験例2と同じ梅酒製品Bを用いたことを除いて試験例3同様の実験を実施した(オクタン酸エチルを添加した飲料の数はより少ないが)。この実験におけるコントロールをコントロール4と呼ぶ。コントロール4におけるシアン化水素含有量はアルコール100%換算で8ppm未満であり、フルフラールの含有量は193.3ppbであり、オクタン酸エチルの含有量は12.3ppbであった。各飲料のアルコール含有量は8~12v/v%であった。その実験結果を以下に示す。
【0045】
【0046】
異なる梅酒を用いても、試験例3と同様の傾向が認められた。このことは、本願発明が幅広い梅酒又は梅酒含有飲料に適用することができることを示唆している。