(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024161222
(43)【公開日】2024-11-15
(54)【発明の名称】位置特定システムとそれに用いられる情報送受信装置並びにサーバ装置及び情報送信方法並びに位置特定方法
(51)【国際特許分類】
H04W 64/00 20090101AFI20241108BHJP
H04W 84/10 20090101ALI20241108BHJP
H04W 84/12 20090101ALI20241108BHJP
【FI】
H04W64/00
H04W84/10 110
H04W84/12
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024152354
(22)【出願日】2024-09-04
(62)【分割の表示】P 2020048109の分割
【原出願日】2020-03-18
(71)【出願人】
【識別番号】000005016
【氏名又は名称】パイオニア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001025
【氏名又は名称】弁理士法人レクスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】床井 晶勅
(57)【要約】
【課題】Wi-Fi又はBLEのアクセスポイントのインフラの整備も必要としない位置特定システムとそれに用いられる情報送受信装置並びにサーバ装置及び情報送信方法並びに位置特定方法を提供する。
【解決手段】
本発明の位置特定システムは、位置情報を特定する位置特定システムであって、保有者を特定する個別IDを含みかつ自身が無線通信のアクセスポイントであることを示すデータを含むデータフレームを、無線通信を介してブロードキャストする送信端末と、前記データフレームが前記無線通信を介して他の端末に受信された時刻と、前記他の端末の位置情報と、前記データフレームの受信時の搬送波の受信電界強度と、を含む端末位置関連情報を前記他の端末から取得し、前記端末位置関連情報に基づいて前記送信端末の位置を特定するサーバ装置と、を有することを特徴としている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
位置情報を特定する位置特定システムであって、
保有者を特定する個別IDを含みかつ自身が無線通信のアクセスポイントであることを示すデータを含むデータフレームを、無線通信を介してブロードキャストする送信端末と、
前記データフレームが前記無線通信を介して他の端末に受信された時刻と、前記他の端末の位置情報と、前記データフレームの受信時の搬送波の受信電界強度と、を含む端末位置関連情報を前記他の端末から取得し、前記端末位置関連情報に基づいて前記送信端末の位置を特定するサーバ装置と、を有することを特徴とした位置特定システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歩行者の位置を特定するシステムとそれに用いられる情報送受信装置並びにサーバ装置及び情報送信方法並びに位置特定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、例えば、児童や高齢者等を保護するために、当該児童や高齢者に小型端末を保有させ、自身のGPS(Global Positioning System)の位置等を、携帯電話ネットワーク通信を介して発信する居場所特定サービスが普及している。
【0003】
また、例えば、特許文献1には、LPWA(Low Power Wide Area)通信機能を有する携帯端末の周囲に固定されたBLE(Bluetooth(登録商標) Low Energy)又はWi-Fi(Wireless Fidelity:IEEE802.11通信規格)のアクセスポイントから発信されるビーコンを受信する携帯端末が開示されている。当該携帯端末が受信したWi-Fi固有番号又はBLE固有番号を、LPWA中継機器を介してサーバに転送することにより、消費電力の多いGPS機能を有しない携帯端末の位置情報を管理するシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、携帯電話ネットワーク通信を利用した居場所特定サービスにおいては、サービス利用者は携帯電話ネットワーク通信提供者との契約が必要であり、利用料が発生する。また、携帯電話ネットワーク通信は地下等の電波の届かない場所にいる場合又は災害時等で基地局やサーバが混み合う場合等において、居場所を特定するための通信が阻害される可能性がある。
【0006】
また、特許文献1のシステムのように、Wi-Fi又はBLEのビーコンを受信する携帯端末を用いたシステムにおいては、地域内にWi-Fi又はBLEのアクセスポイントを複数設置する必要があり、インフラの整備が必要となる可能性がある。
【0007】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、Wi-Fi又はBLEのアクセスポイントのインフラの整備も必要としない位置特定システムとそれに用いられる情報送受信装置並びにサーバ装置及び情報送信方法並びに位置特定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の発明は、位置情報を特定する位置特定システムであって、保有者を特定する個別IDを含みかつ自身が無線通信のアクセスポイントであることを示すデータを含むデータフレームを、無線通信を介してブロードキャストする送信端末と、前記データフレームが前記無線通信を介して他の端末に受信された時刻と、前記他の端末の位置情報と、前記データフレームの受信時の搬送波の受信電界強度と、を含む端末位置関連情報を前記他の端末から取得し、前記端末位置関連情報に基づいて前記送信端末の位置を特定するサーバ装置と、を有することを特徴としている。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本願の実施例に係る位置特定システム10の構成を示す図である。
【
図2】本願の実施例に係る小型端末20の構成を示す図である。
【
図3】本願の実施例に係る小型端末20が生成するデータフレームに含まれるSSIDの例を示す図である。
【
図4】本願の実施例に係る周囲端末30の構成を示す図である。
【
図5】本願の実施例に係る周囲端末30が生成する端末位置関連情報PDの例を示す図である。
【
図6】本願の実施例に係る周囲端末30が小型端末20の発信するデータフレームを受信してから端末位置関連情報PDを送信するまでの情報送信フローRT1である。
【
図7】本願の実施例に係るサーバ40の構成を示す図である。
【
図8】本願の実施例に係るサーバ40の位置特定部43が小型端末20の位置を特定する様子を例示した図である。
【
図9】本願の実施例に係る情報判定部47が端末位置関連情報PDに含まれる情報が適正であるかを判断する様子を例示した図である。
【
図10】本願の実施例に係る情報判定部47が複数の端末種から送信された端末位置関連情報PDに含まれる情報が適正であるかを判断する様子を例示した図である。
【
図11】本願の実施例に係るサーバ40が端末位置関連情報PDを受信してから位置特定情報を生成して保存するまでの位置特定情報生成フローRT2である。
【0010】
以下に本発明の実施例について詳細に説明する。尚、以下の説明及び添付図面においては、実質的に同一又は等価な部分には同一の参照符号を付している。
【実施例0011】
図1は、本願の実施例に係る位置特定システム10の構成を示す図である。
【0012】
位置特定システム10は、保有者Hが所持する小型端末20と、小型端末20の情報を受信して位置に関する情報を送信する周囲端末30と、周囲端末30から送信された位置に関する情報に基づいて小型端末20の位置を特定するサーバ40と、サーバ40が特定した小型端末20の位置を取得する保護者端末50と、を有する。周囲端末30及び保護者端末50は、ネットワークNWを介してサーバ40を通信可能に構成される。
【0013】
送信端末としての小型端末20は、例えば、無線通信機能を有する端末装置である。また、小型端末20は、自身が無線通信のアクセスポイントであるアクセスポイントモードとして動作し、保有者Hを特定する個別IDを含むデータフレームを周囲にブロードキャストする。
【0014】
小型端末20がブロードキャストするデータフレームは、例えば、IEEE802.11通信規格に準拠した無線通信、Bluetooth(登録商標)4.0規格に準拠したBLE又はLoRaWAN(Long Range Wide Area Network)やSigfox等のLPWAである。尚、本実施例においては、小型端末20がIEEE802.11通信規格に準拠した無線LAN(Local Area Network)機能を有する場合について説明する。この場合、小型端末20がブロードキャストするデータフレームには、位置特定システム10を利用するためのサービスID、保有者Hを特定する個別ID及び保有者Hが緊急事態であることを知らせる緊急フラグを含むSSID(Service Set IDentifier)と、小型端末20のMACアドレス(Media Access Control address)等の情報が含まれる。
【0015】
受信端末及び情報送受信装置としての周囲端末30は、例えば、小型端末20の近隣の住居NH、店舗NS又は歩行者Pが有するPC、スマートフォン又はタブレット端末等の端末装置である。周囲端末30は、IEEE802.11通信規格に準拠した無線LAN(Local Area Network)機能を搭載して当該通信規格のアクセスポイントを認識可能であり且つ、自身がインターネットに接続可能なように構成されている。
【0016】
尚、個別IDは個人の特定には直結しないが、安全性のために小型端末20がブロードキャストするデータフレームは特定の周囲端末30のみが取得又は認識できることが好ましい。例えば、位置特定システム10を利用可能にするアプリケーションソフトウェアがインストールされている周囲端末30のみが小型端末20がブロードキャストするデータフレームを認識できるようなシステムとすることが好ましい。
【0017】
周囲端末30は、小型端末20からブロードキャストされるデータフレームを取得すると、当該データフレームに含まれる小型端末20のSSID及びMACアドレスに加え、当該データフレームを取得した日時、場所及びデータフレームの受信電界レベルの情報を付与した端末位置関連情報を生成する。また、周囲端末30は、当該端末位置関連情報をネットワークNW経由で送信する。
【0018】
ネットワークNWは、例えば、周囲端末30が有線回線及び無線回線を含む専用回線や公衆通信回線網等の通信回線を介して接続するインターネット接続網である。周囲端末30とネットワークNWの接続は、例えば、ISP(Internet Service Provider)が提供するネットワーク相互接続サービス、ISPによって接続されるPCを介したLAN又は電気通信事業者が提供するWAN(Wide Area Network)等が挙げられる。尚、周囲端末30がネットワークNWに接続する手段は上記に限定されず、周囲端末30がインターネット接続網に接続されていればよい。
【0019】
サーバ装置であるサーバ40は、周囲端末30が送信した端末位置関連情報をネットワークNWを介して受信し、当該端末位置関連情報に基づいて小型端末20の位置を特定して時系列順に小型端末20の位置を保存するデータサーバである。
【0020】
サーバ40は、ネットワークNWを介して、例えば、TCP/IP等の通信プロトコルを用いて周囲端末30が送信する端末位置関連情報の受信が可能になっている。また、受信した端末位置関連情報に含まれる周囲端末30の各々が小型端末20からデータフレームを受信した時の受信時刻、受信位置、受信電界レベルに基づいて当該小型端末20の位置を特定する。また、特定した小型端末20の位置を時系列順に保存する。また、端末位置関連情報に含まれる小型端末20のSSIDに含まれる緊急フラグが緊急事態を示している場合、サーバ40は、例えば、保有者Hが在席する学校SC又は警察署PS等の関係機関に緊急連絡を実施する。
【0021】
取得端末としての保護者端末50は、例えば、自宅HMに設置され、小型端末20の保有者Hの家族等が所持する端末である。保護者端末50は、ネットワークNWを介してサーバ40にアクセスし、サーバ40が特定した小型端末20の位置を取得可能に構成されている。尚、保護者端末50は、PC、スマートフォン又はタブレット端末等の端末種に限定されず、インターネット接続網であるネットワークNWに接続可能であり、サーバ40にアクセス可能であればよい。
【0022】
換言すれば、位置特定システム10は、位置情報を特定する位置特定システムであって、保有者Hを特定する個別IDを含みかつ自身が無線通信のアクセスポイントであることを示すデータを含むデータフレームを、無線通信を介してブロードキャストする小型端末20と、データフレームが無線通信を介して周囲端末30に受信された時刻と、周囲端末30の位置情報と、データフレームの受信時の搬送波の受信電界強度と、を含む端末位置関連情報を周囲端末から取得し、端末位置関連情報に基づいて小型端末の位置を特定するサーバ40と、を有する。
【0023】
また、位置特定システム10は、サーバ40に接続し、サーバ40が特定した小型端末20の位置を取得する保護者端末50をさらに有する。
【0024】
図2は、本願の実施例に係る小型端末20の構成を示す図である。
【0025】
小型端末20は、データフレームの生成を行うデータフレーム生成部21と、当該生成したデータフレームをブロードキャストするデータフレーム発信部23と、保有者Hが緊急事態であることを知らせる緊急認識部25と、を有する。
【0026】
データフレーム生成部21は、小型端末20がブロードキャストするデータフレームを生成する。具体的には、位置特定システム10を利用することを示すサービスID、保有者Hを特定する個別ID及び保有者Hが緊急事態であることを知らせる緊急フラグを含むようなSSIDを生成し、当該SSIDを含むデータフレームを生成してデータフレーム発信部23に供給する。すなわち、データフレーム生成部21が生成するデータフレームは、小型端末20がアクセスポイントとして動作することを示す態様で生成される。
【0027】
データフレーム発信部23は、データフレーム生成部21が生成したデータフレームを周囲にブロードキャストする。尚、ブロードキャストする時間間隔は任意に設定可能である。例えば、データフレーム発信部23は、連続的、断続的又は間欠的にデータフレームをブロードキャストする。具体的には、例えば、ブロードキャストは随時行われもよいし、5分おき等に固定間隔で行われてもよい。また、データフレーム発信部23は、小型端末20の電池残量に応じてブロードキャストする時間間隔を自動で変更してもよい。
【0028】
緊急認識部25は、例えば、保有者Hが緊急事態に陥った際又は危険を察知した際に小型端末20に備えられたボタンを押す又は紐を引っ張る等の動作がなされたことをして、保有者Hに緊急事態が発生したことを認識する。緊急認識部25は、緊急事態を認識するとデータフレーム生成部21に緊急フラグが緊急事態を示すようにデータフレームを生成するように指令する。
【0029】
また、この時、データフレーム発信部23に当該データフレームを常時発信させ続けるように指令してもよい。また、データフレームの発信に併せて、図示しないスピーカを介して大音量でアラームを鳴らして危険を周囲に通知するようにしてもよい。
【0030】
図3は、本願の実施例に係る小型端末20が生成するデータフレームに含まれるSSIDのデータ構造の例を示す図である。
【0031】
データフレームは、例えば、IEEE802.11通信規格に準拠したビーコンフレームとして生成される場合、最大32文字のSSIDと小型端末20のMACアドレスを含む態様で構成される。本実施例においては、データフレームに含まれるSSIDは、例えば、位置特定システム10を利用していることを示すサービスIDヘッダHE、保有者Hを特定する個別ID、保有者Hが緊急事態であることを知らせる緊急フラグSF、予備フラグRF及び各要素を区分けするアンダーバーEで構成される。
【0032】
図3に示す例においては、サービスIDヘッダHEに3文字、個別IDに5文字、緊急フラグSFに1文字、アンダーバーEに計3文字及び予備フラグRFに20文字となる。尚、個別IDにおいては、SSIDに使用可能な文字種81種で5文字使用している故、約30億人分を定義可能である。
【0033】
また、本実施例においては、最大32文字のSSIDを有するIEEE802.11通信規格に準拠したデータフレームについて説明するが、データフレームの通信規格はこれに限定されない。例えば、BLEを用いたデータフレームを採用する際は、Bluetooth(登録商標)デバイス名に上記の情報を含ませたデータフレームを生成すればよい。また、他の通信規格のデータフレームを用いた場合においても、小型端末20のデバイス名等に上記の情報を含ませたデータフレームを生成すればよい。
【0034】
換言すれば、データフレームは、小型端末20のアクセスポイントとしての識別子を示すSSIDを有し、SSIDに個別IDを含んでいる。
【0035】
また、データフレームは、SSIDに位置特定システム10において使用されるデータであることを特定するサービスIDヘッダHE及び保有者Hが緊急事態にあるか否かを示す緊急フラグSFの情報を含む。
【0036】
また、データフレームには、小型端末20のMACアドレスが含まれている。
【0037】
図4は、本願の実施例に係る周囲端末30の構成を示す図である。
【0038】
周囲端末30は、小型端末20がブロードキャストするデータフレームを取得するデータフレーム取得部31と、当該データフレームから必要な情報を抽出し且つ周囲端末30のデータフレーム受信状態の情報を付加して端末位置関連情報を生成する位置関連情報生成部33と、当該端末位置関連情報をネットワークNWを介してサーバ40に送信する位置関連情報送信部35と、を有する。
【0039】
データフレーム取得部31は、周囲端末30の周囲にアクセスポイントがあるかを確認する。小型端末20がブロードキャストするアクセスポイントを示すデータフレームを認識すると当該データフレームを取得して位置関連情報生成部33に供給する。また、当該データフレームを取得した際の受信時刻及び受信電界レベルを位置関連情報生成部33に供給する。尚、周囲端末30が周囲にアクセスポイントがあるかの確認は任意に設定可能である。周囲端末30が随時データフレームの受信状況を確認するように設定されていてもよい。また、確認する時間間隔を周囲端末30の所持者が設定してもよいし、5分おき等に固定に設定されてもよいし、PC、スマートフォン又はタブレット端末等の端末種によって自動で設定されてもよい。
【0040】
位置関連情報生成部33は、データフレーム取得部31が取得したデータフレームから小型端末20のSSIDを含む必要な情報を抽出する。また、抽出した情報に対して、データフレーム取得部31から供給されたデータフレームを受信した時の受信時刻、受信電界レベル及び周囲端末30の受信位置の情報を付与し、端末位置関連情報を生成して位置関連情報送信部35に供給する。
【0041】
位置関連情報送信部35は、位置関連情報生成部33が生成した端末位置関連情報を自身が接続しているネットワークNWを介してサーバ40に送信する。
【0042】
換言すれば、周囲端末30は、小型端末20から無線通信によって発信されかつ小型端末20の保有者Hを特定する個別ID及び小型端末20が無線通信のアクセスポイントであることを示すSSIDを含むデータフレームを無線通信を介して受信するデータフレーム取得部31と、データフレームを受信した際に当該データフレームに含まれる個別ID、データフレームを受信した際の受信時間、データフレームの搬送波の受信電界レベル及び自身の位置を示す自位置情報を含む端末位置関連情報を生成する位置関連情報生成部33と、端末位置関連情報を通信路を通じて送信する位置関連情報送信部35と、を有する。
【0043】
図5は、本願の実施例に係る周囲端末30が生成する端末位置関連情報PDの例を示す図である。
【0044】
端末位置関連情報PDには、端末位置関連情報PDを生成及び送信した周囲端末30の情報であるデータフレームの取得時間AT、取得位置AP、周囲端末30の端末種を示すTTが含まれる。
【0045】
取得位置APは、端末からデータフレームを受信した際の周囲端末30の位置であり、例えば、GPS等による緯度経度情報である。尚、位置情報は緯度経度に限定されない。例えば、取得位置APは、周囲端末30が設置されている住居又は店舗の住所、マンション名又は店舗名等の住所を特定できる施設名称でもよい。また、取得位置APは、PCの場合は、予め周囲端末30の所持者が設定してもよいし、インターネットに接続している時のIPアドレス、周囲端末30と接続している異なる機器から自動で取得されていてもよい。また、GPS機能を搭載したラップトップ型PC、スマートフォン又はタブレット端末の場合は、GPS機能と連動して自動で緯度経度が取得されてもよい。
【0046】
端末種別TTは、例えば、周囲端末30の端末の種別を示す。具体的には、デスクトップ型PC、ラップトップ型PC、スマートフォン又はタブレット端末等を示していてもよい。また、周囲端末30がGPS機能を有するか否か又は取得位置APがGPS機能と連動して得られた位置かあるいは所持者によって手入力されたものかを判別できるような態様でもよい。また、単に移動端末か固定端末かの情報であってもよい。
【0047】
また、端末位置関連情報PDは、周囲端末30が取得した小型端末20の情報が含まれる。例えば、周囲端末30が取得した1台目の小型端末20の第1のデータフレームに含まれる第1のSSIDデータSI1、第1のデータフレームの受信電界レベルRL1及び第1のMACアドレスMA1の第1の小型端末情報を第1のデータフレームから抽出して上記の周囲端末30の情報の後に付与する。
【0048】
また、同時刻又は所定の時間幅内に取得した小型端末20のデータフレームが2台以上ある場合は、上記に続けて2台目の小型端末20の第2のデータフレームに含まれる第2のSSIDデータSI2、第2のデータフレームの受信電界レベルRL2及び第2のMACアドレスMA2の情報を第2のデータフレームから抽出して第1の小型端末情報の後に付与する。尚、周囲端末30が第1のデータフレームと第2のデータフレームを同時に取得したとみなす上記の所定の時間幅は、任意に設定可能である。例えば、第1のデータフレームを受信してから10秒間の間等の固定の時間幅でもよいし、周囲端末30がデータフレームの受信状況を確認する時間間隔の間でもよい。
【0049】
周囲端末30が取得した全ての小型端末20の情報を生成した後、データ終端を示すEOF(End Of File)データを終端に付与して端末位置関連情報PDを生成する。
【0050】
図6は、本願の実施例に係る周囲端末30が小型端末20の発信するデータフレームを受信してから端末位置関連情報PDを送信するまでの情報送信フローRT1である。情報送信フローRT1は、周囲端末30が起動している間又は位置特定システム10を利用可能にするアプリケーションソフトウェアがインストールされている間において繰り返し実行される。また、情報送信フローRT1の繰り返しは、上述の通り随時繰り返し実行されてもよい。また、繰り返し間隔を周囲端末30の所持者が設定してもよいし、5分おき等に固定に設定されてもよいし、PC、スマートフォン又はタブレット端末等の端末種によって自動で設定されてもよい。
【0051】
まず、データフレーム取得部31は、ステップS101において小型端末20からデータフレームを受信可能なような待機状態となる(ステップS101)。
【0052】
次に、データフレーム取得ステップとして、データフレーム取得部31は、小型端末20からデータフレームを受信したかを判定する(ステップS102)。
【0053】
ステップS102において、小型端末20からデータフレームを受信したと判定されない場合(ステップS102:No)、データフレーム取得部31は、ステップS101の処理に戻り、ステップS101及びステップS102が繰り返し実行される。
【0054】
また、ステップS102において、小型端末20からデータフレームを受信したと判定された場合(ステップS102:Yes)、データフレーム取得部31は、受信した当該データフレームと、当該データフレームを受信した時の取得時間AT及び受信電界レベルRLとを位置関連情報生成部33に供給する(ステップS103)。
【0055】
次いで、端末位置関連情報生成ステップとして、位置関連情報生成部33は、供給された取得時間AT、自身に設定されている又はGPS携帯から自動取得された取得位置AP、自身の端末種別TT、受信したデータフレームから抽出した小型端末20のSSID及び小型端末20のMACアドレスの情報を有する端末位置関連情報PDを生成する(ステップS104)。
【0056】
次いで、位置関連情報生成部33は、データフレーム取得部31が同時刻又は所定の時間幅内において取得した全ての小型端末20の情報が端末位置関連情報PDに含まれているかを判定する(ステップS105)。
【0057】
ステップS105において、全ての小型端末20の情報が端末位置関連情報PDに含まれていると判定されない場合(ステップS105:No)、位置関連情報生成部33は、ステップS104の処理を再度実行し、生成した端末位置関連情報PDの後に次の小型端末20の情報を付与する。
【0058】
ステップS105において、全ての小型端末20の情報が端末位置関連情報PDに含まれていると判定された場合(ステップS105:Yes)、位置関連情報生成部33は、端末位置関連情報PDにデータ終端を示すEOF(End Of File)データを終端に付与し、当該端末位置関連情報PDを位置関連情報送信部35に供給する。その後、端末位置関連情報送信ステップとして、位置関連情報送信部35は、供給された端末位置関連情報PDをネットワークNWを介してサーバ40に送信する(ステップS106)。
【0059】
上記処理により、周囲端末30は、小型端末20が発信するデータフレームを受信して端末位置関連情報PDを生成し、当該端末位置関連情報PDをサーバ40に送信する。
【0060】
換言すれば、位置特定システム10の周囲端末30の情報送受信方法は、周囲端末30が小型端末20の位置を特定するための端末位置関連情報PDを送信する情報送受信方法であって、
小型端末20から無線通信によって発信されかつ小型端末20を特定する個別ID及び小型端末20が無線通信のアクセスポイントであることを示すデータを含むデータフレームを無線通信を介して受信するデータフレーム取得ステップと、データフレームを受信した際に当該データフレームに含まれる個別ID、データフレームを受信した際の取得時間AT、データフレームの搬送波の受信電界レベルRL及び自身の位置を示す取得位置APを含む端末位置関連情報PDを生成する端末位置関連情報生成ステップと、端末位置関連情報PDをネットワークNWを通じて送信する端末位置関連情報送信ステップと、を有する。
【0061】
図7は、本願の実施例に係るサーバ40の構成を示す図である。
【0062】
サーバ40は、周囲端末30が送信した端末位置関連情報PDを取得する位置関連情報取得部41と、端末位置関連情報PDに基づいて小型端末20の位置を特定する位置特定部43と、端末位置関連情報PDと位置特定部43が特定した小型端末20の位置を時系列順に保存する記憶部45と、端末位置関連情報PDに含まれる情報が適正な情報であるかを判定する情報判定部47と、端末位置関連情報PDに含まれる小型端末20の緊急フラグSFが緊急事態を示す場合に関係機関に緊急連絡を行う緊急連絡部49と、を有する。
【0063】
位置関連情報取得部41は、ネットワークNWを介して周囲端末30が送信した端末位置関連情報PDを取得して位置特定部43、記憶部45、情報判定部47及び緊急連絡部49に供給する。
【0064】
位置特定部43は、位置関連情報取得部41から供給された端末位置関連情報PDに基づいて小型端末20の位置を特定する。具体的には、1の小型端末20に対して1の周囲端末30が送信した端末位置関連情報PDを取得した場合、端末位置関連情報PDに含まれる小型端末20のSSIDの個別IDから小型端末20の保有者Hを特定し且つ、端末位置関連情報PDに含まれる1の周囲端末30のデータフレームの取得時間AT、取得位置AP及びデータフレームの受信電界レベルRLに基づいて、周囲端末30のデータフレームの取得位置APからデータフレームの受信電界レベルRLに対応した半径距離に小型端末20があると特定する。また、1の小型端末20に対して所定の時間幅内で複数の周囲端末30が送信した端末位置関連情報PDを取得した場合、複数の端末位置関連情報PDに含まれる複数の周囲端末のデータフレームの取得時間AT、取得位置AP及びデータフレームの受信電界レベルRLに基づいて、複数の周囲端末30のデータフレームの取得位置APの各々から複数のデータフレームの受信電界レベルRLの各々に対応した半径距離の範囲が重なり合う地点に小型端末20があると特定した位置特定情報を生成する。位置特定部43は、当該位置特定情報を記憶部45に供給する。
【0065】
記憶部45は、位置関連情報取得部41から供給された端末位置関連情報PD及び位置特定部が特定した位置特定情報を時系列順に保存する。
【0066】
換言すれば、サーバ40は、小型端末20から無線通信を介してブロードキャストされ、小型端末20の保有者Hを特定する個別ID及び小型端末20が無線通信のアクセスポイントであることを示すSSIDを含むデータフレーム、無線通信を介してデータフレームが周囲端末30に受信された時刻である取得時間AT及び受信された位置である取得位置APを含む端末位置関連情報PDを取得する位置関連情報取得部41と、端末位置関連情報PDに含まれる取得時間AT及び取得位置APに基づいて小型端末20の位置を特定する位置特定部43と、を有する。
【0067】
情報判定部47は、端末位置関連情報PDに含まれる情報が適正な情報であるかを判定する。具体的には、情報判定部47は、端末位置関連情報PDに含まれる小型端末20の個別IDとMACアドレスに対して、予め記憶部45に記憶されている位置特定システム10に利用登録されている小型端末20の個別IDとMACアドレスが紐付けされている登録情報とを比較する。この時、情報判定部47は、記憶部45から登録情報を取得する登録情報取得部として機能する。
【0068】
情報判定部47は、端末位置関連情報PDに含まれる小型端末20の個別IDとMACアドレス及び登録情報の登録個別IDと登録MACアドレスに食い違いがあった場合、特に、端末位置関連情報PDに含まれる情報が登録個別IDに対して登録MACアドレスとは異なるMACアドレスを有していると検出された場合に、当該登録情報と異なるMACアドレスを含むデータフレームをブロードキャストした小型端末20をなりすまし端末として判定する。情報判定部47は、当該なりすまし端末をブラックリストとして記憶部45に登録して記憶部45から当該なりすまし端末の端末位置関連情報PD及び位置特定部43が特定した位置特定情報を削除する。また、情報判定部47は、位置特定部43に対して、以降に取得する端末位置関連情報PDに当該なりすまし端末のMACアドレスが含まれていた場合、当該なりすまし端末の位置の特定を無視するように指令してもよい。
【0069】
換言すれば、サーバ40は、端末位置関連情報PDに含まれる情報が適正な情報であるかを判定する適正判定を行う情報判定部47を有し、情報判定部47が端末位置関連情報PDが適正な情報でないと判定した場合には、位置特定部43は、当該判定がなされた端末位置関連情報PDの送信元から送信される端末位置関連情報PDの取扱態様を変更する。
【0070】
また、サーバ40は、予め記録された登録個別IDと登録MACアドレスを含む登録情報を取得する情報判定部47を有し、端末位置関連情報PDは、小型端末20のMACアドレスを含み、端末位置関連情報PDが登録個別IDと同一の個別IDを含む端末位置関連情報PDを受信した場合、情報判定部47は、適正判定において、当該端末位置関連情報PDに含まれるMACアドレスが登録MACアドレスと異なる場合に端末位置関連情報PDが適正な情報でないと判定する。
【0071】
また、情報判定部47は、所定の時間幅内で取得した複数の端末位置関連情報PDに基づいてそれぞれ特定した位置特定情報に対して、小型端末20のデータフレームをブロードキャストする通信範囲外の位置が検出された場合には、複数の端末位置関連情報PDの各々を送信した複数の周囲端末30に対して登録された住所の確認を促す。
【0072】
緊急連絡部49は、端末位置関連情報PDに含まれる小型端末20の緊急フラグSFのデータから、小型端末20が緊急事態であるかを判定する。情報判定部47は、小型端末20が緊急事態であると判定した場合、保有者Hが在席している学校SC、最寄りの警察署PS及び保護者端末並びに保護者緊急連絡先等に緊急連絡を行う。
【0073】
図8は、本願の実施例に係るサーバ40の位置特定部43が小型端末20の位置を特定する様子を例示した図である。
【0074】
本実施例においては、1の小型端末20において、当該1の小型端末20がブロードキャストしたデータフレームを住居NHの周囲端末30Aが受信電界レベル65%で受信し、店舗NSの周囲端末30Bが受信電界レベル85%で受信し、歩行者Pのスマートフォンである周囲端末30Cが受信電界レベル40%で受信した場合について説明する。
【0075】
周囲端末30Aは、小型端末20がブロードキャストするデータフレームを受信電界レベル65%で受信した。この時、サーバ40の位置特定部43は、周囲端末30Aのある住居NHから受信電界レベル65%に対応する半径DAの範囲RA内に小型端末20があると判定する。
【0076】
また、周囲端末30Bは、小型端末20がブロードキャストするデータフレームを受信電界レベル85%で受信した。この時、サーバ40の位置特定部43は、周囲端末30Bのある店舗NSから受信電界レベル85%に対応する半径DBの範囲RB内に小型端末20があると判定する。
【0077】
また、周囲端末30Cは、小型端末20がブロードキャストするデータフレームを受信電界レベル40%で受信した。この時、サーバ40の位置特定部43は、周囲端末30Cを所持する歩行者Pから受信電界レベル40%に対応する半径DCの範囲RC内に小型端末20があると判定する。
【0078】
位置特定部43は、上記の3の位置が特定された範囲RA、RB及びRCから、それぞれの範囲が重なり合う図中斜線の範囲OPに小型端末20及びその保有者Hが位置すると判定し、範囲OPを位置特定情報として生成する。
【0079】
換言すれば、位置関連情報取得部41は、互いに異なる複数の周囲端末30から受信された複数の端末位置関連情報PDを取得し、位置特定部43は、複数の端末位置関連情報PDに含まれる取得時間AT、取得位置AP、受信電界レベルRLに基づいて小型端末20の位置を特定する。
【0080】
図9は、本願の実施例に係る情報判定部47が端末位置関連情報PDに含まれる周囲端末30の取得位置APの情報が適正であるかを判断する様子を例示した図である。
【0081】
本実施例においては、小型端末20がブロードキャストしたデータフレームを住居NH1及びNH2に設置されている周囲端末30D及び30Eが受信した場合について説明する。また、この時、周囲端末30D及び30Eにおいてはデスクトップ型のPCであり所持者自身が取得位置APを設定する場合について説明する。
【0082】
まず、住居NH2に設置される周囲端末30Eが設定している住所が番地違い等の比較的近距離である周囲端末30E1の位置に誤入力されていた場合について説明する。
【0083】
小型端末20がデータフレームをブロードキャストして周囲端末30D及び30Eがそれを受信し、それぞれが端末位置関連情報PDをネットワークNWを介してサーバ40に送信した。周囲端末30Dが送信する端末位置関連情報PDには正しい住所を示す取得位置APDが含まれる。しかし、周囲端末30Eが送信する端末位置関連情報PDには誤った住所である周囲端末30E1を示す取得位置APE1が含まれる。
【0084】
情報判定部47は、周囲端末30D及び30Eの各々から送信された端末位置関連情報PDに含まれる受信位置から周囲端末がそれぞれ30D及び30E1の位置にあると判定する。情報判定部47は、周囲端末30Dと30E1との2点間の距離を算出し、当該距離が所定の距離、例えば、小型端末20がブロードキャストする通信範囲の直径距離以下であれば小型端末20の位置に大きな変化がないと判定し、取得位置APD及びAPE1を含む端末位置関連情報PDの各々と、当該端末位置関連情報PDに基づいて生成した位置特定情報をそのまま記憶部45に記録させる。
【0085】
次に、住居NH2に設置されている周囲端末30Eが設定している住所が大きくかけ離れた遠距離である周囲端末30E2の位置に誤入力されていた場合について説明する。
【0086】
情報判定部47は、周囲端末30D及び30Eの各々から送信された端末位置関連情報PDに含まれる受信位置から周囲端末がそれぞれ30D及び30E2の位置にあると判定する。情報判定部47は、周囲端末30Dと30E2との2点間の距離を算出し、当該距離が所定の距離、例えば、小型端末20がブロードキャストする通信範囲の直径距離以上であれば周囲端末30D及び30Eの取得位置APD又はAPE2のいずれかに誤りがあると判定する。この場合、情報判定部47は、周囲端末30D及び30Eに対して登録されている住所が適正か確認を促す連絡を行う。
【0087】
尚、周囲端末30に登録されている住所に誤りがあると判定する所定の距離は、任意に設定可能である。本実施例においては、小型端末20がブロードキャストする通信範囲の直径距離を判定閾値としたが、複数の周囲端末30から取得したデータフレームの受信電界レベルから予測される小型端末20の位置に重なりがあるか否かを検出して判定してもよい。
【0088】
換言すれば、サーバ40は、位置関連情報取得部41が取得時間ATの時間差が所定時間以内の複数の端末位置関連情報PDを取得した際に、情報判定部47は、適正判定において、複数の端末位置関連情報PDに含まれる取得位置APによって示される位置が所定距離以上離れている場合には、複数の端末位置関連情報PDのうちの少なくとも1の端末位置関連情報PDを適正な情報でないと判定する。
【0089】
また、情報判定部47は、適正な情報でないと判定された端末位置関連情報PDの送信元に取得位置APの修正を求める修正指示を送信する。
【0090】
図10は、本願の実施例に係る情報判定部47が複数の端末種から送信された端末位置関連情報PDに含まれる情報が適正であるかを判断する様子を例示した図である。
【0091】
図9と同様に、小型端末20がブロードキャストしたデータフレームを住居NH1及びNH2に設置されている周囲端末30D及び30Eが受信し且つ、周囲端末30Eが設定している住所が大きくかけ離れた遠距離である周囲端末30E2の位置に誤入力されていた場合について説明する。加えて、歩行者PがGPS機能を有するスマートフォンである周囲端末30Fを所持しており且つ、周囲端末30FがGPS機能から自動で取得した取得位置APF含む端末位置関連情報PDを送信している場合について説明する。
【0092】
サーバ40は、ネットワークNWを介して正しい住所を示す取得位置APD、誤った住所を示す取得位置APE2及びGPS機能で自動取得された取得位置APFを含む3の端末位置関連情報PDを取得する。
【0093】
図9の説明と同様に、情報判定部47は、周囲端末30D、30E2又は30Fの取得位置APD、APE2又はAPFのいずれかに誤りがあると判定する。
【0094】
この時、情報判定部47は、周囲端末30D、30E2及び30Fの3の取得位置APD、APE2又はAPFから唯一遠距離に位置している取得位置APE2の位置に誤りがあると判定し、周囲端末30Eに対して登録されている住所が適正か確認を促す連絡を行う。
【0095】
また、情報判定部47は、周囲端末30D、30E2又は30Fが送信した端末位置関連情報PDの各々に含まれる端末種別TTを参照し、GPS機能と連動して自動で位置情報を取得した周囲端末30Fの取得位置APFの情報が最も信頼度が高いと判定して周囲端末30D及び30Eに対して登録されている住所が適正か確認を促す連絡を行ってもよい。
【0096】
また、情報判定部47は、GPS機能と連動して自動で位置情報を取得した周囲端末30Fの取得位置APFの情報が最も信頼度が高いと判定し、GPS機能を有さない周囲端末30D及び30Eの端末位置関連情報PDを除外してもよい。
【0097】
図11は、本願の実施例に係るサーバ40が端末位置関連情報PDを受信してから位置特定情報を生成して保存するまでの位置特定情報生成フローRT2である。位置特定情報生成フローRT2は、サーバ40が稼働している間は繰り返し実行される。
【0098】
まず、位置関連情報取得部41は、ステップS201において周囲端末30から端末位置関連情報PDを受信可能なような待機状態となる(ステップS201)。
【0099】
次に、位置関連情報取得部41は、周囲端末30から端末位置関連情報PDを受信したかを判定する(ステップS202)。
【0100】
ステップS202において、周囲端末30から端末位置関連情報PDを受信したと判定されない場合(ステップS202:No)、位置関連情報取得部41は、ステップS201の処理に戻り、ステップS201及びステップS202が繰り返し実行される。
【0101】
また、ステップS202において、周囲端末30から端末位置関連情報PDを受信したと判定された場合(ステップS202:Yes)、位置関連情報取得部41は、受信した端末位置関連情報PDを位置特定部43、記憶部45、情報判定部47及び緊急連絡部49に供給する。また、位置特定部43は、供給された端末位置関連情報PDに含まれる小型端末20のSSIDの個別IDから小型端末20の保有者Hを特定し且つ、端末位置関連情報PDに含まれる周囲端末30のデータフレームの取得時間AT、取得位置AP及びデータフレームの受信電界レベルRLに基づいて、小型端末20の位置を特定して位置特定情報を生成する(ステップS203)。
【0102】
次いで、情報判定部47は、端末位置関連情報PDに含まれる小型端末20の個別IDとMACアドレスを抽出し、記憶部45に記録されている登録データから当該個別IDに対応するMACアドレスを読み出し、端末位置関連情報PDに含まれる小型端末20の個別IDとMACアドレスの対応が登録データと合致しているかを判定する(ステップS204)。
【0103】
ステップS204において、端末位置関連情報PDに含まれる小型端末20の個別IDとMACアドレスの対応が登録データと合致していると判定されない場合(ステップS204:No)、情報判定部47は、端末位置関連情報PDに含まれるMACアドレスの小型端末20をなりすまし端末と判定し、当該MACアドレスの端末位置関連情報PD及びステップS203で生成した位置特定情報を記憶部45から削除する(ステップS205)。
【0104】
次いで、情報判定部47は、当該MACアドレスをブラックリストとして記憶部45に記録する(ステップS206)。また、情報判定部47は、位置特定部43に対して、以降に取得する端末位置関連情報PDに当該なりすまし端末のMACアドレスが含まれていた場合、当該なりすまし端末の位置の特定を無視するように指令してもよい。
【0105】
また、ステップS204において、端末位置関連情報PDに含まれる小型端末20の個別IDとMACアドレスの対応が登録データと合致していると判定された場合(ステップS204:Yes)、情報判定部47は、所定の時間幅内で取得した複数の端末位置関連情報PDに基づいてそれぞれ特定した位置特定情報に対して、当該複数の端末位置関連情報PDの各々を送信した複数の周囲端末30の取得位置APが正しいかを判定する(ステップS207)。
【0106】
ステップS207において、複数の端末位置関連情報PDの各々を送信した複数の周囲端末30の取得位置APが正しいと判定された場合(ステップS207:Yes)、情報判定部47は、受信した端末位置関連情報PD及びステップS203で生成した位置特定情報を記憶部45に記録する(ステップS208)。
【0107】
また、ステップS207において、複数の端末位置関連情報PDの各々を送信した複数の周囲端末30の取得位置APが正しいと判定されない場合(ステップS207:No)、情報判定部47は、複数の端末位置関連情報PDにGPS機能によって取得された取得位置APの情報が含まれているかを判定する(ステップS209)。
【0108】
ステップS209において、複数の端末位置関連情報PDにGPS機能によって取得された取得位置APの情報が含まれていると判定されない場合(ステップS209:No)、情報判定部47は、受信した複数の端末位置関連情報PD及びステップS203で生成した位置特定情報を破棄する(ステップS210)。
【0109】
次いで、情報判定部47は、当該複数の端末位置関連情報PDを送信した各々の周囲端末30に対して、周囲端末30の各々に設定されている取得位置APの情報が誤っている場合補正をするよう要求する連絡を行う(ステップS211)。
【0110】
また、ステップS209において、複数の端末位置関連情報PDにGPS機能によって取得された取得位置APの情報が含まれていると判定された場合(ステップS209:Yes)、情報判定部47は、GPS機能によって取得された取得位置APの情報が最も信頼度が高いと判断し、GPS機能によって取得された端末位置関連情報PD及びステップS203で生成した位置特定情報以外の当該情報を破棄する(ステップS212)。
【0111】
次いで、情報判定部47は、複数の端末位置関連情報PDを送信した各々の周囲端末30のうちGPS機能を有さない周囲端末に対して、周囲端末30の各々に設定されている取得位置APの情報が誤っている場合補正をするよう要求する連絡を行う(ステップS213)。
【0112】
次いで、情報判定部47は、ステップS212で破棄しなかった端末位置関連情報PD及びステップS203で生成した位置特定情報を記憶部45に記録する(ステップS208)。
【0113】
上記処理により、サーバ40は、周囲端末30から受信した端末位置関連情報PDから適正な情報のみを選定し正確な位置特定情報のみを生成及び保存することが可能となる。
【0114】
換言すれば、位置特定システム10のサーバ40の位置特定方法は、小型端末20の位置を特定する位置特定方法であって、小型端末20から無線通信を介してブロードキャストされ、小型端末20の保有者Hを特定する個別ID及び小型端末20が無線通信のアクセスポイントであることを示すデータを含むデータフレーム、無線通信を介してデータフレームが周囲端末30に受信された時刻である取得時間AT及び受信された位置である取得位置APを含む端末位置関連情報PDを取得する取得ステップと、端末位置関連情報PDに含まれる取得時間AT及び取得位置APに基づいて小型端末20の位置を特定する位置特定ステップと、を有する。
【0115】
本実施例によれば、小型端末20が無線LANのアクセスポイントとしての機能を有し、SSIDを含むデータフレームをブロードキャストすることにより、アクセスポイントにアクセスする機能を有する周囲端末が当該SSIDを含んだ端末位置関連情報をネットワークNWを介してサーバに送信することで小型端末20及びその保有者Hの位置を特定することが可能となる。すなわち、本実施例によれば、新たにWi-Fi又はBLEのアクセスポイントのインフラの整備も必要としない位置特定システムを構築することが可能となる。
【0116】
本実施例においては、小型端末20がIEEE802.11通信規格に準拠したデータフレームをブロードキャストする場合について説明したが、小型端末20がブロードキャストする通信規格はこれに限定されない。位置特定システムを利用することを示すサービスID、小型端末の保有者を特定する個別ID及び緊急事態を示す緊急フラグを含む情報を内包したデータフレームが周囲端末に受信可能な態様の通信規格であればよい。
【0117】
また、本実施例においては、周囲端末30及びサーバ40がインターネット接続網に接続されている場合を例に説明をしたが、局地的な位置特定サービスを提供する場合、周囲端末30及びサーバ40はWANやLAN等の閉じたネットワークのみに接続されていてもよい。
【0118】
本実施例の変形例として、小型端末20は、例えば、IEEE802.11通信規格に準拠したデータフレームをブロードキャストするだけでなく、当該通信規格に準拠した無線通信の受信機能を備えていてもよい。
【0119】
これにより、小型端末20の通信ソフトウェアの更新等のデータを受信することが可能となる。また、ネットワークNWを介してサーバ40から小型端末20のMACアドレスと関連づいた登録個別IDの更新データを受信し、小型端末20が生成するSSIDの更新を行うことが可能となる。
【0120】
具体的には、サーバ40は、登録情報に含まれる小型端末20のMACアドレスと関連づいた個別IDを定期的に更新する。登録個別IDが更新されたことを示す更新フラグを、例えば、登録情報に登録されている自宅HMの保護者端末50に送信する。
【0121】
小型端末20が自宅HMに戻り、保護者端末50が小型端末20のデータフレームを受信したことを確認すると、保護者端末50は更新フラグを小型端末20に送信する。
【0122】
小型端末20は、保護者端末50からの更新フラグを受信したことをトリガとしてサーバ40に接続し、更新された登録個別IDをダウンロードすることで自身の個別ID情報を更新し、生成するSSIDの更新を行う。
【0123】
これにより、小型端末20及びサーバ40に登録されている個別IDが定期的に更新されることで、保有者Hの個人の特定をより確実に避けることが可能となる。
【0124】
また、個別IDを更新するさらに別に態様としては、小型端末20が自宅HMの無線通信中継機器に接続した又はネットワークNWと有線通信で接続されたこと等をトリガとして、小型端末20からサーバ40に向けて個別IDの更新を要求する更新リクエストを送信するようにしてもよい。