(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024161236
(43)【公開日】2024-11-15
(54)【発明の名称】医用支援システム及び医用支援プログラム
(51)【国際特許分類】
G16H 10/60 20180101AFI20241108BHJP
G16H 40/60 20180101ALI20241108BHJP
【FI】
G16H10/60
G16H40/60
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024153061
(22)【出願日】2024-09-05
(62)【分割の表示】P 2020063337の分割
【原出願日】2020-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】キヤノンメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】弁理士法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】大石 悟
(57)【要約】
【課題】患者の取り違えを防止すること。
【解決手段】実施形態に係る医用支援システムは、取得部と、認証部と、確認部と、制御部とを備える。取得部は、検査又は治療の対象となる患者の患者情報を取得する。認証部は、患者情報と認証情報とを照合することで、患者の認証処理を行う。確認部は、認証部によって認証された患者と、検査予定又は治療予定の対象者とが一致するか否かを確認する。制御部は、確認部による確認結果に基づいて、認証された患者情報を元に検査装置又は治療装置を制御する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射線治療の対象となる患者の顔画像を含む認証情報と、前記放射線治療が実行される際に用いられるべき固定具に関する情報と、を記憶する記憶部と、
カメラで撮影された患者の顔画像を含む患者情報を取得する取得部と、
前記記憶部に記憶されている複数の認証情報の中から、前記取得部によって取得された顔画像に対応する顔画像を含む認証情報を特定する特定部と、
前記特定部によって特定された認証情報に対応する患者の顔画像及び氏名を表示部に表示させる制御部と、
前記記憶部に記憶されている固定具に関する情報に基づいて、実行されるべき前記放射線治療において用いられる固定具の照合を行う照合部と、
を備えることを特徴とする医用支援システム。
【請求項2】
前記記憶部に記憶されている固定具に関する情報は、前記記憶部に記憶されている認証情報と関連付けられており、
前記照合部は、前記特定部によって特定された認証情報に関連付けられ且つ前記記憶部に記憶されている固定具に関する情報に基づいて、前記実行されるべき前記放射線治療において用いられる固定具の照合を行う、
ことを特徴とする請求項1に記載の医用支援システム。
【請求項3】
前記照合部は、前記記憶部に記憶されている固定具に関する情報に基づいて、前記実行されるべき前記放射線治療において用いられる固定具としての準備された固定具の照合を行う、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の医用支援システム。
【請求項4】
前記制御部は、前記記憶部に記憶されている固定具に関する情報と、前記実行されるべき前記放射線治療において用いられる固定具に関する情報と、が一致した場合は、放射線治療装置に前記放射線治療を実行させる、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の医用支援システム。
【請求項5】
前記制御部は、前記記憶部に記憶されている固定具に関する情報と、前記実行されるべき前記放射線治療において用いられる固定具に関する情報と、が一致しない場合は、前記表示部に警告を表示する、
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の医用支援システム。
【請求項6】
前記制御部は、前記照合部の照合結果を前記表示部に表示させる、
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の医用支援システム。
【請求項7】
前記取得部は、携帯端末に設けられた前記カメラで撮影された患者の顔画像を含む患者情報を前記携帯端末から取得し、
前記携帯端末の表示部には、当該携帯端末が前記取得部に送信した患者情報が表示される、
ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の医用支援システム。
【請求項8】
前記取得部は、携帯端末に設けられた前記カメラで撮影された患者の顔画像を含む患者情報を前記携帯端末から取得し、
前記携帯端末の表示部には、前記特定部による特定結果が表示される、
ことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の医用支援システム。
【請求項9】
前記取得部は、携帯端末に設けられた前記カメラで撮影された患者の顔画像を含む患者情報を前記携帯端末から取得し、
前記携帯端末の表示部には、前記照合部による照合結果が表示される、
ことを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載の医用支援システム。
【請求項10】
カメラで撮影された患者の顔画像を含む患者情報を取得する取得機能と、
放射線治療の対象となる患者の顔画像を含む認証情報と、前記放射線治療が実行される際に用いられるべき固定具に関する情報と、を記憶する記憶部に記憶されている複数の認証情報の中から、前記取得機能によって取得された顔画像に対応する顔画像を含む認証情報を特定する特定機能と、
前記特定機能によって特定された認証情報に対応する患者の顔画像及び氏名を表示部に表示させる制御機能と、
前記記憶部に記憶されている固定具に関する情報に基づいて、実行されるべき前記放射線治療において用いられる固定具の照合を行う照合機能と、
をコンピュータに実行させる、医用支援プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書及び図面に開示の実施形態は、医用支援システム及び医用支援プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、検査や治療は、予め設けられた計画に沿って行われる。例えば、血管内治療やX線血管造影検査を行う場合、メディカルスタッフが、計画されたスケジュールを元に検査装置や治療装置に登録された検査・治療の患者を選択し、対象領域やプロトコルなどを選択した上で検査・治療を開始する。ここで、上記した患者は、検査を受ける被検体及び治療を受ける被治療体を含む。
【0003】
また、例えば、放射線治療を行う場合、メディカルスタッフは、計画されたスケジュールを元に、治療情報システムから治療予定の患者に対する一連の治療情報を呼び出し、さらにその中から最初に行うべき特定の方向からの治療計画を呼び出して、治療装置に送信する。その後、メディカルスタッフは、待合室に行き、患者を口頭で確認した上で、治療室までエスコートする。そして、メディカルスタッフは、治療寝台に患者を載せて治療を開始する。治療が終了すると、メディカルスタッフは、次の方向からの治療計画を呼び出して、治療装置に送信する。メディカルスタッフは、これを全ての方向からの治療が完了するまで続ける。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本明細書及び図面に開示の実施形態が解決しようとする課題の一つは、患者の取り違えを防止することである。ただし、本明細書及び図面に開示の実施形態により解決しようとする課題は上記課題に限られない。後述する実施形態に示す各構成による各効果に対応する課題を他の課題として位置づけることもできる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態に係る医用支援システムは、取得部と、認証部と、確認部と、制御部とを備える。取得部は、検査又は治療の対象となる患者の患者情報を取得する。認証部は、前記患者情報と認証情報とを照合することで、患者の認証処理を行う。確認部は、前記認証部によって認証された患者と、検査予定又は治療予定の対象者とが一致するか否かを確認する。制御部は、前記確認部による確認結果に基づいて、前記認証された患者情報を元に検査装置又は治療装置を制御する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、第1の実施形態に係る医用支援システムの構成の一例を示す図である。
【
図2】
図2は、第1の実施形態に係る医用情報処理装置及び端末装置の構成の一例を示す図である。
【
図3】
図3は、第1の実施形態に係る医用支援システムによる処理手順を示すフローチャートである。
【
図4】
図4は、変形例に係る医用支援システムによる処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に添付図面を参照して、本願に係る医用支援システム及び医用支援プログラムの実施形態を詳細に説明する。なお、本願に係る医用支援システム及び医用支援プログラムは、以下に示す実施形態によって限定されるものではない。また、実施形態は、処理内容に矛盾が生じない範囲で他の実施形態や従来技術との組み合わせが可能である。
【0009】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る医用支援システム100の構成の一例を示す図である。
図1に示すように、第1の実施形態に係る医用支援システム100は、検査装置110と、治療装置120と、端末装置130と、医用情報処理装置140とを含み、ネットワーク200を介して相互に通信可能に接続される。また、医用支援システム100は、ネットワーク200を介して部門システム300に接続される。例えば、医用支援システム100は、病院内に設置された院内LAN(Local Area Network)により構築される。
【0010】
部門システム300は、病院情報システム(HIS:Hospital Information System)、放射線情報システム(RIS:Radiology Information System)、診断レポートシステム、医用画像処理システム(PACS:Picture Archiving and Communication System)、臨床検査情報システム(LIS:Laboratory Information System)、リハビリ部門システム、透析部門システム、手術部門システムなどの種々のシステムが含まれる。医用支援システム100は、これらの各部門システムとそれぞれ接続され、種々の情報を相互に送受信する。例えば、医用支援システム100は、患者情報や、検査情報、治療情報などについて、各部門システムと相互に送受信する。
【0011】
検査装置110は、被検体に対する検査を行う種々の装置である。例えば、検査装置110は、X線検査装置、X線造影検査装置(X線血管内治療装置とも呼ばれる)、X線CT(Computed Tomography)装置、MRI(Magnetic Resonance Imaging)装置、超音波検査装置、内視鏡検査装置、SPECT(Single Photon Emission Computed Tomography)装置、PET(Positron Emission computed Tomography)装置等である。本実施形態に係る検査装置110は、医用情報処理装置140の制御によって、検査開始が制御される。なお、検査開始の制御については、後に詳述する。
【0012】
治療装置120は、被治療体に対する治療を行う種々の装置である。例えば、治療装置120は、X線血管内治療装置、放射線治療装置等である。本実施形態に係る治療装置120は、医用情報処理装置140の制御によって、治療開始が制御される。なお、治療開始の制御については、後に詳述する。
【0013】
端末装置130は、病院内に勤務する医師や検査技師などのメディカルスタッフによって各種情報の入力や、閲覧などが行われる装置である。例えば、端末装置130は、メディカルスタッフにより操作されるパーソナルコンピュータ(PC:Personal Computer)やタブレット式PC、PDA(Personal Digital Assistant)、携帯電話等によって実現される。例えば、端末装置130は、患者情報を自装置のディスプレイに表示させる。また、例えば、端末装置130は、患者の認証処理を実行する。なお、端末装置130による処理については、後に詳述する。
【0014】
医用情報処理装置140は、医用支援システム100における各装置から種々の情報を取得して、取得した情報を用いて各種の情報処理を行う。例えば、医用情報処理装置140は、サーバやワークステーション、パーソナルコンピュータ等のコンピュータ機器によって実現される。
【0015】
ここで、本実施形態に係る医用支援システム100は、検査及び治療における患者取り違えを防止する。具体的には、医用支援システム100は、患者から取得した患者情報に基づいて患者を認証し、検査スケジュール又は治療スケジュールに合致した患者であるか否かを確認することで、検査及び治療における患者取り違えを防止する。なお、本実施形態における患者は、検査を受ける被検体及び治療を受ける被治療体を含む。
【0016】
上述したように、検査や治療を行う場合、通常、メディカルスタッフは、口頭で患者を確認して、検査室や治療室にエスコートする。このとき、この患者確認において、聞き間違いや勘違いなどの間違いが発生すると、或いは、患者確認自体を怠り、間違いが発生すると、再度正しい患者を呼ぶための時間を要することとなり、無駄な時間が費やされることとなる。また、検査あるいは治療開始前に間違いに気づかない場合、間違った検査や治療が実施されてしまうおそれがある。
【0017】
そこで、本実施形態では、検査室や治療室にエスコートする際に、またはエスコート中、あるいはエスコート後、患者から生体情報(以下、患者生体情報とも記載する)を取得して、生体情報による患者認証を行い、検査スケジュール又は治療スケジュールに合致した患者であるか否かを確認することで、検査及び治療における患者取り違えを防止する。なお、本実施形態では、上記した各処理が医用情報処理装置140及び端末装置130によって実行される場合を一例に挙げて説明するが、実施形態はこれに限定されるものではなく、医用支援システム100におけるいずれの装置において実行される場合でもよい。
【0018】
図2は、第1の実施形態に係る医用情報処理装置140及び端末装置130の構成の一例を示す図である。
図2に示すように、端末装置130は、通信インターフェース131と、入力インターフェース132と、ディスプレイ133と、記憶回路134と、処理回路135とを有する。
【0019】
通信インターフェース131は、処理回路135に接続され、ネットワーク200を介して接続された医用情報処理装置140との間で行われる各種データの伝送及び通信を制御する。例えば、通信インターフェース131は、ネットワークカードやネットワークアダプタ、NIC(Network Interface Controller)等によって実現される。
【0020】
入力インターフェース132は、処理回路135に接続され、操作者(医療従事者)から受け付けた入力操作を電気信号に変換して処理回路135に出力する。具体的には、入力インターフェース132は、操作者から受け付けた入力操作を電気信号へ変換して処理回路135に出力する。例えば、入力インターフェース132は、トラックボール、スイッチボタン、マウス、キーボード、操作面へ触れることで入力操作を行うタッチパッド、表示画面とタッチパッドとが一体化されたタッチスクリーン、光学センサを用いた非接触入力回路、及び音声入力回路等によって実現される。なお、本明細書において、入力インターフェース132は、マウス、キーボード等の物理的な操作部品を備えるものだけに限られない。例えば、装置とは別体に設けられた外部の入力機器から入力操作に対応する電気信号を受け取り、この電気信号を制御回路へ出力する電気信号の処理回路も入力インターフェース132の例に含まれる。
【0021】
なお、本実施形態では、入力インターフェース132は、患者情報を取得することができる。例えば、入力インターフェース132は、通信インターフェース131を介して、医用情報処理装置140あるいは部門システム300から患者情報を取得したりすることができる。また、本実施形態では、入力インターフェース132は、患者生体情報を取得することができる。例えば、入力インターフェース132は、タッチパッドやタッチスクリーンにより患者の指紋をスキャンすることで患者の指紋情報を取得したり、音声入力回路により患者の音声入力を受け付けることで声紋情報を取得したりすることができる。取得された患者生体情報は、通信インターフェース131を介して医用情報処理装置140に送信され、医用情報処理装置140で認証を行った後、スケジュール情報を確認し、確認結果が通信インターフェース131を介して端末装置130に返される。
【0022】
ディスプレイ133は、処理回路135に接続され、処理回路135から出力される各種情報及び各種画像データを表示する。例えば、ディスプレイ133は、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、プラズマディスプレイ、タッチパネル等によって実現される。本実施形態では、例えば、ディスプレイ133は、患者情報や、患者の確認結果などを表示する。
【0023】
記憶回路134は、処理回路135に接続され、各種データを記憶する。例えば、記憶回路134は、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子や、ハードディスク、光ディスク等によって実現される。一例を挙げると、記憶回路134は、患者情報や、患者の確認結果などを記憶する。
【0024】
処理回路135は、入力インターフェース132を介して操作者から受け付けた入力操作に応じて、端末装置130が有する各構成要素を制御する。例えば、処理回路135は、プロセッサによって実現される。本実施形態では、例えば、処理回路135は、入力インターフェース132を介して受け付けた患者情報を記憶回路134に格納するとともに、通信インターフェース131を介して、医用情報処理装置140に送信する。また、処理回路135は、通信インターフェース131を介して医用情報処理装置140から受信した患者の確認結果を記憶回路134に格納するとともに、ディスプレイ133に表示させる。
【0025】
ここで、端末装置130は、カメラを備えることも可能であり、カメラによって撮影した患者の写真を患者情報として取得することができる。かかる場合には、処理回路135は、入力インターフェース132に対する入力操作に応じてカメラで撮影された患者の写真を記憶回路134に格納するとともに、医用情報処理装置140に送信する。
【0026】
端末装置130は、病院内の種々の診療科、部門に配置され、医師や看護師、コメディカル、事務職員などのメディカルスタッフによって操作される。メディカルスタッフは、検査及び治療の実施に際し、端末装置130により各患者の患者情報を取得する。端末装置130は、取得した患者生体情報を医用情報処理装置140に送信し、医用情報処理装置140から受信した確認結果を表示する。
【0027】
例えば、端末装置130は、メディカルスタッフが携帯するタブレット端末であり、待合室に患者を迎えに行った際、或いは、患者が検査室又は治療室に入室した際に、患者確認のために操作され、患者生体情報を取得する。一例を挙げると、端末装置130は、タッチスクリーンやタッチモニタなどによって患者の指紋情報を取得する。また、端末装置130は、音声入力回路などにより患者の音声を取得し、声紋情報を取得する。また、端末装置130は、カメラによって患者の顔写真を取得する。なお、患者生体情報は、単一に限らず、複数の情報が取得される場合でもよい。
【0028】
そして、端末装置130は、取得した患者生体情報を医用情報処理装置140に送信する。医用情報処理装置140は、端末装置130から受信した患者生体情報を用いて患者の認証を行い、認証結果とスケジュール情報を比較して、スケジュール確認結果を端末装置130に送信する。なお、医用情報処理装置140による認証処理、スケジュール確認処理については、後に詳述する。
【0029】
例えば、端末装置130は、送信した患者情報に対応する患者の氏名、顔写真などをディスプレイ133に表示させる。メディカルスタッフは、ディスプレイ133に表示された患者情報を参照して、次に検査室あるいは治療室にエスコートすべき患者を確認する。さらに、端末装置130は、医用情報処理装置140から受信したスケジュール確認結果をディスプレイ133に表示させる。
【0030】
なお、本実施形態では、患者の認証処理及びスケジュール確認処理を医用情報処理装置140が行う場合について説明するが、実施形態はこれに限定されるものではなく、端末装置130によって患者の認証処理及びスケジュール確認処理を行う場合でもよい。かかる場合には、後述する患者の認証処理及びスケジュール確認処理が、端末装置130の処理回路135によって実行される。また、かかる場合には、端末装置130は、患者認証情報及びスケジュールを予め医用情報処理装置140から入手しておく必要がある。この場合、医用情報処理装置140上のスケジュールの変更に同期して、端末装置130上のスケジュールを変更する必要がある。
【0031】
医用情報処理装置140は、検査装置110、治療装置120、端末装置130から各種の情報を取得し、取得した情報を用いて各種の情報処理を行う。また、医用情報処理装置140は、処理結果を端末装置130に送信したり、処理結果に応じて検査装置110及び治療装置120を制御したりする。また、医用情報処理装置140は、部門システム300から各種の情報を取得し、取得した情報を用いて各種の情報処理を行う。医用情報処理装置140は、検査室や、治療室に配置され、メディカルスタッフによって操作される。例えば、医用情報処理装置140は、サーバやワークステーション、パーソナルコンピュータ、タブレット端末等のコンピュータ機器によって実現される。
【0032】
図2に示すように、医用情報処理装置140は、通信インターフェース141と、入力インターフェース142と、ディスプレイ143と、記憶回路144と、処理回路145とを有し、生体情報取得装置150と接続される。
【0033】
生体情報取得装置150は、患者の生体情報を取得する装置である。具体的には、生体情報取得装置150は、患者認証のためのデータである生体情報を患者から収集する。例えば、生体情報取得装置150は、患者の虹彩情報を取得するための赤外線カメラや、患者の静脈情報を取得するためのセンサ、患者の顔写真を撮影するためのカメラなどである。また、生体情報取得装置150は、患者の指紋情報を取得するためのスキャナや、患者の声紋情報を取得するための音声入力装置などを含む場合でもよい。なお、指紋情報及び声紋情報は、入力インターフェース142によって取得される場合でもよい。
【0034】
通信インターフェース141は、処理回路145に接続されており、医用支援システム100における各装置との間で行われる通信を制御する。具体的には、通信インターフェース141は、各装置から各種の情報を受信し、受信した情報を処理回路145に出力する。例えば、通信インターフェース141は、ネットワークカードやネットワークアダプタ、NIC(Network Interface Controller)等によって実現される。
【0035】
入力インターフェース142は、処理回路145に接続されており、操作者から各種の指示及び情報の入力操作を受け付ける。具体的には、入力インターフェース142は、操作者から受け付けた入力操作を電気信号へ変換して処理回路145に出力する。例えば、入力インターフェース142は、トラックボール、スイッチボタン、マウス、キーボード、操作面へ触れることで入力操作を行うタッチパッド、表示画面とタッチパッドとが一体化されたタッチスクリーン、光学センサを用いた非接触入力回路、及び音声入力回路等によって実現される。なお、本明細書において、入力インターフェース142は、マウス、キーボード等の物理的な操作部品を備えるものだけに限られない。例えば、装置とは別体に設けられた外部の入力機器から入力操作に対応する電気信号を受け取り、この電気信号を制御回路へ出力する電気信号の処理回路も入力インターフェース142の例に含まれる。なお、本実施形態では、入力インターフェース142は、患者生体情報を取得することもできる。例えば、入力インターフェース142は、タッチパッドやタッチスクリーンにより患者の指紋をスキャンすることで患者の指紋情報を取得したり、音声入力回路により患者の音声入力を受け付けることで声紋情報を取得したりすることもできる。
【0036】
ディスプレイ143は、処理回路145に接続されており、各種の情報及び画像を表示する。具体的には、ディスプレイ143は、処理回路145から送られる情報及び画像のデータを表示用の電気信号に変換して出力する。例えば、ディスプレイ143は、液晶ディスプレイやCRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイ、有機ELディスプレイ、プラズマディスプレイ、タッチパネル等によって実現される。本実施形態では、例えば、ディスプレイ143は、患者情報や、患者の認証結果、スケジュール確認結果などを表示する。
【0037】
記憶回路144は、処理回路145に接続されており、各種のデータを記憶する。具体的には、記憶回路144は、端末装置130及び部門システム300から受信した種々の情報や、入力インターフェース142を介して入力された情報、生体情報取得装置150によって取得された情報、医用情報処理装置140の処理結果などを記憶する。例えば、記憶回路144は、
図2に示すように、認証情報1441、スケジュール情報1442を記憶する。
【0038】
認証情報1441は、各患者から事前に取得された患者情報を含む。具体的には、認証情報は、各患者から事前に取得された生体情報である。例えば、認証情報1441は、患者の静脈パターンに関する情報、虹彩パターンに関する情報、指紋情報、声紋情報、患者の顔画像等である。これらの情報は、端末装置130の入力インターフェース132、入力インターフェース142、生体情報取得装置150によって予め取得され、患者を識別するための情報(例えば、患者IDなど)に紐づけられて記憶回路144に記憶される。すなわち、認証情報1441は、患者から最初に収集した、患者認証のために毎回患者生体情報と比較するためのデータであり、これと患者生体情報が合致した時に、特定の患者として認証される。また、これらの情報は、検査及び治療ごとに取得され、患者を識別するための情報と比較される。
【0039】
スケジュール情報1442は、検査スケジュール及び治療スケジュールを含む。例えば、スケジュール情報1442は、検査室において実施される検査の予定であり、どの患者に対してどのような検査が行われるかを示す情報である。一例を挙げると、スケジュール情報1442は、検査内容と患者を識別する情報とが対応付けられた情報である。また、スケジュール情報1442は、治療室において実施される治療の予定であり、どの患者に対してどのような治療が行われるかを示す情報である。一例を挙げると、スケジュール情報1442は、治療内容と患者を識別する情報とが対応付けられた情報である。
【0040】
ここで、スケジュール情報1442は、検査や治療で用いられる器具や、装置などの情報も含めることができる。例えば、スケジュール情報1442は、血管造影検査で用いられるカテーテルの情報や、放射線治療で用いられる固定具の情報、外科手術で用いられる器具や装置などの情報を含めることができる。
【0041】
また、記憶回路144は、処理回路145が読み出して実行することで各種機能を実現するための種々のプログラムを記憶する。例えば、記憶回路144は、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子や、ハードディスク、光ディスク等によって実現される。
【0042】
処理回路145は、入力インターフェース142を介して操作者から受け付けた入力操作に応じて、医用情報処理装置140の動作を制御する。例えば、処理回路145は、プロセッサによって実現される。
図2に示すように、処理回路145は、制御機能1451、取得機能1452、認証機能1453、及び、確認機能1454を実行する。ここで、制御機能1451は、制御部の一例である。また、取得機能1452は、取得部の一例である。また、認証機能1453は、認証部の一例である。また、確認機能1454は、確認部の一例である。
【0043】
制御機能1451は、入力インターフェース142を介して入力された各種要求に応じた処理を実行するように制御する。例えば、制御機能1451は、通信インターフェース141を介した情報の送受信、記憶回路144への情報の格納、処理回路145における処理、ディスプレイ143への情報(例えば、認証情報や、認証結果など)の表示などを制御する。
【0044】
また、制御機能1451は、確認機能1454による確認結果に基づいて、認証された患者情報を元に検査装置110又は治療装置120を制御する。また、制御機能1451は、確認機能1454による確認結果に基づいて、認証された患者に対する検査又は治療の開始を制御する。具体的には、制御機能1451は、認証された患者が、検査予定の対象者と一致した場合に、検査装置110による検査の開始を制御する。また、制御機能1451は、認証された患者が、治療予定の対象者と一致した場合に、治療装置120による治療の開始を制御する。
【0045】
取得機能1452は、検査又は治療の対象となる患者の患者情報、患者生体情報を取得する。具体的には、取得機能1452は、部門システム300から患者情報を取得したりすることができる。また、取得機能1452は、生体情報取得装置150によって取得された患者生体情報や、入力インターフェース142によって取得された患者生体情報を取得する。さらに、取得機能1452は、端末装置130によって取得された患者生体情報を取得する。例えば、取得機能1452は、顔画像、静脈情報、指紋情報、虹彩情報、及び、音声情報(声紋情報)のうち少なくとも1つを含む生体情報を取得する。
【0046】
認証機能1453は、患者情報と認証情報とを照合することで、患者の認証処理を行う。具体的には、認証機能1453は、取得機能1452によって取得された患者の生体情報と、記憶回路144に記憶された認証情報とを照合することで、患者の認証処理を行う。例えば、認証機能1453は、検査(或いは、治療)の複数の対象者の患者IDに基づいて、対応する認証情報を記憶回路144から読み出し、読み出した認証情報と、取得機能1452によって取得された患者の生体情報とを照合することで、患者の認証処理を行う。
【0047】
例えば、認証機能1453は、検査(或いは、治療)が予定されている複数の対象者の患者IDに基づいて、取得機能1452によって取得された生体情報と同じ情報を認証情報として記憶回路144から読み出す。そして、認証機能1453は、取得機能1452によって取得された生体情報と、読み出した認証情報とを照合することで、生体情報を取得した患者が、読みだした認証情報と一致するか否かを判定する。仮に一致しなければ、取得機能1452によって取得された別の認証情報を記憶回路144から読み出し、読み出した認証情報と一致するかどうかを判定する。これを全ての認証情報で繰り返すことにより、認証機能1453は、生体情報を取得した患者が誰であるかを認識する。
【0048】
ここで、認証機能1453は、1つ、或いは、複数の認証情報を用いて患者の認証処理を行うことができる。例えば、認証機能1453は、顔画像、静脈情報、指紋情報、虹彩情報、及び、音声情報(声紋情報)のうち、1つの情報を照合することによって患者の認証を行うことができる。また、例えば、認証機能1453は、顔画像、静脈情報、指紋情報、虹彩情報、及び、音声情報(声紋情報)のうち、2つ以上の情報を照合することによって患者の認証を行うことができる。
【0049】
認証機能1453によって患者の認証処理が行われると、制御機能1451は、ディスプレイ143、或いは、端末装置130のディスプレイ133に、認証結果を表示するように制御する。例えば、制御機能1451は、患者の氏名や顔写真を、ディスプレイ143、或いは、ディスプレイ133に表示させる。
【0050】
確認機能1454は、認証機能1453によって認証された患者と、検査予定又は治療予定の対象者とが一致するか否かを確認する。具体的には、確認機能1454は、認証機能1453によって認証された患者が、検査スケジュール(或いは、治療スケジュール)に沿った患者であるか否かを確認する。例えば、確認機能1454は、スケジュール情報1442を参照して、次の検査(或いは、次の治療)の対象者の情報を取得する。そして、確認機能1454は、認証機能1453によって認証された患者が、次の検査(或いは、次の治療)の対象者であるか否かを判定する。
【0051】
ここで、認証機能1453によって認証された患者が、スケジュールに沿った対象者である場合には、制御機能1451は、検査装置110による検査の開始、或いは、治療装置120による治療の開始を制御する。具体的には、制御機能1451は、部門システム300から検査情報を取得し、取得した検査情報に基づいて、検査装置110におけるプロトコル、患者情報、対象領域の選択などの情報を送信し、検査を開始する。また、制御機能1451は、部門システム300から治療情報を取得し、取得した治療情報に基づいて、治療計画などの情報を治療装置120に送信し、治療を開始する。
【0052】
一方、認証機能1453によって認証された患者が、スケジュールに沿った対象者ではない場合には、制御機能1451は、端末装置130のディスプレイ133や、ディスプレイ143に警告を表示するように制御する。
【0053】
以下、
図3を用いて、医用支援システム100による処理の一例を説明する。
図3は、第1の実施形態に係る医用支援システム100による処理手順を示すフローチャートである。ここで、
図3におけるステップS100は、例えば、処理回路145が制御機能1451に対応するプログラムを記憶回路144から読み出して実行することにより実現される。ステップS101は、例えば、処理回路145が取得機能1452に対応するプログラムを記憶回路144から読み出して実行することにより実現される。また、ステップS102は、例えば、処理回路145が認証機能1453に対応するプログラムを記憶回路144から読み出して実行することにより実現される。また、ステップS103は、例えば、処理回路145が確認機能1454に対応するプログラムを記憶回路144から読み出して実行することにより実現される。また、ステップS104~S106は、例えば、処理回路145が制御機能1451に対応するプログラムを記憶回路144から読み出して実行することにより実現される。
【0054】
図3に示すように、第1の実施形態に係る医用支援システム100においては、制御機能1451は、スケジュール情報を参照し、次の検査・治療対象の患者情報を端末装置130のディスプレイ133と医用情報処理装置140のディスプレイ143に表示する(ステップS100)。取得機能1452は、患者生体情報を取得する(ステップS101)。そして、認証機能1453は、取得された患者生体情報を認証情報と照合することで、認証処理を実行する(ステップS102)。さらに制御機能1451は、スケジュール情報を参照し、認証された患者が次に検査・治療対象となっている患者かどうかをチェックし(S103)、一致していれば必要な情報を検査・治療装置を取得して(S104)、検査・治療を開始する(S105)。一致していなければ、警告を端末装置130のディスプレイ133と医用情報処理装置140のディスプレイ143に表示する(S106)。
【0055】
例えば、制御機能1451は、予定している検査、或いは、治療の対象となる対象者のデータ(氏名など)をディスプレイ143、或いは、端末装置130のディスプレイ133に表示させる。メディカルスタッフは、表示された情報を元に患者を待合室に迎えに行き、患者を検査室又は治療室にエスコートする。ここで、メディカルスタッフは、患者との接触時、患者の入室時、或いは、入室してすぐに患者の生体情報を取得して、認証処理を実行させる。
【0056】
例えば、取得機能としては、メディカルスタッフは、端末装置130を所持して待合室に向かい、待合室で患者の生体情報を取得する。一例を挙げると、メディカルスタッフは、端末装置130のカメラを患者に見て貰い、患者の顔を撮影することで顔画像を取得したり、タッチスクリーンの一部に触れて貰う或いはカメラで指を撮影することで、指紋情報を取得したり、患者に発声して貰い、声紋情報を取得したりする。
【0057】
また、例えば、メディカルスタッフは、検査室又は治療室に入室した患者の生体情報を取得する。一例を挙げると、メディカルスタッフは、上記した端末装置130での生体情報と同様に顔画像や、指紋情報、声紋情報を取得する。さらに、メディカルスタッフは、生体情報取得装置150を用いて、患者の静脈情報や、虹彩情報を取得する。
【0058】
また、例えば、検査室又は治療室に入室する患者をカメラで撮影することで、患者の顔画像を取得する場合でもよい。また、例えば、患者に名前を尋ね、患者から発せられた名前を音声認識技術で文字情報に変換した上で、患者名を確認しても良い。
【0059】
取得機能1452は、上記した手法を介して患者の生体情報を取得し、取得した生体情報を認証機能1453に送る。認証機能1453は、取得機能1452から受け付けた患者の生体情報を、認証情報1441と照合して、認証処理を実行する。ここで、制御機能1451は、認証結果(例えば、認証された患者の氏名、顔画像)をディスプレイ133又はディスプレイ143に表示させる。
【0060】
上述したように、患者の生体情報を取得して、認証処理を実行すると、確認機能1454は、認証した患者がスケジュールと合致するか否かを判定する(ステップS103)。例えば、確認機能1454は、次の検査(或いは、治療)の情報を取得して、認証された患者と比較することで、認証した患者がスケジュールと合致するか否かを判定する。
【0061】
ここで、認証した患者がスケジュールと合致した場合には(ステップS103、肯定)、制御機能1451は、検査情報又は治療情報を取得して(ステップS104)、検査又は治療を開始する(ステップS105)。なお、認証した患者がスケジュールと合致しない場合には(ステップS103、否定)、制御機能1451は、警告を出力する(ステップS106)。
【0062】
例えば、認証した患者が検査スケジュールと合致した場合、制御機能1451は、部門システム300から検査情報を取得し、取得した情報に基づいて、検査プロトコル、検査対象部位などを選択し、選択した情報を検査装置110に送信することで、検査装置110に条件を設定する。そして、制御機能1451は、検査装置110における検査を開始させる。また、例えば、認証した患者が治療スケジュールと合致した場合、制御機能1451は、部門システム300から治療情報を取得し、取得した情報に基づいて、治療プロトコル、治療対象部位などを選択し、選択した情報を治療装置120に送信することで、治療装置120に条件を設定する。そして、制御機能1451は、治療装置120における治療を開始させる。
【0063】
また、例えば、認証した患者が放射線治療のスケジュールと合致した場合、制御機能1451は、部門システム300における放射線治療情報システムから患者の治療情報を呼び出すことで、照射方向毎の治療データを放射線治療情報システム上で開く。そして、制御機能1451は、照射方向毎の治療データを選択して、治療装置120における放射線治療装置に送ることで治療を開始させる。
【0064】
そして、制御機能1451は、一方向の治療が完了すると、次の方向の治療計画を放射線治療装置に送信して、治療を行うように制御する。制御機能1451は、これを全ての方向の治療が完了するまで繰り返し継続する。なお、上述した例では、一方向毎のデータを送る場合について説明したが、制御機能1451が、治療データを治療順番に従って一括して放射線治療装置に送信し、放射線治療装置が、それに従って順次治療するように運用することもできる。
【0065】
なお、制御機能1451は、認証された患者と、放射線治療予定のスケジュールと合致した場合に、放射線治療情報システムにおける患者選択を実行し、治療ビーム選択画面を表示させるように制御することもできる。
【0066】
このように、医用支援システム100では、患者を生体情報で認証して、認証した患者がスケジュールに沿った患者であることを確認したうえで、検査及び治療を行うように制御することができ、患者の取り違えを防止することができる。
【0067】
(変形例)
上述した実施形態では、1装置における検査又は治療を対象とした場合の例を説明した。以下では、複数の装置での検査や治療を対象とする場合について説明する。病院でのワークフローでは1回の検査だけで完結することは殆どなく、例えば診断であれば、X線検査、CT検査、MRI検査など、複数の検査を受けてから診断が確定する。従って、このような患者の取り違え防止は、1装置、あるいは1検査室、1治療室だけで実施されるだけでは不十分の場合があり、全ての、あるいは特に関係の深い検査室・治療室で同様な機能を構築する必要がある。すなわち、一連の検査・治療において、少なくとも患者情報、さらにはスケジュールに合致した患者を対象に検査・治療が行われるように、患者の取り違え防止を行う。
【0068】
かかる場合には、制御機能1451は、検査又は治療を行う際に取得された被検体の生体情報を、認証情報として、検査結果及び治療結果に紐づけて記憶回路144に記憶させる。例えば、制御機能1451は、X線検査を行う際に患者の認証を行うために取得した生体情報を、当該X線検査の検査結果に紐づけて記憶回路144に記憶させる。
【0069】
そして、認証機能1453は、次に行われる検査或いは治療において患者の認証を行う際に、取得機能1452によって取得された生体情報を、X線検査の前に事前に取得された認証情報と照合する。確認機能1454は、スケジュール情報を参照し、認証した患者がスケジュールと合致するか否かを判定する。すなわち、確認機能1454は、生体情報を取得した患者が次に行われる検査或いは治療の対象者の認証情報と一致したときに、当該患者が次に行われる検査或いは治療の対象者であると判定する。
【0070】
以下、
図4を用いて、変形例に係る医用支援システム100による処理の一例を説明する。
図4は、変形例に係る医用支援システム100による処理手順を示すフローチャートである。なお、
図4では、検査の後、治療を行う場合の処理について示す。また、
図4におけるステップS200~ステップS205、S207は、
図3におけるステップS100~S106と同一の処理であるため、詳細な説明は省略する。
【0071】
ここで、
図4におけるステップ208は、例えば、処理回路145が制御機能1451に対応するプログラムを記憶回路144から読み出して実行することにより実現される。ステップS209は、例えば、処理回路145が取得機能1452に対応するプログラムを記憶回路144から読み出して実行することにより実現される。また、ステップS210は、例えば、処理回路145が認証機能1453に対応するプログラムを記憶回路144から読み出して実行することにより実現される。また、ステップS211は、例えば、処理回路145が確認機能1454に対応するプログラムを記憶回路144から読み出して実行することにより実現される。また、ステップS212~S215は、例えば、処理回路145が制御機能1451に対応するプログラムを記憶回路144から読み出して実行することにより実現される。
【0072】
図4に示すように、第1の実施形態に係る医用支援システム100においては、ステップS201~S205によって検査を実行すると、治療計画が実行される(ステップS206)。
【0073】
例えば、放射線治療の場合、計画時に治療計画用CT装置、あるいは、治療計画用MRI装置によって、治療計画用CT画像、或いは、治療計画用MRI画像が収集される。治療計画では、治療計画装置が、治療計画用CT画像、或いは、治療計画用MRI画像に基づいて、治療計画を実行する。ここで、制御機能1451は、ステップS201で取得した患者の生体情報を、治療計画及び治療計画に用いられた治療計画用CT画像、或いは、治療計画用MRI画像に紐づけて、記憶回路144に記憶させる。
【0074】
その後、治療時に、取得機能1452は、患者の生体情報を取得する(ステップS209)。そして、認証機能1453は、取得された患者の生体情報を認証情報と照合することで、認証処理を実行する(ステップS210)。
【0075】
例えば、制御機能1451は、予定している放射線治療の対象となる対象者のデータ(氏名など)をディスプレイ143、或いは、端末装置130のディスプレイ133に表示させる(ステップS208)。メディカルスタッフは、表示された情報を元に患者を待合室に迎えに行き、患者を放射線治療室にエスコートする。ここで、メディカルスタッフは、検査時と同様に、患者との接触時、患者の入室時、或いは、入室してすぐに患者の生体情報を取得して(ステップS209)、認証処理を実行させる(ステップS210)。
【0076】
上述したように、患者の生体情報を取得して、認証処理を実行すると、確認機能1454は、認証した患者が治療のスケジュールと合致するか否かを判定する(ステップS211)。例えば、確認機能1454は、次の放射線治療の情報を取得して、認証された患者と比較することで、認証した患者がスケジュールと合致するか否かを判定する。
【0077】
ここで、認証した患者がスケジュールと合致した場合には(ステップS211、肯定)、制御機能1451は、合致する治療計画を取得して(ステップS212)、治療情報を取得して(ステップS214)、放射線治療を開始する(ステップS215)。なお、認証した患者がスケジュールと合致しない場合には(ステップS211、否定)、制御機能1451は、警告を出力する(ステップS213)。
【0078】
このように、変形例に係る医用支援システム100では、患者を生体情報で認証して、認証した患者がスケジュールに沿った患者であることを確認することで、一連の検査・治療において、患者の取り違え、及び、参照データの間違いを防止することができる。
【0079】
例えば、放射線治療においては、治療計画に用いた画像データは、治療時に位置合わせ等に用いられる。また、インターベンションや、外科手術では、検査・診断に用いた画像データが参照画像として用いられる。したがって、医用支援システム100は、このようなデータに関する間違いを防止することができる。
【0080】
上述したように、第1の実施形態によれば、取得機能1452は、検査又は治療の対象となる患者の患者情報を取得する。認証機能1453は、患者情報と認証情報とを照合することで、患者の認証処理を行う。確認機能1454は、認証機能1453によって認証された患者と、検査予定又は治療予定の対象者とが一致するか否かを確認する。制御機能1451は、確認機能1454による確認結果に基づいて、認証された患者情報を元に検査装置110又は治療装置120を制御する。また、制御機能1451は、確認機能1454による確認結果に基づいて、認証された患者に対する検査又は治療の開始を制御する。従って、第1の実施形態に係る医用支援システム100は、検査・治療において患者の取り違えを防止することを可能にする。また、医用支援システム100は、正しい患者の情報に基づいて、検査又は治療を開始させることで、メディカルスタッフの手順を割愛させることができ、ワークフローを改善させることを可能にする。
【0081】
また、第1の実施形態によれば、取得機能1452は、患者の顔画像、静脈情報、指紋情報、虹彩情報、及び、音声情報のうち少なくとも1つを含む生体情報を取得する。認証機能1453は、生体情報と、対応する認証情報とを照合することで、患者の認証を行う。従って、第1の実施形態に係る医用支援システム100は、患者独自の情報を用いて認証処理を行うことができ、正確な判定を行うことを可能にする。
【0082】
また、第1の実施形態によれば、ディスプレイ133及びディスプレイ143は、取得機能1452によって取得された患者情報の中から患者名あるいは顔画像、又は両方を表示させる。また、ディスプレイ133及びディスプレイ143は、認証機能1453によって認証された患者の患者名あるいは顔画像、または両方を表示させる。従って、間違った患者を検査室、あるいは治療室へエスコートする間違いを減らすことができる。また、第1の実施形態に係る医用支援システム100は、仮に間違ってしまった場合でも、患者の認証結果を即座に提示することを可能にする。
【0083】
また、第1の実施形態によれば、ディスプレイ133は、携帯端末のディスプレイである。従って、第1の実施形態に係る医用支援システム100は、病院内のどの場所でも患者の認証を行うことを可能にする。
【0084】
また、変形例によれば、患者生体情報は、検査及び治療ごとに患者から取得される。認証機能1453は、取得機能1452によって事前に取得された認証情報と、検査及び治療ごとに取得された患者生体情報とをそれぞれ照合することで、患者の認証処理を行う。従って、変形例に係る医用支援システム100は、一連の検査・治療において、患者の取り違え、及び、参照データの間違いを防止することを可能にする。
【0085】
また、第1の実施形態によれば、制御機能1451は、認証された患者と、検査予定の対象者とが一致した場合に、検査情報に基づいて、検査プロトコル及び対象領域のうち少なくとも1つを選択し、選択した情報を検査装置に送信する。また、制御機能1451は、認証された患者と、治療予定の対象者とが一致した場合に、治療情報に基づいて、治療プロトコル及び対象領域のうち少なくとも1つを選択し、選択した情報を治療装置に送信する。従って、第1の実施形態に係る医用支援システム100は、検査及び治療におけるワークフローを改善させることを可能にする。
【0086】
また、第1の実施形態によれば、制御機能1451は、認証された患者と、放射線治療予定の対象者とが一致した場合に、放射線治療システムにおける患者選択を実行し、治療ビーム選択画面を表示させるように制御する。従って、第1の実施形態に係る医用支援システム100は、放射線治療におけるワークフローを改善させることを可能にする。
【0087】
また、第1の実施形態によれば、制御機能1451は、認証された患者と、放射線治療予定の対象者とが一致しない場合に、警告を出力するように制御する。従って、第1の実施形態に係る医用支援システム100は、患者の取り違えを通知することを可能にする。
【0088】
(その他の実施形態)
さて、これまで第1の実施形態について説明したが、上述した第1の実施形態以外にも、種々の異なる形態にて実施されてよいものである。
【0089】
上述した実施形態では、医用情報処理装置140が、各種処理を実行する場合について説明した。しかしながら、実施形態はこれに限定されるものではなく、例えば、端末装置130が実施する場合であってもよい。かかる場合には、処理回路135が、処理回路145と同様の機能を実行する。
【0090】
また、上述した実施形態では、認証された患者と、検査予定の対象者とが一致しない場合に、警告を出力する場合について説明した。しかしながら、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、緊急の場合、制御機能1451は、患者名、患者IDなどを入力しないで緊急的に行う緊急検査を開始するように、検査装置110及び治療装置120を制御することもできる。一例を挙げると、制御機能1451は、出力した警告に対して応答がない場合に、緊急時と判定し、緊急検査を開始するように、検査装置110及び治療装置120を制御する。
【0091】
また、例えば、認証された患者と、検査予定の対象者とが一致しない場合に、制御機能1451は、検査のスケジュールに関係する最新の検査情報又は治療情報を部門システム300からさらに取得するように制御することもできる。
【0092】
また、上述した変形例では、画像や検査・治療計画データなどに紐づけた認証情報と生体情報とを照合する場合について説明した。しかしながら、実施形態はこれに限定されるものではなく、例えば、検査や治療に使用される器具に紐づけられた認証情報と、生体情報とを照合する場合でもよい。かかる場合には、制御機能1451は、検査や治療で用いられる器具(例えば、カテーテルや、ステント、患者特有に製造された固定具など)が決められた際に、患者から取得した生体情報を器具の情報に紐づけて記憶回路144に格納する。なお、器具の識別は、器具のバーコードなどにより行われると良い。
【0093】
認証機能1453は、それらの器具が使用される検査又は治療において、患者から取得された生体情報を、器具に紐づけられた認証情報と照合することで、準備された器具に合致する患者か否か(器具に間違いがないか否か)を判定する。これにより、使用する器具について事前に確認することができ、間違いを防止することができる。
【0094】
また、上述した実施形態では、処理回路145が有する各処理機能について説明した。ここで、例えば、上述した各処理機能は、コンピュータによって実行可能なプログラムの形態で記憶回路144に記憶される。処理回路145は、各プログラムを記憶回路144から読み出し、読み出した各プログラムを実行することで、各プログラムに対応する処理機能を実現する。換言すると、各プログラムを読み出した状態の処理回路145は、
図2に示した各処理機能を有することとなる。
【0095】
なお、
図2では、単一の処理回路145によって各処理機能が実現される場合の例を説明したが、実施形態はこれに限られない。例えば、処理回路145は、複数の独立したプロセッサを組み合わせて構成され、各プロセッサが各プログラムを実行することにより各処理機能を実現するものとしても構わない。また、処理回路145が有する各処理機能は、単一又は複数の処理回路に適宜に分散又は統合されて実現されてもよい。
【0096】
また、上述した各実施形態の説明で用いた「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、或いは、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等の回路を意味する。ここで、記憶回路にプログラムを保存する代わりに、プロセッサの回路内にプログラムを直接組み込むように構成しても構わない。この場合には、プロセッサは回路内に組み込まれたプログラムを読み出して実行することで機能を実現する。また、本実施形態の各プロセッサは、プロセッサごとに単一の回路として構成される場合に限らず、複数の独立した回路を組み合わせて1つのプロセッサとして構成され、その機能を実現するようにしてもよい。
【0097】
ここで、プロセッサによって実行されるプログラムは、ROM(Read Only Memory)や記憶部等に予め組み込まれて提供される。なお、このプログラムは、これらの装置にインストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD(Compact Disk)-ROM、FD(Flexible Disk)、CD-R(Recordable)、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記憶媒体に記憶されて提供されてもよい。また、このプログラムは、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納され、ネットワーク経由でダウンロードされることにより提供又は配布されてもよい。例えば、このプログラムは、各機能部を含むモジュールで構成される。実際のハードウェアとしては、CPUが、ROM等の記憶媒体からプログラムを読み出して実行することにより、各モジュールが主記憶装置上にロードされて、主記憶装置上に生成される。
【0098】
以上説明した少なくとも1つの実施形態によれば、患者の取り違えを防止することができる。
【0099】
いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、実施形態同士の組み合わせを行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0100】
100 医用支援システム
110 検査装置
120 治療装置
130 端末装置
140 医用情報処理装置
143 ディスプレイ
1451 制御機能
1452 取得機能
1453 認証機能
1454 確認機能