(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024161238
(43)【公開日】2024-11-15
(54)【発明の名称】媒体搬送装置、制御方法及び制御プログラム
(51)【国際特許分類】
B65H 3/06 20060101AFI20241108BHJP
B65H 3/52 20060101ALI20241108BHJP
H04N 1/00 20060101ALI20241108BHJP
【FI】
B65H3/06 350A
B65H3/52 330G
H04N1/00 L
H04N1/00 567Q
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024153081
(22)【出願日】2024-09-05
(62)【分割の表示】P 2023525187の分割
【原出願日】2021-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】000136136
【氏名又は名称】株式会社PFU
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100180806
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(72)【発明者】
【氏名】下坂 喜一郎
(72)【発明者】
【氏名】森川 修一
(57)【要約】
【課題】媒体の給送をより良好に制御することが可能な媒体搬送装置、制御方法及び制御プログラムを提供する。
【解決手段】媒体搬送装置は、媒体を載置する載置台と、載置台に載置された媒体を分離して順次給送する給送ローラと、給送ローラによって給送された媒体を搬送する搬送ローラと、給送ローラと搬送ローラの間に配置され、媒体を検出するセンサと、給送ローラを駆動するモータと、載置台に載置された媒体のうちの一番目の媒体を給送する際は、給送ローラによる媒体の給送を開始してからセンサが媒体の先端を検出するまでの分離期間中において、給送ローラを一定速度で回転させるようにモータを制御し、二番目以降の媒体を給送する際に、給送ローラを第1速度で回転させた後に第1速度より高い第2速度で回転させるようにモータを制御する制御部と、を有する。
【選択図】
図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体を載置する載置台と、
前記載置台に載置された媒体を分離して順次給送する給送ローラと、
前記給送ローラを駆動するモータと、
媒体搬送方向において前記給送ローラより下流側に配置され、媒体を検出するセンサと、
前記給送ローラによる媒体の給送を開始してから前記センサが媒体の先端を検出するまでの分離期間中において、前記載置台に載置された媒体のうちの一番目の媒体を給送する際は、前記給送ローラを一定の所定速度で回転させるように前記モータを制御し、二番目以降の媒体を給送する際は、前記給送ローラを前記所定速度より高い第1速度で回転させた後に前記第1速度より高い第2速度で回転させるように前記モータを制御する制御部と、
を有することを特徴とする媒体搬送装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記センサが媒体の先端を検出した後に、前記給送ローラを前記第2速度より高い速度で回転させるように前記モータを制御する、請求項1に記載の媒体搬送装置。
【請求項3】
前記給送ローラと対向して配置され、且つ、媒体給送方向の反対方向に回転するブレーキローラをさらに有し、
前記制御部は、前記載置台に載置された媒体のうちの一番目の媒体を給送する際の前記分離期間中における前記ブレーキローラの回転速度を、二番目以降の媒体を給送する際の前記分離期間中における前記ブレーキローラの回転速度より低い速度に設定する、請求項1または2に記載の媒体搬送装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記載置台に載置された媒体のうちの一番目の媒体を給送する際の前記分離期間中における前記ブレーキローラの表面移動速度が、一番目の媒体を給送する際の前記分離期間中における前記給送ローラの表面移動速度の1/2より高くなるように、前記ブレーキローラの回転速度を設定する、請求項3に記載の媒体搬送装置。
【請求項5】
前記給送ローラによって給送された媒体を搬送する搬送ローラと、
媒体のスキューが発生したか否かを判定する判定部と、をさらに有し、
前記制御部は、前記判定部により媒体のスキューが発生したと判定された場合、前記給送ローラの表面移動速度が前記搬送ローラの表面移動速度より低くなるように前記第2速度を設定し、前記判定部により媒体のスキューが発生したと判定されていない場合、前記給送ローラの表面移動速度が前記搬送ローラの表面移動速度と同じになるように前記第2速度を設定する、請求項1に記載の媒体搬送装置。
【請求項6】
前記給送ローラと対向して配置され、且つ、媒体給送方向の反対方向に回転するブレーキローラと、
前記給送ローラによって給送された媒体を搬送する搬送ローラと、
前記モータと別個に設けられ、且つ、前記ブレーキローラ及び前記搬送ローラを駆動する第2モータと、をさらに有する、請求項1または2に記載の媒体搬送装置。
【請求項7】
前記給送ローラと対向して配置され、且つ、媒体給送方向の反対方向に回転するブレーキローラと、
前記給送ローラによって給送された媒体を搬送する搬送ローラと、をさらに有し、
前記モータは、前記給送ローラとともに、前記ブレーキローラを駆動し、
前記モータと別個に設けられ、且つ、前記搬送ローラを駆動する第2モータをさらに有する、請求項1または2に記載の媒体搬送装置。
【請求項8】
前記給送ローラと対向して配置され、且つ、媒体給送方向の反対方向に回転するブレーキローラと、
前記給送ローラによって給送された媒体を搬送する搬送ローラと、
前記モータと別個に設けられ、且つ、前記搬送ローラを駆動する第2モータと、
前記モータ及び前記第2モータと別個に設けられ、且つ、前記ブレーキローラを駆動する第3モータと、をさらに有する、請求項1または2に記載の媒体搬送装置。
【請求項9】
前記ブレーキローラの駆動源から前記ブレーキローラへの駆動力伝達経路に設けられた電磁クラッチをさらに有する、請求項6~8の何れか一項に記載の媒体搬送装置。
【請求項10】
前記モータから前記給送ローラへの駆動力を遮断可能な遮断機構をさらに有し、
前記制御部は、媒体の先端が前記搬送ローラを通過した時に、前記遮断機構を制御して前記モータから前記給送ローラへの駆動力を遮断しつつ、前記モータからの駆動力を前記ブレーキローラへ伝達し続ける、請求項7に記載の媒体搬送装置。
【請求項11】
前記給送ローラと前記センサの間に配置され、媒体を検出する第2センサをさらに有し、
前記制御部は、前記分離期間中において、前記第2センサが媒体の先端を検出した時に、前記給送ローラを前記第2速度で回転させるように前記モータを制御する、請求項1~10の何れか一項に記載の媒体搬送装置。
【請求項12】
媒体搬送装置の制御方法であって、
給送ローラにより、載置台に載置された媒体を分離して順次給送し、
モータにより、前記給送ローラを駆動し、
媒体搬送方向において前記給送ローラより下流側に配置されたセンサにより、媒体を検出し、
前記給送ローラによる媒体の給送を開始してから前記センサが媒体の先端を検出するまでの分離期間中において、前記載置台に載置された媒体のうちの一番目の媒体を給送する際は、前記給送ローラを一定の所定速度で回転させるように前記モータを制御し、二番目以降の媒体を給送する際は、前記給送ローラを前記所定速度より高い第1速度で回転させた後に前記第1速度より高い第2速度で回転させるように前記モータを制御する、
ことを特徴とする制御方法。
【請求項13】
媒体を載置する載置台と、前記載置台に載置された媒体を分離して順次給送する給送ローラと、前記給送ローラによって給送された媒体を搬送する搬送ローラと、前記給送ローラと前記搬送ローラの間に配置され、媒体を検出するセンサと、前記給送ローラを駆動するモータと、を有する媒体搬送装置の制御プログラムであって、
前記給送ローラによる媒体の給送を開始してから前記センサが媒体の先端を検出するまでの分離期間中において、前記載置台に載置された媒体のうちの一番目の媒体を給送する際は、前記給送ローラを一定の所定速度で回転させるように前記モータを制御し、二番目以降の媒体を給送する際は、前記給送ローラを前記所定速度より高い第1速度で回転させた後に前記第1速度より高い第2速度で回転させるように前記モータを制御する、
ことを前記媒体搬送装置に実行させることを特徴とする制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、媒体搬送装置、制御方法及び制御プログラムに関し、特に、媒体を分離して順次給送する媒体搬送装置、制御方法及び制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
複数の媒体を分離しながら順次給送して撮像するスキャナ等の媒体搬送装置では、媒体の給送に要する時間をより低減させることが求められている。一方、媒体搬送装置は、媒体を撮像した画像を記憶する記憶装置の空き容量が不足している場合、又は、連続して給送される媒体間の距離が短い場合等に、媒体の給送を一旦停止させる必要がある。媒体搬送装置では、このような場合に、媒体の給送の停止及び再開を適切に制御することが求められている。
【0003】
レジスト後センサによって先行するシートの後端の到達が検知された後で給送ローラによる後続のシートの給送を開始する場合に、給送ローラを低速に制御するシート給送装置が開示されている(特許文献1を参照)。このシート給送装置は、後続のシートの先端が給送ローラと分離ローラとのニップ位置を超えた場合、給送ローラを高速に制御する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【0005】
媒体搬送装置では、媒体の給送をより良好に制御することが求められている。
【0006】
媒体搬送装置、制御方法及び制御プログラムの目的は、媒体の給送をより良好に制御することを可能とすることにある。
【0007】
実施形態の一側面に係る媒体搬送装置は、媒体を載置する載置台と、載置台に載置された媒体を分離して順次給送する給送ローラと、給送ローラによって給送された媒体を搬送する搬送ローラと、給送ローラと搬送ローラの間に配置され、媒体を検出するセンサと、給送ローラを駆動するモータと、載置台に載置された媒体のうちの一番目の媒体を給送する際は、給送ローラによる媒体の給送を開始してからセンサが媒体の先端を検出するまでの分離期間中において、給送ローラを一定速度で回転させるようにモータを制御し、二番目以降の媒体を給送する際に、給送ローラを第1速度で回転させた後に第1速度より高い第2速度で回転させるようにモータを制御する制御部と、を有する。
【0008】
また、実施形態の一側面に係る制御方法は、媒体搬送装置の制御方法であって、給送ローラにより、載置台に載置された媒体を分離して順次給送し、搬送ローラにより、給送ローラによって給送された媒体を搬送し、給送ローラと搬送ローラの間に配置されたセンサにより、媒体を検出し、モータにより、給送ローラを駆動し、載置台に載置された媒体のうちの一番目の媒体を給送する際は、給送ローラによる媒体の給送を開始してからセンサが媒体の先端を検出するまでの分離期間中において、給送ローラを一定速度で回転させるようにモータを制御し、二番目以降の媒体を給送する際に、給送ローラを第1速度で回転させた後に第1速度より高い第2速度で回転させるようにモータを制御する。
【0009】
また、実施形態の一側面に係る制御プログラムは、媒体を載置する載置台と、載置台に載置された媒体を分離して順次給送する給送ローラと、給送ローラによって給送された媒体を搬送する搬送ローラと、給送ローラと搬送ローラの間に配置され、媒体を検出するセンサと、給送ローラを駆動するモータと、を有する媒体搬送装置の制御プログラムであって、載置台に載置された媒体のうちの一番目の媒体を給送する際は、給送ローラによる媒体の給送を開始してからセンサが媒体の先端を検出するまでの分離期間中において、給送ローラを一定速度で回転させるようにモータを制御し、二番目以降の媒体を給送する際に、給送ローラを第1速度で回転させた後に第1速度より高い第2速度で回転させるようにモータを制御することを媒体搬送装置に実行させる。
【0010】
本実施形態によれば、媒体搬送装置、制御方法及び制御プログラムは、媒体の給送をより良好に制御することが可能となる。
【0011】
本発明の目的及び効果は、特に請求項において指摘される構成要素及び組み合わせを用いることによって認識され且つ得られるだろう。前述の一般的な説明及び後述の詳細な説明の両方は、例示的及び説明的なものであり、特許請求の範囲に記載されている本発明を制限するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】実施形態に係る媒体搬送装置100を示す斜視図である。
【
図2】媒体搬送装置100内部の搬送経路を説明するための図である。
【
図3】駆動源について説明するための模式図である。
【
図4】第3媒体センサ116等について説明するための模式図である
【
図5】第3媒体センサ116等について説明するための模式図である
【
図6】媒体搬送装置100の概略構成を示すブロック図である。
【
図7】記憶装置140及び処理回路150の概略構成を示す図である。
【
図8】媒体読取処理の動作の例を示すフローチャートである。
【
図9】媒体読取処理の動作の例を示すフローチャートである。
【
図10】ローラの速度変化について説明するためのグラフである。
【
図11】ローラの速度変化について説明するためのグラフである。
【
図12】ローラの速度変化について説明するためのグラフである。
【
図13】(a)、(b)は技術的意義について説明するための模式図である。
【
図14】技術的意義について説明するための模式図である。
【
図15】他の駆動源について説明するための模式図である。
【
図16】他の媒体読取処理の動作の一部の例を示すフローチャートである。
【
図17】ローラの速度変化について説明するためのグラフである。
【
図18】さらに他の媒体読取処理の動作の一部の例を示すフローチャートである。
【
図19】ローラの速度変化について説明するためのグラフである。
【
図20】さらに他の媒体読取処理の動作の例を示すフローチャートである。
【
図21】さらに他の媒体読取処理の動作の例を示すフローチャートである。
【
図22】ローラの速度変化について説明するためのグラフである。
【
図23】さらに他の駆動源について説明するための模式図である。
【
図24】さらに他の媒体読取処理の動作の例を示すフローチャートである。
【
図25】さらに他の媒体読取処理の動作の例を示すフローチャートである。
【
図26】ローラの速度変化について説明するためのグラフである。
【
図27】さらに他の駆動源について説明するための模式図である。
【
図28】さらに他の駆動源について説明するための模式図である。
【
図29】さらに他の媒体読取処理の動作の一部の例を示すフローチャートである。
【
図30】ローラの速度変化について説明するためのグラフである。
【
図31】さらに他の駆動源について説明するための模式図である。
【
図32】さらに他の媒体読取処理の動作の一部の例を示すフローチャートである。
【
図33】ローラの速度変化について説明するためのグラフである。
【
図34】さらに他の媒体読取処理の動作の例を示すフローチャートである。
【
図35】さらに他の媒体読取処理の動作の例を示すフローチャートである。
【
図36】ローラの速度変化について説明するためのグラフである。
【
図37】他の処理回路250の概略構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本開示の一側面に係る媒体搬送装置、制御方法及び制御プログラムについて図を参照しつつ説明する。但し、本発明の技術的範囲はそれらの実施の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された発明とその均等物に及ぶ点に留意されたい。
【0014】
図1は、イメージスキャナとして構成された媒体搬送装置100を示す斜視図である。媒体搬送装置100は、原稿である媒体を搬送し、撮像する。媒体は、用紙、厚紙、カード、冊子又はパスポート等である。媒体搬送装置100は、ファクシミリ、複写機、プリンタ複合機(MFP、Multifunction Peripheral)等でもよい。なお、搬送される媒体は、原稿でなく印刷対象物等でもよく、媒体搬送装置100はプリンタ等でもよい。
【0015】
媒体搬送装置100は、下側筐体101、上側筐体102、載置台103、排出台104、操作装置105及び表示装置106等を備える。
【0016】
上側筐体102は、媒体搬送装置100の上面を覆う位置に配置され、媒体つまり時、媒体搬送装置100内部の清掃時等に開閉可能なようにヒンジにより下側筐体101に係合している。
【0017】
載置台103は、下側筐体101に係合し、給送及び搬送される媒体を載置する。排出台104は、上側筐体102に係合し、排出された媒体を載置する。なお、排出台104は、下側筐体101に係合してもよい。
【0018】
操作装置105は、ボタン等の入力デバイス及び入力デバイスから信号を取得するインタフェース回路を有し、利用者による入力操作を受け付け、利用者の入力操作に応じた操作信号を出力する。表示装置106は、液晶、有機EL(Electro-Luminescence)等を含むディスプレイ及びディスプレイに画像データを出力するインタフェース回路を有し、画像データをディスプレイに表示する。
【0019】
図2は、媒体搬送装置100内部の搬送経路を説明するための図である。
【0020】
媒体搬送装置100内部の搬送経路は、第1媒体センサ111、給送ローラ112、ブレーキローラ113、第2媒体センサ114、超音波センサ115、第3媒体センサ116、第4媒体センサ117、第5媒体センサ118、搬送ローラ119、第1対向ローラ120、第6媒体センサ121、撮像装置122、排出ローラ123及び第2対向ローラ124等を有している。
【0021】
なお、給送ローラ112、ブレーキローラ113、搬送ローラ119、第1対向ローラ120、排出ローラ123及び/又は第2対向ローラ124のそれぞれの数は一つに限定されず、複数でもよい。その場合、複数の給送ローラ112、ブレーキローラ113、搬送ローラ119、第1対向ローラ120、排出ローラ123及び/又は第2対向ローラ124は、それぞれ媒体搬送方向A1と直交する幅方向に間隔を空けて並べて配置される。
【0022】
下側筐体101の上面は、媒体の搬送路の下側ガイド101aを形成し、上側筐体102の下面は、媒体の搬送路の上側ガイド102aを形成する。
図2において矢印A1は媒体搬送方向を示す。以下では、上流とは媒体搬送方向A1の上流のことをいい、下流とは媒体搬送方向A1の下流のことをいう。
【0023】
第1媒体センサ111は、給送ローラ112及びブレーキローラ113より上流側に配置される。第1媒体センサ111は、接触検出センサを有し、載置台103に媒体が載置されているか否かを検出する。第1媒体センサ111は、載置台103に媒体が載置されている状態と載置されていない状態とで信号値が変化する第1媒体信号を生成して出力する。なお、第1媒体センサ111は接触検知センサに限定されず、第1媒体センサ111として、光検知センサ等の、媒体の有無を検出可能な他の任意のセンサが使用されてもよい。
【0024】
給送ローラ112は、下側筐体101に設けられ、載置台103に載置された媒体を下側から順に分離して給送する。ブレーキローラ113は、上側筐体102に設けられ、給送ローラ112と対向して配置され、媒体給送方向の反対方向に回転する。なお、給送ローラ112が上側筐体102に、ブレーキローラ113が下側筐体101に設けられ、給送ローラ112は、載置台103に載置された媒体を上側から順に給送してもよい。
【0025】
第2媒体センサ114は、第2センサの一例であり、給送ローラ112より下流側且つ搬送ローラ119より上流側に配置され、その位置に搬送された媒体を検出する。特に、第2媒体センサ114は、媒体搬送方向A1において給送ローラ112と第5媒体センサ118の間に、給送ローラ112とブレーキローラ113のニップ領域の近傍に配置される。第2媒体センサ114は、媒体搬送路に対して一方の側に設けられた発光器及び受光器と、媒体搬送路を挟んで発光器及び受光器と対向する位置に設けられた導光管とを含む。発光器は、LED(Light Emitting Diode)等であり、媒体搬送路に向けて光を照射する。一方、受光器は、フォトダイオード等であり、発光器により照射され、導光管により導かれた光を受光する。第2媒体センサ114と対向する位置に媒体が存在するときは、発光器から照射された光は媒体により遮られるため、受光器は発光器から照射された光を検出しない。第2媒体センサ114は、受光器が受光する光の強度に基づいて、第2媒体センサ114の位置に媒体が存在する状態と存在しない状態とで信号値が変化する第2媒体信号を生成して出力する。
【0026】
超音波センサ115は、給送ローラ112より下流側且つ搬送ローラ119より上流側に配置される。超音波センサ115は、超音波発信器115a及び超音波受信器115bを含む。超音波発信器115a及び超音波受信器115bは、媒体の搬送路の近傍に、搬送路を挟んで対向して配置される。超音波発信器115aは、超音波を発信する。一方、超音波受信器115bは、超音波発信器115aにより発信され、媒体を透過した超音波を受信し、受信した超音波に応じた電気信号である超音波信号を生成して出力する。複数の媒体が重なって搬送される場合、媒体を透過する超音波は、重なって搬送される媒体の間の空気層で減衰する。したがって、媒体搬送装置100は、超音波信号に基づいて、媒体の重送を検出することができる。また、媒体を透過する超音波は、その媒体自体によっても減衰し、透過する媒体が厚いほど、減衰量は大きくなる。したがって、媒体搬送装置100は、超音波信号に基づいて、搬送される媒体の厚さを検出することができる。
【0027】
第5媒体センサ118は、センサの一例であり、給送ローラ112より下流側且つ搬送ローラ119より上流側に配置され、その位置に搬送された媒体を検出する。即ち、第5媒体センサ118は、給送ローラ112と搬送ローラ119の間に配置される。第5媒体センサ118は、媒体搬送路に対して一方の側に設けられた発光器及び受光器と、媒体搬送路を挟んで発光器及び受光器と対向する位置に設けられた導光管とを含む。発光器は、LED等であり、媒体搬送路に向けて光を照射する。一方、受光器は、フォトダイオード等であり、発光器により照射され、導光管により導かれた光を受光する。第5媒体センサ118は、受光器が受光する光の強度に基づいて、第5媒体センサ118の位置に媒体が存在する状態と存在しない状態とで信号値が変化する第5媒体信号を生成して出力する。
【0028】
搬送ローラ119及び第1対向ローラ120は、給送ローラ112より下流側に、相互に対向して配置され、給送ローラ112及びブレーキローラ113によって給送された媒体を撮像装置122に搬送する。搬送ローラ119は、上側筐体102に設けられ、第1対向ローラ120は、下側筐体101に、搬送ローラ119の下側に設けられる。
【0029】
第6媒体センサ121は、搬送ローラ119より下流側且つ撮像装置122より上流側に配置され、その位置に搬送された媒体を検出する。第6媒体センサ121は、媒体搬送路に対して一方の側に設けられた発光器及び受光器と、媒体搬送路を挟んで発光器及び受光器と対向する位置に設けられた導光管とを含む。発光器は、LED等であり、媒体搬送路に向けて光を照射する。一方、受光器は、フォトダイオード等であり、発光器により照射され、導光管により導かれた光を受光する。第6媒体センサ121は、受光器が受光する光の強度に基づいて、第6媒体センサ121の位置に媒体が存在する状態と存在しない状態とで信号値が変化する第6媒体信号を生成して出力する。
【0030】
撮像装置122は、撮像部の一例であり、搬送ローラ119より下流側に配置され、搬送ローラ119によって搬送された媒体を撮像する。撮像装置122は、媒体搬送路を挟んで相互に対向して配置された第1撮像装置122a及び第2撮像装置122bを含む。第1撮像装置122aは、主走査方向に直線状に配列されたCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)による撮像素子を有する等倍光学系タイプのCIS(Contact Image Sensor)によるラインセンサを有する。また、第1撮像装置122aは、撮像素子上に像を結ぶレンズと、撮像素子から出力された電気信号を増幅し、アナログ/デジタル(A/D)変換するA/D変換器とを有する。第1撮像装置122aは、後述する処理回路からの制御に従って、搬送される媒体の表面を撮像して入力画像を生成し、出力する。
【0031】
同様に、第2撮像装置122bは、主走査方向に直線状に配列されたCMOSによる撮像素子を有する等倍光学系タイプのCISによるラインセンサを有する。また、第2撮像装置122bは、撮像素子上に像を結ぶレンズと、撮像素子から出力された電気信号を増幅し、アナログ/デジタル(A/D)変換するA/D変換器とを有する。第2撮像装置122bは、後述する処理回路からの制御に従って、搬送される媒体の裏面を撮像して入力画像を生成し、出力する。
【0032】
なお、媒体搬送装置100は、第1撮像装置122a及び第2撮像装置122bを一方だけ配置し、媒体の片面だけを読み取ってもよい。また、CMOSによる撮像素子を備える等倍光学系タイプのCISによるラインセンサの代わりに、CCD(Charge Coupled Device)による撮像素子を備える等倍光学系タイプのCISによるラインセンサが利用されてもよい。また、CMOS又はCCDによる撮像素子を備える縮小光学系タイプのラインセンサが利用されてもよい。
【0033】
排出ローラ123及び第2対向ローラ124は、撮像装置122より下流側に、相互に対向して配置され、搬送ローラ119及び第1対向ローラ120によって搬送され、撮像装置122によって撮像された媒体を排出台104に排出する。排出ローラ123は、上側筐体102に設けられ、第2対向ローラ124は、下側筐体101に、排出ローラ123の下側に設けられる。
【0034】
載置台103に載置された媒体は、給送ローラ112が
図2の矢印A2の方向、即ち媒体給送方向に回転することによって、下側ガイド101aと上側ガイド102aの間を媒体搬送方向A1に向かって搬送される。ブレーキローラ113は、媒体搬送時、矢印A3の方向、即ち媒体給送方向の反対方向に回転する。給送ローラ112及びブレーキローラ113の働きにより、載置台103に複数の媒体が載置されている場合、載置台103に載置されている媒体のうち給送ローラ112と接触している媒体のみが分離される。これにより、分離された媒体以外の媒体の搬送が制限される(重送の防止)。
【0035】
媒体は、下側ガイド101aと上側ガイド102aによりガイドされながら、搬送ローラ119と第1対向ローラ120の間に送り込まれる。媒体は、搬送ローラ119及び第1対向ローラ120がそれぞれ矢印A4及び矢印A5の方向に回転することによって、第1撮像装置122aと第2撮像装置122bの間に送り込まれる。撮像装置122により読み取られた媒体は、排出ローラ123及び第2対向ローラ124がそれぞれ矢印A6及び矢印A7の方向に回転することによって排出台104上に排出される。
【0036】
図3は、給送ローラ112、ブレーキローラ113、搬送ローラ119、第1対向ローラ120、排出ローラ123及び/又は第2対向ローラ124の駆動源について説明するための模式図である。
【0037】
図3に示すように、媒体搬送装置100は、各ローラの駆動源として、第1モータ131及び第2モータ132を有する。
【0038】
第1モータ131は、モータの一例であり、下側筐体101に設けられ、第1伝達機構131aを介して給送ローラ112と接続され、給送ローラ112を駆動する。第1モータ131は、処理回路からの制御信号によって、給送ローラ112を駆動するための駆動力を発生させる。第1伝達機構131aは、第1モータ131と、給送ローラ112のシャフト112aとの間に設けられた一又は複数のプーリ、ベルト、ギア等を含み、第1モータ131が発生させた駆動力を給送ローラ112に伝達する。これにより、第1モータ131は、給送ローラ112を回転させて、媒体を給送させる。
【0039】
第2モータ132は、第1モータ131と別個に、上側筐体102に設けられ、第2伝達機構132aを介して搬送ローラ119、排出ローラ123及びブレーキローラ113と接続され、搬送ローラ119、排出ローラ123及びブレーキローラ113を駆動する。第2モータ132は、処理回路からの制御信号によって、搬送ローラ119、排出ローラ123及びブレーキローラ113を駆動するための駆動力を発生させる。第2伝達機構132aは、第2モータ132と、搬送ローラ119のシャフト119a、排出ローラ123のシャフト123a及びブレーキローラ113のシャフト113aとの間に設けられた一又は複数のプーリ、ベルト、ギア等を含む。特に、搬送ローラ119のシャフト119a及び/又は排出ローラ123のシャフト123aと、ブレーキローラ113のシャフト113aとの間には、各ローラの回転方向及び回転速度を異ならせるための一又は複数のギアが設けられる。第2伝達機構132aは、第2モータ132が発生させた駆動力を搬送ローラ119、排出ローラ123及びブレーキローラ113に伝達する。これにより、第2モータ132は、搬送ローラ119、排出ローラ123及びブレーキローラ113を回転させて、搬送ローラ119、排出ローラ123及びブレーキローラ113に媒体を給送、搬送及び排出させる。第2モータ132は、ブレーキローラ113の駆動源の一例である。
【0040】
第1対向ローラ120は、搬送ローラ119に従動回転する従動ローラであり、第2対向ローラ124は、排出ローラ123に従動回転する従動ローラである。なお、第1対向ローラ120及び/又は第2対向ローラ124は、第2モータ132からの駆動力によって駆動するように設けられてもよい。その場合、搬送ローラ119のシャフト119aと第1対向ローラ120のシャフト120aの間、及び/又は、排出ローラ123のシャフト123aと第2対向ローラ124のシャフト124aの間に、一又は複数のギアがさらに設けられる。第2伝達機構132aは、第2モータ132が発生させた駆動力を第1対向ローラ120及び/又は第2対向ローラ124にさらに伝達する。
【0041】
図4及び
図5は、第3媒体センサ116及び第4媒体センサ117について説明するための模式図である。
図4は、下側筐体101の下側ガイド101aを上方から見た模式図であり、
図5は、上側筐体102の上側ガイド102aを下方から見た模式図である。
【0042】
図4及び
図5に示すように、第3媒体センサ116及び第4媒体センサ117は、給送ローラ112より下流側且つ搬送ローラ119より上流側に配置され、その位置に搬送された媒体を検出する。特に、第3媒体センサ116及び第4媒体センサ117は、媒体搬送方向A1において第2媒体センサ114と第5媒体センサ118の間に配置される。なお、第3媒体センサ116及び第4媒体センサ117は、媒体搬送方向A1において第5媒体センサ118と略同一位置に配置されてもよい。また、第3媒体センサ116及び第4媒体センサ117は、媒体搬送方向と直交する幅方向A8において間隔を空けて並べて配置される。
【0043】
第3媒体センサ116は、媒体搬送路に対して一方の側に設けられた発光器及び受光器と、媒体搬送路を挟んで発光器及び受光器と対向する位置に設けられた導光管とを含む。発光器は、LED等であり、媒体搬送路に向けて光を照射する。一方、受光器は、フォトダイオード等であり、発光器により照射され、導光管により導かれた光を受光する。第3媒体センサ116は、受光器が受光する光の強度に基づいて、第3媒体センサ116の位置に媒体が存在する状態と存在しない状態とで信号値が変化する第3媒体信号を生成して出力する。
【0044】
第4媒体センサ117は、媒体搬送路に対して一方の側に設けられた発光器及び受光器と、媒体搬送路を挟んで発光器及び受光器と対向する位置に設けられた導光管とを含む。発光器は、LED等であり、媒体搬送路に向けて光を照射する。一方、受光器は、フォトダイオード等であり、発光器により照射され、導光管により導かれた光を受光する。第4媒体センサ117は、受光器が受光する光の強度に基づいて、第4媒体センサ117の位置に媒体が存在する状態と存在しない状態とで信号値が変化する第4媒体信号を生成して出力する。
【0045】
なお、第2媒体センサ114、第3媒体センサ116、第4媒体センサ117、第5媒体センサ118及び/又は第6媒体センサ121において、導光管の代わりに、ミラー等の反射部材が使用されてもよい。また、第2媒体センサ114、第3媒体センサ116、第4媒体センサ117、第5媒体センサ118及び/又は第6媒体センサ121において、発光器及び受光器は、媒体搬送路を挟んで対向して設けられてもよい。また、第2媒体センサ114、第3媒体センサ116、第4媒体センサ117、第5媒体センサ118及び/又は第6媒体センサ121は、媒体が接触している場合、又は、媒体が接触していない場合に所定の電流を流す接触検知センサ等により、媒体の存在を検出してもよい。
【0046】
また、
図4に示すように、媒体搬送装置100は、第1電磁クラッチ133を有する。第1電磁クラッチ133は、遮断機構の一例であり、給送ローラ112のシャフト112a上に、即ち第1モータ131から給送ローラ112への駆動力伝達経路に設けられる。第1電磁クラッチ133は、処理回路からの制御信号によって、第1モータ131から給送ローラ112への駆動力を遮断可能に設けられる。
【0047】
また、
図5に示すように、媒体搬送装置100は、第2電磁クラッチ134を有する。第2電磁クラッチ134は、電磁クラッチの一例であり、ブレーキローラ113のシャフト113a上に、即ちブレーキローラ113の駆動源である第2モータ132からブレーキローラ113への駆動力伝達経路に設けられる。第2電磁クラッチ134は、処理回路からの制御信号によって、ブレーキローラ113にかかるトルクの大きさを変更可能に設けられる。
【0048】
図6は、媒体搬送装置100の概略構成を示すブロック図である。
【0049】
媒体搬送装置100は、前述した構成に加えて、インタフェース装置135、記憶装置140及び処理回路150等をさらに有する。
【0050】
インタフェース装置135は、例えばUSB等のシリアルバスに準じるインタフェース回路を有し、不図示の情報処理装置(例えば、パーソナルコンピュータ、携帯情報端末等)と電気的に接続して入力画像及び各種の情報を送受信する。また、インタフェース装置135の代わりに、無線信号を送受信するアンテナと、所定の通信プロトコルに従って、無線通信回線を通じて信号の送受信を行うための無線通信インタフェース装置とを有する通信部が用いられてもよい。所定の通信プロトコルは、例えば無線LAN(Local Area Network)である。通信部は、有線LAN等の通信プロトコルに従って、有線通信回線を通じて信号の送受信を行うための有線通信インタフェース装置を有してもよい。
【0051】
記憶装置140は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等のメモリ装置、ハードディスク等の固定ディスク装置、又はフレキシブルディスク、光ディスク等の可搬用の記憶装置等を有する。また、記憶装置140には、媒体搬送装置100の各種処理に用いられるコンピュータプログラム、データベース、テーブル等が格納される。コンピュータプログラムは、コンピュータ読み取り可能な可搬型記録媒体から、公知のセットアッププログラム等を用いて記憶装置140にインストールされてもよい。可搬型記録媒体は、例えばCD-ROM(compact disc read only memory)、DVD-ROM(digital versatile disc read only memory)等である。
【0052】
処理回路150は、予め記憶装置140に記憶されているプログラムに基づいて動作する。処理回路は、例えばCPU(Central Processing Unit)である。処理回路150として、DSP(digital signal processor)、LSI(large scale integration)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等が用いられてもよい。
【0053】
処理回路150は、操作装置105、表示装置106、第1媒体センサ111、第2媒体センサ114、超音波センサ115、第3媒体センサ116、第4媒体センサ117、第5媒体センサ118、第6媒体センサ121、撮像装置122、第1モータ131、第2モータ132、第1電磁クラッチ133、第2電磁クラッチ134、インタフェース装置135及び記憶装置140等と接続され、これらの各部を制御する。処理回路150は、各センサから受信した各媒体信号に基づいて、第1モータ131の駆動制御、撮像装置122の撮像制御等を行い、撮像装置122から入力画像を取得し、インタフェース装置135を介して情報処理装置に送信する。
【0054】
図7は、記憶装置140及び処理回路150の概略構成を示す図である。
【0055】
図7に示すように、記憶装置140には、制御プログラム141及び判定プログラム142等が記憶される。これらの各プログラムは、プロセッサ上で動作するソフトウェアにより実装される機能モジュールである。処理回路150は、記憶装置140に記憶された各プログラムを読み取り、読み取った各プログラムに従って動作する。これにより、処理回路150は、制御部151及び判定部152として機能する。
【0056】
図8及び
図9は、媒体搬送装置100の媒体読取処理の動作の例を示すフローチャートである。
【0057】
以下、
図8及び
図9に示したフローチャートを参照しつつ、媒体搬送装置100の媒体読取処理の動作の例を説明する。なお、以下に説明する動作のフローは、予め記憶装置140に記憶されているプログラムに基づき主に処理回路150により媒体搬送装置100の各要素と協働して実行される。
【0058】
最初に、制御部151は、利用者により操作装置105又は情報処理装置を用いて媒体の読み取りの指示が入力されて、媒体の読み取りを指示する操作信号を操作装置105又はインタフェース装置135から受信するまで待機する(ステップS101)。
【0059】
次に、制御部151は、第1媒体センサ111から第1媒体信号を取得し、取得した第1媒体信号に基づいて、載置台103に媒体が載置されているか否かを判定する(ステップS102)。載置台103に媒体が載置されていない場合、制御部151は、一連のステップを終了する。
【0060】
一方、載置台103に媒体が載置されている場合、制御部151は、給送ローラ112、ブレーキローラ113、搬送ローラ119、第1対向ローラ120、排出ローラ123及び/又は第2対向ローラ124の表面移動速度を設定する(ステップS103)。表面移動速度は、各ローラにおける媒体と接する面が移動する速度である。即ち、給送ローラ112、搬送ローラ119、第1対向ローラ120、排出ローラ123及び/又は第2対向ローラ124の表面移動速度は、給送ローラ112、搬送ローラ119及び排出ローラ123による媒体の搬送速度である。ブレーキローラ113の表面移動速度は、ブレーキローラ113における媒体と接する面が媒体給送方向と逆方向に移動する速度である。以下では、各ローラの表面移動速度を単に速度と称する場合がある。
【0061】
また、媒体搬送装置100は、媒体を搬送させる搬送モードとして、高速モード、中速モード及び低速モードを有する。搬送モードは、利用者により操作装置105又は情報処理装置を用いて、媒体読取処理が実行される前に設定される。
【0062】
図10~
図12は、給送ローラ112、ブレーキローラ113、搬送ローラ119、第1対向ローラ120、排出ローラ123及び第2対向ローラ124の速度変化について説明するためのグラフである。
図10は、高速モード時の各ローラの速度変化を示し、
図11は、中速モード時の各ローラの速度変化を示し、
図12は、低速モード時の各ローラの速度変化を示す。
【0063】
図10~
図12において、グラフG11、G21、G31は、給送ローラ112の速度変化を示し、グラフG12、G22、G32は、ブレーキローラ113の速度変化を示し、グラフG13、G23、G33は、搬送ローラ119の速度変化を示す。第1対向ローラ120、排出ローラ123及び第2対向ローラ124の速度は、搬送ローラ119の速度と同様に変化するため、以下では、代表して搬送ローラ119の速度変化について説明する。各グラフG11~G13、G21~G23、G31~G33の横軸は時刻を示し、縦軸は速度を示す。
【0064】
一方、グラフG14は、第5媒体センサ118の信号値の変化を示し、グラフG15は、第6媒体センサ121の信号値の変化を示す。各グラフG14、G15の横軸は時刻を示し、縦軸は信号値を示す。本実施形態では、各センサの位置に媒体が存在しない場合、対応する信号の信号値がLとなり、各センサの位置に媒体が存在する場合、対応する信号の信号値がHとなる。
【0065】
図10~
図12において、時刻T1は、媒体給送開始時を示す。
図10~
図12に示すように、搬送モードが高速モード、中速モード及び低速モードの何れに設定されている場合も、媒体給送開始時において、制御部151は、給送ローラ112の速度を初期速度V1に設定する。また、搬送モードが高速モードに設定されている場合、制御部151は、ブレーキローラ113の速度を初期速度U1に設定し、搬送ローラ119の速度を初期速度W1に設定する。ブレーキローラ113の初期速度U1は、給送ローラ112の初期速度V1の1/2より高い速度に設定される。さらに、ブレーキローラ113の初期速度U1は、給送ローラ112の初期速度V1より低い速度に設定されてもよい。
【0066】
一方、搬送モードが中速モードに設定されている場合、制御部151は、ブレーキローラ113の速度を最終速度U3bに設定し、搬送ローラ119の速度を最終速度W3bに設定する。ブレーキローラ113の最終速度U3bは、後述する高速モード時のブレーキローラ113の最終速度U3aより低い(遅い)速度に設定される。搬送ローラ119の最終速度W3bは、後述する高速モード時の搬送ローラ119の最終速度W3aより低い速度に設定される。また、搬送モードが低速モードに設定されている場合、制御部151は、ブレーキローラ113の速度を最終速度U3cに設定し、搬送ローラ119の速度を最終速度W3cに設定する。ブレーキローラ113の最終速度U3cは、中速モード時のブレーキローラ113の最終速度U3bより低い速度に設定される。搬送ローラ119の最終速度W3cは、中速モード時の搬送ローラ119の最終速度W3cより低い速度に設定される。
【0067】
次に、制御部151は、第1モータ131及び第2モータ132を駆動する。これにより、制御部151は、給送ローラ112、ブレーキローラ113、搬送ローラ119、第1対向ローラ120、排出ローラ123及び/又は第2対向ローラ124を回転させて、媒体を給送及び搬送させる(ステップS104)。
【0068】
制御部151は、各ローラを、設定した各速度で回転させるように、第1モータ131及び第2モータ132を制御する。
図10~
図12に示すように、時刻T1で各モータの駆動を開始してから所定のスルーアップ期間経過後に、各ローラは、設定された各速度で回転する。なお、以降においても同様に、制御部151が各ローラの速度を増大させた場合、各モータの駆動を開始してから所定のスルーアップ期間経過後に、各ローラは、設定された各速度で回転する。また、制御部151が各ローラの速度を低減させた場合も同様に、各モータの駆動を開始してから所定のスルーダウン期間経過後に、各ローラは、設定された各速度で回転する。
【0069】
次に、制御部151は、搬送された媒体の先端が第5媒体センサ118の位置を通過するまで待機する(ステップS105)。制御部151は、第5媒体センサ118から定期的に第5媒体信号を取得し、第5媒体信号の信号値が、媒体が存在しないことを示す値から媒体が存在することを示す値に変化したときに、媒体の先端が第5媒体センサ118の位置を通過したと判定する。
【0070】
次に、制御部151は、給送ローラ112及びブレーキローラ113の速度を変更する(ステップS106)。
【0071】
図10~
図12において、時刻T2は、第5媒体信号の信号値がLからHに変化した時、即ち媒体の先端が第5媒体センサ118の位置を通過した時を示す。
図10~
図12に示すように、媒体の先端が第5媒体センサ118の位置を通過した時に変更される給送ローラ112の速度は、搬送モードに応じて異なる。
【0072】
搬送モードが高速モードに設定されている場合、制御部151は、給送ローラ112の速度を最終速度V3aに変更する。給送ローラ112の最終速度V3aは、給送ローラ112の初期速度V1より高く且つ後述する搬送ローラ119の最終速度W3a以下の速度に設定される。給送ローラ112の最終速度V3aは、搬送ローラ119の最終速度W3aと同一の速度に設定されてもよい。搬送モードが中速モードに設定されている場合、制御部151は、給送ローラ112の速度を最終速度V3bに変更する。中速モード時の給送ローラ112の最終速度V3bは、初期速度V1より高く且つ高速モード時の最終速度V3aより低い速度に設定される。搬送モードが低速モードに設定されている場合、制御部151は、給送ローラ112の速度を最終速度V3cに変更する。低速モード時の給送ローラ112の最終速度V3cは、初期速度V1より高く且つ中速モード時の最終速度V3bより低い速度に設定される。
【0073】
また、搬送モードが高速モードに設定されている場合、制御部151は、ブレーキローラ113の速度を最終速度U3aに変更し、搬送ローラ119の速度を最終速度W3aに変更する。ブレーキローラ113の最終速度U3aは、ブレーキローラ113の初期速度U1より高い速度に設定される。搬送ローラ119の最終速度W3aは、搬送ローラ119の初期速度W1より高い速度に設定される。一方、搬送モードが中速モードに設定されている場合、ブレーキローラ113及び搬送ローラ119の速度は、既に最終速度U3b、W3bに設定されているため、制御部151は、ブレーキローラ113及び搬送ローラ119の速度を変更しない。同様に、搬送モードが低速モードに設定されている場合、ブレーキローラ113及び搬送ローラ119の速度は、既に最終速度U3c、W3cに設定されているため、制御部151は、ブレーキローラ113及び搬送ローラ119の速度を変更しない。
【0074】
次に、制御部151は、搬送された媒体の先端が搬送ローラ119の位置を通過するまで待機する(ステップS107)。制御部151は、第6媒体センサ121から定期的に第6媒体信号を取得し、第6媒体信号の信号値が、媒体が存在しないことを示す値から媒体が存在することを示す値に変化したときに、媒体の先端が第6媒体センサ121の位置を通過したと判定する。制御部151は、媒体の先端が第6媒体センサ121の位置を通過したときに、媒体の先端が搬送ローラ119の位置を通過したと判定する。
【0075】
次に、制御部151は、給送ローラ112を停止させるように、第1モータ131を制御する(ステップS108)。
【0076】
図10~
図12において、時刻T3は、第6媒体信号の信号値がLからHに変化した時、即ち媒体の先端が第6媒体センサ121の位置を通過した時を示す。
図10~
図12に示すように、媒体の先端が第6媒体センサ121の位置を通過した後に、制御部151は、給送ローラ112を停止させる(速度を0に変更する)。これにより、以降、媒体は搬送ローラ119により搬送され、給送ローラ112は、搬送される媒体によって連れ回る。制御部151は、給送ローラ112を停止させることにより、媒体が給送ローラ112によって押されて、給送ローラ112と搬送ローラ119の間で撓んでしまい、媒体のジャムが発生することを抑制できる。
【0077】
次に、制御部151は、撮像装置122に媒体の撮像を開始させる(ステップS109)。
【0078】
次に、制御部151は、搬送された媒体の後端が第5媒体センサ118の位置を通過するまで待機する(ステップS110)。制御部151は、第5媒体センサ118から定期的に第5媒体信号を取得し、第5媒体信号の信号値が、媒体が存在することを示す値から媒体が存在しないことを示す値に変化したときに、媒体の後端が第5媒体センサ118の位置を通過したと判定する。
【0079】
次に、制御部151は、第1媒体センサ111から受信する第1媒体信号に基づいて載置台103に媒体が残っているか否かを判定する(ステップS111)。
【0080】
載置台103に媒体が残っている場合、制御部151は、後続する媒体を給送するための給送ローラ112の速度を設定する(ステップS112)。
【0081】
図10~
図12において、時刻T4は、第5媒体信号の信号値がHからLに変化した時、即ち媒体の後端が第5媒体センサ118の位置を通過した時を示す。
図10~
図12に示すように、媒体の後端が第5媒体センサ118の位置を通過した時に、後続する媒体を給送するために設定される給送ローラ112の速度は、搬送モードに応じて異なる。搬送モードが高速モード又は中速モードに設定されている場合、制御部151は、給送ローラ112の速度を第1中間速度V2aに設定する。第1中間速度V2aは、第1速度の一例であり、初期速度V1より高く且つ最終速度V3a及び最終速度V3bより低い速度に設定される。第1速度は、二番目以降の媒体を給送する際の給送ローラ112の一段階目の速度である。なお、第1中間速度V2aは、最終速度V3cと略同一の速度に設定されてもよい。一方、搬送モードが低速モードに設定されている場合、制御部151は、給送ローラ112の速度を最終速度V3cに設定する。
【0082】
次に、制御部151は、第1モータ131を駆動することにより、給送ローラ112を回転させて、後続する媒体を給送及び搬送させる(ステップS113)。制御部151は、給送ローラ112を、設定した速度で回転させるように第1モータ131を制御する。
【0083】
次に、制御部151は、後続する媒体の先端が第2媒体センサ114の位置を通過するまで待機する(ステップS114)。制御部151は、第2媒体センサ114から定期的に第2媒体信号を取得し、第2媒体信号の信号値が、媒体が存在しないことを示す値から媒体が存在することを示す値に変化したときに、媒体の先端が第2媒体センサ114の位置を通過したと判定する。
【0084】
次に、制御部151は、給送ローラ112の速度を変更する(ステップS115)。
【0085】
図10~
図12に示すように、後続する媒体の先端が第2媒体センサ114の位置を通過した時に変更される給送ローラ112の速度は、搬送モードに応じて異なる。搬送モードが高速モードに設定されている場合、制御部151は、給送ローラ112の速度を第2中間速度V2bに変更する。第2中間速度V2bは、第2速度の一例であり、第1中間速度V2aより高く且つ最終速度V3aより低い速度に設定される。第2速度は、二番目以降の媒体を給送する際の給送ローラ112の二段階目の速度である。なお、第2中間速度V2bは、最終速度V3bと略同一の値に設定されてもよい。一方、搬送モードが中速モードに設定されている場合、制御部151は、給送ローラ112の速度を最終速度V3bに変更する。また、搬送モードが低速モードに設定されている場合、制御部151は、給送ローラ112の速度を変更しない。
【0086】
次に、制御部151は、先行する媒体の後端が撮像装置122の撮像位置を通過するまで待機する(ステップS116)。制御部151は、第6媒体センサ121から定期的に第6媒体信号を取得し、第6媒体信号の信号値が、媒体が存在することを示す値から媒体が存在しないことを示す値に変化したときに、先行する媒体の後端が第6媒体センサ121の位置を通過したと判定する。制御部151は、先行する媒体の後端が第6媒体センサ121の位置を通過してから第1所定時間が経過したときに、先行する媒体の後端が撮像位置を通過したと判定する。第1所定時間は、媒体が第6媒体センサ121の位置から撮像位置まで移動するのに要する時間にマージンを加えた値に設定される。
【0087】
次に、制御部151は、撮像装置122から入力画像を取得し、取得した入力画像を記憶装置140に記憶する。制御部151は、記憶装置140に記憶した入力画像を、インタフェース装置135を介して情報処理装置に送信することにより出力し、記憶装置140から削除する(ステップS117)。
【0088】
次に、制御部151は、ステップS105の処理と同様にして、後続する媒体の先端が第5媒体センサ118の位置を通過するまで待機する(ステップS118)。
【0089】
次に、制御部151は、給送ローラ112の速度を変更する(ステップS119)。
【0090】
図10~
図12において、時刻T5は、第5媒体信号の信号値がLからHに変化した時、即ち後続する媒体の先端が第5媒体センサ118の位置を通過した時を示す。
図10~
図12に示すように、搬送モードが高速モードに設定されている場合、後続する媒体の先端が第5媒体センサ118の位置を通過した時に、制御部151は、給送ローラ112の速度を最終速度V3aに変更する。一方、搬送モードが中速モード又は低速モードに設定されている場合、制御部151は、給送ローラ112の速度を変更しない。
【0091】
次に、制御部151は、処理をステップS107へ戻し、後続する媒体に対して、ステップS107以降の処理を繰り返す。この場合、ステップS107において、制御部151は、後続する媒体の先端が搬送ローラ119の位置を通過する(
図10の時刻T6)まで待機し、ステップS108において、給送ローラ112を停止させるように、第1モータ131を制御する。
【0092】
一方、ステップS111において、載置台103に媒体が残っていなかった場合、制御部151は、ステップS116の処理と同様にして、搬送された媒体の後端が撮像装置122の撮像位置を通過するまで待機する(ステップS120)。
【0093】
次に、制御部151は、撮像装置122から入力画像を取得し、取得した入力画像を、インタフェース装置135を介して情報処理装置に送信することにより出力する(ステップS121)。
【0094】
次に、制御部151は、搬送された媒体の後端が排出ローラ123の位置を通過するまで待機する(ステップS122)。制御部151は、媒体の後端が第6媒体センサ121の位置を通過してから第2所定時間が経過したときに、媒体の後端が排出ローラ123の位置を通過したと判定する。第2所定時間は、媒体が第6媒体センサ121の位置から排出ローラ123の位置まで移動するのに要する時間にマージンを加えた値に設定される。
【0095】
次に、制御部151は、ブレーキローラ113、搬送ローラ119、第1対向ローラ120、排出ローラ123及び/又は第2対向ローラ124を停止させるように、第2モータ132を制御し(ステップS123)、一連のステップを終了する。
【0096】
なお、ステップS117において、制御部151は、入力画像の送信が完了していなくても、ステップS118以降の処理を実行してもよい。その場合、ステップS118において、制御部151は、後続する媒体の先端が第5媒体センサ118の位置を通過したときに、記憶装置140の空き容量が所定量未満である場合に、後続する媒体の給送を一旦停止させてもよい。制御部151は、記憶装置140の空き容量が所定量以上になるまで、給送ローラ112を停止させるように第1モータ131を制御する。これにより、媒体搬送装置100は、入力画像を確実に送信しつつ、媒体を効率良く搬送させることが可能となる。
【0097】
また、ステップS118において、制御部151は、後続する媒体の先端が第5媒体センサ118の位置を通過したときに、先行する媒体の後端と後続する媒体の先端の間の距離が短い場合、後続する媒体の給送を一旦停止させてもよい。例えば、制御部151は、先行する媒体の後端が第5媒体センサ118又は第6媒体センサ121の位置を通過してから、後続する媒体の先端が第5媒体センサ118の位置を通過するまでの時間を検出する。制御部151は、測定した時間が第3所定時間未満である場合、先行する媒体の後端が第5媒体センサ118又は第6媒体センサ121の位置を通過してから第3所定時間が経過するまで、給送ローラ112を停止させるように第1モータ131を制御する。これにより、媒体搬送装置100は、媒体のジャムの発生を抑制しつつ、効率良く媒体を搬送させることが可能となる。
【0098】
図13(a)、(b)は、
図8及び
図9に示した媒体読取処理に従って媒体を給送することの技術的意義について説明するための模式図である。
【0099】
図13(a)、(b)は、給送ローラ112及びブレーキローラ113を側方から見た模式図である。
図13(a)は、載置台103に媒体群Mが載置された状態から一番目の媒体M1が給送されている様子を示し、
図13(b)は、載置台103に媒体群Mが載置された状態から二番目以降の媒体M2が給送されている様子を示す。
【0100】
図13(a)に示すように、載置台103にある程度の量の媒体群Mが載置されている場合、通常、媒体群Mの先端は、利用者により、又は、不図示の揃え部材により揃えられる。そのため、最も下側に配置された一番目の媒体M1の先端は、給送ローラ112とブレーキローラ113のニップ領域に到達していない。この場合、一番目の媒体M1の上に配置された媒体群の重みにより各媒体間の摩擦力が大きくなっている。その摩擦力により、一番目の媒体M1の上に配置された媒体群は、給送される一番目の媒体M1とともに下流側に移動しようとし、ブレーキローラ113に押し付けられる。この時の給送ローラ112の速度が高すぎると、一番目の媒体M1の上に配置された媒体群によってブレーキローラ113が上方に持ち上げられ、その媒体群が給送ローラ112とブレーキローラ113の間に進入して媒体の重送が発生する可能性がある。
【0101】
また、この時の給送ローラ112の速度が高すぎると、一番目の媒体M1の先端が、給送ローラ112とブレーキローラ113のニップ領域に到達する前に浮き上がってしまい、媒体M1が座屈して媒体のジャムが発生する可能性がある。
【0102】
図8のステップS103~S105に示したように、制御部151は、載置台103に載置された媒体のうちの一番目の媒体を給送する際は、給送ローラ112による媒体の給送を開始してから第5媒体センサ118が媒体の先端を検出するまでの分離期間中において、給送ローラ112を一定速度で回転させるように第1モータ131を制御する。一番目の媒体を給送する際の分離期間は、
図10~
図12における時刻T1から時刻T2までの期間である。特に、制御部151は、一番目の媒体を給送する際は、給送ローラ112を、二番目以降の媒体を給送する際の第1中間速度V2aより低い初期速度V1で回転させるように第1モータ131を制御する。制御部151は、一番目の媒体の分離期間中の給送ローラ112の速度を低減させることにより、媒体の重送又はジャムの発生を抑制できる。
【0103】
一方、
図13(b)に示すように、一番目の媒体M1が給送される際に、二番目以降の各媒体M2はブレーキローラ113によって分離され、各媒体M2の先端はブレーキローラ113に当接した状態となる。一番目の媒体M1が給送される場合と同様に、給送ローラ112の速度が高すぎると、二番目以降の各媒体M2が給送される場合にも、媒体の重送又はジャムが発生する可能性がある。しかしながら、一番目の媒体M1が給送される場合と比較すると、二番目以降の各媒体M2が給送される場合に媒体の重送又はジャムが発生する可能性は低い。一方、二番目以降の各媒体M2の分離期間中における給送速度が低すぎると、全ての媒体の搬送が完了するまでに多大な時間が必要となる。但し、二番目以降の各媒体M2を給送する際に、停止している給送ローラ112の速度を急激に増大させると、第1モータ131の脱調が発生する可能性がある。
【0104】
図9のステップS112~S115、S118に示したように、搬送モードが高速モードに設定されている場合、制御部151は、二番目以降の媒体を給送する際は、分離期間中において、給送ローラ112を、一番目の媒体を給送する際の初期速度V1より高い第1中間速度V2a及び第2中間速度V2bで回転させるように第1モータ131を制御する。二番目以降の媒体を給送する際の分離期間は、
図10~
図12における時刻T4から時刻T5までの期間である。特に、制御部151は、載置台103に載置された媒体のうちの二番目以降の媒体を給送する際に、給送ローラ112を第1中間速度V2aで回転させた後に第2中間速度V2bで回転させるように第1モータ131を制御する。このように、制御部151は、二番目以降の媒体の分離期間中の給送ローラ112の速度を低減させつつ、一番目の媒体の分離期間中の速度より高い速度に、段階的に増大させていく。これにより、制御部151は、媒体の重送又はジャム及び第1モータ131の脱調が発生することを抑制しつつ、媒体読取処理に要する処理時間を低減させることが可能となり、給送性能(異常発生の低減)と処理性能(搬送時間の低減)を両立させることが可能となる。
【0105】
図14は、
図8及び
図9に示した媒体読取処理に従って媒体を給送することの技術的意義について説明するための模式図である。
図14は、下側筐体101の下側ガイド101aを上方から見た模式図である。
【0106】
図14は、傾いて搬送された媒体M3の先端が、二つの搬送ローラ119(第1対向ローラ120)のうちの一方のみと接触している状態を示している。搬送ローラ119の速度が給送ローラ112の速度と略同一である場合、媒体M3は、この後、現在の傾きを維持したまま下流側に搬送される。しかしながら、搬送ローラ119の速度が給送ローラ112の速度より高い場合、媒体M3は、この後、接触している側の搬送ローラ119によって引っ張られて矢印A9の方向に回転する。したがって、媒体M3の傾きが増大し、媒体M3が搬送路の側壁に衝突して、媒体のジャムが発生する可能性がある。搬送ローラ119の速度と給送ローラ112の速度との差が大きいほど、媒体のジャムが発生する可能性が高くなる。
【0107】
上記したように、媒体の先端が第5媒体センサ118の位置を通過したときに、記憶装置140の空き容量が不足している場合、又は、媒体間の距離が短い場合、制御部151は、媒体の給送を一旦停止させる可能性がある。しかしながら、制御部151が媒体の給送を一旦停止させた場合、その後、媒体の給送を再開してから、給送ローラ112の速度が、設定した速度に到達するまでにはある程度のスルーアップ期間が必要である。媒体の先端が搬送ローラ119の位置に到達した時点で、給送ローラ112の速度が十分に増大していない場合、媒体のスキューが発生する可能性がある。そのため、制御部151は、媒体の給送を一旦停止させる場合、媒体を搬送ローラ119より十分に上流側の位置で停止させておく必要がある。但し、制御部151が第1モータ131を停止させてから、給送ローラ112の回転が完全に停止するまでには、ある程度のスルーダウン期間が必要である。例えば、給送ローラ112と搬送ローラ119の間の距離を十分に大きくすることにより、上記の問題を回避することができるが、その場合、装置全体のサイズが増大する。
【0108】
図8、
図9のステップS106、S119に示したように、制御部151は、高速モードにおいて、第5媒体センサ118が媒体の先端を検出した後に、給送ローラ112を第2中間速度V2bより高い最終速度V3aで回転させるように第1モータ131を制御する。そのため、媒体の先端が第5媒体センサ118の位置を通過した時点で、給送ローラ112の速度は、最終速度V3aより低い第2中間速度V2bに設定されており、制御部151は、十分に短時間で給送ローラ112の回転を完全に停止させることができる。なお、中速モード及び低速モードでは、媒体の先端が第5媒体センサ118の位置を通過した時点で、給送ローラ112の速度は最終速度V3b及び最終速度V3cに設定されている。しかしながら、最終速度V3b及び最終速度V3cは最終速度V3aより低いため、制御部151は、十分に短時間で給送ローラ112の回転を完全に停止させることができる。
【0109】
したがって、制御部151は、媒体の給送を一旦停止させる際に、媒体を搬送ローラ119より十分に上流側の位置で停止させることが可能となる。これにより、制御部151は、媒体の給送を再開する際に、媒体の先端が搬送ローラ119の位置に到達するまでに給送ローラ112の速度を十分に増大させることが可能となり、媒体の傾きの増大を抑制し、媒体のジャムの発生を抑制することができる。
【0110】
また、
図9のステップS114、S115に示したように、制御部151は、二番目以降の媒体を給送する際の分離期間中において、第2媒体センサ114が媒体の先端を検出した時に、給送ローラ112を第2中間速度V2bで回転させるように第1モータ131を制御する。媒体の先端が第2媒体センサ114の位置を通過した後、即ち給送ローラ112とブレーキローラ113のニップ領域を通過した後は、その媒体の先端がブレーキローラ113と衝突して浮き上がることはない。そのため、媒体が座屈して媒体のジャムが発生する可能性は低い。制御部151は、第2媒体センサ114が媒体の先端を検出した時に、媒体の先端が給送ローラ112とブレーキローラ113のニップ領域を通過したとみなし、給送ローラ112の速度を増大させる。これにより、制御部151は、媒体のジャムの発生を抑制しつつ、媒体の給送時間を低減させることが可能となる。
【0111】
特に、給送ローラ112が第1中間速度V2aで回転する期間が短くなり、第2中間速度V2bで回転する期間が長くなることにより、第2中間速度V2bが低くても、媒体の給送速度をトータルとして高くすることができる。即ち、制御部151は、第2中間速度V2bを低くすることが可能となり、上記したように媒体の給送を一旦停止させる場合、媒体を搬送ローラ119より十分に上流側の位置で停止させることが可能となる。なお、
図9のステップS114、S115において、制御部151は、媒体の先端が第2媒体センサ114の位置を通過した時でなく、媒体の給送を開始してから第4所定時間が経過した時に、給送ローラ112の速度を変更してもよい。第4所定時間は、事前の実験により、媒体の給送を開始してから媒体の先端が給送ローラ112とブレーキローラ113のニップ領域を通過するまでに要する時間に設定される。その場合、第2媒体センサ114は省略されてもよい。また、第2媒体センサ114が省略される場合、第5媒体センサ118が、第2媒体センサ114の位置に配置されてもよい。
【0112】
また、制御部151は、第1モータ131及び/又は第2モータ132のスルーアップ期間において、第1モータ131及び/又は第2モータ132に供給する電流量を増大させてもよい。これにより、各モータの速度を短期間に増大させても各モータの脱調が発生する可能性が低くなり、スルーアップに必要な距離を低減させることが可能となる。また、電流量を増大する期間をスルーアップ期間に限定することにより、媒体搬送装置100は、全体として消費電力量が増大することを抑制できる。
【0113】
また、
図13(b)に示したように、給送ローラ112とブレーキローラ113のニップ領域に進入した媒体は、媒体給送方向と反対方向に回転するブレーキローラ113によって押し戻される。給送ローラ112の速度に対するブレーキローラ113の速度の比が大きいほど、媒体は良好に押し戻される。特に、
図13(a)に示したように、一番目の媒体M1の給送を開始する際に、一番目の媒体M1の上側に配置された各媒体の先端は、給送ローラ112とブレーキローラ113のニップ領域に到達していない。そのため、一番目の媒体M1の給送を開始したときに、各媒体は、給送ローラ112とブレーキローラ113のニップ領域に勢いよく進入する。したがって、一番目の媒体M1を給送する際には、他の媒体を良好に上流側に戻せるように、給送ローラ112の速度に対するブレーキローラ113の速度の比は、ある程度大きい値に設定される必要がある。
【0114】
一方、
図13(b)に示したように、二番目以降の媒体M2が給送される場合、各媒体M2の先端は、既にブレーキローラ113に当接している。したがって、二番目以降の媒体M2を給送する際には、給送ローラ112の速度に対するブレーキローラ113の速度の比がある程度小さい値に設定されても、給送される媒体以外の媒体は良好に押し戻される。
【0115】
また、上記したように、ブレーキローラ113は、搬送ローラ119及び排出ローラ123と同一の第2モータ132により駆動される。これにより、媒体搬送装置100は、モータ数を低減させ、装置コスト及び装置サイズの低減を図ることができる。しかしながら、ブレーキローラ113の速度を低減させた場合、搬送ローラ119及び排出ローラ123の速度も低減し、媒体の処理性能が低減する。
【0116】
また、ブレーキローラ113の速度が高いほど、ブレーキローラ113の振動が大きくなり、大音量の振動音(いわゆるびびり音)が発生する。二番目以降の媒体の給送を開始する際には、ブレーキローラ113には媒体が接触しており、振動が抑制されるが、一番目の媒体M1の給送を開始する際、ブレーキローラ113には媒体が接触しておらず、振動が抑制されない。したがって、特に一番目の媒体M1の給送を開始する際、ブレーキローラ113の速度を低減させることが望ましい。
【0117】
図8のステップS103、S106に示したように、制御部151は、載置台103に載置された媒体のうちの一番目の媒体を給送する際の分離期間中におけるブレーキローラ113の回転速度を、二番目以降の媒体を給送する際の分離期間中におけるブレーキローラ113の回転速度より低い速度に設定する。これにより、制御部151は、一番目の媒体を給送する際のブレーキローラ113の振動を抑制し、振動音の発生を抑制できる。一番目の媒体を給送する際の分離期間中において、搬送ローラ119は、まだ媒体を搬送しておらず、ブレーキローラ113の回転速度を低減させても、媒体の搬送時間は増大しない。一方、制御部151は、二番目以降の媒体を給送する際の分離期間中におけるブレーキローラ113の回転速度を増大させることにより、搬送ローラ119の回転速度を高く維持することが可能となる。したがって、媒体搬送装置100は、装置コスト及び装置サイズの増大を抑制しつつ、処理性能(搬送時間の低減)を向上させることが可能となる。
【0118】
また、
図8のステップS103に示したように、制御部151は、媒体給送開始時において、給送ローラ112の速度を十分に低い初期速度V1に設定し、ブレーキローラ113の初期速度U1を給送ローラ112の初期速度V1の1/2より高い速度に設定する。即ち、制御部151は、載置台103に載置された媒体のうちの一番目の媒体を給送する際の分離期間中におけるブレーキローラ113の速度が、一番目の媒体を給送する際の分離期間中における給送ローラ112の速度の1/2より高くなるように、ブレーキローラ113の回転速度を設定する。これにより、ブレーキローラ113は、媒体給送時に、給送ローラ112とブレーキローラ113のニップ領域に進入した媒体を良好に押し戻すことができる。
【0119】
以上詳述したように、媒体搬送装置100は、媒体の給送を開始してから媒体の先端が給送ローラ112を通過するまでの期間において、給送ローラ112の回転速度を段階的に増大させる。これにより、媒体搬送装置100は、媒体の給送時間を低減させつつ、記憶装置140の空き容量が不足している場合、又は、連続して給送される媒体間の距離が短い場合等に、媒体の給送の停止及び再開を適切に制御することが可能となった。したがって、媒体搬送装置100は、媒体の給送をより良好に制御することが可能となった。
【0120】
特に、媒体搬送装置100は、モータの制御方法を工夫することにより、特別な構成を有するモータ又は媒体センサを用いることなく、媒体の給送をより良好に制御することが可能となった。したがって、媒体搬送装置100は、装置コスト及び装置サイズの増大を抑制しつつ、媒体の給送をより良好に制御する。
【0121】
また、媒体搬送装置100は、媒体の分離中は低速で給送ローラ112を回転させ、媒体を分離していない時は高速で給送ローラ112を回転させることにより、媒体を良好に分離しつつ、短時間で搬送させることが可能となった。
【0122】
図15は、他の実施形態に係る媒体搬送装置における給送ローラ112、ブレーキローラ113、搬送ローラ219、第1対向ローラ220、排出ローラ223及び/又は第2対向ローラ224の駆動源について説明するための模式図である。
【0123】
図15に示すように、本実施形態に係る媒体搬送装置は、搬送ローラ119、第1対向ローラ120、排出ローラ123及び第2対向ローラ124の代わりに、搬送ローラ219、第1対向ローラ220、排出ローラ223及び第2対向ローラ224を有する。また、媒体搬送装置は、第2モータ132の代わりに、第2モータ232を有する。
【0124】
搬送ローラ219は、下側筐体101に設けられ、第1対向ローラ220は、上側筐体102に、搬送ローラ219の上側に設けられる。排出ローラ223は、下側筐体101に設けられ、第2対向ローラ224は、上側筐体102に、排出ローラ223の上側に設けられる。
【0125】
第2モータ232は、第1モータ131と別個に、下側筐体101に設けられ、第2伝達機構232aを介して搬送ローラ219、排出ローラ223及びブレーキローラ113と接続され、搬送ローラ219、排出ローラ223及びブレーキローラ113を駆動する。第2モータ232は、処理回路150からの制御信号によって、搬送ローラ219、排出ローラ223及びブレーキローラ113を駆動するための駆動力を発生させる。第2伝達機構232aは、第2モータ232と、搬送ローラ219のシャフト219a、排出ローラ223のシャフト223a及びブレーキローラ113のシャフト113aとの間に設けられた一又は複数のプーリ、ベルト、ギア等を含む。特に、搬送ローラ219のシャフト219a及び/又は排出ローラ223のシャフト223aと、ブレーキローラ113のシャフト113aとの間には、各ローラの回転方向及び回転速度を異ならせるための一又は複数のギアが設けられる。これらのギアは、媒体搬送路を挟んで駆動力を伝達するように、幅方向A8において媒体搬送路の外側に配置される。第2伝達機構232aは、第2モータ232が発生させた駆動力を搬送ローラ219、排出ローラ223及びブレーキローラ113に伝達する。これにより、第2モータ232は、搬送ローラ219、排出ローラ223及びブレーキローラ113を回転させて、搬送ローラ219、排出ローラ223及びブレーキローラ113に媒体を給送、搬送及び排出させる。第2モータ232は、ブレーキローラ113の駆動源の一例である。
【0126】
第1対向ローラ220は、搬送ローラ219に従動回転する従動ローラであり、第2対向ローラ224は、排出ローラ223に従動回転する従動ローラである。なお、第1対向ローラ220及び/又は第2対向ローラ224は、第2モータ232からの駆動力によって駆動するように設けられてもよい。その場合、搬送ローラ219のシャフト219aと第1対向ローラ220のシャフト220aの間、及び/又は、排出ローラ223のシャフト223aと第2対向ローラ224のシャフト224aの間に、一又は複数のギアがさらに設けられる。第2伝達機構232aは、第2モータ232が発生させた駆動力を第1対向ローラ220及び/又は第2対向ローラ224にさらに伝達する。
【0127】
以上詳述したように、媒体搬送装置は、搬送ローラ219を下側筐体101に設けつつ、搬送ローラ219とブレーキローラ113を同一の第2モータ232で駆動する場合も、媒体の給送をより良好に制御することが可能となった。
【0128】
図16は、他の実施形態に係る媒体搬送装置の媒体読取処理の動作の一部の例を示すフローチャートである。
【0129】
図16に示したフローチャートは、
図9に示したフローチャートの代わりに実行される。
図16のステップS211~S213、S216~S223の処理は、
図9のステップS111~S113、S116~S123の処理と同様であるため、説明を省略し、以下では、ステップS214~S215についてのみ説明する。
【0130】
ステップS213で制御部151が給送ローラ112を駆動させた後、判定部152は、搬送される媒体のスキューが発生したか否かを判定する(ステップS214)。判定部152は、第3媒体センサ116及び第4媒体センサ117から定期的に第3媒体信号及び第4媒体信号を取得し、取得した第3媒体信号及び第4媒体信号に基づいて、媒体のスキューが発生したか否かを判定する。判定部152は、第3媒体信号の信号値が、媒体が存在しないことを示す値から媒体が存在することを示す値に変化したときに、媒体の先端が第3媒体センサ116の位置を通過したと判定する。また、判定部152は、第4媒体信号の信号値が、媒体が存在しないことを示す値から媒体が存在することを示す値に変化したときに、媒体の先端が第4媒体センサ117の位置を通過したと判定する。
【0131】
判定部152は、媒体の先端が第3媒体センサ116の位置及び第4媒体センサ117の位置のうちの一方の位置を通過してから第5所定時間以内に他方の位置を通過しなかった場合、媒体のスキューが発生したと判定する。第5所定時間は、事前の実験により、媒体のジャムが発生しない場合の各センサの位置の通過時間の差と、媒体のジャムが発生する場合の各センサの位置の通過時間の差との間の値に設定される。一方、判定部152は、媒体の先端が第3媒体センサ116の位置及び第4媒体センサ117の位置のうちの一方の位置を通過してから第5所定時間以内に他方の位置を通過した場合、媒体のスキューが発生しなかったと判定する。
【0132】
次に、制御部151は、給送ローラ112の速度を変更する(ステップS215)。制御部151は、ステップS115の処理と同様に、搬送モードが中速モードに設定されている場合、給送ローラ112の速度を最終速度V3bに変更し、搬送モードが低速モードに設定されている場合、給送ローラ112の速度を変更しない。一方、制御部151は、搬送モードが高速モードに設定されている場合、媒体のスキューの判定結果に基づいて、給送ローラ112の速度を変更する。
【0133】
図17は、高速モード時の給送ローラ112の速度変化について説明するためのグラフである。
【0134】
図17において、グラフG41は、給送ローラ112の速度変化を示す。グラフG41の横軸は時刻を示し、縦軸は速度を示す。なお、ブレーキローラ113及び搬送ローラ119の速度は、
図10に示したグラフG12、G13と同様に変化する。グラフG14、G15は、第5媒体センサ118、第6媒体センサ121の信号値の変化を示し、
図10に示したグラフG14、G15と同様に変化する。また、時刻T1~T6は、
図10に示した時刻T1~T6と同様の時刻を示す。
【0135】
制御部151は、媒体のスキューが発生した場合、
図10に示したグラフG11のように、給送ローラ112の速度を第2中間速度V2bに変更する。一方、制御部151は、媒体のスキューが発生していない場合、
図17に示すグラフG41のように、給送ローラ112の速度を最終速度V3aに変更する。この場合、最終速度V3aが、第2速度の一例である。また、最終速度V3aは、給送ローラ112の速度と同一の速度に設定される。即ち、制御部151は、判定部152により媒体のスキューが発生したと判定された場合、給送ローラ112の速度が搬送ローラ119の速度より低くなるように、第2速度として第2中間速度V2bを設定する。一方、制御部151は、判定部152により媒体のスキューが発生したと判定されていない場合、給送ローラ112の速度が搬送ローラ119の速度と同じになるように第2速度として最終速度V3aを設定する。
【0136】
上記したように、記憶装置140の空き容量が不足している場合、又は、媒体間の距離が短い場合、制御部151は、媒体の給送を一旦停止させる可能性がある。しかしながら、媒体が傾いており、且つ、搬送ローラ119の速度が給送ローラ112の速度より高い場合、媒体の傾きが増大し、媒体が搬送路の側壁に衝突して、媒体のジャムが発生する可能性がある。制御部151は、媒体のスキューが発生した場合に給送ローラ112の速度を第2中間速度V2bに設定することにより、媒体の給送を一旦停止させる場合に、媒体を搬送ローラ119より十分に上流側の位置で停止させることが可能となる。これにより、制御部151は、媒体の給送を再開する際に、媒体の先端が搬送ローラ119の位置に到達するまでに給送ローラ112の速度を十分に増大させることが可能となり、媒体の傾きの増大を抑制し、媒体のジャムの発生を抑制できる。
【0137】
一方、媒体が傾いていない場合、搬送ローラ119の速度が給送ローラ112の速度より高くても、媒体の傾きが増大して媒体のジャムが発生する可能性は低い。制御部151は、媒体のスキューが発生していない場合、給送ローラ112の速度を最終速度V3aに設定することにより、媒体の給送時間を低減させることが可能となる。したがって、制御部151は、媒体のジャムの発生を抑制しつつ、媒体の搬送時間を低減させることが可能となる。
【0138】
以上詳述したように、媒体搬送装置は、媒体のスキューが発生したか否かにより給送ローラ112の速度を変更する場合も、媒体の給送をより良好に制御することが可能となった。
【0139】
図18は、さらに他の実施形態に係る媒体搬送装置の媒体読取処理の動作の一部の例を示すフローチャートである。
【0140】
図18に示したフローチャートは、
図8に示したフローチャートの代わりに実行される。
図18のステップS301~S306、S308~S311の処理は、
図8のステップS101~S106、S107~S110の処理と同様であるため、説明を省略し、以下では、ステップS307、S312についてのみ説明する。
【0141】
ステップS305又はS118において媒体の先端が第5媒体センサ118の位置を通過するまで待機した後、即ち媒体の先端が超音波センサ115の位置を通過した後、制御部151は、搬送される媒体の厚さを検出する(ステップS307)。制御部151は、超音波センサ115から受信する超音波信号に基づいて、媒体の厚さを検出する。超音波発信器115aにより発信されて媒体を透過する超音波は、その媒体によって減衰し、その媒体が厚いほど、超音波の減衰量は大きくなる。媒体搬送装置100は、超音波受信器115bが受信する超音波の大きさ、即ち超音波信号の信号値と、媒体の厚さとの関係を規定したテーブルを予め記憶装置140に記憶しておく。制御部151は、記憶装置140に記憶されたテーブルを参照し、受信した超音波信号の信号値に対応する媒体の厚さを特定する。
【0142】
なお、制御部151は、超音波センサ115から受信する超音波信号に基づいて、媒体の重送が発生したか否かをさらに判定してもよい。複数の媒体が重なって搬送される場合、媒体を透過する超音波は、重なって搬送される媒体の間の空気層で減衰する。したがって、制御部151は、超音波信号の信号値が重送閾値以下であるか否かによって、媒体の重送が発生したか否かを判定することができる。重送閾値は、一枚の用紙が搬送された時の超音波信号の信号値と、二枚の用紙が搬送された時の超音波信号の信号値との間の値に設定される。媒体の重送が発生したと判定した場合、制御部151は、第1モータ131及び第2モータ132を停止して媒体の搬送及び排出を停止する。なお、制御部151は、現在搬送中の媒体を排出してから媒体読取処理を停止させてもよい。また、制御部151は、各モータを駆動し、搬送路に残っている媒体を逆送させて載置台103に一旦戻してから再給送(分離)するように各ローラを制御してもよい。これにより、利用者は、媒体を載置台103に再載置して再給送する必要がなくなり、制御部151は、利用者の利便性を向上させることが可能となる。また、制御部151は、媒体の重送が発生したことを示す情報を表示装置106に表示し又はインタフェース装置135を介して情報処理装置に送信することにより利用者に通知してもよい。
【0143】
また、制御部151は、超音波センサ115以外の厚さセンサを用いて、媒体の厚さを検出してもよい。厚さセンサは、超音波センサ115が配置される位置に配置される。なお、厚さセンサは、媒体搬送路上の任意の位置に配置されてもよい。厚さセンサは、例えば媒体の搬送路に対して一方の側に設けられた発光器及び受光器のペアと、他方の側に設けられた発光器及び受光器のペアとを含む反射光センサである。反射光センサは、一方のペアが媒体の一方の面に光を照射してから反射光を受光するまでの時間と、他方のペアが媒体の他方の面に光を照射してから反射光を受光するまでの時間とから、各ペアと媒体の各面までの距離を検出する。反射光センサは、二つのペアの間の距離から、検出した各距離を減算した減算値を厚さとして示す厚さ信号を生成する。媒体搬送装置100は、厚さ信号の信号値と、媒体の厚さとの関係を規定したテーブルを予め記憶装置140に記憶しておく。制御部151は、記憶装置140に記憶されたテーブルを参照し、受信した厚さ信号の信号値に対応する媒体の厚さを特定する。なお、厚さセンサは光を用いるものに限定されず、厚さセンサとして、圧力センサ、接触片を用いた厚さセンサ等の、媒体の厚さを検出可能な他の任意のセンサが用いられてもよい。
【0144】
一方、ステップS311において、媒体の後端が第5媒体センサ118の位置を通過するまで待機した後、制御部151は、搬送される媒体のサイズを検出する(ステップS312)。制御部151は、例えば、媒体搬送方向A1における媒体の長さを媒体のサイズとして検出する。制御部151は、第5媒体センサ118から受信する第5媒体信号に基づいて、媒体搬送方向A1における媒体の長さを検出する。制御部151は、第5媒体センサ118が媒体の先端を検出してから媒体の後端を検出するまでの間に、第1モータ131を駆動して給送ローラ112により媒体を移動させた距離を、媒体搬送方向A1における媒体の長さとして算出する。即ち、制御部151は、第5媒体センサ118が媒体の先端を検出してから媒体の後端を検出するまでの時間に、媒体の搬送速度を乗じた値を、媒体搬送方向A1における媒体の長さとして算出する。
【0145】
なお、制御部151は、幅方向A8における媒体の長さを媒体のサイズとして検出してもよい。その場合、媒体搬送装置100は、幅方向A8において多数の第5媒体センサ118を、間隔を空けて並べて配置し、各第5媒体センサ118の配置間隔を予め記憶しておく。制御部151は、搬送される媒体を検出した最も外側の第5媒体センサ118の間の距離に基づいて、幅方向A8における媒体の長さを検出する。
【0146】
また、制御部151は、媒体の撮像が完了した時に、撮像装置122により生成された入力画像に基づいて、媒体搬送方向A1における媒体の長さ又は幅方向A8における媒体の長さを検出してもよい。その場合、制御部151は、公知の画像処理技術を利用して、入力画像から媒体の端部(エッジ)を検出し、媒体の上端と下端の間の距離、又は、左端と右端の間の距離に基づいて、媒体搬送方向A1又は幅方向A8における媒体の長さを検出する。
【0147】
図18に示すフローチャートが実行される場合、
図9に示すフローチャートのステップS115及び/又はS119において、制御部151は、媒体の長さに基づいて、給送ローラ112の速度を変更する。
【0148】
図19は、高速モード時の給送ローラ112の速度変化について説明するためのグラフである。
【0149】
図19において、グラフG51、G52は、給送ローラ112の速度変化の一例を示す。グラフG51、G52の横軸は時刻を示し、縦軸は速度を示す。なお、ブレーキローラ113及び搬送ローラ119の速度は、
図10に示したグラフG12、G13と同様に変化する。グラフG14、G15は、第5媒体センサ118、第6媒体センサ121の信号値の変化を示し、
図10に示したグラフG14、G15と同様に変化する。また、時刻T1~T6は、
図10に示した時刻T1~T6と同様の時刻を示す。
【0150】
ステップS115において、制御部151は、媒体のサイズが第1サイズ閾値以下であり且つ第2サイズ閾値より大きい場合、
図10に示したグラフG11のように、給送ローラ112の速度を第2中間速度V2bに変更する。例えば、第1サイズ閾値は、媒体のサイズが媒体搬送方向A1における媒体の長さである場合、A4縦サイズとA3縦サイズの間の値に設定され、媒体のサイズが幅方向A8における媒体の長さである場合、A4横サイズとA3横サイズの間の値に設定される。第2サイズ閾値は、第1サイズ閾値より小さい値に設定される。例えば、第2サイズ閾値は、媒体のサイズが媒体搬送方向A1における媒体の長さである場合、A5縦サイズとA4縦サイズの間の値に設定され、媒体のサイズが幅方向A8における媒体の長さである場合、A5横サイズとA4横サイズの間の値に設定される。第1サイズ閾値及び第2サイズ閾値は、サイズ閾値の一例である。
【0151】
一方、制御部151は、媒体のサイズが第1サイズ閾値より大きい場合、グラフG51のように、給送ローラ112の速度を第2中間速度V2cに変更する。第2中間速度V2cは、媒体のサイズが第1サイズ閾値以下であり且つ第2サイズ閾値より大きい場合の第2中間速度V2bより高く且つ最終速度V3aより低い速度に設定される。また、制御部151は、媒体のサイズが第2サイズ閾値以下である場合、グラフG52のように、給送ローラ112の速度を第2中間速度V2dに変更する。第2中間速度V2dは、媒体のサイズが第1サイズ閾値以下であり且つ第2サイズ閾値より大きい場合の第2中間速度V2bより低く且つ第1中間速度V2aより高い速度に設定される。
【0152】
また、ステップS119において、制御部151は、媒体のサイズが第1サイズ閾値以下であり且つ第2サイズ閾値より大きい場合、
図10に示したグラフG11のように、給送ローラ112の速度を最終速度V3aに変更する。一方、制御部151は、媒体のサイズが第1サイズ閾値より大きい場合、グラフG51のように、給送ローラ112の速度を最終速度V3dに変更する。最終速度V3dは、媒体のサイズが第1サイズ閾値以下であり且つ第2サイズ閾値より大きい場合の最終速度V3aより高い速度に設定される。なお、制御部151は、給送ローラ112の速度を最終速度V3dに変更した場合、グラフG51の点線D1に示すように、後続する媒体の先端が第5媒体センサ118の位置を通過する前に、給送ローラ112の速度を最終速度V3aに変更してもよい。即ち、制御部151は、後続する媒体の先端が搬送ローラ119の位置を通過する前に、給送ローラ112の速度を最終速度V3aに減速する。これにより、制御部151は、媒体が給送ローラ112によって押されて、給送ローラ112と搬送ローラ119の間で撓んでしまい、媒体のジャムが発生することを抑制できる。また、制御部151は、媒体のサイズが第2サイズ閾値以下である場合、グラフG52のように、給送ローラ112の速度を第2中間速度V2bに変更する。
【0153】
なお、制御部151は、媒体のサイズが第1サイズ閾値より大きい場合には、給送ローラ112の速度を、媒体のサイズが第1サイズ閾値以下であり且つ第2サイズ閾値より大きい場合と同様の速度に変更してもよい。または、制御部151は、媒体のサイズが第2サイズ閾値以下である場合には、給送ローラ112の速度を、媒体のサイズが第1サイズ閾値以下であり且つ第2サイズ閾値より大きい場合と同様の速度に変更してもよい。
【0154】
このように、制御部151は、先行する媒体のサイズが小さい場合、後続する媒体の先端が給送ローラ112とブレーキローラ113のニップ領域を通過した後の給送ローラ112の速度を、先行する媒体のサイズが大きい場合の速度より低くする。即ち、制御部151は、先行する媒体のサイズがサイズ閾値以下である場合の第2速度を、先行する媒体のサイズがサイズ閾値より大きい場合の第2速度より低い速度に設定する。
【0155】
一般に、媒体の長さが短いほど、連続して搬送される媒体の間の距離は短くなる傾向にある。制御部151は、先行する媒体のサイズが小さい場合の給送ローラ112の速度を、先行する媒体のサイズが大きい場合の給送ローラ112速度より低くすることにより、連続して搬送される媒体が衝突してしまうことを抑制できる。
【0156】
なお、
図18に示すフローチャートが実行される場合、
図9に示すフローチャートのステップS115及び/又はS119において、制御部151は、媒体の厚さに基づいて、給送ローラ112の速度を変更してもよい。
【0157】
ステップS114において、制御部151は、媒体の厚さが第1厚さ閾値以下であり且つ第2厚さ閾値より大きい場合、
図10に示したグラフG11のように、給送ローラ112の速度を第2中間速度V2bに変更する。例えば、第1厚さ閾値は、PPC(Plain Paper Copier)用紙の厚さと一般的な名刺の厚さの間の値に設定される。第2厚さ閾値は、第1厚さ閾値より小さい値に設定される。例えば、第2厚さ閾値は、一般的な薄紙の厚さとPPC用紙の厚さの間の値に設定される。第1厚さ閾値及び第2厚さ閾値は、厚さ閾値の一例である。
【0158】
一方、制御部151は、媒体の厚さが第1厚さ閾値より大きい場合、グラフG51のように、給送ローラ112の速度を第2中間速度V2cに変更する。また、制御部151は、媒体の厚さが第2厚さ閾値以下である場合、グラフG52のように、給送ローラ112の速度を第2中間速度V2dに変更する。
【0159】
また、ステップS119において、制御部151は、媒体の厚さが第1厚さ閾値以下であり且つ第2厚さ閾値より大きい場合、
図10に示したグラフG11のように、給送ローラ112の速度を最終速度V3aに変更する。一方、制御部151は、媒体の厚さが第1厚さ閾値より大きい場合、グラフG51のように、給送ローラ112の速度を最終速度V3dに変更する。また、制御部151は、媒体のサイズが第2厚さ閾値以下である場合、グラフG52のように、給送ローラ112の速度を第2中間速度V2bに変更する。
【0160】
なお、制御部151は、媒体の厚さが第1厚さ閾値より大きい場合には、給送ローラ112の速度を、媒体の厚さが第1厚さ閾値以下であり且つ第2厚さ閾値より大きい場合と同様の速度に変更してもよい。または、制御部151は、媒体の厚さが第2厚さ閾値以下である場合には、給送ローラ112の速度を、媒体の厚さが第1厚さ閾値以下であり且つ第2厚さ閾値より大きい場合と同様の速度に変更してもよい。
【0161】
このように、制御部151は、先行する媒体が薄い場合、後続する媒体の先端が給送ローラ112とブレーキローラ113のニップ領域を通過した後の給送ローラ112の速度を、先行する媒体が厚い場合の速度より低くする。即ち、制御部151は、先行する媒体の厚さが厚さ閾値以下である場合の第2速度を、先行する媒体の厚さが厚さ閾値より大きい場合の第2速度より低い速度に設定する。
【0162】
一般に、媒体が薄いほど、媒体のジャムが発生しやすい傾向にある。制御部151は、先行する媒体が薄い場合の給送ローラ112の速度を、先行する媒体が厚い場合の給送ローラ112の速度より低くすることにより、媒体のジャムの発生を抑制できる。
【0163】
なお、ステップS307及びS311のうちの何れか一方の処理は省略されてもよい。また、制御部151は、媒体のサイズ及び厚さの両方に基づいて給送ローラ112の速度を変更してもよい。その場合、制御部151は、先行する媒体が短いほど給送ローラ112の速度を低くし、先行する媒体が薄いほど給送ローラ112の速度を低くする。
【0164】
以上詳述したように、媒体搬送装置は、媒体のサイズ又は厚さに基づいて給送ローラ112の速度を変更する場合も、媒体の給送をより良好に制御することが可能となった。
【0165】
図20、
図21は、さらに他の実施形態に係る媒体搬送装置の媒体読取処理の動作の例を示すフローチャートである。
【0166】
図20、
図21に示したフローチャートは、
図8、
図9に示したフローチャートの代わりに実行される。
図20、
図21のステップS401~S407、S409~S411、S413~S417、S422~S426の処理は、
図8、9のステップS101~S107、S109~S111、S114~S118、S119~S123の処理と同様であるため、説明を省略する。以下では、ステップS408、S412、S418~S421についてのみ説明する。
【0167】
ステップS407において媒体の先端が搬送ローラ119の位置を通過するまで待機した後、制御部151は、給送ローラ112を停止させずに、給送ローラ112の速度を低減させるように、第1モータ131を制御する(ステップS408)。即ち、制御部151は、媒体の先端が搬送ローラ119を通過した時に、給送ローラ112の回転速度を低減させつつ給送ローラ112を回転させ続けるように第1モータ131を制御する。
【0168】
図22は、高速モード時の給送ローラ112の速度変化について説明するためのグラフである。
【0169】
図22において、グラフG61は、給送ローラ112の速度変化の一例を示す。グラフG61の横軸は時刻を示し、縦軸は速度を示す。なお、ブレーキローラ113及び搬送ローラ119の速度は、
図10に示したグラフG12、G13と同様に変化する。グラフG64、G65は、第5媒体センサ118、第6媒体センサ121の信号値の変化を示す。各グラフG64、G65の横軸は時刻を示し、縦軸は信号値を示す。また、時刻T1~T6は、
図10に示した時刻T1~T6と同様の時刻を示す。但し、グラフG61、G64、G65に示す例では、
図10の各グラフに示す例と比較して、先行する媒体の後端と後続する媒体の先端の間の距離が短く、時刻T4と時刻T5の間の時間が短い。
【0170】
グラフG61に示されるように、時刻T3と時刻T4の間において、媒体の先端が搬送ローラ119を通過した時に、給送ローラ112の速度は低減しているが、0にはなっていない。これにより、制御部151は、給送ローラ112と搬送ローラ119の間で媒体のジャムが発生することを抑制しつつ、連続して給送する媒体間の距離を短くし、媒体の搬送時間を低減させることが可能となる。
【0171】
ステップS410において媒体の後端が第5媒体センサ118の位置を通過するまで待機した後に、ステップS411において載置台103に媒体が残っていると判定した場合、制御部151は、給送ローラ112の速度を変更する(ステップS412)。制御部151は、
図9のステップS112と同様に、搬送モードが高速モードに設定されている場合、給送ローラ112の速度を第1中間速度V2aに設定する。
【0172】
ステップS417において媒体の先端が第5媒体センサ118の位置を通過するまで待機した後、制御部151は、先行する媒体の後端が第1位置を通過してから、後続する媒体の先端が第2位置を通過するまでの時間を算出する(ステップS418)。以下では、先行する媒体の後端が第1位置を通過してから、後続する媒体の先端が第2位置を通過するまでの時間を媒体間隔と称する場合がある。第1位置及び第2位置は、例えば第5媒体センサ118の位置に設定される。その場合、制御部151は、ステップS410で先行する媒体の後端が第5媒体センサ118の位置を通過した時刻から、ステップS417で後続する媒体の先端が第5媒体センサ118の位置を通過した時刻までの時間を媒体間隔として算出する。なお、第1位置及び第2位置は、第2媒体センサ114の位置等、他の任意の位置でよい。また、第1位置及び第2位置は、同一位置に限定されず、相互に異なる位置でもよい。
【0173】
次に、制御部151は、算出した媒体間隔が所定時間以下であるか否かを判定する(ステップS418)。媒体間隔が所定時間より大きい場合、制御部151は、処理をステップS422へ移行する。
【0174】
一方、媒体間隔が所定時間以下である場合、制御部151は、媒体間隔に基づいて、給送ローラ112を減速させる減速時間を決定する(ステップS419)。減速時間は、給送ローラ112を一旦停止させてから給送ローラ112の回転を再開するまでの時間、又は、給送ローラ112を減速させてから給送ローラ112を加速させるまでの時間である。
【0175】
制御部151は、媒体間隔が短いほど、減速時間が長くなり、媒体間隔が長いほど減速時間が短くなるように、減速時間を決定する。媒体搬送装置100は、媒体間隔と減速時間との関係を規定したテーブルを予め記憶装置140に記憶しておき、制御部151は、記憶装置140に記憶されたテーブルを参照し、媒体間隔に対応する減速時間を特定する。
【0176】
次に、制御部151は、給送ローラ112の速度を低減させる(ステップS420)。
【0177】
図22のグラフG61に示されるように、媒体間隔(時刻T4から時刻T5までの時間)が短い場合、後続する媒体の先端が第5媒体センサ118の位置を通過した時刻T5において、制御部151は、給送ローラ112の速度を、予め定められた速度に低減させる。制御部151は、例えば、グラフG61の実線L2に示すように、給送ローラ112の速度を少なくとも第2中間速度V2bより低い速度に変更し、給送ローラ112を減速させる。なお、制御部151は、グラフG61の点線D2に示すように、給送ローラ112の速度を0に変更し、給送ローラ112を停止させてもよい。
【0178】
次に、制御部151は、ステップS420で決定した減速時間が経過するまで待機する(ステップS421)。
【0179】
次に、制御部151は、給送ローラ112の速度を変更する(ステップS422)。
【0180】
図22に示すように、制御部151は、
図9のステップS119の処理と同様に、搬送モードが高速モードに設定されている場合、給送ローラ112の速度を最終速度V3aに変更する。
【0181】
このように、制御部151は、媒体間隔が所定時間以下である場合、給送ローラ112を一旦停止又は減速させる。これにより、制御部151は、連続して給送される媒体の衝突の発生を抑制することができる。
【0182】
また、制御部151は、先行する媒体に後続する媒体の先端が第5媒体センサ118を通過した時に、給送ローラ112を一旦停止又は減速させる。そして、制御部151は、媒体間隔に基づいて、給送ローラ112を一旦停止させてから、給送ローラ112の回転を再開するタイミング、又は、給送ローラ112を減速させてから給送ローラ112を加速させるタイミングを決定する。これにより、制御部151は、給送ローラ112を減速させる時間を適切に設定し、連続して給送される媒体の衝突の発生を抑制しつつ、媒体の搬送時間が増大し過ぎることを抑制できる。
【0183】
なお、ステップS408において、制御部151は、
図8のステップS108と同様に、給送ローラ112を停止させるように第1モータ131を制御してもよい。その場合、ステップS412において、制御部151は、
図9のステップS112、S113と同様に、給送ローラ112の速度を設定し、第1モータ131を再駆動することにより、給送ローラ112の回転を再開させる。
【0184】
以上詳述したように、媒体搬送装置は、連続して給送される媒体間の間隔に基づいて給送ローラ112の速度を変更する場合も、媒体の給送をより良好に制御することが可能となった。
【0185】
図23は、さらに他の実施形態に係る媒体搬送装置における給送ローラ112、ブレーキローラ113、搬送ローラ119、第1対向ローラ120、排出ローラ123及び/又は第2対向ローラ124の駆動源について説明するための模式図である。
【0186】
図23に示すように、本実施形態に係る媒体搬送装置は、第1モータ131の代わりに、第1モータ231を有する。また、媒体搬送装置は、第2モータ132の第2伝達機構132aの代わりに、第2伝達機構132bを有する。
【0187】
第1モータ231は、上側筐体102に設けられ、第1伝達機構231aを介して給送ローラ112及びブレーキローラ113と接続され、給送ローラ112とともにブレーキローラ113を駆動する。第1モータ231は、処理回路150からの制御信号によって、給送ローラ112及びブレーキローラ113を駆動するための駆動力を発生させる。第1伝達機構231aは、第1モータ231と、ブレーキローラ113のシャフト113a及び給送ローラ112のシャフト112aとの間に設けられた一又は複数のプーリ、ベルト、ギア等を含む。第1伝達機構231aは、第1モータ231が発生させた駆動力を給送ローラ112及びブレーキローラ113に伝達する。特に、ブレーキローラ113のシャフト113aと、給送ローラ112のシャフト112aとの間には、各ローラの回転方向及び回転速度を異ならせるための一又は複数のギアが設けられる。これらのギアは、媒体搬送路を挟んで駆動力を伝達するように、幅方向A8において媒体搬送路の外側に配置される。これにより、第1モータ231は、給送ローラ112及びブレーキローラ113を回転させて、媒体を給送させる。第1モータ231は、ブレーキローラ113の駆動源の一例である。
【0188】
また、第1モータ231は、ブレーキローラ113側の筐体(上側筐体102)に設けられることにより、確実に、給送ローラ112より先にブレーキローラ113に駆動力を伝達することができる。これにより、第1モータ231は、給送ローラ112の回転を開始させる前に、ブレーキローラ113の回転を開始させることが可能となり、媒体を安定して分離することが可能となる。また、第1モータ231と、ブレーキローラ113のシャフト113aとは、ベルトにより直接に連結されることが好ましい。これにより、第1モータ231は、より確実に、給送ローラ112の回転を開始させる前にブレーキローラ113の回転を開始させることが可能となる。
【0189】
第2モータ132は、第1モータ231と別個に、上側筐体102に設けられ、第2伝達機構132bを介して搬送ローラ119及び排出ローラ123と接続され、搬送ローラ119及び排出ローラ123を駆動する。第2モータ132は、処理回路150からの制御信号によって、搬送ローラ119及び排出ローラ123を駆動するための駆動力を発生させる。第2伝達機構132bは、第2モータ132と、搬送ローラ119のシャフト119a及び排出ローラ123のシャフト123aとの間に設けられた一又は複数のプーリ、ベルト、ギア等を含む。第2伝達機構132bは、第2モータ132が発生させた駆動力を搬送ローラ119及び排出ローラ123に伝達する。これにより、第2モータ132は、搬送ローラ119及び排出ローラ123を回転させて、搬送ローラ119及び排出ローラ123に媒体を搬送及び排出させる。
【0190】
図24、
図25は、さらに他の実施形態に係る媒体搬送装置の媒体読取処理の動作の例を示すフローチャートである。
【0191】
図24、
図25に示したフローチャートは、
図8、
図9に示したフローチャートの代わりに実行される。
図24、
図25のステップS501~S507、S509~S511、S514、S516~S518、S520~S523の処理は、
図8、9のステップS101~S107、S109~S111、S114、S116~S118、S120~S123の処理と同様であるため、説明を省略する。以下では、ステップS508、S512~S513、S515、S519についてのみ説明する。
【0192】
ステップS507において媒体の先端が搬送ローラ119の位置を通過するまで待機した後、制御部151は、給送ローラ112とともにブレーキローラ113を停止又は減速させるように、第1モータ231を制御する(ステップS508)。媒体搬送装置100は、媒体間の距離を確保することを優先する第1モードと、媒体の重送の発生を防止することを優先する第2モードとを有する。第1モード及び第2モードは、利用者により操作装置105又は情報処理装置を用いて設定される。
【0193】
図26は、高速モード時の給送ローラ112、ブレーキローラ113及び搬送ローラ119の速度変化について説明するためのグラフである。
【0194】
図26において、グラフG71は、給送ローラ112の速度変化の一例を示し、グラフG72は、ブレーキローラ113の速度変化の一例を示し、グラフG73は、搬送ローラ119の速度変化の一例を示す。各グラフG71~G73の横軸は時刻を示し、縦軸は速度を示す。グラフG14、G15は、第5媒体センサ118、第6媒体センサ121の信号値の変化を示し、
図10に示したグラフG14、G15と同様に変化する。また、時刻T1~T6は、
図10に示した時刻T1~T6と同様の時刻を示す。
【0195】
第1モードに設定された場合、制御部151は、給送ローラ112及びブレーキローラ113を停止させるように、第1モータ231を制御する。この場合、グラフG71の実線L3及びグラフG72の実線L4に示されるように、時刻T3と時刻T4の間において、給送ローラ112及びブレーキローラ113の速度は0になる。これにより、制御部151は、給送ローラ112と搬送ローラ119の間で媒体のジャムが発生することを確実に抑制することが可能となる。
【0196】
一方、第2モードに設定された場合、制御部151は、給送ローラ112及びブレーキローラ113の回転速度を低減させつつ(停止させずに)、給送ローラ112及びブレーキローラ113を回転させ続けるように、第1モータ231を制御する。この場合、グラフG71の点線D3及びグラフG72の点線D4に示されるように、時刻T3と時刻T4の間において、給送ローラ112及びブレーキローラ113の速度は0にはならないが、低減される。これにより、制御部151は、ブレーキローラ113を停止させることによる分離性能の低減を抑制し、媒体の重送の発生を抑制することが可能となる。
【0197】
ステップS510において媒体の後端が第5媒体センサ118の位置を通過するまで待機した後に、ステップS511において載置台103に媒体が残っていると判定した場合、制御部151は、後続する媒体を給送するための給送ローラ112の速度を設定する(ステップS512)。
【0198】
第1モードに設定されている場合、制御部151は、
図26のグラフG71に示すように、時刻T4において、給送ローラ112の速度を第1中間速度V2aに設定する。また、制御部151は、グラフG72に示すように、時刻T4において、ブレーキローラ113の速度を第1中間速度U2aに設定する。第1中間速度U2aは、初期速度U1より高く且つ最終速度U3aより低い速度に設定される。
【0199】
次に、制御部151は、給送ローラ112及びブレーキローラ113を、設定した速度で回転させるように第1モータ231を制御する(ステップS513)。第1モードに設定されており、給送ローラ112及びブレーキローラ113を停止させていた場合、制御部151は、給送ローラ112及びブレーキローラ113の回転を再開させ、後続する媒体を給送及び搬送させる。
【0200】
一方、第2モードに設定されており、給送ローラ112及びブレーキローラ113を停止させていない場合、制御部151は、給送ローラ112及びブレーキローラ113の速度を変更する。制御部151は、給送ローラ112の速度を第1中間速度V2aに増大させ、ブレーキローラ113の速度を第1中間速度U2aに増大させる。
【0201】
ステップS514で後続する媒体の先端が第2媒体センサ114の位置を通過するまで待機した後、制御部151は、給送ローラ112及びブレーキローラ113の速度を変更する(ステップS515)。
【0202】
図26のグラフG71に示すように、制御部151は、給送ローラ112の速度を第2中間速度V2bに変更する。また、グラフG72に示すように、制御部151は、ブレーキローラ113の速度を第2中間速度U2bに変更する。第2中間速度U2bは、第1中間速度U2aより高く且つ最終速度U3aより低い速度に設定される。
【0203】
ステップS518で後続する媒体の先端が第5媒体センサ118の位置を通過するまで待機した後、制御部151は、給送ローラ112及びブレーキローラ113の速度を変更する(ステップS519)。
【0204】
図26のグラフG71に示すように、時刻T5において、制御部151は、給送ローラ112の速度を最終速度V3aに変更する。また、グラフG72に示すように、制御部151は、ブレーキローラ113の速度を最終速度U3aに変更する。
【0205】
なお、ステップS508において、制御部151は、ブレーキローラ113を減速させつつ、第1モータ231から給送ローラ112への駆動力を遮断するように第1電磁クラッチ133を制御して、給送ローラ112を停止させてもよい。即ち、制御部151は、媒体の先端が搬送ローラ119を通過したときに、第1電磁クラッチ133を制御して第1モータ231から給送ローラ112への駆動力を遮断しつつ、第1モータ231からの駆動力をブレーキローラ113へ伝達し続ける。その場合、ステップS513において、制御部151は、第1モータ231から給送ローラ112への駆動力を伝達するように第1電磁クラッチ133を制御して、給送ローラ112の回転を再開させる。これにより、制御部151は、ブレーキローラ113を停止させることによる分離性能の低減を抑制しつつ、連続して給送される媒体間の距離が詰まることを抑制できる。
【0206】
本実施形態では、給送ローラ112とブレーキローラ113は、同一の第1モータ231により駆動されるため、給送ローラ112の速度とブレーキローラ113の速度とは、比例関係を有する。なお、ブレーキローラ113の速度は、給送ローラ112の速度より低く且つ給送ローラ112の速度の1/2より高くなるように設定される。
【0207】
また、媒体搬送装置は、第1モード及び第2モードのうちの何れか一方のモードで固定的に動作してもよい。
【0208】
以上詳述したように、媒体搬送装置は、給送ローラ112とブレーキローラ113を同一の第1モータ231で駆動する場合も、媒体の給送をより良好に制御することが可能となった。
【0209】
図27は、さらに他の実施形態に係る媒体搬送装置における給送ローラ112、ブレーキローラ113、搬送ローラ219、第1対向ローラ220、排出ローラ223及び/又は第2対向ローラ224の駆動源について説明するための模式図である。
【0210】
図27に示すように、本実施形態に係る媒体搬送装置は、搬送ローラ119、第1対向ローラ120、排出ローラ123及び第2対向ローラ124の代わりに、搬送ローラ219、第1対向ローラ220、排出ローラ223及び第2対向ローラ224を有する。搬送ローラ219、第1対向ローラ220、排出ローラ223及び第2対向ローラ224の構成は、
図15に示した媒体搬送装置における搬送ローラ219、第1対向ローラ220、排出ローラ223及び第2対向ローラ224の構成と同様である。また、媒体搬送装置は、第2モータ132の代わりに、第2モータ232を有する。第2モータ232の構成は、
図15に示した媒体搬送装置における第2モータ232の構成と同様である。また、媒体搬送装置は、第1モータ131の代わりに、第1モータ231を有する。第1モータ231の構成は、
図23に示した媒体搬送装置における第1モータ231の構成と同様である。
【0211】
即ち、本実施形態に係る媒体搬送装置では、
図23に示した媒体搬送装置と同様に、第1モータ231が給送ローラ112とともにブレーキローラ113を駆動し、第2モータ232が搬送ローラ219及び排出ローラ223を駆動する。
【0212】
以上詳述したように、媒体搬送装置は、搬送ローラ219を下側筐体101に設けつつ、給送ローラ112とブレーキローラ113を同一の第1モータ231で駆動する場合も、媒体の給送をより良好に制御することが可能となった。
【0213】
図28は、さらに他の実施形態に係る媒体搬送装置における給送ローラ112、ブレーキローラ113、搬送ローラ119、第1対向ローラ120、排出ローラ123及び/又は第2対向ローラ124の駆動源について説明するための模式図である。
【0214】
図28に示すように、本実施形態に係る媒体搬送装置は、第1モータ131に加えて、第3モータ336を有する。また、媒体搬送装置は、第1モータ131の第1伝達機構131aの代わりに、第1伝達機構131bを有し、第2モータ132の第2伝達機構132aの代わりに、第2伝達機構132bを有する。第2モータ132の構成は、
図23に示した第2モータ132の構成と同様である。
【0215】
第1モータ131は、第1伝達機構131bを介して給送ローラ112と接続され、給送ローラ112を駆動する。第1モータ131は、処理回路150からの制御信号によって、給送ローラ112を駆動するための駆動力を発生させる。第1伝達機構131bは、第1モータ131と給送ローラ112のシャフト112aとの間に設けられた一又は複数のプーリ、ベルト、ギア等を含み、第1モータ131が発生させた駆動力を給送ローラ112に伝達する。これにより、第1モータ131は、給送ローラ112を回転させて、媒体を給送させる。
【0216】
第3モータ336は、第1モータ131及び第2モータ132と別個に、上側筐体102に設けられ、第3伝達機構336aを介してブレーキローラ113と接続され、ブレーキローラ113を駆動する。第3モータ336は、処理回路150からの制御信号によって、ブレーキローラ113を駆動するための駆動力を発生させる。第3伝達機構336aは、第3モータ336とブレーキローラ113のシャフト113aとの間に設けられた一又は複数のプーリ、ベルト、ギア等を含み、第3モータ336が発生させた駆動力をブレーキローラ113に伝達する。これにより、第3モータ336は、ブレーキローラ113を回転させて、媒体を給送させる。第3モータ336は、ブレーキローラ113の駆動源の一例である。
【0217】
図29は、さらに他の実施形態に係る媒体搬送装置の媒体読取処理の動作の一部の例を示すフローチャートである。
【0218】
図29に示したフローチャートは、
図9に示したフローチャートの代わりに実行される。
図29のステップS611、S614~S615、S616、S618、S620、S622~S625の処理は、
図9のステップS111、S112~S113、S116、S117、S118、S120~S123の処理と同様であるため、説明を省略する。以下では、ステップS612~S613、S617、S619、S621についてのみ説明する。
【0219】
ステップS110で媒体の後端が第5媒体センサ118の位置を通過するまで待機した後に、ステップS611において載置台103に媒体が残っていると判定した場合、制御部151は、搬送ローラ119の速度を低減させるように、第2モータ132を制御する(ステップS612)。即ち、制御部151は、媒体の後端が第5媒体センサ118を通過した場合、搬送ローラ119の回転速度を低減させる。
【0220】
図30は、高速モード時の給送ローラ112、ブレーキローラ113及び搬送ローラ119の速度変化について説明するためのグラフである。
【0221】
図30において、グラフG81は、給送ローラ112の速度変化の一例を示し、グラフG82は、ブレーキローラ113の速度変化の一例を示し、グラフG83は、搬送ローラ119の速度変化の一例を示す。各グラフG81~G83の横軸は時刻を示し、縦軸は速度を示す。グラフG14、G15は、第5媒体センサ118、第6媒体センサ121の信号値の変化を示し、
図10に示したグラフG14、G15と同様に変化する。また、時刻T1~T6は、
図10に示した時刻T1~T6と同様の時刻を示す。なお、制御部151は、媒体の後端が第5媒体センサ118でなく、第2媒体センサ114を通過した場合に、搬送ローラ119の回転速度を低減させてもよい。
【0222】
グラフG83に示すように、制御部151は、時刻T4において、媒体の後端が第5媒体センサ118を通過した時に、搬送ローラ119の速度を低減させる。分離中の媒体には、給送ローラ112及びブレーキローラ113により上流側に押しとどめようとする力が働く。媒体の後端が給送ローラ112及びブレーキローラ113から離れた時に、この力がなくなるため、媒体の搬送速度は高くなる傾向にある。制御部151は、媒体の後端が給送ローラ112及びブレーキローラ113を通過した時に搬送ローラ119の速度を低減させることにより、媒体を安定した速度で搬送させることが可能となる。
【0223】
次に、制御部151は、第6所定時間が経過するまで待機する(ステップS613)。第6所定時間は、搬送ローラ119を減速させることにより媒体の搬送が遅れる分だけ、給送ローラ112による媒体の給送を遅れさせることが可能な時間に設定される。これにより、制御部151は、搬送ローラ119による媒体の搬送が遅れる分だけ、給送ローラ112による媒体の給送を遅れさせることが可能となり、媒体を安定した速度で搬送させることが可能となる。なお、ステップS613の処理は省略されてもよい。
【0224】
ステップS616で媒体の後端が撮像位置を通過するまで待機した後、制御部151は、搬送ローラ119の速度を増大させるように、第2モータ132を制御する(ステップS617)。即ち、制御部151は、媒体の後端が撮像装置122の撮像位置を通過した場合、搬送ローラ119の回転速度を増大させる。
【0225】
図30のグラフG83に示すように、制御部151は、時刻T4と時刻T5の間において、媒体の後端が撮像位置を通過した時に、搬送ローラ119の速度を増大させる。制御部151は、媒体の後端が撮像位置を通過してから搬送ローラ119の速度を変更することにより、入力画像に含まれる媒体の伸び又は縮みが発生することを抑制できる。また、媒体の後端が搬送ローラ119及び第1対向ローラ120を通過した場合、媒体にかかる搬送力が低下し、媒体の搬送速度は低くなる傾向にある。制御部151は、媒体の後端が搬送ローラ119及び第1対向ローラ120を通過した後、排出ローラ123の速度を増大させることにより、媒体を安定した速度で搬送させることが可能となる。
【0226】
ステップS618で入力画像を取得した後、制御部151は、給送ローラ112の速度を増大させるように、第1モータ131を制御する(ステップS619)。即ち、制御部151は、媒体の後端が搬送ローラ119を通過した場合、給送ローラ112の回転速度を増大させる。
【0227】
図30のグラフG81の実線L5に示すように、制御部151は、媒体の後端が搬送ローラ119の位置を通過した後に(グラフG15の信号値がHからLに変化した後に)、給送ローラ112の速度を第2中間速度V2bに増大させる。特に、制御部151は、搬送ローラ119の速度を増大させた後に、給送ローラ112の速度を増大させる。これにより、制御部151は、媒体が給送ローラ112によって押されて、給送ローラ112と搬送ローラ119の間で撓んでしまい、媒体のジャムが発生することを抑制できる。
【0228】
なお、グラフG81の点線D5に示すように、制御部151は、媒体の後端が搬送ローラ119の位置を通過した後に、給送ローラ112の速度を、第2中間速度V2bより高い最終速度V3aに増大させてもよい。これにより、制御部151は、搬送ローラ119及び給送ローラ112による媒体の搬送の遅れを取り戻すことが可能となる。
【0229】
ステップS620で媒体の先端が第5媒体センサ118を通過するまで待機した後、制御部151は、給送ローラ112の速度を増大させるように、第1モータ131を制御する(ステップS621)。
【0230】
図30のグラフG81の実線L6に示すように、制御部151は、時刻T5において、給送ローラ112の速度を最終速度V3aに増大させる。なお、グラフG81の点線D6に示すように、制御部151は、時刻T5において、給送ローラ112の速度を、最終速度V3aより高い最終速度V3dに増大させてもよい。これにより、制御部151は、搬送ローラ119及び給送ローラ112による媒体の搬送の遅れを取り戻すことが可能となる。なお、制御部151は、給送ローラ112の速度を最終速度V3dに変更した場合、グラフG81の点線D7に示すように、後続する媒体の先端が第5媒体センサ118の位置を通過する前に、給送ローラ112の速度を最終速度V3aに変更してもよい。これにより、制御部151は、媒体が給送ローラ112によって押されて、給送ローラ112と搬送ローラ119の間で撓んでしまい、媒体のジャムが発生することを抑制できる。
【0231】
本実施形態では、給送ローラ112の駆動源と、ブレーキローラ113の駆動源と、搬送ローラ119及び排出ローラ123の駆動源とを別個に設けているため、各ローラの速度をそれぞれ独立したタイミングで変更することができる。そのため、制御部151は、媒体の給送及び搬送を柔軟に制御することができる。
【0232】
なお、グラフG82の点線D8に示すように、制御部151は、媒体の後端が給送ローラ112とブレーキローラ113のニップ領域を通過中にブレーキローラ113を一旦停止させ、そのニップ領域を通過した後にブレーキローラ113の回転を再開させてもよい。または、グラフG82の点線D9に示すように、制御部151は、媒体の後端がそのニップ領域を通過中にブレーキローラ113の速度を低減させ、そのニップ領域を通過した後にブレーキローラ113の速度を増大させて最終速度U3aに戻してもよい。先行する媒体の後端が給送ローラ112とブレーキローラ113のニップ領域を通過した時に、その媒体によりブレーキローラ113にかかる媒体給送方向の負荷が低減し、ブレーキローラ113が媒体給送方向の反対方向に勢いよく回転する可能性がある。また、その時に、給送ローラ112とブレーキローラ113の弾性変形した部分が元の形状に戻り、後続する媒体が上流側に押し戻される可能性もある。その場合、後続する媒体の先端がブレーキローラ113により押し上げられ(捲れ上がり)、媒体のジャムが発生する可能性がある。制御部151は、媒体の後端がニップ領域を通過する時にブレーキローラ113の速度を低減させることにより、後続する媒体の先端が捲れ上がり、媒体のジャムが発生することを抑制できる。
【0233】
また、制御部151は、ブレーキローラ113の回転を、給送ローラ112の回転より先に開始させてもよい。これにより、制御部151は、載置台103に載置された複数の媒体が給送ローラ112とブレーキローラ113の間に雪崩れ込むことを抑制でき、媒体の重送の発生を抑制できる。
【0234】
以上詳述したように、媒体搬送装置は、給送ローラ112とブレーキローラ113と搬送ローラ219とを別個のモータで駆動し、搬送ローラ119の速度を変更する場合も、媒体の給送をより良好に制御することが可能となった。
【0235】
なお、媒体搬送装置は、搬送ローラ119の速度を変更する場合も、ブレーキローラ113を第1モータ又は第2モータの何れかで駆動してもよい。その場合、制御部151は、ブレーキローラ113の速度を変更するタイミングを、給送ローラ112又は搬送ローラ119の速度を変更するタイミングに合わせる。また、制御部151は、第1電磁クラッチ133又は第2電磁クラッチ134を制御することにより、給送ローラ112又はブレーキローラ113の速度を変更してもよい。また、媒体搬送装置は、搬送ローラ119と第2モータの間に電磁クラッチ等の駆動力遮断機構を有し、制御部151は、駆動力遮断機構を制御することにより、搬送ローラ119の速度を変更してもよい。
【0236】
図31は、さらに他の実施形態に係る媒体搬送装置における給送ローラ112、ブレーキローラ113、搬送ローラ219、第1対向ローラ220、排出ローラ223及び/又は第2対向ローラ224の駆動源について説明するための模式図である。
【0237】
図31に示すように、本実施形態に係る媒体搬送装置は、搬送ローラ119、第1対向ローラ120、排出ローラ123及び第2対向ローラ124の代わりに、搬送ローラ219、第1対向ローラ220、排出ローラ223及び第2対向ローラ224を有する。搬送ローラ219、第1対向ローラ220、排出ローラ223及び第2対向ローラ224の構成は、
図15に示した媒体搬送装置における搬送ローラ219、第1対向ローラ220、排出ローラ223及び第2対向ローラ224の構成と同様である。また、媒体搬送装置は、第2モータ132の代わりに、第2モータ232を有する。第2モータ232の構成は、
図15に示した媒体搬送装置における第2モータ232の構成と同様である。また、媒体搬送装置は、第1モータ131に加えて、第3モータ336を有する。第1モータ131及び第3モータ336の構成は、
図28に示した媒体搬送装置における第1モータ131及び第3モータ336の構成と同様である。
【0238】
即ち、本実施形態に係る媒体搬送装置では、
図28に示した媒体搬送装置と同様に、第1モータ131が給送ローラ112を駆動し、第3モータ336がブレーキローラ113を駆動し、第2モータ232が搬送ローラ219及び排出ローラ223を駆動する。
【0239】
以上詳述したように、媒体搬送装置は、搬送ローラ219を下側筐体101に設けつつ、給送ローラ112とブレーキローラ113と搬送ローラ219とを別個のモータで駆動する場合も、媒体の給送をより良好に制御することが可能となった。
【0240】
図32は、さらに他の実施形態に係る媒体搬送装置の媒体読取処理の動作の一部の例を示すフローチャートである。本実施形態に係る媒体搬送装置は、
図28に示した駆動源又は
図31に示した駆動源を有する。
【0241】
図32に示したフローチャートは、
図9に示したフローチャートの代わりに実行される。
図32のステップS711、S714~S716、S719~S721、S724、S727~S731の処理は、
図9のステップS111、S112~S114、S115~S117、S118、S119~S123の処理と同様であるため、説明を省略する。以下では、ステップS712~S713、S717~S718、S722~S723、S725~S726についてのみ説明する。また、
図32に示したフローチャートが実行される場合、
図8に示したフローチャートのステップS101~S110代わりに、
図18に示したフローチャートのステップS301~S312が実行される。
【0242】
ステップS311で媒体の後端が第5媒体センサ118の位置を通過するまで待機した後、制御部151は、先行する媒体のサイズが第1サイズ閾値より大きいか否かと、第2サイズ閾値より大きいか否かと、を判定する(ステップS712)。先行する媒体のサイズが第1サイズ閾値以下であり且つ第2サイズ閾値以上である場合、制御部151は、特に処理を実行せずに、処理をステップS714へ移行する。
【0243】
一方、先行する媒体のサイズが第1サイズ閾値より大きい場合又は第2サイズ閾値より小さい場合、制御部151は、第7所定時間が経過するまで待機する(ステップS713)。第7所定時間は、例えば、第1サイズ閾値より大きい媒体が搬送される場合に、画像処理に要する時間から、媒体搬送に要する時間を減じた時間に設定される。または、第7所定時間は、給送ローラ112の停止時間を変更しながら第2サイズ閾値より小さい媒体を連続して搬送させる事前の実験において、媒体の衝突が発生した時の停止時間の最大値に設定されてもよい。または、第7所定時間は、後述する処理において排出ローラ123を減速させることにより媒体の排出が遅れる分だけ、給送ローラ112による媒体の給送を遅れさせることが可能な時間に設定されてもよい。
【0244】
即ち、制御部151は、ステップS308で媒体の先端が搬送ローラ119を通過した時に、ステップS309で給送ローラ112を停止させる。また、制御部151は、ステップS311で媒体の後端が第5媒体センサ118の位置を通過した後に、ステップS715で給送ローラ112による給送を再開させる。制御部151は、後端が第5媒体センサ118の位置を通過した媒体のサイズが第1サイズ閾値より大きい場合の給送ローラ112による給送の再開タイミングを、後端が第5媒体センサ118の位置を通過した媒体のサイズが第1サイズ閾値以下である場合の給送ローラ112による給送の再開タイミングより遅らせる。同様に、制御部151は、後端が第5媒体センサ118の位置を通過した媒体のサイズが第2サイズ閾値より小さい場合の給送ローラ112による給送の再開タイミングを、後端が第5媒体センサ118の位置を通過した媒体のサイズが第2サイズ閾値以上である場合の給送ローラ112による給送の再開タイミングより遅らせる。
【0245】
図33は、先行する媒体のサイズが第1サイズ閾値より大きい場合又は第2サイズ閾値より小さい場合の高速モード時の給送ローラ112、ブレーキローラ113及び搬送ローラ119の速度変化について説明するためのグラフである。
【0246】
図33において、グラフG91は、給送ローラ112の速度変化の一例を示し、グラフG92は、ブレーキローラ113の速度変化の一例を示し、グラフG93は、搬送ローラ119の速度変化の一例を示す。各グラフG91~G93の横軸は時刻を示し、縦軸は速度を示す。グラフG14、G15は、第5媒体センサ118、第6媒体センサ121の信号値の変化を示し、
図10に示したグラフG14、G15と同様に変化する。また、時刻T1~T6は、
図10に示した時刻T1~T6と同様の時刻を示す。
【0247】
グラフG91に示すように、先行する媒体のサイズが第1サイズ閾値より大きい場合又は第2サイズ閾値より小さい場合、制御部151は、時刻T4において、給送ローラ112による給送の再開タイミングを遅らせる。サイズが大きい媒体が搬送される場合、入力画像のサイズが大きくなり、画像処理に多大な時間を要する可能性がある。制御部151は、サイズが大きい媒体が搬送される場合に給送の再開タイミングを遅らせることにより、媒体を画像処理のために停止させることなくスムーズに搬送させて良好な画像を取得することが可能となる。また、上記したように、一般に、媒体の長さが短いほど、連続して搬送される媒体の間の距離は短くなる傾向にある。制御部151は、サイズが小さい媒体が搬送される場合に給送の再開タイミングを遅らせることにより、連続して搬送される媒体が衝突してしまうことを抑制できる。また、サイズが大きい媒体又は小さい媒体が搬送される場合、制御部151は、後述する処理において排出ローラ123の速度を低減させる。その場合、制御部151は、給送の再開タイミングを遅らせることにより、媒体を安定した速度で搬送させることが可能となる。
【0248】
ステップS716で媒体の先端が第2媒体センサ114の位置を通過するまで待機した後、制御部151は、先行する媒体のサイズが第1サイズ閾値より大きいか否かと、第2サイズ閾値より小さいか否かと、を判定する(ステップS717)。先行する媒体のサイズが第1サイズ閾値以下であり且つ第2サイズ閾値以上である場合、制御部151は、特に処理を実行せずに、処理をステップS719へ移行する。
【0249】
一方、先行する媒体のサイズが第1サイズ閾値より大きい場合又は第2サイズ閾値より小さい場合、制御部151は、第7所定時間が経過するまで待機する(ステップS718)。
【0250】
図33のグラフG91に示すように、先行する媒体のサイズが第1サイズ閾値より大きい場合又は第2サイズ閾値より小さい場合、制御部151は、時刻T4と時刻T5の間において、給送ローラ112の速度を増大させるタイミングを遅らせる。これにより、制御部151は、サイズが大きい媒体を画像処理のために停止させることなくスムーズに搬送させて良好な画像を取得することが可能となる。また、制御部151は、サイズが小さい媒体が搬送される場合に他の媒体と衝突してしまうことを抑制できる。また、制御部151は、媒体を安定した速度で搬送させることが可能となる。
【0251】
ステップS721で入力画像を取得した後、制御部151は、先行する媒体のサイズが第1サイズ閾値より大きいか否かと、第2サイズ閾値より小さいか否かと、を判定する(ステップS722)。先行する媒体のサイズが第1サイズ閾値以下であり且つ第2サイズ閾値以上である場合、制御部151は、特に処理を実行せずに、処理をステップS724へ移行する。
【0252】
一方、先行する媒体のサイズが第1サイズ閾値より大きい場合又は第2サイズ閾値より小さい場合、制御部151は、搬送ローラ119及び排出ローラ123の速度を低減させるように、第2モータ132を制御する(ステップS723)。
【0253】
即ち、制御部151は、媒体のサイズが第1サイズ閾値より大きい場合の排出ローラ123の回転速度を、媒体のサイズが第1サイズ閾値以下である場合の排出ローラ123の回転速度より低い速度に設定する。また、制御部151は、媒体のサイズが第2サイズ閾値より小さい場合の排出ローラ123の回転速度を、媒体のサイズが第2サイズ閾値以上である場合の排出ローラ123の回転速度より低い速度に設定する。
【0254】
図33のグラフG93に示すように、先行する媒体のサイズが第1サイズ閾値より大きい場合又は第2サイズ閾値より小さい場合、制御部151は、時刻T4と時刻T5の間において、排出ローラ123の速度を低減させる。サイズが大きい媒体が排出される場合、媒体の先端が排出台104の先端を越え、排出台104を越えた先端の重みにより、媒体が排出台104から飛び出してしまう可能性がある。制御部151は、サイズが大きい媒体が排出される場合に排出ローラ123の速度を低減させることにより、媒体が排出台104から飛び出すことを抑制できる。また、サイズが異なる複数の媒体が排出される場合、サイズが小さい媒体のみが勢いよく排出され、媒体の後端が揃わない可能性がある。制御部151は、サイズが小さい媒体が排出される場合に排出ローラ123の速度を低減させることにより、媒体の整列性を向上させることができる。
【0255】
ステップS724で媒体の先端が第5媒体センサ118の位置を通過するまで待機した後、制御部151は、先行する媒体のサイズが第1サイズ閾値より大きいか否かと、第2サイズ閾値より小さいか否かと、を判定する(ステップS725)。先行する媒体のサイズが第1サイズ閾値以下であり且つ第2サイズ閾値以上である場合、制御部151は、特に処理を実行せずに、処理をステップS727へ移行する。
【0256】
一方、先行する媒体のサイズが第1サイズ閾値より大きい場合又は第2サイズ閾値より小さい場合、制御部151は、第7所定時間が経過するまで待機する(ステップS727)。
【0257】
即ち、制御部151は、ステップS724で第5媒体センサ118が媒体の先端を検出した後に、ステップS727で給送ローラ112の回転速度を増大させる。制御部151は、先行する媒体のサイズが第1サイズ閾値より大きい場合に給送ローラ112の回転速度を増大させるタイミングを、先行する媒体のサイズが第1サイズ閾値以下である場合に給送ローラ112の回転速度を増大させるタイミングより遅らせる。同様に、制御部151は、先行する媒体のサイズが第2サイズ閾値より小さい場合に給送ローラ112の回転速度を増大させるタイミングを、先行する媒体のサイズが第2サイズ閾値以上である場合に給送ローラ112の回転速度を増大させるタイミングより遅らせる。
【0258】
図33のグラフG91に示すように、先行する媒体のサイズが第1サイズ閾値より大きい場合又は第2サイズ閾値より小さい場合、制御部151は、時刻T5において、給送ローラ112の速度を増大させるタイミングを遅らせる。これにより、制御部151は、サイズが大きい媒体を画像処理のために停止させることなくスムーズに搬送させて良好な画像を取得することが可能となる。また、制御部151は、サイズが小さい媒体が搬送される場合に他の媒体と衝突してしまうことを抑制できる。また、制御部151は、媒体を安定した速度で搬送させることが可能となる。
【0259】
なお、ステップS712~S713、S717~S718、S722~S723又はS725~S726のうちの何れかの処理は省略されてもよい。また、ステップS712、S717、S722又はS725において、制御部151は、媒体のサイズが第1サイズ閾値より大きいか否か、又は、媒体のサイズが第2サイズ閾値より小さいか否かの何れか一方のみを判定してもよい。その場合、制御部151は、媒体のサイズが第2サイズ閾値より小さいか否かにかかわらず、又は、媒体のサイズが第1サイズ閾値より大きいか否かにかかわらず、ステップS713、S718、S723又はS726の処理を実行する。
【0260】
また、ステップS712、S717又はS725において、制御部151は、後端が第5媒体センサ118の位置を通過した媒体に対して先行する媒体のサイズが第1サイズ閾値より大きいか否かと、第2サイズ閾値より小さいか否かと、を判定してもよい。即ち、制御部151は、後端が第5媒体センサ118の位置を通過した媒体に対して先行する媒体のサイズが第1サイズ閾値より大きい場合の給送ローラ112による給送の再開タイミングを、後端が第5媒体センサ118の位置を通過した媒体に対して先行する媒体のサイズが第1サイズ閾値以下である場合の給送ローラ112による給送の再開タイミングより遅らせる。同様に、制御部151は、後端が第5媒体センサ118の位置を通過した媒体に対して先行する媒体のサイズが第2サイズ閾値より小さい場合の給送ローラ112による給送の再開タイミングを、後端が第5媒体センサ118の位置を通過した媒体に対して先行する媒体のサイズが第2サイズ閾値以上である場合の給送ローラ112による給送の再開タイミングより遅らせる。
【0261】
これらの場合も、制御部151は、サイズが大きい媒体を画像処理のために停止させることなくスムーズに搬送させて良好な画像を取得することが可能となる。また、制御部151は、サイズが小さい媒体が搬送される場合に他の媒体と衝突してしまうことを抑制できる。
【0262】
なお、
図33のG92の点線D8に示すように、制御部151は、媒体の後端が給送ローラ112とブレーキローラ113のニップ領域を通過中にブレーキローラ113を一旦停止させ、そのニップ領域を通過した後にブレーキローラ113の回転を再開させてもよい。または、G92の点線D9に示すように、制御部151は、媒体の後端がそのニップ領域を通過中にブレーキローラ113の速度を低減させ、そのニップ領域を通過した後にブレーキローラ113の速度を増大させて最終速度U3aに戻してもよい。これにより、制御部151は、後続する媒体の先端が捲れ上がり、媒体のジャムが発生することを抑制できる。
【0263】
また、制御部151は、ブレーキローラ113の回転を、給送ローラ112の回転より先に開始させてもよい。これにより、制御部151は、載置台103に載置された複数の媒体が給送ローラ112とブレーキローラ113の間に雪崩れ込むことを抑制でき、媒体の重送の発生を抑制できる。
【0264】
以上詳述したように、媒体搬送装置は、媒体のサイズに基づいて排出ローラ123の速度を変更する場合も、媒体の給送をより良好に制御することが可能となった。
【0265】
なお、媒体搬送装置は、排出ローラ123の速度を変更する場合も、ブレーキローラ113を第1モータ又は第2モータの何れかで駆動してもよい。その場合、制御部151は、ブレーキローラ113の速度を変更するタイミングを、給送ローラ112又は排出ローラ123の速度を変更するタイミングに合わせる。また、制御部151は、第1電磁クラッチ133又は第2電磁クラッチ134を制御することにより、給送ローラ112又はブレーキローラ113の速度を変更してもよい。また、媒体搬送装置は、排出ローラ123と第2モータの間に電磁クラッチ等の駆動力遮断機構を有し、制御部151は、駆動力遮断機構を制御することにより、搬送ローラ119の速度を変更してもよい。
【0266】
図34、
図35は、さらに他の実施形態に係る媒体搬送装置の媒体読取処理の動作の例を示すフローチャートである。本実施形態に係る媒体搬送装置は、
図28に示した駆動源又は
図31に示した駆動源を有する。
【0267】
図34、
図35に示したフローチャートは、
図8、
図9に示したフローチャートの代わりに実行される。
図34、
図35のステップS801~S805、S810~S821、S823~S826の処理は、
図8、
図9のステップS101~S105、S107~SS118、S120~S123の処理と同様であるため、説明を省略する。以下では、ステップS806~S809、S822についてのみ説明する。
【0268】
ステップS805で媒体の先端が第5媒体センサ118の位置を通過するまで待機した後、制御部151は、給送ローラ112を一旦停止させるように、又は、給送ローラ112の速度を低減させるように、第1モータ131を制御する(ステップS806)。
【0269】
図36は、高速モード時の給送ローラ112、ブレーキローラ113及び搬送ローラ119の速度変化について説明するためのグラフである。
【0270】
図36において、グラフG101は、給送ローラ112の速度変化の一例を示し、グラフG102は、ブレーキローラ113の速度変化の一例を示し、グラフG103は、搬送ローラ119の速度変化の一例を示す。各グラフG101~G103の横軸は時刻を示し、縦軸は速度を示す。グラフG14、G15は、第5媒体センサ118、第6媒体センサ121の信号値の変化を示し、
図10に示したグラフG14、G15と同様に変化する。また、時刻T1~T6は、
図10に示した時刻T1~T6と同様の時刻を示す。
【0271】
グラフG101の実線L10に示すように、制御部151は、時刻T2において、給送ローラ112を停止させる。または、グラフG101の点線D10に示すように、制御部151は、時刻T2において、給送ローラ112を減速させる。
【0272】
次に、制御部151は、
図18のステップS307の処理と同様にして、搬送される媒体の厚さを検出する(ステップS807)。
【0273】
次に、制御部151は、検出した媒体の厚さに基づいて、搬送ローラ119の速度を設定し、変更する(ステップS808)。搬送ローラ119の速度は、初期速度W1以上であり且つ最終速度W3a以下である範囲内で設定される。特に、制御部151は、搬送ローラ119の速度が給送ローラ112の速度以上となるように搬送ローラ119の回転速度を設定する。これにより、制御部151は、媒体が給送ローラ112によって押されて、給送ローラ112と搬送ローラ119の間で撓んでしまい、媒体のジャムが発生することを抑制できる。
【0274】
また、搬送ローラ119の速度は、媒体の厚さが小さいほど高くなり、媒体の厚さが大きいほど低くなるように設定される。なお、搬送ローラ119の速度は、媒体の厚さが大きいほど高くなり、媒体の厚さが小さいほど低くなるように設定されてもよい。媒体搬送装置100は、媒体の厚さと、搬送ローラ119の速度の関係を規定したテーブルを予め記憶装置140に記憶しておく。制御部151は、記憶装置140に記憶されたテーブルを参照し、検出した厚さに対応する速度を特定する。
【0275】
このように、制御部151は、検出した媒体の厚さに基づいて、搬送ローラ119の速度を設定する。これにより、制御部151は、媒体の厚さに応じた適切な速度で媒体を搬送させることが可能となる。
【0276】
図36のグラフG103に示すように、制御部151は、給送ローラ112が停止又は減速している状態で、搬送ローラ119の速度をステップS808で設定した速度に変更する。
【0277】
次に、制御部151は、給送ローラ112の回転を再開させるとともに、ブレーキローラ113の速度を変更する。または、制御部151は、給送ローラ112及びブレーキローラ113の速度を変更する。(ステップS809)。
【0278】
図36のグラフG101に示すように、制御部151は、給送ローラ112の速度を最終速度V3aに設定した後、給送ローラ112の回転を再開させる、又は、給送ローラ112の速度を最終速度V3aに増大させるように変更する。また、グラフG102に示すように、制御部151は、ブレーキローラ113の速度を最終速度U3aに増大させるように変更する。
【0279】
このように、制御部151は、媒体の先端が第5媒体センサ118を通過した時に、給送ローラ112を一旦停止又は減速させて、媒体の厚さを検出し且つ媒体の厚さに基づいて搬送ローラ119の回転速度を設定する。その後、制御部151は、給送ローラ112の回転を再開又は給送ローラ112を加速させる。媒体の給送中に媒体の厚さが検出される場合、媒体の揺れ等により検出誤差が発生する可能性がある。制御部151は、給送ローラ112を一旦停止又は減速させた状態で媒体の厚さを検出することにより、より精度良く媒体の厚さを検出することができる。
【0280】
一方、ステップS821で媒体の先端が第5媒体センサ118の位置を通過するまで待機した後、制御部151は、給送ローラ112を一旦停止させるように、又は、給送ローラ112の速度を低減させるように、第1モータ131を制御する(ステップS822)。以降、ステップS807~S809の処理が実行され、制御部151は、次の媒体の厚さを検出し且つ媒体の厚さに基づいて搬送ローラ119の回転速度を設定し、その後、給送ローラ112の回転を再開又は給送ローラ112を加速させる。
【0281】
図36のグラフG101に示すように、制御部151は、時刻T5において、給送ローラ112を停止又は減速させる。その後、制御部151は、グラフG103に示すように、搬送ローラ119の速度をステップS808で新たに設定した速度に変更し、グラフG101に示すように、給送ローラ112の回転を再開又は給送ローラ112を加速させる。
【0282】
以上詳述したように、媒体搬送装置は、媒体の厚さに基づいて搬送ローラ119の速度を変更する場合も、媒体の給送をより良好に制御することが可能となった。
【0283】
なお、媒体搬送装置は、媒体の厚さに基づいて搬送ローラ119の速度を変更する場合も、ブレーキローラ113を第1モータ又は第2モータの何れかで駆動してもよい。その場合、制御部151は、ブレーキローラ113の速度を変更するタイミングを、給送ローラ112又は搬送ローラ119の速度を変更するタイミングに合わせる。また、制御部151は、第1電磁クラッチ133又は第2電磁クラッチ134を制御することにより、給送ローラ112又はブレーキローラ113の速度を変更してもよい。また、媒体搬送装置は、搬送ローラ119と第2モータの間に電磁クラッチ等の駆動力遮断機構を有し、制御部151は、駆動力遮断機構を制御することにより、搬送ローラ119の速度を変更してもよい。
【0284】
図37は、他の実施形態に係る媒体搬送装置における処理回路250の概略構成を示す図である。処理回路250は、媒体搬送装置100の処理回路150の代わりに使用され、処理回路150の代わりに、媒体読取処理等を実行する。処理回路250は、制御回路251及び判定回路252等を有する。なお、これらの各部は、それぞれ独立した集積回路、マイクロプロセッサ、ファームウェア等で構成されてもよい。
【0285】
制御回路251は、制御部の一例であり、制御部151と同様の機能を有する。制御回路251は、操作装置105又はインタフェース装置135から操作信号を受信する。また、制御回路251は、第1媒体センサ111、第2媒体センサ114、超音波センサ115、第5媒体センサ118、第6媒体センサ121から、それぞれ第1媒体信号、第2媒体信号、超音波信号、第5媒体信号及び第6媒体信号を受信する。また、制御回路251は、判定回路252から媒体のスキューの判定結果を受信する。制御回路251は、受信した各情報に基づいて第1モータ131、第2モータ132、第3モータ336、第1電磁クラッチ133、第2電磁クラッチ134を制御するとともに、撮像装置122から入力画像を取得し、インタフェース装置135に出力する。
【0286】
判定回路252は、判定部の一例であり、判定部152と同様の機能を有する。判定回路252は、第3媒体センサ116、第4媒体センサ117、第5媒体センサ118から、それぞれ第3媒体信号、第4媒体信号、第5媒体信号を受信する。判定回路252は、受信した各信号に基づいて媒体のスキューが発生したか否かを判定し、判定結果を制御回路251に出力する。
【0287】
以上詳述したように、媒体搬送装置は、処理回路250を用いる場合も、媒体の給送をより良好に制御することが可能となった。
【0288】
以上、好適な実施形態について説明してきたが、実施形態はこれらに限定されない。例えば、媒体搬送装置100は、媒体として薄紙を搬送するための薄紙搬送モードと、他の媒体を搬送するための通常モードとを有してもよい。その場合、制御部151は、通常モードにおける給送ローラ112の速度が薄紙搬送モードにおける給送ローラ112の速度より大きくなるように、給送ローラ112の回転速度を設定する。これにより、薄紙は他の媒体より低速で搬送されるため、制御部151は、薄紙に搬送によるダメージが発生することを抑制できる。
【0289】
また、上記した各実施形態と同様に、制御部151は、通常モード及び薄紙搬送モードにおいて、搬送ローラ119の速度が給送ローラ112の速度より大きくなるように、給送ローラ112の回転速度及び搬送ローラ119の回転速度を設定する。これにより、制御部151は、通常モード及び薄紙搬送モードにおいて、媒体が給送ローラ112によって押されて、給送ローラ112と搬送ローラ119の間で撓んでしまい、媒体のジャムが発生することを抑制できる。さらに、制御部151は、通常モードにおける搬送ローラ119の速度に対する給送ローラ112の速度の比が、薄紙搬送モードにおける搬送ローラ119の速度に対する給送ローラ112の速度の比より小さくなるように、給送ローラ112の回転速度及び搬送ローラ119の回転速度を設定する。これにより、薄紙搬送モードにおいて、給送ローラ112の速度は搬送ローラ119の速度に近付き、薄紙はより安定して搬送される。
【0290】
また、媒体搬送装置は、媒体を分離しながら給送する分離モードと、媒体を分離せずに給送する非分離モードとを有してもよい。その場合、制御部151は、分離モードで動作する場合に、上記した各媒体読取処理を実行する。一方、非分離モードで動作する場合、制御部151は、ブレーキローラ113が媒体給送方向に回転するように、又は、給送ローラ112に連れ回るように各モータを制御する。その場合、制御部151は、第2電磁クラッチ134を制御して、ブレーキローラ113にかかるトルクの大きさを変更する。これにより、制御部151は、分離モード及び非分離モードの両方において、媒体を適切に給送することができる。
【0291】
また、媒体搬送装置は、高速モード、中速モード及び低速モードを有さず、高速モードで固定的に動作してもよい。
【0292】
また、制御部151は、第5媒体センサ118を使用する判定において、第5媒体センサ118の代わりに、第2媒体センサ114を使用してもよい。即ち、制御部151は、上記した各処理において媒体の先端又は後端が第5媒体センサ118の位置を通過した時に実行する各処理を、媒体の先端又は後端が第2媒体センサ114の位置を通過した時に実行してもよい。
【0293】
また、媒体のサイズ又は厚さは、センサを用いて検出されるのでなく、利用者により操作装置105又は情報処理装置を用いて設定されてもよい。または、媒体のサイズ又は厚さは、利用者により操作装置105又は情報処理装置を用いて設定された媒体種別(用紙、はがき、名刺等)から特定されてもよい。その場合、媒体搬送装置は、媒体種別と、媒体のサイズ又は厚さとの関係を規定したテーブルを予め記憶装置140に記憶しておく。制御部151は、記憶装置140に記憶されたテーブルを参照し、搬送される媒体のサイズ又は厚さを特定する。
上述した実施の形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
(付記1)
媒体を載置する載置台と、
前記載置台に載置された媒体を分離して順次給送する給送ローラと、
前記給送ローラを駆動するモータと、
前記給送ローラによって給送された媒体を搬送する搬送ローラと、
前記給送ローラと前記搬送ローラの間に配置され、媒体を検出するセンサと、
前記給送ローラによる媒体の給送を開始してから前記センサが媒体の先端を検出するまでの分離期間中において、前記載置台に載置された媒体のうちの一番目の媒体を給送する際は、前記給送ローラを一定速度で回転させるように前記モータを制御し、二番目以降の媒体を給送する際は、前記給送ローラを第1速度で回転させた後に前記第1速度より高い第2速度で回転させるように前記モータを制御する制御部と、
を有することを特徴とする媒体搬送装置。
(付記2)
前記制御部は、媒体の先端が前記搬送ローラを通過した時に、前記給送ローラの回転速度を低減させつつ前記給送ローラを回転させ続けるように前記モータを制御する、付記1に記載の媒体搬送装置。
(付記3)
前記制御部は、媒体の後端が前記センサを通過した場合、前記搬送ローラの回転速度を低減させる、付記1~2の何れか一項に記載の媒体搬送装置。
(付記4)
媒体搬送方向において、前記搬送ローラより下流側に配置され、前記搬送ローラによって搬送された媒体を撮像する撮像部をさらに有し、
前記制御部は、媒体の後端が前記撮像部の撮像位置を通過した場合、前記搬送ローラの回転速度を増大させる、付記1~3の何れか一項に記載の媒体搬送装置。
(付記5)
前記制御部は、媒体の後端が前記搬送ローラを通過した場合、前記給送ローラの回転速度を増大させる、付記1~4の何れか一項に記載の媒体搬送装置。
(付記6)
前記制御部は、
媒体のサイズを検出し、
先行する媒体のサイズがサイズ閾値以下である場合の前記第2速度を、先行する媒体のサイズが前記サイズ閾値より大きい場合の前記第2速度より低い速度に設定する、付記1~5の何れか一項に記載の媒体搬送装置。
(付記7)
前記制御部は、
媒体の厚さを検出し、
先行する媒体の厚さが厚さ閾値以下である場合の前記第2速度を、先行する媒体の厚さが前記厚さ閾値より大きい場合の前記第2速度より低い速度に設定する、付記1~6の何れか一項に記載の媒体搬送装置。
(付記8)
前記搬送ローラによって搬送された媒体を排出する排出ローラをさらに有し、
前記制御部は、
媒体のサイズを検出し、
媒体のサイズが第1サイズ閾値より大きい場合の前記排出ローラの回転速度を、媒体のサイズが前記第1サイズ閾値以下である場合の前記排出ローラの回転速度より低い速度に設定する、付記1~7の何れか一項に記載の媒体搬送装置。
(付記9)
前記搬送ローラによって搬送された媒体を排出する排出ローラをさらに有し、
前記制御部は、
媒体のサイズを検出し、
媒体のサイズが第2サイズ閾値より小さい場合の前記排出ローラの回転速度を、媒体のサイズが前記第2サイズ閾値以上である場合の前記排出ローラの回転速度より低い速度に設定する、付記1~7の何れか一項に記載の媒体搬送装置。
(付記10)
前記制御部は、
媒体のサイズを検出し、
前記センサが媒体の先端を検出した後に、前記給送ローラの回転速度を増大させ、
先行する媒体のサイズが第1サイズ閾値より大きい場合に前記給送ローラの回転速度を増大させるタイミングを、先行する媒体のサイズが前記第1サイズ閾値以下である場合に前記給送ローラの回転速度を増大させるタイミングより遅らせる、付記1~9の何れか一項に記載の媒体搬送装置。
(付記11)
前記制御部は、
媒体のサイズを検出し、
媒体の先端が前記搬送ローラを通過した時に前記給送ローラを停止させ、且つ、媒体の後端が所定位置を通過した後に前記給送ローラによる給送を再開させ、
後端が前記所定位置を通過した媒体又は当該媒体に対して先行する媒体のサイズが第1サイズ閾値より大きい場合の前記給送ローラによる給送の再開タイミングを、後端が前記所定位置を通過した媒体又は当該媒体に対して先行する媒体のサイズが前記第1サイズ閾値以下である場合の前記給送ローラによる給送の再開タイミングより遅らせる、付記1~10の何れか一項に記載の媒体搬送装置。
(付記12)
前記制御部は、
媒体の厚さを検出し、
媒体の厚さに基づいて、前記搬送ローラの回転速度を設定する、付記1~11の何れか一項に記載の媒体搬送装置。
(付記13)
前記制御部は、媒体の先端が前記センサを通過した時に、前記給送ローラを一旦停止又は減速させて、媒体の厚さを検出し且つ前記搬送ローラの回転速度を設定し、その後、前記給送ローラの回転を再開又は前記給送ローラを加速させる、付記12に記載の媒体搬送装置。
(付記14)
前記制御部は、前記搬送ローラの表面移動速度が前記給送ローラの表面移動速度以上となるように前記搬送ローラの回転速度を設定する、付記1~13の何れか一項に記載の媒体搬送装置。
(付記15)
前記媒体搬送装置は、通常モード及び薄紙搬送モードを有し、
前記制御部は、前記通常モードにおける前記搬送ローラの表面移動速度に対する前記給送ローラの表面移動速度の比が、前記薄紙搬送モードにおける前記搬送ローラの表面移動速度に対する前記給送ローラの表面移動速度の比より小さく、且つ、前記通常モードにおける前記給送ローラの表面移動速度が前記薄紙搬送モードにおける前記給送ローラの表面移動速度より大きくなるように、前記給送ローラの回転速度及び前記搬送ローラの回転速度を設定する、付記14に記載の媒体搬送装置。
(付記16)
前記制御部は、先行する媒体の後端が第1位置を通過してから、後続する媒体の先端が第2位置を通過するまでの時間が所定時間以下である場合、前記給送ローラを一旦停止又は減速させる、付記1~15の何れか一項に記載の媒体搬送装置。
(付記17)
前記制御部は、先行する媒体に後続する媒体の先端が前記センサを通過した時に、前記給送ローラを一旦停止又は減速させ、先行する媒体の後端が第1位置を通過してから、後続する媒体の先端が第2位置を通過するまでの時間に基づいて、前記給送ローラの回転を再開するタイミング、又は、前記給送ローラを加速させるタイミングを決定する、付記1~16の何れか一項に記載の媒体搬送装置。
【符号の説明】
【0294】
100 媒体搬送装置、103 載置台、112 給送ローラ、113 ブレーキローラ、114 第2媒体センサ、118 第5媒体センサ、119、219 搬送ローラ、122 撮像装置、123、223 排出ローラ、131、231 第1モータ、132、232 第2モータ、133 第1電磁クラッチ、134 第2電磁クラッチ、151 制御部、152 判定部、336 第3モータ
【手続補正書】
【提出日】2024-10-21
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
実施形態の一側面に係る媒体搬送装置は、媒体を載置する載置台と、載置台に載置された媒体を分離して順次給送する給送ローラと、給送ローラによって給送された媒体を搬送する搬送ローラと、給送ローラを駆動するモータと、媒体搬送方向において給送ローラより下流側に配置され、媒体を検出するセンサと、給送ローラによる媒体の給送を開始してからセンサが媒体の先端を検出するまでの分離期間中において、載置台に載置された媒体のうちの一番目の媒体を給送する際は、給送ローラを一定の所定速度で回転させるようにモータを制御し、二番目以降の媒体を給送する際は、給送ローラを所定速度より高い第1速度で回転させた後に第1速度より高い第2速度で回転させるようにモータを制御する制御部と、を有し、制御部は、媒体の先端が搬送ローラを通過した時に、給送ローラの回転速度を低減させつつ給送ローラを回転させ続けるようにモータを制御する。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0008】
また、実施形態の一側面に係る媒体搬送装置は、媒体を載置する載置台と、載置台に載置された媒体を分離して順次給送する給送ローラと、給送ローラを駆動するモータと、媒体搬送方向において給送ローラより下流側に配置され、媒体を検出するセンサと、給送ローラによる媒体の給送を開始してからセンサが媒体の先端を検出するまでの分離期間中において、載置台に載置された媒体のうちの一番目の媒体を給送する際は、給送ローラを一定の所定速度で回転させるようにモータを制御し、二番目以降の媒体を給送する際は、給送ローラを所定速度より高い第1速度で回転させた後に第1速度より高い第2速度で回転させるようにモータを制御する制御部と、を有し、制御部は、先行する媒体のサイズがサイズ閾値以下である場合の第2速度を、先行する媒体のサイズがサイズ閾値より大きい場合の第2速度より低い速度に設定する。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
また、実施形態の一側面に係る媒体搬送装置は、通常モード及び薄紙搬送モードを有する媒体搬送装置であって、媒体を載置する載置台と、載置台に載置された媒体を分離して順次給送する給送ローラと、給送ローラによって給送された媒体を搬送する搬送ローラと、給送ローラを駆動するモータと、媒体搬送方向において給送ローラより下流側に配置され、媒体を検出するセンサと、給送ローラによる媒体の給送を開始してからセンサが媒体の先端を検出するまでの分離期間中において、前記載置台に載置された媒体のうちの一番目の媒体を給送する際は、給送ローラを一定の所定速度で回転させるようにモータを制御し、二番目以降の媒体を給送する際は、給送ローラを所定速度より高い第1速度で回転させた後に第1速度より高い第2速度で回転させるようにモータを制御する制御部と、を有し、制御部は、通常モードにおける搬送ローラの表面移動速度に対する給送ローラの表面移動速度の比が、薄紙搬送モードにおける搬送ローラの表面移動速度に対する給送ローラの表面移動速度の比より小さく、且つ、通常モードにおける給送ローラの表面移動速度が薄紙搬送モードにおける給送ローラの表面移動速度より大きくなるように、給送ローラの回転速度及び搬送ローラの回転速度を設定する。
また、実施形態の一側面に係る制御プログラムは、媒体を載置する載置台と、載置台に載置された媒体を分離して順次給送する給送ローラと、給送ローラを駆動するモータと、媒体搬送方向においてローラより下流側に配置され、媒体を検出するセンサと、を有する媒体搬送装置の制御プログラムであって、給送ローラによる媒体の給送を開始してからセンサが媒体の先端を検出するまでの分離期間中において、載置台に載置された媒体のうちの一番目の媒体を給送する際は、給送ローラを一定の所定速度で回転させるようにモータを制御し、二番目以降の媒体を給送する際は、給送ローラを所定速度より高い第1速度で回転させた後に第1速度より高い第2速度で回転させるようにモータを制御することを媒体搬送装置に実行させる。
【手続補正4】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体を載置する載置台と、
前記載置台に載置された媒体を分離して順次給送する給送ローラと、
前記給送ローラによって給送された媒体を搬送する搬送ローラと、
前記給送ローラを駆動するモータと、
媒体搬送方向において前記給送ローラより下流側に配置され、媒体を検出するセンサと、
前記給送ローラによる媒体の給送を開始してから前記センサが媒体の先端を検出するまでの分離期間中において、前記載置台に載置された媒体のうちの一番目の媒体を給送する際は、前記給送ローラを一定の所定速度で回転させるように前記モータを制御し、二番目以降の媒体を給送する際は、前記給送ローラを前記所定速度より高い第1速度で回転させた後に前記第1速度より高い第2速度で回転させるように前記モータを制御する制御部と、を有し、
前記制御部は、媒体の先端が前記搬送ローラを通過した時に、前記給送ローラの回転速度を低減させつつ前記給送ローラを回転させ続けるように前記モータを制御する、
を有することを特徴とする媒体搬送装置。
【請求項2】
媒体を載置する載置台と、
前記載置台に載置された媒体を分離して順次給送する給送ローラと、
前記給送ローラを駆動するモータと、
媒体搬送方向において前記給送ローラより下流側に配置され、媒体を検出するセンサと、
前記給送ローラによる媒体の給送を開始してから前記センサが媒体の先端を検出するまでの分離期間中において、前記載置台に載置された媒体のうちの一番目の媒体を給送する際は、前記給送ローラを一定の所定速度で回転させるように前記モータを制御し、二番目以降の媒体を給送する際は、前記給送ローラを前記所定速度より高い第1速度で回転させた後に前記第1速度より高い第2速度で回転させるように前記モータを制御する制御部と、を有し、
前記制御部は、先行する媒体のサイズがサイズ閾値以下である場合の前記第2速度を、先行する媒体のサイズが前記サイズ閾値より大きい場合の前記第2速度より低い速度に設定する、
ことを特徴とする媒体搬送装置。
【請求項3】
通常モード及び薄紙搬送モードを有する媒体搬送装置であって、
媒体を載置する載置台と、
前記載置台に載置された媒体を分離して順次給送する給送ローラと、
前記給送ローラによって給送された媒体を搬送する搬送ローラと、
前記給送ローラを駆動するモータと、
媒体搬送方向において前記給送ローラより下流側に配置され、媒体を検出するセンサと、
前記給送ローラによる媒体の給送を開始してから前記センサが媒体の先端を検出するまでの分離期間中において、前記載置台に載置された媒体のうちの一番目の媒体を給送する際は、前記給送ローラを一定の所定速度で回転させるように前記モータを制御し、二番目以降の媒体を給送する際は、前記給送ローラを前記所定速度より高い第1速度で回転させた後に前記第1速度より高い第2速度で回転させるように前記モータを制御する制御部と、を有し、
前記制御部は、前記通常モードにおける前記搬送ローラの表面移動速度に対する前記給送ローラの表面移動速度の比が、前記薄紙搬送モードにおける前記搬送ローラの表面移動速度に対する前記給送ローラの表面移動速度の比より小さく、且つ、前記通常モードにおける前記給送ローラの表面移動速度が前記薄紙搬送モードにおける前記給送ローラの表面移動速度より大きくなるように、前記給送ローラの回転速度及び前記搬送ローラの回転速度を設定する、
ことを特徴とする媒体搬送装置。
【請求項4】
媒体を載置する載置台と、前記載置台に載置された媒体を分離して順次給送する給送ローラと、前記給送ローラを駆動するモータと、媒体搬送方向において前記給送ローラより下流側に配置され、媒体を検出するセンサと、を有する媒体搬送装置の制御プログラムであって、
前記給送ローラによる媒体の給送を開始してから前記センサが媒体の先端を検出するまでの分離期間中において、前記載置台に載置された媒体のうちの一番目の媒体を給送する際は、前記給送ローラを一定の所定速度で回転させるように前記モータを制御し、二番目以降の媒体を給送する際は、前記給送ローラを前記所定速度より高い第1速度で回転させた後に前記第1速度より高い第2速度で回転させるように前記モータを制御する、
ことを前記媒体搬送装置に実行させることを特徴とする制御プログラム。