(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024161249
(43)【公開日】2024-11-15
(54)【発明の名称】電子部品の管理方法および電子部品の収納体
(51)【国際特許分類】
B65G 1/137 20060101AFI20241108BHJP
H05K 13/02 20060101ALI20241108BHJP
【FI】
B65G1/137 A
H05K13/02 D
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024153353
(22)【出願日】2024-09-05
(62)【分割の表示】P 2022568079の分割
【原出願日】2021-10-14
(31)【優先権主張番号】P 2020205229
(32)【優先日】2020-12-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100145713
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 竜太
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(72)【発明者】
【氏名】中川 聖之
(72)【発明者】
【氏名】清水 保弘
(72)【発明者】
【氏名】山田 信人
(72)【発明者】
【氏名】池田 直徒
(57)【要約】
【課題】複数の電子部品が収納される収納体について、少なくとも製造者側で多様な管理の形態を実現することができる電子部品の管理方法および電子部品の収納体を提供する。
【解決手段】複数の電子部品を収納するとともにRFIDタグを備える収納体に複数の電子部品を収納するステップと、収納体に収納された電子部品に関する少なくとも1つの製造者側情報をRFIDタグに書き込むステップと、RFIDタグに製造者側情報が書き込まれ、かつ、複数の電子部品が収納された収納体を出荷するステップと、を含む製造者側ステップと、出荷された収納体を入荷するステップと、RFIDタグに書き込まれた製造者側情報を読み込むステップと、電子回路基板を用意するステップと、読み込まれた製造者側情報に基づいて、電子部品を電子回路基板に配置するステップと、を含む使用者側ステップと、を備える。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品を製造する製造者側施設で行われる製造者側ステップであって、
複数の電子部品を収納するとともにRFIDタグを備える収納体に複数の電子部品を収納するステップと、
前記収納体に収納された前記電子部品に関する少なくとも1つの製造者側情報を前記RFIDタグに書き込むステップと、
前記RFIDタグに前記製造者側情報が書き込まれ、かつ、複数の電子部品が収納された前記収納体を出荷するステップと、を含む製造者側ステップと、
電子部品を使用する使用者側施設で行われる使用者側ステップであって、
出荷された前記収納体を入荷するステップと、
前記RFIDタグに書き込まれた前記製造者側情報を読み込むステップと、
電子回路基板を用意するステップと、
読み込まれた前記製造者側情報に基づいて、前記電子部品を前記電子回路基板に配置するステップと、を含む使用者側ステップと、を備え、
前記製造者側ステップでは、前記収納体に、前記RFIDタグに書き込まれた前記製造者側情報のうちの少なくとも1つの製造者側情報が印刷されているラベルが貼られる、電子部品の管理方法。
【請求項2】
前記製造者側情報は、前記電子部品のロット番号、前記電子部品の検査番号、前記収容体のID番号、のうちの少なくとも1つである、請求項1に記載の電子部品の管理方法。
【請求項3】
前記製造者側情報は、前記使用者側施設で使用されるパーツ番号、前記使用者からのオーダー番号、前記製造者の工場番号、製造に関する日付、ベンダー番号を含む、請求項1に記載の電子部品の管理方法。
【請求項4】
前記使用者側ステップは、前記RFIDタグに追加情報を書き込むステップを含む、請求項1~3のいずれかに記載の電子部品の管理方法。
【請求項5】
前記追加情報は、前記使用者側施設で使用される固有IDを含む、請求項4に記載の電子部品の管理方法。
【請求項6】
前記製造者側ステップは、前記製造者側施設で前記RFIDタグに書き込まれた前記製造者側情報をサーバに保存するステップを含み、
前記使用者側ステップは、前記使用者側施設で前記RFIDタグに書き込まれた前記追加情報を前記サーバに保存するステップを含み、
前記製造者側施設及び前記使用者側施設において、前記サーバから前記製造者側情報及び前記追加情報を読み込むことが可能である、請求項4または5に記載の電子部品の管理方法。
【請求項7】
前記製造者側ステップは、データベースから前記製造者側情報を読み込むステップを含む、請求項1~6のいずれかに記載の電子部品の管理方法。
【請求項8】
製造者により製造される複数の電子部品を収納し、
前記電子部品に関する少なくとも1つの製造者側情報が記録されるRFIDタグを備え、
前記製造者側情報に基づいて、製造者側が前記電子部品の製品情報を管理するステップと、
前記製造者側情報に基づいて、前記電子部品の使用者側が前記電子部品を電子回路基板に配置するステップと、が付与され、
前記RFIDタグに書き込まれた前記製造者側情報のうちの少なくとも1つの製造者側情報が印刷されているラベルが貼られる、電子部品の収納体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品の管理方法および電子部品の収納体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体チップやコンデンサチップ等の小型の電子部品を製造する部品メーカーでは、製造した複数の電子部品を1つの収納体に収納し、工場内で運搬、保管等を行うとともに、収納体ごとセットメーカーに出荷することが行なわれている。収納体の形態としては、電子部品を1つずつ分けて保持したキャリアテープをリールに巻いたもの、電子部品を整列させて収納するマガジンの他、ばらの状態、すなわちバルクの状態で収納するバルクケースや袋詰め方式等が知られている(例えば、特許文献1参照)。一方、物品の製造管理を行なうために、管理対象となる個体にRFIDタグを取り付け、そのRFIDタグに予め設定されているID情報を読み取る無線タグシステムが用いる技術が知られている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005-324839号公報
【特許文献2】特開2002-358494号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電子部品の小型化が顕著に進むにしたがい、大量の電子部品を管理する上では収納体を管理対象とすることが考慮される。しかし、上記特許文献1、2には、収納体を多様な形態で管理する点について言及されておらず、改善の余地がある。
【0005】
本発明は、複数の電子部品が収納される収納体について、少なくとも製造者側で多様な管理の形態を実現することができる電子部品の管理方法および電子部品の収納体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の電子部品の管理方法は、電子部品を製造する製造者側施設で行われる製造者側ステップであって、複数の電子部品を収納するとともにRFIDタグを備える収納体に複数の電子部品を収納するステップと、前記収納体に収納された前記電子部品に関する少なくとも1つの製造者側情報を前記RFIDタグに書き込むステップと、前記RFIDタグに前記製造者側情報が書き込まれ、かつ、複数の電子部品が収納された前記収納体を出荷するステップと、を含む製造者側ステップと、電子部品を使用する使用者側施設で行われる使用者側ステップであって、出荷された前記収納体を入荷するステップと、前記RFIDタグに書き込まれた前記製造者側情報を読み込むステップと、電子回路基板を用意するステップと、読み込まれた前記製造者側情報に基づいて、前記電子部品を前記電子回路基板に配置するステップと、を含む使用者側ステップと、を備える。
【0007】
本発明の電子部品の収納体は、製造者により製造される複数の電子部品を収納し、前記電子部品に関する少なくとも1つの製造者側情報が記録されるRFIDタグを備え、前記製造者側情報に基づいて、製造者側が前記電子部品の製品情報を管理するステップと、前記製造者側情報に基づいて、前記電子部品の使用者側が前記電子部品を電子回路基板に配置するステップと、が付与される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、複数の電子部品が収納される収納体について、少なくとも製造者側で多様な管理の形態を実現することができる電子部品の管理方法および電子部品の収納体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施形態に係る電子部品及びバルクケースを模式的に示す斜視図である。
【
図2】実施形態に係るRFIDタグを示す平面図である。
【
図3】実施形態に係る電子部品の管理方法を示す図であって、部品メーカー及びセットメーカーでの電子部品の流れを示す図である。
【
図4】実施形態に係る部品メーカー及びセットメーカーがそれぞれ備える電子部品を管理するためのハード構成を示している。
【
図5】部品メーカーにおいてバルクケースのRFIDタグの情報を読み取る方式の一例を示す斜視図である。
【
図6】部品メーカーにおいて保管場所からピッキングしたバルクケースのRFIDタグの情報を読み取る方式の一例を示す斜視図である。
【
図7】部品メーカー側でラベルが貼付されたバルクケースを示す斜視図である。
【
図8】バルクケースを出荷するにあたり、複数のバルクケースの梱包方式の一例を示す斜視図である。
【
図9】出荷時において梱包した複数のバルクケースの運搬中にRFIDタグを読み取る場合を示す斜視図である。
【
図10】出荷時におけるRFIDタグを読み込む別の方式を示す斜視図である。
【
図11】セットメーカー側でラベルに識別シールが貼付されたバルクケースを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら実施形態について説明する。
図1は、本実施形態に係る収納体としてバルクケース20、及びバルクケース20内に収納される電子部品10を示している。
図2は、バルクケース20が備えるRFIDタグ30の構成の一例を示している。
図3は、電子部品10を製造する部品メーカーGから、複数の電子部品10を収納する複数のバルクケース20が出荷され、出荷された複数のバルクケース20が、セットメーカーSに入荷されて使用される流れを示している。
図4は、部品メーカーG及びセットメーカーSがそれぞれ備える電子部品10を管理するためのハード構成を示している。部品メーカーGは、製造者側施設の一例である。セットメーカーSは、電子部品10を使用する使用者側施設の一例である。
【0011】
図1に示すように、バルクケース20は、樹脂等の剛体により薄い直方体形状に形成された箱体である。バルクケース20は、ばらの状態、すなわちバルクの状態の電子部品10を、例えば数千個~数万個の単位で収納する。バルクケース20は、RFIDタグ30を備える。RFIDタグ30は、細長い粘着シールで構成され、バルクケース20の一端面に貼り付けられるか、バルクケース20内に収容される。
【0012】
本実施形態に係る電子部品10は、コンデンサやインダクタ等であり、例えば長手方向長さが1.2mm以下の直方体形状の小型電子部品である。
【0013】
図2に示すように、RFIDタグ30は、基材となる長方形状の樹脂製のシート30aと、半導体集積回路からなるRFIDチップ30bと、外部機器と通信を行うための複数のアンテナ30cと、を有するパッシブ型のトランスポンダである。RFIDチップ30b及びアンテナ30cは、シート30aに貼付される。RFIDタグ30は、RFIDチップ30b及びアンテナ30cがシート30a内に埋設されるタイプであってもよい。また、電源部を備えるタイプであってもよい。RFIDチップ30bは、CPU、メモリ、通信回路等を備える。本実施形態のRFIDタグ30は、固有IDを持つ。
【0014】
RFIDタグ30は、メモリが書き換え不可(RO:Read Only)、1回の書き換えが可能(WORM:Wright Once Read Many)、書き換えが可能(R/W:Read and Wright)等のタイプを使用することができる。RFIDタグ30のタイプが、ROまたはWORMの場合、書き込める情報がR/Wに比べて少ないものの、コストが安くて済む。
【0015】
図3に示すように、部品メーカーGは、バルクケース20が備えるRFIDタグ30に部品メーカーG側の情報である製造者側情報を書き込み可能なライター部40と、バルクケース20が備えるRFIDタグ30に記録された製造者側情報を読み取るリーダー部42と、データベースサーバ44と、を備える。なお、ライター部40とリーダー部42とは、両者を一体としたリーダーライター部であってもよい。
【0016】
ライター部40は、非接触で情報を書き込み可能な複数のRFIDライター41を含む。複数のRFIDライター41のそれぞれは、部品メーカーGの工場内の所定箇所に配置される。RFIDライター41は、データベースサーバ44から読み込んだ製造者側情報を、非接触でRFIDタグ30に書き込んで記録する。リーダー部42は、非接触で製造者側情報を読み込み可能な複数のRFIDリーダー43を含む。複数のRFIDリーダー43のそれぞれは、部品メーカーGの工場内の所定箇所に配置される。RFIDリーダー43の読み込み情報は、データベースサーバ44に入力される。
【0017】
セットメーカーSは、バルクケース20が備えるRFIDタグ30にセットメーカーS側の情報である使用者側情報を書き込み可能なライター部50と、バルクケース20が備えるRFIDタグ30に記録された製造者側情報及び使用者側情報を読み取るリーダー部52と、データベースサーバ54と、マウンタ56と、を備える。
なお、RFIDタグ30のタイプがWORMの場合、ライター部50は省略される場合がある。
【0018】
ライター部50は、非接触で情報を書き込み可能な複数のRFIDライター51を含む。複数のRFIDライター51のそれぞれは、セットメーカーSの工場内の所定箇所に配置される。RFIDライター51は、データベースサーバ54が保有する使用者側情報の中から、RFIDタグ30に所定の使用者側情報を書き込んで記録する。リーダー部52は、非接触で製造者側情報及び使用者側情報を読み込み可能な複数のRFIDリーダー53を含む。複数のRFIDリーダー53のそれぞれは、部品メーカーGの工場内の所定箇所に配置される。RFIDリーダー53の読み込み情報は、データベースサーバ54に入力される。
【0019】
マウンタ56は、複数の部品供給装置57を含む。各部品供給装置57には、バルクケース20がセットされ、バルクケース20内の電子部品10が供給される。各部品供給装置57は、少なくとも1つの電子部品10を電子機器セットに組み込む装置である。
【0020】
部品メーカーGは、工場内において製造した複数の電子部品10を、バルクケース20内に収納して、運搬、保管し、セットメーカーSに出荷する。セットメーカーSは、複数のバルクケース20を入荷し、バルクケース20内に収容された電子部品10を、マウンタ56によって電子機器セットに組み込む。
【0021】
セットメーカーSで製造の対象となる電子機器セットとしては、例えば、スマートフォンやタブレット等の情報端末機器、あるいは、そのような機器を構成する電子回路基板等の構成要素等である。
【0022】
部品メーカーG側のデータベースサーバ44と、セットメーカーS側のデータベースサーバ54とは、インターネット上のクラウド60に接続可能である。クラウド60は、サーバの一例である。部品メーカーG側のデータベースサーバ44に保存された情報の一部は、インターネット上のクラウド60にも保存される。セットメーカーS側のデータベースサーバ54に保存された情報の一部は、インターネット上のクラウド60にも保存される。部品メーカーG及びセットメーカーSは、ともにクラウド60にアクセスすることで、双方の情報を互いに共有することが可能となっている。
【0023】
部品メーカーGでは、電子部品10のパッケージング過程、検品・出荷過程が行われる。セットメーカーSでは、電子部品10の入荷過程、保管・払い出しを含む製造過程、処理過程が行われる。
以下、
図4を参照しつつ、部品メーカーG及びセットメーカーSでの電子部品10の流れを説明する。
【0024】
(部品メーカーGでの製造者側ステップ)
パッケージング過程では、製造された複数の電子部品10が、バルクケース20に収納される(ステップS101)。複数の電子部品10が収納されたバルクケース20のRFIDタグ30には、収納された電子部品10に関する、部品メーカーG側で設定あるいは保有する複数の製造者側情報が、所定のRFIDライター41により記録される(ステップS102)。RFIDタグ30に記録される製造者側情報としては、電子部品10のロット番号、バルクケース20に収納される電子部品10の数量、電子部品10に関する製品情報、電子部品10に関する環境情報、バルクケース20のID番号、電子部品10の検査番号等である。電子部品10の種類によっては、MSL(Moisture Sensitivity Level)が記録される。MSLは、電子部品10に含まれる水分の気化による体積膨張が発生して故障に至るという現象に対するリスクを表わしたレベルである。
【0025】
次に、所定のRFIDリーダー43により、1つのバルクケース20のRFIDタグ30に記録された情報を読み取るが、たとえばユニークID(固有ID)を読み取る。(ステップS103)。RFIDタグ30に記録されている上記各製造者側情報と個々のバルクケース20が関連付けられ、それらの情報がデータベースサーバ44に保管される。RFIDタグ30の情報を読み取るには、例えば、
図5に示すように、テーブル61の上に置いたバルクケース20のRFIDタグ30を、テーブル61に設置されるRFIDリーダー43により読み取る。
【0026】
RFIDタグ30のユニークIDが読み取られた複数のバルクケース20は、工場内を運搬されて所定の保管場所に保管される(ステップS104)。そして、次の検品・処理過程までの間において、例えば、RFIDタグ30に記録された製造者側情報に基づき、工場内での在庫情報管理、移動経路に基づくロケーション管理、防犯管理等が行われる。在庫情報管理、ロケーション管理、防犯管理は、工場内に配置されるRFIDリーダー43の読み取り情報に基づいて行われる。RFIDリーダー43は、例えば通路に設けられるゲート、室内への出入り口等に配置され、バルクケース20が通過すると、RFIDタグ30に記録された製造者側情報を読み取る。
【0027】
在庫情報管理は、所定の保管場所にバルクケース20が保管されているか否かが確認されることにより、在庫の管理を行うものである。例えば、所定の保管場所への出入り口に配置されたゲートを通過すれば、そのゲートに配置されたRFIDリーダー43でRFIDタグ30が読み取られることにより、在庫有りと確認される。
【0028】
ロケーション管理は、工場内において運搬されるバルクケース20が、複数のゲートを通過したり、所定の室内に出入りしたりすることにより、バルクケース20の工場内での所在位置を逐一把握する管理である。
【0029】
防犯管理は、例えば1つのバルクケース20が、例えばRFIDタグ30による出荷の確認が行われていない状態で、工場の外に出た場合、正規ルートでの出荷ではないと判断する管理であり、警告を発するなどの処置がとられる。
【0030】
バルクケース20は、検品・出荷過程において、保管場所からピッキングされ(ステップS105)、次いでRFIDタグ30に記録された製造者側情報が読み取られる(ステップS106)。
【0031】
バルクケース20は、例えば
図6に示すように、保管棚等の保管場所62からピッキングされて運搬用のカート63に載せられ、カート63上において、RFIDタグ30に記録された製造者側情報がセンサ64を介してRFIDリーダー43により読み取られる。RFIDリーダー43は、カート63の適宜箇所に設置される。これにより、そのバルクケース20が出荷されることがデータベースサーバ44に入力される。RFIDリーダー43が備える読み取り可能距離よりもバルクケース20が離れている場合には、このようにバルクケース20に近接するセンサ64を介してRFIDタグ30に記録された製造者側情報を読み取るようにするとよい。
【0032】
ピッキングされたバルクケース20のRFIDタグ30には、RFIDライター41により、セットメーカーSで使用されるパーツ番号、セットメーカーSからのオーダー番号、部品メーカーGの工場番号、製造に関する日付、ベンダー番号等が、新たな製造者側情報として書き込まれる(ステップS107)。
【0033】
本実施形態では、
図7に示すように、バルクケース20にラベル71が貼られる(ステップS108)。ラベル71には、RFIDタグ30に書き込まれた製造者側情報のうちの少なくとも1つの製造者側情報、あるいは、それ以外の出荷時に必要とされる製造者側情報が印刷されている。ラベル71に印刷された製造者側情報は、目視で確認することができる。ラベル71に、製造者側情報と結び付けられた一次元バーコードおよび二次元バーコードのうちの少なくとも一方を含めてもよい。
【0034】
1つ1つのバルクケース20のRFIDタグ30の固有IDがRFIDリーダー43により読み込まれて、バルクケース20の検品が行われる(ステップS109)。
【0035】
検品された複数のバルクケース20は、箱に梱包されてセットメーカーSに出荷される(ステップS110)。例えば、
図8に示すように、バルクケース20は、所定数が1つの外装箱81に収納され、複数の外装箱81が1つの運搬用外箱82に2段重ねの状態で収納され、さらに複数の運搬用外箱82がパレット83に積載される。
【0036】
外装箱81は、RFIDタグ31を備えていてもよい。また、運搬用外箱82は、RFIDタグ32を備えていてもよい。また、パレット83は、RFIDタグ33を備えていてもよい。これにより、外装箱81ごと、運搬用外箱82ごと、パレット83ごとに、収納しているバルクケース20に関する情報が、それぞれのRFIDタグ31、32及び33に記録され、梱包されている複数のバルクケース20と紐づけてまとめて管理を行うことができる。
【0037】
上記のように複数の運搬用外箱82をパレット83に積載した場合、そのパレット83は、
図9に示すようにフォークリフト65により出荷場所まで運搬される。フォークリフト65がゲート66を通過することにより、ゲート66に配置されたセンサ64を介してRFIDリーダー43がRFIDタグ31、32及び33を読み込むことより、それらRFIDタグ31、32及び33に紐づけられた複数のバルクケース20が出荷されたことを確認する出荷管理を行うことができる。
【0038】
図10は、出荷時におけるRFIDタグ30を読み込む別の形態を示している。
図10では、搬送台67で搬送中のバルクケース20を収納した外装箱81を、トンネル状のゲート68内で搬送させながら、ゲート68に設けたセンサ64を介してRFIDリーダー43がRFIDタグ30を読み込んでいる。
【0039】
図4に戻り、セットメーカーS側の電子部品10の流れを説明する。
【0040】
(セットメーカーSでの使用者側ステップ)
入荷過程の初めにおいて、バルクケース20は、セットメーカーSに入荷される(ステップS111)。入荷されたバルクケース20のRFIDタグ30が、セットメーカーS側の所定のRFIDリーダー53で読み込まれる(ステップS112)。これにより、入荷されたことを確認する入荷管理、及び電子部品10の検品が行われる。検品の過程で不良が出た場合、そのバルクケース20は部品メーカーGに返品される場合がある。
【0041】
入荷された複数のバルクケース20のそれぞれに、セットメーカーSが必要とする所定の使用側情報が、追加情報としてRFIDタグ30に書き込まれる(ステップS113)。また、それぞれのRFIDタグ30には、セットメーカーSにおいて使用する識別情報が追加情報として書き込まれる。
【0042】
また、本実施形態では、
図11に示すように、バルクケース20に、セットメーカーS側での独自の識別シール72が貼られる(ステップS114)。識別シール72は、赤、青、黄等の単色のうちの1つの色を備えたシールであり、ラベル71に貼られてよい。識別シール72の色によって、セットメーカーS内で区別される処置がバルクケース20に対して行われる。例えば、製造ライン、製造順等が識別シール72の色別に選択される。
【0043】
セットメーカーSにおいて、製造過程に移る前にバルクケース20が所定の保管場所に保管されたり、保管場所からピッキングされて運搬されたりする場合、部品メーカーGと同様に、セットメーカーS側でもRFIDタグ30の製造者側情報や使用者側情報を読み取って、在庫情報管理、ロケーション管理、防犯管理等を行うことができる。
【0044】
製造過程において、バルクケース20は、電子機器セットの電子回路基板に電子部品10を配置するマウンタ56に向けて払い出しが行われ、部品供給装置57にセットされる。各部品供給装置57では、バルクケース20のRFIDタグ30が読み込まれて部品の照合が行われる(ステップS115)。例えば、部品供給装置57に適合しない部品を収納するバルクケース20がセットされた場合、部品供給装置57は稼働せず、そのバルクケース20は部品供給装置57から外され、次のバルクケース20がセットされる。
【0045】
部品供給装置57にセットされたバルクケース20から電子部品10がマウンタ56に1つずつ供給されて、電子部品10が電子回路基板に実装される(ステップS116)。バルクケース20内の全ての電子部品10が実装されると、空のバルクケース20は部品供給装置57から外されて廃棄される(ステップS117)。空になったバルクケース20は、再利用のために部品メーカーGに戻される場合がある。
【0046】
製造過程後の処理過程では、例えば、電子部品10が残存するバルクケース20が中途在庫として、所定の場所に保管される。その場合、バルクケース20のRFIDタグ30がRFIDリーダー53で読み取られて、中途在庫のバルクケース20として残量管理される(ステップS118)。
【0047】
この他に処理過程では、バルクケース20のRFIDタグ30を読み取ることにより、用いる電子部品10の種類や製造する電子機器セットの量などに基づいた製造傾向管理や、バルクケース20の防犯管理などを行うことができる。
ステップS113における追加情報やステップS118において必要とされる使用者側情報は、クラウド60に保存されてもよい。
また、クラウド60に保存されたステップS113における追加情報やステップS118において必要とされる使用者側情報は、部品メーカーG側からアクセス可能とされてもよい。部品メーカーG側からアクセス可能とされることによって、部品メーカーGは、セットメーカーSの仕様態様や在庫情報を把握することができるため、セットメーカーSの要求を事前に予想することができ、セットメーカーSの要求に柔軟に対応できる。
クラウド60上に保存されるデータは、ブロックチェーンを用いて保存されてもよい。ブロックチェーンが用いられることによって、クラウド60上に保存されたデータの改ざんが困難となり、クラウド60上に保存されたデータの信頼性が高まる。
【0048】
以上説明した実施形態によれば、以下の効果が奏される。
本実施形態に係る電子部品10の管理方法は、電子部品10を製造する部品メーカーGで行われる製造者側ステップであって、複数の電子部品10を収納するとともにRFIDタグ30を備える収納体としてのバルクケース20に複数の電子部品10を収納するステップと、バルクケース20に収納された電子部品10に関する少なくとも1つの製造者側情報をRFIDタグ30に書き込むステップと、RFIDタグ30に製造者側情報が書き込まれ、かつ、複数の電子部品10が収納されたバルクケース20を出荷するステップと、を含む製造者側ステップと、電子部品10を使用する使用者側施設としてのセットメーカーSで行われる使用者側ステップであって、出荷されたバルクケース20を入荷するステップと、RFIDタグ30に書き込まれた製造者側情報を読み込むステップと、電子回路基板を用意するステップと、読み込まれた製造者側情報に基づいて、電子部品10を電子回路基板に配置するステップと、を含む使用者側ステップと、を備える。
【0049】
これにより、複数の電子部品10が収納されるバルクケース20について、バルクケース20が備えるRFIDタグ30を利用して、少なくとも部品メーカーG側で多様な管理の形態を実現することができる。本実施形態では、RFIDタグ30を備えるバルクケース20が入荷されるセットメーカーS側においても、RFIDタグ30を利用して多様な管理の形態を実現することができる。また、RFIDタグ30を利用して、部品メーカーGからセットメーカーSにわたり、一貫した部品の管理を行うことができる。
【0050】
本実施形態においては、RFIDタグ30に記録される製造者側情報は、電子部品10のロット番号、バルクケース20に収納される電子部品10の数量、電子部品10に関する製品情報、電子部品10に関する環境情報、バルクケース20のID番号、電子部品10の検査番号等のうちの少なくとも1つである。
【0051】
これにより、電子部品10の数量、電子部品10に関する製品情報、電子部品10に関する環境情報、バルクケース20のID番号、電子部品10の検査番号等に関して、バルクケース20ごとに電子部品10の管理を行うことができる。
【0052】
本実施形態において、RFIDタグ30に記録される製造者側情報としては、さらに、セットメーカーSで使用されるパーツ番号、セットメーカーSからのオーダー番号、部品メーカーGの工場番号、製造に関する日付、ベンダー番号等を含む。
【0053】
これにより、セットメーカーS側で使用されるパーツ番号、セットメーカーSからのオーダー番号、部品メーカーGの工場番号、製造に関する日付、ベンダー番号等に関して、バルクケース20ごとに電子部品10の管理を行うことができる。また、電子機器セットに使用した電子部品情報の履歴を記録することができる。
【0054】
本実施形態においては、使用者側ステップでは、RFIDタグ30に追加情報を書き込むことができる。
【0055】
これにより、セットメーカーS側で必要な情報をRFIDタグに新たに追加することができ、セットメーカーSにおいてRFIDタグ30を利用した管理を行うことができる。
【0056】
本実施形態においては、セットメーカーSがRFIDタグ30に書き込む追加情報は、セットメーカーSで使用される固有IDを含んでいる。
【0057】
これにより、セットメーカーS側でバルクケース20の固体識別や追跡管理等をデータベースサーバ54と紐づけてバルクケース20ごとに実施することができる。
【0058】
本実施形態においては、製造者側ステップは、インターネット上のクラウド60に、部品メーカーGでRFIDタグ30に書き込まれた製造者側情報と、セットメーカーS側でRFIDタグ30に書き込まれた追加情報と、をデータベースサーバ44に保存するステップを含み、部品メーカーG及びセットメーカーSにおいて、データベースサーバ54に保存するステップを含み、部品メーカーG及びセットメーカーSにおいて、データベースサーバ44及び54から製造者側情報及び追加情報を読み込むことが可能である。
【0059】
これにより、部品メーカーG及びセットメーカーSは、クラウド60にアクセスすることにより、相手側の情報を知ることができる。このため、例えば部品メーカーGは、セットメーカーSにおける電子部品10の在庫状況を把握することで、電子部品10の製造ペースを適宜に調整するといった予測稼働を行うことができる。
【0060】
本実施形態においては、製造者側ステップは、データベースサーバ44から製造者側情報を読み込むステップを含んでいる。
【0061】
これにより、データベースサーバ44に記録される部品メーカーGが備える固有の情報に基づいて、電子部品10をバルクケース20ごとに管理することができる。なお、データベースサーバ44を必ずしも使用する必要はなく、全ての情報のやりとりRFIDタグを介して行ってもよい。
【0062】
本実施形態の収納体としてのバルクケース20は、製造者である部品メーカーGにより製造される複数の電子部品10を収納し、電子部品10に関する少なくとも1つの製造者側情報が記録されるRFIDタグ30を備え、製造者側情報に基づいて、部品メーカーG側が電子部品10の製品情報を管理するステップと、製造者側情報に基づいて、電子部品10の使用者側であるセットメーカーSが電子部品10を電子回路基板に配置するステップと、が付与される。
【0063】
これにより、RFIDタグ30を利用して、部品メーカーGからセットメーカーSにわたり、バルクケース20に収納した複数の部品に対して、一貫した部品の管理を行うことができる。
【0064】
以上、実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に制限はされず、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
【符号の説明】
【0065】
10 電子部品
20 バルクケース(収納体)
30 RFIDタグ
60 クラウド(サーバ)
G 部品メーカー(製造者側施設)
S セットメーカー(使用者側施設)