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特開2024-161271検査装置及びそれを備えたインクジェット印刷装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024161271
(43)【公開日】2024-11-15
(54)【発明の名称】検査装置及びそれを備えたインクジェット印刷装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 29/393 20060101AFI20241108BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20241108BHJP
   G01N 21/892 20060101ALI20241108BHJP
   B65H 7/02 20060101ALI20241108BHJP
【FI】
B41J29/393 105
B41J2/01 305
B41J2/01 451
G01N21/892 A
B65H7/02
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024154112
(22)【出願日】2024-09-06
(62)【分割の表示】P 2020157326の分割
【原出願日】2020-09-18
(71)【出願人】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100093056
【弁理士】
【氏名又は名称】杉谷 勉
(74)【代理人】
【識別番号】100142930
【弁理士】
【氏名又は名称】戸高 弘幸
(74)【代理人】
【識別番号】100175020
【弁理士】
【氏名又は名称】杉谷 知彦
(74)【代理人】
【識別番号】100180596
【弁理士】
【氏名又は名称】栗原 要
(74)【代理人】
【識別番号】100195349
【弁理士】
【氏名又は名称】青野 信喜
(72)【発明者】
【氏名】市岡 義和
(72)【発明者】
【氏名】塩見 眞
(72)【発明者】
【氏名】山下 真祐
(72)【発明者】
【氏名】林 真司
(57)【要約】
【課題】搬送ローラによる反射光に起因するノイズを抑制することにより、正確な検査を行うことができる。
【解決手段】検査部43は、搬送ローラ45,47の外周面に、上部反射光源51b、下部反射光源51c、透過光源53からの光を吸収する黒色テープが巻かれて構成されている。したがって、照射された光が搬送ローラ45の下側外周面及び搬送ローラ57の上側外周面で反射することが抑制される。その結果、搬送ローラ45,47での反射光に起因する撮影部51におけるノイズを抑制できる。よって、検査部43において正確な検査を行うことができる。また、黒色テープで構成するので、低コスト化を図ることができる。また、黒色テープを巻くだけであるので、既存の装置にも容易に適用できる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明印刷媒体に印刷された印刷画像を読み取って印刷状態を検査する検査装置において、
前記透明印刷媒体を搬送する第1の搬送ローラと、
前記第1の搬送ローラから離間して搬送方向の下流側に配置され、前記透明印刷媒体を搬送する第2の搬送ローラと、
前記第1の搬送ローラと前記第2の搬送ローラとの間に配置され、前記透明印刷媒体の一方面側に配置され、前記第1の搬送ローラと前記第2の搬送ローラとの間に設定されている検査領域に位置する印刷画像を撮影する撮影部と、
前記撮影部により前記検査領域に位置する印刷画像を撮影するための光を照射する光照射部と、
前記第1の搬送ローラ及び前記第2の搬送ローラに対して前記光照射部からの光が照射されることを規制することで前記撮影部への反射光を抑制する光照射規制部と、
を備え、
前記第1の搬送ローラと前記第2の搬送ローラとの間の前記透明印刷媒体は、前記透明印刷媒体に接触する部材が存在しない状態で搬送されることを特徴とする検査装置。
【請求項2】
請求項1に記載の検査装置において、
前記光照射規制部は、前記第1の搬送ローラ及び前記第2の搬送ローラを除く前記検査領域を含む範囲に光を照射する前記光照射部で構成されていることを特徴とする検査装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の検査装置において、
前記光照射規制部は、前記光照射部からの光が、前記第1の搬送ローラ及び前記第2の搬送ローラに照射されることを防止するフードを備えていることを特徴とする検査装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載の検査装置において、
前記光照射規制部は、前記第1の搬送ローラと前記第2の搬送ローラとの搬送方向における距離が、前記光照射部による光の照射範囲外となるように設定されていることで構成されることを特徴とする検査装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかに記載の検査装置において、
前記光照射規制部は、前記撮影部が、前記第1の搬送ローラと前記第2の搬送ローラの間を搬送される前記透明印刷媒体を基準として、前記第1の搬送ローラと前記第2の搬送ローラとが配置される側の位置であって、前記第1の搬送ローラと前記第2の搬送ローラとの間の位置に配置されていることで構成されていることを特徴とする検査装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれかに記載の検査装置において、
前記撮影部は、動作時には、前記検査領域との位置が固定され、メンテナンス時には、前記検査領域から離間して前記透明印刷媒体の面から離れる方向に移動できる移動機構を備えていることを特徴とする検査装置。
【請求項7】
請求項6に記載の検査装置において、
前記第1の搬送ローラ及び前記第2の搬送ローラが回動自在に取り付けられた装置フレームを備え、
前記移動機構は、前記透明印刷媒体の幅方向に長軸を備え、前記撮影部が取り付けられた状態で、前記装置フレームに取り付けられた撮影部フレームと、
前記透明印刷媒体の面に軸が平行となるように配置され、前記撮影部フレームの一端側に設けられた揺動軸と、
を備えていることを特徴とする検査装置。
【請求項8】
請求項7に記載の検査装置において、
前記装置フレームは、前記撮影部が前記透明印刷媒体の印刷画像に対して合焦する合焦位置となるように、前記撮影部フレームの他端側の位置を規制するフレーム位置決めピンを備えていることを特徴とする検査装置。
【請求項9】
請求項7または8に記載の検査装置において、
前記撮影部フレームは、前記透明印刷媒体の幅方向における前記撮影部の両端側に配置され、前記撮影部が両端側で前記透明印刷媒体に対して移動可能に構成されたレールと、前記撮影部が前記透明印刷媒体の印刷画像に対して合焦する合焦位置となるように、前記撮影部の前記レール上における位置を規制する撮影部位置決めピンと、を備えていることを特徴とする検査装置。
【請求項10】
請求項1から9のいずれかに記載の検査装置と、
前記検査装置の上流において、前記透明印刷媒体に対してインク滴を吐出して前記印刷画像を印刷する印刷ヘッドと、
を備え、
前記印刷ヘッドで印刷された前記印刷画像を前記検査装置で検査することを特徴とするインクジェット印刷装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送ローラによって搬送されている透明印刷媒体の画像を読み取って印刷状態を検査する検査装置及びそれを備えたインクジェット印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
インク滴を吐出して印刷媒体に画像を印刷するインクジェット印刷装置では、ノズル欠けや、インク滴の横飛び、指定タイミング以外によるインクの吐出(いわゆるぼた落ち)などの吐出に起因する不具合、印刷媒体の斜行や蛇行、シワなどの搬送に起因する不具合、インク滴の乾燥不良に起因するインク流れの不具合、インク流れに伴うローラの汚染に起因する再付着による汚染など、種々の不具合が発生する恐れがある。そこで、印刷された画像を検査する検査装置が利用されている。
【0003】
従来、この種の装置には、光源と、読み取りセンサとを備えたものがある(例えば、特許文献1参照)。光源と読み取りセンサとは、印刷媒体の同じ面に配置されている。光源から照射された光は、印刷媒体で反射し、読み取りセンサに入射する。
【0004】
このような構成では、印刷媒体が透明であった場合には、反射光が透明部分を通過する。そのため、黒インクで掲載された画像部分と、透明部分との区別が困難になる。その結果、印刷媒体が透明な場合には、正確な検査ができないという問題がある。
【0005】
そこで、撮影部と、第1照射部と、第2照射部とを備えたものがある(例えば、特許文献2参照)。第1照射部は、印刷媒体を挟んで撮影部に対して対向配置されている。第2照射部は、撮影部と同じ側に配置されている。これにより、第1照射部からは透過光が撮影部に入射する。第2照射部からは反射光が撮影部に入射する。したがって、印刷媒体が透明であっても、正確な検査が可能になっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第6010980号公報(図1
【特許文献2】特開2019-142007号公報(図5
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、このような構成を有する従来例の場合には、次のような問題がある。
すなわち、従来の装置は、撮影部の上流側と下流側には、搬送ローラが配置されている。そのため、特に、搬送ローラの外周面が銀色である場合には、搬送ローラで強い反射が生じる。したがって、撮影部において搬送ローラでの反射光に起因するノイズが生じ、正確な検査に支障を来すことがある。なお、この問題は、反射光の光源である第2照射部を備えていない構成であっても生じ得る。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、搬送ローラによる反射光に起因するノイズを抑制することにより、正確な検査を行うことができる検査装置及びそれを備えたインクジェット印刷装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、このような目的を達成するために、次のような構成をとる。
すなわち、本発明は、透明印刷媒体に印刷された印刷画像を読み取って印刷状態を検査する検査装置において、前記透明印刷媒体を搬送する第1の搬送ローラと、前記第1の搬送ローラから離間して搬送方向の下流側に配置され、前記透明印刷媒体を搬送する第2の搬送ローラと、前記第1の搬送ローラと前記第2の搬送ローラとの間に配置され、前記透明印刷媒体の一方面側に配置され、前記第1の搬送ローラと前記第2の搬送ローラとの間に設定されている検査領域に位置する印刷画像を撮影する撮影部と、前記撮影部により前記検査領域に位置する印刷画像を撮影するための光を照射する光照射部と、を備え、前記検査領域から離間して搬送方向の上流側に配置されている前記第1の搬送ローラと、前記検査領域から離間して搬送方向の下流側に配置されている前記第2の搬送ローラとは、外周面が前記光照射部からの光を吸収する光吸収部材で構成されていることを特徴とするものである。
【0010】
[作用・効果]本発明によれば、第1の搬送ローラと第2の搬送ローラとは、外周面が光照射部からの光を吸収する光吸収部材で構成されている。したがって、光照射部から照射された光が第1の搬送ローラ及び第2の搬送ローラで反射することが抑制される。その結果、第1の搬送ローラ及び第2の搬送ローラでの反射光に起因するノイズを抑制できる。よって、正確な検査を行うことができる。
【0011】
また、本発明において、前記光吸収部材は、反射防止処理が施された黒色テープであることが好ましい。
【0012】
反射防止処理(例えば、梨地処理)が施された黒色テープで第1の搬送ローラと第2の搬送ローラとの外周面が構成されている。したがって、低コスト化を図ることができる。また、黒色テープを巻くだけであるので、既存の装置にも容易に適用できる。
【0013】
また、本発明において、前記光吸収部材は、多数の凹部と多数の凸部とが形成された針状構造で、かつ、黒色の被膜であることが好ましい。
【0014】
多数の凹部と多数の凸部とが形成された針状構造で、かつ、黒色の被膜で第1の搬送ローラと第2の搬送ローラとの外周面が構成されている。したがって、耐久性を良好にできるので、長期間にわたって効果を維持できる。
【0015】
また、請求項1に記載の発明は、透明印刷媒体に印刷された印刷画像を読み取って印刷状態を検査する検査装置において、前記透明印刷媒体を搬送する第1の搬送ローラと、前記第1の搬送ローラから離間して搬送方向の下流側に配置され、前記透明印刷媒体を搬送する第2の搬送ローラと、前記第1の搬送ローラと前記第2の搬送ローラとの間に配置され、前記透明印刷媒体の一方面側に配置され、前記第1の搬送ローラと前記第2の搬送ローラとの間に設定されている検査領域に位置する印刷画像を撮影する撮影部と、前記撮影部により前記検査領域に位置する印刷画像を撮影するための光を照射する光照射部と、前記第1の搬送ローラ及び前記第2の搬送ローラに対して前記光照射部からの光が照射されることを規制することで前記撮影部への反射光を抑制する光照射規制部と、を備え、前記第1の搬送ローラと前記第2の搬送ローラとの間の前記透明印刷媒体は、前記透明印刷媒体に接触する部材が存在しない状態で搬送されることを特徴とするものである。
【0016】
[作用・効果]請求項1に記載の発明によれば、光照射規制部は、光照射部からの光が第1の搬送ローラ及び第2の搬送ローラに対して照射されることを規制する。したがって、第1の搬送ローラ及び第2の搬送ローラからの反射光に起因するノイズを防止できる。よって、正確な検査を行うことができる。
【0017】
また、本発明において、前記光照射規制部は、前記第1の搬送ローラ及び前記第2の搬送ローラを除く前記検査領域を含む範囲に光を照射する前記光照射部で構成されていることが好ましい(請求項2)。
【0018】
光照射部が光照射規制部であり、第1の搬送ローラ及び第2の搬送ローラを除く検査領域を含む範囲に光を照射する。これにより、光照射部だけの工夫により、第1の搬送ローラ及び第2の搬送ローラでの反射光に起因する問題を解決できる。
【0019】
また、本発明において、前記光照射規制部は、前記光照射部からの光が、前記第1の搬送ローラ及び前記第2の搬送ローラに照射されることを防止するフードを備えていることが好ましい(請求項3)。
【0020】
光照射規制部は、光照射部からの光が、第1の搬送ローラ及び第2の搬送ローラに照射されることを防止するフードを備えている。これにより、光照射部にフードを備えるだけで、第1の搬送ローラ及び第2の搬送ローラでの反射光に起因する問題を解決できる。したがって、既存の装置にも容易に適用できる。
【0021】
また、本発明において、前記光照射規制部は、前記第1の搬送ローラと前記第2の搬送ローラとの搬送方向における距離が、前記光照射部による光の照射範囲外となるように設定されていることで構成されることが好ましい(請求項4)。
【0022】
光照射規制部は、第1の搬送ローラと第2の搬送ローラとの搬送方向における距離が、光照射部による光の照射範囲外となるように設定されていることで構成される。したがって、新たな構成を付加することなく、第1の搬送ローラ及び第2の搬送ローラでの反射光に起因する問題を解決できる。
【0023】
また、本発明において、前記光照射規制部は、前記撮影部が、前記第1の搬送ローラと前記第2の搬送ローラの間を搬送される前記透明印刷媒体を基準として、前記第1の搬送ローラと前記第2の搬送ローラとが配置される側の位置であって、前記第1の搬送ローラと前記第2の搬送ローラとの間の位置に配置されていることで構成されていることが好ましい(請求項5)。
【0024】
第1の搬送ローラと第2の搬送ローラの間を搬送される透明印刷媒体を基準として、第1の搬送ローラと第2の搬送ローラとが配置される側の位置であって、第1の搬送ローラと第2の搬送ローラとの間の位置に撮影部が配置されて、光照射規制部が構成されている。そのため、第1の搬送ローラと第2の搬送ローラの間の外周面で反射した光が撮影部に入射することを抑制できる。したがって、撮影部の位置を変えるだけで、第1の搬送ローラ及び第2の搬送ローラでの反射光に起因する問題を解決できる。
【0025】
また、本発明において、前記撮影部は、動作時には、前記検査領域との位置が固定され、メンテナンス時には、前記検査領域から離間して前記透明印刷媒体の面から離れる方向に移動できる移動機構を備えていることが好ましい(請求項6)。
【0026】
移動機構によりメンテナンス時には撮影部が透明印刷媒体の面から離れるように移動できる。したがって、透明印刷媒体から離脱した粉体などを撮影部から容易に取り除くことができる。よって、長期間にわたり正確な検査を行うことができる。
【0027】
また、本発明において、前記第1の搬送ローラ及び前記第2の搬送ローラが回動自在に取り付けられた装置フレームを備え、前記移動機構は、前記透明印刷媒体の幅方向に長軸を備え、前記撮影部が取り付けられた状態で、前記装置フレームに取り付けられた撮影部フレームと、前記透明印刷媒体の面に軸が平行となるように配置され、前記撮影部フレームの一端側に設けられた揺動軸と、を備えていることが好ましい(請求項7)。
【0028】
撮影部フレームは、一端側に揺動軸を備えている。揺動軸は、透明印刷媒体の面に軸が平行となるように配置されている。したがって、撮影部フレームは、一端側を中心にして他端側が透明印刷媒体の面に対して揺動できる。よって、撮影部フレームを揺動させて透明印刷媒体の面から離反させるだけで、メンテナンスを行うことができる。
【0029】
また、本発明において、前記装置フレームは、前記撮影部が前記透明印刷媒体の印刷画像に対して合焦する合焦位置となるように、前記撮影部フレームの他端側の位置を規制するフレーム位置決めピンを備えていることが好ましい(請求項8)。
【0030】
フレーム位置決めピンにより、撮影部が合焦位置となるように撮影部フレームの他端側の位置が規制される。したがって、撮影部フレームを揺動させた後、元に戻しても撮影部による撮影を適切に行うことができる。
【0031】
また、本発明において、前記撮影部フレームは、前記透明印刷媒体の幅方向における前記撮影部の両端側に配置され、前記撮影部が両端側で前記透明印刷媒体に対して移動可能に構成されたレールと、前記撮影部が前記透明印刷媒体の印刷画像に対して合焦する合焦位置となるように、前記撮影部の前記レール上における位置を規制する撮影部位置決めピンと、を備えていることが好ましい(請求項9)。
【0032】
撮影部フレームは、レールと、撮影部位置決めピンを備えている。したがって、撮影部は、レールに沿って透明印刷媒体に対して移動可能であるが、撮影部位置決めピンにより合焦位置に容易に固定できる。よって、撮影部をメンテナンス時に移動しても、撮影部を合焦位置に容易に設定できる。
【0033】
また、本発明において、請求項1から9のいずれかに記載の検査装置と、前記検査装置の上流において、前記透明印刷媒体に対してインク滴を吐出して前記印刷画像を印刷する印刷ヘッドと、を備え、前記印刷ヘッドで印刷された前記印刷画像を前記検査装置で検査することが好ましい(請求項10)。
【0034】
印刷ヘッドにより印刷された透明印刷媒体の印刷画像を検査装置により検査する。検査装置では、光照射部から照射された光が第1の搬送ローラ及び第2の搬送ローラで反射することが抑制される。その結果、第1の搬送ローラ及び第2の搬送ローラでの反射光に起因するノイズを抑制できる。インクジェット印刷装置において印刷された印刷画像について正確な検査を行うことができる。
【0035】
なお、本明細書は、次のような検査装置に係る発明も開示している。
【0036】
従来装置において印刷媒体がフィルムであって、画像形成用のインクが水性インクである場合には、水性インクが定着するように印刷前にプライマー層(前処理層、インク浸透層などとも呼ばれる)が形成されているのが一般的である。そのため、プライマー層の粉が撮影部に付着し、正確な検査に支障を来すことがある。また、印刷媒体が紙である場合にも、紙粉が撮影部に付着し、同様の問題が生じる恐れがある。そのため、撮影部の光透過面を定期的に清掃することが必要になる。しかしながら、撮像部の撮像素子がCIS(コンタクトイメージセンサ)である場合には、被写界深度が浅い。そのため、撮像部の光透過面と印刷媒体との距離が狭くなっている。したがって、撮像部のメンテナンスが困難であるという問題がある。
【0037】
(1)印刷媒体に印刷された印刷画像を読み取って印刷状態を検査する検査装置において、
前記印刷媒体を搬送する第1の搬送ローラと、
前記第1の搬送ローラから離間して搬送方向の下流側に配置され、前記印刷媒体を搬送する第2の搬送ローラと、
前記第1の搬送ローラと前記第2の搬送ローラとの間に配置され、前記印刷媒体の一方面側に配置され、前記第1の搬送ローラと前記第2の搬送ローラとの間に設定されている検査領域に位置する印刷画像を撮影する撮影部と、
前記撮影部により前記検査領域に位置する印刷画像を撮影するための光を照射する光照射部と、
を備え、
前記撮影部は、動作時には、前記検査領域との位置が固定され、メンテナンス時には、前記検査領域から離間して前記印刷媒体の面から離れる方向に移動できる移動機構を備えていることを特徴とする検査装置。
【0038】
前記(1)に記載の発明によれば、移動機構によりメンテナンス時には撮影部が印刷媒体の面から離れるように移動できる。したがって、印刷媒体から離脱した粉体などを撮影部から容易に取り除くことができる。よって、長期間にわたり正確な検査を行うことができる。
【0039】
(2)前記(1)に記載の検査装置において、
前記第1の搬送ローラ及び前記第2の搬送ローラが回動自在に取り付けられた装置フレームを備え、
前記移動機構は、前記印刷媒体の幅方向に長軸を備え、前記撮影部が取り付けられた状態で、前記装置フレームに取り付けられた撮影部フレームと、
前記印刷媒体の面に軸が平行となるように配置され、前記撮影部フレームの一端側に設けられた揺動軸と、
を備えていることを特徴とする検査装置。
【0040】
前記(2)に記載の発明によれば、撮影部フレームは、一端側に揺動軸を備えている。揺動軸は、印刷媒体の面に軸が平行となるように配置されている。したがって、撮影部フレームは、一端側を中心にして他端側が印刷媒体の面に対して揺動できる。よって、撮影部フレームを揺動させて印刷媒体の面から離反させるだけで、メンテナンスを行うことができる。
【0041】
(3)前記(1)に記載の検査装置において、
前記装置フレームは、前記撮影部が前記透明印刷媒体の印刷画像に対して合焦する合焦位置となるように、前記撮影部フレームの他端側の位置を規制するフレーム位置決めピンを備えていることを特徴とする検査装置。
【0042】
前記(3)に記載の発明によれば、フレーム位置決めピンにより、撮影部が合焦位置となるように撮影部フレームの他端側の位置が規制される。したがって、撮影部フレームを揺動させた後、元に戻しても撮影部による撮影を適切に行うことができる。
【0043】
(4)前記(1)に記載の検査装置において、
前記撮影部フレームは、前記透明印刷媒体の幅方向における前記撮影部の両端側に配置され、前記撮影部が両端側で前記透明印刷媒体に対して移動可能に構成されたレールと、前記撮影部が前記透明印刷媒体の印刷画像に対して合焦する合焦位置となるように、前記撮影部の前記レール上における位置を規制する撮影部位置決めピンと、を備えていることを特徴とする検査装置。
【0044】
前記(4)に記載の発明によれば、撮影部フレームは、レールと、撮影部位置決めピンを備えている。したがって、撮影部は、レールに沿って印刷媒体に対して移動可能であるが、撮影部位置決めピンにより合焦位置に容易に固定できる。よって、撮影部をメンテナンス時に移動しても、撮影部による撮影を適切に行うことができる。
【0045】
(5)前記(1)~(4)に記載の検査装置において、
前記検査装置の上流において、前記印刷媒体に対してインク滴を吐出して前記印刷画像を印刷する印刷ヘッドと、
を備え、
前記印刷ヘッドで印刷された前記印刷画像を前記検査装置で検査することを特徴とするインクジェット印刷装置。
【0046】
前記(5)に記載の発明によれば、印刷ヘッドにより印刷された印刷媒体の印刷画像を検査装置により検査する。検査装置では、光照射部から照射された光が第1の搬送ローラ及び第2の搬送ローラで反射することが抑制される。その結果、第1の搬送ローラ及び第2の搬送ローラでの反射光に起因するノイズを抑制できる。インクジェット印刷装置において印刷された印刷画像について正確な検査を行うことができる。
【発明の効果】
【0047】
本発明に係る検査装置によれば、第1の搬送ローラと第2の搬送ローラとは、外周面が光照射部からの光を吸収する光吸収部材で構成されている。したがって、光照射部から照射された光が第1の搬送ローラ及び第2の搬送ローラで反射することが抑制される。その結果、第1の搬送ローラ及び第2の搬送ローラでの反射光に起因するノイズを抑制できる。よって、正確な検査を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
図1】実施例に係るインクジェット印刷装置の全体を示す概略構成図である。
図2】検査部における要部を示す側面図である。
図3】実施例1における搬送ローラの構成を示す斜視図である。
図4】変形例における搬送ローラの構成を示し、その一部を拡大した縦断面図である。
図5】実施例2における検査部の要部を示す側面図である。
図6】実施例3における検査部の要部を示す側面図である。
図7】実施例4における検査部の要部を示す側面図である。
図8】実施例5における検査部の要部を示す側面図である。
図9】検査部における移動機構の側面図である。
図10】検査部における移動機構の平面図である。
図11】検査部における撮影部移動機構の正面図である。
図12】検査部における撮影部移動機構の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0049】
本発明に係る検査装置を備えたインクジェット印刷装置の種々の実施例について以下に説明する。
【実施例0050】
以下、図面を参照して本発明の実施例1について説明する。
図1は、実施例に係るインクジェット印刷装置の全体を示す概略構成図である。
【0051】
インクジェット印刷装置1は、給紙部3と、塗布部5と、印刷部7と、メイン乾燥部9と、排紙部11とを備えている。なお、図1の左右方向を搬送方向Xとする。また、搬送方向Xの左方向を下流側、右方向を上流側とする。場合によっては、ある位置を基準として左方向を+X方向、右方向を-X方向と、符号を付して表記する。図1の紙面奥手前方向を幅方向Yとする。図1の上下方向を高さ方向Zとする。上記の給紙部3と、塗布部5と、印刷部7と、メイン乾燥部9と、排紙部11とは、搬送方向Xにおいて下流側に向かってその順に配置されている。
【0052】
給紙部3は、印刷対象である軟包装用フィルムWFを塗布部5に対して供給する。本実施例における軟包装用フィルムWFは、例えば、透明なフィルムである。給紙部3は、ロール状にされた軟包装用フィルムWFを水平軸周りに回転可能に保持している。給紙部3は、塗布部5に対して印刷面を上方に向けた姿勢で軟包装用フィルムWFを巻き出す。軟包装用フィルムWFの素材は、例えば、疎水性の基材であり、水性インクの吸収性が小さい。軟包装用フィルムWFは、例えば、ポリプロピレン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリイミド樹脂等のプラスチックフィルムが挙げられる。
【0053】
なお、上述した軟包装用フィルムWFが本発明における「透明印刷媒体」に相当する。
【0054】
塗布部5は、軟包装用フィルムWFに対してプライマー層を形成するためのプライマーを塗布する。プライマー層は、前処理層、インク浸透層またはインク受容層とも呼ばれる。プライマーは、塗布液であり、下塗り液や下地調整液などとも呼ばれる。具体的には、塗布部5は、パン13と、グラビアローラ15と、搬送部17とを備えている。パン13は、プライマーを貯留する。グラビアローラ15は、パン13に貯留しているプライマーに下部が部分的に浸漬されており、回転することにより、その上部が軟包装用フィルムWFの印刷面にプライマーを供給する。搬送部17は、軟包装用フィルムWFを給紙部3から巻き出すとともに、軟包装用フィルムWFをグラビアローラ15へ搬送する。グラビアローラ15によりプライマーが供給される領域では、軟包装用フィルムWFの搬送方向と、グラビアローラ15の周面との回転方向とが逆になっている。いわゆるリバースキス方式でプライマーが軟包装用フィルムWFに対して塗布される。搬送部17は、プライマーが塗布された軟包装用フィルムWFの印刷面を上方に向けた姿勢で、塗布部5から印刷部7へと軟包装用フィルムWFを搬送する。
【0055】
プライマーとしては、例えば、樹脂、多価金属塩、アルコール類、表面張力調整剤、純水を含むものが挙げられる。樹脂としては、例えば、セラックが例示され、多価金属塩としては、例えば、乳酸カルシウムが例示され、アルコール類としては、例えば、エタノールが例示され、表面張力調整剤としては、例えば、SYグリスターが例示される。
【0056】
印刷部7は、カラー印刷部19と、プレ乾燥部21と、白印刷部25と、上方乾燥部27と、搬送部29とを備えている。カラー印刷部19は、プライマー層が塗布された軟包装用フィルムWFの印刷面に対し、例えば、多色のインクを吐出してカラー画像を印刷する。プレ乾燥部21は、カラー印刷が行われた軟包装用フィルムWFの印刷面を前処理的に乾燥させる。白印刷部25は、軟包装用フィルムWFのカラー印刷が行われた印刷面に対して白インクを吐出して白画像を印刷する。上方乾燥部27は、白画像が印刷された軟包装用フィルムWFの印刷面の乾燥を行う。搬送部29は、上述したカラー印刷部19から上方乾燥部27へと軟包装用フィルムWFを搬送する。
【0057】
メイン乾燥部9は、印刷部7で印刷された軟包装用フィルムWFの印刷面及びその反対面の両面を乾燥処理する。具体的には、メイン乾燥部9は、第1の乾燥部31と、第2の乾燥部33と、第3の乾燥部35と、第1の搬送部37と、第2の搬送部39と、第3の搬送部41とを備えている。第1の乾燥部31は、第1の搬送部37によって搬送方向Xの下流側へ搬送される軟包装用フィルムWFの印刷面を乾燥させる。第2の乾燥部33は、第2の搬送部39によって搬送方向Xの上流側へ搬送される軟包装用フィルムWFの両面を乾燥させる。第3の乾燥部35は、第3の搬送部41によって搬送方向Xの下流側へ搬送される軟包装用フィルムWFの両面を乾燥させる。第1の乾燥部31と、第2の乾燥部33と、第3の乾燥部35とは、所定温度に加熱された気体を軟包装用フィルムWFに対して吐出する。これにより、軟包装用フィルムWFの印刷面に印刷された画像が乾燥される。メイン乾燥部9は、例えば、80~90℃の気体を、27~30m/sの風速で吐出する。
【0058】
本実施例では、メイン乾燥部9の最下流に検査部43を備えている。この検査部43の詳細な構成については後述する。なお、検査部43が本発明における「検査装置」に相当する。
【0059】
排紙部11は、メイン乾燥部9によって乾燥処理された軟包装用フィルムWFを水平軸周りに巻き取る。
【0060】
ここで、図2及び図3を参照して、検査部43について説明する。なお、図2は、検査部における要部を示す側面図である。図3は、実施例1における搬送ローラの構成を示す斜視図である。
【0061】
検査部43は、搬送ローラ45と、搬送ローラ47と、フレーム49と、撮影部51と、透過光源部53とを備えている。
【0062】
搬送ローラ45と搬送ローラ47とは、軟包装用フィルムWFを搬送する。具体的には、搬送ローラ45は、搬送方向Xの左方から送り込み、高さ方向Zの下方に向きを変えて送り出す。搬送ローラ47は、搬送ローラ45に対して高さ方向Zにおいて下方に配置されている。搬送ローラ47は、その回転中心と、搬送ローラ45の回転中心との間隔が距離L1だけ離間して配置されている。距離L1は、例えば、100mmである。搬送ローラ47は、軟包装用フィルムWFを上方から搬送方向Xの左方に向きを変えて送り出す。
【0063】
フレーム49は、高さ方向Zにおける搬送ローラ45,47との間の位置であって、軟包装フィルムWFを挟んで搬送ローラ45,47とは反対側(-X方向)に配置されている。詳細には、フレーム49は、搬送ローラ47の搬送方向Xの右方に配置されている。フレーム49は、搬送ローラ45,47などを回動自在に保持している装置フレーム(不図示)に取り付けられている。フレーム49は、例えば、筒状部材で構成されている。フレーム49は、幅方向Yに長く形成されている。フレーム49は、その上面に撮影部51が取り付けられている。撮影部51は、フレーム49と同様に、幅方向Yに長く形成されている。
【0064】
撮影部51は、中央部に撮像素子51aを備えている。撮影部51は、撮像素子51aの高さ方向Zにおける上方に、上部反射光源51bを備えている。撮影部51は、撮像素子51の高さ方向Zにおける下方に、下部反射光源51cを備えている。撮像素子51aは、例えば、CIS(コンタクトイメージセンサ)である。上部反射光源51b及び下部反射光源51cは、撮影部51側から搬送方向Xの左方に向けて、つまり、搬送ローラ45,47によって搬送される軟包装フィルムWF側の印刷面に向けて反対側に向かって光を照射する。上部反射光源51b及び下部反射光源51cは、例えば、発光ダイオードで構成されている。透過光源53は、軟包装フィルムWFを挟んで搬送方向Xにおける撮影部51の反対側に配置されている。透過光源53は、例えば、発光ダイオードで構成されている。上述した上部反射光源51b及び下部反射光源51c並びに透過光源53は、主として軟包装用フィルムWFに光を照射する。但し、上部反射光源51b及び透過光源53からの光は、搬送ローラ45の下側外周面にも照射される。また、下部反射光源51b及び透過光源53からの光は、搬送ローラ47の上側外周面にも照射される。
【0065】
上述した撮影部51は、搬送ローラ45,47の間を撮影する。具体的には、撮影部51は、検査領域IAを撮影する。検査領域IAは、搬送ローラ45,47の間に位置し、距離L1のほぼ中央部に設定されている。撮影部51は、検査領域IAからの反射光及び透過光を撮像素子51aで検出することで、軟包装フィルムWFの印刷面に印刷されている印刷画像を読み取る。
【0066】
上述した搬送ローラ45,47は、従来から利用されている金属製である。例えば、搬送ローラ45,47の外周面は、表面が銀色である。本実施例では、これらの搬送ローラ45,47の外周面に処理が施されている。
【0067】
具体的には、図3に示すようなものである。
【0068】
搬送ローラ45,47は、その外周面に幅狭の黒色テープ55が、搬送ローラ45,47の長軸を中心にして螺旋状に巻き付けられている。黒色テープは、表面に反射防止処理が施されている。反射防止処理としては、例えば、梨地処理を施してつや消しとすることが挙げられる。また、反射防止処理として、黒色テープの表面に反射防止膜を被着してもよい。また、黒色テープ55は、搬送ローラ45,47の幅方向Yの長さに一致する幅のものを外周面に一周だけ巻き付けるようにしてもよい。
【0069】
なお、上述した搬送ローラ45が本発明における「第1の搬送ローラ」に相当し、搬送ローラ47が本発明における「第2の搬送ローラ」に相当する。上部反射光源51b、下部反射光源51c、透過光源53が本発明における「光照射部」に相当する。黒色テープ55が本発明における「光吸収部材」に相当する。
【0070】
本実施例における検査部43は、搬送ローラ45,47の外周面に、上部反射光源51b、下部反射光源51c、透過光源53からの光を吸収する黒色テープ55が巻かれて構成されている。したがって、照射された光が搬送ローラ45の下側外周面及び搬送ローラ57の上側外周面で反射することが抑制される。その結果、搬送ローラ45,47での反射光に起因する撮影部51におけるノイズを抑制できる。よって、検査部43において正確な検査を行うことができる。また、黒色テープ55で構成するので、低コスト化を図ることができる。また、黒色テープ55を巻くだけであるので、既存の装置にも容易に適用できる。
【0071】
本発明は、上記実施形態に限られることはなく、下記のように変形実施することができる。ここで、図4を参照する。なお、図4は、変形例における搬送ローラの構成を示し、その一部を拡大した縦断面図である。
【0072】
この変形例では、搬送ローラ45,47の外周面が針状構造57で構成されている。具体的には、針状構造57は、多数の凹部57aと多数の凸部57bとが形成されている。また、その表面が黒色の被膜で構成されている。この構成により、搬送ローラ45,57の外周面が光吸収部材で構成されるようにする。具体的には、搬送ローラ45,57の外周面の針状構造57における凹部57aと凸部57bとのアスペクト比が2以上30以下であることが好ましい。このような構造により、針状構造57に照射された光は、針状構造によって吸収されるので、反射を抑制できる。また、黒色の被膜は導電性金属であることが好ましい。導電性金属とすることにより、静電気により搬送ローラ45,47に粉体が入り込むことをよくしできる。したがって、凹部に粉体が入り込んで光の吸収性能が低下することを防止できる。そのため、長期間にわたって性能を維持できる。
【0073】
上述したように、多数の凹部57aと多数の凸部57bとが形成された針状構造57で、かつ、黒色の被膜で搬送ローラ45,47の外周面が構成されている。したがって、耐久性を良好にできるので、長期間にわたって効果を維持できる。
【実施例0074】
次に、図面を参照して本発明の実施例2について説明する。図5は、実施例2における検査部の要部を示す側面図である。
【0075】
実施例2に係る検査部43Aは、次のように構成されている。
【0076】
検査部43Aは、上部反射光源51b1と、下部反射光源51c1と、透過光源53aとが上述した検査部43と構成が相違する。具体的には、上部反射光源51b1と、下部反射光源51c1とは、搬送方向Xにおける右方から軟包装用フィルムWFに対して光を照射する。しかし、上部反射光源51b1と、下部反射光源51c1とは、光の照射方向が絞られている。換言すると、上部反射光源51b1と、下部反射光源51c1とは、指向性を有する。その指向性は、高さ方向Zにおいて、搬送ローラ45の下側外周面に光が照射されることを規制し、搬送ローラ47の上側外周面に光が照射されることを規制するものである。但し、上述した指向性は、検査領域IAに対しては光が照射される。また、透過光源53aも同様の指向性を有する。このような指向性は、例えば、光源のレンズ形状を工夫することにより実現できる。
【0077】
なお、上述した上部反射光源51b1、下部反射光源51c1、透過光源53aが本発明における「光照射規制部」に相当する。
【0078】
本実施例によると、光照射を行う構成だけの工夫により、搬送ローラ45,47での反射光に起因する問題を解決できる。
【実施例0079】
次に、図面を参照して本発明の実施例3について説明する。図6は、実施例3における検査部の要部を示す側面図である。
【0080】
実施例3に係る検査部43Bは、次のように構成されている。
【0081】
検査部43Bは、撮影部51がフード55を備え、透過光源部53がフード57を備えている。具体的には、フード55は、上部反射光源51bの上部と、下部反射光源51cの下部に取り付けられている。フード57は、透過光源53の上部及び下部に取り付けられている。フード55,57は、検査領域IAへの照射を許容する。その一方、フード55,57は、高さ方向Zにおいて、搬送ローラ45の下側外周面に光が照射されることを規制し、搬送ローラ47の上側外周面に光が照射されることを規制する。
【0082】
なお、上述したフード55,57が本発明における「光照射規制部」に相当する。
【0083】
本実施例によると、搬送ローラ45,47に光が照射されることを防止するフード55,57を備えている。これにより、上部反射光源51b及び下部反射光源51cにフード55及び透過光源53にフード57を備えるだけで、搬送ローラ45,47での反射光に起因する問題を解決できる。したがって、既存の装置にも容易に適用できる。
【0084】
なお、本発明は、上述したようにフード55が撮影部51に取り付けられ、フード57が透過光源53に取り付けられた実施形態に限定されない。つまり、光源からの光が搬送ローラ45,47の外周面に到達しない位置に遮蔽部材が配置されていればよく、フード55及びフード57の配置位置は上述した位置に限定されない。
【実施例0085】
次に、図面を参照して本発明の実施例4を説明する。図7は、実施例4における検査部の要部を示す側面図である。
【0086】
実施例4に係る検査部43Cは、次のように構成されている。
【0087】
検査部43Cは、搬送ローラ45と搬送ローラ47との高さ方向Zにおける間隔が距離L2だけ離間して配置されている。この距離L2は、実施例1における検査部43の距離L1より長い。距離L2は、搬送ローラ45の下側外周面と、搬送ローラ47の上側外周面とに対して、上部反射光源51bと、下部反射光源51cと、透過光源53とからの光が照射されない長さである。換言すると、上部反射光源51bと、下部反射光源51cと、透過光源53とからの光の照射範囲外に搬送ローラ45の下側外周面と、搬送ローラ47の上側外周面とが位置するように、搬送ローラ45,47が配置されている。
【0088】
なお、上述した距離L2の間隔で高さ方向Zに配置された搬送ローラ45,47が本発明における「光照射規制部」に相当する。
【0089】
本実施例によると、軟包装用フィルムWFが搬送されている、検査領域IAを挟んだ搬送ローラ45と搬送ローラ47との間の距離L2が、上部反射光源51bと、下部反射光源51cと、透過光源53とによる光の照射範囲外となるように設定されている。したがって、新たな構成を付加することなく、搬送ローラ45,47での反射光に起因する問題を解決できる。
【実施例0090】
次に、図面を参照して本発明の実施例2を説明する。図8は、実施例5における検査部の要部を示す側面図である。
【0091】
実施例5に係る検査部43Dは、次のように構成されている。検査部43Dは、上述した実施例1における検査部43と構成自体は同じである。しかし、搬送ローラ45,57に対して配置されている位置が異なる。
【0092】
まず、本実施例の構成は、実施例1における検査部43に対して、搬送ローラ45と搬送ローラ47によって搬送されている軟包装用フィルムWFを挟んで撮影部51と等価高原53の配置が逆になっている。具体的には、検査部43Dは、撮影部51が軟包装用フィルムWFを挟んで搬送方向Xの左側に配置されている。検査部43Dは、透過光源53が軟包装用フィルムWFを挟んで搬送方向Xの右側に配置されている。
【0093】
また、実施例1における検査部43とは、撮影部51の搬送方向Xにおける配置位置が異なる。本実施例における撮影部51は、搬送ローラ45と搬送ローラ47の間を搬送される軟包装用フィルムWFを基準として、搬送ローラ45,47が配置される側(軟包装用フィルムWFよりもX方向側)の位置であって、搬送ローラ45と搬送ローラ47との間の位置に配置されている。より好ましくは、撮像素子51aの入光面が、搬送ローラ45と搬送ローラ47との双方の左方外周面の接線よりも、搬送ローラ45と搬送ローラ47の回転中心とを結んだ中心線CL側に配置される。
【0094】
これにより、撮影部51が搬送ローラ45,57の間に入り込むことになる。そのため、搬送ローラ45,57間の外周面で反射した光が撮影部51に入射することを抑制できる。したがって、撮影部51の位置を変えるだけで、搬送ローラ45,47での反射光に起因する問題を解決できる。
【0095】
<移動機構>
ここで、図9及び図10を参照する。なお、図9は、検査部における移動機構の側面図である。図10は、検査部における移動機構の平面図である。
【0096】
上述した各実施例1~5では、印刷部7から吐出するインクが定着するように印刷前に塗布部5においてプライマー層が形成されている。そのため、プライマー層の粉が撮影部51(特に入光面)に付着し、正確な検査に支障を来すことがある。また、印刷媒体が軟包装用フィルムWFではなく紙である場合にも、紙粉が撮影部51に付着し、同様の問題が生じる恐れがある。そのため、撮影部51の印刷媒体が搬送されている側の面を定期的に清掃することが必要になる。しかしながら、撮像部51の撮像素子51aがCIS(コンタクトイメージセンサ)である場合には、被写界深度が浅い。そのため、撮像部51の光透過面と印刷媒体との距離が狭くなっている。したがって、撮像部51のメンテナンスが困難であるという問題がある。次のような移動機構61を備えていることが好ましい。
【0097】
移動機構61は、インクジェット印刷装置1の動作時には、撮影部51の検査領域IAに対する位置を固定する。一方、メンテナンス時には、撮影部51を検査領域IAから離間し、軟包装用フィルムWFの面から離れる方向に移動可能にする。
【0098】
具体的には、移動機構61は、装置フレーム63と、揺動ピン65とを備えている。搬送ローラ45及び搬送ローラ47は、装置フレーム63に対して回動自在に取り付けられている。詳細には、搬送ローラ45,47は、幅方向Yに回転軸を向けた姿勢で両端が装置フレーム63に回動自在に取り付けられている。揺動ピン65は、撮影部51が搭載されたフレーム49の一端側に挿通されている。揺動ピン65は、軟包装フィルムWFの面に軸が平行となるように配置されている。フレーム49の一端側にあたる装置フレーム63は、支持板67が立設されている。支持板67は、上部にピン留め板69が取り付けられている。フレーム49から下方に突出している揺動ピン65は、ピン留め板69に下部が挿通されている。これにより、図10に二点鎖線で示すように、フレーム49は、揺動ピン65の揺動軸P1を中心にして、支持板67の上面に沿って搬送方向X及び幅方向Yとからなる面に沿って揺動することができる。換言すると、撮影部51は、フレーム49とともに、搬送方向X及び幅方向Yとからなる面に沿って揺動することができる。
【0099】
なお、上述したフレーム49が本発明における「撮影部フレーム」に相当する。
【0100】
装置フレーム63は、撮影部51が軟包装用フィルムWFに対して合焦する合焦位置となるように、フレーム49の他端側の位置を規制するフレーム位置決めピン71を備えている。具体的には、装置フレーム63は、幅方向Yにおける揺動ピン65の反対側に、支持板67が取り付けられている。支持板67の上部には、フレーム位置決めピン71が取り付けられている。フレーム位置決めピン71は、下部が支持板67に埋め込まれ、上部が支持板67の上面から高さ方向Zに突出している。また、フレーム49の他端側の側面には、L字板73が取り付けられている。L字板73は、図10に示すように、平面視においてアルファベットのLの字形状を呈する。L字板73のうち幅方向Yにおける水平部分は、フレーム位置決めピン71に当接する。なお、L字板73がフレーム位置決めピン71に当接した状態で、ネジ75によりL字板73が支持板67に対して固定され、フレーム49の位置が固定される。
【0101】
移動機構61を備えると、メンテナンス時には撮影部51が軟包装用フィルムWFの面から離れるように移動できる。したがって、軟包装用フィルムWFから離脱した粉体などを撮影部51から容易に取り除くことができる。よって、長期間にわたり正確な検査を行うことができる。さらに、フレーム位置決めピン71により、撮影部51が合焦位置となるようにフレーム49の他端側の位置が規制される。したがって、撮影部51のメンテナンスのためにフレーム49を揺動させた後、元に戻しても撮影部51による撮影を適切に行うことができる。
【0102】
また、フレーム49は、図10図12に示すように構成されていることが好ましい。なお、図10は、検査部における移動機構の平面図である。図11は、検査部における撮影部移動機構の正面図である。図12は、検査部における撮影部移動機構の平面図である。
【0103】
すなわち、フレーム49は、撮影部51の検査領域IAに対する搬送方向Xにおける位置を移動可能にする撮影部移動機構81を備えていることが好ましい。
【0104】
撮影部移動機構81は、取り付け板83と、レール85と、撮影部位置決めピン87と、規制片89と、ネジ91とを備えている。
【0105】
取り付け板83は、撮影部51の幅方向Yにおける両端部に取り付けられている。取り付け板83は、Lの字状を呈する。取り付け板83の下方にあたるフレーム49には、レール85が取り付けられている。レール85は、搬送方向Xから見た場合に、中央部に溝を有する。レール85は、その溝が搬送方向Xに沿って形成されている。撮影部位置決めピン87は、取り付け板83の下面から下方に突出して取り付けられている。規制片89は、レール85の溝に固定して設けられている。規制片89は、搬送方向Xにおける軟包装用フィルムWF側に固定されている。撮影部位置決めピン87をレール85の溝の挿入した状態で、撮影部51を搬送方向Xに沿って移動すると、撮影部位置決めピン87が規制片89に当接して移動が規制される。この位置は、撮影部51が軟包装用フィルムWFの検査領域IAにおける印刷画像に対して合焦する合焦位置となるように設定されている。撮影部位置決めピン87が規制片89に当接して移動が規制された状態で、ネジ91を取り付ける。これにより、撮影部51が合焦位置においてフレーム49に固定される。
【0106】
このように撮影部移動機構81を備えると、撮影部51をメンテナンス時に移動しても、合焦位置に容易に設定できる。
【0107】
本発明は、上記実施形態に限られることはなく、下記のように変形実施することができる。
【0108】
(1)上述した各実施例では、印刷媒体として、透明なフィルムである軟包装用フィルムWFを例にとって説明した。しかしながら、本発明はそのような印刷媒体に限定されない。例えば、半透明のフィルムや、半透明の紙媒体であっても本発明を適用できる。
【0109】
(2)上述した各実施例では、インクジェット印刷装置1が塗布部5を備えてプライマー層を形成している。しかしながら、印刷部7が油性インクを吐出する場合には、塗布部5を備える必要はない。
【0110】
(3)上述した各実施例では、検査部43、43A~43Dが上部反射光源51(51b1)、下部反射光源51c(51c1)を備えている。しかしながら、本発明は必ずしも反射光源を二つ備える必要はない。
【0111】
(4)上述した各実施例では、検査部43、43A~43Dが透過光源53を備えている。しかしながら、本発明は、透過光源53を必須とするものではない。つまり、上部反射光源51b及び下部反射光源51cのように、反射光源だけを備える場合であっても、反射光源に起因する搬送ローラ45,57からの反射の悪影響を抑制できるので適用できる。また、透過光源53だけを備える場合であっても適用できる。
【産業上の利用可能性】
【0112】
以上のように、本発明は、透明印刷媒体の画像を読み取って印刷状態を検査する検査装置及びそれを備えたインクジェット印刷装置に適している。
【符号の説明】
【0113】
1 … インクジェット印刷装置
3 … 給紙部
5 … 塗布部
7 … 印刷部
9 … メイン乾燥部
11 … 排紙部
WF … 軟包装用フィルム
19 … カラー印刷部
25 … 白印刷部
43(43A~43D) … 検査部
45,47 … 搬送ローラ
49 … フレーム
51 … 撮影部
51a … 撮像素子
51b、51b1 … 上部反射光源
51c、51c1 … 下部反射光源
53、53a … 透過光源
L1,L2 … 距離
IA … 検査領域
55 … 黒色テープ
57 … 針状構造
55,57 … フード
CL … 中心線
61 … 移動機構
63 … 装置フレーム
65 … 揺動ピン
P1 … 揺動軸
81 … 撮影部移動機構
85 … レール
87 … 撮影部位置決めピン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12