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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024161274
(43)【公開日】2024-11-15
(54)【発明の名称】クリップ取付け構造
(51)【国際特許分類】
   B43K 25/02 20060101AFI20241108BHJP
【FI】
B43K25/02 110
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024154541
(22)【出願日】2024-09-09
(62)【分割の表示】P 2023070586の分割
【原出願日】2019-08-22
(71)【出願人】
【識別番号】000005957
【氏名又は名称】三菱鉛筆株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101878
【弁理士】
【氏名又は名称】木下 茂
(72)【発明者】
【氏名】岡部 哲
(57)【要約】
【課題】クリップ本体が軸筒等の装着部から外れる問題を解消し、クリップ本体に不安定なぐらつきや捩れが生ずるのを抑制することができるクリップ取付け構造を提供する。
【解決手段】金属弾性線材を折り曲げることで、クリップ本体16に一対のクリップ取付け部16f,16gが形成され、一方のクリップ取付け部16fの端部には、L字状に曲げられたL字状係合部16hが形成される。クリップ本体16の一対のクリップ取付け部16f,16gが挿入されるクリップ支持孔17aを有するクリップ装着部17が備えられ、クリップ支持孔17aから突出したクリップ本体のL字状係合部16hに係止する係止部18fを有する固定部材18が、クリップ装着部17に取付けられる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本願明細書に記載の発明。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、一本の金属弾性線材をU字状に曲げて成形したクリップを、例えばボールペンなどの筆記具の軸筒や、キャップなどに装着するクリップ取付け構造に関する。
【背景技術】
【0002】
筆記具に装着されるクリップとして、一本の金属弾性線材をU字状に折り曲げて、折り曲げ両脚部の各先端を軸筒の端部や、キャップなどに取付けたクリップ取付け構造が知られており、その一例が特許文献1に開示されている。
図9および図10は、特許文献1に開示されたクリップ取付け構造を示しており、図9は金属弾性線材をU字状に折り曲げたクリップ本体53の折り曲げ中央部53aに、飾りを兼ねたクリップ玉55を取付けた状態を示した斜視図である。また図10は、クリップ本体53を軸筒51に設けたクリップ装着部52に取付けた状態を示す側面図である。
【0003】
U字状に折り曲げたクリップ本体53の折り曲げ中央部53aには、図9に示すように例えば樹脂素材により成形されたクリップ玉55が後付けされ、折り曲げ中央部53aから上部に立ち上がる右脚部53b,左脚部53cは、長短二様に形成されている。
これら長短二様に形成され脚部53b,53cの各端部には、互いに内側に向けてL字状屈曲部53d,53eが形成されている。
そして、図10に示すようにクリップ本体53が取付けられる軸筒51のクリップ装着部52には、上下に前後して形成された装着孔52a,52bが形成され、これら装着孔52a,52bに、クリップ本体53の上下のL字状屈曲部53d,53eがそれぞれ挿入されて取付けられる。
【0004】
図10に示すように、クリップ本体53における短軸側(左側)の脚部53cは、長軸側(右側)の脚部53bに対して開き角度θを有するように長軸側の線材に対して後方に向かうようにねじれが付与されている。
この様に、クリップ本体53の短軸側の脚部53cと長軸側の脚部53bとの間にねじれが付与された状態で、図10に示すようにクリップ本体53のL字状屈曲部53d,53eを、軸筒51の装着部52に形成した装着孔52a,52bにそれぞれ装着する。
【0005】
これにより、長軸側の脚部53bと短軸側の脚部53cとが、同一平面上で平行状態に位置するように取付けられるため、クリップ玉55が装着されたクリップ本体53の折り曲げ中央部53aには、軸筒51に向けて弾性性的に圧接するばね弾性が付与される。
したがって、折り曲げ中央部53aは軸筒51に対してクリップとしての機能を発揮することになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009-39940号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、特許文献1に開示されたクリップ取付け構造によると、クリップ玉55が装着されたクリップ本体53の折り曲げ中央部53aを正面にして、折り曲げ中央部53aに例えば右方向に向かって横加重を加えると、右側の長軸側の脚部53bを構成する弾性線材が右側に向かって湾曲するのに対して、左側の短軸側の脚部53cを構成する弾性線材の湾曲の度合いは少なく、比較的ストレートの状態を保ったままとなる。
【0008】
このために、左側の短軸側の脚部53cにおけるL字状屈曲部53eは、軸筒1の装着部52に形成した装着孔52bから抜けて外れ易くなり、クリップ本体53は軸筒51から脱落するという問題が発生する。
これは、クリップ本体53の折り曲げ中央部53aに対して、例えば左方向に向かって横加重を加えた場合においても、左右対称に同様の問題が発生する。
【0009】
前記した問題を解消するには、クリップ本体の軸筒に沿った有効長さを短縮させれば、クリップ本体が軸筒から外れる度合いを少なくすることができる。
しかし、クリップ本体の有効長さを短縮させた場合には、クリップ本体の軸筒に向かうばね弾性およびストロークを適切に取ることが不可能となり、クリップとしての機能を果たすことが困難となる。
【0010】
この発明に係るクリップ取付け構造は、前記した問題点に着目してなされたものであり、クリップ本体が軸筒等に形成した装着部から不用意に外れる問題を解消すると共に、クリップ本体をクリップ装着部に取付けた状態において、クリップ本体に不安定なぐらつきや捩れが生ずるのを効果的に抑制することができるクリップ取付け構造を提供することを主要な目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記した課題を解決するためになされたこの発明に係るクリップ取付け構造は、金属弾性線材を第1の折曲げ部において折り曲げ両脚部を形成し、前記折り曲げ両脚部の長さ方向の等位置に形成した第2および第3の折曲げ部によって、一対のクリップ取付け部を、前記折り曲げ両脚部の内側に連続して形成すると共に、一方のクリップ取付け部の端部を、L字状に折り曲げてL字状係合部を形成してなるクリップ本体と、前記クリップ本体の一対のクリップ取付け部が挿入されるクリップ支持孔を有するクリップ装着部が備えられ、前記クリップ支持孔において取付けたクリップ本体の前記折り曲げ両脚部を、側面に沿って配置した用具本体部とを備え、前記L字状係合部を形成した第1クリップ取付け部と対をなす第2クリップ取付け部には、前記クリップ支持孔内において屈曲して、第1クリップ取付け部に接する屈曲部が形成されていることを特徴とする。
【0012】
この場合、好ましい実施の形態においては、前記用具本体部におけるクリップ装着部に取付けられ、用具本体部の前記クリップ支持孔から突出したクリップ本体のL字状係合部に係止する係止部を有し、前記クリップ取付け部が前記クリップ支持孔から離脱するのを阻止する固定部材を備え、前記固定部材には、前記L字状係合部に当接する当接部が形成されることで、クリップ支持孔内におけるL字状係合部を有する第1クリップ取付け部の軸回転を阻止する構成が採用される。
【0013】
さらに、クリップ本体における一対の脚部の長さ方向のほぼ中央部が前面側に向かって湾曲した構成を採用することが望ましい。
【発明の効果】
【0014】
この発明に係る前記したクリップ取付け構造によると、クリップ本体は金属弾性線材をU字状に折り曲げることで両脚部が形成され、この両脚部を含むU字状折り曲げ部がクリップとしての機能を果たすものとなる。そして、前記両脚部は長さ方向の等位置において、両脚部の内側に折り曲げられて一対のクリップ取付け部が形成され、このクリップ取付け部が用具本体部のクリップ支持孔に挿入されることで、クリップ本体が用具本体部側に取付けられる。
【0015】
この場合、一方のクリップ取付け部の端部にはL字状係合部が形成され、用具本体部のクリップ支持孔に挿入されて突出したL字状係合部には、用具本体部に取付けられた固定部材の係止部が係止するので、前記クリップ取付け部は、クリップ支持孔から離脱するのが阻止される。
これにより、クリップ本体が用具本体部から、不用意に外れる問題を解消したクリップ取付け構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】この発明に係るクリップ取付け構造を採用したノック式ボールペンの外観構成を示した斜視図である。
図2図1に示すボールペンの全体構成を示し、(A)は側面図、(B)は断面図である。
図3】クリップ本体の単品構成を示し、(A)は正面図、(B)は側面図、(C)は右側面図である。
図4A】ボールペン後軸の単品構成を示す斜視図である。
図4B】ボールペン後軸のクリップ装着部を示す斜視図である。
図4C】ボールペン後軸の断面図である。
図5A】クリップ装着部に取付けられる固定部材の斜視図である。
図5B】同じく固定部材の正面図である。
図5C】同じく固定部材の視点を変えた斜視図である。
図6A】後軸にクリップ本体を取付ける状態を示す斜視図である。
図6B】同じく視点を変えた斜視図である。
図7A】後軸にクリップ本体を取付けた状態を示す斜視図である。
図7B】同じく視点を変えた斜視図である。
図8A】後軸にさらに固定部材を取付けた状態を示す斜視図である。
図8B】同じく視点を変えた斜視図である。
図9】従来のクリップ取付け構造におけるクリップ本体の例を示す斜視図である。
図10図9に示すクリップ本体を軸筒に取付けた例を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
この発明に係るクリップ取付け構造について、ノック式ボールペンの軸筒にクリップ本体を取付けた実施例にしたがって説明する。
図1および図2は、ノック式ボールペン1の全体構成を示しており、このノック式ボールペン1は、前軸2Aおよび後軸2Bが円筒状に形成された軸継手3を介して直線状に連結されることで、軸筒2を構成している。
【0018】
すなわち、図2(B)に示すように、後軸2Bの前端部に嵌合されて取付けられた軸継手3の前端部には、雄ねじ3aが形成されており、この雄ねじ3aに対して前軸2Aの後端内周面に形成された雌ねじ2aが螺合することで、後軸2Bに対して前軸2Aが着脱可能に取付けられている。
【0019】
前軸2Aの前端部には、先端部に開口4aが形成された口先部4が取付けられており、この口先部4の後端部には、雄ねじ4bが形成されている。この雄ねじ4bは前軸2Aの前端内周面に形成された雌ねじ2bに螺合することで、口先部4は前軸2Aに対して着脱可能に取付けられている。
前記軸筒2内には、軸心に沿ってボールペンリフィール5が収容されている。このボールペンリフィール5は、インク収容管6の前端部に中継部材7を介してボールペンチップ8が取付けられている。
【0020】
一方、インク収容管6の後端部は、いわゆるカーンノック機構を構成する回転子11に形成された軸孔11a内に挿入されて嵌合されている。そして、回転子11と前記した軸継手3との間には、インク収容管6を囲繞するようにしてコイルスプリング(戻しばね)12が配置されており、これにより回転子11とボールペンリフィール5は、軸筒2内において後退する方向に付勢されている。
【0021】
前記回転子11の後端部は径が縮小されて、軸部材13内に収容されており、軸部材13の後端部にはノック棒14が装着されていて、このノック棒14の後端部は、後軸2Bの後端開口2cから突出した状態で配置されている。
なお、前記したカーンノック機構を構成する回転子11に対向して、後軸2B内には図4Cに示すように、軸方向に沿った各リブの前端部が鋸歯状に形成された複数のカム部材2dが、内周面に沿って等間隔に形成されている。
【0022】
このカーンノック機構においては、前記したノック棒14のノック操作を受けて、ボールペンリフィール5は、軸部材13、回転子11と共に前進し、ボールペンチップ8は口先部4の開口4aより突出する。
この状態で回転子11は、この回転子11側に形成されたカム面が、後軸2B内に形成された前記カム部材2dの前端部に係合する。これにより、ボールペンチップ8は口先部4の開口4aより突出した状態を保持し、筆記が可能な状態になされる。
【0023】
そして、ノック棒14の再度のノック操作を受けると、回転子11側に形成されたカム面が、後軸2Bに形成されたカム部材2dの間に落ち込むため、前記コイルスプリング(戻しばね)12の作用を受けて、回転子11は後軸2B内を後退する。これによって、ボールペンチップ8は口先部4の開口4a内に収容され、ノック棒14は後軸2Bの後端開口2cから突出した状態に復帰する。
【0024】
一方、前記した後軸2Bの後端部には、クリップ本体16を取付けるクリップ装着部17が、後軸2Bと一体に形成されており、クリップ装着部17にはクリップの固定部材18が取付けられて、クリップ装着部17に装着されたクリップ本体16の脱落を防止するように構成されている。
以下、クリップ本体16、クリップ装着部17およびクリップの固定部材18の個々について、図に基づいて説明する。
【0025】
図3は、クリップ本体16の単品構成を示しており、このクリップ本体16は、一本の金属弾性線材により構成され、金属弾性線材を第1の折曲げ部16aにおいてU字状に折り曲げることで、一対の折り曲げ両脚部、すなわち第1脚部16bと、第2脚部16cが形成されている。
また、折り曲げ両脚部16b,16cの長さ方向の等位置に形成した第2折曲げ部16dおよび第3折曲げ部16eによって、一対のクリップ取付け部16f,16gが前記折り曲げ両脚部16b,16cの内側に連続して形成されている。
【0026】
さらに、一方のクリップ取付け部、すなわち第1クリップ取付け部16fの端部は、脚部16cに向かってL字状に折り曲げられて、L字状係合部16hが形成されている。加えて、第1クリップ取付け部16fと対をなす第2クリップ取付け部16gには、屈曲部16iが形成されて、第2クリップ取付け部16gの先端部が、第1クリップ取付け部16fに平行に接した状態に構成されている。
この構成により、第1クリップ取付け部16fと第2クリップ取付け部16gの間には、隙間16jが形成されている。
【0027】
そして、前記したクリップ本体16における一対の脚部16b,16cは、図3(B)に示すように、長さ方向のほぼ中央部が前面側に向かって大きく湾曲しており、またクリップ本体16の先端部を構成するU字状に折り曲げられた第1の折曲げ部16aも、前面側に向かって迫り出した状態に形成されている。
【0028】
なお、クリップ本体16における前記したL字状係合部16hの折り曲げ長さは、図3(A)に示したように、第1クリップ取付け部16fと第2クリップ取付け部16gの両外側の幅W1の範囲内となるように構成されている。これは、L字状係合部16hを先端にして、第1クリップ取付け部16fと第2クリップ取付け部16gが、後述するクリップ支持孔17a内に挿入可能にするためである。
【0029】
図4A図4B図4Cは、後軸2Bの単品構成を示しており、この後軸2Bの後端部側面には、軸に沿って方形状に突出したクリップ装着部17が、後軸2Bと一体に成形されている。
このクリップ装着部17の中央部には、軸方向に沿って直線状に貫通した偏平状の空間を有するクリップ支持孔17aが形成されており、クリップ支持孔17aの前端部側に向かう開口部分には、クリップ本体16のL字状係合部16hが配置される係合部配置台17bが平面状に形成されている。
【0030】
また、係合部配置台17bのさらに前端部側には、クリップ本体16のL字状係合部16hが当接するストッパー17cが立設されている。そして、係合部配置台17bを中央にした左右の両側には、後述する固定部材18を取付けるための左右一対の係止爪17dがそれぞれ外側に向くように形成されている。
【0031】
後軸2Bの表面は、クリップ16と接触するため、繰り返しの使用でも傷が残らないように、自己修復性を備える塗装を施すことによって、後軸2Bの表面に傷が発生しても復元されやすくなり、軸筒の美観を維持することが容易になる。塗装は、ポリアリルアミン類の塩とポリリン酸のナトリウム塩との混合物、またはチオール基を側鎖に有する樹脂の少なくともいずれかを含み、全質量に対して0.5質量%以上、15質量%以下としたインク組成物を用いることが好ましい。
【0032】
前記ポリアリルアミン類の塩としては、アリルアミンに由来する分子構造を有していれば、特に限定されず、例えば、アリルアミン重合体、スチレン-アリルアミン共重合体などの塩が挙げられる。
前記ポリリン酸のナトリウム塩としては、例えば、ピロリン酸ナトリウム、トリメタリン酸ナトリウム、テトラメタリン酸ナトリウム、ペンタメタリン酸ナトリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウムなどのポリリン酸ナトリウム、シクロトリメタリン酸ナトリウム、シクロテトラメタリン酸ナトリウム、シクロペンタメタリン酸ナトリウム、シクロヘキサメタリン酸ナトリウムなどの環状ポリリン酸ナトリウムなどが挙げられ、これらの群から1種以上が選ばれる。
前記チオール基を側鎖に有する樹脂としては、特に限定されないが、(メタ)アクリレートのエステル置換基として、チオール基を含む置換基を有する(メタ)アクリレート単量体と、アルキル(メタ)アクリレート、アルキレングリコール(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリレート単量体から選ばれる1つ以上の単量体と、の共重合体が挙げられる。
【0033】
図5A図5B図5Cは、前記した後軸2Bに形成されたクリップ装着部17に取付けられて、クリップ装着部17の係合部配置台17bを覆う固定部材18の単品構成を示している。
この固定部材18は、天面板18a、左側面板18b、右側面板18c、および背面板18dに囲まれて方形状に形成されており、天面板18aと左右の側面板18b,18cによる外側寸法は、後軸2Bに形成された前記したクリップ装着部17の各寸法と同様に構成されている。
【0034】
固定部材18内には、図5Bに示す正面図において、天面板18aと右側面板18cとが交差する隅角部内に、矩形状の突起体18eが形成されている。
前記固定部材18内における突起体18eの裏側は面状に成形され、ここに図5Cに示すように係止部18fが形成されている。また、係止部18fに直交する天面板18aの裏側は、当接部18gを構成している。なお、係止部18fと当接部18gの機能については、図7Aおよび図7Bに基づいて後で説明する。
【0035】
さらに、図5Bに示すように左側面板18bと右側面板18cの下端部には、互いに内側に向くように係止突起18hが形成されており、これらの係止突起18hは、クリップ装着部17に形成された左右の係止爪17dに係止されることで、固定部材18を後軸2Bのクリップ装着部17に取付けることができる。
【0036】
図6Aおよび図6Bは、前記したクリップ本体16を後軸2Bに形成したクリップ装着部17に取付ける状態を示している。
この場合、後軸2Bの後端部側に配置したクリップ本体16は、その第1折曲げ部16aがクリップ装着部17に向かうように位置決めされる。そして、クリップ本体16に形成したL字状係合部16hを頭にして、第1クリップ取付け部16fと第2クリップ取付け部16gを、クリップ装着部17に形成したクリップ支持孔17aに挿入する。
【0037】
図7Aおよび図7Bは、クリップ本体16の第1クリップ取付け部16fと第2クリップ取付け部16gを、クリップ装着部17に形成したクリップ支持孔17aに挿入した状態を示している。
この状態においては、第1クリップ取付け部16fのL字状係合部16hが、クリップ支持孔17aの前端部側に突出して、L字状係合部16hは係合部配置台17bの上に位置した状態になされる。
【0038】
一方、クリップ装着部17に形成したクリップ支持孔17aは、その開口幅がクリップ本体16における第1クリップ取付け部16fと第2クリップ取付け部16gの両外側の幅W1(図3(A)参照)にほぼ等しいか、もしくは僅かに小さい幅となるように設定されている。また、クリップ支持孔17aの開口内の厚さ方向の寸法も、第1と第2のクリップ取付け部16f,16gの厚さ方向の寸法とほぼ等しい寸法に設定されている。
したがって、クリップ本体16の第1と第2のクリップ取付け部16f,16gは、その間の隙間16jが狭くなるように僅かに変形した状態で、クリップ支持孔17a内に挿入される。これにより、クリップ本体16はクリップ装着部17に対して、ぐらつきのない安定した状態で装着することができる。
【0039】
続いて、固定部材18を係合部配置台17bの直上に位置させて、固定部材18を押し込むことで、クリップ装着部17に形成した左右一対の係止爪17dに対して、固定部材18側に形成した一対の係止突起18hがそれぞれ嵌合し、固定部材18はクリップ装着部17に対して取付けられる。図8Aおよび図8Bは、クリップ装着部17に対して固定部材18が取付けられた状態を示している。
この様にして、クリップ装着部17に対して固定部材18が取付けられると、係合部配置台17b上に位置するクリップ本体16のL字状係合部16hは、固定部材18に形成された係止部18fの裏側に位置することになる。
【0040】
これにより、クリップ本体16をクリップ支持孔17aから引き抜こうとしても、L字状係合部16hが固定部材18の係止部18fに係止されるため、クリップ支持孔17aからのクリップ本体16の引き抜きは不可能となる。これは当然ながら、クリップ本体16がクリップ装着部17から自然に脱落するのを、効果的に阻止することができるものとなる。
【0041】
また、クリップ装着部17に対して固定部材18を取付けた状態においては、クリップ本体16のL字状係合部16hは、固定部材18における天面18aの裏側に形成された当接部18gと、クリップ装着部17における係合部配置台17bとの間で、上下で挟持された状態となる。このために、クリップ本体16の第1クリップ取付け部16fは、クリップ支持孔17a内において軸回転が阻止される状態になされる。
【0042】
また、第2クリップ取付け部16gには、クリップ支持孔17a内に屈曲部16iが挿入されているために、同様にクリップ支持孔17a内における軸回転が阻止される。
これは、クリップ本体16に対して、例えば無意識に捩れを与えるような操作をしても、第1と第2のクリップ取付け部16f,16gの軸回転が阻止されるので、クリップ本体16が過度に捩れるのを抑制させることに寄与できるものとなる。
すなわち、前記した構成はクリップ本体16の過度の捩れを防止するものとなる。
【0043】
なお、前記した固定部材18は、クリップ装着部17に対して取付けた状態においては、U字状に折り曲げられたクリップ本体16の一対の脚部16b,16c間に位置し、しかも脚部16b,16cの中央部が前面側に向かって大きく湾曲しているので、利用者が固定部材18を指先等で取り外す操作は不可能となる。
したがって、固定部材18の不要な取り外しに伴い、固定部材18やクリップ本体16等を紛失する等の問題を避けることができる筆記具の提供に寄与できるものとなる。
【0044】
以上説明した実施の形態は、この発明に係るクリップ取付け構造をノック式ボールペンの軸筒に採用した例に基づくものであるが、この発明に係るクリップ取付け構造は、筆記用具以外に、例えば化粧用具やその他筒状等の形態を備えた用具本体部に対して採用することが可能であり、同様の作用効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0045】
1 ノック式ボールペン
2 軸筒
2A 前軸
2B 後軸
3 軸継手
4 口先部
5 ボールペンリフィール
6 インク収容管
7 中継部材
8 ボールペンチップ
11 回転子
12 コイルスプリング
13 軸部材
14 ノック棒
16 クリップ本体
16a 第1折曲げ部
16b 第1脚部
16c 第2脚部
16d 第2折曲げ部
16e 第3折曲げ部
16f 第1クリップ取付け部
16g 第2クリップ取付け部
16h L字状係合部
16i 屈曲部
16j 隙間
17 クリップ装着部
17a クリップ支持孔
17b 係合部配置台
17c ストッパー
17d 係止爪
18 固定部材
18e 突起体
18f 係止部
18g 当接部
18h 係止突起
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B
図5C
図6A
図6B
図7A
図7B
図8A
図8B
図9
図10