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特開2024-161276ユウロピウム分を含む蛍光ガラスセラミックおよびガラス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024161276
(43)【公開日】2024-11-15
(54)【発明の名称】ユウロピウム分を含む蛍光ガラスセラミックおよびガラス
(51)【国際特許分類】
   C03C 10/06 20060101AFI20241108BHJP
   C03C 3/062 20060101ALI20241108BHJP
   C03C 3/095 20060101ALI20241108BHJP
   C03C 4/12 20060101ALI20241108BHJP
   A61C 5/70 20170101ALI20241108BHJP
   A61C 13/08 20060101ALI20241108BHJP
【FI】
C03C10/06
C03C3/062
C03C3/095
C03C4/12
A61C5/70
A61C13/08
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024154744
(22)【出願日】2024-09-09
(62)【分割の表示】P 2020021184の分割
【原出願日】2020-02-12
(31)【優先権主張番号】19157306
(32)【優先日】2019-02-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】501151539
【氏名又は名称】イフォクレール ヴィヴァデント アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Ivoclar Vivadent AG
【住所又は居所原語表記】Bendererstr.2 FL-9494 Schaan Liechtenstein
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】マルク ディトマー
(72)【発明者】
【氏名】ロニー ヘングスト
(72)【発明者】
【氏名】クリスティアン リッツベルガー
(57)【要約】
【課題】ユウロピウム分を含む蛍光ガラスセラミックおよびガラスを提供すること。
【解決手段】本発明は、以下の成分:
成分 重量%
SiO 30.0~75.0
Al 10.0~45.0
Euとして計算されるユウロピウム 0.05~5.0
を含むユウロピウム分を含むガラスセラミックおよびガラスに関し、これらのガラスセラミックおよびガラスは、蛍光特性が自然の歯の蛍光特性に大いに対応する歯科修復物の製造のために、特に適している。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本明細書に記載の発明。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユウロピウムを含有し、そして特に、蛍光特性が自然の歯の蛍光特性と大いに対応している歯科修復物の製造に適している、ガラスセラミックおよびガラスに関する。本発明はまた、本発明によるガラスセラミックおよびガラスの調製のためのプロセス、ならびに歯科材料としての、特に、歯科修復物の調製のための、これらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
ガラスセラミックは、これらの良好な機械特性および光学特性に起因して、特に歯科用クラウンおよび小型ブリッジの製造のために、歯学において使用される。
【0003】
W.Buchalla,「Comparative Fluorescence Spectroscopy Shows Differences in Non-Cavitated Enamel Lesions」,Caries Res.2005,39,150-156から、紫外光下では、自然の歯は、400から650nmまでの範囲の波長を有する青白色蛍光を示すことが公知である。
【0004】
Rukmaniら,J.Am.Ceram.Soc.2007,90,706-711は、VおよびMn着色剤の、Ceをドープされた二ケイ酸リチウムガラスセラミックの結晶化挙動および光学特性に対する影響を記載する。ガラスセラミックの製造のために、出発物質であるSiO、ZrO、LiCO、KCO、MgCOおよびAl(POと、CeO、VおよびMnOとの混合物が生成され、この混合物が白金るつぼ内で1500℃で融解され、冷却され、次いで、空気供給口を備える管状炉内で数回の加熱処理に供される。
【0005】
欧州特許出願公開第0877071号は、とりわけEu2+イオンを含有し、そして長期間にわたるりん光を示す、ガラスおよびガラスセラミックを記載する。
【0006】
ドイツ特許出願公開第102009013377号は、UV光に照射される場合に300~700nmの範囲の電磁放射線の放出によって、包装の偽造防止安全性を増大するために、CeOまたは少なくとも1つの別のランタノイドの酸化物(とりわけ、Eu)をドープされた、ホウケイ酸ガラスの使用を記載する。
【0007】
国際公開第2015/173230号は、ケイ酸リチウムガラスまたはケイ酸リチウムガラスセラミックの製造のための方法を記載し、この方法において、セリウムイオンを含有する出発ガラスの融解物が還元条件に供される。これによって、この出発ガラスに含まれるCe4+イオンは、Ce3+イオンに完全にかまたは部分的に還元され、5d→4f遷移により320から500nmまでの波長範囲の蛍光を示すと記載されている。SiOを主要結晶相として含むガラスセラミック、またはSiOの結晶化のための核を含有するガラスの製造のための対応するプロセスは、国際公開第2017/080853号から公知である。
【0008】
しかし、技術水準から公知であるガラスおよびガラスセラミックは、満足ではない蛍光特性を有し、そして特にUV光下では、自然の歯の材料の蛍光特性を十分に模倣し得ないことが示されている。特に、公知の材料は、UV範囲内の全ての関連する波長で、必要とされる蛍光を示さない。これによって、このようなガラスセラミックから製造された歯科修復物は、特にUV光の影響下では、修復物として認識可能であるか、または抜けた歯もしくは欠損と認められる。さらに、この方法で製造されたガラスおよびガラスセラミックの場合、蛍光特性のかなりの損失が、例えば焼成中に、酸化条件下での加熱処理によってもたらされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】欧州特許出願公開第0877071号明細書
【特許文献2】ドイツ特許出願公開第102009013377号明細書
【特許文献3】国際公開第2015/173230号明細書
【特許文献4】国際公開第2017/080853号明細書
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】W.Buchalla,「Comparative Fluorescence Spectroscopy Shows Differences in Non-Cavitated Enamel Lesions」,Caries Res.2005,39,150-156
【非特許文献2】Rukmaniら,J.Am.Ceram.Soc.2007,90,706-711
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、例えば、以下を提供する:
(項目1)
ユウロピウム分を含むガラスまたはガラスセラミックであって、以下の成分:
成分 重量%
SiO 30.0~75.0
Al 10.0~45.0
Euとして計算されるユウロピウム 0.05~5.0
を含有する、ガラスまたはガラスセラミック。
(項目2)
32.0~72.0重量%、特に35.0~65.0重量%、そして好ましくは38.0~50.0重量%のSiOを含有する、上記項目に記載のガラスまたはガラスセラミック。
(項目3)
15.0~40.0重量%、特に20.0~40.0重量%、好ましくは25.0~40.0重量%、そして特に好ましくは30.0~40.0重量%のAlを含有する、上記項目のいずれかに記載のガラスまたはガラスセラミック。
(項目4)
0.1~4.0重量%、特に0.3~3.0重量%、好ましくは0.5~2.0重量%、より好ましくは0.6~1.0重量%、そして特に好ましくは0.65~0.85重量%の、Euとして計算されるユウロピウムを含有する、上記項目のいずれかに記載のガラスまたはガラスセラミック。
(項目5)
8.0~30.0重量%、特に12.0~29.0重量%、好ましくは15.0~28.0重量%、そして特に好ましくは20.0~27.0重量%のMeIIOを含有し、ここでMeIIOは、MgO、CaO、SrOおよび/またはZnOから選択される、上記項目のいずれかに記載のガラスまたはガラスセラミック。
(項目6)
8.0~30.0重量%、特に12.0~29.0重量%、好ましくは15.0~28.0重量%、そして特に好ましくは20.0~27.0重量%のCaOおよび/またはSrOを含有する、上記項目のいずれかに記載のガラスまたはガラスセラミック。
(項目7)
以下の成分:
成分 重量%
MgO 0~13.0、特に3.5~13.0
CaO 0~22.0、特に5.0~22.0
SrO 0~28.0、特に9.0~28.0
ZnO 0~5.0、特に4.0~5.0
のうちの少なくとも1つ、好ましくは全てを、特定される量で含有する、上記項目のいずれかに記載のガラスまたはガラスセラミック。
(項目8)
0~10.0重量%、特に0~5.0重量%、そして好ましくは0~1.0重量%のBaOを含有し、最も好ましくはBaOを実質的に含まない、上記項目のいずれかに記載のガラスまたはガラスセラミック。
(項目9)
0~2.0重量%、特に0.1~1.2重量%、そして特に0.3~0.7重量%の、SnOとして計算されるスズを含有する、上記項目のいずれかに記載のガラスまたはガラスセラミック。
(項目10)
0~5.0重量%、特に0.5~4.0重量%、そして好ましくは1.0~3.0重量%の、CeOとして計算されるセリウムを含有する、上記項目のいずれかに記載のガラスまたはガラスセラミック。
(項目11)
0~3.0重量%、特に0~2.0重量%、そして好ましくは0~1.0重量%のBを含有し、最も好ましくはBを実質的に含まない、上記項目のいずれかに記載のガラスまたはガラスセラミック。
(項目12)
以下の成分:
成分 重量%
SiO 32.0~72.0
Al 15.0~40.0
Euとして計算されるユウロピウム 0.1~4.0
CeOとして計算されるセリウム 0~5.0
SnOとして計算されるスズ 0~2.0
Me O 0~15.0
MeIIO 0~30.0
MeIII 0~10.0
MeIV 0~15.0
Me 0~6.0
MeVI 0~6.0
フッ素 0~5.0
のうちの少なくとも1つ、好ましくは全てを、特定される量で含有し、ここで
Me Oは、特にLiO、NaO、KO、RbOおよび/またはCsOから選択され、
MeIIOは、特にMgO、CaO、SrOおよび/またはZnOから選択され、
MeIII は、特にY、La、Gaおよび/またはInから選択され、
MeIVは、特にZrOおよび/またはGeOから選択され、
Me は、特にP、V、Taおよび/またはNbから選択され、そして
MeVIは、特にWOおよび/またはMoOから選択される、
上記項目のいずれかに記載のガラスまたはガラスセラミック。
(項目13)
少なくとも1種のアルミノシリケート、特に、アルミノケイ酸カルシウムまたはアルミノケイ酸ストロンチウムを、結晶相として、そして好ましくは主要結晶相として含有する、上記項目のいずれかに記載のガラスセラミック。
(項目14)
少なくとも5重量%、特に少なくとも10重量%、そして好ましくは少なくとも20重量%のアルミノシリケート、特にアルミノケイ酸カルシウム、アルミノケイ酸ストロンチウムまたはこれらの混合物を、結晶相として含有する、上記項目のいずれかに記載のガラスセラミック。
(項目15)
アルミノシリケート、特にアルミノケイ酸カルシウムおよび/またはアルミノケイ酸ストロンチウムの結晶化のための核を含有する、上記項目のいずれかに記載のガラス。
(項目16)
上記項目のいずれかに記載の、ユウロピウム分を含むガラスまたはガラスセラミックを、好ましくは0.1から50重量%まで、特に0.2~40重量%、好ましくは0.5~30重量%、特に好ましくは1~20重量%、そしてより好ましくは5~10重量%の量で含有する、ガラスまたはガラスセラミック。
(項目17)
前記ガラスおよび前記ガラスセラミックが、粉末、顆粒、ブランクまたは歯科修復物の形態で存在する、上記項目のいずれかに記載のガラスまたはガラスセラミック。
(項目18)
250nmから430nmまでの範囲の励起波長、そして特に、360nmから430nmまでの範囲の励起波長で蛍光を示す、上記項目のいずれかに記載のガラスまたはガラスセラミック。
(項目19)
上記項目のいずれかに記載のガラスセラミックの調製のためのプロセスであって、該プロセスにおいて、上記項目のいずれかに記載のガラスが、1000から1500℃まで、好ましくは1050~1450℃の温度での少なくとも1回の加熱処理に、特に10~720分間、好ましくは30~120分間の持続時間供される、プロセス。
(項目20)
(a) 前記ガラスの粉末が、必要に応じてさらなる成分の添加後に、圧縮されて粉末コンパクトを形成し、そして
(b) 該粉末コンパクトが、1000から1500℃まで、好ましくは1050~1450℃の温度での加熱処理に、特に10~720分間、好ましくは30~120分間の持続時間にわたって供される、
上記項目に記載のプロセス。
(項目21)
ガラスまたはガラスセラミックの蛍光を調節するための配合成分としての、上記項目のいずれかに記載のガラスまたはガラスセラミックの使用。
(項目22)
歯科材料としての、特に歯科修復物の調製のための、上記項目のいずれかに記載のガラスまたはガラスセラミックの使用。
(項目23)
前記ガラスまたは前記ガラスセラミックが、所望の歯科修復物、特に、インレー、アンレー、クラウン、部分クラウン、ブリッジ、前装、咬合局面または支台の形状を、圧縮、焼成または機械加工によって、特にCAD/CAMプロセスにおいて与えられる、上記項目のいずれかに記載の使用。
(項目24)
歯科修復物、特に、インレー、アンレー、クラウン、部分クラウン、ブリッジ、前装、咬合局面または支台の調製のためのプロセスであって、該プロセスにおいて、上記項目のいずれかに記載のガラスまたはガラスセラミックが、所望の歯科修復物の形状を、圧縮、焼成または機械加工によって、特にCAD/CAMプロセスにおいて与えられる、プロセス。
【0012】
摘要
本発明は、以下の成分:
成分 重量%
SiO 30.0~75.0
Al 10.0~45.0
Euとして計算されるユウロピウム 0.05~5.0
を含むユウロピウム分を含むガラスセラミックおよびガラスに関し、これらのガラスセラミックおよびガラスは、蛍光特性が自然の歯の蛍光特性に大いに対応する歯科修復物の製造のために、特に適している。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の目的は、関連するUV範囲全体にわたって、とりわけ250nmから430nmまでの範囲、そして特に360nmから430nmまでの範囲の励起波長で、蛍光を示し、従って、良好な機械特性を有するのみでなく、関連するUV範囲全体にわたる励起波長で自然の歯の材料の蛍光特性を大いに模倣することも可能である、歯科修復物を製造するのに特に適している、ガラスセラミックおよびガラスを提供することである。特に、このガラスセラミックおよびガラスはまた、他のガラスおよびガラスセラミックの蛍光特性を調節するための配合成分として適しているはずである。
【0014】
この目的は、本発明に従って、ユウロピウム分を含むガラスまたはガラスセラミックによって達成され、このガラスまたはガラスセラミックは、以下の成分:
SiO 30.0~75.0
Al 10.0~45.0
Euとして計算されるユウロピウム 0.05~5.0
を含有する。
【0015】
驚くべきことに、本発明によるガラスおよび本発明によるガラスセラミックは、250から430nmまでの範囲の励起波長で、そして特にまた、360から430nmまでの範囲の励起波長で、技術水準と比較して改善された蛍光特性を示し、そしてこれらの蛍光特性は、さらに、加熱処理および酸化条件に対して大いに安定であることが示された。
【0016】
特定の理論に限定されないが、Eu2+イオンとEu3+イオンとの間の平衡が、本発明によるガラスおよびガラスセラミックにおいて形成されると推定される。5d→4f遷移に起因して、これらのEu2+イオンは、250から430nmまでの範囲全体にわたる励起波長で蛍光を示し、これは、自然の歯の材料の、特にUV範囲での励起の場合の蛍光特性を模倣するのに、特に適している。
【0017】
本発明によれば、ガラスおよびガラスセラミックは、32.0~72.0重量%、特に35.0~65.0重量%、そして好ましくは38.0~50.0重量%のSiOを含有することが好ましい。
【0018】
ガラスおよびガラスセラミックは、15.0~40.0重量%、特に20.0~40.0重量%、好ましくは25.0~40.0重量%、そして特に好ましくは30.0~40.0重量%のAlを含有することが、さらに好ましい。
【0019】
ガラスおよびガラスセラミックは、好ましくは0.1~4.0重量%、特に0.3~3.0重量%、好ましくは0.5~2.0重量%、より好ましくは0.6~1.0重量%、そして特に好ましくは0.65~0.85重量%の、Euとして計算されるユウロピウムを含有する。
【0020】
ガラスおよびガラスセラミックは、8.0~30.0重量%、特に12.0~29.0重量%、好ましくは15.0~28.0重量%、そして特に好ましくは20.0~27.0重量%のMeIIOを含有し、ここでMeIIOは、MgO、CaO、SrOおよび/またはZnOから選択されることが、さらに好ましい。好ましい実施形態において、ガラスおよびガラスセラミックは、8.0~30.0重量%、特に12.0~29.0重量%、好ましくは15.0~28.0重量%、そして特に好ましくは20.0~27.0重量%のCaOおよび/またはSrOを含有する。
【0021】
以下の成分のうちの少なくとも1つ、好ましくは全てを、特定される量で含有するガラスおよびガラスセラミックが、特に好ましい:
成分 重量%
MgO 0~13.0、特に3.5~13.0
CaO 0~22.0、特に5.0~22.0
SrO 0~28.0、特に9.0~28.0
ZnO 0~5.0、特に4.0~5.0。
【0022】
ガラスおよびガラスセラミックは、0~10.0重量%、特に0~5.0重量%、そして好ましくは0~1.0重量%のBaOを含有すること、最も好ましくはBaOを実質的に含まないことが、さらに好ましい。
【0023】
好ましい実施形態において、ガラスおよびガラスセラミックは、0~2.0重量%、特に0.1~1.2重量%、そして好ましくは0.3~0.7重量%の、SnOとして計算されるスズを含有する。
【0024】
好ましくは、ガラスおよびガラスセラミックは、0~5.0重量%、好ましくは0.5~4.0重量%、そして好ましくは1.0~3.0重量%の、CeOとして計算されるセリウムをさらに含有する。
【0025】
ガラスおよびガラスセラミックは、アルカリ金属酸化物Me Oを、0から15.0重量%まで、特に0~10.0重量%、好ましくは0~5.0重量%、特に好ましくは0~1.0重量%、そして最も好ましくは0~0.5重量%の量でさらに含有し得、ここでこのMe Oは、特にLiO、NaO、KO、RbOおよびCsOから選択され、そして好ましくは、LiO、NaOおよびKOから選択される。特に好ましくは、ガラスおよびガラスセラミックは、以下のアルカリ金属酸化物Me Oのうちの少なくとも1つ、特に全てを、特定される量で含有する:
【0026】
成分 重量%
LiO 0~5.0
NaO 0~10.0
O 0~14.0
RbO 0~7.0
CsO 0~13.0。
【0027】
ガラスおよびガラスセラミックは、さらに、0~10.0重量%、特に0~4.0重量%、そして好ましくは0~2.5重量%の、三価元素のさらなる酸化物MeIII を含有し得る。用語「三価元素のさらなる酸化物MeIII 」とは、B、Al、EuおよびCe以外の三価酸化物をいい、ここでこのMeIII は、特にY、La、Gaおよび/またはInから選択される。特に好ましくは、ガラスおよびガラスセラミックは、以下の三価元素のさらなる酸化物MeIII のうちの少なくとも1つ、特に全てを、特定される量で含有する:
【0028】
成分 重量%
0~3.0
La 0~2.0
Ga 0~2.0
In 0~1.0。
【0029】
ガラスおよびガラスセラミックは、0~3.0重量%、特に0~2.0重量%、そして好ましくは0~1.0重量%のBを含有すること、そして最も好ましくはBを実質的に含まないことが、さらに好ましい。
【0030】
さらに、ガラスおよびガラスセラミックは、四価元素のさらなる酸化物MeIVを、0~15.0重量%、特に0~4.0重量%、そして特に好ましくは0~2.5重量%の量で含有し得る。用語「四価元素のさらなる酸化物MeIV」とは、SiO、SnO、CeOおよびTiO以外の四価酸化物をいい、ここでこのMeIVは、特にZrOおよび/またはGeOから選択される。特に好ましくは、ガラスおよびガラスセラミックは、以下の四価元素のさらなる酸化物MeIVのうちの少なくとも1つ、特に全てを、特定される量で含有する:
【0031】
成分 重量%
ZrO 0~15.0
GeO 0~5.0。
【0032】
ガラスおよびガラスセラミックは、0~5.0重量%、特に0~2.5重量%、そして好ましくは0~1.0重量%のTiOを含有すること、最も好ましくはTiOを実質的に含まないことがさらに好ましい。
【0033】
さらに、ガラスおよびガラスセラミックは、五価元素の酸化物Me を、0~6.0重量%、そして特に0~5.0重量%の量で含有し得、ここでこのMe は、特にP、V、Taおよび/またはNbから選択される。特に好ましくは、ガラスおよびガラスセラミックは、以下の五価元素のさらなる酸化物Me のうちの少なくとも1つ、特に全てを、特定される量で含有する:
成分 重量%
0~6.0
0~6.0
Ta 0~5.0
Nb 0~5.0。
【0034】
さらに、ガラスおよびガラスセラミックは、0~6.0重量%の六価元素の酸化物MeVIを含有し得、ここでこのMeVIは、特にWOおよび/またはMoOから選択される。特に好ましくは、ガラスおよびガラスセラミックは、以下のMeVI酸化物のうちの少なくとも1つ、特に全てを、特定される量で含有する:
成分 重量%
WO 0~6.0
MoO 0~5.0。
【0035】
ガラスおよびガラスセラミックは、さらに、さらなるf-元素の酸化物、例えば、Pr、Nd、Gd、Tb、Dy、ErおよびYbの酸化物、特に、Tbおよび/またはDyの酸化物を含有し得る。
【0036】
さらに、ガラスおよびガラスセラミックは、0~5.0重量%、そして特に0~1.0重量%のフッ素を含有し得る。
【0037】
以下の成分のうちの少なくとも1つ、好ましくは全てを、特定される量で含有する、ガラスおよびガラスセラミックが、特に好ましい:
【0038】
成分 重量%
SiO 32.0~72.0
Al 15.0~40.0
Euとして計算されるユウロピウム 0.1~4.0
CeOとして計算されるセリウム 0~5.0
SnOとして計算されるスズ 0~2.0
Me O 0~15.0
MeIIO 0~30.0
MeIII 0~10.0
MeIV 0~15.0
Me 0~6.0
MeVI 0~6.0
フッ素 0~5.0
ここでMe O、MeIIO、MeIII 、MeIV、Me およびMeVIは特に、上で特定された意味を有する。
【0039】
さらに特に好ましい実施形態において、ガラスおよびガラスセラミックは、以下の成分のうちの少なくとも1つ、好ましくは全てを、特定される量で含有する:
【0040】
成分 重量%
SiO 32.0~72.0
Al 15.0~40.0
Euとして計算されるユウロピウム 0.1~4.0
CeOとして計算されるセリウム 0~5.0
SnOとして計算されるスズ 0~2.0
LiO 0~5.0
NaO 0~10.0
O 0~14.0
RbO 0~7.0
CsO 0~13.0
MgO 0~13.0
CaO 0~22.0
SrO 0~28.0
ZnO 0~5.0
BaO 0~10.0
0~3.0
0~3.0
La 0~2.0
Ga 0~2.0
In 0~1.0
ZrO 0~15.0
GeO 0~5.0
TiO 0~5.0
0~6.0
0~6.0
Ta 0~5.0
Nb 0~5.0
WO 0~6.0
MoO 0~5.0
Dy 0~3.0
Tb 0~2.0
フッ素 0~1.0。
【0041】
本発明によるガラスセラミックは、好ましくは、少なくとも1種のアルミノシリケートを、結晶相として、特に主要結晶相として含有する。さらに好ましい実施形態において、本発明によるガラスセラミックは、アルミノケイ酸カルシウムまたはアルミノケイ酸ストロンチウムあるいはこれらの混合物、好ましくはアルミノケイ酸カルシウムまたはアルミノケイ酸ストロンチウムを、結晶相として、特に主要結晶相として含有する。特定の理論に限定されないが、本発明によるガラスセラミックにおいて、Eu2+イオンは、上記結晶相の結晶格子に組み込まれ、これによって、その蛍光特性が、さらに改善および安定化されると推定される。
【0042】
用語「主要結晶相」とは、ガラスセラミックに存在する全ての結晶相のうちの、質量基準で最も高い割合を有する結晶相をいう。結晶相の質量は、特に、Rietveld法を使用して決定される。Rietveld法を使用する結晶相の定量分析のための1つの適切な方法は、例えば、M. Dittmerの博士論文「Glaeser und Glaskeramiken im System MgO-Al-SiO mit
ZrO als Keimbildner」[Glasses and glass
ceramics in the MgO-Al-SiOsystem with ZrOas nucleating agent],University
of Jena 2011に記載されている。
【0043】
本発明によるガラスセラミックは、少なくとも5重量%、特に少なくとも10重量%、そして好ましくは少なくとも20重量%のアルミノシリケートを、結晶相として、特にアルミノケイ酸カルシウム、アルミノケイ酸ストロンチウム、またはこれらの混合物の形態で含有することが、さらに好ましい。
【0044】
形成される結晶相のタイプおよび量は、特に、使用される出発ガラスの組成、およびこのガラスからガラスセラミックを製造するために使用される加熱処理によって、制御され得る。実施例は、このことを、組成および使用される加熱処理を変更することによって、示す。
【0045】
本発明はまた、対応する組成を有する前駆物質に関し、これから本発明によるガラスセラミックが加熱処理によって製造できる。これらの前駆物質は、対応する組成を有するガラス(出発ガラスとも称される)、および対応する組成を有し、核を含有するガラスである。用語「対応する組成」とは、これらの前駆物質が、ガラスセラミックと同じ成分を同じ量で含有することを意味し、ここでフッ素以外の成分は、ガラスおよびガラスセラミックの場合に慣習的であるように、酸化物として計算される。
【0046】
本発明はまた、アルミノシリケートの、特にアルミノケイ酸カルシウムおよび/またはアルミノケイ酸ストロンチウムの、結晶化のための核を含有する、本発明によるガラスに関する。本発明によるガラスの加熱処理によって、本発明による核を含有するガラスが最初に製造され得、これが次に、さらなる加熱処理によって、本発明によるガラスセラミック(特に、アルミノシリケートを結晶相として、好ましくは主要結晶相として含有するもの)に転換され得る。
【0047】
本発明によるガラスは特に、適切な出発物質(例えば、炭酸塩、酸化物、リン酸塩およびフッ化物)の混合物が、特に1500から1800℃までの温度で0.5~10時間融解され、そして得られたガラス融解物が、顆粒を生成するために水に導入されるような方法で、製造される。この顆粒は、粉砕後に、ブランク(いわゆる粉末コンパクト)を形成するように圧縮され得るか、または粉末を形成するように加工され得る。
【0048】
従って、本発明はまた、本発明によるガラスセラミックの調製のためのプロセスに関し、このプロセスにおいて、ガラス、特に核を含有するガラスは、1000から1500℃まで、好ましくは1050~1450℃の温度での少なくとも1回の加熱処理に、特に10~720分間、そして好ましくは30~120分間の持続時間にわたって供される。
【0049】
従って、好ましい実施形態において、本発明は、本発明によるガラスセラミックの調製のためのプロセスに関し、このプロセスにおいて、
(a) 本発明によるガラスの粉末が、必要に応じてさらなる成分(例えば、他のガラス、ガラスセラミックおよび/または圧縮剤)の添加後に、圧縮されて粉末コンパクトを形成し、そして
(b) この粉末コンパクトが、1000から1500℃まで、好ましくは1050~1450℃の温度での加熱処理に、特に10から720分間まで、好ましくは30~120分間の持続時間にわたって供される。
【0050】
核生成が、必要に応じて、工程(b)の加熱処理の前に行われ得る。
【0051】
出発ガラスの融解物は、必要に応じて、少なくとも1つの還元剤と反応させられ得る。原理的には、このプロセスの条件下でEu3+イオンをEu2+イオンに還元することが可能である全ての試薬が、還元剤として考慮される。還元後に、ガラス融解物から残留物なく除去され得る還元剤が好ましい。
【0052】
特に、気体の還元剤、および還元後に本発明によるプロセスの条件下でガラス融解物から燃焼により除去される還元剤が、好ましい。気体の還元剤の例は、水素を含む気体、好ましくは、水素と窒素との混合物である。さらに、還元剤の例は、少なくとも1つの酸化可能な炭素原子を含む物質であり、特に炭素、例えば黒鉛、有機塩、炭水化物および穀類の粉である。
【0053】
好ましい実施形態によれば、出発ガラスの融解物は、少なくとも1つの還元剤を含有するガラス形成組成物から形成される。少なくとも1つの還元剤として、少なくとも1つの酸化可能な炭素原子を含む化合物が好ましく、そして好ましくは、有機塩、炭水化物および穀類の粉からなる群より選択される。酢酸塩が、適切な有機塩の特に適切な例である。
【0054】
特に好ましい実施形態において、酢酸ユウロピウム、特に酢酸ユウロピウム(III)水和物が、還元剤として使用される。
【0055】
さらに好ましい実施形態によれば、少なくとも1つの還元剤は、還元性の気体であり、ここでこの気体は、好ましくは、水素を含有し、そして好ましくは、水素および窒素を含有する。約5体積%の水素を含有し、フォーミングガスとも称される、水素と窒素との混合物が、特に適している。還元の程度は、供給される気体の量によって、特に、気体供給の流量および持続時間によって、制御され得る。好ましくは、還元性の気体の有効成分(好ましくは、水素)の量は、0.05~5l/分、特に0.1~1l/分、そして好ましくは0.2~0.5l/分で、10~180分間、特に20~120分間、そして好ましくは30~90分間の持続時間にわたってである。
【0056】
本発明はさらに、CIE色空間で白色がかった青色の蛍光を有する、本発明によるガラスおよび本発明によるガラスセラミックに関する。
【0057】
本発明による、ユウロピウム分を含むガラスおよびガラスセラミックは、特に、他のガラスおよびガラスセラミックの蛍光特性を調整するための配合成分として適している。従って、本発明によるユウロピウム分を含むガラスまたは本発明によるユウロピウム分を含むガラスセラミックを含有する、ガラスまたはガラスセラミックは、本発明のさらなる主題を表す。本発明によるユウロピウム分を含むガラスまたは本発明によるユウロピウム分を含むガラスセラミックを、0.1から50重量%、特に0.2~40重量%、好ましくは0.5~30重量%、特に好ましくは1~20重量%、そしてより好ましくは5~10重量%の量で含有する、ガラスおよびガラスセラミックが特に好ましい。
【0058】
本発明によるユウロピウム分を含むガラスまたは本発明によるユウロピウム分を含むガラスセラミックは、特に、無機-無機複合材料の成分として、または種々の他のガラスおよび/もしくはガラスセラミックと組み合わせて使用され得、ここでこれらの複合材料または組み合わせ物は、特に、歯科材料として使用され得る。特に好ましくは、これらの複合材料または組み合わせ物は、焼成されたブランクの形態で存在し得る。無機-無機複合材料および組み合わせ物の製造のための、他のガラスおよびガラスセラミックの例は、ドイツ特許出願公開第4314817号、ドイツ特許明細書4423793号(一次公報)、ドイツ特許明細書4423794号(一次公報)、ドイツ特許出願公開第4428839号、ドイツ特許出願公開第19647739号、ドイツ特許出願公開第19725552号、ドイツ特許出願公開第10031431号、欧州特許出願公開第0827941号、欧州特許出願公開第0916625号、国際公開第00/34196号、欧州特許出願公開第1505041号、欧州特許出願公開第1688398号、欧州特許出願公開第2287122号、欧州特許出願公開第2377831号、欧州特許出願公開第2407439号、国際公開第2013/053863号、国際公開第2013/053864号、国際公開第2013/053865号、国際公開第2013/053866号、国際公開第2013/053867号、国際公開第2013/053868号、国際公開第2013/164256号、国際公開第2014/170168号、国際公開第2014/170170号、国際公開第2015/067643号、国際公開第2015/155038号、国際公開第2015/173394号、国際公開第2016/120146号、国際公開第2017/032745号、および国際公開第2017/055010号に開示されている。これらのガラスおよびガラスセラミックは、シリケート、ボレート、ホスフェートまたはアルミノシリケートの群に属する。好ましいガラスおよびガラスセラミックは、SiO-Al-KOタイプ(立方晶系もしくは正方晶系の格子の結晶を有する)、SiO-B-NaOタイプ、アルカリ-シリケートタイプ、アルカリ-亜鉛-シリケートタイプ、シリコ-ホスフェートタイプおよび/またはSiO-ZrOタイプのガラスおよびガラスセラミックである。特に好ましいものは、ケイ酸リチウムガラスセラミックであり、そして特に、メタケイ酸リチウムまたは二ケイ酸リチウムを主要結晶相として含有し、そして必要に応じて、さらなる結晶相(例えば、アパタイト、透輝石、石英および/またはウォラストナイト)を含むガラスセラミック、ならびにSiOを、特に低温型石英の形態で、主要結晶相として含有するガラスセラミックである。このようなガラスまたはガラスセラミックを、本発明によるユウロピウム分を含むガラスおよび/またはガラスセラミックと混合することによって、その蛍光特性が所望のように特に調節され得る。
【0059】
本発明によるガラスセラミックおよび本発明によるガラス(特に、複合材料および組み合わせ物の形態のもの)は、特に、任意の形状およびサイズの粉末、顆粒またはブランクの形態(例えば、小板状、直方体もしくは円筒などのモノリシックブランク、または未焼成、部分焼成もしくは緻密焼成された形態の粉末コンパクト)で存在する。これらの形態で、これらは容易にさらに加工されて、例えば、歯科修復物を形成し得る。しかし、これらはまた、歯科修復物(例えば、インレー、アンレー、クラウン、部分クラウン、ブリッジ、前装、咬合局面または支台)の形態でも存在し得る。
【0060】
歯科修復物(例えば、インレー、アンレー、クラウン、部分クラウン、ブリッジ、前装、咬合局面または支台)は、本発明によるガラスセラミックおよび本発明によるガラス(特に、複合材料および組み合わせ物の形態のもの)から製造され得る。従って、本発明は、歯科材料としてのこれらの使用、特に、歯科修復物の調製のためのこれらの使用に関する。ガラスセラミックまたはガラスは、所望の歯科修復物の形状を、圧縮または機械加工によって与えられることが好ましい。
【0061】
圧縮は通常、高圧下で高温で行われる。圧縮は、700から1150℃まで、そして特に700~1000℃の温度で行われることが好ましい。圧縮は、10から30barまでの圧力で行われることが、さらに好ましい。圧縮中に、使用される材料の粘性流によって、所望の形状変化が達成される。本発明によるガラスおよび本発明による核を含有するガラス、ならびに好ましくは、本発明によるガラスセラミックは、圧縮のために使用され得る。本発明によるガラスおよびガラスセラミックは、特に、任意の形状およびサイズのブランクの形態(例えば、モノリシックブランクまたは粉末コンパクトであり、例えば、未焼成、部分焼成または緻密焼成された形態)で使用され得る。
【0062】
機械加工は通常、材料除去プロセスによって、特に、ミーリングおよび/または粉砕において、行われる。機械加工は、CAD/CAMプロセスの一部として行われることが、特に好ましい。本発明によるガラス、本発明による核を含有するガラス、および本発明によるガラスセラミックは、機械加工のために使用され得る。本発明によるガラスおよびガラスセラミックは、特に、任意の形状およびサイズのブランクの形態(例えば、モノリシックブランクまたは粉末コンパクトであり、例えば、未焼成、部分焼成または緻密焼成された形態)で使用され得る。本発明によるガラスセラミックは、好ましくは、機械加工のために使用される。本発明によるガラスセラミックはまた、完全には結晶化していない形態で使用され得、これは、より低い温度での加熱処理によって生成される。これにより、より容易な機械加工という利点が与えられ、従って、機械加工のためのより簡単な装置の使用が可能になる。このような部分的に結晶化した材料の機械加工の後に、この材料は通常、さらなる結晶化をもたらすためのさらなる加熱処理に供される。
【0063】
しかし、本発明によるガラスセラミックおよび本発明によるガラス(特に、複合材料および組み合わせ物の形態のもの)はまた、例えば、セラミック、ガラスセラミックおよび金属のための、コーティング材料としても適している。従って、本発明はまた、特にセラミック、ガラスセラミックおよび金属をコーティングするための、本発明によるガラスまたは本発明によるガラスセラミックの使用に関する。
【0064】
本発明はまた、セラミック、ガラスセラミックおよび金属をコーティングするためのプロセスに関し、このプロセスにおいて、本発明によるガラスセラミックまたは本発明によるガラス(特に、複合材料および組み合わせ物の形態のもの)は、このセラミック、ガラスセラミックまたは金属に塗布され、そして少なくとも600℃の温度に曝露される。
【0065】
これは、特に表面での焼成(sintering-on)、そして好ましくは表面での圧縮(pressing-on)によって、行われ得る。表面での焼成の場合、ガラスセラミックまたはガラスが、コーティングされるべき材料(例えば、セラミック、ガラスセラミックまたは金属)に、通常の方法で、例えば粉末として塗布され、次いで焼成される。好ましい表面での圧縮の場合、本発明によるガラスセラミックまたは本発明によるガラスが、例えば粉末コンパクトまたはモノリシックブランクの形態で、例えば700から1150℃まで、そして特に700~1000℃の高温で、そして例えば10から30barまでの圧力を加えながら、表面に圧縮される。これのために、欧州特許第231773号に記載される方法およびそこに開示される圧縮炉が、特に使用され得る。適切な市販の炉は、Ivoclar Vivadent AG,Liechtenstein製のProgramatタイプの炉である。
【0066】
本発明によるガラスセラミックおよび本発明によるガラスの上記特性に起因して、これらは、歯学における使用に特に適している。従って、本発明の主題はまた、本発明によるガラスセラミックまたは本発明によるガラス(特に、複合材料および組み合わせ物の形態のもの)の、歯科材料としての、そして特に、歯科修復物の調製のための、または歯科修復物(例えば、クラウン、ブリッジおよび支台)のためのコーティング材料としての、使用である。
【0067】
従って、本発明はまた、歯科修復物(特に、インレー、アンレー、クラウン、部分クラウン、ブリッジ、前装、咬合局面または支台)の調製のためのプロセスに関し、このプロセスにおいて、本発明によるガラスセラミックまたは本発明によるガラス(特に、複合材料および組み合わせ物の形態のもの)は、所望の歯科修復物の形状を、圧縮、焼成または機械加工によって、特にCAD/CAMプロセスにおいて与えられる。
【0068】
本発明は、以下において、非限定的な実施例を参照しながらさらに詳細に記載される。
【実施例0069】
合計21種類の、本発明によるガラスを、表Iに特定される組成を用いて製造した。ここで特定の酸化物の酸化状態は、使用される原材料の酸化状態に関するものである。これらのガラスを、表IIに従って、ガラスセラミックから結晶化させた。ここで、
は、DSCによって決定されたガラス転移温度を表し、
およびtは、融解のために使用された温度および時間を表し、
SinterおよびtSinterは、焼成のために使用された温度および時間を表す。
【0070】
さらに、表IIIに従って、ガラスまたはガラスセラミックを、さらなるガラスと混合し、そして焼成して、ガラスセラミック体を形成した。
【0071】
A) 本発明によるガラスの調製
この実施例において、表Iに特定される組成を有する出発ガラスを、最初に、100から200gまでの規模で、通常の原材料から、Tの温度で、tの持続時間にわたって融解した。これらの融解した出発ガラスを水に注ぐことによって、ガラスフリットを生成した。このように得られたガラスフリットの、254nm、366nm、395nmおよび430nmの励起波長での蛍光特性を、UV灯によって目視により決定した。これらを表IIに再現する。これによれば、この実施例において得られた全てのガラスが、特に366nm、395nmおよび430nmの励起波長で、蛍光を示した。
【0072】
下に特定される3つの変法B)~D)を、ガラスフリットのさらなる加工のために使用した:
【0073】
B) 本発明によるガラスセラミックの調製
実施例1~13において、得られたガラスフリットを、酸化ジルコニウムミル内で、45μm未満の粒径まで粉砕した。次いで、約4gのこれらの粉末を圧縮して、円柱形のブランクを形成し、そして表IIに従って、温度TSinterでtSinterの保持時間にわたり焼成して、緻密ガラスセラミック体を形成した。この焼成を、1200℃までの焼成温度については、減圧内で、Programat(登録商標)タイプの焼成炉(Ivoclar Vivadent AG)内で行い、そして1200℃を越える焼成温度については、通常の雰囲気内で、LHT 02/16タイプの焼成炉(Nabertherm)内で行った。このように得られたガラスセラミックの、それぞれ254nm、366nm、395nmおよび430nmの励起波長での蛍光特性を、UV灯によって目視により決定した。これらを表IIに再現する。これによれば、得られたガラスセラミックは、特に366nm、395nmおよび430nmの励起波長で、蛍光を示した。
【0074】
C) 配合成分としての本発明によるガラス
実施例14~21で得られたガラスフリットを微粉砕し、そして25μm未満の粒径に篩い分けた。得られたガラス粉末を、表IIIに従って、微粉砕したケイ酸リチウムガラスに添加した。各場合に、約4gのこれらの混合物を、次いで圧縮して円柱形または円板形のブランクを形成し、そして焼成炉(Ivoclar Vivadent AG製のProgramat(登録商標))内で焼成して、緻密ガラスセラミック体を形成した。このように得られたガラスセラミック体の、それぞれ254nm、366nm、395nmおよび430nmの励起波長での蛍光特性を、UV灯によって目視により決定した。これらを表IIIに再現する。これによれば、得られた全てのガラスセラミック体が、特に366nm、395nmおよび430nmの励起波長で、蛍光を示した。
【0075】
D) 配合成分としての本発明によるガラスセラミック
実施例1、2、4および9で得られたガラスセラミック、ならびに実施例5で1110℃での焼成後に得られたガラスセラミックを微粉砕し、そして25μm未満の粒径まで篩い分けた。得られたガラスセラミック粉末を、表IIIに従って、微粉砕したケイ酸リチウムガラスに添加した。各場合に、約4gのこれらの混合物を、次いで圧縮して円柱形もしくは円板形のブランクを形成したか、または圧縮成形物を形成し、そして焼成炉(Ivoclar Vivadent AG製のProgramat(登録商標))内で焼成したか、またはホットプレスして、緻密ガラスセラミック体を形成した。このように得られたガラスセラミック体の、それぞれ254nm、366nm、395nmおよび430nmの励起波長での蛍光特性を、UV灯によって目視により決定した。これらを表IIIに再現する。これによれば、得られた全てのガラスセラミック体が、特に366nmの励起波長で、蛍光を示した。結晶相として、灰長石などのアルミノケイ酸カルシウムが、CaO含有組成物中で得られ、そしてスローソン石などのアルミノケイ酸ストロンチウムが、SrO含有組成物中で得られた。
【0076】
【表1-1】
【0077】
【表1-2】
【0078】
【表2-1】
【0079】
【表2-2】
【0080】
【表2-3】
【0081】
【表3-1】
【0082】
【表3-2】
【0083】
【表3-3】