IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日本発條株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-プローブユニット 図1
  • 特開-プローブユニット 図2
  • 特開-プローブユニット 図3
  • 特開-プローブユニット 図4
  • 特開-プローブユニット 図5
  • 特開-プローブユニット 図6
  • 特開-プローブユニット 図7
  • 特開-プローブユニット 図8
  • 特開-プローブユニット 図9
  • 特開-プローブユニット 図10
  • 特開-プローブユニット 図11
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024161290
(43)【公開日】2024-11-15
(54)【発明の名称】プローブユニット
(51)【国際特許分類】
   G01R 1/073 20060101AFI20241108BHJP
   G01R 31/26 20200101ALI20241108BHJP
   G01R 31/27 20060101ALI20241108BHJP
   G01R 1/067 20060101ALI20241108BHJP
【FI】
G01R1/073 B
G01R1/073 D
G01R31/26 J
G01R31/27
G01R1/067 C
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024156550
(22)【出願日】2024-09-10
(62)【分割の表示】P 2022510012の分割
【原出願日】2021-03-17
(31)【優先権主張番号】P 2020053388
(32)【優先日】2020-03-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000004640
【氏名又は名称】日本発條株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】井沼 毅
(72)【発明者】
【氏名】高橋 秀志
(72)【発明者】
【氏名】相馬 一也
(72)【発明者】
【氏名】仁平 崇
(72)【発明者】
【氏名】廣中 佑哉
(57)【要約】
【課題】コンタクトプローブ全体の特性インピーダンスを調整することができるプローブユニットを提供すること。
【解決手段】本発明にかかるプローブユニットは、長手方向の一方の端部側で接触対象の電極とそれぞれ接触する第1のコンタクトプローブと、外部のグランドに接続する第2のコンタクトプローブと、第1および第2のコンタクトプローブを保持するプローブホルダと、を備え、プローブホルダには、第1のコンタクトプローブを挿通して保持する第1の中空部と、第2のコンタクトプローブを挿通して保持する第2の中空部と、第1の中空部の周囲に設けられるスルーホールと、が形成され、プローブホルダは、スルーホールを構成するとともに、該スルーホールと第2のコンタクトプローブとを電気的に接続する導電部を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向の一方の端部側で接触対象の電極とそれぞれ接触する第1のコンタクトプローブと、
外部のグランドに接続する第2のコンタクトプローブと、
前記第1および第2のコンタクトプローブを保持するプローブホルダと、
を備え、
前記プローブホルダには、
前記第1のコンタクトプローブを挿通して保持する第1の中空部と、
前記第2のコンタクトプローブを挿通して保持する第2の中空部と、
前記第1の中空部の周囲に設けられるスルーホールと、
が形成され、
前記プローブホルダは、前記スルーホールを構成するとともに、該スルーホールと前記第2のコンタクトプローブとを電気的に接続する導電部を有する、
ことを特徴とするプローブユニット。
【請求項2】
前記導電部は、前記スルーホールと、該スルーホールの開口端を形成する表面とに設けられる、
ことを特徴とする請求項1に記載のプローブユニット。
【請求項3】
前記スルーホールは、径が部分的に異なる段付きの孔形状をなす、
ことを特徴とする請求項1または2に記載のプローブユニット。
【請求項4】
前記スルーホールは、中心軸の位置が互いに異なる段付きの孔形状をなす、
ことを特徴とする請求項1~3のいずれか一つに記載のプローブユニット。
【請求項5】
前記プローブホルダは、一つの部材からなる、
ことを特徴とする請求項1~4のいずれか一つに記載のプローブユニット。
【請求項6】
前記プローブホルダは、複数の部材を、前記第1の中空部の貫通方向に積層してなる、
ことを特徴とする請求項1~4のいずれか一つに記載のプローブユニット。
【請求項7】
前記スルーホールは、前記複数の部材にそれぞれ形成される貫通孔によって形成され、
少なくとも一つの部材において、前記貫通孔の径が部分的に異なる段付きの孔形状をなす、
ことを特徴とする請求項6に記載のプローブユニット。
【請求項8】
前記スルーホールは、前記複数の部材にそれぞれ形成される貫通孔によって形成され、
少なくとも一つの部材において、前記貫通孔の中心軸の位置が互いに異なる段付きの孔形状をなす、
ことを特徴とする請求項6または7に記載のプローブユニット。
【請求項9】
前記複数の部材には、前記スルーホールを構成する貫通孔がそれぞれ形成され、
前記スルーホールは、前記部材の積層方向で隣り合う部材に形成される貫通孔の少なくとも一部が、当該貫通孔の貫通方向からみて互いに重なる、
ことを特徴とする請求項6に記載のプローブユニット。
【請求項10】
前記スルーホールは、貫通方向からみた開口の形状が、長穴形状をなす、
ことを特徴とする請求項1~9のいずれか一つに記載のプローブユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定回路構造に対して信号入出力を行うコンタクトプローブを収容するプローブユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体集積回路や液晶パネルなどの検査対象の導通状態検査や動作特性検査を行う際には、検査対象と検査用信号を出力する信号処理装置との間の電気的な接続を図るコンタクトプローブと、このコンタクトプローブを複数収容するプローブホルダとを備えたプローブユニットが用いられる。
【0003】
一般に、高周波数の電気信号を入出力する場合には、挿入損失(インサーションロス)と呼ばれる信号の損失が生じる。プローブユニットにおいて、高精度に高速動作させるには、使用する周波数領域において、このインサーションロスを低減することが重要である。例えば、特許文献1には、コンタクトプローブの周囲に空気層を設けて特性インピーダンス整合する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012-98219号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1が開示する技術では、コンタクトプローブの中央部のインピーダンスは調整できるものの、先端部や基端部の特性インピーダンスは調整できていない。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、コンタクトプローブ全体の特性インピーダンスを調整することができるプローブユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係るプローブユニットは、長手方向の一方の端部側で接触対象の電極とそれぞれ接触する複数の第1のコンタクトプローブと、外部のグランドに接続する第2のコンタクトプローブと、前記第1および第2のコンタクトプローブを保持するプローブホルダと、を備え、前記プローブホルダには、前記第1のコンタクトプローブを挿通して保持する第1の中空部と、前記第2のコンタクトプローブを挿通して保持する第2の中空部と、前記第1の中空部の周囲に設けられるスルーホールと、が形成され、前記プローブホルダは、前記スルーホールを構成するとともに、該スルーホールと前記第2のコンタクトプローブとを電気的に接続する導電部を有する、ことを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係るプローブユニットは、上記の発明において、前記導電部は、前記スルーホールと、該スルーホールの開口端を形成する表面とに設けられることを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係るプローブユニットは、上記の発明において、前記スルーホールは、径が部分的に異なる段付きの孔形状をなすことを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係るプローブユニットは、上記の発明において、前記スルーホールは、中心軸の位置が互いに異なる段付きの孔形状をなすことを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係るプローブユニットは、上記の発明において、前記プローブホルダは、一つの部材からなることを特徴とする。
【0012】
また、本発明に係るプローブユニットは、上記の発明において、前記プローブホルダは、複数の部材を、前記第1の中空部の貫通方向に積層してなることを特徴とする。
【0013】
また、本発明に係るプローブユニットは、上記の発明において、前記スルーホールは、前記複数の部材にそれぞれ形成される貫通孔によって形成され、少なくとも一つの部材において、前記貫通孔の径が部分的に異なる段付きの孔形状をなすことを特徴とする。
【0014】
また、本発明に係るプローブユニットは、上記の発明において、前記スルーホールは、前記複数の部材にそれぞれ形成される貫通孔によって形成され、少なくとも一つの部材において、前記貫通孔の中心軸の位置が互いに異なる段付きの孔形状をなすことを特徴とする。
【0015】
また、本発明に係るプローブユニットは、上記の発明において、前記複数の部材には、前記スルーホールを構成する貫通孔がそれぞれ形成され、前記スルーホールは、前記部材の積層方向で隣り合う部材に形成される貫通孔の少なくとも一部が、当該貫通孔の貫通方向からみて互いに重なることを特徴とする。
【0016】
また、本発明に係るプローブユニットは、上記の発明において、前記スルーホールは、貫通方向からみた開口の形状が、長穴形状をなすことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、コンタクトプローブ全体の特性インピーダンスを調整することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、本発明の実施の形態1にかかるプローブユニットの要部の構成を示す部分断面図である。
図2図2は、本発明の実施の形態1にかかるプローブユニットのスルーホールの配置を説明する図である。
図3図3は、本発明の実施の形態1にかかるプローブホルダを用いた半導体集積回路の検査時の状態を示す図である。
図4図4は、本発明の実施の形態1の変形例1にかかるプローブユニットのスルーホールの配置を説明する図である。
図5図5は、本発明の実施の形態1の変形例2にかかるプローブユニットのスルーホールの配置を説明する図である。
図6図6は、本発明の実施の形態1の変形例3にかかるプローブユニットのスルーホールの配置を説明する図である。
図7図7は、本発明の実施の形態1の変形例4にかかるプローブユニットのスルーホールの要部の構成を説明する断面図である。
図8図8は、本発明の実施の形態1の変形例5にかかるプローブユニットのスルーホールの要部の構成を説明する断面図である。
図9図9は、本発明の実施の形態1の変形例6にかかるプローブユニットのスルーホールの要部の構成を説明する断面図である。
図10図10は、本発明の実施の形態2にかかるプローブユニットの要部の構成を示す部分断面図である。
図11図11は、本発明の実施の形態3にかかるプローブユニットの要部の構成を示す部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を実施するための形態を図面と共に詳細に説明する。なお、以下の実施の形態により本発明が限定されるものではない。また、以下の説明において参照する各図は、本発明の内容を理解でき得る程度に形状、大きさ、および位置関係を概略的に示してあるに過ぎず、従って、本発明は各図で例示された形状、大きさ、および位置関係のみに限定されるものではない。
【0020】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1にかかるプローブユニットの要部の構成を示す部分断面図である。図1に示すプローブユニット1は、検査対象物である半導体集積回路の電気特性検査を行う際に使用する装置であって、半導体集積回路(後述する半導体集積回路100)と半導体集積回路へ検査用信号を出力する回路基板(後述する回路基板200)との間を電気的に接続する装置である。
【0021】
プローブユニット1は、長手方向の両端で互いに異なる二つの被接触体である半導体集積回路100および回路基板200に接触し、検査用の信号を導通する導電性の信号用コンタクトプローブ2A(以下、単に「信号用プローブ2A」という)と、外部のグランド電極に接続するグランド用コンタクトプローブ2B(以下、単に「グランド用プローブ2B)という)と、信号用プローブ2Aおよびグランド用プローブ2Bを所定のパターンにしたがって収容して保持するプローブホルダ3と、を有する。なお、プローブユニット1は、プローブホルダ3の周囲に設けられ、検査の際に半導体集積回路の位置ずれが生じるのを抑制するホルダ部材を備えてもよい。
【0022】
信号用プローブ2Aは、導電性材料を用いて形成され、半導体集積回路の検査を行うときにその半導体集積回路の検査信号が入力される電極に接触する第1プランジャ21と、検査回路を備えた回路基板の検査信号を出力する電極に接触する第2プランジャ22と、第1プランジャ21と第2プランジャ22との間に設けられて第1プランジャ21および第2プランジャ22を伸縮自在に連結するバネ部材23とを備える。信号用プローブ2Aを構成する第1プランジャ21、第2プランジャ22およびバネ部材23は同一の軸線を有している。図1に示す信号用プローブ2Aでは、第1プランジャ21、第2プランジャ22およびバネ部材23の各長手軸(中心軸)が、軸NPと一致する。
【0023】
信号用プローブ2Aは、半導体集積回路をコンタクトさせた際に、バネ部材23が伸縮することによって半導体集積回路の接続用電極への衝撃を和らげるとともに、半導体集積回路および回路基板に荷重を加える。なお、以下では、信号用プローブ2Aにおいて、半導体集積回路の電極に接触する側を先端側、半導体集積回路側に対して軸線方向で反対となる側を基端側とする。また、プランジャ単体で先端側および基端側を規定する場合、半導体集積回路と接触するプランジャにおいて、半導体集積回路側を先端側、半導体集積回路側に対して軸線方向で反対となる側を基端側とする。また、回路基板と接触するプランジャにおいて、回路基板側を先端側、回路基板側に対して軸線方向で反対となる側を基端側とする。
【0024】
第1プランジャ21は、バネ部材23の伸縮作用によって軸線方向に移動が可能であり、検査時において、バネ部材23の弾性力によって半導体集積回路に近付く方向に付勢され、半導体集積回路の電極と接触する。また、第2プランジャ22は、バネ部材23の伸縮作用によって軸線方向に移動が可能であり、バネ部材23の弾性力によって回路基板に近付く方向に付勢され、回路基板の電極と接触する。
【0025】
バネ部材23は、第1プランジャ21側が密着巻き部23aである一方、第2プランジャ22側が粗巻き部23bである。密着巻き部23aの端部は、第1プランジャ21に連結している。一方、粗巻き部23bの端部は、第2プランジャ22に連結している。また、第1プランジャ21および第2プランジャ22とバネ部材23とは、バネの巻き付き力によって嵌合および/または半田付けによって接合されている。
【0026】
グランド用プローブ2Bは、信号用プローブ2Aと同様の構成を有している。具体的に、グランド用プローブ2Bは、導電性材料を用いて形成され、半導体集積回路の検査を行うときにその半導体集積回路のグランド用の電極に接触する第1プランジャ21と、回路基板のグランド用の電極に接触する第2プランジャ22と、第1プランジャ21と第2プランジャ22との間に設けられて第1プランジャ21および第2プランジャ22を伸縮自在に連結するバネ部材23とを備える。グランド用プローブ2Bを構成する第1プランジャ21および第2プランジャ22、ならびにバネ部材23は同一の軸線を有している。図1に示すグランド用プローブ2Bでは、第1プランジャ21、第2プランジャ22およびバネ部材23の各長手軸(中心軸)が、軸NPと一致する。
【0027】
プローブホルダ3は、樹脂、マシナブルセラミック、シリコンなどの絶縁性材料を用いて形成される第1部材31、第2部材32、第3部材33、第4部材34を積層してなる。図1に示すプローブホルダ3は、図の上側から、第3部材33、第1部材31、第2部材32、第4部材34の順に積層される。第1部材31~第4部材34とは、ネジ止めや接着等の公知の方法によって固定される。
【0028】
プローブホルダ3には、複数の信号用プローブ2Aを収容する空間を形成する中空部35と、複数のグランド用プローブ2Bを収容する空間を形成する中空部36とが形成される。また、プローブホルダ3には、信号用プローブ2Aの周囲に複数のスルーホール37が形成される。
【0029】
第1部材31には、該第1部材31の表面をなす面に、メッキ処理が施される。メッキ処理には、導電性の材料が用いられる。このため、第1部材31の表面には、第1導電性皮膜31aおよび第2導電性皮膜31bが形成される。なお、第1導電性皮膜31aは、スルーホール37の形成部分を含む、中空部35以外の表面に形成される。また、第2導電性皮膜31bは、中空部35の形成部分の表面に形成される。第1導電性皮膜31aと第2導電性皮膜31bとは、互いに離間しており、絶縁が確保される。図1に示す例では、皮膜の一部を切除することによって皮膜を分けている。
【0030】
第2部材32~第4部材34には、第1部材31と同様に、中空部35の内周面を形成する部分を除く面に、メッキ処理が施される。第2部材32の表面には、第1導電性皮膜32aおよび第2導電性皮膜32bが形成される。第3部材33の表面には、第1導電性皮膜33aおよび第2導電性皮膜33bが形成される。第4部材34の表面には、第1導電性皮膜34aおよび第2導電性皮膜34bが形成される。第1導電性皮膜32a~34aは、スルーホール37の形成部分を含む、中空部35以外の表面に形成される。また、第2導電性皮膜32b~34bは、中空部35の形成部分の表面に形成される。第1導電性皮膜31a~34aは、少なくとも一部が、導電部を構成する。
このため、第1部材31~第4部材34を積層してなるプローブホルダ3では、各部材間の境界、及び外表面において、導電性皮膜が存在する。
【0031】
中空部35は、第1部材31~第4部材34に形成される貫通孔の互いの軸線を一致させて形成される。中空部35には、内周面に第2導電性皮膜31b~34bが形成されており、導電性の内周面が形成される。中空部35は、第1部材31~第4部材34の積層方向に延びる。
【0032】
中空部36は、第1部材31~第4部材34に形成される貫通孔の互いの軸線を一致させて形成される。中空部36は、内周面に第1導電性皮膜31a~34aが形成されており、導電性の内周面が形成される。
【0033】
中空部35、36の形成位置は、半導体集積回路の配線パターンに応じて定められる。中空部35、36は、ともに貫通方向に沿って径が異なる段付き孔形状をなしている。すなわち、各ホルダ孔は、プローブホルダ3の端面に開口を有する小径部と、この小径部よりも径が大きい大径部とからなる。図1に示すプローブホルダ3は、第1部材31と第3部材33との境界、第2部材32と第4部材34との境界において、それぞれ段部が形成される。各ホルダ孔の形状は、収容する信号用プローブ2Aやグランド用プローブ2Bの構成に応じて定められる。
【0034】
信号用プローブ2Aの第1プランジャ21は、第3部材33の壁面にフランジが当接することにより、信号用プローブ2Aのプローブホルダ3からの抜止機能を有する。また、第2プランジャ22は、第4部材34の壁面にフランジが当接することにより、信号用プローブ2Aのプローブホルダ3からの抜止機能を有する。
【0035】
グランド用プローブ2Bの第1プランジャ21は、第3部材33の壁面にフランジが当接することにより、グランド用プローブ2Bのプローブホルダ3からの抜止機能を有する。また、第2プランジャ22は、第4部材34の壁面にフランジが当接することにより、グランド用プローブ2Bのプローブホルダ3からの抜止機能を有する。
【0036】
スルーホール37は、第1部材31~第4部材34に形成される貫通孔の互いの軸線を一致させて形成される。すなわち、スルーホール37は、プローブホルダ3における信号用プローブ2Aの先端側の表面から基端側の表面に亘り設けられている。図1に示すスルーホール37は、各貫通孔の中心軸が軸NTと重なる。スルーホール37は、貫通方向と直交する方向の開口の形状が円をなす。スルーホール37は、内周面に第1導電性皮膜31a~34aが形成されており、導電性の内周面が形成される。
【0037】
スルーホール37は、円柱状の中空空間を形成し、信号用プローブ2Aの周囲に一つまたは複数個形成される。本実施の形態1では、一つの信号用プローブ2Aの周囲に、八個のスルーホール37が形成される例を説明する。図2は、本発明の一実施の形態にかかるプローブユニットのスルーホールの配置を説明する図である。例えば、信号用プローブ2Aの配設位置(軸NP)を中心に、等間隔で八個のスルーホール37が設けられる。図2において、各スルーホール37の貫通孔の径は同一であり、かつ、各スルーホール37と軸NPとの間の最短距離は、互いに同じ距離d1である。すなわち、すべてのスルーホール37の中心を通過する円(図2の破線)の中心は、信号用プローブ2Aの中心(軸NP)と重なる。すべてのスルーホール37からなるスルーホール群は、信号用プローブ2Aに対して同軸構造をとる。
【0038】
本実施の形態1では、信号用プローブ2Aおよびグランド用プローブ2Bを一つの伝送経路としてみたときの特性インピーダンスが、予め設定された値(例えば50Ω)となるように、スルーホール37の配設位置や、個数、スルーホール37が形成する各貫通孔の大きさ等が決定される。
【0039】
図3は、プローブユニット1における半導体集積回路100の検査時の状態を示す図である。検査時において、信号用プローブ2Aは、第1プランジャ21が、半導体集積回路100の検査信号用の電極101と接触し、第2プランジャ22が、回路基板200の検査信号用の電極201と接触する。他方、グランド用プローブ2Bは、第1プランジャ21が、半導体集積回路100のグランド用の電極102と接触し、第2プランジャ22が、回路基板200のグランド用の電極202と接触する。半導体集積回路100の検査時には、半導体集積回路100からの接触荷重により、バネ部材23は圧縮された状態となる。
【0040】
検査時に回路基板200から半導体集積回路100に供給される検査用信号は、例えば、回路基板200の電極201から信号用プローブ2Aの第2プランジャ22、密着巻き部23a(または第2導電性皮膜)、第1プランジャ21を経由して半導体集積回路100の電極101へ到達する。このように、信号用プローブ2Aでは、第1プランジャ21と第2プランジャ22が密着巻き部23aを介して導通するため、電気信号の導通経路を最小にすることができる。したがって、検査時に粗巻き部23bに信号が流れるのを防止し、抵抗およびインダクタンスを低減することができる。この際、第2プランジャ22、第2導電性皮膜、第1プランジャ21を経由する経路は、バネ部材23を介さずに信号を伝送することができる。
【0041】
また、グランド用プローブ2Bの第1プランジャ21は、第1導電性皮膜33aまたは31aに接触する。一方、グランド用プローブ2Bの第2プランジャ22は、第1導電性皮膜34aまたは32aに接触する。さらに、グランド用プローブ2Bのバネ部材23は、第1導電性皮膜31aまたは32aに接触する。
【0042】
一般に、交流信号を扱う電子回路においては、インピーダンスの異なる配線同士が接続する箇所において、異なるインピーダンス間の比に応じた量だけ信号が反射し、信号の伝搬が妨げられることが知られている。このことは使用する半導体集積回路100と信号用プローブ2Aとの関係においても同様であって、半導体集積回路100の特性インピーダンスと、信号用プローブ2Aにおける特性インピーダンスとが大きく異なる値を有する場合には、電気信号の損失が発生するとともに、電気信号の波形が歪む。
【0043】
また、特性インピーダンスの相違に起因して接続箇所において生じる信号反射の割合は、半導体集積回路100の高速化、すなわち高周波数化に伴って大きくなる。従って、高周波数で駆動する半導体集積回路100に対応したプローブユニット1を作製する際には、信号用プローブ2Aの特性インピーダンスの値を半導体集積回路100のものと一致させる、インピーダンス調整を精度良く行うことが重要となる。
【0044】
しかしながら、インピーダンス整合を行う観点から信号用プローブ2Aの形状等を変化させることは容易ではない。信号用プローブ2Aは、その外径が1mm以下に抑制されるとともに第1プランジャ21、第2プランジャ22およびバネ部材23によって構成される複雑な形状を有する等の制限が本来的に与えられることから、インピーダンス整合に適した形状に変更することは設計上および製造上の観点から困難となるためである。
【0045】
従って、本実施の形態では、信号用プローブ2Aの構造を変更するのではなく、第1プランジャ21、第2プランジャ22およびバネ部材23の周囲にスルーホール37を配置することによって特性インピーダンスの値を調整する構成を採用している。かかる構成を採用することで、信号用プローブ2Aの構造については従来のものを流用することが可能となる。例えば、信号用プローブ2Aとして従来のグランド用プローブ2Bと同じプローブを用いることができる。
【0046】
また、本実施の形態では、信号用プローブ2Aをインピーダンス整合に適した形状に変更しなくてもよいため、使用するプローブ形状の自由度を向上することができる。
【0047】
さらに、本実施の形態1では、信号用プローブ2Aの周囲に、プローブホルダ3における信号用プローブ2Aの先端側の表面から基端側の表面に亘るスルーホール37を設けるによって、信号用プローブ2Aの先端部および基端部の特性インピーダンスの値を調整することができる。具体的には、スルーホールの配設数や、スルーホールの貫通孔の径、スルーホールの配置(信号用プローブ2Aに対する距離)を調整することによって、特性インピーダンスの値を調整することができる。さらに、信号用プローブ2Aを、複数のスルーホール37で取り囲むことによって、ノイズ等の外部要因による影響を受けにくくすることができるとともに、外部へのエネルギ流出によるエネルギ損失を低減できる。
【0048】
上述した実施の形態1では、信号用プローブ2Aの周囲にスルーホール37を配置し、外部のグランドとはグランド用プローブ2Bを介して接続するようにした。本実施の形態1によれば、外部のグランドと間接的に接続したスルーホール37によって、信号用プローブ2Aの先端部および基端部の特性インピーダンスを調整することができる。本実施の形態1によれば、信号用プローブ2Aの端部を含む全体的な特性インピーダンスの調整を行うことができる。また、本実施の形態1によれば、スルーホールの位置を調整することによって、信号用プローブ2Aに対する、軸線方向と直交する方向のグランド位置を調整することができる。
【0049】
また、上述した実施の形態1によれば、プローブホルダ3の外表面が導電性皮膜によって覆われているため、メッキ処理を施していない場合と比して、高周波特性に優れる。
【0050】
また、上述した実施の形態1によれば、スルーホールによって特性インピーダンスを調整できるため、グランド用プローブ2Bの配置の自由度を向上することができる。
【0051】
なお、上述した実施の形態1において、第1導電性皮膜33a、34aが外部のグランドと接続する構成としてもよい。
【0052】
また、上述した実施の形態1では、複数のスルーホールを、信号用プローブの軸NPに対して対称性を有して配置される例について説明したが、非対称な配置としてもよい。
【0053】
また、上述した実施の形態1では、一つの信号用プローブに対して、複数のスルーホールが均等に配置される例について説明したが、非均等にスルーホールが配置されるようにしてもよい。この際、非均等とは、信号用プローブの軸NP上の一点を中心とする円の周方向の距離が異なる点で非均等であってもよいし、軸NPからの最短距離(上述した距離d1)が互いに異なる点で非均等であってもよいし、その両方であってもよい。
【0054】
また、上述した実施の形態1では、プローブホルダ3の各部材に導電性の皮膜を形成する例について説明したが、皮膜に代えて、部材の厚さと比して十分薄い導電性のプレートや、シート、フィルムなどを用いてもよい。
【0055】
また、上述した実施の形態1では、中空部35の表面に第2導電性皮膜31b~34bを形成して、導電性の貫通孔を形成するものとして説明したが、第2導電性皮膜を形成せずに、絶縁性の内周面としてもよい。
【0056】
(変形例1)
図4は、本発明の実施の形態1の変形例1にかかるプローブユニットのスルーホールの配置を説明する図である。変形例1にかかるプローブユニットは、上述したプローブホルダ3における一部のスルーホールの大きさが異なる。そのほかの構成についてはプローブユニット1と同じ構成であるため、説明を省略する。
【0057】
変形例1にかかるプローブホルダには、信号用プローブ2Aの周囲に六個のスルーホール37と、二個のスルーホール37Aとが形成される。図4では、三組のスルーホール37が軸NPを介してそれぞれ対向して配置されるとともに、スルーホール37Aが軸NPを介して対向して配置される例を示している。
【0058】
スルーホール37Aは、第1部材31~第4部材34に形成される貫通孔の互いの軸線を一致させて形成される。スルーホール37Aは、円柱状の中空空間を形成する。スルーホール37Aは、貫通方向と直交する方向の開口の形状が円をなす。スルーホール37Aは、内周面に導電性皮膜(例えば、上述した第1導電性皮膜31a~34a)が形成されており、内周面が導電性を有する。スルーホール37Aの貫通孔の径は、スルーホール37の貫通孔の径よりも大きい。
【0059】
スルーホール37、37Aは、各貫通孔の中心が、信号用プローブ2Aの軸NPを中心とする円(図4の破線)を通過する位置に配置される。また、スルーホール37Aと軸NPとの間の最短距離d2は、スルーホール37と軸NPとの間の最短距離d1よりも短い。
【0060】
本変形例1のように、信号用プローブ2Aの周囲に、互いに大きさが異なるスルーホール37、37Aを配置し、外部のグランドとはグランド用プローブ2Bを介して接続するようにした。変形例1においても、実施の形態1と同様に、外部のグランドと間接的に接続したスルーホール37、37Aによって、信号用プローブ2Aの先端部および基端部の特性インピーダンスを調整することができる。
【0061】
(変形例2)
図5は、本発明の実施の形態1の変形例2にかかるプローブユニットのスルーホールの配置を説明する図である。変形例2にかかるプローブユニットは、上述したプローブホルダ3における一部のスルーホールの大きさ、配置が異なる。そのほかの構成についてはプローブユニット1と同じ構成であるため、説明を省略する。
【0062】
変形例2にかかるプローブホルダには、信号用プローブ2Aの周囲に六個のスルーホール37と、二個のスルーホール37Aとが形成される。図5では、三組のスルーホール37が軸NPを介してそれぞれ対向して配置されるとともに、スルーホール37Aが軸NPを介して対向して配置される例を示している。
【0063】
スルーホール37、37Aは、スルーホール37と軸NPとの間の最短距離、およびスルーホール37Aと軸NPとの間の最短距離が、同じ距離d1となる位置に配置される。
【0064】
本変形例2のように、信号用プローブ2Aの周囲に、互いに大きさが異なるスルーホール37、37Aを配置し、外部のグランドとはグランド用プローブ2Bを介して接続するようにした。変形例2においても、実施の形態1と同様に、外部のグランドと間接的に接続したスルーホール37、37Aによって、信号用プローブ2Aの先端部および基端部の特性インピーダンスを調整することができる。
【0065】
(変形例3)
図6は、本発明の実施の形態1の変形例3にかかるプローブユニットのスルーホールの配置を説明する図である。変形例3にかかるプローブユニットは、上述したプローブホルダ3における一部のスルーホールの大きさ、配置が異なる。そのほかの構成についてはプローブユニット1と同じ構成であるため、説明を省略する。
【0066】
変形例3にかかるプローブホルダには、信号用プローブ2Aの周囲に八個のスルーホール37Bが形成される。図6では、四組のスルーホール37Bが軸NPを介してそれぞれ対向して配置される例を示している。
【0067】
スルーホール37Bは、貫通方向からみた開口の形状が長穴形状をなす。スルーホール37Bは、各貫通孔の重心が、信号用プローブ2Aの軸NPを中心とする円(図6の破線)を通過する位置に配置される。スルーホール37Bにおいても、内周面に導電性皮膜(例えば、上述した第1導電性皮膜31a~34a)が形成され、内周面が導電性を有する。
【0068】
本変形例3のように、信号用プローブ2Aの周囲に複数のスルーホール37Bを配置し、外部のグランドとはグランド用プローブ2Bを介して接続するようにした。変形例3においても、実施の形態1と同様に、外部のグランドと間接的に接続したスルーホール37Bによって、信号用プローブ2Aの先端部および基端部の特性インピーダンスを調整することができる。
【0069】
また、変形例3では、スルーホール37Bの貫通孔の開口形状を長穴としているため、スルーホール37、37Aと比して、スルーホール37Bによって信号用プローブ2Aを取り囲む範囲を大きくしている。このように、スルーホールの形状を円以外の形状とすることによって、特性インピーダンス調整の自由度が高まり、その結果、プローブユニットの高周波特性を向上させることができる。また、取り囲む範囲を大きくすることによって、外部へのエネルギ流出によるエネルギ損失をより低減できる。
【0070】
(変形例4)
図7は、本発明の実施の形態1の変形例4にかかるプローブユニットのスルーホールの要部の構成を説明する断面図である。変形例4にかかるプローブユニットは、上述したプローブホルダ3におけるスルーホールの形状が異なる。そのほかの構成についてはプローブユニット1と同じ構成であるため、説明を省略する。
【0071】
変形例4にかかるスルーホールは、第1部材31~第4部材34に形成される貫通孔を互いに連通させて形成される。スルーホールは、内周面に導電性皮膜(例えば、上述した第1導電性皮膜31a~34a)が形成されており、導電性の内周面が形成される。スルーホールは、部分的に径が異なる。具体的に、例えば、第3部材33に形成される貫通孔37aの径Q1と、第1部材31に形成される貫通孔37bの径Q2とが異なる。貫通孔37aの中心軸N1と、貫通孔37bの中心軸N2とは、直線状に連なる。
【0072】
本変形例4のように、信号用プローブ2Aの周囲に、段付きの孔形状をなすスルーホールを配置し、外部のグランドとはグランド用プローブ2Bを介して接続することによって、実施の形態1と同様の効果を得ることができるとともに、信号用プローブ2Aの形状に応じた特性インピーダンス調整を行うことができる。
【0073】
(変形例5)
図8は、本発明の実施の形態1の変形例5にかかるプローブユニットのスルーホールの要部の構成を説明する断面図である。変形例5にかかるプローブユニットは、上述したプローブホルダ3におけるスルーホールの形状が異なる。そのほかの構成についてはプローブユニット1と同じ構成であるため、説明を省略する。
【0074】
変形例5にかかるスルーホールは、第1部材31~第4部材34に形成される貫通孔を互いに連通させて形成される。スルーホールは、内周面に導電性皮膜(例えば、上述した第1導電性皮膜31a~34a)が形成されており、導電性の内周面が形成される。スルーホールは、部分的に軸の位置が異なる。具体的に、例えば、第3部材33に形成される貫通孔37cの中心軸N1と、第1部材31に形成される貫通孔37dの中心軸N2とは、位置が異なる。また、貫通孔37cの径Q3と、貫通孔37dの径Q4とは、同じ径である。このように、変形例5にかかるスルーホールは、中心軸の位置が部分的に異なる貫通孔によって形成される。この際、スルーホールを第1部材31~第4部材34の積層方向からみたときに、部材の積層方向で隣り合う部材に形成される貫通孔の少なくとも一部が互いに重なる。スルーホールは、各部材に形成される貫通孔同士が、少なくとも一部で連通することによって形成される。
【0075】
本変形例5のように、信号用プローブ2Aの周囲に、一部の貫通孔の軸がずれた段付きの孔形状をなすスルーホールを配置し、外部のグランドとはグランド用プローブ2Bを介して接続することによって、実施の形態1と同様の効果を得ることができるとともに、信号用プローブ2Aの形状に応じた特性インピーダンス調整を行うことができる。
【0076】
(変形例6)
図9は、本発明の実施の形態1の変形例6にかかるプローブユニットのスルーホールの要部の構成を説明する断面図である。変形例6にかかるプローブユニットは、上述したプローブホルダ3におけるスルーホールの形状が異なる。そのほかの構成についてはプローブユニット1と同じ構成であるため、説明を省略する。
【0077】
変形例6にかかるスルーホールは、第1部材31~第4部材34に形成される貫通孔を互いに連通させて形成される。スルーホールは、内周面に導電性皮膜(例えば、上述した第1導電性皮膜31a~34a)が形成されており、導電性の内周面が形成される。スルーホールは、径と、軸の位置とが部分的に異なる。具体的に、例えば、第3部材33に形成される貫通孔37eの径Q5と、第1部材31に形成される貫通孔37fの径Q6とが異なる。また、貫通孔37eの中心軸N1と、貫通孔37fの中心軸N2とは、位置が異なる。
【0078】
本変形例6のように、信号用プローブ2Aの周囲に、一部の貫通孔の径が異なり、さらに軸がずれた段付きの孔形状をなすスルーホールを配置し、外部のグランドとはグランド用プローブ2Bを介して接続することによって、実施の形態1と同様の効果を得ることができるとともに、信号用プローブ2Aの形状に応じた特性インピーダンス調整を行うことができる。
【0079】
変形例1~6にかかるスルーホールの構成を、適宜組み合わせて構成してもよい。例えば、同一のプローブホルダに配設される各信号用プローブに対し、少なくとも一部の形状や配置が異なるようにしてもよい。
【0080】
(実施の形態2)
次に、実施の形態2について図10を参照して説明する。図10は、本発明の実施の形態2にかかるプローブユニットの要部の構成を示す部分断面図である。実施の形態2にかかるプローブユニットは、上述したプローブホルダ3に代えてプローブホルダ3Aを備える。そのほかの構成についてはプローブユニット1と同じ構成であるため、説明を省略する。
【0081】
プローブホルダ3Aは、樹脂、マシナブルセラミック、シリコンなどの絶縁性材料を用いて形成される一枚の部材からなる。プローブホルダ3Aには、複数の信号用プローブ2Aを収容する空間を形成する中空部35と、複数のグランド用プローブ2Bを収容する空間を形成する中空部(上述した中空部36)とが形成される。中空部35、36は、コンタクトプローブを抜き差し可能、かつ抜け止め可能な径の孔形状をなす。また、プローブホルダ3Aには、信号用プローブ2Aの周囲に複数のスルーホール38が形成される。
【0082】
プローブホルダ3Aには、当該プローブホルダ3Aの表面に、メッキ処理が施される。メッキ処理には、導電性の材料が用いられる。このため、プローブホルダ3Aの表面には、第1導電性皮膜3aおよび第2導電性皮膜3bが形成される。なお、第1導電性皮膜3aは、スルーホール38の形成部分を含む、中空部35以外の表面に形成される。また、第2導電性皮膜3bは、中空部35の形成部分の表面に形成される。第1導電性皮膜3aと第2導電性皮膜3bとは、互いに離間しており、絶縁が確保される。
【0083】
スルーホール38は、貫通方向と直交する方向の開口の形状が円をなし、部分的に径が異なる貫通孔である。具体的に、スルーホール38は、一方の表面側(図10では第1プランジャ21が延出する側)に形成される第1孔部38aと、他方の表面側(図10では第2プランジャ22が延出する側)に形成される第2孔部38bと、第1孔部38aと第2孔部38bとの間に設けられる第3孔部38cとを有する。第1孔部38aおよび第2孔部38bの開口の径は、第3孔部38cの開口の径よりも大きい。スルーホール38は、内周面に第1導電性皮膜3aが形成されており、導電性の内周面が形成される。なお、第1孔部38a、第2孔部38bおよび第3孔部38cの各中心軸は、直線状に連なる。
【0084】
スルーホール38は、径が部分的に異なる段付きをなす円柱状の中空空間を形成し、信号用プローブ2Aの周囲に複数個形成される。スルーホール38は、例えば、実施の形態1と同様に、一つの信号用プローブ2Aの周囲に、八個形成される。
【0085】
上述した実施の形態2では、信号用プローブ2Aの周囲にスルーホール38を配置し、外部のグランドとはグランド用プローブ2Bを介して接続するようにした。これにより、本実施の形態2によれば、外部のグランドと間接的に接続したスルーホール38によって、信号用プローブ2Aの先端部および基端部の特性インピーダンスを調整することができる。本実施の形態2によれば、信号用プローブ2Aの端部を含む全体的な特性インピーダンスの調整を行うことができる。また、本実施の形態2によれば、スルーホールの位置を調整することによって、信号用プローブ2Aに対する、軸線方向と直交する方向のグランド位置を調整することができる。
【0086】
また、実施の形態2では、スルーホール38の貫通孔の径が部分的に異なるようにしたため、信号用プローブ2Aの形状に応じた特性インピーダンス調整を行うことができる。
【0087】
(実施の形態3)
次に、実施の形態3について図11を参照して説明する。図11は、本発明の実施の形態3にかかるプローブユニットの要部の構成を示す部分断面図である。実施の形態3にかかるプローブユニットは、上述したプローブホルダ3に代えてプローブホルダ4を備える。そのほかの構成についてはプローブユニット1と同じ構成であるため、説明を省略する。
【0088】
プローブホルダ4は、樹脂、マシナブルセラミック、シリコンなどの絶縁性材料を用いて形成される第1部材41、第2部材42を積層してなる。図11に示すプローブホルダ4は、図の上側から、第1部材41、第2部材42の順に積層される。第1部材41と第2部材42とは、ネジ止めや接着等の公知の方法によって固定される。
【0089】
プローブホルダ4には、複数の信号用プローブ2Aを収容する空間を形成する中空部35と、複数のグランド用プローブ2Bを収容する空間を形成する中空部(図示せず)とが形成される。また、プローブホルダ4には、信号用プローブ2Aの周囲に複数のスルーホール43が形成される。
【0090】
第1部材41には、該第1部材41の表面をなす面に、メッキ処理が施される。メッキ処理には、導電性の材料が用いられる。このため、第1部材41の表面には、第1導電性皮膜41aおよび第2導電性皮膜41bが形成される。なお、第1導電性皮膜41aは、スルーホール43の形成部分を含む、中空部35以外の表面に形成される。また、第2導電性皮膜41bは、中空部35の形成部分の表面に形成される。第1導電性皮膜41aと第2導電性皮膜41bとは、互いに離間しており、絶縁が確保される。
【0091】
第2部材42には、第1部材41と同様に、第2部材42の表面をなす面に、メッキ処理が施される。第2部材42の表面には、第1導電性皮膜42aおよび第2導電性皮膜42bが形成される。なお、第1導電性皮膜42aは、スルーホール43の形成部分を含む、中空部35以外の表面に形成される。また、第2導電性皮膜42bは、中空部35の形成部分の表面に形成される。第1導電性皮膜42aと第2導電性皮膜42bとは、互いに離間しており、絶縁が確保される。
このため、第1部材41および第2部材42を積層してなるプローブホルダ4では、各部材間の境界、及び外表面において、導電性皮膜が存在する。
【0092】
中空部35は、第1部材41および第2部材42に形成される貫通孔の互いの軸線を一致させて形成される。中空部35は、内周面に第2導電性皮膜41b、42bが形成されており、導電性の内周面が形成される。
【0093】
スルーホール43は、貫通方向と直交する方向の開口の形状が円をなし、中心軸の位置が部分的に異なる段付き形状をなす貫通孔である。具体的に、スルーホール43は、プローブホルダ4の一方の表面側(図11では第1プランジャ21が延出する側)に形成される第1孔部43aと、他方の表面側(図11では第2プランジャ22が延出する側)に形成される第2孔部43bと、第1孔部43aと第2孔部43bとの間に設けられる第3孔部43cとを有する。第1孔部43a、第2孔部43bおよび第3孔部43cの開口の径は、互いに同じである。また、第1孔部43a、第2孔部43bの中心軸NT1、NT2と、第3孔部43cの中心軸NT3とは、隣接する孔部同士が連通する範囲で互いに位置が異なる。スルーホール43は、内周面に第1導電性皮膜41a、42aが形成されており、導電性の内周面が形成される。
【0094】
スルーホール43は、段付きをなす円柱状の中空空間を形成し、信号用プローブ2Aの周囲に複数個形成される。スルーホール43は、例えば、実施の形態1と同様に、一つの信号用プローブ2Aの周囲に、八個のスルーホール43が形成される。
【0095】
上述した実施の形態3では、信号用プローブ2Aの周囲にスルーホール43を配置し、外部のグランドとはグランド用プローブ2Bを介して接続するようにした。これにより、本実施の形態3によれば、外部のグランドと間接的に接続したスルーホール43によって、信号用プローブ2Aの先端部および基端部の特性インピーダンスを調整することができる。本実施の形態3によれば、信号用プローブ2Aの端部を含む全体的な特性インピーダンスの調整を行うことができる。また、本実施の形態3によれば、スルーホールの位置を調整することによって、信号用プローブ2Aに対する、軸線方向と直交する方向のグランド位置を調整することができる。
【0096】
また、実施の形態3では、スルーホール43の各貫通孔において中心軸の位置が部分的に異なるようにしたため、信号用プローブ2Aの形状に応じた特性インピーダンス調整を行うことができる。
【0097】
以上説明した実施の形態1~3およびその変形例は、適宜組み合わせることが可能である。また、コンタクトプローブごとに、その構成を実施の形態および変形例1~3のスルーホールの配置または形状から個別に選択して採用することも可能である。
【0098】
なお、ここで説明したコンタクトプローブの構成はあくまでも一例に過ぎず、従来知られているさまざまな種類のプローブを適用することが可能である。例えば、上述したようなプランジャとコイルばねとで構成されるものに限らず、パイプ部材を備えるプローブ、ポゴピン、中実の導電性部材、導電性のパイプ、またはワイヤを弓状に撓ませて荷重を得るワイヤープローブや、電気接点同士を接続する接続端子(コネクタ)でもよいし、これらのプローブを適宜組み合わせてもよい。
【0099】
また、上述した実施の形態1~3およびその変形例にかかるプローブホルダは、四つまたは二つの部材を積層して構成するものや、一つの部材によって構成される例を挙げたが、三つの部材や、五つ以上の部材を積層して構成してもよい。
【0100】
また、上述した実施の形態1~3およびその変形例において、導電性皮膜は、スルーホールおよびグランド用プローブ2Bを電気的に接続できれば、プローブホルダ3の部材表面全体に形成せずに、部分的にパターン形成されるものであってもよい。例えば、導電性皮膜を、スルーホールを構成する部分と、スルーホールの開口端を構成する部材(例えば図1に示す第3部材33および第4部材34)の外表面とに形成する構成としてもよい。この際、導電性皮膜は、少なくとも検査時にグランド用プローブ2Bと電気的に接続する。
【0101】
このように、本発明はここでは記載していない様々な実施の形態等を含みうるものであり、請求の範囲により特定される技術的思想を逸脱しない範囲内において種々の設計変更等を施すことが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0102】
以上のように、本発明にかかるプローブユニットは、コンタクトプローブ全体の特性インピーダンスを調整するのに適している。
【符号の説明】
【0103】
1 プローブユニット
2A コンタクトプローブ(信号用プローブ)
2B コンタクトプローブ(グランド用プローブ)
3、3A、3B プローブホルダ
3a、31a~34a、41a、42a 第1導電性皮膜
3b、31b~34b、41b、42b 第2導電性皮膜
21 第1プランジャ
22 第2プランジャ
23 バネ部材
23a 密着巻き部
23b 粗巻き部
31、41 第1部材
32、42 第2部材
33 第3部材
34 第4部材
35、36 中空部
37、37A、37B、38、43 スルーホール
100 半導体集積回路
101、102、201、202 電極
200 回路基板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11