(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024161297
(43)【公開日】2024-11-15
(54)【発明の名称】後処理装置、後処理装置の制御方法及び後処理装置の制御プログラム
(51)【国際特許分類】
B65H 37/04 20060101AFI20241108BHJP
【FI】
B65H37/04 D
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024156885
(22)【出願日】2024-09-10
(62)【分割の表示】P 2020122773の分割
【原出願日】2020-07-17
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095452
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 博樹
(74)【代理人】
【識別番号】100130535
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 明
(74)【代理人】
【識別番号】100183025
【弁理士】
【氏名又は名称】大角 孝一
(72)【発明者】
【氏名】橋口 波輝
(72)【発明者】
【氏名】森山 雅英
(72)【発明者】
【氏名】宮川 正好
(57)【要約】
【課題】後処理装置の構成を簡素化することが難しくなるだけでなく、後処理部の位置ずれが生じる虞がある。
【解決手段】後処理ユニット30は、ステープラー60と、駆動部34と、制御部22とを備える。ステープラー60は、Y方向に移動して用紙Pにステープル処理する。駆動部34は、ステープラー60をY方向に移動させる。制御部22は、ステープラー60の動作及び駆動部34の動作を制御する。制御部22は、駆動部34へ設定電流Ia又は設定電圧Vaを供給させる第1制御と、設定電流Iaと同じ供給電流Ib又は設定電圧Vaと同じ供給電圧Vbを駆動部34へ供給させる第2制御と、供給電流Ib又は供給電圧Vbの供給を停止させる第3制御とを行う。制御部22は、ステープラー60が用紙Pにステープル処理を複数回行う場合に、第2制御及び第3制御を繰り返し実行し、且つ第2制御を実行する間にステープラー60にステープル処理をさせる。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体が載置される載置部において、第1方向に移動可能に構成され、前記載置部に載置された前記媒体に対して後処理を実行する後処理部と、
電源から電流または電圧が供給されることで前記後処理部を前記第1方向に移動させる駆動部と、
前記後処理部の動作及び前記駆動部の動作を制御する制御部と、
を備え
前記制御部は、
前記電源から前記駆動部へ予め設定された設定電流又は設定電圧を供給することで、前記後処理部を前記第1方向に移動させる第1制御と、
前記設定電流の値と同じ値となる供給電流または前記設定電圧の値と同じ値となる供給電圧を前記駆動部へ供給させることで、前記第1方向の前記後処理部の位置を保持させる第2制御と、
前記駆動部への前記電流又は前記電圧の供給を停止させる第3制御と、を実行可能とされ、
前記媒体の前記第1方向の第1位置と、該第1位置とは異なる第2位置とにおいて前記後処理が実行される場合、前記制御部は、
前記後処理部を前記第1位置に移動させる前記第1制御を実行し、
前記第1位置において前記第2制御を実行し、前記第2制御の実行中に前記後処理部に前記後処理を実行させ、
前記第1制御を実行して、前記後処理部を前記第2位置に移動させる、
ことを特徴とする後処理装置。
【請求項2】
前記第1位置と前記第2位置とにおいて前記後処理が実行される場合、前記制御部は、前記第2位置において前記第2制御を実行しない、
ことを特徴とする請求項1に記載の後処理装置。
【請求項3】
前記第1位置と前記第2位置とにおいて前記後処理が実行される場合、前記制御部は、前記後処理部による前記第2位置での後処理の後に、前記第3制御を実行する、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の後処理装置。
【請求項4】
媒体が載置される載置部において、第1方向に移動可能に設けられ、載置された前記媒体に後処理する後処理部と、
電源から電流又は電圧が供給されることで前記後処理部を前記第1方向に移動させる駆動部と、
前記後処理部の動作及び前記駆動部の動作を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、
前記電源から前記駆動部へ予め設定された設定電流又は設定電圧を供給させることで、前記後処理部の位置を前記第1方向に移動させる第1制御と、
前記設定電流の値と同じ値となる供給電流又は前記設定電圧の値と同じ値となる供給電圧を前記駆動部へ供給させることで、前記第1方向の前記後処理部の位置を保持させる第2制御と、
前記駆動部への前記電流又は前記電圧の供給を停止させる第3制御と、を実行可能とされ、
前記後処理が前記媒体の前記第1方向の第1位置と、該第1位置とは異なる第2位置とにおいて行われる場合、前記制御部は、
前記第1位置において、前記第2制御及び前記第3制御を実行し、且つ前記第2制御を実行する間に前記後処理部に後処理をさせ、
前記第2位置において、前記第3制御を実行し、前記第2制御を実行しない、
ことを特徴とする後処理装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記後処理部における後処理の動作が開始される前に入力された信号の入力時点を基準時点として、前記後処理部の後処理の動作と、前記駆動部の動作とを同期させる、
ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の後処理装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記後処理の動作が開始される時点以前に、前記駆動部への前記供給電流又は前記供給電圧の供給を開始させる、
ことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の後処理装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記駆動部への前記供給電流又は前記供給電圧の供給の開始時点から設定時間が経過した時点で、前記駆動部への電流又は電圧の供給を停止させる、
ことを特徴とする請求項6に記載の後処理装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記後処理部における後処理の動作の終了時点から設定経過時間が経過した時点で、前記電源から前記駆動部への電流又は電圧の供給を停止させる、
ことを特徴とする請求項6又は請求項7に記載の後処理装置。
【請求項9】
前記制御部は、複数の前記媒体に対してそれぞれ前記後処理を行うときに、最後の前記媒体への前記後処理において、前記第1位置及び前記第2位置において、前記第2制御を実行せずに前記後処理部に前記後処理をさせる、
ことを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の後処理装置。
【請求項10】
前記後処理部は、前記媒体を綴じる綴じ部であり、
前記駆動部は、通電によって励磁されるコイルを備えたステッピングモーターを有し、
前記綴じ部が前記媒体を綴じるときに前記綴じ部に作用する前記第1方向の力は、前記コイルが励磁されていない場合のディテントトルクによる保持力よりも大きい、
ことを特徴とする請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の後処理装置。
【請求項11】
媒体が載置される載置部において、第1方向に移動可能に設けられ、載置された前記媒体に後処理する後処理部と、
電源から電流又は電圧が供給されることで前記後処理部を前記第1方向に移動させる駆動部と、を備える後処理装置の制御方法であって、
前記電源から前記駆動部へ予め設定された設定電流又は設定電圧を供給させることで、前記後処理部の位置を前記第1方向に移動させる移動ステップと、
前記設定電流の値と同じ値となる供給電流又は前記設定電圧の値と同じ値となる供給電圧を前記駆動部へ供給させることで、前記第1方向の前記後処理部の位置を保持させる保持ステップと、
前記駆動部への前記供給電流又は前記供給電圧の供給を停止させる停止ステップと、を有し、
前記媒体の前記第1方向の第1位置と、該第1位置とは異なる第2位置とにおいて前記後処理が実行される場合、
前記後処理部を前記第1位置に移動させる前記移動ステップを実行し、
前記第1位置において前記保持ステップを実行し、前記保持ステップの実行中に前記後処理部に前記後処理を実行させ、
前記後処理部を前記第2位置に移動させる、前記移動ステップを実行する、
ことを特徴とする後処理装置の制御方法。
【請求項12】
媒体が載置される載置部において、第1方向に移動可能に設けられ、載置された前記媒体に後処理する後処理部と、
電源から電流又は電圧が供給されることで前記後処理部を前記第1方向に移動させる駆動部と、を備える後処理装置の制御方法であって、
前記電源から前記駆動部へ予め設定された設定電流又は設定電圧を供給させることで、前記後処理部の位置を前記第1方向に移動させる移動ステップと、
前記設定電流の値と同じ値となる供給電流又は前記設定電圧の値と同じ値となる供給電圧を前記駆動部へ供給させることで、前記第1方向の前記後処理部の位置を保持させる保持ステップと、
前記駆動部への前記供給電流又は前記供給電圧の供給を停止させる停止ステップと、を有し、
前記後処理が前記媒体の前記第1方向の第1位置と、該第1位置とは異なる第2位置とにおいて行われる場合、
前記第1位置において、前記保持ステップ及び前記停止ステップを実行し、且つ前記保持ステップを実行する間に前記後処理部に後処理をさせ、
前記第2位置において、前記停止ステップを実行し、前記保持ステップを実行しない、
ことを特徴とする後処理装置の制御方法。
【請求項13】
媒体が載置される載置部において、第1方向に移動可能に設けられ、載置された前記媒体に後処理する後処理部と、
電源から電流又は電圧が供給されることで前記後処理部を前記第1方向に移動させる駆動部と、を備える後処理装置の制御プログラムであって、
前記電源から前記駆動部へ予め設定された設定電流又は設定電圧を供給させることで、前記後処理部の位置を前記第1方向に移動させる移動ステップと、
前記設定電流の値と同じ値となる供給電流又は前記設定電圧の値と同じ値となる供給電圧を前記駆動部へ供給させることで、前記第1方向の前記後処理部の位置を保持させる保持ステップと、
前記駆動部への前記供給電流又は前記供給電圧の供給を停止させる停止ステップと、
前記媒体の前記第1方向の第1位置と、該第1位置とは異なる第2位置とにおいて前記後処理が実行される場合、前記後処理部を前記第1位置に移動させる前記移動ステップを実行し、前記第1位置において前記保持ステップを実行し、前記保持ステップの実行中に前記後処理部に前記後処理を実行させ、前記後処理部を前記第2位置に移動させる、前記移動ステップを実行する処理ステップと、
をコンピューターに実行させるための後処理装置の制御プログラム。
【請求項14】
媒体が載置される載置部において、第1方向に移動可能に設けられ、載置された前記媒体に後処理する後処理部と、
電源から電流又は電圧が供給されることで前記後処理部を前記第1方向に移動させる駆動部と、を備える後処理装置の制御プログラムであって、
前記電源から前記駆動部へ予め設定された設定電流又は設定電圧を供給させることで、前記後処理部の位置を前記第1方向に移動させる移動ステップと、
前記設定電流の値と同じ値となる供給電流又は前記設定電圧の値と同じ値となる供給電圧を前記駆動部へ供給させることで、前記第1方向の前記後処理部の位置を保持させる保持ステップと、
前記駆動部への前記供給電流又は前記供給電圧の供給を停止させる停止ステップと、
前記後処理が前記媒体の前記第1方向の第1位置と、該第1位置とは異なる第2位置とにおいて行われる場合、前記第1位置において、前記保持ステップ及び前記停止ステップを実行し、且つ前記保持ステップを実行する間に前記後処理部に後処理をさせ、前記第2位置において、前記停止ステップを実行し、前記保持ステップを実行しない処理ステップと、
をコンピューターに実行させるための後処理装置の制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、後処理装置、後処理装置の制御方法及び後処理装置の制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載のシート後処理装置は、ステープラーと、ステープラーが載る移動台と、移動台を介してステープラーを支持するベース部材とを備えたステープル処理部を有する。ステープラーの駆動源となるモーターは、電気的にロックされない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の構成では、後処理部を機械的に保持する手段が別途、必要となり、後処理装置の構成を簡素化することが難しい。また、従来の後処理部の駆動源の動作を電気的に保持する構成では、後処理部を移動させるための電流値と、駆動源の動作を保持するための電流値とを別々に設定する必要があり、例えば、DC-DCコンバーターのような、出力を変換するための構成が別途、必要となり、構成を簡素化することが難しい。
さらに、後処理部を移動させるための電流値に比べて、駆動源の動作を保持するための電流値が低いことから、後処理を複数回行った場合、後処理部の動作の衝撃力の分力が、後処理部に作用することで、後処理部の位置ずれが生じる虞がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決する為の、本発明に係る後処理装置は、媒体が載置される載置部において、前記媒体の搬送方向と交差する幅方向に移動可能に設けられ、載置された前記媒体に後処理する後処理部と、電源から電流又は電圧が供給されることで前記後処理部を前記幅方向に移動させる駆動部と、前記後処理部の動作及び前記駆動部の動作を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記電源から前記駆動部へ予め設定された設定電流又は設定電圧を供給させることで、前記後処理部の位置を前記幅方向に移動させる第1制御と、前記設定電流の値と同じ値となる供給電流又は前記設定電圧の値と同じ値となる供給電圧を前記駆動部へ供給させることで、前記幅方向の前記後処理部の位置を保持させる第2制御と、前記駆動部への前記供給電流又は前記供給電圧の供給を停止させる第3制御と、を実行可能とされ、前記後処理部が前記媒体に後処理を複数回行う場合に、前記第2制御及び前記第3制御を繰り返し実行し、且つ前記第2制御を実行する間に前記後処理部に後処理をさせることを特徴とする。
【0006】
上記課題を解決する為の、本発明に係る後処理装置の制御方法は、媒体が載置される載置部において、前記媒体の搬送方向と交差する幅方向に移動可能に設けられ、載置された前記媒体に後処理する後処理部と、電源から電流又は電圧が供給されることで前記後処理部を前記幅方向に移動させる駆動部と、を備える後処理装置の制御方法であって、前記電源から前記駆動部へ予め設定された設定電流又は設定電圧を供給させることで、前記後処理部の位置を前記幅方向に移動させる移動ステップと、前記設定電流の値と同じ値となる供給電流又は前記設定電圧の値と同じ値となる供給電圧を前記駆動部へ供給させることで、前記幅方向の前記後処理部の位置を保持させる保持ステップと、前記駆動部への前記供給電流又は前記供給電圧の供給を停止させる停止ステップと、を有し、前記後処理部が前記媒体に後処理を複数回行う場合に、前記保持ステップ及び前記停止ステップを繰り返し実行し、且つ前記保持ステップを実行する間に前記後処理部に後処理をさせることを特徴とする。
【0007】
上記課題を解決する為の、本発明に係る後処理装置の制御プログラムは、媒体が載置される載置部において、前記媒体の搬送方向と交差する幅方向に移動可能に設けられ、載置された前記媒体に後処理する後処理部と、電源から電流又は電圧が供給されることで前記後処理部を前記幅方向に移動させる駆動部と、を備える後処理装置の制御プログラムであって、前記電源から前記駆動部へ予め設定された設定電流又は設定電圧を供給させることで、前記後処理部の位置を前記幅方向に移動させる移動ステップと、前記設定電流の値と同じ値となる供給電流又は前記設定電圧の値と同じ値となる供給電圧を前記駆動部へ供給させることで、前記幅方向の前記後処理部の位置を保持させる保持ステップと、前記駆動部への前記供給電流又は前記供給電圧の供給を停止させる停止ステップと、前記後処理部が前記媒体に後処理を複数回行う場合に、前記保持ステップ及び前記停止ステップを繰り返し実行し、且つ前記保持ステップを実行する間に前記後処理部に後処理をさせる処理ステップと、をコンピューターに実行させるためのプログラムであることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図3】実施形態1の記録システムの主要部のブロック図。
【
図4】実施形態1のステープルユニットを下から見た斜視図。
【
図5】実施形態1のステープルユニットを上から見た斜視図。
【
図6】実施形態1及び実施形態2の後処理ユニットにおいて用紙にステープル処理をした状態を表す平面図。
【
図7】(A)実施形態1の後処理ユニットにおいて用紙の右上部にステープル処理をした状態を裏側から見た概略図であり、(B)実施形態1の後処理ユニットにおいて用紙の左上部にステープル処理をした状態を裏側から見た概略図である。
【
図8】実施形態1の後処理ユニットにおける各時点での用紙搬送動作、用紙整合動作、移動モーターの動作及びステープラーのステープル処理動作を表すタイミングチャート。
【
図9】実施形態1の後処理ユニットにおいて2部の用紙束に連続してステープル処理をする場合のタイミングチャート。
【
図10】実施形態1の後処理ユニットにおいて実行される各処理の流れを表すフローチャート。
【
図11】(A)実施形態1の後処理ユニットによって、1部目の用紙束の左上部にステープル処理された状態を表す概略図であり、(B)40部目の用紙束の左上部にステープル処理された状態を比較例と共に表す概略図であり、(C)80部目の用紙束の左上部にステープル処理された状態を比較例と共に表す概略図である。
【
図12】実施形態2の後処理ユニットにおいて用紙の2箇所にステープル処理をした状態を裏側から見た概略図。
【
図13】実施形態2の後処理ユニットにおける各時点での用紙搬送動作、用紙整合動作、移動モーターの動作及びステープラーのステープル処理動作を表すタイミングチャート。
【
図14】実施形態2の後処理ユニットにおいて実行される各処理の流れを表すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明について概略的に説明する。
上記課題を解決するための本発明の第1の態様に係る後処理装置は、媒体が載置される載置部において、前記媒体の搬送方向と交差する幅方向に移動可能に設けられ、載置された前記媒体に後処理する後処理部と、電源から電流又は電圧が供給されることで前記後処理部を前記幅方向に移動させる駆動部と、前記後処理部の動作及び前記駆動部の動作を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記電源から前記駆動部へ予め設定された設定電流又は設定電圧を供給させることで、前記後処理部の位置を前記幅方向に移動させる第1制御と、前記設定電流の値と同じ値となる供給電流又は前記設定電圧の値と同じ値となる供給電圧を前記駆動部へ供給させることで、前記幅方向の前記後処理部の位置を保持させる第2制御と、前記駆動部への前記供給電流又は前記供給電圧の供給を停止させる第3制御と、を実行可能とされ、前記後処理部が前記媒体に後処理を複数回行う場合に、前記第2制御及び前記第3制御を繰り返し実行し、且つ前記第2制御を実行する間に前記後処理部に後処理をさせることを特徴とする。
本態様によれば、前記第1制御と前記第2制御において、前記設定電流と前記供給電流、又は前記設定電圧と前記供給電圧がそれぞれ同じ値であるため、前記駆動部に供給される前記供給電流又は前記供給電圧の出力の大きさを変換する変換部が不要となる。これにより、前記後処理装置の構成を簡素化することができる。
さらに、本態様によれば、前記設定電流又は前記設定電圧と同じ値の前記供給電流又は前記供給電圧が前記駆動部に供給されることで、前記後処理部の保持力が高められた状態で前記後処理部による前記後処理が行われるので、前記後処理の動作の衝撃力の分力が前記後処理部に作用することがあっても、前記後処理部の前記幅方向の位置ずれを抑制することができる。
【0010】
第2の態様に係る後処理装置は、第1の態様において、前記制御部は、複数回の前記後処理が前記媒体の前記幅方向の1つの設定位置において行われる場合、前記第1制御を実行せずに、前記第2制御と前記第3制御とを繰り返し実行することを特徴とする。
本態様によれば、複数回の前記後処理の間に前記第1制御が実行されないので、毎回、前記第1制御を実行する構成に比べて、前記後処理を行う速度を高速化することができる。
【0011】
第3の態様に係る後処理装置は、第1の態様において、前記制御部は、複数回の前記後処理が前記媒体の前記幅方向の第1位置と、該第1位置とは異なる第2位置とにおいて行われる場合、前記第1位置と前記第2位置とにおいて、前記第3制御を実行することを特徴とする。
本態様によれば、前記後処理部が前記第1位置又は前記第2位置にある際に、前記駆動部への前記供給電流又は前記供給電圧の供給が停止されるので、前記駆動部への前記供給電流又は前記供給電圧の供給が継続される構成に比べて、前記後処理装置における消費電力を削減することができる。
【0012】
第4の態様に係る後処理装置は、第1の態様から第3の態様のいずれか1つにおいて、前記制御部は、前記後処理部における後処理の動作が開始される前に入力された信号の入力時点を基準時点として、前記後処理部の後処理の動作と、前記駆動部の動作とを同期させることを特徴とする。
本態様によれば、前記後処理部の後処理の動作と、前記駆動部の動作とが同期されることで、これらを同期させない構成に比べて、余分な前記供給電流又は前記供給電圧が供給され難くなるので、前記後処理装置における消費電力を削減することができる。
【0013】
第5の態様に係る後処理装置は、第1の態様から第4の態様のいずれか1つにおいて、前記制御部は、前記後処理の動作が開始される時点以前に、前記駆動部への前記供給電流又は前記供給電圧の供給を開始させることを特徴とする。
本態様によれば、前記後処理の動作が開始される時点以前に、前記駆動部によって前記後処理部の保持力が高められた状態となるので、前記後処理部による前記後処理が行われた場合に、前記後処理部の前記幅方向の位置ずれを抑制することができる。
【0014】
第6の態様に係る後処理装置は、第5の態様において、前記制御部は、前記駆動部への前記供給電流又は前記供給電圧の供給の開始時点から設定時間が経過した時点で、前記駆動部への電流又は電圧の供給を停止させることを特徴とする。
本態様によれば、前記駆動部への前記供給電流又は前記供給電圧の供給の開始時点から前記設定時間が経過した時点で、前記電源から前記駆動部への電流又は電圧の供給が停止されるので、前記設定時間よりも長い時間で前記駆動部へ電流又は電圧を供給する構成に比べて、前記後処理装置における消費電力をさらに削減することができる。
【0015】
第7の態様に係る後処理装置は、第5の態様又は第6の態様において、前記制御部は、前記後処理部における後処理の動作の終了時点から設定経過時間が経過した時点で、前記電源から前記駆動部への電流又は電圧の供給を停止させることを特徴とする。
本態様によれば、前記後処理部における前記後処理の動作の終了時点から前記設定経過時間が経過した時点で、前記電源から前記駆動部への電流又は電圧の供給を停止されるので、前記設定経過時間よりも長い時間で前記駆動部へ電流又は電圧を供給する構成に比べて、前記後処理装置における消費電力をさらに削減することができる。
【0016】
第8の態様に係る後処理装置は、第1の態様から第7の態様のいずれか1つにおいて、前記後処理の終了時点から前記第2制御の終了時点までの第1時間が、前記第2制御の開始時点から前記後処理の開始時点までの第2時間よりも長いことを特徴とする。
本態様によれば、前記後処理部の動作が終了してから前記後処理部の位置の保持が解除されるので、前記後処理装置の消費電力を低減しつつ、前記後処理部の前記幅方向の位置ずれを抑制することができる。
【0017】
第9の態様に係る後処理装置は、第1の態様から第8の態様のいずれか1つにおいて、前記制御部は、複数回の前記後処理のうち、最終回の前記後処理において、前記第2制御を実行せずに前記後処理部に前記後処理をさせることを特徴とする。
最終回の前記後処理では、その後で前記後処理が行われることがないため、前記後処理部の前記幅方向の位置ずれが生じても問題ない。
ここで、本態様によれば、1回分の前記第2制御が無くなるので、複数回の前記後処理の全てにおいて前記第2制御を実行する構成に比べて、前記後処理装置における消費電力を削減することができる。
【0018】
第10の態様に係る後処理装置は、第1の態様から第9の態様のいずれか1つにおいて、前記制御部は、前記媒体の一箇所における前記後処理の回数が1回の場合、前記第2制御を実行せずに前記後処理部に前記後処理をさせることを特徴とする。
前記媒体の一箇所における前記後処理の回数が1回の場合、その後で前記後処理が行われることがないため、前記後処理部の前記幅方向の位置ずれが生じても問題ない。
ここで、本態様によれば、前記第2制御が無くなるので、1回の前記後処理を行う場合に前記第2制御を実行する構成に比べて、前記後処理装置における消費電力を削減することができる。
【0019】
第11の態様に係る後処理装置は、第1の態様から第10の態様のいずれか1つにおいて、前記後処理部は、前記媒体を綴じる綴じ部であり、前記駆動部は、通電によって励磁されるコイルを備えたステッピングモーターを有し、前記綴じ部が前記媒体を綴じるときに前記綴じ部に作用する前記幅方向の力は、前記コイルが励磁されていない場合のディテントトルクによる保持力よりも大きいことを特徴とする。
本態様によれば、前記綴じ部に作用する前記幅方向の力がより大きくなるので、結果的に、前記綴じ部を前記幅方向に移動させやすくすることができる。
【0020】
第12の態様に係る後処理装置の制御方法は、媒体が載置される載置部において、前記媒体の搬送方向と交差する幅方向に移動可能に設けられ、載置された前記媒体に後処理する後処理部と、電源から電流又は電圧が供給されることで前記後処理部を前記幅方向に移動させる駆動部と、を備える後処理装置の制御方法であって、前記電源から前記駆動部へ予め設定された設定電流又は設定電圧を供給させることで、前記後処理部の位置を前記幅方向に移動させる移動ステップと、前記設定電流の値と同じ値となる供給電流又は前記設定電圧の値と同じ値となる供給電圧を前記駆動部へ供給させることで、前記幅方向の前記後処理部の位置を保持させる保持ステップと、前記駆動部への前記供給電流又は前記供給電圧の供給を停止させる停止ステップと、を有し、前記後処理部が前記媒体に後処理を複数回行う場合に、前記保持ステップ及び前記停止ステップを繰り返し実行し、且つ前記保持ステップを実行する間に前記後処理部に後処理をさせることを特徴とする。
本態様によれば、第1の態様に係る後処理装置と同様の作用及び効果を得ることができる。
【0021】
第13の態様に係る後処理装置の制御プログラムは、媒体が載置される載置部において、前記媒体の搬送方向と交差する幅方向に移動可能に設けられ、載置された前記媒体に後処理する後処理部と、電源から電流又は電圧が供給されることで前記後処理部を前記幅方向に移動させる駆動部と、を備える後処理装置の制御プログラムであって、前記電源から前記駆動部へ予め設定された設定電流又は設定電圧を供給させることで、前記後処理部の位置を前記幅方向に移動させる移動ステップと、前記設定電流の値と同じ値となる供給電流又は前記設定電圧の値と同じ値となる供給電圧を前記駆動部へ供給させることで、前記幅方向の前記後処理部の位置を保持させる保持ステップと、前記駆動部への前記供給電流又は前記供給電圧の供給を停止させる停止ステップと、前記後処理部が前記媒体に後処理を複数回行う場合に、前記保持ステップ及び前記停止ステップを繰り返し実行し、且つ前記保持ステップを実行する間に前記後処理部に後処理をさせる処理ステップと、をコンピューターに実行させるためのプログラムであることを特徴とする。
本態様によれば、第1の態様に係る後処理装置と同様の作用及び効果を得ることができる。
【0022】
[実施形態1]
以下、本発明に係る後処理装置、後処理装置の制御方法及び後処理装置の制御プログラムの一例である実施形態1について、具体的に説明する。
図1には、記録装置の一例である記録システム1が示されている。記録システム1は、媒体の一例である用紙Pに対し、液体の一例であるインクを吐出することで記録を行うインクジェット方式の装置として構成されている。
【0023】
各図において表すX-Y-Z座標系では、X方向が装置幅方向であり、Y方向が装置奥行き方向であり、Z方向が装置高さ方向である。X方向、Y方向及びZ方向は、互いに直交している。
記録システム1を正面から見て、装置幅方向における中央に対して左と右を区別する場合には、左を+X方向と称し、右を-X方向と称する。装置奥行き方向における中央に対して手前と奥を区別する場合には、手前を-Y方向と称し、奥を+Y方向と称する。装置高さ方向における中央に対して上と下とを区別する場合には、上を+Z方向と称し、下を-Z方向と称する。なお、後述する後処理ユニット30では、さらに、A方向及びB方向を用いて説明する。
【0024】
記録システム1は、+X方向に向かって順に、記録ユニット2と、中間ユニット4と、後処理ユニット30とを有する。なお、記録システム1では、記録ユニット2、中間ユニット4及び後処理ユニット30が互いに機械的及び電気的に接続されている。中間ユニット4は、記録ユニット2から送り込まれた用紙Pを後処理ユニット30へ搬送する。
記録システム1には、操作者によって操作される操作部15(
図3)と、記録システム1の各種の情報が表示される表示部17(
図3)とが設けられている。操作部15は、記録ユニット2及び後処理ユニット30における各種の設定を入力可能に構成されている。なお、記録システム1は、後述するプリンター部10で情報が記録された用紙Pに後述する後処理を行うように構成されている。記録システム1では、後述する後処理ユニット30と同様の作用効果が得られる。
【0025】
記録ユニット2は、搬送される用紙Pに各種の情報を記録する。用紙Pは、シート状に形成されている。また、記録ユニット2は、プリンター部10と、スキャナー部12と、カセット収容部14と、電源16とを備える。
プリンター部10は、記録部の一例であり、記録ヘッド20と、制御部22と、搬送モーター23(
図3)とを含んで構成されている。
記録ヘッド20は、一例として、ラインヘッドとして構成されている。
搬送モーター23は、記録システム1に設けられた不図示の複数のローラー対や、後述するパドル46及び排出ローラー48を回転駆動させる。なお、搬送モーター23は、1つのモーターを意味するのではなく、複数のモーターをまとめた総称である。以後の説明では、モーター及びモータードライバーをまとめて「モーター」と称して説明をし、モータードライバーの図示及び説明は省略する。
【0026】
図3に示されるように、制御部22は、コンピューターとして機能するCPU24(Central Processing Unit)と、記憶部として機能するメモリー26と、各時点に基づいて時間又は時刻を計時可能なタイマー28と、不図示のストレージとを含んで構成されている。また、制御部22は、記録システム1における各種の動作を制御する。制御部22による制御には、後述するステープルユニット50(
図1)の動作の制御、及び後述する駆動部34の動作の制御が含まれる。
メモリー26には、CPU24が実行するプログラムPR及び不図示の各種データが格納されている。換言すると、メモリー26は、コンピューターにおいて読み取り可能なプログラムPRが格納された記録媒体の一例である。記録媒体の他の例としては、CD、DVD、ブルーレイディスク、USBメモリー等がある。また、メモリー26の一部において、プログラムPRの展開が可能となっている。
プログラムPRは、後述する後処理ユニット30(
図1)の移動ステップ、保持ステップ、停止ステップ及び処理ステップをCPU24に実行させるためのプログラムである。
【0027】
図1に示されるように、スキャナー部12は、不図示の原稿の情報を読み取る。
カセット収容部14は、複数の用紙Pを収容する複数の収容カセット18を有する。プリンター部10及びカセット収容部14には、用紙Pが搬送される搬送経路19が形成されている。搬送経路19において、用紙Pは、収容カセット18から記録ヘッド20の記録領域へ搬送され、さらに、該記録領域から中間ユニット4を経て後処理ユニット30へ搬送される。
【0028】
後処理ユニット30は、後処理装置の一例であり、中間ユニット4から受け入れた用紙Pを必要数まとめて後処理する。本実施形態では、後処理の一例として、複数枚の用紙Pをステープル61(
図6)を用いて綴じるステープル処理が行われる。ステープル処理は、換言すると、複数枚の用紙Pにステープル61を打針することで用紙束Qを形成する処理である。後処理ユニット30には、中間ユニット4からの用紙Pが搬送される搬送経路Kが形成されている。搬送経路Kは、一例として、後述する処理トレイ32に向けて延びる主搬送経路K1と、後述する上トレイ33に向けて延びる副搬送経路K2とを有する。
【0029】
図2に示されるように、後処理ユニット30は、本体部としての筐体31を有する。筐体31の+Z方向の端部には、上トレイ33が形成されている。また、筐体31の+Z方向の部位における+X方向の端部には、排出トレイ35が設けられている。上トレイ33及び排出トレイ35は、+X方向の部位が-X方向の部位よりも+Z方向に位置した傾斜状態で配置されている。
【0030】
図1に示されるように、後処理ユニット30は、一例として、処理トレイ32と、ステープルユニット50と、駆動部34(
図3)と、制御部22とを備える。なお、本実施形態では、一例として、制御部22が後処理ユニット30の制御部を兼ねた構成について説明するが、後処理ユニット30が単独の制御部を備えていてもよい。
また、後処理ユニット30には、整合板42及びサイドカーソル43、44(
図6)と、パドル46と、排出ローラー48とが設けられている。
【0031】
処理トレイ32は、載置部の一例であり、主搬送経路K1に沿って搬送された1枚又は複数枚の用紙Pが載置される。なお、処理トレイ32の用紙Pが載る載置面32Aは、+X方向の部位が-X方向の部位よりも+Z方向に位置した傾斜状態で配置されている。ここで、載置面32Aが傾斜する方向をA方向とする。
A方向は、用紙Pの搬送方向の一例であり、Y方向と直交する。また、A方向は、X方向及びZ方向の両方と交差する方向である。なお、A方向について、一方と他方を区別する場合は、ステープルユニット50に向かう方向を+A方向とし、ステープルユニット50から離れる方向を-A方向とする。
Y方向は、用紙Pの幅方向の一例である。また、Y方向は、既述の通り、A方向と交差する方向である。Y方向から見て、A方向と直交する方向をB方向とする。B方向について、用紙Pが積み重なる方向を+B方向とし、+B方向とは反対の方向を-B方向とする。
処理トレイ32には、用紙センサー39(
図3)が設けられている。用紙センサー39は、一例として、光学式で且つ反射方式のセンサーとして構成されている。また、用紙センサー39は、処理トレイ32における用紙Pの有無を検知することで、用紙Pの受け入れが完了したか否かを検知可能となっている。用紙センサー39の検知情報の信号は、制御部22(
図3)に送信される。
【0032】
図1、
図3、
図4、
図6を用いて、駆動部34について説明する。駆動部34の動作は、制御部22によって制御される。また、駆動部34には、電源16から電流又は電圧が供給可能である。
駆動部34は、一例として、ガイドモーター38と、移動モーター36と、ステープルモーター37とを含んで構成されている。
ガイドモーター38は、不図示のピニオンを備えており、後述するサイドカーソル43、44をY方向に互いに近づく方向又は互いに離れる方向に駆動する。
移動モーター36は、ステッピングモーターとして構成されており、コイル36Aを備える。換言すると、駆動部34は、通電によって励磁されるコイル36Aを備えたステッピングモーターを有する。また、移動モーター36は、ピニオン36Bを有しており、後述する伝達ベルト58、59を駆動することで、後述するステープラー60を+Y方向又は-Y方向に移動させる。換言すると、駆動部34は、ステープラー60をY方向に移動させる。
ステープルモーター37は、ステープラー60を駆動することで、用紙Pにステープル61を打針させる。つまり、ステープラー60にステープル処理をさせる。
【0033】
図6に示されるように、整合板42は、処理トレイ32の+A方向の端部においてB方向に直立されている。また、整合板42は、一例として、Y方向に間隔をあけて3つ設けられている。処理トレイ32に送り込まれた用紙Pの+A方向の端部が、3つの整合板42に接触することで、用紙PのA方向の位置が決められ、即ち、複数の用紙Pの端部が整合されるようになっている。
サイドカーソル43、44は、Y方向に所定の厚さを有する板状に形成されている。また、サイドカーソル43、44は、Y方向に間隔をあけて配置されている。サイドカーソル43及びサイドカーソル44には、不図示のラックが設けられている。このラックが、ガイドモーター38(
図3)のピニオンを介してY方向に移動されることで、サイドカーソル43、44は、Y方向に沿って、互いに近づく方向又は互いに離れる方向に移動し、用紙Pを整合可能となっている。
【0034】
図1に示されるように、パドル46は、Y方向に沿った回転軸の周りに回動可能とされ、筐体31に設けられている。また、パドル46は、搬送モーター23(
図3)によって駆動されることで、用紙Pを処理トレイ32に送り込む。
排出ローラー48は、-A方向におけるパドル46の下流に配置されている。また、排出ローラー48は、Y方向に沿った回転軸の周りに回動可能とされ、筐体31に設けられている。そして、排出ローラー48は、搬送モーター23によって駆動されることで、処理トレイ32の用紙P又は用紙束Qを、排出トレイ35へ排出する。
【0035】
図4に示されるように、ステープルユニット50は、一例として、ベースフレーム52と、ガイドシャフト55と、可動フレーム56と、2つのプーリー57と、伝達ベルト58、59と、ステープラー60とを含んで構成されている。また、ステープルユニット50は、処理トレイ32(
図1)に対する+A方向の位置に設けられている。
ベースフレーム52は、-Z方向に開口する箱状に形成されている。また、ベースフレーム52は、A-Y面に沿った上板部52Aと、Y方向に対向する側壁52Bとを含んで構成されている。上板部52Aは、Y方向に延びている。また、上板部52Aには、ガイド孔部54が形成されている。さらに、上板部52Aには、移動モーター36が設けられている。
ガイド孔部54は、第1孔部54Aと、第2孔部54Bと、第3孔部54Cとを有する。また、ガイド孔部54は、Y方向の中央に対して対称に形成されている。第1孔部54Aは、Y方向に延びている。第2孔部54Bは、第1孔部54AのY方向の両端部からY方向と交差する斜め方向で且つ-A方向の位置に向けて延びている。第3孔部54Cは、第2孔部54Bの端部からそれぞれ外側へY方向に延びている。
【0036】
ガイドシャフト55は、Y方向に沿って側壁32Bに架設されている。
可動フレーム56は、ガイドシャフト55に支持され、ガイドシャフト55に沿ってY方向に移動可能となっている。なお、ステープラー60は、可動フレーム56に対して相対的な移動が可能となるように、可動フレーム56に設けられている。
2つのプーリー57は、ベースフレーム52に設けられている。また、1つのプーリー57とピニオン36Bには、伝達ベルト59が巻き掛けられている。
伝達ベルト58は、2つのプーリー57に巻き掛けられている。伝達ベルト58の一部には、可動フレーム56が固定されている。
ここで、ピニオン36Bが正方向又は逆方向に回転されることによって、可動フレーム56が+Y方向又は-Y方向に直線的に移動される。換言すると、ステープラー60が+Y方向又は-Y方向に移動される。
【0037】
図5に示されるように、ステープラー60は、綴じ部及び後処理部の一例であり、上板部52Aに対する+Z方向に配置されている。また、ステープラー60は、第1孔部54AのY方向の端部に移動された場合、回動されながら第2孔部54Bに進入することで、Y方向に対して交差する方向に姿勢を傾けるようになっている。
ベースフレーム52の+Y方向の端部に配置されたステープラー60と、ベースフレーム52の-方向の端部に配置されたステープラー60とは、Y方向の中央を通りA方向に延びる不図示の直線に対して、線対称の関係にある。
【0038】
ステープラー60は、不図示の可動部と、針の一例であるステープル61(
図6)と、ステープルモーター37(
図3)とを含んで構成されている。そして、ステープラー60は、通電によって動作したステープルモーター37が、可動部を駆動させることで、複数の用紙Pの一部にステープル61を打針させる。換言すると、ステープラー60は、通電によって、複数の用紙Pにステープル処理を行うことで用紙Pを綴じる。このように、ステープラー60は、Y方向に移動可能に設けられており、処理トレイ32に載置された複数の用紙Pに後処理の一例であるステープル処理を行うことで、1部の用紙束Q(
図1)を形成する。
【0039】
図6に示されるように、B方向から見て、ステープラー60は、一例として、用紙Pに対する4つの位置に配置が可能となっている。なお、
図6では、ステープラー60の4つの位置PA、PB、PC、PDが、ステープラー60の外形を表す仮想線P1、P2、P3、P4によって示されている。また、用紙Pは、裏側から見た状態で示されている。
ステープラー60は、位置P1において、用紙Pの右上部となる部位をステープル処理する。つまり、用紙Pの右上部となる部位にステープル61が打針される(
図7(A))。
また、ステープラー60は、位置P4において、用紙Pの左上部となる部位をステープル処理する。これにより、用紙Pの左上部となる部位にステープル61が打針される(
図7(B))。
さらに、ステープラー60は、位置P2においてステープル処理した後で、Y方向に沿って位置P3に移動されてステープル処理を行うことで、用紙Pの+A方向の端部に、Y方向に間隔をあけて2つのステープル61を打針可能となっている。
なお、第1実施形態では、一例として、ステープラー60が位置P4において複数の用紙Pにステープル処理を行うものとして説明する。
【0040】
図3に示される制御部22において、予め設定された制御、即ち、制御部22が実行する各制御について説明する。なお、後処理ユニット30の各部については、
図1から
図6までを参照するものとし、個別の図番の記載を省略する。
制御部22は、第1制御と、第2制御と、第3制御とを実行可能である。
第1制御は、電源16から駆動部34の移動モーター36へ予め設定された設定電流Ia又は設定電圧Vaを供給させることで、ステープラー60の位置をY方向に移動させる制御である。設定電流Ia及び設定電圧Vaの図示は省略する。
第2制御は、設定電流Iaの値と同じ値となる供給電流Ib又は設定電圧Vaの値と同じ値となる供給電圧Vbを駆動部34の移動モーター36へ供給させることで、Y方向のステープラー60の位置を保持させる制御である。供給電流Ib及び供給電圧Vbの図示は省略する。
第3制御は、駆動部34の移動モーター36への供給電流Ib又は供給電圧Vbの供給を停止させる制御である。
【0041】
設定電流Iaと供給電流Ibが同じ値である状態とは、Ia=Ibの状態だけでなく、一方が他方の測定誤差の範囲内の値となる状態も含む。同様に、設定電圧Vaと供給電圧Vbが同じ値である状態とは、Va=Vbの状態だけでなく、一方が他方の測定誤差の範囲内の値となる状態も含む。なお、プログラムPRの実行において、第1制御は移動ステップに相当する。第2制御は、保持ステップに相当する。第3制御は、停止ステップに相当する。
【0042】
制御部22は、ステープラー60が用紙Pにステープル処理を複数回行う場合に、第2制御及び第3制御を繰り返し実行し、且つ第2制御を実行する間にステープラー60にステープル処理をさせる。この制御は、プログラムPRの実行における処理ステップに相当する。
制御部22は、複数回のステープル処理が用紙PのY方向の1つの設定位置において行われる場合、第1制御を実行せずに、第2制御と第3制御とを繰り返し実行する。
制御部22は、ステープラー60におけるステープル処理の動作が開始される前に入力された信号の入力時点を基準時点として、ステープラー60のステープル処理の動作と、駆動部34の動作とを同期させる。本実施形態では、基準時点の一例として、後処理ユニット30の処理トレイ32において、用紙Pの受け入れが終了したときの用紙センサー39からの信号の入力時点が設定されている。
制御部22は、ステープル処理の動作が開始される時点t10以前である時点t9に、駆動部34の移動モーター36への供給電流Ib又は供給電圧Vbの供給を開始させる。
【0043】
制御部22は、駆動部34の移動モーター36への供給電流Ib又は供給電圧Vbの供給の開始時点から、後述する設定時間ΔT〔秒〕(
図8)が経過した時点で、電源16から移動モーター36への電流又は電圧の供給を停止させる。また、制御部22は、ステープラー60におけるステープル処理の動作の終了時点から設定経過時間Δt1〔秒〕(
図8)が経過した時点で、電源16から駆動部34の移動モーター36への電流又は電圧の供給を停止させる。
制御部22は、複数回のステープル処理のうち、最終回のステープル処理において、第2制御を実行せずにステープラー60にステープル処理をさせる。
制御部22は、用紙Pの一箇所におけるステープル処理の回数が1回の場合、第2制御を実行せずにステープラー60にステープル処理をさせる。
【0044】
後処理ユニット30における各部の動作の設定について、タイミングチャートを用いて説明する。なお、後処理ユニット30の各部については、
図1から
図6までを参照し、個別の図番の記載を省略する。
図8には、用紙Pの搬送動作、用紙Pの整合動作、移動モーター36の動作及びステープル処理動作のそれぞれのON時点、OFF時点について、タイミングチャートが示されている。なお、
図8に示された各動作は、ステープル処理が終了して1部の用紙束Qが形成されるまでの動作である。また、
図8では、時点t1から時点12までが示されているが、時点t1から時点12までのそれぞれの間隔、即ち時間の長さは、模式的に示されたものであり、実際の時間の長さとは異なる場合がある。
【0045】
用紙搬送動作には、パドル46を用いて用紙Pを送り込む動作と、排出ローラー48を用いて用紙束Qを排出する動作とが含まれる。時点t1でパドル46による用紙Pの搬送動作が開始され、時点t2で終了される。
用紙整合動作は、サイドカーソル43、44を用いて複数の用紙PのY方向の端部を揃える動作である。時点t3において複数の用紙Pの整合が開始され、時点t4で終了される。
なお、時点t1から時点t2までの間に、複数枚の用紙Pが、パドル46によって処理トレイ32に送り込まれ、サイドカーソル43、44によって整合されてもよい。
【0046】
移動モーター36の動作では、時点t5で移動モーター36に設定電流Ia又は設定電圧Vaが供給され、時点t6でステープラー60の移動が開始される。時点t7で移動モーター36への設定電流Ia又は設定電圧Vaの供給が停止され、時点t8でステープラー60の移動が停止される。
時点t9で移動モーター36に供給電流Ib又は供給電圧Vbが供給され、時点t12で供給電流Ib又は供給電圧Vbの供給が停止される。換言すると、時点t9から時点t12までの間では、移動モーター36が回転されないように外力に対して抵抗しているため、ステープラー60のY方向の位置が保持される状態となる。
時点t9は、一例として、時点t8を基準の時点として、時点t8から予め設定された時間が経過した時点として設定されている。時点t12は、一例として、時点t11を基準の時点として、時点t11から予め設定された時間が経過した時点として設定されている。なお、時点t9から時点t12までの時間が、設定時間ΔTに相当する。
【0047】
ステープル処理動作は、ステープラー60が複数の用紙Pにステープル61を打針する動作である。時点t10でステープル処理動作が開始され、時点t11でステープル処理動作が終了される。なお、時点t10は、一例として、時点t8を基準の時点として、時点t8から予め設定された時間が経過した時点として設定されている。
本実施形態では、一例として、ステープラー60のY方向の位置が保持されている時間内において、ステープル処理動作が行われるようになっている。
ここで、時点t11から時点t12までの時間が第1時間Δt1に相当する。時点t9から時点t10までの時間が第2時間Δt2〔秒〕に相当する。
【0048】
後処理ユニット30において、ステープル処理の終了時点から第2制御の終了時点までの第1時間Δt1は、第2制御の開始時点からステープル処理の開始時点までの第2時間Δt2よりも長い。なお、第1時間Δt1は、設定経過時間の一例である。
また、後処理ユニット30において、ステープラー60が用紙Pを綴じるときにステープラー60に作用するY方向の力は、移動モーター36のコイル36Aが励磁されていない場合のディテントトルクによる保持力よりも大きい。
【0049】
図9には、一例として、
図8の各動作が2つの用紙束Qに対して連続して実行される場合のタイミングチャートが示されている。なお、説明済の動作については、時点の図示及び説明を省略する。また、本実施形態では、2部目の用紙束Qが最後の媒体束に相当する。
1部目の用紙束Qに対してステープル処理が行われた後、時点tAで排出ローラー48により用紙束Qの排出が開始され、時点tBで用紙束Qの排出が終了する。続いて、次の用紙Pの搬送動作及び整合動作が行われるが、用紙Pにステープル処理を行う位置は変わらないため、移動モーター36は動作及び保持を行わない。この状態で、ステープル処理が行われた後、時点tCで排出ローラー48により用紙束Qの排出が開始され、時点tDで用紙束Qの排出が終了する。このようにして、2つの用紙束Qに対して、それぞれ1回のステープル処理が行われる。
【0050】
次に、実施形態1の後処理ユニット30の作用について説明する。なお、後処理ユニット30の各部については、
図1から
図6までを参照するものとして、個別の図番の記載を省略する。
図10は、制御部22による用紙Pの受け入れ処理からステープル処理後の用紙束Qの排出処理までの流れを表すフローチャートである。
図10に表す各処理は、CPU24がメモリー26からプログラムPRを読み出し且つ展開して実行することにより行われる。
【0051】
ステップS10において、CPU24は、パドル46を動作させることで複数の用紙Pを処理トレイ32に送り込む。そして、ステップS12に移行する。
ステップS12において、CPU24は、ガイドモーター38を動作させることでサイドカーソル43、44を移動させ、複数の用紙Pを整合させる。そして、ステップS14に移行する。
ステップS14において、CPU24は、移動モーター36を動作させることでステープラー60を初期位置から位置P4に移動させる。そして、ステップS16に移行する。
ステップS16において、CPU24は、ステープラー60のY方向の移動が終了したか否かを判定する。ここでは、一例として、CPU24は、ステープラー60の移動開始からの経過時間に基づいて、ステープラー60が位置P4に到達したか否かを判定する。ステープラー60が位置P4に到達した場合(S16:Yes)、ステップS18に移行する。ステープラー60が位置P4に到達していない場合(S16:No)、ステップS14に移行する。
【0052】
ステップS18において、CPU24は、これからステープル処理を行う複数の用紙Pが最後の用紙束Q以外であるか否かを判定する。最後の用紙束Q以外の場合(S18:Yes)、ステップS20に移行する。最後の用紙束Qの場合(S18:No)、ステップS28に移行する。
ステップS20において、CPU24は、移動モーター36に供給電流Ib又は供給電圧Vbを供給することで、移動モーター36を回転しないように保持する。そして、ステップS22に移行する。
ステップS22において、CPU24は、ステープルモーター37を動作させることでステープラー60を動作させ、ステープル処理を開始する。そして、ステップS24に移行する。
ステップS24において、CPU24は、ステープルモーター37の動作を停止させることで、ステープラー60の動作を停止させる。そして、ステップS26に移行する。
ステップS26において、CPU24は、移動モーター36への供給電流Ib又は供給電圧Vbの供給を停止させる。これにより、移動モーター36の保持が終了する。そして、ステップS32に移行する。
【0053】
ステップS28において、CPU24は、ステープルモーター37を動作させることでステープラー60を動作させ、ステープル処理を開始する。そして、ステップS30に移行する。
ステップS30において、CPU24は、ステープルモーター37の動作を停止させることで、ステープラー60の動作を停止させる。そして、ステップS32に移行する。
ステップS32において、CPU24は、搬送モーター23を動作させることで排出ローラー48を回転させ、用紙束Qを排出させる。そして、ステップS34に移行する。
ステップS34において、CPU24は、次の用紙Pのステープル処理を行うか否かを判定する。判定は、一例として、設定された用紙束Qの数と、排出された用紙束Qの数との差に基づいて行われる。用紙束Qの排出数に基づいて行われる。次の用紙Pのステープル処理を行わない場合(S34:Yes)、プログラムPRを終了する。次の用紙Pのステープル処理を行う場合(S34:No)、ステップS10に移行する。
【0054】
図11(A)には、後処理ユニット30(
図1)において、1部目の用紙束Qの左上部にステープル61が打針された状態が示されている。
図11(B)には、40部目の用紙束Qの左上部にステープル61が打針された状態が示されている。
図11(C)には、80部目の用紙束Qの左上部にステープル61が打針された状態が示されている。なお、実線で示されたステープル61は、後処理ユニット30によって打針されたものであり、破線で示されたステープル61は、移動モーター36において供給電流Ib又は供給電圧Vbによる保持が行われない比較例の装置によって打針されたものである。
比較例の装置では、1部目から40部目、80部目と増えるほど、所定の打針位置を表す一点鎖線Gからのステープル61の位置ずれ量が大きくなっている。
一方、本実施形態の後処理ユニット30では、1部目から40部目、80部目と増えても、所定の打針位置からのステープル61の位置ずれ量は、比較例に比べて小さい。
【0055】
以上、説明した通り、後処理ユニット30によれば、第1制御と第2制御において、設定電流Iaと供給電流Ib、又は設定電圧Vaと供給電圧Vbがそれぞれ同じ値であるため、駆動部34に供給される供給電流Ib又は供給電圧Vbの出力の大きさを変換する変換部が不要となる。例えば、DC-DCコンバーターが不要となる。これにより、後処理ユニット30の構成を簡素化することができる。
さらに、設定電流Ia又は設定電圧Vaと同じ値の供給電流Ib又は供給電圧Vbが駆動部34に供給されることで、ステープラー60の位置を保持しようとする保持力が高められた状態でステープラー60によるステープル処理が行われるので、ステープル処理の動作の衝撃力の分力がステープラー60に作用することがあっても、ステープラー60のY方向の位置ずれを抑制することができる。
なお、後処理ユニット30の制御方法及び後処理ユニット30のプログラムPRについても、後処理ユニット30と同様の作用及び効果を得ることができる。
【0056】
後処理ユニット30によれば、複数回のステープル処理の間に第1制御が実行されないので、毎回、第1制御を実行する構成に比べて、ステープル処理を行う速度を高速化することができる。
後処理ユニット30によれば、ステープラー60のステープル処理の動作と、駆動部34の動作とが同期されることで、これらを同期させない構成に比べて、余分な供給電流Ib又は供給電圧Vbが供給され難くなるので、後処理ユニット30における消費電力を削減することができる。
ステープル処理の開始時点t10(
図8)は、複数の用紙Pの整合に要する時間が変わった場合、予め設定した時点に対して変わる。つまり、整合が終了する時点t4(
図8)が、複数の用紙Pの載置状態によって変わる可能性があり、時点t4が設定した時点に対して前又は後にずれることで、時点t10も設定した時点に対して前又は後にずれることになる。ここで、実施形態1の後処理ユニット30では、既述の通り、ステープル処理動作と、駆動部34の動作とが同期されるので、整合が終了する時点t4が前後にずれることがあっても、余分な供給電力Ib又は供給電圧Vbが供給され難くなり、後処理ユニット30における消費電力を削減することができる。
【0057】
後処理ユニット30によれば、ステープル処理の動作が開始される時点t10以前である時点t9において、移動モーター36の保持が開始され、移動モーター36によってステープラー60の保持力が高められた状態となるので、ステープラー60によるステープル処理が行われた場合に、ステープラー60のY方向の位置ずれを抑制することができる。
後処理ユニット30によれば、駆動部34の移動モーター36への供給電流Ib又は供給電圧Vbの供給の開始時点である時点t9から設定時間ΔTが経過した時点で、電源16から駆動部34への電流又は電圧の供給が停止されるので、設定時間ΔTよりも長い時間で駆動部34へ電流又は電圧を供給する構成に比べて、後処理ユニット30における消費電力をさらに削減することができる。
【0058】
後処理ユニット30によれば、ステープラー60におけるステープル処理の動作の終了時点t11から設定経過時間Δt1が経過した時点で、電源16から駆動部34の移動モーター36への電流又は電圧の供給を停止されるので、設定経過時間Δt1よりも長い時間で駆動部34へ電流又は電圧を供給する構成に比べて、後処理ユニット30における消費電力をさらに削減することができる。
後処理ユニット30によれば、ステープラー60の動作が終了してからステープラー60の位置の保持が解除されるので、後処理ユニット30の消費電力を低減しつつ、ステープラー60のY方向の位置ずれを抑制することができる。
最終回のステープル処理では、その後でステープル処理が行われることがないため、ステープラー60のY方向の位置ずれが生じても問題ない。ここで、後処理ユニット30によれば、1回分の第2制御が無くなるので、複数回のステープル処理の全てにおいて第2制御を実行する構成に比べて、後処理ユニット30における消費電力を削減することができる。
【0059】
用紙Pの一箇所におけるステープル処理の回数が1回の場合、その後でステープル処理が行われることがないため、ステープラー60のY方向の位置ずれが生じても問題ない。ここで、本態様によれば、第2制御が無くなるので、1回のステープル処理を行う場合に第2制御を実行する構成に比べて、後処理ユニット30における消費電力を削減することができる。
後処理ユニット30によれば、ステープラー60に作用するY方向の力がより大きくなるので、結果的に、ステープラー60をY方向に移動させやすくすることができる。
【0060】
[実施形態2]
次に、本発明に係る後処理装置、後処理装置の制御方法及び後処理装置の制御プログラムの一例である実施形態2について、具体的に説明する。なお、実施形態1と共通する部分については、同一符号を付して、その説明及び個別の図番の記載を省略する。
【0061】
実施形態2の後処理ユニット30は、実施形態1の後処理ユニット30において、ステープラー60が位置P2、位置P3の2箇所にステープル処理を行う点が異なっている。位置P2は第1位置の一例である。位置P3は、第2位置の一例である。
図6に示される後処理ユニット30において、制御部22(
図3)は、複数回のステープル処理が用紙PのY方向の位置P2と、位置P2とは異なる位置P3とにおいて行われる場合、位置P2と位置P3とにおいて、第3制御を実行する。
つまり、
図12に示されるように、用紙束Qの+A方向の端部には、Y方向に間隔をあけて2箇所のステープル61が打針されるようになっている。
【0062】
図13には、実施形態2の後処理ユニット30の動作の一例として、用紙Pの搬送動作、用紙Pの整合動作、移動モーター36の動作及びステープラー60のステープル処理動作が、1部の用紙束Qに対して実行される場合のタイミングチャートが示されている。なお、実際の動作では、
図13に示された各動作が、複数部の用紙束Qに合わせて複数回行われる。説明済の動作については、時点の図示及び説明を省略する。
実施形態2では、基準時点の一例として、ステープラー60の移動が停止される時点t8が設定されている。
【0063】
位置P2(
図6)において、時点t12までに1回目のステープル処理が行われた後、時点t13で移動モーター36に設定電流Ia又は設定電圧Vaが供給され、時点t14でステープラー60の移動が開始される。時点t15で移動モーター36への設定電流Ia又は設定電圧Vaの供給が停止され、時点t16でステープラー60の移動が停止される。これにより、ステープラー60は、位置P3(
図6)に到達する。
時点t17でステープラー60のステープル処理動作が開始され、時点t18でステープル処理動作が終了される。
続いて、時点tAで排出ローラー48(
図1)により用紙束Qの排出が開始され、時点tBで用紙束Qの排出が終了する。このようにして、1部の用紙束Qに対して、2回のステープル処理が行われる。続いて、2部以降の用紙束Qに対して、同様にステープル処理が行われるようになっている。
【0064】
次に、実施形態2の後処理ユニット30の作用について説明する。なお、後処理ユニット30の各部については、
図1から
図6までを参照するものとして、個別の図番の記載を省略する。
図14は、制御部22による用紙Pの受け入れ処理からステープル処理後の用紙束Qの排出処理までの流れを表すフローチャートである。
図14に表す各処理は、CPU24がメモリー26からプログラムPRを読み出し且つ展開して実行することにより行われる。
【0065】
ステップS50において、CPU24は、パドル46を動作させることで複数の用紙Pを処理トレイ32に送り込む。そして、ステップS52に移行する。
ステップS52において、CPU24は、ガイドモーター38を動作させることでサイドカーソル43、44を移動させ、複数の用紙Pを整合させる。そして、ステップS54に移行する。
ステップS54において、CPU24は、移動モーター36を動作させることでステープラー60を初期位置から位置P2に移動させる。なお、最初からステープラー60を位置P2に待機させていてもよい。そして、ステップS56に移行する。
ステップS56において、CPU24は、ステープラー60のY方向の移動が終了したか否かを判定する。ステープラー60が位置P2に到達した場合(S56:Yes)、ステップS58に移行する。ステープラー60が位置P2に到達していない場合(S56:No)、ステップS54に移行する。
【0066】
ステップS58において、CPU24は、移動モーター36に供給電流Ib又は供給電圧Vbを供給することで、移動モーター36を回転しないように保持する。そして、ステップS60に移行する。
ステップS60において、CPU24は、ステープルモーター37を動作させることでステープラー60を動作させ、ステープル処理を開始する。そして、ステップS62に移行する。
ステップS62において、CPU24は、ステープルモーター37の動作を停止させることで、ステープラー60の動作を停止させる。そして、ステップS64に移行する。
ステップS64において、CPU24は、移動モーター36への供給電流Ib又は供給電圧Vbの供給を停止させる。これにより、移動モーター36の保持が終了する。そして、ステップS66に移行する。
【0067】
ステップS66において、CPU24は、移動モーター36を動作させることでステープラー60を位置P2から位置P3に移動させる。そして、ステップS68に移行する。
ステップS68において、CPU24は、ステープラー60のY方向の移動が終了したか否かを判定する。ステープラー60が位置P3に到達した場合(S68:Yes)、ステップS70に移行する。ステープラー60が位置P3に到達していない場合(S68:No)、ステップS66に移行する。
ステップS70において、CPU24は、ステープルモーター37を動作させることでステープラー60を動作させ、ステープル処理を開始する。そして、ステップS72に移行する。
【0068】
ステップS72において、CPU24は、ステープルモーター37の動作を停止させることで、ステープラー60の動作を停止させる。そして、ステップS74に移行する。
ステップS74において、CPU24は、搬送モーター23を動作させることで排出ローラー48を回転させ、用紙束Qを排出させる。そして、ステップS76に移行する。
ステップS76において、CPU24は、次の用紙Pのステープル処理を行うか否かを判定する。判定は、一例として、設定された用紙束Qの数と、排出された用紙束Qの数との差に基づいて行われる。次の用紙Pのステープル処理を行わない場合(S76:Yes)、プログラムPRを終了する。次の用紙Pのステープル処理を行う場合(S76:No)、ステップS50に移行する。
【0069】
実施形態2の後処理ユニット30によれば、ステープラー60が位置P2又は位置P3にある際に、駆動部34の移動モーター36への供給電流Ib又は供給電圧Vbの供給が停止されるので、駆動部34への供給電流Ib又は供給電圧Vbの供給が継続される構成に比べて、後処理ユニット30における消費電力を削減することができる。
【0070】
本発明の実施形態1、2に係る記録システム1及び後処理ユニット30は、以上述べたような構成を有することを基本とするものであるが、本願発明の要旨を逸脱しない範囲内での部分的構成の変更や省略等を行うことも勿論可能である。以下、変形例について説明する。
【0071】
実施形態1、2の後処理ユニット30において、制御部22は、ステープラー60におけるステープル処理の動作が開始される前に入力された信号の入力時点を基準時点として、ステープラー60のステープル処理の動作と、駆動部34の動作とを同期させなくてもよい。
制御部22は、ステープラー60におけるステープル処理の動作の開始時点から設定時間が経過した時点で、駆動部34への電流又は電圧の供給を停止させなくてもよい。例えば、ステープラー60の移動の開始時点から所定の時間が経過した時点で、駆動部34への電流又は電圧の供給を停止させてもよい。
制御部22は、ステープラー60におけるステープル処理の動作の終了時点から設定経過時間が経過した時点で、駆動部34への電流又は電圧の供給を停止させなくてもよい。例えば、ステープル処理の動作の終了時点と、駆動部34への電流又は電圧の供給を停止する時点とを同じ時点としてもよい。
【0072】
第1時間Δt1と第2時間Δt2は、同じ時間でもよく、あるいは、第1時間Δt1を第2時間Δt2よりも短くしてもよい。また、第1時間Δt1=0、第2時間Δt2=0としてもよい。さらに、後処理ユニット30における消費電力の削減及びステープラー60のY方向の位置ずれの抑制といった目的を達成できる範囲において、移動モーター36の保持動作の開始時点が、ステープル処理動作の開始時点よりも後の時点となってもよい。同様に、後処理ユニット30における消費電力の削減及びステープラー60のY方向の位置ずれの抑制といった目的を達成できる範囲において、移動モーター36の保持動作の終了時点が、ステープル処理動作の終了時点よりも前の時点となってもよい。
制御部22は、最終回のステープル処理において、第2制御を行ってもよい。また、制御部22は、用紙Pの一箇所におけるステープル処理の回数が1回の場合であっても、第2制御を行ってもよい。
ステープラー60が用紙Pを綴じるときにステープラー60に作用するY方向の力は、コイル36Aが励磁されていない場合のディテントトルクによる保持力と等しくてもよい。
【0073】
移動モーター36の保持を終了する時点は、ステープラー60によるステープル処理の終了時点と同じでもよい。また、ステープル処理を停止した後のステープラー60の振動が収束する収束時点を予め確認しておき、移動モーター36の保持を終了する時点と、該収束時点とを同じ時点に設定してもよい。
移動モーター36の保持とステープラー60によるステープル処理とを同期させる基準時点として、用紙Pの受け入れ時点を基準時点とせずに、ステープラー60の移動の開始時点又は移動の終了時点を基準時点としてもよい。
【0074】
ステープラー60を移動させる時間以外の時間において、移動モーター36に供給電流Ib又は供給電圧Vbを供給し続けてもよい。
ステープル処理以外の後処理の例として、複数の用紙Pを圧着させることで綴じる圧着処理や、複数の用紙Pに厚さ方向に貫通する貫通孔を形成する孔あけ処理を行ってもよい。
供給電流Ibを供給するか、供給電圧Vbを供給するかは、適宜、選択すればよい。なお、移動モーター36の制御としては、定電流制御で行うことが好ましいが、定電圧制御を行うことも可能である。
【0075】
CPU24がステープラー60を初期位置から移動させるタイミングは、サイドカーソル43、44により複数の用紙Pを整合した後に限られない。例えば、サイドカーソル43、44による整合と同時にステープラー60を初期位置から移動させてもよいし、あるいは、用紙Pを処理トレイ32に送り込む間にステープラー60を初期位置から移動させてもよい。さらに、用紙Pを処理トレイ32に送り込む前にステープラー60を初期位置から移動させてもよい。これらにより、後処理を終えるまでに要する時間を短くすることができる。
【0076】
実施形態1の後処理ユニット30において、用紙Pにステープル処理を行う位置は、用紙Pの右上部の位置P4に限らず、左上部の位置P1であってもよい。
【0077】
実施形態2の後処理ユニット30において、位置P2及び位置P3でのステープル処理を他の用紙Pにも行い、複数の用紙束Qのそれぞれに2回のステープル処理を行ってもよい。また、用紙Pにステープル処理する位置は、位置P2、位置P3の2箇所に限らず、3箇所以上の複数箇所であってもよい。さらに、ステープル処理の終了時点を基準時点として、ステープル処理の終了時点と移動モーター36の保持の終了時点とを同期させてもよい。
【0078】
媒体は、用紙Pに限らず、フィルムや布等であってもよい。
用紙Pのステープル処理は、複数の平坦な用紙PをB方向に重ねる場合に限らず、予め折り曲げられた複数の用紙PをB方向に重ねる場合にも行える。
ステープル処理は、用紙Pの長辺綴じの場合に限らず、短辺綴じの場合にも行える。
【符号の説明】
【0079】
1…記録システム、2…記録ユニット、3…後処理ユニット、4…中間ユニット、
10…プリンター部、12…スキャナー部、14…カセット収容部、15…操作部、
16…電源、17…表示部、18…収容カセット、19…搬送経路、20…記録ヘッド、
22…制御部、23…搬送モーター、24…CPU、26…メモリー、28…タイマー、
30…後処理ユニット、31…筐体、32…処理トレイ、32A…載置面、
32B…側壁、33…上トレイ、34…駆動部、35…排出トレイ、36…移動モーター、
36A…コイル、36B…ピニオン、37…ステープルモーター、38…ガイドモーター、
39…用紙センサー、42…整合板、43…サイドカーソル、44…サイドカーソル、
46…パドル、48…排出ローラー、50…ステープルユニット、52…ベースフレーム、
52A…上板部、52B…側壁、54…ガイド孔部、54A…第1孔部、
54B…第2孔部、54C…第3孔部、55…ガイドシャフト、56…可動フレーム、
57…プーリー、58…伝達ベルト、59…伝達ベルト、60…ステープラー、
61…ステープル、K1…主搬送経路、K2…副搬送経路、P1…位置、P2…位置、
P3…位置、P4…位置