(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024161299
(43)【公開日】2024-11-15
(54)【発明の名称】折りたたみ型ディスプレイの表面保護フィルム用ポリエステルフィルムとその用途
(51)【国際特許分類】
C08J 5/18 20060101AFI20241108BHJP
C08J 7/046 20200101ALI20241108BHJP
G09F 9/00 20060101ALI20241108BHJP
【FI】
C08J5/18 CFD
C08J7/046
G09F9/00 313
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024156930
(22)【出願日】2024-09-10
(62)【分割の表示】P 2023122165の分割
【原出願日】2018-02-14
(31)【優先権主張番号】P 2017039325
(32)【優先日】2017-03-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000003160
【氏名又は名称】東洋紡株式会社
(72)【発明者】
【氏名】西尾 正太郎
(72)【発明者】
【氏名】吉野 賢二
(72)【発明者】
【氏名】本郷 有記
(72)【発明者】
【氏名】西尾 明子
(57)【要約】
【課題】量産性に優れており、繰り返し折り曲げた後に折りたたみ部分で表示される画像に乱れを生じるおそれがない折りたたみ型ディスプレイと、そのような折りたたみ型ディスプレイを搭載した携帯端末機器を提供することであり、前記のための表面保護フィルム用ポリエステルフィルムや表面保護フィルム用ハードコートフィルムを提供する。
【解決手段】厚みが10~75μmのポリエステルフィルムであって、長手方向及び幅方向の少なくともいずれか一方向の0.2%耐力点ひずみが2.6~5.0%である折りたたみ型ディスプレイの表面保護フィルム用ポリエステルフィルム。前記折りたたみ型ディスプレイの表面保護フィルム用ポリエステルフィルムを用いたハードコートフィルム、折りたたみ型ディスプレイ及び携帯端末機器。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
全光線透過率が85%以上99%以下であり、
機械流れ方向の0.2%耐力点ひずみが2.6~5.0%であることを特徴とするディスプレイ用ポリエステルフィルム。
【請求項2】
機械流れ方向は、ポリエステルフィルムを折りたたむ際の折りたたみ部と直交する屈曲方向であることを特徴とする請求項1に記載のディスプレイ用ポリエステルフィルム。
【請求項3】
結晶化度が35%以上であることを特徴とする請求項1に記載のディスプレイ用ポリエステルフィルム。
【請求項4】
厚みが10~75μmであり、極限粘度が0.60~1.0dl/gであることを特徴とする請求項1に記載のディスプレイ用ポリエステルフィルム。
【請求項5】
ヘイズが0.1%以上3%以下であることを特徴とする請求項1に記載のディスプレイ用ポリエステルフィルム。
【請求項6】
屈曲半径3mm、1回/秒の速度で5万回屈曲させる無負荷U字伸縮試験において、屈曲終了後、屈曲内側を下にして平面に水平に置いた際、
浮き上がり最大高さ5mm未満である、又は変形しない、ことを特徴とする請求項1に記載のディスプレイ用ポリエステルフィルム。
【請求項7】
請求項1~6のいずれかに記載のディスプレイ用ポリエステルフィルムの少なくとも片面に、厚みが1~50μmのハードコート層を有し、
JIS K5600-5-4:1999に準拠して750g荷重で測定したハードコート層の鉛筆硬度がH以
上であることを特徴とするディスプレイ用ハードコートフィルム。
【請求項8】
請求項7に記載のディスプレイ用ハードコートフィルムが、ハードコート層を表面に位置させるように表面保護フィルムとして配置された折りたたみ型ディスプレイであって、折りたたんだ際の屈曲半径が5mm以下であり、
ディスプレイの折りたたみ部分を介して連続した単一のハードコートフィルムが配されていることを特徴とする折りたたみ型ディスプレイ。
【請求項9】
請求項8に記載の折りたたみ型ディスプレイを有する携帯端末機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は折りたたみ型ディスプレイの表面保護フィルム用ポリエステルフィルム、折りたたみ型ディスプレイの表面保護フィルム用ハードコートフィルム、折りたたみ型ディスプレイ、及び携帯端末機器に関し、繰り返し折りたたんでも、表面に位置しているフィルムの変形による画像の乱れの起こり難い折りたたみ型ディスプレイ及び携帯端末機器、及び前記の折りたたみ型ディスプレイの表面保護フィルム用ポリエステルフィルム及びハードコートフィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
携帯端末機器の薄膜軽量化が進み、スマートフォンに代表される携帯端末機器が広く普及している。携帯端末機器には様々な機能が求められている反面、利便性もとめられている。そのため普及している携帯端末機器は、簡単な操作は片手ででき、さらに衣服のポケットなどに収納することが前提であるため6インチ程度の小さな画面サイズとする必要がある。
【0003】
一方、7インチ~10インチの画面サイズであるタブレット端末では、映像コンテンツや音楽のみならず、ビジネス用途、描画用途、読書などが想定され、機能性の高さを有している。しかし、片手での操作はできず、携帯性も劣り、利便性に課題を有する。
【0004】
これらを達成するため、複数のディスプレイをつなぎ合わせることでコンパクトにする手法が提案されているが(特許文献1)、ベゼルの部分が残るため、映像が切れたものとなり、視認性の低下が問題となり普及していない。
【0005】
そこで近年、フレキシブルディスプレイ、折りたたみ型ディスプレイを組み込んだ携帯端末が提案されている。この方式であれば、画像が途切れることなく、大画面のディスプレイを搭載した携帯端末機器として利便性よく携帯できる。
【0006】
ここで、従来の折りたたみ構造を有しないディスプレイや携帯端末機器については、そのディスプレイの表面はガラスなど可撓性を有しない素材で保護することができたが、折りたたみ型ディスプレイにおいて、折りたたみ部分を介して一面のディスプレイとする場合には、可撓性があり、かつ、表面を保護できるハードコートフィルムなどを使用する必要がある。しかしながら、折りたたみ型ディスプレイでは、一定の折りたたみ部分に当たる箇所が繰り返し折り曲げられるため、当該箇所のフィルムが経時的に変形し、ディスプレイに表示される画像を歪める等の問題があった。
【0007】
そこで、部分的に膜厚を変える手法も提案されているが(特許文献2参照)、量産性に乏しい問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2010-228391号公報
【特許文献2】特開2016-155124号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は上記のような従来のディスプレイの表面保護部材が有する課題を解決しようとするものであって、量産性に優れており、繰り返し折り曲げた後に折りたたみ部分で表示される画像に乱れを生じるおそれがない折りたたみ型ディスプレイと、そのような折りたたみ型ディスプレイを搭載した携帯端末機器を提供できるようにするため、折りたたみ型ディスプレイの表面保護フィルム用ポリエステルフィルムや表面保護フィルム用ハードコートフィルムを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
即ち、本発明は以下の構成よりなる。
1. 厚みが10~75μmのポリエステルフィルムであって、長手方向及び幅方向の少なくともいずれか一方向の0.2%耐力点ひずみが2.6~5.0%であることを特徴とする折りたたみ型ディスプレイの表面保護フィルム用ポリエステルフィルム。
2. 屈曲方向の0.2%耐力点ひずみが2.6~5.0%であることを特徴とする上記第1に記載の折りたたみ型ディスプレイの表面保護フィルム用ポリエステルフィルム。
(ここで、屈曲方向とは、ポリエステルフィルムを折りたたむ際の折りたたみ部と直交する方向をいう。)
3. フィルムの極限粘度が0.60~1.0dl/gであることを特徴とする上記第1又は第2に記載の折りたたみ型ディスプレイの表面保護フィルム用ポリエステルフィルム。
4. 上記第1~第3のずれかに記載の折りたたみ型ディスプレイの表面保護フィルム用ポリエステルフィルムの少なくとも片面に、厚みが1~50μmのハードコート層を有することを特徴とする折りたたみ型ディスプレイの表面保護フィルム用ハードコートフィルム。
5. JIS K5600-5-4:1999に準拠して750g荷重で測定したハードコート層の鉛筆硬度がH以上であることを特徴とする上記第4に記載の折りたたみ型ディスプレイの表面保護フィルム用ハードコートフィルム。
6. 上記第4又は第5に記載の折りたたみ型ディスプレイの表面保護フィルム用ハードコートフィルムが、ハードコート層を表面に位置させるように表面保護フィルムとして配置された折りたたみ型ディスプレイであって、折りたたんだ際の屈曲半径が5mm以下であることを特徴とする折りたたみ型ディスプレイ。
7. 折りたたみ型ディスプレイの折りたたみ部分を介して連続した単一のハードコートフィルムが配されていることを特徴とする上記第6に記載の折りたたみ型ディスプレイ。
8. 上記第6又は第7に記載の折りたたみ型ディスプレイを有する携帯端末機器。
【発明の効果】
【0011】
本発明の折りたたみ型ディスプレイの表面保護フィルム用ポリエステルフィルムやハードコートフィルムを用いた折りたたみ型ディスプレイは、量産性を維持しながら、そのポリエステルフィルムやハードコートフィルムが、繰り返し折りたたんだ後の変形を起こさないため、ディスプレイの折りたたみ部分での画像の乱れを生じないものである。前記のような折りたたみ型ディスプレイを搭載した携帯端末機器は、美しい画像を提供し、機能性に富み、携帯性等の利便性に優れたものである。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明における折りたたんだ際の屈曲半径の測定箇所を示すための模式図である。
【
図2】本発明における折りたたみ型ディスプレイの表面保護フィルム用ポリエステルフィルムの屈曲方向を示すための模式図である。
【
図3】本発明における0.2%耐力点ひずみを説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(ディスプレイ)
本発明で言うディスプレイとは、表示装置を全般に指すものであり、ディスプレイの種類としては、LCD、有機ELディスプレイ、無機ELディスプレイ、LED、FEDなどあるが、折曲げ可能な構造であるLCDや、有機EL、無機ELが好ましい。特に層構成を少なくすることができる有機EL、無機ELが特に好ましく、色域の広い有機ELがさらに好ましい。
【0014】
(折りたたみ型ディスプレイ)
折りたたみ型ディスプレイは、連続した1枚のディスプレイが、携帯時は2つ折りにすることでサイズを半減させ、携帯性を向上させた構造となっていることが好ましい。また同時に薄型、軽量化されているものが望ましい。そのため、折りたたみ型ディスプレイの屈曲半径は5mm以下が好ましく、3mm以下がさらに好ましい。屈曲半径が5mm以下であれば、折りたたんだ状態での薄型化が可能となる。屈曲半径は小さいほど良いと言えるが、0.1mm以上で構わず、0.5mm以上であっても構わない。1mm以上であっても、折りたたみ構造を有しない従来のディスプレイに対比して実用性は十分良好である。折りたたんだ際の屈曲半径とは、
図1の模式図の符号11の箇所を測定するもので、折りたたんだ際の折りたたみ部分の内側の半径を意味している。なお、後述する表面保護フィルムは、折りたたみ型ディスプレイの折りたたんだ外側に位置していてもよいし、内側に位置していてもよい。
【0015】
(有機EL)
有機ELディスプレイの一般的な構成は、電極/電子輸送層/発光層/ホール輸送層/透明電極からなる有機EL層、画質を向上させるための位相差板、偏光板からなる。
【0016】
(タッチパネルを有する携帯端末機器)
タッチパネルを有する携帯端末機器に有機ELディスプレイを用いた場合、有機ELディスプレイの上部、もしくは有機EL層/位相差板間にタッチパネルモジュールを配置する。この際、上部から衝撃が加わると、有機EL、タッチパネルの回路が断線するおそれがあるため、表面保護フィルムが必要であり、表面保護フィルムとしてディスプレイの前面に配されるフィルムについて、ディスプレイの少なくとも表面側にはハードコート層が積層されたものであることが好ましい。
【0017】
(折りたたみ型ディスプレイの表面保護フィルム)
表面保護フィルムとしては、ポリイミドフィルム、ポリエステルフィルム、ポリカーボネートフィルム、アクリルフィルム、トリアセチルセルロースフィルム、シクロオレフィンポリマーフィルムなど光透過性が高く、ヘイズが低いフィルムであれば使用することができが、その中でも耐衝撃性が高く、十分な鉛筆硬度を有するポリイミドフィルム、ポリエステルフィルムが好ましく、安価で製造できるポリエステルフィルムが特に好ましい。
【0018】
本発明において、ポリエステルフィルムは、1種類以上のポリエステル樹脂からなる単層構成のフィルムでもよいし、2種類以上のポリエステルを使用する場合、多層構造フィルムでも良いし、繰り返し構造の超多層積層フィルムでもよい。
【0019】
ポリエステル樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン-2,6-ナフタレート、またはこれらの樹脂の構成成分を主成分とする共重合体からなるポリエステルフィルムが挙げられる。なかでも、力学的性質、耐熱性、透明性、価格などの点から、延伸されたポリエチレンテレフタレートフィルムが特に好ましい。
【0020】
ポリエステルフィルムにポリエステルの共重合体を用いる場合、ポリエステルのジカルボン酸成分としては、例えば、アジピン酸、セバシン酸などの脂肪族ジカルボン酸;テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸;トリメリット酸、ピロメリット酸などの多官能カルボン酸が挙げられる。また、グリコール成分としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4-ブタンジオール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコールなどの脂肪酸グリコール、p-キシレングリコールなどの芳香族グリコール、1,4-シクロヘキサンジメタノールなどの脂環族グリコール、平均分子量が150~20,000のポリエチレングリコールが挙げられる。好ましい共重合体の共重合成分の質量比率は20質量%未満である。20質量%未満の場合には、フィルム強度、透明性、耐熱性が保持されて好ましい。
【0021】
また、ポリエステルフィルムの製造において、少なくとも1種類以上の樹脂ペレットの極限粘度は、0.60~1.0dl/gの範囲が好ましい。極限粘度が0.60dl/g以上であると、得られたフィルムの耐衝撃性が向上し、外部衝撃による内部回路の断線が発生しづらく好ましい。また、繰り返し屈曲された場合の変形の小ささにも寄与し好ましい。一方、極限粘度が1.00dl/g以下であると、溶融流体の濾圧上昇が大きくなり過ぎることなく、フィルム製造を安定的に操業し易く好ましい。
【0022】
フィルムが単層構成、積層構成であることに関わらず、フィルムの極限粘度は、0.60dl/g以上であることが好ましい。0.62dl/g以上であることがより好ましい。さらに好ましくは0.68dl/g以上である。0.60dl/g以上あれば、疲労耐性を付与することができ十分に耐屈曲性の効果が得られる。一方、極限粘度が1.00dl/g以下であるフィルムは、操業性よく製造でき好ましい。
【0023】
ポリエステルフィルムの厚みは、10~75μmであることが好ましく、25~75μmであることがさらに好ましい。厚みが10μm以上であると鉛筆硬度向上効果が見られ、厚みが75μm以下であると軽量化に有利である他、可撓性、加工性やハンドリング性などに優れる。
【0024】
本発明のポリエステルフィルムの表面は、平滑であっても凹凸を有していても良いが、ディスプレイの表面カバー用途に用いられることから、凹凸由来の光学特性低下は好ましくない。ヘイズとしては、3%以下が好ましく、2%以下がさらに好ましく、1%以下が最も好ましい。ヘイズが3%以下であれば、画像の視認性を向上させることができる。ヘイズの下限は小さいほどよいが、0.1%以上でも構わず、0.3%以上でも構わない。
【0025】
前記のようにヘイズを低下させる目的からはあまりフィルム表面の凹凸は大きくない方がよいが、ハンドリング製の観点から程度な滑り性を与えるために、凹凸を形成する方法としては、表層のポリエステル樹脂層にフィラーを配合したり、フィラー入りのコート層を製膜途中でコーティングすることで形成することができる。
【0026】
基材フィルムに粒子を配合する方法としては、公知の方法を採用し得る。例えば、ポリエステルを製造する任意の段階において添加することができるが、好ましくはエステル化の段階、またはエステル交換反応終了後、重縮合反応開始前の段階で、エチレングリコールなどに分散させたスラリーとして添加し、重縮合反応を進めてもよい。また、ベント付き混練押出機を用い、エチレングリコールまたは水などに分散させた粒子のスラリーとポリエステル原料とをブレンドする方法、または混練押出機を用い、乾燥させた粒子とポリエステル原料とをブレンドする方法などによって行うことができる。
【0027】
なかでも、ポリエステル原料の一部となるモノマー液中に凝集体無機粒子を均質分散させた後、濾過したものを、エステル化反応前、エステル化反応中またはエステル化反応後のポリエステル原料の残部に添加する方法が好ましい。この方法によると、モノマー液が低粘度であるので、粒子の均質分散やスラリーの高精度な濾過が容易に行えると共に、原料の残部に添加する際に、粒子の分散性が良好で、新たな凝集体も発生しにくい。かかる観点より、特に、エステル化反応前の低温状態の原料の残部に添加することが好ましい。
【0028】
また、予め粒子を含有するポリエステルを得た後、そのペレットと粒子を含有しないペレットとを混練押出しなどする方法(マスターバッチ法)により、さらにフィルム表面の突起数を少なくすることができる。
【0029】
また、ポリエステルフィルムは、全光線透過率の好ましい範囲を維持する範囲内で、各種の添加剤を含有していてもよい。添加剤としては、例えば、帯電防止剤、UV吸収剤、安定剤が挙げられる。
【0030】
ポリエステルフィルムの全光線透過率は、85%以上が好ましく、87%以上がさらに好ましい。85%以上の透過率があれば、視認性を十分に確保することができる。ポリエステルフィルムの全光線透過率は高いほどよいと言えるが、99%以下でも構わず、97%以下でも構わない。
【0031】
本発明のポリエステルフィルムの表面に、ハードコート層などを形成する樹脂との密着性を向上させるための処理を行うことができる。
【0032】
表面処理による方法としては、例えば、サンドブラスト処理、溶剤処理等による凹凸化処理や、コロナ放電処理、電子線照射処理、プラズマ処理、オゾン・紫外線照射処理、火炎処理、クロム酸処理、熱風処理等の酸化処理等が挙げられ、特に限定なく使用できる。
【0033】
また、易接着層などの接着向上層により、密着性を向上させることもできる。易接着層としては、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエーテル樹脂など特に限定なく使用でき、一般的なコーティング手法、好ましくはいわゆるインラインコート処方により形成できる。
【0034】
上述のポリエステルフィルムは、例えば、ポリエステル原料の一部となるモノマー液中に無機粒子を均質分散させて濾過した後、ポリエステル原料の残部に添加してポリエステルの重合を行う重合工程と、そのポリエステルをフィルターを介してシート状に溶融押し出し、これを冷却後、延伸して、基材フィルムを形成するフィルム形成工程を経て、製造することができる。
【0035】
次に、2軸延伸ポリエステルフィルムの製造方法について、ポリエチレンテレフタレート(以下、PETと記す)のペレットを基材フィルムの原料とした例について詳しく説明するが、これらに限定されるものではない。また、単層構成、多層構成など層数を限定す
るものではない。
【0036】
PETのペレットを所定の割合で混合、乾燥した後、公知の溶融積層用押出機に供給し、スリット状のダイからシート状に押し出し、キャスティングロール上で冷却固化させて、未延伸フィルムを形成する。単層の場合は1台の押し出し機でよいが、多層構成のフィルムを製造する場合には、2台以上の押出機、2層以上のマニホールドまたは合流ブロック(例えば、角型合流部を有する合流ブロック)を用いて、各最外層を構成する複数のフィルム層を積層し、口金から2層以上のシートを押し出し、キャスティングロールで冷却して未延伸フィルムを形成することができる。
【0037】
この場合、溶融押出しの際、溶融樹脂が約280℃程度に保たれた任意の場所で、樹脂中に含まれる異物を除去するために高精度濾過を行うことが好ましい。溶融樹脂の高精度濾過に用いられる濾材は、特に限定されないが、ステンレス焼結体の濾材は、Si、Ti、Sb、Ge、Cuを主成分とする凝集物および高融点有機物の除去性能に優れるため好ましい。
【0038】
さらに、濾材の濾過粒子サイズ(初期濾過効率95%)は、20μm以下が好ましく、特に15μm以下が好ましい。濾材の濾過粒子サイズ(初期濾過効率95%)が20μmを超えると、20μm以上の大きさの異物が十分除去できない。濾材の濾過粒子サイズ(初期濾過効率95%)が20μm以下の濾材を用いて溶融樹脂の高精度濾過を行うことにより、生産性が低下する場合があるが、粗大粒子による突起の少ないフィルムを得る上で好ましい。
【0039】
また、ポリエステルフィルムの長手方向(機械流れ方向)及び幅方向の少なくともいずれか一方向の0.2%耐力点ひずみは2.6~5.0%であることが好ましく、3.0~5.0%であることが更に好ましい。0.2%耐力点ひずみとは、応力-ひずみ曲線において降伏点が現れても、現れなくても、降伏点の代替として使用する値で、弾性領域の指標として用いることができる。
図3に0.2%耐力点ひずみを求めるための応力-ひずみ曲線の模式図を示す。
図3は降伏点が現れない場合の例である。0.2%耐力点ひずみは、通常の引張試験によって求められる。応力-ひずみ曲線において、応力0MPa,ひずみ0.2%の点Qから、フックの法則が成り立つOAに平行線を引き、応力-ひずみ曲線と交わる点を耐力点Pとし、そこから、縦軸の平行線をおろした時のひずみ軸との交点Hのひずみの値が、0.2%耐力点ひずみである。前記のようにして応力-ひずみ曲線より、0.2%耐力点ひずみを求めることができるが、引張試験機(島津製作所製 AUTOGRAPH AG-X Plus 1kN)により応力-ひずみ曲線を得る場合、その後、島津製作所製オートグラフソフトウェアTRAPEZIUM Xを用いれば、ひずみを0.2%で設定することにより、0.2%耐力点ひずみの算出結果を直接的に得ることができる。
【0040】
0.2%耐力点ひずみが2.6%以上の場合、折りたたみの際に生じるひずみによって、変形が生じづらく好ましい。5.0%以下の場合、良好な耐衝撃性が得られて好ましい。そして、ポリエステルフィルムの屈曲方向の0.2%耐力点ひずみは2.6~5.0%であることが好ましく、3.0~5.0%であることが更に好ましい。ここで、屈曲方向とは、
図2のポリエステルフィルム(符号2)上の符号22に示すように、折りたたみ型ディスプレイの表面保護フィルムの用途において想定される折りたたみ部(符号21)と直交する方向を指している。屈曲方向はフィルムの長手方向、幅方向いずれにも限定されない。
【0041】
0.2%耐力点ひずみは、延伸倍率、延伸温度、熱固定温度、ポリエステル原料などを調整することによって上記範囲内に調整することができる。
【0042】
ポリエステルフィルムの0.2%耐力点ひずみは、延伸倍率を調節することで効果的に調節することができる。未延伸ポリエステルシートを長手方向(機械流れ方向)及び幅方向の少なくともいずれか一方向の延伸倍率を1.0~3.4倍とすることが好ましく、1.0~3.0倍がさらに好ましい。延伸倍率を1.0~3.4倍にすることで0.2%耐力点ひずみを高い上記の範囲に調節することができ、繰り返し折りたたんだ際の変形が少ない。そして、当該延伸方向は前記の屈曲方向であることが好ましい。延伸温度としては、80~130℃が好ましく、90~130℃が更に好ましい。なお延伸時の加熱方法は、熱風加熱方式、ロール加熱方式、赤外加熱方式など従来公知の手段を採用することができる。延伸温度を80~130℃にすることで、上記延伸倍率での延伸による厚みムラを防ぐことができる。
【0043】
折りたたんだ際の屈曲方向と直交する方向(折りたたみ部の方向)の延伸倍率は屈曲方向より大きいことがフィルムの力学的特性から好ましく、屈曲方向と直交する方向の延伸倍率としては2.5~5.0倍を例示できる。延伸倍率を2.5倍以上にすることで安定した生産性が得られ、延伸倍率を5.0倍以下にすることで良好な耐衝撃性が得られる。
【0044】
また、ポリエステルフィルムの結晶化度は35~54%が好ましく、43~54%が更に好ましい。結晶化度を高くすることで0.2%耐力点ひずみと耐衝撃性を向上させることができる。結晶化度を効果的に高めるためには、二軸延伸後に180~250℃の熱処理を施すことが好ましい。180℃以上であれば、効果的に結晶化度を高めることができ、250℃以下であれば、ポリエステルフィルム表面が溶融するおそれがなく、外観が良好に保たれて好ましい。
【0045】
具体的には、例えば、PETのペレットを十分に真空乾燥した後、押出し機に供給し、約280℃でシート状に溶融押し出し、冷却固化させて、未延伸PETシートを形成する。得られた未延伸シートを80~130℃に加熱したロールで長手方向に1.0~3.4倍延伸して、一軸配向PETフィルムを得る。さらに、フィルムの端部をクリップで把持して、80~180℃に加熱された熱風ゾーンに導き、乾燥後、幅方向に2.5~5.0倍に延伸する。引き続き、180~250℃の熱処理ゾーンに導き、1~60秒間の熱処理を行い、結晶配向を完了させる。この熱処理工程中で、必要に応じて、幅方向または長手方向に1~12%の弛緩処理を施しても良い。
【0046】
(ハードコート層)
折りたたみ型ディスプレイの表面に位置させてディスプレイを保護するポリエステルフィルムは、その表面にハードコート層を有していることが好ましい。ハードコート層は、ポリエステルフィルム上のディスプレイ表面側に位置させてディスプレイにおいて用いられることが好ましい。ハードコート層を形成する樹脂としては、アクリル系、シロキサン系、無機ハイブリッド系、ウレタンアクリレート系、ポリエステルアクリレート系、エポキシ系など特に限定なく使用できる。また、2種類以上の材料を混合して用いることもできるし、無機フィラーや有機フィラーなどの粒子を添加することもできる。
【0047】
(膜厚)
ハードコート層の膜厚としては、1~50μmが好ましい。1~40μmがより好ましい。1μmより厚ければ十分に硬化し、良好な鉛筆硬度が得られる。また厚みを50μm以下にすることで、ハードコートの硬化収縮によるカールを抑制し、フィルムのハンドリング性を向上させることができる。更に好ましくは2~25μm、特に好ましくは2~20μm、最も好ましくは3~15μmである。
【0048】
(塗布方法)
ハードコート層の塗布方法としては、マイヤーバー、グラビアコート、ダイコーター、ナイフコーターなど特に限定なく使用でき、粘度、膜厚に応じて適宜選択できる。
【0049】
(硬化条件)
ハードコート層の硬化方法としては、紫外線、電子線などのエネルギー線や、熱による硬化方法など使用できるが、フィルムへのダメージを軽減させるため、紫外線や電子線などによる硬化方法が好ましい。
【0050】
(鉛筆硬度)
ハードコート層の鉛筆硬度としては、B以上が好ましく、H以上が更に好ましく、2H以上が特に好ましい。B以上の鉛筆硬度があれば、容易に傷がつくことはなく、視認性を低下させない。一般にハードコート層の鉛筆硬度は高い方が好ましいが10H以下で構わず、8H以下でも構わず、6H以下でも実用上は問題なく使用できる。
【0051】
(ハードコート層の種類)
本発明におけるハードコート層は、上述のような表面の鉛筆硬度を高めてディスプレイの保護をする目的に使用できるものであれば、他の機能が付加されたものであってもよい。例えば、上記のような一定の鉛筆硬度を有する防眩層、防眩性反射防止層、反射防止層、低反射層および帯電防止層などの機能性が付加されたハードコート層も本発明おいては好ましく適用される。
【実施例0052】
次に、本発明の効果を実施例および比較例を用いて説明する。まず、本発明で使用した特性値の評価方法を下記に示す。
【0053】
(1)0.2%耐力点ひずみ
フィルムを測定方向140mmで幅10mmに短冊形に切り出して試料とし、引張試験機(島津製作所製 AUTOGRAPH AG-X Plus 1kN)により引張速度100mm/分で引張試験を行って応力-ひずみ曲線を得る。その後、島津製作所製オートグラフソフトウェアTRAPEZIUM Xを用い、ひずみ0.2%で設定し、0.2%耐力点ひずみを算出した。
【0054】
(2)極限粘度
フィルムまたはポリエステル樹脂を粉砕して乾燥した後、フェノール/テトラクロロエタン=60/40(質量比)の混合溶媒に溶解した。この溶液に遠心分離処理を施して無機粒子を取り除いた後に、ウベローデ粘度計を用いて、30℃で0.4(g/dl)の濃度の溶液の流下時間及び溶媒のみの流下時間を測定し、それらの時間比率から、Hugginsの式を用い、Hugginsの定数が0.38であると仮定して極限粘度を算出した。積層フィルムの場合は、積層厚みに応じて、フィルムの該当するポリエステル層を削り取ることで、各層単体の極限粘度を評価した。
【0055】
(3)結晶化度
フィルムサンプルの密度を3点測定した。その平均値を結晶化度とした。樹脂成分は完全非晶と完全結晶の混合物であり、その密度が後述のとおりであり、サンプルの密度はサンプルを構成する各成分の質量の総和を各成分の体積の総和で除した値となる、との仮定に基づき、各樹脂の結晶化度(重量比)を推算した。なお、サンプルの密度JISK-7112-1980準拠の方法(密度勾配管法)に従って行った。また、各成分単独の密度は下記の値を用いた(単位:g/cm3)
ポリエチレンテレフタレート樹脂:完全非晶1.34、完全結晶1.46
ポリエチレンナフタレート樹脂:完全非晶1.32、完全結晶1.41
【0056】
(4)耐屈曲性
ポリエステルフィルムを200mm(屈曲方向)×50mm(直行方向)の大きさに切り、測定用サンプルを作成した。厚み5mmのガラス板2枚の端部に各厚みのスペーサーを配置し空間を作り、フィルムをはさみ10秒間保持した。その直後に、フィルムを蛍光灯の光を反射させ、折りたたみ部を観察し、折りたたみ痕が付かなかった間隔を記録した。
○ :折りたたみ痕が付かなかった間隔が6.5mm未満。
△ :折りたたみ痕が付かなかった間隔が6.5mm以上7.0mm未満
× :折りたたみ痕が付かなかった間隔が7.0mm以上。
【0057】
(5)繰り返し耐屈曲性
幅方向50mm×流れ方向100mmの大きさのサンプルを用意する。無負荷U字伸縮試験機(ユアサシステム機器社製、DLDMLH-FS)を用いて、屈曲半径3mmを設定し、1回/秒の速度で、5万回屈曲させた。その際、サンプルは長辺側両端部10mmの位置を固定して、屈曲する部位は50mm×80mmとした。屈曲処理終了後、サンプルの屈曲内側を下にして平面に置き、目視検査を行った。
○:サンプルの変形がないか又は変形があっても、水平に置いた際、浮き上がり最大
高さが3mm未満。
△:サンプルに変形があり、水平に置いた際、浮き上がり最大高さが3mm以上5mm
未満。
×:サンプルに折跡があるか、水平に置いた際、浮き上がり最大高さが5mm以上。
【0058】
(6)鉛筆硬度
作成したハードコート付きポリエステルフィルムをJIS K 5600-5-4:1999に準拠し、荷重750g、速度0.5mm/sで測定した。
【0059】
(ハードコート層形成用の塗布液1)
ハードコート材料(JSR社製、オプスター(登録商標)Z7503、濃度75%)100重量部に、レベリング剤(ビックケミージャパン社製、BYK307、濃度100%)0.1重量部を添加し、メチルエチルケトンで希釈して固形分濃度40重量%のハードコート塗布液1を調製した。
【0060】
(ハードコート層形成用の塗布液2)
ウレタンアクリレート系ハードコート剤(荒川化学工業社製、ビームセット(登録商標)577、固形分濃度100%)95重量部、光重合開始剤(BASFジャパン社製、イルガキュア(登録商標)184、固形分濃度100%)5重量部、レベリング剤(ビックケミージャパン社製、BYK307、固形分濃度100%)0.1重量部を混合し、トルエン/MEK=1/1の溶媒で希釈して、濃度40%の塗布液2を調製した。
【0061】
(ポリエチレンテレフタレートペレットAの調製)
エステル化反応装置として、攪拌装置、分縮器、原料仕込口および生成物取り出し口を有する3段の完全混合槽よりなる連続エステル化反応装置を用い、TPAを2トン/hrとし、EGをTPA1モルに対して2モルとし、三酸化アンチモンを生成PETに対してSb原子が160ppmとなる量とし、これらのスラリーをエステル化反応装置の第1エステル化反応缶に連続供給し、常圧にて平均滞留時間4時間で、255℃で反応させた。次いで、上記第1エステル化反応缶内の反応生成物を連続的に系外に取り出して第2エステル化反応缶に供給し、第2エステル化反応缶内に第1エステル化反応缶から留去されるEGを生成ポリマー(生成PET)に対し8質量%供給し、さらに、生成PETに対してMg原子が65ppmとなる量の酢酸マグネシウムを含むEG溶液と、生成PETに対してP原子が20ppmのとなる量のTMPAを含むEG溶液を添加し、常圧にて平均滞留時間1.5時間で、260℃で反応させた。次いで、上記第2エステル化反応缶内の反応生成物を連続的に系外に取り出して第3エステル化反応缶に供給し、さらに生成PETに対してP原子が20ppmとなる量のTMPAを含むEG溶液を添加し、常圧にて平均滞留時間0.5時間で、260℃で反応させた。上記第3エステル化反応缶内で生成したエ
ステル化反応生成物を3段の連続重縮合反応装置に連続的に供給して重縮合を行い、さらに、ステンレス焼結体の濾材(公称濾過精度5μm粒子90%カット)で濾過し、極限粘度0.62dl/gのポリエチレンテレフタレートペレットAを得た。
【0062】
(ポリエチレンテレフタレートペレットBの調製)
ポリエチレンテレフタレートペレットAを、回転型真空重合装置を用い、0.5mmHgの減圧下、220℃で時間を変えて固相重合を行い、極限粘度0.72dL/gのポリエチレンテレフタレートペレットBを作成した。
【0063】
(ポリエチレン-2,6-ナフタレートペレットCの調整)
2,6-ナフタレンジカルボン酸ジメチル100部、エチレングリコール60部をエステル交換触媒として酢酸マンガン四水塩0.03部を使用し、常法に従ってエステル交換反応をさせた後、トリエチルホスホノアセテート0.042部を添加し実質的にエステル交換反応を終了させた。ついで、三酸化アンチモン0.024部を添加し、引き続き高温、高真空下で常法にて重合反応を行い、固有粘度0.60dl/gのポリエチレン-2,6-ナフタレート(PEN)を得た。その後、150~160℃で3時間予備乾燥した後、210℃、13kPa、窒素ガス雰囲気下で固相重合を行い、固有粘度が0.72dl/gのポリエチレン-2,6-ナフタレートペレットCを得た。
【0064】
(実施例1)
上記のポリエチレンテレフタレートマスターペレットBを150℃で8時間減圧乾燥(3Torr)した後、押出機に、ポリエチレンテレフタレートのペレットBを押出機にそれぞれ供給し、285℃で融解した。このポリマーを、ステンレス焼結体の濾材(公称濾過精度10μm粒子95%カット)で濾過し、口金よりシート状にして押し出した後、静電印加キャスト法を用いて表面温度30℃のキャスティングドラムに接触させ冷却固化し、未延伸フィルムを作った。この未延伸フィルムを加熱ロールを用いて75℃に均一加熱し、非接触ヒーターで100℃に加熱して3.4倍のロール延伸(縦延伸)を行った。得られた一軸延伸フィルムをテンターに導き、140℃に加熱して4.0倍に横延伸し、幅固定して240℃で5秒間の熱処理を施し、さらに210℃で幅方向に4%緩和させることにより、厚み50μmポリエチレンテレフタレートフィルムを得た。
【0065】
(実施例2~6)
表1に記載した延伸倍率と熱処理温度に変更したこと以外は上記実施例1と同様にしてポリエステルフィルムを得た。
【0066】
(実施例7、8)
表1に記載した厚みに変更したこと以外は、上記実施例1と同様にしてポリエステルフィルムを得た。
【0067】
(実施例9)
表1のようにポリエチレン-2,6-ナフタレートペレットCを用い、温度調整を実施したこと以外は上記実施例1と同様にしてポリエステルフィルムを得た。
【0068】
(実施例10)
ポリエチレンテレフタレートマスターペレットAに変更したこと以外は実施例1と同様にしてポリエステルフィルムを得た。
【0069】
(比較例1)
縦延伸倍率を3.5倍に変更した外は実施例1と同様にして、ポリエステルフィルムを得た。
【0070】
(比較例2、3)
表1の熱固定温度に変更したこと以外は実施例1と同様にしてポリエステルフィルムを得た。
【0071】
上記の実施例1~10及び比較例1~3で得たポリエステルフィルムの一方の面にマイヤーバーを用いて、ハードコート層形成用塗布液1を乾燥後の膜厚が5.0μmになるように塗布し、80℃で1分間乾燥させた後、紫外線を照射し(高圧水銀ランプ、積算光量200mJ/cm2)、ハードコートフィルムを得た。実施例11においては、実施例1で得たポリエステルフィルムについて、乾燥後の膜厚が10.0μmになるように塗布した他は実施例1と同様にしてハードコートフィルムを得た。実施例12においては、実施例1で得たポリエステルフィルムについて、ハードコート層形成用塗布液2を塗布した他
は実施例1と同様にしてハードコートフィルムを得た。
【0072】
それらのハードコートフィルムを、25μm厚の粘着層を介して有機ELモジュールに貼合し、
図1における屈曲半径の相当する半径が3mmの全体の中央部で二つ折りにできるスマートフォンタイプの折りたたみ型ディスプレイを作成した。ハードコートフィルムは折りたたみ部分を介して連続した1枚のディスプレイの表面に配され、ハードコート層をそのディスプレイの表面に位置するように配されている。各実施例のハードコートフィルムを用いたものは、中央部で二つ折りに折りたたんで携帯できるスマートフォンとして動作及び視認性を満足するものであった。一方、各比較例のハードコートフィルムを使用した折りたたみ型ディスプレイは、使用頻度が増えるに従って、ディスプレイの折りたたみ部で画像の歪を生じてきたように感じ、あまり好ましいものではなかった。
【0073】
本発明の折りたたみ型ディスプレイの表面保護フィルム用ポリエステルフィルムやハードコートフィルムを用いた折りたたみ型ディスプレイによれば、量産性を維持しながら、折りたたみ型ディスプレイの表面に位置しているポリエステルフィルムやハードコートフィルムが繰り返し折りたたまれた後の変形を起こさないため、ディスプレイの折りたたみ部分での画像の乱れを生じることがない。本発明のポリエステルフィルムやハードコートフルムを表面保護フィルムとして使用した折りたたみ型ディスプレイを搭載した携帯端末機器は、美しい画像を提供し、機能性に富み、携帯性等の利便性に優れたものである。