(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024161321
(43)【公開日】2024-11-18
(54)【発明の名称】可動式注射針及び偽装痛点針を有する注射器
(51)【国際特許分類】
A61M 5/32 20060101AFI20241111BHJP
A61M 5/28 20060101ALI20241111BHJP
【FI】
A61M5/32 500
A61M5/28 530
A61M5/32 510H
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024062437
(22)【出願日】2024-04-09
(62)【分割の表示】P 2020523215の分割
【原出願日】2019-06-08
(31)【優先権主張番号】P 2018110050
(32)【優先日】2018-06-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】515125908
【氏名又は名称】大山 義夫
(71)【出願人】
【識別番号】500385669
【氏名又は名称】北川 正人
(71)【出願人】
【識別番号】500158340
【氏名又は名称】菅野 博人
(71)【出願人】
【識別番号】518203630
【氏名又は名称】森下 裕道
(74)【代理人】
【識別番号】100234486
【弁理士】
【氏名又は名称】岩永 和久
(72)【発明者】
【氏名】大山 義夫
【テーマコード(参考)】
4C066
【Fターム(参考)】
4C066BB01
4C066CC01
4C066DD08
4C066EE14
4C066FF05
4C066HH13
4C066LL24
4C066NN06
(57)【要約】
【課題】注射針の取り扱いに優れて使用前後の危険性や衛生面での不安を払拭し、使用中でも注射針による侵襲の不安を払拭することができる注射器を提供することにある。
【解決手段】注射筒1と、針付きガスケット2と、ガスケット3が装着されたプランジャー4と、から構成された注射器。注射筒1は容器本体11と保護体12とが一体形成されており、劈開により連結部13から保護体12を分離して使用する。注射針22は容器本体11内に収容されており、使用時にプランジャー4を操作することで注射針22を容器本体11外に露出して皮膚に接種する。この際、容器本体11の先端にある2個の突起部11
C1,11
C2は、皮膚に当接して表皮及び真皮を襲撃しない程度に押圧することで注射針22による痛みとは別の痛みを与え、痛みを偽装して注射針22の痛みを軽減する。使用後は、再び針付きガスケット2を容器本体11内に戻して注射針を収容する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中空円筒状の容器本体と、
前記容器本体の一端側を閉口し、前記容器本体の内外に連なる保護体と、
を有し、
前記保護体は、前記容器本体内に配置される注射針を保護する針穴部が形成されていることを特徴とする注射器。
【請求項2】
前記容器本体の一端側の先端は、先端面から突出した突起部が形成されていることを特徴とする請求項1記載の注射器。
【請求項3】
前記針穴部の底面は、前記容器本体の先端面よりも上方に位置していることを特徴とする請求項1又は2記載の注射器。
【請求項4】
前記保護体は、前記容器本体の先端面から突出した先端部と、前記針穴部が形成されたガスケット受け部と、を有し、
前記先端部及び前記ガスケット受け部と前記容器本体とを連結する連結部が形成された注射器であって、
前記先端部に対して力を加えることで、前記連結部が破損し、前記容器本体と前記保護体とが分離可能であることを特徴とする請求項1から3のいずれか記載の注射器。
【請求項5】
前記ガスケット受け部に、位置決め固定された注射針を有し、前記容器本体の内周面に当接する針付きガスケットが配置されていることを特徴とする請求項4記載の注射器。
【請求項6】
前記針付きガスケットは、前記注射針に薬液を導く導入路を有し、
前記導入路中に薬液との接触面となる隔壁を有することを特徴とする請求項5記載の注射器。
【請求項7】
前記隔壁は、切り込み又はこれを破壊貫通する機構を有することを特徴とする請求項6記載の注射器。
【請求項8】
前記容器本体は、前記一端側よりも上方に位置して内周方向に突出した内壁部を有することを特徴とする請求項1から7のいずれか記載の注射器。
【請求項9】
前記容器本体の内周面に当接するガスケットを先端に有し、前記容器本体の他端側に配置されるプランジャーを有する請求項1から8のいずれか記載の注射器。
【請求項10】
前記ガスケットと前記プランジャーとは連結体によって連結され、
前記連結体は、前記プランジャーの押圧操作に伴い前記ガスケットを移動する一方、
前記プランジャーの引出操作に伴い前記ガスケットから離脱することを特徴とする請求項9記載の注射器。
【請求項11】
前記プランジャーは、押圧方向とは真逆に復元するバネ体を有することを特徴とする請求項9又は10記載の注射器。
【請求項12】
前記針付きガスケットと前記内壁部との間には、前記針付きガスケットの押圧方向とは真逆に復元するバネ体を有することを特徴とする請求項6から8のいずれか記載の注射器。
【請求項13】
前記容器本体に薬液が充填された請求項1から12のいずれか記載の注射器。
【請求項14】
前記プランジャーの後端に麻酔薬を収納する収納部を設けたことを特徴とする請求項9から13のいずれか記載の注射器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、注射針を有する注射器に関し、注射針が可動して露出し及び引き戻しするもの及び並びに注射針とは別の偽装痛点針を有するものに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、医療における医薬品の投与ルートには様々なものがある、広く一般に用いられるものの代表として、経口ルートと注射ルートが挙げられる。
【0003】
経口ルートは、日常の薬物投与において最も汎用されている。医薬品の選択と調剤を間違えなく、加えて摂取するタイミングを間違えなければ、大きなミスを生ずることは少なく、注射ルートに比較すると便利で簡単かつ安全な投与方法といえる。よって、自宅治療において医薬品の経口投与を患者個々に委ねるのが現状となっている。使用される剤形としては錠剤、カプセル剤、散剤などがある。
【0004】
しかし、経口投与において、医薬品は胃・小腸等の消化器官で吸収されることから、この医薬品によって胃腸障害が生じたり、消化管内(特に胃)で医薬品が胃酸等で分解されたりすることがある。また、吸収後の効果発現まで多少の時間を要し、効果発現が不安定となるなどの問題点もある。さらに、消化管の状態で薬物の吸収が異なるという問題点もある。
【0005】
一方、消化管等で分解されてしまう、或いは消化管等で吸収されないというような医薬品の場合、注射ルートは、特に効力を発揮するといえる、詳細には、静脈内・筋肉内・皮下・皮内と幾つかの投与経路があるが、これらを適切に選択することで、医薬品の体内動態を制御できる。
【0006】
すなわち、注射針を用いて直接体内に医薬品を注入することにより、効果の発現が早く安定しているのが特徴である。注射ルートは、直接的に必要な箇所(患部)に医薬品を投与できるため、他の投与方法より効果が出始めるまでの時間が短く、また、吸収過程で濾過されてしまったり、他の物質に変質してしまったり、吸収の過程において解毒作用で分解されてしまったりというような種類でも投与できるため、より確実な方法といえる。
【0007】
このように注射ルートによる投薬方法は経口ルートよりも優れた点を有する。その効力から、注射を医師による医療行為として限定している国(日本など)においても、自己注射を認めている状況にある。利用例として、糖尿病治療のためのインスリン注射、不育症予防のためのヘパリン注射、血友病治療のための血液凝固因子薬自己注射、などがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、注射が十分に普及・活用されているとはいえない。そこには、以下の1~5の問題が内在している。
1.注射針の取り扱いに潜む危険(針刺し事故など)
2.医薬品利用に潜む危険(医薬品の選択及び導入量の間違い)
3.注射器の衛生管理(保管事故や使い回し)
4.注射行為に潜む危険(注射する深さ)
5.注射器使用時の痛み(注射行為の上手い・下手、薬剤の刺激性)
【0010】
上記の幾つかの問題を解決するものとして、針のない無針注射器が考えられたが、高価である、薬液を吐出する際の衝撃音が大きすぎる、高価なインジェクターの使いまわしによる2次感染などの理由で普及できていない。
【0011】
一方、針のある注射器は最も広く普及していて、長い年月に亘り基本構造は変化していない。それだけ、シンプルで安価に作られているといえる。その反面、生体組織の中に中空の針を貫通させるため、この侵襲に対する拒否感や実質的な被害が今でも問題となっている。また、既存の注射器は、完全なバージン性や感染症対策に対処できていないことが今でも問題となっている。
【0012】
本発明はこのような点に鑑みてなされたものであり、その目的は、注射針の取り扱いに優れて使用前後の危険性や衛生面での不安を払拭し、使用中でも注射針による侵襲の不安を払拭することができる注射器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するために、本発明は、以下のものを提供する。
【0014】
(1) 中空円筒状の容器本体と、前記容器本体の一端側を閉口し、前記容器本体の内外に連なる保護体と、を有し、前記保護体は、前記容器本体内に配置される注射針を保護する針穴部が形成されていることを特徴とする注射器。
【0015】
本発明によれば、注射器は、容器本体の一端側を閉口する保護体を有し、容器本体の内外に連なって形成され、注射針を保護する針穴部が形成されていることから、容器本体内の針穴部に注射針が収容されて保護されることとなる。保護体によって容器本体内に注射針が収容されており、一端側を閉口していることから、実施に使用するときまで注射針が外気にさらされることがなく、注射器及び注射針の保管という衛生管理面で優れている。
【0016】
保護体は、容器本体と一体形成されて容易に分離可能にした構成や、容器本体と別に装着された構成(例えば、キャップ)などが採用できる。注射針を容器本体内に収容しておき、保護体と分離しても注射針が容器本体外に露出しないよう、針穴部は容器本体内に形成される。
【0017】
(2) 前記容器本体の一端側の先端は、先端面から突出した突起部が形成されていることを特徴とする注射器。
【0018】
本発明によれば、先端面を皮膚に当接させて接種する際に突起部が皮膚を圧迫して、針刺しの痛みとは別の痛みを与えることができ、注射本来の痛みを感じ難くすることができる。この突起部は、いわゆる偽装痛点針として機能し、注射針を刺す周辺に別の針が刺されるような痛みを偽装している。これにより、痛みの少ない注射を打つスキル(熟練を要する)や下手だと余計な痛みが増すという使用時の痛みの発生の問題を解決することができる。
【0019】
(3) 前記針穴部の底面は、前記容器本体の先端面よりも上方に位置していることを特徴とする注射器。
【0020】
本発明によれば、容器本体の先端面よりも上方に針穴部の底面が位置していることから、使用前は容器本体内に注射針が収容された状態を維持することができ、使用前に皮膚及び皮内を傷つけるといった懸念がなく、注射針の取り扱いに潜む危険を回避することができる。
【0021】
(4) 前記保護体は、前記容器本体の先端面から突出した先端部と、前記針穴部が形成されたガスケット受け部と、を有し、前記先端部及び前記ガスケット受け部と前記容器本体とを連結する連結部が形成された注射器であって、前記先端部に対して力を加えることで、前記連結部が破損し、前記容器本体と前記保護体とが分離可能であることを特徴とする注射器。
【0022】
本発明によれば、中心軸周りに回転させる、あるいは折る動作によって先端部に力を加えることで、連結部が破損し、容器本体と保護体(先端部及びガスケット受け部)とが劈開により分離可能であることから、使用時までは注射針を密封状態に保つことができ、注射器及び注射針の汚染を回避することができ、衛生管理上優れている。また、利用する素材の劈開性を利用することで、その断面は凹凸の無い平坦な断面を形成することができる。これにより、連結部(切断面)を皮膚に強く押し当てても、切断面で皮膚を損傷することなく、安全性を確保できる。
【0023】
(5) 前記ガスケット受け部に、位置決め固定された注射針を有し、前記容器本体の内周面に当接する針付きガスケットが配置されていることを特徴とする注射器。
【0024】
本発明によれば、ガスケット受け部に針付きガスケットが配置されていることから、ガスケット受け部に支持された針付きガスケットは容器本体内に収容された状態である。また、キャップの取り外しや劈開等によって保護部(ガスケット受け部)を取り除いた後でも、針付きガスケットは容器本体の内周面に当接していることから、注射針は依然として容器本体内に収容された状態を維持することができ、使用前に皮膚及び皮内を傷つけるといった懸念がなく、注射針の取り扱いに潜む危険を回避することができる。さらに、注射針が容器本体内に収容された状態であることから、使用前後及び使用中も患者は注射針を見ることがないので、患者に恐怖感を与えるなどの精神的ストレスを軽減することができる。
【0025】
(6) 前記針付きガスケットは、前記注射針に薬液を導く導入路を有し、前記導入路中に薬液との接触面となる隔壁を有することを特徴とする注射器。
【0026】
本発明によれば、導入路を有しており、その導入路中に薬液との接触面となる隔壁を有する針付きガスケットにより、導入路中で薬液が満たされる上流側と薬液がない下流側とに区画することができ、容易に注射針に薬液が流れ込まないようにしている。針付きガスケットは接種直前時に可動するが、この可動に伴って接種前に不必要に薬液が注射針から放出されるのを防ぐためであり、所定の圧力を加えて隔壁を破壊又は貫通した薬液が注射針に流れ込むようにしている。なお、摂取する薬液の粘度が大きく注射針を流れ出る時の圧力損出が大きい場合には、この隔壁は不要となる。
【0027】
(7) 前記隔壁は、切り込み又はこれを破壊貫通する機構を有することを特徴とする注射器。
【0028】
本発明によれば、切り込みを有する隔壁によって、薬液が隔壁を破壊又は貫通する度合いを制御することができる。切り込みの本数、深さ、形状などを薬液の性質(粘度など)に応じて設定するとよい。また、破壊貫通する機構を隔壁に有することでも、その破壊貫通する度合いを制御することができる。
【0029】
(8) 前記容器本体は、前記一端側よりも上方に位置して内周方向に突出した内壁部を有することを特徴とする注射器。
【0030】
本発明によれば、容器本体の一端側よりも上方に位置して内周方向に突出した内壁部を有することから、可動する針付きガスケットは内壁部の下方に移動することができず、針付きガスケットのストッパーとしての機能を果している。これにより、針付きガスケットの可動範囲を規制して、注射針の長さを適切に設計することにより、過度に注射針が皮膚を貫通することを防ぐことができる。すなわち、皮内注射、皮下注射、筋肉注射など、それぞれに適切な深さに注射針を侵入させることができ、注射する場所と深さなど適用部位に応じた注射器の選択に資することができる。
【0031】
(9) 前記容器本体の内周面に当接するガスケットを先端に有し、前記容器本体の他端側に配置されるプランジャーを有する注射器。
【0032】
本発明によれば、容器本体の他端側にプランジャーを配置しており、容器本体はプランジャーと保護体とで両端の閉口状態を保っていて外気との接触を遮断していることから、注射器の衛生管理上優れている。また、プランジャーを引き戻してもガスケットのみが容器本体内に残るため、注射器内に薬液を再注入できないようにでき、注射器の使い回しを防止することができる。
【0033】
(10) 前記ガスケットと前記プランジャーとは連結体によって連結され、前記連結体は、前記プランジャーの押圧操作に伴い前記ガスケットを移動する一方、前記プランジャーの引出操作に伴い前記ガスケットから離脱することを特徴とする注射器。
【0034】
本発明によれば、ガスケットとプランジャーとは連結体によって連結され、連結体は、プランジャーの押圧操作に伴いガスケットを移動することから、プランジャーとガスケットとは連結体を介して押圧されて容器本体下部へ移動する。一方、プランジャーの引出操作に伴いガスケットから離脱することから、プランジャーとガスケットが分離されて、プランジャーだけが容器本体外へ引き出され、ガスケットは容器本体内に留まることとなる。これにより、容器本体内に再度薬液を充填することが出来なくなることから、注射器及び注射針の使い回しを防ぐことができ、衛生管理上優れている。
【0035】
(11) 前記プランジャーは、押圧方向とは真逆に復元するバネ体を有することを特徴とする注射器。
(12) 前記針付きガスケットと前記内壁部との間には、前記針付きガスケットの押圧方向とは真逆に復元するバネ体を有することを特徴とする注射器。
【0036】
本発明によれば、バネ体の復元作用によって押圧されたプランジャー又は針付きガスケットを引き戻すことから、プランジャーの移動に伴って又は直接的に針付きガスケットも吸引されて、容器本体内に引き戻されることになる。この際、注射針も同様に容器本体内に引き戻されることから、使用後の注射針で皮膚及び皮内に傷をつけることがなく、注射針の取り扱いに潜む危険を回避することができる。
【0037】
(13) 前記容器本体に薬液が充填された注射器。
【0038】
本発明によれば、容器本体内に必要な薬液を充填(完全バージン型プレフィルド化)することで、注射する医薬品の選択ミスや接種量の間違いといった問題を回避することができる。さらに、どの医薬品がどの分量で充填されているかといった表示を明確にすると好ましい。また、プランジャーを引き抜くとガスケットと外れる構造にすることで、既に充填された薬液を勝手に入れ替えることが不可能となり、医療現場での事故や間違いを防止するとともに、注射器及び注射針の使いまわしの防止にも資することができる。
【0039】
(14) 前記プランジャーの後端に麻酔薬を収納する収納部を設けたことを特徴とする注射器。
【0040】
本発明によれば、プランジャーの後端に麻酔薬を収納する収納部を設けたことから、接種前に麻酔薬を皮膚に塗布又は添付して、接種時の痛みを緩和することができる。
【発明の効果】
【0041】
本発明の注射器は、従来の注射器に内在する問題点(注射針の取り扱いに潜む危険、注射器に導入する医薬品の取り違え、使用時の痛みの発生)を回避・解決し、衛生管理にも適用部位の選択にも優れた注射器を提供することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【
図1】本発明の実施の形態に係る注射器の分解図である。
【
図2】本発明の実施の形態に係る注射器の組立図である。
【
図3】針付きガスケットの他の例を示す概略図である。
【
図5】バネ体付きプランジャーを用いた注射器の組立図である。
【
図6】本発明の実施の形態に係る別の注射器の分解図である。
【
図7】本発明の実施の形態に係る別の注射器の組立図である。
【
図8】本発明の実施の形態に係る別の注射器の分解図である。
【
図9】本発明の実施の形態に係る別の注射器の組立図である。
【
図10】本発明の実施の形態に係る別の注射器の分解図である。
【
図11】本発明の実施の形態に係る別の注射器の組立図である。
【
図12】麻酔薬を収納する収納部を説明するための図である。
【
図13】注射器の使用方法を説明するための図である。
【
図14】注射器の使用方法を説明するための図である。
【
図15】注射器の使用方法を説明するための図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0043】
以下、本発明の実施の形態について図面に基づいて説明する。
【0044】
(第1の注射器及び注射器の基本構成)
図1(A)は、本発明の実施の形態に係る注射器の分解図、
図1(B)はプランジャー4を上方から見た図であり、
図2は、本発明の実施の形態に係る注射器の組立図である。
図1及び
図2において、注射器は、注射筒1と、針付きガスケット2と、ガスケット3が装着されたプランジャー4と、から構成されている。
【0045】
注射筒1は、中空円筒状の容器本体11と、容器本体11の下端側(一端側)を閉口する保護体12と、が一体形成されている。容器本体11は、上端側側面にリング状の上取手部11aと、中央やや上端側側面にリング状の下取手部11bと、下端側(一端側)に2個の突起部11C1,11C2と、容器本体11の内壁面から中心方向に突出したリング状の内壁部11dと、が形成されている。なお、突起部の個数は、2個に限定されるものではない。1個でも複数個でもよい。また、その形状も円柱や角柱、円錐や角錐など、特に限定されるものではない。表皮に強く押し当てた際に、その表面を損傷しない程度の鋭さ(鈍さ)で、圧迫感と軽度の痛みを感ずるものとする。
【0046】
また、容器本体11と一体形成されている保護体12は、ツマミ部12aと、ガスケット受け部12bと、ガスケット受け部12bに形成された針穴部12cと、が形成されている。さらに、容器本体11と保護体12とを連結するリング状の連結部13が形成されている。保護体12をキャップ型とする場合には、容器本体11の下端(一端)が連結部13として機能し、キャップを回転することで連結部13による連結を解除し、容器本体11と保護体12とを分離することができる。
【0047】
また、容器本体11と保護体12とは、ツマミ部12aに対してねじる・折る等の力を加えることで、連結部13が破損し、分離することができる。なお、容器本体11と保護体12とを一体形成する際、容器本体11の下端面11eと保護体12のツマミ部12aの上端面12dとを相対的に異なる向きに形成して、連結部13を薄く形成することにより、劈開に要する力は少なくて済むとともに、劈開により生じる劈開面(連結部13)は少なくて済む。
【0048】
また、劈開性を有する素材を利用することで、分離した劈開面(連結部13)面は凹凸の無いものとなり、注射針を出す前に注射器1の先端を皮膚に押し付けた際に、連結部13の分離した面によって皮膚を損傷する危険性は無くなる。そのため、注射器1を皮膚に垂直に押し当てる際に、破損して分離された連結部13をしっかり皮膚に押し当てて、その断面が皮膚表面に接するように維持することができ、ひいては注射針22の差し込まれる深さを一定に規定することができる。すなわち、皮下注射、筋肉注射など、注射針22を差し込む深さを所望の深さに規定することが可能となる。逆に、凹凸が激しい連結部13を有する切断面では、注射針22を差し込む深さが一定しなくなり、表皮に損傷を与える様な切断面では理想的な注射は不可能となる。
【0049】
劈開性を有する素材としては、水素、メチル、フッ素等を重合した数平均分子量が1×103~1×106である公知の樹脂組成物により構成される。結晶性が高い素材では破損片が生じやすく、PETなど展性・延性に富む素材では破損せずにバリやささくれが生じやすいという問題がある反面、樹脂組成物では、適切な硬度を有しつつ、きれいな破損が期待でき、しかも破損片が生ずることを防止できる。
【0050】
針付きガスケット2は、ガスケット21と、注射針22と、を有している。ガスケット21は、中空円筒状の上リング部21aと、同じく同軸の中空円筒状の中リング部21bと、同じく同軸の中空円筒状の下リング部21cと、が一体形成されている。
【0051】
上リング部21aは、外周径は容器本体11の内壁径と略同径であって、容器本体11に充填された薬液5の下方への流出を防いでいる。また、上リング部21aの中空部分は薬液5を注射針22に導くための導入路21dが形成されている。この導入路21dは、下流に行くにつれて先端が先細りする形状となっている。中リング部21b及び下リング部21cの中空部分は注射針22を挿入して固定する注射針孔21eが形成され、注射針孔21eに注射針22が挿入される。これら導入路21dと注射針孔21eとは、連通して一体形成されている。
【0052】
なお、下リング21cの外周径は容器本体11の内壁径と略同径であって、上リング部21aと相俟って、容器本体11に充填された薬液5の下方への流出を防いでいる。また、中リング部21bの外周径は上リング部21a及び下リング部21cよりも小さく、容器本体11の内壁径よりも小さくすることによって、針付きガスケット2の可動により生じる摺動摩擦を低減している。
【0053】
ガスケット3は、中空円筒状の上リング部31aと、同じく同軸の中空円筒状の中リング部31bと、同じく同軸の中空円筒状の下リング部31cと、が一体形成されている。上リング部31aは、外周径は容器本体11の内壁径と略同径であって、容器本体11に充填された薬液5の上方への流出或いは注射器を逆さまにしたときの薬液5の下方への流出を防いでいる。また、下リング31cの外周径は容器本体11の内壁径と略同径であって、上リング部31aと相俟って、容器本体11に充填された薬液5の上方への流出或いは注射器を逆さまにしたときの薬液5の下方への流出を防いでいる。中リング部31bの外周径は上リング部31a及び下リング部31cよりも小さく、容器本体11の内壁径よりも小さくすることによって、ガスケット3の可動により生じる摺動摩擦を低減している。
【0054】
ガスケット3の上リング部31a及び中リング部31bには、それぞれ連通する中空部分31d,31eが一体形成されており、中空部分31dは小径で、中空部分31eは大径の領域を有する。すなわち、中空部分に挿入される連結体41cを大径領域で遊びを有して可動とし、プランジャー4の押圧操作に伴いガスケット3を下に移動することができる。
【0055】
一方、プランジャー4の引出操作に伴い連結体41cはガスケット3から離脱することから、プランジャー4とガスケット3とが分離する。プランジャー4とガスケット3の離脱は、プランジャー4に設けられた空気穴43によって助長することができ、空気穴43の作用によってプランジャー4の引出操作に大きな力を必要として連結体41cの連結を解除する。このような基本動作は、
図5以降に示す注射器においても同様である。
【0056】
プランジャー4は、円盤状の取手部41aと、円筒状又は円柱状のプランジャー本体部41bと、が一体形成されており、プランジャー本体部41bの下端には断面T字状の連結体41cが接続されている。連結体41cはガスケット3の上リング部31a及び中リング部31bに挿入されている。
【0057】
ここで、ガスケット3とプランジャー4との嵌合を弱いもの、あるいは嵌合の無い状態にして、プランジャー4がガスケット3から容易に離れてしまい、容器本体11内に取り残されたガスケット3可動できないようにする。これにより針付きガスケット2とガスケット3との間に薬液を再度充填出来ないようにしている。あるいは、ガスケット3とプランジャー4を連結する連結体41cがガスケット3から容易に離れてしまい、容器本体11内に取り残されたガスケット3を可動できないようにしても同様である。
【0058】
このように、注射筒1と、針付きガスケット2と、ガスケット3が装着されたプランジャー4と、から構成される注射器は、次のようにして組立製造された後、使用される。
(1)注射筒1の容器本体11内に開口上端から針付きガスケット2を挿入して、ガスケット受け部12bと当接する。この際、注射針22は針穴部12cに収容される。
(2)注射筒1の容器本体11内に規定量の薬液5が充填された状態で、ガスケット3が装着されたプランジャー4が取り付けられる。
(3)使用時は、ツマミ部12aに対して力を加えることで、連結部13が破損し、容器本体11と保護体12とを分離する。これにより、注射針22は初めて外気に触れることとなる。
(4)取手部41aと上取手部11aとの相対的距離を縮めていくようにプランジャー4を押し下げる操作を行うことで、ガスケット3の移動に伴う薬液5の負荷圧により針付きガスケット2が押し出されていき、注射針22が注射筒1から露出して患者に接種される。なお、針付きガスケット2は、内壁部11dをストッパーとして可動範囲が規制される。
(5)接種後は、注射針22を患者から引き抜いたことを確認して、プランジャー4を引き出す操作を行うことで、ガスケット3の移動に伴う容器本体11内の負荷圧により針付きガスケット2が押し上げられていき、注射針22が注射筒1内に入る。
(6)さらにプランジャー4を引き出す操作を行うと、プランジャー4とガスケット3とを連結している連結体の作用によってプランジャー4とガスケット3が分離され、プランジャー4は容器本体11外に引き出すことができるが、ガスケット3は容器本体11内に残ってしまう。
【0059】
図3は、針付きガスケット2’の他の例を示す概略図であり、(A)は断面図、(B)はA-A断面図である。なお、説明の便宜上、注射針22は図示を省略している。また、第2,第3,第4の注射器においても針付きガスケット2’を用いることとしてもよい。
【0060】
針付きガスケット2’は、中空円筒状の上リング部21aと、同じく同軸の中空円筒状の中リング部21bと、同じく同軸の中空円筒状の下リング部21cと、が一体形成されており、各リング部の外径は針付きガスケット2と同様である。導入路21dは上リング部21a及び中リング部21bの途中に亘って形成され、注射針孔21eは中リング部21bの途中及び下リング部21cに亘って形成されている。
【0061】
上リング部21aには、断面コの字状の薬液留め23が外周壁23bと当接して嵌挿されており、導入路21dを上面円盤23aによって上下に区画している。上面円盤23aは、円の中心に対称な切り込み線23cが形成されており、導入路21d内における上流から下流への薬液の流出を制御している。上面円盤23aは軟質ゴムを素材として、切り込みを有する軟質ゴム膜にある程度の内圧が負荷されるまで薬液5を注射針22まで通さない役割を有する。これは、ガスケット3が前進する際、内包する薬液5の粘度が低いと注射針22の針先が皮膚に刺さる前に薬液5が少量ながら放出される場合があることを防いでいる。
【0062】
図4に示すように、人間の皮膚は、外側から表皮、真皮、皮下組織で構成されており、皮下組織やそれよりさらに奥には筋肉や静脈が位置している。注射針を皮膚に刺して痛さを感じるのは、皮膚面に分布する痛点に注射針が当たるからといわれており、痛点は1cm
2当たり100個~200個分布しているとされている。そのため、痛点を極力避けるような微細な注射針を用いることで、接種時の痛さを和らげることができると考え、その様な極細の注射針を利用する注射器も有るが、いくら細くとも痛点に触れれば痛みを感ずるし、針が刺さった細胞からカリウムイオンやセロトニン、アセチルコリンといった「発痛物質」が出ると、これが知覚神経の末端に届き、痛みを感ずる。そこで、痛みを和らげる確実な手段として局所麻酔の利用を考えるものである。。例えば、リドカインを含有する局所麻酔剤入りのパッチを貼付又はクリーム等を塗布することで注射針の疼痛を緩和することができる。
【0063】
一方、人間は複数の痛みを同時に感じることができないといわれており、注射をされているときに別の痛みがあれば、注射の痛みをごまかすことができるとされている。古典的な例としては、太ももをつねるとか、接種部位をつねっておくとか、接種部位に爪を立てるとかがあり、別の痛みに慣れておくことで、接種時の痛みを軽減することができる。また、痛みを伝える神経は細い神経で、触覚・圧覚というようなものは太い神経が伝えるといわれる。そして、太い神経は細い神経の働きを抑えるという現象がある。擦ったり、押さえると痛みがかなり楽になるということはよく知られており、また、怪我をして痛くてもガーゼを当て包帯を巻くと、痛みが楽になるというのも実際によく経験することである。
【0064】
図4は、突起部の作用を説明するための図である。2個の突起部11
C1,11
C2を皮膚に当接して表皮及び真皮を襲撃しない程度に押圧することで(
図4(B))、突起部11
C1,11
C2による痛みを皮膚に与えている。注射針22による接種中は突起部11
C1,11
C2による別の痛みを与えることによって、別の痛みに慣れさせる。なお、突起部の数は2個に限らず、痛みの程度によって増加することも可能である。また、このような突起部を有する突起体を平坦な注射器下端に装着して使用することも可能である。
【0065】
なお、突起部の数を増やして間欠的又は連続的なリング状の突起部を形成し、皮膚に当接して表皮及び真皮を襲撃しない程度に押圧することで、リング状に押圧された部分を虚血状態にして麻痺させた状態とすることができる。これにより、皮膚への刺激圧によって注射針の痛みをほぼ感じなくなり、接種時の痛みを軽減することができる。
【0066】
図5は、バネ体付きプランジャー4を用いた注射器の組立図であり、バネ体6がプランジャー本体部41bの外周面に配置される。
図5(A)は使用前の状態を示す図であり、バネ体6は伸びている。
図5(B)は使用中の状態を示す図であり、プランジャー4を押し下げる操作を行って注射針22を注射筒1から露出させる状態では、バネ体6は縮んでいる。
図5(C)は使用後の状態を示す図であり、バネ体6は復元して伸びようとしている。バネ体6は、押圧方向とは真逆の復元力を生成する弾性部材であり、アルミ、ステンレス等の金属や樹脂で形成される。このようなバネ体6を有する注射器によって、プランジャー4を引き上げる操作を行うことなく、ガスケット3が復元力によって自動的に移動し、それに伴う容器本体11内の負荷圧により針付きガスケット2が吸引されるように押し上げられていき、注射針22が注射筒1内に入る。
【0067】
また、第2,第3,第4の注射器においても、バネ体6を用いた基本動作は、バネ体6の配置に関わらず、
図5によるものと同様である。
【0068】
(第2の注射器)
図6は、本発明の実施の形態に係る別の注射器の分解図、
図7は、本発明の実施の形態に係る別の注射器の組立図である。
図5の注射器とは、注射筒1、針付きガスケット2、ガスケット3が装着されたプランジャー4は同様である。なお、注射筒1の保護体12のガスケット受け部12bの形状が異なるが、バネ体6をプランジャー受け部12bの外周面に配置する際の利便性によるものである。
【0069】
この注射器によれば、針付きガスケット2の下部にバネ体6が配置されていることから、接種時に針付きガスケット2が押し下げられていくにつれてバネ体6に復元力が発生し、プランジャー4を引き上げる操作を行うことなく、接種後にはバネ体6の復元力によってガスケット2が押し上げられていき、注射針22が注射筒1内に入る。
【0070】
(第3の注射器)
図8は、本発明の実施の形態に係る別の注射器の分解図、
図9は、本発明の実施の形態に係る別の注射器の組立図である。
図5の注射器とは、針付きガスケット2の基本的構成は同様である。
【0071】
図5の注射器と異なり、注射筒1の容器本体11はリング状の上下取手部がない。また、ガスケット3が装着されたプランジャー7は、外壁部71aと、外壁部71aと連動し所定の隙間を持って離間配置されたプランジャー本体部71bと、プランジャー本体部71bの下端には断面T字状の連結体71cが接続されている。プランジャー本体部71bと外壁部71aとの間に形成された隙間にバネ体6が配設され、バネ体6の上端は外壁部71a上面に、バネ体6の下端は容器本体11の開口上端面に位置している。
【0072】
この注射器によれば、プランジャー7を引き上げる操作を行うことなく、ガスケット3がバネ体6による復元力によって自動的に移動し、それに伴う容器本体11内の負荷圧により針付きガスケット2が押し上げられていき、注射針22が注射筒1内に入る。
【0073】
(第4の注射器)
図10は、本発明の実施の形態に係る別の注射器の分解図、
図11は、本発明の実施の形態に係る別の注射器の組立図である。
図5の注射器とは、針付きガスケット2は同様であり、
図6及び
図7の注射器とは、注射筒1の構成は同様であり、
図8及び
図9の注射器とはプランジャー7の構成は同様である。
【0074】
この注射器によれば、針付きガスケット2の下部にバネ体6が配置されていることから、接種時に針付きガスケット2が押し下げられていくにつれてバネ体6に復元力が発生し、プランジャー4を引き上げる操作を行うことなく、接種後にはバネ体6の復元力によってガスケット2が押し上げられていき、注射針22が注射筒1内に入る。
【0075】
(麻酔薬収納部)
図12は、麻酔薬8を収納する収納部42,72を説明するための図であり、プランジャー4の後端に位置する取手部41aの上部又はプランジャー7の後端に位置する外壁部71aの上部に箱型の収納部42,72を設けている。麻酔薬8は密封容器に封入されており、使用時には収納部42,72から容器を取り出して皮膚に塗布して表面麻酔をかける。また、麻酔薬8はパッチ式やクリーム式でもよく、収納部42,72から取り出して貼付又は塗布する。なお、収納部42,72を別途設けなくても、例えば密封容器の底面とプランジャー4,7の後端面とを両面テープで接着するなど、プランジャー4,7の後端面を収納部42,72として機能してもよい。
【0076】
(注射器の使用方法)
図13~
図15を用いて、注射器の使用方法を説明する。
(A)
図13(A)及び
図14(A)は、使用前の状態を示している。
(B)
図13(A)及び
図14(A)は、保護体12を取り外した状態を示している。
(A)から(B)にかけては、プランジャー4の取手部先端に麻酔薬8を収納する収納部42が設けられており、注射器の使用直前に収納部42に孔をあけ、注射針22があたる場所に麻酔薬8を塗布する。
図15(A)はその様子を示しており、表皮及び真皮に存在する自由神経終末に麻酔を与えることで表面麻酔が掛かり、針痛を軽減することができる。
【0077】
(C)
図13(C)及び
図14(C)は、プランジャー4を押し込み、注射針22を露出させた状態を示している。
(B)から(C)にかけては、表面麻酔の後に容器本体11の先端を皮膚に当接することで、先端に位置する突起部11
C1,11
C2が皮膚に浅く食い込み、突起物が刺さった感覚を脳に感じさせる。また、(C)において徐々に針を刺す段階においても、突起物が刺さって痛いと錯覚している中で注射針22を皮膚に刺し込んでいく。
【0078】
(D)
図13(D)及び
図14(D)は、薬液5を皮下組織に注入している状態を示している。
図15(B)はその様子を示しており、表皮(約0.2~0.3mm)及び真皮(約2mm)の下部に位置する皮下組織(皮膚表面から約2.3mm下方)に薬液5を注入する。
【0079】
(E)
図13(E)及び
図14(E)は、全ての薬液5を注入し終えた状態を示している。
ガスケット3及び針付きガスケット2が当接している。
【0080】
(F)
図13(F)及び
図14(F)は、プランジャー4を注射筒1から外した状態を示している。
(E)から(F)にかけては、バネ6の復元力により注射針22を有する針付きガスケット2は引き戻されて本体容器11内へ収納される。
また、プランジャー4を上方に強く引こうとすると、プランジャー4と針付きガスケット3との連結が外れて、針付きガスケット3は注射筒1内に残置されることとなる。
(F)の状態では、ガスケット4と針付きガスケット3との間に薬液を再度注射することにより注射器を再使用することができなくなる。
【産業上の利用可能性】
【0081】
本発明に係る注射器は、誰でも安心安全で簡単に使用できるものとして有用である。
【符号の説明】
【0082】
1 注射筒
2,2’ 針付きガスケット
3 ガスケット(31a:上リング部 31b:中リング部 31c:下リング部 31d,31e:中空部分)
4 プランジャー(41a:取手部 41b:プランジャー本体部 41c:連結体)
5 薬液
6 バネ体
7 プランジャー(71a:外壁部 71b:プランジャー本体部 71c:連結体)
8 麻酔薬
11 容器本体(11a:上取手部 11b:下取手部 11C1,11C2:突起部 11d:内壁部)
12 保護体(12a:ツマミ部 12b:ガスケット受け部 12c:針穴部)
13 連結部
21 ガスケット(21a:上リング部 21b:中リング部 21c:下リング部)
21d 導入路
21e 注射針孔
22 注射針
23 薬液留め(23a:上面円盤 23b:外周壁)
42,72 収納部
43,73 空気孔