(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024161322
(43)【公開日】2024-11-18
(54)【発明の名称】光変調チップおよび波長可変レーザ
(51)【国際特許分類】
H01S 3/13 20060101AFI20241111BHJP
H01S 5/50 20060101ALI20241111BHJP
G02F 1/035 20060101ALI20241111BHJP
【FI】
H01S3/13
H01S5/50 610
H01S5/50 630
G02F1/035
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024073808
(22)【出願日】2024-04-30
(31)【優先権主張番号】202310504506.5
(32)【優先日】2023-05-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】523470821
【氏名又は名称】スーチョウ、リコア、テクノロジーズ、カンパニー、リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SUZHOU LYCORE TECHNOLOGIES CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100217940
【弁理士】
【氏名又は名称】三並 大悟
(74)【代理人】
【識別番号】100220630
【弁理士】
【氏名又は名称】河崎 亮
(72)【発明者】
【氏名】リャン、ハンシアオ
(72)【発明者】
【氏名】ソン、イーピン
(72)【発明者】
【氏名】チョウ、インツォン
(72)【発明者】
【氏名】ウー、ハイツァン
(72)【発明者】
【氏名】マオ、ウェンハオ
(72)【発明者】
【氏名】ソン、シーウェイ
(72)【発明者】
【氏名】スン、ウェイチー
(72)【発明者】
【氏名】ユイ、チンヤン
(72)【発明者】
【氏名】チャン、チョウユイ
【テーマコード(参考)】
2K102
5F172
5F173
【Fターム(参考)】
2K102AA21
2K102BA02
2K102BA16
2K102BB04
2K102BC04
2K102BD01
2K102BD09
2K102CA18
2K102DB08
2K102DD03
2K102DD05
2K102EA02
2K102EA16
2K102EB20
2K102EB28
5F172NN25
5F172NQ24
5F172NQ32
5F172NQ34
5F172NQ47
5F173MF05
5F173MF10
5F173MF28
(57)【要約】 (修正有)
【課題】光変調チップおよび波長可変レーザを提供する。
【解決手段】光変調チップ100は、電気光学効果および標的波長モードに基づいて、そこに入力されたレーザ光の波長を変調するように構成された電気光学位相変調モジュール110と、電気光学位相変調モジュールによって出力されたレーザ光を受け取り、そこに入力されたレーザ光のうち、標的波長モードのレーザ光の少なくとも一部分を反射し、次いで出力し、そこに入力されたレーザ光のうち、標的波長モード外のレーザ光を放散するように構成された通過帯域モジュール120とを含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気光学効果および標的波長モードに基づいて、そこに入力されたレーザ光の波長を変調するように構成された電気光学位相変調モジュールと、
前記電気光学位相変調モジュールによって出力されたレーザ光を受け取り、そこに入力されたレーザ光のうち、前記標的波長モードのレーザ光の少なくとも一部分を反射し、次いで出力し、そこに入力された前記レーザ光のうち、前記標的波長モード外のレーザ光を放散するように構成された通過帯域モジュールと
を備える光変調チップ。
【請求項2】
前記通過帯域モジュールが、変調されることが可能でない動作通過帯域を有する固定通過帯域モジュールとして構成され、または
前記通過帯域モジュールが、電気光学効果に基づいて変調されることが可能である動作通過帯域を有する電気光学通過帯域変調モジュールとして構成される、
請求項1に記載の光変調チップ。
【請求項3】
前記通過帯域モジュールが、通過帯域格子モジュールとして構成される、
請求項2に記載の光変調チップ。
【請求項4】
前記通過帯域モジュールが、分布ブラッグ反射器通過帯域格子モジュールとして構成される、
請求項3に記載の光変調チップ。
【請求項5】
そこに入力されたレーザ光を光学的に増幅するように構成された利得媒体
をさらに備える、請求項2に記載の光変調チップ。
【請求項6】
そこに誘導されたレーザ光のうち、前記標的波長モードのレーザ光を標的モジュールへ反射し、そこに誘導されたレーザ光のうち、前記標的波長モード外のレーザ光を前記標的モジュールの外側へ反射するように構成された反射モジュールをさらに備え、前記標的モジュールが、前記利得媒体または前記電気光学位相変調モジュールである、
請求項5に記載の光変調チップ。
【請求項7】
前記反射モジュールが、前記レーザ光が前記標的モジュールへ反射される、変調されることが可能でない動作波長を有する固定波長反射モジュールとして構成され、または
前記反射モジュールが、前記レーザ光が前記標的モジュールへ反射される、電気光学効果に基づいて変調されることが可能である動作波長を有する電気光学反射変調モジュールとして構成される、
請求項6に記載の光変調チップ。
【請求項8】
前記光変調チップが、順次配置された前記反射モジュール、前記利得媒体、前記電気光学位相変調モジュール、および前記通過帯域モジュールを備え、または
前記光変調チップが、順次配置された前記反射モジュール、前記電気光学位相変調モジュール、前記利得媒体、および前記通過帯域モジュールを備える、
請求項7に記載の光変調チップ。
【請求項9】
前記電気光学位相変調モジュールが、
ストリップ導波路および前記ストリップ導波路に電界を印加するための導波路電極、および/または
リング共振器導波路および前記リング共振器導波路に電界を印加するための導波路電極を備える、請求項1から8のいずれか一項に記載の光変調チップ。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか一項に記載の光変調チップを備える波長可変レーザ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、レーザの技術分野に関し、詳細には、光変調チップおよび波長可変レーザに関する。
【背景技術】
【0002】
波長可変レーザとは、レーザ出力波長を特定の範囲内で連続的に変化させることができるレーザを指す。そのようなレーザは、広範囲の用途を有しており、分光学、光化学、医学、生物学、集積光学、公害監視、半導体材料処理、情報処理、通信などで使用されてよい。
【0003】
波長可変レーザの実装技術は、電流制御技術、温度制御技術、機械制御技術などに分類されうる。電流制御技術に基づく波長可変レーザは、注入電流を変化させることによって波長同調を実現することができ、ナノ秒(ns)レベルの同調速度、比較的広い同調帯域幅、ただし低い出力パワーという特性を有する。そのようなレーザは主に、抽出格子分布ブラッグ反射器(SG-DBR)レーザおよび後方抽出格子反射器付き格子支援同方向結合器(GCSR)レーザを含む。温度制御技術に基づく波長可変レーザは、レーザの活性領域の屈折率を変化させることによってレーザ出力波長を変化させることができ、簡単な技術、ただし遅い速度および狭い波長可変帯域幅(概して、わずか数ナノメートル)という特性を有する。そのようなレーザは主に、分布帰還型(DFB)レーザおよび分布ブラッグ反射器(DBR)レーザを含む。機械制御技術に基づく波長可変レーザは主に、波長選択を実現するために微小電子機械システム(MEMS)技術に基づいており、比較的大きい波長可変帯域幅および比較的高い出力パワーを有する。そのようなレーザは主に、分布帰還型(DFB)レーザ、外部共振器レーザ(ECL)、および垂直共振器面発光レーザ(VCSEL)などを含む。
【0004】
電流制御技術に基づく波長可変レーザの場合、波長可変レーザが増大された変調速度および改善された動作性能を有することをどのように可能にするかが、解決されるべき喫緊の技術的な課題である。
【発明の概要】
【0005】
本開示の実施形態は、波長可変レーザが増大された変調速度および改善された動作性能を有することを可能にするための光変調チップおよび波長可変レーザを提供する。
【0006】
本開示の一態様によれば、電気光学効果および標的波長モードに基づいて、入力されたレーザ光の波長を変調するように構成された電気光学位相変調モジュールと、電気光学位相変調モジュールによって出力されたレーザ光を受け取り、そこに入力されたレーザ光のうち、標的波長モードのレーザ光の少なくとも一部分を反射し、次いで出力し、そこに入力されたレーザ光のうち、標的波長モード外のレーザ光を放散するように構成された通過帯域モジュールとを含む光変調チップが提供される。
【0007】
いくつかの実施形態では、通過帯域モジュールは、変調されることが可能でない動作通過帯域を有する固定通過帯域モジュールとして構成され、または通過帯域モジュールは、電気光学効果に基づいて変調されることが可能である動作通過帯域を有する電気光学通過帯域変調モジュールとして構成される。
【0008】
いくつかの実施形態では、通過帯域モジュールは、通過帯域格子モジュールとして構成される。
【0009】
いくつかの実施形態では、通過帯域モジュールは、分布ブラッグ反射器通過帯域格子モジュールとして構成される。
【0010】
いくつかの実施形態では、光変調チップは、そこに入力されたレーザ光を光学的に増幅するように構成された利得媒体をさらに含む。
【0011】
いくつかの実施形態では、光変調チップは、そこへ誘導されたレーザ光のうち、標的波長モードのレーザ光を標的モジュールへ反射し、そこへ誘導されたレーザ光のうち、標的波長モード外のレーザ光を標的モジュールの外側へ反射するように構成された反射モジュールをさらに含み、標的モジュールは、利得媒体または電気光学位相変調モジュールである。
【0012】
いくつかの実施形態では、反射モジュールは、レーザ光が標的モジュールへ反射される、変調されることが可能でない動作波長を有する固定波長反射モジュールとして構成され、または反射モジュールは、レーザ光が標的モジュールへ反射される、電気光学効果に基づいて変調されることが可能である動作波長を有する電気光学反射変調モジュールとして構成される。
【0013】
いくつかの実施形態では、光変調チップは、順次配置された反射モジュール、利得媒体、電気光学位相変調モジュール、および通過帯域モジュールを含み、または光変調チップは、順次配置された反射モジュール、電気光学位相変調モジュール、利得媒体、および通過帯域モジュールを含む。
【0014】
いくつかの実施形態では、電気光学位相変調モジュールは、ストリップ導波路およびストリップ導波路に電界を印加するための導波路電極、および/またはリング共振器導波路およびリング共振器導波路に電界を印加するための導波路電極を含む。
【0015】
本開示の一態様によれば、前述の態様における光変調チップを含む波長可変レーザが提供される。
【0016】
本開示の1つまたは複数の実施形態によれば、光変調チップは、電気光学位相変調モジュールに基づいて、入力レーザ光の波長を変調し、それにより波長可変レーザがより速い変調速度を有することを可能にし、それによって波長可変レーザの動作性能を著しく改善することができる。
【0017】
本章に記載されている内容は、本開示の実施形態の決定的または重要な特徴を識別することが意図されるものではなく、本開示の範囲を限定するために使用されるものではないことを理解されたい。本開示の他の特徴は、以下の説明によって容易に理解されよう。
【0018】
本開示のさらなる詳細、特徴、および利点は、添付の図面を参照して、例示的な実施形態の以下の説明に開示される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】
図1は、本開示のいくつかの例示的な実施形態による光変調チップの簡略化された構造の概略図である。
【
図2】
図2は、本開示のいくつかの例示的な実施形態による光変調チップの簡略化された構造の概略図である。
【
図3】
図3は、本開示のいくつかの例示的な実施形態による光変調チップの簡略化された構造の概略図である。
【
図4】
図4は、本開示のいくつかの例示的な実施形態による光変調チップの簡略化された構造の概略図である。
【
図5】
図5は、本開示のいくつかの例示的な実施形態による光変調チップの簡略化された構造の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
いくつかの例示的な実施形態についてのみ、以下で簡単に記載される。当業者であれば理解されうるように、記載される実施形態は、本開示の精神または範囲から逸脱することなく、様々な形で修正されてよい。それに応じて、添付の図面および説明は、本質的に制限ではなく例示であると見なされる。
【0021】
ほとんどの波長可変レーザは、単一波長モードのレーザ光を出力することが必要とされるが、固定共振器長を有するレーザは、複数の波長モードを有することができる。レーザの共振器長が有効波長の整数倍に等しいとき、このモードは、有効波長の整数倍である波長に対して安定した状態で維持されうる。通常、波長可変レーザの構造を設計するとき、波長可変レーザの構造は概して、標的波長モードのレーザ光に基づいて設計され、最小損失を有するように設計されており、次いで単一波長モードのレーザ光を出力するという目的を実現するために、標的波長モードのレーザ光は光学的に増幅され、他の波長モードのレーザ光は除去される。
【0022】
関連技術では、波長可変レーザによるレーザ光の同調は、ほとんどの場合、熱光学効果に基づいて、反射領域および伝送領域の通過帯域を変調することによって実現され、変調速度は理想的でない。
【0023】
本開示の実施形態は、波長可変レーザが増大された変調速度および改善された動作性能を有することを可能にするための光変調チップおよび波長可変レーザを提供する。
【0024】
図1に示されているように、本開示のいくつかの実施形態では、光変調チップ100が、電気光学位相変調モジュール110および通過帯域モジュール120を含み、電気光学位相変調モジュール110は、電気光学効果および標的波長モード(λ0など)に基づいて、そこに入力されたレーザ光の波長を変調するように構成され、通過帯域モジュール120は、電気光学位相変調モジュール110によって出力されたレーザ光を受け取り、そこに入力されたレーザ光のうち、標的波長モードのレーザ光の少なくとも一部分を反射し、次いで出力し、そこに入力されたレーザ光のうち、標的波長モード外のレーザ光を放散するように構成される。
【0025】
たとえば、
図1に示されているように、利得媒体130を通って光変調チップ100に入力されるレーザ光の波長は、λ0、λ1、およびλ2などの様々なモードを含むことができ、標的波長モードはλ0であり、通過帯域モジュール120の反射比がr(rは1より小さい)であると仮定すると、通過帯域モジュール120は、rの反射比で、λ0の波長モードを有する光を連続的に反射するはずであり、したがって光は増幅のために利得媒体130に入り、この光のうち、λ0の波長モードを有するわずかな部分が出力され、λ1およびλ2の波長モードを有する光は、通過帯域モジュール120によって放散される。
【0026】
電気光学位相変調モジュール110は、電気光学材料の電気光学効果に基づいて作製される。電気光学効果とは、ニオブ酸リチウム結晶、ヒ化ガリウム結晶、またはタンタル酸リチウム結晶などの電気光学材料に電圧が印加されたとき、電気光学材料の屈折率が変動し、電気光学材料を通過する光波の特性の変化をもたらすことを意味する。電気光学効果の使用は、光信号の位相、振幅、強度、および偏光状態などのパラメータの変調を可能にする。
【0027】
関連技術と比べて、本開示の実施形態による光変調チップ100は、電気光学位相変調モジュール110に基づいて、入力レーザ光の波長を変調し、それにより波長可変レーザがより速い変調速度を有することを可能にし、それによって波長可変レーザの動作性能を著しく改善することができる。
【0028】
本開示のいくつかの実施形態では、電気光学位相変調モジュール110は、ストリップ導波路11、およびストリップ導波路11に電界を印加するための導波路電極13を含む。加えて、電気光学位相変調モジュール110は、リング共振器導波路12、およびリング共振器導波路12に電界を印加するための導波路電極13をさらに含むことができる(
図5参照)。
【0029】
ストリップ導波路11は、簡単な構造を有しており、たとえばストリップ・リッジ導波路が使用されてもよい。リング共振器は進行波共振空洞であり、レーザ光は、共振空洞内を進行波モードで伝播し、したがって線形共振器で一般的な空間ホール・バーニング効果が克服されることが可能であり、出力パワーは高い。リング共振器は、特有の波長モードになるように設計され、特有の波長モードのレーザ光のみが、リング共振器を通って出力されることが可能であり、導波路電極13によって電気光学材料の導波路に電界を印加することによって、変調によって対応する波長モードが得られることが可能である。
【0030】
本開示の実施形態では、通過帯域モジュール120は、変調されることが可能でない動作通過帯域を有する固定通過帯域モジュールとして構成されても、電気光学効果に基づいて変調されることが可能である動作通過帯域を有する電気光学通過帯域変調モジュールとして構成されてもよい。通過帯域モジュール120が電気光学通過帯域変調モジュールであるとき、電気光学通過帯域変調モジュールは、電気光学材料の電気光学効果に基づいて作製され、その動作通過帯域は、通過帯域電極21の制御下で調整されてよい。
【0031】
本開示の実施形態では、通過帯域モジュール120は、通過帯域格子モジュールとして構成されてよく、たとえば分布ブラッグ反射器DBR通過帯域格子モジュールであってよい。DBRは、異なる屈折率を有する2つの交互に配置された材料から構成された周期的な構造であり、各材料層は、中心反射波長の1/4の光学的厚さを有する。エネルギー・ギャップ内の周波数を有する電磁波が伝送されることは可能でないため、DBRの反射率は99%以上に到達することができる。さらに、金属鏡における吸収の問題は存在せず、エネルギー・ギャップの位置は、材料の屈折率または厚さを変化させることによって調整されてよい。
【0032】
本開示のいくつかの実施形態では、
図1に示されているように、利得媒体130は、光変調チップ100内に含まれなくてもよく、光変調チップ100の入力端が、利得媒体130に光学的に結合される。利得媒体130は、そこに入力されたレーザ光を光学的に増幅するように構成される。レーザ物理学において、利得媒体とは、光パワー(概して、ビームの形態)を増幅することができる媒体を指す。
【0033】
図2に示されているように、いくつかの実施形態では、利得媒体130はまた、光変調チップ100の構造内に含まれてもよく、すなわち利得媒体130が光変調チップ100の構造内に一体化される。
【0034】
図2に示されているように、本開示のいくつかの実施形態では、光変調チップ100は、反射モジュール140をさらに含み、反射モジュール140は、そこへ誘導されたレーザ光のうち、標的波長モードのレーザ光を標的モジュールへ反射し、そこへ誘導されたレーザ光のうち、標的波長モード外のレーザ光を標的モジュールの外側へ反射するように構成され、標的モジュールは、利得媒体130または電気光学位相変調モジュール110である。
【0035】
反射モジュール140は、そこへ誘導されたレーザ光を反射および除去するために使用されてよく、したがって反射モジュールの動作波長に対応するレーザ光(すなわち、標的波長モード)は、標的モジュールへ反射されてよく、反射モジュールの動作波長に対応しないレーザ光(すなわち、標的波長モード外)は、反射されて漏出されてよい。いくつかの実施形態では、反射モジュール140は、全反射鏡41を含む。
【0036】
図2に示されているように、いくつかの実施形態では、反射モジュール140は、レーザ光が標的モジュールへ反射される、変調されることが可能でない動作波長を有する固定波長反射モジュールとして構成される。
【0037】
図3に示されているように、本開示のいくつかの他の実施形態では、反射モジュール140は、電気光学材料の電気光学効果に基づいて作製され、レーザ光が標的モジュールへ反射される、電気光学効果に基づいて変調されることが可能である動作波長を有する電気光学反射変調モジュールとして構成される。
【0038】
図1に示されているように、いくつかの実施形態では、光変調チップ100は、電気光学位相変調モジュール110および通過帯域モジュール120を含み、通過帯域モジュール120は電気光学通過帯域変調モジュールである。電気光学位相変調モジュール110は、ストリップ導波路11を有するように設計される。
【0039】
図2に示されているように、いくつかの実施形態では、光変調チップ100は、順次配置された反射モジュール140、利得媒体130、電気光学位相変調モジュール110、および通過帯域モジュール120を含み、反射モジュール140は固定波長反射モジュールであり、通過帯域モジュール120は電気光学通過帯域変調モジュールである。電気光学位相変調モジュール110は、ストリップ導波路11を有するように設計される。この実施形態では、反射モジュール140は、全反射鏡41と、入力レーザ光が2つに分割され、次いで全反射鏡41に入ることを可能にするように構成された光パワー分配要素42とを含む。
【0040】
図3に示されているように、いくつかの実施形態では、光変調チップ100は、順次配置された反射モジュール140、利得媒体130、電気光学位相変調モジュール110、および通過帯域モジュール120を含み、反射モジュール140は電気光学反射変調モジュールであり、通過帯域モジュール120は固定通過帯域モジュールである。電気光学位相変調モジュール110は、ストリップ導波路11を有するように設計される。
【0041】
図4に示されているように、いくつかの実施形態では、光変調チップ100は、順次配置された反射モジュール140、電気光学位相変調モジュール110、利得媒体130、および通過帯域モジュール120を含み、反射モジュール140は電気光学反射変調モジュールであり、通過帯域モジュール120は固定通過帯域モジュールである。電気光学位相変調モジュール110は、ストリップ導波路11を含む。
【0042】
図5に示されているように、いくつかの実施形態では、光変調チップ100は、順次配置された反射モジュール140、電気光学位相変調モジュール110、利得媒体130、および通過帯域モジュール120を含み、反射モジュール140は電気光学反射変調モジュールであり、通過帯域モジュール120は固定通過帯域モジュールである。電気光学位相変調モジュール110は、ストリップ導波路11およびリング共振器導波路12を含む。
【0043】
図5に示されている実施形態では、電気光学反射変調モジュールは、2つの方向性結合器44を含むことができ、したがって標的波長モードのレーザ光は、電気光学位相変調モジュール110へ放出され、他の波長モードのレーザ光は、開ポート43から漏出する。方向性結合器は、マイクロ波システム内で広く使用されているマイクロ波デバイスであり、本質的に特定の割合に従ってマイクロ波信号のパワー分配を実行する。
【0044】
本開示における光変調チップの構造は、上記の実施形態の構造に限定されるものではないことに留意されたい。本開示のいくつかの実施形態では、たとえば光変調チップはまた、熱位相変調モジュールを含むことができ、したがって波長可変レーザは、より広範囲の変調を有することができ、電気光学位相変調モジュールは熱位相変調モジュールと協働し、それにより波長可変レーザがより速い変調速度をさらに有することを可能にする。
【0045】
本開示の一実施形態はまた、上記の実施形態のいずれかの光変調チップ100を含む波長可変レーザを提供する。波長可変レーザは、比較的速い変調速度およびより良好な動作性能を有する。特有のタイプの波長可変レーザに限定されるものではなく、たとえば波長可変レーザは、DFBレーザまたはDBRレーザであってよい。
【0046】
この説明において、「中心」、「長手」、「横断」、「長さ」、「幅」、「厚さ」、「上部」、「下部」、「前部」、「後部」、「左」、「右」、「垂直」、「水平」、「頂部」、「底部」、「内側」、「外側」、「時計回り」、「反時計回り」、「軸方向」、「径方向」、および「円周方向」などの用語によって示される向きもしくは位置関係または寸法は、添付の図面に基づいて示されている向きもしくは位置関係または寸法であり、これらの用語は、説明を容易にするためにのみ使用されており、参照されるデバイスまたは要素が特定の向きを有しなければならないこと、特定の向きで構築されて動作させられなければならないことを指示または示唆するものではなく、したがって本開示の保護範囲を限定すると解釈されるべきではないことを理解されたい。
【0047】
加えて、「第1」、「第2」、および「第3」などの用語は、説明のみを目的とし、相対的な重要性を指示もしくは示唆する、または示されている技術的特徴の数を暗示すると解釈されるべきではない。したがって、「第1」、「第2」、および「第3」によって定義される特徴は、1つまたは複数の特徴を明示的または暗示的に含むことができる。本開示の説明において、「複数」という用語は、別途明示的かつ具体的に定義されない限り、2つ以上を意味する。
【0048】
本開示において、別途明白に記載または定義されない限り、「取り付ける」、「接続」、「接続される」、および「固定する」などの用語は、広く解釈されるべきであり、たとえばこれらの用語は、固定された接続、取外し可能な接続、もしくは一体化された接続であってよく、機械的接続もしくは電気的接続もしくは通信であってよく、直接接続もしくは中間媒体による間接接続であってよく、または2つの要素間の内部通信、もしくは2つの要素間の相互作用であってよい。当業者であれば、特有の状況に従って、本開示における上記の用語の特有の意味が理解されよう。
【0049】
本開示において、明白に記載または定義されない限り、第1の特徴が第2の特徴より「上(above)」または「下(below)」にあるという表現は、第1の特徴が第2の特徴に直接接触する場合、または第1の特徴および第2の特徴が直接接触しておらず、これらの特徴間の別の特徴を介して接触される場合を含むことができる。さらに、第1の特徴が第2の特徴の「の上」、「の上方」、または「上」にあるということは、第1の特徴が第2の特徴の真上もしくは斜め上にある場合を含み、または単に、第1の特徴が第2の特徴より高いレベルにあることを示す。第1の特徴が第2の特徴の「の下方」、「の下」、または「下」にあるということは、第1の特徴が第2の特徴の真下もしくは斜め下にある事例を含み、または単に、第1の特徴が第2の特徴より低いレベルにあることを示す。
【0050】
この説明は、本開示を実装するために使用されてよい多くの異なる実装形態または例を提供する。これらの異なる実装形態または例は純粋に例示であり、いかなる方法でも本開示の保護範囲を限定することが意図されるものではないことを理解されたい。本開示の説明の開示に基づいて、当業者であれば様々な変更または置換えを考案することが可能であろう。これらの変更または置換えはすべて、本開示の保護範囲に入るものとする。したがって、本開示の保護範囲は、特許請求の範囲の保護範囲に準拠するものとする。
【符号の説明】
【0051】
100 光変調チップ
110 電気光学位相変調モジュール
120 通過帯域モジュール
130 利得媒体
140 反射モジュール
11 ストリップ導波路
12 リング共振器導波路
13 導波路電極
21 通過帯域電極
41 全反射鏡
42 光パワー分配要素
43 開ポート
44 方向性結合器
【手続補正書】
【提出日】2024-05-01
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気光学効果および標的波長モードに基づいて、そこに入力されたレーザ光の波長を変調するように構成された電気光学位相変調モジュールと、
前記電気光学位相変調モジュールによって出力されたレーザ光を受け取り、そこに入力されたレーザ光のうち、前記標的波長モードのレーザ光の少なくとも一部分を反射し、次いで出力し、そこに入力された前記レーザ光のうち、前記標的波長モード外のレーザ光を放散するように構成された通過帯域モジュールと
を備える光変調チップ。
【請求項2】
前記通過帯域モジュールが、変調されることが可能でない動作通過帯域を有する固定通過帯域モジュールとして構成され、または
前記通過帯域モジュールが、電気光学効果に基づいて変調されることが可能である動作通過帯域を有する電気光学通過帯域変調モジュールとして構成される、
請求項1に記載の光変調チップ。
【請求項3】
前記通過帯域モジュールが、通過帯域格子モジュールとして構成される、
請求項2に記載の光変調チップ。
【請求項4】
前記通過帯域モジュールが、分布ブラッグ反射器通過帯域格子モジュールとして構成される、
請求項3に記載の光変調チップ。
【請求項5】
そこに入力されたレーザ光を光学的に増幅するように構成された利得媒体
をさらに備える、請求項2に記載の光変調チップ。
【請求項6】
そこに誘導されたレーザ光のうち、前記標的波長モードのレーザ光を標的モジュールへ反射し、そこに誘導されたレーザ光のうち、前記標的波長モード外のレーザ光を前記標的モジュールの外側へ反射するように構成された反射モジュールをさらに備え、前記標的モジュールが、前記利得媒体または前記電気光学位相変調モジュールである、
請求項5に記載の光変調チップ。
【請求項7】
前記反射モジュールが、前記レーザ光が前記標的モジュールへ反射される、変調されることが可能でない動作波長を有する固定波長反射モジュールとして構成され、または
前記反射モジュールが、前記レーザ光が前記標的モジュールへ反射される、電気光学効果に基づいて変調されることが可能である動作波長を有する電気光学反射変調モジュールとして構成される、
請求項6に記載の光変調チップ。
【請求項8】
前記光変調チップが、順次配置された前記反射モジュール、前記利得媒体、前記電気光学位相変調モジュール、および前記通過帯域モジュールを備え、または
前記光変調チップが、順次配置された前記反射モジュール、前記電気光学位相変調モジュール、前記利得媒体、および前記通過帯域モジュールを備える、
請求項7に記載の光変調チップ。
【請求項9】
前記電気光学位相変調モジュールが、
ストリップ導波路および前記ストリップ導波路に電界を印加するための導波路電極、および/または
リング共振器導波路および前記リング共振器導波路に電界を印加するための導波路電極を備える、請求項1から8のいずれか一項に記載の光変調チップ。
【請求項10】
請求項1から8のいずれか一項に記載の光変調チップを備える波長可変レーザ。
【外国語明細書】