特開 2024-161326 容器

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】公開特許公報(A)

(11)【公開番号】P2024161326

(43)【公開日】2024-11-19

(54)【発明の名称】容器

(51)【国際特許分類】

   B65D 77/06 20060101AFI20241112BHJP

【ＦＩ】

B65D77/06 F

【審査請求】未請求

【請求項の数】6

【出願形態】ＯＬ

(21)【出願番号】P 2021166935

(22)【出願日】2021-10-11

(71)【出願人】

【識別番号】000001959

【氏名又は名称】株式会社 資生堂

(74)【代理人】

【識別番号】100107766

【弁理士】

【氏名又は名称】伊東 忠重

(74)【代理人】

【識別番号】100070150

【弁理士】

【氏名又は名称】伊東 忠彦

(72)【発明者】

【氏名】内山 雄也

【テーマコード（参考）】

3E067

【Ｆターム（参考）】

3E067AA03

3E067AA04

3E067AB01

3E067AB81

3E067AB83

3E067BA03B

3E067BA03C

3E067BB14B

3E067BB14C

3E067BB15B

3E067BB15C

3E067BB16B

3E067BB16C

3E067EB17

(57)【要約】      （修正有）

【課題】回転式の容器において、外容器から内容器を簡便に取り外し交換可能な容器を提供する。
【解決手段】内部に内容物を収容可能で、開口を有する内容器と、内容器を相対的に回転可能に収容する、開口を有する外容器と、内容物を吐出する開口を有し、内容器の開口を覆う天面と、雌螺子を有し、内容器又は外容器の回転により上昇可能なステージと、外周面に前記雌螺子と螺合可能な雄螺子を有し、回転中心軸に直交する一方向の直径が変化可能な円筒状のスライドと、底面と、前記底面から立設される押圧部と、前記底面の両端から立設された係止部とを有する押込部材とを備え、内容器は、下部の外周面に突起を有し、外容器は、突起と係止する弾性部と、底面に押込部材が嵌合する嵌合孔とを有し、スライドは、押圧部と当接する当接面を有し、押込部材が押し込まれることにより、スライドの一方向の直径が小さくなり雄螺子と雌螺子の螺合が解除される、容器。
【選択図】図４

【特許請求の範囲】

【請求項1】

内部に内容物を収容可能で、開口を有する内容器と、
前記内容器を相対的に回転可能に収容する、開口を有する外容器と、
前記内容物を吐出する開口を有し、前記内容器の開口を覆う天面と、
雌螺子を有し、前記内容器又は前記外容器の回転により上昇可能なステージと、
外周面に前記雌螺子と螺合可能な雄螺子を有し、回転中心軸に直交する一方向の直径が変化可能な円筒状のスライドと、
底面と、前記底面から立設される押圧部と、前記底面の両端から立設された係止部とを有する押込部材とを備え、
前記内容器は、下部の外周面に突起を有し、
前記外容器は、前記突起と係止する弾性部と、底面に前記押込部材が嵌合する嵌合孔とを有し、
前記スライドは、前記押圧部と当接する当接面を有し、
前記押込部材が押し込まれることにより、前記スライドの前記一方向の直径が小さくなり前記雄螺子と前記雌螺子の螺合が解除される、容器。

【請求項2】

前記押圧部及び前記当接面は、互いに当接する傾斜面を有し、
前記押圧部及び前記当接面の前記傾斜面は、前記外容器の底面側に向かうに従い前記回転中心軸に近づく方向に傾斜している、請求項１に記載の容器。

【請求項3】

前記スライドは、前記回転中心軸を含む面で２分割された一対の半円筒部材を有し、前記一対の半円筒部材は径方向に移動可能に前記外容器の底面に配置されると共に、互いに離反する方向の付勢力によって常時付勢され、
前記一対の半円筒部材には、それぞれ前記雌螺子と螺合可能な前記雄螺子が形成され、
前記押圧部が押し込まれることにより、前記一対の半円筒部材は、前記付勢力に抗して互いに近接し前記雄螺子は前記雌螺子との螺合が解除される、請求項１又は２に記載の容器。

【請求項4】

前記半円筒部材は、少なくとも、前記一方向の直径と直交する直径方向には、前記雄螺子が形成されていない、請求項３に記載の容器。

【請求項5】

前記雄螺子と前記雌螺子の螺合が解除されると共に、前記弾性部と前記係止部との係止が解除され、前記弾性部と前記突起との係合が解除可能となる、請求項１乃至４のいずれか一項に記載の容器。

【請求項6】

前記雄螺子と前記雌螺子の螺合が解除されると共に前記弾性部と前記突起との係合が解除可能となると、少なくとも、前記内容器と前記ステージは、前記外容器から取り外し可能である、請求項１乃至５のいずれか一項に記載の容器。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本発明は、容器に関する。

【背景技術】

【0002】

従来、中皿の上昇によって内容物を吐出させる回転式の容器が知られている。

【0003】

例えば、特許文献１に、内部に内容物が収容される有底筒状の容器本体と、容器本体の上端開口部を塞ぐ頂壁部と、容器本体に容器軸回りに回転可能に装着された回転操作体と、容器本体内に上下摺動可能に嵌合され、回転操作体の回転に伴って上昇移動する中皿と、を備えた吐出容器が開示されている。この容器によれば、容器本体に対して回転操作体を容器軸回りに回転させることで中皿を上昇移動させることができるので、容器本体の内部に収容されている内容物を押し上げて頂壁部に形成された吐出口から吐出することができる。

【0004】

特許文献１に記載の吐出容器は、内容物を使用した後、使い捨てされるものであり、環境負荷軽減やプラスチック量削減の観点からは好ましくない。そこで、外容器に収容されたレフィル容器のみを廃棄し、新しいレフィル容器に交換することで、外容器を繰り返し使用可能とした容器が知られている。

【0005】

繰り返し使用可能な容器として、例えば、特許文献２に、内容物を収容するための有底略筒状のレフィル容器（内容器）と、このレフィル容器を着脱自在に収容する広口容器（外容器）とを備えた二重容器が開示されている。特許文献２に記載の二重容器は、上記レフィル容器の、上記広口容器内にレフィル容器を収容して両者の係合手段と被係合手段とを係合した状態において、広口容器側の各切欠き部に相対する部分に指をかけて内側に押圧するだけで、上記レフィル容器の周壁の、二つの他の領域がそれぞれ撓んで外側に膨出し、互いに向かい合う二つの領域が互いに接近して、広口容器とレフィル容器との係合が簡単に外れるため、スムーズにレフィル容器を着脱することができるものである。

【0006】

しかしながら、引用文献２の二重容器では、レフィル容器の周壁を撓ませるのに十分な力が必要となり、利便性に欠ける点がある。

【先行技術文献】

【特許文献】

【0007】

【特許文献1】特開２０１２－１１１５２５号公報

【特許文献2】特開２０１６－２２２２７３号公報

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0008】

上記の点に鑑みて、本発明の一態様は、回転式の容器において、外容器から内容器を簡便に取り外し交換可能な容器を提供することを目的とする。

【課題を解決するための手段】

【0009】

本発明の一態様による容器は、内部に内容物を収容可能で、開口を有する内容器と、前記内容器を相対的に回転可能に収容する、開口を有する外容器と、前記内容物を吐出する開口を有し、前記内容器の開口を覆う天面と、雌螺子を有し、前記内容器又は前記外容器の回転により上昇可能なステージと、外周面に前記雌螺子と螺合可能な雄螺子を有し、回転中心軸に直交する一方向の直径が変化可能な円筒状のスライドと、底面と、前記底面から立設される押圧部と、前記底面の両端から立設された係止部とを有する押込部材とを備え、前記内容器は、下部の外周面に突起を有し、前記外容器は、前記突起と係止する弾性部と、底面に前記押込部材が嵌合する嵌合孔とを有し、前記スライドは、前記押圧部と当接する当接面を有し、前記押込部材が押し込まれることにより、前記スライドの前記一方向の直径が小さくなり前記雄螺子と前記雌螺子の螺合が解除される。

【発明の効果】

【0010】

本発明の一態様によれば、回転式の容器において、外容器から内容器を簡便に取り外し交換可能な容器を提供することができる。

【図面の簡単な説明】

【0011】

【図1】第一実施形態による容器の正面図である。

【図2】第一実施形態による容器の平面図である。

【図3】第一実施形態による容器の分解斜視図である。

【図4】図２のＩ－Ｉ断面図である。

【図5】図４のＩＩＩ－ＩＩＩ断面図である。

【図6】図２のＩＩ－ＩＩ断面図である。

【図7A】外容器から内容器を取り外す時の容器の作動を説明する図２のＩ－Ｉ断面図である。

【図7B】外容器から内容器を取り外す時の容器の作動を説明する図２のＩ－Ｉ断面図である。

【図7C】外容器から内容器を取り外す時の容器の作動を説明する図２のＩ－Ｉ断面図である。

【図8】第二実施形態による容器の正面図である。

【図9】第二実施形態による容器の平面図である。

【図10】図９のＩＶ－ＩＶ断面図である。

【図11】第二実施形態によるスライドの正面図である。

【図12】第二実施形態によるスライドの平面図である。

【図13】第二実施形態による押込部材の斜視図である。

【発明を実施するための形態】

【0012】

以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しながら説明する。なお、説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては同一の符号を付して、重複する説明は省略する場合がある。また、図面における各部材の縮尺は実際とは異なる場合がある。なお、本明細書では、回転中心軸１０に直交する方向を径方向、回転中心軸１０に沿う軸線方向において、天面３側を上、外容器２の底面２３側を下とする。

【0013】

＜第一実施形態＞
本発明の第一実施形態による容器について説明する。図１は、第一実施形態による容器の正面図であり、図２は、第一実施形態による容器の平面図であり、図３は、第一実施形態による容器の分解斜視図である。また、図４は、図２のＩ－Ｉ断面図であり、図５は、図４のＩＩＩ－ＩＩＩ断面図であり、図６は、図２のＩＩ－ＩＩ断面図である。

【0014】

図１～図６に示すように、本発明の第一実施形態による容器１００は、レフィル（付替え）容器としての内容器１と、内容器１を収容する外容器２と、内容器１の開口１１を覆う天面３と、スライド５と、ステージ６と、押込部材７とを備える。

【0015】

内容器１は、上部が開口した筒状の容器であって、内容物を収容可能である。本実施形態では、内容物として流動物を吐出させる容器である場合について説明するが、内容物として固形物を吐出させる容器であってもよい。

【0016】

本実施形態による容器１００によって吐出される流動物は、少なくとも吐出時に流動性を示し、容器１００の開口３２から容器１００の外部へと押し出すことができれば限定されない。流動物は、液状物、例えば純物質の液体又は液体混合物であってもよい。さらに、流動物は、例えば、溶液、及びエマルジョン、サスペンション等の分散液等であってもよく、ゲル、スラリー、ペースト、クリーム等と呼ばれる状態のものであってよい。流動物は、粉体を含んでいてよいし、粉体を主として含んでいてもよい。流動物は、上記流動物と、窒素、希ガス、空気等の気体とが混合されて泡状（フォーム状）で内容器１に収容されているものであってもよい。また、流動物は、水と同様の粘度、水より高い粘度を有するペースト状又はクリーム状のものであってよい。

【0017】

流動物は、化粧水、乳液、フェイスクリーム、美容液、洗顔料、クレンジング剤等のスキンケア製品若しくは基礎化粧品、ファンデーション、化粧下地、コンシーラー、リキッドアイシャドー、リキッドチーク、液状リップ製品等のメーキャップ化粧品、日焼け止め剤、ハンドソープ、ボディソープ、ヘアシャンプー、染毛剤、スタイリング剤、ハンドクリーム、ボディクリーム、ボディローション等のパーソナルケア製品（衛生日用品）、フレグランス製品等であってよい。

【0018】

内容物が固形物である場合、固形物は、特に硬度の高いヘアスティック、ヘアワックス、口紅、固形美容液（例えば、スティック美容液と類似した硬度のもの）などの固形化粧料又は半固形化粧料、固形石鹸等であってよい。また、チーズ、バターなどの食品等であってもよい。

【0019】

容器１００を構成する材料は、特に限定されないが、樹脂材料、金属材料、木製品等が挙げられる。樹脂材料としては、例えば、ポリエチレン（ＰＥ）、ポリプロピレン（ＰＰ）、ポリスチレン（ＰＳ）、ポリエチレンテレフタレート（ＰＥＴ）、ポリ塩化ビニル（ＰＶＣ）、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、又はシリコン樹脂等を用いることができる。これらの樹脂は、１種類単独で使用してもよいし、２種類以上を組み合わせて使用してもよい。

【0020】

内容器１は、図４及び図６に示すように、上部に開口１１と、側面である周壁１２とを有し、底には、嵌合孔１３が形成され、嵌合孔１３から上方に向かって、支持筒部１５が立設されている。内容器１の下部（下端部）の外周面には、外容器２と係合する突起１４が設けられている。支持筒部１５の内周面には、図５に示すように、回転中心軸１０方向に延びる複数の凹凸部が周方向に並設されたローレット１５１（突条１５１）が形成されている。ローレット１５１の長さは任意の長さとすることができる。支持筒部１５の内側にステージ６が挿入され、ローレット１５１がステージ６と係合することにより、支持筒部１５は、ステージ６を周方向に回転不能に支持する。なお、ステージ６との係合手段は、ローレット１５１に限らず任意の構成であってよい。

【0021】

外容器２は、図４及び図６に示すように、上部に開口２１を有する有底筒状の容器であって、側面である周壁２２と、底面２３とを有する。図６に示すように、底面２３の中央には、嵌合孔２４が形成され、嵌合孔２４から上方向に向かって、第１環状壁２６が立設され、第１環状壁２６の径方向外側に第２環状壁２７が立設されている。嵌合孔２４には押込部材７が挿入され、第１環状壁２６は押込部材７を摺動可能に保持する。本実施形態では、嵌合孔２４の平面視形状は、略長方形であるが、これに限らず、押込部材７の形状に合わせて任意の形状とすることができる。第２環状壁２７の内周面には、図４に示すように、スライド５と係合する、一対の凸部２８が形成され、凸部２８は、径方向に水平な当接面を有する。第１環状壁２６と第２環状壁２７の間には、スライド５が挿入され、凸部２８とスライド５が係合することにより、外容器２は、スライド５を上下方向に移動不能、且つ径方向（図４の紙面左右方向）に移動可能に保持する。

【0022】

また、外容器２は、図４に示すように、第２環状壁２７の径方向外側に、回転中心軸１０を挟んで一対の弾性部２５を有している。弾性部２５は、上端部に凸部２５１を有し、径方向外側に撓むように弾性変形可能となっている。凸部２５１と内容器１の突起１４が係合することにより、内容器１に上向きの力を加えない限り不用意に内容器１が外容器２から外れることを防止することができる。外容器２の内径は、内容器１の外径とほぼ一致しており、外容器２は、内容器１を相対的に回転可能に収容する。外容器２の上端は、外容器２に内容器１が収容された状態で、内容器１の上端よりも下に位置し、外容器２から内容器１の周壁１２の上部が露出している。これにより、使用者は、一方の手で外容器２を持ち、他方の手で内容器１の周壁１２又は天面３を持ち、内容器１又は外容器２を相対的に回転させることができる。

【0023】

ステージ６は、内容器１又は外容器２の回転により上昇可能であり、ステージ６の上面と内容器１の内面とで内容物を収容する収容部を構成している。ステージ６は、内容器１の内径と同じ外径を有する平面視形状が円形の仕切弁６１と、仕切弁６１を支持し内容器１と共に回転する回転体６２とを有する。仕切弁６１と、回転体６２は、別体で形成されていてよく、一体成形されていてもよい。仕切弁６１は、平坦部６１１と、平坦部６１１から連接され、内容器１の周壁１２の内周面と密着する周壁６１２とを有していてよい。仕切弁６１と内容器１の周壁１２の内周面は、仕切弁６１が周壁１２の内周面に対して静止している状態及び周壁１２の内周面に対して上方向に移動している状態において、内容器１の中に収容される内容物が仕切弁６１の下方に漏洩しないように液密状に接触している。

【0024】

ステージ６の回転体６２は、有頂筒状の形状を有し、側面である周壁６２１の内周面には、スライド５に形成された雄螺子５４と螺合する雌螺子６２２が形成されている。回転体６２の周壁６２１と仕切弁６１の周壁６１２の間には間隙が形成され、間隙に内容器１の支持筒部１５が挿入されて、ステージ６は、内容器１に装着される。また、回転体６２の周壁６２１の外周面には、図３に示すように、回転中心軸１０方向に延びる複数の突条６２４が並設されている。突条６２４が内容器１の支持筒部１５のローレット１５１に係合することにより、ステージ６は、内容器１に対して回転中心軸１０方向に移動可能、且つ回転不能に装着される。これにより、ステージ６は、内容器１に対して回転不能に固定されると共に、外容器２に対して回転可能に固定される。換言すると、ステージ６は、内容器１と一体的に回転する。即ち、ステージ６は、外容器２に対する内容器１の相対的な回転と共に回転することで、雌螺子６２２とスライド５の雄螺子５４とが螺合して連動し、内容器１の内部において上昇可能に配設されている。内容器１との係合手段は、複数の突条６２４とローレット１５１との係合に限らず、キーとキー溝等、内容器１の係合手段に応じて任意の構成とすることができる。また、内容器１が外容器２から取り外される時、ステージ６は、内容器１と一体となって、外容器２から取り外される。

【0025】

スライド５は、全体として円筒状の形状を有し、外周面に、ステージ６の雌螺子６２２と螺合可能な雄螺子５４を有し、回転中心軸１０に直交する一方向の直径（図４における紙面左右方向）が変化可能となっている。具体的には、スライド５は、後述するように、回転中心軸１０に直交する一方向で、２分割された一対の部材が互いに離反又は近接可能となっている。雄螺子５４は、図３に示すように２分割された一対の部材の外周面の全周ではなく、回転中心軸１０を含む面を対称面として、対称な一部の領域に形成されている。換言すると、雄螺子５４は、図５に示すように、一対の部材それぞれにおいて、平面視において回転中心軸１０を中心とする角度Ａの領域に形成されている。角度Ａは、例えば、５°～１００°の範囲の任意の角度とすることができ、例えば、７０°とすることができる。

【0026】

スライド５は、図３に示すように、回転中心軸１０を含む面で２分割された一対の半円筒部材５１、５２と、径方向に伸縮可能なスライド付勢部材５３とを有する。スライド付勢部材５３は、例えば、バネとすることができ、径方向外側に付勢する構成であれば任意の構成とすることができる。この場合、半円筒部材５１、５２それぞれの外周面の一部に雄螺子５４が形成されている。換言すると、半円筒部材５１、５２は、少なくとも、一方向の直径と直交する直径方向には、雄螺子５４が形成されていない。半円筒部材５１、５２は、半円筒部材５１と半円筒部材５２の間にスライド付勢部材５３が保持された状態で、径方向に移動可能に外容器２の底面に配置され、互いに離反する方向の付勢力によって常時付勢されている。これにより、半円筒部材５１、５２は、回転中心軸１０に直交する一方向に、離反可能又は近接可能となっている。離反したときのスライド５の当該一方向の大凡の直径は、通常は、ステージ６の内径と略同一であるが、近接すると、ステージ６の内径よりも小さくなる。半円筒部材５１、５２それぞれの雄螺子５４は、半円筒部材５１、５２が互いに離反する方向に付勢された状態で、ステージ６の雌螺子６２２と螺合可能となっている。半円筒部材５１、５２が付勢力に抗して互いに近づくと、半円筒部材５１、５２それぞれの雄螺子５４が、ステージ６の雌螺子６２２から離隔して、雄螺子５４と雌螺子６２２の螺合が解除される。換言すると、スライド５の一対の半円筒部材５１、５２が互いに近接すると、雄螺子５４が雌螺子６２２から離隔して、雄螺子５４と雌螺子６２２の螺合が解除される。

【0027】

半円筒部材５１は、図４に示すように、径方向に突設されたガイド小片５１１を有し、ガイド小片５１１の端部には、凸部５１２が設けられていてよい。半円筒部材５２も、半円筒部材５１と同様に、径方向に突設されたガイド小片５２１を有し、ガイド小片５２１の端部には、凸部５２２が設けられていてよい。半円筒部材５１のガイド小片５１１は、半円筒部材５２の挿入孔５２３に挿入され、半円筒部材５２のガイド小片５２１は、半円筒部材５１の挿入孔５１３に挿入される。そして、半円筒部材５１の凸部５１２と半円筒部材５２の凸部５２２が係合する。これにより、半円筒部材５１、５２の移動方向及び移動距離を規制することができる。

【0028】

スライド５は、図４に示すように、下端部に少なくとも一対、外容器２の凸部２８と係合する段部５６を有する。段部５６は、径方向に水平な当接面を有する。段部５６と外容器２の凸部２８とは、径方向に水平な互いの当接面で当接し係合するため、段部５６の当接面は、凸部２８の当接面上で径方向に摺動可能となっている。これにより、スライド５は、外容器２に対して上下方向に移動不能、且つ径方向に移動可能に固定されている。

【0029】

また、スライド５は、後述する押込部材７の当接面７２１と当接する、少なくとも一対の当接面５５を有する。当接面５５は、上方が径方向外側に傾いた傾斜面、換言すると、外容器２の底面２３側に向かうに従い回転中心軸１０に近づく方向に傾斜している傾斜面となっている。具体的には、半円筒部材５１、５２のそれぞれに、当接面５５が形成されている。これにより、スライド５の２分割された一対の半円筒部材５１、５２は、押込部材７の当接面７２１に沿って、径方向に移動することができる。

【0030】

押込部材７は、内容器１を他の内容器１に交換するに当たり、外容器２から取り外す時に、使用者によって押込まれる部材である。押込部材７は、底面７１と、底面７１の中央から立設された押圧部７２と、底面７１の両端から立設された係止部７３とを有する。押圧部７２の内周面には、スライド５の当接面５５と当接する当接面７２１が形成され、当接面７２１は、上方が径方向外側に傾いた傾斜面、換言すると、外容器２の底面２３側に向かうに従い回転中心軸１０に近づく方向に傾斜している傾斜面となっている。押圧部７２は、図６に示すように、外容器２の第１環状壁２６の内側に挿入され、外容器２に上下動可能に保持される。押込部材７の底面７１は、押込まれる前の状態（容器が通常、使用されている状態。以下、「通常状態」という。）では、外容器２の底面２３に対して略面一となっている。押込部材７には、押圧部７２の当接面７２１とスライド５の当接面５５が当接するように、スライド５が組付けられる。押込部材７は、通常状態において、傾斜面である当接面７２１で、スライド５から径方向外向きの力の分力としての下向きの力を受ける。押込部材７は、スライド５から当該下向きの力を常に受けるため、底面７１が外容器２の底面２３に対して略面一の状態（押込部材７の作動下限位置）を維持することができる。スライド５から受ける下向きの力を補助するために、押込部材７の押圧部７２内部の底に、上下方向に付勢する付勢部材を設けてもよい。押込部材７が押込まれると、当接面７２１がスライド５の当接面５５に沿って上方に摺動するため、スライド５の当接面５５に径方向内向きの力（スライド５の付勢力に抗する力）がかかり、スライド５の一対の半円筒部材５１、５２は、回転中心軸１０に直交する一方向に互いに近接する。

【0031】

係止部７３は、外容器２の弾性部２５が径方向外側に弾性変形することを規制する部材である。係止部７３は、押込部材７の底面７１から立設された２つの縦部材から延設された上部材７３１を有する。上部材７３１は、外容器２の弾性部２５と外容器２の内周面との間の距離と同じ大きさの厚みを有し、通常状態では、外容器２の弾性部２５及び外容器２の内周面と当接している。これにより、上部材７３１は、弾性部２５が、径方向外側に弾性変形することを抑止している。本実施形態では、係止部７３は、２つの縦部材と、上部材７３１とを有する枠型の構成であるが、これに限らず、例えば、上部に凸部を有する構成であってもよい。また、押込部材７は、外容器２の弾性部２５の下端に当接することにより、上方への移動が規制される。換言すると、弾性部２５の下端の位置が、押込部材７の作動上限となっている。

【0032】

押圧部７２の外周面には、図６に示すように、少なくとも一対の突起７２２が設けられている。突起７２２が、外容器２の第１環状壁２６を乗り越え、第１環状壁２６の上端に係止することにより、押込部材７が外容器２から脱落することを防止することができる。

【0033】

天面３は、内容器１の開口１１を覆う部材であり、内容物を外部に吐出させるための開口３２を有している。天面３は、内容器１に内嵌合させるための内周壁３１を有していてもよく、内容器１に外嵌合させる構成としてもよい。また、開口３２に弁体８が配置されていてもよい。本実施形態においては、弁体８は、ステージ６の上昇に伴って内容器１に収容された内容物の内圧が高まることで上昇し、上昇した弁体８と天面３との間から、内容物が天面３の上面に吐出される。これにより、使用者は、吐出された使用分の内容物にのみ触れることができるので、未使用分の内容物に触れずに使用することができ、内容物を衛生的に保管することができる。内容物が、固形物である場合、弁体８は設けなくてもよく、天面３の構成を固形物に対応した構成とすることができる。

【0034】

容器１００は、図示されていない蓋体を有していてもよい。蓋体は、例えば、ネジ蓋であってよく、外容器２の周壁２２の外周面に形成されている雄螺子と螺合し、内容器１、天面３、及び外容器２の開口２１を覆うように固定されていてもよい。蓋体は、ネジ蓋に限らず、例えば、スナップ式でもよい。

【0035】

次に、内容器１を他の内容器１に交換するに当たり、外容器２から内容器１を取り外す時の容器１００の作動について、図７Ａ～図７Ｃを用いて説明する。図７Ａ～図７Ｃは、外容器２から内容器１を取り外す時の容器の作動を説明する図２のＩ－Ｉ断面図である。

【0036】

図７Ａは、容器１００に収容された内容物を使い切った状態を示す。なお、図４及び図６に示す状態を初期状態とする。まず、図４及び図６に示す初期状態から、内容器１又は外容器２を相対的に回転させると、ステージ６が上昇し、ステージ６の上昇に伴って内容器１に収容された内容物が圧力を受けて上方に押し上げられる。内容物は、弁体８を押し上げ、上昇したとステージ６と天面３の間から、天面３の開口３２を通じて天面３の上面に吐出される。図７Ａは、内容物が開口３２を通じて天面３の上面に吐出され、吐出された内容物が使用された結果、内容器１の内部の内容物がなくなった状態を示している。ステージ６は、内容器１内の上昇端位置（ステージ６の仕切弁６１と天面３が接する位置）に至っている。

【0037】

この状態においては、初期状態と同様に、押込部材７の上部材７３１が、外容器２の弾性部２５及び外容器２の内周面と当接しており、外容器２の弾性部２５が径方向外側に弾性変形することができないため、弾性部２５と内容器１の突起１４の係合が維持されている。よって、初期状態からこの状態において、内容器１は、上方向の力で引っ張られても外容器２から外れないため、内容器１が外容器２から不用意に外れることを防止することができる。また、スライド５の上部の雄螺子５４は、ステージ６の下部の雌螺子６２２と螺合している。この状態から、誤って、更に内容器１又は外容器２が回転されても、スライド５の２分割された一対の半円筒部材５１、５２は近接するため、ステージ６及びスライド５に負荷がかかりにくく、ステージ６及びスライド５が破損することを防止することができる。

【0038】

次に、図７Ａに示す状態で、押込部材７の底面７１が押圧される（上向きの外力Ｆ１がかかる）。

【0039】

図７Ｂは、押込部材７が内容器１の下端と当接する位置まで押込まれた状態を示す。押込部材７の当接面７２１がスライド５の当接面５５に沿って上方に摺動することにより、スライド５の当接面５５に径方向内向きの力（スライド５に付加されている付勢力に抗する力）がかかり、スライド５の半円筒部材５１、５２は互いに近接している。スライド５の一方向の直径（図７Ｂにおける紙面左右方向の長さ）は、半円筒部材５１、５２が近接することにより、ステージ６の内径よりも小さくなり、スライド５の雄螺子５４とステージ６の雌螺子６２２との螺合が解除されている。また、押込部材７の係止部７３の上部材７３１は、上方に移動するため、外容器２の弾性部２５及び外容器２の内周面から離隔し、係止部７３の上部材７３１と外容器２の弾性部２５との係止が解除されている。外容器２の弾性部２５と外容器２の内周面の間の上部材７３１が位置していた場所には、間隙が形成されている。これにより、外容器２の弾性部２５は、径方向外側に作動可能（弾性変形可能）な状態となる。この状態においては、外容器２の弾性部２５の凸部２５１と内容器１の突起１４が係合した状態が維持されているが、内容器１に上向きの外力Ｆ１がかかることにより、弾性部２５の凸部２５１と内容器１の突起１４との係合が解除可能となる。

【0040】

図７Ｂに示す状態で、押込部材７の底面７１が更に押圧される（上向きの外力Ｆ１がかかる）。

【0041】

図７Ｃは、図７Ｂに示す状態から、押込部材７が作動上限位置まで更に押込まれた状態を示す。押込部材７が、図７Ｂに示す状態から、更に押圧されると、内容器１に上向きの外力Ｆ１がかかる。外容器２の弾性部２５は径方向外側に作動可能な状態であるので、内容器１の突起１４は下から弾性部２５の凸部２５１を乗り越えることができ、弾性部２５の凸部２５１と内容器１の突起１４との係合が解除されている。

【0042】

また、押込部材７が、図７Ｂに示す状態から、更に押圧されることにより、押込部材７の当接面７２１が、更にスライド５の当接面５５に沿って上方に摺動する。これにより、スライド５の当接面５５に径方向内向きの力がかかり、スライド５の一対の半円筒部材５１、５２は更に近接する。スライド５の一方向の直径は、ステージ６の内径より更に小さくなり、スライド５の雄螺子５４とステージ６の雌螺子６２２との距離が大きくなっている。この状態において、内容器１を上方に持ち上げると、内容器１を外容器２から取り外すことができる。なお、ステージ６、天面３、弁体８は内容器１と一体となっている。

【0043】

他の内容器１を外容器２に取り付ける際は、内容器１を、外容器２の開口２１に挿入し押し込むことにより、内容器１の突起１４が外容器２の弾性部２５の凸部２５１を乗り越え係合する。押込部材７が作動下限位置に至るまで内容器１を押し込むと、押込部材７の係止部７３の上部材７３１が、外容器２の弾性部２５と外容器２の内周面の間の間隙に挿入され、外容器２の弾性部２５及び外容器２の内周面と当接する。また、押込部材７の当接面７２１がスライド５の当接面５５に沿って下方に摺動することにより、スライド５の当接面５５に付加されていた径方向内向きの力が徐々に解除され、スライド５の半円筒部材５１、５２は互いに離反する。半円筒部材５１、５２が互いに離反することにより、スライド５の一方向の直径は、ステージ６の内径とほぼ同一になり、スライド５の雄螺子５４とステージ６の雌螺子６２２とが螺合し、初期状態となり、内容器１の交換が完了する。

【0044】

以上の構成により、押込部材７を押し込むだけのワンタッチの操作で外容器２から内容器１を簡便に取り外すことができる。よって、内容物を使い切っても、外容器２、スライド５、及び押込部材７を継続して使用することができ、環境負荷を低減することができる。また、容器１００の各部材がプラスチック製である場合、プラスチック量を削減することができる。また、他の内容器１を外容器２に押し込むだけのワンタッチの操作で外容器２に他の内容器１を簡便に取り付けることができる。更に、内容器１を外容器２に取り付ける際に、相互の周方向の位置を確認して位置合わせする必要がなく、他の内容器１をより簡便に取り付けることができる。

【0045】

内容物を使い切った状態でなくても、押込部材７を押し込むことにより、内容器１を取り外すことができるため、使用途中で新しい内容物が収容された内容器１に交換することができる。また、異なる内容物を使用したい場合に、異なる内容物が収容された内容器１に交換することができる。

【0046】

＜第二実施形態＞
本発明の第二実施形態による容器について説明する。図８は、第二実施形態による容器の正面図であり、図９は、第二実施形態による容器の平面図であり、図１０は、第二実施形態による、図９のＩＶ－ＩＶ断面図である。図１１は、第二実施形態によるスライドの正面図であり、図１２は、第二実施形態によるスライドの平面図である。図１３は、第二実施形態による押込部材の斜視図である。

【0047】

内容器１Ａは、図８及び図１０に示すように、上部に開口１１Ａと、側面である周壁１２Ａとを有し、底面１６Ａには、中央に嵌合孔１３Ａが形成されている。嵌合孔１３Ａには、後述する外容器２Ａの第１環状壁２６Ａ及び第２環状壁２７Ａが挿入される。さらに、内容器１Ａの内部には、スライド５Ａと、ステージ６Ａと、押込部材７Ａとが設けられている。

【0048】

外容器２Ａは、上部に開口２１Ａを有する有底筒状の容器であって、側面である周壁２２Ａと、底面２３Ａとを有する。図１０に示すように、底面２３Ａの中央には、嵌合孔２４Ａが形成され、嵌合孔２４Ａから上方向に向かって、第１環状壁２６Ａが立設され、第１環状壁２６Ａの径方向外側に第２環状壁２７Ａが立設されている。嵌合孔２４Ａには押込部材７Ａが挿入され、第１環状壁２６Ａは押込部材７Ａを回転不能に保持する。本実施形態では、嵌合孔２４Ａの平面視形状は、八角形であるが、これに限らず、押込部材７の形状に合わせて任意の形状とすることができる。第２環状壁２７Ａの内周面には、スライド５Ａと係合する、一対の凸部２８Ａが形成され、凸部２８Ａは、径方向に水平な当接面を有する。第１環状壁２６Ａと第２環状壁２７Ａの間には、スライド５Ａが挿入され、凸部２８Ａとスライド５Ａが係合することにより、外容器２Ａは、スライド５Ａを上下方向に移動不能、且つ径方向（図１０の紙面左右方向）に移動可能に保持する。

【0049】

ステージ６Ａは、内容器１の内径と同じ外径を有する平面視形状が円形の仕切弁６１Ａと、仕切弁６１Ａを支持し内容器１Ａと共に回転する回転体６２Ａとを有する。仕切弁６１Ａと、回転体６２Ａは、別体で形成されていてよく、一体成形されていてもよい。仕切弁６１Ａは、平坦部６１１Ａと、平坦部６１１Ａから連接され、内容器１Ａの周壁１２Ａの内周面と密着する周壁６１２Ａとを有していてよい。仕切弁６１Ａと内容器１の周壁１２Ａの内周面は、仕切弁６１Ａが周壁１２Ａの内周面に対して静止している状態及び周壁１２Ａの内周面に対して上方向に移動している状態において、内容器１Ａの中に収容される内容物が仕切弁６１Ａの下方に漏洩しないように液密状に接触している。

【0050】

ステージ６Ａの回転体６２Ａは、有頂筒状の形状を有し、側面である周壁６２１Ａの内周面には、スライド５Ａに形成された雄螺子５４Ａと螺合する雌螺子６２２Ａが形成されている。ステージ６Ａは、内容器１Ａに対して、図示しない第一実施形態と同様の係合手段、又は任意の係合手段によって回転不能に固定されると共に、外容器２Ａに対して回転可能に固定される。換言すると、ステージ６Ａは、内容器１Ａと一体的に回転する。即ち、ステージ６Ａは、外容器２Ａに対する内容器１Ａの相対的な回転と共に回転することで、雌螺子６２２Ａとスライド５Ａの雄螺子５４Ａとが螺合して連動し、内容器１Ａの内部において上昇可能に配設されている。また、内容器１が外容器２から取り外される時、ステージ６は、内容器１と一体となって、外容器２から取り外される。

【0051】

スライド５Ａは、図１１及び図１２に示すように、全体として円筒状の形状を有し、外周面に、ステージ６Ａの雌螺子６２２Ａと螺合可能な雄螺子５４Ａを有する。雄螺子５４Ａは、外周面の全周ではなく、回転中心軸１０を含む面を対称面として、対称な一部の領域に形成されている。換言すると、雄螺子５４Ａは、図５に示す第一実施形態によるスライド５と同様に、平面視において回転中心軸１０を中心とする角度Ａの領域に形成されている。角度Ａは、５°～１００°の範囲の任意の角度とすることができ、例えば、７０°とすることができる。

【0052】

スライド５Ａは、回転中心軸１０方向に２分割された一対の半円筒部材５１Ａ、５２Ａと、半円筒部材５１Ａの外周面と半円筒部材５２Ａの外周面に接続された、径方向に伸縮可能なスライド付勢部材５３Ａとを有する。スライド付勢部材５３Ａは、金属製あるいは、樹脂製であってよく、例えば、両端が回動自在に固定され、中央部がリンク結合された一対のリンクと、一対のリンク間にリンクを開く方向（１８０°になる方向）に付勢するバネを介在させた構成等であってよい。又は、スライド付勢部材５３Ａは、中央部が屈曲して屈曲が開く方向に弾性力が作用する板バネ構造等であってよい。スライド付勢部材５３Ａは、一対の半円筒部材５１Ａ、５２Ａを径方向外側に付勢する構成であれば任意の構成とすることができる。これにより、半円筒部材５１Ａ、５２Ａは、回転中心軸１０に直交する一方向（図１０における紙面左右方向）で、互いに離反可能又は近接可能となっている。

【0053】

スライド５Ａは、下端部に少なくとも一対、外容器２Ａの凸部２８Ａと係合する段部５６Ａを有する。段部５６Ａは、径方向に水平な当接面を有する。段部５６Ａと外容器２Ａの凸部２８Ａとは、径方向に水平な互いの当接面で当接し係合するため、段部５６Ａの当接面は、凸部２８Ａの当接面上で径方向に摺動可能となっている。これにより、スライド５Ａは、外容器２Ａに対して上下方向に移動不能、且つ径方向に移動可能に固定されている。

【0054】

スライド５Ａは、図１２に示すように、後述する押込部材７Ａの凸部７４Ａが係合する、係合孔５７Ａを有する。その他の構成については、第一実施形態のスライド５と同様である。

【0055】

押込部材７Ａは、図１３に示すように、有底筒状の形状を有し、外形の径方向における断面形状が多角形となる位置決め形状が形成されている。これにより、押込部材７Ａが、外容器２Ａに対して回転不能に固定される。なお、位置決め形状は、径方向における断面形状が多角形以外でもよく、例えば、キーとキー溝とでもよく、押込部材７Ａが外容器２Ａに回転不能に固定される形状であれば、いかなる形状でもよい。

【0056】

押込部材７Ａは、上部に径方向外側に突出した鍔部７６Ａを有する。押込部材７Ａの内周面には、スライド５Ａの当接面と当接する当接面７２１Ａが形成され、当接面７２１Ａは、上方が径方向外側に傾いた傾斜面、換言すると、外容器２Ａの底面側に向かうに従い回転中心軸１０に近づく方向に傾斜している傾斜面となっている。また、押込部材７Ａの内周面には、一対の凸部７４Ａが設けられている。また、押込部材７Ａの内部の底には、図１０に示すように、上下方向に付勢する付勢部材７５Ａが設けられていてよい。付勢部材７５Ａは、弾性力により、押込部材７Ａに常に下向きの力を付与するため、押込部材７Ａの底面７１Ａを外容器２Ａの底面２３Ａに対して略面一の状態に維持する。

【0057】

押込部材７Ａは、外容器２Ａの第１環状壁２６Ａの内側に挿入される。外容器２Ａの第１環状壁２６Ａの断面形状は、押込部材７Ａの外形の径方向における断面形状と同じ位置決め形状を有し、押込部材７Ａは、第１環状壁２６Ａに回転不能に固定されている。また、押込部材７Ａの鍔部７６Ａが、第１環状壁２６Ａの上端に係止することにより、押込部材７Ａが外容器２Ａから脱落することを防止することができる。更に、押込部材７Ａには、当接面７２１Ａとスライド５Ａの当接面が当接するように、スライド５Ａが組付けられる。凸部７４Ａとスライド５Ａの係合孔５７Ａが係合することにより、押込部材７Ａは、スライド５Ａを回転不能に固定することができる。これにより、外容器２Ａの回転と共に、押込部材７Ａ及びスライド５Ａが回転する。

【0058】

また、押込部材７Ａは、通常の使用状態において、傾斜面である当接面７２１Ａで、スライド５Ａから径方向外向きの力の分力としての下向きの力を常に受けるため、底面７１Ａが外容器２Ａの底面２３Ａに対して略面一の状態を維持することができる。更に、付勢部材７５Ａが、スライド５Ａによる下向きの力を補助するため、底面７１Ａが外容器２Ａの底面２３Ａに対して略面一の状態を確実に維持することができる。この付勢部材７５Ａの下向きの力により、特に内容器１Ａを、新たに外容器２Ａに挿入して外容器２Ａ内に保持する際に、押込部材７Ａの底面７１Ａが外容器２の底面２３Ａに対して略面一の状態を確実に維持させることが可能となる。

【0059】

天面３Ａは、内容物を外部に吐出させるための開口３２Ａを有している。天面３Ａは、内容器１Ａに外嵌合させるための外周壁３３Ａを有していてよく、内容器１Ａの周壁１２Ａの内側にも内周壁３１Ａを有していていよい。天面３Ａを内容器１Ａに内嵌合させる場合は、外周壁３３Ａを設けず、内周壁３１Ａのみ設ける構成とすることができる。

【0060】

以上の構成により、第二実施形態による容器１００Ａにおいても、第一実施形態による容器１００と同様の効果を奏する。

【0061】

以上の通り、実施形態を説明したが、上記実施形態は、例として提示したものであり、上記実施形態により本発明が限定されるものではない。上記実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の組み合わせ、省略、置き換え、変更などを行うことが可能である。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。

【符号の説明】

【0062】

１、１Ａ 内容器
１１、１１Ａ 開口
１２、１２Ａ 周壁
１３、１３Ａ 嵌合孔
１４ 突起
１５ 支持筒部
１６Ａ 底面
１５１ ローレット
２、２Ａ 外容器
２１、２１Ａ 開口
２２、２２Ａ 周壁
２３、２３Ａ 底面
２４、２４Ａ 嵌合孔
２５ 弾性部
２５１ 凸部
２６、２６Ａ 第１環状壁
２７、２７Ａ 第２環状壁
２８、２８Ａ 凸部
３、３Ａ 天面
３１、３１Ａ 内周壁
３２、３２Ａ 開口
３３Ａ 外周壁
５、５Ａ スライド
５１、５２、５１Ａ、５２Ａ 半円筒部材
５１１、５２１ ガイド小片
５１２、５２２ 凸部
５１３、５２３ 挿入孔
５３、５３Ａ スライド付勢部材
５４、５４Ａ 雄螺子
５５ 当接面
５６、５６Ａ 段部
５７Ａ 係合孔
６、６Ａ ステージ
６１、６１Ａ 仕切弁
６１１、６１１Ａ 平坦部
６１２、６１２Ａ 周壁
６２、６２Ａ 回転体
６２１、６２１Ａ 周壁
６２２、６２２Ａ 雌螺子
６２４ 突条
７、７Ａ 押込部材
７１、７１Ａ 底面
７２ 押圧部
７２１、７２１Ａ 当接面
７２２ 突起
７３ 係止部
７３１ 上部材
７４Ａ 凸部
７５Ａ 付勢部材
７６Ａ 鍔部
８、８Ａ 弁体
１０ 回転中心軸
１００、１００Ａ 容器

【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7A】

【図7B】

【図7C】

【図8】

【図9】

【図10】

【図11】

【図12】

【図13】