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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024161327
(43)【公開日】2024-11-19
(54)【発明の名称】容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 83/00 20060101AFI20241112BHJP
   B65D 77/06 20060101ALI20241112BHJP
   B65D 77/04 20060101ALI20241112BHJP
   B65D 47/20 20060101ALI20241112BHJP
【FI】
B65D83/00 C
B65D77/06 F
B65D77/04 A
B65D47/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021166936
(22)【出願日】2021-10-11
(71)【出願人】
【識別番号】000001959
【氏名又は名称】株式会社 資生堂
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】内山 雄也
【テーマコード(参考)】
3E014
3E067
3E084
【Fターム(参考)】
3E014AC04
3E067AA03
3E067AA04
3E067AB01
3E067AB81
3E067AB83
3E067BA03B
3E067BA03C
3E067BB14B
3E067BB14C
3E067BB15B
3E067BB15C
3E067BB16B
3E067BB16C
3E084AA02
3E084AA12
3E084AA25
3E084AA26
3E084AB06
3E084BA03
3E084CA01
3E084CB02
3E084CC04
3E084CC05
3E084DA01
3E084DB13
3E084DC04
3E084DC05
3E084FA09
3E084FC01
3E084GA08
3E084GB12
3E084LB02
3E084LC01
3E084LD30
(57)【要約】      (修正有)
【課題】回転式の容器において、内容物を簡便に詰め替え可能な容器を提供する。
【解決手段】開口を有する内容器と、内容器を相対的に回転可能に収容する、開口を有する外容器と、内容物を吐出する開口を有し、内容器に着脱可能な天面と雄螺子と螺合する雌螺子を有し、内容器又は外容器の回転により上昇可能なステージと、上端に鍔部を有し、側面に弾性部が形成された筒状の押込部材とを備え、支持筒部は、内周面に弾性部が係止される突出部を有し、少なくとも一対の円弧状壁面が立設され、円弧状壁面の外周面には、雄螺子が形成され、ステージが所定の高さに至るまでは、弾性部は突出部に係止されることにより鍔部が円弧状壁面の内周面に係合されて、弾性部は突出部による係止が解除されて鍔部が上昇し、鍔部と円弧状壁面の内周面との係合が解除され、雄螺子が径方向に作動可能になることで、ステージが下降可能となる、容器。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に内容物を収容可能で、開口を有する内容器と、
前記内容器を相対的に回転可能に収容する、開口を有する外容器と、
前記内容物を吐出する開口を有し、前記内容器に着脱可能な天面と、
前記内容器に設けられた雄螺子と螺合する雌螺子を有し、前記内容器又は前記外容器の回転により上昇可能なステージと、
上端に鍔部を有し、側面に弾性部が形成された筒状の押込部材とを備え、
前記外容器の底面には、前記押込部材が嵌合する第1嵌合孔を有する支持筒部が立設され、
前記支持筒部は、内周面に前記弾性部が係止される突出部を有し、
前記内容器の底面には、前記支持筒部が嵌合する第2嵌合孔が形成され、前記第2嵌合孔の周縁の径方向外側から、少なくとも一対の円弧状壁面が立設され、前記円弧状壁面の外周面には、前記雄螺子が形成され、
前記ステージが所定の高さに至るまでは、前記弾性部は前記突出部に係止されることにより前記鍔部が前記円弧状壁面の内周面に係合されて、前記雌螺子と前記雄螺子との螺合が維持され、
前記ステージが所定の高さに至った状態で、前記押込部材が押込まれると、前記弾性部は前記突出部による係止が解除されて前記鍔部が上昇し、前記鍔部と前記円弧状壁面の内周面との係合が解除され、前記雄螺子が径方向に作動可能になることで、前記ステージが下降可能となる、容器。
【請求項2】
前記ステージは、軸部を有し、
前記軸部は、前記押込部材の内側に上下動可能に支持され、
前記ステージが所定の高さに至るまでは、前記弾性部は、前記軸部の外周面に当接することにより、前記突出部との係止が維持され、前記ステージが所定の高さに至ると、前記弾性部は、前記軸部の外周面と当接しないことにより、前記突出部との係止が解除される、請求項1に記載の容器。
【請求項3】
前記支持筒部の外周面と前記円弧状壁面の内周面との間には、間隙が形成され、前記鍔部と前記円弧状壁面の内周面との係合が解除されることにより、前記雄螺子が径方向内側へ作動可能となり、前記雄螺子と前記雌螺子との螺合が解除可能となる、請求項1又は2に記載の容器。
【請求項4】
前記ステージが所定の高さに至った状態で、前記押込部材が押込まれた後、前記ステージに下向きの外力を与えることにより、前記ステージは下降する、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の容器。
【請求項5】
前記弾性部は前記軸部と当接しないことにより、径方向内側に作動可能となる、請求項2に記載の容器。
【請求項6】
前記軸部の外周面、前記押込部材の内周面、前記押込部材の外周面、及び前記支持筒部の内周面には、位置決め形状が形成され互いに回転不能に固定されている、請求項2又は5に記載の容器。
【請求項7】
前記ステージが所定の高さに至った後、前記ステージを下降させ、前記天面を外した後に前記内容器に内容物が充填され、前記天面で前記内容器の開口を覆った後、前記内容器又は前記外容器を相対回転させることにより、前記内容物を前記天面の開口から吐出させることができる、請求項4に記載の容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、中皿の上昇によって内容物を吐出させる回転式の容器が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1に、内部に内容物が収容される有底筒状の容器本体と、容器本体の上端開口部を塞ぐ頂壁部と、容器本体に容器軸回りに回転可能に装着された回転操作体と、容器本体内に上下摺動可能に嵌合され、回転操作体の回転に伴って上昇移動する中皿と、を備えた吐出容器が開示されている。この容器によれば、容器本体に対して回転操作体を容器軸回りに回転させることで中皿を上昇移動させることができるので、容器本体の内部に収容されている内容物を押し上げて頂壁部に形成された吐出口から吐出することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012-111525号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の吐出容器は、内容物を使用した後、使い捨てされるものであり、環境負荷軽減やプラスチック量削減の観点から、詰め替え可能な回転式の容器が求められている。また、特許文献1の吐出容器において、内容物を詰め替えて、容器を継続して使用しようとした場合、容器本体の上昇端位置まで上昇した中皿を初期位置まで下降させるために、回転操作蓋を回転させる必要があり利便性に欠ける。
【0006】
上記の点に鑑みて、本発明の一態様は、回転式の容器において、内容物を簡便に詰め替え可能な容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様による容器は、内部に内容物を収容可能で、開口を有する内容器と、前記内容器を相対的に回転可能に収容する、開口を有する外容器と、前記内容物を吐出する開口を有し、前記内容器に着脱可能な天面と、前記内容器に設けられた雄螺子と螺合する雌螺子を有し、前記内容器又は前記外容器の回転により上昇可能なステージと、上端に鍔部を有し、側面に弾性部が形成された筒状の押込部材とを備え、前記外容器の底面には、前記押込部材が嵌合する第1嵌合孔を有する支持筒部が立設され、前記支持筒部は、内周面に前記弾性部が係止される突出部を有し、前記内容器の底面には、前記支持筒部が嵌合する第2嵌合孔が形成され、前記第2嵌合孔の周縁の径方向外側から、少なくとも一対の円弧状壁面が立設され、前記円弧状壁面の外周面には、前記雄螺子が形成され、前記ステージが所定の高さに至るまでは、前記弾性部は前記突出部に係止されることにより前記鍔部が前記円弧状壁面の内周面に係合されて、前記雌螺子と前記雄螺子との螺合が維持され、前記ステージが所定の高さに至った状態で、前記押込部材が押込まれると、前記弾性部は前記突出部による係止が解除されて前記鍔部が上昇し、前記鍔部と前記円弧状壁面の内周面との係合が解除され、前記雄螺子が径方向に作動可能になることで、前記ステージが下降可能となる。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一態様によれば、回転式の容器において、内容物を簡便に詰め替え可能な容器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】一実施形態による容器の正面図である。
図2】一実施形態による容器の平面図である。
図3】一実施形態による容器の分解斜視図である。
図4図2のI-I断面図である。
図5図4のIII-III断面図である。
図6図2のII-II断面図である。
図7図6のIV-IV断面図である。
図8A】詰め替え時の容器の作動を説明する図2のII-II断面図である。
図8B】詰め替え時の容器の作動を説明する図2のII-II断面図である。
図8C】詰め替え時の容器の作動を説明する図2のII-II断面図である。
図8D】詰め替え時の容器の作動を説明する図2のII-II断面図である。
図9図8Cと同じ状態における図2のI-I断面図である。
図10図8Dと同じ状態における図2のI-I断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しながら説明する。なお、説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては同一の符号を付して、重複する説明は省略する場合がある。また、図面における各部材の縮尺は実際とは異なる場合がある。なお、本明細書では、回転中心軸10に直交する方向を径方向、回転中心軸10に沿う軸線方向において、天面3側を上、外容器2の底面23側を下とする。
【0011】
本発明の一実施形態による容器について説明する。図1は、一実施形態による容器の正面図であり、図2は、一実施形態による容器の平面図であり、図3は、一実施形態による容器の分解斜視図である。また、図4は、図2のI-I断面図であり、図5は、図4のIII-III断面図であり、図6は、図2のII-II断面図であり、図7は、図6のIV-IV断面図である。
【0012】
図1図7に示すように、本発明の一実施形態による容器100は、開口11を有する内容器1と、内容器1を収容する外容器2と、内容器1の開口11を覆う天面3と、ステージ6と、押込部材7とを備える。
【0013】
内容器1は、上部が開口した有底筒状の容器であって、内容物を収容可能である。本実施形態では、内容物として流動物を吐出させる容器である場合について説明するが、内容物として固形物を吐出させる容器であってもよい。
【0014】
本実施形態による容器100によって吐出される流動物は、少なくとも吐出時に流動性を示し、容器100の開口32から容器100の外部へと押し出すことができれば限定されない。流動物は、液状物、例えば純物質の液体又は液体混合物であってもよい。さらに、流動物は、例えば、溶液、及びエマルジョン、サスペンション等の分散液等であってもよく、ゲル、スラリー、ペースト、クリーム等と呼ばれる状態のものであってよい。流動物は、粉体を含んでいてよいし、粉体を主として含んでいてもよい。流動物は、上記流動物と、窒素、希ガス、空気等の気体とが混合されて泡状(フォーム状)で内容器1に収容されているものであってもよい。また、流動物は、水と同様の粘度、水より高い粘度を有するペースト状又はクリーム状のものであってよい。
【0015】
流動物は、化粧水、乳液、フェイスクリーム、美容液、洗顔料、クレンジング剤等のスキンケア製品若しくは基礎化粧品、ファンデーション、化粧下地、コンシーラー、リキッドアイシャドー、リキッドチーク、液状リップ製品等のメーキャップ化粧品、日焼け止め剤、ハンドソープ、ボディソープ、ヘアシャンプー、染毛剤、スタイリング剤、ハンドクリーム、ボディクリーム、ボディローション等のパーソナルケア製品(衛生日用品)、フレグランス製品等であってよい。
【0016】
内容物が固形物である場合、固形物は、特に硬度の高いヘアスティック、ヘアワックス、口紅、固形美容液(例えば、スティック美容液と類似した硬度のもの)などの固形化粧料又は半固形化粧料、固形石鹸等であってよい。また、チーズ、バターなどの食品等であってもよい。
【0017】
容器100を構成する材料は、特に限定されないが、樹脂材料、金属材料、木製品等が挙げられる。樹脂材料としては、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリ塩化ビニル(PVC)、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、又はシリコン樹脂等を用いることができる。これらの樹脂は、1種類単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
【0018】
内容器1は、図4に示すように、上部に開口11を有し、側面である周壁12と、底面13とを有し、底面13には、中央に第2嵌合孔15が形成され、第2嵌合孔15の径方向外側に少なくとも一対の円弧状壁面14、14が立設されている。円弧状壁面14、14は、静置状態では、底面13に対して直立しているが、径方向の力がかかると径方向に作動可能に(撓むように)立設されている。また、円弧状壁面14、14それぞれの外周面の上端には、雄螺子16が形成されている。本実施形態では、雄螺子16の山の数は、1本であるが、複数本有していてもよい。第2嵌合孔15には、後述する外容器2の支持筒部25が挿入されるが、支持筒部25の外周面と円弧状壁面14、14の内周面との間には間隙が形成されている。さらに、内容器1の内部には、ステージ6と、押込部材7とが設けられている。
【0019】
外容器2は、上部に開口21を有する有底筒状の容器であって、側面である周壁22と、底面23とを有し、底面23の中央には、第1嵌合孔24が形成され、第1嵌合孔24から上方向に向かって、支持筒部25が立設されている。支持筒部25が、内容器1の第2嵌合孔15に挿入されることにより、外容器2は、内容器1を相対的に回転可能に収容する。外容器2の開口21は、外容器2に内容器1が収容された状態で、内容器1の開口11よりも下に位置し、外容器2から内容器1の周壁12の上部が露出している。これにより、使用者は、一方の手で外容器2を持ち、他方の手で内容器1の周壁12又は天面3を持ち、内容器1又は外容器2を相対的に回転させることができる。
【0020】
支持筒部25は、図6に示すように、内周面に、後述する押込部材7の弾性部75が係止される突出部26を有する。突出部26は、本実施形態では一対、形成されている。第1嵌合孔24には、押込部材7及び後述するステージ6の軸部623が挿入される。支持筒部25の内周面、押込部材7の内周面及び外周面、ステージ6の軸部623の外周面には、図7に示すように、径方向における断面形状が八角形となる、位置決め形状が形成されている。これにより、ステージ6及び押込部材7が、外容器2に対して回転不能に固定される。なお、位置決め形状は、各部材の径方向における断面形状が八角形以外の多角形、例えば五角形あるいは六角形でもよく、また、キーとキー溝とでもよく、ステージ6及び押込部材7が外容器2に回転不能に固定される形状であれば、いかなる形状でもよい。
【0021】
ステージ6は、内容器1又は外容器2の回転により上昇可能であり、内容物の詰め替え時には下降可能な部材である。ステージ6は、内容器1の内径と同じ外径を有する平面視形状が円形の仕切弁61と、仕切弁61を支持し外容器2と共に回転する回転体62とを有する。仕切弁61と、回転体62は、別体で形成されていてよく、一体成形されていてもよい。仕切弁61は、平坦部611と、平坦部611から連接され、内容器1の周壁12の内周面と密着する周壁612とを有していてよい。仕切弁61と内容器1の周壁12の内周面は、仕切弁61が周壁12の内周面に対して静止している状態及び周壁12の内周面に対して上方向に移動している状態において、内容器1の中に収容される内容物が仕切弁61の下方に漏洩しないように液密状に接触している。
【0022】
ステージ6の回転体62は、有頂筒状の形状を有し、側面である周壁621と、上面の中央に立設された筒状の軸部623とを有する。周壁621の内周面には、円弧状壁面14、14の外周面の上端に形成された雄螺子16と螺合する雌螺子622が形成されている。周壁621と軸部623との間には、円環状の間隙624が形成され、下端の開口から間隙624内部に、内容器1の円弧状壁面14、14、外容器2の支持筒部25、及び押込部材7が挿入される。回転体62の軸部623、内容器1の円弧状壁面14、14、外容器2の支持筒部25、及び押込部材7は、同軸上に配置され、軸は内容器1及び外容器2の回転中心軸10と一致している。また、上述のように、軸部623の外周面には、支持筒部25の内周面、押込部材7の内周面及び外周面と同様に、位置決め形状が形成されている(図7)。これにより、回転体62(ステージ6)は、内容器1に対して回転可能に固定されると共に、外容器2に対して回転不能に固定される。換言すると、回転体62は、外容器2と一体的に回転する。即ち、ステージ6は、内容器1に対する外容器2の相対的な回転と共に回転体62が回転することで、雌螺子622と内容器1の雄螺子16とが螺合して連動し、内容器1の内部において上下動可能に配設されている。
【0023】
押込部材7は、内容物の詰め替え時に、使用者によって押込まれる部材であり、ステージ6を下降可能とするためのスイッチとして機能する。押込部材7は、有底筒状の形状を有し、側面71と、底面73と、第3嵌合孔74とを有する。側面71の上端部には、径方向外側に突出した鍔部72が形成され、鍔部72の外径は、円弧状壁面14、14の上端の内径とほぼ一致している。側面71には、弾性部75が形成されている。弾性部75は、対向する2つの側面71に、一端が側面71と連接し他の3つの端面は切り離された状態で、一対、形成されている。換言すると、弾性部75は、側面71と連接している端面により片持ち梁状に形成され、弾性変形可能になっている(図3)。弾性部75は、この片持ち梁状の弾性部75の先端側が径方向外側に屈曲していて、外容器2の支持筒部25に形成された突出部26と突き合わされた状態で係止可能になっている。なお、弾性部75と突出部26との突合せ面は押圧方向に対して傾斜した傾斜面となっていて、押込部材7に上向きの力が作用して傾斜面同士が押圧されると、傾斜角による分圧で弾性部75の先端側が径方向内側に押される力が作用する。
【0024】
押込部材7は、外容器2の支持筒部25の内側に挿入され、弾性部75が突出部26に係止され、また、鍔部72が支持筒部25の上端と接することにより、支持筒部25に固定されている。鍔部72の周縁は、円弧状壁面14、14の内周面と接して係合している(図5)。また、鍔部72の上面は、円弧状壁面14、14の上端に対して面一、押込部材7の底面73は、外容器2の底面23に対して面一となっている。
【0025】
なお、弾性部75は、図4及び図6に示す状態においては、ステージ6の軸部623の外周面と当接しているため、弾性部75は内側に弾性変形することはできない。しかし、押込部材7は、内容物を詰め替える際に、底面73を上方向に押圧されることにより、弾性部75が弾性変形して突出部26を乗り越えて係止が解除可能となり、上下動可能となっている。また、弾性部75が突出部26を乗り越える時、パチンと音が鳴ると共に押した感覚を与え、押込部材7が押されたことを使用者に喚起することができる。
【0026】
また、側面71には、図示しない凸部が形成されていてもよい。これにより、凸部が常に外容器2の支持筒部25と当接するため、押込部材7を押込まれた位置で止めることができ、押込部材7の移動量を制限することができる。よって、押込部材7が押込まれた際に脱落することを防止することができる。
【0027】
押込部材7の第3嵌合孔74には、ステージ6の軸部623が挿入される。また、上述のように、押込部材7の内周面及び外周面には、支持筒部25の内周面、軸部623の外周面と同様に位置決め形状が形成されている(図7)。これにより、押込部材7は、外容器2に対して回転不能に固定される。換言すると、押込部材7は、外容器2と一体的に回転する。
【0028】
天面3は、内容器1の開口11を覆う部材であり、内容器1に着脱可能であり、内容物を外部に吐出させるための開口32を有している。天面3は、内容器1に外嵌合させるための周壁31を有していてもよく、内容器1に内嵌合させる場合は、周壁31を有していなくてもよい。また、開口32に弁体8が配置されていてもよい。弁体8は、本実施形態においては、ステージ6の上昇に伴って内容器1に収容された内容物の内圧が高まることで、弁体8が上昇して、内容物は上昇した弁体8と天面3との間から天面3の上面に吐出される。これにより、使用者は、吐出された使用分の内容物にのみ触れることができるので、未使用分の内容物に触れずに使用することができ、内容物を衛生的に保管することができる。内容物が、固形物である場合、弁体8は設けなくてもよく、天面3の構成を固形物に対応した構成とすることができる。
【0029】
容器100は、図示されていない蓋体を有していてもよい。蓋体は、例えば、ネジ蓋であってよく、外容器2の周壁22の外周面に形成されている雄螺子と螺合し、内容器1、天面3、及び外容器2の開口21を覆うように固定されていてもよい。蓋体は、ネジ蓋に限らず、例えば、スナップ式でもよい。
【0030】
次に、内容物の詰め替え時の容器100の作動について、図8A図8D図9、及び図10を用いて説明する。図8A図8Dは、詰め替え時の容器の作動を説明する図2のII-II断面図である。図9は、図8Cと同じ状態における図2のI-I断面図であり、図10は、図8Dと同じ状態における図2のI-I断面図である。
【0031】
図8Aは、容器100の使用中の状態を示す。なお、図4及び図6に示す状態を初期状態とする。図4及び図6に示す初期状態から、内容器1又は外容器2を相対的に回転させると、ステージ6が上昇し、ステージ6の上昇に伴って内容器1に収容された内容物が圧力を受けて上方に押し上げられる。内容物は、弁体8を押し上げ、上昇したとステージ6と天面3の間から、天面3の開口32を通じて天面3の上面に吐出される。図8Aは、内容物が開口32を通じて天面3の上面に吐出され、吐出された内容物が使用された結果、内容器1の内部の内容物の量が少なくなっている状態を示している。
【0032】
この状態においては、押込部材7の弾性部75は、ステージ6の軸部623の外周面と当接しているため、径方向内側に作動する(撓む)ことができない。よって、押込部材7の底面73が押圧されても、弾性部75が突出部26を乗り越えることができず、弾性部75と突出部26との係止は解除されない。即ち、使用中の状態においては、誤って押込部材7の底面73が押圧されても、作動することがなく、使用者は安全に容器100を使用することができる。
【0033】
図8Bは、容器100に収容された内容物を使い切った状態を示す。ステージ6が、図8Aに示す状態から更に上昇し、内容器1内の上昇端位置(ステージ6の仕切弁61と天面3が接する位置)に至っている。この状態においては、押込部材7の弾性部75は、ステージ6の軸部623の外周面と当接していないため、径方向内側に作動可能となる(撓むことができる)。そして、押込部材7が押圧されると、弾性部75と突出部26との突合せ面に押圧力が作用し、突合せ面が傾斜面になっているため押圧力の分圧で弾性部75が内側に弾性変形する。よって、弾性部75が突出部26を乗り越えることができ、弾性部75と突出部26との係止が解除可能となる。即ち、ステージ6が、内容器1内の上昇端位置に至った状態においては、押込部材7の底面73が、押圧される(上向きの外力F1の外力がかかる)と、押込部材7は上下動可能となる。また、ステージ6が、内容器1内の上昇端位置に至るまでは、鍔部72が円弧状壁面14、14の内周面に係合されて、雌螺子622と雄螺子16との螺合が維持されている。なお、ステージ6の上昇端位置は、図8Bに示す位置に限らず、ステージ6が所定の高さに至る位置とすることができる。
【0034】
図8Cは、押込部材7が押込まれた状態を示す。弾性部75が突出部26を乗り越え、弾性部75と突出部26との係止が解除されたことにより、押込部材7が上方に移動している。この状態においては、鍔部72が、円弧状壁面14、14から離隔し、鍔部72と円弧状壁面14、14の係合が解除されている。これにより、円弧状壁面14、14は、径方向内側に作動可能となる(撓むことができる)。また、この状態においては、図9に示すように、雄螺子16と雌螺子622が螺合している。そして、ステージ6に下向きの外力F2を与えると、雌螺子622の螺子山の下側の傾斜面が雄螺子16の螺子山の上側の傾斜面を押圧するので、雄螺子16の螺子山に径方向内側の分圧が発生して、円弧状壁面14、14が、径方向内側に作動する。そして、円弧状壁面14、14が、径方向内側に作動し、雄螺子16と雌螺子622との螺合が解除されることにより、ステージ6が下降可能となる。なお、本実施形態では、ステージ6の仕切弁61の周壁612が内容器1の内周面と密着し気密を取る機構としているため、ステージ6は、雌螺子622と雄螺子16とが完全に離れた状態においても静止しており、下向きの外力F2が与えられなければ下降しない。外力F2を与えるときは、使用者は、天面3を取り外し、直接ステージ6を押圧することができる。
【0035】
図8Dは、ステージ6が下降し、押込部材7と当接した状態を示す。ステージ6は、下降した後、押込部材7と当接した位置で一旦、止まる。また、図10に示すように、雄螺子16と雌螺子622は螺合している。この状態から、さらに、ステージ6に下向きの外力F2を与えると、弾性部75の径方向外側に傾斜した傾斜面と、突出部26の径方向内側に傾斜した傾斜面の方向がほぼ同じであるので、弾性部75は、弾性変形することで、下側に位置していた突出部26を容易に乗り越えることができる。よって、弾性部75と突出部26とが係止され、容器100を初期状態に戻すことができる。これにより、ステージ6と天面3の間の内容器1内に、詰め替え用の内容物を充填することができ、容器100を継続して使用することができる。
【0036】
以上の通り、本実施形態の容器100は、ステージ6が所定の高さに至った後、ステージ6を下降させ、天面3を外した後に内容器1に内容物が充填され、天面3で内容器1の開口11を覆った後、内容器1又は外容器2を相対回転させることにより、内容物を天面3の開口32から吐出させることができる。使用者は、押込部材7を押込んだ後、ステージ6を押すという簡便な操作でステージ6を下降させることができ、詰め替え用の内容物を内容器1に簡便に詰め替えることができる。また、簡便に詰め替え可能な容器100により、容器100を継続して使用することができ、プラスチック量を削減することができる。
【0037】
以上の通り、実施形態を説明したが、上記実施形態は、例として提示したものであり、上記実施形態により本発明が限定されるものではない。上記実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の組み合わせ、省略、置き換え、変更などを行うことが可能である。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0038】
1 内容器
11 開口
12 周壁
13 底面
14 円弧状壁面
15 第2嵌合孔
16 雄螺子
2 外容器
21 開口
22 周壁
23 底面
24 第1嵌合孔
25 支持筒部
26 突出部
3 天面
31 周壁
32 開口
6 ステージ
61 仕切弁
611 平坦部
612 周壁
62 回転体
621 周壁
622 雌螺子
623 軸部
624 間隙
625 開口
7 押込部材
71 側面
72 鍔部
73 底面
74 第3嵌合孔
75 弾性部
8 弁体
10 回転中心軸
100 容器
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図8C
図8D
図9
図10