(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024161333
(43)【公開日】2024-11-19
(54)【発明の名称】ペット用リード
(51)【国際特許分類】
A01K 27/00 20060101AFI20241112BHJP
【FI】
A01K27/00 C
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2023084962
(22)【出願日】2023-05-07
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-09-19
(71)【出願人】
【識別番号】522081381
【氏名又は名称】岩下 美隆
(72)【発明者】
【氏名】岩下 美隆
(57)【要約】 (修正有)
【課題】散歩中に常に両手を自由に使用できるリードで、容易に装着と取り外しが出来て、装着した状態のままであっても、散歩中に手を使って行われる様々な処置が行い易く、しかも装着した状態で手を激しく動かした場合であっても、手首からリードが外れてしまう可能性を低く抑えることが可能なペット用リードを提案する。
【解決手段】飼い主が持つ側が1本のロープを手が通る大きさで2巻きした輪の形状となっており、この2巻きのロープの大きさと状態を維持するための貫通穴を設けるとともに、2巻きの長さの範囲の中間位置付近にロープを貫通穴に通さない開口を設けた構造体を有することを特徴としたリードであり、この構造体の形状が、挿入した手首の外側全周を囲む形状ではなく一部外周が切断されている形状であり、その切断された部分ではロープが構造体の貫通穴に通っていないため自由に動くことが出来る構造であることを特徴とする。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ペットを散歩させる時に飼い主がペットの動きを抑制するために使うリードで、飼い主側のロープ端は1本のロープを2巻きした輪の形状となっており、その輪の内径の大きさは手先から手首のところまで手を通していくことが可能な大きさとし、また、この輪の2巻き構成、および、輪の一部の形状を維持するため、2巻きのロープの一部長さを通すための貫通穴と、一部長さでロープが自由に動くことが出来る開口部とを有する構造体を備えたことを特徴とするペット用リードにおいて、この構造体の形状が、挿入した手首の外側全周を囲む形状ではなく一部外周が切断されている形状であり、その切断された部分においては、2巻きの輪を構成するロープが自由な位置に動くことが可能となる構造であることを特徴とする、ペット用リード。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ペットを散歩させる際に使われるリードに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ペットの散歩に使われるリードとして一般的な構成は、ペットを繋いでいる側の反対側が輪形状になっているもので、その輪の部分を手で握ることで、ペットの動きを制限しながら散歩することを可能とするものである。このようなタイプのリードでは、ペット散歩中に排泄物の処理や水筒で水を与える等、何らかの作業を行おうとした場合、片手でリードを持ったままの状態で作業をする事となってしまうため、もしもペットが何らかの理由で急に動いたり、暴れたりしてしまうと、作業を継続する事が出来なくなったり、最悪の場合、リードが手から外れてしまう可能性も高くなってしまう。
【0003】
このような問題を解決するため、ペットを繋いでいる側の反対側のリード構造について、体に巻き付けたり手首に固定したりするタイプのリードもあるが、ペットが急に動いたり暴れたりしても確実にリードが体や手首から外れないようにするためには、体や手首への固定時や取外し時に、固定器具を操作したり固定長さを調整したりといった手間が掛かってしまうものとなっている。
【0004】
また、このような固定時や取り外し時の手間を低減するために、飼い主が持つ側に構成された輪形状部分に手首を通した状態で、ペットを繋いでいる側のリードを引っ張るだけで、手首へのリードの固定を簡単に行うことが可能であり、なおかつ、ペットが動いてリードが引っ張られた場合には、引っ張られれば引っ張られるほどリードが手首から外れ難くなる構造を特徴としたリードも提案されている(特許文献1)。しかしながら、提案されている構造では、手首の外側全周を囲む形で構造物が存在しているため、手を使って行う動作、例えば、散歩用カバンから、ペットの排泄物処理のための袋やペットに水を与えるために水筒を取り出したり片付けたりする動作が行い難くなってしまったり、また、手首に固定するリード自体の質量が大きくなってしまうため、リードを手首に装着した状態で手首を激しく動かした場合に、リード自体に働く遠心力等により、手首からリードが外れてしまう可能性が高くなってしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、散歩中に常に両手を自由に使用できるリードで、容易に装着と取り外しが出来て、装着した状態のままであっても、散歩中に手を使って行われる様々な処置が行い易く、しかも装着した状態で手を激しく動かした場合であっても、手首からリードが外れてしまう可能性を低く抑えることが可能なリードを提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のリードは、ロープ2巻が共に直接接触しない状態で輪を構成しており、その輪の状態と輪の大きさを維持するために、ロープの一部を通すための貫通穴を設けた構造体を有しており、そのロープ2巻きの内側に手首を挿入し、ペットに繋がっているロープを引っ張ることにより、手首にロープの一部が強く巻き付いて、リードが手首から外れ難くなるという原理は、先行技術(特許文献1)で示されている内容と同じである。
【0008】
本発明のリードと先行技術(特許文献1)のリードの異なる点は、ロープ2巻の輪の状態と大きさを維持するための構造体の形状が、手首の外側全周を囲む形状ではなく、その一部外周が切断された形状であるという点となる。先行技術(特許文献1)のリードでは、散歩中にリードを手首に固定した状態のままで手を使った様々な処理を行おうとした場合には、リードの構造体自体が大きく邪魔で、処理が行い難い状況となる場合があるが、本発明のリードでは構造体の大きさを小さく抑えることが出来るため、同じ状況下であっても処理が行い易くなる。
【0009】
なお、本発明は、構造体の外周の一部が切断されている構造であれば、その切断範囲の大きさ、切断面の形状、ロープを通すための各貫通穴の切断面での位置や傾き等を限定するものではない。また、構造体を軽量化するために、構造体の厚みを部分的に薄くしたり、構造体の一部に穴を開けたりすることも有効な手段として提案するが、厚みを薄くする位置や範囲、穴を開ける形状、大きさ、数、位置について特に限定するものではない。
【0010】
本リードに手首を挿入した後で、ペットを固定している側からリードを引っ張り、リードを手首に巻き付けた状態とした場合には、ロープを通すための貫通穴を設けた構造体が存在する外周範囲以外の範囲では、手首に巻き付くロープと構造体の貫通穴から出てペット側まで繋がるロープだけが存在することとなるため、ロープ以外にこの範囲の空間を占有する構造物はなく、結果、リードを手首に装着したままの状態で、手の先から手首を超えた腕の部分までを比較的狭い空間の中に入れることが可能であり、なおかつ、その状態で手首部分を自由に動かすことが容易となる。
【0011】
なお、本発明において、手首を動かす容易性の確保を優先する場合には、ロープを通すための貫通穴を設けた構造体が存在する外周範囲は出来るだけ小さい方が望ましいが、一方で、ロープを通すための貫通穴を設けた構造体が存在する外周範囲が小さくなるにつれて、本リードに手首を挿入する際に、どの部分に手首を挿入していけば良いかが分かり難くなってしまう可能性が高くなってしまい、結果、手首を挿入する位置を間違えてしまい、ペットがリードを引っ張ってしまった時にリードが手首から外れてしまう可能性が高くなるという傾向もある。本発明においては、ロープを通すための貫通穴を設けた構造体が存在する外周範囲を特に限定はしないが、前述の理由により、ロープを通すための貫通穴を設けた構造体が存在する外周範囲は、手首の外周のおおよそ半周程度の範囲とするのが、手を動かすことの容易性確保と手首を挿入する位置を間違えないための穴の輪郭構成の確保、この2点を両立する上では比較的バランスが良い構成といえる。
【発明の効果】
【0012】
本リードを手首に装着して使用した場合、ペットが不意に動いたり暴れたりしてリードを引っ張ったとしても、手首からリードが外れてしまう可能性を排除することが出来るとともに、手首のすぐそばにロープが必ずあるため、そのロープを瞬時に掴み、素早くペットの動きを抑制することも可能となっている。
【0013】
また、排泄物の処理やペットに水を与えるための水筒の準備等で比較的入り口が狭い散歩用カバンであっても、そのカバンの中に手を挿入して動かす動作を行い易く、また、散歩中の処理動作等で仮に手を激しく動かした場合であっても、手首に装着されているリード自体の質量が比較的小さく抑えられているため、手首からリードが外れてしまう可能性を低減することが可能となる。
【0014】
なお、リードはペットの動きを抑制するために使うことが主な目的であるため、ペットの動きを抑制し易い利き手を使うことが多くなるが、散歩中に排泄物の処理やペットに水を与えるための動作等、何らかの処理を行う場合も、比較的、利き手を使った方が便利であることが多いため、本リードは、ペットの動きの抑制と散歩中の処理動作の両方を利き手にて行うことが容易となるため、実用性の高いリードであるといえる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図6】本発明事例(貫通穴直線配置の構造体形状例)
【
図7】本発明事例(貫通穴並列配置の構造体形状例)
【
図8】本発明事例(ロープ平行配置の構造体形状例)
【
図9】本発明事例(ロープ接触回避配置の構造体形状例)
【
図12】本発明事例(貫通穴出入口構造の変形事例1)
【
図13】本発明事例(貫通穴出入口構造の変形事例2)
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1、
図2、
図3、
図4、
図5は、先行技術(特許文献1)にて示されている構造のリードの特徴を示す代表的な図である。このうち、
図4、
図5は、飼い主の手首10にリードを固定した状態、つまり散歩中の状態を示しており、リードの構造体2とロープ1との間で手首10がしっかりと固定されている状態となっているが、構造体2の手のひら側おおよそ半周分については、手首10へのリード固定に直接関与していないにも関わらず、比較的広い空間を占有してしまっていることが見てとれる。この空間占有によって、例えば、散歩カバンの中に手を入れて物を取り出す処理を行おうとした場合に、カバンの口にリード構造が引っ掛かって手をカバンの奥まで入れることが出来なかったり、仮にカバンの奥まで手を入れることが出来たとしても、カバンの中で必要なものを探して手で掴むことが困難となってしまったりすることとなる。
【0017】
本発明のリードは、先行技術(特許文献1)と同じ機能を維持したまま、リード構造自体の空間占有を小さく抑えるために、構造体2の形状を、手首10の外側全周を囲む形状ではなく、その一部外周を切断した形状としている。以下に本発明の具体的な実施事例を複数記載するが、それぞれに長所と短所があるため、リードとして使用する上で、どういった点を優先するかという考え方により、使い分けを行うものとなる。
【0018】
図6に示す構造体2の形状例は、ロープ両外部開口穴4とロープ中央部開口穴5を一直線上に配置している事例である。ロープ中央部開口穴5の外側にロープ両外部開口穴4が配置されているため、ロープ1をペットが繋がっている側に引っ張って手首10にロープ1を巻き付ける場合、および、手首10を構造体2から抜くために、2箇所のロープ中央部開口穴5の間を渡っているロープ1を引っ張って緩める場合ともに、ロープ両外部開口穴4から出ているロープ1とロープ中央部開口穴5から出ているロープ1が接触して互いの動きを邪魔する可能性を低く抑えることが可能であり、結果、手首10のリードへの着脱をスムーズに行うことが可能となっている。ただし、構造体2に構成される2つの貫通穴7は、構造体2の内部にて立体交差させる必要があるため、構造体2の構成は複雑で外形も大きくなってしまう。
【0019】
図7に示す構造体2の形状例は、ロープ両外部開口穴4とロープ中央部開口穴5を手首挿入方向と平行な方向に並べて配置しており、構造体2の内部で2つの貫通穴7を立体交差させる必要がない比較的単純で外形も小さく抑えられる構造となっている。その代わりに、ロープ両外部開口穴4とロープ中央部開口穴5の手首挿入方向についての位置関係が両側2箇所では上下反対で入れ替わってしまっているため、手首10を構造体2から抜くために、2箇所のロープ中央部開口穴5の間を渡っているロープ1を引っ張って緩める時に、ロープ両外部開口穴4から出ているロープ1とロープ中央部開口穴5から出ているロープ1が接触し、互いの動きを邪魔してしまい、手首10へのリードの脱着のやり易さが、
図6で示す形状例の場合より悪くなる可能性がある。
【0020】
図8に示す構造体2の形状例は、
図7の形状例を元にして、ロープ両外部開口穴4とロープ中央部開口穴5の手首挿入方向と平行な方向についての位置関係を両側2箇所で同一となるように配置した事例である。ロープ両外部開口穴4から出ているロープ1とロープ中央部開口穴5から出ているロープ1が接触して、互いの動きを邪魔する可能性は低くすることが出来るが、構造体2に構成される2つの貫通穴7を構造体2の内部にて立体交差させる必要があるため、構造体2が部分的に幅広の外形となってしまい、構成も複雑となってしまう。
【0021】
図9に示す構造体2の形状例は、
図7の形状例を元にして、構造体2の構成を、貫通穴7の立体交差等により複雑化することなく、ロープ両外部開口穴4から出ているロープ1とロープ中央部開口穴5から出ているロープ1が接触して互いの動きを邪魔する可能性を低減した事例である。構造体2の外形を少し大きくして、ロープ両外部開口穴4の2箇所を手首10から少し遠ざける方向に移動させることで、ロープ両外部開口穴4から出ているロープ1とロープ中央部開口穴5から出ているロープ1が接触して互いの動きを邪魔する可能性を低く抑えることが可能であり、結果、手首10のリードへの着脱をスムーズに行うことが可能となっている。
【0022】
図10に示す構造体2の形状例は、
図7の形状例を元にして、構造体2の手首外周方向の長さを短くした事例である。構造体2の貫通穴7を通ってないロープ1は自由な位置に動いてしまうものであり、リード装着時において手首10を挿入する正しい位置を推測するための目安とすることはできないため、手首10を挿入する正しい位置は構造体2の内径より推測することとなる。この形状例は構造体2が短い事例であり、手首10を挿入する正しい位置が比較的分かり難くなってしまう可能性はあるが、手首10にリードを固定した後は、構造体2が小さいため、手の先から手首10を超えた腕の部分までを比較的狭い空間の中に入れた状態であっても、リードを装着したままの状態で手首部分を自由に動かすことが容易となる事例である。
【0023】
図11に示す構造体2の形状例は、
図7の形状例を元にして、構造体2の手首外周方向の長さを長くした事例である。この形状例では、構造体2が大きいため、手の先から手首10を超えた腕の部分までを比較的狭い空間の中に入れることが難しく、また、手の先から手首10を超えた腕の部分までを比較的狭い空間の中に入れた状態では手首部分を自由に動かすことが難しくなってしまうが、リードを装着する時の手首10を挿入する正しい位置については分かり易いという特徴を有した事例である。
【0024】
図12に示す構造体2の形状例は、構造体2のロープ両外部開口穴4とロープ中央部開口穴5を配置する面の位置が、4つの穴で異なっている事例である。この事例では、隣接するロープ両外部開口穴4とロープ中央部開口穴5の出入口が異なる離れた面に構成されており、構造体2のロープ両外部開口穴4から出ているロープ1とロープ中央部開口穴5から出ているロープ1が接触して互いの動きを邪魔する可能性を低減した事例となっている。
【0025】
図13に示す構造体2の形状例は、構造体2のロープ両外部開口穴4とロープ中央部開口穴5の角度が、4つの穴で異なっている事例である。この事例では、隣接するロープ両外部開口穴4とロープ中央部開口穴5の角度が異なっており、ロープ両外部開口穴4から出ているロープ1とロープ中央部開口穴5から出ているロープ1が接触して互いの動きを邪魔する可能性を低減した事例となっている。
【0026】
図14に示す構造体2の形状例は、本発明のリードを構成する構造体2に対して、軽量化のための丸穴形状を多数追加した事例である。ロープ1を強く引っ張っても構造体2に極端な変形が発生しないレベルの剛性は確保しつつ、軽量化を図っている構造となっている。形状例では同じ大きさの丸穴をほぼ等間隔で配置してあるが、穴の形状、大きさ、位置、数量については様々なアレンジが可能である。また、穴を開けない軽量化の方法として、構造体2の一部の厚さを薄くすることも有効な手段である。
【符号の説明】
1 ロープ
2 構造体
3 ペット連結用金具
4 ロープ両外部開口穴
5 ロープ中央部開口穴
6 ロープ結合部
7 貫通穴
8 手首接触パット
9 手のひら
10 手首
11 手首挿入開口穴