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特開2024-161334InGaP層を有するヘテロジニアス集積フォトニックプラットフォーム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024161334
(43)【公開日】2024-11-19
(54)【発明の名称】InGaP層を有するヘテロジニアス集積フォトニックプラットフォーム
(51)【国際特許分類】
   H01S 5/026 20060101AFI20241112BHJP
   H01S 5/323 20060101ALI20241112BHJP
   H01S 5/042 20060101ALI20241112BHJP
   H01S 5/22 20060101ALI20241112BHJP
   G02B 6/12 20060101ALI20241112BHJP
【FI】
H01S5/026 618
H01S5/323
H01S5/042 612
H01S5/22
G02B6/12
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023113077
(22)【出願日】2023-07-10
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-08-26
(31)【優先権主張番号】18/313,347
(32)【優先日】2023-05-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】522194599
【氏名又は名称】ネクサス・フォトニクス・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】チョン・ジャン
(72)【発明者】
【氏名】ゼユ・ジャン
(72)【発明者】
【氏名】ミン・トラン
(72)【発明者】
【氏名】ティン・コムリェノヴィッチ
【テーマコード(参考)】
2H147
5F173
【Fターム(参考)】
2H147AB10
2H147AC02
2H147BA15
2H147BB09
2H147EA05A
2H147EA12A
2H147EA14A
2H147FC01
2H147FC02
2H147FC03
2H147FC07
2H147FC08
5F173AB13
5F173AD15
5F173AF32
5F173AG05
5F173AH03
5F173AH08
5F173AK02
5F173AP32
5F173AP33
5F173AP37
5F173AQ03
5F173AR99
(57)【要約】      (修正有)
【課題】本発明はGaAsバンドギャップ波長の周辺および下で動作し、より良い性能のアクティブデバイスを提供するためにアクティブ導波路とパッシブ導波路との間の効率的なカップリングを促進するバットカップリングおよびテーパ構造を使用するヘテロジニアスレーザーおよびPICを対象とする。
【解決手段】ヘテロジニアスデバイス100はパッシブ導波路構造108およびアクティブ導波路構造を含む。前記パッシブ導波路構造は基板105に取り付けられ、誘電体層を含む。前記アクティブ導波路構造は前記パッシブ導波路構造の上面に取り付けられ、InGaP層101-1の上にある量子井戸層を含む。前記InGaP層はnコンタクト機能を提供する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘテロジニアスデバイスであって、
基板に取り付けられたパッシブ導波路構造であって、前記パッシブ導波路構造は誘電体層を含む、パッシブ導波路構造と、
前記パッシブ導波路構造の上面に取り付けられたアクティブ導波路構造であって、前記アクティブ導波路構造はInGaP層の上にある量子井戸層を含む、アクティブ導波路構造と、を含み、
前記InGaP層がnコンタクト機能を提供する、ヘテロジニアスデバイス。
【請求項2】
前記InGaP層が、50nmから500nmの間の厚さによって特徴づけられる、請求項1に記載のヘテロジニアスデバイス。
【請求項3】
前記InGaP層が、1e18以上のドーピング濃度によって特徴づけられる、請求項1に記載のヘテロジニアスデバイス。
【請求項4】
前記InGaP層が前記アクティブ導波路構造の底面と前記パッシブ導波路構造の上面との間の接着層として機能する、請求項1に記載のヘテロジニアスデバイス。
【請求項5】
前記InGaP層が超格子内の層であり、
前記超格子は前記アクティブ導波路構造の接着界面を含む、請求項1に記載のヘテロジニアスデバイス。
【請求項6】
前記パッシブ導波路構造が、SiN、SiNO、TiO、Ta、(ドープされた)SiO、LiNbOおよびAlNのうちの少なくとも1つを含む誘電体層を含む、請求項1に記載のヘテロジニアスデバイス。
【請求項7】
前記誘電体層が、50nmから600nmの間の厚さによって特徴づけられる、請求項6に記載のヘテロジニアスデバイス。
【請求項8】
前記InGaP層へのコンタクトのための金属化が、Pd、Ge、AuおよびNiのうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載のヘテロジニアスデバイス。
【請求項9】
前記アクティブ導波路構造が前記量子井戸層の上にあるpクラッド層を含み、
前記pクラッド層は400nmより大きな厚さで特徴づけられる、請求項1に記載のヘテロジニアスデバイス。
【請求項10】
前記アクティブ導波路構造が接着されている前記パッシブ導波路構造の上面は、1nm RMS未満の粗さによって特徴づけられる、請求項1に記載のヘテロジニアスデバイス。
【請求項11】
前記アクティブ導波路構造が、1μm≦W≦5μmの幅Wのメサによって特徴づけられる断面形状を有する、請求項1に記載のヘテロジニアスデバイス。
【請求項12】
前記断面形状が、W=W+2μmであるアクティブ幅Wによってさらに特徴づけられる、請求項11に記載のヘテロジニアスデバイス。
【請求項13】
前記アクティブ導波路構造が、5μm<Wの幅Wのメサによって特徴づけられる断面形状を有する、請求項1に記載のヘテロジニアスデバイス。
【請求項14】
前記アクティブ導波路構造が、前記量子井戸層の上にあり、エッチストップ層として機能する第2のInGaPを含む、請求項1に記載のヘテロジニアスデバイス。
【請求項15】
ヘテロジニアスデバイスであって、
基板に取り付けられたパッシブ導波路構造であって、前記パッシブ導波路構造は半導体層を含む、パッシブ導波路構造と、
半導体導波路構造の上面に取り付けられたアクティブ導波路構造であって、前記アクティブ導波路構造はInGaP層の上にある量子井戸層を含む、アクティブ導波路構造と、を含み、
前記InGaP層がnコンタクト機能を提供する、ヘテロジニアスデバイス。
【請求項16】
前記半導体導波路構造が、1.5eV以上のバンドギャップを有する半導体層を含む、請求項15に記載のヘテロジニアスデバイス。
【請求項17】
前記InGaP層が、50nmから500nmの間の厚さによって特徴づけられる、前記請求項15に記載のヘテロジニアスデバイス。
【請求項18】
前記InGaP層が、1e18以上のドーピング濃度によって特徴づけられる、請求項15に記載のヘテロジニアスデバイス。
【請求項19】
前記InGaP層が前記アクティブ導波路構造の底面と誘電体導波路構造の上面との間の接着層として機能する、請求項15に記載のヘテロジニアスデバイス。
【請求項20】
前記InGaP層が超格子内の層であり、
前記超格子は前記アクティブ導波路構造の接着界面を含む、請求項15に記載のヘテロジニアスデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フォトニック集積回路に関連する。より具体的には、本発明の特定の実施形態は、ヘテロジニアス集積レーザーと、光学的にカップリングされた異種材料を使用して短波長で動作する導波路を有するアクティブ構成要素との改善された性能に関連する。
【背景技術】
【0002】
フォトニック集積回路(photonic integrated circuit: PIC)または集積光回路は、複数のフォトニック機能を集積したデバイスであり、電子集積回路に類似している。2つの間の大きな違いは、フォトニック集積回路は光搬送波に乗せられた情報信号のための機能を提供するということである。フォトニック集積回路のためにもっとも商業的に利用されている材料プラットフォームは、リン化インジウム(InP)であり、同じチップ上で様々な光学的にアクティブおよびパッシブな機能の集積を可能にする。多くの現在のPICはInPプラットフォームにおいて実現されているが、PICの実現のためにInPではなくシリコンを使用する重要な研究が過去10年間にあり、シリコンのいくつかの優れた特性および優れた処理能力に起因して、それは既に電子集積回路のためになされた投資を活用する。
【0003】
シリコンをPICのために利用することにおける最大の欠点は、シリコンは電気ポンプ源を提供することを困難にする間接バンドギャップ材料であるということである。この問題は、一般的に、別々のプロセスで異種材料から作られた2つ以上のチップを含むPICを組み立てることによって解決される。このような手法は非常に細かな位置合わせの必要性に起因して困難であり、パッケージングコストを増加させ、スケーリングの制限をもたらす。バンドギャップ問題を解決する別の手法は、2つの異種材料を接着してそれらを一緒に処理し、異種材料のより大きな部品または完全なウエハの接着の間の正確な位置合わせの必要性を取り除き、大量生産を可能にすることである。この開示において、我々は「ハイブリッド(hybrid)」という用語を、別々に処理された部品の正確な組み立てを含む第1の手法を記述するのに使用し、我々は「ヘテロジニアス(heterogeneous)」という用語を、2つの材料を接着し、その後接着した結果物を処理して導波路および他の目的の構成要素を画定する後者の手法を記述するのに使用する。
【0004】
異種材料の間で光信号を伝送するために、ヘテロジニアス手法は、その寸法が異種材料の有効モード屈折率が一致するまで次第に減少するテーパを利用し、効率的な電力伝送がある。この手法は、シリコンおよびInPの場合のように、材料が屈折率において小さな差を有するときに一般にうまく働く。例えばSiNおよびGaAs(およびその三元系や四元系)の間など、有効屈折率においてより大きな差がある場合には、テーパ先端寸法への要件は法外なものになり、効率的なパワー伝送を制限する。具体的に、(数十ナノメートルのオーダーの)極端に小さなテーパ先端幅が、良いカップリングを提供するために必要であり得る。そのような寸法を達成することは複雑であり、ひどく高いコストがかかる。
【0005】
InPおよびシリコン系のPICは多くの現在の必要に対処するが、それらはいくつかの制限を有する;とりわけ、動作波長範囲が損失を増加させる材料吸収により制限されるという事実、およびPICが扱うことができる最大の光強度、および結果的に光パワーに制限があるという事実がある。これらの制限に対処するため、SiN、SiNO、LiNbO、TiO、Ta、AlNまたはその他などの代替の導波路材料が検討されてきた。一般に、そのような誘電体導波路は、より良いハイパワーハンドリングおよびより短い波長における透明性を提供するより高いバンドギャップエネルギーを有するが、一般にそのような材料はより低い屈折率も有する。例えば、約5eVのバンドギャップを有するSiNは約2の屈折率を有し、AlNは約6eVのバンドギャップおよび約2の屈折率を有し、約8.9eVのバンドギャップを有するSiOは約1.44の屈折率を有する。比較すると、GaAsの屈折率>3である。このことは、テーパ手法を困難にする。
【0006】
代替のハイブリッド手法は、既に上で述べた欠点、すなわち正確な位置合わせの必要性、およびそれに応じて複雑なパッケージングとスケーリングの制限に苦しむ。
【0007】
上で議論した問題に対する最近の手法は、極端に小さなテーパ幅の必要性なしに使用されるヘテロジニアスプロセスを可能にするために、モード変換器と組み合わせてバットカップリングを用いる米国特許第10,859,764号明細書で発表された。より長い波長で動作するときには良い性能を提供するが、より短い波長で動作するときは主にコンタクト層に関する制限に起因してこれはより困難となる。多くのネイティブレーザー(例えば同じ種類の基板上に作製された市販のInPまたはGaAsレーザー)において電流は典型的には上から下に広がるため、たとえそれらの層が動作波長において吸収性であっても、コンタクト層からの損失を制御するために厚いクラッドが使用されることができる。典型的なヘテロジニアス集積において、電流は通常上から横に広がるので、モードはコンタクト層のうちの少なくとも1つと大きな重なりを有する。ヘテロジニアスなシリコン集積のためには、例えばKomljenovic et al、 “Photonic integrated circuits using heterogeneous integration on silicon” (DOI: https://doi.org/10.1109/JPROC.2018.2864668)を参照し、ヘテロジニアスな窒化ケイ素集積のためには例えばTran et al、 “Extending the spectrum of fully integrated photonics to submicrometre wavelengths” (DOI: https://doi.org/10.1038/s41586-022-05119-9)を参照されたい。前者のヘテロジニアス集積の手法は典型的に1250nmから1700nmまでの波長範囲をカバーするために使用される一方、バットカップリングおよびモード変換を含む後者の手法は約975nmから1050nmまでの波長範囲をカバーするために使用されており、下は約900nmまで動作することができる。
【0008】
1つの提案された解決法は、米国特許出願第18,071,239号明細書、で議論されるように、底部コンタクトが光モードから遠く離れるようクラッド厚さを増加させることであるが、この手法はより複雑なカップリング構造(典型的には1より多い層を有する)およびより複雑な全体のプロセスを必要とする可能性がある一方、依然としてゲイン/アクティブ構造とパッシブ構造との間で比較的高いカップリング損失が生じる。より高い損失の主な理由のうちの1つは、アクティブ構造およびパッシブ構造における光モードの中心の大きな垂直オフセットである。この大きなオフセットは、エバネッセント的にアクティブ構造にカップリングし、分布帰還型(destributed feedback:DFB)レーザーを作製する一般的な方法である周期構造を画定するためにパッシブ構造を使用する能力も制限する。
【0009】
多くの用途が波長900nmより下で動作する光源およびPICを必要とする。これに対し、GaAs系ゲイン材料システムが下は波長630nmまで良い性能を提供する。GaAsレーザーは、そのバンドギャップが約870nmであり、バンドギャップ波長の周辺または下で動作するレーザーの光モードがコンタクト層との重なりを有する場合に非常に高い損失をもたらすGaAsコンタクトを典型的には利用する。より短い波長において透明性を提供するために、AlGa1-xAsが時にクラッドとして使用され、コンタクトとして用いられ得るが、高いAl濃度は、ヘテロジニアスレーザーの多くの態様で重大な困難を有する。処理するのが困難であり、より高い損失をもたらす可能性があり、信頼性の懸念を有し、それと良いコンタクトを作製するのは非常に困難であり(基板と、接着された材料との間の熱膨張係数の差に起因してヘテロジニアスレーザーにおいて熱収支の制限がある)、高い歩留まりで接着するのは困難である。これらすべての理由のために、GaAsバンドギャップ波長の下で動作することができる高性能なヘテロジニアスレーザーに対する必要性があることは明らかである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許第10,859,764号明細書
【特許文献2】米国特許出願第18,071,239号明細書
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】Komljenovic et al、 “Photonic integrated circuits using heterogeneous integration on silicon” (DOI: https://doi.org/10.1109/JPROC.2018.2864668)
【非特許文献2】Tran et al、 “Extending the spectrum of fully integrated photonics to submicrometre wavelengths” (DOI: https://doi.org/10.1038/s41586-022-05119-9)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明はGaAsバンドギャップ波長の周辺および下で動作し、より良い性能のアクティブデバイスを提供するためにアクティブ導波路とパッシブ導波路との間の効率的なカップリングを促進するバットカップリングおよびテーパ構造を使用するヘテロジニアスレーザーおよびPICを対象とする。特に、以下に記述される実施形態は、高い歩留まりの接着、高性能コンタクトおよび高い均一性と歩留まりを有するロバストな半導体加工を支援するレーザー構造の詳細な設計に関係している。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】端から見た断面図で示された、本発明の一実施形態によるデバイスを示す。
図2】例示的なヘテロジニアスレーザーにおけるいくつかの閉じ込め係数へのコンタクト層厚さの影響を示し、3つの例示的なモード形状を提供する。
図3】本発明のいくつかの実施形態によるデバイスの6つの端から見た断面図を示し、同じものを作製するための加工ステップを例示する。
図4】本発明のいくつかの実施形態によるデバイスの断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
ウエハ接合および異種材料の堆積を使用し、モード変換およびバットカップリング方式の使用により光カップリングが改善されるフォトニック集積回路の実現のためのプラットフォームの実施形態を本明細書において説明する。より具体的には、本発明の特定の実施形態は、短波長で動作した際に高い歩留まりの接着、高性能コンタクトならびに高い均一性及び歩留まりを有するロバスト加工を支援するレーザー構造の詳細な設計に関連する。
【0015】
以下の詳細な説明において、本明細書の一部を形成する添付図面が参照され、添付図面では全体を通して同様の符号は同様の部分を示し、本開示の主題を実施することができる実施形態が例示として示される。他の実施形態が利用されてもよく、本開示の範囲から逸脱することなく構造的または論理的変更が行われてもよいことが理解されるべきである。したがって、以下の詳細な説明は、限定的な意味で解釈されるべきではなく、実施形態の範囲は、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される。
【0016】
説明では、上部/底部(top/bottom)、内側/外側、上/下(over/under)などの視点に基づく説明を使用する場合がある。このような説明は、単に議論を容易にするために使用されるものであり、本明細書に記載される実施形態の適用を特定の方向に制限することを意図するものではない。説明では、「ある実施形態において」または「実施形態において」という語句が使用される場合があり、これらはそれぞれ、1つまたは複数の同じまたは異なる実施形態を指す場合がある。さらに、本開示の実施形態に関して使用される「含む(comprising)」、「含む(including)」、「有する(having)」などの用語は同義である。
【0017】
本開示の目的上、「Aおよび/またはB」という語句は、(A)、(B)、または(AおよびB)を意味する。本開示の目的上、「A、B、および/またはC」という語句は、(A)、(B)、(C)、(AおよびB)、(AおよびC)、(BおよびC)、または(A、B、およびC)を意味する。
【0018】
「と結合した(coupled with)」という用語は、その派生語とともに、この明細書において使用され得る。「結合した(coupled)」は以下の1つ以上を意味してもよい。「結合した(coupled)」は2つ以上の要素が直接物理的、電気的、または光学的に接触しているということを意味してもよい。しかし、「結合した(coupled)」はまた2つ以上の要素が間接的に互いに接触しているが、依然として互いと協同または相互作用することを意味してもよく、1つ以上の他の要素が、互いに結合していると言われる要素の間で結合または接続されているということを意味してもよい。「直接的に結合した(directly coupled)」という用語は、2つ以上の要素がそれらの表面の少なくとも一部において直接接触していることを意味する。「バットカップリングした(butt-coupled)」という用語は、本明細書において、「端を合わせた(end-on)」または軸結合を意味するその通常の意味で使用され、そこでは問題の要素の間の最小または0の軸方向のオフセットがある。例えば、軸方向のオフセットは、例えば典型的には高い反射性または反射防止性の機能を提供するために使用される薄いコーティング層などのある種の薄い介在層が要素の間に形成される場合に、0よりもわずかに大きい。2つの導波路構造または要素の軸は、バットカップリングしていると正確に記述されるために、それらにとって同一線上にある必要はないことに留意されたい。言い換えると、要素の間の界面は、例えば角度のついた界面の場合にはどちらの軸に対しても垂直である必要がない。バットカップリングした構造の間で断熱変化は発生しない。
【0019】
「アクティブデバイス」、「アクティブ構造」またはその他の「アクティブ」要素、部分、構成要素という用語が本明細書中で使用され得る。アクティブと呼ばれるデバイスまたはデバイスの一部は、電気的コンタクトを使用して、光生成、増幅、変調および/または検出ができる。これは、我々が「パッシブデバイス」、「パッシブ構造」またはその他の「パッシブ」要素により意味するものとは対照的であり、これらの主要な機能は光を閉じ込めて導くこと、および/またはパッシブデバイスに一般的に関連付けられる分割、結合、フィルタリングおよび/またはその他の機能を提供することである。いくつかのパッシブデバイスは、例えば、変調を提供できる熱的効果などを使用して実装された位相チューニングなどのアクティブデバイスの機能性と重なる機能を提供することができる。純粋に材料組成またはデバイス構造に基づいた「アクティブ」と「パッシブ」の間の絶対的な区別は想定されるべきではない。例えば、シリコンデバイスは特定の変調条件または低波長放射の検出下ではアクティブとみなされることができるが、その他のほとんどの状況ではパッシブであるとみなされる。
【0020】
図1は短波長での動作に最適化されたヘテロジニアス集積フォトニックデバイス100の端から見た概略断面図である。いくつかの実施形態では、動作の波長は900nmよりも短い。例示的な断面は、Si、InP、GaAs、クオーツ、サファイア、ガラス、GaN、シリコンオンインシュレータまたは当技術分野において知られている他の材料などの、半導体および誘電体加工に適した任意の基板であり得る基板105を含む。示された実施形態において、第2材料の層104は、当技術分野で知られている技術を使用して、基板105の上面に堆積、成長、転写、接着、または他の方法で取り付けられる。層104の主な目的は、光クラッドを材料102(以下に説明する)に提供し、必要であれば光導波路を形成することである。光導波路は、より高い屈折率のコアを2つのより低い屈折率の層の間に位置させて光波を閉じ込めることによって一般的に実現されている。いくつかの実施形態では、層104は省略され、基板105自体がクラッドとして機能する。
【0021】
層102は、当技術分野で知られている技術を使用して、層104が存在すれば層104の上部に、および/または基板105の上部に堆積、成長、転写、接着、またはそうでなければ取り付けられる。層102の屈折率は、層104が存在すれば層104の屈折率よりも高く、または、層104が存在しなければ、層102の屈折率は基板105の屈折率よりも高い。一実施形態において、層102の材料は、SiN、SiNO、TiO、Ta、(ドープされた)SiO、LiNbOおよびAlNのうちの1つ以上を含むことができるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、他の一般的な誘電体材料が層102に使用されてもよい。他の実施形態において、高バンドギャップ半導体材料が層102に使用されてもよい。高バンドギャップ半導体は、1.5eVよりも大きなバンドギャップエネルギー(または830nmよりも短いバンドギャップ波長)により定義されてもよい。高バンドギャップ半導体材料の例はGaN、AlGaN、AlGaAs(Al濃度>5%を有する)などであり、通常は700nmよりも短いバンドギャップ波長で特徴づけられる。層104および層102のいずれかまたは両方は、当技術分野において一般的なように、パターン化、エッチング、または再堆積してそれらの機能性(導波路、スプリッター、カプラー、格子または他のパッシブ構成要素を画定する)を調整してもよい(図1には示されていない)。層102は、特許請求の範囲を含む本開示の残りの部分においてパッシブ層またはパッシブ構造と呼ばれるものに相当する。
【0022】
層108の屈折率は層102の屈折率よりも低く、層108は層102の上にあり、層101および層403(図1では見えないが、図4を参照して以下で説明される)の下にある。層108は、図4においてさらに示されるように、層102のパターン化された表面を平坦化する働きがある。いくつかの実施形態では、層108の上面の平面性は、化学機械研磨(chemical mechanical polishing:CMP)または他のエッチング、化学的および/または機械的研磨方法により提供される。他の実施形態では、例えば層108の材料がスピンオンガラス、ポリマー、フォトレジストまたは他の適切な材料である場合、平面性はそれにより層108が堆積される方法の本質的な性質によって提供される。平坦化は、所望の、典型的には非常に低い厚さの層を(図1に示すように)層102の上部上に残すために、または層102の上面のレベルよりも上のすべての材料を取り除くため(示されていない)に制御されてもよい。層108が層102の上部上に残る場合、目標の厚さは10nmから数百nmの範囲内であり、実際の厚さは平坦化プロセスの不均一性に起因して目標の厚さよりもゼロから数百nmの間大きい。いくつかの実施形態では、スピンオン材料が平坦化するために使用され、その後エッチバックされ、典型的なCMPプロセスと比較して改善したウエハにわたる全体の均一性が結果として得られる。層108の上面は、典型的には、それを接着に適したものにする低い表面粗さで特徴づけられる。場合によっては、粗さ<5nm RMSであり、さらに他の実施形態では粗さ<1nm RMSである。表面粗さが低減するほど接着の歩留まりが改善されることが一般的に知られている。良いCMPプロセスにより0.5nm RMS未満またはそれより低い(より良い)表面粗さが得られる。
【0023】
層101は、対応するパッシブ導波路またはパッシブ導波路構造(108、102)上面の少なくとも一部の上部上に接着されている。接着は直接の分子結合であり得、または、例えば当技術分野で知られているようにポリマーフィルムなどの追加の材料が接着を促進するために使用され得る。接着材料は、使用される場合、光モード150は層108といくらかの重なりを有するため、動作の波長において合理的に低い損失を有さなければならない。層101は一般にアクティブデバイスと呼ばれるものを構成し、GaAsおよびInP系の三元系および四元系材料を含む材料でできているが、これらに限定されない。層101は、いくつかの実施形態において、また図1において示されるように、多層化されており、アクティブデバイスについて当技術分野で知られているように、光学的および電気的閉じ込めならびに電気的コンタクトを提供するサブレイヤーを含む。図1に示される実施形態において、層101は101-1、101-2、101-3、101-4および101-5の5つの個別のサブレイヤーを含み、これらの全ては追加のサブレイヤーを含むことができる。いくつかの実施形態における層101のサブレイヤーは、垂直の閉じ込め(図1中の上/下)を提供する一方、横方向の閉じ込め(図1中の左/右)はアクティブデバイスについて当技術分野で知られているように少なくとも1つのエッチングにより提供され、図3の助けを借りてより詳細に説明される。
【0024】
層101は、特許請求の範囲を含む本開示の残りの部分においてアクティブ層、アクティブ導波路、またはアクティブ導波路構造と呼ばれるものに相当する。
【0025】
サブレイヤー101-1は高ドープInGaP nドープコンタクト層を含む。いくつかの実施形態において、InGaP nドープコンタクト層の厚さは50nmから500nmの間である。ドーピングは、良いコンタクトを提供するために典型的には1e18以上であるが、いくつかの実施形態ではより低い可能性がある。ドーピングは、一定、区分的に一定、もしくは段階的、またはこれらのうちのいずれかもしくは全ての組み合わせであり得る。いくつかの実施形態において、典型的にはInGaP nドープコンタクト層の厚さが150nmより大きいとき、ドーピングは(コンタクトに向かって)上部で高く、(108または102との接着界面に向かって)底部で低くあり得る。これは、結果として内部損失を減少させることができる。コンタクト109aおよび109bは、光モード150から横方向にオフセットされており、これらは光損失に寄与しない。いくつかの実施形態において、サブレイヤー101-1は、異なる特性を有する少なくとも2つの薄い層によって実現された超格子も含む。超格子は、転位の伝搬を防ぐのに役立つことができ、または他の方法でよりロバストなレーザー性能を促進することができる。いくつかの実施形態において、超格子は、InGaPとAlInPの薄い層により実現される。いくつかの実施形態において、転位フィルタリング効果を向上させるために低いひずみが超格子層に導入される。各超格子層の典型的な厚さは10nm未満であるが、50nmまで厚くなり得る。多くの実施形態において、超格子は、その優れた安定性及び加工性に起因して、InGaPを最終層(底部にある)として優先する。いくつかの実施形態において、サブレイヤー101-1のInGaP層は、追加の薄い層を必要とせずに層102/108に直接接着され得る。
【0026】
51%のGaを有するInGaPのバンドギャップ波長は約650nmであり、約660nmかそれより長く動作するレーザーのための低い光損失を可能にする。Ga成分が増加すればバンドギャップ波長はさらに低くなり得、70%のGa濃度を有すると580nmまで低くなり得る。
【0027】
アクティブデバイスの直列抵抗に影響し、(図2の助けを借りてより詳細に説明されるように)量子井戸における閉じ込めに影響し、(図3の助けを借りてより詳細に説明されるように)コンタクトがエッチングにより開くときにプロセス制御要件に影響するので、(高ドープ領域を含む)InGaPコンタクト層101-1の厚さは最適化パラメータである。
【0028】
サブレイヤー101-2および101-3は、アクティブ幅と呼ばれるものを画定する(図3中の幅337を示す表示330も参照)。いくつかの実施形態において、アクティブ幅はメサ幅(図3中の表示320に見られるように、パターン化されたサブレイヤー101-4および101-5によって画定される幅327)と同じであり得るが、示された実施形態においては、アクティブ領域101-3のエッチングされた側壁との光モード150の重なりを低減する目的で、アクティブ幅337はメサ幅327よりも大きい。アクティブ領域101-3は、任意選択の分離閉じ込めヘテロ構造(separate-confinement heterostructure: SCH)層とともに、量子井戸、量子ドット、p-n接合および/またはp-i-n接合層を含む。特許請求の範囲を含むこの開示の残りの部分では、「量子井戸」という用語は、簡単のため、量子ドット層、p-n接合層、p-i-n接合層および量子井戸層ならびに/またはそれらのうちの2つ以上の組み合わせを含むために使用される。いくつかの実施形態において、図3の助けを借りて詳細に説明されるように、サブレイヤー101-3の上部層はInGaPであり、エッチストップ層として役立ち、エッチングおよびアクティブデバイスの均一性を改善し得る。
【0029】
任意選択のサブレイヤー101-2は、nクラッド層および/またはn導波路層として一般に知られるものを含み得る。両方の場合において、サブレイヤー101-2の層は、コンタクト領域よりも典型的には小さいバックグラウンドドーピングを有する、動作波長において光学的に透明な材料を含む。いくつかの実施形態において、ドーピングは1e18以下であり得る。他の実施形態において、ドーピングは一定、区分的に一定、段階的、および/またはいくつかもしくは全ての組み合わせであり得る。いくつかの実施形態において、そのような層はInGaP三元系および/またはAlInGaP四元系半導体によって実現され得、それらの両方は高品質でGaAs基板上に成長し得る。他の実施形態において、nクラッドおよび/またはn導波路の機能性は、バリア層および/またはサブレイヤー101-3内のSCH層によっても提供され得る。
【0030】
サブレイヤー101-4はpクラッド層、すなわち、光モード150と金属110との間、および光モード150と以下に説明するpコンタクト機能性を提供するサブレイヤー101-5との間の重なりを制御することによって内部損失を低減するのに役立つクラッド層である。サブレイヤー101-4は、改善された性能を提供するため、または半導体デバイス設計および製造の分野において知られているようによりロバストな製造を促進するため、バンドギャップ平滑化層、エッチストップ層、段階的な層などの追加の層を含むことができる。サブレイヤー101-4は、典型的には1e16から2e18の間のドーピングレベルでドーピングされる。サブレイヤー101-4の厚さは、動作の波長、およびpクラッド層とサブレイヤー101-3との間の屈折率差に依存して変化する。いくつかの実施形態において、pクラッド層の厚さは400nmよりも大きい。ドーピングおよび厚さの最適化は、光損失を許容可能に低く保ちながらも、pクラッド層を通った直列抵抗を低く保つことのバランスをとる。pドープ材料は典型的にnドープ材料よりも高い光損失を有すること、およびpクラッドのより薄い層は、以下に説明される、pコンタクト層101-5とのモードのより多い重なりを可能にすることに留意されたい。サブレイヤー101-4のドーピングは、一定、区分的に一定、段階的、および/またはこれら全ての組み合わせであり得る。接触抵抗の最適化及び光損失の最適化の両方は、市販の数値ソルバー、または解析的表現と近似式を含む他のシミュレーション/計算手法によって実行され得る。いくつかの実施形態において、pクラッドはInGaP三元系および/またはAlInGaP四元系半導体によって実現され得る。
【0031】
サブレイヤー101-5はpコンタクト層である。いくつかの実施形態において、サブレイヤー101-5は高濃度でpドープされたGaAs層を含む。いくつかの実施形態において、ドーピングは5e18よりも大きい。更なる他の実施形態において、ドーピングはさらに高く、1e19以上に達する。比較的厚いpクラッドがモード150とサブレイヤー101-5の重なりを非常に小さく保つので、GaAs層(レーザー動作波長よりも長いバンドギャップ波長を有する)がこのコンタクトのために利用され得る。他の実施形態において、高濃度で(5e18超)pドープされたInGaPもpコンタクト層のために利用され得る。いくつかの実施形態において、コンタクト層の厚さは50nmから250nmの間である。
【0032】
コンタクト109a、109bおよび110は(サブレイヤー101-1および101-5の一部として)それぞれの半導体コンタクト層にオーミックコンタクトを提供する。いくつかの実施形態において、コンタクト110は、GaAs半導体レーザー分野において一般的であるように高濃度でpドープされたGaAsへの標準的な金属コンタクトとして実現され得る。高濃度でpドープされたInGaPコンタクト層の場合は、オーミックコンタクトのための例示的な金属化は:
1. Ti/Pt/Au:Ti(<50nm)、Pt(<100nm)、Au(>100nm)、アニール400℃未満、アニール時間120秒未満
であり得る。
コンタクト109aおよび109bは、ドープされたInGaP層の使用に関する制限、および活性化/急速熱アニール温度を450℃未満またはそれより低く制限するヘテロジニアスシステムの典型的な熱的制限に起因して、特別な配慮を必要とする。金属スタックおよびアニール条件の選択は、2つの最も重要な要因である。本発明に適した400℃未満の活性化温度を有するInGaPオーミックコンタクトのいくつかの例は下記の通りである:
2. Pd/Ge/Au:Pd(<20nm)、Ge(<200nm)、Au(>100nm)、アニール375℃未満、アニール時間120秒未満
3. Ge/Ni/Ge/Au:Ge(<20nm)、Ni(<50nm)、Ge(<100nm)、Au(>100nm)、アニール375℃未満、アニール時間120秒未満。
括弧内の数字は特定の金属層の最適な厚さ制限を示唆するが、多様な修正からもオーミックコンタクトが結果として生じうることは当業者にとって明らかである。すべてのコンタクトは、アクティブデバイスの効率的な電流および/または電圧制御を促進するためにビアを介してパッド金属(示されていない)に接続され得る。
【0033】
上部クラッド層107は、これらに限定されるものではないが、ポリマー、SiO、SiN、SiNO等を含む任意の適切な材料であり得る。いくつかの実施形態において、同じ材料が層107および層108に使用される。いくつかの実施形態(示されていない)において、層107のクラッド機能は複数の堆積および複数の材料によって提供され得、例えば両方がクラッドおよびアクティブデバイスの不動態化を提供し得る。
【0034】
破線矢印160は、デバイスの上面から側面まで、アクティブ領域を通過する典型的な電流注入経路を例示し、ヘテロジニアス集積と本来の(モノリシック)フォトニックプラットフォームとの間の重要な違いのうちの1つを例示する。図1に示されているように、モードはコンタクト層(図1に示された実施形態中のnコンタクト)のうちの少なくとも1つと大きな重なりを有する。図2は、この観点で追加の詳細を提供する。
【0035】
図2は、InGaPコンタクト層を使用した最適なヘテロジニアスレーザー構造を設計することに関するいくつかの例示的なシミュレーション結果を示す。表示200は、InGaP層101-1の厚さが50nmから500nmの間で変化した際の量子井戸層(サブレイヤー101-3の一部)、InGaP底部nコンタクト(サブレイヤー101-1の一部)およびGaAs上部pコンタクト(サブレイヤー101-5の一部)における閉じ込め係数の変化を示す。プロットにおいて閉じ込めはパーセンテージで指定されることに留意されたい。この例示的なレーザー構造において、InGaP nコンタクト中の閉じ込めは150nmのコンタクト厚さで約1%であり、このような厚さは良好な直列抵抗を提供することができる。このことは低損失、高バンドギャップコンタクト材料を使用することの重要性を証明している。全体の閉じ込めは1e-5未満であり1e-6に近く、これはGaAsコンタクト層からの内部損失への小さな寄与を結果として生じるので、pコンタクトの影響は非常に小さい。表示220、240および260は、それぞれ50nm、150nmおよび250nmのInGaP底部コンタクト厚さを有する例示的なレーザー構造での例示的なモード形状を(等高線として)示す。モード形状、および内部損失と量子井戸における閉じ込めとの両方の制御に対するnコンタクト厚さの影響は大きい。アクティブデバイスの性能を最適化するために、光モードの細かな最適化は、標準的な材料ライブラリを有する市販のソルバーを使用して容易に実行できる。
【0036】
図3は、上述した種類の集積デバイスを作製するために実行される作業中のいくつかの例示的なステップの後のデバイス断面に対応する6つの表示(300、310、320、330、340および350)を示す。デバイスを作製するための作業は、常に全ての示された機能、作業またはアクションを含む必要はなく、それらを表示300から350に至る順序によって示される正確な順序で含む必要もない。
【0037】
しかしながら、例示的な場合において、InGaP層を有するヘテロジニアスプラットフォームに特有の作業の結果は最初に表示300になる。ここでは、図1の助けを借りてより詳細に示され、説明されたような、基板(105)、底部クラッド(104)、パッシブ導波路(102)および平坦化層(108)上に実現された適切なパッシブ構造302は、ヘテロジニアスプロセスで一般的であるように、それらの上に接着されたアクティブ層301のダイまたはウエハを有する。これを達成するためのステップは、例えば米国特許第10,641,959号明細書または他のヘテロジニアス集積の参考文献で説明されるステップと同様である。接着されたアクティブ層301は、図1の助けを借りて説明したように5つのサブレイヤー101-1から101-5を含み、これらの5つのサブレイヤーがその上に成長する、基板309も含む。より良い材料品質を促進するため(例えばバッファ層)および/または基板除去を促進するため(例えばエッチストップ層)に、5つのサブレイヤーと基板との間に追加の成長層があり得る。
【0038】
その後、作業は表示310に示される次のステップに進むことができる。ここで、基板309は取り除かれ、アクティブ層311は上述したような5つのサブレイヤーのみを含むようになる。除去プロセスは機械的研削/ラッピング/研磨、化学機械研磨、ドライエッチングおよび/またはウェットエッチングの組み合わせを利用することができる。いくつかの実施形態において、InGaPの層がプロセス制御の改善を促進するために選択的な層として使用される。いくつかの実施形態において、基板は機械的に50μm未満まで薄くされ、その後最終的な基板の除去は選択的なエッチングにより実行され、結果として基板除去プロセスの非常に高い均一性をもたらす。基板の除去により、5つのサブレイヤーを含む薄い層のみがパッシブ構造(302)ウエハの上面上に残る。いくつかの実施形態において、残った層の厚さは5μm未満であり、その後の加工への高品質フォトリソグラフィの使用を可能にする。接着する前に302において画定されるパッシブ構造と、続くステップで画定されるアクティブ構造との間の位置合わせは、パッシブ構造(302)ウエハ上の一般的なリソグラフィ位置合わせマークの使用に起因して非常に良い(250nm未満か、より良い)。これは、デバイス均一性に関するヘテロジニアス集積の重要な利点のうちの1つである。
【0039】
この例示的な場合において、プロセスは(幅W327の)メサ323のエッチングが実施された後の断面を示す表示320に進んでもよい。そのようなエッチングはドライおよび/またはウェットエッチングを利用することができ、ウエハにわたる均一性を改善するためにエッチストップ層を利用することもできる。残ったアクティブ層321は、このステップではエッチングされない。いくつかの実施形態において、メサをエッチングする際にInGaPが選択的なエッチストップ層として使用される。いくつかの実施形態において、メサ幅は1μmから5μmの間である。さらに他の、典型的にはハイパワー設計では、メサ幅は5μmよりも大きく、100μm以上まで厚くあり得る。
【0040】
次に、プロセスは(幅W337の)アクティブ部334のエッチングが実施された後の断面を示す表示330に進んでもよい。そのようなエッチングはドライおよび/またはウェットエッチングを利用することができ、ウエハにわたる均一性を改善するためにエッチストップ層を利用することもできる。残ったアクティブ層331(図1の助けを借りて説明したようにサブレイヤー101-1を含む)はこのステップではエッチングされない;それはエッチストップを提供するためのInGaP層を含み、図1および図2に関連して説明したようにコンタクトも含む。いくつかの実施形態において、アクティブ幅337はメサ幅327よりも少なくとも2μm大きい。他の実施形態(示されていない)において、アクティブ幅337はメサ幅327と実質的に同じ幅であり得る。
【0041】
次に、プロセスは金属コンタクト345が堆積された後の断面を示す表示340に進んでもよい。いくつかの実施形態において、nコンタクト(表示340内の底部コンタクト)はアクティブエッチの後、いったん図1中の101-1に対応するnドープInGaP層341が露出すれば、堆積されなければならない一方、pコンタクト(表示340内の上部コンタクト)の堆積は、先に(例えば表示310での基板除去の後、または表示320でのメサエッチングの後)行われることができる。図1に関連して以前に説明したように、pドープ層およびnドープ層のための金属化は異なる。
【0042】
最後に、プロセスはビアを開け金属パッド356を堆積する前に(図1および層107に関連して説明したように)クラッド359の堆積に進んでもよい。結果は表示350に示されている。
【0043】
様々な誘電体層および/または半導体層の更なる加工、および/または電気的コンタクト、ビアおよび屈折率マッチング層の追加および加工が、当技術分野で知られているように実行されてもよい。これは、ヒーター、不動態化、トレンチのエッチング、遮光構造の形成などを含み得る。
【0044】
プロセスは、エッチング選択性、および低い光損失を有する高バンドギャップコンタクトを提供するためにInGaP層の利点を活用する。適切なドライエッチング条件(ガス選択、プラズマパワー等)またはウェットエッチング液(化学物質の選択)によって、InGaPは異なる(GaAsなどの)III/V族化合物から選択的に取り除かれることができ、またはその逆があり得、高度なプロセス制御および均一性を提供する。
【0045】
図4は、異種材料間の効率的なカップリングのためバットカップリングおよびモード変換を利用した集積フォトニックデバイス400の概略断面図である。機能性層401から408は、(明示的に異なるように定義されない限り)図1に関連して説明したような機能性層101から108に対応する。
【0046】
層408は、その屈折率が層402の屈折率よりも低く、層402を覆い、層401および403の下にある(以下に、より詳細に説明される)。
【0047】
層402を含み、任意選択で層408を含む、対応するパッシブ導波路構造の少なくとも一部の上面上に層401が接着される。層401は一般にアクティブデバイスと呼ばれるものを構成し、(図1の助けを借りて説明したようにサブレイヤー101-2、101-3、101-4および101-5を含む)サブレイヤー401aと、図1の助けを借りて説明したようにサブレイヤー101-1を含むサブレイヤー401bと、を含む。401bは、コンタクトを提供するために使用される高濃度ドープされたInGaP層を含む一方、動作の波長において光学的に透明である。光モード450(アクティブデバイスの内部で誘導される)とサブレイヤー401bとの重なりは(図2でも示されたように)大きく、いくつかの実施形態では、光モードのエバネッセントテールは層402/408まで広がる。したがって、402/408内の周期構造は、分布帰還型(DFB)レーザーなどを実現するための光フィードバックを提供し得る。
【0048】
アクティブ構造401内で支持される光モード450と、層402がコアを提供するパッシブ構造内で支持される光モード453との効率的なカップリングは、層403と、層406が存在する場合は層406と、によって促進される。任意選択の層406は、層401と層403との界面で、主に反射防止コーティングまたは高反射性コーティングのいずれかとして働く。層403は、いくつかの実施形態において、層401がコアを提供する導波路内で支持される光モードのプロファイル(線450で描かれている)を受け入れ、それをモードプロファイル451として効率的に捕捉し、それをモードプロファイル452へと徐々に伝送し、最終的に453へと伝送する、中間導波路として働く。モードプロファイル453は、層402がコアを提供する導波路に効率的にカップリングされる。
【0049】
中間層103の使用は、短波長範囲での動作を支持する非常に高い屈折率の材料(例えばGaAs/InPならびにその三元系および四元系など)から、例えばSiN、SiNO、TiO、Ta、(ドープされた)SiO、LiNbOおよびAlNなどの層402内の低屈折率材料への間の効率的な伝送を大きく改善する。
【0050】
それぞれ層401および層402内の導波路によって支持される光モードの間の差異は、モードプロファイルの観察から明らかであるか、または明らかでないが、モード450と453との間の(図4における)非ゼロの垂直オフセットに伴う100%未満のモード形状の重なりは、(中間層403が無い場合)結果として大きな光損失をもたらし得る。いくつかの実施形態において、2dBまでの損失は許容可能とみなされ得るが、それより大きい損失は許容可能とみなされない可能性がある。他の場合、5dBの損失水準が許容可能性のための選択された基準であってもよい。層403の機能は、(モード450と453との間の)不完全なモードの重なりおよび垂直オフセットに起因する光カップリング損失を、所与の用途における許容可能な水準としてなんであれ決定されたものよりも低く保つことである。
【0051】
いくつかの実施形態において、層408は存在せず、層401および層403の両方がパターン化層402の上部上に、401は接着によって、403は様々な堆積手法によって配置される。そのような実施形態では、平坦化ステップは無い。
【0052】
これらの例示的な実施形態は、本発明を利用するヘテロジニアス集積レーザーおよび短波長で動作するアクティブ構成要素のいくつかの例のみを教え、多くの他の同様のアレンジメントが想像され得るということが理解されるだろう。さらに、そのようなレーザーおよびアクティブ構成要素は、追加の機能性またはより良い性能を提供するために、様々なフィルタリング要素、増幅器、モニターフォトダイオード、変調器、および/またはその他のフォトニック構成要素などの複数の他の構成要素と組み合わせられ得る
【0053】
本発明の実施形態は多くの利益を提供する。集積プラットフォームは、より高い性能、および/または広帯域の波長範囲で動作する能力を提供する複数の材料から作製されるPICのスケーラブルな製造を可能にする。さらに、前記プラットフォームは、典型的なSi導波路ベースまたはInP導波路ベースのPICと比較して高い光パワーを処理することができる。
【0054】
この本発明は、典型的には、(図1、3および4の助けを借りて説明したような)誘電導波路を備えたキャリアウエハ上での化合物半導体材料の部品のウエハ接合と、その後の当技術分野内で知られているような半導体製造プロセスと、からなるプロセスの流れを利用する。これはアクティブ導波路およびパッシブ導波路の間の、典型的にはリソグラフィステップを介した光学的な位置合わせの正確な画定を可能にし、正確な物理的位置合わせの必要性を取り除く。前記リソグラフィベースの位置合わせは、ウエハスケール技術を使用するスケーラブルな製造を可能にする。
【0055】
アクティブ層およびパッシブ層内のモードの間の光カップリングは相互的であり、そのため、図4を例とすると、領域401から領域402への光の伝導を促進するように構造が構成され得るが、それは逆方向、すなわち領域402から領域401への伝導も促進し得ることが理解されるだろう。その数または方向に制限のない複数のそのような移行が、適切に構成されたPIC上で実現され得ることが理解され得るだろう。
【0056】
他の手法は、パッシブ導波路への組み立て式の光アクティブデバイスのダイアタッチメントに依存してきた。これは、典型的なダイボンダが提供できるものを典型的には超える非常に厳しい位置合わせ精度を要求する。この態様は、このプロセスのスループットおよび光カップリングの性能を制限する。
【0057】
いくつかの実施形態において、アクティブデバイスは、例えば分布帰還型(DFB)レーザーまたは同様の構成要素のための、例えばレーザーキャビティの内部に形成された波長選択的構成要素を生み出すために使用され得る誘電体層を備えたハイブリッド導波路構造を生み出す。
【0058】
本明細書で説明した光デバイスの実施形態は、これらに制限されるものではないが、様々な計算および/または家庭用電子デバイス/機器、コミュニケーションシステム、計算システム、医療デバイス、センサおよびセンシングシステムを含む様々な他のデバイスおよびシステムに組み込まれてもよい。
【0059】
本開示は、例示的な実施形態のいくつかの例のみを教え、本開示を読んだ後の当業者であれば本発明の多くの変形を容易に考案することができ、本発明の範囲は以下の特許請求の範囲により決定されるべきであるということが理解されるであろう。
【符号の説明】
【0060】
100 ヘテロジニアス集積フォトニックデバイス
101 層
101-1 サブレイヤー、InGaP層
101-2 サブレイヤー
101-3 サブレイヤー
101-4 サブレイヤー
101-5 サブレイヤー
102 パッシブ導波路
103 中間層
104 底部クラッド
105 基板
107 上部クラッド層
108 平坦化層
108 パッシブ導波路構造
109a コンタクト
109b コンタクト
110 コンタクト
150 光モード
160 電流注入経路
301 アクティブ層
302 パッシブ構造
309 基板
323 メサ
327、W メサ幅
334 アクティブ部
337、W アクティブ幅
345 金属コンタクト
356 金属パッド
359 クラッド
400 集積フォトニックデバイス
401 層
401a サブレイヤー
401b サブレイヤー
402 パターン化層
403 中間層
406 層
408 層
450、451、452、453 モードプロファイル
図1
図2
図3
図4
【手続補正書】
【提出日】2024-06-25
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘテロジニアスデバイスであって、
基板に取り付けられたパッシブ導波路構造であって、前記パッシブ導波路構造は誘電体層を含む、パッシブ導波路構造と、
前記パッシブ導波路構造の上面に取り付けられたアクティブ導波路構造であって、前記アクティブ導波路構造はInGaP層の上にある量子井戸層を含む、アクティブ導波路構造と、を含み、
前記InGaP層がnコンタクト機能を提供する、ヘテロジニアスデバイス。
【請求項2】
前記InGaP層が、50nmから500nmの間の厚さによって特徴づけられる、請求項1に記載のヘテロジニアスデバイス。
【請求項3】
前記InGaP層はnドープされており、前記InGaP層が、1e18以上のドーピング濃度によって特徴づけられる、請求項1に記載のヘテロジニアスデバイス。
【請求項4】
前記InGaP層が前記アクティブ導波路構造の底面と前記パッシブ導波路構造の上面との間の接着層として機能する、請求項1に記載のヘテロジニアスデバイス。
【請求項5】
前記InGaP層が超格子内の層であり、
前記超格子は前記アクティブ導波路構造の接着界面を含む、請求項1に記載のヘテロジニアスデバイス。
【請求項6】
前記パッシブ導波路構造が、SiN、SiNO、TiO、Ta、(ドープされた)SiO、LiNbOおよびAlNのうちの少なくとも1つを含む前記誘電体層を含む、請求項1に記載のヘテロジニアスデバイス。
【請求項7】
前記誘電体層が、50nmから600nmの間の厚さによって特徴づけられる、請求項6に記載のヘテロジニアスデバイス。
【請求項8】
前記InGaP層へのコンタクトのための金属コンタクトが、Pd、Ge、AuおよびNiのうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載のヘテロジニアスデバイス。
【請求項9】
前記アクティブ導波路構造が前記量子井戸層の上にあるpクラッド層を含み、
前記pクラッド層は400nmより大きな厚さで特徴づけられる、請求項1に記載のヘテロジニアスデバイス。
【請求項10】
前記アクティブ導波路構造が接着されている前記パッシブ導波路構造の上面は、1nm RMS未満の粗さによって特徴づけられる、請求項1に記載のヘテロジニアスデバイス。
【請求項11】
前記アクティブ導波路構造が、1μm≦W≦5μmの幅Wのメサによって特徴づけられる断面形状を有する、請求項1に記載のヘテロジニアスデバイス。
【請求項12】
前記断面形状が、W=W+2μmであるアクティブ幅Wによってさらに特徴づけられる、請求項11に記載のヘテロジニアスデバイス。
【請求項13】
前記アクティブ導波路構造が、5μm<Wの幅Wのメサによって特徴づけられる断面形状を有する、請求項1に記載のヘテロジニアスデバイス。
【請求項14】
前記アクティブ導波路構造が、前記量子井戸層の上にあり、エッチストップ層として機能する第2のInGaPを含む、請求項1に記載のヘテロジニアスデバイス。
【請求項15】
ヘテロジニアスデバイスであって、
基板に取り付けられたパッシブ導波路構造であって、前記パッシブ導波路構造は半導体層を含む、パッシブ導波路構造と、
半導体導波路構造の上面に取り付けられたアクティブ導波路構造であって、前記アクティブ導波路構造はInGaP層の上にある量子井戸層を含む、アクティブ導波路構造と、を含み、
前記InGaP層がnコンタクト機能を提供する、ヘテロジニアスデバイス。
【請求項16】
前記半導体導波路構造が、1.5eV以上のバンドギャップを有する半導体層を含む、請求項15に記載のヘテロジニアスデバイス。
【請求項17】
前記InGaP層が、50nmから500nmの間の厚さによって特徴づけられる、前記請求項15に記載のヘテロジニアスデバイス。
【請求項18】
前記InGaP層はnドープされており、前記InGaP層が、1e18以上のドーピング濃度によって特徴づけられる、請求項15に記載のヘテロジニアスデバイス。
【請求項19】
前記InGaP層が前記アクティブ導波路構造の底面と誘電体導波路構造の上面との間の接着層として機能する、請求項15に記載のヘテロジニアスデバイス。
【請求項20】
前記InGaP層が超格子内の層であり、
前記超格子は前記アクティブ導波路構造の接着界面を含む、請求項15に記載のヘテロジニアスデバイス。
【外国語明細書】