(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024161335
(43)【公開日】2024-11-19
(54)【発明の名称】動的検査プロセスを決定するためシステム
(51)【国際特許分類】
A61B 8/00 20060101AFI20241112BHJP
【FI】
A61B8/00
【審査請求】有
【請求項の数】16
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024016542
(22)【出願日】2024-02-06
(31)【優先権主張番号】23315102
(32)【優先日】2023-04-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】508291928
【氏名又は名称】スーパー ソニック イマジン
【氏名又は名称原語表記】SUPER SONIC IMAGINE
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100135703
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 英隆
(74)【代理人】
【識別番号】100227927
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 拓
(72)【発明者】
【氏名】スポルトゥシュ,エレーヌ
(72)【発明者】
【氏名】アンリ,ジャン-ピエール
(57)【要約】 (修正有)
【課題】動的検査プロセスを決定するためのシステムを提供する。
【解決手段】処理ユニットは、予め定義されたアルゴリズムを使用して病理仮説に基づいて動的検査プロセス100を決定するように構成され、動的検査プロセス100は、臨床データの取得に関連付けられており、動的検査プロセス100は、取得された臨床データに基づいてその実行中に適応可能である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
動的検査プロセスを決定するためのシステム(10)であって、
予め定義されたアルゴリズムを使用して、病理学的仮説に基づいて、動的検査プロセス(100)を決定するように構成された処理ユニット(30)を備え、
前記動的検査プロセス(100)は、医療データの取得に関連付けられており、
前記動的検査プロセス(100)は、取得された前記医療データに基づいて、実行中に適応可能である、
システム。
【請求項2】
前記動的検査プロセス(100)は、タスクを実行または制御することができる少なくとも1つのエンティティ(200、201、202、203、204、S1、S2、S3、S4、S5、S6、S7、S8)を定義する、
請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記少なくとも1つのエンティティ(200、201、202、203、204、S1、S2、S3、S4、S5、S6、S7、S8)は、取得された前記医療データに基づいて前記動的検査プロセス(100)の実行中に適応可能である、
請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記タスクおよび/またはエンティティ(200、201、202、203、204、S1、S2、S3、S4、S5、S6、S7、S8)は、
バイオマーカー、
計算ツール、
コンポーネントの分析および/または処理、
測定タスク、および/または測定値、
取得モード、
プローブタイプ、
マシンパラメータ、スキャンパラメータ、
医療データを取得するための取得プロセス、
処理ツール、
報告ツール、および
医療データの選択
のうちの少なくとも1つに関連付けられる、
請求項2および3のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項5】
前記動的検査プロセス(100)は、前記医療機器の少なくとも1つの予め定義された取得モード(400)を定義し、前記取得モード(400)はエンティティのグループ(401、402)に関連付けられる、
請求項2から4のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項6】
前記動的検査プロセス(100)を適応させることは、
第1のエンティティ(200、201、202、203、204、S1、S2、S3、S4、S5、S6、S7、S8)またはエンティティの第1のグループ(401、402)によって得られた前記医療データに基づいて、少なくとも1つの適応されたマシンパラメータを使用して、前記第1のエンティティ(200、201、202、203、204、S1、S2、S3、S4、S5、S6、S7、S8)またはエンティティの第1のグループ(401、402)を再実行すること、および/または
第1のエンティティ(200、201、202、203、204、S1、S2、S3、S4、S5、S6、S7、S8)またはエンティティの第1のグループ(401、402)によって取得された医療データに基づいて、第2のエンティティ(200、201、202、203、204、S1、S2、S3、S4、S5、S6、S7、S8)、またはエンティティの第2のグループ(401、402)を選択および/または適応させること、を含む、
請求項2から5のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項7】
前記第2のエンティティを適応させることは、
前記第2のエンティティを前記動的検査プロセス(100)から除去すること、
前記第2のエンティティを前記動的検査プロセス(100)に追加すること、および
前記第2のエンティティの少なくと1つのパラメータを適応させること
のうちの少なくとも1つを含む、
請求項2から6のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項8】
前記少なくとも1つのエンティティ(200、201、202、203、204、S1、S2、S3、S4、S5、S6、S7、S8)は、医療機器を使用して実行可能である、
請求項2から8のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項9】
前記動的検査プロセス(100)は、相互接続されたエンティティのグループ(401、402)を定義し、前記グループの少なくとも2つのエンティティ(200、201、202、203、204、S1、S2、S3、S4、S5、S6、S7、S8)が互いに依存している、
請求項2から9のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項10】
前記相互接続されたエンティティのグループの少なくとも2つのエンティティ(200、201、202、203、204、S1、S2、S3、S4、S5、S6、S7、S8)が、デジタル通信チャネル(300)を介して相互に通信可能であり、任意選択で前記動的検査プロセス(100)に従って確立される、
請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記取得された医療データは、
前記被験者からリアルタイムで取得されたデータ、
医的検査データ、および
任意選択で超音波システム(10)を含む、少なくとも1つの医療機器によって取得されたデータ
のうちの少なくとも1つを含む、
請求項1から10のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項12】
前記動的検査プロセス(100)がリアルタイムで適応可能である、
請求項1から11のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項13】
前記病理学的仮説が病理ファミリーの仮説を含み、および/または、前記動的検査プロセス(100)が、前記取得された医療データの関数として前記病理学的仮説または病理ファミリーの特定のメンバーを評価するように構成される少なくとも1つのエンティティ(200、201、202、203、204、S1、S2、S3、S4、S5、S6、S7、S8)を定義する、
請求項1から12のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項14】
前記予め定義されたアルゴリズムが人工知能(AI)モデルであり、または人工知能(AI)モデルを含み、および/または
少なくとも1つのエンティティが人工知能(AI)モデルであり、または人工知能(AI)モデルを含む、
請求項1から13のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項15】
被験者の医療検査のための動的検査プロセス(100)を決定するコンピュータ実装方法であって、前記方法は、
予め定義されたアルゴリズムを使用して、病理学的仮説に基づいて、動的検査プロセス(100)を決定するステップを含み、
前記動的検査プロセス(100)は、医療データの取得に関連付けられ、
前記動的検査プロセス(100)は、取得された前記医療データに基づいて、実行中に適応される、
コンピュータ実装方法。
【請求項16】
コンピュータプログラムであって、前記プログラムがコンピュータにより実行されると、前記コンピュータに請求項15に記載の方法を実行させる命令を含む、
コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
医学の分野では、予め定義されたプロトコルを使用することにより、例えば被験者の医的検査データ(medical examination data)の効率など、臨床結果の質を向上させることができる。医療データを得るためのシステム、例えば超音波イメージングシステムは、予め定義された用途のための「工場出荷時」プロトコルのセットを備えることができる。「工場出荷時」プロトコルは、システムの製造業者によってプログラムされ、システムにプレインストールされるか、又はユーザグループのために特定のユーザによって予め定義される。このような予め定義されたプロトコルは、例えば、肝臓や乳房などの人体臓器の検査に関する。
【0002】
このようなプロトコルを提供する利点の1つは、初心者ユーザでも、事前に定義された関連プロトコルに従って、効率的な方法でシステムを使用できることである。例えば、被験者の肝臓を検査する場合、ユーザは「肝臓」プロトコルを選択でき、その後、当該プロトコルによって指定された検査ステップ(例えば、プローブの選択、医療機器の予め定義されたパラメータの使用、超音波プローブを被験者の特定の位置に保持すること、医療機器の「フリーズ」ボタンまたは他のボタンを押すこと等)を実行する必要がある。
【0003】
しかしながら、この方法の欠点は、工場出荷時のプロトコルが、特定のシステム、および/または特定のアプリケーションもしくは臓器スキャンのために、製造業者またはユーザによってカスタマイズされているが、検査される特定の被験者のためにカスタマイズされていないことである(すなわち、今回の例では、ある患者である)。従って、予め定義されたプロトコルは、特定の用途(特に、特定の臓器の検査)には対応するが、現在スキャンされている被検者の特異性には対応できない。
【発明の概要】
【0004】
動的検査プロセスを決定するシステムが提供される。このシステムは、予め定義されたアルゴリズムを用いて病理学的仮説(pathology hypothesis) に基づいて動的検査プロセスを決定するように構成された処理ユニットを備える。さらに、動的検査プロセスは(例えば実行時に)臨床データの取得と関連付けられる。動的検査プロセスは、有利なことに、特にその実行中に、取得された医療データに基づいて適応可能(adaptable)である。
【0005】
このようなシステムを提供することにより、動的検査プロセスを実現できる。この文脈では、検査プロセスは、その実行中に適応可能(すなわち、動的に適応可能)であることによって、動的であり得る。従って、検査プロセスは、必ずしも完全に事前決定されたものではなく、その実行中に進化する可能性がある。検査プロセスの適応、すなわちその動的な動作は、それによって、得られた医療データによって制御され、または導かれる(steered)可能性がある。
【0006】
例えば、動的検査プロセスを実行中に自動的に適応させるようにシステムを構成できる。
【0007】
動的検査プロセスの実行を開始する前に、動的検査プロセスの初期形態を定義および/または決定できる。初期形態は、医学的又は病理学的仮説に基づいて決定され、又は構築され、又は選択され得る。従って、動的検査プロセスは、被験者(例えば患者)の病理学的仮説に適応できる。従って、動的検査プロセスの基本形態または初期形態は、特定の被験者の特性によって既に制御されているか、または特定の被験者の特性に適応され得る。さらに、動的検査プロセスは、その実行中に、被験者の新たに得られた医療データに基づいて適応させることができるので、動的検査プロセスは、被験者の特定の特性(例えば、得られた医療データに基づいて発見された病理学的特性)に対してさらにカスタマイズまたは適応させることができる。検査プロセスの後続段階は、例えば、発見された(または想定される)病理学的特徴または初期の病理学的仮定の検証、確認および/または改良を可能にする特定の医療データがこれらの追加段階で得られるように適応させることができる。
【0008】
したがって、得られた医療データが特定の被験者にとってより正確で、より包括的で、より信頼性が高く、および/またはより有意義なものとなるように、検査プロセスを有利に適応および/または最適化できる。例えば、全体的に得られた医療データは、より信頼性が高く、より正確に評価することを可能にし、ユーザまたは医療チームが被験者の病理をよりよく理解し、識別し、または解釈することを可能にし、および/または、初期の病理学的仮説を検証することを可能にし、または初期の仮説を微調整することを可能にし、または病理グループの中の病理を選択することを可能にする。これにより、より効率的な検査が可能となり、時間の節約と関連コストの最小化が可能となる。
【0009】
動的検査プロセスは、一般に、医的検査のための規則のセットおよび/または手順のセットを含むがこれらに限定されない、検査の実行方法を定義できる。動的検査プロセスは、被験者情報、診断結果、画像、および他のタイプの医療記録などのデータのフォーマットおよび構造を定義できる。動的検査プロセスは、被験者の情報(すなわち被験者のデータ、例えば医療データ)を取得、送信、及び/又は受信するための方法及び/又は規則を概説できる。被験者検査のための動的検査プロセスは、医療データ管理の効率及び精度を向上させ得る。
【0010】
医的検査のための動的検査プロセスは、特に、動的検査プロセスを実行するシステムのユーザが、個々の被験者の状態に検査プロセスを手動で適応させるのに十分な熟練がない場合に、被験者の結果を改善できる。したがって、動的検査プロセスは、複雑な病状や、複数の要因を考慮する必要があり、互いに影響し合う可能性がある場合に特に有用である。
【0011】
従って、本開示のシステムは、個々の検査プロセスを決定する可能な自動化により、データ取得および解釈についてのユーザ依存(初心者対専門家)の低減につながる可能性がある。本システムはさらに、以下のことを可能にし得る:
長期にわたるフォローアップ検査の再現性が向上し、検査の標準化と文書化を進める;
的確な測定と病理学的バイオマーカーの適切な評価により、パーソナライズされた最適な検査を提供し、検査結果の精度を向上させる;
被験者管理の改善(ダイナミックな検査プロセスにより、例えば、一般に部分的な及び/又は不適切なデータ取得がデータの誤解釈を招く、不必要な追加検査、無駄な介入処置、不必要なフォローアップ検査などを避けることができる)によるコスト削減(例えば、医療専門家のマンパワー、より一般的には医療費の削減である)。
生産性向上によるコスト削減、たとえば審査プロセスの迅速化によるコスト削減。
【0012】
検査とは、医学的な検査である場合もあれば、医学的な検査を含む場合もある。医学的検査は診断プロセスの一部である可能性があり、医療専門家が被験者の健康を評価するために使用できるいくつかの異なるタイプの検査が存在する可能性がある。医学的検査は、被験者の全体的な健康状態を一般的に評価するものであり、身体の様々な部位を見たり、聞いたり、触ったりすることを含む。医学的検査は、血液検査、尿検査、X線検査、磁気共鳴画像(MRI)検査、コンピュータ断層撮影(CT)検査、および/または超音波検査を含む場合がある。血液検査や尿検査は、感染症の有無や血球数の異常など、被験者の健康状態に関する貴重な情報を提供する検査室分析を含む場合がある。X線検査、CT検査、MRI検査、超音波検査などの医用画像診断技術は、被験者の関連部位の詳細な画像を作成するために使用され、医療従事者が潜在的な健康問題を特定できるようにする。これらの検査は、医療専門家が正確な診断および/または予後を下し、患者が病状を管理し回復するための適切な治療計画を立てるのに役立つ。
【0013】
動的検査プロセスは、被験者の検査のために提供され得る。「被験者」という用語は、臨床的注意、調査、または治療の焦点となり得る患者を指す場合がある。被験者」という用語には、医療を受けている病人または健康な人間、および獣医師によって治療を受けている動物が含まれる場合がある。健康であると思われる対象者は、予防的(prophylactic)または予防的(preventive)な目的、すなわち、あらゆる疾病または病態の発症の可能性を回避する目的で検査されることもある。対象者は、医学的治療中または治療後に検査されることもある。研究においては、「被験者」という用語は、患者または健康なボランティアとして研究に参加する個人または動物を指す場合にも使用される。被験者」という用語の使用は、医学的または研究的な状況において、これらの個体が主に注目され観察されるという事実を反映しうる。
【0014】
動的検査プロセスを決定することは、動的検査プロセスの様々な部分を選択、生成、構築、および/または適応することを含む複雑なプロセスであってもよい。動的検査プロセスの一部を選択することは、適切な診断ツール、治療計画、および他の臨床的推奨を特定するために、既存の医学的ガイドラインおよびベストプラクティスを検討することを含む場合がある。
【0015】
動的検査プロセスは、コンピュータ実装アルゴリズム、例えば人工知能(AI)ベースのモデルまたはアルゴリズムを使用して決定できる。一例では、動的検査プロセスを適応させるために使用されるアルゴリズムは、動的検査プロセスを決定するための予め定義されたアルゴリズムであってもよいし、予め定義されたアルゴリズムにリンクされていてもよい。例えば、最初に動的検査プロセスを決定し、次にそれを動的に適応させるために、同じAIモデルを使用できる。更なる例では、動的検査プロセスを適応させるために使用されるアルゴリズムは、例えば、未知の環境(すなわち、特定の対象)を探索するために行動をとるべき知的エージェントを使用する強化学習(RL)アルゴリズムのような、機械学習アルゴリズムであってもよいし、機械学習アルゴリズムを含んでもよい。そのため、動的検査プロセスを適応させるために使用されるアルゴリズムは、マルコフ決定過程(MDP)を含むか、またはMDPを伴うことができる。
【0016】
動的検査プロセスの各部(parts)を生成および/または決定することは、人工知能ベースのアルゴリズム(例えば機械学習アルゴリズム)を使用して大規模な医療データセットを分析し、関連するパターンおよび傾向を特定することを含む場合がある。動的検査プロセスの各部を構築することは、特定の被験者の特徴および病歴に基づいてユーザ(例えば医師)をガイドする規則のセットおよび決定木を作成することを含む場合がある。例えば、ユーザは、特定のステップ(例えば、撮影の種類や測定の種類などである)に従うように、及び/又は、正確な診断及び/又は予後につながる関連情報を収集するように、及び/又は、任意選択で、それに応じて臨床的意思決定を行うように誘導され得る。動的検査プロセスの各部を適応させることは、新たな研究結果、被験者の結果、又は医療ガイドライン及びベストプラクティスの変更に基づいて動的検査プロセスを調整すること(例えば、リアルタイムで、および/または審査プロセス中に)を含む場合がある。全体として、動的検査プロセスを決定することは、これらの異なるアプローチの組合せを含むことがあり、新たなデータ及び洞察が利用可能になるにつれて、本質的に反復されることがある(例えば、リアルタイムで、および/または審査プロセス中に)。
【0017】
病理学的仮説は、対象者の病理学的仮説であってもよい。病理学的仮説は、特定の疾患または障害の原因および/または性質について想定され、提案された説明であってもよい。病理学的仮説は、医師、医学専門家、医師、および/または統計、出版物、および/または医師の経験的知識に基づいて確立されることがある。例えば、特定の病理学的仮説(例えば肝線維症)は、特定のスクリーニングプログラム(例えば、特定の集団における肝線維症を評価するプログラム)の対象となり得る。医師は、病理学的仮説を用いて、疾患の根底にある機序を調査でき、任意で、適切な治療および管理戦略を特定するのに役立つ。病理学的仮説は、動的検査プロセスを生成する前に、予め定義されたアルゴリズムに提供できる。病理学的仮説は、問題とする疾患の症状に基づいて設定できる。病理学的仮説はまた、罹患した臓器や組織の基礎となる生物学的および生理学的知識に基づいてもよい。言い換えれば、病理学的仮説は、システムに提供される外部データであってもよい。別の例では、病理学的仮説は、以下に説明するように、被験者のデータに基づいてシステムによって決定(または予測)される場合がある。決定された病理学的仮説は、新たなデータおよび洞察が利用可能になるにつれて、検査プロセスの実行中に、時間の経過とともに、および/またはリアルタイムで修正または改良される場合がある(すなわち、新しい医療データが得られる)。
【0018】
1つの態様において、病理学的仮説は、例えば計算ツール機能を用いて、被験者の利用可能なデータに基づいて自動的または半自動的に決定(または予測)できる。例えば、病理学的仮説を決定することは、被験者の以前の医的検査データ(すなわち、利用可能なデータの一例)に基づいてもよい。さらに、病理学的仮説を決定することは、被検者の症状に関連するデータにさらに基づいてもよい。また、病理学的仮説を決定することは、被験者の健康に関連する危険因子に基づいてもよい。さらに、病理学的仮説を決定することは、被験者の健康状態にさらに基づいてもよい。病理学的仮説を決定することは、被験者のライフスタイルに基づくこともある。
【0019】
予め定義されたアルゴリズムは、事前に(すなわち動的検査プロセスの実行前に)確立され、任意に特定の問題を解決するためまたは特定のタスクを達成するために使用され得る命令のセットであってもよい。予め定義されたのアルゴリズムは、動的検査プロセスを作成するために使用できる。アルゴリズムは、年齢、性別、身長及び/又は体重などの被験者の特徴、被験者の病歴、診断結果、及びその他の関連する臨床情報などのデータを分析及び解釈するように設計されてもよい。
【0020】
アルゴリズムは、このデータを使用して動的検査プロセスを生成し、実行すべき検査(すなわち、例えばロボットシステムによってプロセスが完全に自動で実行されない場合、ユーザによりどの操作がフォローされるべきか)、取得すべきデータ(例えば、どのモードを使うか)、および/または使用すべきツール(例えば、どの特性やバイオマーカーを測定するかなど)に関するガイダンスを提供できる。予め定義されたアルゴリズムを使用して動的検査プロセスが決定される病理学的仮説の例は、肝臓疾患、筋骨格系(MSK)疾患、敗血症、癌(例えば乳がん)、および心臓疾患を含むが、これらに限定されない。
【0021】
「予め定義された」という用語は、既に確立され、指定され、または予め設定されている可能性があるものを指す場合がある。事前定義されたアルゴリズムは、動的検査プロセスの実行前に既に構築、確立、指定、または設定されている可能性がある。予め定義されたアルゴリズムとは、医療データを分析し診断を行う際に使用するために予め設定されている可能性のある特定の規則、計算、又は命令のセットを指す場合がある。事前に定義されたアルゴリズムは、訓練されたモデルである場合がある。モデルは、データのパターンと関係を学習するように、データセットで訓練することによって開発される。その結果得られたモデルを用いて、新たなデータの予測や分類を行うことができる。
【0022】
医療データの取得は、被験者の病歴、診断結果、治療計画、および他の関連する臨床データを任意に含む、被験者に関する情報を収集および保存することを含む。医療データは、医療機器、電子カルテ、医療画像検査、臨床検査結果(laboratory test results)、および/または被験者が報告したデータなど、様々な情報源から得ることができる。医療データは、医療提供者が被験者のケアに関する情報に基づいた意思決定を行うのに有利であり、任意で、診断及び/又は予後、治療、並びに病状の管理を含む。医療データはまた、研究目的にも使用され、疾病の理解を進め、患者の転帰を改善するのに役立つ。医療データの取得と保存は、関連する法律や規制を遵守し、安全で機密性の高い方法で行われる。医療データを入手する際には、データのプライバシーとセキュリティが重要な関心事となる場合があり、医療提供者や医療機関は、被験者の機密性を保護し、データ侵害を防止するために適切な保護措置を実施する場合がある。医療データの入手は、医療データの入手である場合もあれば、医療データの入手を含む場合もある。
【0023】
動的検査プロセスは、医療データを取得することに関連付けられることがある。「関連付けられる」bとは、動的検査プロセスが、特にプロセスの実行中に、医療データを取得するプロセスにリンクされるか、またはそれと接続されることを意味することがある。換言すれば、プロセスの実行は、医療データの取得を意味するだけでなく、例えば医療データの処理及び/又は分析、報告書の作成等の他のタスクも意味する場合がある(以下に詳述する)。動的検査プロセスは、医療データの収集および処理をガイドするために使用できる。動的検査プロセスは、(少なくとも半自動的に、例えばプローブを持つ人間による限定的な補助のもとで)医療データを取得するプロセスを制御することもできる。動的検査プロセスで任意に設定された仕様や要件に従ってデータを収集できるため、動的検査プロセスと医療データの収集は相互に依存する可能性がある。
【0024】
動的検査プロセスは、被験者の検査中に得られた医療データに基づいて、その実行中に適応可能であり得る。医療データが得られると、動的検査プロセスは、データをリアルタイムで分析および/または任意に解釈し、任意に被験者の診断、治療、および/またはケアプランの動的調整を可能にするように設計できる。例えば、被験者の結果から合併症やこれまでのところ未知の症状が明らかになった場合、動的検査プロセスは、最新の医学的エビデンスやベストプラクティスに基づく新たな推奨やガイダンスを提供するように自動的に適応できる。人工知能の力を活用することで、動的検査プロセスは、個々の被験者のニーズや病態に任意に合わせた、個別化された応答性の高い医療を提供できる。言い換えれば、動的検査プロセスは、適応され、カスタマイズされ、パーソナライズされ、または被験者固有であってもよい。適応可能な動的検査プロセスは、診断および/または予後の精度を高める可能性がある。適応可能な動的検査プロセスは、エラーを最小化し、任意選択で不必要な処置および治療を低減し、被験者の転帰を向上させることにより、医療の質および効率をさらに改善し得る。医療データが収集・分析され続けるにつれて、動的検査プロセスは、被験者に正確で個別化された医療を提供する上で、さらに効果的になる可能性がある。動的検査プロセスは、被験者固有の要因や外的要因などの他の基準に基づいて、実行中に適応可能であってもよい。被験者固有の要因とは、例えば、被験者の年齢、病歴、症状、治療に対する反応などである。外部要因としては、例えば、医療規制の変更、新たな医学研究結果、新たな医学的治療又は療法の利用可能性などが考えられる。さらに、他の基準としては、例えば、個人的な嗜好、文化的、宗教的な配慮などがある。
【0025】
動的検査プロセスは、コンピュータで実施できる。動的検査プロセスは、ステップ、ステップのシーケンス、および/または段階または複数の段階を含み得る。動的検査プロセスは、操作を含んでいてもよい。言い換えれば、ステップおよび/または段階は、データを取得するなどのタスクまたはタスク群に関連することがある。
【0026】
例えば、動的検査プロセスは、コンピュータシステムにプログラムされ、特定のタスクまたはプロセスを実行するために使用される命令およびガイドラインのセットであってもよい。動的検査プロセスは、少なくとも部分的に自動化されたワークフローであってもよい。従って、検査プロセスの少なくとも一部の操作は、システムによって実行され得る。他の操作は、システムによって誘導および/または制御されるかもしれないが、(例えば超音波プローブを保持することによって)使用者による支援を必要とするかもしれない。いずれにせよ、その誘導および/または制御により、使用者は、有利なことに、特別な技能を有する必要がはるかに少なくなる。
【0027】
1つの側面において、動的検査プロセスは、タスクを実行または制御(または支援)できる少なくとも1つのエンティティを定義できる。
【0028】
エンティティは、動的検査プロセス内の特定のユニット、コンポーネント、および/または要素を指す場合がある。エンティティは、特定の手順、概念、ストレージ、および/またはデータポイントを表すことができる。動的検査プロセス内のデータポイントの例は、被験者の人口統計学的情報、病歴、バイタルサイン、検査室検査結果、診断画像データ、治療計画、および/または投薬命令を含むことがある。エンティティの更なる例は、特定の手順、例えば、診断画像データの調整及び/又は微調整のための手順、診断データ、診断パラメータの測定、診断記述子の評価のうちの少なくとも1つを利用するための手順を含むことができる。
【0029】
エンティティは、タスクを実行するための規則のセットおよび/または手のセットを含むことがある。したがって、エンティティは、タスクを実行するように構成されることがある。しかし、エンティティは、タスクまたはタスクの実行を制御または支援するように構成されることもある。例えば、タスクは、エンティティの制御または補助の下で、ユーザ(または外部の装置またはシステム)によって少なくとも部分的に実行される。エンティティはまた、動的検査プロセスを実施するために関連し得る情報を構成できる。動的検査プロセス内のエンティティは、データベースや電子カルテシステムなど、標準化された構造に編成される場合があり、これにより、それらが含む情報の容易な検索や分析が可能になる場合がある。この構造により、機械学習アルゴリズムや他の計算ツールを使用して、大規模な医療データセットを分析し、臨床的意思決定の指針となる関連パターンや傾向を特定することも可能となる。動的検査プロセス内のエンティティは、例えば医療提供者が標準化された方法で被験者のデータを収集、保存、および/または分析することを可能にし、より正確な診断、より効果的な治療計画、被験者の転帰の改善、より効率的で再現可能な検査、およびより高い生産性につながる可能性があるため、有利な場合がある。
【0030】
エンティティは、例えば、インテリジェントコンポーネント、例えば、分析および/または処理コンポーネントであってもよい。コンポーネントは、ソフトウェアモジュールであってもよいし、ソフトウェアモジュールを含んでもよい。したがって、コンポーネントはソフトウェアベースであってもよい。コンポーネントは、例えば、人工知能(AI)ベースのアルゴリズムで構成されるか、または人工知能(AI)ベースのアルゴリズムであってもよい。したがって、コンポーネントは、上述のように、特定のインテリジェントタイプの計算および/または処理ツールであってもよく、したがって、「インテリジェントコンポーネント」と呼ばれることもある。したがって、インテリジェントコンポーネントは、コンポーネントによって処理される特定のタスクの一定レベルのインテリジェンスまたは理解可能性をコンポーネントに装備するアルゴリズム(例えば、AIベースのアルゴリズム)を組み込むことによって、他の従来のツールとは異なる場合がある。
【0031】
コンポーネントは、例えば、データを分析するように構f成されることがあり、したがって、例えば、分析コンポーネントと呼ばれることがある。例えば、コンポーネントは、取得された医療データに基づいて被験者の情報を導出するように構成され得る。この情報は、例えば、被験者の病理を評価するための、被験者の状態に関する洞察である。コンポーネントは、例えば、バイオマーカー、測定パラメータ、または他の関連データなど、検査に関連する様々な医療パラメータを処理できる。コンポーネントは、このデータを解析して、任意で入力バイオマーカーに関連する。別のバイオマーカー、または病理学的スコアリング、グレーディング、および/または評価の形態である出力を生成できる。
【0032】
コンポーネントは、検査プロセスを制御するように構成されることもあり、したがって、例えば処理コンポーネントと呼ばれることもある。例えば、コンポーネントは所定のバイオマーカーの測定を自動化できる。例えば、測定値を別のコンポーネント(例えばデータ解析に重点を置く)の入力として使用できる。
【0033】
動的検査プロセスにおけるコンポーネントの選択および/または使用されるコンポーネントの特性は、例えばリアルタイムで、得られた医療データに基づいて動的検査プロセスの実行中に適応可能であり得る。すなわち、コンポーネントは、例えば、現在の被験者に関連する特定のニーズに応じて、その処理技術または基準を調整できる。
【0034】
1つの態様では、少なくとも1つのエンティティは、得られた医療データに基づいて動的検査プロセスの実行中に適応可能であり得る。
【0035】
例えば、医的検査中に被験者の血圧を測定するために医療機器を使用する場合、動的検査プロセスのエンティティは、得られた医療データを分析し、被験者の血圧が年齢や健康状態に対して予想される範囲外であると判断できる。これに応答して、動的検査プロセスのエンティティは、ドップラー測定や臓器の弾性など、高血圧に対処するためのステップまたは段階をプロセスに追加することによって適応できる。
【0036】
動的検査プロセスにおける適応可能なエンティティとは、変化する状況や入力に対応して、その動作や特徴を適応させることができるエンティティを指す場合がある。これには、エンティティの特定の動作またはステップもしくは段階の追加、削除、調整、または再生が含まれる場合がある。これはまた、検査のいくつかのステップまたは段階を実行するために使用されるデバイスのいくつかのパラメータを適応させることを含むかもしれない。また、エンティティを追加または削除することもある。適応は、「リアルタイム」又は擬似リアルタイムで取得されたデータ、又は他の関連データに基づいて、以前の検査結果に基づいて行うことができる。トレーニングデータは、過去の試験において専門家によって作成された適応性に関する知識を含む場合がある。トレーニングデータは、動的な検査プロセスにおいて、そのような適応可能なエンティティの動作を通知するために使用できる。過去の症例と結果を分析することにより、システムは、将来、より良い結果を得るために、そのアプローチを調整する方法を学習できる。これには、取得するデータの種類の選択の変更、プローブやモードの選択の変更、測定ツールの調整、その他の関連要因が含まれる。
【0037】
1つの態様において、タスクおよび/またはエンティティは、バイオマーカー(例えば、被験者の特定のバイオマーカーの値を取得すること)、計算ツール、測定タスク、および/または測定値、取得モード、プローブタイプ、マシンパラメータ、マシン設定、スキャンパラメータ、医療データを取得するための取得プロセス、処理ツール、報告ツール、および医療データの選択のうちの少なくとも1つに関連することがある。
【0038】
対象者について計算されたバイオマーカー値は、医療データに基づいて決定される場合がある。計算ツールは、例えば、取得されたデータを処理するため、または医療データを取得するためおよび/もしくは被験者をスキャンするためのユーザを支援するために使用できる。測定は、医療データに基づいて、または医療データを用いて行うことができる。測定は、自動的及び/又は手動で行うことができる。さらに、測定は、画面上に表示された画像に対して行われることもある。取得モードは、パラメータ及びアルゴリズムのセットであってよく、任意に、異なるタイプのデータ(例えば、異なる物理的意味を有する)を取得、計算及び/又は表示することを可能にする。
【0039】
取得モードは、例えばBモードまたはSWE(ShearWaveTMElastography)である。プローブタイプは、医療データを取得するために使用できる。医療データを取得するための医療機器を制御するために、マシンパラメータおよび/または設定(例えば、ユーザによって制御される)を使用できる。医療データを取得するための取得プロセスは、例えば、特定の取得モードに従って、及び/又は、特定のプローブを用いて使用できる。得られた医療データを処理するために処理ツールが使用されることがある。医療データの選択は、例えば、画像の選択であってもよいし、画像の選択を含むものであってもよい。さらに、タスク及び/又はエンティティは、診断支援、予後支援、意思決定支援、及び/又はセカンドオピニオンに関連することがある。
【0040】
超音波診断装置のマシンパラメータおよび/または設定(例えば、ユーザによって制御される)は、特に、モード、ゲイン、深さ、周波数、フォーカス、ダイナミックレンジ、パーシステンス、圧縮、ハーモニックイメージング、空間コンパウンド、スペックル低減、エッジ強調、カラードプラ設定、パルス波ドプラ設定、およびパワードプラ設定などの設定を含むことができる。
【0041】
さらに、タスクおよび/またはエンティティは、特定のプローブの選択、臨床ガイドライン、ベストプラクティス推奨、および/または医学研究結果に関連する可能性がある。
【0042】
1つの態様では、動的検査プロセスは、医療機器の少なくとも1つの事前定義された捕捉モードを定義でき、捕捉モードはエンティティのグループと関連付けられる。
【0043】
言い換えれば、少なくとも1つのエンティティまたはエンティティのグループは、医療機器の事前定義された取得モードと関連付けられることがある。予め定義された取得モードは、予め定義された検査モードであってもよいし、予め定義された検査モードを含んでいてもよい。
【0044】
1つの態様において、動的検査プロセスを適応させることは、第1のエンティティまたは第1のエンティティのグループによって得られた医療データに基づいて、少なくとも1つの適応されたマシンパラメータを使用して、第1のエンティティまたは第1のエンティティのグループを再実行することからなり得る。さらに、動的検査プロセスを適応させることは、第1のエンティティまたは第1のエンティティのグループによって得られた医療データに基づいて、第2のエンティティまたは第2のエンティティのグループを選択および/または適応させることを含んでよい。さらに、第1及び第2のエンティティのグループは、異なる取得モードに関連付けられることがある。
【0045】
1つの態様において、第2のエンティティを適応させることは、少なくとも動的検査プロセスから第2のエンティティを削除することを含むことができる。さらに、第2のエンティティを適応させることは、第2のエンティティを動的検査プロセスに追加することを少なくとも含むことができる。第2のエンティティを適応させることは、第2のエンティティの少なくとも1つのパラメータ、例えばマシンパラメータまたは第2のエンティティの別の特性を適応させることを少なくとも含むこともできる。例えば、そのような別の特性は、第2のエンティティのコンテキスト、例えば第2のエンティティに関連する使用モードまたはアルゴリズムを特徴付けることもできる。
【0046】
1つの態様において、エンティティの第2のグループを適応させることは、エンティティの第2のグループを動的検査プロセスに追加することを含む場合がある。さらに、エンティティの第2のグループを適応させることは、実行される動的検査プロセスのエンティティの第2のグループを選択することを少なくとも含むことができる。また、エンティティの第2のグループを適応させることは、少なくとも動的検査プロセスから第2のグループを削除することを含む場合もある。さらに、エンティティの第2のグループを適応させることは、実行されることから第2のグループを選択解除することを少なくとも含むことができる。さらに、エンティティの第2のグループを適応させることは、エンティティの第2のグループを微調整することを少なくとも含むことができる。
【0047】
ファインチューニングとは、既存のモデルやシステムに対して、その妥当性及び/又は性能を向上させるために、小さな調整や修正を行うプロセスを指す場合がある。動的検査プロセスの文脈では、微調整は、特定の検査または病理学的仮説により適応するように、エンティティの第2のグループに対して変更を加えることを指す場合がある。これらの変更には、エンティティの追加又は削除、既存のエンティティのパラメータの調整、エンティティ間の通信チャネルの変更などが含まれる。
【0048】
1つの態様では、少なくとも1つのエンティティは医療機器を用いて実行可能である。
【0049】
医療機器の例としては、磁気共鳴画像装置(MRI)、コンピュータ断層撮影装置(CT)、X線装置、超音波装置、透析装置、血圧計、体温計、血糖値計、輸液ポンプ、人工呼吸器、心電図(ECG)装置、パルスオキシメーターなどがある。
【0050】
1つの側面では、動的検査プロセスは相互接続されたエンティティのグループを定義でき、グループの少なくとも2つのエンティティは互いに依存できる。
【0051】
相互に連結されたエンティティのグループでは、エンティティは互いに依存し合うことがある。例えば、あるエンティティの動作や出力が、グループ内の別のエンティティに影響を与えたり、影響を受けたりすることがある。例えば、健康診断の動的検査プロセスでは、ある検査で得られたデータが、その後の検査の意思決定プロセスに影響を与えることがある。同様に、医療診断のためのAIアルゴリズムでは、アルゴリズムのある段階の出力が次の段階の入力として使用されることがある。グループ内のエンティティ間の相互依存の程度は様々であり、グループの全体的なパフォーマンスへの影響という点で、あるエンティティは他のエンティティよりも影響が大きい場合がある。
【0052】
例えば、医療機器において、適切な取得モードを選択することは、被検者の意味のある正確な情報を得るために重要であるが、表示画像のコントラスト設定はそれほど重要ではないかもしれない。グループ内のエンティティ間の相互依存性を理解することは、グループ全体の性能を設計し最適化するために重要である場合がある。エンティティ間の相互依存の例としては、相関関係、逐次的依存関係、階層的依存関係、および/またはフィードバックループが考えられるか、またはそれらを含む可能性がある。
【0053】
2つのエンティティ間の依存関係は、エンティティ間の交絡因子に基づいて決定される場合がある。また、場合によっては、2つのエンティティの間の相互依存性を利用して、これら2つのエンティティの一方の結果を改善したり、第3のエンティティの結果を改善したりできる。第1の例として、第1のエンティティがイメージングバイオマーカーであり、他のエンティティが別のイメージングバイオマーカーであり、第1のバイオマーカーの値が第2のバイオマーカーの値に影響を及ぼす場合、この相互依存性を利用して、これらのバイオマーカーの2つの値を考慮して特定の疾患を評価することを目的とする第3のエンティティの結果を改善することが可能である。第2の例として、第1のエンティティが所定の撮像モードからのデータに対応し、第2のエンティティが別の撮像モードからのデータに対応する場合、第2のモードで取得されたデータを使用して、第1の撮像モードに関連するデータの値を補正することが可能である。第三の例として、第一のエンティティが所定の撮像モードからのバイオマーカーに対応し、第二のエンティティが第二の撮像モード(第一の撮像モードと同じモードであってもよいし、別の撮像モードであってもよい)からの別のバイオマーカーに対応する場合、第二の撮像モードからのバイオマーカーの値(複数可)を使用して、第一の撮像モードからのバイオマーカーの値(複数可)を補正することが可能な場合がある。
【0054】
1つの態様では、相互接続されたエンティティのグループの少なくとも2つのエンティティは、動的検査プロセスに従って任意に確立されたデジタル通信チャネルを介して互いに通信できる。
【0055】
デジタル通信チャネルは、エンティティが互いに情報を交換するための媒体である。有線チャネルと無線チャネル、シリアルチャネルとパラレルチャネル、同期チャネルと非同期チャネルなど、デジタル通信チャネルには多くの種類がある。デジタル通信チャネルは、インターネット、ワイヤレスネットワーク、または特殊な医療データネットワークであってもよいし、それらを含んでいてもよい。通信チャネルの選択は、チャネルの速度や信頼性、エンティティ間の距離、送信する必要のあるデータ量などの要因によって決まる。デジタル通信チャネルは仮想チャネルであることもある。例えば、2つのエンティティがともにソフトウェアプログラムである場合、プログラムインターフェース(APIなど)の形式の通信チャネルを介して通信することもできる。従って、通信チャネルは、例えばデータインタフェースやアプリケーションプログラミングインタフェースを含むこともある。
【0056】
例えば、センサー、処理ユニット、ディスプレイを含む医療機器では、センサーはUSBケーブルなどの有線通信チャネルを使って処理ユニットに接続される。その後、処理装置は、Bluetooth(登録商標)などの無線通信チャネルを使用してデータをディスプレイに送信できる。
【0057】
1つの側面では、動的検査プロセスは、相互接続されたエンティティのグループの少なくとも一部を組織化(organize)できる。
【0058】
動的検査プロセスは、逐次アーキテクチャ、並列アーキテクチャ、階層アーキテクチャ、および分散アーキテクチャを含む群から選択されるアーキテクチャに従って、相互接続されたエンティティのグループの少なくとも一部を組織化できる。動的検査プロセスは、ネットワークとして、または相互接続されたエンティティのウェブとして組織化できる。
【0059】
シーケンシャルアーキテクチャは、1つのエンティティが所定の順序で別のエンティティに続く、直線的な方法でエンティティを編成することを含む場合がある。逐次アーキテクチャは、医療処置や治療プロセスなど、明確で予測可能な段階の順序を有するプロセスに使用されることがある。並列アーキテクチャは、複数のプロセスが同時に発生するような方法でエンティティを組織化することを含む。並列アーキテクチャは、複数のデータ点を同時に処理する必要がある複雑な医療手順や検査に使用されることがある。階層的アーキテクチャは、エンティティをツリー状の構造で組織化し、より小さなサブグループのエンティティを、より大きなカテゴリの下にグループ化する。階層型アーキテクチャは、特定の情報へのナビゲートと検索を容易にする方法で医療データを整理するために使用されることがある。分散型アーキテクチャは、複数の場所または装置にわたって保存およびアクセスできるような方法でエンティティを整理することを含む場合がある。分散型アーキテクチャは、複数の医療提供者や医療施設からアクセスされる必要のある医療データに使用されることがある。
【0060】
動的検査プロセスは、第1のアーキテクチャに従って相互接続されたエンティティのグループの第1の部分を編成し、第2のアーキテクチャに従って相互接続されたエンティティのグループの第2の部分を編成できる。動的検査プロセス内でエンティティを編成するためのアーキテクチャの選択は、臨床シナリオの特定のニーズおよび要件に依存する場合がある。
【0061】
1つの態様において、アーキテクチャは、相互接続および/または通信チャネルの適応を含む、得られた医療データに基づいて動的検査プロセスの実行中に適応可能であり得る。
【0062】
例えば、動的検査プロセスの実行中に新しい情報が得られる可能性がある場合、アーキテクチャは、更新された情報が適切に転送、処理および/または分析されるように、異なるエンティティ間の通信チャネルを動的に変更することによって適応できる。アーキテクチャのこの動的適応は、変化するまたは不確実な医療データに直面しても、動的検査プロセスがその意図する目標を達成する上で効率的かつ効果的であり続けることを保証するのに役立つ可能性がある。
【0063】
被験者の健康の危険因子は、例えば、遺伝因子、被験者の年齢である。被験者の健康状態は、例えば糖尿病を含むか、または糖尿病によって定義され得る。被験者の生活習慣は、例えば、ジャンクフードファン、喫煙者、座りがち、などを含むか、またはそれらによって定義されるかもしれない。
【0064】
1つの態様において、得られた医療データは、被験者からリアルタイムで取得されたデータを含み得る。さらに、取得された医療データは、少なくとも医的検査データを含み得る。また、得られた医療データは、少なくとも1つの医療機器(任意選択で超音波システムを含む)によって取得された少なくともデータを含むことがある。
【0065】
1つの側面では、動的検査プロセスは、デジタルプロトコルの実行中および/または進行中の医的検査中にリアルタイムで適応可能である。
【0066】
動的検査プロセスは、実行中に受け取るデータに基づいて、リアルタイムまたは擬似リアルタイムで適応可能であり得る。動的検査プロセスは、被験者の状態を監視し、被験者の健康状態の変化に基づいて治療計画をリアルタイムで調整するように設計されてもよい。例えば、被験者のバイタルサインが突然変化した場合、動的検査プロセスは、新たな状態に対処するために治療計画を修正できる。リアルタイムの適応性は、例えば事前に訓練されカスタマイズされたMLアルゴリズムや他の形態のAIアルゴリズムなどの高速アルゴリズムの使用によって達成される場合がある。このようなアルゴリズムは、センサー、医療機器、その他の情報源からのデータを分析してパターンを検出し、任意で被験者の健康に関する予測をリアルタイムで行うことができる。その後、システムはこの情報を使用して検査プロセスを動的に適応させ、どの医療データをまだ取得すべきかを調整し、任意で使用する診断/予後ツールを適宜変更できる。その後、被験者の治療を最適化するために、治療計画、投薬量の調整、その他のアクションをそれぞれ変更できる。
【0067】
リアルタイムの適応は、システムのユーザがいかなる適応にも気を取られないか、またはあまり気を取られないように実施できる。例えば、ユーザは、実行される後続のステップまたは段階(または限られた数の後続のステップまたは段階)、および任意選択で完全な検査プロセスを完了する推定時間について単に通知(例えば、ディスプレイなどのユーザー・インターフェースを介して)されるだけでよい。したがって、他のステップまたは段階に関する修正は、ユーザの注意をそらすことなくバックグラウンドで行うことができる。
【0068】
1つの態様において、動的検査プロセスは、被験者の取得された医療データに基づいて被験者のバイオマーカーを推定するように構成された少なくとも1つのエンティティを定義できる。さらに、動的検査プロセスは、1つまたは複数の推定バイオマーカーに基づいて病理学的仮説を評価するように構成された少なくとも1つのエンティティを定義できる。
【0069】
1つの態様において、病理学的仮説は病理ファミリー(pathologies family)の仮説を構成できる。さらに、動的検査プロセスは、得られた医療データの関数として、病理学的仮説または病理ファミリーの特定のメンバーを評価するように構成された少なくとも1つのエンティティを定義できる。
【0070】
1つの側面では、事前定義されたアルゴリズムは、人工知能(AI)モデルである場合もあれば、人工知能(AI)モデルを含む場合もある。
【0071】
さらなる態様において、少なくとも1つのエンティティは、人工知能(AI)モデルであってもよいし、人工知能(AI)モデルを含んでもよい。
【0072】
予め定義されたアルゴリズムの例は、決定木、ランダムフォレスト、ロジスティック回帰、勾配ブースティング、および/またはサポートベクターマシンなどのAIモデルを含む。事前定義されたアルゴリズムは、画像認識などの分類および予測タスクを実行するために使用できる。例えば、決定木アルゴリズムは、物体の画像をその特徴に基づいて分類するために使用できる。予め定義されたアルゴリズムの他の例としては、ニューラルネットワーク、k最近傍、および/またはクラスタリングアルゴリズムを挙げることができ、これらは異常検出やデータセグメンテーションなどのタスクに使用できる。AIは、視覚認識、音声認識、意思決定、言語翻訳など、通常人間の知性を必要とするタスクを実行するコンピュータシステムおよびアルゴリズムの開発を指す場合がある。AIシステムやアルゴリズムは、パターンや傾向を特定し、予測を行い、結果を最適化できるように、大規模なデータセットと高度なアルゴリズムを使って訓練される。
【0073】
本開示はまた、医的検査のための動的検査プロセスを決定するコンピュータ実装方法に関する。本方法は、予め定義されたアルゴリズムを使用して、病理学的仮説に基づいて動的検査プロセスを決定することを備える。さらに、本方法は、動的検査プロセスが、医療データの取得に関連付けられ、動的検査プロセスが、取得された医療データに基づいて、その実行中に適応されることを備える。
【0074】
本開示はまた、本開示の任意の実施例による方法を実行するための手段を含むデータ処理システムに関する。
【0075】
本開示はまた、プログラムがコンピュータによって実行されると、本開示の任意の実施例による方法をコンピュータに実行させる命令を含むコンピュータプログラムにも関する。
【0076】
方法操作が、単なるデータ処理(例えば超音波信号処理)を超える任意の側面(例えば物理的な)を含む可能性がある場合、コンピュータプログラムは、データ処理システムによって実行されたときに、システム(例えば超音波トランスデューサ装置)の任意の外部要素にこれらの操作を実行させるコンピュータ可読命令をさらに含む可能性がある。
【0077】
また、本開示は、コンピュータによって実行されると、本開示の任意の実施例による方法をコンピュータに実行させる命令を含むコンピュータ可読媒体に関する。
【0078】
動的検査プロセスは、医用画像診断において多くの利点を有する可能性がある。動的検査プロセスは、例えば、個別化されたケアへのアクセスを提供し、動的検査プロセスによって自動的に呼び出される最適ツール、最適に適応された、および標的化されたツール(例えば、病理学的仮説の仮定に基づいて特定されるツールなど)を活用することによって、超音波検査の精度を向上させることができる。また、動的検査プロセスは、的を絞った検査を提供し、医療費を削減することにより、被験者管理を改善できる。動的検査プロセスは、ワークフローを最適化し、検査を迅速化することにより、生産性を向上させることができる。さらに、動的検査プロセスは、一貫したモード及び測定値を提供することにより、標準化及び検査の再現性を向上させることができる。動的検査工程は、病理学関連の基準値及び出版物(またはターゲットとする出版ソース)を報告書に自動的に組み込むことにより、文書化を改善できる。また、動的検査プロセスは、自動化とシステム化により、オプションとして専門家と非専門家(例えば、技術者、または専門家ではない医師)の間のギャップを埋めることで、操作者への依存を減らし、検査の再現性を高めることができる。最後に、動的検査プロセスは、フォローアップ検査において、特定のプロセスで定義されたシーケンスの再現性を長期にわたって高める可能性がある(例えば、健康診断や超音波検査など)。
【0079】
処理ユニットは、計算タスクを実行する役割を担う電子機器のコンポーネントであってもよい。それぞれ特定の目的のために設計された、異なるタイプの処理ユニットが存在し得る。処理ユニットは、中央処理装置(CPU)、グラフィック処理装置(GPU)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、および/または特定用途向け集積回路(ASIC)であるか、またはこれらを含む場合がある。CPUは、コンピュータの主要な処理ユニットであり、コンピュータが必要とする命令や計算の大部分を実行する。GPUは、グラフィックスやビデオのレンダリングに必要な複雑な計算を処理するために設計された特殊な処理ユニットである。DSPは、信号処理タスクを処理する特殊な処理ユニットであり、FPGAは、さまざまな計算タスクを実行するようにプログラムされる再構成可能な処理ユニットである。ASICは、特定のタスクセットを実行するように設計されたカスタマイズされた処理ユニットであり、任意で、意図された目的に対して非常に効率的かつ効果的にできる。これらの処理ユニットは、医療用電子機器など、幅広い電子機器に搭載されている。医療用電子機器には、コンピュータ、スマートフォン、およびその他のデジタル機器が含まれる場合があり、任意選択で、これらの機器がさまざまな計算タスクを効率的かつ正確に実行できるようにする。本開示による方法は、リモート、クラウドベースおよび/または仮想サーバー上で実行することもできる。
【0080】
矛盾する場合を除き、上述の要素と本明細書内の要素の組み合わせが可能であることが意図されている。
【0081】
前述の一般的な説明および以下の詳細な説明は、いずれも例示的かつ説明的なものであり、説明のために提供されるものであり、特許請求の範囲に記載された本開示を制限するものではないことを理解されたい。
【0082】
添付の図面は、本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成するものであり、本開示の実施例を示し、本明細書とともに、その原理を支持し、説明するのに役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【
図1】
図1は、本開示の実施例による被験者の医的検査のための動的検査プロセス100を概略的に示す。
【0084】
【
図2A】
図2Aは、本開示の実施例による動的検査プロセス100の別の概略例を示す。
【0085】
【0086】
【
図3A】
図3Aは、いくつかの段階(S1~S8)を含む肝臓疾患の評価のための動的検査プロセス100の第1の例を示す。
【0087】
【
図3B】
図3Bにおいて、動的検査プロセス100は、
図3Aの評価プロセスの第1の4段階(S1、S2、S3、S4)に関連するエンティティを選択する。
【0088】
【
図3C】
図3Cは動的検査プロセス100を示し、
図3Aの評価プロセスのさらなる段階S5およびS6に関連するエンティティが選択される。
【0089】
【
図3D】
図3Dは動的検査プロセス100を示し、
図3Aの評価プロセスのさらなる段階S7に関連するエンティティが選択される。
【0090】
【
図3E】
図3Eは、
図3Aの評価プロセスのさらなる段階S8に関連するエンティティが選択される動的検査プロセス100を示す。
【0091】
【
図3F】
図3Fは、いくつかの段階を含む肝臓疾患の評価のための動的検査プロセス100’の第2の例を示す。
【0092】
【
図4A】
図4Aは、本開示の実施例に従ってAIモデルを用いて動的検査プロセス100を決定する概略フローチャートを示す。
【0093】
【
図4B】
図4Bは、本開示の実施例による臨床評価プロセスの概略図である。
【0094】
【
図5A】
図5Aは、本開示の実施例による超音波システム10の概略図である。
【0095】
【
図5B】
図5Bは、
図5Aの超音波システム10の例示的な動的検査プロセス100の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0096】
図面の説明
次に、添付の図面に例示されている本開示の実施例を詳細に参照する。可能な限り、同一の参照番号は、同一または類似の部品を参照するために図面全体を通して使用される。
【0097】
一般に、本開示は、以下の実施例の文脈でより詳細に説明されるように、動的検査プロセスを決定するためのシステムおよび方法に関する。動的検査プロセスを決定するためのシステムは、被験者の信頼性が高く、包括的で、意味のある医療データを得るための体系的および/または高度にカスタマイズされたアプローチを開発するための技術の使用を含むことができる。このシステムは、例えば、医療データの取得プロセス、医療上の意思決定および治療のプロセスを合理化し、エラーの可能性を低減し、医療提供の効率を向上させるようにさらに設計されている。
【0098】
本開示による動的検査プロセスの支援により、大量の医療データを処理することが可能であり、その結果、医療分野における診断の精度が向上し、治療のための推奨が改善される。さらに、計算ツールにより、ルーチンタスクや意思決定プロセスの自動化が可能になり、医療従事者がより複雑で重要なタスクに集中できるようになり、効率が向上し、コストが削減される。患者データを分析し、患者の病歴や現在の状態に基づいてオーダーメイドの治療法を提案することで、パーソナライズされたケアが可能になるかもしれない。動的検査プロセスは、医療従事者に標準化された一貫性のある治療ガイドラインを提供することで、エラーを減らし、患者の安全性を向上させ、患者の転帰の改善につながる可能性がある。全体として、動的検査プロセスと計算ツールの組み合わせは、医療分野に革命をもたらし、標準化された効率的な治療を提供し、患者の転帰を改善し、患者の安全性を維持しながらコストを削減する可能性を秘めている。
【0099】
図1は、本開示の実施例による被験者の医的検査のための動的検査プロセス100を概略的に示す。動的検査プロセス100は、タスクを実行可能なエンティティ200を定義する。エンティティ200は相互接続されており、動的検査プロセス100に従って確立されたデジタル通信チャネル300を介して互いに通信可能である。動的検査プロセス100は、検査プロセス中にエンティティ200がどのように相互作用するかを定義するように設計されており、通信チャネル300は、エンティティ200間のデータ転送を容易にする。動的検査プロセス100は、被験者の医的検査の実行を可能にする。エンティティ200は、動的検査プロセス100の実行中に、得られた医療データに基づいて動的に適応させることができ、検査プロセスのリアルタイム調整および最適化を可能にする。デジタル通信チャネル300は、エンティティ200間の通信を容易にし、情報の交換とタスクの調整を可能にする。
【0100】
被験者から医療データを取得する役割を担う取得モード400は、エンティティ201、202、および203のグループに関連付けられている。エンティティ201、202、および203は、医療データの取得に関連する特定のタスクを実行可能であり、動的検査プロセス100によって確立されたデジタル通信チャネル300を介して相互に接続され、通信する。特定のタスクには、誘導ツールおよび測定ツール、ならびに剛性および弾性および粘弾性のような組織特性を評価するためのツールが含まれ得る。
【0101】
キャプチャされた時刻において、取得モード400に関連するエンティティ201、202、203がアクティベートされる。取得モード400に関連するエンティティ201、202、および203は、互いに依存する。
【0102】
図2Aは、本開示の実施例による動的検査プロセス100の別の概略例を示す。動的検査プロセス100は、エンティティのグループ401を含む。動的検査プロセス100の実行中に、エンティティのグループ401によって新しい情報(すなわち、被験者の医療データ)が得られるので、エンティティおよび異なるエンティティ間の通信チャネル300を動的に変更することによってアーキテクチャを適応させる必要がある。
【0103】
図2Bは、アーキテクチャが適応された
図2Aの動的検査プロセス100を示す。
【0104】
動的検査プロセス100は、
図2Aから見て
図2Bでは変更されていないエンティティのグループ401を含む。得られた医療データに基づいて、新たなエンティティのグループ402が動的検査プロセス100に追加される。グループ401または402のいずれにも属さないエンティティ200が削除され、動的検査プロセス100の新しいアーキテクチャが得られる。アーキテクチャの動的適応は、変化するまたは不確実な医療データに直面しても、動的検査プロセス100がその意図する目標を達成する上で効率的かつ効果的であり続けることを保証するのに役立つ可能性がある。
【0105】
換言すれば、動的検査プロセス100は、エンティティの第1のグループ401によって得られた医療データに基づいて適応される。エンティティの第2のグループ402が適応される。さらに、エンティティの第1および第2のグループ401、402は、異なる取得モードに関連付けられ得る。
【0106】
図3Aは、いくつかの段階(S1~S8)を含む肝臓疾患の評価のための動的検査プロセス100の第1の例を示す。
【0107】
第1段階S1では、肝臓のサイズ及び容積を評価するために自動測定を使用することがある。第2段階S2では、Bモード比ツールを使用できる。例えば、Bモード比ツールは、2つの異なる媒体間又は媒体内の2つの異なる領域間、例えば肝臓と腎臓との間の相対的な明るさを決定できる。Bモード画像上で、例えば肝実質と腎皮質のエコー輝度の間の比を計算できる。第3段階S3は、肝臓表面規則性ツールの適用を含む。当該ツールは、上述したように、インテリジェントな分析及び/又は処理コンポーネントの一例であってよい。第4段階S4では、脂肪症評価のための肝臓音速および減衰ツールが使用される。4つの段階S1、S2、S3、およびS4は、Bモードデータに依存する(またはBモードデータに基づく)4つの独立した段階であってもよい。
【0108】
第五段階S5では、肝硬度評価のためのツール(例えばbox/Q-boxツール)が適用される。当該ツールは、上述したように、インテリジェントな分析および/または処理コンポーネントのさらなる例であってもよい。第6段階S6は、活性評価のための肝臓粘性ツールを含む。段階S5およびS6は、例えば、ShearWaveTMElastography(SWE)データに依存する2つの段階である。第7段階S7は「びまん性肝疾患」用コンポーネントの使用で構成され、任意で剛性値、粘弾性値、および交絡因子の解析を考慮したマルチパラメトリック解析を可能にする。この段階における解析は、解剖学、線維症、脂肪症、活動性病期分類、リスク、および被験者管理に関する推奨を含むことができる。段階S7のコンポーネントは、段階S3及びS5のコンポーネントの出力を入力として受け取ることができる。
【0109】
最後に、評価は、報告書を含む第8段階S8で終了でき、報告書は、段階S7の「びまん性肝疾患」に対するコンポーネントの出力に基づいて生成され、任意で病理に対する特定の参照(例えば、最初の病理学的仮説の妥当性を評価することを可能にする任意のデータ)を含む。
【0110】
以下の
図3Bから
図3Eに示すように、動的検査プロセスは、進行の各インスタンスで適切なエンティティを選択し、任意で既に得られた医療データなどの情報をこのエンティティに提供することによって、その実行中に適応されることが可能である。その後、このエンティティは、例えばタスクの実行または制御のために起動される。したがって、この例では、動的検査プロセスのアーキテクチャは、(例えば、エンティティまたは通信チャネルを追加または削除することによって)適応されるのではなく、事前に定義されたエンティティのそれぞれの選択によって適応される。それでも、選択されたエンティティは、既に得られた医療データ及び/又は病理学的仮説に基づいて構成できる。
【0111】
図3Bにおいて、動的検査プロセス100は、エンティティ200の使用を通じて、
図3Aの評価プロセスの第1の4段階(S1、S2、S3、S4)に関連するエンティティを選択する。
【0112】
図3Cは動的検査プロセス100を示し、
図3Aの評価プロセスのさらなる段階S5およびS6に関連するエンティティが選択される。
【0113】
図3Dは動的検査プロセス100を示し、
図3Aの評価プロセスのさらなる段階S7に関連するエンティティが選択される。段階S7では、「びまん性肝疾患」のコンポーネントが適用される。
【0114】
図3Eは動的検査プロセス100を示し、
図3Aの評価プロセスのさらなる段階S8に関連するエンティティが選択される。段階S8は、段階S7の「びまん性肝疾患」に対するコンポーネントの出力に基づいて生成され得る報告書からなり、任意選択で病理学に対する特定の参照(例えば、最初の病理学的仮説の妥当性を評価することを可能にする任意のデータ)を含む。
【0115】
図3Fは、いくつかの段階を含む肝臓疾患の評価のための動的検査プロセス100’の第2の例を示す。
【0116】
従来、超音波イメージングシステムは、例えば腹部検査のための「工場出荷時」のプロトコルを備えることができる。このようなプロトコルのステップは予め定義されているので、これらのステップまたはプロトコル一般は、検査される特定の被検体に適応しない。従って、一方では、予め定義されたプロトコルが、特定の被検者にとっては不必要な検査ステップを含んでいる危険性がある。従って、事前に定義されたプロトコルは、医療データの取得と検査結果の解析のための時間の浪費を意味する。一方、事前に定義されたプロトコルは、特定の被験者に関する関連情報を得るために必要なステップを欠いている危険性がある。従って、最終的な検査結果が正確でなくなったり、不正確になったりすることさえある。
【0117】
これらの欠点に鑑みて、本開示は、医療データを取得する間に特定の被験者に自動適応し得る動的検査プロセスを提供する。例えば、
図3Fの文脈で説明されるように、進行中の超音波検査プロセスは、被験者の得られた情報の関数として、その実行中にリアルタイムで自動適応され得る。以下に説明する段階は必ずしも連続的なものではない。むしろ、段階は同時に実行することもできる。さらに、段階が順次実行される場合、その順序は
図3Fの例とは異なる可能性がある。さらに、既に実行された段階の結果から見て必要でないと判断された場合には、図示された段階のいくつかがスキップされることもある。同時に、既に実行された段階の結果から見て必要であると判断される場合には、本実施例には示されていない他の段階も追加される可能性がある。
【0118】
段階Oでは、病理学的仮説が、例えば手入力として、または上述のような機械ベースの決定に基づいて、提供されることがある。病理学的仮説は病理ファミリーと関連付けられることもある。例えば、病理ファミリーはびまん性肝疾患であると仮定できる。
【0119】
段階A1では、肝臓の得られたBモードデータに基づいてBモードパターンを評価できる。このようなパターンは、例えば肝臓に関連する均質性および/または輝度パターン情報を含むことができる。
【0120】
段階A2では、肝臓の得られたBモードデータに基づいて形態学的測定を行うことができる。例えば、肝臓のサイズまたは肝臓の関心領域が測定され得る。
【0121】
段階A3では、肝臓の得られたBモードデータに基づいて肝被膜の規則性を定量化できる。この段階は段階A1およびA2の結果に依存することがある。換言すれば、段階A3は、段階A1およびA2の結果を考慮して段階が必要であると判断された場合にのみ実行できる。例えば、段階A1において肝臓の均質性の低下が判定された場合、および/または段階A2において肝臓サイズの増大が測定された場合、段階A3を実行する必要があると判定されることがある。
【0122】
段階A1からA3は、Bモード段階Aの一部であってもよい。
【0123】
これらの段階A1~A3、および以下に説明する段階B~Gは、超音波診断システムによって少なくとも部分的に自動的に実行され、および/または、システムは、段階を実行する際に、例えば、被検体の特定の位置に超音波プローブを配置するようにユーザを誘導できる。
【0124】
段階B1では、カラードップラーデータおよび/またはパルス波ドップラーデータに基づいて、血管の流れが評価および測定される。この段階は段階A1、A2及びA3の結果に依存することがある。一例では、段階B1の評価および測定プロセスは、段階A1、A2およびA3のこれらの結果に基づいて、例えば肝臓の関心領域の調整、特定の超音波プローブの選択、設定の選択、または測定タイプの選択(例えば平均速度対抵抗指数)によって微調整されることがある。例えば、カラードプラデータおよび/またはパルス波ドプラデータを得るための関心領域は、段階A2で行われた測定に基づいて調整できる。
【0125】
段階AおよびBの結果がびまん性肝疾患がないことを示す場合、動的検査プロセス100’は停止され得る。換言すれば、さらなる段階C~Fは省略されることがあり、任意に、段階Gを参照して、報告書が生成されることがある。
【0126】
例えば、段階AおよびBの結果(例えばBモードデータおよびカラードプラデータおよび/またはパルス波ドプラデータ)に応じて、超音波検査の精度および/または検査結果の精度を向上させるために減衰係数の測定が追加的に必要か否かが決定される。さらなる実施例によれば、段階AおよびBで特定された肝臓の1つまたは複数の関心領域について減衰係数を測定できる。
【0127】
段階Dでは、段階Cの結果に基づいて音速係数が推定され得る。例えば、段階の結果に応じて、超音波検査及び/又は検査結果の精度を向上させるために音速係数の測定が追加的に必要か否かが決定され得る。さらなる実施例によれば、音速推定プロセスにおいて、推定された減衰係数を考慮できる。さらに、音速係数は、減衰係数と同じ関心領域について推定できる。
【0128】
段階E2では、得られた肝臓のShearWaveTM弾性分散データに基づいて、肝臓の粘性定量化を行うことができる。この段階は、段階AからD、さらに段階E1の結果に依存することがある。例えば、肝臓の定量化された弾性を考慮した粘性モデルを使用できる。
【0129】
段階E1およびE2は、ShearWaveTM弾性段階Eの一部であってもよい。
【0130】
段階Fでは、段階A1、A2およびE1を被験者の脾臓に適用できる。この段階は、段階A~Eの結果に依存することがある。例えば、脾臓の評価により、線維化の高段階に関連する門脈圧亢進症を検出できる。脾臓を評価することにより、門脈圧亢進症の評価、肝臓および脾臓以外の臓器のさらなる検査の必要性の定義、および脾臓の硬化の有無および重症度に応じて肝臓の弾性を補正することのうち、少なくとも1つを行うことができる。段階A1、A2およびE1を脾臓に適用することにより、肝臓評価と同じツールと特徴を脾臓評価に使用できる。
【0131】
段階Gでは、段階Aから段階Fの結果に基づいて報告書が作成される。この目的のために、異なる段階で得られたデータに関連する交絡因子によって任意に補正されたマルチパラメトリック解析プロセスを実行できる。報告書は、例えば、脂肪症、炎症、肝臓のうっ血などの病期分類の指標を含むことができる。さらに、報告書は肝臓の層別化レベルの指標を含むことができる。例えば、カテゴリにおける分類が自動的に決定される場合があり、例えば、肝臓の代償不全リスクに関する分類が決定される場合がある。さらに、レポートは、例えば食道静脈瘤のような健康リスクに関連する指標と、任意で、例えばエコー内視鏡検査の実施のような患者管理に関する推奨とを含むことができる。
【0132】
図4Aは、本開示の実施例によるAIモデルを用いて動的検査プロセス100を決定する概略フローチャートを示す。予め定義されたアルゴリズムは、報告書、画像、段階のシーケンス、及び他の関連要因からの既知の病理に関する情報を含む、数百又は数千の超音波(U/S)検査からのデータで訓練された人工知能(AI)モデルとして開発され得る。このトレーニングにより、モデルはデータのパターンと相関関係を学習し、その知識を使用して将来の検査について正確な予測と推奨を行うことができる。AIモデルは、病理学的仮説を使用して、超音波検査のためにカスタマイズされた動的検査プロセス100を決定できる。動的検査プロセス100は、1つ又は複数のコンポーネントを含み得る。動的検査プロセス100は、得られた医療データの関数として病理学的仮説または病理ファミリーの特定のメンバーを評価するように構成された1つのエンティティ204を定義する。
【0133】
動的検査プロセス100のエンティティによって取得されたリアルタイムデータ(すなわち、被験者の取得された医療データ)は、フィードバックループにおいて使用され得る。そのために、リアルタイムデータをAIモデルの入力として使用できる。したがって、AIモデルは、リアルタイムデータに基づいて動的検査プロセスを適応させることができる。
【0134】
図4Bは、本開示の実施例による臨床評価プロセスの概略図である。被験者の病歴、症状、および身体検査を評価することを含み得る臨床評価プロセスは、疑われる病理ファミリーを同定するために使用され得る。臨床評価プロセスは、被験者が経験している症状、検査が行われている状況、被験者の病歴、危険因子、被験者の全体的な健康状態、生活様式因子、血液検査または他の診断検査の結果など、様々な種類の先験的情報に基づいて行うことができる。この情報は、超音波検査システムと、数百または数千の過去の超音波検査から収集されたデータに基づいて訓練されたAIモデルを使用して、医的検査のための動的検査プロセス100を決定するために使用できる。
【0135】
動的検査プロセス100は、疑われる病理のファミリーに基づいて自動的に定義される関連する段階のシーケンスを含むことができ、これは、インテリジェントな事前定義されたアルゴリズムを使用して達成できる。動的検査プロセス100はまた、画像、シネループ、または被検体のスキャンされた媒体の選択された3D(すなわち三次元)ボリューム(例えば、3D撮像の場合)などの取得するデータのタイプの選択、ならびに使用する適切なプローブ(複数可)の選択を含むことができる。ボリュームは、従来の2D超音波撮像法で使用されるような2D(すなわち2次元)スライスの合計であってもよい。動的検査プロセスによって決定され得る他の側面には、使用されるモード、採用される測定ツール、および診断、予後、自動化された測定などのさまざまな目的のために活用されるインテリジェントコンポーネントが含まれる。これら全ての要素を動的検査プロセス100に組み込むことにより、超音波検査を標準化し、その精度、効率、生産性を向上させることができる。
【0136】
図5Aは、本開示の実施例による超音波システム10の概略図である。超音波システム10は、検査のための動的検査プロセス100を決定するためのシステムの一例であり得る。
【0137】
超音波撮像システム10は、
-プローブ20、
-プローブによって受信された信号に基づいて画像を処理するための処理ユニット30、
-処理ユニットに接続されたコントロールパネル40aであって、少なくともボタン41とタッチパッド42とを含む、コントロールパネル40a、および
-画像を視覚化するためのディスプレイ50、を備える。
【0138】
プローブ20は、例えば、ケーブル21を介して又は無線接続を介して処理ユニット30に接続され、媒体Mに超音波Wを放射でき、及び/又は媒体Mから超音波Wを受信でき、前記受信された超音波は、媒体Mに存在する拡散粒子上での放射された超音波の反射の結果又は結果として生じる。波を放射及び受信するプローブは、同じ出会ってもよいし、別であってもよい。
【0139】
表示画面50は、処理ユニット30によって処理された画像を視覚化するための画面であってもよい。ディスプレイ50はまた、画像で使用されるスケール、値マップ、処理のための構成情報、またはタッチパッド42のためのヘルプ情報または文脈ジェスチャヘルプなどの任意の情報などの他の情報を視覚化できる。
【0140】
ディスプレイ画面は、ユーザにとってより良い位置決めのために、支持アーム51上で関節運動できる。ディスプレイ画面は通常、ユーザにより良い画像を視覚化するために、大きなサイズ(少なくとも20インチ)の高精細画面である。
【0141】
コントロールパネル40aは、例えば、システムケーシング31の一部分であり、当該部分は、当該ユーザの片手による操作のためにユーザに向かって傾斜した実質的に平坦な表面を有するパネルケーシングを含む。コントロールパネル40aは、いくつかの構成情報またはユーザ専用の任意の情報を視覚化するための制御パネル表示スクリーン49を含むことができる。
【0142】
処理ユニット30は、予め定義されたアルゴリズムを用いて病理学的仮説に基づいて動的検査プロセス100を決定するように構成されている。つまり、システム10の操作者または使用者(例えば医師であっても、単に技術的に熟練した者であってもよい)は、最初に病理学的仮説を導出する。例えば、操作者または使用者が医師である場合、前記病理学的仮説は、検査対象の観察に基づいて、経験的知識に基づいて導出または決定できる。また、(特に、操作者または使用者が単なる技術熟練者である例示的な場合において)計算ツールを用いて、病理学的仮説を自動的または少なくとも半自動的に導出または決定することも可能である。計算ツールは、ソフトウェアベースのソリューションまたは(AI)アルゴリズムであってもよいし、ソフトウェアベースのソリューションまたは(AI)アルゴリズムを含んでもよい。計算ツールは、対象レコードで利用可能な情報を自動的に処理および/または分析できる。計算ツールは、少なくとも部分的にシステム10の外部にあってもよく、すなわち、少なくとも部分的に外部のコンピューティングデバイス上で実行されてもよい。次に、操作者は、コントロールパネル40a及び/又は表示画面50を用いて、超音波撮像システム10への入力として病理学的仮説を提供する。次いで、処理ユニット30は、操作者によって提供された病理学的仮説を使用して、予め定義されたアルゴリズムを使用して動的検査プロセス100を自動的に決定できる。動的検査プロセス100は、疑われる病理のファミリーに対する関連するステップまたは段階の完全なシーケンスとできる。また、操作者は、コントロールパネル40aおよび表示画面50を使用して、検査中に必要に応じて動的検査プロセス100を監視および調整できる。
【0143】
図5Bは、
図5Aの超音波システム10のための例示的な動的検査プロセス100の概略図である。動的検査プロセス100は、超音波信号を発生し、結果として生じるエコーを受信するプローブ20、信号を画像に変換し得る処理ユニット30、オペレータがシステム設定および画像パラメータ(本開示によるシステムによって自動的に設定または調整された可能性がある)を手動で再調整することを可能にする制御パネル40a、および結果として生じる画像を提示するディスプレイ50を含む、特定のタスクを実行するエンティティ200のセットを含み得る。コントロールパネル40aに関連するエンティティは、ボタン41、タッチパッド42、およびコントロールパネル表示画面49に関連するエンティティと接続されている。
【0144】
動的検査プロセス100は、これらのエンティティがどのように相互接続されるべきか、およびデジタル通信チャネル300を介してどのように互いに通信されるべきかを指定できる。操作者は、操作パネル上のボタン41およびタッチパッド42を使用して動的検査プロセス100に従い、システム設定を調整し、適切な検査モード(複数可)を選択でき、その結果、正確で効率的な医的検査が行われる。
【0145】
エンティティは、得られた医療データに基づいて動的検査プロセス100の実行中に適応可能である。例えば、医師が第1のタイプのプローブ20を使用する場合、動的検査プロセス100の処理ユニット30は、得られた医療データを分析し、プローブ20がこの検査に適切であるか否かを判定できる。これに応答して、動的検査プロセス100の処理ユニット30は、第2のタイプのプローブ20を使用することによってプローブ20を適応させるための情報を提供できる。プローブ20はそれに応じて適応され得る。さらに、ゲイン、深さ、周波数などのマシンパラメータが、処理ユニット30によって自動的に適応されることもある。
【0146】
動的検査プロセスの別の実施形態は、加齢に関連した筋骨格系(MSK)障害の評価である。動的検査プロセスは、BモードおよびSWEモードの自動段階を含むことができる。Bモードでは、MSK用のインテリジェントガイダンスコンポーネントを使用して、典型的なパターンを認識し、適切なBモード平面を取得できる。エコー強度ツールはMSKに使用され、筋骨膜症評価のための関心領域(ROI)を計算し、位置決めする。SWE(ShearWaveTMエラストグラフィ)モードでは、MSK線維のアライメントを決定するためにガイダンスコンポーネントを使用できる。ガイダンスコンポーネントはさらに、決定されたMSK線維のアライメントも考慮して、例えば最適なSWEデータを取得するために使用できる。インテリジェントBоx/Q-bоxコンポーネントは、ShearWaveTM速度評価に使用できる。
【0147】
動的検査プロセスには、サルコペニアのバイオマーカーとして筋内脂肪蓄積(myosteatosis)を含むマルチパラメトリック分析を実行する「加齢関連MSK障害」のコンポーネントが含まれる場合がある。このコンポーネントは、サルコペニアを診断し、予後を提供できる。動的検査プロセスにより生成される報告書には、病理学的な具体的な言及と被験者管理のための推奨事項が含まれる場合がある。動的検査プロセスは、加齢に関連するMSK障害の自動評価を可能にし、正確な診断と予後を提供する。
【0148】
動的検査プロセスの別の実施形態は、いくつかの段階を含む乳癌のNACT(新アジュバント化学療法)反応性の評価である。第1段階は、被験者の記録及び/又は以前の検査からの超音波データを取得するためのクエリー/リトリーブを含むことができる。第2段階は、自動注釈とボディマーカー、および病変サイズの測定を伴うBモードを使用する。第3段階は、自動乳房硬さ評価のためのBox/Q-boxTMコンポーネントによるSWEモードと、BモードとSWEモードに超高感度ドプラ(Ultrasensitive Doppler)を組み合わせたいわゆるTriVuTMモードを含むことができる。第4段階では、BモードとSWEモードの両方で3D PROBEを使用できる。第5段階では、化学療法の反応性を評価するためのマルチパラメトリック解析を含む「NACT反応性評価」専用のコンポーネントを導入できる。最後の段階は、解析に基づいてレポートを作成することである。
【0149】
特許請求の範囲を含む本明細書全体を通して、「を含む」という用語は、特に断らない限り、「少なくとも1つを含む」と同義であると理解されるべきである。加えて、特許請求の範囲を含む本明細書において規定される範囲は、特に断らない限り、その最終値を含むと理解すべきである。記載された要素の具体的な値は、当業者に知られている許容される製造上または産業上の許容範囲内であると理解されるべきであり、「実質的に」および/または「およそ」および/または「一般的に」という用語の使用は、そのような許容範囲内に収まることを意味すると理解されるべきである。
【0150】
「記録」および「受信」という用語は、異なる表記がない限り、本開示を通じて同義に使用される場合がある。
【0151】
本明細書における本開示は、特定の実施例を参照して説明されてきたが、これらの実施例は、本開示の原理および応用を単に例示するものであることを理解されたい。
【0152】
本明細書および実施例は例示的なものとしてのみ考慮されることが意図されており、本開示の真の範囲は以下の特許請求の範囲によって示される。
【0153】
本明細書において、特許文献または先行技術として特定されたその他の事項への言及は、その文献またはその他の事項が、請求項のいずれかの優先日において公知であったこと、またはその文献またはその他の事項が含む情報が一般的な知識の一部であったことを認めるものとして解釈されるものではない。
【手続補正書】
【提出日】2024-08-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
動的検査プロセスを決定するためのシステム(10)であって、
予め定義されたアルゴリズムを使用して、病理学的仮説に基づいて、動的検査プロセス(100)を決定するように構成された処理ユニット(30)を備え、
前記動的検査プロセス(100)は、医療データの取得に関連付けられており、
前記動的検査プロセス(100)は、取得された前記医療データに基づいて、実行中に適応可能である、
システム。
【請求項2】
前記動的検査プロセス(100)は、タスクを実行または制御することができる少なくとも1つのエンティティ(200、201、202、203、204、S1、S2、S3、S4、S5、S6、S7、S8)を定義する、
請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記少なくとも1つのエンティティ(200、201、202、203、204、S1、S2、S3、S4、S5、S6、S7、S8)は、取得された前記医療データに基づいて前記動的検査プロセス(100)の実行中に適応可能である、
請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記タスクおよび/またはエンティティ(200、201、202、203、204、S1、S2、S3、S4、S5、S6、S7、S8)は、
バイオマーカー、
計算ツール、
コンポーネントの分析および/または処理、
測定タスク、および/または測定値、
取得モード、
プローブタイプ、
マシンパラメータ、スキャンパラメータ、
医療データを取得するための取得プロセス、
処理ツール、
報告ツール、および
医療データの選択
のうちの少なくとも1つに関連付けられる、
請求項2に記載のシステム。
【請求項5】
前記動的検査プロセス(100)は、医療機器の少なくとも1つの予め定義された取得モード(400)を定義し、前記取得モード(400)はエンティティのグループ(401、402)に関連付けられる、
請求項2に記載のシステム。
【請求項6】
前記動的検査プロセス(100)を適応させることは、
第1のエンティティ(200、201、202、203、204、S1、S2、S3、S4、S5、S6、S7、S8)またはエンティティの第1のグループ(401、402)によって得られた前記医療データに基づいて、少なくとも1つの適応されたマシンパラメータを使用して、前記第1のエンティティ(200、201、202、203、204、S1、S2、S3、S4、S5、S6、S7、S8)またはエンティティの第1のグループ(401、402)を再実行すること、および/または
第1のエンティティ(200、201、202、203、204、S1、S2、S3、S4、S5、S6、S7、S8)またはエンティティの第1のグループ(401、402)によって取得された医療データに基づいて、第2のエンティティ(200、201、202、203、204、S1、S2、S3、S4、S5、S6、S7、S8)またはエンティティの第2のグループ(401、402)を選択および/または適応させること、を含む、
請求項2に記載のシステム。
【請求項7】
前記第2のエンティティを適応させることは、
前記第2のエンティティを前記動的検査プロセス(100)から除去すること、
前記第2のエンティティを前記動的検査プロセス(100)に追加すること、および
前記第2のエンティティの少なくと1つのパラメータを適応させること
のうちの少なくとも1つを含む、
請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記少なくとも1つのエンティティ(200、201、202、203、204、S1、S2、S3、S4、S5、S6、S7、S8)は、医療機器を使用して実行可能である、
請求項2に記載のシステム。
【請求項9】
前記動的検査プロセス(100)は、相互接続されたエンティティのグループ(401、402)を定義し、前記グループの少なくとも2つのエンティティ(200、201、202、203、204、S1、S2、S3、S4、S5、S6、S7、S8)が互いに依存している、
請求項2に記載のシステム。
【請求項10】
前記相互接続されたエンティティのグループの少なくとも2つのエンティティ(200、201、202、203、204、S1、S2、S3、S4、S5、S6、S7、S8)が、デジタル通信チャネル(300)を介して相互に通信可能であり、任意選択で前記動的検査プロセス(100)に従って確立される、
請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記取得された医療データは、
被験者からリアルタイムで取得されたデータ、
医的検査データ、および
任意選択で超音波システム(10)を含む、少なくとも1つの医療機器によって取得されたデータ
のうちの少なくとも1つを含む、
請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
前記動的検査プロセス(100)がリアルタイムで適応可能である、
請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
前記病理学的仮説が病理ファミリーの仮説を含み、および/または、前記動的検査プロセス(100)が、前記取得された医療データの関数として前記病理学的仮説または病理ファミリーの特定のメンバーを評価するように構成される少なくとも1つのエンティティ(200、201、202、203、204、S1、S2、S3、S4、S5、S6、S7、S8)を定義する、
請求項1に記載のシステム。
【請求項14】
前記予め定義されたアルゴリズムが人工知能(AI)モデルであり、または人工知能(AI)モデルを含み、および/または
少なくとも1つのエンティティが人工知能(AI)モデルであり、または人工知能(AI)モデルを含む、
請求項1に記載のシステム。
【請求項15】
被験者の医的検査のための動的検査プロセス(100)を決定するコンピュータ実装方法であって、前記方法は、
予め定義されたアルゴリズムを使用して、病理学的仮説に基づいて、前記動的検査プロセス(100)を決定するステップを含み、
前記動的検査プロセス(100)は、医療データの取得に関連付けられ、
前記動的検査プロセス(100)は、取得された前記医療データに基づいて、実行中に適応される、
コンピュータ実装方法。
【請求項16】
コンピュータプログラムであって、前記プログラムがコンピュータにより実行されると、前記コンピュータに請求項15に記載の方法を実行させる命令を含む、
コンピュータプログラム。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
医学の分野では、予め定義されたプロトコルを使用することにより、例えば被験者の医的検査データ(medical examination data)の効率など、臨床結果の質を向上させることができる。医療データを得るためのシステム、例えば超音波イメージングシステムは、予め定義された用途のための「工場出荷時」プロトコルのセットを備えることができる。「工場出荷時」プロトコルは、システムの製造業者によってプログラムされ、システムにプレインストールされるか、又はユーザグループのために特定のユーザによって予め定義される。このような予め定義されたプロトコルは、例えば、肝臓や乳房などの人体臓器の検査に関する。
【0002】
このようなプロトコルを提供する利点の1つは、初心者ユーザでも、事前に定義された関連プロトコルに従って、効率的な方法でシステムを使用できることである。例えば、被験者の肝臓を検査する場合、ユーザは「肝臓」プロトコルを選択でき、その後、当該プロトコルによって指定された検査ステップ(例えば、プローブの選択、医療機器の予め定義されたパラメータの使用、超音波プローブを被験者の特定の位置に保持すること、医療機器の「フリーズ」ボタンまたは他のボタンを押すこと等)を実行する必要がある。
【0003】
しかしながら、この方法の欠点は、工場出荷時のプロトコルが、特定のシステム、および/または特定のアプリケーションもしくは臓器スキャンのために、製造業者またはユーザによってカスタマイズされているが、検査される特定の被験者のためにカスタマイズされていないことである(すなわち、今回の例では、ある患者である)。従って、予め定義されたプロトコルは、特定の用途(特に、特定の臓器の検査)には対応するが、現在スキャンされている被検者の特異性には対応できない。
【発明の概要】
【0004】
動的検査プロセスを決定するシステムが提供される。このシステムは、予め定義されたアルゴリズムを用いて病理学的仮説(pathology hypothesis) に基づいて動的検査プロセスを決定するように構成された処理ユニットを備える。さらに、動的検査プロセスは(例えば実行時に)臨床データの取得と関連付けられる。動的検査プロセスは、有利なことに、特にその実行中に、取得された医療データに基づいて適応可能(adaptable)である。
【0005】
このようなシステムを提供することにより、動的検査プロセスを実現できる。この文脈では、検査プロセスは、その実行中に適応可能(すなわち、動的に適応可能)であることによって、動的であり得る。従って、検査プロセスは、必ずしも完全に事前決定されたものではなく、その実行中に進化する可能性がある。検査プロセスの適応、すなわちその動的な動作は、それによって、得られた医療データによって制御され、または導かれる(steered)可能性がある。
【0006】
例えば、動的検査プロセスを実行中に自動的に適応させるようにシステムを構成できる。
【0007】
動的検査プロセスの実行を開始する前に、動的検査プロセスの初期形態を定義および/または決定できる。初期形態は、医学的又は病理学的仮説に基づいて決定され、又は構築され、又は選択され得る。従って、動的検査プロセスは、被験者(例えば患者)の病理学的仮説に適応できる。従って、動的検査プロセスの基本形態または初期形態は、特定の被験者の特性によって既に制御されているか、または特定の被験者の特性に適応され得る。さらに、動的検査プロセスは、その実行中に、被験者の新たに得られた医療データに基づいて適応させることができるので、動的検査プロセスは、被験者の特定の特性(例えば、得られた医療データに基づいて発見された病理学的特性)に対してさらにカスタマイズまたは適応させることができる。検査プロセスの後続段階は、例えば、発見された(または想定される)病理学的特徴または初期の病理学的仮定の検証、確認および/または改良を可能にする特定の医療データがこれらの追加段階で得られるように適応させることができる。
【0008】
したがって、得られた医療データが特定の被験者にとってより正確で、より包括的で、より信頼性が高く、および/またはより有意義なものとなるように、検査プロセスを有利に適応および/または最適化できる。例えば、全体的に得られた医療データは、より信頼性が高く、より正確に評価することを可能にし、ユーザまたは医療チームが被験者の病理をよりよく理解し、識別し、または解釈することを可能にし、および/または、初期の病理学的仮説を検証することを可能にし、または初期の仮説を微調整することを可能にし、または病理グループの中の病理を選択することを可能にする。これにより、より効率的な検査が可能となり、時間の節約と関連コストの最小化が可能となる。
【0009】
動的検査プロセスは、一般に、医的検査のための規則のセットおよび/または手順のセットを含むがこれらに限定されない、検査の実行方法を定義できる。動的検査プロセスは、被験者情報、診断結果、画像、および他のタイプの医療記録などのデータのフォーマットおよび構造を定義できる。動的検査プロセスは、被験者の情報(すなわち被験者のデータ、例えば医療データ)を取得、送信、及び/又は受信するための方法及び/又は規則を概説できる。被験者検査のための動的検査プロセスは、医療データ管理の効率及び精度を向上させ得る。
【0010】
医的検査のための動的検査プロセスは、特に、動的検査プロセスを実行するシステムのユーザが、個々の被験者の状態に検査プロセスを手動で適応させるのに十分な熟練がない場合に、被験者の結果を改善できる。したがって、動的検査プロセスは、複雑な病状や、複数の要因を考慮する必要があり、互いに影響し合う可能性がある場合に特に有用である。
【0011】
従って、本開示のシステムは、個々の検査プロセスを決定する可能な自動化により、データ取得および解釈についてのユーザ依存(初心者対専門家)の低減につながる可能性がある。本システムはさらに、以下のことを可能にし得る:
長期にわたるフォローアップ検査の再現性が向上し、検査の標準化と文書化を進める;
的確な測定と病理学的バイオマーカーの適切な評価により、パーソナライズされた最適な検査を提供し、検査結果の精度を向上させる;
被験者管理の改善(ダイナミックな検査プロセスにより、例えば、一般に部分的な及び/又は不適切なデータ取得がデータの誤解釈を招く、不必要な追加検査、無駄な介入処置、不必要なフォローアップ検査などを避けることができる)によるコスト削減(例えば、医療専門家のマンパワー、より一般的には医療費の削減である)。
生産性向上によるコスト削減、たとえば審査プロセスの迅速化によるコスト削減。
【0012】
検査とは、医学的な検査である場合もあれば、医学的な検査を含む場合もある。医学的検査は診断プロセスの一部である可能性があり、医療専門家が被験者の健康を評価するために使用できるいくつかの異なるタイプの検査が存在する可能性がある。医学的検査は、被験者の全体的な健康状態を一般的に評価するものであり、身体の様々な部位を見たり、聞いたり、触ったりすることを含む。医学的検査は、血液検査、尿検査、X線検査、磁気共鳴画像(MRI)検査、コンピュータ断層撮影(CT)検査、および/または超音波検査を含む場合がある。血液検査や尿検査は、感染症の有無や血球数の異常など、被験者の健康状態に関する貴重な情報を提供する検査室分析を含む場合がある。X線検査、CT検査、MRI検査、超音波検査などの医用画像診断技術は、被験者の関連部位の詳細な画像を作成するために使用され、医療従事者が潜在的な健康問題を特定できるようにする。これらの検査は、医療専門家が正確な診断および/または予後を下し、患者が病状を管理し回復するための適切な治療計画を立てるのに役立つ。
【0013】
動的検査プロセスは、被験者の検査のために提供され得る。「被験者」という用語は、臨床的注意、調査、または治療の焦点となり得る患者を指す場合がある。被験者」という用語には、医療を受けている病人または健康な人間、および獣医師によって治療を受けている動物が含まれる場合がある。健康であると思われる対象者は、予防的(prophylactic)または予防的(preventive)な目的、すなわち、あらゆる疾病または病態の発症の可能性を回避する目的で検査されることもある。対象者は、医学的治療中または治療後に検査されることもある。研究においては、「被験者」という用語は、患者または健康なボランティアとして研究に参加する個人または動物を指す場合にも使用される。被験者」という用語の使用は、医学的または研究的な状況において、これらの個体が主に注目され観察されるという事実を反映しうる。
【0014】
動的検査プロセスを決定することは、動的検査プロセスの様々な部分を選択、生成、構築、および/または適応することを含む複雑なプロセスであってもよい。動的検査プロセスの一部を選択することは、適切な診断ツール、治療計画、および他の臨床的推奨を特定するために、既存の医学的ガイドラインおよびベストプラクティスを検討することを含む場合がある。
【0015】
動的検査プロセスは、コンピュータ実装アルゴリズム、例えば人工知能(AI)ベースのモデルまたはアルゴリズムを使用して決定できる。一例では、動的検査プロセスを適応させるために使用されるアルゴリズムは、動的検査プロセスを決定するための予め定義されたアルゴリズムであってもよいし、予め定義されたアルゴリズムにリンクされていてもよい。例えば、最初に動的検査プロセスを決定し、次にそれを動的に適応させるために、同じAIモデルを使用できる。更なる例では、動的検査プロセスを適応させるために使用されるアルゴリズムは、例えば、未知の環境(すなわち、特定の対象)を探索するために行動をとるべき知的エージェントを使用する強化学習(RL)アルゴリズムのような、機械学習アルゴリズムであってもよいし、機械学習アルゴリズムを含んでもよい。そのため、動的検査プロセスを適応させるために使用されるアルゴリズムは、マルコフ決定過程(MDP)を含むか、またはMDPを伴うことができる。
【0016】
動的検査プロセスの各部(parts)を生成および/または決定することは、人工知能ベースのアルゴリズム(例えば機械学習アルゴリズム)を使用して大規模な医療データセットを分析し、関連するパターンおよび傾向を特定することを含む場合がある。動的検査プロセスの各部を構築することは、特定の被験者の特徴および病歴に基づいてユーザ(例えば医師)をガイドする規則のセットおよび決定木を作成することを含む場合がある。例えば、ユーザは、特定のステップ(例えば、撮影の種類や測定の種類などである)に従うように、及び/又は、正確な診断及び/又は予後につながる関連情報を収集するように、及び/又は、任意選択で、それに応じて臨床的意思決定を行うように誘導され得る。動的検査プロセスの各部を適応させることは、新たな研究結果、被験者の結果、又は医療ガイドライン及びベストプラクティスの変更に基づいて動的検査プロセスを調整すること(例えば、リアルタイムで、および/または審査プロセス中に)を含む場合がある。全体として、動的検査プロセスを決定することは、これらの異なるアプローチの組合せを含むことがあり、新たなデータ及び洞察が利用可能になるにつれて、本質的に反復されることがある(例えば、リアルタイムで、および/または審査プロセス中に)。
【0017】
病理学的仮説は、対象者の病理学的仮説であってもよい。病理学的仮説は、特定の疾患または障害の原因および/または性質について想定され、提案された説明であってもよい。病理学的仮説は、医師、医学専門家、医師、および/または統計、出版物、および/または医師の経験的知識に基づいて確立されることがある。例えば、特定の病理学的仮説(例えば肝線維症)は、特定のスクリーニングプログラム(例えば、特定の集団における肝線維症を評価するプログラム)の対象となり得る。医師は、病理学的仮説を用いて、疾患の根底にある機序を調査でき、任意で、適切な治療および管理戦略を特定するのに役立つ。病理学的仮説は、動的検査プロセスを生成する前に、予め定義されたアルゴリズムに提供できる。病理学的仮説は、問題とする疾患の症状に基づいて設定できる。病理学的仮説はまた、罹患した臓器や組織の基礎となる生物学的および生理学的知識に基づいてもよい。言い換えれば、病理学的仮説は、システムに提供される外部データであってもよい。別の例では、病理学的仮説は、以下に説明するように、被験者のデータに基づいてシステムによって決定(または予測)される場合がある。決定された病理学的仮説は、新たなデータおよび洞察が利用可能になるにつれて、検査プロセスの実行中に、時間の経過とともに、および/またはリアルタイムで修正または改良される場合がある(すなわち、新しい医療データが得られる)。
【0018】
1つの態様において、病理学的仮説は、例えば計算ツール機能を用いて、被験者の利用可能なデータに基づいて自動的または半自動的に決定(または予測)できる。例えば、病理学的仮説を決定することは、被験者の以前の医的検査データ(すなわち、利用可能なデータの一例)に基づいてもよい。さらに、病理学的仮説を決定することは、被検者の症状に関連するデータにさらに基づいてもよい。また、病理学的仮説を決定することは、被験者の健康に関連する危険因子に基づいてもよい。さらに、病理学的仮説を決定することは、被験者の健康状態にさらに基づいてもよい。病理学的仮説を決定することは、被験者のライフスタイルに基づくこともある。
【0019】
予め定義されたアルゴリズムは、事前に(すなわち動的検査プロセスの実行前に)確立され、任意に特定の問題を解決するためまたは特定のタスクを達成するために使用され得る命令のセットであってもよい。予め定義されたのアルゴリズムは、動的検査プロセスを作成するために使用できる。アルゴリズムは、年齢、性別、身長及び/又は体重などの被験者の特徴、被験者の病歴、診断結果、及びその他の関連する臨床情報などのデータを分析及び解釈するように設計されてもよい。
【0020】
アルゴリズムは、このデータを使用して動的検査プロセスを生成し、実行すべき検査(すなわち、例えばロボットシステムによってプロセスが完全に自動で実行されない場合、ユーザによりどの操作がフォローされるべきか)、取得すべきデータ(例えば、どのモードを使うか)、および/または使用すべきツール(例えば、どの特性やバイオマーカーを測定するかなど)に関するガイダンスを提供できる。予め定義されたアルゴリズムを使用して動的検査プロセスが決定される病理学的仮説の例は、肝臓疾患、筋骨格系(MSK)疾患、敗血症、癌(例えば乳がん)、および心臓疾患を含むが、これらに限定されない。
【0021】
「予め定義された」という用語は、既に確立され、指定され、または予め設定されている可能性があるものを指す場合がある。事前定義されたアルゴリズムは、動的検査プロセスの実行前に既に構築、確立、指定、または設定されている可能性がある。予め定義されたアルゴリズムとは、医療データを分析し診断を行う際に使用するために予め設定されている可能性のある特定の規則、計算、又は命令のセットを指す場合がある。事前に定義されたアルゴリズムは、訓練されたモデルである場合がある。モデルは、データのパターンと関係を学習するように、データセットで訓練することによって開発される。その結果得られたモデルを用いて、新たなデータの予測や分類を行うことができる。
【0022】
医療データの取得は、被験者の病歴、診断結果、治療計画、および他の関連する臨床データを任意に含む、被験者に関する情報を収集および保存することを含む。医療データは、医療機器、電子カルテ、医療画像検査、臨床検査結果(laboratory test results)、および/または被験者が報告したデータなど、様々な情報源から得ることができる。医療データは、医療提供者が被験者のケアに関する情報に基づいた意思決定を行うのに有利であり、任意で、診断及び/又は予後、治療、並びに病状の管理を含む。医療データはまた、研究目的にも使用され、疾病の理解を進め、患者の転帰を改善するのに役立つ。医療データの取得と保存は、関連する法律や規制を遵守し、安全で機密性の高い方法で行われる。医療データを入手する際には、データのプライバシーとセキュリティが重要な関心事となる場合があり、医療提供者や医療機関は、被験者の機密性を保護し、データ侵害を防止するために適切な保護措置を実施する場合がある。医療データの入手は、医療データの入手である場合もあれば、医療データの入手を含む場合もある。
【0023】
動的検査プロセスは、医療データを取得することに関連付けられることがある。「関連付けられる」bとは、動的検査プロセスが、特にプロセスの実行中に、医療データを取得するプロセスにリンクされるか、またはそれと接続されることを意味することがある。換言すれば、プロセスの実行は、医療データの取得を意味するだけでなく、例えば医療データの処理及び/又は分析、報告書の作成等の他のタスクも意味する場合がある(以下に詳述する)。動的検査プロセスは、医療データの収集および処理をガイドするために使用できる。動的検査プロセスは、(少なくとも半自動的に、例えばプローブを持つ人間による限定的な補助のもとで)医療データを取得するプロセスを制御することもできる。動的検査プロセスで任意に設定された仕様や要件に従ってデータを収集できるため、動的検査プロセスと医療データの収集は相互に依存する可能性がある。
【0024】
動的検査プロセスは、被験者の検査中に得られた医療データに基づいて、その実行中に適応可能であり得る。医療データが得られると、動的検査プロセスは、データをリアルタイムで分析および/または任意に解釈し、任意に被験者の診断、治療、および/またはケアプランの動的調整を可能にするように設計できる。例えば、被験者の結果から合併症やこれまでのところ未知の症状が明らかになった場合、動的検査プロセスは、最新の医学的エビデンスやベストプラクティスに基づく新たな推奨やガイダンスを提供するように自動的に適応できる。人工知能の力を活用することで、動的検査プロセスは、個々の被験者のニーズや病態に任意に合わせた、個別化された応答性の高い医療を提供できる。言い換えれば、動的検査プロセスは、適応され、カスタマイズされ、パーソナライズされ、または被験者固有であってもよい。適応可能な動的検査プロセスは、診断および/または予後の精度を高める可能性がある。適応可能な動的検査プロセスは、エラーを最小化し、任意選択で不必要な処置および治療を低減し、被験者の転帰を向上させることにより、医療の質および効率をさらに改善し得る。医療データが収集・分析され続けるにつれて、動的検査プロセスは、被験者に正確で個別化された医療を提供する上で、さらに効果的になる可能性がある。動的検査プロセスは、被験者固有の要因や外的要因などの他の基準に基づいて、実行中に適応可能であってもよい。被験者固有の要因とは、例えば、被験者の年齢、病歴、症状、治療に対する反応などである。外部要因としては、例えば、医療規制の変更、新たな医学研究結果、新たな医学的治療又は療法の利用可能性などが考えられる。さらに、他の基準としては、例えば、個人的な嗜好、文化的、宗教的な配慮などがある。
【0025】
動的検査プロセスは、コンピュータで実施できる。動的検査プロセスは、ステップ、ステップのシーケンス、および/または段階または複数の段階を含み得る。動的検査プロセスは、操作を含んでいてもよい。言い換えれば、ステップおよび/または段階は、データを取得するなどのタスクまたはタスク群に関連することがある。
【0026】
例えば、動的検査プロセスは、コンピュータシステムにプログラムされ、特定のタスクまたはプロセスを実行するために使用される命令およびガイドラインのセットであってもよい。動的検査プロセスは、少なくとも部分的に自動化されたワークフローであってもよい。従って、検査プロセスの少なくとも一部の操作は、システムによって実行され得る。他の操作は、システムによって誘導および/または制御されるかもしれないが、(例えば超音波プローブを保持することによって)使用者による支援を必要とするかもしれない。いずれにせよ、その誘導および/または制御により、使用者は、有利なことに、特別な技能を有する必要がはるかに少なくなる。
【0027】
1つの側面において、動的検査プロセスは、タスクを実行または制御(または支援)できる少なくとも1つのエンティティを定義できる。
【0028】
エンティティは、動的検査プロセス内の特定のユニット、コンポーネント、および/または要素を指す場合がある。エンティティは、特定の手順、概念、ストレージ、および/またはデータポイントを表すことができる。動的検査プロセス内のデータポイントの例は、被験者の人口統計学的情報、病歴、バイタルサイン、検査室検査結果、診断画像データ、治療計画、および/または投薬命令を含むことがある。エンティティの更なる例は、特定の手順、例えば、診断画像データの調整及び/又は微調整のための手順、診断データ、診断パラメータの測定、診断記述子の評価のうちの少なくとも1つを利用するための手順を含むことができる。
【0029】
エンティティは、タスクを実行するための規則のセットおよび/または手のセットを含むことがある。したがって、エンティティは、タスクを実行するように構成されることがある。しかし、エンティティは、タスクまたはタスクの実行を制御または支援するように構成されることもある。例えば、タスクは、エンティティの制御または補助の下で、ユーザ(または外部の装置またはシステム)によって少なくとも部分的に実行される。エンティティはまた、動的検査プロセスを実施するために関連し得る情報を構成できる。動的検査プロセス内のエンティティは、データベースや電子カルテシステムなど、標準化された構造に編成される場合があり、これにより、それらが含む情報の容易な検索や分析が可能になる場合がある。この構造により、機械学習アルゴリズムや他の計算ツールを使用して、大規模な医療データセットを分析し、臨床的意思決定の指針となる関連パターンや傾向を特定することも可能となる。動的検査プロセス内のエンティティは、例えば医療提供者が標準化された方法で被験者のデータを収集、保存、および/または分析することを可能にし、より正確な診断、より効果的な治療計画、被験者の転帰の改善、より効率的で再現可能な検査、およびより高い生産性につながる可能性があるため、有利な場合がある。
【0030】
エンティティは、例えば、インテリジェントコンポーネント、例えば、分析および/または処理コンポーネントであってもよい。コンポーネントは、ソフトウェアモジュールであってもよいし、ソフトウェアモジュールを含んでもよい。したがって、コンポーネントはソフトウェアベースであってもよい。コンポーネントは、例えば、人工知能(AI)ベースのアルゴリズムで構成されるか、または人工知能(AI)ベースのアルゴリズムであってもよい。したがって、コンポーネントは、上述のように、特定のインテリジェントタイプの計算および/または処理ツールであってもよく、したがって、「インテリジェントコンポーネント」と呼ばれることもある。したがって、インテリジェントコンポーネントは、コンポーネントによって処理される特定のタスクの一定レベルのインテリジェンスまたは理解可能性をコンポーネントに装備するアルゴリズム(例えば、AIベースのアルゴリズム)を組み込むことによって、他の従来のツールとは異なる場合がある。
【0031】
コンポーネントは、例えば、データを分析するように構f成されることがあり、したがって、例えば、分析コンポーネントと呼ばれることがある。例えば、コンポーネントは、取得された医療データに基づいて被験者の情報を導出するように構成され得る。この情報は、例えば、被験者の病理を評価するための、被験者の状態に関する洞察である。コンポーネントは、例えば、バイオマーカー、測定パラメータ、または他の関連データなど、検査に関連する様々な医療パラメータを処理できる。コンポーネントは、このデータを解析して、任意で入力バイオマーカーに関連する。別のバイオマーカー、または病理学的スコアリング、グレーディング、および/または評価の形態である出力を生成できる。
【0032】
コンポーネントは、検査プロセスを制御するように構成されることもあり、したがって、例えば処理コンポーネントと呼ばれることもある。例えば、コンポーネントは所定のバイオマーカーの測定を自動化できる。例えば、測定値を別のコンポーネント(例えばデータ解析に重点を置く)の入力として使用できる。
【0033】
動的検査プロセスにおけるコンポーネントの選択および/または使用されるコンポーネントの特性は、例えばリアルタイムで、得られた医療データに基づいて動的検査プロセスの実行中に適応可能であり得る。すなわち、コンポーネントは、例えば、現在の被験者に関連する特定のニーズに応じて、その処理技術または基準を調整できる。
【0034】
1つの態様では、少なくとも1つのエンティティは、得られた医療データに基づいて動的検査プロセスの実行中に適応可能であり得る。
【0035】
例えば、医的検査中に被験者の血圧を測定するために医療機器を使用する場合、動的検査プロセスのエンティティは、得られた医療データを分析し、被験者の血圧が年齢や健康状態に対して予想される範囲外であると判断できる。これに応答して、動的検査プロセスのエンティティは、ドップラー測定や臓器の弾性など、高血圧に対処するためのステップまたは段階をプロセスに追加することによって適応できる。
【0036】
動的検査プロセスにおける適応可能なエンティティとは、変化する状況や入力に対応して、その動作や特徴を適応させることができるエンティティを指す場合がある。これには、エンティティの特定の動作またはステップもしくは段階の追加、削除、調整、または再生が含まれる場合がある。これはまた、検査のいくつかのステップまたは段階を実行するために使用されるデバイスのいくつかのパラメータを適応させることを含むかもしれない。また、エンティティを追加または削除することもある。適応は、「リアルタイム」又は擬似リアルタイムで取得されたデータ、又は他の関連データに基づいて、以前の検査結果に基づいて行うことができる。トレーニングデータは、過去の試験において専門家によって作成された適応性に関する知識を含む場合がある。トレーニングデータは、動的な検査プロセスにおいて、そのような適応可能なエンティティの動作を通知するために使用できる。過去の症例と結果を分析することにより、システムは、将来、より良い結果を得るために、そのアプローチを調整する方法を学習できる。これには、取得するデータの種類の選択の変更、プローブやモードの選択の変更、測定ツールの調整、その他の関連要因が含まれる。
【0037】
1つの態様において、タスクおよび/またはエンティティは、バイオマーカー(例えば、被験者の特定のバイオマーカーの値を取得すること)、計算ツール、測定タスク、および/または測定値、取得モード、プローブタイプ、マシンパラメータ、マシン設定、スキャンパラメータ、医療データを取得するための取得プロセス、処理ツール、報告ツール、および医療データの選択のうちの少なくとも1つに関連することがある。
【0038】
対象者について計算されたバイオマーカー値は、医療データに基づいて決定される場合がある。計算ツールは、例えば、取得されたデータを処理するため、または医療データを取得するためおよび/もしくは被験者をスキャンするためのユーザを支援するために使用できる。測定は、医療データに基づいて、または医療データを用いて行うことができる。測定は、自動的及び/又は手動で行うことができる。さらに、測定は、画面上に表示された画像に対して行われることもある。取得モードは、パラメータ及びアルゴリズムのセットであってよく、任意に、異なるタイプのデータ(例えば、異なる物理的意味を有する)を取得、計算及び/又は表示することを可能にする。
【0039】
取得モードは、例えばBモードまたはSWE(ShearWaveTMElastography)である。プローブタイプは、医療データを取得するために使用できる。医療データを取得するための医療機器を制御するために、マシンパラメータおよび/または設定(例えば、ユーザによって制御される)を使用できる。医療データを取得するための取得プロセスは、例えば、特定の取得モードに従って、及び/又は、特定のプローブを用いて使用できる。得られた医療データを処理するために処理ツールが使用されることがある。医療データの選択は、例えば、画像の選択であってもよいし、画像の選択を含むものであってもよい。さらに、タスク及び/又はエンティティは、診断支援、予後支援、意思決定支援、及び/又はセカンドオピニオンに関連することがある。
【0040】
超音波診断装置のマシンパラメータおよび/または設定(例えば、ユーザによって制御される)は、特に、モード、ゲイン、深さ、周波数、フォーカス、ダイナミックレンジ、パーシステンス、圧縮、ハーモニックイメージング、空間コンパウンド、スペックル低減、エッジ強調、カラードプラ設定、パルス波ドプラ設定、およびパワードプラ設定などの設定を含むことができる。
【0041】
さらに、タスクおよび/またはエンティティは、特定のプローブの選択、臨床ガイドライン、ベストプラクティス推奨、および/または医学研究結果に関連する可能性がある。
【0042】
1つの態様では、動的検査プロセスは、医療機器の少なくとも1つの事前定義された捕捉モードを定義でき、捕捉モードはエンティティのグループと関連付けられる。
【0043】
言い換えれば、少なくとも1つのエンティティまたはエンティティのグループは、医療機器の事前定義された取得モードと関連付けられることがある。予め定義された取得モードは、予め定義された検査モードであってもよいし、予め定義された検査モードを含んでいてもよい。
【0044】
1つの態様において、動的検査プロセスを適応させることは、第1のエンティティまたは第1のエンティティのグループによって得られた医療データに基づいて、少なくとも1つの適応されたマシンパラメータを使用して、第1のエンティティまたは第1のエンティティのグループを再実行することからなり得る。さらに、動的検査プロセスを適応させることは、第1のエンティティまたは第1のエンティティのグループによって得られた医療データに基づいて、第2のエンティティまたは第2のエンティティのグループを選択および/または適応させることを含んでよい。さらに、第1及び第2のエンティティのグループは、異なる取得モードに関連付けられることがある。
【0045】
1つの態様において、第2のエンティティを適応させることは、少なくとも動的検査プロセスから第2のエンティティを削除することを含むことができる。さらに、第2のエンティティを適応させることは、第2のエンティティを動的検査プロセスに追加することを少なくとも含むことができる。第2のエンティティを適応させることは、第2のエンティティの少なくとも1つのパラメータ、例えばマシンパラメータまたは第2のエンティティの別の特性を適応させることを少なくとも含むこともできる。例えば、そのような別の特性は、第2のエンティティのコンテキスト、例えば第2のエンティティに関連する使用モードまたはアルゴリズムを特徴付けることもできる。
【0046】
1つの態様において、エンティティの第2のグループを適応させることは、エンティティの第2のグループを動的検査プロセスに追加することを含む場合がある。さらに、エンティティの第2のグループを適応させることは、実行される動的検査プロセスのエンティティの第2のグループを選択することを少なくとも含むことができる。また、エンティティの第2のグループを適応させることは、少なくとも動的検査プロセスから第2のグループを削除することを含む場合もある。さらに、エンティティの第2のグループを適応させることは、実行されることから第2のグループを選択解除することを少なくとも含むことができる。さらに、エンティティの第2のグループを適応させることは、エンティティの第2のグループを微調整することを少なくとも含むことができる。
【0047】
ファインチューニングとは、既存のモデルやシステムに対して、その妥当性及び/又は性能を向上させるために、小さな調整や修正を行うプロセスを指す場合がある。動的検査プロセスの文脈では、微調整は、特定の検査または病理学的仮説により適応するように、エンティティの第2のグループに対して変更を加えることを指す場合がある。これらの変更には、エンティティの追加又は削除、既存のエンティティのパラメータの調整、エンティティ間の通信チャネルの変更などが含まれる。
【0048】
1つの態様では、少なくとも1つのエンティティは医療機器を用いて実行可能である。
【0049】
医療機器の例としては、磁気共鳴画像装置(MRI)、コンピュータ断層撮影装置(CT)、X線装置、超音波装置、透析装置、血圧計、体温計、血糖値計、輸液ポンプ、人工呼吸器、心電図(ECG)装置、パルスオキシメーターなどがある。
【0050】
1つの側面では、動的検査プロセスは相互接続されたエンティティのグループを定義でき、グループの少なくとも2つのエンティティは互いに依存できる。
【0051】
相互に連結されたエンティティのグループでは、エンティティは互いに依存し合うことがある。例えば、あるエンティティの動作や出力が、グループ内の別のエンティティに影響を与えたり、影響を受けたりすることがある。例えば、健康診断の動的検査プロセスでは、ある検査で得られたデータが、その後の検査の意思決定プロセスに影響を与えることがある。同様に、医療診断のためのAIアルゴリズムでは、アルゴリズムのある段階の出力が次の段階の入力として使用されることがある。グループ内のエンティティ間の相互依存の程度は様々であり、グループの全体的なパフォーマンスへの影響という点で、あるエンティティは他のエンティティよりも影響が大きい場合がある。
【0052】
例えば、医療機器において、適切な取得モードを選択することは、被検者の意味のある正確な情報を得るために重要であるが、表示画像のコントラスト設定はそれほど重要ではないかもしれない。グループ内のエンティティ間の相互依存性を理解することは、グループ全体の性能を設計し最適化するために重要である場合がある。エンティティ間の相互依存の例としては、相関関係、逐次的依存関係、階層的依存関係、および/またはフィードバックループが考えられるか、またはそれらを含む可能性がある。
【0053】
2つのエンティティ間の依存関係は、エンティティ間の交絡因子に基づいて決定される場合がある。また、場合によっては、2つのエンティティの間の相互依存性を利用して、これら2つのエンティティの一方の結果を改善したり、第3のエンティティの結果を改善したりできる。第1の例として、第1のエンティティがイメージングバイオマーカーであり、他のエンティティが別のイメージングバイオマーカーであり、第1のバイオマーカーの値が第2のバイオマーカーの値に影響を及ぼす場合、この相互依存性を利用して、これらのバイオマーカーの2つの値を考慮して特定の疾患を評価することを目的とする第3のエンティティの結果を改善することが可能である。第2の例として、第1のエンティティが所定の撮像モードからのデータに対応し、第2のエンティティが別の撮像モードからのデータに対応する場合、第2のモードで取得されたデータを使用して、第1の撮像モードに関連するデータの値を補正することが可能である。第三の例として、第一のエンティティが所定の撮像モードからのバイオマーカーに対応し、第二のエンティティが第二の撮像モード(第一の撮像モードと同じモードであってもよいし、別の撮像モードであってもよい)からの別のバイオマーカーに対応する場合、第二の撮像モードからのバイオマーカーの値(複数可)を使用して、第一の撮像モードからのバイオマーカーの値(複数可)を補正することが可能な場合がある。
【0054】
1つの態様では、相互接続されたエンティティのグループの少なくとも2つのエンティティは、動的検査プロセスに従って任意に確立されたデジタル通信チャネルを介して互いに通信できる。
【0055】
デジタル通信チャネルは、エンティティが互いに情報を交換するための媒体である。有線チャネルと無線チャネル、シリアルチャネルとパラレルチャネル、同期チャネルと非同期チャネルなど、デジタル通信チャネルには多くの種類がある。デジタル通信チャネルは、インターネット、ワイヤレスネットワーク、または特殊な医療データネットワークであってもよいし、それらを含んでいてもよい。通信チャネルの選択は、チャネルの速度や信頼性、エンティティ間の距離、送信する必要のあるデータ量などの要因によって決まる。デジタル通信チャネルは仮想チャネルであることもある。例えば、2つのエンティティがともにソフトウェアプログラムである場合、プログラムインターフェース(APIなど)の形式の通信チャネルを介して通信することもできる。従って、通信チャネルは、例えばデータインタフェースやアプリケーションプログラミングインタフェースを含むこともある。
【0056】
例えば、センサー、処理ユニット、ディスプレイを含む医療機器では、センサーはUSBケーブルなどの有線通信チャネルを使って処理ユニットに接続される。その後、処理装置は、Bluetooth(登録商標)などの無線通信チャネルを使用してデータをディスプレイに送信できる。
【0057】
1つの側面では、動的検査プロセスは、相互接続されたエンティティのグループの少なくとも一部を組織化(organize)できる。
【0058】
動的検査プロセスは、逐次アーキテクチャ、並列アーキテクチャ、階層アーキテクチャ、および分散アーキテクチャを含む群から選択されるアーキテクチャに従って、相互接続されたエンティティのグループの少なくとも一部を組織化できる。動的検査プロセスは、ネットワークとして、または相互接続されたエンティティのウェブとして組織化できる。
【0059】
シーケンシャルアーキテクチャは、1つのエンティティが所定の順序で別のエンティティに続く、直線的な方法でエンティティを編成することを含む場合がある。逐次アーキテクチャは、医療処置や治療プロセスなど、明確で予測可能な段階の順序を有するプロセスに使用されることがある。並列アーキテクチャは、複数のプロセスが同時に発生するような方法でエンティティを組織化することを含む。並列アーキテクチャは、複数のデータ点を同時に処理する必要がある複雑な医療手順や検査に使用されることがある。階層的アーキテクチャは、エンティティをツリー状の構造で組織化し、より小さなサブグループのエンティティを、より大きなカテゴリの下にグループ化する。階層型アーキテクチャは、特定の情報へのナビゲートと検索を容易にする方法で医療データを整理するために使用されることがある。分散型アーキテクチャは、複数の場所または装置にわたって保存およびアクセスできるような方法でエンティティを整理することを含む場合がある。分散型アーキテクチャは、複数の医療提供者や医療施設からアクセスされる必要のある医療データに使用されることがある。
【0060】
動的検査プロセスは、第1のアーキテクチャに従って相互接続されたエンティティのグループの第1の部分を編成し、第2のアーキテクチャに従って相互接続されたエンティティのグループの第2の部分を編成できる。動的検査プロセス内でエンティティを編成するためのアーキテクチャの選択は、臨床シナリオの特定のニーズおよび要件に依存する場合がある。
【0061】
1つの態様において、アーキテクチャは、相互接続および/または通信チャネルの適応を含む、得られた医療データに基づいて動的検査プロセスの実行中に適応可能であり得る。
【0062】
例えば、動的検査プロセスの実行中に新しい情報が得られる可能性がある場合、アーキテクチャは、更新された情報が適切に転送、処理および/または分析されるように、異なるエンティティ間の通信チャネルを動的に変更することによって適応できる。アーキテクチャのこの動的適応は、変化するまたは不確実な医療データに直面しても、動的検査プロセスがその意図する目標を達成する上で効率的かつ効果的であり続けることを保証するのに役立つ可能性がある。
【0063】
被験者の健康の危険因子は、例えば、遺伝因子、被験者の年齢である。被験者の健康状態は、例えば糖尿病を含むか、または糖尿病によって定義され得る。被験者の生活習慣は、例えば、ジャンクフードファン、喫煙者、座りがち、などを含むか、またはそれらによって定義されるかもしれない。
【0064】
1つの態様において、得られた医療データは、被験者からリアルタイムで取得されたデータを含み得る。さらに、取得された医療データは、少なくとも医的検査データを含み得る。また、得られた医療データは、少なくとも1つの医療機器(任意選択で超音波システムを含む)によって取得された少なくともデータを含むことがある。
【0065】
1つの側面では、動的検査プロセスは、デジタルプロトコルの実行中および/または進行中の医的検査中にリアルタイムで適応可能である。
【0066】
動的検査プロセスは、実行中に受け取るデータに基づいて、リアルタイムまたは擬似リアルタイムで適応可能であり得る。動的検査プロセスは、被験者の状態を監視し、被験者の健康状態の変化に基づいて治療計画をリアルタイムで調整するように設計されてもよい。例えば、被験者のバイタルサインが突然変化した場合、動的検査プロセスは、新たな状態に対処するために治療計画を修正できる。リアルタイムの適応性は、例えば事前に訓練されカスタマイズされたMLアルゴリズムや他の形態のAIアルゴリズムなどの高速アルゴリズムの使用によって達成される場合がある。このようなアルゴリズムは、センサー、医療機器、その他の情報源からのデータを分析してパターンを検出し、任意で被験者の健康に関する予測をリアルタイムで行うことができる。その後、システムはこの情報を使用して検査プロセスを動的に適応させ、どの医療データをまだ取得すべきかを調整し、任意で使用する診断/予後ツールを適宜変更できる。その後、被験者の治療を最適化するために、治療計画、投薬量の調整、その他のアクションをそれぞれ変更できる。
【0067】
リアルタイムの適応は、システムのユーザがいかなる適応にも気を取られないか、またはあまり気を取られないように実施できる。例えば、ユーザは、実行される後続のステップまたは段階(または限られた数の後続のステップまたは段階)、および任意選択で完全な検査プロセスを完了する推定時間について単に通知(例えば、ディスプレイなどのユーザー・インターフェースを介して)されるだけでよい。したがって、他のステップまたは段階に関する修正は、ユーザの注意をそらすことなくバックグラウンドで行うことができる。
【0068】
1つの態様において、動的検査プロセスは、被験者の取得された医療データに基づいて被験者のバイオマーカーを推定するように構成された少なくとも1つのエンティティを定義できる。さらに、動的検査プロセスは、1つまたは複数の推定バイオマーカーに基づいて病理学的仮説を評価するように構成された少なくとも1つのエンティティを定義できる。
【0069】
1つの態様において、病理学的仮説は病理ファミリー(pathologies family)の仮説を構成できる。さらに、動的検査プロセスは、得られた医療データの関数として、病理学的仮説または病理ファミリーの特定のメンバーを評価するように構成された少なくとも1つのエンティティを定義できる。
【0070】
1つの側面では、事前定義されたアルゴリズムは、人工知能(AI)モデルである場合もあれば、人工知能(AI)モデルを含む場合もある。
【0071】
さらなる態様において、少なくとも1つのエンティティは、人工知能(AI)モデルであってもよいし、人工知能(AI)モデルを含んでもよい。
【0072】
予め定義されたアルゴリズムの例は、決定木、ランダムフォレスト、ロジスティック回帰、勾配ブースティング、および/またはサポートベクターマシンなどのAIモデルを含む。事前定義されたアルゴリズムは、画像認識などの分類および予測タスクを実行するために使用できる。例えば、決定木アルゴリズムは、物体の画像をその特徴に基づいて分類するために使用できる。予め定義されたアルゴリズムの他の例としては、ニューラルネットワーク、k最近傍、および/またはクラスタリングアルゴリズムを挙げることができ、これらは異常検出やデータセグメンテーションなどのタスクに使用できる。AIは、視覚認識、音声認識、意思決定、言語翻訳など、通常人間の知性を必要とするタスクを実行するコンピュータシステムおよびアルゴリズムの開発を指す場合がある。AIシステムやアルゴリズムは、パターンや傾向を特定し、予測を行い、結果を最適化できるように、大規模なデータセットと高度なアルゴリズムを使って訓練される。
【0073】
本開示はまた、医的検査のための動的検査プロセスを決定するコンピュータ実装方法に関する。本方法は、予め定義されたアルゴリズムを使用して、病理学的仮説に基づいて動的検査プロセスを決定することを備える。さらに、本方法は、動的検査プロセスが、医療データの取得に関連付けられ、動的検査プロセスが、取得された医療データに基づいて、その実行中に適応されることを備える。
【0074】
本開示はまた、本開示の任意の実施例による方法を実行するための手段を含むデータ処理システムに関する。
【0075】
本開示はまた、プログラムがコンピュータによって実行されると、本開示の任意の実施例による方法をコンピュータに実行させる命令を含むコンピュータプログラムにも関する。
【0076】
方法操作が、単なるデータ処理(例えば超音波信号処理)を超える任意の側面(例えば物理的な)を含む可能性がある場合、コンピュータプログラムは、データ処理システムによって実行されたときに、システム(例えば超音波トランスデューサ装置)の任意の外部要素にこれらの操作を実行させるコンピュータ可読命令をさらに含む可能性がある。
【0077】
また、本開示は、コンピュータによって実行されると、本開示の任意の実施例による方法をコンピュータに実行させる命令を含むコンピュータ可読媒体に関する。
【0078】
動的検査プロセスは、医用画像診断において多くの利点を有する可能性がある。動的検査プロセスは、例えば、個別化されたケアへのアクセスを提供し、動的検査プロセスによって自動的に呼び出される最適ツール、最適に適応された、および標的化されたツール(例えば、病理学的仮説の仮定に基づいて特定されるツールなど)を活用することによって、超音波検査の精度を向上させることができる。また、動的検査プロセスは、的を絞った検査を提供し、医療費を削減することにより、被験者管理を改善できる。動的検査プロセスは、ワークフローを最適化し、検査を迅速化することにより、生産性を向上させることができる。さらに、動的検査プロセスは、一貫したモード及び測定値を提供することにより、標準化及び検査の再現性を向上させることができる。動的検査工程は、病理学関連の基準値及び出版物(またはターゲットとする出版ソース)を報告書に自動的に組み込むことにより、文書化を改善できる。また、動的検査プロセスは、自動化とシステム化により、オプションとして専門家と非専門家(例えば、技術者、または専門家ではない医師)の間のギャップを埋めることで、操作者への依存を減らし、検査の再現性を高めることができる。最後に、動的検査プロセスは、フォローアップ検査において、特定のプロセスで定義されたシーケンスの再現性を長期にわたって高める可能性がある(例えば、健康診断や超音波検査など)。
【0079】
処理ユニットは、計算タスクを実行する役割を担う電子機器のコンポーネントであってもよい。それぞれ特定の目的のために設計された、異なるタイプの処理ユニットが存在し得る。処理ユニットは、中央処理装置(CPU)、グラフィック処理装置(GPU)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、および/または特定用途向け集積回路(ASIC)であるか、またはこれらを含む場合がある。CPUは、コンピュータの主要な処理ユニットであり、コンピュータが必要とする命令や計算の大部分を実行する。GPUは、グラフィックスやビデオのレンダリングに必要な複雑な計算を処理するために設計された特殊な処理ユニットである。DSPは、信号処理タスクを処理する特殊な処理ユニットであり、FPGAは、さまざまな計算タスクを実行するようにプログラムされる再構成可能な処理ユニットである。ASICは、特定のタスクセットを実行するように設計されたカスタマイズされた処理ユニットであり、任意で、意図された目的に対して非常に効率的かつ効果的にできる。これらの処理ユニットは、医療用電子機器など、幅広い電子機器に搭載されている。医療用電子機器には、コンピュータ、スマートフォン、およびその他のデジタル機器が含まれる場合があり、任意選択で、これらの機器がさまざまな計算タスクを効率的かつ正確に実行できるようにする。本開示による方法は、リモート、クラウドベースおよび/または仮想サーバー上で実行することもできる。
【0080】
矛盾する場合を除き、上述の要素と本明細書内の要素の組み合わせが可能であることが意図されている。
【0081】
前述の一般的な説明および以下の詳細な説明は、いずれも例示的かつ説明的なものであり、説明のために提供されるものであり、特許請求の範囲に記載された本開示を制限するものではないことを理解されたい。
【0082】
添付の図面は、本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成するものであり、本開示の実施例を示し、本明細書とともに、その原理を支持し、説明するのに役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【
図1】
図1は、本開示の実施例による被験者の医的検査のための動的検査プロセス100を概略的に示す。
【0084】
【
図2A】
図2Aは、本開示の実施例による動的検査プロセス100の別の概略例を示す。
【0085】
【0086】
【
図3A】
図3Aは、いくつかの段階(S1~S8)を含む肝臓疾患の評価のための動的検査プロセス100の第1の例を示す。
【0087】
【
図3B】
図3Bにおいて、動的検査プロセス100は、
図3Aの評価プロセスの第1の4段階(S1、S2、S3、S4)に関連するエンティティを選択する。
【0088】
【
図3C】
図3Cは動的検査プロセス100を示し、
図3Aの評価プロセスのさらなる段階S5およびS6に関連するエンティティが選択される。
【0089】
【
図3D】
図3Dは動的検査プロセス100を示し、
図3Aの評価プロセスのさらなる段階S7に関連するエンティティが選択される。
【0090】
【
図3E】
図3Eは、
図3Aの評価プロセスのさらなる段階S8に関連するエンティティが選択される動的検査プロセス100を示す。
【0091】
【
図3F】
図3Fは、いくつかの段階を含む肝臓疾患の評価のための動的検査プロセス100’の第2の例を示す。
【0092】
【
図4A】
図4Aは、本開示の実施例に従ってAIモデルを用いて動的検査プロセス100を決定する概略フローチャートを示す。
【0093】
【
図4B】
図4Bは、本開示の実施例による臨床評価プロセスの概略図である。
【0094】
【
図5A】
図5Aは、本開示の実施例による超音波システム10の概略図である。
【0095】
【
図5B】
図5Bは、
図5Aの超音波システム10の例示的な動的検査プロセス100の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0096】
図面の説明
次に、添付の図面に例示されている本開示の実施例を詳細に参照する。可能な限り、同一の参照番号は、同一または類似の部品を参照するために図面全体を通して使用される。
【0097】
一般に、本開示は、以下の実施例の文脈でより詳細に説明されるように、動的検査プロセスを決定するためのシステムおよび方法に関する。動的検査プロセスを決定するためのシステムは、被験者の信頼性が高く、包括的で、意味のある医療データを得るための体系的および/または高度にカスタマイズされたアプローチを開発するための技術の使用を含むことができる。このシステムは、例えば、医療データの取得プロセス、医療上の意思決定および治療のプロセスを合理化し、エラーの可能性を低減し、医療提供の効率を向上させるようにさらに設計されている。
【0098】
本開示による動的検査プロセスの支援により、大量の医療データを処理することが可能であり、その結果、医療分野における診断の精度が向上し、治療のための推奨が改善される。さらに、計算ツールにより、ルーチンタスクや意思決定プロセスの自動化が可能になり、医療従事者がより複雑で重要なタスクに集中できるようになり、効率が向上し、コストが削減される。患者データを分析し、患者の病歴や現在の状態に基づいてオーダーメイドの治療法を提案することで、パーソナライズされたケアが可能になるかもしれない。動的検査プロセスは、医療従事者に標準化された一貫性のある治療ガイドラインを提供することで、エラーを減らし、患者の安全性を向上させ、患者の転帰の改善につながる可能性がある。全体として、動的検査プロセスと計算ツールの組み合わせは、医療分野に革命をもたらし、標準化された効率的な治療を提供し、患者の転帰を改善し、患者の安全性を維持しながらコストを削減する可能性を秘めている。
【0099】
図1は、本開示の実施例による被験者の医的検査のための動的検査プロセス100を概略的に示す。動的検査プロセス100は、タスクを実行可能なエンティティ200を定義する。エンティティ200は相互接続されており、動的検査プロセス100に従って確立されたデジタル通信チャネル300を介して互いに通信可能である。動的検査プロセス100は、検査プロセス中にエンティティ200がどのように相互作用するかを定義するように設計されており、通信チャネル300は、エンティティ200間のデータ転送を容易にする。動的検査プロセス100は、被験者の医的検査の実行を可能にする。エンティティ200は、動的検査プロセス100の実行中に、得られた医療データに基づいて動的に適応させることができ、検査プロセスのリアルタイム調整および最適化を可能にする。デジタル通信チャネル300は、エンティティ200間の通信を容易にし、情報の交換とタスクの調整を可能にする。
【0100】
被験者から医療データを取得する役割を担う取得モード400は、エンティティ201、202、および203のグループに関連付けられている。エンティティ201、202、および203は、医療データの取得に関連する特定のタスクを実行可能であり、動的検査プロセス100によって確立されたデジタル通信チャネル300を介して相互に接続され、通信する。特定のタスクには、誘導ツールおよび測定ツール、ならびに剛性および弾性および粘弾性のような組織特性を評価するためのツールが含まれ得る。
【0101】
キャプチャされた時刻において、取得モード400に関連するエンティティ201、202、203がアクティベートされる。取得モード400に関連するエンティティ201、202、および203は、互いに依存する。
【0102】
図2Aは、本開示の実施例による動的検査プロセス100の別の概略例を示す。動的検査プロセス100は、エンティティのグループ401を含む。動的検査プロセス100の実行中に、エンティティのグループ401によって新しい情報(すなわち、被験者の医療データ)が得られるので、エンティティおよび異なるエンティティ間の通信チャネル300を動的に変更することによってアーキテクチャを適応させる必要がある。
【0103】
図2Bは、アーキテクチャが適応された
図2Aの動的検査プロセス100を示す。
【0104】
動的検査プロセス100は、
図2Aから見て
図2Bでは変更されていないエンティティのグループ401を含む。得られた医療データに基づいて、新たなエンティティのグループ402が動的検査プロセス100に追加される。グループ401または402のいずれにも属さないエンティティ200が削除され、動的検査プロセス100の新しいアーキテクチャが得られる。アーキテクチャの動的適応は、変化するまたは不確実な医療データに直面しても、動的検査プロセス100がその意図する目標を達成する上で効率的かつ効果的であり続けることを保証するのに役立つ可能性がある。
【0105】
換言すれば、動的検査プロセス100は、エンティティの第1のグループ401によって得られた医療データに基づいて適応される。エンティティの第2のグループ402が適応される。さらに、エンティティの第1および第2のグループ401、402は、異なる取得モードに関連付けられ得る。
【0106】
図3Aは、いくつかの段階(S1~S8)を含む肝臓疾患の評価のための動的検査プロセス100の第1の例を示す。
【0107】
第1段階S1では、肝臓のサイズ及び容積を評価するために自動測定を使用することがある。第2段階S2では、Bモード比ツールを使用できる。例えば、Bモード比ツールは、2つの異なる媒体間又は媒体内の2つの異なる領域間、例えば肝臓と腎臓との間の相対的な明るさを決定できる。Bモード画像上で、例えば肝実質と腎皮質のエコー輝度の間の比を計算できる。第3段階S3は、肝臓表面規則性ツールの適用を含む。当該ツールは、上述したように、インテリジェントな分析及び/又は処理コンポーネントの一例であってよい。第4段階S4では、脂肪症評価のための肝臓音速および減衰ツールが使用される。4つの段階S1、S2、S3、およびS4は、Bモードデータに依存する(またはBモードデータに基づく)4つの独立した段階であってもよい。
【0108】
第五段階S5では、肝硬度評価のためのツール(例えばbox/Q-boxツール)が適用される。当該ツールは、上述したように、インテリジェントな分析および/または処理コンポーネントのさらなる例であってもよい。第6段階S6は、活性評価のための肝臓粘性ツールを含む。段階S5およびS6は、例えば、ShearWaveTMElastography(SWE)データに依存する2つの段階である。第7段階S7は「びまん性肝疾患」用コンポーネントの使用で構成され、任意で剛性値、粘弾性値、および交絡因子の解析を考慮したマルチパラメトリック解析を可能にする。この段階における解析は、解剖学、線維症、脂肪症、活動性病期分類、リスク、および被験者管理に関する推奨を含むことができる。段階S7のコンポーネントは、段階S3及びS5のコンポーネントの出力を入力として受け取ることができる。
【0109】
最後に、評価は、報告書を含む第8段階S8で終了でき、報告書は、段階S7の「びまん性肝疾患」に対するコンポーネントの出力に基づいて生成され、任意で病理に対する特定の参照(例えば、最初の病理学的仮説の妥当性を評価することを可能にする任意のデータ)を含む。
【0110】
以下の
図3Bから
図3Eに示すように、動的検査プロセスは、進行の各インスタンスで適切なエンティティを選択し、任意で既に得られた医療データなどの情報をこのエンティティに提供することによって、その実行中に適応されることが可能である。その後、このエンティティは、例えばタスクの実行または制御のために起動される。したがって、この例では、動的検査プロセスのアーキテクチャは、(例えば、エンティティまたは通信チャネルを追加または削除することによって)適応されるのではなく、事前に定義されたエンティティのそれぞれの選択によって適応される。それでも、選択されたエンティティは、既に得られた医療データ及び/又は病理学的仮説に基づいて構成できる。
【0111】
図3Bにおいて、動的検査プロセス100は、エンティティ200の使用を通じて、
図3Aの評価プロセスの第1の4段階(S1、S2、S3、S4)に関連するエンティティを選択する。
【0112】
図3Cは動的検査プロセス100を示し、
図3Aの評価プロセスのさらなる段階S5およびS6に関連するエンティティが選択される。
【0113】
図3Dは動的検査プロセス100を示し、
図3Aの評価プロセスのさらなる段階S7に関連するエンティティが選択される。段階S7では、「びまん性肝疾患」のコンポーネントが適用される。
【0114】
図3Eは動的検査プロセス100を示し、
図3Aの評価プロセスのさらなる段階S8に関連するエンティティが選択される。段階S8は、段階S7の「びまん性肝疾患」に対するコンポーネントの出力に基づいて生成され得る報告書からなり、任意選択で病理学に対する特定の参照(例えば、最初の病理学的仮説の妥当性を評価することを可能にする任意のデータ)を含む。
【0115】
図3Fは、いくつかの段階を含む肝臓疾患の評価のための動的検査プロセス100’の第2の例を示す。
【0116】
従来、超音波イメージングシステムは、例えば腹部検査のための「工場出荷時」のプロトコルを備えることができる。このようなプロトコルのステップは予め定義されているので、これらのステップまたはプロトコル一般は、検査される特定の被検体に適応しない。従って、一方では、予め定義されたプロトコルが、特定の被検者にとっては不必要な検査ステップを含んでいる危険性がある。従って、事前に定義されたプロトコルは、医療データの取得と検査結果の解析のための時間の浪費を意味する。一方、事前に定義されたプロトコルは、特定の被験者に関する関連情報を得るために必要なステップを欠いている危険性がある。従って、最終的な検査結果が正確でなくなったり、不正確になったりすることさえある。
【0117】
これらの欠点に鑑みて、本開示は、医療データを取得する間に特定の被験者に自動適応し得る動的検査プロセスを提供する。例えば、
図3Fの文脈で説明されるように、進行中の超音波検査プロセスは、被験者の得られた情報の関数として、その実行中にリアルタイムで自動適応され得る。以下に説明する段階は必ずしも連続的なものではない。むしろ、段階は同時に実行することもできる。さらに、段階が順次実行される場合、その順序は
図3Fの例とは異なる可能性がある。さらに、既に実行された段階の結果から見て必要でないと判断された場合には、図示された段階のいくつかがスキップされることもある。同時に、既に実行された段階の結果から見て必要であると判断される場合には、本実施例には示されていない他の段階も追加される可能性がある。
【0118】
段階Oでは、病理学的仮説が、例えば手入力として、または上述のような機械ベースの決定に基づいて、提供されることがある。病理学的仮説は病理ファミリーと関連付けられることもある。例えば、病理ファミリーはびまん性肝疾患であると仮定できる。
【0119】
段階A1では、肝臓の得られたBモードデータに基づいてBモードパターンを評価できる。このようなパターンは、例えば肝臓に関連する均質性および/または輝度パターン情報を含むことができる。
【0120】
段階A2では、肝臓の得られたBモードデータに基づいて形態学的測定を行うことができる。例えば、肝臓のサイズまたは肝臓の関心領域が測定され得る。
【0121】
段階A3では、肝臓の得られたBモードデータに基づいて肝被膜の規則性を定量化できる。この段階は段階A1およびA2の結果に依存することがある。換言すれば、段階A3は、段階A1およびA2の結果を考慮して段階が必要であると判断された場合にのみ実行できる。例えば、段階A1において肝臓の均質性の低下が判定された場合、および/または段階A2において肝臓サイズの増大が測定された場合、段階A3を実行する必要があると判定されることがある。
【0122】
段階A1からA3は、Bモード段階Aの一部であってもよい。
【0123】
これらの段階A1~A3、および以下に説明する段階B~Gは、超音波診断システムによって少なくとも部分的に自動的に実行され、および/または、システムは、段階を実行する際に、例えば、被検体の特定の位置に超音波プローブを配置するようにユーザを誘導できる。
【0124】
段階B1では、カラードップラーデータおよび/またはパルス波ドップラーデータに基づいて、血管の流れが評価および測定される。この段階は段階A1、A2及びA3の結果に依存することがある。一例では、段階B1の評価および測定プロセスは、段階A1、A2およびA3のこれらの結果に基づいて、例えば肝臓の関心領域の調整、特定の超音波プローブの選択、設定の選択、または測定タイプの選択(例えば平均速度対抵抗指数)によって微調整されることがある。例えば、カラードプラデータおよび/またはパルス波ドプラデータを得るための関心領域は、段階A2で行われた測定に基づいて調整できる。
【0125】
段階AおよびBの結果がびまん性肝疾患がないことを示す場合、動的検査プロセス100’は停止され得る。換言すれば、さらなる段階C~Fは省略されることがあり、任意に、段階Gを参照して、報告書が生成されることがある。
【0126】
例えば、段階AおよびBの結果(例えばBモードデータおよびカラードプラデータおよび/またはパルス波ドプラデータ)に応じて、超音波検査の精度および/または検査結果の精度を向上させるために減衰係数の測定が追加的に必要か否かが決定される。さらなる実施例によれば、段階AおよびBで特定された肝臓の1つまたは複数の関心領域について減衰係数を測定できる。
【0127】
段階Dでは、段階Cの結果に基づいて音速係数が推定され得る。例えば、段階の結果に応じて、超音波検査及び/又は検査結果の精度を向上させるために音速係数の測定が追加的に必要か否かが決定され得る。さらなる実施例によれば、音速推定プロセスにおいて、推定された減衰係数を考慮できる。さらに、音速係数は、減衰係数と同じ関心領域について推定できる。
【0128】
段階E2では、得られた肝臓のShearWaveTM弾性分散データに基づいて、肝臓の粘性定量化を行うことができる。この段階は、段階AからD、さらに段階E1の結果に依存することがある。例えば、肝臓の定量化された弾性を考慮した粘性モデルを使用できる。
【0129】
段階E1およびE2は、ShearWaveTM弾性段階Eの一部であってもよい。
【0130】
段階Fでは、段階A1、A2およびE1を被験者の脾臓に適用できる。この段階は、段階A~Eの結果に依存することがある。例えば、脾臓の評価により、線維化の高段階に関連する門脈圧亢進症を検出できる。脾臓を評価することにより、門脈圧亢進症の評価、肝臓および脾臓以外の臓器のさらなる検査の必要性の定義、および脾臓の硬化の有無および重症度に応じて肝臓の弾性を補正することのうち、少なくとも1つを行うことができる。段階A1、A2およびE1を脾臓に適用することにより、肝臓評価と同じツールと特徴を脾臓評価に使用できる。
【0131】
段階Gでは、段階Aから段階Fの結果に基づいて報告書が作成される。この目的のために、異なる段階で得られたデータに関連する交絡因子によって任意に補正されたマルチパラメトリック解析プロセスを実行できる。報告書は、例えば、脂肪症、炎症、肝臓のうっ血などの病期分類の指標を含むことができる。さらに、報告書は肝臓の層別化レベルの指標を含むことができる。例えば、カテゴリにおける分類が自動的に決定される場合があり、例えば、肝臓の代償不全リスクに関する分類が決定される場合がある。さらに、レポートは、例えば食道静脈瘤のような健康リスクに関連する指標と、任意で、例えばエコー内視鏡検査の実施のような患者管理に関する推奨とを含むことができる。
【0132】
図4Aは、本開示の実施例によるAIモデルを用いて動的検査プロセス100を決定する概略フローチャートを示す。予め定義されたアルゴリズムは、報告書、画像、段階のシーケンス、及び他の関連要因からの既知の病理に関する情報を含む、数百又は数千の超音波(U/S)検査からのデータで訓練された人工知能(AI)モデルとして開発され得る。このトレーニングにより、モデルはデータのパターンと相関関係を学習し、その知識を使用して将来の検査について正確な予測と推奨を行うことができる。AIモデルは、病理学的仮説を使用して、超音波検査のためにカスタマイズされた動的検査プロセス100を決定できる。動的検査プロセス100は、1つ又は複数のコンポーネントを含み得る。動的検査プロセス100は、得られた医療データの関数として病理学的仮説または病理ファミリーの特定のメンバーを評価するように構成された1つのエンティティ204を定義する。
【0133】
動的検査プロセス100のエンティティによって取得されたリアルタイムデータ(すなわち、被験者の取得された医療データ)は、フィードバックループにおいて使用され得る。そのために、リアルタイムデータをAIモデルの入力として使用できる。したがって、AIモデルは、リアルタイムデータに基づいて動的検査プロセスを適応させることができる。
【0134】
図4Bは、本開示の実施例による臨床評価プロセスの概略図である。被験者の病歴、症状、および身体検査を評価することを含み得る臨床評価プロセスは、疑われる病理ファミリーを同定するために使用され得る。臨床評価プロセスは、被験者が経験している症状、検査が行われている状況、被験者の病歴、危険因子、被験者の全体的な健康状態、生活様式因子、血液検査または他の診断検査の結果など、様々な種類の先験的情報に基づいて行うことができる。この情報は、超音波検査システムと、数百または数千の過去の超音波検査から収集されたデータに基づいて訓練されたAIモデルを使用して、医的検査のための動的検査プロセス100を決定するために使用できる。
【0135】
動的検査プロセス100は、疑われる病理のファミリーに基づいて自動的に定義される関連する段階のシーケンスを含むことができ、これは、インテリジェントな事前定義されたアルゴリズムを使用して達成できる。動的検査プロセス100はまた、画像、シネループ、または被検体のスキャンされた媒体の選択された3D(すなわち三次元)ボリューム(例えば、3D撮像の場合)などの取得するデータのタイプの選択、ならびに使用する適切なプローブ(複数可)の選択を含むことができる。ボリュームは、従来の2D超音波撮像法で使用されるような2D(すなわち2次元)スライスの合計であってもよい。動的検査プロセスによって決定され得る他の側面には、使用されるモード、採用される測定ツール、および診断、予後、自動化された測定などのさまざまな目的のために活用されるインテリジェントコンポーネントが含まれる。これら全ての要素を動的検査プロセス100に組み込むことにより、超音波検査を標準化し、その精度、効率、生産性を向上させることができる。
【0136】
図5Aは、本開示の実施例による超音波システム10の概略図である。超音波システム10は、検査のための動的検査プロセス100を決定するためのシステムの一例であり得る。
【0137】
超音波撮像システム10は、
-プローブ20、
-プローブによって受信された信号に基づいて画像を処理するための処理ユニット30、
-処理ユニットに接続されたコントロールパネル40aであって、少なくともボタン41とタッチパッド42とを含む、コントロールパネル40a、および
-画像を視覚化するためのディスプレイ50、を備える。
【0138】
プローブ20は、例えば、ケーブル21を介して又は無線接続を介して処理ユニット30に接続され、媒体Mに超音波Wを放射でき、及び/又は媒体Mから超音波Wを受信でき、前記受信された超音波は、媒体Mに存在する拡散粒子上での放射された超音波の反射の結果又は結果として生じる。波を放射及び受信するプローブは、同じ出会ってもよいし、別であってもよい。
【0139】
表示画面50は、処理ユニット30によって処理された画像を視覚化するための画面であってもよい。ディスプレイ50はまた、画像で使用されるスケール、値マップ、処理のための構成情報、またはタッチパッド42のためのヘルプ情報または文脈ジェスチャヘルプなどの任意の情報などの他の情報を視覚化できる。
【0140】
ディスプレイ画面は、ユーザにとってより良い位置決めのために、支持アーム51上で関節運動できる。ディスプレイ画面は通常、ユーザにより良い画像を視覚化するために、大きなサイズ(少なくとも20インチ)の高精細画面である。
【0141】
コントロールパネル40aは、例えば、システムケーシング31の一部分であり、当該部分は、当該ユーザの片手による操作のためにユーザに向かって傾斜した実質的に平坦な表面を有するパネルケーシングを含む。コントロールパネル40aは、いくつかの構成情報またはユーザ専用の任意の情報を視覚化するための制御パネル表示スクリーン49を含むことができる。
【0142】
処理ユニット30は、予め定義されたアルゴリズムを用いて病理学的仮説に基づいて動的検査プロセス100を決定するように構成されている。つまり、システム10の操作者または使用者(例えば医師であっても、単に技術的に熟練した者であってもよい)は、最初に病理学的仮説を導出する。例えば、操作者または使用者が医師である場合、前記病理学的仮説は、検査対象の観察に基づいて、経験的知識に基づいて導出または決定できる。また、(特に、操作者または使用者が単なる技術熟練者である例示的な場合において)計算ツールを用いて、病理学的仮説を自動的または少なくとも半自動的に導出または決定することも可能である。計算ツールは、ソフトウェアベースのソリューションまたは(AI)アルゴリズムであってもよいし、ソフトウェアベースのソリューションまたは(AI)アルゴリズムを含んでもよい。計算ツールは、対象レコードで利用可能な情報を自動的に処理および/または分析できる。計算ツールは、少なくとも部分的にシステム10の外部にあってもよく、すなわち、少なくとも部分的に外部のコンピューティングデバイス上で実行されてもよい。次に、操作者は、コントロールパネル40a及び/又は表示画面50を用いて、超音波撮像システム10への入力として病理学的仮説を提供する。次いで、処理ユニット30は、操作者によって提供された病理学的仮説を使用して、予め定義されたアルゴリズムを使用して動的検査プロセス100を自動的に決定できる。動的検査プロセス100は、疑われる病理のファミリーに対する関連するステップまたは段階の完全なシーケンスとできる。また、操作者は、コントロールパネル40aおよび表示画面50を使用して、検査中に必要に応じて動的検査プロセス100を監視および調整できる。
【0143】
図5Bは、
図5Aの超音波システム10のための例示的な動的検査プロセス100の概略図である。動的検査プロセス100は、超音波信号を発生し、結果として生じるエコーを受信するプローブ20、信号を画像に変換し得る処理ユニット30、オペレータがシステム設定および画像パラメータ(本開示によるシステムによって自動的に設定または調整された可能性がある)を手動で再調整することを可能にする制御パネル40a、および結果として生じる画像を提示するディスプレイ50を含む、特定のタスクを実行するエンティティ200のセットを含み得る。コントロールパネル40aに関連するエンティティは、ボタン41、タッチパッド42、およびコントロールパネル表示画面49に関連するエンティティと接続されている。
【0144】
動的検査プロセス100は、これらのエンティティがどのように相互接続されるべきか、およびデジタル通信チャネル300を介してどのように互いに通信されるべきかを指定できる。操作者は、操作パネル上のボタン41およびタッチパッド42を使用して動的検査プロセス100に従い、システム設定を調整し、適切な検査モード(複数可)を選択でき、その結果、正確で効率的な医的検査が行われる。
【0145】
エンティティは、得られた医療データに基づいて動的検査プロセス100の実行中に適応可能である。例えば、医師が第1のタイプのプローブ20を使用する場合、動的検査プロセス100の処理ユニット30は、得られた医療データを分析し、プローブ20がこの検査に適切であるか否かを判定できる。これに応答して、動的検査プロセス100の処理ユニット30は、第2のタイプのプローブ20を使用することによってプローブ20を適応させるための情報を提供できる。プローブ20はそれに応じて適応され得る。さらに、ゲイン、深さ、周波数などのマシンパラメータが、処理ユニット30によって自動的に適応されることもある。
【0146】
動的検査プロセスの別の実施形態は、加齢に関連した筋骨格系(MSK)障害の評価である。動的検査プロセスは、BモードおよびSWEモードの自動段階を含むことができる。Bモードでは、MSK用のインテリジェントガイダンスコンポーネントを使用して、典型的なパターンを認識し、適切なBモード平面を取得できる。エコー強度ツールはMSKに使用され、筋骨膜症評価のための関心領域(ROI)を計算し、位置決めする。SWE(ShearWaveTMエラストグラフィ)モードでは、MSK線維のアライメントを決定するためにガイダンスコンポーネントを使用できる。ガイダンスコンポーネントはさらに、決定されたMSK線維のアライメントも考慮して、例えば最適なSWEデータを取得するために使用できる。インテリジェントBоx/Q-bоxコンポーネントは、ShearWaveTM速度評価に使用できる。
【0147】
動的検査プロセスには、サルコペニアのバイオマーカーとして筋内脂肪蓄積(myosteatosis)を含むマルチパラメトリック分析を実行する「加齢関連MSK障害」のコンポーネントが含まれる場合がある。このコンポーネントは、サルコペニアを診断し、予後を提供できる。動的検査プロセスにより生成される報告書には、病理学的な具体的な言及と被験者管理のための推奨事項が含まれる場合がある。動的検査プロセスは、加齢に関連するMSK障害の自動評価を可能にし、正確な診断と予後を提供する。
【0148】
動的検査プロセスの別の実施形態は、いくつかの段階を含む乳癌のNACT(新アジュバント化学療法)反応性の評価である。第1段階は、被験者の記録及び/又は以前の検査からの超音波データを取得するためのクエリー/リトリーブを含むことができる。第2段階は、自動注釈とボディマーカー、および病変サイズの測定を伴うBモードを使用する。第3段階は、自動乳房硬さ評価のためのBox/Q-boxTMコンポーネントによるSWEモードと、BモードとSWEモードに超高感度ドプラ(Ultrasensitive Doppler)を組み合わせたいわゆるTriVuTMモードを含むことができる。第4段階では、BモードとSWEモードの両方で3D PROBEを使用できる。第5段階では、化学療法の反応性を評価するためのマルチパラメトリック解析を含む「NACT反応性評価」専用のコンポーネントを導入できる。最後の段階は、解析に基づいてレポートを作成することである。
【0149】
特許請求の範囲を含む本明細書全体を通して、「を含む」という用語は、特に断らない限り、「少なくとも1つを含む」と同義であると理解されるべきである。加えて、特許請求の範囲を含む本明細書において規定される範囲は、特に断らない限り、その最終値を含むと理解すべきである。記載された要素の具体的な値は、当業者に知られている許容される製造上または産業上の許容範囲内であると理解されるべきであり、「実質的に」および/または「およそ」および/または「一般的に」という用語の使用は、そのような許容範囲内に収まることを意味すると理解されるべきである。
【0150】
「記録」および「受信」という用語は、異なる表記がない限り、本開示を通じて同義に使用される場合がある。
【0151】
本明細書における本開示は、特定の実施例を参照して説明されてきたが、これらの実施例は、本開示の原理および応用を単に例示するものであることを理解されたい。
【0152】
本明細書および実施例は例示的なものとしてのみ考慮されることが意図されており、本開示の真の範囲は以下の特許請求の範囲によって示される。
【0153】
本明細書において、特許文献または先行技術として特定されたその他の事項への言及は、その文献またはその他の事項が、請求項のいずれかの優先日において公知であったこと、またはその文献またはその他の事項が含む情報が一般的な知識の一部であったことを認めるものとして解釈されるものではない。
【0154】
以下、本開示の態様を例示する。
(態様1)
動的検査プロセスを決定するためのシステム(10)であって、
予め定義されたアルゴリズムを使用して、病理学的仮説に基づいて、動的検査プロセス(100)を決定するように構成された処理ユニット(30)を備え、
前記動的検査プロセス(100)は、医療データの取得に関連付けられており、
前記動的検査プロセス(100)は、取得された前記医療データに基づいて、実行中に適応可能である、
システム。
(態様2)
前記動的検査プロセス(100)は、タスクを実行または制御することができる少なくとも1つのエンティティ(200、201、202、203、204、S1、S2、S3、S4、S5、S6、S7、S8)を定義する、
態様1に記載のシステム。
(態様3)
前記少なくとも1つのエンティティ(200、201、202、203、204、S1、S2、S3、S4、S5、S6、S7、S8)は、取得された前記医療データに基づいて前記動的検査プロセス(100)の実行中に適応可能である、
態様2に記載のシステム。
(態様4)
前記タスクおよび/またはエンティティ(200、201、202、203、204、S1、S2、S3、S4、S5、S6、S7、S8)は、
バイオマーカー
計算ツール、
コンポーネントの分析および/または処理、
測定タスク、および/または測定値、
取得モード、
プローブタイプ、
マシンパラメータ、スキャンパラメータ、
医療データを取得するための取得プロセス、
処理ツール、
報告ツール、および
医療データの選択
のうちの少なくとも1つに関連付けられる、
態様2および3のいずれか1つに記載のシステム。
(態様5)
前記動的検査プロセス(100)は、医療機器の少なくとも1つの予め定義された取得モード(400)を定義し、前記取得モード(400)はエンティティのグループ(401、402)に関連付けられる、
態様2から4のいずれか1つに記載のシステム。
(態様6)
前記動的検査プロセス(100)を適応させることは、
第1のエンティティ(200、201、202、203、204、S1、S2、S3、S4、S5、S6、S7、S8)またはエンティティの第1のグループ(401、402)によって得られた前記医療データに基づいて、少なくとも1つの適応されたマシンパラメータを使用して、前記第1のエンティティ(200、201、202、203、204、S1、S2、S3、S4、S5、S6、S7、S8)またはエンティティの第1のグループ(401、402)を再実行すること、および/または
第1のエンティティ(200、201、202、203、204、S1、S2、S3、S4、S5、S6、S7、S8)またはエンティティの第1のグループ(401、402)によって取得された医療データに基づいて、第2のエンティティ(200、201、202、203、204、S1、S2、S3、S4、S5、S6、S7、S8)またはエンティティの第2のグループ(401、402)を選択および/または適応させること、を含む、
態様2から5のいずれか1つに記載のシステム。
(態様7)
前記第2のエンティティを適応させることは、
前記第2のエンティティを前記動的検査プロセス(100)から除去すること、
前記第2のエンティティを前記動的検査プロセス(100)に追加すること、および
前記第2のエンティティの少なくと1つのパラメータを適応させること
のうちの少なくとも1つを含む、
態様2から6のいずれか1つに記載のシステム。
(態様8)
前記少なくとも1つのエンティティ(200、201、202、203、204、S1、S2、S3、S4、S5、S6、S7、S8)は、医療機器を使用して実行可能である、
態様2から7のいずれか1つに記載のシステム。
(態様9)
前記動的検査プロセス(100)は、相互接続されたエンティティのグループ(401、402)を定義し、前記グループの少なくとも2つのエンティティ(200、201、202、203、204、S1、S2、S3、S4、S5、S6、S7、S8)が互いに依存している、
態様2から8のいずれか1つに記載のシステム。
(態様10)
前記相互接続されたエンティティのグループの少なくとも2つのエンティティ(200、201、202、203、204、S1、S2、S3、S4、S5、S6、S7、S8)が、デジタル通信チャネル(300)を介して相互に通信可能であり、任意選択で前記動的検査プロセス(100)に従って確立される、
態様9に記載のシステム。
(態様11)
前記取得された医療データは、
被験者からリアルタイムで取得されたデータ、
医的検査データ、および
任意選択で超音波システム(10)を含む、少なくとも1つの医療機器によって取得されたデータ
のうちの少なくとも1つを含む、
態様1から10のいずれか1つに記載のシステム。
(態様12)
前記動的検査プロセス(100)がリアルタイムで適応可能である、
態様1から11のいずれか1つに記載のシステム。
(態様13)
前記病理学的仮説が病理ファミリーの仮説を含み、および/または、前記動的検査プロセス(100)が、前記取得された医療データの関数として前記病理学的仮説または病理ファミリーの特定のメンバーを評価するように構成される少なくとも1つのエンティティ(200、201、202、203、204、S1、S2、S3、S4、S5、S6、S7、S8)を定義する、
態様1から12のいずれか1つに記載のシステム。
(態様14)
前記予め定義されたアルゴリズムが人工知能(AI)モデルであり、または人工知能(AI)モデルを含み、および/または
少なくとも1つのエンティティが人工知能(AI)モデルであり、または人工知能(AI)モデルを含む、
態様1から13のいずれか1つに記載のシステム。
(態様15)
被験者の医的検査のための動的検査プロセス(100)を決定するコンピュータ実装方法であって、前記方法は、
予め定義されたアルゴリズムを使用して、病理学的仮説に基づいて、前記動的検査プロセス(100)を決定するステップを含み、
前記動的検査プロセス(100)は、医療データの取得に関連付けられ、
前記動的検査プロセス(100)は、取得された前記医療データに基づいて、実行中に適応される、
コンピュータ実装方法。
(態様16)
コンピュータプログラムであって、前記プログラムがコンピュータにより実行されると、前記コンピュータに態様15に記載の方法を実行させる命令を含む、
コンピュータプログラム。
【外国語明細書】