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特開2024-161347ベルト一体型スタータジェネレータのトルク制御
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024161347
(43)【公開日】2024-11-19
(54)【発明の名称】ベルト一体型スタータジェネレータのトルク制御
(51)【国際特許分類】
   B60W 10/08 20060101AFI20241112BHJP
   B60K 6/485 20071001ALI20241112BHJP
   F02N 11/00 20060101ALI20241112BHJP
【FI】
B60W10/08 900
B60K6/485 ZHV
F02N11/00 N
B60K6/485
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024107665
(22)【出願日】2024-07-03
(62)【分割の表示】P 2022564061の分割
【原出願日】2021-04-21
(31)【優先権主張番号】2005803.8
(32)【優先日】2020-04-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(71)【出願人】
【識別番号】512308720
【氏名又は名称】ジャガー ランド ローバー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Jaguar Land Rover Limited
【住所又は居所原語表記】Abbey Road Whitley Coventry CV3 4LF UNITED KINGDOM
(74)【代理人】
【識別番号】100100158
【弁理士】
【氏名又は名称】鮫島 睦
(74)【代理人】
【識別番号】100112911
【弁理士】
【氏名又は名称】中野 晴夫
(72)【発明者】
【氏名】ハリソン,ウィリアム
(72)【発明者】
【氏名】サリバン,マット
(72)【発明者】
【氏名】ロック,オリヴィエ
(72)【発明者】
【氏名】ハンコック,マシュー
(72)【発明者】
【氏名】ライオス,サミュエル
(57)【要約】      (修正有)
【課題】車両のベルト一体型スタータジェネレータによって提供されるトルクを制御する。
【解決手段】制御システムは、1つまたは複数の電子コントローラを備え、トルク要求に従ってベルト一体型スタータジェネレータによって提供されるべきトルクの変化を決定し、トルクの変化がベルト一体型スタータジェネレータをトルク反転領域に入らせることになると決定し、トルク要求がベルト一体型スタータジェネレータによって提供されるトルクの量の減少をもたらすであろうとき、およびトルク要求がベルト一体型スタータジェネレータによって提供されるトルクの量の増加をもたらすであろうとき、変更トルク要求が生成されて、ベルト一体型スタータジェネレータへ出力される、トルク反転領域内で変更トルク要求を生成してベルト一体型スタータジェネレータへ出力する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のベルト一体型スタータジェネレータによって提供されるトルクを制御するための制御システムであって、1つ以上の電子コントローラを備え、前記1つ以上の電子コントローラは、
トルク要求に従って、前記ベルト一体型スタータジェネレータによって提供されるトルクの変化を決定し、
前記トルクの変化が、前記ベルト一体型スタータジェネレータをトルク反転領域に入らせることになると判断し、
前記トルク反転領域において、変更トルク要求を生成してベルト一体型スタータジェネレータに出力することを行うように構成されており、
前記トルク要求が前記ベルト一体型スタータジェネレータによって提供されるトルクの量の減少をもたらすであろうとき、および前記トルク要求が前記ベルト一体型スタータジェネレータによって提供されるトルクの量の増加をもたらすであろうとき、前記変更トルク要求が生成されて前記ベルト一体型スタータジェネレータに出力される、制御システム。
【請求項2】
前記1つ以上の電子コントローラは、
前記ベルト一体型スタータジェネレータによって提供される前記トルクの変化の決定に関連する情報を受け取るための電気入力と、前記変更トルク要求を出力することに関連する電気出力とを有する少なくとも1つの電子プロセッサと、
前記少なくとも1つの電子プロセッサに電気的に結合された少なくとも1つの電子的なメモリデバイスであって、前記少なくとも1つのメモリデバイスに記憶された命令を有する、少なくとも1つのメモリデバイスとを含み、
前記少なくとも1つのプロセッサは、前記少なくとも1つのメモリデバイスにアクセスし、その上で命令を実行して、前記制御システムに、前記ベルト一体型スタータジェネレータによって提供される前記トルクの変化を決定し、前記トルクの変化が前記ベルト一体型スタータジェネレータに前記トルク反転領域に入ることを決定し、前記変更トルク要求を生成して出力させるように構成される、請求項1に記載の制御システム。
【請求項3】
前記変更トルク要求は、前記トルク反転領域におけるトルク伝達速度の変更または調整を含む、請求項1または2に記載の制御システム。
【請求項4】
前記変更トルク要求は、前記ベルト一体型スタータジェネレータが前記トルク反転領域を出た後の前記トルク伝達速度のさらなる変更または調整を含む、請求項3に記載の制御システム。
【請求項5】
前記変更トルク要求は、前記ベルト一体型スタータジェネレータが前記トルクの反転を経た後の前記トルク伝達速度のさらなる変更または調整を含む、請求項4に記載の制御システム。
【請求項6】
前記変更トルク要求は、前記トルク反転領域における前記トルク伝達速度の減少を含む、請求項3、4または5に記載の制御システム。
【請求項7】
前記1つ以上の電子コントローラは、前記トルクの変化が前記ベルト一体型スタータジェネレータをして前記トルクを反転させることを決定するように構成され、前記ベルト一体型スタータジェネレータが負のトルクの提供から正のトルクの提供になるとき、および前記ベルト一体型スタータジェネレータが正のトルクの提供から負のトルクになるときに前記トルク要求が変更される、請求項1から6のいずれかに記載の制御システム。
【請求項8】
前記ベルト一体型スタータジェネレータによって提供されるべき前記トルクの変化の原因が、前記車両のエンジンの始動を含まない、請求項1から7のいずれかに記載の制御システム。
【請求項9】
前記変更トルク要求は、実質的にトルク反転の時点で、前記ベルト一体型スタータジェネレータによって提供される前記トルクが実質的にゼロにされる時間を含む、請求項1から8のいずれかに記載の制御システム。
【請求項10】
前記変更トルク要求は、前記時間の後、ベ前記ルト一体型スタータジェネレータからの前記トルクの供給の割合の増加を含む、請求項9に記載の制御システム。
【請求項11】
前記変更トルク要求は、前記トルクの反転によって前記ベルト一体型スタータジェネレータに誘発される振動と実質的に180度位相のずれたトルクの提供を含むように前記トルク要求を変更することを含む、請求項1ないし8のいずれかに記載の制御システム。
【請求項12】
請求項1から11の少なくとも1つに記載の制御システムと前記ベルト一体型スタータジェネレータとを含むシステム。
【請求項13】
請求項1から11の少なくとも1つに記載の制御システムまたは請求項12に記載のシステムを含む車両。
【請求項14】
車両のベルト一体型スタータジェネレータによって提供されるトルクを制御するための方法であって、前記方法は、
トルク要求に従って、前記ベルト一体型スタータジェネレータによって提供される前記トルクの変化を決定すること、
前記トルクの変化が前記ベルト一体型スタータジェネレータをトルク反転領域に入らせることになると判断すること、および
前記トルク反転領域内で変更トルク要求を生成して前記ベルト一体型スタータジェネレータに出力することを含み、
前記トルク要求が前記ベルト一体型スタータジェネレータによって提供される前記トルクの量の減少をもたらす場合、および前記トルク要求が前記ベルト一体型スタータジェネレータによって提供される前記トルクの量の増加をもたらす場合、前記変更トルク要求を生成して前記ベルト一体型スタータジェネレータに送信する、方法。
【請求項15】
ロセッサによって実行されると、少なくとも請求項1から14のいずれか一つに記載の方法の実行を引き起こすコンピュータ可読命令を含む、非一時的なコンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ベルト一体型スタータジェネレータによって提供されるトルクを制御するための制御システムに関する。特に、本開示は、ハイブリッド電気自動車においてベルト一体型スタータジェネレータによって提供されるトルクを制御するための制御システムに関するが、これに限定されるものではない。
【背景技術】
【0002】
ベルト一体型スタータジェネレータ(BISG)は、テンショナ、ベルト、およびトーションダンパを介して車両のエンジンに接続されている。
【0003】
トーションダンパは、例えば、不要なノイズ特性、駆動系部品への余分な疲労負荷、ベルトシステムへの振動の伝達などにつながる振動の周波数を抑制または緩和するように設計されている。
【0004】
テンショナまたはテンショナアレンジメントは、所定のトルク方向に対してベルトの弛み位置を最適化するために提供されることがある。テンショナは、正のトルクを与えるための駆動位置と、負のトルクを与えるためのオーバーラン位置とを有していてもよい。
【0005】
テンショナとともに、フロントエンド補助ドライブ(FEAD)は、正のトルクを発生するBISGと負のトルクを発生するBISGの間に相当量の物理的な移動量を有する。
【0006】
BISGが正のトルクから負のトルクに、または負のトルクから正のトルクに変化するとき、これはシステムに大きな振動を生じさせ、例えば、運転性に影響を与えたり、望ましくないノイズを発生させたりする可能性がある。
【0007】
さらに、BISGが正のトルクから負のトルクに、または負のトルクから正のトルクに変化することは、例えば、トルク方向の変化の間にねじりダンパのスプリングがその最大移動量を超えて、ねじりダンパを損傷する可能性がある。
【発明の概要】
【0008】
本発明の目的は、先行技術に関連する1つ以上の欠点に対処することである。
【0009】
本発明の態様および実施形態は、添付の請求項に記載の制御システム、システム、車両、方法、およびコンピュータソフトウエアを提供する。
【0010】
本発明の一態様によれば、車両のベルト一体型スタータジェネレータによって提供されるトルクを制御するための制御システムが提供される。制御システムは、1つまたは複数の電子コントローラを備え、1つまたは複数の電子コントローラは、トルク要求に従ってベルト一体型スタータジェネレータによって提供されるべきトルクの変化を決定し;トルクの変化がベルト一体型スタータジェネレータをトルク反転領域に入らせることを決定し;トルク反転領域内で変更されたトルク要求を生成してベルト一体型スタータジェネレータに出力し;トルク要求がベルト一体型スタータジェネレータによって提供されるトルク量の減少をもたらすであろうとき、またトルク要求がベルト一体型スタータジェネレータによって提供されるトルク量の増大をもたらすであろうとき、変更されたトルク要求を生成してベルト一体型スタータジェネレータへ出力する。
【0011】
提供される利点は、車両の運転性への悪影響が回避され得ること、および/または望ましくない騒音が発生することが防止され得ることである。提供される別の利点は、ベルト一体型スタータジェネレータと車両のエンジンとの間に設けられるトーションダンパの損傷を軽減することができることである。
【0012】
1つ以上の電子コントローラは、集合的に、ベルト一体型スタータジェネレータによって提供されるべきトルクの変化の決定に関連する情報を受け取るための電気入力と、変化したトルク要求を出力することに関連する電気出力とを有する少なくとも1つの電子プロセッサと、少なくとも1つの電子プロセッサに電気的に結合されそこに記憶された命令を有する少なくとも1つの電子メモリデバイスと、を備える。そして、少なくとも1つの電子プロセッサは、制御システムに、ベルト一体型スタータジェネレータによって提供されるべきトルクの変化を決定し、トルクの変化がベルト一体型スタータジェネレータをトルク反転領域に入らせることを決定し、変更トルク要求を生成し出力するように、少なくとも1つのメモリデバイスにアクセスしその上の命令を実行するように構成される。
【0013】
変更されたトルク要求は、トルク反転領域におけるトルクの提供速度の変更または調整からなる場合がある。変更されたトルク要求は、ベルト一体型スタータジェネレータがトルク反転領域を出た後のトルク供給率のさらなる変更または調整を含んでいてもよい。変更されたトルク要求は、ベルト一体型スタータジェネレータがトルク反転を経た後のトルク送達速度のさらなる変更または調整を含んでいてもよい。変更されたトルク要求は、トルク反転領域におけるトルク供給の速度を遅くすることを含んでいてもよい。
【0014】
1つ以上の電子制御システムは、トルクの変化がベルト一体型スタータジェネレータがトルク反転を経る原因となると判断するように構成されてもよく、ベルト一体型スタータジェネレータが負のトルクの提供から正のトルクの提供になるとき、及びベルト一体型スタータジェネレータが正のトルクの提供から負のトルクになるとき、トルク要求が変更されてもよい。
【0015】
ベルト一体型スタータジェネレータによって提供されるトルクの変化の原因は、車両のエンジンの始動を伴わない場合がある。
【0016】
変更されたトルク要求は、実質的にトルク反転の時点で、ベルト一体型スタータジェネレータによって提供されるトルクが実質的にゼロに強制される期間から構成されてもよい。変更されたトルク要求は、その期間の後、ベルト一体型スタータジェネレータからのトルク提供の割合の増加を含んでいてもよい。変更されたトルク要求は、トルク反転によってベルト一体型スタータジェネレータシステムに誘発される振動と実質的に180度位相がずれたトルク提供を含むように、トルク要求を変更することを含んでいてもよい。
【0017】
一態様によれば、制御システムおよびベルト一体型スタータジェネレータを含むシステムが提供される。
【0018】
本発明の一態様によれば、制御システムおよび/またはシステムを含む車両が提供される。
【0019】
一態様によれば、車両のベルト一体型スタータジェネレータによって提供されるトルクを制御する方法が提供され、この方法は、トルク要求に従ってベルト一体型スタータジェネレータによって提供されるべきトルクの変化を決定し;トルクの変化がベルト一体型スタータジェネレータをトルク反転領域に入らせることを決定し;トルク反転領域内で変化したトルク要求を生成してベルト一体型スタータジェネレータに出力し;トルク要求がベルト一体型スタータジェネレータによって提供されるトルク量の減少になるときとトルク要求がベルト一体型スタータジェネレータによって提供されるトルク量の増加になるときと、変化したトルク要求は生成されてベルト一体型スタータジェネレータに送られることを含む。
【0020】
変更されたトルク要求は、トルク反転領域におけるトルク提供の割合の変更または調整を含んでいてもよい。変更されたトルク要求は、ベルト一体型スタータジェネレータがトルク反転領域を出た後のトルク供給の割合の更なる変更又は調整を含んでいてもよい。変更されたトルク要求は、ベルト一体型スタータジェネレータがトルク反転を経た後のトルク送達速度のさらなる変更からなる場合がある。変更されたトルク要求は、トルク反転領域においてトルク送達の速度を遅くすることを含んでもよい。
【0021】
この方法は、トルクの変化がベルト一体型スタータジェネレータをトルク反転させることになると決定することと、ベルト一体型スタータジェネレータが負のトルクの提供から正のトルクの提供になるとき、およびベルト一体型スタータジェネレータが正のトルクの提供から負のトルクの提供になるときにトルク要求が変更されることを含んでもよい。
【0022】
ベルト一体型スタータジェネレータによって提供されるトルクの変化の原因は、車両のエンジンの始動を伴わない場合がある。
【0023】
変更されたトルク要求は、実質的にトルク反転の時点で、ベルト一体型スタータジェネレータによって提供されるトルクが実質的にゼロに強制される期間から構成されてもよい。変更されたトルク要求は、その期間の後、ベルト一体型スタータジェネレータからのトルク提供の割合の増加を含んでいてもよい。変更されたトルク要求は、トルク反転によってベルト一体型スタータジェネレータシステムに誘発される振動と実質的に180度位相がずれたトルク提供を含むようにトルク要求を変更することを含んでいてもよい。
【0024】
本発明の一態様によれば、プロセッサによって実行されると、本明細書に記載された少なくとも1つ以上の方法の実行を引き起こすコンピュータ可読命令を含む非一過性のコンピュータ可読媒体が提供される。
【0025】
本願の範囲内で、前の段落および/または以下の説明および図面に記載された様々な態様、実施形態、例および代替案、特にその個々の特徴は、独立して、または添付の請求項の範囲内に入る任意の組み合わせで取り得ることが明示的に意図される。すなわち、全ての実施形態及び/又は任意の実施形態の特徴は、そのような特徴が両立しない場合を除き、添付の請求項の範囲に入る任意の方法及び/又は組み合わせで結合することができる。本出願人は、当初提出した請求項を変更し、またはそれに応じて新たな請求項を提出する権利を留保する。これには、当初提出した請求項を修正し、本来そのように請求されないが他の請求項の任意の特徴に依存しおよび/またはそれを取り込む権利も含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
本発明の1つ以上の実施形態が、次に、添付の図面を参照して、例としてのみ説明される。
【0027】
図1図1は、車両の一例を示す図である。
図2A図2Aは、制御システムの一例を模式的に示す図である。
図2B図2Bは、非一時的なコンピュータ可読媒体の一例を概略的に示す。
図3図3は、システムの一例を模式的に示す図である。
図4図4は、方法の一例を示す図であり;及び
図5図5は、ベルト一体型スタータジェネレータによって提供されるトルクを制御する例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本開示の実施例は、車両のベルト一体型スタータジェネレータによって提供されるトルクを制御することに関する。
【0029】
ベルト一体型スタータジェネレータ(BISG)によって提供されるトルクを制御することは、BISGに対するトルク要求を変更することによって達成され得る。例では、変更されたトルク要求が生成され、BISGに出力される。
【0030】
例において、これは、BISGによってトルクの送達を変更すること、及び/又はBISGの制御を変更すること、及び/又はBISGのトルク送達プロファイルを変更することとみなすことができる。
【0031】
本明細書で使用される場合、トルク送達プロファイルは、時間の関数としてトルクの所望の送達を記述するまたは表す関数を意味することが意図される。例えば、トルク送達プロファイルは、トルクに対するドライバ要求に続く時間の関数として、トルクの送達の観点で。所望の応答を記述または表す関数であってよい。例えば、図5を参照されたい。
【0032】
本明細書に記載されるように、車両のベルト一体型スタータジェネレータによって提供されるトルクを制御することは、例えば、車両のドライバビリティに対する悪影響を回避し、及び/又は望ましくないノイズの発生を防止することから、有益である。
【0033】
さらに、または代替的に、ベルト一体型スタータジェネレータと車両のエンジンとの間に設けられたトーションダンパへの損傷を緩和する。
【0034】
図1、2A、2Bおよび3に関連して説明した特徴の1つ以上は、他の図に見出すことができる。
【0035】
図1は、本発明の実施形態が実施可能な車両10の一例を示す。
【0036】
必ずしも全てではないが、いくつかの例では、車両10は、乗用車または自動車とも呼ばれる、乗用車両である。他の例では、本発明の実施形態は、産業車両などの他の用途に実施することができる。
【0037】
車両10は、内燃機関(エンジン)30を含む。エンジン30は、レシプロピストンエンジンであってもよい。いくつかの例では、エンジン30は、4つ以下のピストン及び/又はインラインピストン構成を有していてもよい。4つ以上のピストンを有するものを含む、他の構成の往復動ピストンエンジンが有用である。しかしながら、エンジン30は、他の実施例では他の形態を取り得るし、例えば、非レシプロであってもよい。
【0038】
車両10は、テンショナ、ベルトおよびトーションダンパのセットを介してエンジン30に接続されたベルト一体型スタータジェネレータ(BISG)14を含む。BISG14は、推進トルクを伝達するように構成され、また、例えば車両10に回生ブレーキ機能を提供するためにジェネレータとして機能するように構成される。したがって、実施例では、BISG14は、正トルクおよび負トルクを提供するように構成されている。
【0039】
図1の車両10はまた、本明細書で説明されるような制御システム12を含む。る。従って、図1は、本明細書に記載された制御システム12を含む車両10の一例を示している。
【0040】
図2Aは、制御システム12の一例を示す図である。図示された例では、制御システム12は、車両10のベルト一体型スタータジェネレータ14によって提供されるトルクを制御するための制御システム12である。
【0041】
いくつかの例では、制御システム12は、BISGを制御するための制御システム12、および/またはBISGからのトルク送達を制御するための制御システム12、および/またはBISGのトルク送達プロファイルを制御するための制御システム12とみなすことができる。実施例では、車両10のベルト一体型スタータジェネレータ14によって提供されるトルクを制御するための任意の適切な制御システム12を使用することができる。
【0042】
図2Aの制御システム12は、電子コントローラ18を含む。他の実施例では、制御システム12は、車両10に搭載及び/又は搭載されていない複数の電子制御装置18から構成されている。
【0043】
図2Aの電子コントローラ18は、少なくとも1つの電子プロセッサ24と、少なくとも1つの電子プロセッサ24に電気的に結合され、そこに格納された命令31(例えばコンピュータプログラム)を有する少なくとも1つの電子メモリ装置28とを備え、少なくとも1つの電子メモリ装置28及び命令31は、少なくとも1つの電子プロセッサ24と共に、本明細書の方法又は手法のいずれか一つ又は複数を実行させるよう構成されたものである。
【0044】
図2Aの電子コントローラ18はまた、信号を受信するための、少なくとも1つの入力(I/O)、および信号を出力するための、少なくとも1つの出力(I/O)を備える。
【0045】
少なくとも1つの入力(I/O)は、ベルト一体型スタータジェネレータ(発電機)14によって提供されるべきトルクの変化の決定に関連する情報、例えばトルク要求信号、および/またはBISGの速度および/または位置の決定に関連する情報を受信するための電気入力(I/O)とみなすことができる。
【0046】
実施例では、少なくとも1つの出力(I/O)は、例えば変更されたトルク要求信号などの情報を出力または送信するための電気的出力(I/O)とみなすことができる。
【0047】
したがって、図 2Aは、車両10のベルト一体型スタータジェネレータ14によって提供されるトルクを制御するための制御システム12を示し、制御システム12は、1つまたは複数の電子コントローラ18を含む。1つまたは複数の電子コントローラは、トルク要求54に従ってベルト一体型スタータジェネレータ14によって提供されるべきトルクの変化を決定し、トルクの変化がベルト一体型スタータジェネレータ14をトルク反転領域51に入らせることになると決定し、トルク反転領域51内で変更されたトルク要求56をベルト一体型スタータジェネレータに出力し、トルク要求54がベルト一体型スタータジェネレータ14によって提供されるトルクの量の減少をもたらすであろう場合、およびトルク要求54がベルト一体型スタータジェネレータ14によって提供されるトルクの量の増加をもたらすであろう場合、変更されたトルク要求56が生成されてベルト一体型スタータジェネレータに出力される。
【0048】
すなわち、実施例では、ベルト一体型スタータジェネレータ14が正のトルクの提供から負のトルクの提供へと制御される場合、および負のトルクから正のトルクへと制御される場合の両方で、変更されたトルク要求56が生成されてベルト一体型スタータジェネレータ14へ出力される。
【0049】
さらに、したがって、図2Aは、制御システム12を示し、ここで、1つ以上の電子コントローラ18は、ベルト一体型スタータジェネレータ14によって提供されるべきトルクの変化の決定に関連する情報を受け取るための電気入力(I/O)及び変更トルク要求56を出力することに関連する電気出力(I/O)を有する少なくとも一つの電子プロセッサ24と、これに接続されて、少なくとも一つの電子プロセッサ24に電気的に結合されそこに記憶された命令31を有する少なくとも一つの電子メモリデバイス28とを有する。ここで、少なくとも1つの電子プロセッサ24は、制御システム12に、ベルト一体型スタータジェネレータ14によって提供されるべきトルクの変化を決定させ、トルクの変化がベルト一体型スタータジェネレータ14をトルク反転領域51に入らせることを決定させ、変更トルク要求56を生成して出力するように、少なくとも1つのメモリデバイス28にアクセスしてその上で命令31を実行するよう構成される。
【0050】
いくつかの例では、トルク要求54を変更することは、トルク送達プロファイルを変更することとみなすことができる。
【0051】
いくつかの例では、トルク要求54を変更することは、ベルト一体型スタータジェネレータ14の制御を変更することとみなすことができる。
【0052】
いくつかの例では、トルク要求54を変更することは、ベルト一体型スタータジェネレータからのトルクの提供を変更することと考えることができる。
【0053】
図2Bは、命令31(コンピュータソフトウェア)を含む非一過性のコンピュータ可読記憶媒体40を例示している。
【0054】
したがって、図2Bは、プロセッサ24によって実行されると、図4の方法および/または本明細書に記載される方法を実行するコンピュータ可読命令31を含む非一過性のコンピュータ可読媒体40を例示している。
【0055】
図3は、システム38の一例を模式的に示している。システム38は、車両システム38とみなすことができる。
【0056】
図示された例では、システム38は、車両10のベルト一体型スタータジェネレータ14によって提供されるトルクを制御するためのシステムである。
【0057】
いくつかの例では、システム38は、ベルト一体型スタータジェネレータのトルク提供プロファイルを変更するためのシステム38とみなすことができる。
【0058】
いくつかの例では、システム38は、ベルト一体型スタータジェネレータ14の制御を変更するためのシステム38と見なすことができる。
【0059】
いくつかの例では、システム38は、ベルト一体型スタータジェネレータからのトルクの提供を変更するためのシステム38と見なすことができる。
【0060】
図3はまた、本明細書に記載の制御システム12および/または本明細書に記載のシステム38を備える車両10の一例を示すものである。
【0061】
図3の例では、システム38は、図2Aに関連して説明したようなものであってよい制御システム12を有する。
【0062】
図3の例では、システム38は、ベルト一体型スタータジェネレータ14と、さらなる車両システム(複数可)42と考えられる1つまたは複数の車両システム42と、制御システム12とから構成されている。
【0063】
したがって、図3は、本明細書に記載される制御システム12と、ベルト一体型スタータジェネレータ14とを含むシステム38を示すものである。
【0064】
図3の実施例では、制御システム12は、システム38の動作を制御するための手段を提供する。しかしながら、実施例では、システム38の動作を制御するための任意の適切な手段を使用することができる。
【0065】
図3の実施例に示されるように、要素14および42は、制御システム12に動作的に結合され、任意の数または組み合わせの介在要素がそれらの間に存在し得る(介在要素がないことを含む)。
【0066】
いくつかの例では、要素14および42は、互いに動作的に結合され、および/または1つ以上の構成要素を共有する。さらに、または代替的に、要素14および/または42は、図3の実施例に図示されていない他の要素に動作的に結合され、および/または1つ以上の構成要素を共有することができる。
【0067】
ベルト一体型スタータジェネレータ14は、任意の好適なベルト一体型スタータジェネレータ14とすることができ、任意の好適な形態を有することができる。
【0068】
すなわち、実施例では、ベルト一体型スタータ発生器14は、ベルト一体型スタータ発生器14として機能するように構成された任意の好適な構成要素を含むことができる。
【0069】
実施例では、BISG14は、テンショナ、ベルトおよびトーションダンパのセットアップ(図示せず)を介して、車両10のエンジン30に接続される。
【0070】
実施例では、任意の適切なトーションダンパを使用することができる。例えば、望ましくない挙動及び/又は特性につながる振動の周波数の範囲を抑制又は緩和するように構成された任意の適切なダンパを使用することができる。
【0071】
BISG14は、正トルクと負トルクの両方を提供するように構成される。すなわち、実施例では、BISG14は、推進/牽引トルクを提供し、また、例えば、回生ブレーキまたは車両惰性走行中にエネルギをハーべスティングするときに負荷として作用するように構成されている。
【0072】
正トルクを提供するためのBISG14の使用例は、エンジン30の始動、移動中にエンジン30を始動する時のエンジン30の速度制御、トランスミッションダウンシフト、ラッシュコントロールトルク充填、オフペダル停止時にクラッチを開きながらエンジン燃料カットのバランスをとること、などである。
【0073】
負トルクを提供するためのBISG14の使用例は、エンジントルクのオーバーシュートのためのトルク充填、エアコン、ラジオ、シートヒータなどの補助的な負荷を相殺するための充電、バッテリーの充電、移動中にエンジン30を始動する際のエンジン30の速度制御のため、などである。
【0074】
実施例では、補償トルクを「トルク充填」と呼ぶことができる。
【0075】
したがって、BISG14は、制御システム12によって、トルク反転を経て、負トルクの提供から正トルクの提供への切り替え、または正トルクの提供から負トルクの提供への切り替えを行うように制御することができる。
【0076】
実施例では、制御システム12は、少なくとも部分的に、直接的または間接的に、ベルト一体型スタータジェネレータ14の動作を制御する手段を提供する。制御システム12とベルト一体型スタータジェネレータ14との間で情報が伝送されてもよい。例えば、制御情報は、制御システム12からベルト一体型スタータジェネレータ14へ送信され、及び/又は、ベルト一体型スタータジェネレータ14からの情報が制御システム12へ送信されてもよい。
【0077】
これは、図3の例では、ベルト一体型スタータジェネレータ14と制御システム12を結ぶ両矢印によって示されている。
【0078】
実施例では、1つ以上の車両システム42は、車両10の任意の適切な車両システム(複数可)42である。例えば、1つ以上の車両システム42は、少なくとも部分的に、制御システム12によって直接または間接的に制御可能な車両10の任意の好適な車両システム42を備えてもよい。
【0079】
加えて、または代替的に、1つ以上の車両システム42は、制御システム12が1つ以上の信号、例えば、情報を有する1つ以上の信号を受け取ることができる車両10の任意の適切な車両システム(複数可)42を備えてもよい。
【0080】
実施例では、1つ以上の車両システム42は、車両システム38に構成される更なる車両システムと見なすことができる。
【0081】
いくつかの例では、1つ以上の車両システム42は、システム38とは別個の、しかし少なくとも部分的にはシステム38によって制御されるさらなる車両システム(複数可)42と見なすことができる。
【0082】
実施例では、1つ以上の車両システム42は、ベルト一体型スタータジェネレータ14のトルク要求54を受け取ることができる任意の適切な車両システム(複数可)42を有する。
【0083】
例えば、トルク要求54は、車両10の物理的な運転者、すなわち、車両10の1つ以上のアクセル制御および/またはブレーキ制御と相互作用する人、および/または車両10の1つ以上の仮想運転者から送られ得る。
【0084】
例では、仮想ドライバは、例えばクルーズコントロールシステム、自律クルーズコントロールシステム、全地形進行制御システム(ATPC)、全地形進行制御(ASPC)、パークアシストなどの1つ以上の先進運転支援システム(ADAS)などの任意の運転支援システムの少なくとも一部を形成することができる。全地形進行制御システム(ATPC)または全表面進行制御(ASPC)システムの一例は、GB2507622に記載されている。
【0085】
いくつかの例では、トルク要求54は、車両10の仮想ドライバのドライバによる介入を必要としない。例えば、車両10の高電圧バッテリーの充電状態が低下しすぎて充電が必要となった場合、または車両システムによってエンジン再始動が要求された場合、トルク要求54を受信することができる。実施例では、トルク要求54は、車両10のエンジン30の始動に関与しない1つまたは複数のシステムから送られ得る。
【0086】
すなわち、実施例では、ベルト一体型スタータジェネレータ14によって提供されるべきトルクの変化の原因は、車両10のエンジン30の始動に関与していない。
【0087】
実施例では、ベルト一体型スタータジェネレータ14は、1つ以上の車両システム42の少なくとも一部を形成すると考えてもよい。
【0088】
すなわち、実施例では、1つ以上の車両システム42は、ベルト一体型スタータジェネレータ14を備えていてもよい。
【0089】
例えば、BISG14は、車両10のエンジン30に接続されてもよい。
【0090】
図3はまた、本明細書に記載される制御システム12または本明細書に記載されるシステム38を備える車両10を例示している。
【0091】
実施例では、制御システム12は、1つ以上の車両システム42の動作を、少なくとも部分的に、直接的または間接的に制御する手段を提供する。情報は、制御システム12と1つ以上の車両システム42との間で伝送されてもよい。例えば、制御情報は、制御システム12から1つ以上の車両システム42に送信されてもよく、及び/又は、1つ以上の車両システム42からの情報、例えば1つ以上のトルク要求54は、制御システム12に送信されてもよい。
【0092】
これは、図3の例では、1つ以上の車両システム42と制御システム12とを結ぶ両矢印によって示されている。
【0093】
図3の例では、システム38は、車両10に構成されている。
【0094】
システム38は、図3の例では図示されていない任意の数の付加的な要素から構成されてもよい。さらに、または代替的に、図3の実施例に図示されたシステム38の1つまたは複数の要素が統合および/または結合されてもよい。例えば、ベルト一体型スタータジェネレータ14と1つ以上の車両システム42は、少なくとも部分的に組み合わされてもよい。
【0095】
いくつかの例では、図3の例に図示された要素のうちの1つまたは複数が、システム38から省略されてもよい。
【0096】
図4は、方法400の一例を示す。方法400は、車両10のベルト一体型スタータジェネレータ14によって提供されるトルクを制御するためのものである。
【0097】
実施例では、車両10は、図1および/または図3に例示されるような車両10であり得る。
【0098】
実施例では、方法400は、図2Aまたは図3の制御システム12または図3のシステム38によって実行される。
【0099】
すなわち、実施例では、本明細書に記載された制御システム12は、方法400を実行するための手段を構成している。しかしながら、方法400を実行するために、任意の適切な手段が使用されてもよい。
【0100】
ブロック402において、トルク要求54に従ってベルト一体型スタータジェネレータ14によって提供されるべきトルクの変化が決定される。
【0101】
トルク要求54に従ってベルト一体型スタータジェネレータ14によって提供されるべきトルクの変化を決定するための任意の好適な方法を使用することができる。
【0102】
いくつかの例では、トルク要求54が1つ以上の車両システム42から受信され、制御システム12は、トルク要求54を満たすためにベルト一体型スタータジェネレータ14によって提供されるトルクの変化が必要であると判断する。
【0103】
実施例では、ベルト一体型スタータジェネレータ14によって提供されるべきトルクの変化は、負のトルクの提供から正のトルクの提供へ、また、正のトルクの提供から負のトルクの提供へ、であることができる。
【0104】
すなわち、実施例では、トルク要求54は、ベルト一体型スタータジェネレータ14によって提供されるトルクの変化を引き起こすことができ、それは、正のトルクから負のトルクになるとき、および負のトルクから正のトルクになるとき、ベルト一体型スタータジェネレータをトルク反転領域に入れるおよび/または通過させるものである。
【0105】
例えば、トルク要求は、BISG14をトルク反転に進ませることができる。
【0106】
いくつかの例では、ベルト一体型スタータジェネレータ14によって提供されるべきトルクの変化の原因は、車両10のエンジン30を始動させることを伴わない。
【0107】
ブロック404では、トルクの変化がベルト一体型スタータジェネレータをトルク反転領域51に入らせることになると判断される。
【0108】
トルクの変化がベルト一体型スタータジェネレータ14をトルク反転領域51に入らせることになると判断するための任意の適切な方法を使用することができる。
【0109】
実施例では、トルク要求54を満たすためのトルクの変化が、ベルト一体型スタータジェネレータ14を負のトルクの提供から正のトルクの提供への変化、または正のトルクの提供から負のトルクの提供への変化を引き起こすことが判断される。
【0110】
すなわち、実施例では、トルクの変化がベルト一体型スタータジェネレータをトルク反転させることになると判断される。
【0111】
実施例では、トルク反転領域51は、ベルト一体型スタータジェネレータ14のゼロトルク点周辺の領域とみなすことができる。例えば、図5を参照されたい。任意の適切なトルク反転領域51を使用することができる。
【0112】
例では、トルク反転領域は、物理的に、フロントエンド補助駆動(FEAD)システムがそのフルトラベルにある、または実質的にフルトラベルである、BISG生成トルクの範囲を意味する。
【0113】
トルク反転領域51の大きさは、トルクの変化率に依存し得る。トルクの変化率が遅い場合、トルク反転領域51は、例えばゼロ点の周りの±4Nmのような小さな帯域のトルクとすることができる。
【0114】
実施例では、FEADシステム全体に損失がある場合、トルク反転領域は、例えばプラス側に偏ることがある。例えば、ゼロ点付近で+5Nmと-3Nmである。
【0115】
いくつかの実施例では、トルク反転領域51は、トーションダンパ、ベルト、プーリなどのシステム内のばね要素を緊張させるときに生じる振動を考慮、抑制または軽減するために、より広くなってもよい。
【0116】
実施例では、方法400は、トルクの変化がベルト一体型スタータジェネレータ14にトルク反転させることを決定することを含み、ベルト一体型スタータジェネレータが負のトルクの提供から正のトルクの提供になるとき、およびベルト一体型スタータジェネレータ14が正のトルクの提供から負のトルクになるとき、トルク要求54が変更される。
【0117】
ブロック406において、変更されたトルク要求信号56が生成され、トルク反転領域51内のBISGに出力される。変更されたトルク要求56は、トルク要求54がベルト一体型スタータジェネレータ14によって提供されるトルクの量の減少をもたらすであろう場合、およびトルク要求54がベルト一体型スタータジェネレータ14によって提供されるトルクの量の増加をもたらすであろう場合、生成されてBISGに送られる。
【0118】
実施例では、トルク要求54は、任意の適切な方法で変更することができる。例えば、トルク要求54は、ベルト一体型スタータジェネレータ14がトルク反転領域に入ること及び/又はトルク反転を経ることによって引き起こされる、ベルト一体型スタータジェネレータのねじりダンパ及び/又は車両10の前端付属駆動装置(FEAD)に誘発される振動を低減又は排除するために、任意の適切な方法で変更することが可能である。
【0119】
実施例では、変更されたトルク要求56は、最初に受け取ったトルク要求54に比べて、トルク要求56を変更することを含む。
【0120】
例において、トルク要求54を変更することは、ベルト一体型スタータジェネレータ14のトルク送達プロファイルを変更すること、および/またはベルト一体型スタータジェネレータ14によるトルク提供を変更すること、および/またはベルト一体型スタータジェネレータ14の制御を変更することと考えることができる。
【0121】
実施例では、変更されたトルク要求56は、トルク反転領域51におけるトルク提供の割合の変更または調整を含む。
【0122】
トルク送達速度は、任意の適切な方法で変更することができる。
【0123】
実施例では、変更されたトルク要求56は、トルク反転領域51におけるトルク送達の速度を遅くすることを含む。例えば、図5の部分Aを参照されたい。
【0124】
いくつかの例では、変更されたトルク要求56は、ベルト一体型スタータジェネレータ14がトルク反転領域51を出た後のトルク送達速度のさらなる変更または調整を含む。
【0125】
実施例では、ベルト一体型スタータジェネレータ14がトルク反転領域を出た後のトルク送達の速度をさらに変更することは、任意の適切な方法で行うことができる。したがって、実施例では、変更されたトルク要求56の生成および出力は、検出または予測されたトルク反転領域51の進入に応答して制御システム12によってのみ行われる。また、制御システム12は、いったんそのトルク反転領域51がベルト一体型スタータジェネレータ14によってうまく交渉されると、トルク要求54を出力することにスイッチバックするように構成されている。制御システム12は、例えば、不要なねじりダンパ振動の制御をさらに強化するために、BISG14に出力されるトルク要求54と変更されたトルク要求56との間で調和させるように配置されてもよい。
【0126】
いくつかの実施例では、ベルト一体型スタータジェネレータ14がトルク反転領域51を出た後、トルクの供給率が増加される。
【0127】
実施例では、変更されたトルク要求56は、ベルト一体型スタータジェネレータ14がトルク反転を経た後のトルク送出速度のさらなる変更又は調整を含む。
【0128】
すなわち、いくつかの実施例では、変更されたトルク要求56は、ベルト一体型スタータジェネレータ14が負のトルクから正のトルクの提供に、または正のトルクの提供から負のトルクの提供に至った後のトルク提供率のさらなる変更または調整を含む。
【0129】
実施例では、ベルト一体型スタータジェネレータ14がトルク反転を経た後のトルク提供率をさらに変更することは、任意の適切な方法で行うことができる。
【0130】
例えば、ベルト一体型スタータジェネレータ14がトルク反転を経た後、トルク送達の速度を増加させることができる。実施例では、トルク送達のレートは、元のトルク要求54に一致する時点まで増加される。
【0131】
いくつかの実施例では、変更されたトルク要求56は、実質的にトルク反転の時点で、所定の時間を含み、その間、ベルト一体型スタータジェネレータによって提供されるトルクが実質的にゼロにされる。例えば、図5の部分Bを参照されたい。
【0132】
実施例では、ベルト一体型スタータジェネレータ14によって提供されるトルクを、実質的にトルク反転の時点で、一定期間ゼロにするために、任意の適切な方法を使用することができる。
【0133】
例えば、制御システム12は、トルクが別の方向に再適用される前に、ねじりダンパがそれ自体の振動を抑制、軽減、および/または制御することを可能にするために、変更されたトルク要求56をベルト一体型スタータジェネレータに対して所定の期間にわたって実質的にゼロに保持することが可能である。
【0134】
任意の適切な期間を使用することができる。実施例では、その時間は、BISG14のセットアップ及び/又は構成要素、並びにBISGと車両のエンジン30とを結ぶセットアップ及び/又は構成要素に基づいて決定することができる。
【0135】
例えば、期間は、BISGに誘発される振動および使用されるセットアップに基づいて決定することができる。
【0136】
例えば、その期間は0.5秒以下とすることができる。例として、その時間は0~0.5秒の範囲とすることができる。例では、その時間は、0.1~0.4秒の範囲とすることができる。
【0137】
実施例では、変更されたトルク要求56は、期間後にベルト一体型スタータジェネレータ14からのトルク提供の割合の増加を含む。
【0138】
いくつかの例では、変更されたトルク要求56は、トルク反転によってベルト一体型スタータジェネレータ14系に誘発される振動と実質的に180°位相がずれたトルク提供を含むように、トルク要求54を変更することを含む。例えば、図5のC部参照。
【0139】
すなわち、実施例では、変更されたトルク56要求は、ベルト一体型スタータジェネレータがトルク反転を経ることによって誘発される振動を積極的に打ち消すためのトルク規定を含むようにトルク要求54を変更することからなることが可能である。
【0140】
誘導された振動と実質的に180°位相のずれたトルク規定を含むようにトルク提供を変更する任意の適切な方法を使用することができる。
【0141】
例えば、内部基準速度は、BISG14がトルク反転を経て、BISG14のコンポーネントが正および負のトルクのためのエンドストップ間を移動することによって引き起こされる追加の加速度なしで、BISGの予想速度に基づいて作成され得る。比例トルクは、内部基準速度とトルク反転を経るBISG14の実際の速度との間の差に適用することができる。
【0142】
別の例として、ねじりダンパの位置は、BISG速度から推測され、推測された位置は、正および負のトルクのためのエンドストップ間の移動位置および必要な補償トルクのレベルを知らせるために使用されることが可能である。
【0143】
この機能は、トルク反転領域51に入る際のトルク要求54およびトルク要求54の変化率に依存してフィードフォワードすることも可能である。
【0144】
実施例では、補償トルクは、車両10のセットアップに依存して適合させることができる。
【0145】
方法400の技術的効果は、ベルト一体型スタータジェネレータ14がトルク反転を経ることによって誘発される振動を低減または排除できることであり、これにより、運転性を改善し、発生する騒音を低減し、および/またはトーションダンパの破損を防止することができるということである。
【0146】
図5は、車両10のベルト一体型スタータジェネレータ14によって提供されるトルクを制御する例を示している。
【0147】
図5の例では、3つの例、A、B、およびCが図示されている。図5に図示されたプロットは、説明のために示されたものであり、例えば、縮尺通りにすることを意図していない。
【0148】
図5の上段では、時間(例えば秒単位)に対するベルト一体型スタータジェネレータ14によって提供されるトルク(例えばNm単位)のプロット、Tq(Nm)対T(s)が示される。実施例では、これらのプロットは、BISG14のトルク提供プロフィールを示すと考えることができる。
【0149】
図5の下段では、時間(例えば秒単位)に対するトーションダンパ/FEAD位置(例えば度単位の角度測定値θ)の対応するプロット、θ(度)対T(s)が示されている。
【0150】
図5の部分Aでは、元のトルク要求54に従ってベルト一体型スタータジェネレータ14によって提供されるトルクが実線によって示されている。
【0151】
図5の例のAの部分において、BISGは、元のトルク要求54に従って正のトルクの提供から負のトルクになるように制御されることが分かる。これにより、BISGはトルク反転領域51に入り、実線でA部の下パネルに図示されているように、トーションダンパ位置の大きな振動を引き起こすゼロ点を素早く通過する。
【0152】
下側のパネルでは、上側の線48は正のトルクに対するトーションダンパ/FEAD位置を示し、下側の線50は負のトルクに対するトーションダンパ/FEAD位置を示している。
【0153】
指摘したように、元のトルク要求54は、例えば、BISGがトルク反転を経て、望ましくない騒音、運転性の問題および/またはダンパの損傷につながる負の位置の周りに振動するように、ねじりダンパを引き起こす。
【0154】
これは、元のトルク要求54に対するトーショナルダンパ/FEADの対応位置を示す対応線54’によって下パネルに図示される。
【0155】
図5の部分Aの上部パネルでは、変更されたトルク要求56に従ってBISG14によって提供されるトルクが、破線によって示されている。
【0156】
図5の部分Aの上側のパネルで分かるように、トルク反転領域51に入る前は、破線56は実線54と区別がつかず、したがってトルク提供はトルク反転領域51の外側で変更されないままである。
【0157】
しかし、トルク反転領域51では、線56の傾きが線54の傾きよりも浅いことから分かるように、トルク提供の速度はゼロ点付近で遅くなるように変化している。
【0158】
しかし、トルク反転領域51を通過すると、線56によるトルクの提供速度は、元の要求54と一致するように増加される。この例では、ベルト一体型スタータジェネレータ14がトルク反転領域51をうまく交渉した後、制御システムは、ベルト一体型スタータジェネレータ14にトルク要求54を変更せずに送ることに戻す。理解されるように、トルク反転領域51に続くこのトルク要求54は、トルク反転領域51を交渉するのに要した時間に対応するわずかな時間オフセットを有する。いくつかの例では、制御システム12は、時間のオフセットを補償し、トルク反転領域51に続く応答性を高めるために、BISGに送信される信号をさらに調整してもよい。
【0159】
図5の例Aの下側のパネルでは、変更されたトルク要求56が使用されたときに、破線56’で図示されたトーショナルダンパ/FEADの対応位置が著しく減少した振動を経ることが分かる。
【0160】
図5の部分Bに図示されたプロットは、図5の部分Aに図示されたプロットと同様である。
【0161】
元のトルク要求54に対するトルク規定及び関連するトーションダンパ位置は同じである。
【0162】
しかしながら、図5の部分Bの例では、変更されたトルク要求56に従ってBISG14によって提供されるトルクは、実質的にゼロ点またはトルク反転の点での時間、実質的にゼロに保持される。
【0163】
これは、図5の部分Bの上側のプロットにおいて、トルク提供の割合が増加する前に、トルク反転のポイントで一定時間ほぼゼロのままである破線によって見ることができる。
【0164】
これは、対応する下側のパネルにおいて、対応する線56’により、ダンパにおける振動が、トルク反転領域を通じてより滑らかな遷移を提供するために消散することを可能にすることが分かる。
【0165】
図5の部分Cの例も同様であり、元のトルク要求54に関連するプロットは、この例でも同じままである。
【0166】
しかしながら、図5の部分Cの例では、誘導振動と180°位相がずれているBISGトルク要求56に反応性トルクが追加される。BISG14からのそのようなトルクの提供は、図5の部分Cの下側のプロットにおける破線56’によって分かるように、振動を効果的に打ち消すものである。
【0167】
本明細書で使用される「ために」は、「に構成または配置された」も含むと考えるべきである。例えば、「~のための制御システム」は、「~のように構成された制御システム」をも含むと考えられるべきである。
【0168】
本開示の目的のために、本明細書に記載されるコントローラ(複数可)は、それぞれ、1つ以上の電子プロセッサを有する制御ユニットまたは計算装置を構成し得ることが理解される。車両及び/又はそのシステムは、単一の制御ユニット又は電子制御装置を含んでいてもよく、又は代替的に、制御装置(複数可)の異なる機能が、異なる制御ユニット又は制御装置において具現化され、又はホストされてもよい。実行されると、前記コントローラ(複数可)または制御ユニット(複数可)に本明細書に記載の制御技術(記載の方法(複数可)を含む)を実施させる一組の命令が提供され得る。命令のセットは、1つまたは複数の電子プロセッサに組み込まれてもよく、あるいは、命令のセットは、1つまたは複数の電子プロセッサ(複数可)によって実行されるソフトウェアとして提供され得る。例えば、第1のコントローラは、1つまたは複数の電子プロセッサ上で実行されるソフトウェアで実装されてもよく、1つまたは複数の他のコントローラも、1つまたは複数の電子プロセッサ(オプションとして、第1のコントローラと同じ1つまたは複数のプロセッサ)上で実行されるソフトウェアで実装され得る。しかしながら、他の配置も有用であり、したがって、本開示は、任意の特定の配置に限定されることを意図していないことが理解されよう。いずれにせよ、上述の命令のセットは、機械または電子プロセッサ/計算機によって読み取り可能な形態で情報を格納するための任意の機構を含んでいてもよいコンピュータ可読記憶媒体(例えば、非一時的コンピュータ可読記憶媒体)に組み込まれてもよく、これには限定されないが、磁気記憶媒体(例えば、磁気記憶媒体(例えば、フロッピーディスク);光学記憶媒体(例えば、CD-ROM);光磁気記憶媒体;読み取り専用メモリ(ROM);ランダムアクセスメモリ(RAM);消去可能プログラマブルメモリ(例えば、EPROMおよびEEPROM);フラッシュメモリ;または電気または他のタイプの媒体であってかかる情報/命令を記憶するためのもの、などである。
【0169】
本願の範囲から逸脱することなく、本発明に様々な変更および修正を加えることができることが理解されよう。
【0170】
図4に図示されたブロックは、方法におけるステップおよび/またはコンピュータプログラム31におけるコードのセクションを表すことができる。ブロックに対する特定の順序の図示は、必ずしもブロックに要求されるまたは好ましい順序があることを意味するものではなく、ブロックの順序および配置は変化してもよい。さらに、一部のステップを省略することも可能である。
【0171】
本発明の実施形態は、様々な例を参照して前の段落で説明されたが、与えられた例に対する変更は、請求された本発明の範囲から逸脱することなく行うことができることを理解されたい。
【0172】
構造的特徴が説明された場合、その機能またはそれらの機能が明示的または暗黙的に記述されているかどうかにかかわらず、構造的特徴の1つまたは複数の機能を実行するための手段によって置換されてもよい。
【0173】
先の説明で述べた機能は、明示的に記述された組み合わせ以外の組み合わせで使用されてもよい。
【0174】
特定の特徴を参照して機能を説明したが、それらの機能は、説明されているか否かにかかわらず、他の特徴によって実行可能であってもよい。
【0175】
特定の実施形態を参照して機能を説明したが、それらの機能は、説明されているか否かにかかわらず、他の実施形態にも存在することができる。
【0176】
前述の明細書において、特に重要であると考えられる本発明の特徴に注目するよう努める一方で、出願人は、特に強調されているかどうかにかかわらず、本明細書において言及され、および/または図面に示された、特許可能な特徴または特徴の組み合わせに関して保護を主張する権利を留保することを理解されたい。
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
【手続補正書】
【提出日】2024-07-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のベルト一体型スタータジェネレータによって提供されるトルクを制御するための制御システムであって、1つ以上の電子コントローラを備え、前記1つ以上の電子コントローラは、
トルク要求に従って、前記ベルト一体型スタータジェネレータによって提供されるトルクの変化を決定し、
前記トルクの変化が、前記ベルト一体型スタータジェネレータをトルク反転領域に入らせることになると判断し、
前記トルク反転領域において、変更トルク要求を生成してベルト一体型スタータジェネレータに出力することを行うように構成されており、
前記トルク要求が前記ベルト一体型スタータジェネレータによって提供されるトルクの量の減少をもたらすであろうとき、および前記トルク要求が前記ベルト一体型スタータジェネレータによって提供されるトルクの量の増加をもたらすであろうとき、前記変更トルク要求が生成されて前記ベルト一体型スタータジェネレータに出力される、制御システム。
【外国語明細書】