(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024016135
(43)【公開日】2024-02-06
(54)【発明の名称】熱伝達組成物、方法、及びシステム
(51)【国際特許分類】
C09K 5/04 20060101AFI20240130BHJP
C10M 105/38 20060101ALI20240130BHJP
C10M 107/24 20060101ALI20240130BHJP
C10M 101/02 20060101ALI20240130BHJP
C10M 105/06 20060101ALI20240130BHJP
F25B 1/00 20060101ALI20240130BHJP
C10N 30/00 20060101ALN20240130BHJP
C10N 40/30 20060101ALN20240130BHJP
【FI】
C09K5/04 E ZAB
C09K5/04 C
C10M105/38
C10M107/24
C10M101/02
C10M105/06
F25B1/00 396Z
C10N30:00 A
C10N40:30
【審査請求】有
【請求項の数】27
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023187469
(22)【出願日】2023-11-01
(62)【分割の表示】P 2020540598の分割
【原出願日】2019-01-30
(31)【優先権主張番号】62/631,093
(32)【優先日】2018-02-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/623,887
(32)【優先日】2018-01-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】500575824
【氏名又は名称】ハネウェル・インターナショナル・インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】Honeywell International Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100120754
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 豊治
(72)【発明者】
【氏名】ヤナ モッタ、サミュエル、エフ.
(72)【発明者】
【氏名】セティ、アンキット
(72)【発明者】
【氏名】ツォウ、ヤン
(57)【要約】 (修正有)
【課題】R-410Aの代替品として使用され得、かつ好ましい実施形態において、低い地球温暖化係数(GWP)及びほぼゼロのODPと併せて、優れた熱伝達特性、化学安定性、低毒性若しくは無毒性、不燃性、潤滑剤混和性及び潤滑剤適合性の所望の特性のモザイクを示す、冷媒組成物を提供する。
【解決手段】少なくとも約97重量%の以下の3つの化合物を含む冷媒であって、各化合物が以下の相対百分率で存在する、冷媒である。
39~45重量%のジフルオロメタン(HFC-32)、
1~4重量%のペンタフルオロエタン(HFC-125)、
及び51~57重量%のトリフルオロヨードメタン(CF3I)。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも約97重量%の以下の3つの化合物を含む冷媒であって、各化合物が以下の相対百分率で存在する、冷媒:
39~45重量%のジフルオロメタン(HFC-32)、
1~4重量%のペンタフルオロエタン(HFC-125)、及び
51~57重量%のトリフルオロヨードメタン(CF3I)。
【請求項2】
少なくとも約99.5重量%の以下の3つの化合物を含み、各化合物が以下の相対百分率で存在する、請求項1に記載の冷媒:
39~45重量%のジフルオロメタン(HFC-32)、
1~4重量%のペンタフルオロエタン(HFC-125)、及び
51~57重量%のトリフルオロヨードメタン(CF3I)。
【請求項3】
以下の3つの化合物からなり、各化合物が以下の相対百分率で存在する、請求項1に記載の冷媒:
39~45重量%のジフルオロメタン(HFC-32)、
1~4重量%のペンタフルオロエタン(HFC-125)、及び
51~57重量%のトリフルオロヨードメタン(CF3I)。
【請求項4】
少なくとも約97重量%の以下の3つの化合物を含む冷媒であって、各化合物が以下の相対百分率で存在する、冷媒:
約41~約43重量%のジフルオロメタン(HFC-32)、
1~4重量%のペンタフルオロエタン(HFC-125)、及び
約53~約56重量%のトリフルオロヨードメタン(CF3I)。
【請求項5】
少なくとも約99.5重量%の以下の3つの化合物を含み、各化合物が以下の相対百分率で存在する、請求項4に記載の冷媒:
約41~約43重量%のジフルオロメタン(HFC-32)、
1~4重量%のペンタフルオロエタン(HFC-125)、及び
約53~約56重量%のトリフルオロヨードメタン(CF3I)。
【請求項6】
以下の3つの化合物から本質的になる冷媒であって、各化合物が以下の相対百分率で存在する、冷媒:
41重量%±1重量%のジフルオロメタン(HFC-32)、
3.5重量%±0.5重量%のペンタフルオロエタン(HFC-125)、及び
55.5重量%±0.5重量%のトリフルオロヨードメタン(CF3I)。
【請求項7】
以下の3つの化合物からなり、各化合物が以下の相対百分率で存在する、請求項6に記載の冷媒:
41重量%±1重量%のジフルオロメタン(HFC-32)、
3.5重量%±0.5重量%のペンタフルオロエタン(HFC-125)、及び
55.5重量%±0.5重量%のトリフルオロヨードメタン(CF3I)。
【請求項8】
以下の3つの化合物から本質的になり、各化合物が以下の相対百分率で存在する、請求項6に記載の冷媒:
41重量%のジフルオロメタン(HFC-32)、
3.5重量%のペンタフルオロエタン(HFC-125)、及び
55.5重量%のトリフルオロヨードメタン(CF3I)。
【請求項9】
請求項1に記載の冷媒を含む、熱伝達組成物。
【請求項10】
アルキル化ナフタレンを更に含む、請求項9に記載の熱伝達組成物。
【請求項11】
前記熱伝達組成物の約0.0001重量%~約5重量%の量でBHTを更に含む、請求項10に記載の熱伝達組成物。
【請求項12】
ポリオールエステル(POE)、ポリビニルエーテル(PVE)、鉱油、及びアルキルベンゼン(AB)から選択される潤滑剤を更に含む、請求項11に記載の熱伝達組成物。
【請求項13】
前記潤滑剤が、ポリオールエステル(POE)である、請求項12に記載の熱伝達組成物。
【請求項14】
前記潤滑剤が、PVEである、請求項12に記載の熱伝達組成物。
【請求項15】
蒸発器、凝縮器、及び圧縮機を備える熱伝達システムにおける冷却方法であって、プロセスが、i)請求項1に記載の冷媒を凝縮する工程と、ii)冷却される本体又は物品の付近で前記冷媒を蒸発させる工程と、を含み、前記蒸発器における前記冷媒の温度が、約-40℃~約-10℃の範囲内である、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、2018年1月30日に出願された米国特許仮出願第62/623887号の優先的な利益を主張する。
【0002】
本出願は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、2018年2月15日に出願された米国特許仮出願第62/631093号の優先的な利益を主張する。
【0003】
(発明の分野)
本発明は、空調及び冷凍用途を含む、熱伝達用途において有用性を有する組成物、方法、及びシステムに関する。特定の態様では、本発明は、冷媒R-410Aが使用されているであろうタイプの熱伝達システムにおいて有用な組成物に関する。本発明の組成物は、特に、加熱及び冷却用途のための冷媒R-410Aの代替品として、かつR-410Aと共に使用するために設計されたシステムを含む熱交換システムを追加導入することに対して有用である。
【背景技術】
【0004】
産業用、商用、及び家庭用の使用について、機械冷凍システム、並びにヒートポンプ及び空調機などの関連する熱伝達デバイスが当該技術分野で周知である。クロロフルオロカーボン(CFC)は、かかるシステムのための冷媒として1930年代に開発された。しかしながら、1980年代以降、成層圏オゾン層に対するCFCの影響が多くの注目を集めるようになった。1987年には、CFC製品の段階的削減のためのタイムテーブルを定めた、地球環境を保護するためのモントリオール議定書に多くの政府が署名した。水素を含有する、より環境的に許容される材料、すなわちヒドロクロロフルオロカーボン(HCFC)がCFCに取って代わった。
【0005】
最も一般的に使用されたヒドロクロロフルオロカーボンの1つが、クロロジフルオロメタン(HCFC-22)であった。しかしながら、モントリオール議定書のその後の改正は、CFCの段階的削減を加速させ、HCFC-22を含むHCFCの段階的削減をスケジュールした。
【0006】
CFC及びHCFCに代わる不燃性、非毒性の代替物の必要性に応じて、業界では、オゾン破壊係数がゼロであるいくつかのヒドロフルオロカーボン(HFC)が開発された。オゾン破壊に寄与しないため、空調及び冷却器用途におけるHCFC-22の産業用代替品としてR-410A(ジフルオロメタン(HFC-32)及びペンタフルオロエタン(HFC-125)の50:50w/wブレンド)が採用された。しかしながら、R-410Aは、R-22のドロップイン代替品ではない。したがって、R-410AでのR-22の置き換えは、R-22と比較して、R-410Aの実質的により高い動作圧力及び容積に適用させるための圧縮機の置き換え及び再設計を含む、熱交換システム内の主要な構成要素の再設計を必要とした。
【0007】
R-410Aは、R-22よりも許容されるオゾン破壊係数(ODP)を有する一方、地球温暖化係数が2088と高いため、R-410Aの継続使用には問題が伴う。したがって、より環境的に許容される代替品でのR-410Aの置き換えが当該技術分野で必要とされている。
【0008】
表1に示すように、EUは、2015以降からEU内で市販することができるHFC
を制限するためのFガス規則を実施した。2030年までに、2015年に販売されたHFCの量の21%のみが利用可能となる。したがって、長期的な解決策として、GWPを427未満に制限することが所望される。
【0009】
【表1】
*2015年のGWPレベルは、成長率が増加していないUNEPの2012年使用調査に基づく。
【0010】
代替の熱伝達流体が、中でも優れた熱伝達特性(特に特定の用途の必要性に十分に適合する熱伝達特性)、化学安定性、低毒性若しくは無毒性、不燃性、潤滑剤混和性、及び/又は潤滑剤適合性を含む、達成するのが困難な特性のモザイクを保有することが非常に望ましいことが当該技術分野で理解されている。更に、R-410Aの任意の代替品は、理想的には、システムの修正又は再設計を回避するために、R-410Aの動作条件に対して良好な一致となるものである。その多くが予測できないものであるこれらの要求の全てを満たす熱伝達流体の開発は、大きな課題である。
【0011】
使用効率に関しては、熱力学性能又はエネルギー効率の喪失は、電気エネルギーの需要の増加の結果として化石燃料の使用量の増加をもたらし得ることに留意することが重要である。したがって、かかる冷媒の使用は、環境に対して二次的な悪影響を有することになる。
【0012】
燃焼性は、多くの熱伝達用途について重要な特性であると考えられている。本明細書で使用するとき、用語「不燃性」は、ASTM規格のE-681-2009 Standard Test Method for Concentration Limits
of Flammability of Chemicals(Vapors and
Gases)に従って、ASHRAE Standard 34-2016 Designation and Safety Classification of Refrigerants及びASHRAE Standard 34-2016のAppendix B1に記載されている条件で不燃性と判定される化合物又は組成物を指し、これは、参照により本明細書に組み込まれ、本明細書において便宜上、「不燃性試験」と呼ばれる。
【0013】
蒸気圧縮式熱伝達システム中を循環する潤滑剤がその意図される潤滑機能を行うために圧縮機に戻されることが、システム効率の維持及び圧縮機の適切かつ確実な稼動について非常に重要である。そうでなければ、潤滑剤が堆積し、熱伝達部品中を含む、システムのコイル及びパイプの中に留まる可能性がある。更に、潤滑剤が蒸発器の内面に堆積すると、蒸発器の熱交換効率が低下し、それによりシステムの効率が低減される。
【0014】
R-410Aは、かかるシステムの使用中に生じる温度でポリオールエステル(POE)と混和性であるため、R-410Aは現在、空調用途においてPOE潤滑油と共に一
般的に使用されている。しかしながら、R-410Aは、低温冷凍システム及びヒートポンプシステムの動作中に典型的に生じる温度ではPOEと非混和性である。したがって、この非混和性を軽減する対策が講じられない限り、POE及びR-410Aを低温冷凍又はヒートポンプシステムに使用することはできない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本出願人らは、それ故に、空調用途、特にルーフトップ空調、可変冷媒流(VRF)空調及び冷却器空調用途を含む住宅用空調及び商用空調用途において、R-410Aの代替品として使用可能な組成物を提供できることが望ましいと理解するようになった。本出願人らはまた、本発明の組成物、方法、及びシステムが、例えば、ヒートポンプ及び低温冷凍システムにおいて、これらのシステムの動作中に生じる温度でPOEと非混和性になる欠点を解消するという利点を有することを理解するようになった。
【0016】
本発明は、R-410Aの代替品として使用され得、かつ好ましい実施形態において、低い地球温暖化係数(GWP)及びほぼゼロのODPと併せて、優れた熱伝達特性、化学安定性、低毒性若しくは無毒性、不燃性、潤滑剤混和性及び潤滑剤適合性の所望の特性のモザイクを示す、冷媒組成物を含む。
【0017】
本発明は、少なくとも約97重量%の以下の3つの化合物を含む冷媒であって、各化合物が以下の相対百分率で存在する、冷媒、を含む:
39~45重量%のジフルオロメタン(HFC-32)、
1~4重量%のペンタフルオロエタン(HFC-125)、及び
51~57重量%のトリフルオロヨードメタン(CF3I)。本段落による冷媒は、本明細書において便宜上、冷媒1と呼ばれる。
【0018】
特定化合物のリストに基づく百分率に関して本明細書で使用するとき、「相対百分率」という用語は、列挙された化合物の総重量に基づく特定化合物の百分率を意味する。
【0019】
重量パーセントに関して本明細書で使用するとき、特定成分の量に対する「約」という用語は、特定成分の量が±1重量%の量で変化し得ることを意味する。
【0020】
本発明はまた、少なくとも約98.5重量%の以下の3つの化合物を含む冷媒であって、各化合物が以下の相対百分率で存在する、冷媒、を含む:
39~45重量%のジフルオロメタン(HFC-32)、
1~4重量%のペンタフルオロエタン(HFC-125)、及び
51~57重量%のトリフルオロヨードメタン(CF3I)。本段落による冷媒は、本明細書において便宜上、冷媒2と呼ばれる。
【0021】
本発明は、少なくとも約99.5重量%の以下の3つの化合物を含む冷媒であって、各化合物が以下の相対百分率で存在する、冷媒、を含む:
39~45重量%のジフルオロメタン(HFC-32)、
1~4重量%のペンタフルオロエタン(HFC-125)、及び
51~57重量%のトリフルオロヨードメタン(CF3I)。本段落による冷媒は、本明細書において便宜上、冷媒3と呼ばれる。
【0022】
本発明は、以下の3つの化合物から本質的になる冷媒であって、各化合物が以下の相対百分率で存在する、冷媒、を含む:
39~45重量%のジフルオロメタン(HFC-32)、
1~4重量%のペンタフルオロエタン(HFC-125)、及び
51~57重量%のトリフルオロヨードメタン(CF3I)。本段落による冷媒は、本明細書において便宜上、冷媒4と呼ばれる。
【0023】
本発明は、以下の3つの化合物からなる冷媒であって、各化合物が以下の相対百分率で存在する、冷媒、を含む:
39~45重量%のジフルオロメタン(HFC-32)、
1~4重量%のペンタフルオロエタン(HFC-125)、及び
51重量%~57重量%のトリフルオロヨードメタン(CF3I)。冷媒は、不燃性試験に従って不燃性である。本段落による冷媒は、本明細書において便宜上、冷媒5と呼ばれる。
【0024】
本発明は、少なくとも約97重量%の以下の3つの化合物を含む冷媒であって、各化合物が以下の相対百分率で存在する、冷媒、を含む:
約41~約43重量%のジフルオロメタン(HFC-32)、
1~4重量%のペンタフルオロエタン(HFC-125)、及び
約53~約56重量%のトリフルオロヨードメタン(CF3I)。本段落による冷媒は、本明細書において便宜上、冷媒6と呼ばれる。
【0025】
本発明は、少なくとも約98.5重量%の以下の3つの化合物を含む冷媒であって、各化合物が以下の相対百分率で存在する、冷媒、を含む:
約41~約43重量%のジフルオロメタン(HFC-32)、
1~4重量%のペンタフルオロエタン(HFC-125)、及び
約53~約56重量%のトリフルオロヨードメタン(CF3I)。本段落による冷媒は、本明細書において便宜上、冷媒7と呼ばれる。
【0026】
本発明は、少なくとも約99.5重量%の以下の3つの化合物を含む冷媒であって、各化合物が以下の相対百分率で存在する、冷媒、を含む:
約41~約43重量%のジフルオロメタン(HFC-32)、
1~4重量%のペンタフルオロエタン(HFC-125)、及び
約53~約56重量%のトリフルオロヨードメタン(CF3I)。本段落による冷媒は、本明細書において便宜上、冷媒8と呼ばれる。
【0027】
本発明は、以下の3つの化合物から本質的になる冷媒であって、各化合物が以下の相対百分率で存在する、冷媒、を含む:
約41~約43重量%のジフルオロメタン(HFC-32)、
1~4重量%のペンタフルオロエタン(HFC-125)、及び
約53~約56重量%のトリフルオロヨードメタン(CF3I)。本段落による冷媒は、本明細書において便宜上、冷媒9と呼ばれる。
【0028】
本発明は、以下の3つの化合物からなる冷媒であって、各化合物が以下の相対百分率で存在する、冷媒、を含む:
約41~約43重量%のジフルオロメタン(HFC-32)、
1~4重量%のペンタフルオロエタン(HFC-125)、及び
約53~約56%重量のトリフルオロヨードメタン(CF3I)。冷媒は、以下に定義される不燃性試験に従って不燃性である。本段落による冷媒は、本明細書において便宜上、冷媒10と呼ばれる。
【0029】
本発明は、少なくとも約97重量%の以下の3つの化合物を含む冷媒であって、各化合物が以下の相対百分率で存在する、冷媒、を含む:
41重量%±1重量%のジフルオロメタン(HFC-32)、
3.5重量%±0.5重量%のペンタフルオロエタン(HFC-125)、及び
55.5重量%±0.5重量%のトリフルオロヨードメタン(CF3I)。本段落による冷媒は、本明細書において便宜上、冷媒11と呼ばれる。
【0030】
本発明は、少なくとも約98.5重量%の以下の3つの化合物を含む冷媒であって、各化合物が以下の相対百分率で存在する、冷媒、を含む:
41重量%±1重量%のジフルオロメタン(HFC-32)、
3.5重量%±0.5重量%のペンタフルオロエタン(HFC-125)、及び
55.5重量%±0.5重量%のトリフルオロヨードメタン(CF3I)。本段落による冷媒は、本明細書において便宜上、冷媒12と呼ばれる。
【0031】
本発明は、少なくとも約99.5重量%の以下の3つの化合物を含む冷媒であって、各化合物が以下の相対百分率で存在する、冷媒、を含む:
41重量%±1重量%のジフルオロメタン(HFC-32)、
3.5重量%±0.5重量%のペンタフルオロエタン(HFC-125)、及び
55.5重量%±0.5重量%のトリフルオロヨードメタン(CF3I)。本段落による冷媒は、本明細書において便宜上、冷媒13と呼ばれる。
【0032】
本発明は、以下の3つの化合物から本質的になる冷媒であって、各化合物が以下の相対百分率で存在する、冷媒、を含む:
41重量%±1重量%のジフルオロメタン(HFC-32)、
3.5重量%±0.5重量%のペンタフルオロエタン(HFC-125)、及び
55.5重量%±0.5重量%のトリフルオロヨードメタン(CF3I)。本段落による冷媒は、本明細書において便宜上、冷媒14と呼ばれる。
【0033】
本発明は、以下の3つの化合物からなる冷媒であって、各化合物が以下の相対百分率で存在する、冷媒、を含む:
41重量%±1重量%のジフルオロメタン(HFC-32)、
3.5重量%±0.5重量%のペンタフルオロエタン(HFC-125)、及び
55.5重量%±0.5重量%のトリフルオロヨードメタン(CF3I)。冷媒は、不燃性試験に従って不燃性である。本段落による冷媒は、本明細書において便宜上、冷媒15と呼ばれる。
【0034】
以下の表に示されるおよその最小重量パーセントの3つの化合物を含む冷媒。各化合物は、冷媒16~18のうちのいずれか1つにおいて以下の相対百分率で存在する。
【0035】
【0036】
本発明は、以下の3つの化合物から本質的になる冷媒であって、各化合物が以下の相対百分率で存在する、冷媒、を含む:
41重量%±0.3重量%のジフルオロメタン(HFC-32)、
3.5重量%±0.3重量%のペンタフルオロエタン(HFC-125)、及び
55.5重量%±0.3重量%のトリフルオロヨードメタン(CF3I)。本段落による冷媒は、本明細書において便宜上、冷媒19と呼ばれる。
【0037】
本発明は、以下の3つの化合物からなる冷媒であって、各化合物が以下の相対百分率で存在する、冷媒、を含む:
41重量%±0.3重量%のジフルオロメタン(HFC-32)、
3.5重量%±0.3重量%のペンタフルオロエタン(HFC-125)、及び
55.5重量%±0.3重量%のトリフルオロヨードメタン(CF3I)。冷媒は、不燃性試験に従って不燃性である。本段落による冷媒は、本明細書において便宜上、冷媒20と呼ばれる。
【0038】
以下の表に示されるおよその最小重量パーセントの3つの化合物を含む冷媒。各化合物は、冷媒21~23のうちのいずれか1つにおいて以下の相対百分率で存在する。
【0039】
【0040】
本発明は、以下の3つの化合物から本質的になる冷媒であって、各化合物が以下の相対百分率で存在する、冷媒、を含む:
41重量%のジフルオロメタン(HFC-32)、
3.5重量%のペンタフルオロエタン(HFC-125)、及び
55.5重量%のトリフルオロヨードメタン(CF3I)。本段落による冷媒は、本明細書において便宜上、冷媒24と呼ばれる。
【0041】
本発明は、以下の3つの化合物からなる冷媒であって、各化合物が以下の相対百分率で存在する、冷媒、を含む:
41重量%のジフルオロメタン(HFC-32)、
3.5重量%のペンタフルオロエタン(HFC-125)、及び
55.5%重量トリフルオロヨードメタン(CF3I)。冷媒は、不燃性試験に従って不燃性である。本段落による冷媒は、本明細書において便宜上、冷媒25と呼ばれる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【
図1】本発明の冷媒のうちの1つ及び特定の既知の冷媒のLCCPを示す。
【発明を実施するための形態】
【0043】
出願人らは、本明細書に記載のような冷媒1~25を含む本発明の冷媒が、特にR-410Aの代替品として本発明の冷媒1~25のうちのいずれか1つを使用することにより、非常に有利な特性、特に不燃性を提供し得ることを見出した。
【0044】
好ましい組成物中の本発明の冷媒1~25の特定の利点は、以下に定義されるように、不燃性であることである。したがって、優れた熱伝達特性、(特に低いGWP及びほぼゼロのODPを含む)低い環境影響、化学安定性、低毒性若しくは無毒性、及び/又は潤滑剤適合性を有し、かつ使用中に不燃性を維持する、R-410Aの代替品として使用され得る冷媒組成物を提供することが、当該技術分野において望まれている。この望ましい利点は、本発明の冷媒1~25によって達成され得る。
【0045】
本発明は、特に、冷媒1~25のうちのいずれかを含む本発明の冷媒を含む熱伝達組成物を含み、好ましくは、本発明の熱伝達組成物は、熱伝達組成物の40重量%超、又は熱伝達組成物の約50重量%超、又は熱伝達組成物の70重量%超、又は熱伝達組成物の
80重量%超、又は熱伝達組成物の90重量%超の量で本発明の冷媒を含む。熱伝達組成物は、冷媒1~25のうちのいずれかを含む、本発明による冷媒から本質的になるか、又は本発明による冷媒からなり得る。
【0046】
本発明の熱伝達組成物は、ある特定の機能性を増強させるか、又はそれを組成物に提供する目的で他の成分を含んでもよい。かかる他の成分又は添加剤は、安定化剤、潤滑剤、染料、可溶化剤、相溶化剤、抗酸化剤、腐食抑制剤、極圧添加剤、及び耐摩耗剤のうちの1つ以上を含んでもよい。
【0047】
定義:
本発明の目的では、摂氏度(℃)の温度に関する「約」という用語は、規定温度が+/-5℃の量で変動し得ることを意味する。好ましい実施形態では、約であると指定された温度は、好ましくは特定温度の+/-2℃、より好ましくは+/-1℃、更により好ましくは+/-0.5℃である。
【0048】
「能力」という用語は、冷凍システムにおいて冷媒によって提供される冷却の量(BTU/hr)である。これは、冷媒が蒸発器を通る際の冷媒のエンタルピー(BTU/lb)の変化を、冷媒の質量流量で乗じることによって実験的に決定される。エンタルピーは、冷媒の圧力及び温度の測定から決定することができる。冷房システムの能力は、冷却される領域を特定の温度に維持する能力に関連する。冷媒の能力は、冷媒が提供する冷却又は加熱の量を表し、冷媒の所与の体積流量に対する熱量を送出する圧縮機のある程度の性能を提供する。換言すれば、特定の圧縮機を考慮すると、より高い能力を有する冷媒は、より多くの冷却又は加熱力を供給するであろう。
【0049】
「成績係数」という語句(以下「COP」)は、冷媒の蒸発又は凝縮を伴う特定の加熱又は冷却サイクルにおいて冷媒の相対的な熱力学的効率を表すのに特に有用な、広く受け入れられている冷媒性能の尺度である。冷凍工学では、この用語は、蒸気の圧縮時に圧縮機によって印加されるエネルギーに対する有効な冷凍又は冷却能力の比率を表し、したがって冷媒などの熱伝達流体の所与の体積流量に対する熱量を送出する所与の圧縮機の能力を表す。換言すれば、特定の圧縮機を考慮すると、より高いCOPを有する冷媒は、より多くの冷却又は加熱力を供給するであろう。特定の動作条件にて冷媒のCOPを推定するための1つの方法は、標準的な冷媒サイクル分析技術を用いた冷媒の熱力学的特性に由来するものである(例えば、その全体が参照により本明細書に組み込まれている、Downing,FLUOROCARBON REFRIGERANTS HANDBOOK,Chapter 3,Prentice-Hall,1988を参照のこと)。「吐出温度」という語句は、圧縮機の出口における冷媒の温度を指す。低い吐出温度の利点は、好ましくは圧縮機部品を保護するように設計されたシステムの熱防御面を作動させることなく既存の設備の使用を可能にし、吐出温度を下げるための液体注入などの高価な制御装置の使用を回避することである。
【0050】
「地球温暖化係数」(以下「GWP」)は、様々な気体の地球温暖化への影響を比較することを可能にするために開発された。具体的には、ある気体の1トンの放出が、二酸化炭素の1トンの放出に対して相対的に、所与の期間にわたってどのくらいのエネルギーを吸収するかの尺度である。GWPが大きいほど、所与の気体は、CO2と比較して、その期間にわたって地球をより一層温めることになる。GWPに使用される所与の期間は、100年である。GWPは、アナリストが異なる気体の放出推定値を合計することを可能にする、一般的な尺度を提供する。www.epa.govを参照されたい。本明細書で使用されるようなGWPは、100年の所与の期間を含む。
【0051】
語句「製品寿命気候負荷」(以下、「LCCP」)は、空調システム及び冷凍システ
ムが、製品寿命の過程にわたる地球温暖化への影響について評価され得る方法である。LCCPは、冷媒排出の直接的な影響と、システムを動作させるために使用されるエネルギー消費、システムを製造するためのエネルギー、並びにシステムの輸送及び安全な処分の間接的な影響と、を含む。冷媒排出の直接的な影響は、冷媒のGWP値から得られる。間接排出量に関して、測定された冷媒特性を使用して、システム性能及びエネルギー消費が得られる。LCCPは、以下のような式1及び式2を使用して決定される。式1は、直接排出量=冷媒充填量(kg)×(年間漏洩率×製品寿命+製品寿命の終了による喪失)×GWPである。式2は、間接排出量=年間電力消費量×製品寿命×電力生産のkW-hr当たりのCO2量である。式1によって求められるような直接排出量と、式2によって求められるような間接排出量とが共に加算されて、LCCPがもたらされる。National Renewable Laboratoryによって生成され、BinMaker(登録商標)Proバージョン4ソフトウェアで入手可能なTMY2及びTMY3データを分析に使用する。気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の評価報告書4(AR4)(2007年)において報告されたGWP値が算出に使用される。LCCPは、空調システム又は冷凍システムの製品寿命にわたる二酸化炭素の質量(kg-CO2eq)として表される。
【0052】
「質量流量」という用語は、単位時間当たりの導管を通過する冷媒の質量である。
【0053】
「不燃性」という用語は、ASHRAE規格34-2016 Designation and Safety Classification of Refrigerantsに記載され、参照によりその全体が本明細書に組み込まれているASHRAE Standard 34-2016のAppendix B1に記載されている条件(「不燃性試験」)において、ASTM規格のE-681-2009 Standard Test Method for Concentration Limits of Flammability of Chemicals(Vapors and Gases)に従って判定される際、不燃性であると判定されている化合物又は組成物を意味する。燃焼性は、発火及び/又は炎を広げる組成物の能力として定義される。この試験下で、火炎角を測定することによって可燃性を判定する。
【0054】
「職業暴露限界(OEL)」という用語は、ASHRAE Standard 34-2016 Designation and Safety Classification of Refrigerantsに従って決定される。
【0055】
本明細書で使用するとき、特定の先行冷媒「に対する代替品」として、本発明の特定の熱伝達組成物又は冷媒に関する「~に対する代替品」という用語は、これまでその先行冷媒と共に一般的に使用されていた熱伝達システムでの本発明の指定された組成物の使用を意味する。例として、住宅用空調及び商用空調(ルーフトップシステム、可変冷媒流(VRF)システム及び冷却器システムを含む)などの、これまでR410A用に設計されてきた及び/又はR410Aと共に一般的に使用されてきた熱伝達システムにおいて、本発明の冷媒又は熱伝達組成物を使用するとき、本発明の冷媒は、そのようなシステムにおいてR410Aの代替品になる。
【0056】
「熱力学的グライド」という語句は、一定圧力での蒸発器又は凝縮器における相変化プロセス中に様々な温度を有する非共沸冷媒混合物に適用される。
【0057】
冷媒及び熱伝達組成物
出願人らは、本明細書に記載される冷媒1~25の各々を含む本発明の冷媒が、特に本発明の冷媒をR-410Aの代替品として、特に従来のR-410A住宅用空調システム及び従来のR-410A商用空調システム(従来のR-410Aルーフトップシステム
、従来のR-410A可変冷媒流(VRF)システム及び従来のR-410A冷却器システムを含む)で使用する場合、非常に有利な特性、特に不燃性を提供できることを見出した。
【0058】
本発明の冷媒の特有の利点は、不燃性試験に従って試験したときに不燃性であることであり、上述したように、R-410Aの代替品として様々なシステムで使用でき、優れた熱伝達特性、低い環境影響(特に低いGWP及びほぼゼロのODPを含む)、化学安定性、低毒性若しくは無毒性、及び/又は潤滑剤適合性を有し、使用時に不燃性を維持する、冷媒及び熱伝達組成物を提供することが当該技術分野において望まれている。この望ましい利点は、本発明の冷媒及び熱伝達組成物によって達成され得る。
【0059】
好ましくは、熱伝達組成物は、冷媒1~25の各々を含む本発明の任意の冷媒を含み、熱伝達組成物の40重量%を超える量で冷媒を含む。
【0060】
好ましくは、熱伝達組成物は、冷媒1~25の各々を含む本発明の任意の冷媒を含み、熱伝達組成物の50重量%を超える量で冷媒を含む。
【0061】
好ましくは、熱伝達組成物は、冷媒1~25の各々を含む本発明の任意の冷媒を含み、熱伝達組成物の70重量%を超える量で冷媒を含む。
【0062】
好ましくは、熱伝達組成物は、冷媒1~25の各々を含む本発明の任意の冷媒を含み、熱伝達組成物の80重量%を超える量で冷媒を含む。
【0063】
好ましくは、熱伝達組成物は、冷媒1~25の各々を含む本発明の任意の冷媒を含み、熱伝達組成物の90重量%を超える量で冷媒を含む。
【0064】
本出願人らは、冷媒1~25の各々を含む本発明による冷媒及び本発明のかかる冷媒のうちのいずれかを含有する熱伝達組成物が、特に低いGWPを含む特性の組み合わせを実現するための困難を克服することができることを見出した。したがって、本発明による冷媒及び本発明の熱伝達組成物のGWPは、約427以下であり、好ましくは、GWPは、約250~427未満である。
【0065】
更に、冷媒1~25の各々を含む本発明による冷媒及び本発明のかかる冷媒のうちのいずれかを含有する熱伝達組成物のオゾン層破壊係数(ODP)は小さい。したがって、本発明による冷媒及び本発明の熱伝達組成物は、0.05以下、好ましくは0.02以下、より好ましくは約ゼロのオゾン破壊係数(ODP)を有する。
【0066】
更に、冷媒1~25の各々を含む本発明による冷媒及び本発明のかかる冷媒のうちのいずれかを含有する熱伝達組成物は、許容可能な毒性を示し、好ましくは、約400超の職業曝露限界(OEL)を有する。
【0067】
本発明の熱伝達組成物は、好ましくは本発明に従って提供される増強された特性を損なうことなく、組成物に対して特定の機能性を増強させるか、又は特定の機能性を提供する目的で他の成分を含んでもよい。このような他の成分又は添加物としては、安定化剤、潤滑剤が挙げられ得る。
【0068】
安定化剤:
本発明の熱伝達組成物は、特に、冷媒1~25の各々を含む本明細書に記載のような冷媒冷媒と、安定化剤と、を含む。
【0069】
安定化剤成分は、好ましくは、熱伝達組成物の0重量%超~約15重量%、又は約0.5~約10重量%の量で熱伝達組成物中に提供され、これらの百分率は、熱伝達組成物中の全成分の合計で除した熱伝達組成物中の全安定化剤の総重量に基づく。
【0070】
本発明の熱伝達組成物に使用するための安定化剤は、(i)少なくとも1つのアルキル化ナフタレン化合物と、(ii)少なくとも1つのフェノール系化合物との組み合わせを含む。本段落による安定化剤は、本明細書において便宜上、安定化剤1と呼ばれることがある。
【0071】
本発明の熱伝達組成物に使用するための安定化剤は、(i)アルキル化ナフタレン化合物(複数可)、(ii)フェノール系化合物(複数可)、及び(iii)ジエン系化合物(複数可)のうちの少なくとも1つを含む。本段落による安定化剤は、本明細書において便宜上、安定化剤2と呼ばれることがある。
【0072】
本発明の熱伝達組成物に使用するための安定化剤は、(i)少なくとも1つのアルキル化ナフタレン化合物と、(ii)少なくともジエン系化合物との組み合わせを含む。本段落による安定化剤は、本明細書において便宜上、安定化剤3と呼ばれることがある。
【0073】
本発明の熱伝達組成物に使用するための安定化剤は、(i)少なくとも1つのアルキル化ナフタレン化合物と、(ii)イソブチレン化合物との組み合わせを含む。本段落による安定化剤は、本明細書において便宜上、安定化剤4と呼ばれることがある。
【0074】
本発明の熱伝達組成物に使用するための安定化剤は、(i)少なくとも1つのアルキル化ナフタレン化合物と、(ii)少なくとも1つのフェノール系化合物と、(iii)少なくとも1つのジエン系化合物との組み合わせを含む。本段落による安定化剤は、本明細書において便宜上、安定化剤5と呼ばれることがある。
【0075】
安定化剤はまた、リン化合物(複数可)及び/又は窒素化合物(複数可)及び/又はエポキシド(複数可)を含んでもよく、存在する場合、エポキシドは、好ましくは、芳香族エポキシド、アルキルエポキシド、アルケニル(alkyenyl)エポキシドからなる群から選択される。
【0076】
本発明の熱伝達組成物に使用するための安定化剤は、(i)少なくとも1つのアルキル化ナフタレン化合物と、(ii)少なくとも1つのフェノール系化合物と、(iii)少なくとも1つのエポキシドとの組み合わせを含む。本段落による安定化剤は、本明細書において便宜上、安定化剤6と呼ばれることがある。
【0077】
本発明の熱伝達組成物に使用するための安定化剤は、(i)少なくとも1つのアルキル化ナフタレン化合物と、(ii)少なくとも1つのフェノール系化合物と、(iii)芳香族エポキシド、アルキルエポキシド、アルケニル(alkyenyl)エポキシドからなる群から選択される少なくとも1つのエポキシドとの組み合わせを含む。本段落による安定化剤は、本明細書において便宜上、安定化剤7と呼ばれることがある。
【0078】
安定化剤は、1つ以上のアルキル化ナフタレン、1つ以上のエポキシド、及び1つ以上のフェノール系化合物から本質的になってもよい。本段落による安定化剤は、本明細書において便宜上、安定化剤8と呼ばれることがある。
【0079】
アルキル化ナフタレン
本出願人らは、驚くべきことに、かつ予想外に、アルキル化ナフタレンが、本発明の熱伝達組成物の安定化剤として非常に有効であることを見出した。本明細書で使用すると
き、用語「アルキル化ナフタレン」は、以下の構造を有する化合物を指す:
【0080】
【化1】
式中、各R
1~R
8は、直鎖アルキル基、分岐アルキル基、及び水素から独立して選択される。アルキル鎖の特定の長さ、並びに混合物又は分岐鎖及び直鎖及び水素は、本発明の範囲内で変化することができ、このような変化は、アルキル化ナフタレンの物理的特性、特にアルキル化化合物の粘度などに反映されることが当業者には認識及び理解されようし、このような物質の製造業者は、特定のR基の明記に代えてこのような特性のうちの1つ以上に言及することで物質を定義することが多い。
【0081】
本出願人らは、予想外の、驚くべき、かつ有利な結果が、以下の特性を有する本発明による安定化剤としてのアルキル化ナフタレンの使用に結びつくことを見出しており、示された特性を有するアルキル化ナフタレン化合物は、以下の表AN1の列1~5にそれぞれ示すように、本明細書において便宜上、アルキル化ナフタレン1~アルキル化ナフタレン4(AN1~AN4)と呼ばれる。
【0082】
【0083】
ASTM D445に従って測定された40℃での粘度に関連して本明細書で使用するとき、用語「約」は、+/-4cStを意味する。
【0084】
ASTM D445に従って測定された100℃での粘度に関連して本明細書で使用するとき、用語「約」は、+/-0.4cStを意味する。
【0085】
ASTM D97に従って測定された流動点に関連して本明細書で使用するとき、用語「約」は、+/-5℃を意味する。
【0086】
本出願人らはまた、予想外の、驚くべき、かつ有利な結果が、以下の特性を有する本発明による安定化剤としてのアルキル化ナフタレンの使用に結びつくことを見出しており、示された特性を有するアルキル化ナフタレン化合物は、以下の表AN2の列6~10にそれぞれ示すように、本明細書において便宜上、アルキル化ナフタレン6~アルキル化ナ
フタレン10(AN6~AN10)と呼ばれる。
【0087】
【0088】
アルキル化ナフタレン1及びアルキル化ナフタレン6の意味の範囲内における、アルキル化ナフタレンの例としては、NA-LUBE KR-007A、KR-008、KR-009、KR-015、KR-019、KR-005FG、KR-015FG、及びKR-029FGの商標名にてKing Industriesにより販売されているものが挙げられる。
【0089】
アルキル化ナフタレン2及びアルキル化ナフタレン7の意味の範囲内における、アルキル化ナフタレンの例としては、NA-LUBE KR-007A、KR-008、及びKR-009、及びKR-005FGの商標名にてKing Industriesにより販売されているものが挙げられる。
【0090】
アルキル化ナフタレン5及びアルキル化ナフタレン10の意義の範囲内のアルキル化ナフタレンの例としては、King Industriesによって商品名NA-LUBE KR-008として販売されている製品が挙げられる。
【0091】
アルキル化ナフタレンは、好ましくは、冷媒1~25の各々を含む本発明の冷媒を含む本発明の熱伝達組成物中に存在し、アルキル化ナフタレンは、0.01%~約10%、又は約1.5%~約4.5%、又は約2.5%~約3.5%の量で存在し、これらの量は、システム内のアルキル化ナフタレン及び冷媒の量に基づく重量パーセントである。
【0092】
アルキル化ナフタレンは、好ましくは、潤滑剤と、冷媒1~25の各々を含む本発明の冷媒とを含む、本発明の熱伝達組成物中に存在し、アルキル化ナフタレンは、0.1%~約20%、又は約5%~約15%、又は約8%~約12%の量で存在し、これらの量は、システム内のアルキル化ナフタレン及び潤滑剤の量に基づく重量パーセントである。
【0093】
アルキル化ナフタレンは、好ましくは、POE潤滑剤と、冷媒1~25の各々を含む本発明の冷媒とを含む、本発明の熱伝達組成物中に存在し、アルキル化ナフタレンは、0.1%~約20%、又は約5%~約15%、又は約8%~約12%の量で存在し、これらの量はシステム内のアルキル化ナフタレン及び潤滑剤の量に基づく重量パーセントである。
【0094】
アルキル化ナフタレンは、好ましくは、ASTM D445Cに従って測定された40℃での粘度が約30cSt~約70cStのPOE潤滑剤と、冷媒1~25の各々を含む本発明の冷媒とを含む、本発明の熱伝達組成物中に存在し、アルキル化ナフタレンは、0.1%~約20%、又は約5%~約15%、又は約8%~約12%の量で存在し、これらの量はシステム内のアルキル化ナフタレン及び潤滑剤の量に基づく重量パーセントである。
【0095】
ジエン系化合物
ジエン系化合物は、C3~C15ジエン、及び任意の2種以上のC3~C4ジエンの反応によって形成された化合物を含む。好ましくは、ジエン系化合物は、アリルエーテル、プロパジエン、ブタジエン、イソプレン、及びテルペンからなる群から選択される。ジエン系化合物は、好ましくはテルペンであり、これにはテレベン、レチナール、ゲラニオール、テルピネン、デルタ-3カレン、テルピノレン、フェランドレン、フェンケン、ミルセン、ファルネセン、ピネン、ネロール、シトラル、カンフル、メントール、リモネン、ネロリドール、フィトール、カルノシン酸、及びビタミンA1が含まれるがこれらに限定されない。好ましくは、安定化剤は、ファルネセンである。好ましいテルペン安定化剤は、参照により本明細書に組み込まれる、2004年12月12日に出願され、米国特許出願公開第2006/0167044(A1)号として公開された、米国特許仮出願第60/638,003号に開示されている。
【0096】
更に、ジエン系化合物は、0を超える量で、好ましくは0.0001重量%~約5重量%、好ましくは0.001重量%~約2.5重量%、より好ましくは0.01重量%~約1重量%の量で熱伝達組成物中に提供され得る。各々の場合において、重量百分率は、熱伝達組成物の重量を指す。
【0097】
フェノール系化合物
フェノール系化合物は、4,4’-メチレンビス(2,6-ジ-tert-ブチルフェノール);4,4’-ビス(2,6-ジ-tert-ブチルフェノール);4,4’-ビス(2-メチル-6-tert-ブチルフェノール)を含む2,2-又は4,4-ビフェニルジオール;2,2-又は4,4-ビフェニルジオールの誘導体;2,2’-メチレンビス(4-エチル-6-tertブチルフェノール);2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-tert-ブチルフェノール);4,4-ブチリデンビス(3-メチル-6-tert-ブチルフェノール);4,4-イソプロピリデンビス(2,6-ジ-tert-ブチルフェノール);2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-ノニルフェノール);2,2’-イソブチリデンビス(4,6-ジメチルフェノール);2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-シクロヘキシルフェノール);2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール(BHT);2,6-ジ-tert-ブチル-4-エチルフェノール:2,4-ジメチル-6-tert-ブチルフェノール;2,6-ジ-tert-アルファ-ジメチルアミノ-p-クレゾール;2,6-ジ-tert-ブチル-4(N,N’-ジメチルアミノメチルフェノール);4,4’-チオビス(2-メチル-6-tert-ブチルフェノール);4,4’-チオビス(3-メチル-6-tert-ブチルフェノール);2,2’-チオビス(4-メチル-6-tert-ブチルフェノール);ビス(3-メチル-4-ヒドロキシ-5-tert-ブチルベンジル)スルフィド;ビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)スルフィド、トコフェロール、ヒドロキノン、2,2’6,6’-テトラ-tert-ブチル-4,4’-メチレンジフェノール、及びt-ブチルヒドロキノンから選択されるフェノール系化合物、好ましくはBHTのうちの1つ以上の化合物から選択される。フェノール化合物は、0を超える量で、好ましくは0.0001重量%~約5重量%、好ましくは0.001重量%~約2.5重量%、より好ましくは0.01重量%~約1重量%の量で熱伝達組成物中に提供され得
る。各々の場合において、重量百分率は、熱伝達組成物の重量を指す。
【0098】
リン系化合物
リン化合物は、亜リン酸化合物又はリン酸化合物であり得る。本発明の目的では、亜リン酸化合物は、ジアリール、ジアルキル、トリアリール、及び/若しくはトリアルキルホスファイト、並びに/又は混合されたアリール/アルキル二若しくは三置換ホスファイト、特にヒンダードホスファイト、トリス-(ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト、ジ-n-オクチルホスファイト、イソ-オクチルジフェニルホスファイト、イソーデシルジフェニルホスファイト、トリ-イソ-デシルホスフェート、トリフェニルホスファイト、及びジフェニルホスファイトから選択される1種以上の化合物、特にジフェニルホスファイトであり得る。リン酸化合物は、トリアリールホスフェート、トリアルキルホスフェート、アルキルモノ酸ホスフェート、アリール二酸ホスフェート、アミンホスフェート、好ましくはトリアリールホスフェート及び/又はトリアルキルホスフェート、特にトリ-n-ブチルホスフェートであり得る。
【0099】
リン化合物は、0を超える量で、好ましくは0.0001重量%~約5重量%、好ましくは0.001重量%~約2.5重量%、より好ましくは0.01重量%~約1重量%の量で熱伝達組成物中に提供され得る。各々の場合において、重量によるは、熱伝達組成物の重量を指す。
【0100】
窒素化合物
安定化剤が窒素化合物であるとき、安定化剤は、ジフェニルアミン、p-フェニレンジアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ジイソプロピルアミン、トリイソプロピルアミン、及びトリイソブチルアミンから選択される1種以上の第二級又は第三級アミンなどのアミン系化合物を含み得る。アミン系化合物は、アミン抗酸化剤、例えば、置換ピペリジン化合物、すなわち、アルキル置換ピペリジル、ピペリジニル、ピペラジノン、又はアルキオキシピペリジニルの誘導体、特に、2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリドン、2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジノール;ビス-(1,2,2,6,6-ペンタメチルピペリジル)セバケート;ジ(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート、ポリ(N-ヒドロキシエチル-2,2,6,6-テトラメチル-4-ヒドロキシ-ピペリジルスクシネート;アルキル化パラフェニレンジアミン、例えば、N-フェニル-N’-(1,3-ジメチル-ブチル)-p-フェニレンジアミン又はN,N’-ジ-sec-ブチル-p-フェニレンジアミン、並びにヒドロキシルアミン、例えば、獣脂アミン、メチルビス獣脂アミン、及びビス獣脂アミン、又はフェノール-アルファ-ナフチルアミン、若しくはTinuvin(登録商標)765(Ciba)、BLS(登録商標)1944(Mayzo Inc)、及びBLS(登録商標)1770(Mayzo Inc)から選択される1種以上のアミン抗酸化剤であり得る。本発明の目的では、アミン系化合物はまた、ビス(ノニルフェニルアミン)などのアルキルジフェニルアミン、(N-(1-メチルエチル)-2-プロピルアミンなどのジアルキルアミン、又はフェニル-アルファ-ナフチルアミン(PANA)、アルキル-フェニル-アルファ-ナフチル-アミン(APANA)、及びビス(ノニルフェニル)アミンのうちの1つ以上であってもよい。好ましくは、アミン系化合物は、フェニル-アルファ-ナフチルアミン(PANA)、アルキル-フェニル-アルファ-ナフチル-アミン(APANA)、及びビス(ノニルフェニル)アミンのうちの1種以上、より好ましくはフェニル-アルファ-ナフチルアミン(PANA)である。
【0101】
代替的に、又は上記で識別した窒素化合物に加えて、ジニトロベンゼン、ニトロベンゼン、ニトロメタン、ニトロソベンゼン、及びTEMPO[(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-イル)オキシル]から選択される1種以上の化合物を安定化剤として使用してもよい。
【0102】
窒素化合物は、0を超えかつ0.0001重量%~約5重量%、好ましくは0.001重量%~約2.5重量%、より好ましくは0.01重量%~約1重量%の量で熱伝達組成物中に提供され得る。各々の場合において、重量百分率は、熱伝達組成物の重量を指す。
【0103】
エポキシド及びその他
有用なエポキシドとしては、芳香族エポキシド、アルキルエポキシド、及びアルケニルエポキシドが挙げられる。
【0104】
本発明による安定化剤として、イソブチレンを使用することもできる。
【0105】
好ましくは、熱伝達組成物は、冷媒1~25の各々を含む本発明の冷媒と、アルキル化ナフタレン1~5から選択されるアルキル化ナフタレンを含む安定化剤組成物と、を含む。本明細書に記載の使用、方法、及びシステムの目的では、安定化剤組成物は、アルキル化ナフタレン5及びBHTを含み得る。好ましくは、安定化剤組成物は、アルキル化ナフタレン5及びBHTから本質的になる。好ましくは、安定化剤組成物は、アルキル化ナフタレン5及びBHTからなる。
【0106】
好ましくは、熱伝達組成物は、冷媒1~25の各々を含む本発明の冷媒と、アルキル化ナフタレン1~5から選択されるアルキル化ナフタレンを含む安定化剤組成物と、を含む。本明細書に記載の使用、方法、及びシステムの目的では、安定化剤組成物は、アルキル化ナフタレン5、BHT、及びエポキシドを含み得る。好ましくは、安定化剤組成物は、アルキル化ナフタレン5、BHT、及びエポキシドから本質的になる。好ましくは、安定化剤組成物は、アルキル化ナフタレン5、BHT、及びエポキシドからなる。
【0107】
好ましくは、熱伝達組成物は、冷媒1~25の各々を含む本発明の冷媒と、イソブチレン及びアルキル化ナフタレン1~5から選択されるアルキル化ナフタレンを含む安定化剤組成物と、を含む。本明細書に記載の使用、方法、及びシステムの目的では、安定化剤組成物は、イソブチレン、アルキル化ナフタレン5、及びBHTを含み得る。好ましくは、安定化剤組成物は、イソブチレン、アルキル化ナフタレン5、及びBHTから本質的になる。好ましくは、安定化剤組成物は、イソブチレン、アルキル化ナフタレン5、及びBHTからなる。
【0108】
熱伝達組成物は、冷媒1~25の各々を含む本発明の冷媒と、アルキル化ナフタレン4を含む安定化剤組成物と、を含む。
【0109】
熱伝達組成物は、冷媒1~25の各々を含む本発明の冷媒と、アルキル化ナフタレン5を含む安定化剤組成物と、を含む。
【0110】
安定化剤は、ファルネセン及びアルキル化ナフタレン5を含むか、これらから本質的になるか、又はこれからなることができる。
【0111】
安定化剤は、イソブチレン及びアルキル化ナフタレン5を含むか、これらから本質的になるか、又はこれからなることができる。
【0112】
本発明の熱伝達組成物は、好ましくは、冷媒1~25のうちのいずれか1つ及び冷媒1~25の各々、並びに安定化剤1~安定化剤8のうちのいずれか1つ及び安定化剤1~安定化剤8の各々を含むことができる。
【0113】
熱伝達組成物は、冷媒1~25のうちのいずれか1つと、安定化剤1との以下の組み合わせを含むことができ、示された熱伝達組成物として本明細書において便宜的に特定される。
【0114】
【0115】
熱伝達組成物は、冷媒1~25のうちのいずれか1つと、安定化剤6との以下の組み合わせを含むことができ、示された熱伝達組成物として本明細書において便宜的に特定される。
【0116】
【0117】
潤滑剤:
冷媒1~25の各々を含む熱伝達組成物及び熱伝達組成物1~50の各々を含む本明細書に記載のような本発明の熱伝達組成物の各々は、潤滑剤を更に含んでもよい。一般に、熱伝達組成物は、熱伝達組成物の約5~60重量%、好ましくは熱伝達組成物の約10~約60重量%、好ましくは熱伝達組成物の約20~約50重量%、代替的には熱伝達組成物の約20~約40重量%、代替的には熱伝達組成物の約20~約30重量%、代替的には熱伝達組成物の約30~約50重量%、代替的には熱伝達組成物の約30~約40重量%の量の潤滑剤を含む。熱伝達組成物は、熱伝達組成物の約5~約10重量%、好ましくは熱伝達組成物の約8重量%程の量の潤滑剤を含み得る。
【0118】
例えば、冷凍機械に使用されている、ポリオールエステル(POE)、ポリアルキレングリコール(PAG)、シリコーン油、鉱油、アルキルベンゼン(AB)、ポリビニルエーテル(PVE)、及びポリ(α-オレフィン)(PAO)などの一般的に使用される冷媒潤滑剤が、本発明の冷媒組成物と共に使用され得る。
【0119】
好ましくは、潤滑剤は、ポリオールエステル(POE)、ポリアルキレングリコール(PAG)、鉱油、アルキルベンゼン(AB)、及びポリビニルエーテル(PVE)から、より好ましくはポリオールエステル(POE)、鉱油、アルキルベンゼン(AB)、及びポリビニルエーテル(PVE)から、特にポリオールエステル(POE)、鉱油、及びアルキルベンゼン(AB)から、最も好ましくはポリオールエステル(POE)から選択される。
【0120】
熱伝達組成物1~50の各々を含む本発明の熱伝達組成物は、好ましくは、POE潤滑剤及び/又はPVE潤滑剤を含み、潤滑剤は、熱伝達組成物の重量に基づいて、好ましくは、約0.1重量%~約5%、又は0.1重量%~約1重量%、又は0.1重量%~約0.5重量%の量で存在する。
【0121】
概して、熱伝達組成物1~50の各々を含む本発明の熱伝達組成物は、好ましくは、AB潤滑剤及び/又は鉱油潤滑剤を含み、潤滑剤は、熱伝達組成物の重量に基づいて、好ましくは、約0.1重量%~約5%、又は0.1重量%~約1重量%、又は0.1重量%~約0.5重量%の量で存在する。
【0122】
熱伝達組成物は、好ましくは、冷媒1~25のうちのいずれか1つ及びポリオールエステル(POE)潤滑剤を含む。
【0123】
熱伝達組成物の各々を含む本発明の熱伝達組成物熱伝達組成物は、好ましくは、冷媒1~25のうちのいずれか1つ及びポリオールエステル(POE)潤滑剤を含む。
【0124】
熱伝達組成物の各々を含む本発明の熱伝達組成物熱伝達組成物は、好ましくは、冷媒1~25のうちのいずれか1つ及びPVE潤滑剤を含む。
【0125】
熱伝達組成物1~50の各々を含む本発明の熱伝達組成物は、好ましくは、POE潤滑剤を含む。
【0126】
熱伝達組成物1~50の各々を含む本発明の熱伝達組成物は、好ましくは、PVE潤滑剤を含む。
【0127】
市販の鉱油には、WitcoのWitco LP 250(登録商標)、WitcoのSuniso 3GS、及びCalumetのCalumet R015が含まれる。市販のアルキルベンゼン潤滑剤には、Shrieve ChemicalのZerol 150(登録商標)及びZerol 300(登録商標)が含まれる。市販のエステルには、Emery 2917(登録商標)及びHatcol 2370(登録商標)として入手可能なジペラルゴン酸ネオペンチルグリコールが含まれる。他の有用なエステルには、リン酸エステル、二塩基酸エステル、及びフルオロエステルが含まれる。
【0128】
熱伝達組成物1~50の各々を含む本発明の熱伝達組成物は、本発明の冷媒及び本明細書に記載される潤滑剤から本質的になってもよい。
【0129】
本発明の組成物は、本明細書に記載されるように、冷媒、安定化剤組成物、及び潤滑剤から本質的になるか、又はこれらからなり得る。
【0130】
熱伝達組成物の重量に対して、0.5~50重量%で存在するポリオールエステル(POE)潤滑剤は、便宜上、潤滑剤1と呼ばれる。
【0131】
熱伝達組成物の重量に対して、0.5~50重量%で存在するポリビニルエーテル(PVE)潤滑剤は、便宜上、潤滑剤2と呼ばれる。
【0132】
熱伝達組成物は、冷媒1~25のうちのいずれか1つと、潤滑剤1又は潤滑剤2との以下の組み合わせを含むことができる:
【0133】
【0134】
熱伝達組成物は、冷媒1~25のうちのいずれか1つ、安定化剤1、及び潤滑剤1又は潤滑剤2の以下の組み合わせを含み得る。
【0135】
【0136】
熱伝達組成物は、冷媒1~25のうちのいずれか1つ、安定化剤6、及び潤滑剤1又は潤滑剤2の以下の組み合わせを含み得る。
【0137】
【0138】
本発明の新規及び基本的な特徴から逸脱することなく、本明細書に含まれる教示を考慮して、本明細書において言及されていない他の添加剤もまた含まれ得る。
【0139】
また、参照によりその開示全体が組み込まれている米国特許第6,516,837号に開示されるように、油溶性を補助するために、界面活性剤及び可溶化剤の組み合わせが本発明の組成物に添加されてもよい。
【0140】
本発明の熱伝達組成物のいずれかへの任意の言及は、本明細書に記載される熱伝達組成物の各々いずれかを指す。したがって、本発明の組成物の使用又は用途の以下の考察について、熱伝達組成物は、本明細書に記載される冷媒1~25のうちのいずれかを含む、本発明の任意の冷媒を含み得るか、又はそれから本質的になり得る。
【0141】
方法、使用、及びシステム
本発明による冷媒及び本明細書に開示される熱伝達組成物は、(特に、住宅用空調を含む)空調、冷凍、ヒートポンプ、及び(可搬式水冷器及び集中型水冷器を含む)冷却器を含む熱伝達用途に使用するために提供される。
【0142】
本明細書に開示される熱伝達組成物は、空調用途を含む熱伝達用途に使用するために提供され、非常に好ましい空調用途としては、住宅用空調用途、商用空調用途(ルーフトップ用途、VRF用途、及び冷却器など)が挙げられる。
【0143】
本発明はまた、空調方法を含む熱伝達を提供する方法も含み、非常に好ましい空調方法としては、住宅用空調を提供すること、商用空調を提供すること(ルーフトップ空調を提供する方法、VRF空調を提供する方法、及び冷却器を使用する空調を提供する方法など)が挙げられる。
【0144】
本発明はまた、空調システムを含む熱伝達システムも含み、非常に好ましい空調システムとしては、住宅用空調システム、商用空調システム(ルーフトップ空調システム、VRF空調システム、及び空調冷却器システムなど)が挙げられる。
【0145】
本発明はまた、冷凍、ヒートポンプ、及び(可搬式水冷器及び集中型水冷器を含む)冷却器に関連した、熱伝達組成物の使用、熱伝達組成物を使用する方法、並びに熱伝達組成物を含むシステムも提供する。
【0146】
本発明の熱伝達組成物のいずれかへの任意の言及は、本明細書に記載される熱伝達組成物の各々いずれかを指す。したがって、本発明の組成物の使用、方法、システム、又は用途の以下の考察について、熱伝達組成物は、冷媒1~25のうちのいずれかを含む熱伝達組成物、及び熱伝達組成物1~50のうちのいずれかを含み得るか、又はそれから本質的になり得る。
【0147】
本発明の目的のために、本明細書に記載されるような熱伝達組成物の各々及び熱伝達組成物のうちのいずれかは、(特に、住宅用空調システムを含む)空調システム、冷凍システム、ヒートポンプ、及び(可搬式水冷器及び集中型水冷器を含む)冷却器システムなどの熱伝達システムにおいて使用することができる。本発明による熱伝達システムには、互いに接続した圧縮機、蒸発器、凝縮器、及び拡張デバイスが含まれ得る。
【0148】
一般的に使用される圧縮機の例としては、本発明の目的では、往復動式、回転式(ローリングピストン及び回転弁を含む)、スクロール式、ねじ式、及び遠心式圧縮機が挙げられる。したがって、本発明は、往復動式、回転式(ローリングピストン及び回転弁を含む)、スクロール式、ねじ式、又は遠心式圧縮機を含む熱伝達システムにおける使用のための、本明細書に記載されるような冷媒1~25及び/又は熱伝達組成物の各々及びいずれかを提供する。
【0149】
一般的に使用される膨張装置の例としては、本発明の目的では、キャピラリーチューブ、固定オリフィス、温度膨張弁、及び電子膨張弁が挙げられる。したがって、本発明は、キャピラリーチューブ、固定オリフィス、温度膨張弁、又は電子膨張弁を含む熱伝達システムにおける使用のための、本明細書に記載される冷媒1~25及び/又は熱伝達組成物の各々及びいずれかを提供する。
【0150】
本発明の目的では、蒸発器及び凝縮器は、好ましくはフィンチューブ型熱交換器、マイクロチャネル熱交換器、シェルアンドチューブ式、プレート式熱交換器、及びチューブインチューブ式(tube-in-tube)熱交換器から選択される熱交換器を一緒に形成する。したがって、本発明は、蒸発器及び凝縮器が、フィンチューブ型熱交換器、マイクロチャネル熱交換器、シェルアンドチューブ式、プレート式熱交換器、又はチューブインチューブ式熱交換器を一緒に形成する熱伝達システムにおける使用のための、本明細書に記載される冷媒1~25及び/又は熱伝達組成物の各々及びいずれかを提供する。
【0151】
圧縮機を含む本発明の熱伝達システム、及びシステム内の圧縮機用潤滑剤に関して、システムは、システム内の潤滑剤充填量が、約5重量%~60重量%、又は約10重量%~約60重量%、又は約20重量%~約50重量%、又は約20重量%~約40重量%、又は約20重量%~約30重量%、又は約30重量%~約50重量%、又は約30重量%
~約40重量%であるように、冷媒及び潤滑剤の充填量を含むことができる。本明細書で使用するとき、用語「潤滑剤充填量」は、システム内に含まれる潤滑剤及び冷媒の合計の割合として、システム内に含まれる潤滑剤の総重量を指す。このようなシステムはまた、熱伝達組成物の約5重量%~約10重量%、又は約8重量%の潤滑剤充填量を含み得る。
【0152】
本発明による熱伝達システムは、互いに流体連通した圧縮機、蒸発器、凝縮器、及び膨張装置と、熱伝達組成物1~50と、システム内の封鎖材料と、を含むことができ、当該封鎖材料は、好ましくは、
i.銅又は銅合金、又は
ii.活性アルミナ、又は
iii.銅、銀、鉛、若しくはこれらの組み合わせを含むゼオライトモレキュラーシーブ、又は
iv.陰イオン交換樹脂、又は
v.水分除去材料、好ましくは水分除去モレキュラーシーブ、又は
vi.上記のうちの2つ以上の組み合わせを含む。
【0153】
本発明はまた、冷媒液を蒸発させて冷媒蒸気を生成することと、冷媒蒸気の少なくとも一部分を圧縮機で圧縮することと、複数の繰り返しサイクルにおいて冷媒蒸気を凝縮することと、を含む種類の熱を伝達する方法を含み、当該方法は、
(a)熱伝達組成物1~50の各々を含む本発明による熱伝達組成物を提供することと、
(b)所望によるが、好ましくは当該圧縮機に潤滑剤を提供することと、
(b)当該冷媒の少なくとも一部分及び/又は当該潤滑剤の少なくとも一部分を封鎖材料に曝露することと、を含む。
【0154】
使用、設備、及びシステム
好ましい実施形態において、住宅用空調システム及び方法は、約0℃~約10℃の範囲内の冷媒蒸発温度を有し、凝縮温度は約40℃~約70℃の範囲内である。
【0155】
好ましい実施形態において、加熱モードで使用される住宅用空調システム及び方法は、約-20℃~約3℃の範囲内の冷媒蒸発温度を有し、凝縮温度は約35℃~約50℃の範囲内である。
【0156】
好ましい実施形態において、商用空調システム及び方法は、約0℃~約10℃の範囲内の冷媒蒸発温度を有し、凝縮温度は約40℃~約70℃の範囲内である。
【0157】
好ましい実施形態において、温水システム及び方法は、約-20℃~約3℃の範囲内の冷媒蒸発温度を有し、凝縮温度は約50℃~約90℃の範囲内である。
【0158】
好ましい実施形態において、中温システム及び方法は、約-12℃~約0℃の範囲内の冷媒蒸発温度を有し、凝縮温度は約40℃~約70℃の範囲内である。
【0159】
好ましい実施形態において、低温システム及び方法は、約-40℃~約-12℃の範囲内の冷媒蒸発温度を有し、凝縮温度は約40℃~約70℃の範囲内である。
【0160】
好ましい実施形態において、ルーフトップ空調システム及び方法は、約0℃~約10℃の範囲内の冷媒蒸発温度を有し、凝縮温度は約40℃~約70℃の範囲内である。
【0161】
好ましい実施形態において、VRFシステム及び方法は、約0℃~約10℃の範囲内の冷媒蒸発温度を有し、凝縮温度は約40℃~約70℃の範囲内である。
【0162】
本発明は、以下の表に示されるように、冷却器内又は住宅用空調内に、熱伝達組成物1~50を含む本発明の熱伝達組成物のいずれかを含む。
【0163】
【0164】
したがって、本発明のシステムは、好ましくは、本発明による冷媒の少なくとも一部分及び/又は潤滑剤の少なくとも一部分と接触する封鎖材料を含み、当該接触時の当該封鎖材料の温度及び/又は当該冷媒の温度及び/又は当該潤滑剤の温度が、好ましくは少なくとも約10℃の温度であり、封鎖材料は、好ましくは、
陰イオン交換樹脂、
活性アルミナ、
銀を含むゼオライトモレキュラーシーブ、及び
水分除去材料、好ましくは水分除去モレキュラーシーブ。
【0165】
本出願において使用されるとき、「少なくとも一部分と接触している」という用語は、その広い意味において、システム内の冷媒及び/又は潤滑剤の同じ部分又は別個の部分と接触している当該封鎖材料の各々及び封鎖材料の任意の組み合わせを含むことを意図し、また、必ずしも限定されるものではないが、各種類又は特定の封鎖材料が、(i)存在する場合に、物理的に互いに一緒に位置する種類又は特定の材料、(ii)存在する場合に、物理的に互いに別個に位置する種類又は特定の材料、及び(iii)2種以上の材料が物理的に一緒であること、及び少なくとも1種の封鎖材料が少なくとも1種の他の封鎖材料から物理的に別個であることと、の組み合わせ、である実施形態を含むことを意図する。
【0166】
本発明の熱伝達組成物は、加熱及び冷却用途に使用することができる。
【0167】
本発明の特定の特徴では、熱伝達組成物は、本発明の冷媒を凝縮することと、その後、冷却される物品又は本体の付近で冷媒を蒸発させることと、を含む冷却方法に使用することができる。
【0168】
したがって、本発明は、蒸発器と、凝縮器と、圧縮機と、を備える、熱伝達システムにおいて冷却する方法に関し、プロセスは、i)特に、冷媒1~25のうちのいずれか1つを含む、本明細書に記載されるような冷媒を凝縮することと、ii)約-40℃~約+10℃の温度で冷却される本体又は物品付近の冷媒を蒸発させることと、を含む。
【0169】
代替的には、又は更には、熱伝達組成物は、加熱される物品又は本体の付近で熱伝達組成物を凝縮することと、その後、当該組成物を蒸発させることとを含む加熱方法に使用することができる。
【0170】
したがって、本発明は、蒸発器、凝縮器、及び圧縮機を含む熱伝達システム内で加熱する方法に関し、プロセスは、i)加熱される本体又は物品付近の、特に、冷媒1~25のうちのいずれか1つを含む、本明細書に記載されるような冷媒を凝縮することと、ii)約-30℃~約5℃の温度で冷媒を蒸発させることと、を含む。
【0171】
特に、本発明の冷媒1~25のうちのいずれか含む本発明による冷媒及び熱伝達組成物は、モバイル空調用途及び定置型空調用途の両方を含む空調用途での使用のために提供される。本明細書で使用するとき、モバイル空調システムという用語は、トラック、バス、及び列車の空調システムなどの、移動式の非乗用車用空調システムを意味する。したがって、特に、本明細書に記載される冷媒1~25のうちのいずれかを含む、本発明による冷媒のいずれか及び熱伝達組成物のうちのいずれかは、
特にバス及び列車内の空調システムであるモバイル空調システムを含む空調用途、
モバイルヒートポンプ、特に電気自動車用ヒートポンプ、
冷却器、特に容積型冷却器、とりわけ空冷又は水冷直接膨張式冷却器(モジュラー式であるか又は従来法で単独包装されているかのいずれか)、
住宅用空調システム、特にダクトスプリット型又はダクトレススプリット型空調システム、
住宅用ヒートポンプ、
住宅用空気-水ヒートポンプ/温水システム、
産業用空調システム、
パッケージ式ルーフトップユニット又は可変冷媒流(VRF)システムである商用空調システム、
商用の空気熱源、水熱源、又は土壌熱源ヒートポンプシステム、のうちのいずれか1つにおいて使用され得る。
【0172】
特に、本発明の冷媒1~25のうちのいずれかを含む本発明による冷媒及び本発明の熱伝達組成物は、冷凍システムで使用するために提供される。「冷凍システム」という用語は、冷却を提供するために冷媒を用いる任意のシステム若しくは装置、又はかかるシステム若しくは装置の任意の部品若しくは部分を指す。したがって、特に、本明細書に記載される冷媒1~25のうちのいずれかを含む、本発明による任意の冷媒及び本明細書に記載される熱伝達組成物のいずれかを、以下の冷凍システムのうちのいずれか1つにおいて使用することができる。
低温冷凍システム、
中温冷凍システム、
商用冷蔵庫、
商用冷凍庫、
製氷機、
自販機、
輸送冷凍システム、
家庭用冷凍庫、
家庭用冷蔵庫、
産業用冷凍庫、
産業用冷蔵庫、及び
冷却器。
【0173】
冷媒1~25のいずれか1つを含む熱伝達組成物を含む、本明細書に記載される熱伝達組成物の各々は、住宅用空調システム(冷却のために約0~約10℃の範囲、特に約7℃、及び/又は加熱のために約-20~約3℃の範囲、特に約0.5℃の蒸発器温度を有する)における使用のために特に提供される。代替的には、又は更には、冷媒1~25うちのいずれか1つを含む各熱伝達組成物及び熱伝達組成物1~50の各々を含む、本明細書に記載される熱伝達組成物の各々は、往復動式、回転式(ローリングピストン又は回転弁)、又はスクロール式圧縮機を有する住宅用空調システムにおける使用のために特に提供される。
【0174】
冷媒1~25のうちのいずれか1つを含む各熱伝達組成物及び熱伝達組成物1~50の各々を含む記載された熱伝達組成物の各々は、(約0~約10℃の範囲、特に約4.5℃の蒸発器温度を有する)空冷式冷却器、特に容積型圧縮機を有する空冷式冷却器、とりわけ往復動式スクロール式圧縮機を有する空冷式冷却器における使用のために特に提供される。
【0175】
冷媒1~25のうちのいずれか1つを含む各熱伝達組成物及び熱伝達組成物1~50の各々を含む本明細書に記載される熱伝達組成物の各々は、(約-20~約3℃の範囲、特に約0.5℃の蒸発器温度を有するか、又は約-30~約5℃の範囲、特に約0.5℃の蒸発器温度を有する)住宅用空気-水ヒートポンプ温水システムにおける使用のために特に提供される。
【0176】
冷媒1~25のうちのいずれか1つを含む各熱伝達組成物及び熱伝達組成物1~50の各々を含む熱伝達組成物の各々は、(約-12~約0℃の範囲、特に約-8℃の蒸発器温度を有する)中温冷凍システムにおける使用のために特に提供される。
【0177】
冷媒1~25のうちのいずれか1つを含む各熱伝達組成物及び熱伝達組成物1~50の各々を含む熱伝達組成物の各々は、(約-40~約-12℃の範囲、特に約-40℃~約-23℃、又は好ましくは約-32℃の蒸発器温度を有する)低温冷凍システムにおける使用のために特に提供される。
【0178】
冷媒1~25のうちのいずれか1つを含む各熱伝達組成物及び熱伝達組成物1~50の各々を含む熱伝達組成物の各々は、住宅用空調システムにおける使用のために提供され、住宅用空調システムは、例えば、夏季に冷気(当該空気は、例えば、約10℃~約17℃、特に約12℃の温度を有する)を建物に供給するために使用される。典型的なシステムの種類は、スプリット型、ミニスプリット型、及びウィンドウ型、ダクトスプリット型、ダクトレススプリット型、ウィンドウ型、及びポータブル型空調システムである。システムは通常、空気-冷媒蒸発器(室内コイル)、圧縮機、空気-冷媒凝縮器(室外コイル)、及び膨張弁を有する。蒸発器及び凝縮器は通常、丸管プレートフィン、フィンチューブ、又はマイクロチャネル熱交換器である。圧縮機は通常、往復動式、又は回転式(ローリングピストン又は回転弁)、又はスクロール式圧縮機である。膨張弁は通常、キャピラリーチューブ、温度膨張弁、又は電子膨張弁である。冷媒蒸発温度は、好ましくは0~10℃の範囲内である。凝縮温度は、好ましくは40~70℃の範囲内である。
【0179】
冷媒1~25のうちのいずれか1つを含む熱伝達組成物を含む、本発明の熱伝達組成物は、住宅用ヒートポンプシステムにおける使用のために提供され、住宅用ヒートポンプシステムは、冬季に温風(当該空気は、例えば、約18℃~約24℃、特に約21℃の温度を有する)を建物に供給するために使用される。これは、住宅用空調システムと同じシステムであり得るが、ヒートポンプモードでは冷媒流が反転し、室内コイルが凝縮器となり、室外コイルが蒸発器となる。典型的なシステムの種類は、スプリット型及びミニスプリット型ヒートポンプシステムである。蒸発器及び凝縮器は通常、丸管プレートフィン、フィン式、又はマイクロチャネル熱交換器である。圧縮機は通常、往復動式、又は回転式(ローリングピストン又は回転弁)、又はスクロール式圧縮機である。膨張弁は通常、温度膨張弁又は電子膨張弁である。冷媒蒸発温度は、好ましくは約-20~約3℃又は約-30~約5℃の範囲内である。凝縮温度は、好ましくは約35~約50℃の範囲内である。
【0180】
冷媒1~25のうちのいずれか1つを含む熱伝達組成物を含む、本発明の熱伝達組成物は、商用空調システムにおける使用のために提供され、商用空調システムは、オフィス及び病院などの大きな建物に冷水(当該水は、例えば約7℃の温度を有する)を供給するために使用される冷却器であり得る。用途に応じて、冷却器システムは通年稼働している場合がある。冷却器システムは、空冷式又は水冷式であり得る。空冷式冷却器は通常、冷水を供給するためのプレート、チューブインチューブ式、又はシェルインチューブ式蒸発器、往復動式又はスクロール式圧縮機、熱を周囲空気と交換するための丸管プレートフィン、フィンチューブ式、又はマイクロチャネル凝縮器、及び温度膨張弁又は電子膨張弁を有する。水冷式システムは通常、冷水を供給するためのシェルアンドチューブ式蒸発器、往復動式、スクロール式、ねじ式、又は遠心式圧縮機、熱を冷却塔又は湖、海、及び他の天然源からの水と交換するためのシェルアンドチューブ式凝縮器、並びに温度膨張弁又は電子膨張弁を有する。冷媒蒸発温度は、好ましくは約0~約10℃の範囲内である。凝縮温度は、好ましくは約40~約70℃の範囲内である。
【0181】
冷媒1~25のうちのいずれか1つを含む熱伝達組成物を含む、本発明の熱伝達組成物は、住宅用空気-水ヒートポンプ温水システムにおける使用のために提供され、住宅用空気-水ヒートポンプ温水システムは、冬季に床暖房又は同様の用途のために温水(当該水は、例えば、約50℃又は約55℃の温度を有する)を建物に供給するために使用される。温水システムは通常、熱を周囲空気と交換するための丸管プレートフィン、フィンチューブ式、又はマイクロチャネル蒸発器、往復動式、スクロール式、又は回転式圧縮機、水を加熱するためのプレート、チューブインチューブ式、又はシェルアンドチューブ式凝縮器、及び温度膨張弁又は電子膨張弁を有する。冷媒蒸発温度は、好ましくは約-20~約3℃又は-30~約5℃の範囲内である。凝縮温度は、好ましくは約50℃~約90℃の範囲内である。
【0182】
冷媒1~25のうちのいずれか1つを含む熱伝達組成物を含む、本発明の熱伝達組成物は、中温冷凍システムにおける使用のために提供され、中温冷凍システムは、好ましくは、冷蔵庫又はボトルクーラーなどにおいて食べ物又は飲み物を冷やすために使用される。システムは通常、食べ物又は飲み物を冷やすための空気-冷媒蒸発器、往復動式、スクロール式、又はねじ式、又は回転式圧縮機、熱を周囲空気と交換するための空気-冷媒凝縮器、及び温度膨張弁又は電子膨張弁を有する。冷媒蒸発温度は、好ましくは約-12℃~約0℃の範囲内である。凝縮温度は、好ましくは約40~約70℃又は約20~約70℃の範囲内である。
【0183】
冷媒1~25のうちのいずれか1つを含む熱伝達組成物などの本発明の熱伝達組成物は、低温冷凍システムにおける使用のために提供され、当該低温冷凍システムは、好ましくは、冷凍庫又はアイスクリーム製造機において使用される。システムは通常、食べ物又は飲み物を冷やすための空気-冷媒蒸発器、往復動式、スクロール式、又は回転式圧縮機、熱を周囲空気と交換するための空気-冷媒凝縮器、及び温度膨張弁又は電子膨張弁を有する。冷媒蒸発温度は、好ましくは約-40℃~約-12℃の範囲内である。凝縮温度は、好ましくは約4~約70℃又は約20~約70℃の範囲内である。
【0184】
熱伝達組成物は、以下のとおり、冷却器又は商用空調システムにおいて、冷媒1~25のうちのいずれか1つを含む。
【0185】
【0186】
熱伝達組成物は、以下のように、以下のように、冷却器内又は商用空調システム内に、冷媒1~25のうちのいずれか1つ及び安定化剤1及びPOE潤滑剤を含む。
【0187】
【0188】
本発明の目的では、上記の熱伝達組成物は、約0℃~約10℃の範囲の蒸発温度及び約40℃~約70℃の範囲の凝縮温度を有する冷却器における使用のために提供される。冷却器は、空調又は冷凍における使用のため、好ましくは冷凍のために提供される。冷却器は、好ましくは容積型冷却器、とりわけ空冷又は水冷直接膨張式冷却器(モジュラー式であるか又は従来法で単独包装されているかのいずれか)である。
【0189】
熱伝達組成物は、空調システムにおいて冷媒1~25のうちのいずれか1つを含み、住宅用空調は、以後、住宅用ACと略記される。
【0190】
熱伝達組成物は、以下の表に示されるように、住宅用空調システム又はヒートポンプにおいて冷媒1~25のうちのいずれか1つを含む。
【0191】
【0192】
熱伝達組成物は、以下のとおり、住宅用AC又はヒートポンプにおいて、冷媒1~25のうちのいずれか1つ及び安定化剤1を含む。
【0193】
【0194】
熱伝達組成物は、以下のとおり、住宅用AC又はヒートポンプにおいて、冷媒1~25のうちのいずれか1つ及び安定化剤1及びPOE潤滑剤を含む。
【0195】
【0196】
熱伝達組成物は、以下のとおり、低温冷凍システム又は中温システムにおいて、冷媒1~25のうちのいずれか1つを含む。
【0197】
【0198】
熱伝達組成物は、以下のとおり、低温冷凍システム又は中温冷凍システムにおいて、冷媒1~25のうちのいずれか1つ及び安定化剤1を含む。
【0199】
【0200】
熱伝達組成物は、以下のとおり、低温冷凍又は中温冷凍システムにおいて、冷媒1~25のうちのいずれか1つ、安定化剤1、及びPOE潤滑剤を含む。
【0201】
【0202】
したがって、本発明は、既存のシステムの実質的な工学的変更を必要とすることなく、とりわけ凝縮器、蒸発器、及び/又は膨張弁の変更を伴わずに、R-410A冷媒用に設計された及びそれを含有する既存の熱伝達システムを追加導入する方法を含む。
【0203】
特に、本明細書に開示される冷媒1~25のうちのいずれかを含む、本発明による冷媒及び本明細書に開示される熱伝達組成物は、冷媒R-410Aの低GWP代替品として提供される。したがって、本発明の(冷媒1~25の各々、及び冷媒1~25を含有する全ての熱伝達組成物を含む)熱伝達組成物及び冷媒は、代用の冷媒/熱伝達組成物として使用することができる。
【0204】
したがって、本発明はまた、R-410Aの代替品として、特に住宅用空調におけるR-410Aの代替品として、既存のシステムの実質的な工学的変更を必要とすることなく、とりわけ凝縮器、蒸発器、及び/又は膨張弁の変更を伴わずに、本発明の冷媒又は熱伝達組成物を使用する方法も含む。
【0205】
したがって、本発明はまた、R-410Aの代替品として、特に冷却器システムにおけるR-410Aの代替品として、本発明の冷媒又は熱伝達組成物を使用する方法も含む。
【0206】
したがって、本発明はまた、R-410Aの代替品として、特に住宅用空調システムにおけるR-410Aの代替品として、本発明の冷媒又は熱伝達組成物を使用する方法も
含む。
【0207】
したがって、R-410A冷媒を含有する既存の熱伝達システムを改造する方法が提供され、当該方法は、既存のR-410A冷媒の少なくとも一部を熱伝達組成物1~50の各々を含む本発明の熱伝達組成物で置き換えることを含む。置き換える工程は、好ましくは、本発明の冷媒を収容するシステムのいかなる実質的な変更を伴わず、(R-410Aであり得るが、これに限定されない)既存の冷媒の少なくとも実質的な部分、好ましくは実質的に全てを除去し、熱伝達組成物1~50の各々を含む熱伝達組成物を導入することを含む。好ましくは、この方法は、少なくとも約5重量%、約10重量%、約25重量%、約50重量%、又は約75重量%のR-410Aをシステムから取り出し、それを本発明の熱伝達組成物で代替することを含む。
【0208】
代替的には、熱伝達組成物は、R410A冷媒を含有するように設計されているか又はそれを含有する既存の熱伝達システムを改修する方法に使用することができ、システムは、本発明の熱伝達組成物と共に使用するために変更される。
【0209】
代替的には、熱伝達組成物は、R-410A冷媒を含有するように設計されているか又はそれとの使用に好適である熱伝達システムにおいて代替品として使用することができる。
【0210】
代替的には、本発明は、R-410Aの低地球温暖化代替品としての本発明の熱伝達組成物の使用を包含するか、又は既存の熱伝達システムを追加導入する方法に使用されるか、又は本明細書に記載されるようにR-410A冷媒との使用に好適である熱伝達システムに使用されることが理解されよう。
【0211】
したがって、特定の熱伝達システムにおいて使用されると考えられるR-410A冷媒を、特に冷媒1~25のうちのいずれかを含む、本発明の冷媒又は熱伝達組成物で置き換える方法が提供される。
【0212】
熱伝達組成物がR-410Aの低GWP代替品として使用される場合、熱伝達組成物は、本質的に本発明の冷媒からなり得ることが理解されよう。あるいは、本発明は、R-410Aの低GWP代替品として本発明の冷媒の使用を包含する。
【0213】
熱伝達組成物が上記のように既存の熱伝達システムを追加導入する方法で使用するために提供されるとき、この方法は、好ましくは、既存のR-410A冷媒の少なくとも一部をシステムから除去することを含むことが、当業者であれば理解されよう。好ましくは、この方法は、少なくとも約5重量%、約10重量%、約25重量%、約50重量%、又は約75重量%のR-410Aをシステムから取り出し、それを本発明の熱伝達組成物で代替することを含む。
【0214】
冷媒1~25を含む組成物の各々及び熱伝達組成物1~50の各々を含む、本発明の熱伝達組成物は、既存の熱伝達システム又は新たな熱伝達システムなどの、R-410A冷媒と共に使用されるか、又は使用するのに好適であるシステムにおける代替品として用いられ得る。
【0215】
本発明の組成物は、R-410Aの所望の特性の多くを示すが、R-410Aよりも実質的に低いGWPを有し、同時に、R-410Aと実質的に同様であるか又はそれと実質的に一致し、より好ましくはそれと同等に高いか又はそれよりも高い動作特性、すなわち能力及び/又は効率(COP)を有する。これにより、例えば凝縮器、蒸発器、及び/又は膨張弁の大きなシステム変更を一切必要とすることなく、既存の熱伝達システムにお
いて特許請求される組成物がR-410Aに代わることが可能となる。したがって、組成物は、熱伝達システムにおけるR-410Aの直接的な代替品として使用することができる。
【0216】
したがって、冷媒1~25を含む組成物の各々及び熱伝達組成物1~50の各々を含む、本発明の熱伝達組成物は、好ましくは、R-410Aと比較して、組成物の効率(COP)が、熱伝達システムにおいてR-410Aの効率の90%超である動作特性を示す。
【0217】
したがって、冷媒1~25を含む組成物の各々及び熱伝達組成物1~50の各々を含む、本発明の熱伝達組成物は、好ましくは、R-410Aと比較して、熱伝達システムにおいて、能力がR-410Aの能力の95~105%である動作特性を示す。
【0218】
R-410Aは、共沸様組成物であることが理解されよう。したがって、請求の範囲に記載される組成物がR-410Aの動作特性に匹敵するために、熱伝達組成物1~50の各々を含む本発明の熱伝達組成物に含まれる冷媒のうちのいずれかは、低レベルの勾配を示すことが望ましい。したがって、本明細書に記載される本発明による熱伝達組成物1~50の各々を含む、本発明の熱伝達組成物に含まれる冷媒は、2℃未満、好ましくは1.5℃未満の蒸発器勾配を提供し得る。
【0219】
したがって、冷媒1~25を含む組成物の各々及び熱伝達組成物1~50の各々を含む、本発明の熱伝達組成物は、好ましくは、R-410Aと比較して、組成物の効率(COP)が熱伝達システムにおいてR-410Aの効率の100~102%であり、かつ能力が熱伝達システムにおいてR-410Aの能力の92~102%である動作特性を示す。
【0220】
好ましくは、冷媒1~25を含む組成物の各々及び熱伝達組成物1~50の各々を含む、本発明の熱伝達組成物は、好ましくは、熱伝達システムにおいて、R-410Aと比較して、
-組成物の効率(COP)が、R-410Aの効率の100~105%であり、かつ/又は
-能力が、R-410Aの能力の92~102%である動作特性を示し、
本発明の組成物は、R-410A冷媒に代わる。
【0221】
熱伝達システムの信頼性を向上させるために、冷媒1~25を含む組成物の各々及び熱伝達組成物1~50の各々を含む、本発明の熱伝達組成物は、R-410Aと比較して、熱伝達システムにおいて、
-吐出温度が、R-410Aの吐出温度よりも10℃以上高くない、かつ/又は
-圧縮機圧力比が、R-410Aの圧縮機圧力比の98~102%であるという特性を更に示すことが好ましく、
本発明の組成物は、R-410A冷媒に代わるために使用される。
【0222】
R-410Aに代わるために使用される既存の熱伝達組成物は、好ましくは、モバイル空調システム及び定置型空調システムの両方を含む空調熱伝達システムである。本明細書で使用するとき、モバイル空調システムという用語は、トラック、バス、及び列車の空調システムなどの、移動式の非乗用車用空調システムを意味する。したがって、熱伝達組成物1~50の各々を含む、本明細書に記載されるような熱伝達組成物の各々は、
-モバイル空調システム、特にトラック、バス、及び列車の空調システムを含む、空調システム、
-モバイルヒートポンプ、特に電気自動車用ヒートポンプ、
-冷却器、特に容積型冷却器、とりわけ空冷又は水冷直接膨張式冷却器(モジュラー式であるか又は従来法で単独包装されているかのいずれか)、
-住宅用空調システム、特にダクトスプリット型又はダクトレススプリット型空調システム、
-住宅用ヒートポンプ、
-住宅用空気-水ヒートポンプ/温水システム、
-産業用空調システム、並びに
-パッケージ式ルーフトップユニット又は可変冷媒流(VRF)システム、
-商用の空気熱源、水熱源、又は土壌熱源ヒートポンプシステム、のうちのいずれか1つにおいてR-410Aに代わるために使用され得る。
【0223】
本発明の熱伝達組成物は、冷凍システムにおいてR410Aに代わるために代替的に提供される。したがって、冷媒1~25を含む組成物及び熱伝達組成物1~50の各々を含む本明細書に記載されるような熱伝達組成物の各々は、
-低温冷凍システム、
-中温冷凍システム、
-商用冷蔵庫、
-商用冷凍庫、
-製氷機、
-自販機、
-輸送冷凍システム、
-家庭用冷凍庫、
-家庭用冷蔵庫、
-産業用冷凍庫、
-産業用冷蔵庫、及び
-冷却器、のうちのいずれか1つにおいてR10Aに代わるために使用され得る。
【0224】
熱伝達システムの信頼性を維持するために、本発明の組成物がR-410A冷媒に代わって使用される熱伝達システムにおいて、本発明の組成物が、R-410Aと比較して、圧縮機圧力比が、R-410Aの圧縮機圧力比の95~105%である以下の特性を更に示すことが好ましい。
【0225】
冷媒1~25を含む組成物の各々及び熱伝達組成物1~50の各々を含む本明細書に記載される熱伝達組成物の各々は、(約0~約10℃の範囲、特に約4.5℃の蒸発器温度を有する)空冷式冷却器、特に容積型圧縮機を有する空冷式冷却器、とりわけ往復動式スクロール式圧縮機を有する空冷式冷却器においてR-410Aに代わるために特に提供される。
【0226】
冷媒1~25を含む組成物の各々及び熱伝達組成物1~50の各々を含む本明細書に記載される熱伝達組成物の各々は、(約-20~約3℃の範囲又は約-30~約5℃の範囲、特に約0.5℃の蒸発器温度を有する)住宅用空気-水ヒートポンプ温水システムにおいてR-410Aに代わるために特に提供される。
【0227】
冷媒1~25の各々を含む本明細書に記載される熱伝達組成物の各々は、(約-12~約0℃の範囲、特に約-8℃の蒸発器温度を有する)中温冷凍システムにおいてR-410Aに代わるために特に提供される。
【0228】
冷媒1~25の各々を含む本明細書に記載される熱伝達組成物の各々は、(約-40~約-12℃の範囲、特に約-40℃~約-23℃、又は好ましくは約-32℃の蒸発器温度を有する)低温冷凍システムにおいてR-410Aに代わるために特に提供される。
【0229】
したがって、R-410A冷媒を含有するように設計されているか若しくはそれを含有するか、又はR-410A冷媒との使用に好適である既存の熱伝達システムを追加導入する方法が提供され、当該方法は、既存のR-410A冷媒の少なくとも一部を、熱伝達組成物1~50の各々を含む本発明の熱伝達組成物に置き換えることを含む。
【0230】
したがって、R-410A冷媒を含有するように設計されているか若しくはそれを含有するか、又はR-410A冷媒との使用に好適である既存の熱伝達システムを追加導入する方法が提供され、当該方法は、既存のR-410A冷媒の少なくとも一部を、熱伝達組成物1~50の各々を含む本発明による熱伝達組成物に置き換えることを含む。
【0231】
本発明は更に、流体連通した圧縮機、凝縮器、及び蒸発器を備え、かつ内部に熱伝達組成物を含む、熱伝達システムを更に提供し、当該熱伝達組成物は、冷媒1~25のうちのいずれか1つを含む。
【0232】
特に、熱伝達システムは、(冷却のために約0~約10℃の範囲、特に約7℃、及び/又は加熱のために約-20~約3℃若しくは約-30~約5℃の範囲、特に約0.5℃の蒸発器温度を有する)住宅用空調システムであり、冷媒1~25のうちのいずれか1つを含む。
【0233】
特に、熱伝達システムは、(約0~約10℃範囲、特に約4.5℃の蒸発器温度を有する)空冷式冷却器、特に、容積型圧縮機を有する空冷式冷却器、とりわけ往復動式又はスクロール式圧縮機を有する空冷式冷却器であり、冷媒1~25のうちのいずれか1つを含む。
【0234】
特に、熱伝達システムは、(約-20~約3℃の範囲又は約-30~約5℃の範囲、特に約0.5℃の蒸発器温度を有する)住宅用空気-水温水システムであり、冷媒1~25のうちのいずれか1つを含む。
【0235】
熱伝達システムは、冷凍システム、例えば、低温冷凍システム、中温冷凍システム、商用冷蔵庫、商用冷凍庫、製氷機、自動販売機、輸送冷凍システム、家庭用冷凍庫、家庭用冷蔵庫、産業用冷凍庫、及び冷却器であり得、冷媒1~25のうちのいずれか1つを含む。
【実施例0236】
冷媒A1、A2、及びA3として以下の表2で特定される冷媒組成物は、本明細書に記載されるような本発明の範囲内の冷媒である。冷媒の各々を熱力学的分析に供して、様々な冷凍システムにおいてR-4104Aの動作特性と一致するための能力を判定した。組成物中に使用されている成分の様々な二成分対の特性について収集した実験データを使用して分析を実施した。HFC-32及びR125の各々を含む一連の二成分対にて、CF3Iの蒸気/液体平衡挙動を測定し、調査した。実験評価において各二成分対の組成を一連の相対百分率にわたって変化させ、各二成分対の混合パラメーターを実験的に得られたデータに回帰させた。実施例では、National Institute of Science and Technology(NIST)Reference Fluid Thermodynamic and Transport Properties Databaseソフトウェア(Refprop 9.1 NIST Standard Database 2013)で入手可能な、二成分対のHFC-32及びHFC-125の蒸気/液体平衡挙動データを使用した。分析を行うために選択したパラメーターは、全ての冷媒について同じ圧縮機容積、全ての冷媒について同じ動作条件、全ての冷媒について同じ圧縮機断熱効率及び容積効率であった。各実施例では、測定された気液平
衡データを使用してシミュレーションを行った。各実施例についてシミュレーション結果を報告する。
【0237】
【0238】
冷媒A1は、相対百分率で、表2に列挙される3つの化合物の100重量%を含み、不燃性である。冷媒A2は、相対百分率で、表2に列挙される3つの化合物の100重量%を含み、不燃性である。冷媒A3は、相対百分率で、表2に列挙される3つの化合物の100重量%を含み、不燃性である。
【0239】
実施例1-環境/GWP
R410、他の既知の冷媒、及び本発明の冷媒についてLCCPを求め、表3において報告された。表3において、GWPが399である冷媒は、本発明の冷媒である。既知の冷媒として、GWPが1、150、250、750、及び2088の冷媒が使用された。GWPが2088である既知の冷媒は、R410Aである。
【0240】
表3は、米国、EU、中国、及びブラジルの4つの領域におけるLCCPの結果を示す。GWPが減少するにつれて、直接排出量は小さくなる。しかしながら、システム効率が低めであるため、より多くのエネルギーを消費し、間接排出量は増加する。したがって、総排出量(kg-CO
2eq)は最初、減少し、その後、GWPが減少するにつれて増加する。これらの領域内の様々なエネルギー構造により、最も低い総排出量である最適GWPの値が示される。ACユニットの数はまた、これらの領域間で異なる。すなわち、USA及びEUは、中国及びブラジルよりも多くのACユニットを有する。
図1及び表3の最後の列は、4つの全領域及びACユニット全数を考慮した総排出量を示す。GWPが減少するにつれて、総排出量は、GWPが400である本発明の冷媒の最低値に達するまで減少する。GWPが250~750の範囲では、総排出量は非常に類似している。しかしながら、間接排出量が著しく増加するため、GWPが150よりも小さい場合、総排出量は優位に増加する。したがって、本発明は、驚くべきかつ予想外の結果を実証している。
【0241】
【0242】
実施例2-住宅用空調システム(冷却)
住宅用空調システムは、夏季に冷気(12℃)を建物に供給するために使用される。冷媒A1、A2、及びA3は、上述したような住宅用空調システムのシミュレーションにおいて使用され、性能結果を以下の表4に示す。住宅用空調システムとしては、スプリット型空調システム、ミニスプリット型空調システム、及び窓用空調システムが挙げられ、本明細書に記載される試験は、このようなシステムから得られる結果を代表する。実験システムは、空気-冷媒蒸発器(室内コイル)、圧縮機、空気-冷媒凝縮器(室外コイル)、及び膨張弁を含む。試験の動作条件は、以下のとおりである。凝縮温度=46℃、凝縮器過冷却=5.5℃、蒸発温度=7℃蒸発器過熱=5.5℃、等イソトロピ-効率=70%、体積効率:100%、吸気ライン中の温度上昇=5.5℃。
【0243】
【0244】
表4は、R410Aのシステムと比較した住宅用空調システムの熱力学的性能を示す。冷媒A1~A3は、R410Aと比較して、92%以上の能力及び効率を示す。これは、システム性能がR410Aと同様であることを示す。冷媒A1~A3は、R410Aと比較して、100%の圧力比を示す。これは、圧縮機効率がR410Aと同様であることを示し、R410A圧縮機への変更は必要ない。
【0245】
実施例3-住宅用ヒートポンプシステム(加熱)
住宅用ヒートポンプシステムは、冬季に温風(21.1℃)を建物に供給するために使用される。冷媒A1、A2、及びA3は、上述したような住宅用空調システムのシミュレーションにおいて使用され、性能結果を以下の表5に示す。実験システムは住宅用空調システムを含むが、システムがヒートポンプモードにあるときには冷媒流が反転し、室内コイルが凝縮器となり、室外コイルが蒸発器となる。住宅用ヒートポンプシステムとしては、スプリット型空調システム、ミニスプリット型空調システム、及び窓用空調システムが挙げられ、本明細書に記載される試験は、このようなシステムから得られる結果を代表する。動作条件は、以下のとおりである。凝縮温度=41℃、凝縮器過冷却=5.5℃、蒸発温度=0.5℃蒸発器過熱=5.5℃、等イソトロピ-効率=70%、体積効率:100%、吸気ライン中の温度上昇=5.5℃。
【0246】
【0247】
表5は、R410Aのシステムと比較した住宅用ヒートポンプシステムの熱力学的性能を示す。冷媒A1の能力は、より大きな圧縮機で回復することができる。冷媒A2~A3は、R410Aと比較して、90%以上の能力及び効率を示す。これは、システム性能がR410Aと同様であることを示す。冷媒A1~A3は、R410Aと比較して、10
0%の圧力比を示す。これは、圧縮機効率がR410Aと同様であることを示し、R410A圧縮機への変更は必要ない。
【0248】
実施例4-商用空調システム-冷却器
商用空調システム(冷却器)は、オフィス、病院などの大きな建物に冷水(7℃)を供給するために使用され、特定の用途に応じて、冷却器システムは、通年稼働している場合がある。本明細書に記載される試験は、このようなシステムから得られる結果を代表する。冷媒A1、A2、及びA3は、上述したような商用空調システムのシミュレーションにおいて使用され、性能結果を以下の表6に示す。動作条件は、以下のとおりである。凝縮温度=46℃、凝縮器過冷却=5.5℃、蒸発温度=4.5℃蒸発器過熱=5.5℃、等イソトロピ-効率=70%、体積効率:100%、吸気ライン中の温度上昇=2℃。
【0249】
【0250】
表6は、R410Aのシステムと比較した商用空調システムの熱力学的性能を示す。冷媒A1~A3は、R410Aと比較して、92%以上の能力及び効率を示す。これは、システム性能がR410Aと同様であることを示す。冷媒A1~A3は、R410Aと比較して、100%の圧力比を示す。これは、圧縮機効率がR410Aと同様であることを示し、R410A圧縮機への変更は必要ない。
【0251】
実施例5-住宅用空気-水ヒートポンプ温水システム
冬季に床暖房又は同様の用途のために温水(50℃)を建物に供給するように使用される住宅用空気-水ヒートポンプ温水システムについて試験する。冷媒A1、A2、及びA3は、上述したような住宅用ヒートポンプシステムのシミュレーションにおいて使用され、本明細書に記載された性能結果は、かかるシステムからの結果を表し、以下の表7に示す。動作条件は、凝縮温度=60℃(対応する室内出口水温約50℃)、凝縮器過冷却=5.5℃、蒸発温度=約0.5℃(対応する室外周囲温度=約8.3℃)蒸発器過熱=5.5℃、等イソトロピ-効率=70%、体積効率:100%、吸気ライン中の温度上昇=2℃。
【0252】
【0253】
表7は、R410Aのシステムと比較した住宅用ヒートポンプシステムの熱力学的性能を示す。冷媒A1~A3は、R410Aと比較して、93%以上の能力及び効率を示す。これは、システム性能がR410Aと同様であることを示す。冷媒A1~A2は、R410Aと比較して、100%の圧力比を示す。これは、圧縮機効率がR410Aと同様で
あることを示し、R410A圧縮機への変更は必要ない。更に、冷媒A2は、R-410Aと比較して100%の圧力比を示し、これは、圧縮機の効率がR-410Aと十分同等であり、R-410Aと共に使用される圧縮機に変更を加える必要がないことを示す。
【0254】
実施例6-中温冷凍システム
冷蔵庫及びボトルクーラーなどにおいて食べ物又は飲み物を冷やすために使用される中温冷凍システムについて試験する。実験システムは、食べ物又は飲み物を冷やすための空気-冷媒蒸発器、圧縮機、熱を周囲空気と交換するための空気-冷媒凝縮器、及び膨張弁を含む。冷媒A1、A2、及びA3は、上述したような中温冷凍システムのシミュレーションにおいて使用され、性能結果を以下の表8に示す。動作条件:凝縮温度=40.6℃、凝縮器過冷却=0℃(レシーバを備えるシステム)、蒸発温度=-6.7℃、蒸発器過熱=5.5℃、等イソトロピ-効率=70%、体積効率:100%、及び、吸引ラインにおける過熱度=19.5℃。
【0255】
【0256】
表8は、R410Aのシステムと比較した中温冷房システムの熱力学的性能を示す。冷媒A1~A3は、R410Aと比較して、94%以上の能力及び効率を示す。これは、システム性能がR410Aと同様であることを示す。冷媒A1~A2は、R410Aと比較して、100%の圧力比を示す。これは、圧縮機効率がR410Aと同様であることを示し、R410A圧縮機への変更は必要ない。更に、冷媒A2は、R-410Aと比較して100%の圧力比を示し、これは、圧縮機の効率がR-410Aと十分同等であり、R-410Aと共に使用される圧縮機に変更を加える必要がないことを示す。
【0257】
実施例7-低温冷凍システム
低温冷凍システムは、食べ物を冷凍するために、アイスクリーム製造機及び冷凍庫などにおいて使用される。実験システムは、食べ物又は飲み物を冷却又は冷凍するための空気-冷媒蒸発器、圧縮機、熱を周囲空気と交換するための空気-冷媒凝縮器、及び膨張弁を含む。本明細書に記載される試験は、このようなシステムから得られる結果を代表する。冷媒A1、A2、及びA3は、上述したような低温冷凍システムのシミュレーションにおいて使用され、性能結果を以下の表9に示す。動作条件:凝縮温度=40.6℃、凝縮器の過冷却=0℃(レシーバを備えるシステム)、蒸発温度=-28.9℃、蒸発器出口における過熱度=5.5℃、等イソトロピ-効率=65%、体積効率:100%、及び、吸引ラインにおける過熱度=44.4℃。
【0258】
【0259】
表9は、R410Aのシステムと比較した低温冷凍システムの熱力学的性能を示す。冷媒A1~A3は、R410Aと比較して、96%以上の能力及び効率を示す。これは、システム性能がR410Aと同様であることを示す。冷媒A1~A3は、R410Aと比較して、99%又は100%の圧力比を示す。これは、圧縮機効率がR410Aと同様であることを示し、R410A圧縮機への変更は必要ない。
【0260】
実施例8.商用空調システム-パッケージ式ルーフトップ
冷却又は加熱した空気を建物に供給するように構成されたパッケージ式ルーフトップ商用空調システムについて試験する。実験システムは、パッケージ式ルーフトップ空調/ヒートポンプシステムを含み、空気-冷媒蒸発器(室内コイル)、圧縮機、空気-冷媒凝縮器(室外コイル)、及び膨張弁を有する。本明細書に記載される試験は、このようなシステムから得られる結果を代表する。試験の動作条件は、以下のとおりである。
1.凝縮温度=約46℃(対応する室外周囲温度=約35℃)
2.凝縮器過冷却=約5.5℃
3.蒸発温度=約7℃(対応する室内周囲温度=26.7℃)
4.蒸発器過熱=約5.5℃
5.断熱効率=70%
6.容積効率=100%
7.吸気ライン中の温度上昇=5.5℃
【0261】
試験の性能結果を下記の表8に報告する。
【0262】
【0263】
表8は、R-410Aと比較した、本発明の冷媒A1、A2、及びA3を用いて動作するルーフトップ商用空調システムの熱力学的性能を示し、冷媒A2及びA3は、R410Aの90%以上の能力及び効率を示す。これは、システム性能がR410Aと同様であることを示す。冷媒A2及びA3の能力は、より大きな圧縮機で回復することができる。冷媒A1~A3は、R410Aと比較して、100%の圧力比を示す。これは、圧縮機効率がR410Aと同様であることを示し、R410Aの圧縮機の有意な設計変更は必要ないことを示している。
【0264】
実施例9-商用空調システム-可変冷媒流システム
冷却又は加熱した空気を建物に供給するように構成された可変冷媒流を用いる商用空調システムについて試験する。システムは、複数(4つ以上)の空気-冷媒蒸発器(室内コイル)、圧縮機、空気-冷媒凝縮器(室外コイル)、及び膨張弁を含む。本明細書に記載される条件は、このようなシステムから得られる動作条件を表す。動作条件を以下に列挙する。
1.凝縮温度=約46℃、対応する室外周囲温度=35℃
2.凝縮器過冷却=約5.5℃
3.蒸発温度=約7℃(対応する室内周囲温度=26.7℃)
4.蒸発器過熱=約5.5℃
5.断熱効率=70%
6.容積効率=100%
7.吸気ライン中の温度上昇=5.5℃
【0265】
【0266】
表9は、R-410Aと比較した、本発明の冷媒A1、A2、及びA3を用いて動作するルーフトップ商用空調システムの熱力学的性能を示し、冷媒A2及びA3は、R410Aの90%以上の能力及び効率を示す。これは、システム性能がR410Aと同様であることを示す。冷媒A2及びA3の能力は、より大きな圧縮機で回復することができる。冷媒A1~A3は、R410Aと比較して、100%の圧力比を示す。これは、圧縮機効率がR410Aと同様であることを示し、R410Aの圧縮機の有意な設計変更は必要ないことを示している。
【0267】
実施例10-冷媒及び潤滑剤を含む熱伝達組成物のための安定化剤
本発明の熱伝達組成物を、ASHRAE Standard 97-「Sealed
Glass Tube Method to Test the Chemical Stability of Materials for Use within Refrigerant Systems」に従って試験して、加速エージングによる熱伝達組成物の長期安定性をシミュレートする。試験後、ハロゲン化物の濃度は、熱伝達組成物中の使用条件下で冷媒の安定性を反映すると考えられ、全酸価(TAN)は、熱伝達組成物中の使用条件下で潤滑剤の安定性を反映すると考えられる。
【0268】
本発明による安定化剤を冷媒/潤滑剤組成物に添加する効果を示すために、以下の実験を行った。それぞれ脱気した後、示した冷媒の50重量%と示した潤滑剤の50重量%とを含有する封止チューブを調製する。各チューブは、鋼、銅、アルミニウム、及び青銅のクーポンを含む。封止チューブを約175℃に維持した炉内に14日間配置することによって安定性を試験する。各々の場合において、試験した潤滑剤は、40℃で約32cStの粘度を有するISO 32 POE(潤滑剤A)、40℃で約68cStの粘度を有するISO 68 POE(潤滑剤B)であり、各潤滑剤は300ppm未満の含水量を有する。表10Aに示す以下の冷媒を試験する。
【0269】
【0270】
いずれの安定化剤も含まない潤滑剤及び冷媒の各対について試験を行い、結果は以下のとおりであった。
潤滑剤の目視-不透明又は黒色
金属の目視-光沢がない
固体の存在-あり
ハロゲン化物>100ppm
TAN>10mgKOH/g
【0271】
表10Bに示す以下の安定化剤は、示した安定化剤の安定化剤パッケージ中の重量パーセントとして表中の重量パーセントを有し、安定化剤及び冷媒の総重量に基づいて約1.5%~約10%の量で試験される。
【0272】
【0273】
これらの安定化剤及び潤滑剤A1、A2、及びA3を用いた試験の結果を表10Cにおいて以下に報告する。
【0274】
【0275】
この試験は、これらの各試験における潤滑剤が無色透明であり、金属が光沢を有し(変化なし)、固体が存在せず、ハロゲン化物及びTANの濃度が許容限度内であったことを示し、これらの全ては安定化剤が有効であったことを示す。
【0276】
実施例11-POE油との混和性
ISO POE-32油(40℃の温度で約32cStの粘度を有する)の混和性を、R-410A冷媒に対して、及び上記実施例1の表1に示した冷媒A2に対して、潤滑剤と冷媒との異なる重量比及び異なる温度について試験する。この試験の結果を下記の表11に報告する。
【0277】
【0278】
上記の表から分かるように、R-410Aは、約-22℃未満でPOE油と不混和性であり、したがって蒸発器内のPOE油の蓄積を克服する対策を講じなければ、R-410Aを低温冷凍用途で使用することはできない。更に、R-410Aは、50℃超でPOE油と非混和性であり、これは、高い周囲条件でR-410Aを使用する場合に凝縮器及び送液ラインにおいて問題を引き起こす(例えば、分離したPOE油が閉じ込められて堆積する)ことになる。逆に、出願者らは、驚くべきことに、かつ予想外に、本発明の冷媒が、-40℃~80℃の温度範囲にわたってPOE油と完全に混和し、それ故に、このようなシステムで使用される場合、実質的かつ予期せぬ利点を提供することを見出した。
【0279】
実施例12-封鎖を有する住宅用空調システム(冷却)及び安定化剤を有する熱伝達組成物
オイルセパレータがシステムに含まれ、独立して封鎖材料1~4からなるいくつかの封鎖材料がオイルセパレータの液体部分に含まれることを除いて、実施例2を繰り返す。熱伝達組成物は、本明細書に記載される量の潤滑剤1及び安定化剤1を含む。システムは、各々の場合において実施例2に示したように動作し、本明細書の実施例10及び20~30に示した試験に従って、許容可能なレベルの安定性を有する動作が少なくとも1年間存続するような高レベルの安定性を示すように動作する。
【0280】
実施例13-封鎖を有する住宅用ヒートポンプシステム(加熱)及び安定化剤を有する熱伝達組成物
オイルセパレータがシステムに含まれ、独立して封鎖材料1~4からなるいくつかの封鎖材料がオイルセパレータの液体部分に含まれることを除いて、実施例3を繰り返す。熱伝達組成物は、本明細書に記載される量の潤滑剤1及び安定化剤1を含む。システムは、各々の場合において実施例2に示したように動作し、本明細書の実施例10及び20~30に示した試験に従って、許容可能なレベルの安定性を有する動作が少なくとも1年間存続するような高レベルの安定性を示すように動作する。
【0281】
実施例14-封鎖を有する商用空調システム(冷却器)及び安定化剤を有する熱伝達組成物
オイルセパレータがシステムに含まれ、独立して封鎖材料1~4からなるいくつかの封鎖材料がオイルセパレータの液体部分に含まれることを除いて、実施例4を繰り返す。熱伝達組成物は、本明細書に記載される量の潤滑剤1及び安定化剤1を含む。システムは、各々の場合において実施例2に示したように動作し、本明細書の実施例10及び20~
30に示した試験に従って、許容可能なレベルの安定性を有する動作が少なくとも1年間存続するような高レベルの安定性を示すように動作する。
【0282】
実施例15-封鎖を有する住宅用空気-水ヒートポンプ温水システム及び安定化剤を有する熱伝達組成物
オイルセパレータがシステムに含まれ、独立して封鎖材料1~4からなるいくつかの封鎖材料がオイルセパレータの液体部分に含まれることを除いて、実施例5を繰り返す。熱伝達組成物は、本明細書に記載される量の潤滑剤1及び安定化剤1を含む。システムは、各々の場合において実施例2に示したように動作し、本明細書の実施例10及び20~30に示した試験に従って、許容可能なレベルの安定性を有する動作が少なくとも1年間存続するような高レベルの安定性を示すように動作する。
【0283】
実施例16-封鎖を有する中温冷凍システム及び安定化剤を有する熱伝達組成物
オイルセパレータがシステムに含まれ、独立して封鎖材料1~4からなるいくつかの封鎖材料がオイルセパレータの液体部分に含まれることを除いて、実施例6を繰り返す。熱伝達組成物は、本明細書に記載される量の潤滑剤1及び安定化剤1を含む。システムは、各々の場合において実施例2に示したように動作し、本明細書の実施例10及び20~30に示した試験に従って、許容可能なレベルの安定性を有する動作が少なくとも1年間存続するような高レベルの安定性を示すように動作する。
【0284】
実施例17-封鎖を有する低温冷凍システム及び安定化剤を有する熱伝達組成物
オイルセパレータがシステムに含まれ、独立して封鎖材料1~4からなるいくつかの封鎖材料がオイルセパレータの液体部分に含まれることを除いて、実施例7を繰り返す。熱伝達組成物は、本明細書に記載される量の潤滑剤1及び安定化剤1を含む。システムは、各々の場合において実施例2に示したように動作し、本明細書の実施例10及び20~30に示した試験に従って、許容可能なレベルの安定性を有する動作が少なくとも1年間存続するような高レベルの安定性を示すように動作する。
【0285】
実施例18-封鎖を有する商用空調システム-パッケージ式ルーフトップ及び安定化剤を有する熱伝達組成物
オイルセパレータがシステムに含まれ、独立して封鎖材料1~4からなるいくつかの封鎖材料がオイルセパレータの液体部分に含まれることを除いて、実施例8を繰り返す。熱伝達組成物は、本明細書に記載される量の潤滑剤1及び安定化剤1を含む。システムは、各々の場合において実施例2に示したように動作し、本明細書の実施例10及び20~30に示した試験に従って、許容可能なレベルの安定性を有する動作が少なくとも1年間存続するような高レベルの安定性を示すように動作する。
【0286】
実施例19-封鎖を有する商用空調システム-可変冷媒流システム及び安定化剤を有する熱伝達組成物
オイルセパレータがシステムに含まれ、独立して封鎖材料1~4からなるいくつかの封鎖材料がオイルセパレータの液体部分に含まれることを除いて、実施例9を繰り返す。熱伝達組成物は、本明細書に記載される量の潤滑剤1及び安定化剤1を含む。システムは、各々の場合において実施例2に示したように動作し、本明細書の実施例10及び20~30に示した試験に従って、許容可能なレベルの安定性を有する動作が少なくとも1年間存続するような高レベルの安定性を示すように動作する。
【0287】
実施例20-銀ゼオライトを含む封鎖材料
封鎖材料として作用するゼオライトを含む銀の能力を試験した。試験したゼオライトは、Honeywell UOPから入手可能なUPO IONSIV D7310-Cであった。開口部は、約15~約35Åのそれらの最大寸法全体にわたるサイズを有する
。
【0288】
約1000ppmの量の一次酸化防止安定剤BHTを含む80重量%のPOE油(POE ISO32、Emkarate RL 32-3MAF)と、20重量%のCF3Iとの配合物を、封止チューブ内に配置し、190℃で2日間にわたって加熱した。これらの条件で、冷媒及び潤滑剤の破壊を生じさせた。次いで、封止チューブを開き、油の試料を取り出した。
【0289】
次いで、油試料を、ゼオライトと共にFischer-Porterチューブ内に配置した。試料(潤滑剤)に対する乾燥ゼオライトの量を測定した。次いで、チューブを15℃又は50℃のいずれかで114時間(4.75日)にわたって維持した。チューブは、2時間毎に振盪して、ゼオライト及び試料が適切に混合することを確実にした。
【0290】
試料の全酸価(TAN)、ヨウ化物ppm、及びフッ化物ppmを、開始時(すなわち、CF3I及びPOE油の分解後、かつゼオライトとの組み合わせ前)、及び終了時(すなわち、ゼオライトとの組み合わせ後、かつ15℃又は50℃で114時間の終了時)に測定した。TAN、フッ化物、及びヨウ化物の濃度を、実施例10に記載の同じ方法に従って測定した。
【0291】
試験の結果を表20に記載する。
【0292】
【表34】
*-pphlは、潤滑剤100部当たりの重量部を意味する。
【0293】
上記の試験は、POE油及びCF3I冷媒の組成物が分解した後にそれを効果的に「復元する」ゼオライトの能力を証明している。
【0294】
この結果は、約5pphlゼオライト又は約21pphlゼオライトのいずれかを使用した場合、ゼオライトが、15℃及び50℃の両方において、分解試料のヨウ化物及びフッ化物レベルを低減することができたことを証明している。しかしながら、ゼオライトは、15℃よりも50℃の方が、また、約5pphlよりも約21pphlゼオライトの方が、より良好に機能した。驚くべきことに、50℃で約21pphlゼオライトでは、極僅かなヨウ化物しか検出されなかった。
【0295】
この結果はまた、約21pphlゼオライトの濃度では、15℃及び50℃の両方でTANが低減されたことも示している。
【0296】
実施例21
封鎖材料として作用する陰イオン交換樹脂の能力を試験した。
【0297】
2つの異なる陰イオン交換樹脂を試験した。
【0298】
第1の樹脂
第1の樹脂は、塩化物交換性イオンを有する強塩基性(1型)陰イオン交換樹脂(Dowex(登録商標)1X8塩化物形態)であった。
【0299】
【0300】
第1の樹脂は、修飾することなく使用した。
【0301】
第2の樹脂
第2の樹脂は、塩化物交換性イオンを有する強塩基性の(1型)陰イオン交換樹脂(Dowex(登録商標)1X8塩化物形態)であった。
【0302】
【0303】
第2の樹脂は、以下の実施例で使用する前に、5~10ベッド容量の4% NaOHによって少なくとも1時間にわたって樹脂を緩やかに洗浄し、続いて、流出液のpHが7±0.5になるまで、脱イオン水によって洗浄することによって、塩化物形態からヒドロオキシ形態に変換した。pHは、リトマス試験紙を使用して測定した。
【0304】
方法及び結果
約1000ppmの量の一次酸化防止安定剤BHTを含む80重量%のPOE油(POE ISO32、Emkarate RL 32-3MAF)と、20重量%のCF3Iとの配合物を、封止チューブ内に配置し、190℃で2日間にわたって加熱した。これらの条件で、冷媒及び潤滑剤の破壊を生じさせた。次いで、封止チューブを開き、油の試料を取り出した。
【0305】
次いで、試料を、陰イオン交換樹脂と共にFischer-Porterチューブ内に配置した。試料に対する乾燥樹脂の量を測定した。次いで、チューブを15℃又は50℃のいずれかで114時間(4.75日)にわたって維持した。チューブは、2時間毎に振盪して、樹脂及び試料が適切に混合することを確実にした。
【0306】
試料の全酸価(TAN)、ヨウ化物ppm、及びフッ化物ppmを、開始時(すなわち、CF3I及びPOE油の分解後、かつ樹脂との組み合わせ前)、及び終了時(すなわ
ち、樹脂との組み合わせ後、かつ15℃又は50℃で114時間の終了時)に測定した。TAN、フッ化物、及びヨウ化物の濃度を、実施例10と同じ方法に従って測定した。
【0307】
結果を下記の表21に記載する。
【0308】
【表37】
*-pphlは、潤滑剤100部当たりの重量部を意味する。
【0309】
上記の試験は、POE油及びCF3I冷媒の組成物が分解した後にそれを効果的に「復元する」陰イオン交換樹脂の能力を証明している。
【0310】
この結果は、約4pphlゼオライト又は約16pphl樹脂のいずれかを使用した場合、どちらの樹脂も、15℃及び50℃の両方において、分解試料のヨウ化物及びフッ化物レベルを低減することができたことを証明している。どちらの樹脂も、15℃よりも50℃の方が、また、約4pphlよりも約16pphlゼオライトの方が、より良好に機能した。
【0311】
第2の樹脂は、両方の温度で(すなわち、15℃及び50℃で)、かつ両方の樹脂濃度で(すなわち約4pphl、及び約16pphl樹脂で)試料のTANを低減することができた。
【0312】
実施例22
以下の2つの陰イオン樹脂を使用したことを除いて、実施例22を繰り返す:
A-以下の特性を有する、Amberlyst A21(遊離塩基)の商品名で販売されている産業グレードの弱塩基陰イオン交換樹脂:
【0313】
【0314】
B-以下の特性を有する、Amberlyst A22の商品名で販売されている産業グレードの弱塩基陰イオン交換樹脂:
【0315】
【0316】
これらの樹脂の各々は、上記の材料を除去及び/又は低減するのに効果的であることが分かった。
【0317】
実施例23
封鎖材料として作用する陰イオン交換樹脂及びゼオライトの組み合わせの能力を試験した。
【0318】
陰イオン交換樹脂
樹脂は、水酸基交換性イオン(Dowex(登録商標)Marathon(商標)A、水酸化物形態)を有する強塩基性(1型)陰イオン交換樹脂であった。
【0319】
【0320】
樹脂は、修飾することなく使用した。
【0321】
ゼオライト
試験したゼオライトは、Honeywell UOPから入手可能なUPO IONSIV D7310-Cであった。開口部は、約15~約35Åのそれらの最大寸法全体にわたるサイズを有する。
【0322】
方法及び結果
約1000ppmの量の一次酸化防止安定剤BHTを含む80重量%のPOE油(POE ISO32、Emkarate RL 32-3MAF)と、20重量%のCF3Iとの配合物を、封止チューブ内に配置し、175℃で2日間にわたって加熱した。これらの条件で、冷媒及び潤滑剤の破壊を生じさせた。次いで、封止チューブを開き、油(すなわち、潤滑剤)の試料を取り出した。
【0323】
次いで、潤滑剤試料を、陰イオン交換樹脂及びゼオライトの組み合わせと共にFischer-Porterチューブ内に配置した。試料に対する乾燥樹脂及びゼオライトの量を測定した。次いで、チューブを、約50℃で192時間(8日)にわたって維持した。チューブは、2時間毎に振盪して、樹脂及び試料が適切に混合することを確実にした。
【0324】
油の全酸価(TAN)、ヨウ化物ppm、及びフッ化物ppmを、開始時(すなわち
、CF3I及びPOE油の分解後、かつ樹脂及びゼオライトとの組み合わせ前)、及び終了時(すなわち、樹脂及びゼオライトとの組み合わせ後、かつ50℃で192時間の終了時)に測定した。TAN、フッ化物、及びヨウ化物の濃度を、実施例1と同じ方法に従って測定した。
【0325】
結果を下記の表23に記載する。
【0326】
【0327】
上記の試験は、POE油及びCF3I冷媒の組成物が分解した後にそれを効果的に「復元する」陰イオン交換樹脂及びゼオライトの組み合わせの能力を証明している。この結果は、異なる比率の陰イオン交換樹脂及びゼオライトを使用した場合、どちらの樹脂も、50℃において、分解試料のヨウ化物及びフッ化物レベルを低減することができたことを証明している。ゼオライト対イオン交換重量25:75は、試料のTANの最大の低減を示し、更に、ヨウ化物及びフッ化物含有量(ppm)の最高の減少を示した。
【0328】
実施例24
処理されている熱伝達組成物の百分率でのゼオライトの量の関数として、フッ化物、ヨウ化物の除去、及びTAN低減しのレベルを研究した。
【0329】
試験したゼオライトは、Honeywell UOPから入手可能なUPO IONSIV D7310-Cであった。開口部は、約15~約35Åのそれらの最大寸法全体にわたるサイズを有する。
【0330】
約1000ppmの量の一次酸化防止安定剤BHTを含む80重量%のPOE油(POE ISO32、Emkarate RL 32-3MAF)と、20重量%のCF3Iとの配合物を、封止チューブ内に配置し、175℃で2日間にわたって加熱した。これらの条件で、冷媒及び潤滑剤の破壊を生じさせた。次いで、封止チューブを開き、油の試料を取り出した。
【0331】
次いで、前述の段落に従って、破壊後に生成された潤滑剤試料の一部分を、5つのParrセルに充填し、セルの各々は、セル内に配置された潤滑剤の重量に基づいて、異なる量(重量による)のゼオライトを有する。次いで、Parrセルを50℃に維持し、各セル内の材料を15日にわたって24時間毎に試験した。Parrセルは、毎日振盪して、ゼオライト及び潤滑剤が適切に混合することを確実にした。
【0332】
油の全酸価(TAN)、ヨウ化物ppm、及びフッ化物ppmを、開始時(すなわち、CF3I及びPOE油の分解後、かつゼオライトとの組み合わせ前)に、及び15日間にわたって24時間毎に(すなわち、50℃でのゼオライトとの組み合わせ後)に測定し
た。
【0333】
試験の結果を下記の表5に記載する:
【0334】
【0335】
上記の試験は、潤滑剤、特定のPOE油、及びCF3I冷媒の組成物が分解した後にそれを効果的に「復元する」ゼオライトの能力を証明している。
【0336】
この結果は、10pphlを超える量のゼオライトが、ヨウ化物レベルを検出不能限度まで低減する際により効果的であること、及び5pphlを超えるゼオライト材料の量が、フッ化物レベルを検出不能の限度まで低減する際により効果的であることを示している。この結果はまた、15pphlを超えるゼオライトの量が、TANを低減する際に最も効果的であることも示している。
【0337】
実施例25-好ましいイオン交換材料
封鎖材料として作用する産業グレードの弱塩基陰イオン交換吸着材樹脂Amberlyst A21(遊離塩基)の能力を試験した。弱塩基アニオン樹脂は、遊離塩基形態であり、第三級アミン(無荷電)によって官能化される。第三級アミンは、窒素上に1対の自由孤立電子を含み、酸の存在下で容易にプロトン化される。イオン交換樹脂は、酸によってプロトン化され、次いで、任意の追加的な種を溶液中に戻すことに寄与することなく、完全に酸を除去するために、陰イオンの対イオンを引き付け、結合する。
【0338】
出願人らは、Amberlyst A21が、本発明に従って使用するための優れた材料であることを見出した。この材料は、マクロ多孔性構造を有し、この構造は、本方法及びシステムにおいて、物理的に非常に安定しており、かつ破損に抵抗し、また、寿命にわたって、冷凍システムの高い流速に耐えることができる。
【0339】
実施例26
封鎖材料として作用する産業グレードの弱塩基陰イオン交換吸着材樹脂Amberlyst A21(遊離塩基)の能力を試験した。弱塩基アニオン樹脂は、遊離塩基形態であり、第級アミン(無荷電)によって官能化される。三級アミンは、窒素上に1対の自由孤立電子を含み、酸の存在下で容易にプロトン化される。イオン交換樹脂は、酸によってプロトン化され、次いで、任意の追加的な種を溶液中に戻すことに寄与することなく、完全に酸を除去するために、陰イオンの対イオンを引き付け、結合する。Amberlyst A21のマトリックスは、マクロ多孔性である。そのマクロ多孔性構造は、物理的に非常に安定しており、かつ破損に抵抗する。また、寿命にわたって、冷凍システムの高い流速に耐えることができる。以下の特性を有する、Amberlyst A21(遊離塩基)の商品名で販売されている産業グレードの弱塩基陰イオン交換樹脂:
【0340】
【0341】
約1000ppmの量の一次酸化防止安定剤BHTを含む80重量%のPOE油(POE ISO32、Emkarate RL 32-3MAF)と、20重量%のCF3Iとの混合物を、シリンダ内に配置し、175℃で2日間にわたって加熱した。これらの条件で、冷媒及び潤滑剤の破壊を生じさせた。次いで、シリンダを開き、油の試料を取り出した。
【0342】
次いで、試料を、Amberlyst A21と共にParrセル内に配置した。試料に対する乾燥Amberlyst A21の量を測定した。次いで、Parrセルを50℃のいずれかで20日間にわたって維持した。セルは、毎日振盪して、Amberlyst A21及び試料を適切に混合することを確実にした。
【0343】
試料の全酸価(TAN)、ヨウ化物ppm、及びフッ化物ppmを、開始時(すなわち、CF3I及びPOE油の分解後、かつAmberlyst A21との組み合わせ前)、及び終了時(すなわち、Amberlyst A21との組み合わせ後)に測定した。TAN、フッ化物、及びヨウ化物の濃度を、本明細書に記載される方法に従って測定した。
【0344】
試験の結果を表26に記載する。
【0345】
【0346】
上記の試験は、POE油及びCF3I冷媒の組成物が分解した後にそれを効果的に「復元する」Amberlyst A21の能力を証明している。
【0347】
この結果は、30重量%以上のAmberlyst A21を使用した場合に、Amberlyst A21が、50℃において、ヨウ化物及びフッ化物のレベルを分解試料の検出可能レベル未満に低減することができたことを証明している。
【0348】
実施例27
封鎖材料として作用する産業グレードの弱塩基陰イオン交換吸着材樹脂Amberl
yst A22(遊離塩基)の能力を試験した。弱塩基アニオン樹脂は、遊離塩基形態であり、第三級アミン(無荷電)によって官能化される。第三級アミンは、窒素上に1対の自由孤立電子を含み、酸の存在下で容易にプロトン化される。イオン交換樹脂は、酸によってプロトン化され、次いで、任意の追加的な種を溶液中に戻すことに寄与することなく、完全に酸を除去するために、陰イオンの対イオンを引き付け、結合する。そのマクロ多孔性構造は、物理的に非常に安定しており、かつ破損に抵抗する。また、寿命にわたって、冷凍システムの高い流速に耐えることができる。以下の特性を有する、Amberlyst A22の商品名で販売されている産業グレードの弱塩基陰イオン交換樹脂:
【0349】
【0350】
約1000ppmの量の一次酸化防止安定剤BHTを含む80重量%のPOE油(POE ISO32、Emkarate RL 32-3MAF)と、20重量%のCF3Iとの混合物を、シリンダ内に配置し、175℃で2日間にわたって加熱した。これらの条件で、冷媒及び潤滑剤の破壊を生じさせた。次いで、シリンダを開き、油の試料を取り出した。
【0351】
次いで、試料を、Amberlyst A22と共にParrセル内に配置した。試料に対する乾燥Amberlyst A22の量を測定した。次いで、Parrセルを50℃のいずれかで20日間にわたって維持した。セルは、毎日振盪して、Amberlyst A22及び試料を適切に混合することを確実にした。
【0352】
試料の全酸価(TAN)、ヨウ化物ppm、及びフッ化物ppmを、開始時(すなわち、CF3I及びPOE油の分解後、かつAmberlyst A22との組み合わせ前)、及び終了時(すなわち、Amberlyst A22との組み合わせ後)に測定した。TAN、フッ化物、及びヨウ化物の濃度を、本明細書に記載される方法に従って測定した。
【0353】
試験の結果を表27に記載する。
【0354】
【0355】
上記の試験は、POE油及びCF3I冷媒の組成物が分解した後にそれを効果的に「復元する」Amberlyst A22の能力を証明している。
【0356】
この結果は、10重量%及び30重量%のAmberlyst A22を使用した場合、Amberlyst A22が、50℃において、分解試料のヨウ化物及びフッ化物レベルを低減することができたことを証明している。
【0357】
実施例28
封鎖材料として作用する産業グレードの弱塩基陰イオン交換吸着材樹脂Amberlite IRA96の能力を試験した。弱塩基アニオン樹脂は、遊離塩基形態であり、第三級アミン(無荷電)によって官能化される。第三級アミンは、窒素上に1対の自由孤立電子を含み、酸の存在下で容易にプロトン化される。イオン交換樹脂は、酸によってプロトン化され、次いで、任意の追加的な種を溶液中に戻すことに寄与することなく、完全に酸を除去するために、陰イオンの対イオンを引き付け、結合する。そのマクロ多孔性構造は、物理的に非常に安定しており、かつ破損に抵抗する。また、寿命にわたって、冷凍システムの高い流速に耐えることができる。この樹脂の高い多孔性は、大きい有機分子の効率的な吸着を可能にする。以下の特性を有する、Amberlite IRA96の商品名で販売されている産業グレードの弱塩基陰イオン交換樹脂:
【0358】
【0359】
約1000ppmの量の一次酸化防止安定剤BHTを含む80重量%のPOE油(POE ISO32、Emkarate RL 32-3MAF)と、20重量%のCF3Iとの混合物を、シリンダ内に配置し、175℃で2日間にわたって加熱した。これらの条件で、冷媒及び潤滑剤の破壊を生じさせた。次いで、シリンダを開き、油の試料を取り出した。
【0360】
次いで、試料を、Amberlite IRA96と共にParrセル内に配置した。試料に対する乾燥Amberlite IRA96の量を測定した。次いで、Parrセルを50℃のいずれかで20日間にわたって維持した。セルは、毎日振盪して、Amberlite IRA96及び試料を適切に混合することを確実にした。
【0361】
試料の全酸価(TAN)、ヨウ化物ppm、及びフッ化物ppmを、開始時(すなわち、CF3I及びPOE油の分解後、かつAmberlite IRA96との組み合わせ前)、及び終了時(すなわち、Amberlite IRA96との組み合わせ後)に測定した。TAN、フッ化物、及びヨウ化物の濃度を、本明細書に記載される方法に従って測定した。
【0362】
試験の結果を表28に記載する。
【0363】
【0364】
上記の試験は、POE油及びCF3I冷媒の組成物が分解した後にそれを効果的に「復元する」Amberlite IRA96の能力を証明している。
【0365】
この結果は、30重量%以上のAmberlite IRA96を使用した場合に、Amberlite IRA96が、50℃において、ヨウ化物及びフッ化物のレベルを分解試料の検出可能レベル未満に低減することができたことを証明している。
【0366】
実施例29
封鎖材料として作用する産業グレードの活性アルミナF200の能力を試験した。
【0367】
約1000ppmの量の一次酸化防止安定剤BHTを含む80重量%のPOE油(POE ISO32、Emkarate RL 32-3MAF)と、20重量%のCF3Iとの混合物を、シリンダ内に配置し、175℃で2日間にわたって加熱した。これらの条件で、冷媒及び潤滑剤の破壊を生じさせた。次いで、シリンダを開き、油の試料を取り出した。
【0368】
次いで、試料を、産業グレードの活性アルミナF200と共にParrセル内に配置した。試料に対する活性アルミナの量を測定した。次いで、Parrセルを50℃のいずれかで20日間にわたって維持した。セルは、毎日振盪して、試料の適切な混合を確実にした。
【0369】
試料の全酸価(TAN)、ヨウ化物ppm、及びフッ化物ppmを、開始時(すなわち、CF3I及びPOE油の分解後、かつF200への曝露前)、及び終了時(すなわち、かつF200への曝露後)に測定した。TAN、フッ化物、及びヨウ化物の濃度を、本明細書に記載される方法によって測定した。
【0370】
試験の結果を表29Aに記載する。
【0371】
【0372】
実施例30
封鎖材料としてのAmberlyst A21及びゼオライトIONSIV D73
10-Cの組み合わせの能力を試験した。
【0373】
約1000ppmの量の一次酸化防止安定剤BHTを含む80重量%のPOE油(POE ISO32、Emkarate RL 32-3MAF)と、20重量%のCF3Iとの混合物を、シリンダ内に配置し、175℃で2日間にわたって加熱した。これらの条件で、冷媒及び潤滑剤の破壊を生じさせた。次いで、シリンダを開き、油の試料を取り出した。
【0374】
次いで、試料を、封鎖材料と共にParrセル内に配置した。試料に対する封鎖材料の量は、20重量%であった。次いで、Parrセルを50℃のいずれかで20日間にわたって維持した。セルは、毎日振盪して、試料の適切な混合を確実にした。
【0375】
試料の全酸価(TAN)、ヨウ化物ppm、及びフッ化物ppmを、開始時(すなわち、CF3I及びPOE油の分解後、かつ封鎖材料への曝露前)、及び終了時(すなわち、かつ封鎖材料への曝露後)に測定した。TAN、フッ化物、及びヨウ化物の濃度を、本明細書に記載される方法によって測定した。試験の結果を表30に記載する。
【0376】
【0377】
本発明は好ましい組成物を参照して記載されているが、本発明の範囲を逸脱することなく、様々な変更を行うことができ、その要素に相当する等価物に置換することができることが当業者によって理解されよう。更に、特定の状況又は材料に適合させために、本発明の必須の範囲を逸脱することなく、本発明の教示に対する多くの修正を行うことができる。したがって、本発明は、開示される特定の組成物に限定されるのではなく、本発明は、添付の特許請求の範囲又は後に追加される任意の特許請求の範囲に含まれる全ての組成物を含むことが意図される。
【0378】
番号付けした実施形態1
少なくとも約97重量%の以下の3つの化合物を含む冷媒であって、各化合物が以下の相対百分率で存在する、冷媒:
39~45重量%のジフルオロメタン(HFC-32)、
1~4重量%のペンタフルオロエタン(HFC-125)、及び
51~57重量%のトリフルオロヨードメタン(CF3I)。
【0379】
番号付けした実施形態2
3つの化合物の冷媒が、
約41~約43重量%のジフルオロメタン(HFC-32)、
1~4重量%のペンタフルオロエタン(HFC-125)、及び
約53~約56重量%のトリフルオロヨードメタン(CF3I)である、番号付けした実施形態1に記載の冷媒。
【0380】
番号付けした実施形態3
3つの化合物の冷媒が、
41重量%±1重量%のジフルオロメタン(HFC-32)、
3.5重量%±0.5重量%のペンタフルオロエタン(HFC-125)、及び
55.5重量%±0.5重量%のトリフルオロヨードメタン(CF3I)である、番号付けした実施形態1に記載の冷媒。
【0381】
番号付けした実施形態4
3つの化合物の冷媒が、
41重量%のジフルオロメタン(HFC-32)、
3.5重量%のペンタフルオロエタン(HFC-125)、及び
55.5重量%のトリフルオロヨードメタン(CF3I)である、番号付けした実施形態1に記載の冷媒。
【0382】
番号付けした実施形態5
冷媒が、少なくとも約98.5重量%の当該3つの化合物を含む、番号付けした実施形態1~4に記載の冷媒。
【0383】
番号付けした実施形態6
冷媒が、少なくとも約99.5重量%の当該3つの化合物を含む、番号付けした実施形態1~4に記載の冷媒。
【0384】
番号付けした実施形態7
39~45重量%のジフルオロメタン(HFC-32)と、
1~4重量%のペンタフルオロエタン(HFC-125)と、
51~57重量%のトリフルオロヨードメタン(CF3I)と、から本質的になる冷媒。
【0385】
番号付けした実施形態8
約41~約43重量%のジフルオロメタン(HFC-32)と、
1~4重量%のペンタフルオロエタン(HFC-125)と、
約53~約56重量%のトリフルオロヨードメタン(CF3I)と、から本質的になる請求項7に記載の冷媒。
【0386】
番号付けした実施形態9
41重量%±1重量%のジフルオロメタン(HFC-32)と、
3.5重量%±0.5重量%のペンタフルオロエタン(HFC-125)と、
55.5重量%±0.5重量%のトリフルオロヨードメタン(CF3I)と、から本質的になる番号付けした実施形態7又は番号付けした実施形態8に記載の冷媒。
【0387】
番号付けした実施形態10
41重量%のジフルオロメタン(HFC-32)と、
3.5重量%のペンタフルオロエタン(HFC-125)と、
55.5重量%のトリフルオロヨードメタン(CF3I)と、から本質的になる番号付けした実施形態7又は番号付けした実施形態8に記載の冷媒。
【0388】
番号付けした実施形態11
39~45重量%のジフルオロメタン(HFC-32)と、
1~4重量%のペンタフルオロエタン(HFC-125)と、
51~57重量%のトリフルオロヨードメタン(CF3I)と、からなる冷媒。
【0389】
番号付けした実施形態12
約41~約43重量%のジフルオロメタン(HFC-32)と、
1~4重量%のペンタフルオロエタン(HFC-125)と、
約53~約56重量%のトリフルオロヨードメタン(CF3I)と、からなる番号付けした実施形態11に記載の冷媒。
【0390】
番号付けした実施形態13
41重量%±1重量%のジフルオロメタン(HFC-32)と、
3.5重量%±0.5重量%のペンタフルオロエタン(HFC-125)と、
55.5重量%±0.5重量%のトリフルオロヨードメタン(CF3I)と、からなる番号付けした実施形態11又は番号付けした実施形態12に記載の冷媒。
【0391】
番号付けした実施形態14
41重量%のジフルオロメタン(HFC-32)と、
3.5重量%のペンタフルオロエタン(HFC-125)と、
55.5重量%のトリフルオロヨードメタン(CF3I)と、からなる番号付けした実施形態11又は番号付けした実施形態12に記載の冷媒。
【0392】
番号付けした実施形態15
番号付けした実施形態1~14のいずれか1つの冷媒を含む、熱伝達組成物。
【0393】
番号付けした実施形態16
冷媒が、組成物の40重量%超を構成する、番号付けした実施形態15に記載の熱伝達組成物。
【0394】
番号付けした実施形態17
冷媒が、組成物の50重量%超を構成する、番号付けした実施形態15に記載の熱伝達組成物。
【0395】
番号付けした実施形態18
冷媒が、組成物の60重量%超を構成する、番号付けした実施形態15に記載の熱伝達組成物。
【0396】
番号付けした実施形態19
冷媒が、組成物の70重量%超を構成する、番号付けした実施形態15に記載の熱伝達組成物。
【0397】
番号付けした実施形態20
冷媒が、組成物の80重量%超を構成する、番号付けした実施形態15に記載の熱伝達組成物。
【0398】
番号付けした実施形態21
冷媒が、組成物の90重量%超を構成する、番号付けした実施形態15に記載の熱伝達組成物。
【0399】
番号付けした実施形態22
当該熱伝達組成物が、アルキル化ナフタレン安定化剤を更に含む、番号付けした実施形態15~21のいずれか1つに記載の熱伝達組成物。
【0400】
番号付けした実施形態23
当該熱伝達組成物が、フェノール系化合物を含む安定化剤を更に含む、番号付けした実施形態15~22のいずれか1つに記載の熱伝達組成物。
【0401】
番号付けした実施形態24
当該熱伝達組成物が、エポキシドを含む安定化剤を更に含む、番号付けした実施形態22~23に記載の熱伝達組成物。
【0402】
番号付けした実施形態25
フェノール化合物が、0を超える、好ましくは0.0001重量%~約5重量%、より好ましくは0.001重量%~約2.5重量%、最も好ましくは0.01%~約1重量%の量で熱伝達組成物中に提供される、番号付けした実施形態24のいずれか1つに記載の熱伝達組成物。
【0403】
番号付けした実施形態26
フェノール化合物が、BHTであり、当該BHTが、熱伝達組成物の重量に基づいて、約0.0001重量%~約5重量%の量で存在する、番号付けした実施形態25に記載の熱伝達組成物。
【0404】
番号付けした実施形態27
ポリオールエステル(POE)、鉱油、及びアルキルベンゼン(AB)から選択される潤滑剤を更に含む、番号付けした実施形態26に記載の熱伝達組成物。
【0405】
番号付けした実施形態28
潤滑剤が、ポリオールエステル(POE)である、番号付けした実施形態27に記載の熱伝達組成物。
【0406】
番号付けした実施形態29
蒸発器、凝縮器、及び圧縮機を備える熱伝達システムにおける冷却方法であって、プロセスが、i)番号付けした実施形態21~29のいずれか1つに記載の熱伝達組成物を凝縮する工程と、ii)冷却される本体又は物品の付近で組成物を蒸発させる工程と、を含み、熱伝達システムの蒸発器温度が、約-40℃~約-10℃の範囲内である、冷却方法。
【0407】
番号付けした実施形態30
蒸発器、凝縮器、及び圧縮機を備える熱伝達システムにおける加熱方法であって、プロセスが、i)番号付けした実施形態21~29のいずれか1つに記載の熱伝達組成物を、加熱される本体又は物品の付近で凝縮する工程と、ii)組成物を蒸発させる工程と、を含み、熱伝達システムの蒸発器温度が、約-20℃~約3℃の範囲内である、方法。
【0408】
番号付けした実施形態31
蒸発器、凝縮器、及び圧縮機を備える熱伝達システムにおける加熱方法であって、プロセスが、i)番号付けした実施形態21~29のいずれか1つに記載の熱伝達組成物を、加熱される本体又は物品の付近で凝縮する工程と、ii)組成物を蒸発させる工程と、を含み、熱伝達システムの蒸発器温度が、約-30℃~約5℃の範囲内である、方法。
【0409】
番号付けした実施形態32
蒸発器、凝縮器、及び圧縮機を備える熱伝達システムにおける冷却方法であって、プロセスが、i)番号付けした実施形態21~29のいずれか1つに記載の熱伝達組成物を凝縮する工程と、ii)冷却される本体又は物品の付近で組成物を蒸発させる工程と、を含み、熱伝達システムは、冷凍システムである、方法。
【0410】
番号付けした実施形態33
冷凍システムが、低温冷凍システム又は中温冷凍システムである、番号付けした実施形態32に記載の方法。
【0411】
番号付けした実施形態34
冷凍システムが、低温冷凍システムである、番号付けした実施形態33に記載の方法。
【0412】
番号付けした実施形態35
冷凍システムが、中温冷凍システムである、番号付けした実施形態33に記載の方法。
【0413】
番号付けした実施形態36
冷凍システムが、(約-12~約0℃の範囲、特に約-8℃の蒸発器温度を有する)中温冷凍システムである、番号付けした実施形態35に記載の方法。
【0414】
番号付けした実施形態37
冷凍システムが、(約-40~約-12℃の範囲、特に約-23℃、又は好ましくは-32℃の蒸発器温度を有する)低温冷凍システムである、番号付けした実施形態34に記載の方法。
【0415】
番号付けした実施形態38
熱伝達システムに含有される既存の冷媒を置き換える方法であって、当該システムから、R-410aである当該既存の冷媒の少なくとも一部分を取り除くことと、当該システムに、番号付けした実施形態1~14のうちのいずれか1つに記載の冷媒、又は番号付けした実施形態21~29のうちのいずれか1つに記載の熱伝達組成物を導入することにより、当該既存の冷媒の少なくとも一部分を置き換えることと、を含む方法。
【0416】
番号付けした実施形態39
既存のR410A冷媒の一部分が、システムからのR410Aの少なくとも約5重量%である、番号付けした実施形態38に記載の方法。
【0417】
番号付けした実施形態40
既存のR-410A冷媒の一部分が、システムからのR-410Aの少なくとも約50重量%である、番号付けした実施形態38に記載の方法。
【0418】
番号付けした実施形態41
既存のR-410A冷媒の一部分が、システムからのR-410Aの約100重量%である、番号付けした実施形態38に記載の方法。
【0419】
番号付けした実施形態42
空調システムにおける、番号付けした実施形態1~14のいずれか1つに記載の冷媒の使用。
【0420】
番号付けした実施形態43
空調システムが、住宅用空調システムである、番号付けした実施形態42に記載の使用。
【0421】
番号付けした実施形態44
空調システムが、住宅用ヒートポンプである、番号付けした実施形態42に記載の使用。
【0422】
番号付けされた実施形態45
空調システムが、冷却器である、番号付けした実施形態58に記載の使用。
【0423】
番号付けした実施形態46
当該冷媒が、
(a)R410Aの効率性と一致するか又はR410Aの効率性を超えるCOPを有し、
(b)R410Aの能力の90%を超える能力を有する、番号付けした実施形態1~14のいずれか1つに記載の冷媒。
【0424】
番号付けした実施形態47
冷媒が、システム中のR410A冷媒を置き換えるために提供される、番号付けした実施形態46に記載の冷媒。
【0425】
番号付けした実施形態48
冷媒が、R-410A冷媒を置き換えるために冷媒が使用される熱伝達システムにおいて、R-410Aよりも、10℃以上高くない吐出温度を有する、番号付けした実施形態47に記載の冷媒。
【0426】
番号付けした実施形態49
冷媒が、R-410A冷媒を置き換えるために冷媒が使用される熱伝達システムにおいて、R-410Aの圧縮機圧力比の95~105%の圧縮機圧力比を有する、番号付けした実施形態48に記載の冷媒。
【0427】
番号付けした実施形態50
100年の期間にわたって427以下のGWPを有する、番号付けした実施形態1~14又は46~49のいずれか1つに記載の冷媒。
【0428】
番号付けした実施形態51
不燃性試験に従って判定される際、不燃性である、番号付けした実施形態1~14又は46~49のいずれか1つに記載の冷媒。
【0429】
番号付けした実施形態52
ASHRAE Standard 規格34-2016 Designation and Safety Classification of Refrigerantsに記載され、ASHRAE Standard 34-2016のAppendix B1に記載されている条件において、ASTM規格のE-681-2009 Standard Test Method for Concentration Limits
of Flammability of Chemicals(Vapors and
Gases)に従って判定される際、不燃性である、番号付けした実施形態1~14又は46~49のいずれか1つに記載の冷媒。
ポリオールエステル(POE)、ポリビニルエーテル(PVE)、鉱油、及びアルキルベンゼン(AB)から選択される潤滑剤を更に含む、請求項4に記載の熱伝達組成物。
アルキル化ナフタレンが、熱伝達組成物中のアルキル化ナフタレン及び潤滑剤の合計重量に基づいて0.1重量%~20重量%の量で存在する、請求項8に記載の熱伝達組成物。
アルキル化ナフタレンが、熱伝達組成物中のアルキル化ナフタレン及び潤滑剤の合計重量に基づいて0.1重量%~20重量%の量で存在し、ポリオールエステル(POE)潤滑剤をさらに含む、請求項4に記載の熱伝達組成物。
アルキル化ナフタレンが、熱伝達組成物中のアルキル化ナフタレン及び潤滑剤の合計重量に基づいて0.1重量%~20重量%の量で存在し、ポリビニルエーテル(PVE)潤滑剤をさらに含む、請求項4に記載の熱伝達組成物。
蒸発器、凝縮器、及び圧縮機を備える熱伝達システムにおける冷却方法であって、プロセスが、i)請求項1~3のいずれかに記載の冷媒を凝縮する工程と、ii)冷却される本体又は物品の付近で前記冷媒を蒸発させる工程と、を含み、前記蒸発器における前記冷媒の温度が、約-40℃~約+10℃の範囲内である、方法。
熱伝達システムに含有される既存の冷媒を置き換える方法であって、当該システムから、R-410aである当該既存の冷媒の少なくとも一部分を取り除くことと、当該システムに、請求項1~3のいずれかに記載の冷媒又は請求項4~13のいずれかに記載の熱伝達組成物を導入することにより、当該既存の冷媒の少なくとも一部分を置き換えることと、を含む方法。