(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024161377
(43)【公開日】2024-11-19
(54)【発明の名称】センサー構造体
(51)【国際特許分類】
A61B 5/1455 20060101AFI20241112BHJP
【FI】
A61B5/1455
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024114534
(22)【出願日】2024-07-18
(62)【分割の表示】P 2020036738の分割
【原出願日】2020-03-04
(31)【優先権主張番号】19160799.3
(32)【優先日】2019-03-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】513277452
【氏名又は名称】ルシオール メディカル アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Luciole Medical AG
【住所又は居所原語表記】Baslerstrasse 30,8048 Zurich,Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ユルグ ハンス フローリッヒ
(72)【発明者】
【氏名】マルコ ザーナー
(72)【発明者】
【氏名】ファビアン シュナイダー
(72)【発明者】
【氏名】デリク バウマン
(72)【発明者】
【氏名】マルクス ヒューゴー ミューサー
(57)【要約】 (修正有)
【課題】人体組織のパラメータを非侵襲的に測定するためのセンサー構造体を提供する。
【解決手段】センサー構造のセンサーユニットは、光学コンポーネントを有するフレキシブルな印刷回路基板として設計されており、それは、少なくとも人体組織内に放射され、かつそれを通過した光を検出するための光検出器、およびセンサーユニットをコンタクトヘッドに動作的に接続するための導体トラックおよび第1コンタクト手段を有する。センサー構造体のセンサーマットは、多層構造を有し、それは、人体表面上に接触するための下側コンタクト面、およびセンサーユニットとコンタクトするための上側コンタクト面を含む下部レイヤーと、センサーユニットの光学コンポーネントとアライメントされ、かつ、光路を形成する開口部が設けられ、互いから脱着可能な方法で下部レイヤーの上側コンタクト面と接続される上部レイヤーを有する。
【選択図】
図2A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人体組織のパラメータを非侵襲的に測定するためのセンサー構造体(1)であって、人体表面(20)上で、前記センサー構造体(1)を脱着可能に配置するためのセンサーマット(12)およびセンサーユニット(10)を有し、
前記センサーユニット(10)は、前記センサーユニット(10)と電気的コンタクトするように、および、光源から前記センサーユニット(10)へ光を供給するように設計されたコンタクトヘッド(16)に接続可能であり、
前記センサーユニット(10)は、
前記人体組織内に放射され、それを通過した光を検出するための少なくともひとつの光検出器(2)を有する光学コンポーネントと、
前記コンタクトヘッド(16)へ前記センサーユニット(10)を動作的に結合するための第1コンタクト手段(30)および導体トラック(5)と
を有するフレキシブルな印刷回路基板として設計されており、
前記第1コンタクト手段(30)は、磁気コンタクトエレメント(34)および電気コンタクトエレメント(36)を有し、
前記センサーマット(12)は、
前記人体表面(20)上に接触するための下側コンタクト面と、前記センサーユニット(10)をサポートするための上側コンタクト面を含む下部レイヤー(13)であって、前記センサーユニット(10)の前記光学コンポーネントに関してアライメントされ、かつ、光路を形成する開口部(15,17)が設けられている、ところの下部レイヤー(13)と、
互いから脱着可能なように、前記下部レイヤー(13)の前記上側コンタクト面に接続された上部レイヤー(14)と
を含む多層構造を有する、センサー構造体。
【請求項2】
前記センサーユニット(10)は、少なくとも隅に、補強エレメント(39)を有する、ことを特徴とする請求項1に記載のセンサー構造体(1)。
【請求項3】
前記センサーユニット(10)は、長手軸(18)に沿って伸長するボディとして設計され、前記長手軸(18)と実質的に垂直および/または沿う方向に設計されたタブ(38)を有する、ことを特徴とする請求項1または2に記載のセンサー構造体(1)。
【請求項4】
前記センサーユニット(10)の前記第1コンタクト手段(30)の前記電気的コンタクトエレメント(36)および前記磁気コンタクトエレメント(34)は、前記コンタクトヘッド(16)への接続および電気的コンタクトのために設計された、コンタクトジオメトリ(32)にしたがって配列されている、ことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載のセンサー構造体(1)。
【請求項5】
前記コンタクトヘッド(16)は、
ハウジング(40)と、
前記センサーユニット(10)の前記第1コンタクト手段(30)に対応するコンタクトジオメトリ(32)を有する、少なくとも2つのコンタクト手段(47)と、
前記ハウジング(40)内でフレキシブルであり、かつ、前記第2コンタクト手段(47)の電気コンタクトエレメント(46)へ導電接続可能である電気配線(42)と、
前記人体表面(20)に対して垂直方向に向けられたひとつの方向に、光を与えかつ誘導するための手段(44、64、70、72)と、
光放射面(22)であって、それを介して光が人体組織内に放射される、ところの光放射面(22)と
を有する、ことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載のセンサー構造体(1)。
【請求項6】
前記第2コンタクト手段(47)は、分離した環状コンポーネント(48、49)として前記コンタクトヘッド(16)の前記ハウジング(40)内に収容可能であり、前記第2コンタクト手段は、
第1コンタクトリング(48)であって、予め定められた構成で前記バネコンタクトピン(46)が第1面側に配置され、かつ、前記電気配線(42)上に設けられた嵌合部品とプラグコンタクト(50)を形成するコネクタエレメント(52)が第2面側に配置された、第1コンタクトリング(48)と、
第2コンタクトリング(49)であって、スルーホールを有し、それを通じて前記バネコンタクトピン(46)が伸長し、かつ、その第1面側に磁気コンタクトエレメント(45)が配置され、それは、前記第1コンタクト手段(30)の磁気コンタクトエレメントとコンタクト可能である、ところの第2コンタクトリングと
を有する、ことを特徴とする請求項5に記載のセンサー構造体(1)。
【請求項7】
前記手段(44、64、70、72)は、第1光源からの光を第1方向に誘導するための光ファイバーエレメント(44)、および、照射された光を前記人体表面(20)に対して垂直方向に偏向する偏向エレメント(64)を有する、ことを特徴とする請求項5または6に記載のセンサー構造体(1)。
【請求項8】
前記光ファイバーエレメント(44)は、前記ハウジング(40)内に固定されるか、または、前記ハウジング(40)内に収容可能なエレメント(60)に固定される少なくともひとつの光ファイバーを有し、その結果、光は、前記光ファイバーエレメント(44)から前記偏向エレメントへ出力される、ことを特徴とする請求項7に記載のセンサー構造体(1)。
【請求項9】
前記ハウジング(40)内に収容可能な前記偏向エレメント(64)の反射面(62)が設けられる、ことを特徴とする請求項7または8に記載のセンサー構造体(1)。
【請求項10】
前記偏向エレメント(64)は、反射面(62)としての閉じた面取り端面を有するシリンダとして設計されている、ことを特徴とする請求項9に記載のセンサー構造体(1)。
【請求項11】
前記偏向エレメント(64)は、少なくとも部分的に亜鉛メッキされたプラスチックエレメントとして製造される、ことを特徴とする請求項10に記載のセンサー構造体(1)。
【請求項12】
前記偏向エレメント(64)は、反射面(62)としての閉じた半球端面(66)を有する中空シリンダとして設計されている、ことを特徴とする請求項7から9のいずれか一項に記載のセンサー構造体(1)。
【請求項13】
前記偏向エレメント(64)は、反射材料から作られている、ことを特徴とする請求項12に記載のセンサー構造体(1)。
【請求項14】
前記手段(44、64、70、72)は、前記コンタクトヘッド(16)の前記ハウジング(40)内に収容可能な内部光源(70)および光ファイバー光学ガイド(72)として設計されている、ことを特徴とする請求項5に記載のセンサー構造体(1)。
【請求項15】
前記電気配線(42)を介して、前記センサー構造体(1)の前記少なくともひとつの光検出器(2)と電気コンタクトするエネルギー源が、前記コンタクトヘッド(16)内に設けられている、ことを特徴とする請求項5から14のいずれか一項に記載のセンサー構造体(1)。
【請求項16】
外部の制御および処理ユニットにより、前記センサー構造体(1)に対して無線データ送信が与えられる、ことを特徴とする請求項15に記載のセンサー構造体(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、センサー構造体に関し、特に、例えば脳の酸素含有量のような脳パラメータなどの人体パラメータの非侵襲的測定のためのセンサー構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
人体パラメータ、特に、脳血流の脱酸素化および酸化ヘモグロビンの濃度のような脳パラメータ、または、組織酸素飽和指数の測定用に、測定装置が、例えば、頭部表面などの人体表面に配置され、近赤外線分光計(NIRS)によって測定が実行される。
【0003】
したがって、特定の異なる波長を有する近赤外線光を照射する光源を使用し、かつ、検出光または反射光の吸光の変化を測定することによって、脱酸素化および酸化ヘモグロビンの酸素濃度の変化がモニターされる。いわゆるパルスオキシメトリと呼ばれる他の分光光度法によって、例えば、指、耳、鼻の周辺組織内の動脈酸素濃度が、検出光の拍動性光学吸光変化をモニターすることにより決定可能である。
【0004】
従来の、例えば、血中酸素含有量の非侵襲的モニタリング用のNIRSモニタリング構造体は、再利用可能なコンポーネントおよび使い捨てコンポーネントからなる。したがって、例えば、国際公開WO94/27494号には、人体表面上に配置するためのフォーム材のフレキシブルレイヤーを有する分光光学センサーが記載されており、それは、センサー要素を受設するためのサポートフレームを有する。
【0005】
欧州特許第2916716号には、人体組織のパラメータを測定するための非侵襲的測定装置が開示されており、それは、センサーユニットおよび人体部分上に脱着可能に取り付けるためのセンサーマットを有する。センサーユニットは、人体表面の方向で下側に向いたセンサー面を有するレセプタクル内に受設されたセンサー配列を有し、該センサーユニットは、カバーまたはホイルによって遮光されて閉止されている。レセプタクルは屈曲可能および/または圧縮可能なセンサーマット上に作成された対応する切り抜き内に受設され、それにより、センサーマットは、人体表面上の接触面に委ねられ、接着レイヤーによってそれに結合可能である。センサーユニット、センサーマット、およびカバーは、脱着可能な方法で互いに結合されており、それにより、センサーマットおよびカバーは使い捨て製品でありうる。よって、センサーユニットは、部分的にのみフレキシブルなレセプタクル内に受設されるセンサー構造体を有し、それは、平坦なハウジングまたは皿の形状、すなわち、ベース領域および周辺壁を有するように設計されている。センサー構造体は、電気的かつ光学的信号の入力および出力用の、その上に配置されかつそれに堅固に結合されたコンタクトユニット、電源、および外部のコントロールおよび処理ユニットおよび/または制御ユニットへの接続を有する。
【0006】
国際公開WO2012/109661号には、NIRSセンサー構造体が開示されており、それは、フレキシブルな電気回路およびコネクタ要素とともに、光源および少なくともひとつの光検出器を含むセンサー部を有する。フレキシブルな電気回路は、多層構造可能であり、通信レイヤーにおいて、コネクタエレメントとの電気的コンタクトおよびセンサー構造体の信号送信用の複数の導体トラックおよびEMIシールドを有する。コネクタエレメントは、光学インターフェースとしての光ファイバーカプラー、および電気的インターフェースとしての配線カプラーを有し、両者は、例えば、ハイブリッドコネクタ内に一体化されている。
【0007】
従来技術における測定装置は、センサーユニット用のほぼ堅固なレセプタクルのおかげで、極端に湾曲しているか、または屈曲した人体表面に配置可能な所望の柔軟性を有していない。また、センサーユニットの動作的コンタクトは、測定構造体と独立に解決されていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本願発明の目的は、人体パラメータまたは人体組織のそれぞれのパラメータを決定するための非侵襲的センサー構造体を与えることであり、それにより、製造コストが減少し、構造のフレキシビリティが増加し、かつ、動作的コンタクトが独立に設計されたセンサー構造体を与えることである。製造コストの点で、少なくとも個々のコンポーネントの再利用が考慮されるべきなので、本願発明は特に再利用可能な高価なコンポーネントを設計することを目的とする。特に、センサー構造体と人体組織表面との間の均一な接触が保証されるべきであり、センサー構造体は少なくとも部分的に再利用可能であるべきである。
【0009】
以上の目的および他の目的は、独立項に従う非侵襲的センサー構造体によって達成される。特定の実施形態および/または変形例は従属項から生じる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本願発明によれば、パラメータの非侵襲的測定用のセンサー構造体は、センサーユニットおよび脱着可能に配置するためのセンサーマット、または、一つ以上の湾曲または屈曲ボディ表面に対してセンサー構造体を取り付けるためのアタッチメントを有する。それにより、センサーユニットは、コンタクトヘッドへ結合可能であり、コンタクトヘッドはセンサーユニットと電気的にコンタクトし、かつ、光源からの光をセンサーユニットに供給するように設計されている。また、センサーユニットは、光学コンポーネントを有するフレキシブルな印刷回路基板として設計されており、人体組織内に照射されそこを通過した光を検出するための少なくとも一つの光検出器と、第1コンタクト手段と、コンタクトヘッドへセンサーユニットを動作的に接続するための導体トラックとを有し、第1コンタクト手段は、磁気コンタクトエレメントおよび電気コンタクトエレメントを有する。本願発明に従うセンサー構造体のセンサーマットは、下部レイヤーを含む多層構造を有し、下部レイヤーは、人体表面上で支持するための下側コンタクト面、センサーユニットを支持するための上側コンタクト面を有し、センサーユニットの光学コンポーネントに関してアライメントされ、かつ、光学経路を形成する開口部が設けられている。また、下部レイヤーの下側には人体表面に向けられる少なくともひとつの他のレイヤーが配置可能であり、他のレイヤーは、開口部の領域において光学的に透明部分を有し、したがって光入力または光出力部分のそれぞれに関してある種のホイルウインドウが形成される。光学的に透明とは、大量の光がそのレイヤーを通過することができることを意味し、その量は、例えば、NIRS解析用に十分な量である。一方、このレイヤーの他の領域は、光学的に不透明であってよい。代替的に、第1光学的透明レイヤーおよび対応する光路を有する他の光学的不透明レイヤーが、センサーマットの下部レイヤーの下側に配置されてもよい。光学的不透明部分、または、他の光学的不透明レイヤーは、それぞれ、ある種の絶縁層を与え、それはセンサー構造体の光学的アクティブ領域の間に配置され、したがって、例えば、横方向入射光および/またはバックグラウンド光などによる光検出の影響を防止する。光学的アクティブなコンポーネントのこのようなカバーリングは滅菌センサー構造体に関して有利な効果を有する。センサーマットはさらに、上部レイヤーを有し、それは互いに脱着可能な方法で下部レイヤーの上側コンタクト面に結合されている。センサー構造体の外観形状は、ノッチまたは入れ込みを有するように設計されており、その結果、この形状は、ほとんどの多様な人体表面上に配置可能であり、特に良好な装着感触を与える。
【0011】
センサー構造体は、互いに分離可能なコンポーネントからなり、コンタクトヘッドおよびセンサーユニットは動作的に結合した状態となり、センサーマットは結合されたセンサーユニットを試験すべき人間の肌に容易かつ安全に取り付けるように設計されている。センサーユニットおよび/またはコンタクトヘッドを再利用可能なエレメントとして設計することはより経済的であり、同時に、ヘルスケアにおける使用のための衛生状態および殺菌に関する高い要件を満足する。センサーユニットは、多層センサーマット内に収容可能であり、その個々のレイヤーは互いに分離されており、その結果その間に受設されたセンサーユニットは除去可能であり、準備工程の後に再使用可能となる。
【0012】
本願発明に従う、この種の光電子工学センサーのセンサーユニットは、フレキシブルまたはフレックスリジッド印刷回路基板として、および、フレックスプリントとして設計される。例えば、発光ダイオード、レーザーダイオード、または、複数の光源自身のような一つ以上の光源の光出力口、および、そこから離隔されフォトダイオオードとして設計された光検出器のような一つ以上のセンサー面、並びに、センサーユニットのエレメントとの間で、例えば光源からの光または電気的信号を導通するための電気的配線がセンサーユニット上に配置可能である。例えば、対応して与えられたセンサー面を介して、光源および/または電流の個々の光パルス間のそれぞれのバックグラウンド光を測定する制御ユニットのような他のエレメントが同様に設けられてよい。したがって、制御ユニットは、センサー面を介して、レーザー光パルス間の各ケースにおけるバックグラウンド光を光源に基づいて自動的に測定可能であり、それは、レーザー光パルス中に測定された光を調節するために使用される。部分的または相補的に脱着されたセンサー構造体によって、バックグラインド光が変化し、その結果、干渉信号または干渉自動メカニズムのいずれかが生成またはトリガー可能となり、それにより、発光ダイオードまたはレーザーダイオードのそれぞれが自動的にスイッチングオフされることとなる。また、制御ユニットはキャリブレーションまたは他の測定タスク用にも使用可能である。
【0013】
補助的に、さらに、温度および/または熱流束を捕捉するための手段が与えられ得る。例えば、NIRSによって試験されるべき組織の温度を決定することが予想され、それは、水吸収スペクトルの温度依存性に基づく。また、含まれるセンサー面のひとつは、例えばLEDの光源、および、決定された測定結果の放射特性に対する温度影響の検証用に、センサー構造体内に一体化された光源の温度を測定するために使用されうる。人体表面に近接して配置された光源からの熱は、患者にとって不快であることが知られており、温度が高すぎると、センサー構造体の個々のコンポーネントが故障しうる。
【0014】
好適には、異なる波長の少なくとも4つの異なる発光ダイオードまたはレーザーダイオードが光源として与えられ、それは、段階的にオンおよびオフに切り替え可能である。光源は、特に赤外光を発生または放射するべく、選択的に動作可能であり、ここで、光源は、センサー構造体内に一体化された光源として光信号を自身で生成するか、または、センサー構造体の外部の位置で光信号を生成し、光ファイバーエレメントによってセンサー構造体へ導通されるかのいずれかである。したがって、発光ダイオードまたはレーザーダイオードとして設計された一つ以上の光源は、コンタクトヘッド内に直接一体化可能であり、その結果光学カップリングポイントにおける発光ダイオードの損失が避けられる。これらの一体化光源は内部光源として設計される。
【0015】
遠隔光源からの光が試験すべき人体組織へコンタクトヘッドを介して光ファイバーによって放射されたとき、伝送損失の大部分が防止される。有利な方法で、特にセンサー構造体の外部に配置された光源、すなわち、外部光源において、試験室または血流の光源からの熱増加による影響が防止される。
【0016】
光検出器、特に、一つ以上のフォトダイオードが、センサーユニット上に配置され、その結果、これらの光検出器が、数ミリから20mmだけ光入力ポイントから離隔される。好適には、近くの検出器と呼ばれる少なくとも第1フォトダイオードから光入力ポイントまでの空間的離隔距離は、約20mmであり、遠くの検出器として設計されてよい一つ以上の第2フォトダイオードまでは約40mmである。光入力ポイントからの光検出器の相対的位置および離隔距離は、試験すべき対象物のサイズに基づいてよい。光検出器内のフォトダイオードの数は、アプリケーションに応じて変化してよい。複数のフォトダイオードが、対象物内の血液酸素化の異なる深度をモニターするために使用されてよく、または、アルゴリズム内で、例えば検出信号の干渉効果を補償するべく、基準検出器として使用されてもよい。
【0017】
センサーユニットは、印刷された導体トラックを有するフレキシブルまたはフレックスリジッドプリント回路基板が概してフレックスプリントとして設計され、絶縁ポリマー材料からなる基板を有し、その上または内部に埋設されたフレキシブル回路を形成する電気的導体材料のファイバーを有する。フレキシブル基板と組み合わされたフレキシブル回路は、このようなセンサーユニットの柔軟性を改善する。フレキシブル印刷回路基板として設計されたセンサーユニットは、多層構造で構成され、特に、例えば、フレキシブルな銅被覆ラミネートを有する通信レイヤー、ならびに、カバーレイヤーまたは絶縁レイヤーおよび対応する接着レイヤーを有する。センサーユニットの多層構造は、ラミネートされ、接合され、または、単一構造を形成するべく他の方法で一緒に結合されてよい。レイヤーの数もまた変更可能である。例えば、一つ以上のレイヤーが、光入力ポイントの領域および光検出器表面に関して、少なくともアライメントされた光学的透明部分を有してよく、それを通じて、大量の光が通過可能である。例えば、光学的透明部分は、電気的導体の金網、例えば、銅ネットを含んでよい。センサーユニットの他の部分は光学的に透明ではなく、例えば、銅金属ホイルから作成されてよい。このように設計されたセンサーユニットは、最小重量および最小体積によって特徴付けられ、それにより、設計の自由度が大きくなり、動的かつ機械的な強度がもたらされる。
【0018】
ひとつの実施形態において、補強エレメントがセンサーユニットの少なくとも隅方向に与えられる。これらの補強エレメントは、補強材とも呼ばれ、特に、ポリマー濃化剤または膨張剤の形式の堅い材料から作られた成形片として設計されてよく、それは、例えば、フォトダイオードの領域のようなフレキシブル印刷回路基板の所望の領域を硬化させる。センサーユニットの形状および均一性のさらなる補強のために、銅ネットが被織レイヤーとして与えられてよい。与えられる銅ネットは、電磁気的干渉に対するある種のシールドももたらす。
【0019】
センサーユニットは、好適には、長手軸方向に沿って伸長したボディとして設計される。センサーユニットの設計は、円形トランジスタおよび対応して成形される部品を考慮しており、その結果、センサーユニットが、例えば指の回りに配置されるような、極端な曲率または大きく屈曲して配置された場合にも、破壊点が避けられる。
【0020】
長尺ボディとして設計されたセンサーユニットは、好適にタブを有し、それは、両側面に実質的に垂直、および/または、ボディの長手軸方向に沿って伸長する。タブは、ノーズとも呼ばれ、センサーユニットのボディの基本的設計とともに、センサーマット上での均一なコンタクト面を実現可能にする。光学コンポーネント、すなわち、光検出器および/またはエミッタは、例えば光学的透明面上またはセンサーマットのウインドウ上に配置されるか、または、効率的な測定のために人体表面上に直接配置される。本願発明に従うセンサーユニットの設計により、センサーユニットは、多少堅固なレセプタクル内に受設され、その後センサーマット上またはセンサーマット内で受設されるように、シリコン鋳造によってその内部に固定される必要は必ずしもない。したがって、フレキシビリティが増加する。
【0021】
ひとつの実施形態に従い、センサーユニットは、電気的コンタクト用およびコンタクトヘッドへの接続用に設計されたコンタクトジオメトリを有する第1コンタクト手段を有する。したがって、第1コンタクト手段は、センサーユニットの電源への動的接続および光源への接続、ならびに検出した信号の伝送用の接続を与える。言い換えれば、第1コンタクト手段は、カップリングエレメントまたはコネクタエレメントであり、それは、対応して設計された嵌合片へ脱着可能に結合されうる。結合は、とりわけプラグコンタクトまたはキャッチのように設計されうる。好適実施形態において、コンタクトジオメトリは、この目的のために、磁気および電気コンタクトエレメントを有する。したがって、第1コンタクト手段は、コンタクトリングとして設計可能であり、それは、(以下で詳細に説明するように)コンタクトヘッドと適切にコンタクトできるような位置でセンサーユニット上に、フレキシブルまたはフレックスリジッド印刷回路基板として設計される。特に、コンタクトリングは、コンタクトヘッド上に設けられたカウンタピースと、電気および磁気的にコンタクトするための多数のエレメントを含むPCBリングの形式を有する。したがって、結合可能なコンタクトヘッドは、センサーユニットに対して所定の方向で配置可能であることが予想される。特に、例えば、位置決めリング形式のアライメント補助具がコンタクトリング上に配置されてよく、それは、非対称形状または成形部分を通じて、結合可能なコンタクトヘッドの所定のアライメントを予め画定する。こうして、電気的および/または光学的結合用のコンタクトヘッドに結合されるケーブルは、取り付けられたセンサー構造体によって人間が邪魔されないような方向にアライメントされうる。特に、位置決めリングはセンサーユニットにコンタクト可能である。
【0022】
第1コンタクト手段は、電気的および磁気的コンタクトエレメントを含むコンタクトジオメトリを有する。特に、コンタクトエレメントはコンタクトリング上で一体化され、コンタクトジオメトリは環状面上に配列して設けられ、その結果、例えば複数の電気的コンタクトエレメント、特に、センサー面、すなわち、近くおよび/または遠くのフォトダイオード、および一つ以上の磁気的に有効なコンタクトエレメントの電気的コンタクト用のコンタクトポイントが利用可能である。磁気的に有効なコンタクトエレメントは、ティンポイントとして設計可能である。好適には、電気的かつ磁気的コンタクトエレメントは、交互シーケンスで配置され、それは、電気的コンタクトエレメントが、隣接する磁気的コンタクトエレメントの間に配置されていることを意味する。電気的コンタクトエレメントの相互作用がこれにより防止される。磁気コンタクトエレメントは、センサーユニットとコンタクトヘッドの間に確実なコンタクトが存在するように選択される。また、センサーユニットとコンタクトヘッドとの確実なコンタクトは、対応する検出手段または各制御手段によって検出および示されることが予想される。
【0023】
本願発明に従うセンサー構造体のセンサーユニットは、予め製造されたコンポーネントが、好適にはピックアンドプレースによって、互いに接触するだけのような単純な方法で製造可能である。
【0024】
動作的に結合可能なセンサーユニットおよびコンタクトヘッドは、センサーマットへ脱着可能な方法で取り付けられてよい。センサーマットはリセス、開口部、または透明ウインドウを有し、それは、センサーユニットの光学コンポーネント、すなわち、光検出デバイスおよび/またはエミッタに対応する方法で配置かつ設計される。基本的に、センサーマットは、好適に多層構造を有する長尺の平坦マットとして設計され、そこには薄い生体適合性フォーム材料から作成され、片面または両面に接着レイヤーが配置されている少なくともひとつのフォームレイヤーが含まれている。
【0025】
センサー面、すなわち、フォトダイオードの領域に、開口部もしくは経路、または透明ウインドウを有する下部レイヤーが含まれ、その下側面において、カップリング領域または光放射面(すなわちエミッタ)が、接着レイヤーによって人体表面と接触し取り付け可能である。対応する上側面も同様に接着性を有し、その結果その上に置かれるセンサーユニットは、その上に設計されたタブまたはノーズによって保持される。また、少なくともひとつの他のレイヤー、すなわち、上部レイヤーが含まれ、それは、光入力の領域、すなわち、コンタクトヘッドの領域に、たったひとつの開口部を有する。上部レイヤーは下側接着レイヤーを有し、それは、下部レイヤーの上側に接着結合し、その結果、センサーユニットはそれらの間に安定して配置されるように受設される。多層構造のセンターマットは、一回使用のユニットとして設計可能であり、すなわち、測定の後、センサー構造体が人体表面から除去され、個々のコンポーネント、すなわち、センサーユニット、センサーマットおよびコンタクトヘッドが互いに分離可能であり、センサーマットが廃棄または再利用可能である。
【0026】
好適には、センサーマットは、フレキシブルまたは曲げ可能に設計され、その結果、センサーマットは、人体表面に適応可能となり、その曲線、凸部または凹部にそれ自身を適応させる。センサーマットの設計は、例えば、ノッチおよび/または細い領域を有する外周を与え、それは、全外周に沿って設けられている。特に、外周は、センサーユニットのタブまたはノーズがセンサーマット上に配置されるところの領域内に、ウイング形状に設計されてよく、その結果センサーマットの人体表面の輪郭への単純な適用が可能になる。
【0027】
センサーマットの代替的な実施形態において、中間レイヤーが下部レイヤーおよび上部レイヤーとの間に設けられてよい。
【0028】
ひとつの実施形態において、人体パラメータを測定するべくセンサー構造体がアクティブ化され、その結果、光波および電気コンタクトとのカップリングがセンサーユニットへ接続されるコンタクトヘッドによって生じる。センサーユニットへ接続可能なコンタクトヘッドは、ハウジング、センサーユニットの第1コンタクト手段に対応するコンタクトジオメトリを有する少なくとも2つのコンタクト手段、ハウジング内に固定可能で、かつ、第2コンタクト手段の電気的コンタクトエレメントに導電接続可能な配線を有する。コンタクトヘッドは、人体表面に対して垂直の一つの方向へ光を供給し、かつ誘導する手段、およびそれを介して光が人体組織内に放射される光放射面を有する。ひとつの実施形態において、手段は、外部光源からの光を誘導するための光ファイバーエレメント、および一つの方向に導かれた光を、人体表面と垂直な方向へ偏向するための偏向エレメントを有する。偏向エレメントは、第1方向から入射した光を第2方向へ偏向するための反射面として設けられてもよく、第2方向は人体表面と実質的に垂直方向であり、その光は光放射面を介して人体組織内に放射される。
【0029】
代替的実施形態から予測されるのは、光を与えかつ誘導するための手段が、例えば、一つ以上の発光ダイオードまたはレーザーダイオードの形式で、コンタクトヘッド内に一体化された内部光源、および光学ガイドエレメントを有し、その結果、そこから放射された光が人体表面に垂直な方向に向けられ、かつ、光放射面を介して放射されるということである。したがって、この実施形態において光ファイバーは必要とされず、代わりに、内部光源から放出された光波が、光放射面を介してそこに接触する人体組織内へ光ガイドエレメントによって放射される。
【0030】
また、コンタクトヘッド内に受設されたエネルギー源が、コンタクトヘッド内に一体化された内部光源の電気的コンタクトおよび/またはコンタクトヘッドへ接続可能なセンサーユニットの電気的コンタクト用に設けられ、その結果、電気配線は、センサー構造体の少なくともひとつの光検出器の電気的コンタクト用にコンタクトヘッド内部に配設されるが、外部接続は必要ない。少なくともひとつの光検出器および/または制御ユニットから外部制御および/または処理ユニットへの信号送信、すなわち、データ送信は、無線通信によって生じてよい。
【0031】
人体表面へのコンタクトが存在しないとき、または、コンタクトヘッドがセンサーユニットに安全に接続されていないとき、設けられた制御手段は、光が放射されないことを保証する。この目的のため、制御手段はバックグラウンド光を測定するべく設けられ、バックグラウンド光は、センサー構造体の緊急スイッチオフを達成するのに使用される。バックグラウンド光の値または強度が所定の最大値を超えるとすぐに、一つ以上の光源がスイッチオフされ、センサー構造体が人体表面から、故意もしくは偶然、または部分的もしくは完全に外れたときに危険が存在しないことが確かめられる。
【0032】
電気配線、および少なくともひとつの光ファイバーを有する光ファイバー系内に設計された光サプライは、コンタクトヘッドに対して固定可能なハイブリッドケーブル系内に一体化可能である。
【0033】
本願発明に従うセンサー構造体のセンサーユニットの電気的コンタクトを与えるのは、コンタクトヘッドのハウジング内に、別個の環状コンポーネントとして収容可能な第2コンタクト手段である。ひとつの実施形態において、第2コンタクト手段は、第1の面上に配置される第1コンタクトリング、第2の面上で所定の位置に配列されたバネコンタクトピン、電気配線上に設けられた嵌合部品とプラグコンタクトを形成するコネクタエレメント、および、スルーホールを含み、かつそれを通じてバネコンタクトピンが伸長し、第1の面上に磁気コンタクトエレメントが配置され、第1コンタクト手段の磁気コンタクトエレメントとコンタクト可能となる第2コンタクトリングを有する。
【0034】
したがって、第2コンタクト手段は、第1コンタクト手段に対して相補的なコンタクトジオメトリを有するように設計される。第2コンタクト手段はリング形状、特に実質的に環状の印刷回路基板、すなわちPCBとして設計可能であり、ここで接続エレメント、好適にはバネコンタクトピンが、電気的コンタクト用に第1の面上に設けられる。接続エレメントは、それらが、第1コンタクト手段の電気的コンタクトエレメントと所定の方向でコンタクト可能であるような方法で、第2コンタクト手段のひとつの面上に構成されて配置されており、正確な向きは第2コンタクト手段の成形により与えることが可能である。第2コンタクト手段は、コンタクトヘッドまたはハウジングの下側、すなわち、人体表面とほぼ平行に配置可能である。コネクタエレメントは、バネコンタクトピンを有する第1の面とは反対側の第2の面上で、第2コンタクト手段、特にマイクロプラグ上に配置される。したがって、電気的配線は、プラグ接続を介して、バネコンタクトピンと導体コンタクト可能となる。
【0035】
また、第2コンタクト手段は、環状面上に対応する磁気エレメントの配列を有する第2コンタクトリング、および、スルーホールであって、それを通じて接続エレメント、すなわちバネコンタクトピンが挿入され、その結果それらが環状面の上に突出するように設計されたスルーホールを有する。特に、スルーホールおよび磁気エレメントは、第2リングの環状面上で交互に配置され、その結果、コンタクトヘッドと、センサーユニットの第1コンタクト手段上のカウンタピースとの間の安全な電気および磁気コンタクトが与えられる。
【0036】
外部光源を有する実施形態において、光ファイバーエレメントがコンタクトヘッドに固定可能であり、そのエレメントはハウジング内に固定されるか、または、ハウジング内に収容可能なエレメント内に固定された、少なくともひとつの光ファイバーを有する。したがって、コンタクトヘッドは、電気的コンタクトに加え、例えば遠隔の光源からの光の誘導、および試験されるべき組織内への光波のカップリングを与える。光、例えば、近赤外線は、光ファイバーエレメントに従い、第1方向に沿って方向付けられ、反射面上で偏向され、その結果、光はコンタクトヘッドの光放射面から、概して、第1の方向に垂直で、特に人体表面と垂直な第2の方向に外部へ放射される。したがって、光は、例えば、対応して設計され、かつ人体表面と直接コンタクト可能であるカップリングエレメントを介して、コンタクトヘッドからターゲットへ照射される。光ファイバーエレメントは、コンタクトヘッドのハウジング内またはその内部に収容可能な保持エレメントのボア内に受設され、かつ、その内部に保持された一つ以上の光ファイバーを有する。保持エレメントは、反射面を与える偏向エレメントと直接コンタクトしてよく、その結果光ビームは対応して偏向され、かつ、広いコンタクト面積を通じて、試験すべき組織へ実質的に垂直に放射される。例えば、偏向エレメントは、プリズムとして設計されてよい。
【0037】
偏向エレメントは、閉じた面取り端面を有するシリンダとして設計されてよい。この目的のために、偏向エレメントは、亜鉛メッキプラスチック部品として設計され、光ファイバーエレメントから放射された光波は、与えられた反射面上で光放射面の方向に偏向および/または反射される。
【0038】
代替的に、偏向エレメントは、閉じた半球端面を有する中空シリンダとして設計される。偏向エレメントは特に反射材料から作成される。それにより、光ファイバーエレメントを受設するためのボアは、半球端面において実現され、放射光は第2方向、ひいては光放射面の方向へ、半球反射面において偏向される。
【0039】
本願発明に従い、センサーユニットと相補的なコンタクトヘッドは、別個のユニットとして設計され、その結果、センサー構造体の他のコンポーネントから独立して、最適な製造が可能である。コンタクトヘッドのコンタクト手段およびセンサーユニットのコンタクト手段のみが互いに調和している。したがって、本願発明に従うセンサー構造体のセンサーユニットのコンタクトは、患者にとってできるだけ快適な方法で、入力および出力配線の方向を設計し、局所的な条件を同様に考慮して、単純な方法で実現可能である。
【0040】
本願発明の好適実施形態が図面を参照して以下で与えられるが、それは、例示的なものに過ぎず、発明を限定するものと解釈すべきではない。図面に表される発明の特徴は、単独および任意に組み合わせて、発明の開示に属するものと考慮されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【
図1】
図1は、本願発明に従う、センサー構造体の断面略示図である。
【
図2A】
図2Aは、電気的および光学的コンタクトのための第1コンタクト手段を有するフレキシブル印刷回路基板として設計された、本願発明に従うセンサー構造体のセンサーユニットを示す図である。
【
図2B】
図2Bは、
図2Aに従うセンサーユニット上に配置可能な位置決めリングを示す図である。
【
図3】
図3は、本願発明に従うセンサー構造体のセンサーマットの底面図である。
【
図4】
図4は、本願発明に従うセンサー構造体のセンサーマットの平面図である。
【
図5】
図5は、ひとつの実施形態に従うコンタクトヘッドの断面図の形式の詳細図である。
【
図6】
図6は、第2の実施形態に従うコンタクトヘッドの断面図の形式の詳細図である。
【
図7】
図7は、ひとつの実施形態に従うコンタクトヘッドの偏向エレメントの詳細図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
本願発明に従うセンサー構造体の以下の説明において、下側は、人体表面に向く側として理解され、上側は、下側と反対側として理解されるべきである。上側および下側は人体表面に対して少なくともほぼ平行であるか、少なくとも部分的に平行である。
【0043】
図1は、人体組織のパラメータを非侵襲的に測定するための本願発明に従うセンサー構造体1の構造の略示図であり、それは、センサーユニット10および人体表面20上でセンサー構造体1を脱着可能に配置するためのセンサーマット12を有する。
【0044】
図示した実施形態において、センサー構造体1は、本質的に再利用可能なセンサーユニット10、センサーマット12、およびセンサー構造体1の電気的および光学的コンタクト用のコンタクトヘッド16を有する。センサーユニット10は、コンタクトヘッド16の位置から離隔された光検出器2(センサー面ともいう)、および導体トラック5を有する。他のエレメント、例えば制御ユニットが、センサー構造体1内に与えられてよい。コンタクトヘッド16を介した光源から、または、センサーユニット10上に直接配置されるかもしくはコンタクトヘッド16内の光源(複数の発光ダイオードまたはレーザーダイオード(好適には4つのレーザーダイオードを含む)を有する)を通じて、光が、好適には時間別にパラメータを測定するために、近赤外線領域(NIRS)の異なる波長を有するそれぞれのケースで放射されうる。センサー面2として、例えばフォトダイオードが使用される。センサーユニット10は、長手軸18に沿った長尺の平坦ボディ形状として設計され、画定された外部輪郭を有し、それは、含まれるエレメントの外部輪郭および適用される人体表面と調和またはコーディネートされる。センサーユニット10は、フレキシブルな印刷回路基板として設計され、ある角度に曲げることができる。センサーユニット10は、センサーマット12上に受設され、それは、下部レイヤー13および上部レイヤー14を有する。
【0045】
下部レイヤー13は、下側に複数の開口部15を含むベース領域を有し、その開口部は光路を与える。ベース領域は人体表面20の方向に向けられる。ベース領域の下側は、人体表面20上でサポートするためのコンタクト面として設計されている。ベース領域はセンサーユニット10を完全に覆い、その外部輪郭はセンサーユニット10と調和またはコーディネートされ、特にウイングが設けられ、そのウイングは、長手軸18の両側に、長手軸と実質的に垂直に設けられている。センサーマット12の形状は、コンタクト面のサイズ、ひいては、センサー構造体1を固定するための人体表面20上のサポートのサイズを決定する。下部レイヤー13のコンタクト面上には接着レイヤーが配置されている。
【0046】
下部レイヤー13の上側は、多層センサーマット12の上部レイヤー14とコンタクトし、特に、下部レイヤー13および上部レイヤー14は、コンタクト面上で、例えば接着レイヤーを通じて、互いに対して脱着可能に接続されている。上部レイヤー14はまた開口部17を有し、それを通じてコンタクトヘッド16は少なくとも部分的に導かれる。したがって、センサーマット12の上部レイヤー14は、カバーとしてセンサーユニット10を覆う。センサーマット12は、人体表面20の輪郭と適応可能であるよう、フレキシブルに設計されている。
【0047】
センサーマット12は、一回使用ユニットとして与えられ、かつ、一回使用後に廃棄される。多層センサーマット12は少なくともひとつのフォームレイヤーを有する。
【0048】
図2Aは、センサーユニット10の略示図であり、フレキシブルまたはフレックスリジッド印刷回路基板として設計されている。センサーユニット10は、長手軸18に沿って伸長した平坦ボディ形状で設計され、そこに第1および第2光検出器2またはセンサー面2が配置されている。光検出器2は、コンタクト面22上の光カップリングポイント、または、光放射面もしくは光カップリングポイントから、異なる距離に分離配置される。分離距離はアプリケーションの環境に基づいており、図示した実施形態は、人体表面20付近のより深い人体組織を測定するための光検出器2を言及している。導体トラック5は長手軸18に沿って伸長し、それは信号送信および電気コンタクトの両方のために設計されており、コンタクトジオメトリ32を有する第1コンタクト手段30が設けられる。第1コンタクト手段30は、フレキシブルまたはフレックスリジッド印刷回路基板として設計されたセンサーユニット10と一体化して、実質的に環状に設計される。大きな環状の第1コンタクト手段30の外周上の一つ以上の領域には、例えば入れ込み形式の位置決めエレメント31が設けられている。環状の第1コンタクト手段30の形状は、
図2Bに示すように、位置決めリング33の形状を補完するように設計されている。位置決めリング33は、内周上に対応して設計された位置決めエレメント35(例えば、突起)を有し、それにより、位置決めリング33は位置決め可能となり、かつ、センサーユニット10上で所定の方向に固定可能となる。位置決めリング33により、コンタクトヘッド16はセンサーユニット10とコンタクト可能となり、位置決めリング33の形状によって所定の方向に配置可能となる。第1コンタクト手段30の環状面上には磁気コンタクトエレメント34および電気コンタクトエレメント36が、コンタクトジオメトリ32に従って配列して配置されている。電気コンタクトエレメント36は、導体トラック5を介して光検出器2を作動させるために、電気的に導通するようにコンタクトされてよい。以下で説明するように、磁気コンタクトエレメント34は、コンタクトヘッド16上に設けられた対応するカウンタピースと一緒に、コンタクトヘッド16に対してセンサーユニット10の脱着可能結合を形成する。センサーユニット10の電気コンタクトは、磁気カップリングによって与えられる。
【0049】
タブ38またはノーズが、光カップリングポイント22とともに、センサーユニット10の長尺ボディ上に、特に、光学コンポーネントの領域またはセンサー面2に形成され、そのタブは垂直方向および/または長手軸18に沿って伸長する。成形されたタブ38は、多層センサーマット12上でコンタクト面を形成する。斜視図が示されていないが、フレキシブルまたはフレックスリジッド印刷回路基板として設計されたセンサーユニット10は、補強エレメント39を有し、それは光学コンポーネントの位置において厚くなるかまたは膨らむ材料として設計されてよい。
【0050】
図3は、下側から見たセンサーマット12を示す図であり、下部レイヤー13のベース領域が見える。センサーマット12は長尺な平坦ボディとして設計され、特にそれは長手軸18に沿って伸長する。人体表面20上でサポートするためのコンタクト面を形成するベース領域は、センサーユニット10の光学コンポーネント、例えば、光カップリングポイント22および光検出器2が設けられるところの領域に複数の開口部15を有する。センサーマット12の外部輪郭は異なる形状を有してよく、特に、光学コンポーネントの領域にウイングが設けられてよい。そのウイングは符号24で示され、長手軸18に対して少なくとも部分的に垂直に伸長する。
【0051】
図4は、センサーマット12の上部レイヤー14を示し、それは外部輪郭の形状に関して、下部レイヤー13のものと実質的に対応する。しかし、上部レイヤーにおいて、コンタクト面22の領域または光カップリングポイント22に、ひとつの開口部17のみが作成され、その開口部は、下に配置される人体表面20へ照射されるべき光の光路を与える。
【0052】
図5は、センサーユニット10と動作的に結合する第1の実施形態に従うコンタクトヘッド16の詳細な断面図である。コンタクトヘッド16はハウジング40を有し、その内部には、レセプタクルまたは受設領域において(詳細に示さず)、電気配線42および光ファイバーエレメント44がフレキシブルに収納されうる。電気配線42は、第2コンタクト手段47上に設けられたバネコンタクトピン46に対して導電接続する。図示した実施形態において、バネコンタクトピン46は、第2コンタクト手段47の第1コンタクトリング48から下方に突出し、第1コンタクトリング48の反対側で、導電するように、コネクタエレメント50によって、例えば、その上に配置されたプラグ52によって電気配線42に接続される。第2コンタクトリング49が第1コンタクトリング48上に配置されてもよく、それは、スルーホール54を有し、それを介して、バネコンタクトピン46が伸長する。また、磁気エレメントまたは磁気コンタクトエレメント45が第2コンタクトリング49の下側に配置され、それは、第1コンタクト手段30(図示せず)のコンタクトジオメトリに対して相補的配列で配置されている。
【0053】
また、
図5には、光ファイバーエレメント44が保持エレメント60内に受設されかつ固定され、ハウジング40内に受設可能であることが示されており、光ファイバーエレメント44からひとつの方向に放射された光が、与えられた反射面62上で第2の方向に偏向され、または反射され、その第2の方向は第1の方向と実質的に垂直に向けられ、コンタクト面22または光カップリングポイント22を通じて人体表面20と実質的に垂直方向に出力される。反射面62は、シリンダとして設計された偏向エレメント64の閉じた面取り端面によって形成され、それはコンタクトヘッド16のハウジング40内に受設されかつ保持される。
【0054】
図6は、コンタクトヘッド16の代替的実施形態を示し、特に、発光ダイオードまたはレーザーダイオードの形式でハウジング40内に内部光源70が設けられている。センサーユニット10の第1コンタクト手段30のコンタクトジオメトリ32へのコンタクトヘッド16のコンタクトは、
図5に示す実施形態のものに対応している。具体的には、電気配線42によって電気的にコンタクト可能な内部光源70が
図6に示されている。内部光源70から出力された光(好適には異なる波長を有する光波)は、光学ガイドエレメント72に沿って人体表面20の方向に誘導される。光学ガイドエレメント72は、例えば、ポリカーボネートのような光伝送材料から作成されたシリンダとして設計可能であり、コンタクトヘッド16内に収容可能である。
【0055】
図7は、偏向エレメント64のひとつの実施形態を示す。偏向エレメント64は、コンタクトヘッド16内に収容可能であり、かつ、内部でフレキシブルな別個のエレメントとして設計される。図示した実施形態において、偏向エレメント64は、閉じた半球端面66を有する中空シリンダとして設計される。光ファイバーエレメント44用のコンタクトは、この閉じた半球端面66で実現され、その結果、光ファイバーエレメント44から出力された光は、半球構造上で反射され、光ファイバーエレメント44と実質的に垂直に偏向され、光カップリングポイント22またはコンタクト面22から人体表面20へ放射される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0056】
【特許文献1】国際公開WO94/27494公報
【特許文献2】欧州特許第2916716号公報
【特許文献3】国際公開WO2012/109661号公報
【手続補正書】
【提出日】2024-08-15
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人体組織のパラメータを非侵襲的に測定するためのセンサー構造体(1)であって、人体表面(20)上で、前記センサー構造体(1)を脱着可能に配置するためのセンサーマット(12)およびセンサーユニット(10)を有し、
前記センサーユニット(10)は、前記センサーユニット(10)と電気的にコンタクトするように、および、光源から前記センサーユニット(10)へ光を供給するように設計されたコンタクトヘッド(16)に接続可能であり、
前記センサーユニット(10)は、
前記人体組織内に放射され、それを通過した光を検出するための少なくともひとつの光検出器(2)を有する光学コンポーネントと、
前記コンタクトヘッド(16)へ前記センサーユニット(10)を、動作的に結合するための第1コンタクト手段(30)および導体トラック(5)と
を有するフレキシブルな印刷回路基板として設計されており、
前記第1コンタクト手段(30)は、環状面を有し、前記環状面に沿って複数の磁気コンタクトエレメント(34)および複数の電気コンタクトエレメント(36)が交互に配置され、
前記コンタクトヘッド(16)は、前記複数の電気コンタクトエレメント(36)に対応する複数のバネコンタクトピン(46)と、前記コンタクトヘッド(16)を前記センサーユニット(10)に接続するための第2コンタクト手段(47)を有し、前記第2コンタクト手段(47)は前記複数の磁気コンタクトエレメント(34)に対応する複数の磁気コンタクトエレメント(45)を含み、
前記センサーマット(12)は、
前記人体表面(20)上に接触するための下側コンタクト面と、前記センサーユニット(10)をサポートするための上側コンタクト面を含む下部レイヤー(13)であって、前記センサーユニット(10)の前記光学コンポーネントに関してアライメントされ、かつ、光路を形成する開口部(15,17)が設けられている、ところの下部レイヤー(13)と、
互いから脱着可能なように、前記下部レイヤー(13)の前記上側コンタクト面に接続された上部レイヤー(14)と
を含む多層構造を有する、センサー構造体。
【請求項2】
前記センサーユニット(10)は、少なくとも隅に、補強エレメント(39)を有する、ことを特徴とする請求項1に記載のセンサー構造体(1)。
【請求項3】
前記センサーユニット(10)は、長手軸(18)に沿って伸長するボディとして設計され、前記長手軸(18)と実質的に垂直および/または沿う方向に設計されたタブ(38)を有する、ことを特徴とする請求項1または2に記載のセンサー構造体(1)。
【請求項4】
前記コンタクトヘッド(16)は、
ハウジング(40)と、
前記ハウジング(40)内でフレキシブルであり、かつ、前記複数のバネコンタクトピン(46)へ導電接続可能である電気配線(42)と、
前記人体表面(20)に対して垂直方向に向けられたひとつの方向に、光を与えかつ誘導するための手段(44、64、70、72)と、
光放射面(22)であって、それを介して光が人体組織内に放射される、ところの光放射面(22)と
を有する、ことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載のセンサー構造体(1)。
【請求項5】
前記第2コンタクト手段(47)は、分離した環状コンポーネントとして第1コンタクトリング(48)および第2コンタクトリング(49)を有し、それらは前記コンタクトヘッド(16)の前記ハウジング(40)内に収容可能であり、
前記第1コンタクトリング(48)は、第1面側および第2面側を有し、予め定められた構成で前記バネコンタクトピン(46)が前記第1面側に配置され、かつ、前記電気配線(42)上に設けられた嵌合部品とプラグコンタクト(50)を形成するコネクタエレメント(52)が前記第2面側に配置されており、
前記第2コンタクトリング(49)は、スルーホール(54)を有し、それを通じて前記複数のバネコンタクトピン(46)が伸長し、かつ、その第1面側に前記複数の磁気コンタクトエレメント(45)が配置され、前記複数の磁気コンタクトエレメント(45)は、前記第1コンタクト手段(30)の前記複数の磁気コンタクトエレメント(34)とそれぞれコンタクトする、ことを特徴とする請求項4に記載のセンサー構造体(1)。
【請求項6】
前記手段(44、64、70、72)は、第1光源からの光を第1方向に誘導するための光ファイバーエレメント(44)、および、照射された光を前記人体表面(20)に対して垂直方向に偏向する偏向エレメント(64)を有する、ことを特徴とする請求項4または5に記載のセンサー構造体(1)。
【請求項7】
前記光ファイバーエレメント(44)は、前記ハウジング(40)内に固定されるか、または、前記ハウジング(40)内に収容可能なエレメント(60)に固定される少なくともひとつの光ファイバーを有し、その結果、光は、前記光ファイバーエレメント(44)から前記偏向エレメントへ出力される、ことを特徴とする請求項6に記載のセンサー構造体(1)。
【請求項8】
前記ハウジング(40)内に収容可能な前記偏向エレメント(64)の反射面(62)が設けられる、ことを特徴とする請求項6または7に記載のセンサー構造体(1)。
【請求項9】
前記偏向エレメント(64)は、反射面(62)としての閉じた面取り端面を有するシリンダとして設計されている、ことを特徴とする請求項8に記載のセンサー構造体(1)。
【請求項10】
前記偏向エレメント(64)は、少なくとも部分的に亜鉛メッキされたプラスチックエレメントとして製造される、ことを特徴とする請求項9に記載のセンサー構造体(1)。
【請求項11】
前記偏向エレメント(64)は、反射面(62)としての閉じた半球端面(66)を有する中空シリンダとして設計されている、ことを特徴とする請求項6から8のいずれか一項に記載のセンサー構造体(1)。
【請求項12】
前記偏向エレメント(64)は、反射材料から作られている、ことを特徴とする請求項11に記載のセンサー構造体(1)。
【請求項13】
前記手段(44、64、70、72)は、前記コンタクトヘッド(16)の前記ハウジング(40)内に収容可能な内部光源(70)および光ファイバー光学ガイド(72)として設計されている、ことを特徴とする請求項4に記載のセンサー構造体(1)。
【請求項14】
前記電気配線(42)を介して、前記センサー構造体(1)の前記少なくともひとつの光検出器(2)と電気コンタクトするエネルギー源が、前記コンタクトヘッド(16)内に設けられている、ことを特徴とする請求項4から13のいずれか一項に記載のセンサー構造体(1)。
【請求項15】
外部の制御および処理ユニットにより、前記センサー構造体(1)に対して無線データ送信が与えられる、ことを特徴とする請求項14に記載のセンサー構造体(1)。
【外国語明細書】