IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社の特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024161382
(43)【公開日】2024-11-19
(54)【発明の名称】固体撮像装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 25/76 20230101AFI20241112BHJP
   H04N 25/704 20230101ALI20241112BHJP
   H04N 25/40 20230101ALI20241112BHJP
   H01L 27/146 20060101ALN20241112BHJP
【FI】
H04N25/76
H04N25/704
H04N25/40
H01L27/146 E
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024115036
(22)【出願日】2024-07-18
(62)【分割の表示】P 2023081492の分割
【原出願日】2019-07-09
(31)【優先権主張番号】P 2018144065
(32)【優先日】2018-07-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】316005926
【氏名又は名称】ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001357
【氏名又は名称】弁理士法人つばさ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小野 俊明
(57)【要約】
【課題】画素と、データ出力線もしくは駆動配線との接続が適切な固体撮像装置を提供する。
【解決手段】本開示の一実施の形態に係る固体撮像装置は、複数の光電変換素子が積層された積層型光電変換素子を画素ごとに備え、複数の光電変換素子のうち、第1光電変換素子から出力された電荷に基づく画素信号を出力する第1画素回路を、第1光電変換素子ごとに備え、複数の光電変換素子のうち、第2光電変換素子から出力された電荷に基づく画素信号を出力する第2画素回路を、複数の第2光電変換素子を複数のグループに分けたときのグループごとに備え、さらに、画素信号が出力されるデータ出力線を画素列ごとに2本ずつ備える。各画素列において、一方のデータ出力線は各第1画素回路に接続され、他方のデータ出力線は各第2画素回路に接続される。各第1光電変換素子は、2つの光電変換部によって構成される。
【選択図】図19
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに異なる波長選択性を有する複数の光電変換素子が積層された積層型光電変換素子を画素ごとに備えるとともに、複数の前記光電変換素子のうち、所定の波長選択性を有する第1光電変換素子から出力された電荷に基づく画素信号を出力する第1画素回路を、前記第1光電変換素子ごとに備え、複数の前記光電変換素子のうち、前記第1光電変換素子以外の第2光電変換素子から出力された電荷に基づく画素信号を出力する第2画素回路を、複数の前記光電変換素子に含まれる複数の前記第2光電変換素子を複数のグループに分けたときの前記グループごとに備え、さらに、前記画素信号が出力されるデータ出力線を画素列ごとに2本ずつ備え、
各前記画素列において、一方の前記データ出力線は各前記第1画素回路に接続されており、他方の前記データ出力線は各前記第2画素回路に接続されており、
各第1光電変換素子は、2つの光電変換部によって構成されている
固体撮像装置。
【請求項2】
前記光電変換部に蓄積された電荷の出力を制御する制御信号が印加される駆動配線を、前記画素列ごとに2本ずつ更に備え、
各画素行において、一方の前記駆動配線は一方の前記光電変換部に接続され、他方の前記駆動配線は他方の前記光電変換部に接続されている
請求項1に記載の固体撮像装置。
【請求項3】
各前記積層型光電変換素子において、複数の前記光電変換素子のうち少なくとも1つの素子が、有機材料によって形成された光電変換層を有する
請求項1または請求項2に記載の固体撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、固体撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
有機半導体材料などの波長選択性を有する材料を用いる光電変換素子は、特定の波長帯の光を光電変換することが可能である。このような光電変換素子を固体撮像装置に用いる場合、互いに異なる波長選択性を有する複数の光電変換素子を積層した積層型光電変換素子を画素ごとに設けることが可能である(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開WO2016/121521
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述の固体撮像装置の分野では、画素と、データ出力線もしくは駆動配線との接続の最適化について、更なる検討の余地がある。従って、画素と、データ出力線もしくは駆動配線との接続が適切な固体撮像装置を提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一実施の形態に係る固体撮像装置は、互いに異なる波長選択性を有する複数の光電変換素子が積層された積層型光電変換素子を画素ごとに備える。この固体撮像装置は、複数の光電変換素子のうち、所定の波長選択性を有する第1光電変換素子から出力された電荷に基づく画素信号を出力する第1画素回路を、第1光電変換素子ごとに備える。この固体撮像装置は、複数の光電変換素子のうち、第1光電変換素子以外の第2光電変換素子から出力された電荷に基づく画素信号を出力する第2画素回路を、複数の光電変換素子に含まれる複数の第2光電変換素子を複数のグループに分けたときのグループごとに備える。この固体撮像装置は、画素信号が出力されるデータ出力線を画素列ごとに2本ずつ備える。各画素列において、一方のデータ出力線は各第1画素回路に接続されており、他方のデータ出力線は各第2画素回路に接続されている。各第1光電変換素子は、2つの光電変換部によって構成されている。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】本開示の第1の実施の形態に係る固体撮像装置の概略構成の一例を表す図である。
図2図1の画素の断面構成の一例を表す図である。
図3図1の画素およびその周辺の回路構成の一例を表す図である。
図4図1の画素およびその周辺の回路構成の一例を表す図である。
図5図1の画素およびその周辺の回路構成の一例を表す図である。
図6図3図5に記載の回路構成を簡易にまとめた図である。
図7図6の回路構成を備えた固体撮像装置におけるデータ出力の一例を表す図である。
図8図1の画素およびその周辺の回路構成の一変形例を表す図である。
図9図1の画素およびその周辺の回路構成の一変形例を表す図である。
図10図8図9に記載の回路構成を簡易にまとめた図である。
図11図10の回路構成を備えた固体撮像装置におけるデータ出力の一例を表す図である。
図12図10の回路構成の一変形例を表す図である。
図13図12の回路構成を備えた固体撮像装置におけるデータ出力の一例を表す図である。
図14図10の回路構成の一変形例を表す図である。
図15図14の回路構成の一変形例を表す図である。
図16図10の回路構成の一変形例を表す図である。
図17図16の回路構成の一変形例を表す図である。
図18図1の画素の断面構成の一変形例を表す図である。
図19図18の断面構成を備えた固体撮像装置における画素およびその周辺の回路構成の一例を表す図である。
図20図19の回路構成を備えた固体撮像装置におけるデータ出力の一例を表す図である。
図21図18の断面構成を備えた固体撮像装置における画素およびその周辺の回路構成の一例を表す図である。
図22図18の断面構成を備えた固体撮像装置における画素およびその周辺の回路構成の一例を表す図である。
図23図21図22の回路構成を備えた固体撮像装置におけるデータ出力の一例を表す図である。
図24図23の回路構成を備えた固体撮像装置におけるデータ出力の一例を表す図である。
図25】本開示の第2の実施の形態に係る固体撮像装置の概略構成の一例を表す図である。
図26図25の画素の断面構成の一例を表す図である。
図27図26の断面構成を備えた固体撮像装置における画素およびその周辺の回路構成の一例を表す図である。
図28図27の回路構成を備えた固体撮像装置におけるデータ出力の一例を表す図である。
図29図1の画素の断面構成の一変形例を表す図である。
図30図1の画素の断面構成の一変形例を表す図である。
図31図29の回路構成の一変形例を表す図である。
図32図31の回路構成を備えた固体撮像装置におけるデータ出力の一例を表す図である。
図33】上記各実施の形態およびその変形例に係る撮像装置を備えた撮像システムの概略構成の一例を表す図である。
図34】車両制御システムの概略的な構成の一例を示すブロック図である。
図35】車外情報検出部及び撮像部の設置位置の一例を示す説明図である。
図36】内視鏡手術システムの概略的な構成の一例を示す図である。
図37】カメラヘッド及びCCUの機能構成の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.第1の実施の形態(固体撮像装置)…図1図72.第1の実施の形態の変形例(固体撮像装置)
変形例A…図8図17
変形例B…図18図20
変形例C…図21図24
変形例D…図25
変形例E…図26
3.第2の実施の形態(固体撮像装置)…図27図30
4.第2の実施の形態の変形例(固体撮像装置)
変形例F…図31図32
5.適用例(撮像システム)…図33
6.応用例
応用例1…上記実施の形態およびその変形例に係る固体撮像装置を
移動体に応用した例(図34図35
応用例2…上記実施の形態およびその変形例に係る固体撮像装置を
手術システムに応用した例(図36図37
【0008】
<1.実施の形態>
[構成]
図1は、本開示の一実施の形態に係る固体撮像装置1の概略構成の一例を表す。固体撮像装置1は、複数の画素11が行列状に配置された画素領域10を備えている。図1には、行方向を示す符号としてDrが、列方向を示す符号としてDcがそれぞれ示されている。図2は、画素11の断面構成の一例を表す。図3は、画素11およびその周辺の回路構成の一例を表す。
【0009】
固体撮像装置1は、複数の画素回路12と、複数の駆動配線VOAと、複数のデータ出力線VSLとを備えている。画素回路12は、画素11から出力された電荷に基づく画素信号を出力する。駆動配線VOAは、画素11に蓄積された電荷の出力を制御する制御信号が印加される配線であり、例えば、行方向Drに延在している。データ出力線VSLは、各画素回路12から出力された画素信号をロジック回路20に出力する配線であり、例えば、列方向Dcに延在している。
【0010】
固体撮像装置1は、画素信号を処理するロジック回路20を備えている。ロジック回路20は、例えば、垂直駆動回路21、カラム信号処理回路22、水平駆動回路23およびシステム制御回路24を有している。ロジック回路20は、各画素11から得られた画素信号に基づいて出力電圧を生成し、外部に出力する。
【0011】
垂直駆動回路21は、例えば、複数の画素11を所定の単位画素行ごとに順に選択する。「所定の単位画素行」とは、同一アドレスで画素選択可能な画素行を指している。例えば、複数の画素11が1つの画素回路12を共有する場合、画素回路12を共有する複数の画素11のレイアウトが2画素行×n画素列(nは1以上の整数)となっているときには、「所定の単位画素行」は、2画素行を指している。同様に、画素回路12を共有する複数の画素11のレイアウトが4画素行×n画素列(nは1以上の整数)となっているときには、「所定の単位画素行」は、4画素行を指している。
【0012】
カラム信号処理回路22は、例えば、垂直駆動回路21によって選択された行の各画素11から出力される画素信号に対して、相関二重サンプリング(Correlated Double Sampling:CDS)処理を施す。カラム信号処理回路22は、例えば、CDS処理を施すことにより、画素信号の信号レベルを抽出し、各画素11の受光量に応じた画素データを保持する。カラム信号処理回路22は、例えば、データ出力線VSLごとにカラム信号処理部22Aを有している。カラム信号処理部22Aは、例えば、シングルスロープA/D変換器を含んでいる。シングルスロープA/D変換器は、例えば、比較器およびカウンタ回路を含んで構成されている。水平駆動回路23は、例えば、カラム信号処理回路22に保持されている画素データを順次、外部に出力する。システム制御回路24は、例えば、ロジック回路20内の各ブロック(垂直駆動回路21、カラム信号処理回路22および水平駆動回路23)の駆動を制御する。
【0013】
画素11は、例えば、図2に示したように、互いに異なる波長選択性を有する3つの光電変換素子110,120,130が積層された積層型光電変換素子を有している。つまり、固体撮像装置1は、上記積層型光電変換素子を画素11ごとに備えている。画素11は、さらに、例えば、上記積層型光電変換素子と対向する箇所にオンチップレンズ160を有している。つまり、固体撮像装置1は、オンチップレンズ160を画素11ごとに備えている。光電変換素子110は、例えば、半導体基板140上の絶縁層(絶縁層115,116および保護層117)内に形成されており、例えば、電極111、光電変換層112および電極113を、半導体基板140側からこの順に積層して構成されている。半導体基板140は、例えば、シリコン基板によって構成されている。
【0014】
光電変換素子110は、さらに、例えば、電極111と同一の層内に、電極111と離間して配置された電荷蓄積用電極114を有している。電荷蓄積用電極114は、絶縁層116を介して光電変換層112と対向して配置されている。電極111および電荷蓄積用電極114は、絶縁層115,116によって覆われており、電極111は、絶縁層116の開口を介して光電変換層112に接している。電極113は、光電変換層112および絶縁層116の表面に接して形成されたベタ膜であり、例えば、隣接する画素11の電極113と共通の層によって構成されている。
【0015】
光電変換素子110は、例えば、緑色の光(495nm以上570nm以下の範囲内の波長域の光)を吸収する光電変換層112を有しており、緑色の光に感度を有している。光電変換層112は、例えば、緑色の光を吸収する有機材料によって構成されている。そのような有機材料としては、例えば、ローダミン系色素、メラシアニン系色素、キナクリドン等が挙げられる。なお、光電変換層112は、有機材料とは異なる材料によって構成されていてもよい。絶縁層115,116および保護層117は、例えば、SiOや、SiN等によって構成されている。電極111,113は、例えば、透明導電材料によって構成されている。透明導電材料としては、例えば、ITO(Indium Tin Oxide)や、IZO(Indium Zinc Oxide)等が挙げられる。なお、光電変換層112は、有機材料に限定されるものではなく、例えば、無機材料によって構成されていてもよい。そのような無機材料としては、例えば、シリコン、セレン、アモルファスセレン、カルコパライト系化合物、III-V族化合物、化合物半導体(例えば、CdSe、CdS、ZnSe、ZnS、PbSe、PbS等)を挙げることができる。光電変換層112は、上記無機材料からなる量子ドットによって構成されていてもよい。
【0016】
光電変換素子110は、例えば、半導体基板140に設けられたコンタクトホール153等を介して、半導体基板140の裏面に設けられた配線156に接続されている。配線156は、光電変換素子110の電極111と、光電変換素子110用の画素回路12(例えば、画素回路12内の増幅トランジスタのゲート電極157)とを電気的に接続している。
【0017】
光電変換素子120,130は,例えば、半導体基板140内に形成されている。光電変換素子120は、例えば、半導体基板140の表面近傍に形成されたn型半導体領域141を光電変換層として有している。光電変換素子120は、例えば、青色の光(425nm以上495nm以下の範囲内の波長域の光)を吸収するn型半導体領域141を有しており、青色の光に感度を有している。光電変換素子120は、例えば、半導体基板140に設けられた転送トランジスタTRを介して、半導体基板140の裏面に設けられた配線に接続されている。この配線は、n型半導体領域141と、光電変換素子120用の画素回路12とを電気的に接続している。なお、図2には、光電変換素子120と電気的に接続された転送トランジスタTRのゲート電極158が例示されている。
【0018】
光電変換素子130は、例えば、半導体基板140の、n型半導体領域141よりも深い領域に形成されたn型半導体領域142を光電変換層として有している。光電変換素子130は、例えば、赤色の光(620nm以上750nm以下の範囲内の波長域の光)を吸収するn型半導体領域142を有しており、赤色の光に感度を有している。光電変換素子130は、例えば、半導体基板140に設けられた転送トランジスタTRを介して、半導体基板140の裏面に設けられた配線に接続されている。この配線は、n型半導体領域142と、光電変換素子130用の画素回路12(例えば、画素回路12内の増幅トランジスタのゲート電極159)とを電気的に接続している。
【0019】
半導体基板140は、n型半導体領域141と半導体基板140の表面との間にp+層145を有している。p+層145は暗電流の発生を抑制する。半導体基板140は、さらに、n型半導体領域141とn型半導体領域142との間に、p+層143を有している。p+層143は、さらに、n型半導体領域142の側面の一部(例えばゲート電極158近傍)を囲んでいる。p+層143は、n型半導体領域141とn型半導体領域142とを分離する。半導体基板140は、半導体基板140の裏面近傍にp+層144を有している。p+層144は暗電流の発生を抑制する。半導体基板140の裏面には、絶縁膜154が設けられており、半導体基板140の表面には、HfO膜151および絶縁膜152が積層されている。HfO膜151は、負の固定電荷を有する膜であり、このような膜を設けることによって、暗電流の発生を抑制することができる。半導体基板140の裏面には、例えば、光電変換素子110,120,130と画素回路12とを互いに電気的に接続する配線や、画素回路12などを覆う絶縁層155が形成されている。
【0020】
なお、光電変換素子110,120,130の垂直方向における配置順は、光入射方向(オンチップレンズ160側)から光電変換素子110、光電変換素子120、光電変換素子130の順であることが好ましい。これは、より短い波長の光がより入射表面側において効率良く吸収されるからである。赤色は3色の中では最も長い波長であるので、光入射面から見て光電変換素子130を最下層に位置させることが好ましい。これらの光電変換素子110,120,130の積層構造によって、1つの積層型光電変換素子が構成される。
【0021】
図4は、画素11(具体的には光電変換素子110)およびその周辺の回路構成の一例を表す。図4には、図3に記載の回路構成が斜視的に表されている。図5は、画素11(具体的には光電変換素子120,130)およびその周辺の回路構成の一例を表す。図6は、図3図5に記載の回路構成を簡易にまとめた図である。図3図6には、「所定の単位画素列」における回路構成が示されている。「所定の単位画素列」とは、1つの画素回路12が複数の画素11を共有している場合、画素回路12を共有する複数の画素11のレイアウトがm画素行×2画素列(mは1以上の整数)となっているときには、「所定の単位画素列」は、2画素列を指している。同様に、画素回路12を共有する複数の画素11のレイアウトがm画素行×4画素列(mは1以上の整数)となっているときには、「所定の単位画素列」は、4画素列を指している。
【0022】
上述したように、各画素11は、光電変換素子110,120,130を積層した構造となっており、かつ、複数の画素11は画素領域10において行列状に配置されている。このことから、複数の光電変換素子110は、画素領域10の光入射面寄りの層内において行列状に配置されており、複数の光電変換素子130は、画素領域10の、光入射面とは反対側の面寄りの層内において行列状に配置されている。さらに、複数の光電変換素子120は、画素領域10において、複数の光電変換素子110が配置されている層と、複数の光電変換素子130が配置されている層との間の層内において行列状に配置されている。
【0023】
各光電変換素子110(具体的には電極111)には、画素回路12が接続されている。各光電変換素子120には、転送トランジスタTRを介して画素回路12が接続されている。各光電変換素子130には、転送トランジスタTRを介して画素回路12が接続されている。以下では、光電変換素子110を便宜的に光電変換部11Gと称したり、さらに簡素化して光電変換部G、光電変換部G1、光電変換部G2、光電変換部G3または光電変換部G4と称したりする場合がある。また、光電変換素子120および転送トランジスタTRからなる回路を光電変換部11Bと称したり、さらに簡素化して光電変換部Bと称したりする場合がある。また、光電変換素子130および転送トランジスタTRからなる回路を光電変換部11Rと称したり、さらに簡素化して光電変換部Rと称したりする場合がある。
【0024】
画素回路12は、例えば、図3に示したように、フローティングディフュージョンFDと、リセットトランジスタRSTと、選択トランジスタSELと、増幅トランジスタAMPとを有している。フローティングディフュージョンFDは、光電変換部11G,11B,11Rから出力された電荷を一時的に保持する。リセットトランジスタRSTのソースがフローティングディフュージョンFDに接続されており、リセットトランジスタRSTのドレインが電源線VDDおよび増幅トランジスタAMPのドレインに接続されている。リセットトランジスタRSTのゲートは制御線(図示せず)を介して垂直駆動回路21に接続されている。増幅トランジスタAMPのソースが選択トランジスタSELのドレインに接続されており、増幅トランジスタAMPのゲートがフローティングディフュージョンFDに接続されている。選択トランジスタSELのソースがデータ出力線VSLを介してカラム信号処理回路22に接続されており、選択トランジスタSELのゲートが制御線(図示せず)を介して垂直駆動回路21に接続されている。なお、光電変換部11Gの電荷蓄積用電極114は、駆動配線VOAを介して垂直駆動回路21に接続されている。また、光電変換部11Gの電極113は、駆動配線VOUを介して垂直駆動回路21に接続されている。
【0025】
転送トランジスタTRは、転送トランジスタTRがオン状態となると、光電変換部11B,11Rの電荷をフローティングディフュージョンFDに転送する。リセットトランジスタRSTは、フローティングディフュージョンFDの電位を所定の電位にリセットする。リセットトランジスタRSTがオン状態となると、フローティングディフュージョンFDの電位を電源線VDDの電位にリセットする。選択トランジスタSELは、画素回路12からの画素信号の出力タイミングを制御する。増幅トランジスタAMPは、画素信号として、フローティングディフュージョンFDに保持された電荷のレベルに応じた電圧の信号を生成する。増幅トランジスタAMPは、ソースフォロア型のアンプを構成しており、光電変換部11G,11B,11Rで発生した電荷のレベルに応じた電圧の画素信号を出力する。増幅トランジスタAMPは、選択トランジスタSELがオン状態となると、フローティングディフュージョンFDの電位を増幅して、その電位に応じた電圧を、データ出力線VSLを介してカラム信号処理回路22に出力する。転送トランジスタTR、リセットトランジスタRST、増幅トランジスタAMPおよび選択トランジスタSELは、例えば、NMOSトランジスタである。画素回路12は、例えば、半導体基板140の裏面に形成されている。
【0026】
固体撮像装置1に設けられた複数の画素回路12には、光電変換部11Gに割り当てられた複数の画素回路12Gと、光電変換部11B,11Rに割り当てられた複数の画素回路12BRとが含まれている。画素回路12Gは、所定の波長選択性を有する光電変換部11Gから出力された電荷に基づく画素信号を出力する。画素回路12BRは、所定の波長選択性を有する光電変換部11B,11Rから出力された電荷に基づく画素信号を出力する。
【0027】
(光電変換部11Gと画素回路12Gとの関係)
複数の画素回路12Gは、共通する波長選択性を有する複数の光電変換部11Gごとに1つずつ設けられている。複数の画素回路12Gは、固体撮像装置1に設けられた複数の光電変換部11Gを複数のグループに分けたときのグループごとに1つずつ設けられている。各グループに含まれる光電変換部11Gの数は、各グループで共通である。
【0028】
ここで、複数の光電変換部11Gにおいて、グループは、フローティングディフュージョンFDを共有する複数の光電変換部11Gごとに設定される。例えば、4つの光電変換部11Gが1つのフローティングディフュージョンFDを共有している場合には、フローティングディフュージョンFDを共有する4つの光電変換部11Gによって1つのグループが形成される。
【0029】
一方、各駆動配線VOAは、画素回路12GおよびフローティングディフュージョンFDによって規定されるグループ単位で共有されている訳ではない。各駆動配線VOAは、画素回路12GおよびフローティングディフュージョンFDによって規定される2つのグループで共有されている。具体的には、各駆動配線VOAは、画素回路12Gの共有と対応関係にある各単位画素列において、共有する画素回路12Gが互いに異なる、グループGroup1に属する複数の光電変換部11GおよびグループGroup2に属する複数の光電変換部11Gに着目したときに、グループGroup1に属する光電変換部11Gと、グループGroup2に属する光電変換部11Gとに接続されている。
【0030】
ここで、本実施の形態では、固体撮像装置1に設けられた複数のデータ出力線VSLは、画素回路12Gの共有と対応関係にある単位画素列ごとに、2本ずつ設けられている。各単位画素列において、一方のデータ出力線VSL(VSL1)はグループGroup1に対応する画素回路12Gに接続され、他方のデータ出力線VSL(VSL2)はグループGroup2に対応する画素回路12Gに接続されている。さらに、駆動配線VOA1が接続される、グループGroup1に属する光電変換部11G(例えばG3)と、グループGroup2に属する光電変換部11G(例えばG1)とは、単位画素列と平行な方向(Dc)において、互い違いに配置されている。同様に、駆動配線VOA2が接続される、グループGroup1に属する光電変換部11G(例えばG4)と、グループGroup2に属する画素回路12G(例えばG2)とは、単位画素列と平行な方向において、互い違いに配置されている。
【0031】
(光電変換部11BRと画素回路12BRとの関係)
複数の画素回路12BRは、所定の波長選択性を有する複数の光電変換部11B,11Rごとに1つずつ設けられている。複数の画素回路12BRは、固体撮像装置1に設けられた複数の光電変換部11B,11Rを複数のグループに分けたときのグループごとに1つずつ設けられている。各グループに含まれる光電変換部11Bの数は、各グループで共通である。同様に、各グループに含まれる光電変換部11Rの数は、各グループで共通である。
【0032】
ここで、複数の光電変換部11B,11Rにおいて、グループは、配線を介して互いに接続された複数のフローティングディフュージョンFDを共有する複数の光電変換部11B,11Rごとに設定される。例えば、4つの光電変換部11Bおよび4つの光電変換部11Rが、配線を介して互いに接続された2つのフローティングディフュージョンFDを共有している場合には、その2つのフローティングディフュージョンFDを共有する4つの光電変換部11Bおよび4つの光電変換部11Rによって1つのグループが形成される。
【0033】
上述したように、固体撮像装置1に設けられた複数のデータ出力線VSLは、画素回路12Gの共有と対応関係にある単位画素列ごとに、2本ずつ設けられている。各単位画素列において、一方のデータ出力線VSL(VSL1)は、グループGroup3に対応する画素回路12BRに接続されている。ここで、グループGroup3には、配線を介して互いに接続された複数のフローティングディフュージョンFDを共有する複数の光電変換部11B,11Rが属している。つまり、グループGroup3には、互いに異なる波長選択性を有する複数の光電変換部11B,11Rが含まれている。従って、各単位画素列において、一方のデータ出力線VSL(VSL1)は、グループGroup3に対応する画素回路12BRを介して、グループGroup3に属する各光電変換部11B,11Rに接続されている。
【0034】
各単位画素列において、他方のデータ出力線VSL(VSL2)はグループGroup4に対応する画素回路12BRに接続されている。ここで、グループGroup4には、配線を介して互いに接続された複数のフローティングディフュージョンFDを共有する複数の光電変換部11B,11Rが属している。つまり、グループGroup4には、互いに異なる波長選択性を有する複数の光電変換部11B,11Rが含まれている。従って、各単位画素列において、他方のデータ出力線VSL(VSL2)は、グループGroup4に対応する画素回路12BRを介して、グループGroup4に属する各光電変換部11B,11Rに接続されている。
【0035】
グループGroup1に属する複数の光電変換部11Gと、グループGroup3に属する複数の光電変換部11B,11Rとは、画素領域10の厚さ方向において互いに正対する位置に配置されていてもよいし、画素領域10の厚さ方向において互いに正対する位置から1画素行分もしくは1画素列分だけずれた位置に配置されていてもよい。同様に、グループGroup2に属する複数の光電変換部11Gと、グループGroup4に属する複数の光電変換部11B,11Rとは、画素領域10の厚さ方向において互いに正対する位置に配置されていてもよいし、画素領域10の厚さ方向において互いに正対する位置から1画素行分もしくは1画素列分だけずれた位置に配置されていてもよい。
【0036】
[読み出し動作]
図7は、図6に記載の回路構成を備えた固体撮像装置1におけるデータ出力の一例を表す。
【0037】
まず、光電変換部11Gからの電荷の読み出しについて説明する。
【0038】
垂直駆動回路21は、電荷蓄積期間において、電極111に電位V11を印加し、電荷蓄積用電極114に電位V12が(V12>V11)を印加する。このとき、光電変換層112に入射した光は光電変換層112において光電変換され、それによって生成した正孔は、電極113から駆動配線VOUを介して垂直駆動回路21へと送出される。垂直駆動回路21は、さらに、電極111に正の電位を印加し、電極113に負の電位を印加する。これにより、光電変換によって生成した電子は、電荷蓄積用電極114に引き付けられ、光電変換層112のうち電荷蓄積用電極114の近傍に止まる。即ち、光電変換層112に電荷が蓄積される。なお、V12>V11であるが故に、光電変換層112の内部に生成した電子が、電極111に向かって移動することはない。光電変換の時間経過に伴い、光電変換層112のうち電荷蓄積用電極114の近傍の電位は、より負側の値となる。
【0039】
垂直駆動回路21は、電荷蓄積期間の後期において、リセット動作を行う。これによって、フローティングディフュージョンFDの電位がリセットされ、フローティングディフュージョンFDの電位は電源線VDDの電位となる。
【0040】
垂直駆動回路21は、リセット動作の完了後、電荷の読み出しを行う。即ち、垂直駆動回路21は、電荷転送期間において、電極111に電位V21を印加し、電荷蓄積用電極114に電位V22(V22>V21)を印加する。これにより、光電変換層112のうち電荷蓄積用電極114の近傍に止まっていた電子は、電極111、更には、フローティングディフュージョンFDへと読み出される。即ち、光電変換層112に蓄積された電荷がカラム信号処理回路22に読み出される。このように、電荷蓄積、リセット動作、電荷転送といった一連の動作を行うことにより、光電変換部11Gからの電荷の読み出しが完了する。
【0041】
次に、光電変換部11B,11Rからの電荷の読み出しについて説明する。
【0042】
n型半導体領域141に入射した光はn型半導体領域141において光電変換され、それによって生成した電荷は、n型半導体領域141内に蓄積される。このとき、垂直駆動回路21は、転送トランジスタTRのゲート電極158にオン電圧を印加する。これにより、n型半導体領域141内に蓄積された電荷は、転送トランジスタTRを介してフローティングディフュージョンFDへと読み出される。即ち、n型半導体領域141に蓄積された電荷がカラム信号処理回路22に読み出される。このようにして、光電変換部11Bからの電荷の読み出しが完了する。
【0043】
n型半導体領域141を透過し、n型半導体領域142に入射した光はn型半導体領域142において光電変換され、それによって生成した電荷は、n型半導体領域142内に蓄積される。このとき、垂直駆動回路21は、転送トランジスタTRのゲートにオン電圧を印加する。これにより、n型半導体領域142内に蓄積された電荷は、転送トランジスタTRを介してフローティングディフュージョンFDへと読み出される。即ち、n型半導体領域142に蓄積された電荷がカラム信号処理回路22に読み出される。このようにして、光電変換部11Rからの電荷の読み出しが完了する。
【0044】
垂直駆動回路21は、上述の読み出し動作を組み合わせることによって、光電変換部11G,11B,11Rからの電荷の読み出し動作を行う。垂直駆動回路21は、例えば、図6図7に示したように、第1アドレス(またはグループGroup3)の2つの光電変換部11B、および2つの光電変換部11Rおよび2つの光電変換部11Bに対して、順次、読み出し動作を行う。これにより、第1アドレスの2つの光電変換部11B、および2つの光電変換部11Rおよび2つの光電変換部11Bの電荷がデータ出力線VSL1を介してカラム信号処理回路22に順次、読み出される。
【0045】
次に、垂直駆動回路21は、例えば、図6図7に示したように、第1アドレス(またはグループGroup1)の2つの光電変換部11Gと、第2アドレス(またはグループGroup2)の2つの光電変換部11Gとに対して、順次かつ並列に、読み出し動作を行う。これにより、第1アドレスの2つの光電変換部11Gの電荷がデータ出力線VSL1を介してカラム信号処理回路22に順次、読み出されると同時に、第2アドレスの2つの光電変換部11Gの電荷がデータ出力線VSL2を介してカラム信号処理回路22に順次、読み出される。
【0046】
次に、垂直駆動回路21は、例えば、図6図7に示したように、第1アドレス(またはグループGroup3)において未読の2つの光電変換部11Rに対して、順次、読み出し動作を行う。これにより、第1アドレスにおいて未読の2つの光電変換部11Rの電荷がデータ出力線VSL1を介してカラム信号処理回路22に順次、読み出される。
【0047】
次に、垂直駆動回路21は、例えば、図6図7に示したように、第2アドレス(またはグループGroup4)の2つの光電変換部11B、2つの光電変換部11Rおよび2つの光電変換部11Bに対して、順次、読み出し動作を行う。これにより、第2アドレスの2つの光電変換部11B、2つの光電変換部11Rおよび2つの光電変換部11Bの電荷がデータ出力線VSL2を介してカラム信号処理回路22に順次、読み出される。
【0048】
次に、垂直駆動回路21は、例えば、図6図7に示したように、第1アドレス(またはグループGroup1)において未読の2つの光電変換部11Gと、第2アドレス(またはグループGroup2)において未読の2つの光電変換部11Gとに対して、順次かつ並列に、読み出し動作を行う。これにより、第1アドレスにおいて未読の2つの光電変換部11Gの電荷がデータ出力線VSL1を介してカラム信号処理回路22に順次、読み出されると同時に、第2アドレスにおいて未読の2つの光電変換部11Gの電荷がデータ出力線VSL2を介してカラム信号処理回路22に順次、読み出される。
【0049】
最後に、垂直駆動回路21は、例えば、図6図7に示したように、第2アドレス(またはグループGroup4)において未読の2つの光電変換部11Rに対して、順次、読み出し動作を行う。これにより、第2アドレスにおいて未読の2つの光電変換部11Rの電荷がデータ出力線VSL1を介してカラム信号処理回路22に順次、読み出される。このようにして、第1アドレスおよび第2アドレスの各光電変換部からの読み出し動作が完了する。その後、垂直駆動回路21は、同様の方法で繰り返し、各光電変換部からの読み出し動作を行う。このようにして、各光電変換部からの読み出し動作が完了する。
【0050】
なお、第1アドレスおよび第2アドレスの各光電変換部からの電荷読み出し手順は、図7の記載に限定されるものではない。垂直駆動回路21は、例えば、データ出力線VSL1,VSL2の双方をできるだけ同時に、読み出しに使うことができるよう、読み出し動作を行ってもよい。
【0051】
[効果]
次に、本実施の形態に係る固体撮像装置1の効果について説明する。
【0052】
本実施の形態では、各駆動配線VOAは、各単位画素列において、グループGroup1に属する光電変換部11Gと、グループに属する光電変換部11Gとに接続されている。これにより、光電変換部11Gごとに駆動配線VOAを設けた場合と比べて、駆動配線VOAの数を減らすことができる。ここで、駆動配線VOAは、積層型光電変換素子において下方に設けられた光電変換部11B,11Rに入射する光を遮る場合がある。従って、駆動配線VOAの数を減らす構成とすることにより、光電変換部11B,11Rの開口率を高くすることができる。
【0053】
また、本実施の形態では、複数のデータ出力線VSLが単位画素列ごとに2本ずつ設けられている。さらに、各単位画素列において、一方のデータ出力線VSL1はグループGroup1に対応する画素回路12(12G)に接続され、他方のデータ出力線VSL2はグループGroup2に対応する画素回路12(12G)に接続されている。これにより、例えば、グループGroup1内の光電変換部11Gの電荷と、グループGroup2内の光電変換部11Gの電荷とを同時に読み出すことが可能となる。従って、各単位画素列において、データ出力線VSLを1本しか設けない場合と比べて、高いデータ読み出し効率を実現することができる。
【0054】
また、本実施の形態では、各駆動配線VOAが接続される、グループGroup1に属する光電変換部11Gと、グループGroup2に属する光電変換部11Gとが、単位画素列と平行な方向において、互い違いに配置されている。これにより、データ出力線VSLごとの容量を揃えることが可能となる。その結果、データ出力線VSLの電位変化時の時定数を揃えることができ、読み出し時間の均一化を図ることが可能となる。
【0055】
また、本実施の形態では、光電変換部11B,11Rから出力された電荷に基づく画素信号を出力する画素回路12(12BR)が、複数の光電変換部11B,11Rを2つのグループ(グループGroup3,4)に分けたときのグループごとに設けられている。さらに、各単位画素列において、共有する画素回路12(12BR)が互いに異なる、グループGroup3に属する複数の光電変換部11B,11RおよびグループGroup4に属する複数の光電変換部11B,11Rに着目したときに、一方のデータ出力線VSL1はグループGroup3に属する各光電変換部11B,11Rに接続され、他方のデータ出力線VSL2はグループGroup4に属する各光電変換部11B,11Rに接続されている。これにより、グループGroup3内の光電変換部11B,11Rの電荷と、グループGroup3内の光電変換部11B,11Rの電荷とを同時に読み出すことが可能となる。
【0056】
また、本実施の形態では、グループGroup3,4のそれぞれには、互いに異なる波長選択性を有する複数の光電変換部11B,11Rが含まれている。これにより、複数の光電変換部11B,11Rの平面レイアウトを効率的にできる場合がある。
【0057】
また、本実施の形態において、各積層型光電変換素子において、各光電変換部11Gが、有機材料によって形成された光電変換層112を有する場合には、半導体層とは異なる特徴を持つ光電変換特性を実現することも可能となる。
【0058】
<2.変形例>
以下に、上記実施の形態に係る固体撮像装置1の変形例について説明する。
【0059】
[[変形例A]]
図8は、上記実施の形態に係る光電変換部11Gおよびその周辺の回路構成の一変形例を表す。上記実施の形態では、単位画素列において、各駆動配線VOAが、2つのグループGroup1,Group2で共有されていた。しかし、上記実施の形態において、単位画素列において、各駆動配線VOAが、2つのグループで共有されず、グループGroup5ごとに設けられていてもよい。この場合、単位画素列において、各グループGroup5に含まれる光電変換部11Gの数と等しい数の駆動配線VOAが、グループGroup5ごとに設けられている。つまり、複数の駆動配線VOAは、各単位画素列において、画素回路12Gを共有する複数の光電変換部11Gごとに1つずつ設けられている。例えば、各グループGroup5に4つの光電変換部11Gが含まれている場合には、単位画素列において、4本の駆動配線VOAが、Group5ごとに設けられている。
【0060】
このとき、各グループGroup5において、複数の光電変換部11Gは、1つのフローティングディフュージョンFDを共有し、このフローティングディフュージョンFDに画素回路12Gが接続される。つまり、複数の画素回路12Gは、グループGroup5ごとに1つずつ設けられている。このとき、さらに、各画素回路12Gは、単位画素列において、共通のデータ出力線VSL1に接続される。
【0061】
図9は、上記実施の形態に係る光電変換部11B,11Rおよびその周辺の回路構成の一変形例を表す。上記実施の形態では、複数の光電変換部11B,11Rを含むグループGroup3,4が設けられ、複数の画素回路12BRが、グループGroup3,4ごとに1つずつ設けられていた。しかし、上記実施の形態において、グループGroup3,4の代わりに、複数の光電変換部11Bを含むグループGroup6と、複数の光電変換部11Rを含むグループGroup7とが設けられていてもよい。
【0062】
この場合に、複数の画素回路12BRの代わりに、複数の画素回路12Bおよび複数の画素回路12Rが設けられ、複数の画素回路12Bは、グループGroup6ごとに1つずつ設けられ、複数の画素回路12Rは、グループGroup7ごとに1つずつ設けられている。このとき、各グループGroup6において、複数の光電変換部11Bは、1つのフローティングディフュージョンFDを共有し、このフローティングディフュージョンFDに画素回路12Bが接続される。また、各グループGroup7において、複数の光電変換部11Rは、1つのフローティングディフュージョンFDを共有し、このフローティングディフュージョンFDに画素回路12Rが接続される。このとき、さらに、各画素回路12Bは、単位画素列において、共通のデータ出力線VSL2に接続され、各画素回路12Rは、単位画素列において、共通のデータ出力線VSL3に接続される。
【0063】
図10は、図8図9に記載の回路構成を簡易にまとめた図である。複数のデータ出力線VSLは、単位画素列ごとに、積層型光電変換素子における光電変換素子110,120,130の積層数の整数倍の数だけ設けられている。本変形例では、例えば、図10に示したように、固体撮像装置1に設けられた複数のデータ出力線VSLが、単位画素列ごとに、3本ずつ(つまり、積層数と同じ数だけ)設けられており、各単位画素列において、光電変換部11G,11B,11Rの波長選択性の種類ごとに1本ずつ設けられている。
【0064】
[読み出し動作]
図11は、図10に記載の回路構成を備えた固体撮像装置1におけるデータ出力の一例を表す。
【0065】
垂直駆動回路21は、上記実施の形態で言及した読み出し動作を組み合わせることによって、光電変換部11G,11B,11Rからの電荷の読み出し動作を行う。垂直駆動回路21は、例えば、図10図11に示したように、第1アドレス(またはGroup5,6,7)の1つの光電変換部11G、1つの光電変換部11Rおよび1つの光電変換部11Bに対して、同時に読み出し動作を行う。これにより、第1アドレスの1つの光電変換部11B、1つの光電変換部11Rおよび1つの光電変換部11Bの電荷がデータ出力線VSL1,VSL2,VSL3を介してカラム信号処理回路22に同時に読み出される。
【0066】
その後、垂直駆動回路21は、同様の方法で繰り返し、第1アドレスに属する未読の1つの光電変換部11G、1つの光電変換部11Rおよび1つの光電変換部11Bに対して、同時に読み出し動作を行う。このようにして、第1アドレスの各光電変換部からの読み出し動作が完了する。垂直駆動回路21は、同様の方法で繰り返し、第2アドレスに属する1つの光電変換部11G、1つの光電変換部11Rおよび1つの光電変・BR>キ部11Bに対して、同時に読み出し動作を行う。このようにして、第1アドレスおよび第2アドレスの各光電変換部からの読み出し動作が完了する。その後、垂直駆動回路21は、同様の方法で繰り返し、各光電変換部からの読み出し動作を行う。このようにして、各光電変換部からの読み出し動作が完了する。
【0067】
[効果]
次に、本変形例に係る固体撮像装置1の効果について説明する。
【0068】
本変形例では、複数のデータ出力線VSLが、所定の単位画素列ごとに、積層型光電変換素子における光電変換素子110,120,130の積層数と同じ数だけ設けられている。これにより、所定の単位画素列ごとに1本ずつデータ出力線を設けた場合と比べて、データを高速に読み出すことができる。
【0069】
また、本変形例では、複数の画素回路12は、グループGroup5,6,7ごとに1つずつ設けられ、複数のデータ出力線VSLは、各単位画素列において、光電変換素子110,120,130の波長選択性の種類(3種類)ごとに1本ずつ設けられている。これにより、所定の単位画素列ごとに1本ずつデータ出力線を設けた場合と比べて、データを高速に読み出すことができる。
【0070】
また、本変形例では、データ出力線VSLごとにカラム信号処理部22Aが設けられている。これにより、各データ出力線VSLからデータを同時に読み出すことができるので、データを高速に読み出すことができる。
【0071】
また、本変形例において、各積層型光電変換素子において、各光電変換部11Gが、有機材料によって形成された光電変換層112を有する場合には、半導体層とは異なる特徴を持つ光電変換特性を実現することも可能となる。
【0072】
本変形例において、固体撮像装置1に設けられた複数のデータ出力線VSLが、各単位画素列において、光電変換部11G,11B,11Rの波長選択性の種類ごとに複数本ずつ設けられていてもよい。例えば、図12に示したように、固体撮像装置1に設けられた複数のデータ出力線VSLが、単位画素列ごとに、6本ずつ設けられていてもよい。ここで、6本は、積層数の2倍の数に相当し、光電変換部11G,11B,11Rの波長選択性の種類ごとに2本ずつ設けたことを意味している。このようにした場合には、例えば、図13に示したように、同時に読み出せる画素行を増やすことができる。従って、データを高速に読み出すことができる。
【0073】
また、本変形例において、例えば、図14に示したように、複数の画素回路12Gが2つの光電変換部11Gごとに1つずつ設けられていてもよい。同様に、例えば、図14に示したように、複数の画素回路12Bが2つの光電変換部11Bごとに1つずつ設けられていてもよい。同様に、例えば、図14に示したように、複数の画素回路12Rが2つの光電変換部11Rごとに1つずつ設けられていてもよい。このようにした場合であっても、所定の単位画素列ごとに1本ずつデータ出力線を設けた場合と比べて、データを高速に読み出すことができる。
【0074】
また、本変形例において、例えば、図15に示したように、固体撮像装置1に設けられた複数のデータ出力線VSLが、単位画素列ごとに、6本ずつ設けられていてもよい。ここで、6本は、積層数の2倍の数に相当し、光電変換部11G,11B,11Rの波長選択性の種類ごとに2本ずつ設けたことを意味している。このようにした場合には、同時に読み出せる画素行を増やすことができる。従って、データを高速に読み出すことができる。
【0075】
また、本変形例において、例えば、図16に示したように、複数の画素回路12Gが1つの光電変換部11Gごとに1つずつ設けられていてもよい。同様に、例えば、図16に示したように、複数の画素回路12Bが1つの光電変換部11Bごとに1つずつ設けられていてもよい。同様に、例えば、図16に示したように、複数の画素回路12Rが1つの光電変換部11Rごとに1つずつ設けられていてもよい。このようにした場合であっても、所定の単位画素列ごとに1本ずつデータ出力線を設けた場合と比べて、データを高速に読み出すことができる。
【0076】
また、本変形例において、例えば、図17に示したように、固体撮像装置1に設けられた複数のデータ出力線VSLが、単位画素列ごとに、6本ずつ設けられていてもよい。ここで、6本は、積層数の2倍の数に相当し、光電変換部11G,11B,11Rの波長選択性の種類ごとに2本ずつ設けたことを意味している。このようにした場合には、同時に読み出せる画素行を増やすことができる。従って、データを高速に読み出すことができる。
【0077】
[[変形例B]]
図18は、上記実施の形態およびその変形例に係る固体撮像装置1における画素11の断面構成の一変形例を表す。上記実施の形態およびその変形例では、各画素11には、1つの光電変換素子110(光電変換部11G)だけが設けられていた。しかし、例えば、図18に示したように、各画素11において、2つの光電変換素子110(光電変換部11G)が設けられていてよい。この場合、各画素11において、半導体基板140上の1つの光電変換素子が2つの光電変換素子110(光電変換部11G)によって構成されているとも言える。各画素11において、2つの光電変換素子110(光電変換部11G)は、受光面と平行な同一の面内に配置されている。この場合、各画素11に設けられた2つの光電変換素子110(光電変換部11G)から得られる画素信号を用いて、AF(オートフォーカス)用の画像(位相差画像)を得ることが可能となる。
【0078】
図19は、図18の断面構成を備えた固体撮像装置1における画素およびその周辺の回路構成の一例を表す。本変形例では、複数の画素回路12Gは、各画素11に含まれる2つの光電変換部11Gごとに1つずつ設けられている。さらに、複数の画素回路12BRは、所定の波長選択性を有する1つの光電変換部11Bおよび1つの光電変換部11Rごとに1つずつ設けられている。複数の画素回路12BRは、固体撮像装置1に設けられた複数の光電変換部11B,11Rを複数のグループに分けたときのグループごとに1つずつ設けられている。各グループに含まれる光電変換部11Bの数は、各グループで共通である。同様に、各グループに含まれる光電変換部11Rの数は、各グループで共通である。
【0079】
ここで、複数の駆動配線VOAは、画素列ごとに2本ずつ設けられている。各画素行において、一方の駆動配線VOAは、各画素11の一方の光電変換部11G(具体的には電極111)に接続され、他方の駆動配線VOAは、各画素11の他方の光電変換部11G(具体的には電極111)に接続されている。
【0080】
また、複数の光電変換部11B,11Rにおいて、グループは、1つのフローティングディフュージョンFDを共有する1つの光電変換部11Bおよび1つの光電変換部11Rごとに設定される。従って、1つのフローティングディフュージョンFDを共有する1つの光電変換部11Bおよび1つの光電変換部11Rによって1つのグループが形成される。
【0081】
本変形例では、固体撮像装置1に設けられた複数のデータ出力線VSLが、画素11と対応関係にある単位画素列(つまり画素列)ごとに、2本ずつ設けられている。このとき、各画素列において、一方のデータ出力線VSL(VSL1)は各画素回路12Gに接続され、他方のデータ出力線VSL(VSL2)は画素回路12BRに接続されている。各画素11に含まれる2つの光電変換部11Gと、光電変換部11Bおよび光電変換部11Rとは、画素領域10の厚さ方向において互いに正対する位置に配置されている。
【0082】
[読み出し動作]
図20は、図19に記載の回路構成を備えた固体撮像装置1におけるデータ出力の一例を表す。
【0083】
垂直駆動回路21は、上記実施の形態で言及した一連の読み出し動作によって、光電変換部11G,11B,11Rからの電荷の読み出し動作を行う。垂直駆動回路21は、例えば、図19図20に示したように、第1アドレスの1つの光電変換部11G(画素11に含まれる2つの光電変換部11Gのうちの一方)と、第2アドレス(またはグループGroup7)の1つの光電変換部11Bとに対して、同時に読み出し動作を行う。これにより、第1アドレスの1つの光電変換部11B(画素11に含まれる2つの光電変換部11Gのうちの一方)の電荷がデータ出力線VSL1を介してカラム信号処理回路22に読み出されると同時に、第2アドレスの1つの光電変換部11Bの電荷がデータ出力線VSL2を介してカラム信号処理回路22に読み出される。
【0084】
次に、垂直駆動回路21は、例えば、図19図20に示したように、第1アドレスにおいて未読の1つの光電変換部11G(画素11に含まれる2つの光電変換部11Gのうちの他方)と、第2アドレス(またはグループGroup7)の1つの光電変換部11Rとに対して、同時に読み出し動作を行う。これにより、第1アドレスにおいて未読の1つの光電変換部11B(画素11に含まれる2つの光電変換部11Gのうちの他方)の電荷がデータ出力線VSL1を介してカラム信号処理回路22に読み出されると同時に、第2アドレスの1つの光電変換部11Rの電荷がデータ出力線VSL2を介してカラム信号処理回路22に読み出される。このようにして、第1アドレスおよび第2アドレスの各光電変換部からの読み出し動作が完了する。その後、垂直駆動回路21は、同様の方法で繰り返し、各光電変換部からの読み出し動作を行う。このようにして、各光電変換部からの読み出し動作が完了する。
【0085】
[効果]
次に、本変形例に係る固体撮像装置1の効果について説明する。
【0086】
本変形例では、データ出力線VSLが画素列ごとに2本ずつ設けられており、各画素列において、一方のデータ出力線VSL1は各画素回路12Gに接続されており、他方のデータ出力線VSL2は各画素回路12BRに接続されている。さらに、この固体撮像装置1では、各画素11には、2つの光電変換部11Gが設けられている。これにより、例えば、2つの光電変換部11Gのデータを読み出している間に、他の光電変換部11B,11Rのデータを読み出すことができる。その結果、オートフォーカス用の位相差データを得るために別途、時間を設ける必要がない。従って、オートフォーカス用の位相差データを得るために別途、時間を設けた場合と比べて、高いデータ読み出し効率を実現することができる。
【0087】
また、本変形例では、複数の駆動配線VOAが、画素列ごとに2本ずつ設けられている。さらに、各画素列において、一方の駆動配線VOAは画素11内の一方の光電変換部11Gに接続され、他方の前駆動配線VOAは画素11内の他方の光電変換部11Gに接続されている。これにより、例えば、2つの光電変換部11Gのデータを読み出している間に、他の光電変換部11B,11Rのデータを読み出すことができる。その結果、オートフォーカス用の位相差データを得るために別途、時間を設ける必要がない。従って、オートフォーカス用の位相差データを得るために別途、時間を設けた場合と比べて、高いデータ読み出し効率を実現することができる。
【0088】
また、本変形例において、各積層型光電変換素子において、各光電変換部11Gが、有機材料によって形成された光電変換層112を有する場合には、半導体層とは異なる特徴を持つ光電変換特性を実現することも可能となる。
【0089】
[[変形例C]]
図21図22は、上記変形例Bに係る固体撮像装置1における画素11およびその周辺の回路構成の一変形例を表す。図21には、「位相差検出モード」のときの接続態様が示されている。図22には、「高速読み出しモード」のときの接続態様が示されている。上記変形例Bにおいて、ロジック回路20は、複数のデータ出力線VSLのうち2本のいずれかと、カラム信号処理部22Aとの接続を切り替える切替スイッチSWを有していてもよい。スイッチSWは、例えば、データ出力線VSL2,VSL3およびデータ出力線VSL2用のカラム信号処理部22Aに接続されている。
【0090】
このとき、スイッチSWは、システム制御回路24による制御によって、データ出力線VSL2,VSL3のうちいずれかと、データ出力線VSL2用のカラム信号処理部22Aとを電気的に接続する。システム制御回路24は、「位相差検出モード」のときに、スイッチSWに対して、データ出力線VSL2,VSL3を交互に選択する制御信号を出力する。このとき、システム制御回路24は、データ出力線VSL3用のカラム信号処理部22Aへの給電をオフし、データ出力線VSL2,VSL3に出力された画素信号を、データ出力線VSL2用のカラム信号処理部22Aに読み出させる。システム制御回路24は、「高速読み出しモード」のときに、スイッチSWに対して、データ出力線VSL2を選択する制御信号を出力する。このとき、システム制御回路24は、データ出力線VSL3用のカラム信号処理部22Aへの給電をオンする。
【0091】
[読み出し動作]
図23は、図21に記載の回路構成を備えた固体撮像装置1におけるデータ出力の一例を表す。図23には、「位相差検出モード」のときのデータ出力の一例が示されている。
【0092】
(位相差検出モード)
垂直駆動回路21は、上記実施の形態で言及した読み出し動作を組み合わせることによって、光電変換部11G,11B,11Rからの電荷の読み出し動作を行う。垂直駆動回路21は、例えば、図21図23に示したように、第1アドレスの1つの光電変換部11G(画素11に含まれる2つの光電変換部11Gのうちの一方)と、第1アドレスの1つの光電変換部11Bとに対して、同時に読み出し動作を行う。このとき、システム制御回路24は、スイッチSWに対して、データ出力線VSL2を選択する制御信号を出力するとともに、データ出力線VSL3用のカラム信号処理部22Aへの給電をオフする。これにより、第1アドレスの1つの光電変換部11B(画素11に含まれる2つの光電変換部11Gのうちの一方)の電荷がデータ出力線VSL1を介してカラム信号処理回路22に読み出されると同時に、第1アドレスの1つの光電変換部11Bの電荷がデータ出力線VSL2を介してカラム信号処理回路22に読み出される。
【0093】
次に、垂直駆動回路21は、例えば、図21図23に示したように、第1アドレスにおいて未読の1つの光電変換部11G(画素11に含まれる2つの光電変換部11Gのうちの他方)と、第1アドレスの1つの光電変換部11Rとに対して、同時に読み出し動作を行う。このとき、システム制御回路24は、スイッチSWに対して、データ出力線VSL3を選択する制御信号を出力するとともに、データ出力線VSL3用のカラム信号処理部22Aへの給電をオフする。これにより、第1アドレスにおいて未読の1つの光電変換部11B(画素11に含まれる2つの光電変換部11Gのうちの他方)の電荷がデータ出力線VSL1を介してカラム信号処理回路22に読み出されると同時に、第1アドレスの1つの光電変換部11Rの電荷がデータ出力線VSL3およびスイッチSWを介してカラム信号処理回路22に読み出される。このようにして、第1アドレスの各光電変換部からの読み出し動作が完了する。その後、垂直駆動回路21は、同様の方法で繰り返し、各光電変換部からの読み出し動作を行う。このようにして、各光電変換部からの読み出し動作が完了する。
【0094】
図24は、図21に記載の回路構成を備えた固体撮像装置1におけるデータ出力の一例を表す。図24には、「高速読み出しモード」のときのデータ出力の一例が示されている。
【0095】
(高速読み出しモード)
垂直駆動回路21は、上記実施の形態で言及した一連の読み出し動作によって、光電変換部11G,11B,11Rからの電荷の読み出し動作を行う。垂直駆動回路21は、例えば、図22図24に示したように、第1アドレスの1つの光電変換部11G(画素11に含まれる2つの光電変換部11Gのうちの一方)と、第1アドレスの1つの光電変換部11Bおよび1つの光電変換部11Rとに対して、同時に読み出し動作を行う。このとき、システム制御回路24は、スイッチSWに対して、データ出力線VSL2を選択する制御信号を出力するとともに、データ出力線VSL3用のカラム信号処理部22Aへの給電をオンする。これにより、第1アドレスの1つの光電変換部11B(画素11に含まれる2つの光電変換部11Gのうちの一方)の電荷がデータ出力線VSL1を介してカラム信号処理回路22に読み出され、第1アドレスの1つの光電変換部11Bの電荷がデータ出力線VSL2を介してカラム信号処理回路22に読み出され、第1アドレスの1つの光電変換部11Rの電荷がデータ出力線VSL3を介してカラム信号処理回路22に読み出される。その後、垂直駆動回路21およびシステム制御回路24は、同様の方法で繰り返し、各光電変換部に対して、同時に読み出し動作を行う。このようにして、各光電変換部からの読み出し動作が完了する。
【0096】
[効果]
次に、本変形例に係る固体撮像装置1の効果について説明する。
【0097】
本変形例では、複数のデータ出力線VSLのうち2本のいずれかと、カラム信号処理部22Aとの接続を切り替える切替スイッチSWが設けられている。これにより、カラム信号処理回路22における電力消費を抑えつつ、オートフォーカス用の位相差データを、高いデータ読み出し効率で読み出すことができる。
【0098】
[[変形例D]]
図25は、上記実施の形態およびその変形例に係る固体撮像装置1における画素11の断面構成の一変形例を表す。上記実施の形態およびその変形例では、光電変換素子120が半導体基板140内に設けられていた。しかし、上記実施の形態およびその変形例において、光電変換素子120が半導体基板140の上方に設けられていてもよい。光電変換素子120は、例えば、図25に示したように、光電変換素子110の上に設けられていてもよい。
【0099】
光電変換素子110,120,130の垂直方向における配置順は、光入射方向(オンチップレンズ160側)から光電変換素子120、光電変換素子110、光電変換素子130の順となっている。これは、より短い波長の光がより入射表面側において効率良く吸収されるからである。なお、光電変換素子110,120,130の垂直方向における配置順は、光入射方向(オンチップレンズ160側)から光電変換素子110、光電変換素子120、光電変換素子130の順となっていてもよい。
【0100】
本変形例では、光電変換素子120は、例えば、光電変換素子110上の絶縁層(保護層117、絶縁層125および保護層126)内に形成されており、例えば、電極121、光電変換層122および電極123を、半導体基板140側からこの順に積層して構成されている。
【0101】
光電変換素子120は、さらに、例えば、電極121と同一の層内に、電極121と離間して配置された電荷蓄積用電極124を有している。電荷蓄積用電極124は、絶縁層125を介して光電変換層122と対向して配置されている。電極121および電荷蓄積用電極124は、保護層117、絶縁層125によって覆われており、電極121は、絶縁層125の開口を介して光電変換層122に接している。電極123は、光電変換層122および絶縁層125の表面に接して形成されたベタ膜であり、例えば、隣接する画素11の電極123と共通の層によって構成されている。
【0102】
光電変換素子120は、例えば、青色の光(425nm以上495nm以下の範囲内の波長域の光)を吸収する光電変換層122を有しており、青色の光に感度を有している。光電変換層122は、例えば、青色の光を吸収する有機材料によって構成されている。そのような有機材料としては、例えば、クマリン酸色素、トリス-8-ヒドリキシキノリアルミニウム(Alq3)、メラシアニン系色素等が挙げられる。なお、光電変換層122は、有機材料とは異なる材料によって構成されていてもよい。保護層117、絶縁層125および保護層126は、例えば、SiOや、SiN等によって構成されている。電極121,123は、例えば、透明導電材料によって構成されている。透明導電材料としては、例えば、ITOや、IZO等が挙げられる。なお、光電変換層122は、有機材料に限定されるものではなく、例えば、無機材料によって構成されていてもよい。そのような無機材料としては、例えば、シリコン、セレン、アモルファスセレン、カルコパライト系化合物、III-V族化合物、化合物半導体(例えば、CdSe、CdS、ZnSe、ZnS、PbSe、PbS等)を挙げることができる。光電変換層122は、上記無機材料からなる量子ドットによって構成されていてもよい。
【0103】
光電変換素子120は、例えば、半導体基板140に設けられたコンタクトホール162等を介して、半導体基板140の裏面に設けられた配線163に接続されている。配線163は、光電変換素子120の電極121と、光電変換素子120用の画素回路12(例えば、画素回路12内の増幅トランジスタのゲート電極164)とを電気的に接続している。
【0104】
本変形例では、光電変換素子130は、例えば、半導体基板140内に形成されたn型半導体領域161を光電変換層として有している。光電変換素子130は、例えば、赤色の光(620nm以上750nm以下の範囲内の波長域の光)を吸収するn型半導体領域161を有しており、赤色の光に感度を有している。光電変換素子130は、例えば、半導体基板140に設けられた転送トランジスタTRを介して、半導体基板140の裏面に設けられた配線に接続されている。この配線は、n型半導体領域161と、光電変換素子130用の画素回路12(例えば、画素回路12内の増幅トランジスタのゲート電極165)とを電気的に接続している。
【0105】
半導体基板140は、n型半導体領域161と半導体基板140の表面との間にp+層145を有している。半導体基板140は、半導体基板140の裏面近傍にp+層144を有している。半導体基板140の裏面には、絶縁膜154が設けられており、半導体基板140の表面には、HfO膜151および絶縁膜152が積層されている。HfO膜151は、負の固定電荷を有する膜であり、このような膜を設けることによって、暗電流の発生を抑制することができる。半導体基板140の裏面には、例えば、光電変換素子110,120,130と画素回路12とを互いに電気的に接続する配線や、画素回路12などを覆う絶縁層155が形成されている。
【0106】
次に、光電変換素子120(光電変換部11B)からの電荷の読み出しについて説明する。
【0107】
垂直駆動回路21は、電荷蓄積期間において、電極121に電位V11を印加し、電荷蓄積用電極124に電位V12が(V12>V11)を印加する。このとき、光電変換層122に入射した光は光電変換層122において光電変換され、それによって生成した正孔は、電極123から駆動配線VOUを介して垂直駆動回路21へと送出される。垂直駆動回路21は、さらに、電極121に正の電位を印加し、電極123に負の電位を印加する。これにより、光電変換によって生成した電子は、電荷蓄積用電極124に引き付けられ、光電変換層122のうち電荷蓄積用電極124の近傍に止まる。即ち、光電変換層122に電荷が蓄積される。なお、V12>V11であるが故に、光電変換層122の内部に生成した電子が、電極121に向かって移動することはない。光電変換の時間経過に伴い、光電変換層122のうち電荷蓄積用電極124の近傍の電位は、より負側の値となる。
【0108】
垂直駆動回路21は、電荷蓄積期間の後期において、リセット動作を行う。これによって、フローティングディフュージョンFDの電位がリセットされ、フローティングディフュージョンFDの電位は電源線VDDの電位となる。
【0109】
垂直駆動回路21は、リセット動作の完了後、電荷の読み出しを行う。即ち、垂直駆動回路21は、電荷転送期間において、電極121に電位V21を印加し、電荷蓄積用電極124に電位V22(V22>V21)を印加する。これにより、光電変換層122のうち電荷蓄積用電極124の近傍に止まっていた電子は、電極121、更には、フローティングディフュージョンFDへと読み出される。即ち、光電変換層122に蓄積された電荷がカラム信号処理回路22に読み出される。このように、電荷蓄積、リセット動作、電荷転送といった一連の動作を行うことにより、光電変換素子120(光電変換部11B)からの電荷の読み出しが完了する。
【0110】
本変形例では、2つの光電変換素子120,130が半導体基板140の上方に設けられている。このようにした場合であっても、上記実施の形態と同様の効果を奏することができる。
【0111】
[[変形例E]]
図26は、上記実施の形態およびその変形例に係る固体撮像装置1における画素11の断面構成の一変形例を表す。本変形例では、3つの光電変換素子110,120,130全てが、半導体基板140の上方に設けられている。つまり、本変形例にかかる固体撮像装置1は、上記変形例Dに係る固体撮像装置1において、光電変換素子130を半導体基板140の上方に設けた装置に相当する。
【0112】
光電変換素子110,120,130の垂直方向における配置順は、光入射方向(オンチップレンズ160側)から光電変換素子120、光電変換素子110、光電変換素子130の順となっている。これは、より短い波長の光がより入射表面側において効率良く吸収されるからである。なお、光電変換素子110,120,130の垂直方向における配置順は、光入射方向(オンチップレンズ160側)から光電変換素子110、光電変換素子120、光電変換素子130の順となっていてもよい。
【0113】
本変形例では、光電変換素子130は、例えば、半導体基板40の表面と光電変換素子110との間の絶縁層(絶縁層127,128,115)内に形成されており、例えば、電極131、光電変換層132および電極133を、半導体基板140側からこの順に積層して構成されている。
【0114】
光電変換素子130は、さらに、例えば、電極131と同一の層内に、電極131と離間して配置された電荷蓄積用電極134を有している。電荷蓄積用電極134は、絶縁層128を介して光電変換層132と対向して配置されている。電極131および電荷蓄積用電極134は、絶縁層127,128によって覆われており、電極131は、絶縁層128の開口を介して光電変換層132に接している。電極133は、光電変換層132および絶縁層125の表面に接して形成されたベタ膜であり、例えば、隣接する画素11の電極133と共通の層によって構成されている。
【0115】
光電変換素子130は、例えば、赤色の光(620nm以上750nm以下の範囲内の波長域の光)を吸収する光電変換層132を有しており、赤色の光に感度を有している。光電変換層132は、例えば、赤色の光を吸収する有機材料によって構成されている。そのような有機材料としては、例えば、フタロシアニン系色素、サブフタロシアニン系色素(サブフタロシアニン誘導体)色素等が挙げられる。なお、光電変換層132は、有機材料とは異なる材料によって構成されていてもよい。絶縁層127,128は、例えば、SiOや、SiN等によって構成されている。電極13,133は、例えば、透明導電材料によって構成されている。透明導電材料としては、例えば、ITOや、IZO等が挙げられる。なお、光電変換層132は、有機材料に限定されるものではなく、例えば、無機材料によって構成されていてもよい。そのような無機材料としては、例えば、シリコン、セレン、アモルファスセレン、カルコパライト系化合物、III-V族化合物、化合物半導体(例えば、CdSe、CdS、ZnSe、ZnS、PbSe、PbS等)を挙げることができる。光電変換層132は、上記無機材料からなる量子ドットによって構成されていてもよい。
【0116】
光電変換素子130は、例えば、半導体基板140に設けられたコンタクトホール166等を介して、半導体基板140の裏面に設けられた配線167に接続されている。配線167は、光電変換素子130の電極131と、光電変換素子130用の画素回路12(例えば、画素回路12内の増幅トランジスタのゲート電極168)とを電気的に接続している。
【0117】
次に、光電変換素子130(光電変換部11R)からの電荷の読み出しについて説明する。
【0118】
垂直駆動回路21は、電荷蓄積期間において、電極131に電位V11を印加し、電荷蓄積用電極134に電位V12が(V12>V11)を印加する。このとき、光電変換層132に入射した光は光電変換層132において光電変換され、それによって生成した正孔は、電極133から駆動配線VOUを介して垂直駆動回路21へと送出される。垂直駆動回路21は、さらに、電極131に正の電位を印加し、電極133に負の電位を印加する。これにより、光電変換によって生成した電子は、電荷蓄積用電極134に引き付けられ、光電変換層132のうち電荷蓄積用電極134の近傍に止まる。即ち、光電変換層132に電荷が蓄積される。なお、V12>V11であるが故に、光電変換層132の内部に生成した電子が、電極131に向かって移動することはない。光電変換の時間経過に伴い、光電変換層132のうち電荷蓄積用電極134の近傍の電位は、より負側の値となる。
【0119】
垂直駆動回路21は、電荷蓄積期間の後期において、リセット動作を行う。これによって、フローティングディフュージョンFDの電位がリセットされ、フローティングディフュージョンFDの電位は電源線VDDの電位となる。
【0120】
垂直駆動回路21は、リセット動作の完了後、電荷の読み出しを行う。即ち、垂直駆動回路21は、電荷転送期間において、電極131に電位V21を印加し、電荷蓄積用電極134に電位V22(V22>V21)を印加する。これにより、光電変換層132のうち電荷蓄積用電極134の近傍に止まっていた電子は、電極131、更には、フローティングディフュージョンFDへと読み出される。即ち、光電変換層132に蓄積された電荷がカラム信号処理回路22に読み出される。このように、電荷蓄積、リセット動作、電荷転送といった一連の動作を行うことにより、光電変換部11Rからの電荷の読み出しが完了する。
【0121】
本変形例では、3つの光電変換素子110,120,130全てが、半導体基板140の上方に設けられている。このようにした場合であっても、上記実施の形態と同様の効果を奏することができる。
【0122】
<3.第2の実施の形態>
[構成]
図27は、本開示の第2の実施の形態に係る固体撮像装置2の概略構成の一例を表す。固体撮像装置2は、複数の画素31が行列状に配置された画素領域30を備えている。図28は、画素31の断面構成の一例を表す。図29は、画素31およびその周辺の回路構成の一例を表す。図29には、「所定の単位画素列」における回路構成が示されている。「所定の単位画素列」とは、1つの画素回路12が複数の画素31を共有している場合、画素回路12を共有する複数の画素31のレイアウトがm画素行×2画素列(mは1以上の整数)となっているときには、「所定の単位画素列」は、2画素列を指している。同様に、画素回路12を共有する複数の画素31のレイアウトがm画素行×4画素列(mは1以上の整数)となっているときには、「所定の単位画素列」は、4画素列を指している。
【0123】
固体撮像装置2は、複数の画素回路12と、複数の駆動配線VOAと、複数のデータ出力線VSLとを備えている。画素回路12は、画素31から出力された電荷に基づく画素信号を出力する。駆動配線VOAは、画素31に蓄積された電荷の出力を制御する制御信号が印加される配線であり、例えば、行方向Drに延在している。データ出力線VSLは、各画素回路12から出力された画素信号をロジック回路20に出力する配線であり、例えば、列方向Dcに延在している。
【0124】
固体撮像装置2は、画素信号を処理するロジック回路20を備えている。ロジック回路20は、例えば、垂直駆動回路21、カラム信号処理回路22、水平駆動回路23およびシステム制御回路24を有している。ロジック回路20は、各画素31から得られた画素信号に基づいて出力電圧を生成し、外部に出力する。
【0125】
垂直駆動回路21は、例えば、複数の画素31を所定の単位画素行ごとに順に選択する。「所定の単位画素行」とは、同一アドレスで画素選択可能な画素行を指している。例えば、複数の画素31が1つの画素回路12を共有する場合、画素回路12を共有する複数の画素31のレイアウトが2画素行×n画素列(nは1以上の整数)となっているときには、「所定の単位画素行」は、2画素行を指している。同様に、画素回路12を共有する複数の画素31のレイアウトが4画素行×n画素列(nは1以上の整数)となっているときには、「所定の単位画素行」は、4画素行を指している。
【0126】
カラム信号処理回路22は、例えば、垂直駆動回路21によって選択された行の各画素31から出力される画素信号に対して、相関二重サンプリング処理を施す。カラム信号処理回路22は、例えば、CDS処理を施すことにより、画素信号の信号レベルを抽出し、各画素31の受光量に応じた画素データを保持する。カラム信号処理回路22は、例えば、データ出力線VSLごとにカラム信号処理部22Aを有している。
【0127】
画素領域10に設けられた複数の画素31には、複数の画素31Aと、複数の画素31Bが含まれている。画素31Aは、互いに異なる波長選択性を有する2つの光電変換素子110,120がカラーフィルタ170(170B)を挟んで積層された積層型光電変換素子を有している。複数の画素31Bは、互いに異なる波長選択性を有する2つの光電変換素子110,130がカラーフィルタ170(170R)を挟んで積層された積層型光電変換素子を有している。つまり、各画素31において、各積層型光電変換素子は、カラーフィルタ170を有している。画素31は、さらに、例えば、上記積層型光電変換素子と対向する箇所にオンチップレンズ160を有している。つまり、固体撮像装置2、オンチップレンズ160を画素31ごとに備えている。
【0128】
光電変換素子110は、例えば、半導体基板140上の絶縁層(絶縁層115,116および保護層117)内に形成されている。光電変換素子110は、例えば、緑色の光(495nm以上570nm以下の範囲内の波長域の光)を吸収する光電変換層112を有しており、緑色の光に感度を有している。光電変換層112は、例えば、緑色の光を吸収する有機材料によって構成されている。そのような有機材料としては、例えば、ローダミン系色素、メラシアニン系色素、キナクリドン等が挙げられる。なお、光電変換層112は、有機材料とは異なる材料によって構成されていてもよい。
【0129】
光電変換素子120,130は,例えば、半導体基板140内に形成されている。光電変換素子120は、例えば、半導体基板140内に形成されたn型半導体領域146を光電変換層として有している。光電変換素子120は、例えば、青色の光を選択的に透過するカラーフィルタ170Bを介して入射した光を吸収するn型半導体領域146を有しており、カラーフィルタ170Bを透過した光を含む波長帯域に感度を有している。光電変換素子120は、例えば、半導体基板140に設けられた転送トランジスタTRを介して、半導体基板140の裏面に設けられた配線に接続されている。この配線は、n型半導体領域146と、光電変換素子120用の画素回路12とを電気的に接続している。なお、図28には、光電変換素子120と電気的に接続された転送トランジスタTRのゲート電極158が例示されている。
【0130】
光電変換素子130は、例えば、半導体基板140内に形成されたn型半導体領域147を光電変換層として有している。光電変換素子130は、例えば、赤色の光を選択的に透過するカラーフィルタ170Rを介して入射した光を吸収するn型半導体領域147を有しており、カラーフィルタ170Rを透過した光を含む波長帯域に感度を有している・BR>Bn型半導体領域147は、n型半導体領域146と共通の構成となっていてもよいし、n型半導体領域146とは異なる構成となっていてもよい。光電変換素子130は、例えば、半導体基板140に設けられた転送トランジスタTRを介して、半導体基板140の裏面に設けられた配線に接続されている。この配線は、n型半導体領域147と、光電変換素子130用の画素回路12とを電気的に接続している。
【0131】
半導体基板140は、n型半導体領域146,147と半導体基板140の表面との間にp+層145を有している。半導体基板140は、半導体基板140の裏面近傍にp+層144を有している。半導体基板140の裏面には、絶縁膜154が設けられており、半導体基板140の表面には、HfO膜151および絶縁膜152が積層されている半導体基板140の裏面には、例えば、光電変換素子110,120,130と画素回路12とを互いに電気的に接続する配線や、画素回路12などを覆う絶縁層155が形成されている。
【0132】
固体撮像装置1に設けられた複数の画素回路12には、光電変換部11Gに割り当てられた複数の画素回路12Gと、光電変換部11B,11Rに割り当てられた複数の画素回路12BRとが含まれている。画素回路12Gは、所定の波長選択性を有する光電変換部11Gから出力された電荷に基づく画素信号を出力する。画素回路12BRは、所定の波長選択性を有する光電変換部11B,11Rから出力された電荷に基づく画素信号を出力する。
【0133】
(光電変換部11Gと画素回路12Gとの関係)
複数の画素回路12Gは、共通する波長選択性を有する複数の光電変換部11Gごとに1つずつ設けられている。複数の画素回路12Gは、固体撮像装置2に設けられた複数の光電変換部11Gを複数のグループに分けたときのグループごとに1つずつ設けられている。各グループに含まれる光電変換部11Gの数は、各グループで共通である。
【0134】
ここで、複数の光電変換部11Gにおいて、グループは、フローティングディフュージョンFDを共有する複数の光電変換部11Gごとに設定される。例えば、4つの光電変換部11Gが1つのフローティングディフュージョンFDを共有している場合には、フローティングディフュージョンFDを共有する4つの光電変換部11Gによって1つのグループが形成される。
【0135】
(光電変換部11BRと画素回路12BRとの関係)
複数の画素回路12BRは、所定の波長選択性を有する複数の光電変換部11B,11Rごとに1つずつ設けられている。複数の画素回路12BRは、固体撮像装置2に設けられた複数の光電変換部11B,11Rを複数のグループに分けたときのグループごとに1つずつ設けられている。各グループに含まれる光電変換部11Bの数は、各グループで共通である。同様に、各グループに含まれる光電変換部11Rの数は、各グループで共通である。
【0136】
ここで、複数の光電変換部11B,11Rにおいて、グループは、1つのフローティングディフュージョンFDを共有する複数の光電変換部11B,11Rごとに設定される。例えば、2つの光電変換部11Bおよび2つの光電変換部11Rが、1つのフローティングディフュージョンFDを共有している場合には、その1つのフローティングディフュージョンFDを共有する2つの光電変換部11Bおよび2つの光電変換部11Rによって1つのグループが形成される。このとき、複数の光電変換部11B,11Rは、各単位画素列において、単位画素列と平行な方向において、互い違いに配置されている。
【0137】
複数のデータ出力線VSLは、単位画素列ごとに、積層型光電変換素子における光電変換素子110,120または光電変換素子110,130の積層数の整数倍の数だけ設けられている。本実施の形態では、例えば、図29に示したように、固体撮像装置2に設けられた複数のデータ出力線VSLが、単位画素列ごとに、2本ずつ(つまり、積層数と同じ数だけ)設けられている。各単位画素列において、一方のデータ出力線VSL(VSL1)は画素回路12Gに接続され、他方のデータ出力線VSL(VSL2)は画素回路12BRに接続されている。
【0138】
所定のグループに属する複数の光電変換部11Gと、所定のグループに属する複数の光電変換部11B,11Rとは、画素領域10の厚さ方向において互いに正対する位置に配置されていてもよいし、画素領域10の厚さ方向において互いに正対する位置から1画素行分もしくは1画素列分だけずれた位置に配置されていてもよい。
【0139】
[読み出し動作]
図30は、図29に記載の回路構成を備えた固体撮像装置2におけるデータ出力の一例を表す。
【0140】
垂直駆動回路21は、上記第1の実施の形態で言及した読み出し動作を組み合わせることによって、光電変換部11G,11B,11Rからの電荷の読み出し動作を行う。垂直駆動回路21は、例えば、図29図30に示したように、第1アドレスの4つの光電変換部11Rと、第1アドレスの2つの光電変換部11Rおよび2つの光電変換部11Bとに対して、順次、読み出し動作を行う。これにより、第1アドレスの4つの光電変換部11R、2つの光電変換部11Rおよび2つの光電変換部11Bの電荷がデータ出力線VSL1を介してカラム信号処理回路22に順次、読み出される。その後、垂直駆動回路21は、同様の方法で繰り返し、同一アドレスの4つの光電変換部11R、2つの光電変換部11Rおよび2つの光電変換部11Bに対して、順次、読み出し動作を行う。このようにして、各光電変換部からの読み出し動作が完了する。
【0141】
<4.第2の実施の形態の変形例>
[変形例F]
上記第2の実施の形態において、例えば、図31に示したように、固体撮像装置2に設けられた複数のデータ出力線VSLが、単位画素列ごとに、4本ずつ(つまり、積層数の2倍の数だけ)設けられていてもよい。このようにした場合には、例えば、図32に示したように、同時に読み出せる画素行を増やすことができる。従って、データを高速に読み出すことができる。
【0142】
<5.適用例>
図33は、上記実施の形態およびその変形例に係る固体撮像装置1を備えた撮像システム3の概略構成の一例を表したものである。撮像システム3は、例えば、光学系210と、固体撮像装置1と、信号処理回路220と、表示部230とを備えている。
【0143】
光学系210は、被写体からの像光(入射光)を固体撮像装置1の撮像面上に結像させる。固体撮像装置1は、固体撮像装置1から入射された像光(入射光)を受光し、受光した像光(入射光)に応じた画素信号を信号処理回路220に出力する。信号処理回路220は、固体撮像装置1から入力された画像信号を処理して、映像データを生成する。信号処理回路220は、さらに、生成した映像データに対応する映像信号を生成し、表示部230に出力する。表示部230は、信号処理回路220から入力された映像信号に基づく映像を表示する。
【0144】
本適用例では、上記実施の形態およびその変形例に係る固体撮像装置1が撮像システム3に適用される。これにより、固体撮像装置1を小型化もしくは高精細化することができるので、小型もしくは高精細な撮像システム3を提供することができる。
【0145】
<6.応用例>
[応用例1]
本開示に係る技術(本技術)は、様々な製品へ応用することができる。例えば、本開示に係る技術は、自動車、電気自動車、ハイブリッド電気自動車、自動二輪車、自転車、パーソナルモビリティ、飛行機、ドローン、船舶、ロボット等のいずれかの種類の移動体に搭載される装置として実現されてもよい。
【0146】
図34は、本開示に係る技術が適用され得る移動体制御システムの一例である車両制御システムの概略的な構成例を示すブロック図である。
【0147】
車両制御システム12000は、通信ネットワーク12001を介して接続された複数の電子制御ユニットを備える。図34に示した例では、車両制御システム12000は、駆動系制御ユニット12010、ボディ系制御ユニット12020、車外情報検出ユニット12030、車内情報検出ユニット12040、及び統合制御ユニット12050を備える。また、統合制御ユニット12050の機能構成として、マイクロコンピュータ12051、音声画像出力部12052、及び車載ネットワークI/F(interface)12053が図示されている。
【0148】
駆動系制御ユニット12010は、各種プログラムにしたがって車両の駆動系に関連する装置の動作を制御する。例えば、駆動系制御ユニット12010は、内燃機関又は駆動用モータ等の車両の駆動力を発生させるための駆動力発生装置、駆動力を車輪に伝達するための駆動力伝達機構、車両の舵角を調節するステアリング機構、及び、車両の制動力を発生させる制動装置等の制御装置として機能する。
【0149】
ボディ系制御ユニット12020は、各種プログラムにしたがって車体に装備された各種装置の動作を制御する。例えば、ボディ系制御ユニット12020は、キーレスエントリシステム、スマートキーシステム、パワーウィンドウ装置、あるいは、ヘッドランプ、バックランプ、ブレーキランプ、ウィンカー又はフォグランプ等の各種ランプの制御装置として機能する。この場合、ボディ系制御ユニット12020には、鍵を代替する携帯機から発信される電波又は各種スイッチの信号が入力され得る。ボディ系制御ユニット12020は、これらの電波又は信号の入力を受け付け、車両のドアロック装置、パワーウィンドウ装置、ランプ等を制御する。
【0150】
車外情報検出ユニット12030は、車両制御システム12000を搭載した車両の外部の情報を検出する。例えば、車外情報検出ユニット12030には、撮像部12031が接続される。車外情報検出ユニット12030は、撮像部12031に車外の画像を撮像させるとともに、撮像された画像を受信する。車外情報検出ユニット12030は、受信した画像に基づいて、人、車、障害物、標識又は路面上の文字等の物体検出処理又は距離検出処理を行ってもよい。
【0151】
撮像部12031は、光を受光し、その光の受光量に応じた電気信号を出力する光センサである。撮像部12031は、電気信号を画像として出力することもできるし、測距の情報として出力することもできる。また、撮像部12031が受光する光は、可視光であってもよいし、赤外線等の非可視光であってもよい。
【0152】
車内情報検出ユニット12040は、車内の情報を検出する。車内情報検出ユニット12040には、例えば、運転者の状態を検出する運転者状態検出部12041が接続される。運転者状態検出部12041は、例えば運転者を撮像するカメラを含み、車内情報検出ユニット12040は、運転者状態検出部12041から入力される検出情報に基づいて、運転者の疲労度合い又は集中度合いを算出してもよいし、運転者が居眠りをしていないかを判別してもよい。
【0153】
マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030又は車内情報検出ユニット12040で取得される車内外の情報に基づいて、駆動力発生装置、ステアリング機構又は制動装置の制御目標値を演算し、駆動系制御ユニット12010に対して制御指令を出力することができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車両の衝突回避あるいは衝撃緩和、車間距離に基づく追従走行、車速維持走行、車両の衝突警告、又は車両のレーン逸脱警告等を含むADAS(Advanced Driver Assistance System)の機能実現を目的とした協調制御を行うことができる。
【0154】
また、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030又は車内情報検出ユニット12040で取得される車両の周囲の情報に基づいて駆動力発生装置、ステアリング機構又は制動装置等を制御することにより、運転者の操作に拠らずに自律的に走行する自動運転等を目的とした協調制御を行うことができる。
【0155】
また、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030で取得される車外の情報に基づいて、ボディ系制御ユニット12020に対して制御指令を出力することができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030で検知した先行車又は対向車の位置に応じてヘッドランプを制御し、ハイビームをロービームに切り替える等の防眩を図ることを目的とした協調制御を行うことができる。
【0156】
音声画像出力部12052は、車両の搭乗者又は車外に対して、視覚的又は聴覚的に情報を通知することが可能な出力装置へ音声及び画像のうちの少なくとも一方の出力信号を送信する。図34の例では、出力装置として、オーディオスピーカ12061、表示部12062及びインストルメントパネル12063が例示されている。表示部12062は、例えば、オンボードディスプレイ及びヘッドアップディスプレイの少なくとも一つを含んでいてもよい。
【0157】
図35は、撮像部12031の設置位置の例を示す図である。
【0158】
図35では、車両12100は、撮像部12031として、撮像部12101,12102,12103,12104,12105を有する。
【0159】
撮像部12101,12102,12103,12104,12105は、例えば、車両12100のフロントノーズ、サイドミラー、リアバンパ、バックドア及び車室内のフロントガラスの上部等の位置に設けられる。フロントノーズに備えられる撮像部12101及び車室内のフロントガラスの上部に備えられる撮像部12105は、主として車両12100の前方の画像を取得する。サイドミラーに備えられる撮像部12102,12103は、主として車両12100の側方の画像を取得する。リアバンパ又はバックドアに備えられる撮像部12104は、主として車両12100の後方の画像を取得する。撮像部12101及び12105で取得される前方の画像は、主として先行車両又は、歩行者、障害物、信号機、交通標識又は車線等の検出に用いられる。
【0160】
なお、図35には、撮像部12101ないし12104の撮影範囲の一例が示されている。撮像範囲12111は、フロントノーズに設けられた撮像部12101の撮像範囲を示し、撮像範囲12112,12113は、それぞれサイドミラーに設けられた撮像部12102,12103の撮像範囲を示し、撮像範囲12114は、リアバンパ又はバックドアに設けられた撮像部12104の撮像範囲を示す。例えば、撮像部12101ないし12104で撮像された画像データが重ね合わせられることにより、車両12100を上方から見た俯瞰画像が得られる。
【0161】
撮像部12101ないし12104の少なくとも1つは、距離情報を取得する機能を有していてもよい。例えば、撮像部12101ないし12104の少なくとも1つは、複数の撮像素子からなるステレオカメラであってもよいし、位相差検出用の画素を有する撮像素子であってもよい。
【0162】
例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像部12101ないし12104から得られた距離情報を基に、撮像範囲12111ないし12114内における各立体物までの距離と、この距離の時間的変化(車両12100に対する相対速度)を求めることにより、特に車両12100の進行路上にある最も近い立体物で、車両12100と略同じ方向に所定の速度(例えば、0km/h以上)で走行する立体物を先行車として抽出することができる。さらに、マイクロコンピュータ12051は、先行車の手前に予め確保すべき車間距離を設定し、自動ブレーキ制御(追従停止制御も含む)や自動加速制御(追従発進制御も含む)等を行うことができる。このように運転者の操作に拠らずに自律的に走行する自動運転等を目的とした協調制御を行うことができる。
【0163】
例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像部12101ないし12104から得られた距離情報を元に、立体物に関する立体物データを、2輪車、普通車両、大型車両、歩行者、電柱等その他の立体物に分類して抽出し、障害物の自動回避に用いることができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車両12100の周辺の障害物を、車両12100のドライバが視認可能な障害物と視認困難な障害物とに識別する。そして、マイクロコンピュータ12051は、各障害物との衝突の危険度を示す衝突リスクを判断し、衝突リスクが設定値以上で衝突可能性がある状況であるときには、オーディオスピーカ12061や表示部12062を介してドライバに警報を出力することや、駆動系制御ユニット12010を介して強制減速や回避操舵を行うことで、衝突回避のための運転支援を行うことができる。
【0164】
撮像部12101ないし12104の少なくとも1つは、赤外線を検出する赤外線カメラであってもよい。例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像部12101ないし12104の撮像画像中に歩行者が存在するか否かを判定することで歩行者を認識することができる。かかる歩行者の認識は、例えば赤外線カメラとしての撮像部12101ないし12104の撮像画像における特徴点を抽出する手順と、物体の輪郭を示す一連の特徴点にパターンマッチング処理を行って歩行者か否かを判別する手順によって行われる。マイクロコンピュータ12051が、撮像部12101ないし12104の撮像画像中に歩行者が存在すると判定し、歩行者を認識すると、音声画像出力部12052は、当該認識された歩行者に強調のための方形輪郭線を重畳表示するように、表示部12062を制御する。また、音声画像出力部12052は、歩行者を示すアイコン等を所望の位置に表示するように表示部12062を制御してもよい。
【0165】
以上、本開示に係る技術が適用され得る移動体制御システムの一例について説明した。本開示に係る技術は、以上説明した構成のうち、撮像部12031に適用され得る。具体的には、上記実施の形態およびその変形例に係る固体撮像装置1は、撮像部12031に適用することができる。撮像部12031に本開示に係る技術を適用することにより、ノイズの少ない高精細な撮影画像を得ることができるので、移動体制御システムにおいて撮影画像を利用した高精度な制御を行うことができる。
【0166】
[応用例2]
図36は、本開示に係る技術(本技術)が適用され得る内視鏡手術システムの概略的な構成の一例を示す図である。
【0167】
図36では、術者(医師)11131が、内視鏡手術システム11000を用いて、患者ベッド11133上の患者11132に手術を行っている様子が図示されている。図示するように、内視鏡手術システム11000は、内視鏡11100と、気腹チューブ11111やエネルギー処置具11112等の、その他の術具11110と、内視鏡11100を支持する支持アーム装置11120と、内視鏡下手術のための各種の装置が搭載されたカート11200と、から構成される。
【0168】
内視鏡11100は、先端から所定の長さの領域が患者11132の体腔内に挿入される鏡筒11101と、鏡筒11101の基端に接続されるカメラヘッド11102と、から構成される。図示する例では、硬性の鏡筒11101を有するいわゆる硬性鏡として構成される内視鏡11100を図示しているが、内視鏡11100は、軟性の鏡筒を有するいわゆる軟性鏡として構成されてもよい。
【0169】
鏡筒11101の先端には、対物レンズが嵌め込まれた開口部が設けられている。内視鏡11100には光源装置11203が接続されており、当該光源装置11203によって生成された光が、鏡筒11101の内部に延設されるライトガイドによって当該鏡筒の先端まで導光され、対物レンズを介して患者11132の体腔内の観察対象に向かって照射される。なお、内視鏡11100は、直視鏡であってもよいし、斜視鏡又は側視鏡であってもよい。
【0170】
カメラヘッド11102の内部には光学系及び撮像素子が設けられており、観察対象からの反射光(観察光)は当該光学系によって当該撮像素子に集光される。当該撮像素子によって観察光が光電変換され、観察光に対応する電気信号、すなわち観察像に対応する画像信号が生成される。当該画像信号は、RAWデータとしてカメラコントロールユニット(CCU: Camera Control Unit)11201に送信される。
【0171】
CCU11201は、CPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphics Processing Unit)等によって構成され、内視鏡11100及び表示装置11202の動作を統括的に制御する。さらに、CCU11201は、カメラヘッド11102から画像信号を受け取り、その画像信号に対して、例えば現像処理(デモザイク処理)等の、当該画像信号に基づく画像を表示するための各種の画像処理を施す。
【0172】
表示装置11202は、CCU11201からの制御により、当該CCU11201によって画像処理が施された画像信号に基づく画像を表示する。
【0173】
光源装置11203は、例えばLED(Light Emitting Diode)等の光源から構成され、術部等を撮影する際の照射光を内視鏡11100に供給する。
【0174】
入力装置11204は、内視鏡手術システム11000に対する入力インタフェースである。ユーザは、入力装置11204を介して、内視鏡手術システム11000に対して各種の情報の入力や指示入力を行うことができる。例えば、ユーザは、内視鏡11100による撮像条件(照射光の種類、倍率及び焦点距離等)を変更する旨の指示等を入力する。
【0175】
処置具制御装置11205は、組織の焼灼、切開又は血管の封止等のためのエネルギー処置具11112の駆動を制御する。気腹装置11206は、内視鏡11100による視野の確保及び術者の作業空間の確保の目的で、患者11132の体腔を膨らめるために、気腹チューブ11111を介して当該体腔内にガスを送り込む。レコーダ11207は、手術に関する各種の情報を記録可能な装置である。プリンタ11208は、手術に関する各種の情報を、テキスト、画像又はグラフ等各種の形式で印刷可能な装置である。
【0176】
なお、内視鏡11100に術部を撮影する際の照射光を供給する光源装置11203は、例えばLED、レーザ光源又はこれらの組み合わせによって構成される白色光源から構成することができる。RGBレーザ光源の組み合わせにより白色光源が構成される場合には、各色(各波長)の出力強度及び出力タイミングを高精度に制御することができるため、光源装置11203において撮像画像のホワイトバランスの調整を行うことができる。また、この場合には、RGBレーザ光源それぞれからのレーザ光を時分割で観察対象に照射し、その照射タイミングに同期してカメラヘッド11102の撮像素子の駆動を制御することにより、RGBそれぞれに対応した画像を時分割で撮像することも可能である。当該方法によれば、当該撮像素子にカラーフィルタを設けなくても、カラー画像を得ることができる。
【0177】
また、光源装置11203は、出力する光の強度を所定の時間ごとに変更するようにその駆動が制御されてもよい。その光の強度の変更のタイミングに同期してカメラヘッド11102の撮像素子の駆動を制御して時分割で画像を取得し、その画像を合成することにより、いわゆる黒つぶれ及び白とびのない高ダイナミックレンジの画像を生成することができる。
【0178】
また、光源装置11203は、特殊光観察に対応した所定の波長帯域の光を供給可能に構成されてもよい。特殊光観察では、例えば、体組織における光の吸収の波長依存性を利用して、通常の観察時における照射光(すなわち、白色光)に比べて狭帯域の光を照射することにより、粘膜表層の血管等の所定の組織を高コントラストで撮影する、いわゆる狭帯域光観察(Narrow Band Imaging)が行われる。あるいは、特殊光観察では、励起光を照射することにより発生する蛍光により画像を得る蛍光観察が行われてもよい。蛍光観察では、体組織に励起光を照射し当該体組織からの蛍光を観察すること(自家蛍光観察)、又はインドシアニングリーン(ICG)等の試薬を体組織に局注するとともに当該体組織にその試薬の蛍光波長に対応した励起光を照射し蛍光像を得ること等を行うことができる。光源装置11203は、このような特殊光観察に対応した狭帯域光及び/又は励起光を供給可能に構成され得る。
【0179】
図37は、図36に示すカメラヘッド11102及びCCU11201の機能構成の一例を示すブロック図である。
【0180】
カメラヘッド11102は、レンズユニット11401と、撮像部11402と、駆動部11403と、通信部11404と、カメラヘッド制御部11405と、を有する。CCU11201は、通信部11411と、画像処理部11412と、制御部11413と、を有する。カメラヘッド11102とCCU11201とは、伝送ケーブル11400によって互いに通信可能に接続されている。
【0181】
レンズユニット11401は、鏡筒11101との接続部に設けられる光学系である。鏡筒11101の先端から取り込まれた観察光は、カメラヘッド11102まで導光され、当該レンズユニット11401に入射する。レンズユニット11401は、ズームレンズ及びフォーカスレンズを含む複数のレンズが組み合わされて構成される。
【0182】
撮像部11402は、撮像素子で構成される。撮像部11402を構成する撮像素子は、1つ(いわゆる単板式)であってもよいし、複数(いわゆる多板式)であってもよい。撮像部11402が多板式で構成される場合には、例えば各撮像素子によってRGBそれぞれに対応する画像信号が生成され、それらが合成されることによりカラー画像が得られてもよい。あるいは、撮像部11402は、3D(Dimensional)表示に対応する右目用及び左目用の画像信号をそれぞれ取得するための1対の撮像素子を有するように構成されてもよい。3D表示が行われることにより、術者11131は術部における生体組織の奥行きをより正確に把握することが可能になる。なお、撮像部11402が多板式で構成される場合には、各撮像素子に対応して、レンズユニット11401も複数系統設けられ得る。
【0183】
また、撮像部11402は、必ずしもカメラヘッド11102に設けられなくてもよい。例えば、撮像部11402は、鏡筒11101の内部に、対物レンズの直後に設けられてもよい。
【0184】
駆動部11403は、アクチュエータによって構成され、カメラヘッド制御部11405からの制御により、レンズユニット11401のズームレンズ及びフォーカスレンズを光軸に沿って所定の距離だけ移動させる。これにより、撮像部11402による撮像画像の倍率及び焦点が適宜調整され得る。
【0185】
通信部11404は、CCU11201との間で各種の情報を送受信するための通信装置によって構成される。通信部11404は、撮像部11402から得た画像信号をRAWデータとして伝送ケーブル11400を介してCCU11201に送信する。
【0186】
また、通信部11404は、CCU11201から、カメラヘッド11102の駆動を制御するための制御信号を受信し、カメラヘッド制御部11405に供給する。当該制御信号には、例えば、撮像画像のフレームレートを指定する旨の情報、撮像時の露出値を指定する旨の情報、並びに/又は撮像画像の倍率及び焦点を指定する旨の情報等、撮像条件に関する情報が含まれる。
【0187】
なお、上記のフレームレートや露出値、倍率、焦点等の撮像条件は、ユーザによって適宜指定されてもよいし、取得された画像信号に基づいてCCU11201の制御部11413によって自動的に設定されてもよい。後者の場合には、いわゆるAE(Auto Exposure)機能、AF(Auto Focus)機能及びAWB(Auto White Balance)機能が内視鏡11100に搭載されていることになる。
【0188】
カメラヘッド制御部11405は、通信部11404を介して受信したCCU11201からの制御信号に基づいて、カメラヘッド11102の駆動を制御する。
【0189】
通信部11411は、カメラヘッド11102との間で各種の情報を送受信するための通信装置によって構成される。通信部11411は、カメラヘッド11102から、伝送ケーブル11400を介して送信される画像信号を受信する。
【0190】
また、通信部11411は、カメラヘッド11102に対して、カメラヘッド11102の駆動を制御するための制御信号を送信する。画像信号や制御信号は、電気通信や光通信等によって送信することができる。
【0191】
画像処理部11412は、カメラヘッド11102から送信されたRAWデータである画像信号に対して各種の画像処理を施す。
【0192】
制御部11413は、内視鏡11100による術部等の撮像、及び、術部等の撮像により得られる撮像画像の表示に関する各種の制御を行う。例えば、制御部11413は、カメラヘッド11102の駆動を制御するための制御信号を生成する。
【0193】
また、制御部11413は、画像処理部11412によって画像処理が施された画像信号に基づいて、術部等が映った撮像画像を表示装置11202に表示させる。この際、制御部11413は、各種の画像認識技術を用いて撮像画像内における各種の物体を認識してもよい。例えば、制御部11413は、撮像画像に含まれる物体のエッジの形状や色等を検出することにより、鉗子等の術具、特定の生体部位、出血、エネルギー処置具11112の使用時のミスト等を認識することができる。制御部11413は、表示装置11202に撮像画像を表示させる際に、その認識結果を用いて、各種の手術支援情報を当該術部の画像に重畳表示させてもよい。手術支援情報が重畳表示され、術者11131に提示されることにより、術者11131の負担を軽減することや、術者11131が確実に手術を進めることが可能になる。
【0194】
カメラヘッド11102及びCCU11201を接続する伝送ケーブル11400は、電気信号の通信に対応した電気信号ケーブル、光通信に対応した光ファイバ、又はこれらの複合ケーブルである。
【0195】
ここで、図示する例では、伝送ケーブル11400を用いて有線で通信が行われていたが、カメラヘッド11102とCCU11201との間の通信は無線で行われてもよい。
【0196】
以上、本開示に係る技術が適用され得る内視鏡手術システムの一例について説明した。本開示に係る技術は、以上説明した構成のうち、内視鏡11100のカメラヘッド11102に設けられた撮像部11402に好適に適用され得る。撮像部11402に本開示に係る技術を適用することにより、ノイズの少ない高精細な撮影画像を得ることができるので、高画質な内視鏡11100を提供することができる。
【0197】
以上、実施の形態およびその変形例、適用例ならびに応用例を挙げて本開示を説明したが、本開示は上記実施の形態等に限定されるものではなく、種々変形が可能である。なお、本明細書中に記載された効果は、あくまで例示である。本開示の効果は、本明細書中に記載された効果に限定されるものではない。本開示が、本明細書中に記載された効果以外の効果を持っていてもよい。
【0198】
また、本開示は、以下のような構成を取ることも可能である。
(1)
互いに異なる波長選択性を有する複数の光電変換素子が積層された積層型光電変換素子を画素ごとに備えるとともに、前記光電変換素子から出力された電荷に基づく画素信号が出力される複数のデータ出力線を備え、
複数の前記データ出力線は、所定の単位画素列ごとに、前記積層型光電変換素子における前記光電変換素子の積層数の整数倍の数だけ設けられている
固体撮像装置。
(2)
前記光電変換素子から出力された電荷に基づく画素信号を前記データ出力線に出力する画素回路を、共通する波長選択性を有する複数の前記光電変換素子ごとに更に備え、
複数の前記データ出力線は、各前記単位画素列において、前記光電変換素子の波長選択性の種類ごとに1本ずつもしくは複数本ずつ設けられている
(1)に記載の固体撮像装置。
(3)
前記光電変換素子から出力された電荷に基づく画素信号を前記データ出力線に出力する画素回路を、前記光電変換素子ごとに更に備え、
複数の前記データ出力線は、各前記単位画素列において、前記光電変換素子の波長選択性の種類ごとに1本ずつもしくは複数本ずつ設けられている
(1)に記載の固体撮像装置。
(4)
前記データ出力線ごとにカラム処理回路を更に備えた
(1)ないし(3)のいずれか1つに記載の固体撮像装置。
(5)
複数の前記データ出力線のうち2本のいずれかと、前記カラム処理回路との接続を切り替える切替スイッチを更に備えた
(1)ないし(4)のいずれか1つに記載の固体撮像装置。
(6)
各前記積層型光電変換素子は、カラーフィルタを有する
(1)ないし(3)のいずれか1つに記載の固体撮像装置。
(7)
各前記積層型光電変換素子において、複数の前記光電変換素子のうち少なくとも1つの素子が、有機材料によって形成された光電変換層を有する
(1)ないし(6)のいずれか1つに記載の固体撮像装置。
(8)
互いに異なる波長選択性を有する複数の光電変換素子が積層された積層型光電変換素子を画素ごとに備えるとともに、複数の前記光電変換素子のうち、所定の波長選択性を有する第1光電変換素子から出力された電荷に基づく画素信号を出力する第1画素回路を、複数の前記光電変換素子に含まれる複数の前記第1光電変換素子を複数のグループに分けたときの前記グループごとに備え、さらに、前記光電変換素子に蓄積された電荷の出力を制御する制御信号が印加される複数の駆動配線を備え、
各前記駆動配線は、前記第1画素回路の共有と対応関係にある各単位画素列において、共有する前記第1画素回路が互いに異なる、第1グループに属する複数の前記第1光電変換素子および第2グループに属する複数の前記第1光電変換素子に着目したときに、前記第1グループに属する前記第1光電変換素子と、前記第2グループに属する前記第1光電変換素子とに接続されている
固体撮像装置。
(9)
前記画素信号が出力されるデータ出力線を、前記単位画素列ごとに2本ずつ更に備え、
各前記単位画素列において、一方の前記データ出力線は前記第1グループに対応する前記第1画素回路に接続され、他方の前記データ出力線は前記第2グループに対応する前記第1画素回路に接続されている
(8)に記載の固体撮像装置。
(10)
各前記駆動配線が接続される、前記第1グループに属する前記第1光電変換素子と、前記第2グループに属する前記第1光電変換素子とは、前記単位画素列と平行な方向において、互い違いに配置されている
(9)に記載の固体撮像装置。
(11)
複数の前記光電変換素子のうち、前記第1光電変換素子以外の第2光電変換素子から出力された電荷に基づく画素信号を出力する第2画素回路を、複数の前記光電変換素子に含まれる複数の前記第2光電変換素子を複数のグループに分けたときの前記グループごとに更に備え、
前記第1画素回路の共有と対応関係にある各単位画素列において、共有する前記第2画素回路が互いに異なる、第3グループに属する複数の前記第2光電変換素子および第4グループに属する複数の前記第2光電変換素子に着目したときに、一方の前記データ出力線は前記第3グループに属する各前記第2光電変換素子に接続され、他方の前記データ出力線は前記第4グループに属する各前記第2光電変換素子に接続されている
(9)または(10)に記載の固体撮像装置。
(12)
前記第3グループおよび前記第4グループのそれぞれにおいて、複数の前記第2光電変換素子には、互いに異なる波長選択性を有する複数の前記光電変換素子が含まれている
(11)に記載の固体撮像装置。
(13)
各前記積層型光電変換素子において、複数の前記光電変換素子のうち少なくとも1つの素子が、有機材料によって形成された光電変換層を有する
(8)ないし(12)のいずれか1つに記載の固体撮像装置。
(14)
互いに異なる波長選択性を有する複数の光電変換素子が積層された積層型光電変換素子を画素ごとに備えるとともに、複数の前記光電変換素子のうち、所定の波長選択性を有する第1光電変換素子から出力された電荷に基づく画素信号を出力する第1画素回路を、前記第1光電変換素子ごとに備え、複数の前記光電変換素子のうち、前記第1光電変換素子以外の第2光電変換素子から出力された電荷に基づく画素信号を出力する第2画素回路を、複数の前記光電変換素子に含まれる複数の前記第2光電変換素子を複数のグループに分けたときの前記グループごとに備え、さらに、前記画素信号が出力されるデータ出力線を画素列ごとに2本ずつ備え、
各前記画素列において、一方の前記データ出力線は各前記第1画素回路に接続されており、他方の前記データ出力線は各前記第2画素回路に接続されており、
各第1光電変換素子は、2つの光電変換部によって構成されている
固体撮像装置。
(15)
前記光電変換部に蓄積された電荷の出力を制御する制御信号が印加される駆動配線を、前記画素列ごとに2本ずつ更に備え、
各画素行において、一方の前記駆動配線は一方の前記光電変換部に接続され、他方の前記駆動配線は他方の前記光電変換部に接続されている
(14)に記載の固体撮像装置。
(16)
各前記積層型光電変換素子において、複数の前記光電変換素子のうち少なくとも1つの素子が、有機材料によって形成された光電変換層を有する
(14)または(15)に記載の固体撮像装置。
【0199】
本開示の一実施の形態に係る固体撮像装置によれば、各駆動配線を、各単位画素列において、第1グループに属する第1光電変換素子と、第2グループに属する第1光電変換素子とに接続するようにしたので、開口率の観点で、画素と駆動配線との接続が適切な固体撮像装置を実現することができる。
【0200】
なお、本技術の効果は、ここに記載された効果に必ずしも限定されず、本明細書中に記載されたいずれの効果であってもよい。
【0201】
本出願は、日本国特許庁において2018年7月31日に出願された日本特許出願番号第2018-144065号を基礎として優先権を主張するものであり、この出願のすべての内容を参照によって本出願に援用する。
【0202】
当業者であれば、設計上の要件や他の要因に応じて、種々の修正、コンビネーション、サブコンビネーション、および変更を想到し得るが、それらは添付の請求の範囲やその均等物の範囲に含まれるものであることが理解される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33
図34
図35
図36
図37