(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024161405
(43)【公開日】2024-11-19
(54)【発明の名称】生産管理システム、生産管理プログラム
(51)【国際特許分類】
G05B 19/418 20060101AFI20241112BHJP
G01N 21/89 20060101ALN20241112BHJP
【FI】
G05B19/418 Z
G01N21/89 Z
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024123153
(22)【出願日】2024-07-30
(62)【分割の表示】P 2019153755の分割
【原出願日】2019-08-26
(71)【出願人】
【識別番号】000145068
【氏名又は名称】株式会社寺岡精工
(74)【代理人】
【識別番号】100103872
【弁理士】
【氏名又は名称】粕川 敏夫
(74)【代理人】
【識別番号】100149456
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 喜幹
(74)【代理人】
【識別番号】100194238
【弁理士】
【氏名又は名称】狩生 咲
(72)【発明者】
【氏名】藤田 達郎
(72)【発明者】
【氏名】山口 健夫
(72)【発明者】
【氏名】村尾 正樹
(72)【発明者】
【氏名】佐久間 徹也
(57)【要約】
【課題】 誤印字ラベルの貼付を防ぎ、正確な商品の生産を効率的に担保する
【解決手段】 生産管理システム1は、検査対象物を撮像する撮像手段202と、撮像手段による撮像結果の良否を判断する判断手段23と、判断手段の判断結果に基づいて、前記検査対象物に係る生産処理を禁止する禁止手段24と、を備える。生産管理システムは、生産処理の状況を表示する表示手段201をさらに備えてもよい。検査対象物は、商品に貼付されるラベル110であり、ラベルに、商品情報と共に、当該ラベルの印刷時刻を示すラベル印刷時刻情報を印刷する印刷手段104aを備え、判断手段は、ラベル印刷時刻情報に基づいて良否を判断してもよい。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査対象物を撮像する撮像手段と、
前記撮像手段による撮像結果の良否を判断する判断手段と、
前記判断手段の判断結果に基づいて、前記検査対象物に係る生産処理を禁止する禁止手段と、
を備えることを特徴とする、生産管理システム。
【請求項2】
前記生産処理の状態を表示する表示手段をさらに備える、
請求項1記載の生産管理システム。
【請求項3】
前記検査対象物は、商品に貼付されるラベルであり、
前記ラベルに、商品情報と共に、当該ラベルの印刷時刻を示すラベル印刷時刻情報を印刷する印刷手段を備え、
前記判断手段は、前記ラベル印刷時刻情報に基づいて前記撮像結果の良否を判断する、
請求項1又は2記載の生産管理システム。
【請求項4】
前記印刷手段は、
前記ラベルが印刷されたラベル印刷位置を示す情報を前記ラベルに印刷し、
前記判断手段は、前記ラベル印刷位置を示す情報を前記ラベルに印刷する、
請求項3記載の生産管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生産管理システムおよび生産管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
おにぎりやサンドイッチ、お弁当、お総菜などを生産している食品工場では、完成包装物にラベルが貼付されて出荷される。このラベルには、商品名称はもちろん、原材料やアレルギー物質、消費期限などの誤印字が許されない情報も多く含まれている。誤印字の原因として、印字部に備えられるサーマルヘッドにごみが付着していたり、サーマルヘッドの一部ラインが切れていたりする事象が考えられる。また、印字部に異常がなかったとしても、ラベル貼付装置にセットしたラベルが誤っている場合も考えられる。したがって、印字されたラベルを貼付前にチェックする作業は必要不可欠である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の方式では、ラベル印刷、検査、および生産処理の開始の処理が互いに独立しており、時間を要していた。また、各作業の開始が人の手によって管理されていたため、非効率で、不確かな生産管理がなされていた。
【0005】
そこで本発明は、誤印字ラベルの貼付を防ぎ、確かな商品の生産を効率的に担保することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に係る生産管理システムは、検査対象物を撮像する撮像手段と、前記撮像手段による撮像結果の良否を判断する判断手段と、前記判断手段の判断結果に基づいて、前記検査対象物に係る生産処理を禁止する禁止手段と、を備えることを特徴とする。
なお、上記本発明に係る生産管理システムは、同様の構成を有するコンピュータプログラムに係る発明として構成することもできる。コンピュータプログラムは、インターネット等のネットワークを介したダウンロードによって提供したり、CD-ROMなどのコンピュータ読取可能な各種の記録媒体に記録して提供したりすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の実施形態に係る生産管理システムの概略構成図であり、各構成の機能ブロックを示す図である。
【
図2】上記生産管理システムが有する(a)ラベル貼付装置の一例を示す概略斜視図、および(b)ラベル検査装置の一例を示す概略斜視図である。
【
図3】上記ラベル貼付装置により貼付されるラベルと、当該ラベルが貼付されている商品の一例を示す図である。
【
図4】上記ラベル検査装置の表示部に表示されるワークシート画面の一例を示す図である。
【
図5】上記生産管理システムが生産処理を開始する流れを示すシーケンス図である。
【
図6】上記生産管理システムが生産処理の開始可否を判断するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態に係る生産管理システムについて、図を参照して説明する。
●生産管理システムの概要
生産管理システムは、商品に貼付されるラベルを印刷し、印刷結果が適切である場合にのみラベルの貼付処理を開始するシステムである。
図1に示されるように、生産管理システム1は、ラベル貼付装置10a、検査装置20、ベンダー端末30、およびサーバ40がネットワークNWを通じて互いに接続されて構成されている。ネットワークNWは、すべて無線で接続されていてもよいし、一部又は全部が有線であってもよい。また、生産管理システム1に含まれる各構成は、それぞれ1個でも複数であってもよい。同図においては、ラベル貼付装置10a、10b、10cの3台が記載されている。ラベル貼付装置10a、10b、10cは、それぞれ生産ラインの一部を構成し、実際に商品の生産を行う作業場に配置されている。ラベル貼付装置10a、10b、10cは、同じ生産ラインにあってもよいし、それぞれ異なる生産ラインに配置されていてもよい。
【0009】
ベンダー端末30は、生産管理システム1に含まれる各構成の状況等を表示する端末であり、例えばパーソナルコンピュータである。ベンダー端末30は、例えば作業場とは異なる管理事務所に配置されていて、生産管理システム1の責任者により閲覧および操作される。
【0010】
サーバ40は、生産管理システム1の管理装置であり、情報処理を実行するためのCPU(Central Processing Unit)などの演算装置、RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)などの記憶部45を備え、当該記憶部45により工程管理DB41およびラベル情報DB42を記憶している。工程管理DB41は、生産管理システム1の工程管理情報を格納している。工程管理情報は、例えば、どの生産ラインで、いつ、どの商品を生産するかのタスクを示す情報、および各タスクの現在の状態を示す情報である。工程管理DBに記憶されている情報の例については、後述する。
ラベル情報DB42は、印刷されるラベルの内容を示す情報である。ラベル情報DB42には、少なくとも商品の識別情報および当該商品に貼付されるラベルの印字内容が互いに対応付けられて保存されている。また、印字工程とは別にラベル用紙にあらかじめ印刷されている装飾や、ラベルの形状、ラベルの貼付位置、包材に印刷されている内容、商品の盛付状態など、検査対象物の基準となるデータが各種格納されていてもよい。
また、記憶部45は、工程管理DB41およびラベル情報DB42の他に、検査装置20による検査の結果を記憶する。具体的には、記憶部45は、検査対象物の撮像結果と、その良否判断の結果を対応付けて記憶する。また、検査日時や検査を行う生産ラインの情報等の当該検査条件が、合わせて記憶されていてもよい。撮像結果は、工程管理情報におけるタスクの識別情報と対応づけられていて、検査条件が工程管理DB41から呼び出せるようになっていてもよい。この構成によれば、検査時とは別の時点での事後確認を容易に行うことができる。事後確認可能な撮像結果および判断結果は、例えば、ラベル発行時や生産時には問題のなかった商品が、配送時、店舗販売時又は顧客購入後等の流通の過程でラベルが汚れ、誤記又は誤印刷が疑われる場合に、生産時には問題がなかった証拠として利用することができる。
【0011】
●ラベル貼付装置
ラベル貼付装置10aは、ラベルの印刷および商品への貼付を行う装置である。商品は、検査対象物の例である。ラベル貼付装置10aは、商品の生産処理を行う処理装置の例である。本実施形態においては、ラベルを印字および貼付することで商品の生産工程が進行することから、生産処理はラベルの印字および貼付を指す。なお、本発明の技術的範囲における生産処理は、ラベルの印字および貼付に限られるものではなく、商品の生産に係る一部又は全部の工程を指すものとしてもよい。例えば、生産処理は、食品を包装容器に収容する作業や、食品を包装する作業であってもよい。
【0012】
図2(a)に示すように、ラベル貼付装置10aは、主として、搬送台101a、ラベルロール保持機構102a、フィード部103a、印字部104a、貼付部105a、表示部106aを備える。
【0013】
搬送台101aは、商品を搬送する搬送機構を備える台である。ラベルロール保持機構102a、フィード部103a、印字部104aおよび貼付部105aは、搬送台101aの下方に収容され、ラベルを印字し、印字したラベルを搬送台101a上の商品の底面に貼付する。また、搬送台101aの上方には、アーム120aに支持される上部筐体121aが配置されている。上部筐体121aの内部には、ラベルロール保持機構102a、フィード部103a、印字部104aおよび貼付部105aと同様の構成が収容されていて、ラベルを印字し、印字したラベルを搬送台101a上の商品の上面に貼付する。
【0014】
ラベルロール保持機構102aは、ラベルロール100を印字部104aへ送出可能に保持する機能である。なお、ラベルロール100は、長尺の帯状の台紙上にラベル110(
図3参照)を一定間隔で仮着させたラベル用紙をロール状に巻回させたものである。ラベル110は、一面側が粘着材の付着した接着面、他面側が印字される印字面を構成しており、接着面を台紙に剥離可能に接着させている。
【0015】
フィード部103aは、モータによって駆動回転するローラであって、ラベルロール100からラベル用紙を引き出すと共に、所定の搬送路を介して、引き出したラベル用紙を印字部104aへ送り出す。
【0016】
印字部104aは、サーマルヘッドと、サーマルヘッドと対向した位置に配置された押えローラとで構成されている。サーマルヘッドは、フィード部103aによって送り出されたラベル用紙上のラベル110に印字する。
【0017】
図3に、商品の例としてのおにぎりに、ラベル110が貼付されている様子を示す。印字部104aにより印刷されるラベル110の印字内容は特に限定されないが、コンビニエンスストア向けの商品ラベルであれば、商品の品名や値段、賞味期限、成分、およびバーコードなどの商品データが印刷される。また、ラベル110には、商品情報と共に、当該ラベルの印刷時刻を示すラベル印刷時刻情報が印刷されている。さらに、ラベル110には、ラベル110が印刷されたラベル印刷位置を示す情報が印刷されている。ラベル印刷位置を示す情報とは、例えば工場内の生産ラインを特定する識別情報である。本実施形態においては、ラベル110には、ラベル印刷時刻情報およびラベル印刷位置を示す情報を包含する、検査適否情報111が印刷されている。本実施形態においては、検査適否情報111として「1111-1」が印刷されている。これは、「11時11分に第1ラインで発行されたラベル」であることを示している。
【0018】
図2(a)に示すように、貼付部105aは、台紙から剥離したラベル100aの印字面に吸着してラベル100aを保持すると共に、当該保持したラベル100aを接着面から商品等の貼付対象物に押し付けることにより、貼付対象物にラベル100aを貼り付ける。
【0019】
表示部106aは、作業者がラベル貼付装置10aに情報を入出力する装置である。表示部106aは、搬送台101aの端部から伸びあがるアーム120aに支持されている。表示部106aは、例えばタッチパネルディスプレイである。表示部106aは、ラベルへの印字内容やラベルの貼付位置等を入力可能である。また、表示部106aは、入力された内容や作業状況を表示する。
【0020】
なお、本発明に係る生産管理システムに含まれるラベル貼付装置は、上述の形態に限られず、商品にラベルを貼付する装置であればよい。
【0021】
また、
図1に示すように、ラベル貼付装置10aは、CPU(Central Processing Unit)などの演算装置、CPUによって実行されるコンピュータプログラム、RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)等の内部メモリ等を備え、入出力部11a、印字制御部12a、貼付制御部13aおよび通信処理部14aからなる各機能ブロックを構成する。
【0022】
入出力部11aは、表示部106aに情報を表示させ、表示部106aに入力される情報を取得する機能部である。印字制御部12aは、印字部104aを制御してラベルに印字を行う機能部である。貼付制御部13aは、貼付部105aを制御してラベルを商品に貼付する機能部である。印字制御部12aおよび貼付制御部13aは、通信処理部14aにより受信される動作許可の指令に基づいて、印字および貼付を開始する。
【0023】
通信処理部14aは、生産管理システム1に含まれる各構成とネットワークNWを通じて通信を行う機能部であり、印字制御部12a又は貼付制御部13aの動作可否に関する信号を受信する。なお、本実施形態においては、動作可否に関する信号は検査装置20から送信されるものとしたが、ベンダー端末30又はサーバ40から送信され、通信処理部14aにより受信される構成であってもよい。
【0024】
●検査装置
検査装置20は、検査対象物を撮像し、撮像結果の良否を判断した上で、判断結果に基づいてラベル貼付装置10a、10bおよび10cによる生産処理を禁止する装置である。検査対象物は、商品に貼付されているラベルであってもよいし、ラベル自体であってもよい。また、検査対象物は、商品自体であってもよい。ラベルは、例えばラベルの印字の様子に関し、内容そのものの誤記の他、印字のかすれや誤読のおそれがないか検査する。さらに、ラベル自体の検査として、印字の様子ではなく、ラベル用紙にあらかじめ施された装飾を検査してもよい。ラベルには、製造又は販売を行う企業のロゴマークやイラスト等が印字工程とは別にあらかじめ印刷されている。その他、ラベルには罫線や背景色等が施され、商品ごとに異なる場合がある。検査装置20では、これらロゴや罫線、背景色等も事前に記憶しておくことで、正否の判断を行うことができる。さらにまた、ラベルの形状が、正方形、長方形、楕円、その他特徴的な形状である場合は、ラベルの形状を記憶しておき、検査を行うことも可能である。また、検査装置20は、ラベルの貼付位置を検査してもよい。
さらに、検査装置20は、商品を包装する包材の状態を検査対象としてもよい。包材についても商品ごとに特徴があり、例えばおにぎりであれば「〇〇産の海苔使用」等の宣伝文が包材自体に印刷されている。また、サンドイッチ等の商品であれば、商品名称が包材自体に印刷されている。そこで、検査装置20は、これら包材自体の印刷内容を検査してもよい。
さらにまた、商品の検査として、例えば商品の盛り付け状態を検査してもよい。
図2(b)に示すように、検査装置20は、主として、表示部201および撮像部202を備える。
【0025】
表示部201は、検査に関する情報を表示する装置であり、例えばタッチパネルディスプレイである。表示部201は、商品の撮像結果を表示する。また、表示部201は、通信処理部25(
図1参照)を介してサーバ40から受信される、工程管理情報を表示する。表示部201に表示される具体的な内容については、後述する。
【0026】
撮像部202は、検査対象物を撮像する装置であり、例えばカメラである。本実施形態においては、受光部が下方に向いている。
【0027】
なお、本発明に係る生産管理システムに含まれる検査装置は、上述の形態に限られず、検査対象物を検査する装置であればよい。
【0028】
また、
図1に示すように、検査装置20は、CPU(Central Processing Unit)などの演算装置、CPUによって実行されるコンピュータプログラム、RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)等の内部メモリ等を備え、入出力部21、撮像制御部22、判断部23、禁止部24および通信処理部25からなる各機能ブロックを構成する。
【0029】
入出力部21は、表示部201に情報を表示させ、表示部201に入力される情報を取得する機能部である。入出力部21は、サーバ40から工程管理DBに記憶されている情報をネットワークNWを介して取得し、表示部201にその一部又は全部を表示させる。
【0030】
図4に、表示部201に表示されるワークシート画面の一例を示す。同図に示すように、表示部201には、工程管理テーブル202aと、「バーコード」「更新」「閉じる」といった操作ボタン202bが表示されている。工程管理テーブル202aは、生産ラインで行われる各タスクの生産ライン、生産される商品の配達便、商品の品番、品名、および各タスクにおける生産処理の状態が表示されている。生産ラインの情報は、商品が生産される位置に関する情報、配達便の情報は、商品が生産される時刻に関する情報に相当する。
【0031】
各タスクの状態は、作業者による作業の要否が判別できる情報を含み、工程管理テーブル202aにおいて作業が必要なタスクは網掛けされて示されている。本実施形態において、作業が必要なタスクは「印刷待機」「交換待機」「終了」である。「印刷待機」は、印刷開始時におけるラベルの検査を待機している状態である。「交換待機」は、ラベルロールの交換後においてラベルの検査を待機している状態である。「終了」は、印刷終了時におけるラベルの検査を待機している状態である。作業が不要なタスクは、「印刷中」「済み」である。「印刷中」は、ラベルの印刷作業中である。「済み」は、印刷終了時の検査が終了し、タスクの全工程が完了している状態である。
【0032】
図1に示すように、撮像制御部22は、撮像部202を制御して検査対象物の撮像を行う機能部である。
【0033】
判断部23は、撮像部202で取得されるデータに基づいて、検査対象物の検査を行い、撮像結果の良否を判断する機能部である。判断部23は、ラベル110(
図3参照)の内容そのものの誤記、印字のかすれおよび誤読のおそれがあるか否か判断する。
【0034】
また、判断部23は、検査適否情報111を読み取って、当該ラベル110がいつどこで印字されたものかの情報を取得し、当該ラベル110が検査に適するラベルか否かを判断する。具体的には、判断部23は、ラベル印刷時刻情報に基づいて良否を判断する。例えば、判断部23は、検査の要請時刻を、サーバ40が有する工程管理DBから取得する。例えば、ラベル印刷時刻情報に含まれる印刷時刻が、検査の要請時刻より前であるとき、当該ラベルは検査要請に基づいて印字されたものではない。このような場合、判断部23は、当該ラベル110は検査に不適切なラベルであり、検査結果に問題がある、と判断する。また例えば、ラベルの検査をその生産ラインでの生産処理の最後に行う場合であって、ラベル印刷時刻情報に含まれる印刷時刻が、当該生産ラインで生産の最初に行った検査に係るラベルの印刷時刻より前であるとき、当該ラベルは生産処理の最後に印字されたものではない。このような場合においても、判断部23は、当該ラベル110は検査に不適切なラベルであり、検査結果に問題がある、と判断する。
【0035】
さらに、判断部23は、ラベル印刷位置を示す情報に基づいて良否を判断する。判断部23は、検査対象の生産ラインを工程管理DBから取得する。判断部23は、検査対象の生産ラインと、ラベル印刷位置を示す情報に含まれる生産ラインとが不一致であるとき、当該ラベルは検査に不適切なラベルであり、検査結果に問題がある、と判断する。
【0036】
ラベル検査は通常、印刷開始時、印刷終了時、および印刷中にラベルロールを交換した場合における交換後の初回印刷時に行われる。ラベル自体にラベル印刷時刻情報がないものとすると、印刷開始時に複数枚ラベルを印刷しておき、印刷終了時や交換後の初回印刷時に当該ラベルを流用することにより、作業者が検査のための印刷を省略する手抜きを行うことができてしまう。また、ラベル検査は、生産ラインごとに行われるが、異なる生産ラインで同一の商品を生産している場合、他の生産ラインで印刷したラベルを流用することにより、当該生産ラインへの検査印刷を省略する手抜きを行うことができてしまう。判断部23が、ラベルに印刷されているラベル印刷時刻情報に基づいて検査結果の良否を判断する構成によれば、別時刻に印刷したラベルを検査に用いる手抜きを発見することができ、検査の精度を向上させることができる。また、判断部23が、ラベルに印刷されているラベル印刷位置を示す情報に基づいて検査結果の良否を判断する構成によれば、異なる生産ラインで印刷されたラベルを検査に用いる手抜きを発見することができ、検査の精度を向上させることができる。
【0037】
禁止部24は、判断部23の検査結果に問題があると判断されるとき、当該検査対象の生産ラインに含まれるラベル貼付装置10a、10b、10cによる生産処理を禁止する機能部である。禁止部24は、生産処理を禁止する指令を、ネットワークNWを介してラベル貼付装置10a、10b、10cに送信する。また、禁止部24は、ラベル貼付装置10a、10b、10c、検査装置20およびベンダー端末30に生産処理を禁止する旨およびその理由を送信し、各入出力部又は表示部に表示させてもよい。禁止部24は、判断部23の検査結果に問題がないとき、生産処理を許可する指令を、ネットワークNWを介してラベル貼付装置10a、10b、10cに送信する。
【0038】
なお、判断部23および禁止部24は、本実施形態においては検査装置20が有するものとしたが、ラベル貼付装置10a、10b、10c、ベンダー端末30又はサーバ40が当該機能を有していてもよい。また、記憶部45は、サーバ40が有するものとしたが、ラベル貼付装置10a、10b、10c、検査装置20又はベンダー端末30が当該機能を有していてもよい。
【0039】
●生産処理を開始する流れ
図5を用いて、生産管理システム1が生産処理を開始する流れを説明する。なお、図中の実線矢印は、システム内の情報の流れを示しており、破線矢印は作業者による作業の流れを示している。同図に示すように、まず、検査装置20は、サーバ40に対し、工程管理情報を要求する(ステップS1)。サーバ40は、工程管理DBに格納されている工程管理情報を検査装置20に送信する(ステップS2)。検査装置20は工程管理情報に基づいて、ラベルの検査の要請を、検査が必要な生産ラインの情報と共に表示する(ステップS3)。作業者は、当該要請に基づいてラベル貼付装置10aを操作し、検査用のラベルを印刷する(ステップS4)。
【0040】
作業者は、検査装置20の撮像部202下方にラベルを配置し、検査装置20に検査の開始を指示する。検査装置20は、撮像部202によりラベルを撮像する(ステップS5)。検査装置20は、検査対象の生産ラインの情報とともに、サーバ40にラベル情報DBの情報を要求し(ステップS6)、サーバ40は、検査対象の生産ラインの情報に基づいてラベル情報を送信する(ステップS7)。次いで、判断部23は、撮像結果およびラベル情報に基づいて、撮像結果の良否を判断する(ステップS8)。撮像結果に問題がないとき、ラベル貼付装置10aに生産処理を許可する指令を送信する(ステップS9)。生産処理の許可指令を受信したラベル貼付装置10aは、生産処理を開始する(ステップS10)。
【0041】
検査装置20は、検査結果に基づいて、工程管理情報の変更情報と、工程管理DBの編集要求を、サーバ40に送信する(ステップS11)。工程管理情報の変更情報は、例えばタスクの「状態」に関する情報である。検査結果に問題がない場合、タスクの状態は変更され、次の状態に進むためである。サーバ40は、当該変更情報に基づいて、工程管理DBを更新する(ステップS12)。
【0042】
●生産処理の開始可否を判断するフロー
図6を用いて、生産管理システム1が生産処理の開始可否を判断するフローを説明する。まず、検査装置20は、検査対象物の撮像を行う(ステップS101)。次いで、判断部23は、撮像結果が適切か否か判断する(ステップS102)。撮像結果が適切であるとき、検査装置20は、ラベル貼付装置10aに、生産処理の許可指令を送信する(ステップS103)。次いで、ラベル貼付装置10aは、生産処理を開始する(ステップS104)。
【0043】
ステップS102において、撮像結果が適切でないと判断されるとき、判断部23は、ラベル貼付装置10aに生産禁止の指令を送信する(ステップS105)。また、表示部106a、表示部201、およびベンダー端末30などを通じて、その旨を通知する(ステップS106)。
【0044】
表示部106a又は表示部201は、撮像結果と、その判断結果がOKであるかNGであるかの別を表示する。さらに、表示部106a又は表示部201は、ラベルロールの交換が必要な旨等も表示してもよい。よって、各表示部106a、201は、生産ラインがどのような状況であるかを出力できるため、作業者はどこにいても容易に状況を把握することができ、適切な処置をとることができる。
【0045】
従来、ラベルの印刷および貼付装置は、生産ラインの作業場に配置されている一方、ラベルチェックを行うラベル検査装置は管理事務所に配置されていた。作業者は、作業場で印字されたラベルを管理事務所まで運搬して検査を受け、作業の開始指示を得た上で、作業場に戻ってラベル貼付装置に生産処理の開始を指示していた。これに対し、本発明に係る生産管理システム1によれば、検査装置20を作業場側に設置することができ、ネットワークNWで接続されたラベル貼付装置10a、10b、10cに生産処理の可否を送信するため、作業者による生産処理の開始指示が不要であり、省力化および人的ミスの軽減が可能である。また、管理事務所側においても、ベンダー端末30により検査の状況を把握することができる。
【0046】
以上の本実施形態に係る生産管理システム1によれば、誤印字ラベルの貼付を防ぎ、正確な商品の生産を効率的に担保することができる。
【0047】
●実施形態総括
本発明は、生産管理システムに関する。
【0048】
おにぎりやサンドイッチ、お弁当、お総菜などを生産している食品工場では、完成包装物にラベルが貼付されて出荷される。このラベルには、商品名称はもちろん、原材料やアレルギー物質、消費期限などの誤印字が許されない情報も多く含まれている。誤印字の原因として、印字部に備えられるサーマルヘッドにごみが付着していたり、サーマルヘッドの一部ラインが切れていたりする事象が考えられる。また、印字部に異常がなかったとしても、ラベル貼付装置にセットしたラベルが誤っている場合も考えられる。したがって、印字されたラベルを貼付前にチェックする作業は必要不可欠である。
【0049】
従来の方式では、ラベル印刷、検査、および生産処理の開始の処理が互いに独立しており、時間を要していた。また、各作業の開始が人の手によって管理されていたため、非効率で、不確かな生産管理がなされていた。
【0050】
例えば、先行技術文献として特開2009-180653号公報がある。
【0051】
そこで本発明は、誤印字ラベルの貼付を防ぎ、確かな商品の生産を効率的に担保することを目的の一つとする。
【0052】
上記目的を達成するため、本発明に係る生産管理システムは、検査対象物を撮像する撮像手段と、前記撮像手段による撮像結果の良否を判断する判断手段と、前記判断手段の判断結果に基づいて、前記検査対象物に係る生産処理を禁止する禁止手段と、を備えることを特徴とする。
【0053】
前記生産処理の状態を表示する表示手段をさらに備えるものとしてもよい。
【0054】
前記検査対象物は、商品に貼付されるラベルであり、前記ラベルに、商品情報と共に、当該ラベルの印刷時刻を示すラベル印刷時刻情報を印刷する印刷手段を備え、前記判断手段は、前記ラベル印刷時刻情報に基づいて前記撮像結果の良否を判断するものとしてもよい。
【0055】
前記印刷手段は、前記ラベルが印刷されたラベル印刷位置を示す情報を前記ラベルに印刷し、前記判断手段は、前記ラベル印刷位置を示す情報を前記ラベルに印刷するものとしてもよい。
【0056】
上記目的を達成するため、本発明の別の観点に係る生産管理システムは、検査対象物を撮像する撮像命令と、前記撮像命令による撮像結果の良否を判断する判断命令と、前記判断命令の判断結果に基づいて、前記検査対象物に係る生産処理を禁止する禁止命令と、をコンピュータにより実行する。
【0057】
本発明によれば、誤印字ラベルの貼付を防ぎ、正確な商品の生産を効率的に担保することができる。
【符号の説明】
【0058】
1 生産管理システム
10a ラベル貼付装置
104a 印字部
12a 印字制御部
13a 貼付制御部
20 検査装置
201 表示部
202 撮像部
23 判断部
24 禁止部
【手続補正書】
【提出日】2024-09-03
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
商品に貼付されるラベルに前記ラベルの印刷時刻を示すラベル印刷時刻情報を印刷する印刷手段と、
前記ラベル印刷時刻情報を撮像する撮像手段と、
検査をするための検査要請時刻を取得する取得手段と、
前記撮像手段により撮像した前記ラベル印刷時刻情報が前記検査要請時刻よりも前である場合に当該ラベルは検査要請に基づいて印字されたものではないと判断する判断手段と、
前記判断手段の判断結果に基づいて、前記ラベルに係る生産処理を禁止する禁止手段と、
を備えることを特徴とする、生産管理システム。
【請求項2】
前記生産処理の状態を表示する表示手段をさらに備える、
請求項1記載の生産管理システム。
【請求項3】
前記生産管理システムは前記印刷手段を複数備え、
前記印刷手段は、前記商品に貼付されるラベルに当該ラベルの印刷位置を示す情報を印刷し、
前記判断手段は、前記ラベルの印刷位置を示す情報に基づいて前記撮像結果の良否を判断する、
請求項1又は2記載の生産管理システム。
【請求項4】
商品に貼付されるラベルに前記ラベルの印刷時刻を示すラベル印刷時刻情報を印刷する印刷命令と、
前記ラベル印刷時刻情報を撮像する撮像命令と、
検査をするための検査要請時刻を取得する取得命令と、
前記撮像命令により撮像した前記ラベル印刷時刻情報が前記検査要請時刻よりも前である場合に当該ラベルは検査要請に基づいて印字されたものではないと判断する判断命令と、
前記判断手段の判断結果に基づいて、前記ラベルに係る生産処理を禁止する禁止命令と、
をコンピュータにより実行する、生産管理プログラム。