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特開2024-161408互いに固定された、具体的には互いにカレンダ処理された、支持要素とループを有する要素とを備える積層体
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  • 特開-互いに固定された、具体的には互いにカレンダ処理された、支持要素とループを有する要素とを備える積層体 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024161408
(43)【公開日】2024-11-19
(54)【発明の名称】互いに固定された、具体的には互いにカレンダ処理された、支持要素とループを有する要素とを備える積層体
(51)【国際特許分類】
   B32B 7/05 20190101AFI20241112BHJP
   B32B 5/26 20060101ALI20241112BHJP
   D04H 1/593 20120101ALI20241112BHJP
   A61F 13/56 20060101ALI20241112BHJP
【FI】
B32B7/05
B32B5/26
D04H1/593
A61F13/56 210
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024123359
(22)【出願日】2024-07-30
(62)【分割の表示】P 2021512802の分割
【原出願日】2019-11-06
(31)【優先権主張番号】1871514
(32)【優先日】2018-11-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(71)【出願人】
【識別番号】518366740
【氏名又は名称】アプリックス
【氏名又は名称原語表記】APLIX
(74)【代理人】
【識別番号】100091502
【弁理士】
【氏名又は名称】井出 正威
(72)【発明者】
【氏名】ドローション,シルベン アンドレ,ポール
(72)【発明者】
【氏名】モワナード,ナタリー クリスティン,ミシェル,マリー
(57)【要約】      (修正有)
【課題】より優れた柔軟性のある手触りを想像させる視覚的効果を維持しつつ、実際においても手触りがより柔軟である積層体を提供する。
【解決手段】繊維および/またはフィラメントからなる第1の層、具体的には第1の不織布の形態の支持要素(1)と、第2の繊維および/またはフィラメントウェブ、具体的には第2のループ不織布の形態のループを有する要素(2)とを備え、2つの要素が互いに固定されその固定によりループ要素の外面にS字形をしており互いに対称の頭部分を有するアイランド(3、3’)、いわゆるカレンダ処理アイランドが現出している、積層体において、対称の頭部分を有する各S字形アイランドが、互いに対向する頭部分を形成する2つのサブアイランドおよび互いに対向する頭部分を形成する2つのサブアイランドを隔てる非固定中間ゾーンからなることを特徴とする、積層体に関する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
繊維および/またはフィラメントからなる第1のウェブ、具体的には第1の不織布の形態の支持構成要素(1)と、繊維および/またはフィラメントからなる第2のウェブ、具体的にはループを有する第2の不織布の形態のループを有する構成要素(2)とを備え、前記2つの構成要素が互いに固定されその固定によりループを有する前記構成要素の外面に対称の頭部分を有するS字形の形状のいわゆるカレンダ処理アイランド(3、3’)が現出している、積層体において、対称の頭部分を有する各S字形アイランドが、互いに対向する頭部分を形成する2つのサブアイランド(3A、3B、3’A、3’B)と、互いに対向する頭部分を形成する前記2つのサブアイランドを隔てる中間非固定領域(4、4’)とを備えることを特徴とする、積層体。
【請求項2】
各サブアイランド(3A、3B、3’A、3’B)の形状が、点に対しても直線に対しても対称性がないことを特徴とする、請求項1に記載の積層体。
【請求項3】
各アイランドの前記2つのサブアイランドが、同じ形状であることを特徴とする、請求項1または2に記載の積層体。
【請求項4】
各非対称サブアイランドが、具体的にはCD方向のほぼ細長いベース部分と、前記ベース部分から、具体的には前記ベース部分の端部から突出し、前記ベース部分の長さ方向に対してある角度、特に30°から60°の間、特に約45°の角度を形成する方向に延びる嘴部分とを備えることを特徴とする、請求項2または3に記載の積層体。
【請求項5】
前記サブアイランド(3A、3B、3’A、3’B)のそれぞれが、ほぼ直線状の第1のベース・セクション(31A、31B、31’A、31’B)と、前記第1のベース・セクションに対して1°から10°の間の角度であってもよいが特に3°の角度で若干傾斜するほぼ直線状の第2のベース・セクション(33A、33B、33’A、33’B)と、前記第1のベース・セクションと前記第2のベース・セクションとの間に縁から延びる中間ベース・セクション(32A、32B、32’A、32’B)と、前記第1のベース・セクションと前記第2のベース・セクションとの間の他方側から延び、前記第2のベース・セクションに対して前記第1のベース・セクションの反対に終点がある先端を形成するセクションとを含む、閉じた外周線によって境界が定められることを特徴とする、請求項4に記載の積層体。
【請求項6】
前記先端を形成する前記セクションが、第2の支持セクションに対して45°から80°の間の角度であってもよいが特に55°の角度で前記第1のベース・セクションとは反対方向に傾斜する第1の先端セクション(34A、34B、34’A、34’B)と、第2の先端セクション(36A、36B、36’A、36’B)とを含み、前記第1の先端セクションおよび第2の先端セクションが、前記中間ベース・セクションの反対で、具体的には前記第1の先端セクションに対して75°から110°の間の角度であってもよいが特に81°の角度で前記第1のベース・セクションの縁の方へ傾斜する中間先端セクション(35A、35B、35’A、35’B)で互いに再びつながり、前記第2の先端セクションが、前記中間先端セクションに対して85°から120°の間の角度であってもよいが特に87°の角度で傾斜し、前記第2の先端セクションが、前記第1のベース・セクションに対して60°から90°の間の角度であってもよいが特に70°の角度で傾斜し前記第1のベース・セクションに再びつながっていることを特徴とする、請求項5に記載の積層体。
【請求項7】
前記中間ベース・セクションが、前記第1のベース・セクションに対してほぼ垂直であることを特徴とする、請求項5または6に記載の積層体。
【請求項8】
S字形カレンダ処理アイランドが、行と列、具体的には方向MDと方向CDの方向に、または前記方向MDおよび前記方向CDに対してそれぞれ1°から10°の間の角度に傾斜した方向に整列していることを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載の積層体。
【請求項9】
前記積層体の上面における前記アイランドの配置は、少なくとも3つの異なる方向、特に4方向に、前記積層体の前記上面を横切る直線をカレンダ処理領域に侵入することなく引くことができるような配置であることを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載の積層体。
【請求項10】
2つのタイプのアイランド、すなわち、正と称するS字形のタイプのアイランドと、逆と称する反転または鏡像のS字形のタイプのアイランドがあり、所与の一行が、一連の正または逆アイランドを含み、前後の行が、一連の逆または正アイランドを含み、したがって、前記行は、逆アイランドの行と正アイランドの行が交互になっていることを特徴とする、請求項8または9に記載の積層体。
【請求項11】
各行の間で、アイランドはサブアイランド分だけオフセットしており、したがって各列が、正アイランドのサブアイランドと逆アイランドのサブアイランドを連続的に交互に含み、前後の列が、正アイランドと逆アイランドの連続的に交互のサブアイランドを含むことを特徴とする、請求項10に記載の積層体。
【請求項12】
カレンダ処理アイランドで覆われたループを有する不織布の面積が、前記ループを有する不織布の面積の18%から34%の間、より具体的にはループを有する前記構成要素の面積の20%から25%の間であることを特徴とする、請求項1~11のいずれか一項に記載の積層体。
【請求項13】
繊維および/またはフィラメントからなるウェブとループを有するウェブ、具体的には不織支持布とループを有する布を互いにプレス、具体的には熱プレスして、それらを一緒に具体的にはカレンダ処理によって係留するように設計された彫刻ローラであって、請求項1~12のいずれか一項に記載の積層体の截頭されたS字形アイランドに合う形状を有するパターンが外面から突出している、彫刻ローラ。
【請求項14】
積層体、具体的には請求項1~12のいずれか一項に記載の積層体用のカレンダ処理設備であって、支持ローラと、請求項13に記載の彫刻ローラとを備える、カレンダ処理設備。
【請求項15】
前記彫刻ローラ、具体的には上側ローラの周速が、前記支持ローラ、具体的には下側ローラの周速より、好ましくは1.1から1.5の間、特に1.1から1.3の間の比率でより高くなるように調節されることを特徴とする、請求項14に記載の設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1の不織布の形態の支持構成要素と、ループを有する第2の不織布の形態のループを有する構成要素とを備え、これらの2つの不織布構成要素が、ループを有する不織布の外面に、互いに間隔を置いて配置されたカレンダ処理アイランドを形成するカレンダ処理によって互いに固定されている、積層体に関する。
【0002】
本発明は、さらに、カレンダ処理中にカレンダ処理アイランドを形成する彫刻ローラに関し、さらに、このタイプの彫刻ローラを備える設備に関する。
【背景技術】
【0003】
カレンダ処理アイランドが対称の頭部分を有するS字形をしておりアイランドがループを有する不織布の外面に行と列に配置されているこのタイプの積層体は、従来技術、具体的には国際出願WO17190717から知られている。S字形アイランドの行と列のこの配列は、特に一種のストロボ効果を生じさせることで、より優れた柔軟性の視覚的印象を与えるという利点があるが、このタイプの積層体は、より優れた柔軟性のある手触りを想像させる視覚的効果を維持しつつ、実際においても手触りがより柔軟であることが望ましい。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、さらに、繊維および/またはフィラメントからなる第1のウェブ、具体的には第1の不織布の形態の支持構成要素と、繊維および/またはフィラメントからなる第2のウェブ、具体的にはループを有する第2の不織布の形態の、ループを有する構成要素とを備え、これらの2つの構成要素が互いに固定されその固定によりループを有する構成要素の外面に対称の頭部分を有するいわゆるS字形カレンダ処理アイランドが現出している積層体において、対称の頭部分を有する各S字形アイランドが、互いに対向する頭部分を形成する2つのサブアイランドと、互いに対向する頭部分を形成する2つのサブアイランドを隔てる中間非固定領域とを備えることを特徴とする、積層体に関する。
【0005】
中間部分、特に中央部分が切れたS字形のアイランドをこのように設けることによって、2つの不織布構成要素である支持構成要素およびループを有する構成要素が従来技術のようなカレンダ処理によって等しく十分に互いに係留された積層体が得られるだけでなく、第一に、ループを有する有効面積がより大きくなり、第二に、アイランドが行と列、一般に方向CDとMDに配置される場合、カレンダ処理領域を横切ることなく積層体の一方側から他方まで延びる直線の形態の通路を積層体の上面に形成することができる。本発明によれば、具体的には、このタイプの垂直な線だけでなく、左に傾斜した線および右に傾斜した線も得られる。それによって、良好な結合性能を維持しつつ、従来技術より手触りがさらに柔軟な感覚になる。
【0006】
好ましくは、各サブアイランドは、点に対しても直線に対しても非対称形状を有する。
【0007】
好ましくは、2つのサブアイランドは、同じ形状であり、好ましくは、この同じ形状は、対称ではなく、具体的には点に対しても直線に対しても対称ではない。同じ形状とは、あるサブアイランドと他との形状の関係が類似または同一であることを意味する。
【0008】
好ましくは、各非対称サブアイランドは、具体的にはCD方向の、ほぼ細長いベース部分と、ベース部分、具体的にはベース部分の端部から突出し、そこからベース部分の長さ方向に対してある角度、特に30°から60°の間、特に約45°の角度を形成する方向に延びる嘴部分とを備える。
【0009】
好ましくは、各サブアイランドは、連続的に、ほぼ直線状の第1のベース・セクションと、第1のベース・セクションに対してほぼ垂直な中間ベース・セクションと、第1のベース・セクションに対して1°から10°の間の角度であってもよいが特に3°の角度で若干傾斜するほぼ直線状の第2のベース・セクションと、第2のベース・セクションに対して45°から80°の間の角度であってもよいが特に55°の角度で第1のベース・セクションとは反対方向に傾斜する先端を有する第1のセクションと、第1の先端セクションに対して75°から110°の間の角度であってもよいが特に81°の角度で第1のベース・セクションの縁の方へ傾斜する中間先端セクションと、中間先端セクションに対して85°から120°の間の角度であってもよいが特に87°の角度で傾斜し、第1のベース・セクションに対して60°から90°の間の角度であってもよいが特に70°の角度で傾斜して第1のベース・セクションに再びつながる第2の先端セクションとを含む、閉じた外周線によって境界が定められる。
【0010】
本発明の実施態様の好ましい一方法によれば、S字形カレンダ処理アイランドは、行と列、具体的には方向MDと方向CD、または方向MDおよび方向CDに対してそれぞれ1°から10°の間の角度に傾斜した方向に整列している。
【0011】
具体的には、アイランドの配置は、別のカレンダ処理領域に遭遇することなく、互いに非平行な少なくとも3つの異なる方向、特に4方向に、積層体の上面を横切る直線を引くことができるような配置である。
【0012】
好ましくは、少なくとも3本の線は、4本の線、すなわち方向MDまたはほぼ方向MDの垂直線、方向CDまたはほぼ方向CDの水平線、および、互いに交差しそれぞれ方向CDに対して10°から35°の間、より具体的には10°から30°の間、特に15°から25°の間、特に約21°の角度を形成する2本の傾斜線を含む。
【0013】
具体的には、2つのタイプのアイランド、すなわち、正と称するS字形のアイランドと、逆と称する反転または鏡像のS字形のアイランドがあり、所与の一行は、一連の正アイランドまたは逆アイランドを含み、前後の行は、一連の逆アイランドまたは正アイランドを含み、したがって行は、逆アイランドと正アイランドを交互に含む。
【0014】
好ましくは、各行の間で、アイランドまたはサブアイランドがオフセットしており、したがって各列は、交互になった正サブアイランドと逆サブアイランドを含む一方、前後の列は、交互になった正アイランドのサブアイランドと逆アイランドのサブアイランドを含む。
【0015】
具体的には、カレンダ処理アイランドで覆われたループを有する構成要素の面積は、ループを有する不織布の面積の18%から34%の間、より具体的にはループを有する構成要素の面積の20%から25%の間である。
【0016】
本発明は、さらに、具体的には2つの不織支持体である繊維および/またはフィラメントからなる2つのウェブと、ループが作られた布をプレス、具体的には熱プレスしてから、それらを一緒に具体的にはカレンダ処理によって係留するように設計された彫刻ローラであって、本発明による積層体の截頭されたS字形アイランドに合う形状を有するパターンが外面から突出している、彫刻ローラに関する。
【0017】
本発明は、さらに、本発明による積層体用のカレンダ処理設備であって、支持またはプレス・ローラと彫刻ローラ、具体的には本発明による彫刻ローラとを備える、カレンダ処理設備に関する。
【0018】
好ましくは、彫刻ローラ、具体的には上側ローラの周速は、支持ローラ、具体的には下側ローラの周速より、好ましくは1.1から1.5の間、特に1.1から1.3の間の比率でより高くなるように制御される。
【0019】
例えば、次に、図面を参照して本発明の実施態様の好ましい方法について述べる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の実施態様の1つの方法による積層体の縦断面図である。
【0021】
図2図1の積層体の上からの図である。
【0022】
図3】本発明による彫刻ローラの正面図である。
【0023】
図4図3の丸で囲まれた部分の拡大図である。
【0024】
図5】おむつのベルトを着脱可能に閉じるために側方タブから突出しているフックと協働するように設計されたランディング領域を形成するように図1および図2の積層体を組み込んだおむつの斜視図である。
【0025】
図6】積層体の一方側から他方までカレンダ処理領域を横切らずに延びる直線の形態の通路を示す図2の一部の拡大図である。
【0026】
図7】S字形のアイランドおよび反転S字形のアイランドそれぞれを示す、より大きなスケールの上から見た図である。
【0027】
図8図4のAAの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1は、本発明による積層体12を示している。積層体12は、下側支持構成要素1であって、不織布の形態、具体的には「スパンボンド」または「スパンメルト」タイプの不織布(「スパンメルト」不織布は、具体的にはSM、SMS、SSMMS、SMSMS、SMMMS、SMMS、SSMMSS、SSMMMSS、SSMMMSSS不織布を含む任意のタイプのもの、またはSおよびM層の任意の他の組合せであり、Sは「スパンボンド」タイプの層を表し、Mは「メルトブローン」タイプの層を表す)の形態であり、例えば坪量が5g/mから30g/mの間であり特定の装飾/情報パターンを印刷することができる、下側支持構成要素1と、具体的にはカーディングされ、例えば熱結合された、水流交絡処理されたまたはスパンボンドのループを有する構成要素2であって、坪量が例えば10g/mから35g/mの間であり1.5から6.0デシテックスの間の繊維および/またはフィラメントを含み、好ましくは使用者がそれを通して支持構成要素上に印刷されたパターンを見ることができなければならない、ループを有する構成要素2とを備える。
【0029】
2つの不織布は、2つのローラである支持ローラと彫刻ローラとの間に通され、それによって、彫刻ローラの外面によって作り出される彫刻パターンにそれぞれ相当する反転S字形とS字形のアイランド3、3’の形態の領域で2つの不織布の繊維および/またはフィラメント(合成または非合成)が互いに融合されていることによって互いに係留される。
【0030】
典型的には、係留は、カレンダ処理、すなわちローラ間を通る2つの構成要素に圧力および/または熱を加えることによって行われる。しかし、2つの構成要素の繊維またはフィラメント材料は、融着、超音波溶接、エンボス加工などによって互いに係留されてもよい。本出願では、説明を容易にするために、係留領域を「カレンダ処理領域」と呼ぶことにする。この実施態様の一変形形態として、支持構成要素に繊維および/またはフィラメントを直接押し出すことが可能であり(例えば、「スパンメルト」または「スパンボンド」タイプの不織布)、また、本発明による積層体を形成するように支持構成要素に繊維および/またはフィラメントの層をカレンダ処理することが可能である。この実施態様の一変形形態としては、繊維および/またはフィラメントの第1の層を形成する繊維および/またはフィラメントを押し出して支持構成要素を形成し、その次に、繊維および/またはフィラメントの第2の層を形成する繊維および/またはフィラメントを押し出してループを有する構成要素を形成し、支持構成要素とループを有する構成要素を形成する繊維および/またはフィラメントの少なくとも2つの層をカレンダ処理して本発明による積層体を形成することができる。
【0031】
カレンダ処理により、アイランド3、3’の(積層体の上面に垂直に測定される)厚さは、カレンダ処理領域外の積層体の厚さに対して著しく減少する。したがって、非カレンダ処理領域は、アイランド3、3’を越えて延びるループを形成しフックとループの係留のためにフックを受容することができる領域を形成する。
【0032】
具体的には、カレンダ処理アイランドで覆われたループを有する不織布2の面積は、ループを有する不織布2の面積の18%から34%の間、特に20%から25%の間、例えば22%を示す。
【0033】
図2および図6は、図1の積層体の下からの図であり、図7は、反転S字形およびS字形の2つのアイランド3および3’のより大きなスケールの図である。
【0034】
アイランド3、3’は、方向CDの行と方向MDの列に整列されるように、積層体の上面に配置される。
【0035】
図7により大きなスケールで示される各反転S字形アイランド3は、上側および下側の2つのサブアイランド3Aおよび3Bからなり、それぞれがアイランド3の形状の反転S字の頭部分を形成する。S字の頭部分を形成する2つのサブアイランド3Aおよび3Bは、同一の非対称の形状である。
【0036】
したがって、各反転S字形または逆アイランド3は、空き領域4によって隔てられる上側および下側の2つのサブアイランド3Aおよび3Bを含む。空き領域4とは、隙間領域4において、上側および下側の2つのサブアイランドが互いに間隔を置いて配置され、2つのサブアイランド3Aおよび3Bの間にはカレンダ処理されないループを有する不織布2の繊維および/またはフィラメントがあるという意味であることを理解されよう。その場合、ループ21は、隙間領域4でのフックとの係合に利用できる。
【0037】
上側サブアイランド3Aは、連続的に、ほぼ直線状の上側ベース・セクション31Aと、上側セクション31Aに対してほぼ垂直な中間ベース・セクション32Aと、セクション31Aの下にそれに対して1°から10°の間の角度であってもよいが特に3°の角度で若干傾斜して延びるほぼ直線状の下側ベース・セクション33Aと、下側ベース・セクション33Aに対して45°から80°の間の角度であってもよいが特に55°の角度で下方に傾斜する下側先端セクション34Aと、下側先端セクション34Aに対して75°から110°の間の角度であってもよいが特に81°の角度で上方に傾斜する中間先端セクション35Aと、中間先端セクション35Aに対して85°から120°の間の角度であってもよいが特に87°の角度で傾斜し、上側支持セクション31Aに対して60°から90°の間の角度であってもよいが特に70°の角度で傾斜して上側支持セクション31Aに再びつながる上側先端セクション36Aとを含む、閉じた周囲または外周線によって境界が定められる。
【0038】
セクション31A、32Aおよび33Aは、サブアイランド3Aのベース部分を画定する。このベース部分は、セクション34A、35Aおよび36Aによって境界が定められ各S字形の他方のサブアイランド3Bの方に向いている先端部分で終端する。
【0039】
下側サブアイランド3Bは、連続的に、ほぼ直線状の下側ベース・セクション31Bと、下側ベース・セクション31Bに対してほぼ垂直な中間ベース・セクション32Bと、セクション31Bの下にそれに対して1°から10°の間の角度であってもよいが特に3°の角度で若干傾斜して延びるほぼ直線状の上側ベース・セクション33Bと、上側支持セクション33Bに対して45°から80°の間の角度であってもよいが特に55°の角度で上方に傾斜する上側先端セクション34Bと、上側先端セクション34Bに対して75°から110°の間の角度であってもよいが特に81°の角度で下方に傾斜する中間先端セクション35Bと、中間先端セクション35Bに対して85°から120°の間の角度であってもよいが特に87°の角度で傾斜し、下側支持セクション31Bに対して60°から90°の間の角度であってもよいが特に70°の角度で傾斜して下側支持セクション31Bに再びつながる下側先端セクション36Bとを含む、閉じた周囲または外周線によって境界が定められる。
【0040】
セクション31B、32Bおよび33Bは、サブアイランド3Bのベース部分を画定する。このベース部分は、セクション34B、35Bおよび36Bによって境界が定められ各S字形の他方のサブアイランド3Aの方に向いている先端部分で終わる。
【0041】
図7により大きなスケールで示される各S字形アイランド3’は、上側および下側の2つのサブアイランド3’Aおよび3’Bからなり、それぞれがアイランド3’の形状のS字の1つの頭部分を形成する。S字の頭部分を形成する2つのサブアイランド3’Aおよび3’Bは、全く同じの非対称の形状である。
【0042】
したがって、各S字形または正アイランド3’は、空き領域4’によって隔てられる上側および下側の2つのサブアイランド3’Aおよび3’Bを含む。空き領域4’とは、隙間領域4’において、上側および下側の2つのサブアイランドが互いに間隔を置いて配置され、2つのサブアイランド3’Aおよび3’Bの間にはカレンダ処理されないループを有する不織布2の繊維および/またはフィラメントがあるという意味であることを理解されよう。
【0043】
上側サブアイランド3’Aは、連続的に、ほぼ直線状の上側ベース・セクション31’Aと、上側セクション31’Aに対してほぼ垂直な中間ベース・セクション32’Aと、セクション31’Aの下にそれに対して1°から10°の間の角度であってもよいが特に3°の角度で若干傾斜して延びるほぼ直線状の下側ベース・セクション33’Aと、下側ベース・セクション33’Aに対して45°から80°の間の角度であってもよいが特に55°の角度で下方に傾斜する下側先端セクション34’Aと、下側先端セクション34’Aに対して75°から110°の間の角度であってもよいが特に81°の角度で上方に傾斜する中間先端セクション35’Aと、中間先端セクション35’Aに対して85°から120°の間の角度であってもよいが特に87°の角度で傾斜し、上側ベース・セクション31’Aに対して60°から90°の間の角度であってもよいが特に70°の角度で傾斜して上側ベース・セクション31’Aに再びつながる上側先端セクション36’Aとを含む、閉じた周囲または外周線によって境界が定められる。
【0044】
セクション31’A、32’Aおよび33’Aは、サブアイランド3’Aのベース部分を画定する。このベース部分は、セクション34’A、35’Aおよび36’Aによって境界が定められ各S字形の他方のサブアイランド3’Bの方に向いている先端部分で終端する。
【0045】
下側サブアイランド3’Bは、連続的に、ほぼ直線状の下側ベース・セクション31’Bと、下側セクション31’Bに対してほぼ垂直な中間ベース・セクション32’Bと、セクション31’Bの上にそれに対して1°から10°の間の角度であってもよいが特に3°の角度で若干傾斜して延びるほぼ直線状の上側ベース・セクション33’Bと、上側ベース・セクション33’Bに対して45°から80°の間の角度であってもよいが特に55°の角度で上方に傾斜する上側先端セクション34’Bと、上側先端セクション34’Bに対して75°から110°の間の角度であってもよいが特に81°の角度で下方に傾斜する中間先端セクション35’Bと、中間先端セクション35’Bに対して85°から120°の間の角度であってもよいが特に87°の角度で傾斜し、下側支持セクション31’Bに対して60°から90°の間の角度であってもよいが特に70°の角度で傾斜して下側支持セクション31’Bに再びつながる下側先端セクション36’Bとを含む、閉じた周囲または外周線によって境界が定められる。
【0046】
セクション31’B、32’Bおよび33’Bは、サブアイランド3’Bのベース部分を画定する。このベース部分は、セクション34’B、35’Bおよび36’Bによって境界が定められ各S字形の他方のサブアイランド3’Aの方に向いている先端部分で終端する。
【0047】
2つのサブアイランド3Aおよび3Bの2つの先端部分は、空いた間隙部分4と相まって、逆アイランド3の全体形状のS字形の中間バーを形成する。
【0048】
2つのサブアイランド3’Aおよび3’Bの2つの先端部分は、空いた間隙部分4’と相まって、正アイランド3’の全体形状のS字形の中間バーを形成する。
【0049】
こうして、各サブアイランド3A、3B、3’Aおよび3’Bは、非対称の形状、具体的には上から見ると直線および/または点に対して対称でない形状であり、その一方、各アイランド3および3’は、間隙部分4、4’の中心点に対して対称である。
【0050】
正アイランド3’の形状は、2つのサブアイランド3’Aおよび3’Bからなり、間隙部分4’は、2つのサブアイランド3Aおよび3Bならびに間隙部分4からなる逆アイランド3の鏡像である。
【0051】
図面に示されるように、逆および正アイランド3および3’は、行(方向CDと0°から10°の間の角度を形成する方向)と列(方向MDと0°から10°の間の角度を形成する方向または軸10)に配置される。
【0052】
所与の一行は、一連の正アイランドまたは逆アイランドを含み、その前後の行は、一連の逆アイランドまたは正アイランドを含み、したがって、行は、逆アイランドの行と正アイランドの行が交互になっている。
【0053】
さらに、各行の間でアイランドはサブアイランドの幅の分だけオフセットしており、したがって、各列は、正アイランドの上側サブアイランドと逆アイランドの上側サブアイランドを連続的に交互に含む一方、その前後の列は、正アイランドの下側サブアイランドと逆アイランド下側サブアイランドを連続的に交互に含む。サブアイランドのこのオフセットにより、逆アイランドの中間領域4と正アイランドの中間領域4’が交互になった垂直アラインメント(方向MDまたは方向MDに対して若干傾斜した列の方向)になる。
【0054】
しかし、このオフセットは、サブアイランドの幅より大きくてもよく、そうすると、一列内での交互になった上側サブアイランド3Aと上側サブアイランド3’A、または交互になった下側サブアイランド3Bと下側サブアイランド3’Bの互いの重なりが、アイランド全体の全幅の20%から50%の間、好ましくは30%から50%の間(50%は、図面に示されるサブアイランドの幅のオフセットの場合に相当)になる。加えて、各行の間において、正アイランドと逆アイランドとの間にオフセットがあり、したがって、ある行と隣の行、下側サブアイランド3Bと上側サブアイランド3’A、または上側サブアイランド3Aと下側サブアイランド3’Bにおいても相互の重なりがないようになっている。
【0055】
したがって、所与の一列は、一列ずつ交互に上側または下側のサブアイランドのどちらかしか含まず、所与の一列内では、サブアイランドが正アイランドか逆アイランドの交互になっている。
【0056】
図6に見られるように、アイランドのこの配置は、方向MDに対して0°から10°傾斜し互いに平行であり選択した列に応じて上側または下側のどちらかのサブアイランドのほぼ長さ分の間隔を置いて列の中心線10の方向に垂直線を引くことができ、さらに、任意のカレンダ処理領域に遭遇せずに積層体を方向CDおよび方向MDに対してある角度で横切ることができる傾斜した平行線7および8を引くことができるような配置である。
【0057】
2組の傾斜平行線7および8は、具体的には互いの間に90°とは異なる角度、特に10°から45°の間、特に約32°の角度を形成して交差する。有利には、線7および8の各組は、列の軸に対してそれぞれ65°から85°の間、好ましくは約75°の角度を形成する。MDに3つのアイランドおよびCDに3つのアイランドを含むサンプル領域において様々な寸法および/または直線を採用することができる。
【0058】
具体的には、アイランドの寸法は、以下の通りである。
- セクション32A、32B、32’A、32’Bの長さは、約1.06mm、特に0.8mmから1.5mmの間である。
- セクション31A、31B、31’A、31’Bの長さは、約6.5mm、特に4mmから10mmの間、特に5mmから8mmの間である。
- セクション33A、33B、33’A、33’Bの長さは、約6.0mm、特に4mmから10mmの間、特に5mmから8mmの間である。
- セクション36A、36B、36’A、36’Bの長さは、約1.9mm、特に0.8mmから3.0mmの間、特に1mmから2.5mmの間である。
- 隙間領域4または4’の境界を定める、2つの中間先端セクション35Aと35B、35’Aと35’Bの間の距離はそれぞれ、約0.93mm、特に0.5mmから2.5mmの間、好ましくは0.8mmから1.5mmの間である。
- アイランドの方向CDにおける最長長さに対するアイランドの方向MDにおける最長長さの比率は、0.1から1.0の間、好ましくは0.2から0.6の間である。
- サブアイランドの方向CDにおける最長長さに対するサブアイランドの方向MDにおける最長長さの比率は、0.1から0.6の間、好ましくは0.1から0.4の間である。
- 正アイランドと逆アイランドを含むグループの方向MDにおける最長長さのこのアセンブリの方向CDにおける最長長さに対する比率は、0.15から1.4の間、好ましくは0.25から1.0の間である。
- 中間先端セクション35A、35B、35’A、35’Bの長さは、約0.53mm、特に0.4mmから0.6mmの間である。
- 行と列において、アイランドの密度は、150から350サブアイランド/列メートルの間、例えば242サブアイランド/列メートルであり、80から200サブアイランド/行メートルの間、例えば129サブアイランド/行メートルである。
【0059】
図3は、図4に示されるようなエンボス加工のディテールを含む彫刻ローラを示している。
【0060】
積層体を製造するため、2つの構成要素1および2は、2つのローラの間に一緒に通され、カレンダ処理により互いに固定された。1つの変形形態によれば、カレンダ処理の前または後に支持構成要素1の下面に対して印刷を行ってもよい。
【0061】
2つのローラ、具体的には上側ローラと下側ローラとの間に形成された隙間において、2つの構成要素1および2は、2つのローラのどちらかのそれぞれの外面によって一緒にプレスされる。
【0062】
2つのローラの一方または両方は加熱され、2つのローラの一方は彫刻パターンを含む。
【0063】
さらに、下側および上側の2つのローラの、間隙を通過する積層体との接点でのそれぞれの速度は、2つの構成要素の通過方向、具体的には機械方向またはMDにおいて相等しく調整される。しかし、具体的には上側ローラである彫刻ローラの、間隙のループ繊維構成要素との接点にける速度V1は、具体的には下側ローラすなわち支持構成要素と接触するローラである支持ローラの速度V2より速い。図1の積層体を作製するには、図3の比率V1/V2は、1.15に調節される。
【0064】
本発明では、不織布は、強化された繊維および/またはフィラメントのウェブを形成する結果として得られる製品を指すものと理解されよう。強化とは機械的、化学的、または熱的なものとすることができ、繊維および/またはフィラメント間に結合により生じる。強化は直接的、すなわち、融合により繊維および/またはフィラメント間で直接行われるもの、または、間接的、すなわち、例えば粘着剤層または接着層などの、繊維および/またはフィラメント間の中間層を介するものとすることができる。不織布という用語は、均一ではない、不規則またはランダムに交錯された繊維および/またはフィラメントのストリップまたはウェブの形態の構造を指す。不織布は、単層構造または多層構造を有することができる。不織布はまた、積層体の形成のためにフィルムなどの別の材料と結合されてもよい。不織材は様々な合成材料および/または天然材料から作製することができる。例えば、天然材料としては、綿、ジュート、パルプ、亜麻などのセルロース繊維があり、また、レーヨンまたはビスコース(酢酸セルロース)などの加工セルロース繊維を含んでもよい。不織布材料のための天然繊維は、カーディングなど様々な方法を用いて作製することができる。例えば、合成材料としては、これらに限られないが、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレンなどのポリオレフィン類、例えばポリアミド6、ポリアミド6.6、ポリアミド10、ポリアミド11、ポリアミド12などのポリアミド、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ乳酸(PLA)などのポリエステル類、ポリカーボネート、ポリスチレン、熱可塑性エラストマー、ビニルポリマー、ポリウレタン、およびこれらの混合物および共重合体を含む、繊維および/またはフィラメントの形成に用いられる合成熱可塑性ポリマーがあるが、これらに限られない。これらの材料のいくつかは、例えば、バイオ由来(例えば、バイオPE、PLA、ポリアミド11、ビスコース(酢酸セルロース)など)ならびに/または生物分解性(PLAなど)のバイオプラスチックであってもよい。
【0065】
一般に、繊維およびフィラメントは、主にそれらの長さおよび製造方法の点で異なる。
【0066】
フィラメントは、それらの断面を含む直径に対する長さの比が非常に高い単一要素であり、不織布のウェブを直接形成するために連続して押し出され、次いでそれが、所望の性能および/またはそれらの輸送を達成するように、熱的結合または任意の他の方法により統合され得ると理解されよう。好ましくは、フィラメントは、120mm超の長さを有する。
【0067】
繊維は、フィラメントの長さより短い長さで、不織布の製造において紡糸および/または使用され得る生地材料または生地材料の構成要素を指す一般的用語である。50mm未満(好ましくは25mmから50mmまで)の不連続材料から形成された短繊維、および50mm超(好ましくは60mmから120mmまで)の長さを有する不連続に形成された非常に長い繊維の、2種類の繊維がある。
【0068】
押し出された後に直接統合されるフィラメントとは異なり、繊維は、一般的に、当業者に周知であるカーディング・プロセスの間に配向されウェブにまとめられる。次いで、このウェブは、所望の性能および/またはそれらの輸送を達成するように、熱的結合により、または任意の他の方法により統合され得る。本発明によれば、高い伸びを有する繊維を含むループを有する不織布は、有利に使用することができる。本発明によれば、ループを有する不織布、または、円形もしくは非円形(三葉もしくは多葉)断面の繊維および/またはフィラメントを含む不織布支持体は、有利に使用することができる。非円形繊維および/またはフィラメントの使用は、光輝感を与える。
【0069】
本発明によれば、単一材料または多成分の繊維および/またはフィラメント(「芯/鞘」または「サイド/サイド」)を含む、ループを有する不織布または不織支持布は、有利に使用することができる。
【0070】
高い伸びを有する繊維は、250%超の伸長の極限引張強さを有する繊維、すなわち、伸ばす前の静置時の長さの少なくとも2.5倍伸びることができる繊維を意味するものと理解されよう。
【0071】
より具体的には、高い伸びを有する繊維は、300%超の伸長の極限引張強さ、または、300%から600%の間、より具体的には350%から500%の間の伸長の極限引張強さを有する。
【0072】
実施態様の一方法によれば、ループを有する不織布は、高い伸びを有する繊維、特に高い伸びを有する繊維を少なくとも50%含む。
【0073】
本発明によれば、ループは、各支持点において、または同じ支持点において支持体に結合された2つの端部を有する、フィラメントおよび/または繊維を意味するものと理解されよう。ループはまた、互いに連結されたいくつかのフィラメントまたは繊維から形成されてもよく、そのうちの2つが1点または2つのそれぞれ異なる点で支持体に結合される。この場合、ループは、特定の非対称の形状であってもよい(図1参照)。
【0074】
ループを有する不織布は、支持体に係留(組み付け/固定/カレンダ処理)された後にフックが使用できるループを形成する不織布を意味するものと理解されよう。
【0075】
一変形形態において、構成要素に固定する前にループを有する不織布を活性化することが可能である。不織布の活性化は、不織布層構造の凝集を低減させ繊維および/またはフィラメントをほぐす処置である。活性化はさらに、当業界で周知のような歯またはディスクを有する2つの活性化ローラにより実行してもよい。
【0076】
方向MDは、機械方向、すなわちカレンダ処理中に積層体が製造ラインへと輸送された方向であり、方向CDは、方向MDに垂直な横断または「横切る」方向である。
【0077】
図8は、進入角度(entry angle)(方向MD)および退出角度(exit angle)を有する彫刻ローラの歯を示している。進入角度X1は、ループの形成のためのより大きな空間を残し、カレンダ処理段階中の繊維および/またはフィラメントへのダメージを防ぐために退出角度X2より小さいことが好ましい。好ましくは、進入角度は、5°から14°の間、より具体的には約8°の角度である。退出角は、10°から22°の間、特に約14°の角度である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【手続補正書】
【提出日】2024-08-28
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
繊維および/またはフィラメントからなる第1のウェブの形態の支持構成要素(1)と、繊維および/またはフィラメントからなる第2のウェブの形態のループを有する構成要素(2)とを備え、前記2つの構成要素が互いに固定されその固定によりループを有する前記構成要素の外面に対称の頭部分を有するS字形の形状のいわゆるカレンダ処理アイランド(3、3’)が現出している積層体において、対称の頭部分を有する各S字形アイランドが、互いに対向する頭部分を形成する2つのサブアイランド(3A、3B、3’A、3’B)と、互いに対向する頭部分を形成する前記2つのサブアイランドを隔てる中間非固定領域(4、4’)とを備え、各サブアイランド(3A、3B、3’A、3’B)の形状が、点に対しても直線に対しても対称性がなく、前記積層体の上面における前記アイランドの配置は、少なくとも3つの異なる方向に、前記積層体の前記上面を横切る直線をカレンダ処理領域に侵入することなく引くことができるような配置であることを特徴とする、積層体。
【請求項2】
各アイランドの前記2つのサブアイランドが、同じ形状であることを特徴とする、請求項に記載の積層体。
【請求項3】
各非対称サブアイランドが、ほぼ細長いベース部分と、前記ベース部分の一端部から突出する嘴部分とを備えることを特徴とする、請求項またはに記載の積層体。
【請求項4】
前記サブアイランド(3A、3B、3’A、3’B)のそれぞれが、ほぼ直線状の第1のベース・セクション(31A、31B、31’A、31’B)と、前記第1のベース・セクションに対して若干傾斜するほぼ直線状の第2のベース・セクション(33A、33B、33’A、33’B)と、前記第1のベース・セクションと前記第2のベース・セクションとの間に辺を形成するように延びる中間ベース・セクション(32A、32B、32’A、32’B)と、前記中間ベース・セクションとは反対の側で前記第1のベース・セクションと前記第2のベース・セクションとを連結する前記嘴部分を形成するセクションとを含む、閉じた外周線によって境界が定められることを特徴とする、請求項に記載の積層体。
【請求項5】
前記嘴部分を形成する前記セクションが、第2のベース・セクションから前記第1のベース・セクションとは反対方向に延びる第1の先端セクション(34A、34B、34’A、34’B)と、前記第1のベース・セクションから前記第1の先端セクションの方向に延びる第2の先端セクション(36A、36B、36’A、36’B)とを含み、前記第1の先端セクションおよび第2の先端セクションが、前記中間ベース・セクションとは反対の側で前記第1の先端セクションから前記第2の先端セクションに曲がる中間先端セクション(35A、35B、35’A、35’B)で互いに連結していることを特徴とする、請求項に記載の積層体。
【請求項6】
前記中間ベース・セクションが、前記第1のベース・セクションに対してほぼ垂直であることを特徴とする、請求項またはに記載の積層体。
【請求項7】
S字形カレンダ処理アイランドが、行と列に整列していることを特徴とする、請求項1~のいずれか一項に記載の積層体。
【請求項8】
2つのタイプのアイランド、すなわち、正と称するS字形のタイプのアイランドと、逆と称する反転または鏡像のS字形のタイプのアイランドがあり、所与の一行が、一連の正または逆アイランドを含み、前後の行が、一連の逆または正アイランドを含み、したがって、前記行は、逆アイランドの行と正アイランドの行が交互になっていることを特徴とする、請求項1から7の何れか一項に記載の積層体。
【請求項9】
各行の間で、アイランドはサブアイランド分だけオフセットしており、したがって各列が、正アイランドのサブアイランドと逆アイランドのサブアイランドを連続的に交互に含み、前後の列が、正アイランドと逆アイランドの連続的に交互のサブアイランドを含むことを特徴とする、請求項に記載の積層体。
【請求項10】
カレンダ処理アイランドで覆われた面積が、前記ループを有する構成要素(2)の面積の18%から34%の間であることを特徴とする、請求項1~のいずれか一項に記載の積層体。
【請求項11】
繊維および/またはフィラメントからなる第1のウェブの形態の支持構成要素(1)と、繊維および/またはフィラメントからなる第2のウェブの形態のループを有する構成要素(2)を互いにプレスして、それらを一緒に係留するように設計された彫刻ローラであって、請求項1~10のいずれか一項に記載の積層体の截頭されたS字形アイランドに合う形状を有するパターンが外面から突出している、彫刻ローラ。
【請求項12】
積層体用のカレンダ処理設備であって、支持ローラと、請求項11に記載の彫刻ローラとを備える、カレンダ処理設備。
【請求項13】
前記彫刻ローラの周速が、前記支持ローラの周速より高くなるように調節されることを特徴とする、請求項12に記載の設備。
【外国語明細書】